JP6036044B2 - 床用化粧材 - Google Patents

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本発明は、床用化粧材に関する。
従来、家屋の床用化粧材(例えば、フロア用台板)に用いられる木質系化粧板としては、良質な原木から得られる木質基材(例えば、広葉樹のラワン合板)の上面に接着剤を介して、天然木の意匠を有する化粧シートを貼着したものが知られている。
木質基材としては、上記広葉樹のラワン合板が多用されているが、近年、天然資源の窮乏、木材伐採制限等により原木が入手し難く、材料不足が進んでいる。この問題は、特にラワン等の広葉樹にとって深刻である。そのため、ラワン合板に代えて使用できる木質基材の開発が進められている。ラワン代替材料としては、針葉樹合板、早成樹合板(植林木合板)等が用いられている。これらの合板は、ラワン合板と比べると低比重であることから剛性度が低くなり、特に比重0.55以下のいわゆる低比重木質基材の場合には耐衝撃性が不十分であるという問題がある。このような問題を解決するために、各種方法が検討されている。
上記ラワン代替材料の表層部分に中密度繊維板(MDF)を貼り合わせた化粧材用基材が検討されている。この化粧材用基材は、耐衝撃性に優れる。しかしながら、MDFは、上記ラワン代替材料と比較して水分を吸収した時の寸法変化量が大きいので、基材全体が反りやすいという問題がある。
また、上記ラワン代替材料に、膜厚が大きく、かつ弾性のある合成樹脂からなる化粧シートを貼り合わせた床用化粧材が検討されている。この床用化粧材は、耐衝撃性に優れる。しかしながら、かかる床用化粧材は、温度変化の際に発生する化粧シートの線膨張によってシート応力が大きくなり、特に低比重木質基材を使用する場合には当該基材が割れてしまう。そこで、合成樹脂層全体に無機充填剤を多量含有することで化粧シートの線膨張係数を減少させる方法がある(特許文献1)が、かかる方法では化粧シートが脆くなり、化粧シートの割れが発生するという問題がある。
特許第4839541
本発明は、比重0.55以下の木質基材を用いる場合でも、優れた耐衝撃性を有し、かつ、寒熱による温度変化後における基材の耐割れ性及び寸法安定性にも優れた床用化粧材を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、化粧シートと比重0.55以下の木質基材との間に特定の合成樹脂層を積層する場合には、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の床用化粧材に関する。
1. 比重が0.55以下の木質基材に合成樹脂層及び化粧シートが順に積層された床用化粧材であって、
(1)前記合成樹脂層は、熱可塑性樹脂A及び熱可塑性樹脂Bを含有し、
(2)前記熱可塑性樹脂Bのガラス転移温度が、前記熱可塑性樹脂Aのガラス転移温度よりも高く、
(3)前記熱可塑性樹脂Bの含有量が、前記熱可塑性樹脂A100質量部に対して10〜50質量部であり、
(4)前記合成樹脂層の厚さが450〜650μmである、
ことを特徴とする、床用化粧材。
2. 前記合成樹脂層がスキン層A、コア層及びスキン層Bの3層から順に構成されており、
前記スキン層A及び前記スキン層Bは、それぞれ前記熱可塑性樹脂A及び前記熱可塑性樹脂Bを含有する、上記項1に記載の床用化粧材。
3. 前記熱可塑性樹脂Bが石油樹脂である、上記項1又は2に記載の床用化粧材。
4. 前記熱可塑性樹脂Bが、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂及び芳香族系石油樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種である、上記項1〜3のいずれかに記載の床用化粧材。
以下、本発明の床用化粧材について説明する。
本発明の床用化粧材は、比重が0.55以下の木質基材に合成樹脂層及び化粧シートが順に積層された床用化粧材であって、
(1)前記合成樹脂層は、熱可塑性樹脂A及び熱可塑性樹脂Bを含有し、
(2)前記熱可塑性樹脂Bのガラス転移温度が、前記熱可塑性樹脂Aのガラス転移温度よりも高く、
(3)前記熱可塑性樹脂Bの含有量が、前記熱可塑性樹脂A100質量部に対して10〜50質量部であり、
(4)前記合成樹脂層の厚さが450〜650μmである、
ことを特徴とする。
上記特徴を有する本発明の床用化粧材は、特に、化粧シートと比重0.55以下の木質基材との間に特定の合成樹脂層を積層することにより、比重0.55以下の木質基材を用いる場合でも、優れた耐衝撃性(衝撃による耐割れ性及び耐凹み性)を有し、かつ、寒熱(寒暖)による温度変化後における木質基材の耐割れ性及び寸法安定性にも優れる。

以下、本発明の床用化粧材を構成する各層について説明する。
木質基材
本発明の床用化粧材は、比重が0.55以下(特に、0.3〜0.5程度)という低比重木質基材(以下、単に木質基材ともいう)を有する。
木質基材の材質としては、ラワン代替材料(従来のラワン合板等に置き換わる材料)を用いることが好ましい。具体的には、針葉樹合板及び/又は早成樹合板を用いることが好ましい。上記早成樹としては、ポプラ、ファルカタ、アカシア、カメレレ、ユーカリ、ターミナリア等が挙げられる。また、上記針葉樹としては、椴松、唐松等が挙げられる。なかでも、ファルカタを用いることが好ましい。
木質基材の厚さは限定的ではないが、3〜15mm程度が好ましく、10〜15mm程度がより好ましい。
