JP2008075325A - 床材 - Google Patents
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Abstract
【課題】木材有効利用、反り防止および軽量化を図り得る床材を提供する。
【解決手段】本発明は基材合板層10上に基材中間層15を介して基材上面層20が積層された複合基材1を有する床材を対象とする。基材合板層10は、比重0.45以下の低比重材からなる低比重単板を含む。基材中間層15は、厚さ0.1〜1.0mmに調整された合成樹脂フィルムにより構成される。基材上面層20は、木質繊維板により構成される。
【選択図】図1
【解決手段】本発明は基材合板層10上に基材中間層15を介して基材上面層20が積層された複合基材1を有する床材を対象とする。基材合板層10は、比重0.45以下の低比重材からなる低比重単板を含む。基材中間層15は、厚さ0.1〜1.0mmに調整された合成樹脂フィルムにより構成される。基材上面層20は、木質繊維板により構成される。
【選択図】図1
Description
この発明は、家屋やマンション等の居住用建造物における屋内の床仕上げ用に好適に用いられる床材に関する。
一般住宅等における床仕上げ用の床材として、下記特許文献1に示すものが周知である。この床材は、基材として、ラワン合板上に、厚さ1〜2mmの硬質合成樹脂板を介して木質繊維板が積層された複合基材が採用されるとともに、その複合基材上に突板(化粧層)が積層されている。
この床材は、複合基材としての合成樹脂板および木質繊維板が硬質であるため、床材表面におけるキャスター傷等に対する耐傷性(耐凹み傷性)に優れている。
特開2003−314037号(請求項1、図1)
しかしながら、上記特許文献1に示す従来の床材は、複合基材に介在される硬質合成樹脂板の厚さが1〜2mmと厚いものが用いられているため、この合成樹脂板が熱の影響によって床材長さ方向に大きく伸縮して、床材に有害な谷反りが発生するという問題があった。さらに厚板の合成樹脂板を用いるものであるため、高重量化を来たし、施工作業性の低下を来すという問題も抱えている。
また同文献の床材において、基材の合板材料に用いられるラワン材は、天然木材資源の枯渇化により利用が制限されており、社会通念上においても、可能な限りラワン材の使用は避けたいというのが現状である。
一方、木材の有効利用を図るためには、従来、床材用の基材として使用されていなかった木材例えば、低比重材を使用することも考えられる。ところがファルカータ等の低比重材は、床材用の基材としては、柔らか過ぎて、早期に多数の傷が付いたり、曲げ剛性が小さいので、突板などを表面に貼ると反りが発生してしまい、僅か数年で美観が損なわれるため、床材の技術分野においては、低比重材を床材用の基材に使用することは困難である、というのが周知の事項であった。
もっとも低比重材であっても杉(比重0.38)等は、上記の不具合を十分に納得した上で床材として使用することもあるが、床材の性質という観点から見ればやはり、床材用としては不向きであることに変わりはない。
このように低比重材特にファルカータ等は、床材として必要な性能を有しておらず、床材に用いることは困難であり実際、商品化もなされていないのが現状である。
この発明は、上記従来技術の問題を解消し、低比重材を不具合なく利用しつつ、天然資源の枯渇化に対処し、反りや傷の発生を防止できて、軽量化も図ることができる床材を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は以下の構成を要旨とするものである。
[1] 基材合板層上に基材中間層を介して基材上面層が積層された複合基材を有する床材であって、
前記基材合板層は、比重0.45以下の低比重材からなる低比重単板を含み、
前記基材中間層は、厚さ0.1〜1.0mmに調整された合成樹脂フィルムにより構成され、
前記基材上面層は、木質繊維板により構成されたことを特徴とする床材。
前記基材合板層は、比重0.45以下の低比重材からなる低比重単板を含み、
前記基材中間層は、厚さ0.1〜1.0mmに調整された合成樹脂フィルムにより構成され、
前記基材上面層は、木質繊維板により構成されたことを特徴とする床材。
