JP5211834B2 - 水性樹脂エマルジョン組成物、発泡化粧材およびその製造方法 - Google Patents

水性樹脂エマルジョン組成物、発泡化粧材およびその製造方法 Download PDF

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本発明は、新規な水性樹脂エマルジョン組成物、発泡化粧材およびその製造方法に関する。
壁面の意匠性を高めることなどを目的として、発泡壁紙等の発泡化粧材を壁面に貼りつけることがある。従来、発泡化粧材、特に発泡壁紙の材質としては、ポリ塩化ビニルを主成分とする樹脂組成物が主に用いられてきたが、ポリ塩化ビニルを用いた壁紙は、焼却時にダイオキシンや塩化水素などの有害ガスを発生しやすいため、その代替材料が求められている。
そこで、ポリ塩化ビニル製の壁紙の代替として、エチレン−酢酸ビニル共重合体やアクリル樹脂等を用いた壁紙が提案されている。例えば、特許文献1では、エチレン−酢酸ビニル共重合体と熱分解型発泡剤とを含有する樹脂組成物をTダイ押し出し機により基材上に積層し、発泡させて得た発泡壁紙が提案されている。
しかしながら、特許文献1に記載の発泡壁紙は、施工時にカールが発生しやすく作業性が低くなることがあった。
特許文献2には、エチレン−酢酸ビニル共重合体およびアクリル樹脂を含む水性樹脂エマルジョンと熱膨張性マイクロカプセル発泡剤とを含有する組成物を、基材上に塗工し、乾燥し、発泡させて得た発泡壁紙が提案されている。この発泡壁紙は、塗工によって形成されているため、カールが発生しにくくなっている。
特開2006−306054号公報 特開平6−47875号公報
ところが、特許文献2に記載の発泡壁紙は、耐ひび割れ性および耐ブロッキング性が低くなるという問題を有していた。
また、発泡化粧材においては充分な発泡倍率の発泡樹脂層を有することが求められるが、耐ひび割れ性および耐ブロッキング性を確保しながら、充分な発泡倍率の発泡樹脂層を有するものは知られていなかった。
本発明は上記問題点を解決しようとするものであり、ポリ塩化ビニルの代替材料として使用できる上に、充分な発泡性を有し、耐ひび割れ性および耐ブロッキング性に優れた発泡化粧材を得ることができる水性樹脂エマルジョン組成物を提供することを目的とする。また、充分な発泡倍率の発泡樹脂層を有し、耐ひび割れ性および耐ブロッキング性に優れた発泡化粧材およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を包含する。
[1] 水性樹脂エマルジョン(A)、熱膨張性マイクロカプセル発泡剤(B)、および、無機フィラー(C)を含有する水性樹脂エマルジョン組成物であって、
水性樹脂エマルジョン(A)が、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A11)および(メタ)アクリル酸エステル重合体(A12)を含むコア部と、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A2)を含むシェル部とからなるコアシェル構造樹脂を含有し、
熱膨張性マイクロカプセル発泡剤(B)の含有量が、水性樹脂エマルジョン(A)の固形分100質量部に対して2〜30質量部であり、
無機フィラー(C)の含有量が、水性樹脂エマルジョン(A)の固形分100質量部に対して20〜200質量部であることを特徴とする水性樹脂エマルジョン組成物。
[2] 水性樹脂エマルジョン(A)に含まれるコアシェル構造樹脂は、コア部に含まれるエチレン−酢酸ビニル共重合体(A11)および(メタ)アクリル酸エステル重合体(A12)の合計量と、シェル部に含まれる(メタ)アクリル酸エステル重合体(A2)との質量比率が95/5〜50/50であることを特徴とする[1]に記載の水性樹脂エマルジョン組成物。
[3] 水性樹脂エマルジョン(A)に含まれるコアシェル構造樹脂のコア部は、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A11)と(メタ)アクリル酸エステル重合体(A12)との質量比率が99/1〜80/20であることを特徴とする[1]または[2]に記載の水性樹脂エマルジョン組成物。
