JP6690274B2 - 積層シート及び発泡壁紙の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、積層シート及び発泡壁紙の製造方法に関する。より詳細には、本発明は、戸建て住宅、集合住宅、店舗、事務所ビル等の建築物の壁面装飾などに利用可能な発泡壁紙の製造方法、及びそれに用いられる積層シートに関する。
建築物の壁面装飾等に用いられる壁紙としては、紙基材に塩化ビニル樹脂の樹脂層を設けた塩化ビニル壁紙が広く利用されている。近年、環境に配慮し、発泡させたポリオレフィン系樹脂から形成される発泡樹脂層を備える発泡壁紙が提案されている(例えば、下記特許文献1及び2を参照)。
このような発泡壁紙の製造方法として以下の方法が知られている。まず、基材上に、発泡剤が含まれる樹脂組成物を溶融押出コートし積層するか、別途Tダイ押出法によりシーティングしておき、後からドライラミネート又は熱ラミネートにて基材に貼り合わせるかして、基材上に発泡剤を含有する樹脂層が設けられた積層体を得る。次に、印刷等によって樹脂層の表面に絵柄部を設けた積層シートを得る。次に、積層シートにおける樹脂層に含まれる発泡剤を分解・発泡させて発泡樹脂層を形成する。また、発泡剤を分解・発泡させた後、必要に応じてエンボス加工を施し、表面に凹凸形状を設ける場合もある。
特開平6−47875号公報 特開2001−347611号公報
上記製造方法により発泡壁紙を製造する場合、発泡樹脂層を形成したときに、絵柄部にひび割れや色調の変化等が生じて外観が損なわれることがある。このような問題は、樹脂層の発泡倍率を高めるほど顕在化しやすい。また、エンボス加工によっても、絵柄部にひび割れや色調の変化等が生じることがある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、十分な発泡倍率で形成された発泡樹脂層上に良好な外観を有する絵柄部を備える発泡壁紙を得ることができ、エンボス加工が更に施される場合であっても絵柄部の外観を十分維持することができる積層シート、及び当該積層シートを用いた発泡壁紙の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、基材と、該基材上に設けられた、融点が70〜120℃である熱可塑性樹脂及び発泡剤を含む樹脂層と、該樹脂層上に設けられた、絵柄模様を構成する絵柄部と、を備え、絵柄部が、50〜100℃のTgを有するバインダー樹脂と、絵柄部全量基準で10〜15質量%の発泡抑制剤と、を含有する、積層シートを提供する。
本発明の積層シートによれば、十分な発泡倍率で形成された発泡樹脂層上に良好な外観を有する絵柄部を備える発泡壁紙を製造することができる。また、本発明の積層シートは、発泡剤の発泡後にエンボス加工が更に施される場合であっても絵柄部の外観を十分維持することができる。
このような効果が奏される理由について本発明者らは以下のとおり考えている。まず、絵柄部にひび割れや色調の変化等が生じる理由として、発泡剤を発泡させるための加熱によって樹脂層と絵柄部との間に歪みが生じ、更に樹脂層の絵柄部と隣接する表面近傍で発生した発泡ガスから形成されるセルの成長によって歪みが更に増大し、絵柄部の面状態に悪影響を与えることが考えられる。これに対し、本発明の積層シートは、特定の融点を有する熱可塑性樹脂が含まれる樹脂層と、特定のTgを有するバインダー樹脂及び特定量の発泡抑制剤を含む絵柄部とを組み合わせることにより、加熱による樹脂層と絵柄部との間の歪みを抑制できるとともに、樹脂層の発泡倍率を著しく損なうことなく樹脂層の絵柄部と隣接する表面近傍での発泡を効果的に抑制することができることで、上記悪影響を抑制できたと考えられる。また、本発明の積層シートは、絵柄部が特定のTgを有するバインダー樹脂を含むことにより、エンボス加工等の機械的負荷を受けた場合でも絵柄部にひび割れや色調の変化等が生じにくくなっているものと考えられる。
上記積層シートは、絵柄部上に、更に表面保護層を備えることが好ましい。絵柄部上に更に表面保護層を設けることにより、絵柄部のひび割れをより効果的に抑えることができる。
また、本発明は、基材と、該基材上に設けられた発泡樹脂層と、該発泡樹脂層上に設けられた、絵柄模様を構成する絵柄部と、を備える発泡壁紙の製造方法であって、上記本発明に係る積層シートを用意し、該積層シートの樹脂層に含まれる発泡剤を発泡させることにより、発泡樹脂層を形成する工程を備える、発泡壁紙の製造方法を提供する。
本発明によれば、十分な発泡倍率で形成された発泡樹脂層上に良好な外観を有する絵柄部を備える発泡壁紙を得ることができ、エンボス加工が更に施される場合であっても絵柄部の外観を十分維持することができる積層シート、及び当該積層シートを用いた発泡壁紙の製造方法を提供することができる。
[積層シート]
本実施形態に係る積層シートは、基材と、該基材上に設けられた樹脂層と、該樹脂層上に設けられた絵柄部と、を備える。
