JP2017025151A - 樹脂シート、積層シート及び発泡壁紙 - Google Patents

樹脂シート、積層シート及び発泡壁紙 Download PDF

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Abstract

【課題】十分な防火性能を有し、且つ厚みのばらつきや面荒れが十分に少ない樹脂シートを提供すること。【解決手段】本発明は、基材と、該基材上に設けられた樹脂層と、を備える壁紙の前記樹脂層を形成するための樹脂シートであって、樹脂分100質量部と、充填剤100〜350質量部と、脂肪酸金属塩と、を含む樹脂組成物をTダイ押出製膜して得られるものであり、ISO5660発熱性試験法に基づき測定した発熱量が、7.2MJ/m2以下である、樹脂シート、積層シート及び発泡壁紙を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂シート、積層シート及び発泡壁紙に関する。より詳細には、本発明は、戸建て住宅、集合住宅、店舗、事務所ビル等の建築物の壁面装飾などに利用可能な発泡壁紙並びにそれに用いられる樹脂シート及び積層シートに関する。
建築物の壁面装飾等に用いる壁紙としては、紙基材に塩化ビニル樹脂或いは他のプラスチックの樹脂層を設けた塩化ビニル樹脂系壁紙やプラスチック系壁紙が広く利用されている。
これらの壁紙の製造方法としては、基材上に、樹脂組成物をTダイ法などの溶融押出成型法によりシート状にしながら積層するか、別途シーティングしておき、後からドライラミネート又は熱ラミネートにて基材に貼り合わせるかして、基材上に樹脂シートが設けられた積層シートを得た後、必要に応じて表面に印刷を施す方法がある(例えば、下記特許文献1参照)。これらの方法は、基材上に樹脂組成物を塗布・乾燥する方法に比べて生産効率の点で有利である。
特開昭61−201100号公報
ところで、壁紙に要求される特性の中に防火性能がある。壁紙を構成する樹脂層の防火性能を向上させる方法として、樹脂シートに炭酸カルシウムや二酸化チタンなどの充填剤を高配合する方法が考えられる。しかし、上述したTダイ押出等の押出製膜により壁紙を製造する場合、充填剤の添加量を増加させると、樹脂組成物の高分子的性質が低下し、押出製膜の際に樹脂のドローダウン性(高速成形に対する適正。以下、「製膜安定性」ともいう。)が低下してしまう。製膜安定性が低下すると、得られる樹脂シートにおいて、厚みのばらつきや面荒れが発生しやすくなる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、十分な防火性能を有し、且つ厚みのばらつきや面荒れが十分に少ない樹脂シートを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、基材と、該基材上に設けられた樹脂層と、を備える壁紙の樹脂層を形成するための樹脂シートであって、樹脂分100質量部と、充填剤100〜350質量部と、脂肪酸金属塩と、を含む樹脂組成物をTダイ押出製膜して得られるものであり、ISO5660発熱性試験法に基づき測定した発熱量が、7.2MJ/m以下である、樹脂シートを提供する。
本発明によれば、十分な防火性能を有し、且つ厚みのばらつきや面荒れが十分に少ない樹脂シートを提供することができる。また、本発明に係る樹脂シートは、引っ掻き傷に対する耐性(耐傷性)や、インキの印刷による柄のにじみを抑制できる等の優れた印刷適性をも具備することができる。
従来、壁紙の樹脂層を形成するための樹脂組成物における充填剤の含有量は、樹脂分100質量部に対して20〜80質量部程度に設定されていることが多いが、これは上述した押出製膜の際の製膜安定性を考慮しているためである。
本発明の樹脂シートの場合、上記樹脂分と充填剤とを特定の割合で含有する樹脂組成物に脂肪酸金属塩を含有させることにより、充填剤を高配合する場合であってもTダイ押出製膜における製膜安定性を十分確保することができた結果、上記本発明に係る効果が得られたものと本発明者らは推察する。
上記脂肪酸金属塩の金属は、マグネシウム、カルシウム及び亜鉛からなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。上記の金属を用いた脂肪酸金属塩を含むことによって、脂肪酸金属塩の界面活性効果により、樹脂分に充填剤がより均一に分散され、更に効果的に耐傷性に優れる樹脂シートを形成することができる。
また、上記脂肪酸金属塩は、12−ヒドロキシステアリン酸金属塩であることが好ましい。12−ヒドロキシステアリン酸金属塩を含むことにより、脂肪酸金属塩の炭素鎖に付加している水酸基が周囲の樹脂と相互作用し、印刷が施される面又は印刷後に印刷界面へのブリードアウトを低減することができるため、より優れた印刷適性を具備する樹脂シートを形成することができる。
上記脂肪酸金属塩は、脂質膜を有することが好ましい。これにより、脂肪酸金属塩の分散性が増加し、より少量で効果的にブリードアウトを低減することができる。また、脂肪酸金属塩による界面活性効果が更に向上し、樹脂分に充填剤を高濃度で均一に分散させることが一層容易となる。
上記充填剤は、水和金属化合物及び炭酸カルシウムを含むことが好ましい。充填剤として水和金属化合物及び炭酸カルシウムを併用することで、より効果的に耐傷性及び防火性能に優れた樹脂シートを得ることができる。
上記樹脂分は、オレフィン系樹脂を含むことが好ましく、密度0.91g/cm以上0.94g/cm以下の低密度ポリエチレンを含むことが好ましい。このようなオレフィン系樹脂を用いることにより、押出成形の際の製膜安定性がより優れたものとなり、品質のバラツキが少ない樹脂シートを得ることができる。