また、木質基材を構成する木質単板の積層数(プライ数)も限定的ではないが、3〜7枚が好ましく、5〜7枚がより好ましい。木質基材は、1種又は2種以上の材質を組み合わせて用いることができる。
木質基材として木質合板を使用する場合、当該合板作製時に用いる接着剤としては限定されず、公知の木工用接着剤が広く使用できる。接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、アイオノマー、ブタジエン・アクリルニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム等を有効成分とする接着剤が挙げられる。
合成樹脂層
本発明の床用化粧材は、以下の(1)〜(4)の要件を満たす合成樹脂層を用いる。即ち、本発明では、
(1)熱可塑性樹脂A及び熱可塑性樹脂Bを含有し、
(2)前記熱可塑性樹脂Bのガラス転移温度が、前記熱可塑性樹脂Aのガラス転移温度よりも高く、
(3)前記熱可塑性樹脂Bの含有量が、前記熱可塑性樹脂A100質量部に対して10〜50質量部であり、
(4)厚さが450〜650μmである、
合成樹脂層を用いる。なお、本明細書では、ガラス転移温度をTg(単位℃、以下同じ)、前記熱可塑性樹脂Aのガラス転移温度をTgA、前記熱可塑性樹脂Bのガラス転移温度をTgBともいう。上記(2)の要件を式で表すと、TgA < TgBである。
本発明の床用化粧材で用いる合成樹脂層が、上記(1)〜(4)の要件を全て満たすことによって、比重が0.55以下という低比重木質基材を用いる場合でも、優れた耐衝撃性並びに寒熱による温度変化後の木質基材の耐割れ性及び寸法安定性に優れる。熱可塑性樹脂Bの含有量が、前記熱可塑性樹脂A100質量部に対して10質量部未満であると、寒熱による温度変化後の木質基材の耐割れ性及び寸法安定性に優れた床用化粧材が得られない場合があり、上記含有量が50質量部を超えると、耐衝撃性(衝撃による耐割れ性)に優れた床用化粧材が得られない場合がある。合成樹脂層の厚さが450μm未満であると、耐衝撃性(衝撃による耐凹み性)に優れた床用化粧材が得られない場合があり、当該厚さが650μmを超えると、寒熱による温度変化後の木質基材の耐割れ性及び寸法安定性に優れた床用化粧材が得られない場合がある。好ましい合成樹脂層の厚さは500〜600μmである。
なお、熱可塑性樹脂Bの好ましい含有量は、熱可塑性樹脂A100質量部に対して20〜40質量部である。
合成樹脂層に含まれる熱可塑性樹脂Aとしては、例えば、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリメチレン、ポリメチルベンゼン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合体、ポリイミド、ポリスチレン、ポリアミド、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)等が挙げられる。熱可塑性樹脂Aは1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。好ましい熱可塑性樹脂Aは、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリエチレンテレフタレートからなる群から選ばれた少なくとも1種である。
合成樹脂層に含まれる熱可塑性樹脂Bとしては、例えば、石油樹脂(石油精製工業や石油化学工業の工程上得られる特定留分(オレフィン、ジオレフィンなどの重合性化合物を含むもの)を重合し樹脂化したもの)が挙げられる。熱可塑性樹脂Bは1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
石油樹脂としては、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂及び芳香族系石油樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種が好ましい。また、石油樹脂を水素化した水添石油樹脂(脂肪族系水添石油樹脂、脂環族系水添石油樹脂、芳香族系水添石油樹脂など)を使用することもできる。
脂肪族系石油樹脂とは、分解油留分のうち主にC5留分(例えばイソプレンなどのオレフィンや1,3−ペンタジエンなどのジオレフィン等)を原料とする樹脂である。市販品として、クイントン100シリーズ(日本ゼオン株式会社製)が挙げられる。
脂環族系石油樹脂とは、分解油のうち主に脂環式留分(例えばシクロペンタジエン)などを原料とする樹脂である。また、芳香族石油樹脂を水素化して得られる樹脂も含まれる。市販品としては、アイマーブ(出光興産株式会社製)が挙げられる。
芳香族系石油樹脂とは、分解油留分のうち主にC9留分(例えばビニルトルエンなど)を原料とする樹脂である。市販品としては、日石ネオポリマー(JX日鉱日石エネルギー株式会社製)が挙げられる。
合成樹脂層は、単層であっても良いし、2層以上からなる構成であっても良い。2層以上とする場合、その積層方法は、例えば、押出し法等の公知の方法を適宜選択して積層することができる。
合成樹脂層が2層以上から構成される場合、当該合成樹脂層は、少なくとも(i)上面に積層された最外層(最表層。化粧シートと接する層ともいう。)に相当するスキン層A、及び(ii)下面に積層された最外層(最裏面層。木質基材と接する層ともいう。)に相当するスキン層Bを有する。このスキン層A及びスキン層Bは、それぞれ熱可塑性樹脂A及び熱可塑性樹脂Bを含有する。