上記基材としては、従来ある壁紙用裏打紙等の紙基材として通常使用されているものであれば特に限定されずに使用可能である。このような基材としては、例えば、スルファミル酸グアニジン、リン酸グアニジン等の水溶性難燃剤を含浸させたパルプ主体の難燃紙、又は炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機質剤を混抄した無機質紙などが挙げられる。これらの秤量は、50〜300g/mであってもよく、60〜160g/mであってもよい。
上記樹脂層は、融点が70〜120℃である熱可塑性樹脂及び発泡剤を含む。
熱可塑性樹脂は、上述した融点を有するものであれば特に制限されないが、環境への影響をより小さくする観点から、非塩素系熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。非塩素系熱可塑性樹脂としては、例えば、エチレン単独重合体、エチレンと他のオレフィンとの共重合体、ポリオレフィン樹脂(ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等)、スチレン系樹脂(ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂等)、エチレンコポリマー(エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体等)などが挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
中でも、本実施形態に係る非塩素系熱可塑性樹脂は、無極性であることが好ましい。このような無極性の非塩素系熱可塑性樹脂を用いることで、後述する充填剤を添加した際の増粘効果を最小限に抑えることができ、高品質の壁紙を安定して生産することができる。また、このような無極性の非塩素系熱可塑性樹脂は、エチレン単独重合体又はエチレンと他のオレフィンとの共重合体を含むことがより好ましい。エチレン単独重合体又はエチレンと他のオレフィンとの共重合体を用いることにより、ベース樹脂の表面エネルギーが大きいためにブリードアウトの低減による親インク性の向上効果がより大きく発揮される。
エチレン単独重合体としては、例えば、高圧法で合成された低密度ポリエチレン、中低圧法で合成されたコモノマーを含まない高密度ポリエチレン等が挙げられる。中でも、低密度ポリエチレンが好ましい。
低密度ポリエチレンは、例えば、密度が0.91g/cm以上0.94g/cm以下の範囲にあるものが挙げられる。低密度ポリエチレンの密度は、好ましくは0.91g/cm以上0.93g/cm以下であり、より好ましくは0.92g/cm以上0.93g/cm以下である。低密度ポリエチレンの分子量、メルトフローレート(MFR)等については特に制限されないが、MFRについては3〜150のものが好ましく、4〜100のものがより好ましい。MFRが3以上であれば、成形時に生じるせん断発熱を抑えることができ、加工温度の制御が容易になり、成形中に発泡剤が分解してしまうという可能性が少ない。一方、MFRが150以下であれば、製造された発泡壁紙の機械強度が保たれ、施工性及び耐久性に優れる。
低密度ポリエチレンとしては、例えば、ノバテックLD LC802A(融点:106℃)、ノバテックLD LC604(融点:106℃)(以上、日本ポリエチレン株式会社製)、宇部ポリエチレン J2516(融点:108℃)(宇部丸善ポリエチレン株式会社製)等の市販品を用いることができる。
エチレンと他のオレフィンとの共重合体は、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、コモノマーとの共重合で得られた高密度ポリエチレン等が挙げられ、これらは1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。中でも、超低密度ポリエチレンが好ましい。
超低密度ポリエチレンとしては、例えば、密度が0.88g/cm以上0.91g/cm未満の範囲にあるものが挙げられる。超低密度ポリエチレンの密度は、好ましくは0.88g/cm以上0.90g/cm以下であり、より好ましくは0.89g/cm以上0.90g/cm以下である。超低密度ポリエチレンの分子量、MFR等については特に制限されないが、MFRについては3〜150のものか好ましく、4〜100のものがより好ましい。MFRが3以上であれば、成形時に生じるせん断発熱を抑えることができ、加工温度の制御が容易になり、成形中に発泡剤が分解してしまうという可能性が少ない。一方、MFRが150以下であれば、製造された発泡壁紙の機械強度が保たれ、施工性及び耐久性に優れる。
超低密度ポリエチレンとしては、タフマー DF140(融点:93℃)、DF940(融点:94℃)(以上、いずれも三井化学株式会社製)、エクセレンFX CX5508(融点:79℃)(住友化学株式会社製)、エンゲージ 8400/8407(融点:70℃)(ダウ・ケミカル社製)、エボリューP SP90100(融点:94℃)(株式会社プライムポリマー製)等の市販品を用いることができる。