また、オレフィン系樹脂は、上記低密度ポリエチレンのほかに、密度0.88g/cm以上0.91g/cm未満の超低密度ポリエチレンを更に含むことが好ましい。超低密度ポリエチレンを更に含むことにより、樹脂の強靭性が増加し、より優れた耐傷性を具備する樹脂シートを得ることができる。
本発明の樹脂シートは、架橋処理が施されていてもよく、架橋処理は電子線照射によりなされていてもよい。架橋処理により、樹脂成分の伸張粘度を高くすることができる結果、樹脂層を発泡樹脂層とする場合には均一な発泡樹脂層を得ることができる。
上記樹脂分がシラン架橋性樹脂を含む場合、上記架橋処理は、過熱水蒸気処理又は水架橋処理を行うことができる。過熱水蒸気処理又は水架橋処理により架橋することにより、黄変等の品質劣化が十分に抑制された基材を備える壁紙、特には発泡壁紙を得ることができる。
また、本発明は、基材と、該基材上に設けられた上記樹脂シートと、を備える、積層シートを提供する。
さらに、本発明は、基材と、該基材上に設けられた発泡樹脂層と、を備える発泡壁紙であって、上記積層シートにおける樹脂シートが、発泡剤を更に含み、発泡剤を発泡させて得られる、発泡壁紙を提供する。
本発明によれば、十分な防火性能を有し、且つ厚みのばらつきや面荒れが十分に少ない樹脂シートを提供することができる。本発明に係る樹脂シートは、引っ掻き傷に対する耐性(耐傷性)や、インキの印刷による柄のにじみを抑制できる等の優れた印刷適性をも具備することも可能である。また、本発明によれば、上記樹脂シートを用いた積層シート及び発泡壁紙を提供することができる。
[樹脂シート]
本実施形態に係る樹脂シートは、樹脂分と、充填剤と、脂肪酸金属塩と、を含む樹脂組成物をTダイ押出製膜して得られるものであり、ISO5660発熱性試験法に基づき測定した発熱量が、7.2MJ/m以下である。
本実施形態に係る樹脂分は、ポリ塩化ビニル樹脂等のハロゲン系樹脂なども用いることができるが、充填剤を高濃度で含む場合の樹脂組成物の製膜安定性をより効果的に確保する観点から、非ハロゲン系樹脂を含むことが好ましい。非ハロゲン系樹脂としては、例えば、エチレン単独重合体、エチレンと他のオレフィンとの共重合体、ポリオレフィン樹脂(ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等の単一オレフィン重合体、2種以上のオレフィンのランダム又はブロック共重合体など)、スチレン系樹脂(ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)等)、エチレンコポリマー(エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体等)などが挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
中でも、本実施形態に係る樹脂分は、オレフィン系樹脂を含むことが好ましく、エチレン単独重合体又はエチレンと他のオレフィンとの共重合体を含むことがより好ましい。オレフィン系樹脂を含むことにより、押出成形の際の製膜安定性がより優れたものとなり、品質のバラツキが少ない樹脂シートを得ることができる。また、エチレン単独重合体又はエチレンと他のオレフィンとの共重合体を用いることにより、上記のほか、ベース樹脂の表面エネルギーが大きいためにブリードアウトの低減による親インク性の向上効果がより大きく発揮される。
エチレン単独重合体及びエチレンと他のオレフィンとの共重合体は、無極性の非ハロゲン系熱可塑性樹脂であり、これらを用いることで、充填剤を増量した場合の粘度上昇がより抑えられるため、高品質の壁紙を安定して生産することができる。
エチレン単独重合体としては、例えば、高圧法で合成された低密度ポリエチレン、中低圧法で合成されたコモノマーを含まない高密度ポリエチレン等が挙げられる。中でも、低密度ポリエチレンが好ましい。
低密度ポリエチレンは、例えば、密度0.91g/cm以上0.94g/cm以下の範囲にあるものが挙げられる。低密度ポリエチレンの密度は、好ましくは密度0.91g/cm以上0.93g/cm以下であり、より好ましくは密度0.92g/cm以上0.93g/cm以下である。低密度ポリエチレンの分子量、融点、メルトフローレート(MFR)等については特に制限されないが、融点については、50℃〜140℃が好ましく、60℃から110℃がより好ましい。融点が140℃以下であれば樹脂を溶融して成型する際により高温で溶融する必要がなく、樹脂組成物に発泡剤が含まれる場合であっても、発泡剤が成型中に分解してしまうという可能性が少ない。一方、融点が50℃以上であれば、実使用上の熱耐久性が十分に得られる。MFRについては3〜150のものが好ましく、4〜100のものがより好ましい。MFRが3以上であれば、成型時に生じるせん断発熱を抑えることができ、加工温度の制御が容易になり、樹脂組成物に発泡剤が含まれる場合であっても、成型中に発泡剤が分解してしまうという可能性が少ない。一方、MFRが150以下であれば、製造された壁紙の機械強度が保たれ、施工性及び耐久性に優れる。
低密度ポリエチレンとしては、例えば、ノバテックLD LC802A、ノバテックLD LC604(以上、日本ポリエチレン製)、宇部ポリエチレン J2516(宇部丸善ポリエチレン製)、ペトロセン202、209(以上、東ソー株式会社製)等の市販品を用いることができる。
