JP2004047415A - フレキシブルフラットケーブル、接着剤及びその接合体 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた柔軟性を有するFFCとそれに用いられる接着剤及びその接合体を提供する。
【解決手段】23℃におけるダンベル引張物性において、破断点強度が1〜500N/mm2 であり、且つ、破断点伸びが5〜3000%である接着剤が用いられてなるフレキシブルフラットケーブル、接着剤が湿気硬化性接着剤又は光硬化性接着剤である上記フレキシブルフラットケーブル、特定の官能基を有する化合物(A)及び特定の官能基を有する化合物(B)からなる光硬化性接着剤が用いられてなる上記フレキシブルフラットケーブル、更に補強材が接合されてなる上記フレキシブルフラットケーブル、上記フレキシブルフラットケーブルに用いられる接着剤、及び、上記接着剤を用い、フレキシブルフラットケーブル同士、又は、フレキシブルフラットケーブルと回路基板、又は、フレキシブルフラットケーブルと補強材とが接合されてなるフレキシブルフラットケーブル接合体。
【選択図】 なし
【解決手段】23℃におけるダンベル引張物性において、破断点強度が1〜500N/mm2 であり、且つ、破断点伸びが5〜3000%である接着剤が用いられてなるフレキシブルフラットケーブル、接着剤が湿気硬化性接着剤又は光硬化性接着剤である上記フレキシブルフラットケーブル、特定の官能基を有する化合物(A)及び特定の官能基を有する化合物(B)からなる光硬化性接着剤が用いられてなる上記フレキシブルフラットケーブル、更に補強材が接合されてなる上記フレキシブルフラットケーブル、上記フレキシブルフラットケーブルに用いられる接着剤、及び、上記接着剤を用い、フレキシブルフラットケーブル同士、又は、フレキシブルフラットケーブルと回路基板、又は、フレキシブルフラットケーブルと補強材とが接合されてなるフレキシブルフラットケーブル接合体。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子・電気機器内などにおいて基板間の電気的接続などに好適に用いられるフレキシブルフラットケーブルとそれに用いられる接着剤及びその接合体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、断面が扁平な平角導体を、柔軟性を有する電気絶縁性のプラスチックフィルム(プラスチックシートも含む)等で接着剤を用いてサンドイッチ状に被覆し積層したフレキシブルフラットケーブル(以下、「FFC」と記す)は、薄物、軽量、柔軟性等の点で、電子・電気機器内などの配線基盤の接続ケーブルなどに広く用いられている。このFFCに用いられる接着剤には上記特性の柔軟性を損なわないものが望まれ、又、FFC同士の接着及びFFCと回路基板との接着においてもFFCの柔軟性を損なわない接着剤が望まれている。
【0003】
従来、上記FFC同士の接着やFFCと回路基板との接着は端子部を半田で接合したものが多用されていたが、この場合、FFCへの外力や振動等により接合部が外れるという問題点があった。
【0004】
又、例えば、FFC同士やFFCと回路基板との電磁波を用いた接着方法も提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、上記接着方法の場合、使用部材が電磁波を通しやすい部材に限られるという問題点や、非常に強力な電磁波設備を要するという問題点があった。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−148037号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来の問題点に鑑み、優れた柔軟性を有するFFCとそれに用いられる接着剤及びその接合体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明(本発明1)によるFFCは、23℃におけるダンベル引張物性において、破断点強度が1〜500N/mm2 であり、且つ、破断点伸びが5〜3000%である接着剤が用いられてなることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明によるFFCは、上記請求項1に記載のFFCであって、接着剤が湿気硬化性接着剤であることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明によるFFCは、上記請求項1に記載のFFCであって、接着剤が光硬化性接着剤であることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明(本発明2)によるFFCは、下記一般式(1)で表される官能基を有する化合物(A)及び下記一般式(2)で表される分子骨格を有する化合物(B)からなる光硬化性接着剤が用いられてなることを特徴とする。