[1a] 複合基材の表面に、化粧層が積層される前項1に記載の床材。
[1b] 複合基材の裏面に、裏打ち層が積層される前項1に記載の床材。
[1c] 裏打ち層が防湿性を有する前項1bに記載の床材。
[1d] 外周に接合用加工部が形成される前項1に記載の床材。
[1e] 基材中間層が基材合板層に接着剤によって貼り付けられる前項1に記載の床材。
[1f] 基材上面層が基材中間層に接着剤によって貼り付けられる前項1に記載の床材。
[2] 前記基材合板層は、低比重単板が複数積層された低比重合板により構成される前項1に記載の床材。
[3] 前記基材中間層としての合成樹脂フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂によって構成される前項1または2に記載の床材。
[3a] 前記基材中間層としての合成樹脂フィルムは、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂の中から選択される樹脂によって構成される前項1に記載の床材。
[4] 前記合成樹脂フィルムが、2軸延伸PET樹脂フィルムによって構成される前項3に記載の床材。
[5] PET樹脂材料として、PET樹脂成形品のリサイクル品が用いられる前項3または4に記載の床材。
[5a] リサイクル品として、PETボトルが用いられる前項5に記載の床材。
[6] 前記基材上面層としての木質繊維板は、厚さ0.2〜1.3mmに調整される前項1〜5のいずれか1項に記載の床材。
[6a] 木質繊維板として、MDF(中比重繊維板)が用いられる前項6に記載の床材。
[6b] 木質繊維板の比重が0.35以上である前項6に記載の床材。
[7] 前記基材合板層は、その表面に比重0.5以上の高比重材からなる高比重単板が積層される前項1〜6のいずれか1項に記載の床材。
[7a] 前記基材合板層は、その表面および裏面に比重0.5以上の高比重材からなる高比重単板が積層される前項7に記載の床材。
[7b] 前記基材合板層は、低比重単板が複数積層された低比重合板の表面に、その表面に比重0.5以上の高比重材からなる高比重単板が積層された複合合板により構成される前項7に記載の床材。
[7c] 前記基材合板層は、低比重単板が複数積層された低比重合板の表面および裏面に、その表面に比重0.5以上の高比重材からなる高比重単板が積層された複合合板により構成される前項7に記載の床材。
[8] 低比重材として、ファルカータ、キャンプノスペルマ、プライ、ジェルトン、ターミナリア、エリマの中から選択される1種または2種以上のものが用いられる前項1〜7のいずれか1項に記載の床材。
[8a] 低比重材として、ファルカータが用いられる前項8に記載の床材。
[9] 高比重材として、クルイン、バンキライ、バラウ、セルティス、カポール、ケンパス、ユーカリロブスター、カメレレ、アカシアマンギウム、アカシアハイブリッド、ゴムノキ、アカシアアウリカリフォルミスの中から選択される1種又は2種以上のものが用いられる前項7に記載の床材。
発明[1]の床材によれば、基材合板層上に、基材中間層としての合成樹脂フィルムを介して、基材上面層としての木質繊維板を積層しているため、木質繊維板および合成樹脂フィルム協同で、良好な耐凹み傷性を得ることができる。さらに両部材協同で、床材表面に耐凹み傷性を得るものであるため、両部材共に薄いものを用いることができる。このため、合成樹脂フィルムの熱の影響による伸縮量や、木質繊維板の吸放湿による伸縮量を小さく抑制でき、床材に有害な反りが発生するのを防止することができる。また合成樹脂フィルムが薄く軽量である上、基材合板層にも軽量な低比重単板が含まれているため、床材全体として軽量化を図ることができる。
ここで、基材合板層に含まれる低比重材は上記したように、柔らか過ぎて、傷、反りの発生により、床材用の基材として利用されなかったものであるが、本発明においては、この低比重材を含む基材合板層上に、合成樹脂フィルムおよび木質繊維板を積層するという構成を採用することによって始めて、低比重材の欠点すなわち、傷(凹み傷)や反り等の問題を克服し、床材用の基材としての利用を可能にした。従ってこのように低比重材を使用することによって、木材の有効利用を図ることができ、天然資源の枯渇化にも確実に対処することができる。
