JP6582504B2 - 樹脂組成物、積層シート、積層体、発泡壁紙及び発泡壁紙の製造方法 - Google Patents
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Description
本実施形態に係る樹脂組成物は、基材と、該基材上に設けられた発泡樹脂層と、を備える発泡壁紙の発泡樹脂層を形成するための樹脂組成物であって、充填剤と、発泡剤と、樹脂分と、シラン架橋助剤とを含む。
充填剤としては、無機充填剤及び有機充填剤が挙げられる。無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、二酸化チタン等が挙げられ、これらは1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。有機充填剤としては、例えば、メラミンシアヌレート、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、木粉、セルロース及びその誘導体が挙げられ、これらは1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
本実施形態に係る発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド等のアゾ系発泡剤、p−トルエンスルホニルヒドラジド等のヒドラジド系発泡剤、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ系発泡剤などが挙げられ、これらは1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。発泡剤の含有量は、特に制限されないが、その合計量が、樹脂組成物全量を基準として2〜30質量%であることが好ましい。発泡剤の含有量が上記範囲であると、発泡後に発泡剤が発泡壁紙内に残ることで発生する黄変を抑え、また圧縮回復性及び触感の面において良好な発泡壁紙を製造することができる。
樹脂分は、エチレン単独重合体又はエチレンと他のオレフィンとの共重合体、及びシラン架橋性樹脂を含有する。
本実施形態に係るシラン架橋助剤は、スルホン酸化合物を含む。スルホン酸化合物としては、フルオロスルホン酸等の無機スルホン酸、メチルスルホン酸等のアルキル基を有するスルホン酸、及び、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸等の芳香族スルホン酸などの有機スルホン酸、並びに、これらの塩が挙げられる。中でも、ブリードアウト防止の観点から、芳香族スルホン酸又はその塩が好ましく、ブリードアウト防止に加えて更に樹脂との相溶性が向上する点で、アルキルベンゼンスルホン酸がより好ましく、ドデシルベンゼンスルホン酸が更に好ましい。
本実施形態に係る積層シートは、基材と、該基材上に設けられた、上記樹脂組成物を架橋(例えば、加熱による架橋又は水架橋等)して得られる樹脂シートと、を備える。樹脂組成物の架橋は、例えば、樹脂組成物を加熱することにより、樹脂組成物に含まれるシラン架橋性樹脂を架橋させることができる。加熱の方法としては、特に制限されないが、例えば、130℃〜280℃の環境下で20秒から15分間、過熱蒸気(過熱水蒸気ともいう)処理する方法等が挙げられる。過熱蒸気処理は、例えば、過熱蒸気雰囲気下にシート状物を配し、シート状物に過熱蒸気を接触させる方法が挙げられる。また、水架橋させる方法としては、湿度60%以上の環境下、40℃〜70℃の温度域で1日〜1か月養生させて水架橋させる方法が挙げられ、具体的には、40℃90%の恒温恒湿槽の環境下において養生させて水架橋させる方法が挙げられる。
上記基材としては、従来ある壁紙用裏打紙等の、紙基材として通常使用されているものであれば特に限定されずに使用可能である。このような基材としては、例えば、スルファミン酸グアニジン、リン酸グアニジン等の水溶性難燃剤を含浸させたパルプ主体の難燃紙、又は炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機質剤を混抄した無機質紙などが挙げられる。これらの秤量は、50〜300g/m2であってもよく、60〜160g/m2であってもよい。
図1は、本発明の一実施形態に係る発泡壁紙の断面図である。本実施形態に係る発泡壁紙10は、基材1上に発泡樹脂層2を有し、発泡樹脂層2の基材1とは反対側の面は、凹凸形状を有する。発泡壁紙10は、発泡樹脂層2上に模様層4及び表面保護層5が更に設けられているが、これらは省略されていてもよい。
[シート状物の作製]
コートハンガータイプのマニュホールドを有するTダイを用いて、スクリュー径(D)65mm、L/D(スクリュー長をスクリュー径で除したもの)=32のバリアタイプスクリューを用い、押出ラミネーション機を用いて、表1に示される組成(表1中、数値は質量部を示す)を有する厚み100μmのシート状物を押出製膜した。押出条件は、シリンダーからダイに渡るすべてのゾーンで設定温度125℃とした。
上記製膜したシート状物を、表2に示される環境(温度40℃、相対湿度90%)下、表2に示される期間(1、2、3、5日)養生させて水架橋を行い、4種の樹脂シートを得た。
基材として壁紙用の裏打紙(株式会社興人製:WK−6651HT(商品名))を用い、これと、上記で得られた樹脂シートとを、熱プレス機を用いて、温度110℃、プレス圧力5MPaの条件で1分間の熱圧着を行い、積層シートを得た。
