JP5935585B2 - 床用化粧材 - Google Patents

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本発明は、床用化粧材に関する。
特許文献1には、合板からなる基材上に、合成樹脂層、化粧層を順に積層した床材用化粧材において、前記合成樹脂層が下記の特性:
(1)降伏点荷重:9kgf以上
(2)引張り弾性率:50kgf/mm2以上
(3)降伏伸び率:3〜8%
を有することを特徴とする床材用化粧材が記載されている。そして、当該構成を具備することにより、環境に優しく、床材に要求される耐擦傷性、耐摩耗性、耐汚染性、耐水性等の諸物性を備えると共に、耐キャスター性、耐衝撃性に優れた床材用化粧材を提供することができるという優れた効果を奏するものであると記載されている([0078]段落)。
ところで、従来、合板からなる基材としては、良質な原木から得られる木質基材として、例えば、広葉樹のラワン合板などが用いられているが、近年の天然資源の窮乏、木材伐採制限等により原木の入手が難しく、材料不足が進んでいる。この問題は、特にラワン等の広葉樹によって深刻である。そのため、ラワン合板に代えて使用できる木質合板の開発が進められており、例えば、針葉樹合板又は植林木合板などが使用されてきている。
これらの合板は、ラワン合板と比べると低比重であることから剛性度が低く、特に比重0.55以下のいわゆる低比重木質合板の場合には耐凹み性が不十分である。
耐凹み性を改善する方法として、合成樹脂層を厚膜化する方法がある。しかしながら、合成樹脂層は、外気温の変化により膨張・収縮することにより応力を生じ、合成樹脂層を厚膜化することにより、当該応力が大きくなる。このため、合成樹脂層を厚膜化すると、合成樹脂層に積層された基材に負荷がかかり、基材を構成する低比重木質合板の剛性度が低いこととあいまって、合板が破壊されたり、化粧シートが剥離したりして、床用化粧材の寒熱耐久性が低下するという問題がある。
合成樹脂層の膨張・収縮を抑制するための方法として、合成樹脂層に微粒子を添加する方法がある。しかしながら、合成樹脂層に微粒子を添加する場合、樹脂と微粒子とで海島構造を形成して、樹脂と微粒子との間に界面を生じることとなり、床用化粧材に衝撃を与えると、当該界面を起点として割れが発生し、耐衝撃性が低下してしまうという問題がある。
従って、比重0.55以下の木質合板を用いる場合でも、耐凹み性、寒熱耐久性に優れ、且つ、耐衝撃性に優れた床用化粧材の開発が望まれている。
特許第4028369号公報
本発明は、比重0.55以下の木質合板を用いる場合でも、耐凹み性、耐衝撃性に優れ、且つ、寒熱耐久性に優れた床用化粧材を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、合成樹脂層を有する床材用化粧シートを比重0.55以下の木質合板上に積層し、上記合成樹脂層の厚みを特定の範囲とし、合成樹脂層が、オレフィン系樹脂、微粒子及び熱可塑性オレフィン系エラストマーを含有する構成とし、微粒子、及び熱可塑性オレフィン系エラストマーの含有量を特定の範囲とする場合には、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の床用化粧材に関する。
1. 比重0.55以下の木質合板上に床材用化粧シートが積層された床用化粧材であって、
前記床材用化粧シートは複数層からなり、基材シートのおもて面に1又は2以上の層が積層されている化粧シート中間体と、前記基材シートの裏面に積層されている厚さ450〜800μmの合成樹脂層とを有し、
前記合成樹脂層は、オレフィン系樹脂、微粒子及び熱可塑性オレフィン系エラストマーを含有し、
前記微粒子の含有量は、前記オレフィン系樹脂100重量部に対して10〜60重量部であり、
前記熱可塑性オレフィン系エラストマーの含有量は、前記オレフィン系樹脂100重量部に対して5〜50重量部である、
ことを特徴とする床用化粧材。
2. 前記微粒子は、無機微粒子である、上記項1に記載の床用化粧材。
3. 前記微粒子の平均粒子径は、20μm以下である、ことを特徴とする上記項1又は2に記載の床用化粧材。
4. 前記化粧シート中間体は、基材シート上に絵柄模様層、透明性接着剤層、透明性樹脂層、プライマー層及び透明性表面保護層を順に有する、上記項1〜3のいずれかに記載の床用化粧材。
5. 前記木質合板の裏面に防湿フィルムが積層されている、上記項1〜4のいずれかに記載の床用化粧材。
以下、本発明の床用化粧材について説明する。
本発明の床用化粧材は、比重0.55以下の木質合板上に床材用化粧シートが積層された床用化粧材であって、上記床材用化粧シートは複数層からなり、基材シートのおもて面に1又は2以上の層が積層されている化粧シート中間体と、前記基材シートの裏面に積層されている厚さ450〜800μmの合成樹脂層とを有し、上記合成樹脂層は、オレフィン系樹脂、微粒子及び熱可塑性オレフィン系エラストマーを含有し、上記微粒子の含有量は、上記オレフィン系樹脂100重量部に対して10〜60重量部であり、上記熱可塑性オレフィン系エラストマーの含有量は、上記オレフィン系樹脂100重量部に対して5〜50重量部であることを特徴とする。
上記特徴を有する本発明の床用化粧材は、基材シートの裏面に厚さ450〜800μmの合成樹脂層を具備することにより、比重0.55以下の木質合板を用いても、耐衝撃性、耐キャスター性等の耐凹み性に優れている。また、上記合成樹脂層が、特定の含有量の微粒子を含有しているので、合成樹脂層の外気温の変化による膨張・収縮が抑制されており、寒熱耐久性に優れている。更に、上記合成樹脂層が、特定の含有量のオレフィン系樹脂、及び熱可塑性オレフィン系エラストマーを含有しているので、合成樹脂層中の微粒子の界面を起点とする割れが抑制され、優れた耐衝撃性を示す。
以下、本発明の床用化粧材を構成する各層について説明する。
木質合板
本発明で用いる木質合板は、比重0.55以下のいわゆる低比重木質合板である。