[4] 基材と、基材の少なくとも片面に設けられた発泡樹脂層とを有し、発泡樹脂層が、[1]〜[3]のいずれかに記載の水性樹脂エマルジョン組成物が塗工され、加熱されて形成された層であることを特徴とする発泡化粧材。
[5] 壁紙として用いられることを特徴とする[4]に記載の発泡化粧材。
[6] [1]〜[3]のいずれかに記載の水性樹脂エマルジョン組成物を基材の少なくとも片面に塗工して未発泡層を形成し、該未発泡層を加熱して発泡させることを特徴とする発泡化粧材の製造方法。
本発明の水性樹脂エマルジョン組成物は、ポリ塩化ビニルの代替材料として使用できる上に、充分な発泡性を有し、耐ひび割れ性および耐ブロッキング性に優れた発泡化粧材を得ることができるものである。
本発明の発泡化粧材は、充分な発泡倍率の発泡樹脂層を有し、耐ひび割れ性および耐ブロッキング性に優れる。
本発明の発泡化粧材の製造方法によれば、充分な発泡倍率の発泡樹脂層を有し、耐ひび割れ性および耐ブロッキング性に優れる発泡化粧材を容易に製造できる。
<水性樹脂エマルジョン組成物>
本発明の水性樹脂エマルジョン組成物は、水性樹脂エマルジョン(A)、熱膨張性マイクロカプセル発泡剤(B)、および、無機フィラー(C)を含有する。
水性樹脂エマルジョン(A)は、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A11)および(メタ)アクリル酸エステル重合体(A12)を含むコア部と、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A2)を含むシェル部とからなるコアシェル構造樹脂を含有するエマルジョンである。
コア部に含まれるエチレン−酢酸ビニル共重合体(A11)は、エチレン単位の含有量が10〜50質量%であることが好ましく、15〜40質量%であることがより好ましい。エチレン−酢酸ビニル共重合体(A11)におけるエチレン単位の含有量が10質量%以上であれば、発泡性および耐ひび割れ性がより高くなり、50質量%以下であれば、耐ブロッキング性がより高くなる。
また、エチレン−酢酸ビニル共重合体は、1種を単独で使用してもよいし、異なる2種以上を併用してもよい。
コア部に含まれる(メタ)アクリル酸エステル重合体(A12)を構成する(メタ)アクリル酸エステル単位としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル等が挙げられる。
これら(メタ)アクリル酸エステルは、1種を単独で使用してもよいし、異なる2種以上を併用してもよい。
また、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A12)のガラス転移温度は−40℃〜+20℃であること好ましく、−20℃〜0℃であることがより好ましい。(メタ)アクリル酸エステル重合体(A12)のガラス転移温度が−40℃以上であれば、耐ブロッキング性がより高くなり、+20℃以下であれば、耐ひび割れ性がより高くなる。
コア部において、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A11)と(メタ)アクリル酸エステル重合体(A12)との質量比率[(A11)/(A12)]は99/1〜80/20であり、好ましくは98/2〜90/10である。コア部における(メタ)アクリル酸エステル重合体(A12)の質量比率が1質量%より少ないと、耐ひび割れ性が低下する傾向にあり、20質量%より多いと、耐ブロッキング性が低下する傾向にある。
シェル部に含まれる(メタ)アクリル酸エステル重合体(A2)は、コア部に含まれる(メタ)アクリル酸エステル重合体(A12)と同様のものを使用することができる。
ただし、シェル部に含まれる(メタ)アクリル酸エステル重合体(A2)のガラス転移温度は+20℃〜+100℃であることが好ましく、+40℃〜+80℃であることがより好ましい。(メタ)アクリル酸エステル重合体(A2)のガラス転移温度が+20℃以上であれば、タック性が低下して耐ブロッキング性がより高くなり、+100℃以下であれば、耐ひび割れ性がより高くなる。
シェル部の(メタ)アクリル酸エステル重合体(A2)のガラス転移温度を+20℃〜+100℃とすると共に、コア部の(メタ)アクリル酸エステル重合体(A12)のガラス転移温度を−40℃〜+20℃とすれば、コア部の弾性が高く、耐ひび割れ性により優れると共に、シェル部のタック性が低く、耐ブロッキング性により優れたものとなる。
