JP2004047414A - フレキシブルフラットケーブル、接着剤及びその接合体 - Google Patents

フレキシブルフラットケーブル、接着剤及びその接合体 Download PDF

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Kazuhiro Kawabata
川端 和裕
Koji Fukui
福井 弘司
Bungo Hatta
八田 文吾
Katsunori Takahashi
高橋 克典
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Abstract

【課題】優れた接着強度を有するFFCに好適に用いられる接着剤、該接着剤を用いたFFC及びその接合体の提供。
【解決手段】被覆材に導体が挟まれ、外被覆材間が接着剤で接合されてなるフレキシブルフラットケーブルであって、上記被覆材間の剥離接着強度が10N/cm以上である湿気硬化性接着剤及び/又は光硬化性接着剤が用いられてなるフレキシブルフラットケーブル、前記フレキシブルフラットケーブルに用いられる接着剤及び該接着剤により接合された、フレキシブルフラットケーブルと補強材、フレキシブルフラットケーブル同士、又は、フレキシブルフラットケーブルと回路基板とが接合されてなるフレキシブルフラットケーブル接合体。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子・電気機器内などにおいて基板間の電気的接続などに好適に用いられるフレキシブルフラットケーブルとそれに用いられる接着剤及びその接合体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、断面が扁平な平角導体を、柔軟性を有する電気絶縁性のプラスチックフィルム(プラスチックシートも含む)等で接着剤を用いてサンドイッチ状に被覆し積層したフレキシブルフラットケーブル(以下、「FFC」と記す)は、薄物、軽量、柔軟性等の点で、電子・電気機器内などの配線基盤の接続ケーブルなどに広く用いられている。このFFCの被覆材として、各種材料が提案されているが、例えばポリエステル樹脂等は接着が困難であった。接着剤には上記特性の柔軟性を損なわず、各種材料に対する優れた接着強度がが望まれており、又、FFC同士の接着及びFFCと回路基板との接着においても同様の性質が要求されている。
【0003】
従来、上記FFC同士の接着やFFCと回路基板との接着は端子部を半田で接合したものが多用されていたが、この場合、FFCへの外力や振動等により接合部が外れるという問題点があった。
【0004】
又、例えば、FFC同士やFFCと回路基板との電磁波を用いた接着方法も提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、上記接着方法の場合、使用部材が電磁波を通しやすい部材に限られるという問題点や、非常に強力な電磁波設備を要するという問題点があった。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−148037号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来の問題点に鑑み、優れた接着強度を有するFFCに好適に用いられる接着剤、該接着剤を用いたFFC及びその接合体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、被覆材に導体が挟まれ、外被覆材間が接着剤で接合されてなるFFCであって、上記被覆材間の剥離接着強度が10N/cm以上である湿気硬化性接着剤及び/又は光硬化性接着剤が用いられてなるFFCである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、湿気硬化性接着剤が、下記一般式(1)で示される官能基を有する化合物(A)と、イソシアネート基を有する化合物(C)とからなる請求項1に記載のFFCである。
【化6】
Figure 2004047414
式中、Xは加水分解性を有する官能基を表す。
【0009】
請求項3に記載の発明は、光硬化性接着剤が、下記一般式(1)で示される官能基を有する化合物(A)、下記一般式(2)で示される官能基を有する化合物(B)、及び/又はイソシアネート基を有する化合物(C)とからなるFFCである。
【化7】
Figure 2004047414
式中、Xは加水分解性を有する官能基を表す。
【化8】
Figure 2004047414
式中、nは2、3、4又は5の整数を表し、Yは周期表のIVB族、VB族又はVIB族の原子を表し、Zは水素基、炭化水素基、水酸基、メルカプト基、アミノ基、ハロゲン基、アルコキシ基、アルキルチオ基、カルボニルオキシ基、又はオキソ基を表す。
【0010】
請求項4に記載の発明は、少なくとも一方の被覆材の接着面に、イソシアネート基を有する化合物(C)からなるプライマー層が形成されてなる請求項1〜3のいずれかに記載のFFCである。
【0011】
請求項5に記載の発明は、一方の被覆剤、プライマー層、接着剤層、及び他方の被覆材がこの順に積層されてなるフレキシブルフラットケーブルであって、上記接着剤層が、下記一般式(1)で表される官能基を有する化合物(A)及び下記一般式(2)で表される分子骨格を有する化合物(B)を含有する光反応性組成物から形成され、且つ、上記プライマー層がイソシアネート基を有する化合物(C)から形成されていることを特徴とする請求項1記載のフレキシブルフラットケーブル。
【化9】
Figure 2004047414
式中、Xは加水分解性を有する官能基を表す。
【化10】
Figure 2004047414
式中、nは2、3、4又は5の整数を表し、Yは周期表のIVB族、VB族又はVIB族の原子を表し、Zは水素基、炭化水素基、水酸基、メルカプト基、アミノ基、ハロゲン基、アルコキシ基、アルキルチオ基、カルボニルオキシ基、又はオキソ基を表す。
【0012】
請求項6に記載の発明は、一方の被覆材の接着面に、イソシアネート基を有する化合物(C)からなるプライマーを塗布し、次いで光硬化性接着剤を塗布した後に、上記光硬化性接着剤に光を照射した後に他方の被覆材を張り合わせるか、又は、他方の被覆材を張り合わせた後に光り照射を行うことを特徴とする請求項1、3,4のいずれかに記載のFFCである。
【0013】
請求項7に記載の発明は、更に補強材が接合されてなる請求項1〜5のいずれか1項に記載のFFCである。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載のFFCに用いられる接着剤である。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の接着剤を用いて、FFCと補強材、FFC同士、又は、FFCと回路基板とが接合されてなるFFC接合体である。
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のFFCにおける接着剤は、被覆材間の剥離接着強度が10N/cmであり、且つ、湿気又は光によって硬化反応が開始するする湿気硬化性又は光硬化性接着剤である。
【0017】
上記剥離接着強度が10N/cm未満であると、FFCを製造或いは使用時に屈曲との変形を受けた際に、被覆材間で剥離が起こってしまう。
尚、上記剥離接着強度は、T型剥離試験によって求められた値である。
【0018】
FFC用に使用され得る接着剤としては、非反応性接着剤、加熱硬化性接着剤、湿気硬化性接着剤、光硬化性接着剤等が挙げられるが、本発明においては、作業性、接着強度、硬化反応の均一性等から、湿気硬化性接着剤、光硬化性接着剤が使用される。例えば、加熱硬化型接着剤の場合は、耐熱性の低い被覆材は使用できず、また、加熱ムラにより硬化反応が均一に進行せず接着強度にバラツキが生じたりする。
本発明においては、湿気硬化性接着剤は、雰囲気中の湿気により反応が進行すし、更に、光硬化型接着剤は、光を照射することにより硬化反応が開始し、光を遮断しても反応が進行するので加熱硬化型接着剤を硬化させる際のような問題が発生することがない。
【0019】
本発明において用いられる湿気硬化剤は、一般式(1)で示される官能基を有する化合物(A)と、イソシアネート基を有する化合物(C)とからなる請接着剤である。
【0020】
上記化合物(A)は、上記一般式(1)で表される分子骨格を有する化合物であって、Xで表される加水分解性を有する官能基(以下、加水分解性基(X)ともいう。)が珪素原子に少なくとも2個以上結合した分子骨格を有する。なお、化合物(A)は1種類で用いてもよく、複数種類を併用してもよい。
また、加水分解性基(X)が珪素原子に少なくとも2個以上結合した分子骨格とは、同じ珪素原子を介して加水分解性基(X)が複数個結合してもよいし、1分子中に珪素原子が2個以上ある場合にあっては、各珪素原子に少なくとも1個以上の加水分解性基(X)が結合していてもよい。
【0021】
上記加水分解性基(X)は、珪素原子と加水分解性基(X)との結合が加水分解反応により切断されうる官能基である。上記加水分解性基(X)としては特に限定されず、公知の官能基を用いることができ、例えば、アルコキシ基、オキシム基、アルケニルオキシ基、アセトキシ基;塩素、臭素等のハロゲン基等が挙げられる。なかでも、貯蔵安定性と汎用性の観点から、アルコキシ基が好適である。上記アルコキシ基としては特に限定されず、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。ジアルコキシシリル基又はトリアルコキシシリル基の場合には、同じアルコキシ基を用いても良いし、異なるアルコキシ基を組み合わせて用いても良い。また、種類の異なる官能基Xを組み合わせて用いても良いし、異なる化合物Aを複数個組み合わせて用いても良い。化合物(A)の加水分解性基(X)はすべて同じ種類であってもよいし、すべて種類が異なっていてもよい。
【0022】