エチレンと他のオレフィンとの共重合体は、例えば直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、コモノマーとの共重合で得られた高密度ポリエチレン等が挙げられ、これらは1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。直鎖状低密度ポリエチレンとしては、例えば、ニポロン−LM70(東ソー株式会社製)等の市販品を用いることができる。上記共重合体の中でも、超低密度ポリエチレンが好ましい。
超低密度ポリエチレンとしては、例えば、密度0.85g/cm以上0.91g/cm未満の範囲にあるものが挙げられる。超低密度ポリエチレンの密度は、好ましくは密度0.86g/cm以上0.90g/cm以下であり、より好ましくは密度0.88g/cm以上0.91g/cm未満であり、更に好ましくは密度0.88g/cm以上0.90g/cm以下であり、更により好ましくは密度0.89g/cm以上0.90g/cm以下である。超低密度ポリエチレンの分子量、融点、MFR等については特に制限されないが、融点については50〜140℃が好ましく、60〜110℃がより好ましい。融点が140℃以下であれば樹脂を溶融して成型する際により高温で溶融する必要がなく、樹脂組成物に発泡剤が含まれる場合であっても、発泡剤が成型中に分解してしまうという可能性が少ない。一方、融点が50℃以上であれば、実使用上の熱耐久性が十分に得られる。MFRについては3〜150のものが好ましく、4〜100のものがより好ましい。MFRが3以上であれば、成型時に生じるせん断発熱を抑えることができ、加工温度の制御が容易になり、樹脂組成物に発泡剤が含まれる場合であっても、成型中に発泡剤が分解してしまうという可能性が少ない。一方、MFRが150以下であれば、製造された壁紙の機械強度が保たれ、施工性及び耐久性に優れる。
超低密度ポリエチレンとしては、例えば、タフマー DF140、DF940、DF7350(いずれも三井化学株式会社製)、カーネル KJ−640T(日本ポリエチレン株式会社製)、エクセレンFX CX5508(住友化学株式会社製)、エンゲージ 8400/8407(ダウ・ケミカル社製)、エボリューP SP90100(株式会社プライムポリマー製)、ルミタック09L54A(東ソー株式会社製)等の市販品を用いることができる。
また、樹脂分としての上記非ハロゲン系樹脂は、シラン架橋性樹脂を含んでいてもよい。シラン架橋性樹脂としては、加水分解性シリル基を有する樹脂が挙げられ、例えばシラン架橋性ポリオレフィン系樹脂等を用いることができる。シラン架橋性ポリオレフィン系樹脂としては、母体としてのポリオレフィン系重合体に加水分解性シリル基を主として側鎖に導入した樹脂が挙げられる。このような樹脂としては、低密度ポリエチレン系、高密度ポリエチレン系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系、ポリプロピレン系等の重合体に加水分解性シリル基を主として側鎖に導入した樹脂が挙げられる。架橋は、置換シリル基の加水分解により行われる。なお、このシリル基が末端に位置するポリオレフィン系樹脂が含まれていてもよい。
シラン架橋性ポリオレフィン系樹脂は、ポリオレフィン系重合体のモノマーとエチレン性不飽和シラン化合物の容器中でランダム共重合させる方法、又はポリオレフィン系重合体の溶融物に過酸化物を用いてエチレン性不飽和シラン化合物をグラフト共重合する方法等により得ることができる。ここで、母体としてのポリオレフィン系重合体は、上記の樹脂のうちの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。さらに、母体のポリオレフィン系樹脂は、樹脂同士の混合又は分解が許容される程度であれば、上記ポリオレフィン系樹脂と、上記ポリオレフィン系樹脂とは異なる樹脂とを併用してもよい。混合又は分散の程度は、使用する押出機の種類により大差があり、また適宜の相溶化剤も使用できるので、組合せ樹脂は一概に区別はできないが、同種の樹脂であることが好ましい。シラン架橋性樹脂として、具体的には、三菱化学株式会社製「リンクロン」等が挙げられる。
樹脂分の含有量は、樹脂シートの製膜性の観点から、樹脂の合計量が、樹脂組成物全量を基準として、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることが更に好ましい。
本実施形態における充填剤としては、無機充填剤及び有機充填剤が挙げられる。無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、二酸化チタン、水和金属化合物等が挙げられる。有機充填剤としては、例えば、メラミンシアヌレート、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、木粉、セルロース及びその誘導体が挙げられる。これらの充填剤は1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
中でも、無機充填剤として、水和金属化合物及び炭酸カルシウムを含むことが好ましい。充填剤として水和金属化合物及び炭酸カルシウムを併用することで、より効果的に耐傷性及び防火性能に優れた樹脂シートを得ることができる。
水和金属化合物とは、加熱により脱水する金属化合物をいう。このような水和金属化合物は、加熱により水分を放出することができる。水和金属化合物としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マンガン、水酸化鉄、水酸化亜鉛、水酸化銅等が挙げられる。
