JP5060373B2 - 木質複合板 - Google Patents

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本発明は、住宅等建築物の床板や壁板等に用いるに好適な木質複合板に関し、特に、反り、ねじれなどの変形が生じ難いものに関する。
従来から、例えば特許文献1に記載のあるように、合板の表面に硬度の高いMDF等の木質繊維板を接着した木質複合板は良く知られている。このような木質複合板は、通常、合板の表面に尿素樹脂や尿素−メラミン樹脂接着剤などの水系熱硬化性樹脂接着剤を塗布し、この上に木質繊維板を積層した後、ホットプレス装置により熱圧し、接着一体化して製造されている。
しかしながら、このような方法では、上記熱圧時に接着剤中の水分が合板の表面層や木質繊維板の裏面層に移行して膨張し、また、熱圧時の熱によって木質繊維板表面層は水分が蒸発して収縮する結果、得られる木質複合板にその表面側を凹とする凹反りやねじれなどの変形を生じるという問題を有していた。
このため、特許文献1では、表裏の単板の繊維方向を長手方向とするとともにその中間の単板の繊維方向をそれと直交する短手方向とし、且つ表面側単板の厚さが裏面側単板の厚さより厚く、繊維板と表面側単板の厚さ合計が全体厚の50%未満であるように構成して、製造後の反りを防止するようにしている。
しかしながら、この方法では、木質複合板の構成が極めて限定され、応用性に乏しく生産性も悪くなるという問題を有していた。また、製造後の使用時においては、合板に較べて木質繊維板の方が湿気や水分の吸収・放散による伸縮率が大きいため、使用時の乾燥によって表面の木質繊維板が合板よりも大きく収縮して木質複合板に特に短手方向に凹反りが生じたり、或いは使用時の湿潤によって表面の木質繊維板が合板よりも大きく膨張して短手方向に凸反りが生じたりするという問題があり、特許文献1の方法では、このような使用時における反りやねじれなどの変形を防止する効果は十分ではなかった。
特開2006−192817号公報
本発明は上記問題に鑑みなされたもので、使用時の乾燥・湿潤の環境変化の元においても、特に短手方向に反りやねじれ等の変形の発生がない木質複合板を提供することを目的とする。
このため、請求項の発明の木質複合板は、5枚の木質単板を積層接着して形成した積層板の上面に、厚さ4.0mm以下で気乾比重0.6〜0.9の木質繊維板を接着して形成した矩形状の木質複合板で、上記積層板は、その最上層と上から4番目の木質単板の木材繊維の方向が略短手方向になるように積層接着されているとともに、上から2番目と最下層の木質単板の木材繊維の方向が略長手方向になるように積層接着されていることを特徴とする。
これによれば、木質複合板の積層板部分において、最上層の木質単板は木材繊維の方向が略短手方向に向いているので乾燥時短手方向にはほとんど収縮せず、一方最下層の木質単板は木材繊維の方向が長手方向に向いているので、乾燥時短手方向に収縮しようとするので、積層板は短手方向において凸に反ろうとする。一方木質複合板の木質繊維板部分においては、乾燥時に収縮率の大きな木質繊維板が収縮し、積層板を略短手方向に凹反りさせようとするが、上記のように積層板は略短手方向に凸に反ろうとし、また最上層の単板の木材繊維の方向が略短手方向にあって木質繊維板の乾燥収縮を拘束するように作用するので、複合板の略短手方向の凹反りは顕著になくすことができる。尚、湿潤時の膨張の場合は、同様な作用で複合板の略短手方向の凸反りを顕著になくすことができる。そのことに加えて、積層板を5枚構成とする場合の木質複合板の反り、ねじれなどの変形の発生を一層良好に防止することができる。
請求項の発明の木質複合板は、積層板の上面に木質繊維板を湿気硬化型ウレタン系ホットメルト樹脂接着剤を用いてロールプレスにより冷圧して接着し、形成することを特徴とする。
これによれば、前記従来のように水系熱硬化性樹脂接着剤を用いて積層板の上面に木質繊維板をホットプレスにより熱圧接着して木質複合板を製造する場合に較べて、水分と熱の影響を排除できるので、製造時における反りやねじれ等の変形のない一層良好な木質複合板を得ることができる。
請求項の発明の木質複合板は、木質繊維板の表面に予めシート状化粧材が接着されていることを特徴とする。このように、木質繊維板と積層板とを積層接着する前の木質繊維板の表面に予めシート状化粧材を接着しておくことにより、木質複合板にした後からシート状化粧材をホットプレスにより熱圧接着する場合に較べて、反り、ねじれ等の変形の少ない木質複合板を得ることができる。
このように本発明の木質複合板は、製造時は勿論、製造後の使用時においても、特に短手方向の反りやねじれなどの変形が生じないという効果を奏する。