ここで、合成樹脂層が3層から構成される場合について説明する。合成樹脂層が3層から構成される場合、当該3層はおもて面から順にスキン層A、コア層及びスキン層Bから構成される。前記スキン層A及びスキン層Bは、上述の通り、それぞれ熱可塑性樹脂A及び熱可塑性樹脂Bを含有する。一方、前記コア層は、少なくとも熱可塑性樹脂Aを含有し、熱可塑性樹脂Bについては含有していても良く、含有してなくても良い。
合成樹脂層が2層以上から構成される場合における、スキン層A及びスキン層Bの厚さは、合成樹脂層全体の厚さが450〜650μmであれば特に限定されない。
合成樹脂層は、合成樹脂層を構成する樹脂又は樹脂組成物を、カレンダー法、インフレーション法、押出し法(例えば、Tダイ押出し機による押出し法)等によりフィルム状に形成することにより得られる。
後述する化粧シートと合成樹脂層との接着方法は、例えば、2液硬化型ウレタン樹脂等の公知のドライラミネーション用接着剤を介したドライラミネーション法、Tダイ押出し法による溶融樹脂の熱を利用した熱ラミネート法等が挙げられる。
合成樹脂層(又は後述する化粧シートと合成樹脂層とを接着させた床用化粧材中間体)を木質基材に積層する際は、公知の接着剤が使用できる。接着剤としては、例えば、ポリオール成分とイソシアネート成分からなる2液硬化型ポリウレタン系接着剤、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、アイオノマー、ブタジエン・アクリロニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム等を有効成分とする水系(水系エマルジョン)接着剤;PUR等の反応性ホットメルト系接着剤、などの接着剤が挙げられる。
2液硬化型ポリウレタン系接着剤を使用する場合、前記ポリオール成分としては、ポリエステルポリオール、ポリエステルポリウレタンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテルポリウレタンポリオール等を挙げることができ、イソシアネート成分としては、TDI、MDI、HDI、PIDI、XDI等のジイソシアネートおよびこれらを出発原料とする変性体を挙げることができる。塗布量や作業性および作業環境を考慮すると、エマルジョンタイプの硬化型接着剤が好ましく、湿気硬化型ホットメルト接着剤がより好ましい。
接着剤層(接着剤層A)の厚さは限定的ではないが、0.1〜50μm程度が好ましい。
なお合成樹脂層には、本発明の効果を阻害しない程度に耐候剤、可塑剤、安定剤、無機フィラー、分散剤、染料、顔料等の着色剤等を必要に応じて含んでもよい。
化粧シート
本発明で用いる化粧シートの層構成は限定的ではない。例えば、(1)基材シート上に絵柄模様層(ベタインキ層及び/又は柄インキ層)、接着剤層、透明性樹脂層、プライマー層及び表面保護層を順に有する化粧シート(なお、前記基材シートが合成樹脂である場合にはいわゆるダブリング仕様と称される)、(2)いわゆる単層仕様の化粧シート(ダブリング仕様において透明性樹脂層を設けない化粧シート)、(3)いわゆるバックプリント仕様の化粧シート((1)の化粧シートにおいて基材シートを設けない化粧シート)のいずれも使用できる。
以下、上記(1)の化粧シートについて例示的に説明する。
基材シートとしては、1)薄紙,上質紙,クラフト紙,和紙,チタン紙,樹脂含浸紙,紙間強化紙等の紙、2)木質繊維,ガラス繊維,石綿,ポリエステル繊維,ビニロン繊維,レーヨン繊維等からなる織布又は不織布、3)ポリオレフィン,ポリエステル,ポリアクリル,ポリアミド,ポリウレタン,ポリスチレン等の合成樹脂製シート、の1種又は2種以上の積層体が挙げられる。
基材シートの厚さは、20〜300μm程度が好ましい。基材シートは、必要に応じて着色されていてもよい。また、表面にコロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理等の表面処理が施されていてもよい。
絵柄模様層は、柄インキ層及び/又はベタインキ層から構成される。絵柄模様層は、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷等の印刷法により形成できる。柄インキ層の模様は、例えば、木目模様、石目模様、布目模様、皮紋模様、幾何学模様、文字、記号、線画、各種抽象模様等が挙げられる。また、ベタインキ層は、着色インキのベタ印刷により得られる。
絵柄模様層のインキとしては、ビヒクルとして、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、イソシアネートとポリオールからなるポリウレタン、ポリアクリル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、アクリル−ウレタン共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂等を1種又は2種以上混合して用い、これに顔料、溶剤、各種補助剤等を加えてインキ化したものが使用できる。この中でも、環境問題、被印刷面との密着性等の観点より、ポリエステル、イソシアネートとポリオールからなるポリウレタン、ポリアクリル、ポリアミド系樹脂等の1種又は2種以上の混合物が好ましい。
接着剤層(接着剤層B)は、絵柄模様層と透明性樹脂層との間に設けられる。接着剤層は、例えば、2液硬化型ウレタン樹脂等の公知のドライラミネーション用接着剤を塗布・乾燥させることにより得られる。
接着剤層は、乾燥後の厚みが0.1〜30μm程度が好ましく、1〜20μm程度がより好ましい。
