JP5870799B2 - 化粧シート - Google Patents
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Description
1.透明性樹脂層を有する化粧シートであって、
(1)前記透明性樹脂層は、少なくとも一層のコア層と、当該中間層の上面及び下面に積層されるスキン層とから構成され、
(2)前記コア層は、オレフィン系エラストマー樹脂を含有し、前記スキン層は、エラストマー樹脂を含有せず、
(3)前記コア層の上面及び下面に積層されるスキン層は、厚み比率が、それぞれ、透明性樹脂層の厚み100%に対して5〜20%であり、且つ、引張弾性率が、それぞれ、600〜800MPaであり、
(4)前記透明性樹脂層は、引張弾性率が400〜600MPaである、
ことを特徴とする化粧シート。
2.前記透明性樹脂層のスキン層の引張弾性率は、コア層の引張弾性率以上の引張り弾性率を有する、上記項1に記載の化粧シート。
3.基材シート上に、絵柄層、前記透明性樹脂層及び表面保護層を順に積層してなる、上記項1又は2に記載の化粧シート。
4.前記透明性樹脂層と、表面保護層との間に、更に、表面保護層形成用プライマー層を有する、上記項3に記載の化粧シート。
5.上記項1〜4のいずれかに記載の化粧シートを、被着材に貼り合わせてなる化粧板。
以下、本発明の化粧シートについて詳細に説明する。
上記透明性樹脂層は、少なくとも一層のコア層と、当該コア層の上面及び下面に積層されるスキン層とから構成される。
上記コア層は、オレフィン系エラストマー樹脂を含有する。また、上記コア層は、オレフィン系エラストマー樹脂以外の樹脂成分を含んでいてもよい。
上記オレフィン系エラストマー樹脂の含有量が多過ぎると、耐傷性に劣り、また、オレフィン系エラストマー樹脂が透明性樹脂層の表面にブリードして、他の層との層間密着性に劣るおそれがある。少なすぎると、化粧シートを折り曲げた際の白化を十分に抑制できないおそれがある。
なお、コア層が2層以上の層から形成される場合、以下のコア層の厚み、厚み比率及び引張弾性率は、2層以上の層から形成されるコア層全体としての値である。
上記コア層の上面及び下面には、スキン層が積層される。
上記スキン層を形成するスキン層形成用樹脂組成物に用いられる樹脂としては、エラストマー樹脂を含有しなければ特に限定されず、例えば、透明性の熱可塑性樹脂により好適に形成できる。
基材シートとしては、1)薄紙,上質紙,クラフト紙,和紙,チタン紙,樹脂含浸紙,紙間強化紙等の紙、2)木質繊維,ガラス繊維,石綿,ポリエステル繊維,ビニロン繊維,レーヨン繊維等からなる織布又は不織布、3)ポリオレフィン,ポリエステル,ポリアクリル,ポリアミド,ポリウレタン,ポリスチレン等の合成樹脂製シート、の1種又は2種以上の積層体が挙げられる。
絵柄層は、柄インキ層及び/又はベタインキ層から構成される。絵柄層は、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷等の印刷法により形成できる。柄インキ層の模様は、例えば、木目模様、石目模様、布目模様、皮紋模様、幾何学模様、文字、記号、線画、各種抽象模様等が挙げられる。ベタインキ層は、着色インキのベタ印刷により得られる。絵柄層は、柄インキ層及びベタインキ層の片方又は両方から構成される。
表面保護層は、化粧シートに要求される耐擦傷性、耐摩耗性、耐水性、耐汚染性等の表面物性を付与するために設けられる。この表面保護層を形成する樹脂としては、熱硬化型樹脂又は電離放射線硬化型樹脂等の硬化型樹脂が好ましい。特に、電離放射線硬化型樹脂は高い表面硬度、生産性等の観点から好ましい。
上記化粧シートは、最下層(被着材と接着する層)に厚さ10〜200μmの合成樹脂層(いわゆるバッカー層)を有していてもよい。なお、バッカー層は、床用化粧材において衝撃吸収等を目的とした緩衝層を意味する。バッカー層を構成する材料としては、例えば、ポリプロピレン、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリメチレン、ポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート、耐熱性の高いポリアルキレンテレフタレート〔例えば、エチレングリコールの一部を1,4−シクロヘキサンジメタノールやジエチレングリコール等で置換したポリエチレンテレフタレートである、いわゆる商品名PET−G(イーストマンケミカルカンパニー製)〕、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合体、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリイミド、ポリスチレン、ポリアミド、ABS等が挙げられる。これらの樹脂は単独又は2種以上で使用できる。