以下、本発明の実施形態である木質複合板を、図面に基づき説明する。尚、本発明は本実施形態の記載内容に限られるものではない。
図1〜図4は、本発明の実施形態である木質複合板A〜Dを夫々示す。図1は本発明の第1の実施形態を示し、1は木質繊維板、2は積層板であり、この積層板2の表面に木質繊維板1を接着して矩形状の木質複合板Aが形成されている。そして、この積層板2は、5枚の木質単板が、その最上層の木質単板2aと上から4番目の木質単板2dの木材繊維の方向が、木質複合板Aの略短手方向になるように積層接着され、最下層の木質単板2eと上から2番目と3番目の木質単板2b、2cの木材繊維の方向が、木質複合板Aの略長手方向になるように積層接着されて形成されている。尚、ここにおいて積層板2を構成する上から3番目の木質単板2cの木材繊維の方向は、木質複合板Aの略短手方向となるように積層接着しておくこともできる。
また、ここにおいて、木質繊維板1として、厚さが0.7mmから4.0mm、気乾比重が0.6〜0.9程度のものを好適に用いることができる。木質繊維板1の厚さが0.7mm未満となると、得られる木質複合板Aの表面硬度が不十分となって好ましくなく、また4.0mmを超えると木質繊維板1の影響が大きくなりすぎて木質複合板Aに反り等の変形が生じ易くなるので好ましくない。特に積層板2を構成する単板として植林木のように軽質で硬度が低い木材、或いは抜け節等の欠点の多い木材を用いた場合でも、得られる木質複合板Aに良好な表面硬度を付与でき、且つ反り等の変形を防止できるという観点から、木質繊維板1の厚さは、2.0〜3.0mmであるのが好ましい。
尚、木質繊維板1として、厚さが2.0mm未満の薄いもの、例えば1.5mmのものを用いる場合には、3.0mm厚さの木質繊維板をその厚み方向で2分割して得られるものを用いることができる。
また、木質繊維板1の気乾比重が0.6未満となると、硬度が低くなって表面に傷が付き易くなるので好ましくなく、また0.9を超えると加工性が悪くコストが高くなるので好ましくない。
さらに、木質繊維板1の含水率は5〜10重量%程度で、且つ積層板2の含水率よりも低い含水率となるようにしておくと、木質複合板Aの反りの発生を一層抑制することができる。
一方、積層板2を構成する木質単板2a、2b、2c、2d、2eとしては、特に限定されず種々のものを用いることができる。特に本発明においては、軽質で硬度のない樹種、反りやねじれを生じ易い樹種、抜け節等の欠点が多い樹種、早晩材の硬度差の大きな樹種などのため、その使用範囲が限定されていた針葉樹や早生植林木、例えば、国産トドマツ、カラマツ、エゾマツ、ラジアータパイン、北洋カラマツ、ポプラ、アカシアハイブリッド、アカシアマンギュウーム、ファルカタ、ユーカリ、ラジアータパイン、ゴム等の樹種からなる単板を、積層板2を構成する単板として、或いは積層板2の一部を構成する単板として用いることもできる。
このように、本第1の実施形態に係る木質複合板Aでは、積層板2の構成を最上層の木質単板2aの木材繊維の方向を木質複合板Aの短手方向とし、最下層の木質単板2eの木材繊維の方向を木質複合板Aの長手方向としているので、木質複合板Aの積層板2の部分は、例えば乾燥収縮時に略短手方向において凸に反ろうとするのに対し、木質繊維板1の部分は短手方向において凹に反ろうとして、木質複合板Aに短手方向の反りが生じ難くなるように作用するものである。尚、本実施形態では、上から4番目の木質単板2dの木材繊維の方向を木質複合板Aの略短手方向になるようにし、上から2番目と3番目の木質単板2b、2cの木材繊維の方向を略長手方向になるようにして、これら2d、2b、2cの木質単板の短手方向における反りが積層板2の反りに影響するのを少なくするようにしている。
図2は、本発明の第2の実施形態である木質複合板Bを示し、積層板2'は、5枚の木質単板が、その最上層の木質単板2’aと上から3番目と4番目の木質単板2’c、2’dの木材繊維の方向が、木質複合板Bの略短手方向になるように積層接着され、最下層の木質単板2eと上から2番目の木質単板2bの木材繊維の方向が、木質複合板Bの略長手方向になるように積層接着されて形成されている。
そして、この積層板2’の表面には、湿気硬化型ウレタン系ホットメルト樹脂接着剤層4を介して木質繊維板1が接着され、更にこの木質繊維板1の表面にはシート状化粧材5が接着されて、表面に化粧層を有する木質複合板Bに形成されている。ここにおいて、シート状化粧材5としては、突板、樹脂含浸印刷化粧紙、印刷化粧紙などを用いることができる。その他の構成は、第1の実施形態で説明したのと同じである。