また、上記熱可塑性樹脂は、シラン架橋性樹脂を含んでいてもよい。シラン架橋性樹脂としては、加水分解性シリル基を有する樹脂が挙げられ、例えばシラン架橋性ポリオレフィン系樹脂等を用いることができる。シラン架橋性ポリオレフィン系樹脂としては、母体としてのポリオレフィン系重合体に加水分解性シリル基を主として側鎖に導入した樹脂が挙げられる。このような樹脂としては、低密度ポリエチレン系、高密度ポリエチレン系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系、ポリプロピレン系等の重合体に加水分解性シリル基を主として側鎖に導入した樹脂が挙げられる。架橋は、置換シリル基の加水分解により行われる。なお、このシリル基が末端に位置するポリオレフィン系樹脂が含まれていてもよい。
シラン架橋性ポリオレフィン系樹脂は、ポリオレフィン系重合体のモノマーとエチレン性不飽和シラン化合物の容器中でランダム共重合させる方法、又はポリオレフィン系重合体の溶融物に過酸化物を用いてエチレン性不飽和シラン化合物をグラフト共重合する方法等により得ることができる。ここで、母体としてのポリオレフィン系重合体は、上記の樹脂のうちの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。さらに、母体のポリオレフィン系樹脂は、樹脂同士の混合又は分解が許容される程度であれば、上記ポリオレフィン系樹脂と、上記ポリオレフィン系樹脂とは異なる樹脂とを併用してもよい。混合又は分散の程度は、使用する押出機の種類により大差があり、また適宜の相溶化剤も使用できるので、組合せ樹脂は一概に区別はできないが、同種の樹脂であることが好ましい。シラン架橋性樹脂として、具体的には、三菱化学株式会社製「リンクロン」等が挙げられる。
熱可塑性樹脂の融点は、良好な発泡倍率と、加熱時に絵柄部との歪みを小さくすることとを両立する観点から、70〜120℃であるが、後述する絵柄部に含まれるバインダー樹脂のガラス転移温度(Tg)と同程度とすることで絵柄部との歪みを更に抑制する観点から、70〜110℃であることが好ましく、80〜105℃であることがより好ましい。熱可塑性樹脂の融点は、例えば、示差走査熱量測定(DSC)によって確認することができる。
樹脂層における融点が70〜120℃である熱可塑性樹脂の含有量は、樹脂層全量を基準として、20〜80質量%であることが好ましく、40〜75質量%であることがより好ましく、50〜70質量%であることが更に好ましい。なお、熱可塑性樹脂は架橋されていてもよい。
本実施形態に係る発泡剤としては、例えば、熱分解型発泡剤を用いることができる。熱分解型発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド(ADCA)、アゾブチロニトリル、ジアゾアミノベンゼン等のアゾ系発泡剤、p−トルエンスルホニルヒドラジド、4,4’−オキシベンゾスルホニルヒドラジド(OBSH)等のヒドラジド系発泡剤、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ系発泡剤などが挙げられる。これらの中でも、毒性が少なく、発泡開始温度の調節が容易で適用範囲の広いADCAが好ましい。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
発泡剤の含有量は、特に制限されないが、その合計量が、樹脂層全量を基準として、1〜20質量%であることが好ましい。発泡剤の含有量が上記範囲であると、過剰なガスの発生による表面からのガス抜けが抑制されている発泡樹脂層を得ることができる。
また、本実施形態に係る樹脂層には、必要に応じて顔料等を添加して着色してもよい。顔料の添加による着色は、透明であってもよいし、半透明であってもよいし、不透明であってもよい。顔料としては、例えば、酸化鉄、カーボンブラック等の無機顔料、又はアニリンブラック、フタロシアニンブルー等の有機顔料などを挙げることができる。
顔料の添加量としては、樹脂層全量を基準として、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜30質量%である。
また、樹脂層には、必要に応じて、充填剤、難燃剤、セル調整剤、安定剤、滑剤、発泡助剤等の周知の添加剤を用いることができる。
充填剤としては、無機充填剤及び有機充填剤が挙げられる。無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、二酸化チタン等が挙げられ、これらは1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。有機充填剤としては、例えば、メラミンシアヌレート、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、木粉、セルロース及びその誘導体が挙げられ、これらは1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