透明性樹脂層は、透明性の樹脂層であれば特に限定されず、例えば、透明性の熱可塑性樹脂により好適に形成できる。
具体的には、軟質、半硬質又は硬質ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、ポリアクリル酸エステル、ポリメタアクリル酸エステル等が挙げられる。上記の中でも、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂が好ましい。
透明性樹脂層は、着色されていてもよい。この場合は、熱可塑性樹脂に着色剤を添加すればよい。着色剤としては、絵柄模様層で用いる顔料又は染料が使用できる。
透明性樹脂層には、充填剤、艶消し剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、ラジカル捕捉剤、軟質成分(例えば、ゴム)等の各種の添加剤を含めてもよい。
透明性樹脂層は、10〜150μm程度が好ましく、30〜100μm程度がより好ましい。
プライマー層は、透明性樹脂層と表面保護層の密着性を向上させるために設ける。プライマー層は透明又は半透明な層であり、絵柄模様層のビヒクルとして例示した樹脂を用いて形成することができる。
プライマー層は、0.5〜20μm程度が好ましく、1〜5μm程度がより好ましい。
表面保護層を構成する樹脂は、熱硬化型樹脂、電離放射線硬化型樹脂(例えば、電子線硬化型樹脂)等の硬化型樹脂が好ましい。特に電離放射線硬化型樹脂は、高い表面硬度、生産性等の観点から好ましい。
熱硬化型樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂(2液硬化型ポリウレタンも含む)、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。
上記樹脂には、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤を添加することができる。例えば、硬化剤としてはイソシアネート、有機スルホン酸塩等が不飽和ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂等に添加でき、有機アミン等がエポキシ樹脂に添加でき、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、アゾイソブチルニトリル等のラジカル開始剤が不飽和ポリエステル樹脂に添加できる。
熱硬化型樹脂で表面保護層を形成する方法は、例えば、熱硬化型樹脂の溶液をロールコート法、グラビアコート法等の塗布法で塗布し、乾燥・硬化させる方法が挙げられる。
電離放射線硬化型樹脂は、電離放射線の照射により架橋重合反応を生じ、3次元の高分子構造に変化する樹脂であれば限定されない。例えば、電離放射線の照射により架橋可能な重合性不飽和結合又はエポキシ基を分子中に有するプレポリマー、オリゴマー及びモノマーの1種以上が使用できる。例えば、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート等のアクリレート樹脂;シロキサン等のケイ素樹脂;ポリエステル樹脂;エポキシ樹脂などが挙げられる。
電離放射線としては、可視光線、紫外線(近紫外線、真空紫外線等)、X線、電子線、イオン線等があるが、この中でも、紫外線及び/又は電子線が望ましい。
紫外線源としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯の光源が使用できる。紫外線の波長としては、190〜380nm程度である。
電子線源としては、例えば、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が使用できる。電子線のエネルギーとしては、100〜1000keV程度が好ましく、100〜300keV程度がより好ましい。電子線の照射量は、2〜15Mrad程度が好ましい。
電離放射線硬化型樹脂は電子線を照射すれば十分に硬化するが、紫外線を照射して硬化させる場合には、光重合開始剤(増感剤)を添加することが好ましい。
ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合の光重合開始剤は、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、ミヒラーケトン、ジフェニルサルファイド、ジベンジルジサルファイド、ジエチルオキサイト、トリフェニルビイミダゾール、イソプロピル−N,N−ジメチルアミノベンゾエート等の少なくとも1種が使用できる。また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル、フリールオキシスルホキソニウムジアリルヨードシル塩等の少なくとも1種が使用できる。
光重合開始剤の添加量は特に限定されないが、一般に電離放射線硬化型樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部程度である。
電離放射線硬化型樹脂で表面保護層を形成する方法としては、例えば、電離放射線硬化型樹脂の溶液をグラビアコート法、ロールコート法等の塗布法で塗布すればよい。
表面保護層の厚さは、通常0.1〜50μm、好ましくは1〜20μm程度である。