コア部に含まれるエチレン−酢酸ビニル共重合体(A11)および(メタ)アクリル酸エステル重合体(A12)の合計量と、シェル部に含まれる(メタ)アクリル酸エステル重合体(A2)との質量比率[{(A11)+(A12)}/(A2)]は95/5〜50/50、好ましくは90/10〜60/40である。シェル部に含まれる(メタ)アクリル酸エステル重合体(A2)が5質量%より少ないと、発泡性が低下する傾向にあり、50質量%より多いと、耐ひび割れ性が低下する傾向にある。
水性樹脂エマルジョン(A)は、上記コアシェル構造樹脂の1種単独であってもよいし、2種以上の併用であってもよい。
また、水性樹脂エマルジョン(A)は、コアシェル構造を有さない水性樹脂(以下、非コアシェル構造樹脂という。)を含んでもよい。非コアシェル構造樹脂としては、例えば、酢酸ビニル系樹脂、エチレン−ビニルエステル系共重合体、アクリル系樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、スチレン−ブタジエン系共重合体等が挙げられる。
コアシェル構造樹脂と併用する非コアシェル構造樹脂は、該組成物の安定性、塗工性、加工性、発泡性や、発泡化粧材の製品物性、製品意匠性等の要求性能に応じて適宜選択される。例えば、発泡性を重視する場合には、非コアシェル構造樹脂として、低分子量化したエチレン−酢酸ビニル共重合体を併用することが好ましい。また、発泡化粧材製品の機械的強度を重視する場合には、非コアシェル構造樹脂として、架橋剤を添加したエチレン−酢酸ビニル共重合体を併用することが好ましい。
水性樹脂エマルジョン(A)には、コアシェル構造樹脂等の樹脂成分の他に、樹脂成分を分散させるための分散媒である水が含まれる。取り扱い性の点から、水性樹脂エマルジョン(A)の固形分濃度は40〜80質量%であることが好ましく、50〜75質量%であることがより好ましい。
このように、水性樹脂エマルジョン(A)が分散媒を含有するため、水性樹脂エマルジョン組成物は液状である。
熱膨張性マイクロカプセル発泡剤(B)は、加熱により膨張、発泡させることができる微小球体からなる発泡剤である。
熱膨張性マイクロカプセル発泡剤(B)の具体例としては、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリルとアクリル酸メチルの共重合体などからなる殻部分の内部にイソブタン、イソペンタン等の低沸点炭化水素を含有する粒径1〜50μm程度、好ましくは2〜30μm程度の球体が挙げられる。このような熱膨張性マイクロカプセル発泡剤(B)の市販品としては、マツモトマイクロスフェア(松本油脂製薬(株)製)などが挙げられる。
熱膨張性マイクロカプセル発泡剤(B)の含有量は、水性樹脂エマルジョン(A)の固形分100質量部に対して2〜30質量部であり、好ましくは5〜15質量部である。熱膨張性マイクロカプセル発泡剤(B)の含有量が2質量部より少ないと、発泡性が不足する傾向にあり、30質量部より多いと、得られる発泡樹脂層の機械的強度が低下する傾向にある。
無機フィラー(C)としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化第一鉄、塩基性炭酸亜鉛、塩基性炭酸鉛、珪砂、クレー、タルク、シリカ類、二酸化チタン、珪酸マグネシウム等が挙げられる。これらの中でも、水性樹脂エマルジョンへの分散性、基材への塗工性、印刷適性、発泡性が良好であることから、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムが好適である。
無機フィラー(C)の含有量は、水性樹脂エマルジョン(A)の固形分100質量部に対して20〜200質量部であり、好ましくは50〜150質量部である。無機フィラー(C)の含有量が20質量部より少ないと、難燃性が低下する傾向にあり、200質量部より多いと、発泡性、機械的強度および耐ひび割れ性が低下する傾向にある。
本発明の水性樹脂エマルジョン組成物は、必要に応じて、着色剤、分散剤、ブロッキング防止剤、消泡剤、増粘剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、艶消剤、滑剤、減摩剤、帯電防止剤、抗菌剤、防黴剤等の各種添加剤が含まれてもよい。