この木質合板としては、従来、ラワン代替合板として知られている針葉樹合板、植林木合板等が挙げられる。具体的には、針葉樹としては、例えば、椴松、唐松等が挙げられる。また、植林木としては、ポプラ、ファルカタ、アカシア、カメレレ、ユーカリ、ターミナリア等が挙げられる。本発明で用いる木質合板は、比重0.55以下、特に0.3〜0.5程度の低比重合板を用いることを前提としている。
木質合板の厚さは限定的ではないが、3〜15mm程度が好ましく、10〜15mm程度がより好ましい。また、木質合板を構成する木質単板の積層数(プライ数)も限定的ではないが、通常3〜7枚が好ましく、5〜7枚がより好ましい。
合板作製時に用いる接着剤としては限定されず、公知の木工用接着剤が広く使用できる。接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、アイオノマー、ブタジエン・アクリルニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム等を有効成分とする接着剤が挙げられる。
床材用化粧シート
本発明で用いる床材用化粧シートは、基材シートのおもて面に1又は2以上の層が積層されている化粧シート中間体と、前記基材シートの裏面に積層されている厚さ450〜800μmの合成樹脂層とを有する。
化粧シート中間体としては、層構成は限定的ではないが、例えば、基材シート上に絵柄模様層(ベタインキ層及び/又は柄インキ層)、透明性接着剤層、透明性樹脂層、プライマー層及び透明性表面保護層を順に有するものが好ましい。
以下、この化粧シート中間体について例示的に説明する。
基材シートとしては、1)薄紙,上質紙,クラフト紙,和紙,チタン紙,樹脂含浸紙,紙間強化紙等の紙、2)木質繊維,ガラス繊維,石綿,ポリエステル繊維,ビニロン繊維,レーヨン繊維等からなる織布又は不織布、3)ポリオレフィン,ポリエステル,ポリアクリル,ポリアミド,ポリウレタン,ポリスチレン等の合成樹脂製シート、の1種又は2種以上の積層体が挙げられる。
基材シートの厚さは、20〜300μm程度が好ましい。基材シートは、必要に応じて着色されていてもよい。また、表面にコロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理等の表面処理が施されていてもよい。
絵柄模様層は、柄インキ層及び/又はベタインキ層から構成される。絵柄模様層は、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷等の印刷法により形成できる。柄インキ層の模様は、例えば、木目模様、石目模様、布目模様、皮紋模様、幾何学模様、文字、記号、線画、各種抽象模様等が挙げられる。また、ベタインキ層は、着色インキのベタ印刷により得られる。
絵柄模様層のインキとしては、ビヒクルとして、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、イソシアネートとポリオールからなるポリウレタン、ポリアクリル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、アクリル−ウレタン共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂等を1種又は2種以上混合して用い、これに顔料、溶剤、各種補助剤等を加えてインキ化したものが使用できる。この中でも、環境問題、被印刷面との密着性等の観点より、ポリエステル、イソシアネートとポリオールからなるポリウレタン、ポリアクリル、ポリアミド系樹脂等の1種又は2種以上の混合物が好ましい。
透明性接着剤層は、絵柄模様層と透明性樹脂層との間に設けられる。透明性接着剤層は、例えば、2液硬化型ウレタン樹脂等の公知のドライラミネーション用接着剤を塗布・乾燥させることにより得られる。
透明性接着剤層は、乾燥後の厚みが0.1〜30μm程度が好ましく、1〜20μm程度がより好ましい。
透明性樹脂層は、透明性の樹脂層であれば特に限定されず、例えば、透明性の熱可塑性樹脂により好適に形成できる。
具体的には、軟質、半硬質又は硬質ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、ポリアクリル酸エステル、ポリメタアクリル酸エステル等が挙げられる。上記の中でも、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂が好ましい。
透明性樹脂層は、着色されていてもよい。この場合は、熱可塑性樹脂に着色剤を添加すればよい。着色剤としては、絵柄層で用いる顔料又は染料が使用できる。
透明性樹脂層には、充填剤、艶消し剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、ラジカル捕捉剤、軟質成分(例えば、ゴム)等の各種の添加剤を含めてもよい。
透明性樹脂層は、10〜150μm程度が好ましく、30〜100μm程度がより好ましい。
プライマー層は、透明性樹脂層と透明性表面保護層の密着性を向上させるために設ける。プライマー層は透明又は半透明な層であり、絵柄模様層のビヒクルとして例示した樹脂を用いて形成することができる。
プライマー層は、0.5〜20μm程度が好ましく、1〜5μm程度がより好ましい。
透明性表面保護層を構成する樹脂は、熱硬化型樹脂、電離放射線硬化型樹脂(例えば、電子線硬化型樹脂)等の硬化型樹脂が好ましい。特に電離放射線硬化型樹脂は、高い表面硬度、生産性等の観点から好ましい。
熱硬化型樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂(2液硬化型ポリウレタンも含む)、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。