電離放射線硬化型樹脂から形成された表面保護層に、耐擦傷性、耐摩耗性をさらに付与する場合には、無機充填材を配合すればよい。無機充填材としては、例えば、粉末状の酸化アルミニウム、炭化珪素、二酸化珪素、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、マグネシウムパイロボレート、酸化亜鉛、窒化珪素、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化鉄、窒化硼素、ダイヤモンド、金剛砂、タルク、ガラス繊維等が挙げられる。
無機充填材の添加量としては、電離放射線硬化型樹脂100質量部に対して1〜80質量部程度である。
化粧シートを構成する各層の積層は、例えば、基材シートの一方の面に絵柄模様層(ベタインキ層、柄インキ層)を印刷により形成後、絵柄模様層上に2液硬化型ウレタン樹脂等の公知のドライラミネーション用接着剤(透明性の接着剤層)を介して透明性樹脂層をドライラミネーション法、Tダイ押出し法等で積層し、更にプライマー層を介して透明性の表面保護層を積層する方法により行える。
透明性樹脂層もしくは表面保護層側からエンボス加工を施して凹凸模様を形成してもよい。凹凸模様は、加熱プレス、ヘアライン加工等により形成できる。凹凸模様としては、導管溝、石板表面凹凸、布表面テクスチュア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等が挙げられる。
防湿フィルム
木質基材の裏面には、必要に応じて防湿フィルムを積層してもよい。防湿フィルムは、湿度の影響による木質基材の経時的な反りや曲がりの発生を抑制するために用いる。防湿フィルムの透湿度は、温度40℃、湿度90%において7g/m2・24時間以下が好ましく、特に5g/m2・24時間以下が好ましい。
防湿フィルムは所望の透湿度を満たす限り限定されず、例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン等のオレフィン系熱可塑性樹脂、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート等のエステル系熱可塑性樹脂などの合成樹脂製フィルムが使用できる。この中でも、特に少なくとも合成樹脂製基材層と蒸着層とを有するものが好ましい。以下、この態様について例示して説明する。
合成樹脂製基材層としては、ポリエチレン,ポリプロピレン,エチレン−プロピレン共重合体,エチレン−ビニルアルコール共重合体,これらの混合物等のオレフィン系熱可塑性樹脂;ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合体,ポリカーボネート,ポリアリレート等のエステル系熱可塑性樹脂;ポリメタアクリル酸メチル,ポリメタアクリル酸エチル,ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系熱可塑性樹脂;ポリイミド、ポリウレタン、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)等の非ハロゲン系熱可塑性樹脂などが挙げられる。
合成樹脂製基材層は、一軸又は二軸方向に延伸したシートであっても、未延伸であってもよい。合成樹脂製基材層は、更に蒸着層が積層されることが好ましく、蒸着層が形成される基材としての位置付けから、機械的強度が強く、寸法安定性に優れるなどの理由から二軸方向に延伸したシートが好ましい。合成樹脂製基材層の厚さは、概ね9〜25μmが適当である。
蒸着層としては、アルミニウムに代表される金属薄膜からなる無機物の蒸着層、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムに代表される無機酸化物薄膜からなる無機酸化物蒸着層が挙げられる。蒸着層は、真空蒸着法、プラズマ活性化化学反応蒸着法等の周知の蒸着法で、合成樹脂製基材層に形成される。より好ましくは、蒸着層が透明である無機酸化物蒸着層である。
蒸着層のガスバリア性を一層向上させる目的で、蒸着層上に表面コート層を設けてもよい。表面コート層としては、ポリビニルアルコール系樹脂が挙げられる。また、一般式R1 nM(OR2)m(ただし、式中、R1、R2は炭素数1〜8の有機基を表し、Mは金属原子を表し、nは0以上の整数を表し、mは1以上の整数を表し、n+mはMの原子価を表す)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体とを含有し、更にゾル−ゲル法触媒、酸、水及び有機溶剤の存在下でゾルゲル法によって重縮合して調製される組成物が挙げられる。また、ポリビニルアルコール及びエチレン・ビニルアルコール共重合体を組み合わせることによって、ガスバリア性、耐水性、耐候性などが著しく向上する。上記組成物にはシランカップリング剤等を添加してもよい。これらの樹脂又は組成物を蒸着層上にロールコート法、グラビアコート法等の周知の塗布方法で塗布することにより表面コート層が得られる。表面コート層は蒸着層の保護層としても機能し、その厚さは概ね1〜10μmが適当である。
上記合成樹脂製基材層及び/又は上記表面コート層は、必要に応じて、コロナ処理等の表面処理を施すことができる。このような表面処理によって、更に隣接層との接着強度を高めることができる。
本発明では、合成樹脂製基材層と蒸着層との間、並びに防湿フィルムの片面又は両面に更にプライマー層を設けてもよい。例えば、おもて面側から表面コート層、蒸着層、プライマー層及び合成樹脂製基材層を順に積層した防湿フィルムは好適な態様であり、更に、当該防湿フィルムの片面又は両面にプライマー層を設けた態様でも良い。
これらのプライマー層は、合成樹脂製基材層と蒸着層との密着性を高めるためや、防湿フィルムを他の層に積層する際の密着性を高めるために設ける。