本発明の化粧シートは、上記透明性樹脂層と、表面保護層との間に、更に、表面保護層形成用プライマー層が形成されていることが好ましい。表面保護層形成用プライマー層は、透明性樹脂層と表面保護層との接着性(密着性)を高める機能を有する。また、表面保護層の延伸部に微細な割れや白化を生じにくくする効果を有する。また、表面保護層形成用プライマー層を設けることにより、上記表面保護層の形成が容易となる。上記表面保護層形成用プライマー層は、透明性のものであれば特に限定されず、無色透明、着色透明、半透明等のいずれも含む。
本発明の化粧シートは、所望により、絵柄層と透明性樹脂層との間に、接着剤層を設けてもよい。
上記基材シートの裏面には、必要に応じて、裏面プライマー層を設けても良い。例えば、基材シートと被着材とを接着して床用化粧材を作製する際に有利である。
本発明は上記化粧シートの表面保護層が最表面層となるように当該化粧シートが被着材上に積層されてなる化粧板をも包含するものである。
本発明の化粧シートが積層される被着材は、特に制限されるものではなく、公知の被着材を用いることができる。上記被着材としては、例えば、木質材、金属、セラミックス、プラスチックス、ガラス等が挙げられる。特に、本発明の化粧シートは、鋼板などの金属材料、木質材に好適に使用することができる。上記金属材料としは、具体的には、アルミニウム板が挙げられ、また、熱延鋼板、冷延鋼板、溶融亜鉛メッキ鋼板、電気亜鉛メッキ鋼板、すずめっき鋼板、ステンレス鋼板、耐食性に優れたZn−Al−Mg−Si合金めっき鋼板等の鋼板が挙げられる。上記木質材としては、具体的には、杉、檜、欅、松、ラワン、チーク、メラピー等の各種素材から作られた突板、木材単板、木材合板、パティクルボード、中密度繊維板(MDF)等が挙げられる。
(透明性樹脂層の製造)
コア層に含まれる、オレフィン系エラストマー樹脂以外の樹脂成分として、示差走査熱量測定の融点が140℃であり、JIS K7210:1999に準拠して測定したメルトマスフローレートが7g/10minであるランダムポリプロピレンを用意した。次いで、JIS K7210:1999に準拠して測定したメルトマスフローレートが8g/10minであるオレフィン系エラストマー樹脂(商品名「プライムTPO J5900」プライムポリマー製)を用意し、上記ランダムポリプロピレンに添加してコア層形成用樹脂組成物とした。上記オレフィン系エラストマー樹脂の添加量は、ランダムポリプロピレン100重量部に対して30重量部であった。
スキン層の厚み比率を表1のように変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2、比較例1及び2の透明性樹脂層(化粧シート)を製造した。
耐熱試験(ブリードアウト性評価)
実施例1及び2、比較例1及び2の透明性樹脂層(化粧シート)を、80℃に設定したオーブン中に入れて3週間放置し、取り出し後の触感を評価した。
○:ベタツキ感がないもの
△:軽微なベタツキを感じるもの
×:ベタツキ感を感じるもの
上記試験の結果を、表1に示した。
両面にコロナ放電処理を施した60μmの厚さのポリプロピレン製の基材シートの一方の面に、アクリルウレタン系樹脂からなる印刷インキで2μm厚さの絵柄層を形成した。他方の面にウレタン−硝化綿混合樹脂100重量部にヘキサメチレンジイソシアネート5重量部を添加してなるプライマー剤を塗布して、2μmの厚さの裏面プライマー層を形成した。次いで、上記絵柄層上に、アクリルポリオール−ウレタン混合樹脂100重量部にヘキサメチレンジイソシアネート11重量部を添加してなる接着剤を固形分量が3g/m2となるように塗工し、3μm厚さの透明性接着剤層を形成した。