発明[2]の床材によれば、基材合板層を低比重合板により構成しているため、軽量化および木材資源の有効利用を確実に図ることができる。
発明[3]の床材によれば、基材中間層を、PET樹脂フィルムにより構成しているため、上記の効果をより確実に得ることができる。
発明[4]の床材によれば、基材中間層を、2軸延伸PET樹脂フィルムにより構成しているため、上記の効果をより一層確実に得ることができる。
発明[5]の床材によれば、PET樹脂材料としてリサイクル品を用いているため、資源の有効利用をより確実に図ることができる。
発明[6]の床材によれば、基材上面層を、特有の木質繊維板により構成しているため、上記の効果を一層確実に得ることができる。
発明[7]の床材によれば、基材合板層の表面に、高比重単板を積層しているため、耐凹み傷性をより一層向上させることができる。
発明[8][9]の床材によれば、特有の低比重単板および高比重単板を用いているため、上記の効果をより一層確実に得ることができる。
図1はこの発明の実施形態である床材を示す拡大断面図である。同図に示すように、本実施形態の床材は、基材合板層(10)上に基材中間層(15)を介して基材上面層(20)が積層された複合基材(1)を有し、その複合基材(1)の上面に化粧層(30)が積層されるとともに、下面に裏打ち層(40)が積層されている。
基材上面層(20)としては、木質繊維板が用いられる。この木質繊維板としては、MDF(中比重繊維板)など、密度(比重)が0.35g/cm3 (平均)以上のものを用いるのが良く、好ましくは密度が0.70g/cm3 以上のもの、より好ましくは密度が0.80g/cm3 以上、より一層好ましくは密度が0.90g/cm3 以上のものを用いるのが良い。
すなわちこの密度が小さ過ぎる場合には、十分な硬さを得ることができず、所定の耐凹み傷性を得ることが困難になるおそれがある。
また基材上面層用の木質繊維板としては、厚さが0.2〜1.3mmのもの、好ましくは0.3〜1.0mmのもの、より好ましくは0.4〜0.6mmのものを用いるのが良い。
すなわちこの厚さが薄過ぎる場合には、製造が困難になるばかりか、十分な硬さを得ることができず、所定の耐凹み傷性を得ることが困難になるおそれがある。逆に、厚過ぎる場合には、合板層(10)が基材上面層(20)としての木質繊維板の伸縮挙動による悪影響を受け易くなり、有害な谷反り変形が生じて、床材施工が困難になるおそれがある。
また基材上面層(20)としての木質繊維板は、例えば厚さ2〜3mm程度の木質繊維板を、厚さ方向に1ないし複数回分割して、その分割面を、研磨研削することにより得られるものである。また言うまでもなく、上記範囲の厚さで木質繊維板を作製して使用するようにしても良い。
なお基材上面層用の木質繊維板は、JISK5400の耐衝撃性試験方法に準拠するデュポン式凹みが250μm以下となり、ラワン合板(デュポン式凹み400〜800μm)よりも耐凹み性に優れている。
本実施形態において、基材中間層(15)は、硬質性の合成樹脂フィルム(合成樹脂シート)によって構成されている。
この基材中間層(15)としてのフィルム用の樹脂材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂等のほか、アイオノマー樹脂を好適に用いることができ、中でも特に、PET樹脂を用いるのが好ましい。すなわちPET樹脂は、リサイクル技術が進んでおり、使用済PETボトル等の使用済PET製品を再利用し易いため、材料(資源)の有効利用を図ることができる。さらにPET樹脂は、燃焼しても有害ガスが発生せず、支障なく焼却できて、廃棄処分を容易に行える上、耐衝撃性にも優れるため、耐凹み傷性を一層向上させることができる。
本実施形態では、これらの樹脂を素材とするフィルムを、基材中間層(15)として用いるものであり、中でも特に、2軸延伸フィルムを用いるのが良く、より好ましくは2軸延伸PET樹脂フィルムを用いるのが良い。