上記樹脂には、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤を添加することができる。例えば、硬化剤としてはイソシアネート、有機スルホン酸塩等が不飽和ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂等に添加でき、有機アミン等がエポキシ樹脂に添加でき、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、アゾイソブチルニトリル等のラジカル開始剤が不飽和ポリエステル樹脂に添加できる。
熱硬化型樹脂で表面保護層を形成する方法は、例えば、熱硬化型樹脂の溶液をロールコート法、グラビアコート法等の塗布法で塗布し、乾燥・硬化させる方法が挙げられる。
電離放射線硬化型樹脂は、電離放射線の照射により架橋重合反応を生じ、3次元の高分子構造に変化する樹脂であれば限定されない。例えば、電離放射線の照射により架橋可能な重合性不飽和結合又はエポキシ基を分子中に有するプレポリマー、オリゴマー及びモノマーの1種以上が使用できる。例えば、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート等のアクリレート樹脂;シロキサン等のケイ素樹脂;ポリエステル樹脂;エポキシ樹脂などが挙げられる。
電離放射線としては、可視光線、紫外線(近紫外線、真空紫外線等)、X線、電子線、イオン線等があるが、この中でも、紫外線、電子線が望ましい。
紫外線源としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯の光源が使用できる。紫外線の波長としては、190〜380nm程度である。
電子線源としては、例えば、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が使用できる。電子線のエネルギーとしては、100〜1000keV程度が好ましく、100〜300keV程度がより好ましい。電子線の照射量は、2〜15Mrad程度が好ましい。
電離放射線硬化型樹脂は電子線を照射すれば十分に硬化するが、紫外線を照射して硬化させる場合には、光重合開始剤(増感剤)を添加することが好ましい。
ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合の光重合開始剤は、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、ミヒラーケトン、ジフェニルサルファイド、ジベンジルジサルファイド、ジエチルオキサイト、トリフェニルビイミダゾール、イソプロピル−N,N−ジメチルアミノベンゾエート等の少なくとも1種が使用できる。また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル、フリールオキシスルホキソニウムジアリルヨードシル塩等の少なくとも1種が使用できる。
光重合開始剤の添加量は特に限定されないが、一般に電離放射線硬化型樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部程度である。
電離放射線硬化型樹脂で保護層を形成する方法としては、例えば、電離放射線硬化型樹脂の溶液をグラビアコート法、ロールコート法等の塗布法で塗布すればよい。
表面保護層の厚さは、通常0.1〜50μm、好ましくは1〜20μm程度である。
電離放射線硬化型樹脂から形成された表面保護層に、耐擦傷性、耐摩耗性をさらに付与する場合には、無機充填材を配合すればよい。無機充填材としては、例えば、粉末状の酸化アルミニウム、炭化珪素、二酸化珪素、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、マグネシウムパイロボレート、酸化亜鉛、窒化珪素、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化鉄、窒化硼素、ダイヤモンド、金剛砂、タルク、ガラス繊維等が挙げられる。
無機充填材の添加量としては、電離放射線硬化型樹脂100質量部に対して1〜80質量部程度である。
化粧シート中間体を構成する各層の積層は、例えば、基材シートの一方の面に絵柄模様層(ベタインキ層、柄インキ層)を印刷により形成後、絵柄模様層上に2液硬化型ウレタン樹脂等の公知のドライラミネーション用接着剤(透明性接着剤層)を介して透明性樹脂層をドライラミネーション法、Tダイ押出し法等で積層し、更にプライマー層を介して透明性表面保護層を積層する方法により行える。
透明性樹脂層もしくは透明性表面保護層側からエンボス加工を施して凹凸模様を形成してもよい。凹凸模様は、加熱プレス、ヘアライン加工等により形成できる。凹凸模様としては、導管溝、石板表面凹凸、布表面テクスチュア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等が挙げられる。
本発明で用いる床材用化粧シートは、基材シートの裏面に厚さ450〜800μmの合成樹脂層(いわゆるバッカー層)を有する。
合成樹脂層の厚さは450〜800μmであれば良いが、この中でも500〜600μm程度が好ましい。かかる範囲の厚さに設定することにより、比重0.55以下の木質基材を用いても、耐衝撃性、耐キャスター性等の耐凹み性に優れている。
上記合成樹脂層は、オレフィン系樹脂、微粒子及び熱可塑性オレフィン系エラストマーを含有する。
上記オレフィン系樹脂としては限定的ではないが、曲げ弾性率が500MPaを超えるオレフィン系樹脂を用いることができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、EVA、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体等が挙げられる。この中でも、ポリエチレン、ポリプロピレンが好ましい。