【化3】
(式中、Xは加水分解性を有する官能基を示す)
【化4】
(式中、nは2、3、4又は5の整数を示し、Yは周期表のIVB族、VB族又はVIB族の原子を示し、Zは水素基、炭化水素基、水酸基、メルカプト基、アミノ基、ハロゲン基、アルコキシル基、アルキルチオ基、カルボニルオキシ基又はオキソ基を示す)
【0011】
請求項5に記載の発明によるFFCは、上記請求項1又は請求項3に記載のFFCであって、上記一般式(1)で表される官能基を有する化合物(A)及び上記一般式(2)で表される分子骨格を有する化合物(B)からなる光硬化性接着剤が用いられたことを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載のFFCは、上記請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のFFCであって、更に、補強材が接合されてなることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の接着剤は、上記請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のFFCに用いられることを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載のFFC接合体は、上記請求項7に記載の接着剤を用い、FFC同士、又は、FFCと回路基板、又は、FFCと補強材とが接合されてなることを特徴とする。
【0015】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明1のFFCにおける接着剤は、23℃におけるダンベル引張物性において、破断点強度が1〜500N/mm2 であり、且つ、破断点伸びが5〜3000%である。ここで、ダンベル引張物性とは、JIS K−6301「加硫ゴム物理試験方法」(3号形ダンベル、引張速度500mm/分)にて測定されたものである。
【0016】
上記破断点強度が1N/mm2 未満であると、接着剤被膜が柔らかくなりすぎて、FFC及びその接合体の接合が不充分となりやすく、逆に破断点強度が500N/mm2 を超えると、FFC及びその接合体の柔軟性が失われやすい。上記破断点強度は、好ましくは1〜300N/mm2 であり、より好ましくは1〜100N/mm2 である。
【0017】
又、上記破断点伸びが5%未満であると、変形追従性が無くなり、柔軟性が失われやすく、逆に破断点伸びが3000%を超えると、接着剤被膜が柔らかすぎて、FFC及びその接合体の接合部強度が不充分となりやすい。上記破断点伸びは、好ましくは10〜2000%であり、より好ましくは50〜1000%である。
【0018】
上記接着剤の具体例としては、ベース樹脂として、例えば、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、ゴム系接着剤、ポリエステル系接着剤、変成シリコーン系接着剤、エポキシ系接着剤等が挙げられる。又、接着剤の形態としては、例えば、溶剤系接着剤、エマルション系接着剤、ホットメルト系接着剤、2液混合系接着剤、1液液状系接着剤等が挙げられる。
【0019】
接着剤の反応系及び硬化系としては、上記ダンベル物性を発現するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、非反応性接着剤、加熱硬化性接着剤、湿気硬化性接着剤、光硬化性接着剤等が挙げられ、中でも、湿気硬化性接着剤や光硬化性接着剤が好ましい。
【0020】
本発明1において好ましく用いられる湿気硬化性接着剤としては、例えば、末端にイソシアネート基、アルコキシシリル基等を有し湿気により反応し硬化するポリマーからなる接着剤が挙げられ、中でも、末端にアルコキシシリル基を有するものが好ましい。
【0021】
上記アルコキシシリル基としては、例えば、メトキシシリル基、エトキシシリル基等が挙げられる。
【0022】
上記末端にアルコキシシリル基を有するポリマーの主鎖としては、例えば、ポリオキシアルキレン、ポリオレフィン等が挙げられる。
【0023】
上記ポリオキシアルキレンとしては、例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン等が挙げられ、現在はポリオキシプロピレンのものが一般に市販されている。又、上記ポリオレフィンとしては、例えば、ポリイソブチレン等が挙げられる。
【0024】