また基材中間層用の合成樹脂フィルムとしては、厚さが0.1〜1.0mmの薄いものを使用する必要があり、好ましくは0.1〜0.5mm、より好ましくは0.1〜0.3mmのものを使用するのが良い。すなわち合成樹脂フィルムの厚さが厚過ぎる場合には、熱の影響による伸縮量が大きくなり、熱によって床材に有害な谷反りが発生し易く、さらに重量が重くなって施工作業性の低下を来すおそれがある。逆に合成樹脂フィルムの厚さが薄過ぎる場合には、十分な強度(耐衝撃性)が得られず、キャスター傷等に対する耐凹み傷性を十分に確保できなくなるおそれがある。
本実施形態において、基材合板層(10)は、1〜複数の単板(11)が積層された合板によって構成されている。本実施形態において基材合板層(10)には、比重(平均)が0.45以下、好ましくは0.40以下の低比重材からなる低比重単板が含まれている。
例えば基材合板層(10)は、1〜複数枚の低比重単板によって構成しても良いし、1〜複数枚の低比重単板と、他の木質材との複合材によって構成しても良い。中でも特に、低比重単板のみを複数枚積層した低比重合板や、低比重合板の表面に後述の高比重単板を積層した複合板材、さらに低比重合板の表裏両面に高比重単板を積層した複合板材は、基材合板層(10)として好適に用いることができる。すなわち基材合板層(10)を低比重合板によって構成する場合には、天然資源の枯渇化に確実に対処しつつ、十分な軽量化を図ることができる。また基材合板層(10)として、低比重合板と高比重単板との複合板によって構成する場合には、表面に硬質の高比重単板が配置されるため、耐凹み性をより一層向上させることができる。特に、高比重単板を低比重合板の表裏両面に積層する場合には、表裏間の応力バランスが保たれて、良好な形態安定性を得ることができる。
ここで、本発明に適用可能な低比重材としては、ファルカータ(比重0.33)、キャンプノスペルマ(比重0.33)、プライ、ジェルトン、ターミナリア(比重0.38)、エリマ等を例示することができる。中でも特に、早生樹及び植林木であるファルカータを好適に使用することができる。
本実施形態では、これらの低比重の木材をロータリー切削、スライス切削等の公知の切削加工によって、低比重単板が得られるものである。
また低比重単板は、厚さを1.0〜4.0mmに設定するのが好ましい。すなわち薄過ぎる場合には、軽量化が図ることが困難になり、逆に厚過ぎる場合には、その分、基材中間層(15)および基材上面層(20)の厚みが薄くなり、所定の硬さを得ることが困難になるおそれがなる。
さらに基材合板層(10)においては、隣合う単板(11)の繊維方向を交差させて積層するのが良い。すなわち、繊維方向を交差させることにより、合板製造時のプレスによる厚み減りを少なくすることができ、所定の厚みの合板を精度良く製作することができる。もっとも本発明においては、隣合う単板間の繊維方向を必ずしも交差させる必要はなく、単板間の一部あるいは全部を平行に配置するようにしても良い。
また上記高比重単板は、比重(平均)が0.50以上、好ましくは0.53以上、より好ましくは0.60以上の高比重材からなる単板をもって構成されている。
ここで本発明に適用可能な高比重材としては、クルイン、バンキライ(比重0.95)、バラウ(比重0.96)、セルティス、カポール(比重0.73)、ケンパス(比重0.87)、ユーカリロブスター(比重0.75)、カメレレ、アカシアマンギウム(比重0.54〜0.66)、アカシアハイブリッド(比重0.47〜0.6)、ゴムノキ(比重0.54〜0.65)、アカシアアウリカリフォルミス(比重0.69)等を例示することができる。中でも、ゴムノキは、ゴムの樹液を採取した後の廃木を利用するものであるため、木材資源を、より一層有効に利用することができる。更に植林材としても存在するアカシアマンギウム、アカシアハイブリッド、アカシアアウリカリフォルミスも好適に使用することができる。
本実施形態では、これらの高比重の木材をロータリー切削、スライス切削等の公知の切削加工によって、高比重単板が得られるものである。
また高比重単板の厚さは、0.5〜2.0mmに設定するのが良く、好ましくは0.8〜1.4mmに設定するのが良い。
一方、本実施形態において、基材合板層(10)、基材中間層(15)および基材上面層(20)は、互いに接着剤によって貼り付けられて一体化されることにより、複合基材(1)が形成されている。