充填剤の含有量は、特に制限されないが、その合計量が、樹脂層全量を基準として10〜60質量%であることが好ましい。充填剤を添加する理由としては、発泡壁紙の隠蔽性の確保、単位面積当たりの燃焼カロリーの低減、嵩増しによる製造コストの低減等が挙げられるが、充填剤(特には無機充填剤)の含有量が樹脂層全量を基準として20〜40質量%であると、発泡壁紙としての良好な隠蔽性を確保しながら燃焼カロリーが低く、製造コストの手頃な発泡壁紙を製造することができる。
難燃剤としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の金属酸化物系難燃剤、リン酸エステル系等のリン系難燃剤、テトラブロモビスフェノールA等の臭素系難燃剤などが挙げられる。
セル調整剤としては、例えば、亜リン酸エステル系化合物等が挙げられる。セル調整剤として、アデカスタブHP−10(株式会社ADEKA製)、Irgafos38(B.A.S.F.Japan製)、JPP−2000(城北化学製)等の市販品を用いることができる。
安定剤としては、例えば、フェノール/アミン系酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤等のラジカル捕捉剤、リン系、イオウ系等の過酸化物分解剤、ベンゾトリアゾール系、ヒドロキシフェニルトリアジン系、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤などが挙げられる。
滑剤としては、例えば、ステアリン酸、ラウリン酸等の脂肪酸系、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等の脂肪酸アミド系、ステアリルアルコール、ソルビトール、それらの脂肪酸モノ/ジエステル等のアルコール/エステル系、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸カルシウム、オクチル酸亜鉛等の脂肪酸金属塩系の滑剤などが挙げられる。
発泡助剤としては、例えば、ステアリン酸、ラウリン酸等のカルボン酸、ラウリン酸亜鉛等のカルボン酸金属塩などの脂肪族系化合物、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等の脂肪酸アミド系化合物、ビウレア等の尿素系化合物、アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジド系化合物などの非金属系化合物のほか、塩化亜鉛等の金属塩化物、酸化亜鉛等の金属酸化物などの有機/無機金属系化合物などが挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
樹脂層の厚みは、特に限定されるものではないが、例えば、発泡前の樹脂層の厚みとして、60〜120μmであることが好ましく、70〜100μmであることがより好ましい。樹脂層の厚みを60μm以上とすることで、発泡後の発泡樹脂層の厚みが十分に得られることで不陸隠蔽性を十分に確保することができ、120μm以下とすることで、樹脂成分の重量を抑えることができ壁紙に必要な準不燃認定を取得しやすくなる。
上記絵柄部は、上述した樹脂層上に設けられた絵柄模様を構成するものであって、50〜100℃のTgを有するバインダー樹脂と、絵柄部全量基準で10〜15質量%の発泡抑制剤と、を含有する。
バインダー樹脂としては、例えば、酢酸ビニル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、これらの混合物等が挙げられる。これらの中でも、取り扱い性に優れるアクリル系樹脂及び酢酸ビニル系樹脂が好ましい。
バインダー樹脂のTgを上記範囲とすることにより、樹脂層と絵柄部との間の歪みを抑制できるとともに、樹脂層の表面近傍において発泡抑制剤を効果的に働かせることができ、樹脂層の発泡性が著しく損なわれることを抑制することができる。また、バインダー樹脂のTgを50℃以上とすることにより、乾燥後のタック切れを良好に保つことができ、その後の工程でのハンドリング性が向上する。さらに、バインダー樹脂のTgを50℃以上とすることにより、絵柄部上に表面保護層を備えていない場合であっても、発泡壁紙製造後のロールの巻き締りや塩ビレザー等との長期接触によるブロッキングを抑制することができる。一方、バインダー樹脂のTgを100℃以下とすることにより、塗膜としての柔軟性を維持することができ、エンボス加工時、捲き取り時、及び発泡壁紙の施工時にかかる応力による膜割れ等を抑制することができる。さらに、上述した熱可塑性樹脂の融点とバインダー樹脂のTgとを同程度とすることで樹脂層と絵柄部との間の歪みをより一層抑制する観点から、バインダー樹脂のTgは、60〜90℃であることが好ましく、60〜80℃であることがより好ましい。バインダー樹脂のTgは、例えば、熱機械分析(TMA)による力学的特性の測定によって確認することができる。