上記ポリマーの数平均分子量は4000〜30000のものが好ましく、更に数平均分子量が10000〜30000で分子量分布(Mw/Mn)が1.6以下のものが扱いやすくより好ましい。
【0025】
上記ポリマーの市販品としては、例えば、鐘淵化学工業社製の商品名「MSポリマーS−203」、「MSポリマーS−303」、「MSポリマーS−903」などの「MSポリマー」シリーズ、商品名「サイリルSAT−200」、「サイリルMA−403」、「サイリルMA−447」などの「サイリル」シリーズ、商品名「エピオンEP103S」、「エピオンEP303S」、「エピオンEP505S」などの「エピオン」シリーズ、旭硝子社製の商品名「エクセスターESS−2410」、「エクセスターESS−2420」、「エクセスターESS−3630」などの「エクセスター」シリーズ等が挙げられる。
【0026】
本発明1において好ましく用いられる光硬化性接着剤とは、可視光線、紫外線、電子線等の光を照射することにより硬化が始まる接着剤である。
【0027】
上記光硬化性接着剤としては、例えば、アクリル系光硬化性接着剤、不飽和ポリエステル系光硬化性接着剤、エン−チオール系光硬化性接着剤、光カチオン硬化性接着剤、前記一般式(1)で示される官能基を有する化合物(A)及び前記一般式(2)で示される分子骨格を有する化合物(B)からなる光硬化性接着剤等や、これらを他の硬化性接着剤と組み合わせた接着剤等が挙げられる。
【0028】
上記光硬化性接着剤の中でも、柔軟性により優れる硬化物ひいてはFFCを得られることから、前記一般式(1)で示される官能基を有する化合物(A)及び前記一般式(2)で示される分子骨格を有する化合物(B)からなる光硬化性接着剤がより好ましく用いられる。
【0029】
上記化合物(A)は、前記一般式(1)で表される官能基を有する化合物であって、Xで示される加水分解性を有する官能基(以下、加水分解性官能基と記す)が珪素原子に少なくとも2個以上結合した官能基構造を有する。尚、化合物(A)は1種類で用いても良いし、複数種類を併用しても良い。又、加水分解性官能基(X)が珪素原子に少なくとも2個以上結合した官能基構造とは、同じ珪素原子を介して加水分解性官能基(X)が複数個結合していても良いし、1分子中に珪素原子が2個以上ある場合には、各珪素原子に少なくとも1個以上の加水分解性官能基(X)が結合していても良い。
【0030】
上記加水分解性官能基(X)は、珪素原子と加水分解性官能基(X)との結合が加水分解反応により切断されうる官能基である。上記加水分解性官能基(X)としては、特に限定されるものではないが、公知の官能基を用いることができ、例えば、アルコキシル基、オキシム基、アルケニルオキシ基、アセトキシ基;塩素、臭素等のハロゲン基等が挙げられる。なかでも、貯蔵安定性と汎用性の観点から、アルコキシル基が好適である。
【0031】
上記アルコキシル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。ジアルコキシシリル基又はトリアルコキシシリル基の場合には、同じアルコキシル基を用いても良いし、異なるアルコキシル基を組み合わせて用いても良い。又、種類の異なる加水分解性官能基(X)を組み合わせて用いても良いし、異なる化合物(A)を複数個組み合わせて用いても良い。更に、化合物(A)の加水分解性官能基(X)は全て同じ種類であっても良いし、全て種類が異なっていても良い。
【0032】
上記一般式(1)で表される化合物(A)としては、特に限定されるものではないが、例えば、下記一般式(1−1)で表される珪素原子に加水分解性官能基(X)が2〜4個結合した分子骨格を有する化合物(A1)、又は、下記一般式(1−2)で表される官能基を1分子中に少なくとも1個以上有する化合物(A2)が好適である。但し、下記一般式(1−2)においてmが1である場合には、化合物(A2)は一般式(1−2)で表される官能基を1分子中に少なくとも2個以上有する。
【化5】
(式中、mは2、3又は4の整数を示し、Rは炭化水素基を示し、Xは加水分解性官能基を示す)
【化6】
(式中、mは1、2又は3の整数を示し、Rは炭化水素基を示し、Xは加水分解性官能基を示す)
【0033】
上記一般式(1−1)又は上記一般式(1−2)において、Rで示される炭化水素基としては、特に限定されるものではないが、例えば、脂肪族炭化水素基、不飽和脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。これらの炭化水素基(R)は、アミノ基、水酸基、エーテル基、エポキシ基、重合性不飽和基、ウレタン結合、ウレア基、イミド基、エステル結合等の架橋反応を阻害しない官能基又は結合を有していても良い。
【0034】