水和金属化合物は、粒子状であることが好ましい。水和金属化合物の平均粒径は、5μm以下であることが好ましく、3μm以下であることがより好ましい。水和金属化合物の平均粒径を5μm以下とすることにより、表面積が増加し、一度に大量の水分が脱水される。これにより、シラン架橋反応に用いられる水分量が多くなり、より効率的に架橋が行われる。また、水和金属化合物の平均粒径の下限値は、粘度の上昇を抑える観点から、0.01μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがより好ましい。水和金属化合物の平均粒径とは、粒度分布の中央値に相当する50%平均粒径であり、例えば、市販の粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
水和金属化合物は、分散性、成形性、難燃性等の向上の観点から、各種の表面処理を施してもよい。このような表面処理を施した水和金属化合物としては、分散性及び成形性の向上の観点からは、例えば、硝酸陰イオン処理水酸化アルミニウム、高温熱水化処理水酸化アルミニウム等が挙げられ、難燃性の向上の観点からは、例えば、硝酸塩処理水酸化アルミニウム、錫酸亜鉛表面処理水酸化アルミニウム、ニッケル化合物表面処理水酸化マグネシウム等のほか、金雲母処理、シリコーン処理、シリコーンポリマー処理等の処理を施した水和金属化合物などが挙げられる。
本実施形態における充填剤の含有量は、その合計量が、樹脂分100質量部に対して、100〜350質量部である。充填剤を添加する理由としては、壁紙の隠蔽性の確保、単位面積当たりの燃焼カロリーの低減、嵩増しによる製造コストの低減等が挙げられる。充填剤(特には無機充填剤)の含有量が上記の範囲内であれば、壁紙としての良好な隠蔽性を確保しながら燃焼カロリーが低い壁紙を低製造コストで製造することができる。以上の観点から、充填剤の含有量は、樹脂分100質量部に対して、100〜300質量部であることが好ましく、100〜200質量部であることがより好ましい。
充填剤の含有量は、樹脂シートの防火性能及び耐傷性の観点から、その合計量が、樹脂組成物全量を基準として、50質量%以上であることが好ましく、65質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが更に好ましい。
充填剤としては、例えば、ソフトン1000、1200(備北粉化株式会社製、炭酸カルシウム)、タイペークCR−60、CR−60−2(いずれも石原産業株式会社製、二酸化チタン)、B−303(巴工業株式会社製、水酸化アルミニウム)等の市販品を用いることができる。
本実施形態に係る樹脂組成物は、脂肪酸金属塩を含む。脂肪酸金属塩を含むことにより、その界面活性効果から、上記樹脂分100質量部に対し充填剤を100〜350質量部の割合で含有する樹脂組成物において、製膜安定性と防火性能との両立が可能となる。また、樹脂組成物が発泡剤を更に含む場合、当該脂肪酸金属塩が発泡助剤として作用し、良好な発泡性を有する樹脂シートを形成することができる。
上記脂肪酸金属塩は、脂肪酸金属塩の炭素鎖に官能基を有する官能基含有脂肪酸金属塩であることが好ましい。ここで、脂肪酸金属塩の炭素鎖とは、脂肪酸を構成する直鎖状の炭化水素基を指す。直鎖状の炭化水素基は、飽和であっても不飽和であってもよく、その炭素数は6〜30が好ましいが、炭素数が少なくなると金属石鹸(脂肪酸金属塩)の融点が低下して液状になり取り扱いが難しくなるという点や、炭素鎖が長すぎると融点が高くなりすぎて成型温度での分解性が低下するという観点から、炭素数は10〜24がより好ましい。このような炭化水素基を有する脂肪酸としては、例えば、ヘキサン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、ベヘン酸等の飽和脂肪酸系、セバシン酸、アゼライン酸等のジカルボン酸系、オレイン酸、リノール酸、ウンデシレン酸等の不飽和カルボン酸系等が挙げられる。
官能基含有脂肪酸金属塩の官能基としては、上記直鎖状の炭化水素基に直接結合する有機基が挙げられる。官能基の個数は特に限定されず、分子内に官能基を2以上有する場合には、それらは互いに同一でも異なっていてもよい。
官能基としては、例えば、水酸基、アルキル基、スルホニル基(スルホン酸エステル)、ホスホニル基(亜リン酸エステル)、トリフルオロメチル基等が挙げられる。中でも、官能基は入手の容易な水酸基であることが好ましい。水酸基含有脂肪酸金属塩を用いることで、水酸基の強い分極に起因する電気的な分子間相互作用がより強固に働き、より効果的にブリードアウトが低減され、印刷適性を更に向上させることができる。特に、樹脂分としてエチレン単独重合体又はエチレンと他のオレフィンとの共重合体を組み合わせた場合には、ベース樹脂の表面エネルギーが大きいためにブリードアウトの低減による親インク性の向上効果がより大きく発揮され、印刷適性の良好な壁紙用原反としての樹脂シートや積層シートを得ることができる。
官能基含有脂肪酸金属塩の官能基含有脂肪酸としては、例えば、2−エチルヘキサン酸、ヒドロキシラウリン酸、ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸、ジヒドロキシステアリン酸、ジヒドロキシラウリン酸等が挙げられる。
官能基含有脂肪酸金属塩の金属としては、例えば、バリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛等が挙げられるが、マグネシウム、カルシウム及び亜鉛からなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。中でも亜鉛である場合は、界面活性効果が非常に強く、発泡助剤としての活性も強いことから、特に有用である。