絵柄部における50〜100℃のTgを有するバインダー樹脂の含有量は、絵柄部全量を基準として、75〜95質量%であることが好ましく、85〜90質量%であることがより好ましい。
発泡抑制剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール等のトリアゾール系発泡抑制剤、トリエタノールアミン等のアミノアルコール系発泡抑制剤などが挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
発泡抑制剤の含有量は、その合計量が、絵柄部全量を基準として、10〜15質量%である。発泡抑制剤の含有量を上記の範囲とすることにより、樹脂層中心部の発泡剤の分解には影響を与えることなく樹脂層の表面近傍での発泡剤の分解を抑制することができるため、絵柄部の色調変化やひび割れを抑制しつつ、所望の発泡倍率を有する発泡樹脂層を得ることができる。
本実施形態に係る絵柄部には、必要に応じて顔料等を添加して着色してもよい。顔料は、上記樹脂層に添加し得るものと同様のものを用いることができる。顔料の含有量としては、絵柄部全量を基準として、5〜50質量%であることが好ましい。
また、本実施形態に係る絵柄部には、必要に応じて光安定剤等の周知の添加剤を用いることができる。
光安定剤としては、例えば、TINUVIN234(B.A.S.F.Japan製)、LA−29(株式会社ADEKA製)等のベンゾトリアゾール系UVA、TINUVIN1577ED(B.A.S.F.Japan製)、Sumisorb400(住友化学株式会社製)等のベンゾエート系UVAなどが挙げられる。
絵柄部によって構成される絵柄模様は特に限定されず、所望の色、所望の形状、これらの組合せとすることができる。例えば、絵柄模様が単色のベタ柄である場合には、絵柄部は樹脂層の全面上に設けられた連続層であってもよく、絵柄模様が複雑な場合には、色や形状の異なる複数の層であってもよい。
絵柄部が樹脂層の全面上に設けられた連続層である場合、発泡抑制剤による作用を樹脂層に対してより均一に作用させることができ、特に単色のベタ柄などでは色調の変化を有効に抑制することが可能となる。
絵柄部の厚みは、特に限定されるものではないが、例えば0.5〜2.0μmとすることができる。絵柄部の厚みを0.5μm以上とすることにより、発泡後の発泡樹脂層が絵柄部を突き破って色調の変化が起こることを抑制することができ、2.0μm以下とすることにより、意匠性を損なわずに原材料費の増大を抑え、廉価な壁紙を作製することができる。上記の厚みを備える絵柄部を形成するための、後述するインクの使用量としては、好適には0.3〜1.5g/m(乾燥後重量)とすることができる。
また、本実施形態に係る積層シートは、必要に応じて上記絵柄部上に、更に表面保護層を備えていてもよい。表面保護層は、公知の材料を使用して適宜設けることができる。このような材料としては、例えば、水系アクリルエマルション、水系酢酸ビニル系エマルション等が挙げられる。
本実施形態に係る積層シートは、例えば以下に示す樹脂シート形成工程、積層体形成工程及び積層シート形成工程を経ることによって製造することができる。
<樹脂シート形成工程>
樹脂シート形成工程は、樹脂層に含まれる上述した各成分を含む樹脂組成物を、押出成形することにより、樹脂シートを形成する工程である。
押出成形の方法としては、例えば、Tダイ押出法、Tダイ押出同時ラミネーション法、Tダイ押出タンデムラミネーション法、円形ダイ押出法、円形ダイインフレーション押出法等の押出成形が挙げられる。
樹脂シートは、押出成形以外に、射出成形、プレス成形、ブロー成形、カレンダ成形、コーティング成形、キャスト成形、ディッピング成形、真空成形、トランスファ成形等の公知の成形方法によっても製造することができる。
樹脂組成物は、各成分を押出機で溶融・混練・分散させた後に、適宜ペレット化したものを用いることができる。押出機は単軸押出機でも2軸押出機でもよいが、生産性や品質への影響を考慮した場合、2軸押出機が望ましい。
押出成形の条件としては、押出温度100〜160℃、押出圧力2〜50MPaが挙げられる。発泡剤の分解を抑制しつつ熱可塑性樹脂の融点以上とする観点から、押出温度の下限は、熱可塑性樹脂の融点以上が好ましく、110℃以上がより好ましく、120℃以上がより好ましく、押出温度の上限は、150℃以下が好ましく、140℃以下がより好ましい。また、押出安定性の観点から、押出圧力は、3〜40MPaが好ましく、3〜30MPaがより好ましい。
樹脂シートの厚みは、用途に応じて適宜設定することができるが、例えば、発泡壁紙用途であれば50〜200μmとすることができる。