上記化合物(A1)としては、例えば、ジメトキシジメチルシラン、シクロヘキシルジメトキシメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジメトキシメチルオクチルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、クロロメチル(ジイソプロポキシ)メチルシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、トリメトキシプロピルシラン、イソブチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、(3−クロロプロピル)トリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、トリス(2−メトキシエトキシ)ビニルシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ジエトキシ(3−グリシドキシプロピル)メチルシラン、トリメトキシ[2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]−ヘプト−3−イル)エチル]シラン、クロロトリメトキシシラン、クロロトリエトキシシラン、クロロトリス(1,3−ジメチルブトキシ)−シラン、ジクロロジエトキシシラン、3−(トリエトキシシリル)−プロピオニトリル、4−(トリエトキシシリル)−ブチロニトリル、3−(トリエトキシシリル)−プロピルイソシアネート、3−(トリエトキシシリル)−プロピルチオイソシアネート、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、1,3,5,7−テトラエトキシ−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラプロキシシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトライソプロポキシ−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラブトキシ−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタエトキシ−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘキサフェニルシクロトリシロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラフェニルシクロテトラシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルシクロトリシラザン、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルシクロテトラシラザン、1,7−ジアセトキシオクタメチルテトラシロキサン、1,7−ジクロロオクタメチルテトラシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−1,5−ジクロロトリシロキサン、1,3−ジクロロテトライソプロピルジシロキサン、1,3−ジエトキシテトラメチルジシロキサン、1,3−ジメトキシテトラメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジクロロジシロキサン、1,2−ビス(メチルジクロロシリル)エタン、ジアセトキシジフェニルシラン、メチルトリス(エチルメチルケトオキシム)シラン、メチルトリス(N,N−ジエチルアミノキシ)シラン、ビス(エチルメチルケトオキシム)メチルイソプロポキシシラン、ビス(エチルメチルケトオキシム)エトキシメチルシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシルエチル)トリメチルシラン、トリス(1−メチルビニロキシ)ビニルシラン、メチルトリイソプロペノキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、ジアセトキシジメチルシラン、トリアセトキシビニルシラン、テトラアセトキシシラン、ジアセトキシメチルフェニルシラン、ジメトキシエチルメチルケトオキシムメチルシラン等が挙げられる。
【0035】
上記化合物(A2)としては、例えば、プロピレングリコール、エチレングリコール、ブチレングリコール等のアルキレングリコールをモノマーユニットとするポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリスチレン、ポリオレフィン等のポリマーやこれらのポリマーの共重合体であって、一般式(1−2)で表される官能基を有する重合体等が挙げられる。尚、これらのポリマーはオリゴマーであっても良い。