上記熱可塑性オレフィン系エラストマーは、曲げ弾性率が500MPa以下の軟質のものを用いることができ、例えば、α−オレフィン系エラストマー、酸変性ポリオレフィン系エラストマー等を用いることができる。上記α−オレフィン系エラストマーとしては、例えば、炭素原子数2〜20のα−オレフィンをメタロセン系触媒を用いて重合させてなる重合体を使用できる。上記α−オレフィンとしては、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等の炭素数2〜20のα−オレフィンが挙げられる。上記酸変性ポリオレフィン系エラストマーは、少なくとも一部の末端が酸変性されたポリオレフィン樹脂である。上記酸変性ポリオレフィン系エラストマーは、JIS K 0070で規定される酸価が1.0〜100mgKOH/g程度であることが好ましく、5〜60mgKOH/g程度であることがより好ましい。酸価が1.0mgKOH/g未満である場合には相溶性改善が不十分となるおそれがあり、100mgKOH/gを超える場合には、シート成形時の操業性が悪化するおそれがある。
上記熱可塑性オレフィン系エラストマーの含有量は、前記オレフィン系樹脂100重量部に対して5〜50重量部である。10〜40重量部であることが好ましい。熱可塑性オレフィン系エラストマーの含有量が少な過ぎると耐衝撃性に劣り、多過ぎると、生産性が低下し、環境試験後の化粧シート中間体と、バッカー層との間の層間密着性が低下してしまう。
上記微粒子は、合成樹脂層の線膨張係数を調整し、寸法安定性を向上させることができれば特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。上記微粒子としては、例えば、粉末状の酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭化珪素、二酸化珪素、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、マグネシウムパイロボレート、酸化亜鉛、窒化珪素、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化鉄、窒化硼素、ダイヤモンド、金剛砂、タルク、ガラス繊維等が挙げられる。また、上記微粒子としては、無機微粒子を用いることが好ましい。
上記微粒子の形状は、特に限定されず、板状、粒状、(米粒状)、針状、鱗状、微細板状等の形状のものを用いることができる。微粒子の形状が粒状である場合、上記微粒子の平均粒子径は、0.1〜20μmであることが好ましく、5〜15μmであることがより好ましい。微粒子の平均粒子径が大き過ぎると、合成樹脂層を押出し成形する際に、特に高速で押出し成形すると、合成樹脂層の表面にムラを生じ、また、合成樹脂層の幅振れがひどく厚み調整が困難となる、いわゆるドローレゾナンス現象を生じるおそれがある。また、微粒子の平均粒子径が小さ過ぎると、寸法安定性を十分に向上できないおそれがある。上記平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積平均での粒度分布測定結果から求められる。
上記微粒子の含有量は、上記オレフィン系樹脂100重量部に対して10〜60重量部であることが好ましく、30〜50重量部であることがより好ましい。微粒子の含有量が多過ぎると、合成樹脂層が硬質化するため脆化し、耐衝撃性が低下するおそれがあり、合成樹脂層と基材シート裏面との層間密着強度が経時的に低下し易くなるおそれがある。また、微粒子の含有量が少な過ぎると、合成樹脂層の寸法安定性を十分に向上できないおそれがある。
合成樹脂層は、単層であっても良いし、2層以上からなる構成であっても良い。2層以上とする場合、その積層方法は、例えば、押し出し法等の公知の方法を適宜選択して積層することができる。
合成樹脂層が2層以上からなる構成である場合、合成樹脂層を形成する複数の層のうち、少なくとも1層が、オレフィン系樹脂、微粒子及び熱可塑性オレフィン系エラストマーを含有していればよい。合成樹脂層がこのような構成であれば、比重0.55以下の木質合板上に床材用化粧シートを積層して床用化粧材を作製した場合、耐凹み性、耐衝撃性に優れ、且つ、優れた寒熱耐久性を示す床用化粧材を得ることが可能である。
このような合成樹脂層としては、例えば、合成樹脂層を形成する2層以上の層のうち、少なくとも1層が、オレフィン系樹脂、微粒子及び熱可塑性オレフィン系エラストマーを含有している層であり、他の1層以上が微粒子及び熱可塑性オレフィン系エラストマーを含有せず、オレフィン系樹脂のみで形成されている層である合成樹脂層が挙げられる。
2層以上からなる合成樹脂層の構成は、具体的には、下から順に、オレフィン系樹脂、微粒子及び熱可塑性オレフィン系エラストマーを含有する層、並びに、オレフィン系樹脂のみで形成されている層が積層されている構成が挙げられる。また、他の具体例としては、下から順に、オレフィン系樹脂、微粒子及び熱可塑性オレフィン系エラストマーを含有する層、オレフィン系樹脂のみで形成されている層、並びに、オレフィン系樹脂、微粒子及び熱可塑性オレフィン系エラストマーを含有する層が積層されている構成が挙げられる。
合成樹脂層は、合成樹脂層を構成する樹脂又は樹脂組成物を、カレンダー法、インフレーション法、押し出し法等によりフィルム状に形成することにより得られる。
化粧シート中間体と合成樹脂層との接着方法は、例えば、2液硬化型ウレタン樹脂等の公知のドライラミネーション用接着剤を介したドライラミネーション法、Tダイ押し出し法による溶融樹脂の熱を利用した熱ラミネート法等が挙げられる。
本発明で用いる床材用化粧シートは上降伏点荷重又は最大点荷重が15kgf以上であることが好ましく、18kgf以上であることがより好ましく、18〜40kgfであることが更に好ましい。かかる範囲の荷重特性に設定することにより、比重0.55以下の木質基材を用いても、耐衝撃性、耐キャスター性等の耐凹み性を確保することが容易となる。
なお、本明細書における上降伏点荷重及び最大点荷重は、JIS K6734の試験方法に倣ってダンベル型試験片状(図2参照)に打ち抜いた床材用化粧シートを用意し、25℃の温度環境下、引張圧縮試験機(オリエンテック株式開社製:テンシロンRTC-1250A)を用い、引張速度50mm/分、チャック間距離80mmの条件で測定して得られた値である。