上述した水性樹脂エマルジョン組成物は、ポリ塩化ビニルを含まないが、ポリ塩化ビニルと同様の物性を示すため、ポリ塩化ビニルの代替材料として使用できる。
また、水性樹脂エマルジョン(A)が上記コアシェル構造樹脂を含有していることにより、充分な発泡性を有し、しかも耐ひび割れ性および耐ブロッキング性に優れた発泡化粧材を得ることができる。
<発泡化粧材>
本発明の発泡化粧材の一実施形態例について説明する。
図1に、本実施形態例の発泡化粧材を示す。本実施形態例の発泡化粧材10は、基材11と、基材11の片面に設けられた発泡樹脂層12と、発泡樹脂層12の表面の一部に絵柄等が印刷されて形成された印刷層13とを有するものである。
基材11としては、透湿性を有し、好ましくは可撓性有するシートを使用することができ、例えば、紙、織布、不織布等が挙げられる。発泡化粧材10が発泡壁紙である場合には、基材11として、紙、特に、いわゆる壁紙用裏打紙が好適に使用される。
発泡樹脂層12は、上記水性樹脂エマルジョン組成物が塗布され、加熱されて形成された層である。この発泡樹脂層12においては、水性樹脂エマルジョン(A)の樹脂成分12a中に、熱膨張性マイクロカプセル発泡剤(B)12bと、無機フィラー(C)12cとが分散している。ただし、発泡樹脂層12の状態では熱膨張性マイクロカプセル発泡剤(B)12bの内部には、気化した炭化水素が充填されている。
また、本実施形態例における発泡樹脂層12は、意匠性を高めるために、表面にドット状の凹凸模様12dが形成されている。
本実施形態例の発泡化粧材10の発泡樹脂層12は上記水性樹脂エマルジョン組成物が塗布され、加熱されて形成されたものであるため、充分な発泡倍率を有し、しかも耐ひび割れ性および耐ブロッキング性に優れている。
この発泡化粧材10は壁面を装飾するための壁紙として好適に利用できる。
<発泡化粧材の製造方法>
次に、上記発泡化粧材10の製造方法について説明する。
本実施形態例における発泡化粧材の製造方法では、まず、上記水性樹脂エマルジョン組成物を基材11の片面に塗工して、未乾燥の塗膜を形成する。
塗工方法としては、例えば、ナイフコート法、ノズルコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、グラビアコート法、ロータリースクリーンコート法、リバースロールコート法等の塗工方法を適用できる。
水性樹脂エマルジョン組成物の塗工量は、目的とする用途や要求特性に応じて適宜決定すればよい。例えば、得られる発泡化粧材10を壁紙として使用する場合には、乾燥塗工量で50〜300g/mとすることが好ましく、100〜250g/mとすることがより好ましい。
次いで、未乾燥の塗膜を乾燥して未発泡層を形成する。
乾燥方法としては、例えば、熱風乾燥法、赤外線照射乾燥法、真空乾燥法、または、これらの2種以上を組み合わせた方法を適用できる。
乾燥温度は、水性樹脂エマルジョン組成物の発泡開始温度を超えない範囲とすることが好ましい。また、水性樹脂エマルジョン組成物が水性樹脂エマルジョンを主成分として含む場合には、乾燥温度を、水の沸点を超えない90〜95℃にすることが好ましい。
乾燥によって、未乾燥の塗膜はゲル状になることもある。
次いで、未発泡層に絵柄模様を印刷して印刷層13を形成する。
印刷方法としては、例えば、水性インキを使用して、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法等により印刷する方法が挙げられる。
次いで、未発泡層を加熱して発泡させて、発泡樹脂層12を形成する。
未発泡層を発泡させるための加熱方法としては、熱風加熱法、赤外線加熱法、それらを併用する方法などを適用できる。
加熱温度や加熱時間は、水性樹脂エマルジョン(A)の樹脂成分の溶融粘度特性と、熱膨張性マイクロカプセル発泡剤(B)の発泡温度特性とによって適宜選択されるが、実用的には、加熱温度を140〜200℃、加熱時間を20〜80秒の範囲にすることが好ましい。
次いで、発泡樹脂層12の表面にドット状の凹凸模様12dを形成する。凹凸模様12dの形成方法としては、発泡樹脂層12の表面にエンボス版を押圧するメカニカルエンボス法等を適用できる。