このようなプライマー層に用いる樹脂としては、エステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール系樹脂、ニトロセルロース系樹脂等を挙げることができ、これらの樹脂は単独又は混合して使用できる。プライマー層の形成は、ロールコート法やグラビア印刷法等の適宜の塗布手段を用いて行える。
この中でも、プライマー層は、(i)アクリル樹脂とウレタン樹脂との共重合体と(ii)イソシアネートとから形成するのが好ましい。即ち、(i)のアクリル樹脂とウレタン樹脂との共重合体は、末端に水酸基を有するアクリル重合体成分(成分A)、両末端に水酸基を有するポリエステルポリオール成分(成分B)、ジイソシアネート成分(成分C)を配合して反応させてプレポリマーとなし、該プレポリマーに更にジアミンなどの鎖延長剤(成分D)を添加して鎖延長することで得られるものである。この反応によりポリエステルウレタンが形成されると共にアクリル重合体成分が分子中に導入され、末端に水酸基を有するアクリル−ポリエステルウレタン共重合体が形成される。このアクリル−ポリエステルウレタン共重合体の末端の水酸基を(ii)のイソシアネートと反応させて硬化させて形成する。
前記成分Aは、末端に水酸基を有する直鎖状のアクリル酸エステル重合体が用いられる。具体的には、末端に水酸基を有する直鎖状のポリメチルメタクリレート(PMMA)が耐候性(特に光劣化に対する特性)に優れ、ウレタンと共重合させるのが容易である点から好ましい。前記成分Aは、共重合体においてアクリル樹脂成分となるものであり、分子量5000〜7000(重量平均分子量)のものが耐候性、接着性が特に良好であるために好ましく用いられる。また、前記成分Aは、両末端に水酸基を有するもののみを用いてもよいが、片末端に共役二重結合が残っているものを上記の両末端に水酸基を有するものと混合して用いてもよい。
前記成分Bは、ジイソシアネートと反応してポリエステルウレタンを形成し、共重合体においてウレタン樹脂成分を構成する。前記成分Bは、両末端に水酸基を有するポリエステルジオールが用いられる。このポリエステルジオールとしては、芳香族又はスピロ環骨格を有するジオール化合物とラクトン化合物又はその誘導体、又はエポキシ化合物との付加反応生成物、二塩基酸とジオールとの縮合生成物、及び、環状エステル化合物から誘導されるポリエステル化合物等を挙げることができる。上記ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、メチルペンテンジオール等の短鎖ジオール;1, 4−シクロへキサンジメタノール等の脂環族短鎖ジオール等を挙げることができる。また、二塩基酸としては、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等を挙げることができる。ポリエステルポリオールとして好ましいのは、酸成分としてアジピン酸又はアジピン酸とテレフタル酸の混合物、特にアジピン酸が好ましく、ジオール成分として3−メチルペンテンジオール及び1,4−シクロへキサンジメタノールを用いたアジペート系ポリエステルである。
前記プライマー層において、前記成分Bと前記成分Cとが反応して形成されるウレタン樹脂成分は、前記プライマー層に柔軟性を与え、接着性向上に寄与する。また、アクリル重合体からなるアクリル樹脂成分は、前記プライマー層において耐候性および耐ブロッキング性に寄与する。ウレタン樹脂において、前記成分Bの分子量は前記プライマー層に柔軟性を十分に発揮可能なウレタン樹脂が得られる範囲であればよく、アジピン酸又はアジピン酸とテレフタル酸の混合物と、3−メチルペンタンジオール及び1, 4−シクロへキサンジメタノールからなるポリエステルジオールの場合、500〜5000(重量平均分子量)が好ましい。
前記成分Cは、1分子中に2個のイソシアネート基を有する脂肪族又は脂環族のジイソシアネート化合物が用いられる。このジイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、2, 2, 4 (2, 4, 4)−1, 6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4, 4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1, 4’−シクロヘキシルジイソシアネート等を挙げることができる。ジイソシアネート成分としては、イソホロンジイソシアネートが物性及びコストの点で好ましい。上記の成分A〜Cを反応させる場合のアクリル重合体、ポリエステルポリオールおよび後述する鎖延長剤の合計の水酸基(アミノ基の場合もある)と、イソシアネート基の当量比はイソシアネート基が過剰となるようにする。
上記の三成分A、B、Cを60〜120℃で2〜10時間程度反応させると、ジイソシアネートのイソシアネート基がポリエステルポリオール末端の水酸基と反応してポリエステルウレタン樹脂成分が形成されると共にアクリル重合体末端の水酸基にジイソシアネートが付加した化合物も混在し、過剰のイソシアネート基及び水酸基が残存した状態のプレポリマーが形成される。このプレポリマーに鎖延長剤として、例えば、イソホロンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のジアミンを加えてイソシアネート基を前記鎖延長剤と反応させ、鎖延長することでアクリル重合体成分がポリエステルウレタンの分子中に導入され、末端に水酸基を有する(i)のアクリル−ポリエステルウレタン共重合体を得ることができる。