樹脂シートは、上述した樹脂シート形成工程によって得られた樹脂シートに含まれる熱可塑性樹脂の一部又は全部を架橋する架橋工程を更に備えていてもよい。架橋処理としては、電子線照射処理、過熱蒸気処理等の加熱処理が挙げられる。樹脂組成物が上記シラン架橋性樹脂を含む場合には、過熱蒸気処理、水架橋処理を行うことができる。
電子線照射処理は、例えば、成形した樹脂シートの片面側から、又は両面から電子線を照射することにより樹脂シートに架橋処理を施すことができる。電子線照射の条件としては、発泡樹脂層の厚みにもよるが、加速電圧150〜300kV、照射線量10〜100kGyが好ましい。加速電圧が上記範囲内であれば、樹脂シートの黄変や機械物性の変化を抑制しつつ、樹脂シートに所望の架橋を施すことが容易となる。
過熱蒸気処理は、例えば、130〜280℃の環境下で20秒から15分間、過熱蒸気(過熱水蒸気ともいう)処理する方法等が挙げられる。過熱蒸気処理は、例えば、過熱蒸気雰囲気下に樹脂シートを配し、樹脂シートに過熱蒸気を接触させる方法が挙げられる。また、水架橋させる方法としては、湿度60%以上の環境下、40〜70℃の温度域で1日〜1か月養生させて水架橋させる方法が挙げられ、具体的には、40℃90%の恒温恒湿槽の環境下において養生させて水架橋させる方法が挙げられる。
架橋工程は、樹脂シート形成工程によって得られた樹脂シートに施してもよく、後述する積層体形成工程によって得られた積層体に施してもよい。
<積層体形成工程>
積層体形成工程は、基材上に、上記樹脂シート形成工程によって得られた樹脂シートをラミネートすることにより、基材と、基材上に設けられた樹脂シートからなる樹脂層とを備える積層体を形成する工程である。
ラミネートの方法としては、特に限定されるものではないが、樹脂シートと基材とを、熱プレス機等を用いて熱圧着を行う方法、過熱蒸気を用いて圧着を行う方法等が挙げられる。過熱蒸気を用いて圧着を行う方法によれば、過熱蒸気によって樹脂シートの表面の溶融状態を保ったまま基材上へラミネートすることが可能となり、そのレベリング効果によって、密着させる基材の表面の凹凸が樹脂シートに転写されることを抑制することができる。また、樹脂シートがシラン架橋性樹脂を含む場合は、過熱蒸気によってシラン架橋性樹脂を効率よく架橋させることができる。
また、基材と上記樹脂シートとの接着性を向上させる観点から、基材の表面で樹脂シートを設ける側の面には、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理等の易接着処理を施してもよく、アクリル−ブチル共重合体、イソシアネートとポリオールとからなるポリウレタン等から形成される易接着処理層を設けてもよい。
積層体形成工程は、基材上にラミネートされる前若しくはラミネート中の樹脂シートに含まれる熱可塑性樹脂の一部若しくは全部を架橋する架橋工程、又は積層体における樹脂シートに含まれる熱可塑性樹脂の一部若しくは全部を架橋する架橋工程を更に備えていてもよい。架橋処理については、上記樹脂シート形成工程で述べた方法と同様とすることができる。樹脂シートがシラン架橋性樹脂を含む場合は、過熱蒸気によってラミネートとシラン架橋性樹脂の架橋とを同時に行うことができる。
<積層シート形成工程>
積層シート形成工程は、上記積層体形成工程によって得られた積層体の樹脂層の基材とは反対側表面に絵柄部を設けて積層シートを形成する工程である。
絵柄部を設ける方法としては、絵柄部に含まれる上述した各成分を含む組成物を絵柄部形成用インクとして用意し、これを樹脂層上に所望の形状で塗布する方法が挙げられる。例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷等が挙げられる。
絵柄部形成用インクは、溶媒或いは分散媒として、水、エタノール、2−プロパノール等を含むことができる。
印刷パターンとしては、ベタ印刷のほか、木目調パターン、石目調パターン、グリッド、ストライプ等の幾何学調のパターンなどを単独で、又はこれらの形状の組合せとすることができる。また、印刷パターンは、単色であってもよく複数の色で模様を形成していてもよい。
絵柄部形成用インクを塗布した後は、必要に応じて溶媒或いは分散媒を除去するための乾燥を行ってもよい。
積層シート形成工程においては、必要に応じて、上記絵柄部上に更に表面保護層を設けてもよい。表面保護層は、グラビアコーティング等の公知の印刷技術を用いて設けることが可能である。
[発泡壁紙の製造方法]
本実施形態に係る発泡壁紙は、基材と、基材上に設けられた発泡樹脂層と、該発泡樹脂層上に設けられた絵柄模様を構成する絵柄部と、を備える。このような発泡壁紙の製造方法としては、上記本実施形態に係る積層シートを用意する工程と、積層シートの樹脂層に含まれる発泡剤を発泡させることにより、発泡樹脂層を形成する工程とを備える方法が挙げられる。本実施形態に係る積層シートを用意する工程としては、上述した方法が挙げられる。