【0036】
上記化合物(A2)に含有される一般式(1−2)で表される官能基としては、例えば、ジメトキシメチルシリル基、シクロヘキシルジメトキシシリル基、ジエトキシメチルシリル基、ジメトキシオクチルシリル基、ジエトキシビニルシリル基、クロロメチル(ジイソプロポキシ)シリル基、ジメトキシフェニルシリル基、ジエトキシフェニルシリル基、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、ジメトキシプロピルシリル基、イソブチルジメトキシシリル基、オクチルジメトキシシリル基、オクタデシルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基、エチルジエトキシシリル基、イソブチルジエトキシシリル基、オクチルジエトキシシリル基、ビニルジメトキシシリル基、ビニルジエトキシシリル基、アリルジエトキシシリル基、(3−クロロプロピル)ジメトキシシリル基、クロロメチルジエトキシシリル基、ビス(2−メトキシエトキシ)ビニルシリル基、3−グリシドキシプロピルジメトキシシリル基、ジエトキシ(3−グリシドキシプロピル)シリル基、ジメトキシ[2−(7−オキサビシクロ[4,1,0]−ヘプト−3−イル)エチル]シリル基、クロロジメトキシシリル基、クロロジエトキシシリル基、クロロビス(1,3−ジメチルブトキシ)−シリル基、クロロジエトキシシリル基、3−(トリエトキシシリル)−プロピオニトリル基、4−(トリエトキシシリル)−ブチロニトリル基、3−(トリエトキシシリル)−プロピルイソシアネート基、3−(トリエトキシシリル)−プロピルチオイソシアネート基、フェニルジメトキシシリル基、フェニルジエトキシシリル基、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリプロポキシシリル基、トリブトキシシリル基、1,2−ビス(メチルジクロロシリル)、ジアセトキシジフェニルシリル基、メチルトリス(エチルメチルケトオキシム)シリル基、メチルトリス(N,N−ジエチルアミノキシ)シリル基、ビス(エチルメチルケトオキシム)メチルイソプロポキシシリル基、ビス(エチルメチルケトオキシム)エトキシメチルシリル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシルエチル)トリメチルシリル基、トリス(1−メチルビニロキシ)ビニルシリル基、メチルトリイソプロペノキシシリル基、エチルトリアセトキシシリル基、メチルトリアセトキシシリル基、ジアセトキシジメチルシリル基、トリアセトキシビニルシリル基、テトラアセトキシシリル基、ジアセトキシメチルフェニルシリル基、ジメトキシエチルメチルケトオキシムメチルシリル基等が挙げられる。
【0037】
上記化合物(A2)において、前記一般式(1−2)で表される官能基は、ポリマー末端に位置していても良いし、ポリマーの側鎖に位置していても良い。又、ポリマー末端と側鎖の両方に位置していても良い。
【0038】
上記化合物(A2)は、更に、重合性不飽和基を有することが好ましい。上記重合性不飽和基としては、スチリル基、アクリル基、メタクリル基等のアニオン重合性基;スチリル基、ビニロキシ基等のカチオン重合性基;ラジカル重合性不飽和基等が挙げられる。なかでも、ラジカル重合性不飽和基がより好ましい。
【0039】
上記ラジカル重合性不飽和基とは、ラジカルの攻撃を受けて生成したラジカルが、連鎖反応的に別の不飽和基を攻撃しラジカル又はラジカルが生成するような化学反応性を有する炭素−炭素二重結合以上の官能基を言う。かかるラジカル重合性不飽和基としては、アクリロイル基又はメタクリロイル基であることが更に好ましい。
【0040】
上記化合物(A2)は、前記一般式(1−2)で表される官能基及び/又はラジカル重合性不飽和基を、複数個及び/又は複数種組み合わせた化合物であっても良い。又、複数の化合物(A2)を組み合わせて用いても良い。
【0041】