本実施形態に係る官能基含有脂肪酸金属塩は、上述した観点から、2−エチルヘキサン酸亜鉛塩、ヒドロキシラウリン酸亜鉛塩、ヒドロキシステアリン酸亜鉛塩、ジヒドロキシステアリン酸亜鉛塩、ジヒドロキシラウリン酸亜鉛塩が好ましいが、入手の容易さやコストの観点から、12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛等の12−ヒドロキシステアリン酸金属塩がより好ましい。これら官能基含有脂肪酸金属塩は、1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
本実施形態に係る脂肪酸金属塩は、脂質膜を有することが好ましい。これにより、脂肪酸金属塩の分散性が増加し、樹脂分に対して充填剤を上記特定の割合で含有する樹脂組成物の製膜安定性を更に向上させることができるとともに、樹脂組成物に発泡剤が含まれている場合には、より少量で発泡助剤としての高い効果を得ることができるため、より効果的にブリードアウトを低減することができる。
脂質膜を有する脂肪酸金属塩を作製する方法としては、例えば、脂肪酸金属塩をホスファチジルコリン等のリン脂質などで処理する方法が挙げられる。リン脂質等で処理する方法としては、脂肪酸金属塩とリン脂質等とを混合する方法が挙げられる。
本実施形態に係る脂肪酸金属塩の含有量としては、その合計量が、樹脂分100質量部に対し、0.05〜10質量部であることが好ましい。脂肪酸金属塩の含有量が上記範囲内であれば、脂肪酸金属塩の界面活性効果及び分散性をより向上させることができる。以上の観点から、脂肪酸金属塩の含有量は、樹脂分100質量部に対し、0.1〜7質量部であることがより好ましく、0.2〜7質量部であることが更に好ましい。
本実施形態に係る樹脂組成物は、上述した必須成分のほかに、発泡剤を含んでいてもよい。樹脂組成物に発泡剤を含むことにより、当該発泡剤を発泡させて、発泡樹脂層を備える発泡壁紙を得ることができる。
本実施形態に係る発泡剤としては、例えば、熱分解型発泡剤を用いることができる。熱分解型発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド(ADCA)、アゾブチロニトリル、ジアゾアミノベンゼン等のアゾ系発泡剤、p−トルエンスルホニルヒドラジド等のヒドラジド系発泡剤、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ系発泡剤などが挙げられる。これらの中でも、毒性が少なく、発泡開始温度の調節が容易で適用範囲の広いADCAが好ましい。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
発泡剤としては、例えば、ビニホールAC#3C−K2(永和化成株式会社製、アゾジカルボンアミド系発泡剤)、セルラーD(永和化成株式会社製、ニトロソ系発泡剤)、ネオセルボン SB#51(永和化成株式会社製、ヒドラジド系発泡剤)等の市販品を用いることができる。
発泡剤の含有量は、特に制限されないが、その合計量が、樹脂組成物全量を基準として1〜20質量%であることが好ましい。発泡剤の含有量が上記範囲であると、過剰なガスの発生による表面からのガス抜けが抑制されている発泡樹脂層を得ることができる。
本実施形態に係る樹脂組成物には、本願発明による効果が損なわれない範囲であれば、上述した脂肪酸金属塩以外の発泡助剤を含んでいてもよい。そのような発泡助剤としては、例えば、ステアリン酸、ラウリン酸等の脂肪族系、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等の脂肪酸アミド系、ビウレア等の尿素系、塩化亜鉛等の金属塩化物、酸化亜鉛等の金属酸化物などが挙げられる。
本実施形態に係る樹脂組成物が発泡剤を含有する場合、脂肪酸金属塩の含有量としては、発泡助剤の総量100質量部に対して、10〜100質量部の範囲内であることが好ましく、30〜100質量部の範囲内であることがより好ましく、30〜90質量部の範囲内であることが更に好ましい。当該含有量が発泡助剤の総量100質量部に対して10〜100質量部の範囲内であれば、印刷適性を十分維持しつつ、より良好な施工性及び発泡倍率を有する樹脂組成物を得ることができる。
本実施形態に係る樹脂組成物が発泡剤を含有する場合、発泡助剤の含有量としては、その合計量が、発泡剤100質量部に対して、10〜100質量部の範囲内であることが好ましく、20〜80質量部の範囲内であることがより好ましく、30〜75質量部の範囲内であることが更に好ましく、30〜50質量部の範囲内であることが更により好ましい。発泡剤100質量部に対する発泡助剤の含有量が上記範囲内であれば、界面活性剤及び発泡助剤としての効果を十分に発揮することができる。
また、本実施形態に係る樹脂組成物には、必要に応じて顔料等を添加して着色してもよい。顔料の添加による着色は、透明であってもよいし、半透明であってもよいし、不透明であってもよい。顔料としては、例えば、酸化鉄、カーボンブラック等の無機顔料、又はアニリンブラック、フタロシアニンブルー等の有機顔料などを挙げることができる。
また、樹脂組成物には、必要に応じて、充填剤以外の難燃剤、セル調整剤、安定剤、滑剤、シラン架橋助剤等の周知の添加剤を用いることができる。
上記充填剤以外の難燃剤としては、例えば、リン酸エステル系等のリン系難燃剤、テトラブロモビスフェノールA等の臭素系難燃剤などが挙げられる。
セル調整剤としては、有機系セル調整剤及び無機系セル調整剤のいずれを用いてもよく、例えば、シリカ、リン酸エステル系化合物、アクリル酸エステル系樹脂、メタクリル酸エステル系樹脂等が挙げられる。セル調整剤は、アデカスタブHP−10(株式会社ADEKA製)、Irgafos 38(B.A.S.F. Japan製)、JPP−2000(城北化学工業株式会社製)等の市販品を用いることができる。