上記一般式(1)で表される化合物(A)としては特に限定されないが、例えば、下記一般式(1−1)で表される珪素原子に加水分解性基(X)が2〜4個結合した分子骨格を有する化合物(A1)、又は、下記一般式(1−2)で表される官能基を1分子中に少なくとも1個以上有する化合物(A2)が好適である。ただし下記一般式(1−2)においてmが1である場合にあっては、化合物(A2)は一般式(1−2)で表される官能基を1分子中に少なくとも2個以上有する。
【0023】
【化11】
Figure 2004047414
式中、mは2、3又は、4の整数を表し、Rは炭化水素基を表し、Xは加水分解性を有する官能基を表す。
【0024】
【化12】
Figure 2004047414
【0025】
式中、mは1、2又は3の整数を表し、Rは炭化水素基を表し、Xは加水分解性を有する官能基を表す。
【0026】
上記一般式(1−1)又は上記一般式(1−2)において、Rで表される炭化水素基(以下、炭化水素基Rともいう。)としては特に限定されず、例えば、脂肪族炭化水素基、不飽和脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。これらの炭化水素基はアミノ基、水酸基、エーテル基、エポキシ基、重合性不飽和基、ウレタン結合、ウレア基、イミド基、エステル結合等の架橋反応を阻害しない官能基又は結合を有していてもよい。
【0027】
上記化合物(A1)としては、例えば、ジメトキシジメチルシラン、シクロヘキシルジメトキシメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジメトキシメチルオクチルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、クロロメチル(ジイソプロポキシ)メチルシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、トリメトキシプロピルシラン、イソブチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、(3−クロロプロピル)トリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、トリス(2−メトキシエトキシ)ビニルシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ジエトキシ(3−グリシドキシプロピル)メチルシラン、トリメトキシ[2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]−ヘプト−3−イル)エチル]シラン、クロロトリメトキシシラン、クロロトリエトキシシラン、クロロトリス(1,3−ジメチルブトキシ)−シラン、ジクロロジエトキシシラン、3−(トリエトキシシリル)−プロピオニトリル、4−(トリエトキシシリル)−ブチロニトリル、3−(トリエトキシシリル)−プロピルイソシアネート、3−(トリエトキシシリル)−プロピルチオイソシアネート、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、1,3,5,7−テトラエトキシ−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラプロキシシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトライソプロポキシ−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラブトキシ−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタエトキシ−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘキサフェニルシクロトリシロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラフェニルシクロテトラシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルシクロトリシラザン、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルシクロテトラシラザン、1,7−ジアセトキシオクタメチルテトラシロキサン、1,7−ジクロロオクタメチルテトラシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−1,5−ジクロロトリシロキサン、1,3−ジクロロテトライソプロピルジシロキサン、1,3−ジエトキシテトラメチルジシロキサン、1,3−ジメトキシテトラメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジクロロジシロキサン、1,2−ビス(メチルジクロロシリル)エタン、ジアセトキシジフェニルシラン、メチルトリス(エチルメチルケトオキシム)シラン、メチルトリス(N,N−ジエチルアミノキシ)シラン、ビス(エチルメチルケトオキシム)メチルイソプロポキシシラン、ビス(エチルメチルケトオキシム)エトキシメチルシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシルエチル)トリメチルシラン、トリス(1−メチルビニロキシ)ビニルシラン、メチルトリイソプロペノキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、ジアセトキシジメチルシラン、トリアセトキシビニルシラン、テトラアセトキシシラン、ジアセトキシメチルフェニルシラン、ジメトキシエチルメチルケトオキシムメチルシラン等が挙げられる。
【0028】
上記化合物(A2)としては、例えば、プロピレングリコール、エチレングリコール、ブチレングリコール等のアルキレングリコールをモノマーユニットとするポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリスチレン、ポリオレフィン等のポリマーやこれらのポリマーの共重合体であって、一般式(1−2)で表される官能基を有する重合体等が挙げられる。なお、これらのポリマーはオリゴマーであってもよい。
【0029】
上記化合物(A2)に含有される一般式(1−2)で表される官能基としては、例えば、ジメトキシメチルシリル基、シクロヘキシルジメトキシシリル基、ジエトキシメチルシリル基、ジメトキシオクチルシリル基、ジエトキシビニルシリル基、クロロメチル(ジイソプロポキシ)シリル基、ジメトキシフェニルシリル基、ジエトキシフェニルシリル基、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、ジメトキシプロピルシリル基、イソブチルジメトキシシリル基、オクチルジメトキシシリル基、オクタデシルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基、エチルジエトキシシリル基、イソブチルジエトキシシリル基、オクチルジエトキシシリル基、ビニルジメトキシシリル基、ビニルジエトキシシリル基、アリルジエトキシシリル基、(3−クロロプロピル)ジメトキシシリル基、クロロメチルジエトキシシリル基、ビス(2−メトキシエトキシ)ビニルシリル基、3−グリシドキシプロピルジメトキシシリル基、ジエトキシ(3−グリシドキシプロピル)シリル基、ジメトキシ[2−(7−オキサビシクロ[4,1,0]−ヘプト−3−イル)エチル]シリル基、クロロジメトキシシリル基、クロロジエトキシシリル基、クロロビス(1,3−ジメチルブトキシ)−シリル基、クロロジエトキシシリル基、3−(トリエトキシシリル)−プロピオニトリル基、4−(トリエトキシシリル)−ブチロニトリル基、3−(トリエトキシシリル)−プロピルイソシアネート基、3−(トリエトキシシリル)−プロピルチオイソシアネート基、フェニルジメトキシシリル基、フェニルジエトキシシリル基、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリプロポキシシリル基、トリブトキシシリル基、1,2−ビス(メチルジクロロシリル)、ジアセトキシジフェニルシリル基、メチルトリス(エチルメチルケトオキシム)シリル基、メチルトリス(N,N−ジエチルアミノキシ)シリル基、ビス(エチルメチルケトオキシム)メチルイソプロポキシシリル基、ビス(エチルメチルケトオキシム)エトキシメチルシリル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシルエチル)トリメチルシリル基、トリス(1−メチルビニロキシ)ビニルシリル基、メチルトリイソプロペノキシシリル基、エチルトリアセトキシシリル基、メチルトリアセトキシシリル基、ジアセトキシジメチルシリル基、トリアセトキシビニルシリル基、テトラアセトキシシリル基、ジアセトキシメチルフェニルシリル基、ジメトキシエチルメチルケトオキシムメチルシリル基等が挙げられる。
【0030】
上記化合物(A2)において、一般式(1−2)で表される官能基は、ポリマー末端に位置していてもよいし、ポリマーの側鎖に位置していてもよい。また、ポリマー末端と側鎖の両方に位置していてもよい。
【0031】
上記化合物(A2)は、更に、重合性不飽和基を有することが好ましい。上記重合性不飽和基としては、スチリル基、(メタ)アクリル基等のアニオン重合性基;スチリル基、ビニロキシ基等のカチオン重合性基;ラジカル重合性不飽和基等が挙げられる。なかでも、ラジカル重合性不飽和基がより好ましい。上記ラジカル重合性不飽和基とは、ラジカルの攻撃を受け生成したラジカルが、連鎖反応的に別の不飽和基に攻撃しラジカル又はラジカルが生成する様な化学反応性を有する炭素−炭素二重結合以上の官能基を言う。かかるラジカル重合性不飽和基としては、メタクリロイル基又はアクリロイル基であることが更に好ましい。
【0032】