(i)のアクリル−ポリエステルウレタン共重合体に、(ii)のイソシアネートを加えると共に、塗布法、乾燥後の塗布量を考慮して必要な粘度に調節した塗布液となし、グラビアコート法、ロールコート法等の周知の塗布法で塗布することにより前記プライマー層を形成すればよいものである。また、(ii)のイソシアネートとしては、(i)のアクリル−ポリエステルウレタン共重合体の水酸基と反応して架橋硬化させることが可能なものであればよく、たとえば、2価以上の脂肪族ないし芳香族イソシアネートが使用でき、特に熱変色防止、耐候性の点から脂肪族イソシアネートが望ましい。具体的には、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4, 4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートの単量体、これらの2量体、3量体などの多量体、或いは、これらのイソシアネートをポリオールに付加した誘導体(アダクト体)のようなポリイソシアネートなどを挙げることができる。
なお、前記プライマー層の乾燥後の塗布量としては、1〜20g/m2であり、好ましくは1〜5g/mである。また、前記プライマー層は、必要に応じてシリカ粉末などの充填剤、光安定剤、着色剤等の添加剤を添加した層としてもよいものである。
防湿フィルムを木質基材の裏面に積層する際は、公知の接着剤が使用できる。接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、アイオノマー、ブタジエン・アクリルニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム等を有効成分とする接着剤が挙げられる。接着剤層の厚さは限定的ではないが、0.1〜50μm程度が好ましい。
本発明の床用化粧材は、各種建築物の床面に施工する床用化粧材及び特殊用途として床暖房用途に用いる床用化粧材として適している。
本発明の床用化粧材は、特に、化粧シートと比重0.55以下の木質基材との間に特定の合成樹脂層を積層することにより、比重0.55以下の木質基材を用いる場合でも、優れた耐衝撃性を有し、かつ、寒熱による温度変化後における木質基材の耐割れ性及び寸法安定性にも優れる。
本発明の床用化粧材の一態様を示す模式図である。
実施例1
≪化粧シートの作製≫
両面にコロナ放電処理を施した60μm厚さのポリプロピレンフィルムの一方の面に2液硬化型アクリルウレタン樹脂からなる印刷インキで2μm厚さの絵柄模様層を形成した。
次に、当該絵柄模様層の上に、乾燥後の厚みが3μmとなるようにウレタン樹脂系接着剤を塗布して、接着剤層を形成した。当該接着剤層上に、Tダイ押出し機でポリプロピレン系樹脂を加熱溶融押出しして80μm厚さの透明性樹脂層を形成した。次に、透明性樹脂層の表面にコロナ放電処理を施した後、当該コロナ放電処理を行った面に対して、乾燥後の厚みが1μmとなるようにアクリルウレタン系樹脂をグラビア印刷法で塗工することによりプライマー層を形成した。
当該プライマー層表面に対して、固形分量が15 g/m2となるようにウレタンアクリレート系電離放射線硬化型樹脂をロールコート法により塗布し、次いで酸素濃度200ppm以下の環境下において電子線照射装置を用いて、加速電圧125KeV、5Mradの条件で電子線を照射して硬化させることで表面保護層を形成した。次に、当該表面保護層側からエンボス加工により深さ30μmの木目導管柄の凹凸模様を形成することにより化粧シートを作製した。
≪床用化粧材の作製≫
次に、以下の成分(1)及び(2)からなる樹脂組成物:
(1) 熱可塑性樹脂A(ポリプロピレン系樹脂、TgA=−20) 100質量部
(2) 熱可塑性樹脂B(脂環族系石油樹脂、 TgB= 80) 30質量部
を、Tダイ押出し機によって加熱溶融押出しすることにより合成樹脂層(バッカー層)を得て、さらに当該合成樹脂層上に前記化粧シートの基材シート側を載せて熱ラミネートすることによって、化粧シートと合成樹脂層とを接着させた。これにより、床用化粧材中間体を得た。なお、合成樹脂層の厚さは450μmであって、上記(1)及び(2)成分の溶融押出し時の樹脂温度は240℃であった。
次いで、ファルカタ合板(厚み12mm、5プライ、比重0.3)に、水系接着剤(BA−10L/BA−11B、中央理化工業株式会社製、9g/尺角)を介して前記床用化粧材中間体を貼り合わせた。なお、前記床用化粧材中間体は、当該床用化粧材中間体の合成樹脂層が前記水系接着剤と接するようにして貼り合わされた。最後に、ギャングソーで縦313mm×長さ1840mmの大きさにカットすることにより、本発明の床用化粧材を作製した。なお、尺角とは、縦303mm×横303mmで表される平面の面積を示す。
実施例2〜5、並びに比較例1〜3、5及び6
合成樹脂層の厚さ及び/又は脂環族系石油樹脂の含有量を適宜変更する以外は、実施例1と同様にして床用化粧材を作製した。なお、合成樹脂層の厚さ及び熱可塑性樹脂Bの含有量は、表1に示す通りである。
実施例6
実施例1と同様にして化粧シートを作製した。次に、以下の成分からなるスキン層B形成樹脂組成物、コア層形成樹脂組成物及びスキン層A形成樹脂組成物:
≪スキン層A形成樹脂組成物の成分、及びスキン層B形成樹脂組成物の成分≫
(1) 熱可塑性樹脂A(ポリプロピレン系樹脂、TgA=−20) 100質量部
(2) 熱可塑性樹脂B(脂環族系石油樹脂、 TgB= 80) 30質量部
≪コア層形成樹脂組成物の成分≫