引張圧縮試験機を用いて試験した場合の荷重−伸び曲線の例を図3(a)、(b)に示す。図3(a)のように上降伏点荷重及b及び最大点荷重dの両方が存在する場合は上降伏点荷重bの値により荷重特性を評価する。これに対し、図3(b)のように上降伏点荷重bが存在しない場合には、最大点荷重dの値により荷重特性を評価する。
本発明の床用化粧材は、上記木質合板上に上記床用化粧シートが積層されている。
床用化粧シートを木質合板に積層する際は公知の接着剤が使用できる。接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、アイオノマー、ブタジエン・アクリルニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム等を有効成分とする接着剤が挙げられる。
接着剤層の厚さは限定的ではないが、0.1〜50μm程度が好ましい。
防湿フィルム
本発明の床用化粧材の裏面(即ち、木質合板の裏面)には、必要に応じて防湿フィルムを積層してもよい。防湿フィルムは、湿度の影響による木質合板の経時的な反りや曲がりの発生を抑制するために用いる。防湿フィルムの透湿度は、温度40℃、湿度90%において7g/m2・24時間以下が好ましく、特に5g/m2・24時間以下が好ましい。
防湿フィルムは所望の透湿度を満たす限り限定されず、例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン等のオレフィン系熱可塑性樹脂、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート等のエステル系熱可塑性樹脂などの合成樹脂製フィルムが使用できる。この中でも、特に少なくとも合成樹脂製基材層と蒸着層とを有するものが好ましい。以下、この態様について例示して説明する。
合成樹脂製基材層としては、ポリエチレン,ポリプロピレン,エチレン−プロピレン共重合体,エチレン−ビニルアルコール共重合体,これらの混合物等のオレフィン系熱可塑性樹脂;ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合体,ポリカーボネート,ポリアリレート等のエステル系熱可塑性樹脂;ポリメタアクリル酸メチル,ポリメタアクリル酸エチル,ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系熱可塑性樹脂;ポリイミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ABS樹脂等の非ハロゲン系熱可塑性樹脂などが挙げられる。
合成樹脂製基材層は、一軸又は二軸方向に延伸したシートであっても、未延伸であってもよい。合成樹脂製基材層は、更に蒸着層が積層されることが好ましく、蒸着層が形成される基材としての位置付けから、機械的強度が強く、寸法安定性に優れるなどの理由から二軸方向に延伸したシートが好ましい。合成樹脂製基材層の厚さは、概ね9〜25μmが適当である。
蒸着層としては、アルミニウムに代表される金属薄膜からなる無機物の蒸着層、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムに代表される無機酸化物薄膜からなる無機酸化物蒸着層が挙げられる。蒸着層は、真空蒸着法、プラズマ活性化化学反応蒸着法等の周知の蒸着法で、合成樹脂製基材層に形成される。より好ましくは、蒸着層が透明である無機酸化物蒸着層である。
蒸着層のガスバリア性を一層向上させる目的で、蒸着層上に表面コート層を設けてもよい。表面コート層としては、ポリビニルアルコール系樹脂が挙げられる。また、一般式R1 nM(OR2)m(ただし、式中、R1、R2は炭素数1〜8の有機基を表し、Mは金属原子を表し、nは0以上の整数を表し、mは1以上の整数を表し、n+mはMの原子価を表す)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体とを含有し、更にゾル−ゲル法触媒、酸、水及び有機溶剤の存在下でゾルゲル法によって重縮合して調製される組成物が挙げられる。また、ポリビニルアルコール及びエチレン・ビニルアルコール共重合体を組み合わせることによって、ガスバリア性、耐水性、耐候性などが著しく向上する。上記組成物にはシランカップリング剤等を添加してもよい。これらの樹脂又は組成物を蒸着層上にロールコート法、グラビアコート法等の周知の塗布方法で塗布することにより表面コート層が得られる。表面コート層は蒸着層の保護層としても機能し、その厚さは概ね1〜10μmが適当である。
上記合成樹脂製基材層及び/又は上記表面コート層は、必要に応じて、コロナ処理等の表面処理を施すことができる。このような表面処理によって、更に隣接層との接着強度を高めることができる。
本発明では、合成樹脂製基材層と蒸着層との間、並びに防湿フィルムの片面又は両面に更にプライマー層を設けてもよい。従って、防湿フィルムの好適な態様は、例えば、「合成樹脂製基材層/プライマー層/蒸着層/表面コート層」の態様であり、更に、当該防湿フィルムの片面又は両面にプライマー層を設けた態様でも良い。
これらのプライマー層は、合成樹脂製基材層と蒸着層との密着性を高めるためや、防湿フィルムを他の層に積層する際の密着性を高めるために設ける。
このようなプライマー層に用いる樹脂としては、エステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール系樹脂、ニトロセルロース系樹脂等を挙げることができ、これらの樹脂は単独又は混合して使用できる。プライマー層の形成は、ロールコート法やグラビア印刷法等の適宜の塗布手段を用いて行える。