上記化合物(A2)は、上記一般式(1−2)で表される官能基及び/又はラジカル重合性基を、複数個及び/又は複数種組み合わせた化合物であってもよい。また、複数の化合物(A2)を組み合わせて用いてもよい。かかる上記一般式(1−2)で表される基と上記ラジカル重合性基を併せ持つ化合物(A2)としては、例えば、N−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルメチルビス(トリメチルシロキシ)シラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3−アリルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルジメチルエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロペニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビンルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルジメチルイソペンテニルオキシシラン、ビニルジメチル−2−((2−エトキシエトキシ)エトキシ)シラン、ビニルトリス(1−メチルビニルオキシ)シラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、フェニルビニルジエトキシシラン、ジフェニルビニルエトキシシラン、6−トリエトキシシリル−2−ノルボルネン、オクタ−7−エニルトリメトキシシラン、スチリルエチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0033】
上記化合物(A)のうち市販されているものとしては、例えば、鐘淵化学工業社製の商品名MSポリマーとしてMSポリマーS−203、S−303、エピオン等、サイリルポリマーとしてサイリルSAT−200、MA−903、MA−447等、旭硝子社製のエクセスターESS−2410、ESS−2420、ESS−3630、チッソ社製のアセトキシ末端ポリジメチルシロキサン(PS363.5)、ジメチルアミノ末端ポリジメチルシロキサン(PS383)、エトキシ末端ポリジメチルシロキサン(PS393)、ステアリロキシ末端ポリジメチルシロキサン(PS053.5)、トリエトキシシリル変性ポリ(1,2−ブタジエン)(PS078.5)、(N−トリメトキシシリルプロピル)ポリアザミド(PS075)、(N−トリメトキシシリルプロピル)ポリエチレンイミン(PS076)、(N−トリメトキシシリルプロピル)−O−ポリエチレンオキサイドウレタン(PS077)等が挙げられる。
【0034】
本発明に係る化合物(C)は、イソシアネート基を有する化合物である。
上記イソシアネート基を有する化合物として具体的に例示すると、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート,ビス(4−イソシアネートシクロヘキシル)メタン,ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェイト、キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート,ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−(イソシアネートメチル)シクロキサン、及び、これらのアダクト体、イソシアヌレート体、プレポリマー、オリゴマー、ビウレット体、共重合体、ウレトジオン等を挙げることができる。
【0035】
上記化合物(C)は、本発明の目的を阻害しない範囲で、例えば、酢酸エチルや酢酸ブチルのような有機溶剤に溶解もしくは希釈されていてもよい.
このような化合物(C)の市販品としては、例えば、三井東圧化学社製「コスモネート」、住友バイエルウレタン社製「スミジュール」、「デスモジュール」、日本ポリウレタン社製「コロネート」、「ミリオネート」、武田薬品工業社製「タケネート」、「タケラック」、旭化成社製「デュラネート」等が挙げられる。
【0036】
上記化合物(C)の配合割合としては、化合物(A)100重量部に対して0.1〜30重量部が好ましく、より好ましくは、1〜10重量部である。化合物(C)が0.1重量部未満の場合、接着性向上の効果が十分に得られないことがある。一方、化合物(C)が30重量部を超える場合、硬化物の強度が十分に得られないことがある。
【0037】
上記化合物(C)は、上述の如く、化合物(A)と混合されて、塗布されても良いが、さらにプライマーとして使用するのが好ましく、特に接着が困難な被覆材例えばPETに対しては特に好ましい。
【0038】
本発明において用いられる光硬化性接着剤は、前記一般式(1)で示される官能基を有する化合物(A)及び前記一般式(2)で示される官能基を有する化合物(B)、及び/又はイソシアネート基を有する化合物(C)とからなる接着剤であり、化合物(A)及び化合物(C)は上述した化合物が用いられる。
【0039】
上記化合物(B)は、上記一般式(2)で表される官能基を有する化合物であって、一般式(2)で表される異なった官能基を1分子中に複数組み合わせた化合物であってもよい。また、本発明の光反応性組成物においては、異なる上記一般式(2)で表される分子骨格を有する化合物を複数組み合わせて用いてもよい。
【0040】
上記一般式(2)で表される官能基は、周期表のIVB族、VB族、又は、VIB族の原子、すなわち酸素・硫黄・窒素・リン・炭素より選ばれる原子Yに対し、カルボニル基が2個結合した化合物であって、原子Yの置換基として原子Yの価数に応じ適宜、水素基、炭化水素基、水酸基、メルカプト基、アミノ基、ハロゲン基、アルコキシル基、アルキルチオ基、カルボニルオキシ基、又は、オキソ基であるZを有する。
【0041】
上記Zとしての炭化水素基としては、例えば、脂肪族炭化水素基、不飽和脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。なお、これらの炭化水素基はアミノ基、水酸基、エーテル基、エポキシ基、重合性不飽和基、ウレタン結合、ウレア基、イミド基、エステル結合等の架橋反応を阻害しない官能基もしくは結合を有していてもよい。
【0042】
上記一般式(2)で表される官能基としては、例えば、下記一般式(2A)、下記一般式(2B)、下記一般式(2C)、下記一般式(2D)、下記一般式(2E)で表される官能基が挙げられる。
【0043】
【化13】
Figure 2004047414
式中、Zは水素基、炭化水素基、水酸基、メルカプト基、アミノ基、ハロゲン基、アルコキシル基、アルキルチオ基、カルボニルオキシ基、又は、オキソ基を表す。
【0044】
また、上記化合物(B)としては、例えば、下記一般式(2−1)で表される環状化合物や、下記一般式(2−1)のような同じ環状鎖の中に複数個の同種又は異種の上記一般式(2)表される官能基を有する化合物等が挙げられる。更に、複数個の同種又は異種のこれら環状化合物を、適宜な有機基で結合した化合物や、複数個の同種又は異種のこれら環状化合物をユニットとして少なくとも1個以上含む双環化合物等が挙げられる。
【0045】
【化14】
Figure 2004047414
式中、nは2、3、4又は5の整数を表し、Yは周期表のIVB族、VB族又はVIB族の原子を表し、Zは水素基、炭化水素基、水酸基、メルカプト基、アミノ基、ハロゲン基、アルコキシル基、アルキルチオ基、カルボニルオキシ基、又は、オキソ基を表し、Aは有機基を表す。
【0046】
上記化合物(B)としては、Yが酸素の場合にあっては、例えば、酢酸無水物、プロピオン酸無水物、ブチル酸無水物、イソブチル酸無水物、バレリック酸無水物、2−メチルブチル酸無水物、トリメチル酢酸無水物、ヘキサン酸無水物、ヘプタン酸無水物、デカン酸無水物、ラウリル酸無水物、ミリスチリル酸無水物、パルミチン酸無水物、ステアリル酸無水物、ドコサン酸無水物、クロトン酸無水物、アクリル酸無水物、メタクリル酸無水物、オレイン酸無水物、リノレイン酸無水物、クロロ酢酸無水物、ヨード酢酸無水物、ジクロロ酢酸無水物、トリフルオロ酢酸無水物、クロロジフルオロ酢酸無水物、トリクロロ酢酸無水物、ペンタフルオロプロピオン酸無水物、ヘプタフルオロブチル酸無水物、コハク酸無水物、メチルコハク酸無水物、2,2−ジメチルコハク酸無水物、イソブチルコハク酸無水物、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、ヘキサヒドロ−4−メチルフタル酸無水物、イタコン酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、マレイン酸無水物、2−メチルマレイン酸無水物、2,3−ジメチルマレイン酸無水物、1−シクロペンテン−1,2−ジカルボン酸無水物、グルタル酸無水物、1−ナフチル酢酸無水物、安息香酸無水物、フェニルコハク酸無水物、フェニルマレイン酸無水物、2,3−ジフェニルマレイン酸無水物、フタル酸無水物、4−メチルフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジ無水物、4,4’−(ヘキサフルオロプロピリデン)ジフタル酸無水物、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸無水物、1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸無水物等;マレイン酸無水物とラジカル重合性二重結合を持つ化合物の共重合体;マレイン酸無水物と(メタ)アクリレートの共重合体;マレイン酸無水物とスチレンの共重合体;マレイン酸無水物とビニルエーテルの共重合体等が挙げられる。
【0047】