すなわち基材合板層(10)上に、基材中間層(15)としての合成樹脂フィルムが接着剤を介して貼り付けられるとともに、その合成樹脂フィルム上に、基材上面層(20)としての木質繊維板が接着剤を介して貼り付けられる。この接着剤としては、反応性ウレタン樹脂ホットメルト、2液溶剤型ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などを好適に用いることができる。
また図1に示すように、本実施形態の床材においては、複合基材(1)の下面に裏打ち層(40)が積層される。
本実施形態において、床材に裏打ち層(40)を設けることにより、床材の有害な谷反りを有効に防止することができる。
この裏打ち層(40)としては、上記の谷反りを確実に防止できるように、所定の抗張力を有するものを採用するのが良い。更に裏打ち層(40)としては、裏面側からの吸湿を防止できるように、防湿性を有するものを用いるのが良い。
裏打ち層(40)として具体的には、不織布、紙、単板、合成樹脂含浸紙、合成樹脂シート、合成樹脂フィルム等からなるもの、またはこれらを組み合わせたものを好適に用いることができる。
また裏打ち層(40)は、防湿性を付与するために、あるいは防湿性を向上させるために、裏打ち層(40)の表裏面や、層内に防湿材料を設けるようにしても良い。
防湿材料としては、例えば合成樹脂シートや合成樹脂フィルムからなるもの、またはこれらを組み合わせたものを好適に用いることができる。
本実施形態の床材においては、複合基材(1)の上面に化粧層(30)が積層される。
この化粧層(30)としては、木質単板、模様柄印刷紙、合成樹脂含浸シート、塗料の他、人工単板に木目柄を印刷したもの、木質繊維板に目止めや下地隠しの塗料を施して木目柄や抽象柄などを印刷したもの、またはそれらを組み合わせたものを好適に用いることができる。
本実施形態の床材は、その全体厚さを、5.5〜16mm程度に設定するのが望ましく、好ましくは下限値を7mm程度、上限値を16mm程度に設定するのが望ましい。
また本発明の床材は、その周縁部に、本実、相じゃくり実はぎ等の接合用加工部が形成されて、床材製品として構成するものが通例である。
本実施形態において、床材を施工する場合、通常、パーティクルボードや捨貼り合板からなる平坦な床下地に施工する。すなわち複数の床材が、隣合う床材間において対応する接合用加工部を雄雌嵌合させつつ、床下地上に順次並べて施工されて、床仕上げ面が形成される。この床仕上げ施工においては、各床材と床下地との間に接着剤を塗布するとともに、各床材の辺部に釘を打ち込んで床下地に固定する、いわゆる糊釘併用工法が用いられる。
以上のように、本実施形態の床材によれば、基材合板層(10)上に、基材中間層(15)としての合成樹脂フィルムを介して、基材上面層(20)としての木質繊維板を積層しているため、この木質繊維板および合成樹脂フィルムにより、床材表面の耐凹み傷性を向上させることができ、床材表面にキャスター傷等の凹み傷が付くのを防止することができる。
また本実施形態の床材は、基材上面層(20)としての木質繊維板と、基材中間層(15)としての合成樹脂フィルムとの協同で、床材表面に耐凹み傷性を得るものであるため、木質繊維板および合成樹脂フィルム共に薄いものを用いることができる。このため、合成樹脂フィルムの熱による伸縮量を小さく抑制でき、床材に有害な反りが発生するのを防止することができる。同様に、木質繊維板の吸放湿による伸縮量を小さく抑制でき、この点においても、床材に有害な反りが発生するのをより確実に防止することができる。
ここで、基材合板層(10)に含まれる低比重単板は、柔らか過ぎて、凹み傷、反りの発生により、床材用の基材として利用されなかったものであるが、本実施形態においては、この低比重単板と、合成樹脂フィルム(基材中間層15)および木質繊維板(基材上面層20)とを複合して使用するという独自の構成を採用することによって、上記したように、傷(凹み傷)や反り等の発生を防止し、床材用の基材として支障なく使用できるようにしたものである。従ってこのように低比重材単板を使用することによって、木材の有効利用を図ることができ、天然資源の枯渇化に確実に対処することができる。
また本実施形態の床材は、合成樹脂フィルムが薄いため、その分、軽量化を図ることができて、施工作業性を向上させることができる。