この中でも、プライマー層は、(i)アクリル樹脂とウレタン樹脂との共重合体と(ii)イソシアネートとから形成するのが好ましい。即ち、(i)のアクリル樹脂とウレタン樹脂との共重合体は、末端に水酸基を有するアクリル重合体成分(成分A)、両末端に水酸基を有するポリエステルポリオール成分(成分B)、ジイソシアネート成分(成分C)を配合して反応させてプレポリマーとなし、該プレポリマーに更にジアミンなどの鎖延長剤(成分D)を添加して鎖延長することで得られるものである。この反応によりポリエステルウレタンが形成されると共にアクリル重合体成分が分子中に導入され、末端に水酸基を有するアクリル−ポリエステルウレタン共重合体が形成される。このアクリル−ポリエステルウレタン共重合体の末端の水酸基を(ii)のイソシアネートと反応させて硬化させて形成する。
前記成分Aは、末端に水酸基を有する直鎖状のアクリル酸エステル重合体が用いられる。具体的には、末端に水酸基を有する直鎖状のポリメチルメタクリレート(PMMA)が耐候性(特に光劣化に対する特性)に優れ、ウレタンと共重合させるのが容易である点から好ましい。前記成分Aは、共重合体においてアクリル樹脂成分となるものであり、分子量5000〜7000(重量平均分子量)のものが耐候性、接着性が特に良好であるために好ましく用いられる。また、前記成分Aは、両末端に水酸基を有するもののみを用いてもよいが、片末端に共役二重結合が残っているものを上記の両末端に水酸基を有するものと混合して用いてもよい。
前記成分Bは、ジイソシアネートと反応してポリエステルウレタンを形成し、共重合体においてウレタン樹脂成分を構成する。前記成分Bは、両末端に水酸基を有するポリエステルジオールが用いられる。このポリエステルジオールとしては、芳香族又はスピロ環骨格を有するジオール化合物とラクトン化合物又はその誘導体、又はエポキシ化合物との付加反応生成物、二塩基酸とジオールとの縮合生成物、及び、環状エステル化合物から誘導されるポリエステル化合物等を挙げることができる。上記ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、メチルペンテンジオール等の短鎖ジオール;1, 4−シクロへキサンジメタノール等の脂環族短鎖ジオール等を挙げることができる。また、二塩基酸としては、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等を挙げることができる。ポリエステルポリオールとして好ましいのは、酸成分としてアジピン酸又はアジピン酸とテレフタル酸の混合物、特にアジピン酸が好ましく、ジオール成分として3−メチルペンテンジオール及び1, 4−シクロへキサンジメタノールを用いたアジペート系ポリエステルである。
前記プライマー層において、前記成分Bと前記成分Cとが反応して形成されるウレタン樹脂成分は、前記プライマー層に柔軟性を与え、接着性向上に寄与する。また、アクリル重合体からなるアクリル樹脂成分は、前記プライマー層において耐候性および耐ブロッキング性に寄与する。ウレタン樹脂において、前記成分Bの分子量は前記プライマー層に柔軟性を十分に発揮可能なウレタン樹脂が得られる範囲であればよく、アジピン酸又はアジピン酸とテレフタル酸の混合物と、3−メチルペンタンジオール及び1, 4−シクロへキサンジメタノールからなるポリエステルジオールの場合、500〜5000(重量平均分子量)が好ましい。
前記成分Cは、1分子中に2個のイソシアネート基を有する脂肪族又は脂環族のジイソシアネート化合物が用いられる。このジイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、2, 2, 4 (2, 4, 4)−1, 6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4, 4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1, 4’−シクロヘキシルジイソシアネート等を挙げることができる。ジイソシアネート成分としては、イソホロンジイソシアネートが物性及びコストの点で好ましい。上記の成分A〜Cを反応させる場合のアクリル重合体、ポリエステルポリオールおよび後述する鎖延長剤の合計の水酸基(アミノ基の場合もある)と、イソシアネート基の当量比はイソシアネート基が過剰となるようにする。
上記の三成分A、B、Cを60〜120℃で2〜10時間程度反応させると、ジイソシアネートのイソシアネート基がポリエステルポリオール末端の水酸基と反応してポリエステルウレタン樹脂成分が形成されると共にアクリル重合体末端の水酸基にジイソシアネートが付加した化合物も混在し、過剰のイソシアネート基及び水酸基が残存した状態のプレポリマーが形成される。このプレポリマーに鎖延長剤として、例えば、イソホロンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のジアミンを加えてイソシアネート基を前記鎖延長剤と反応させ、鎖延長することでアクリル重合体成分がポリエステルウレタンの分子中に導入され、末端に水酸基を有する(i)のアクリル−ポリエステルウレタン共重合体を得ることができる。
(i)のアクリル−ポリエステルウレタン共重合体に、(ii)のイソシアネートを加えると共に、塗布法、乾燥後の塗布量を考慮して必要な粘度に調節した塗布液となし、グラビアコート法、ロールコート法等の周知の塗布法で塗布することにより前記プライマー層を形成すればよいものである。また、(ii)のイソシアネートとしては、(i)のアクリル−ポリエステルウレタン共重合体の水酸基と反応して架橋硬化させることが可能なものであればよく、たとえば、2価以上の脂肪族ないし芳香族イソシアネートが使用でき、特に熱変色防止、耐候性の点から脂肪族イソシアネートが望ましい。具体的には、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4, 4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートの単量体、これらの2量体、3量体などの多量体、或いは、これらのイソシアネートをポリオールに付加した誘導体(アダクト体)のようなポリイソシアネートなどを挙げることができる。