かかる化合物(B)のうち市販されているものとしては、例えば、旭電化社製のアデカハードナーEH−700、アデカハードナーEH−703、アデカハードナーEH−705A;新日本理化社製のリカシッドTH、リカシッドHT−1、リカシッドHH、リカシッドMH−700、リカシッドMH−700H、リカシッドMH、リカシッドSH、リカレジンTMEG;日立化成社製のHN−5000、HN−2000;油化シェルエポキシ社製のエピキュア134A、エピキュアYH306、エピキュアYH307、エピキュアYH308H;住友化学社製のスミキュアーMS等が挙げられる。
【0048】
上記化合物(B)としては、Yが窒素の場合にあっては、例えば、コハク酸イミド、N−メチルコハク酸イミド、α,α−ジメチル−β−メチルコハク酸イミド、αメチル−α−プロピルコハク酸イミド、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−tert−ブチルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−(1−ピレニル)マレイミド、3−メチル−N−フェニルマレイミド、N,N’−1,2−フェニレンジマレイミド、N,N’−1,3−フェニレンジマレイミド、N,N’−1,4−フェニレンジマレイミド、N,N’−(4−メチル−1,3−フェニレン)ビスマレイミド、1,1’−(メチレンジ−1,4−フェニレン)ビスマレイミド、フタルイミド、N−メチルフタルイミド、N−エチルフタルイミド、N−プロピルフタルイミド、N−フェニルフタルイミド、N−ベンジルフタルイミド、ピロメリット酸ジイミド;N−アルキルマレイミドとラジカル重合性二重結合を持つ化合物の共重合体;N−アルキルマレイミドと(メタ)アクリレートとの共重合体;N−アルキルマレイミドとスチレンとの共重合体;N−アルキルマレイミドとビニルエーテルとの共重合体等が挙げられる。
【0049】
上記化合物(B)としては、Yがリンの場合にあっては、例えば、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキシド等のアシルホスフィンオキサイドが挙げられる。
【0050】
上記化合物(B)としては、Yが炭素の場合にあっては、例えば、2,4−ペンタンジオン、3−メチル−2,4−ペンタンジオン、3−エチル−2,4−ペンタンジオン、3−クロロ−2,4−ペンタンジオン、1,1,1−トリフルオロ−2,4−ペンタンジオン、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ペンタンジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、1−ベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタン等のジケトン類;ジメチルマロネート、ジエチルマロネート、ジメチル メチルマロネート、テトラエチル 1,1,2,2−エタンテトラカルボン酸等のポリカルボン酸エステル類;メチルアセチルアセトネート、エチルアセチルアセトネート、メチル プロピオニルアセテート等のα−カルボニル−酢酸エステル類等が挙げられる。
【0051】
なかでも上記化合物(B)としては、カルボン酸無水物、カルボン酸イミド、又は、アシルホスフィンオキサイドが、化合物(A)の光による重合又は架橋反応速度が速く、重合体(A)に対する溶解性に優れていることから好適に用いることができる。
【0052】
光硬化性接着剤中における、上記化合物(B)の配合割合は、化合物(A)100重量部に対して0.01〜30重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜は20重量部である。化合物(B)の配合割合が0.01重量部未満であると、化合物(A)に対する反応性を示すことが困難となることがあり、30重要部を超えると、得られる光反応性組成物の光透過性が著しく低下するため、光照射面のみが重合又は架橋し、深部反応性が著しく低下することがある。
また、化合物(C)から含まれる場合の配合割合は、化合物(A)と化合物(B)の合計100重量部に対して、0.1〜30重量部が好ましく、より好ましくは1〜10重量部である。化合物(C)が0.1重量部未満の場合、接着性向上の効果が十分に得られないことがある。一方、化合物(C)が30重量部を超える場合、硬化物の強度が十分に得られないことがある。
【0053】
本発明の光反応性組成物は、光反応性を向上させるため、すなわち、光の照射時間を短くし光の照射エネルギーを少なくするため、又は、組成物の深部まで更に速やかに重合、架橋をおこさせるために、光ラジカル発生剤(D)を含有することが好ましい。
【0054】
上記光ラジカル発生剤(D)とは、紫外線や可視光線等の光によりラジカルに分解する化合物;水素引き抜きによりラジカルを発生させる化合物;電子移動等のエネルギー移動によりラジカルを発生させる化合物等が挙げられる。好適には、アクリル酸エステルやメタクリル酸エステル等に対して重合開始能を有する化合物が挙げられる。光ラジカル発生剤(D)としては、複数種のものを組み合わせて用いてもよい。
【0055】
上記光ラジカル発生剤(D)としては、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、α−ヒドロキシ−α,α’−ジメチルアセトフェノン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン等のアセトフェノン誘導体化合物;ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル等のベンゾインエーテル系化合物;ベンジルジメチルケタール等のケタール誘導体化合物;ハロゲン化ケトン;アシルフォスフィンオキシド;アシルフォスフォナート;2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−N,N−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキシドビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド;ビス(η5−シクロペンタジエニル)−ビス(ペンタフルオロフェニル)−チタニウム、ビス(η5−シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピリ−1−イル)フェニル]−チタニウム;アントラセン、ペリレン、コロネン、テトラセン、ベンズアントラセン、フェノチアジン、フラビン、アクリジン、ケトクマリン、チオキサントン誘導体、ベンゾフェノン、アセトフェノン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン等が挙げられる。
【0056】
なお、市販されている光ラジカル重合開始剤が光ラジカル発生剤として用いられてもよい。また、ジアシルフォスフィン化合物は光照射によりラジカルに分解する光ラジカル発生剤であるとともに、分解後のラジカルを含めて上記一般式(2)の分子骨格を有しているので、化合物(B)と光ラジカル発生剤(D)の両方を満たす化合物であり好ましい。
【0057】
上記光ラジカル発生剤(D)の配合量は、化合物(A)と化合物(B)の合計100重量部に対して0.001〜10重量部である。0.001重量部未満であると、光ラジカル発生剤(D)による光反応性を向上させることは困難となることがあり、10重量部を超えると、本発明の光反応性組成物の光透過性が著しく低下するため、光が照射された表面のみが重合又は架橋し、深部が充分に重合又は架橋されないことがある。
なお、光ラジカル発生剤(D)がジアシルフォスフィン化合物の場合は、化合物(A)100重量部に対して0.001〜10重量部が好ましく、より好ましくは0.01〜5重量部である。
【0058】
本発明の光反応性物質は、光反応性又は光後硬化性を向上させるため、水素ラジカル供与剤(E)を含有することが好ましい。上記水素ラジカル供与剤(E)としては水素ラジカルを引き抜かれやすい化合物であればよく、例えば、メルカプタンやアルキルベンゼンの様にフリーラジカル重合において連鎖移動性を示す化合物等を挙げることができる。上記水素ラジカル供与剤(E)としては、複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0059】
上記水素ラジカル供与剤(E)としては、例えば、n−ブチルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、シクロヘキシルメルカプタン、1,6−ヘキサンジチオール等のチオール類;ジ−n−ブチルジスルフィド、ジ−n−ブチルスルフィド、テトラヒドロチオフェン、ペンタメチレンスルフィド、1,4−ジチアン、ジフェニルスルフィド等のスルフィド類;トルエン、キシレン、メシチレン、イソプロピルベンゼン、エチルベンゼン、ベンジルメチルエーテル等のアリール位に水素を有する化合物;トリエチルアミン、ブチルアミン、アニリン、メチルアニリン、ジ(p−アミノフェニル)メタン等のアミン類;n−ブチルアイオダイド、n−ブチルブロマイド、n−ブチルクロライド、2−クロロブタン、クロロホルム等のハロゲン化アルキル;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、アニソール、ジフェニルエーテル等のエーテル類;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等のアルコール類酢酸、プロピオン酸、酪酸、シクロヘキサン−1.4−ジカルボン酸、安息香酸、フタル酸等のカルボン酸類;アセトン、メチルエチルケトン、アセチルベンゼン、ジアセチルベンゼン等のケトン類;ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、t−ブチルベンゼン等の炭化水素を挙げることができる。
【0060】
上記水素ラジカル供与剤(E)の配合量は、化合物(A)と化合物(B)の合計100重量部に対して0.1〜20重量部が好ましく、0.1重量部未満であると、速やかな後硬化性が得られないことがあり、20重量部を超えると、硬化体としたときの充分な凝集力が得られないことがある。