安定剤としては、例えば、フェノール/アミン系酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤等のラジカル捕捉剤、リン系、イオウ系等の過酸化物分解剤、ベンゾトリアゾール系、ヒドロキシフェニルトリアジン系、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤などが挙げられる。変色を抑える観点から、ラジカル捕捉剤等が用いられてもよい。
滑剤としては、例えば、ステアリン酸、ラウリン酸等の脂肪酸系、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等の脂肪酸アミド系、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸カルシウム、オクチル酸亜鉛等の脂肪酸金属塩系の滑剤などが挙げられる。
シラン架橋助剤としては、例えば、スズ系の架橋助剤等が挙げられる。
本実施形態の樹脂シートは、上述した各構成成分を含有する樹脂組成物から形成されるものである。本実施形態に係る樹脂シートは、例えば、上記本実施形態に係る樹脂組成物をTダイ押出製膜して得ることができる。
Tダイ押出製膜の方法としては、例えば、Tダイ押出法、Tダイ押出同時ラミネーション法、Tダイ押出タンデムラミネーション法等の押出成形が挙げられる。
樹脂組成物は、各成分を押出機で溶融・混練・分散させた後に、適宜ペレット化したものを用いることができる。押出機は単軸押出機でも2軸押出機でもよいが、生産性や品質への影響を考慮した場合、2軸押出機が望ましい。
押出製膜の条件としては、押出温度100〜160℃、押出圧力2〜50MPaが挙げられる。樹脂組成物に発泡剤が含まれる場合、発泡剤成分の分解を抑制しつつポリエチレン成分の融点以上とする観点から、押出温度は110〜150℃が好ましく、120〜140℃がより好ましい。また、押出安定性の観点から、押出圧力は、3〜40MPaが好ましく、3〜30MPaがより好ましい。
樹脂シートの厚みは、用途に応じて適宜設定することができるが、例えば、発泡壁紙用途であれば50〜200μmとすることができる。
樹脂シートは、架橋処理が施されていてもよい。架橋処理としては、電子線照射処理、過熱蒸気処理等の加熱処理が挙げられる。樹脂組成物がシラン架橋性樹脂を含む場合には、過熱蒸気処理、水架橋処理を行うことができる。
電子線照射処理は、例えば、製膜した樹脂シートの片面側から、又は両面から電子線を照射することにより、樹脂シートに架橋処理を施すことができる。電子線照射の条件としては、樹脂層の厚みにもよるが、加速電圧150〜300kV、照射線量10〜100kGyが好ましい。加速電圧が上記範囲内であれば、電子線を樹脂シートの厚み方向深くまで十分に到達させることができ、なおかつ裏打紙への電子線による劣化を抑制することができる。また、照射線量が上記範囲内であれば、樹脂シートの黄変や機械物性の変化を抑制しつつ、樹脂シートに所望の架橋を施すことが容易となる。
過熱蒸気処理は、例えば、130℃〜280℃の環境下で20秒から15分間、過熱蒸気(過熱水蒸気ともいう)処理する方法等が挙げられる。過熱蒸気処理は、例えば、過熱蒸気雰囲気下にシート状物を配し、シート状物に過熱蒸気を接触させる方法が挙げられる。また、水架橋させる方法としては、湿度60%以上の環境下、40℃〜70℃の温度域で1日〜1か月養生させて水架橋させる方法が挙げられ、具体的には、40℃90%の恒温恒湿槽の環境下において養生させて水架橋させる方法が挙げられる。
樹脂シートの架橋処理は、樹脂組成物を製膜したものに施してもよく、後述する積層シートにした後に施してもよい。
本実施形態に係る樹脂シートは、ISO5660発熱性試験法に基づき測定した発熱量が、7.2MJ/m以下である。ISO5660発熱性試験法とは、樹脂シートを、デンプン系糊を固形分60g/m以上で準不燃石膏ボード基材に積層した状態で10分間の総発熱量を測定する方法である。上記発熱量は、火災発生時の建築材料の燃え難さを示す指標として有用であり、数値は低いほど燃え難い。この観点から、上記発熱量は、7.0MJ/m以下が好ましく、6.0MJ/m以下がより好ましい。
[積層シート]
本実施形態に係る積層シートは、基材と、基材上に設けられた上記樹脂シートと、を備える。当該積層シートは、樹脂シートを、基材上にラミネートして得ることができる。ラミネートの方法としては、特に限定されるものではないが、樹脂シートと基材とを、熱プレス機等を用いて熱圧着を行う方法、過熱蒸気を用いて圧着を行う方法等が挙げられる。過熱蒸気を用いて圧着を行う方法によれば、過熱蒸気によってシート状物の表面の溶融状態を保ったまま基材上へラミネートすることが可能となり、そのレベリング効果によって、密着させる基材の表面の凹凸が樹脂シートに転写されることを抑制することができる。また、樹脂シートがシラン架橋性樹脂を含む場合は、過熱蒸気によってシラン架橋性樹脂を効率よく架橋させることができる。
上記基材としては、従来ある壁紙用裏打紙等の紙基材として通常使用されているものであれば特に限定されずに使用可能である。このような基材としては、例えば、スルファミン酸グアニジン、リン酸グアニジン等の水溶性難燃剤を含浸させたパルプ主体の難燃紙、又は炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機質剤を混抄した無機質紙などが挙げられる。これらの秤量は、50〜300g/mであってもよく、60〜160g/mであってもよい。