なお、前記プライマー層の乾燥後の塗布量としては、1〜20g/m2であり、好ましくは1〜5g/mである。また、前記プライマー層は、必要に応じてシリカ粉末などの充填剤、光安定剤、着色剤等の添加剤を添加した層としてもよいものである。
上記防湿シートを木質合板に積層する際は、床用化粧シートを木質合板に積層する際と同じ接着剤を使用することができる。
本発明の床用化粧材は、基材シートの裏面に厚さ450〜800μmの合成樹脂層を具備し、合成樹脂層が、特定の含有量の微粒子を含有し、特定の含有量のオレフィン系樹脂、及び熱可塑性オレフィン系エラストマーを含有しているので、比重0.55以下の木質合板を用いる場合でも、耐凹み性、耐衝撃性に優れ、且つ、優れた寒熱耐久性を示す。
本発明の床用化粧材の一態様を示す模式図である。 JIS K6734の試験方法に倣ったダンベル型試験片の模式図である。 引張圧縮試験機を用いて試験した場合の荷重−伸び曲線の例を示す図である。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
実施例1〜18及び比較例1〜9
(床用化粧シートの作製)
(1)両面コロナ処理を施した厚さ60μmのポリプロピレン基材シートの表面に、2液硬化型のアクリル−ウレタン樹脂からなる印刷インキで絵柄模様層を形成した。
(2)絵柄模様層の上に、ウレタン樹脂系接着剤を乾燥後の厚みが3μmとなるように塗工し、透明性接着剤層を形成した。
(3)ポリプロピレン系樹脂をTダイ押出し機により加熱溶融押出しし、厚み80μmのポリプロピレンからなる透明性樹脂層を形成した。
(4)透明性樹脂層の表面にコロナ放電処理を施した後、コロナ放電処理面にアクリル−ウレタン系樹脂溶液をグラビア印刷法により乾燥後の厚みが1μmとなるように塗工して表面保護層形成用プライマー層を形成した。
(5)表面保護層形成用プライマー層の上に、ウレタンアクリレート系電子線硬化型樹脂をロールコート法により固形分が15g/m2となるように塗工・乾燥して未硬化の電子線硬化型樹脂層を形成した。その後、酸素濃度200ppmの環境下において、未硬化の電子線硬化型樹脂層に加速電圧125KeV、5Mradの条件で電子線を照射して樹脂硬化させて厚さ15μmの電子線硬化型樹脂層(透明性表面保護層)を形成した。
(6)透明性表面保護層の上からエンボス加工により深さ30μmの木目導管状の凹凸模様を形成し、床用化粧シート中間体を作製した。
(7)最後にポリプロピレン樹脂に、表1に示す微粒子、及び熱可塑性オレフィン系エラストマーを添加して、Tダイ押出し機により加熱溶融押出しし、溶融した樹脂を製膜することにより合成樹脂層(バッカー層)を得、そこに床用化粧シート中間体の基材シート側を載せて熱ラミネートにより両者を接着し、床用化粧シートを得た。バッカー層の厚みは、表1に示す通りとした。
なお、表1において、バッカー層中の、微粒子の含有量、及び熱可塑性オレフィン系エラストマーの含有量は、バッカー層中のオレフィン系樹脂の含有量を100重量部とした場合に、それぞれの含有量を重量部で表した値である。
また、表1において、オレフィン系樹脂、熱可塑性オレフィン系エラストマー、及び微粒子は、それぞれ、以下のものを使用した。
[オレフィン系樹脂]
・PP;示差走査熱量測定の融点が140℃の、メルトフローレート=7g/10minであるランダムポリプロピレン
・PE;示差走査熱量測定の融点が130℃の、メルトフローレート=7g/10minである高密度ポリエチレン
[熱可塑性オレフィン系エラストマー]
・α-オレフィン;「プライムTPO J5900」 株式会社プライムポリマー製、メルトフローレート=8g/10min
・酸変性オレフィン;「ユーメックス1010」 三洋化成工業株式会社製
[微粒子]
・タルク
平均粒子径5μm:「MICRO ACE P-3」 日本タルク株式会社製
平均粒子径20μm:「MS-T」 日本タルク株式会社製、
平均粒子径23μm:「MS-KY」 日本タルク株式会社製
・炭酸カルシウム
平均粒子径5μm:「BF-200」 白石カルシウム株式会社製
(床用化粧材の作製)
(8)床材用化粧シートのバッカー層側に12mm厚みのファルカタ合板(5プライ、比重0.3)を貼着し、ギャングソーで縦313mm×横1840mmの大きさにカットして、床用化粧材を作製した。貼着には中央理化工業製接着剤(BA-10L/BA-11B,9g/尺角)を利用した。なお尺角とは、縦303mm×横303mmで表される平面の面積を示す(以下同じ)。作製した床用化粧材について以下の評価を行った。
(床用化粧材の評価)
≪生産性≫
Tダイ押出し機で押出し、高速生産が可能かどうかを確認し、且つ、ドローレゾナンス現象の発生を確認した。高速生産可能でドローレゾナンス現象が発生しなかったものを○、高速生産可能で、高速でドローレゾナンス現象が軽微に発生したが、厚み調整が可能なレベルであった場合を○△、低速であればドローレゾナンス現象が発生しなかった場合を△、低速でドローレゾナンス現象が軽微に発生したが、厚み調整が可能であった場合を△×、低速であってもドローレゾナンス現象が発生し、厚み調整が困難なレベルであった場合を×とした。
≪接着性≫
床用化粧シートの環境試験後の接着性を評価した。
(環境試験)
UVランプ(商品名「M04−L21WB/SUV」岩崎電気製)、ランプジャケット(商品名「WJ50−SUV」岩崎電気製)及び照度計(商品名「UVD−365PD」岩崎電機製)を備えた超促進耐候性試験装置(商品名「アイ スーパー UVテスター SUV-W131」岩崎電気製)を使用して環境試験を行った。環境試験は、ブラックパネル温度63℃、照度60mW/cm2の条件で20時間照射・4時間結露を繰り返し、合計200時間行った。
(接着性)
環境試験後の外観を評価した。外観に異常がない場合は○、化粧シート中間体の浮き等異常がある場合は×とした。
≪デュポン衝撃試験≫
作製した床用化粧材の耐衝撃性をデュポン衝撃試験機(JIS K5600-5-3に準拠)を用いて評価した。具体的には、30cmの高さから規定重量の錘を化粧材表面に落下させて凹み量を測定することにより評価した。凹み量が300〜600μmであることを判定基準とした。凹み量が300μm以下を○、300〜400μmを○△、400〜500μmを△、500〜600μmを△×、600μm以下を×とした。