【0061】
本発明の光反応性組成物は、更に化合物(A)の加水分解・縮合反応を促進する有機金属化合物(F)を含有することが好ましい。
本発明の光反応性組成物においては、例えば、組成物を気密性の容器に封入して保存したり開封後短時間のあいだに使い切ったりする場合や、接着剤の貯蔵や供給時に湿気を遮断する工夫が施された塗布装置を利用する場合、偶発的又は必然的に光非照射部が発生する状況において用いる場合等がある。このような場合に有機金属化合物(F)を配合すれば、光照射後の化合物(A)の重合又は架橋反応を促進させることができる。また、光非照射部ももれなく硬化させることができる。
【0062】
上記有機金属化合物(F)としては、例えば、ゲルマニウム、錫、鉛、硼素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、チタニウム、ジルコニウム等の金属元素と有機基を置換してなる有機金属化合物等が挙げられ、更に具体的には、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫フタレート、ビス(ジブチル錫ラウリン酸)オキサイド、ジブチル錫ビスアセチルアセトナート、ジブチル錫ビス(モノエステルマレート)、オクチル酸錫、ジブチル錫オクトエート、ジオクチル錫オキサイド等の錫化合物、テトラ−n−ブトキシチタネート、テトライソプロポキシチタネート等のチタネート系化合物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用して使用してもよい。
【0063】
上記有機金属化合物(F)の配合量は、化合物(A)100重量部に対して0.01〜10重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜8重量部である。0.01重量部未満であると、光照射後の化合物(A)の反応促進を期待できなくなり、10重量部を超えると、光照射後の反応促進はするものの、反応が促進されすぎて反応物への悪影響が著しく現れるようになる。
【0064】
本発明の光反応性組成物は、更に、重合性基を有する化合物(G)を含有することが好ましい。上記化合物(A)と上記化合物(B)の特定の組み合わせにおいては、光照射直後暫くしてから重合体や架橋体が生成する場合があり、光照射直後には所望の凝集力が不足し、光照射直後からの利用に制限が加わるといった問題がある。上記化合物(G)を加えることにより、光照射直後の凝集力をより高めることができる。
【0065】
上記化合物(G)における重合性基としては、ラジカル重合性不飽和基又はカチオン重合性基が好ましい。上記ラジカル重合性不飽和基としては、例えば、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、スチリル基、ビニロキシ基、ビニロキシカルボニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニルカルボニル基、N−ビニルアミノ基、等を挙げることができる。なかでも、メタクリロイル基又はアクリロイル基が好適である。また、複数のラジカル重合性基を複数個を組み合わせても良い。
【0066】
上記スチリル基を有する化合物として、例えば、スチレン、インデン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−クロロメチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−tert−ブトキシスチレン、ジビニルベンゼン等を挙げることができる。
【0067】
上記アクリロイル基叉はメタクリロイル基を有する化合物として、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−3−メチルブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、2−[(メタ)アクリロイルオキシ]エチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、2−[(メタ)アクリロイルオキシ]エチル−2−ヒドロキシプロピルフタル酸;下記一般式(3)、下記一般式(4)、下記一般式(5)、下記一般式(6)、下記一般式(7)、下記一般式(8)、下記一般式(9)、下記一般式(10)、下記一般式(11)、下記一般式(12)、下記一般式(13)、下記一般式(14)、下記一般式(15)、下記一般式(16)、下記一般式(17)、下記一般式(18)、下記一般式(19)、下記一般式(20)、下記一般式(21)、下記一般式(22)で表される化合物等が挙げられる。
【0068】
【化15】
Figure 2004047414
【0069】
【化16】
Figure 2004047414
【0070】
【化17】
Figure 2004047414
【0071】
【化18】
Figure 2004047414
【0072】
【化19】
Figure 2004047414
【0073】
【化20】
Figure 2004047414
【0074】
【化21】
Figure 2004047414
【0075】
【化22】
Figure 2004047414
【0076】
【化23】
Figure 2004047414
【0077】
【化24】
Figure 2004047414
【0078】
【化25】
Figure 2004047414
【0079】
【化26】
Figure 2004047414
【0080】
【化27】
Figure 2004047414
【0081】
【化28】
Figure 2004047414
【0082】
【化29】
Figure 2004047414
【0083】
【化30】
Figure 2004047414
【0084】
【化31】
Figure 2004047414
【0085】
【化32】
Figure 2004047414
【0086】
【化33】
Figure 2004047414
【0087】
【化34】
Figure 2004047414
【0088】
上記ビニルエステル基を有する化合物としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、安息香酸ビニル、珪皮酸ビニル等を挙げることができる。
【0089】
上記ビニロキシ基を有する化合物としては、例えば、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、tert−アミルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、エチレングリコールブチルビニルエーテル、トリチレングリコールメチルビニルエーテル、安息香酸(4−ビニロキシ)ブチル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ブタン−1,4−ジオール−ジビニルエーテル、ヘキサン−1,6−ジオール−ジビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール−ジビニルエーテル、イソフタル酸ジ(4−ビニロキシ)ブチル、グルタル酸ジ(4−ビニロキシ)ブチル、コハク酸ジ(4−ビニロキシ)ブチルトリメチロールプロパントリビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシル、ビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール−モノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル−3−アミノプロピルビニルエーテル、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチルビニルエーテル、ウレタンビニルエーテル、ポリエステルビニルエーテル等を挙げることができる。
【0090】
上記カチオン重合性基とは、プロトン酸あるいはルイス酸の様な酸の存在下で、連鎖反応的に重合あるいは架橋を起こす官能基である。かかる官能基としては、例えば、エポキシ基、オキセタニル基、スチリル基、ビニロキシ基等を挙げることができる。また、1分子中に複数のカチオン重合性基を組み合わせた化合物でもよい。
【0091】
上記スチリル基を持つ化合物としては、例えば、スチレン、インデン、αーメチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−クロロメチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−tert−ブトキシスチレン、ジビニルベンゼン等を挙げることができる。
【0092】
上記エポキシ基を持つ化合物としては、例えば、ビスフェノールA系エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA系エポキシ樹脂、ビスフェノールF系エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール型エポキシ樹脂、脂肪族環式エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、ゴム変成エポキシ樹脂、ウレタン変成エポキシ樹脂、グリシジルエステル系化合物、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化SBS(SBSはポリ(スチレン−co−ブタジエン−co−スチレン)共重合体を示す)等を挙げることができる。
【0093】
上記オキセタニル基を持つ化合物としては、例えば、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−フェノキシメチルオキセタン、3−エチル−3−へキシルオキシメチルオキセタン、1,4−ビス{3−エチル−3−オキセタニルメトキシ}メチル}ベンゼン等を挙げることができる。