また、基材と上記樹脂シートとの接着性を向上させる観点から、基材の表面で樹脂シートを設ける側の面には、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理等の易接着処理を施してもよく、アクリル−ブチル共重合体、イソシアネートとポリオールとからなるポリウレタン等から形成される易接着処理層を設けてもよい。
[発泡壁紙]
本実施形態に係る発泡壁紙は、基材と、基材上に設けられた発泡樹脂層と、を備える。このような発泡壁紙は、例えば、発泡剤を含む場合の上述した樹脂シートを、基材上にラミネートして積層シートを得る工程と、上記樹脂シートに含まれる発泡剤を発泡させることにより、発泡樹脂層を形成する工程と、を備える、製造方法によって得ることができる。
発泡剤の発泡は、樹脂シートを加熱することにより行うことができる。加熱条件としては、当該樹脂シートを構成する成分によって適宜設定することができ、特に制限はないが、160℃〜280℃で10秒〜120秒間加熱することが好ましく、220℃〜240℃で20秒〜40秒間加熱することがより好ましく、220℃で40秒間加熱することが更に好ましい。
他の実施形態として、発泡壁紙は、上記積層シートにおける樹脂シートに含まれる発泡剤を発泡させることにより、発泡樹脂層を形成する工程を備える方法によっても得ることができる。
さらに、本実施形態に係る発泡壁紙において、発泡樹脂層の基材とは反対側の面は凹凸形状を有していてもよい。凹凸形状を設ける方法としては、特に制限されるものではないが、例えば、加熱発泡の際の熱を利用して、表面側を冷却エンボスロールとし、基材側をゴムロールとしておき、2つのトールでニップし(エンボス加工し)冷却することにより、表面に凹凸形状を形成する方法等が挙げられる。凹凸形状としては、特に制限されるものではないが、例えば、木目板導管溝、石板表面凹凸、布表面テクスチャア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等が挙げられ、目的とする意匠により適宜選択可能である。
本実施形態に係る発泡壁紙は、模様層及び表面保護層を設けてもよい。模様層及び表面保護層は、公知の材料を使用して適宜設けることができる。本発明の目的が達成できるのであれば、模様層及び表面保護層を設けなくともよい。模様層及び表面保護層は、グラビアコーティング等の公知の印刷技術を用いて設けることが可能である。なお、模様層及び表面保護層は、発泡剤を発泡させる前に設けることができる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[発泡壁紙の作製]
(実施例1〜9、比較例1〜3)
同方向噛み合い型2軸押出機の先端にギアポンプとTダイを取り付けたキャスト製膜機(スクリュー径(D)40mm、L/D(スクリュー長をスクリュー径で除したもの)=32)を用い、押出ラミネーション機を用いて、厚み100μmで製膜し、エアギャップ110mmでニップロールにより冷却固化し、表1に示される組成(表1中、数値は質量部を示す)を有するシート状物を押出製膜した。押出条件は、シリンダーからダイに渡るすべてのゾーンで設定温度130℃とした。
なお、実施例1〜8及び比較例1〜3の樹脂シートはそれぞれ、加速電圧200kV、照射線量20kGyで電子線の照射をし、樹脂分を架橋させた。実施例9の樹脂シートは温度40℃、相対湿度20%RHで72時間養生し、樹脂分を架橋させた。
次に裏打紙(KJ特種紙製、WK−6651HT、重量65g/cm)上に、実施例及び比較例で製膜した樹脂シートを置き、110℃で加熱した熱プレス機でプレス圧力5MPaの条件で2分間プレスして熱融着させ、積層シートを得た。
得られた積層シートの樹脂シート側表面にコロナ放電処理を施した後、グラビア印刷機により水性インキ(大日精化工業株式会社製、ハイドリックWP)を用いて絵柄模様を印刷し、グラビアコーティング機(倉敷紡績株式会社製、GP−10)を用いて艶消し表面コート剤(日信化学工業株式会社製、HD−065)を塗工した。次にそれぞれの積層シートを220℃のオーブンで25秒間加熱し、発泡剤を発泡させて、発泡壁紙を作製した。
Figure 2017025151
表1に示される各成分は以下の材料を用いた。
[低密度ポリエチレン]
樹脂A:ペトロセン209(東ソー株式会社製、商品名、密度=0.924g/cm
樹脂B:ニポロン−LM70(東ソー株式会社製、商品名、密度=0.936g/cm
[超低密度ポリエチレン]
樹脂C:カーネル KJ−640T(日本ポリエチレン株式会社製、商品名、密度=0.880g/cm
[シラン架橋性樹脂]
樹脂D:リンクロン XCF710N(三菱化学株式会社製、商品名、低密度ポリエチレンベース)
[炭酸カルシウム]
充填剤A:ソフトン1200(備北粉化工業株式会社製、商品名)
[二酸化チタン]
充填剤B:タイペークCR−60(石原産業株式会社製、商品名)
[水酸化アルミニウム]
充填剤C:B−303(巴工業株式会社製、商品名、平均粒径4.3μm)
発泡剤:ビニホールAC#3C−K2(永和化成工業株式会社製、商品名、アゾジカルボンアミド系発泡剤)
発泡助剤A:Zn−St(日東化成工業株式会社製、商品名、ステアリン酸亜鉛)
発泡助剤B:ZS−6(日東化成工業株式会社製、商品名、12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛)
発泡助剤C:ZS−6とホスファチジルコリンを混合し、リン脂質としてホスファチジルコリンを有する12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛を製造した。