(1) ポリプロピレン系樹脂(Tg=−20)
をTダイ押出し機によって加熱溶融して3層に押出しすることにより、スキン層B(68.75μm)、コア層(412.5μm)及びスキン層A(68.75μm)の3層からなる合成樹脂層(550μm)を得た。さらに、当該合成樹脂層のスキン層A上に前記化粧シートの基材シート側を載せて熱ラミネートすることによって、化粧シートと合成樹脂層とを接着させた。これにより、床用化粧材中間体を得た。その後は、実施例1と同様にして床用化粧材中間体とファルカタ合板(厚み12mm、5プライ、比重0.3)とを貼り合わせることにより、床用化粧材を作製した。
実施例7
実施例1に記載の合成樹脂層に代えて、以下の成分(1)及び(2)からなる樹脂組成物:
(1) 熱可塑性樹脂A(ポリエチレン系樹脂、TgA=−120) 100質量部
(2) 熱可塑性樹脂B(脂環族系石油樹脂、 TgB= 80) 30質量部
を、Tダイ押出し機によって加熱溶融押出しすることにより得られる550μm厚さの合成樹脂層を使用する以外は、実施例1と同様にして化粧シート及び床用化粧材を作製した。
比較例4
実施例1に記載の合成樹脂層に代えて、以下の成分(1)及び(2)からなる樹脂組成物:
(1) 熱可塑性樹脂A(ポリプロピレン系樹脂、TgA=−20) 100質量部
(2) 無機充填剤(タルク) 30質量部
を、Tダイ押出し機によって加熱溶融押出しすることにより得られる550μm厚さの合成樹脂層を使用する以外は、実施例1と同様にして化粧シート及び床用化粧材を作製した。
なお、実施例1〜7及び比較例1〜6の床用化粧材の(i)合成樹脂層の厚さ、(ii)熱可塑性樹脂Aの種類、(iii)TgA(熱可塑性樹脂Aのガラス転移温度、単位℃)、(iv)熱可塑性樹脂Bの種類、(v)TgB(熱可塑性樹脂Bのガラス転移温度、単位℃)、(vi) 熱可塑性樹脂A100質量部に対する熱可塑性樹脂Bの含有量(質量部)、(vii)合成樹脂層の層数について、以下の表1に記載している。
試験例1(デュポン衝撃試験)
JIS K5600-5-3のデュポン衝撃試験に従って、実施例1〜7及び比較例1〜6の床用化粧材の表面上に、半径6.35mmの半球形状の先端を有した撃ち型を静止させ、前記撃ち型上に500g荷重のおもりを高さ30cmから9箇所に落下させることにより評価した。具体的には、(1)9箇所の平均凹み量、及び、(2)化粧シートの割れ数を評価した。基準は、次の通りとした。なお、△評価、○評価及び◎評価を合格と判断した。
≪(1)平均凹み量評価基準≫
◎:平均凹み深さが300μm以下
○:平均凹み深さが300μmよりも大きく、400μm以下
△:平均凹み深さが400μmよりも大きく、500μm以下
×:平均凹み深さが500μmよりも大きい
≪(2)化粧シートの割れ数評価基準≫
◎:化粧シートの割れ数が2箇所以下
○:化粧シートの割れ数が3〜5箇所
△:化粧シートの割れ数が6〜8箇所
×:化粧シートの割れ数が9箇所
試験例2(寒熱繰り返し試験)
実施例1〜7及び比較例1〜6の床用化粧材に対して寒熱繰り返し試験を行った。具体的には、1×6尺サイズ(幅313mm×長さ1840mm)の各床用化粧材に対して、「80℃で2時間放置した後、−20℃で2時間放置すること」を1サイクルと定義した場合に、当該サイクルを10回(10サイクル)行った後、
(1)床用化粧材の反り量、及び
(2)木質基材に対して割れが発生しているか否か
を確認した。評価基準は次の通りとした。なお、(1)の反り量については、隙間ゲージを用いて測定した。(1)の反り量評価については、△評価及び○評価を合格と判断した。
≪(1) 床用化粧材の反り量評価基準≫
○:横長さ(1840mm)に対する反り量が10mm以下
△:横長さ(1840mm)に対する反り量が10mmよりも大きく、20mm以下
×:横長さ(1840mm)に対する反り量が20mmよりも大きい
≪(2) 基材の割れ評価基準≫
○:木質基材の単板間でクラックが発生していない
×:木質基材の単板間でクラックが発生している
上記試験を行い、得られた結果を表1に示す。
Figure 0006036044
1. 木質基材
2. 合成樹脂層
3. 化粧シート

Claims (4)

  1. 比重が0.55以下の木質基材に合成樹脂層及び化粧シートが順に積層された床用化粧材であって、
    (1)前記合成樹脂層は、熱可塑性樹脂A及び熱可塑性樹脂Bを含有し、
    (2)前記熱可塑性樹脂Bのガラス転移温度が、前記熱可塑性樹脂Aのガラス転移温度よりも高く、
    (3)前記熱可塑性樹脂Bの含有量が、前記熱可塑性樹脂A100質量部に対して10〜50質量部であり、
    (4)前記合成樹脂層の厚さが450〜650μmである、
    ことを特徴とする、床用化粧材。
  2. 前記合成樹脂層がスキン層A、コア層及びスキン層Bの3層から順に構成されており、 前記スキン層A及び前記スキン層Bは、それぞれ前記熱可塑性樹脂A及び前記熱可塑性樹脂Bを含有する、請求項1に記載の床用化粧材。
  3. 前記熱可塑性樹脂Bが石油樹脂である、請求項1又は2に記載の床用化粧材。
  4. 前記熱可塑性樹脂Bが、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂及び芳香族系石油樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれかに記載の床用化粧材。
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