JP3868042B2 - 化粧シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、家屋等の内装材、特に壁装材として好適に用いられる化粧シートに関するものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
従来、この種の化粧シートとしては、紙基材の上に塩化ビニル樹脂層を形成したいわゆる塩ビ壁紙が広く利用されているが、近年、塩ビを使用しない化粧シートが考えられており、例えばカプセル発泡剤を使用した水性エマルジョン発泡樹脂の組成の壁紙がある。しかしながら、このタイプの壁紙は発泡体自体が多孔質のため汚れやすいと言う欠点があり、通気性が高いため貼り合わせる際にのりが乾きやすく、オープンタイムが短くなるという施工上の問題もある。また、カプセル発泡剤を使用しているので、表面に印刷した絵柄がカプセルの発泡膨張、表面露出により濃度が大幅にダウンするが、これは発泡剤のロットバラツキにより濃度の変化具合が変わるために調整するのが難しく、全体がスウェード調になりシャープで鮮明な絵柄が形成できないという問題点がある。
【0003】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、塩ビを使用せず、鮮明でシャープな絵柄を有した化粧シートを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の化粧シートは、基材シートの上にカプセル発泡剤を含有する水性エマルジョン塗料を塗布して未発泡コート原反を作成し、PETフィルムの表面に印刷絵柄層と裏面に熱可塑性接着剤層を施してPET印刷紙を作成し、未発泡コート原反にPET印刷紙をラミネートすると同時に水性エマルジョン塗料を発泡させながらエンボス加工を施して得られることを特徴とするものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の化粧シートは、図1に示すように、基材シート1の上に水性エマルジョン発泡層2があり、その上に接着剤層3を介してPETフィルム4があり、そのPETフィルム4の表面に印刷絵柄層5があり、エンボスが形成されているのを基本構成としている。
【0006】
本発明で使用する基材シートは、壁紙用の難燃紙(パルプ主体のシート、スルファミン酸グアニジン、リン酸グアニジン等の難燃剤で処理したシート)、水酸化アルミ紙、無機質紙、一般紙で、坪量50〜300g/m2 のものが使用される。中でも坪量70〜150g/m2 のものが望ましい。
【0007】
水性エマルジョン樹脂としては、非塩ビ系の各種エマルジョンが使用できるが、望ましくはEVA系単体又はEVAとアクリル系樹脂のブレンド又は共重合体がよい。発泡倍率、接着性を考えるとEVAの方が好ましい。壁紙の場合は、難燃性を付与するため、上記樹脂に無機質充填剤、難燃剤を含ませる。また、エンボスを良好に入れるためには発泡体にすることが望ましい。発泡体にするには、例えば、機械発泡によるメカニカル法や、熱分解型発泡剤、熱膨張剤を含んだマイクロカプセルを使用する方法等があるが、生産の容易さ、発泡倍率を考えるとカプセル発泡剤を使用するのが好ましい。水性エマルジョン樹脂の塗布量は50〜250g/m2 (乾燥時)、望ましくは80〜200g/m2 とする。
【0008】
EVA(エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂)は、エチレンの比率が5〜50%、好ましくは5〜35%で、Tgが20℃以下、好ましくは0℃以下のものが接着性及び発泡性に優れる。アクリル系樹脂は、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、アクリロニトリル等の共重合体、さらにはこれらの化合物と共重合可能な他の単量体との共重合体等で、単独で或いは2種以上混合したものである。
【0009】
難燃効果を持つ無機質充填剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、メタホウ酸バリウム、ホウ酸亜鉛等がある。他に一般のものとしては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、二酸化珪素、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、タルク、カリオン、クレー等が使用できる。樹脂に対する無機質充填剤の量は、樹脂固形分100に対して50〜200部、望ましくは80〜150部であり、そのうち難燃充填剤は50部、望ましくは80部以上あることが必要である。また、必要に応じ、リン酸エステル系等の有機系難燃剤を添加してもよい。
【0010】