透明性樹脂層の引張弾性率、スキン層の厚み比率及び引張弾性率を表2のように変更した以外は実施例3と同様にして、実施例4〜8、比較例3〜20の化粧シート及び化粧鋼板を作製した。上記化粧シート又は化粧鋼板を、以下の評価方法により評価した。
引張弾性率
JIS K 6734の試験方法に準拠して、ダンベル型試験片状に打ち抜いた化粧シートを用意し、25℃の温度環境下、引張圧縮試験機(オリエンテック株式会社製:テンシロンRTC−1250A)を用い、引張速度50mm/分、チャック間距離80mmの条件で引張弾性率を測定した。
JIS Z 2248 6.3に規定されたVブロック法に準拠して、化粧鋼板の表面温度25℃、曲げ角度90°、曲げ内側半径0mmの条件で、鋼板折り曲げ試験を行った。
評価基準は、以下の通りである。
○:折り目付近が白化していないもの
△:折り目付近に軽微な白化が見られるものの、意匠的には問題ないもの
×:折り目付近が白化しているもの
化粧鋼板の表面温度を0℃にした以外は、上記鋼板折り曲げ試験(常温)と同様の試験を行った。
UVランプ(商品名「M04−L21WB/SUV」岩崎電気社製)、ランプジャケット(商品名「WJ50−SUV」岩崎電気社製)及び照度計(商品名「UVD−365PD」岩崎電機社製)を備えた超促進耐候性試験装置(商品名「アイ スーパー UVテスター SUV−W131」岩崎電気社製)を使用した。化粧シートに対し、ブラックパネル温度63℃、照度60mW/cm2、20時間照射・4時間結露を繰り返し、100時間後の表面保護層と透明性樹脂層との密着性、及び透明性樹脂層と基材シートとの密着性を測定した。
化粧シートの表面保護層に、室温下でセロファンテープ(ニチバン社製のセロファン粘着テープ、「セロテープ(登録商標)」25mm幅)を強く貼着させ、化粧鋼板の表面と90度の方向に、該セロファンテープを強制的に剥離した。化粧シートの表面の状態について評価した。
評価基準は、以下の通りである。
○:同じ場所で5回以上セロファンテープの剥離を行ったが、表面保護層の剥離がみられないもの
△:1回目は表面保護層の剥離が見られなかったが、2回目以降はセロファンテープ密着部分の一部に剥離がみられたもの
×:セロファンテープ密着部分の一部もしくは全面に剥離がみられたもの
テンシロン試験機を用いて、25mm巾の化粧シートの、透明性樹脂層と基材シートとを、剥離スピード100mm/minにてT字剥離し、荷重をN=3で測定して評価した。
評価基準は、以下の通りである。
○:15N以上のもの
△:10〜15N未満のもの
×:10N未満のもの
試験機が水平位置のときに鉛筆の先に対して500gの荷重を与えるように試験機を設定した以外は、JIS K 5600−5−4に準拠して、化粧鋼板の表面の鉛筆硬度試験を行った。試験は、鉛筆硬度試験機を用いて行い、傷付き始めの硬度により評価した。
判定基準は、以下の通りである。
◎:3B以上のもの
○:4Bのもの
△:5Bのもの
×:6B以下のもの
上記試験の結果を、表2に示した。
Claims (5)
- 透明性樹脂層を有する化粧シートであって、
(1)前記透明性樹脂層は、少なくとも1層のコア層と、当該コア層の上面及び下面に積層されるスキン層とから構成され、
(2)前記コア層は、オレフィン系エラストマー樹脂を含有し、前記スキン層は、エラストマー樹脂を含有せず、
(3)前記コア層の上面及び下面に積層されるスキン層は、厚み比率が、それぞれ、透明性樹脂層の厚み100%に対して5〜20%であり、且つ、引張弾性率が、それぞれ、600〜800MPaであり、
(4)前記透明性樹脂層は、引張弾性率が400〜600MPaである、
ことを特徴とする化粧シート。 - 前記透明性樹脂層のスキン層の引張弾性率は、コア層の引張弾性率以上の引張り弾性率を有する、請求項1に記載の化粧シート。
- 基材シート上に、絵柄層、前記透明性樹脂層及び表面保護層を順に積層してなる、請求項1又は2に記載の化粧シート。
- 前記透明性樹脂層と、表面保護層との間に、更に、表面保護層形成用プライマー層を有する、請求項3に記載の化粧シート。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の化粧シートを、被着材に貼り合わせてなる化粧板。
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