発泡剤の発泡は、樹脂層を加熱することにより行うことができる。加熱条件としては、当該樹脂シートを構成する成分によって適宜設定することができ、特に制限はないが、160℃〜280℃で10秒〜120秒間加熱することが好ましく、220℃〜240℃で20秒〜40秒間加熱することがより好ましく、220℃で40秒間加熱することが更に好ましい。
さらに、本実施形態に係る発泡壁紙の製造方法においては、発泡樹脂層の基材とは反対側の面に凹凸形状を設ける凹凸形状形成工程を備えていてもよい。本発明に係る積層シートによれば、特定のTgを有するバインダー樹脂を含有する絵柄部を備えることにより、機械的なエンボス加工等に対する絵柄部の追従性を十分に確保することができ、機械的に凹凸形状を設けた場合であっても絵柄部におけるひび割れの発生を抑制することができる。
凹凸形状を設ける方法としては、特に制限されるものではないが、例えば、加熱発泡の際の熱を利用して、表面側を冷却エンボスロールとし、基材側をゴムロールとしておき、2つのトールでニップし(エンボス加工し)冷却することにより、表面に凹凸形状を形成する方法等が挙げられる。凹凸形状としては、特に制限されるものではないが、例えば、木目板導管溝、石板表面凹凸、布表面テクスチャア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等が挙げられる。これらは、目的に応じて適宜選択可能であり、複数を組み合わせてもよい。エンボス版における凹凸の高さとしては、例えば、5〜100μmであってよい。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[積層体の作製]
(製造例1〜4)
コートハンガータイプのマニュホールドを有するTダイを用いて、スクリュー径(D)65mm、L/D=32のバリアタイプスクリューを用い、表1に示される組成(表中の数値は質量部を示す)を有する樹脂組成物を、押出温度130℃、厚み100μmで製膜し、樹脂シートをそれぞれ得た。
なお、上記樹脂シートはそれぞれ、加速電圧200kV、照射線量50kGyで電子線の照射をし、樹脂分を架橋させた。
次に裏打紙(KJ特種紙株式会社製、WK−6651HT、重量65g/cm)上に、上記で製膜した樹脂シートを置き、110℃で加熱した熱プレス機でプレス圧力5MPaの条件で2分間プレスして熱融着させ、積層体を得た。
Figure 0006690274
表1に示される各成分は以下の材料を用いた。
[低密度ポリエチレン]
樹脂A:ノバテックLD LC604(日本ポリエチレン株式会社製、商品名、融点=106℃、密度=0.918g/cm
樹脂C:ノバテックLL UF943(日本ポリエチレン株式会社製、商品名、融点=127℃、密度=0.918g/cm
[超低密度ポリエチレン]
樹脂B:タフマー DF940(三井化学株式会社製、商品名、融点=94℃、密度=0.905g/cm
樹脂D:タフマー DF7350(三井化学株式会社製、商品名、融点=55℃、密度=0.870g/cm
[炭酸カルシウム]
充填剤A:ソフトン1000(備北粉化工業株式会社製、商品名)
[二酸化チタン]
充填剤B:タイペークCR−60−2(石原産業株式会社製、商品名)
発泡剤:ビニホールAC#3C−2K(永和化成工業株式会社製、商品名)
発泡助剤:QP1702(株式会社ADEKA製、商品名、ラウリン酸亜鉛等の混合物)
滑剤:アデカスタブAP−546(株式会社ADEKA製、商品名、ステアリン酸亜鉛)
[インクの作製]
(製造例5〜9)
絵柄部を構成するためのインクを、表2に示される組成(表中の数値は質量部を示す)で調製した。
Figure 0006690274
表2に示される各水性インキは以下のものを用いた。
水性インキ1:アクリル系バインダー(Tg=60℃)40質量%、発泡抑制剤(トリエタノールアミン)10質量%及び水50質量%
水性インキ2:アクリル系バインダー(Tg=60℃)50質量%及び水50質量%
水性インキ3:アクリル系バインダー(Tg=110℃)43質量%、発泡抑制剤(トリエタノールアミン)7質量%及び水50質量%
[発泡壁紙の作製]
(実施例1〜2、比較例1〜5)
製造例1〜4で得た積層体の樹脂層側表面にコロナ放電処理を施した後、樹脂層上に製造例5〜9で調製したインクをグラビア印刷機により均一にベタ印刷し、その後100℃で60秒間乾燥させ、インクの水分を完全に除去して樹脂層上に厚み1.0μmの絵柄部を設け、積層シートを得た。
次に、得られた積層シートを240℃のオーブンで25秒間加熱し、発泡剤を発泡させた後、積層シートの絵柄部側に対して、エンボス版を用いてエンボス加工を行い、表面に凹凸形状を有する発泡壁紙を作製した。積層シートにおける積層体及び絵柄部の組合せ、並びにバインダーのTg及び絵柄部全量基準での発泡抑制剤の含有量を表3に示す。
Figure 0006690274
[発泡壁紙の評価]