【0094】
上記ビニロキシ基を有する化合物として、例えば、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、tert−アミルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、エチレングリコールブチルビニルエーテル、トリチレングリコールメチルビニルエーテル、安息香酸(4−ビニロキシ)ブチル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ブタン−1,4−ジオール−ジビニルエーテル、ヘキサン−1,6−ジオール−ジビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール−ジビニルエーテル、イソフタル酸ジ(4−ビニロキシ)ブチル、グルタル酸ジ(4−ビニロキシ)ブチル、コハク酸ジ(4−ビニロキシ)ブチルトリメチロールプロパントリビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシル、ビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール−モノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル3−アミノプロピルビニルエーテル、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチルビニルエーテル、ウレタンビニルエーテル、ポリエステルビニルエーテル等を挙げることができる。
【0095】
また、上記化合物(G)として上記カチオン重合性基を有する化合物を選択する場合には、上記化合物(G)は、更に上記一般式(1−2)で表される官能基を有していてもよい。すなわち、カチオン重合性基と上記一般式(1−2)で表される官能基を併せ持つ化合物であって、複数個、複数種のカチオン重合性基と上記一般式(1−2)で表される官能基とを組み合わせて含まれる化合物でもよい。かかる化合物(G)としては、例えば、トリメトキシ[2−(7−オキサビシクロ[4,1,0]−ヘプト−3−イル)エチル]シラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジイソプロピルエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジイソプロペノキシシラン、スチリルエチルトリメトキシシラン、3−(3−テトラエトキシシリルプロポキシ)メチル−3−エチルオキセタン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0096】
また、上記化合物(G)として上記カチオン重合性基を有する化合物を選択する場合には、本発明の光反応性組成物は、更に、光照射によりカチオン性重合性基を有する化合物(G)を重合又は架橋させる化合物を含有することが好ましい。かかる化合物としては、例えば、鉄−アレン錯体化合物、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、ピリジニウム、アルミニウム錯体/シラノール塩、ハロゲン化アルキル置換トリアジン誘導体、トリフルオロメタンスルホン酸−N−イミドエステル誘導体、ベンゼンスルホン酸−N−イミドエステル誘導体、メタンスルホン酸−N−イミドエステル誘導体、トリブロモメチルフェニルスルホン誘導体等が挙げられる。
【0097】
これらの化合物のうち市販されているものとしては、例えば、イルガキュア−261(チバガイギー社製)、オプトマーSP−150(旭電化工業社製)、オプトマーSP−151(旭電化工業社製)、オプトマーSP−170(旭電化工業社製)、オプトマーSP−171(旭電化工業社製)、UVE−1014(ゼネラルエレクトロニクス社製)、CD−1012(サートマー社製)、サンエイドSI−60L(三新化学工業社製)、サンエイドSI−80L(三新化学工業社製)、サンエイドSI−100L(三新化学工業社製)、CI−2064(日本曹達社製)、CI−2639(日本曹達社製)、CI−2624(日本曹達社製)、CI−2481(日本曹達社製)、RHODORSIL PHOTOINITIATOR 2074(ローヌ・プーラン社製)、UVIー6990(ユニオンカーバイド社製)、BBIー103(ミドリ化学社製)、MPIー103(ミドリ化学社製)、TPSー103(ミドリ化学社製)、MDSー103(ミドリ化学社製)、DTSー103(ミドリ化学社製)、NATー103(ミドリ化学社製)、NDSー103(ミドリ化学社製)等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0098】
上記光照射によりカチオン性重合性基を有する化合物(G)を重合又は架橋させる化合物の好適な配合量としては、化合物(G)100重量部に対して好ましい下限は0.01重量部、上限は30重量部である。0.01重量部未満であると、光反応性を示すことは困難となることがあり、30重要部を超えると、得られる光反応性組成物の光透過性が著しく低下する為、光照射面のみが重合あるいは架橋し、深部反応性が著しく低下することがある。より好ましい下限は0.1重量部、上限は20重量部である。
【0099】
上記化合物(G)の配合量は、化合物(A)10〜99重量部に対して1〜90重量部が好ましく、1重量部未満であると、凝集力発現が困難であることがあり、90重量部を超えると、硬化物の強度が充分に得られないことがある。
【0100】
本発明の光反応性組成物は、化合物(G)を含有する場合には、本発明の光反応性組成物の使用時に偶発的又は必然的な光非照射部の発生によって未反応の化合物(G)を残さないようにするために、更に化合物(G)の重合開始剤を含有することが好ましい。上記化合物(G)の重合開始剤としては、化合物(G)がラジカル重合性不飽和基を有する場合にあっては、熱ラジカル発生剤又は嫌気性条件下で加熱するとラジカルを発生するラジカル発生剤が挙げられる。また、化合物(G)がカチオン重合性基を有する化合物の場合にあっては、熱活性によりカチオン重合性基を重合させる化合物、例えば、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、アンモニウム塩等のオニウム塩;3フッ化ホウ素トリエチルアミン錯体、3フッ化ホウ素ピリジン錯体等のルイス酸−ルイス塩基錯体が挙げられる。更に、化合物(G)がエポキシ基を有する化合物の場合にあっては、ジシアンジアミド、ケチミン等の熱又は湿気によりアミンを発生する化合物が挙げられる。
【0101】
上記熱ラジカル発生剤としては、例えば、有機過酸化物、すなわちジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、tert−ヘキシルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、α,α’−ビス(tert−ブチルペルオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、ジキュミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、tert−ブチル キュミル パーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキサイド類、ケトンパーオキサイド類、パーオキシケタール類、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシジカーボネート類、パーオキシエステル類等の有機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0102】
上記嫌気性条件下で加熱するとラジカルを発生するラジカル開始剤としては、例えば、キュメンハイドロパーオキサイド/ベンゾキノン等の有機過酸化物/キノン化合物の組み合わせ(混合物)が挙げられる。
【0103】
本発明の光反応性組成物は、更にエポキシ基を有する化合物(H)を含有することが好ましい。上記エポキシ基を有する化合物(H)を含有することにより、本発明の光反応性組成物は、金属面への密着性、接着性を更に向上させることができる。上記化合物(H)としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ポリグリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、エポキシシラン化合物等が挙げられる。なかでも特に効果の高いものとして上記一般式(1−2)で表される官能基を有するエポキシ化合物、及び、エポキシ基を1分子中に3個以上有する化合物とが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0104】
上記一般式(1−2)で表される官能基を有するエポキシ化合物としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
【0105】
上記分子内に3個以上のエポキシ基を有する化合物のうち市販されているものとしては、例えば、ジャパンエポキシレジン社製の商品名エピコート152、エピコート154、エピコート604;ダイセル化学社製のエポリードGT301、エポリードGT302、エポリードGT401、エポリードGT403等が挙げられる。
【0106】
上記化合物(H)の配合量は、本発明の光反応性組成物中の樹脂分100重量部に対して0.1〜30重量部が好ましく、0.1重量部未満であると、化合物(H)の効果が充分に得られないことがあり、30重量部を超えると、金属への密着性の効果は向上するが全体への影響が大きくなりすぎることがある。
【0107】