安定剤:ノイライザーP(日本合成化学工業株式会社製、商品名)
シラン架橋助剤:リンクロンLZ013(三菱化学株式会社製、商品名、ポリエチレンベース)
[評価]
下記の方法に従い、印刷適性、製膜安定性、耐傷性及び総発熱量を評価した。
(印刷適性)
上記水性インキを用いて絵柄模様を印刷し、乾燥させた積層シート目視確認し、以下の基準に基づきインキのにじみ(印刷適性)を評価した。A、B又はCであれば、印刷適性が良好なものと評価できる。結果を表2に示す。
A:インキのにじみが全く確認されない。
B:インキのにじみがほとんど確認されない。
C:インキのにじみがわずかに確認される。
D:インキのにじみが明らかに確認される。
(製膜安定性)
押出製膜して得られた樹脂シートの幅方向の同一位置において、製膜方向に向かって100mm間隔で30点の厚み測定を行い、最大値と最小値の差を厚みバラツキとして求めた。さらに、樹脂シートの金属ロール側表面を目視観察し、面荒れ状態の観察を行った。以下の基準に基づき、製膜安定性を評価した。A、B又はCであれば、製膜安定性が十分なものと評価できる。結果を表2に示す。
A:厚みバラツキが5μm以下で、且つ面荒れが確認されない。
B:厚みバラツキが5μm以下で、若干の面荒れが確認される。
C:厚みバラツキが5μmより大きく8μm以下で、若干の面荒れが確認される。
D:厚みバラツキが8μmより大きく、明らかな面荒れが確認される。
(耐傷性)
コインスクラッチ試験機を用いて、耐傷性の評価を行った。具体的には、水平な面に発泡壁紙を置き、10円硬貨を用いて45°の角度で発泡壁紙を荷重100gで引っ掻き、表面状態を観察した。以下の基準に基づき、耐傷性を評価した。A、B又はCであれば、耐傷性が十分なものと評価できる。結果を表2に示す。
A:表面に傷がない。
B:表面にわずかに傷がある。
C:ルーペでは発泡層まで傷が達しているものの、目視では傷はわずかである。
D:大きく傷ついている。
(総発熱量)
ISO5660−1に定められた測定方法に基づき、酸素消費法と呼ばれる原理を用いて発熱量を求めた。より具体的には、10cm×10cmにカットした評価用シートの裏面に5gの接着剤(ルーアマイルド ヤヨイ化学株式会社製)を塗布し、同じく10cm×10cmにカットした石膏ボード上に接着剤面を介して貼り合わせ、室温環境下で1週間養生させてサンプルを作製した。試験装置は、株式会社東洋精機製作所製のコーンカロリーメーターC4型を用いて行った。酸素消費量をモニタリング(10分間)し、発熱量に換算した。測定は1条件について5回行い、総発熱量の最大値をその条件における結果とした。なお、これは、燃焼によって発生する熱量は、燃焼する物質の重量あたりで考えると物質ごとに異なるが、消費される酸素の重量で考えると、物質の種類によらずほぼ一定の数値(酸素1kgあたり13.1×10kJ)になるという原理に基づく。結果を表2に示す。
Figure 2017025151
実施例1〜9によれば、樹脂組成物中に脂肪酸金属塩を含有し、更に樹脂分と充填剤とを本発明に係る割合で含有させることにより、十分な製膜安定性が得られ、耐傷性及び防火性能に優れた樹脂シートを提供できる。

Claims (13)

  1. 基材と、該基材上に設けられた樹脂層と、を備える壁紙の前記樹脂層を形成するための樹脂シートであって、
    樹脂分100質量部と、充填剤100〜350質量部と、脂肪酸金属塩と、を含む樹脂組成物をTダイ押出製膜して得られるものであり、
    ISO5660発熱性試験法に基づき測定した発熱量が、7.2MJ/m以下である、樹脂シート。
  2. 前記脂肪酸金属塩の金属が、マグネシウム、カルシウム及び亜鉛からなる群より選択される少なくとも一種である、請求項1に記載の樹脂シート。
  3. 前記脂肪酸金属塩が、12−ヒドロキシステアリン酸金属塩である、請求項1又は2に記載の樹脂シート。
  4. 前記脂肪酸金属塩が、脂質膜を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂シート。
  5. 前記充填剤が、水和金属化合物及び炭酸カルシウムを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂シート。
  6. 前記樹脂分が、オレフィン系樹脂を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂シート。
  7. 前記オレフィン系樹脂が、密度0.91g/cm以上0.94g/cm以下の低密度ポリエチレンを含む、請求項6に記載の樹脂シート。
  8. 前記オレフィン系樹脂が、密度0.88g/cm以上0.91g/cm未満の超低密度ポリエチレンを更に含む、請求項7に記載の樹脂シート。
  9. 架橋処理が施されている、請求項1〜8のいずれか一項に記載の樹脂シート。
  10. 前記架橋処理が、電子線照射によりなされる、請求項9に記載の樹脂シート。
  11. 前記樹脂分が、シラン架橋性樹脂を含み、前記架橋処理が、過熱水蒸気処理又は水架橋処理によりなされる、請求項9に記載の樹脂シート。
  12. 基材と、該基材上に設けられた請求項1〜11のいずれか一項に記載の樹脂シートと、を備える、積層シート。
  13. 基材と、該基材上に設けられた発泡樹脂層と、を備える発泡壁紙であって、
    請求項12に記載の積層シートにおける前記樹脂シートが、発泡剤を更に含み、前記発泡剤を発泡させて得られる、発泡壁紙。
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