しかも、基材合板層(10)に、軽量な低比重単板が含まれるため、一層軽量化を図ることができて、一段と施工作業性を向上させることができる。特に基材合板層(10)のほとんどを、低比重材により構成する場合には、より一層軽量化を図ることができる。
また本実施形態において、合成樹脂フィルムの材料として、PET樹脂成形品のリサイクル品を利用することができるため、資源の有効利用を図ることができる。
<実施例>
基材合板層(10)としての7層直交貼りのファルカータ合板上に、基材中間層(15)としての厚さ0.2mmのPET樹脂フィルムを接着剤を介して貼着し、さらにそのPET樹脂フィルム上に、基材上面層(20)としての厚さ0.475mmの木質繊維板を接着剤により貼着して、複合基材を作製した。そしてその複合基材に、化粧層として突板を貼着して床材を作製した。
基材合板層(10)としての7層直交貼りのファルカータ合板上に、基材中間層(15)としての厚さ0.2mmのPET樹脂フィルムを接着剤を介して貼着し、さらにそのPET樹脂フィルム上に、基材上面層(20)としての厚さ0.475mmの木質繊維板を接着剤により貼着して、複合基材を作製した。そしてその複合基材に、化粧層として突板を貼着して床材を作製した。
この床材に対し、JISK5400の耐衝撃性試験方法に準拠するデュポン式凹みを測定した。その結果、試験数(サンプル数)120点での平均が315μmであった。
<参考例>
参考例として、7層直交貼りのラワン合板上に、厚さ0.475mmの木質繊維板を貼着し、さらにその上に、化粧層として突板を貼着して、床材を作製した。
参考例として、7層直交貼りのラワン合板上に、厚さ0.475mmの木質繊維板を貼着し、さらにその上に、化粧層として突板を貼着して、床材を作製した。
この床材に対し、上記と同様にデュポン式凹みを測定したところ、試験数300点で平均が360μmであった。
以上の結果から、本発明に関連した実施例の床材は、本発明の要旨を逸脱する参考例の床材に対し、デュポン式凹み試験による凹み量が少なく、耐凹み傷性に優れているのが判る。
この発明の床材は、家屋やマンション等の居住用建造物における屋内の床仕上げ用に好適に用いられる。
1…複合基材
10…基材合板層
15…基材中間層
20…基材上面層
10…基材合板層
15…基材中間層
20…基材上面層
Claims (9)
- 基材合板層上に基材中間層を介して基材上面層が積層された複合基材を有する床材であって、
前記基材合板層は、比重0.45以下の低比重材からなる低比重単板を含み、
前記基材中間層は、厚さ0.1〜1.0mmに調整された合成樹脂フィルムにより構成され、
前記基材上面層は、木質繊維板により構成されたことを特徴とする床材。 - 前記基材合板層は、低比重単板が複数積層された低比重合板により構成される請求項1に記載の床材。
- 前記基材中間層としての合成樹脂フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂によって構成される請求項1または2に記載の床材。
- 前記合成樹脂フィルムが、2軸延伸PET樹脂フィルムによって構成される請求項3に記載の床材。
- PET樹脂材料として、PET樹脂成形品のリサイクル品が用いられる請求項3または4に記載の床材。
- 前記基材上面層としての木質繊維板は、厚さ0.2〜1.3mmに調整される請求項1〜5のいずれか1項に記載の床材。
- 前記基材合板層は、その表面に比重0.5以上の高比重材からなる高比重単板が積層される請求項1〜6のいずれか1項に記載の床材。
- 低比重材として、ファルカータ、キャンプノスペルマ、プライ、ジェルトン、ターミナリア、エリマの中から選択される1種または2種以上のものが用いられる請求項1〜7のいずれか1項に記載の床材。
- 高比重材として、クルイン、バンキライ、バラウ、セルティス、カポール、ケンパス、ユーカリロブスター、カメレレ、アカシアマンギウム、アカシアハイブリッド、ゴムノキ、アカシアアウリカリフォルミスの中から選択される1種又は2種以上のものが用いられる請求項7に記載の床材。
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