マイクロカプセルは、低沸点溶剤を熱可塑性高分子材料の被膜或いは殻で包み込んだ粒径10〜30μmの微小球である。シェル材料としては、塩化ビニリデン・アクリロニトリル共重合体やアクリロニトリル・アクリル系共重合体が使用され、内包ガスとしてはイソブタン、ブタン等がある。
【0011】
エマルジョン塗料の添加剤としては、消泡剤、分散剤、増粘剤、防カビ剤、遅乾剤、防腐剤等があり、塗料コーティング適性、塗料安定性、使用時の性能を考慮して添加する。
【0012】
エマルジョン塗料の塗布は、コンマコート、ドクターコート、ロールコート等の各種の方式が可能で、基材シート上に塗布した後、熱風炉乾燥機により120℃で1分間程度の乾燥を行って未発泡コート原反を作製する。この原反をラミネート前に発泡して発泡原反を作るが、これらの工程を一度に行ってもよい。
【0013】
本発明で使用するPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムは透明と着色のどちらでもよい。ラミネート後のEMの入りやすさ、燃焼性能、施工性を考えるとフィルムの厚みは15μm以下が好ましい。また、2軸延伸タイプでも無延伸の成形性のものでもよい。表面に絵柄印刷、裏面に接着剤層がくるので、印刷インキ及び接着剤の密着性を上げるため、両面にコロナ処理を行うか、又は表層にアクリル層のある2層(3層)の共押出しフィルムを用いてもよく、印刷面或いは両面に易接着コートがあってもよい。
【0014】
PETフィルム上への印刷は各種方式が利用できるが、グラビア印刷によるのが望ましい。印刷インキとしては溶剤系、水系の各種インキが使用できる。樹脂としてはアクリル系、ポリエステル系、ウレタン系、塩ビ系、塩酢ビ系、セルロース系、メラミン系、アルキッド系、カゼイン系の単体又は混合体が使用できる。顔料は有機系、無機系の各種のものが使用できる。また、各種のポリオール樹脂とイソシアネート化合物を使用した2液ウレタン塗料を使用してもよい。
【0015】
艶調整や表面保護のためにトップコートを行ってもよい。使用する樹脂は上記と同様の樹脂で、高物性が必要な場合はイソシアネートを使用した2液ウレタン等の熱硬化性樹脂を使用してもよい。艶調整剤としては、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム等がある。スクラッチ性向上のため、ワックス、シリコン、樹脂ビーズ等を添加してもよい。また、トップコート剤中に無機系抗菌剤を添加し、抗菌コートを作ることも可能である。抗菌剤としてはAg,Zn,Cuイオン等をゼオライト、ヒドロキシアパタイト、リン酸ジルコニウム等に担持したもので、塗料固形分に対し1〜10%添加すればよい。トップコート層の塗布量としては0.5〜5g/m2 がよい。
【0016】
印刷絵柄層を設けたPETフィルム(PET印刷紙)のラミネート方法としては熱ラミ方式を採用する。
【0018】
熱ラミ方式では、PET印刷紙の裏面に熱可塑性接着剤をコートし、ラミネートと同時にエマルジョン塗料を発泡させながらエンボス加工を施す。PETフィルムの裏面に易接着処理が施してある場合は熱可塑性接着剤のみでよいが、施していない場合はコロナ放電とPET密着プライマー処理を施してから熱可塑性接着剤をコートする。PET密着プライマーとしてはアクリル系、ポリエステル系、ウレタン系の樹脂を2液ウレタン化したものが望ましい。熱可塑性接着剤としては、アクリル系、ウレタン系、塩酢ビ系の樹脂で、常温でタックフリーであり、Tgが50〜80℃で、120℃で接着性のでるものが望ましい。そして、コート済み原反を170℃で1分間発泡させ、発泡出口でエンボス版と圧胴間にPET印刷紙をラミネートエンボスし製品を得る。また、コート及び発泡を1工程で行い、同様にラミネートエンボスしてもよい。
【0019】
【実施例】
(実施例1)
難燃紙(紀州製紙製の「E−140SRS」、坪量140g/m2 )を基材シートに使用し、その上にコンマコートにて下記組成Aの水性エマルジョンをコートして乾燥させた。乾燥は120℃で1分間行った。塗布量は100g/m2 (乾燥時)である。
【0020】
<組成A>
EVA 100重量部
チタン 10重量部
水酸化アルミニウム 100重量部
発泡剤 8重量部
エチレングリコール 1重量部
増粘剤 0.5重量部
消泡剤 2重量部
分散剤 1重量部
【0021】
厚さ12μmの2層共押出しPETフィルム(ICI社製の「メリネックス313」)のアクリル面に絵柄印刷とOP塗布を行った。柄インキには昭和インク工業所製の「UE」(アクリル系)を、OPインキにはザ・インクテック製の「UM−NO15」(アクリルポリオール2液ウレタン)を使用した。また、PETフィルムの裏面には、PET密着プライマー処理を施し、その上から熱可塑性接着剤をコートした。PET密着プライマーにはザ・インクテック製の「P−HS」(ポリエステルポリオール2液ウレタン)を使用した。熱可塑性接着剤には昭和インク工業所製の「壁紙ラミ用HS」(アクリル系)を使用した。