以上の工程により、発泡化粧材10が得られる。
上記水性樹脂エマルジョン組成物を用いて発泡樹脂層12を形成する本製造方法では、発泡樹脂層12の発泡倍率を充分に高くでき、しかも耐ひび割れ性および耐ブロッキング性に優れる発泡化粧材10を容易に製造できる。
さらに、この製造方法は、塗工によって発泡樹脂層12を形成するため、カールが発生しにくく、作業性に優れる。
なお、本発明は上記実施形態例に限定されない。
例えば、本発明の発泡化粧材は、発泡樹脂層が2層以上の多層から構成されていてもよい。発泡樹脂層が多層である場合には、各層で成分が異なるようにしてもよい。
発泡樹脂層が2層以上の多層から構成される場合の発泡樹脂層の形成方法としては、例えば、下層から上層に1層ずつ順次塗工して形成する方法、多層塗工装置を用いて全層を同時に塗工して形成する方法が挙げられる。1層ずつ順次塗工する場合には、各層間が相溶して層間密着性に優れることから、下側の層を乾燥させずに湿潤状態において上側の層を塗工形成することが好ましい。しかし、下側の層を乾燥固化した後に上側の層を塗工形成しても構わない。
発泡化粧材においては、発泡樹脂層12の凹凸模様12dはドット状以外の模様でもよく、例えば、碁盤目格子状、波状の模様等であってもよい。また、発泡樹脂層12には凹凸模様12dが形成されていなくてもよい。
また、本発明の発泡化粧材においては、印刷層13が形成されていなくてもよい。
また、本発明の発泡化粧材においては、発泡樹脂層が基材の両面に設けられていてもよい。
以下に本発明の実施例および比較例を示し、本発明を具体的に説明する。
<実施例1〜5,7,8、比較例1〜5>
表1に示すコアシェル構造樹脂を含む水性樹脂エマルジョン(コアシェル構造樹脂エマルジョン)の固形分100質量部に対して、熱膨張性マイクロカプセル発泡剤(松本油脂製薬(株)製;F−55)10質量部、炭酸カルシウム(丸尾カルシウム(株)製;スーパーSSS)80質量部、酸化チタン(中央理化工業(株)製;T−76)15質量部を混合分散させて、水性樹脂エマルジョン組成物を調製した。
なお、本例で用いたコアシェル構造樹脂は、エチレン−酢酸ビニル共重合体(エチレン単位25質量%、表では「EVA」と表記する。)およびアクリル重合体(アクリル酸−2−エチルヘキシル重合体、表では「アクリル」と表記する。)からなるコア部と、アクリル重合体(メタクリル酸メチル重合体)とからなるシェル部とで構成された樹脂である。
得られた水性樹脂エマルジョン組成物を紙基材の片面にコンマコーターにより乾燥塗工量が150g/mになるように塗工して、未乾燥の塗膜を形成した。
次いで、未乾燥の塗膜を、乾燥温度90℃で熱風乾燥させて、未発泡層を形成した。次いで、未発泡層を発泡炉に通して、熱風加熱により加熱温度180℃、加熱時間40秒で加熱し、発泡させて発泡化粧材を得た。
<実施例6>
表1に示すコアシェル構造樹脂を含む水性樹脂エマルジョンの固形分80質量部に対して、非コアシェル構造樹脂であるエチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン(住化ケムテックス(株)製;S−7400)20質量部(固形分換算)、熱膨張性マイクロカプセル発泡剤(松本油脂製薬(株)製;F−55)10質量部、炭酸カルシウム(丸尾カルシウム(株)製;スーパーSSS)80質量部、酸化チタン(中央理化工業(株)製;T−76)15質量部を混合分散させて、水性樹脂エマルジョン組成物を調製した。
そして、実施例1と同様にして、発泡化粧材を得た。
Figure 0005211834
<評価>
実施例および比較例で得られた発泡化粧材について、以下に示す方法により、発泡倍率、耐ブロッキング性、耐ひび割れ性を評価した。それらの結果を表2に示す。
Figure 0005211834
(発泡倍率)
発泡前の発泡化粧材の乾燥塗膜厚さ(a)を測定し、次に、発泡炉にて発泡させた後の発泡化粧材の発泡層厚さ(b)を測定し、(b)/(a)を発泡倍率として求めた。
(耐ブロッキング性)
得られた発泡化粧材を裁断して、10cm×10cmの大きさのものを2枚採取した。その2枚の発泡化粧材の発泡樹脂層同士を重ね合わせ、ブロッキングテスターを用いて0.1MPaの荷重をかけた後、温度40℃、相対湿度90%の環境下で24時間放置した。その後、2枚の発泡化粧材同士を剥離し、剥離部分の外観を目視で評価した。