この第2の実施形態である木質複合板Bにおいても、積層板2’の構成を最上層の木質単板2’aの木材繊維の方向を木質複合板Bの略短手方向とし、最下層の木質単板2’eの木材繊維の方向を木質複合板Bの長手方向としているので、前記第1の実施形態の木質複合板Aの場合と同様に、木質繊維板1と積層板2’の反りが打ち消し合って、木質複合板Bに短手方向の反りが生じ難くなるようになっている。
尚、木質複合板Bでは、木質繊維板1と積層板2’との接着に湿気硬化型ウレタン系ホットメルト樹脂接着剤4を用いたものを示したが、これは、上記両者の接着をロールプレスによる冷圧で行うことができるので、製造時に従来のように反りの原因となる水分や熱の影響を排除することができ、製造に起因する反りやねじれ等の変形のない木質複合板Bを形成することができる。また、上記ホットメルト樹脂接着剤4は、JIS Z0208条件Bで測定した防湿性能が100〜120g/m2・24h程度の通常のものを用いることができるが、更に10〜25g/m2・24hの高い防湿性能のものを用いることにより、湿気の変化に伴う木質複合板Bの反り等の変形の発生を一層抑制することができる。
また、木質複合板Bでは、木質繊維板1の表面にシート状化粧材5を接着したものを示したが、予め木質繊維板1にシート状化粧材5を熱圧等により接着しておき、生じた反り等の変形を矯正したのち、積層板2’の表面にこの木質繊維板1を接着することで、後からシート状化粧材5を接着する場合に較べてシート状化粧材5を熱圧接着するときに生じる反り等の変形の影響を小さくすることができ、製造に起因する反りやねじれ等の変形を一層軽減できる木質複合板Bを形成することができる。
図3は、本発明の第参考例である木質複合板Cを示し、図4は、本発明の第参考例である木質複合板Dを示す。図3の木質複合板Cにおいて、積層板3は、4枚の木質単板が、その最上層の木質単板3aの木材繊維の方向が、木質複合板Bの略短手方向になるように積層接着され、最下層の木質単板3dと上から2番目と3番目の木質単板3b、3cの木材繊維の方向が、木質複合板Bの略長手方向になるように積層接着されて形成されている。
また、図4の木質複合板Dは、その積層板3’が4枚の木質単板で構成され、最上層の木質単板3’aと上から2番目の木質単板3’bの木材繊維の方向が略短手方向となり、最下層の木質単板3’dと、上から3番目の木質単板3’cの木材繊維の方向が略長手方向になるように接着積層されて形成されている。
このように、本第及び第参考例に係る木質複合板C及びDにおいても、積層板3及び3’は、その最上層の木質単板3a、3’aの木材繊維の方向を木質複合板Aの略短手方向とし、最下層の木質単板3d、3’dの木材繊維の方向を木質複合板Aの略長手方向としているので、木質複合板C、Dの積層板3a、3’aの部分は、乾燥収縮時に略短手方向において凸に反ろうとするのに対し、木質繊維板1の部分は略短手方向において凹に反ろうとして、木質複合板C、Dに略短手方向の反りが生じ難くなるように作用するものである。これによって、木質複合板C及びDにおいても、特に問題の多い略短手方向の凹反りが発生するのを抑制することができる。
本発明の第1実施形態である木質複合板Aを説明する断面図 本発明の第2実施形態である木質複合板Bを説明する断面図 本発明の第1参考例である木質複合板Cを説明する断面図 本発明の第2参考例である木質複合板Dを説明する断面図
A、B、C、D 木質複合板
1 木質繊維板
2、2’、3、3’ 積層板
2a、2b、2c、2d 木質単板
2’a、2’b、2’c、2’d 木質単板
3a、3b、3c、3d 木質単板
3’a、3’b、3’c、3’d 木質単板
4 ホットメルト樹脂接着剤
5 シート状化粧材

Claims (3)

  1. 5枚の木質単板を積層接着して形成した積層板の上面に、厚さ4.0mm以下で気乾比重0.6〜0.9の木質繊維板を接着して形成した矩形状の木質複合板で、上記積層板は、その最上層と上から4番目の木質単板の木材繊維の方向が略短手方向になるように積層接着されているとともに、上から2番目と最下層の木質単板の木材繊維の方向が略長手方向になるように積層接着されていることを特徴とする木質複合板。
  2. 木質複合板は、積層板の上面に木質繊維板を湿気硬化型ウレタン系ホットメルト樹脂接着剤を用いてロールプレスにより冷圧して接着し、形成することを特徴とする請求項1に記載の木質複合板。
  3. 木質繊維板は、その表面に予めシート状化粧材が接着されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の木質複合板。
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