上記積層シートの樹脂シート側表面にコロナ放電処理を施した後、模様層としてグラビア印刷機により水性インキを用いて織物絵柄を印刷した。
表2に示される環境(温度40℃、相対湿度10%)下、表2に示される期間(5、14日)養生させて水架橋を行い、2種の樹脂シートを得た以外は、実施例1と同様の方法によってシート状物、積層シート及び発泡壁紙を作製した。
表1に示される組成を有する以外は、実施例1と同様の方法によってシート状物を作製し、表2に示される環境(温度40℃、相対湿度90%)下、表2に示される期間(3日)養生させて水架橋を行い、樹脂シートを得た以外は、実施例1と同様の方法によって、積層シート及び発泡壁紙を作製した。
表1に示される組成を有する以外は、実施例1と同様の方法によってシート状物を作製し、表2に示される環境(温度40℃、相対湿度90%)下、表2に示される期間(3日)養生させて水架橋を行い、樹脂シートを得た以外は、実施例1と同様の方法によって、積層シート及び発泡壁紙を作製した。
表1に示される組成を有する以外は、実施例1と同様の方法によってシート状物を作製し、表2に示される環境(温度40℃、相対湿度90%)下、表2に示される期間(3日)養生させて水架橋を行い、樹脂シートを得た以外は、実施例1と同様の方法によって、積層シート及び発泡壁紙を作製した。
表1に示される組成を有する以外は、実施例1と同様の方法によってシート状物、樹脂シート、積層シート及び発泡壁紙を作製した。
表1に示される組成を有する以外は、実施例2と同様の方法によってシート状物、樹脂シート、積層シート及び発泡壁紙を作製した。
表1に示される組成を有する以外は、実施例1と同様の方法によってシート状物、樹脂シート、積層シート及び発泡壁紙を作製した。
表1に示される組成を有する以外は、実施例2と同様の方法によってシート状物、樹脂シート、積層シート及び発泡壁紙を作製した。
[低密度ポリエチレン]
樹脂A:ノバテックLD LC604(日本ポリエチレン株式会社製、商品名、密度=0.918g/cm3)
[超低密度ポリエチレン]
樹脂B:カーネルKJ640T(日本ポリエチレン株式会社製、商品名、密度=0.880g/cm3)
樹脂C:リンクロン XCF710(三菱化学株式会社製、商品名)
充填剤A:ソフトン1000(備北粉化工業株式会社製、商品名)
充填剤B:タイペークCR−60−2(石原産業株式会社製、商品名)
架橋助剤B:リンクロンLZ013(三菱化学株式会社製、商品名、スズ系シラン架橋助剤)
架橋助剤C:ダイヤミッドY(日本化成株式会社製、商品名、脂肪酸アミド系シラン架橋助剤)
実施例及び比較例において作製した発泡壁紙について、以下の項目に示す性能評価を行った。実施例1〜5についての結果を表2に示し、比較例1〜2についての結果を表3に示し、比較例3〜4についての結果を表4に示す。
カミソリ刃で断面出しを行い、マイクロスコープ(株式会社キーエンス製:VHX−600(商品名))にて観察・測長した。
セル状態はカミソリ刃で断面出しを行い、マイクロスコープにて観察・測長するとともに、表面のガス抜けの有無を目視で確認した。なお、セルの大きさに隔たりがあり巨大なセルが見られる場合「セル巨大」、セル形状がある程度均一である場合「セル均一」とした。「セル均一」であれば、気泡状態は良好であるといえる。
Claims (7)
- 基材と、該基材上に設けられた発泡樹脂層と、を備える発泡壁紙の前記発泡樹脂層を形成するための樹脂組成物であって、
充填剤と、発泡剤と、エチレン単独重合体又はエチレンと他のオレフィンとの共重合体及びシラン架橋性樹脂を含有する樹脂分と、シラン架橋助剤と、を含み、
前記シラン架橋助剤がドデシルベンゼンスルホン酸を含む、樹脂組成物。 - 基材と、該基材上に設けられた、請求項1に記載の樹脂組成物を架橋して得られる樹脂シートと、を備える積層シート。
- 基材と、該基材上に設けられた発泡樹脂層と、を備える発泡壁紙であって、
請求項2に記載の積層シートにおける前記樹脂シートに含まれる前記発泡剤を発泡させて得られる、発泡壁紙。 - 基材と、該基材上に設けられた発泡樹脂層と、を備える発泡壁紙の製造方法であって、
請求項1に記載の樹脂組成物を架橋して得られる樹脂シートを、基材上にラミネートして積層シートを得る工程と、
前記積層シートにおける前記樹脂シートに含まれる前記発泡剤を発泡させることにより、発泡樹脂層を形成する工程と、
を備える、発泡壁紙の製造方法。 - 基材と、該基材上に設けられた、請求項1に記載の樹脂組成物から形成される樹脂組成物層と、を備える積層体。
- 基材と、該基材上に設けられた発泡樹脂層と、を備える発泡壁紙の製造方法であって、
請求項5に記載の積層体における前記樹脂組成物層を架橋させて、前記基材上に、架橋された樹脂組成物層からなる樹脂シートが形成された積層シートを得る工程と、
前記積層シートにおける前記樹脂シートに含まれる前記発泡剤を発泡させることにより、発泡樹脂層を形成する工程と、
を備える、発泡壁紙の製造方法。 - 基材と、該基材上に設けられた発泡樹脂層と、を備える発泡壁紙の製造方法であって、
請求項1に記載の樹脂組成物のシート状物をラミネートしながら、前記樹脂組成物を架橋させて、前記基材上に、架橋されたシート状物からなる樹脂シートが形成された積層シートを得る工程と、
前記積層シートにおける前記樹脂シートに含まれる前記発泡剤を発泡させることにより、発泡樹脂層を形成する工程と、
を備える、発泡壁紙の製造方法。
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