本発明の光反応性組成物には、必要に応じて、上記化合物(B)又は光ラジカル発生剤(D)に対する感光性増感剤が添加されていてもよい。
【0108】
また、本発明の湿気硬化性接着剤及び光硬化性接着剤には、組成物の粘性特性を調整するための増粘剤・チキソトロープ剤、引っ張り特性等を改善する物性調整剤、増量剤、補強剤、可塑剤、着色剤、難燃剤等の公知の機能を有する各種添加剤が加えられていても良い。
【0109】
上記増粘剤としては、例えば、化合物(A)との相溶性の良い高分子化合物から選ばれ、配合される化合物から適宜選択される。例えば、アクリル系高分子、メタクリル系高分子、ポリビニルアルコール誘導体、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン誘導体、ポリエステル類、ポリエーテル類、ポリイソブテン、ポリオレフィン類、ポリアルキレンオキシド類、ポリウレタン類、ポリアミド類、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、NBR、SBS、SIS、SEBS、水添NBR、水添SBS、水添SIS、水添SEBS等;これらの共重合体、官能基変成体等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0110】
上記チキソトロープ剤としては、組成物がチキソトロピー性を発現するような物質から適宜選ばれる。例えば、コロイダルシリカ、ポリビニルピロリドン、疎水化炭酸カルシウム、ガラスバルーン、ガラスビーズ等が挙げられる。上記チキソトロープ剤の選択については、化合物(A)に親和性の高い表面を有するものを選択することが好ましい。
【0111】
上記引っ張り特等を改善する物性調整剤としては、各種シランカップリング剤として、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N’−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ヘキサエチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ヘキサエチレンジアミン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0112】
上記増量剤としては、本発明の光反応性組成物中に添加してチキソトロープ性を発現しないものが好適に利用でき、例えば、タルク、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水シリカ、含水シリカ、ケイ酸カルシウム、二酸化チタン、カーボンブラック等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0113】
上記可塑剤としては、例えば、リン酸トリブチル、リン酸トリクレジル等のリン酸エステル類、フタル酸ジオクチル等のフタル酸エステル類、グリセリンモノオレイル酸エステル等の脂肪酸−塩基酸エステル類、アジピン酸ジオクチル等の脂肪酸二塩基酸エステル類、ポリプロピレングリコール類等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
その他、必要に応じて、タレ防止剤、酸化防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、溶剤、香料、顔料、染料等を添加しても良い。
【0114】
本発明の光反応性組成物に光を照射する際に利用できる光源としては、光源が発する光により本発明の光反応性組成物が光活性を示し、化合物(A)の光反応により重合体又は架橋体が生成する光源である限り特に限定されない。また、用途に応じて光源を適宜選択することができる。
【0115】
このような光源の好適例としては、上記化合物(B)に起因する本発明の組成物の吸収波長を含む光を発する光源が挙げられる。また、光ラジカル発生剤(D)を含有する本発明の光反応性組成物については、化合物(B)及び光ラジカル発生剤(D)の双方に起因する本発明の組成物の吸収する波長を含む光を発する光源であることが好ましい。
【0116】
このような光源として、複数の光源を組み合わせて用いる場合は、各種の光源からの光を同時に組成物に照射することが好ましい。また、それぞれの光源からの光を順番に照射しても良いし、それぞれの光源からの光を交互に照射しても良い。
【0117】
公知の光源としては、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、エキシマレーザー、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ、ナトリウムランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、蛍光灯、太陽光、電子線照射装置等が挙げられる。また、フィルター等を用いて不要な波長成分を低減又は除去してもよいし、各種光源を組み合わせて用いても良い。各種光源の本発明組成物への照射手順としては、各種光源の同時照射、又は、時間差をおいて逐次照射すると行った方法や同時照射と逐次照射を組み合わせても良い。
【0118】
本発明のFFCは、上記接着剤が用いられたものであれば特に限定されず、例えば、断面が扁平な平角導体を、上記接着剤が塗布された柔軟性を有する電気絶縁性のプラスチックフィルム等(以下、「被覆材」と記す)で挟み込み、サンドイッチ状に被覆することにより得られる。
【0119】
上記平角導体としては、特に限定されず、例えば、銅、銅合金、アルミニウム等の金属からなるものが挙げられる。
【0120】
上記被覆材としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、1,4−シクロヘキシルジメチレンテレフタレート、ポリイミド等のプラスチックフィルムが挙げられる。
【0121】
上記接着剤の塗布方法としては、塗布機を用いる場合は、例えば、ロールコーター、コンマコーター、メイヤーバーコーター、ダイコーター、グラビアコーター等が挙げられ、塗布機を用いない場合は、例えば、ひも状、点状等に塗布する方法が挙げられる。接着剤が塗布された被覆材は、通常、接着剤を押し広げるようにして、平角導体をサンドイッチ状に被覆し貼り合わせて接着することにより、FFCが形成される。この際、必要に応じて、ラミネーター、プレス等を使用しても良い。又、接着剤の硬化を促進するために、必要に応じて、加熱等を行っても良い。
【0122】
上記接着剤を用いて接着する際に、接着強度をさらに向上させるために、プライマーが用いられてもよく、プライマーとしては、前述した化合物(C)が好適に用いられる。この際プライマーは、少なくとも一方の被覆材のみに塗布されてもよいし、両方の被覆材に塗布されてもよい。
【0123】
本発明のFFCの構成としては、上述の如く、被覆材の導体が挟まれ、該被覆材が接着剤で接合されている構成であり、導体を除いた部分の構成は、一方の被覆材、接着剤層、他方の被覆材の順に積層されてなる構成である。この際、被覆材と接着剤層との間にプライマー層が設けられていてもよい。例えば、一方の被覆材、プライマー層、接着剤層、プライマー層、他方の被覆材の順に積層されている構成、或いは、一方の被覆材、プライマー層、接着剤層、他方の被覆材の順に積層されている構成等である。
また、本発明のFFCの構成としては、導体が多層に積層された構成であってもよく、例えば、一方の被覆材、接着剤層、中間の被覆材、接着剤、他方の被覆材の順に積層された構成等である。この際、被覆材と接着剤層との間にプライマー層が設けられていてもよい。
【0124】
本発明のFFCの製造方法としては、一方の被覆材に接着剤層を設けて、次に導体を挟むように他方の被覆材を積層させてもよいし、片面に接着剤層を設けた2枚の被覆材で 導体を挟むように接着剤面同士を貼り合わせて積層させてもよい。
【0125】
上述のようにして得られる本発明のFFCは、更に補強材が接合されて補強されていることが好ましい。
【0126】
補強材の材質としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、ナイロン、ポリイミド、PET、PBT、PEN等のプラスチックが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0127】
補強材の形状としては、例えば、FFCの片面もしくは両面に貼り付けるフィルム状(シート状も含む)や板状のもの、FFCの端部を包み込む筒状や箱状のもの、繊維状のもの等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0128】
補強材がフィルム状である場合、その厚みは、特に限定されるものではないが、5〜1000μmであることが好ましく、より好ましくは20〜500μmである。補強材がフィルム状である場合の厚みが5μm未満であると、補強材自体の強度が弱くなりすぎて、充分な補強効果を得られないことがあり、逆に補強材がフィルム状である場合の厚みが1000μmを超えると、FFCの端部の厚みが大きくなりすぎて、省スペース化に支障を来すことがある。
【0129】
図1はFFC端部(導線引出し部)に補強材を接合した本発明のFFCの一例を示す模式図であり、図2はFFC端部(導線引出し部)に補強材を接合した本発明のFFCの他の例を示す模式図である。
【0130】
FFCに対する補強材の接合部位は、特に限定されるものではなく、図1及び図2に示すようなFFC端部(導線引出し部)であっても良いし、FFC中央部であっても良いし、FFC全面であっても良いが、補強材による補強効果を充分に得るためには、FFC端部(導線引出し部)であることが好ましい。
【0131】