実施例1〜2、比較例1〜5の発泡壁紙について、下記の方法に従い、発泡倍率、発泡壁紙の外観(色調変化及びひび割れ)並びにブロッキング性を評価した。
(発泡倍率)
発泡前の乾燥樹脂層の厚さ(a)を測定し、これを初期値とした。次に発泡炉にて発泡した後の発泡壁紙の発泡樹脂層の厚さ(b)を測定し、(b)/(a)を発泡倍率として算出した。結果を表4に示す。
(発泡壁紙の外観)
作製した発泡壁紙を300mm×300mmの大きさで採取した後、白色光を当てて絵柄部の外観を観察し、絵柄部の色調が変化しているか否かを評価した。絵柄部の色調が変化していないものを「○」、色調が変化しているものを「×」として評価した。また、作製した発泡壁紙の任意で選んだ10点について、デジタルマイクロスコープを用いて20倍の倍率で観察し、絵柄部のひび割れ状態を観察した。ひび割れ状態は以下の基準に従って評価した。色調変化及びひび割れについての評価結果がともに「○」であれば、絵柄部の色調変化及びひび割れを効果的に抑制できたと評価できる。結果を表4に示す。
(ブロッキング性)
100mm×100mmの大きさで採取した発泡壁紙に対し、塩ビレザーを重ねた後、1kgf/cmの荷重をかけ温度60℃湿度90%の環境下で8時間養生し、その後荷重を取り除き、温度20℃湿度25%の環境下で24時間養生した。養生後塩ビレザーを引き剥がしてブロッキング性を評価した。ブロッキングが認められなかったものを「○」、ブロッキングが認められたものを「×」として評価した。結果を表4に示す。
Figure 0006690274
実施例1及び2の積層シートを用いて得られた発泡壁紙は、十分な発泡倍率を有しつつ絵柄部のひび割れ及び色調変化が十分抑制されていることが確認された。
一方、比較例1に示されるように、絵柄部に含まれる発泡抑制剤の含有量が絵柄部全量基準で15質量%より大きい場合、発泡抑制剤の影響が過剰となり所望の発泡倍率を有する発泡壁紙が得られなかった。また、比較例2に示されるように、絵柄部に発泡抑制剤が含まれない場合、絵柄部の色調変化やひび割れが観察された。
また、比較例3に示されるように、絵柄部に含まれるバインダー樹脂のTgが100℃より大きい場合、エンボスに対する絵柄部の追従性が損なわれ、絵柄部にひび割れが生じた。
更に比較例4及び5に示されるように、発泡樹脂層に含まれる熱可塑性樹脂の融点が70〜120℃の範囲外の場合、発泡壁紙としての所望の発泡性が得られず、更に絵柄部の色調変化やひび割れにも影響を及ぼすことが観察された。
発泡壁紙としての所望の発泡性が得られなかった理由としては、発泡樹脂層に含まれる熱可塑性樹脂の融点が70℃未満である場合は、上述の発泡工程において樹脂の粘度が低いためガス抜けが生じたためと考えられ、他方融点が120℃より高い場合は、発泡工程における樹脂の粘度が高く発泡セルが成長せず発泡倍率が稼げなかったことが考えられる。
絵柄部の色調変化やひび割れが生じた理由としては、発泡樹脂層における樹脂の融点と、絵柄部におけるバインダー樹脂のTgのバランスが取れていないことによるものと考えられる。具体的には、バインダー樹脂のTgよりも発泡樹脂層における樹脂の融点が低い場合、加熱発泡の際に絵柄部よりも先に発泡樹脂層における樹脂が流動しやすくなることで発泡樹脂層と絵柄部との界面に歪が生じ、ひび割れが発生したものと考えられる。他方、バインダー樹脂のTgよりも発泡樹脂層における樹脂の融点が高い場合においても、流動し始める温度に差が生じるため、層間での歪が生じやすく、ひび割れが発生したものと考えられる。

Claims (5)

  1. 基材と、該基材上に設けられた、融点が70〜120℃である熱可塑性樹脂及び発泡剤を含む樹脂層と、該樹脂層上に設けられた、絵柄模様を構成する絵柄部と、を備え、
    前記絵柄部が、50〜100℃のTgを有するバインダー樹脂と、絵柄部全量基準で10〜15質量%の発泡抑制剤と、を含有する、積層シート。
  2. 前記発泡抑制剤が、アミノアルコール系発泡抑制剤を含む、請求項1に記載の積層シート。
  3. 前記絵柄部上に、更に表面保護層を備える、請求項1又は2に記載の積層シート。
  4. 基材と、該基材上に設けられた発泡樹脂層と、該発泡樹脂層上に設けられた、絵柄模様を構成する絵柄部と、を備える発泡壁紙の製造方法であって、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層シートを用意し、該積層シートの前記樹脂層に含まれる前記発泡剤を発泡させることにより、発泡樹脂層を形成する工程を備える、発泡壁紙の製造方法。
  5. 前記積層シートにおける前記絵柄部を、前記バインダー樹脂と、前記発泡抑制剤と、水、エタノール、2−プロパノールから選ばれる少なくとも1種と、を含む水性インキを用いて設ける、請求項4に記載の発泡壁紙の製造方法。
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