○:異常なし
△:一部で剥離あり
×:全面で剥離あり
(耐ひび割れ性)
得られた発泡化粧材を3cm×25cmの大きさに裁断し、温度5℃、相対湿度20%の環境下で、水性樹脂エマルジョン組成物の塗膜が上になるようにして折り曲げ、折り曲げ部分の外観を目視で評価した。
○:異常なし
△:一部でひび割れあり
×:全面でひび割れあり
実施例1〜8における水性樹脂エマルジョン組成物は、エチレン−酢酸ビニル共重合体およびアクリル酸エステル重合体のコア部と(メタ)アクリル酸エステル重合体のシェル部とからなるコアシェル構造樹脂を含有する水性樹脂エマルジョンを含んでいた。そのため、これにより得た発泡化粧材は、充分な発泡倍率を有する上に耐ひび割れ性および耐ブロッキング性に優れていた。
これに対し、比較例1における水性樹脂エマルジョンはエチレン−酢酸ビニル共重合体のみでコアシェル構造樹脂を含有していなかった。そのため、これにより得た発泡化粧材は発泡倍率が低い上に耐ひび割れ性が低かった。
比較例2における水性樹脂エマルジョンはコア部にアクリル重合体が含まれていなかった。そのため、これにより得た発泡化粧材は耐ブロッキング性が低かった。
比較例3における水性樹脂エマルジョンはエチレン−酢酸ビニル共重合体/アクリル重合体の単一粒子でコアシェル構造樹脂を含有していなかった。そのため、これにより得た発泡化粧材は発泡倍率が低い上に耐ブロッキング性が低かった。
本発明の発泡化粧材の一実施形態例を示す模式断面図である。
符号の説明
10…発泡化粧材
11…基材
12…発泡樹脂層
12a…水性樹脂エマルジョン(A)の樹脂成分
12b…熱膨張性マイクロカプセル発泡剤(B)
12c…無機フィラー(C)
12d…凹凸模様
13…印刷層

Claims (6)

  1. 水性樹脂エマルジョン(A)、熱膨張性マイクロカプセル発泡剤(B)、および、無機フィラー(C)を含有する水性樹脂エマルジョン組成物であって、
    水性樹脂エマルジョン(A)が、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A11)および(メタ)アクリル酸エステル重合体(A12)を含むコア部と、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A2)を含むシェル部とからなるコアシェル構造樹脂を含有し、
    熱膨張性マイクロカプセル発泡剤(B)の含有量が、水性樹脂エマルジョン(A)の固形分100質量部に対して2〜30質量部であり、
    無機フィラー(C)の含有量が、水性樹脂エマルジョン(A)の固形分100質量部に対して20〜200質量部であることを特徴とする水性樹脂エマルジョン組成物。
  2. 水性樹脂エマルジョン(A)に含まれるコアシェル構造樹脂は、コア部に含まれるエチレン−酢酸ビニル共重合体(A11)および(メタ)アクリル酸エステル重合体(A12)の合計量と、シェル部に含まれる(メタ)アクリル酸エステル重合体(A2)との質量比率が95/5〜50/50であることを特徴とする請求項1に記載の水性樹脂エマルジョン組成物。
  3. 水性樹脂エマルジョン(A)に含まれるコアシェル構造樹脂のコア部は、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A11)と(メタ)アクリル酸エステル重合体(A12)との質量比率が99/1〜80/20であることを特徴とする請求項1または2に記載の水性樹脂エマルジョン組成物。
  4. 基材と、基材の少なくとも片面に設けられた発泡樹脂層とを有し、発泡樹脂層が、請求項1〜3のいずれかに記載の水性樹脂エマルジョン組成物が塗工され、加熱されて形成された層であることを特徴とする発泡化粧材。
  5. 壁紙として用いられることを特徴とする請求項4に記載の発泡化粧材。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載の水性樹脂エマルジョン組成物を基材の少なくとも片面に塗工して未発泡層を形成し、該未発泡層を加熱して発泡させることを特徴とする発泡化粧材の製造方法。
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