≪キャスター試験≫
床材疲労試験機No.159-S(株)安田精機製作所を使用して評価した。
試験する床材(試料)(5cm×20cm)を試料固定台に固定し、加重部に15kgの重りを乗せて、調節ハンドルにより、床材の化粧層側の表面に、1個のキャスターを接触させ(総荷重25kg)、キャスター固定台を稼働し、10m/minの速度で25000往復させた。
凹み量が100μm以下を○、100〜200μmを△、200μm以上を×とした。
≪寒熱耐久性試験≫
尺角サイズの試験片を80℃の条件下で2時間放置した後、次いで−20℃の条件下で2時間放置した。これを1サイクルとして、20サイクルを経た後の試験片の状態を目視により観察し、以下の基準で評価した。
○:合板の破壊が生じなかった。
△:10〜20サイクルで合板の破壊が生じた。
×:1〜9サイクルで合板の破壊が生じた。
結果を表1に示した。
Figure 0005935585
表1の結果から、実施例1〜18の床用化粧材は、合成樹脂層の厚み、並びに、微粒子及び熱可塑性オレフィン系エラストマーの含有量が適切であるので、生産性、接着性に優れていた。また、デュポン衝撃試験、キャスター試験、及び寒熱耐久性試験の結果も良好であり、耐凹み性、耐衝撃性、及び寒熱耐久性に優れていることが分かった。また、実施例7の床用化粧材は、微粒子の平均粒子径が23μmであるので、生産性の結果が△判定となっており、他の実施例と比較して生産性が若干劣っていたが、低速で生産した場合には、ドローレゾナンス現象が発生しなかった。
一方、比較例1の床用化粧材は、合成樹脂層の厚みが400μmと薄過ぎ、また、合成樹脂層が微粒子及び熱可塑性オレフィン系エラストマーを含有していないので、デュポン衝撃試験、キャスター試験の結果が悪く、耐凹み性、耐衝撃性に劣っており、また、寒熱耐久性にも劣ることが分かった。
比較例2及び3の床用化粧材は、合成樹脂層の厚みが450μmであり適切な範囲内であるが、微粒子を含有していないか又は含有量が少なく、且つ、熱可塑性オレフィン系エラストマーを含有していないので、寒熱耐久性に劣ることが分かった。
比較例4の床用化粧材は、微粒子を10重量部含有しているため寒熱耐久性の結果が△評価となったが、熱可塑性オレフィン系エラストマーを含有していないので、オレフィン系樹脂と微粒子とで海島構造を形成して、オレフィン系樹脂と微粒子との間に界面を生じ、床用化粧材に衝撃を与えると、当該界面を起点として割れが発生して、デュポン衝撃試験の結果が△×判定となってしまい、耐衝撃性に劣ることが分かった。
比較例5の床用化粧材は、合成樹脂層の厚みが500μmであり本発明の範囲内であるが、微粒子の含有量が少なく、熱可塑性オレフィン系エラストマーを含有していないので、寒熱耐久性に劣ることが分かった。
比較例6の床用化粧材は、微粒子を10重量部含有しているため寒熱耐久性の結果が△評価となったが、熱可塑性オレフィン系エラストマーを含有していないので、比較例4と同様に、オレフィン系樹脂と微粒子との間に界面を生じ、床用化粧材に衝撃を与えると、当該界面を起点として割れが発生し、デュポン衝撃試験の結果が△×判定となってしまい、耐衝撃性に劣ることが分かった。
比較例7の床用化粧材は、合成樹脂層の厚みが600μmであるので、デュポン衝撃試験、及びキャスター試験の結果が良好であり、耐凹み性、及び耐衝撃性に優れていたが、微粒子、及び熱可塑性オレフィン系エラストマーを含有しないので、合成樹脂層の厚みが厚いこととあいまって、寒熱耐久性に劣ることがわかった。
比較例8の床用化粧材は、合成樹脂層の厚みが900μmであり、厚過ぎるので寒熱耐久性に劣り、微粒子及び熱可塑性オレフィン系エラストマーを適切な含有量で含有するにもかかわらず改善されていなかった。
比較例9の床用化粧材は、比較例8の床用化粧材を構成する合成樹脂層よりも更に多くの微粒子及び熱可塑性オレフィン系エラストマーを、合成樹脂層が含有するため、寒熱耐久性が改善され、△判定となったが、熱可塑性オレフィン系エラストマーの含有量が多くなったため、環境試験後の化粧シート中間体とバッカー層との間の層間密着性が低下して、化粧シート中間体の浮きが発生してしまい、接着性の結果が×判定となってしまった。
1.合成樹脂層
2.基材シート
3.絵柄模様層
4.透明性接着剤層
5.透明性樹脂層
6.透明性表面保護層
7.木質合板
8.防湿フィルム

Claims (5)

  1. 比重0.55以下の木質合板上に床材用化粧シートが積層された床用化粧材であって、
    前記床材用化粧シートは複数層からなり、基材シートのおもて面に1又は2以上の層が積層されている化粧シート中間体と、前記基材シートの裏面に積層されている厚さ450〜800μmの合成樹脂層とを有し、
    前記合成樹脂層は、オレフィン系樹脂、微粒子及び熱可塑性オレフィン系エラストマーを含有し、
    前記微粒子の含有量は、前記オレフィン系樹脂100重量部に対して10〜60重量部であり、
    前記熱可塑性オレフィン系エラストマーの含有量は、前記オレフィン系樹脂100重量部に対して5〜50重量部である、
    ことを特徴とする床用化粧材。
  2. 前記微粒子は、無機微粒子である、請求項1に記載の床用化粧材。
  3. 前記微粒子の平均粒子径は、20μm以下である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の床用化粧材。
  4. 前記化粧シート中間体は、基材シート上に絵柄模様層、透明性接着剤層、透明性樹脂層、プライマー層及び透明性表面保護層を順に有する、請求項1〜3のいずれかに記載の床用化粧材。
  5. 前記木質合板の裏面に防湿フィルムが積層されている、請求項1〜4のいずれかに記載の床用化粧材。
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