FFCに対する補強材の接合を接着剤を用いて行う場合、その接着剤は、特に限定されるものではなく、具体例としては、ベース樹脂として、例えば、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、ゴム系接着剤、ポリエステル系接着剤、変成シリコーン系接着剤、エポキシ系接着剤等が挙げられる。又、接着剤の形態としては、例えば、溶剤系接着剤、エマルション系接着剤、ホットメルト系接着剤、2液混合系接着剤、1液液状系接着剤等が挙げられる。更に、接着剤の反応系及び硬化系としては、例えば、非反応性接着剤、加熱硬化性接着剤、湿気硬化性接着剤、光硬化性接着剤等が挙げられ、中でも高伸度の接着剤が好ましく、さらに好ましくは本発明のFFCに用いられる接着剤であることが好ましい、本発明の接着剤を用いることにより変形や振動に強く、導線の破壊や接合部の破壊を防止することができる。
【0132】
本発明のFFC接合体は、本発明のFFCに用いられる前記接着剤を用い、FFCと補強材、FFC同士、及び、FFCと回路基板とが接合されたものである。具体的には、例えば、FFC同士又はFFCと回路基板とを双方の端子部が接するように重ね合わせ、接着剤が塗布された被覆材で挟み込みサンドイッチ状に被覆することにより得ることができる。上記FFC接合体に用いられるFFCとしては、特に限定されず、本発明のFFCであってもよいし、一般に市販されているFFCであってもよい。
【0133】
【作用】
本発明のFFCは、被覆材間の剥離接着強度が10N/cm以上である湿気硬化性接着剤及び/又は光硬化性接着剤が用いられてなるので、優れた接着性と接着強度を示す。
【0134】
本発明のFFCに用いられる接着剤として湿気硬化性接着剤又は光硬化性接着剤を用い、且つ、上記光硬化性接着剤を前記化合物(A)及び前記化合物(B)からなるものとすることにより、上記効果は更に確実なものとなる。
【0135】
本発明のFFC接合体は、上記接着剤を用いてFFC同士又はFFCと回路基板とが接合されてなるので、上記と同様の優れた効果を発現する。
【0136】
【発明の実施の形態】
本発明を更に詳しく説明するため以下に実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0137】
〔接着剤の調製〕
表1の組成に従い、プラネタリーミキサーを用いて接着剤を調製した。
〔FFC接着サンプルの作製〕
【0138】
(実施例1)
PETフィルム(厚み0.03mm)2枚を準備し、一方のPETフィルム上に30mm(巾)×0.35mm(厚)となるように接着剤を塗布し、次に2枚を貼り合わせて接着サンプルを作製した。得られた接着サンプルを、試験片の巾が25mmとなるようにカットし、図3に示す剥離接着強度測定用試験片を作製した。
(実施例2)
PETフィルム(厚み0.03mm)2枚を準備し、一方のPETフィルム上に30mm(巾)×0.35mm(厚)となるように接着剤を塗布した後に、高圧水銀灯(波長365nm、照射強度10nW)を用いて60秒照射し、次に2枚を貼り合わせて接着サンプルを作製した。得られた接着サンプルを、試験片の巾が25mmとなるようにカットし剥離接着強度測定用試験片を作製した。
(実施例3)
PETフィルム(厚み0.03mm)2枚を準備し、1枚のPETフィルム上にはプライマーを塗布し、他方のPETフィルム上にはプライマー、次に接着剤を塗布した後に、高圧水銀灯(波長365nm、照射強度10nW)を用いて60秒照射し、次に2枚を貼り合わせて接着サンプルを作製した。得られた接着サンプルを、試験片の巾が25mmとなるようにカットし剥離接着強度測定用試験片を作製した。
(実施例4)
PETフィルム(厚み0.03mm)2枚を準備し、2枚のPETフィルム上プライマー、次に、接着剤を塗布した後に、高圧水銀灯(波長365nm、照射強度10nW)を用いて60秒照射し、次に2枚を貼り合わせて接着サンプルを作製した。得られた接着サンプルを、試験片の巾が25mmとなるようにカットし剥離接着強度測定用試験片を作製した。
【0139】
(比較例1)
実施例2と同様の方法で剥離接着強度測定用試験片を作製した。
(比較例2)
接着剤として2液混合型エポキシ系接着剤(商品名「アラルダイト」、ニチバン社製)を用いたこと以外は実施例1の場合と同様にして、剥離接着強度測定用試験片を作製した。
【0140】
[剥離接着強度の評価]
上記で得られた試験片を用い、テンシロン引張試験機を用い、20℃、50%RH下で、引っ張り速度20mm/minでT型剥離試験を行い剥離接着強度を求めた。
【0141】
【表1】
Figure 2004047414
【0142】
表1から明らかなように、本発明による実施例1〜実施例4の剥離接着強度は凝集破壊を示しPETフィルムに対する接着性が良好で、接着強度も優れていた。
これに対し、比較例1、2は破壊状態が界面破壊で接着性が悪く、」接着強度も低かった。
【0143】
【発明の効果】
本発明のFFCは、被覆材間の剥離接着強度が10N/cm以上である、湿気硬化性接着剤及び/又は光硬化性接着剤が用いられてなるので、優れた接着性、接着強度を有する。
【0144】
又、一般式(1)で示される官能基を有する化合物(A)と、イソシアネート基を有する化合物(C)とからなる湿気硬化性接着剤、一般式(1)で示される官能基を有する化合物(A)、一般式(2)で示される官能基を有する化合物(B)、及びイソシアネート基を有する化合物(C)とからなる光硬化性接着剤とすることにより、上記効果は更に確実なものとなる。
【0145】
本発明のFFC接合体は、上記接着剤を用いてFFC同士又はFFCと回路基板とが接合されてなるので、上記と同様の優れた効果を発現する。
【0146】
以上述べたように、本発明のFFC及びFFC接合体は、接着強度が優れているので、外力や振動等により接着剤が割れたり、FFC接合体の接合部が外れることがない。又、電磁波設備などの特別な設備を必要とすることもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】FFC端部(導線引出し部)に補強材を接合した本発明のFFCの一例を示す模式図である。
【図2】FFC端部(導線引出し部)に補強材を接合した本発明のFFCの他の例を示す模式図である。
【図3】剥離接着強度測定用試験片の模式図である。

Claims (9)

  1. 被覆材に導体が挟まれ、該被覆材間が接着剤で接合されてなるフレキシブルフラットケーブルであって、上記被覆材間の剥離接着強度が10N/cm以上である湿気硬化性接着剤及び/又は光硬化性接着剤が用いられてなることを特徴とするフレキシブルフラットケーブル。
  2. 湿気硬化性接着剤が、下記一般式(1)で示される官能基を有する化合物(A)と、イソシアネート基を有する化合物(C)とからなることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルフラットケーブル。
    Figure 2004047414
    式中、Xは加水分解性を有する官能基を表す。
  3. 光硬化性接着剤が、下記一般式(1)で示される官能基を有する化合物(A)、下記一般式(2)で示される官能基を有する化合物(B)、及び/又はイソシアネート基を有する化合物(C)とからなることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルフラットケーブル。
    Figure 2004047414
    式中、Xは加水分解性を有する官能基を表す。
    Figure 2004047414
    式中、nは2、3、4又は5の整数を表し、Yは周期表のIVB族、VB族又はVIB族の原子を表し、Zは水素基、炭化水素基、水酸基、メルカプト基、アミノ基、ハロゲン基、アルコキシ基、アルキルチオ基、カルボニルオキシ基、又はオキソ基を表す。
  4. 少なくとも一方の被覆材の接着面に、イソシアネート基を有する化合物(C)からなるプライマー層が形成されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のフレキシブルフラットケーブル。
  5. 一方の被覆剤、プライマー層、接着剤層、及び他方の被覆材がこの順に積層されてなるフレキシブルフラットケーブルであって、上記接着剤層が、下記一般式(1)で表される官能基を有する化合物(A)及び下記一般式(2)で表される分子骨格を有する化合物(B)を含有する光反応性組成物から形成され、且つ、上記プライマー層がイソシアネート基を有する化合物(C)から形成されていることを特徴とする請求項1記載のフレキシブルフラットケーブル。
    Figure 2004047414
    式中、Xは加水分解性を有する官能基を表す。
    Figure 2004047414
    式中、nは2、3、4又は5の整数を表し、Yは周期表のIVB族、VB族又はVIB族の原子を表し、Zは水素基、炭化水素基、水酸基、メルカプト基、アミノ基、ハロゲン基、アルコキシ基、アルキルチオ基、カルボニルオキシ基、又はオキソ基を表す。
  6. 一方の被覆材の接着面に、イソシアネート基を有する化合物(C)からなるプライマーを塗布し、次いで光硬化性接着剤を塗布した後に、上記光硬化性接着剤に光を照射した後に他方の被覆材を張り合わせるか、又は、他方の被覆材を張り合わせた後に光り照射を行うことを特徴とする請求項1、3、4のいずれかに記載のフレキシブルフラットケーブル。
  7. 更に補強材が接合されてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のフレキシブルフラットケーブル。
  8. 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のフレキシブルフラットケーブルに用いられることを特徴とする接着剤。
  9. 請求項8記載の接着剤を用いて、フレキシブルフラットケーブルと補強材、フレキシブルフラットケーブル同士、又は、フレキシブルフラットケーブルと回路基板とが接合されてなることを特徴とするフレキシブルフラットケーブル接合体。
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