【0022】
以上のように未発泡コート原反とPET印刷紙を用意した。そして、未発泡コート原反を熱風加熱炉を通して170℃で1分間発泡させ、発泡出口でPET印刷紙とラミネートエンボスして製品を得た。
【0023】
(実施例2)
実施例1と同じPETフィルムのアクリル面に絵柄印刷とOP塗布を行った。この場合、柄インキは同じものを使用したが、OPインキには抗菌剤を添加したものを使用した。具体的には、ザ・インクテック製の「UM−X」(ポリエステルポリオール2液ウレタン)に抗菌剤(シナネン製の「AJ−10N」)を固形分に対し5部添加したものを使用した。実施例1と同様に、裏面処理を行ってから未発泡コート原反とラミネートエンボスして製品を得た。得られた化粧シートは、フィルム密着法による菌数測定法で、大腸菌、黄色ブドウ状球菌の抗菌性能があった。
【0024】
(比較例)
実施例1と同じ未発泡コート原反の上に絵柄とOPのグラビア印刷を行った。柄インキには昭和インク工業所製の「UE」(アクリル系)を、OPにはザ・インクテック製の「MXマットOP」(アクリル系)を使用した。そして、印刷紙を熱風加熱炉を通して170℃で1分間発泡させ、直後にエンボス加工を施して製品を得た。
【0025】
上記実施例1と比較例で得られた化粧シートの性能を比較した結果を表1に示す。なお、表1における「耐汚染性」は滴下24時間後に中性洗剤で拭き取った際の汚れの除去程度を見たものであり、「オープンタイム」は裏打紙に澱粉のりを塗布し、のり面同士を重ねて放置した後の剥離状況で見たものである。
【0026】
【表1】
【0027】
この表1から分かるように、実施例1の化粧シートは耐汚染性が向上し、オープンタイムも長くなった。また、印刷紙を較べると比較例の方は濃度ダウンが見られたが、実施例1の方は濃度ダウンがなく、最終製品でみると比較例の方は白っぽくなったが、実施例1の方は絵柄の濃度変化もなくシャープであった。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の化粧シートは、基材シートの上にカプセル発泡剤を含有する水性エマルジョン塗料を塗布して未発泡コート原反を作成し、PETフィルムの表面に印刷絵柄層と裏面に熱可塑性接着剤層を施してPET印刷紙を作成し、未発泡コート原反にPET印刷紙をラミネートすると同時に水性エマルジョン塗料を発泡させながらエンボス加工を施して得られることを特徴としているので、PETフィルムにより水性エマルジョン発泡層への汚染物質のしみ込みが遮断され耐汚染性が向上する。印刷絵柄層がPETフィルム上に形成されているため、シャープで鮮明な絵柄が再現でき、ロットのバラツキもなくなる。また、PETフィルムにより通気性、透湿性が下がり、施工時のオープンタイムが長くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に係る化粧シートの構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 基材シート
2 水性エマルジョン発泡層
3 接着剤層
4 PETフィルム
5 印刷絵柄層
Claims (2)
- 基材シートの上にカプセル発泡剤を含有する水性エマルジョン塗料を塗布して未発泡コート原反を作成し、PETフィルムの表面に印刷絵柄層と裏面に熱可塑性接着剤層を施してPET印刷紙を作成し、未発泡コート原反にPET印刷紙をラミネートすると同時に水性エマルジョン塗料を発泡させながらエンボス加工を施して得られることを特徴とする化粧シート。
- 印刷絵柄層の上に艶調整又は表面保護のための樹脂層がある請求項1に記載の化粧シート。
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JP31904296A JP3868042B2 (ja) | 1996-11-29 | 1996-11-29 | 化粧シート |
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JP31904296A JP3868042B2 (ja) | 1996-11-29 | 1996-11-29 | 化粧シート |
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JPH10157044A JPH10157044A (ja) | 1998-06-16 |
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JP31904296A Expired - Fee Related JP3868042B2 (ja) | 1996-11-29 | 1996-11-29 | 化粧シート |
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