前記一般式(1−2)で表される官能基と上記ラジカル重合性不飽和基とを併せ持つ化合物(A2)としては、例えば、N−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルメチルビス(トリメチルシロキシ)シラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3−アリルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルジメチルエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロペニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビンルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルジメチルイソペンテニルオキシシラン、ビニルジメチル−2−[(2−エトキシエトキシ)エトキシ]シラン、ビニルトリス(1−メチルビニルオキシ)シラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、フェニルビニルジエトキシシラン、ジフェニルビニルエトキシシラン、6−トリエトキシシリル−2−ノルボルネン、オクタ−7−エニルトリメトキシシラン、スチリルエチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0042】
上記化合物(A)のうち市販されているものとしては、例えば、鐘淵化学工業社製の商品名MSポリマーとしてMSポリマーS−203、S−303、エピオン等、商品名サイリルポリマーとしてサイリルSAT−200、MA−903、MA−447等、旭硝子社製の商品名エクセスターESS−2410、ESS−2420、ESS−3630、チッソ社製のアセトキシ末端ポリジメチルシロキサン(PS363.5)、ジメチルアミノ末端ポリジメチルシロキサン(PS383)、エトキシ末端ポリジメチルシロキサン(PS393)、ステアリロキシ末端ポリジメチルシロキサン(PS053.5)、トリエトキシシリル変性ポリ(1,2−ブタジエン)(PS078.5)、(N−トリメトキシシリルプロピル)ポリアザミド(PS075)、(N−トリメトキシシリルプロピル)ポリエチレンイミン(PS076)、(N−トリメトキシシリルプロピル)−O−ポリエチレンオキサイドウレタン(PS077)等が挙げられる。
【0043】
上記化合物(B)は、前記一般式(2)で表される分子骨格を有する化合物であって、異なる一般式(2)で表される分子骨格を1分子中に複数組み合わせた化合物であっても良い。又、本発明で好ましく用いられる光硬化性接着剤においては、異なる上記一般式(2)で表される分子骨格を有する化合物を複数組み合わせて用いても良い。
【0044】
前記一般式(2)で表される分子骨格を有する化合物は、周期表のIVB族、VB族又はVIB族の原子、即ち、酸素、硫黄、窒素、リン及び炭素より選ばれる原子Yに対し、カルボニル基が2個結合した分子骨格を有する化合物であって、原子Yの置換基として原子Yの価数に応じ、適宜、水素基、炭化水素基、水酸基、メルカプト基、アミノ基、ハロゲン基、アルコキシル基、アルキルチオ基、カルボニルオキシ基又はオキソ基であるZを有する。
【0045】
上記Zとしての炭化水素基としては、例えば、脂肪族炭化水素基、不飽和脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。尚、これらの炭化水素基は、アミノ基、水酸基、エーテル基、エポキシ基、重合性不飽和基、ウレタン結合、ウレア基、イミド基、エステル結合等の架橋反応を阻害しない官能基もしくは結合を有していても良い。
【0046】
前記一般式(2)で表される分子骨格としては、例えば、下記一般式(2A)、下記一般式(2B)、下記一般式(2C)、下記一般式(2D)、下記一般式(2E)で表される官能基が挙げられる。
【0047】
【化7】
【0048】
又、上記化合物(B)としては、例えば、下記一般式(2−1)で表される環状化合物や、下記一般式(2−1)のような同じ環状鎖の中に複数個の同種又は異種の上記一般式(2)表される分子骨格を有する化合物等が挙げられる。更に、複数個の同種又は異種のこれら環状化合物を、適宜な有機基で結合した化合物や、複数個の同種又は異種のこれら環状化合物をユニットとして少なくとも1個以上含む双環化合物等が挙げられる。
【0049】
【化8】
【0050】
上記一般式(2−1)中、nは2、3、4又は5の整数を示し、Yは周期表のIVB族、VB族又はVIB族の原子を示し、Zは水素基、炭化水素基、水酸基、メルカプト基、アミノ基、ハロゲン基、アルコキシル基、アルキルチオ基、カルボニルオキシ基又はオキソ基を示し、Aは有機基を示す。
【0051】
上記化合物(B)としては、Yが酸素の場合にあっては、例えば、酢酸無水物、プロピオン酸無水物、ブチル酸無水物、イソブチル酸無水物、バレリック酸無水物、2−メチルブチル酸無水物、トリメチル酢酸無水物、ヘキサン酸無水物、ヘプタン酸無水物、デカン酸無水物、ラウリル酸無水物、ミリスチリル酸無水物、パルミチン酸無水物、ステアリル酸無水物、ドコサン酸無水物、クロトン酸無水物、アクリル酸無水物、メタクリル酸無水物、オレイン酸無水物、リノレイン酸無水物、クロロ酢酸無水物、ヨード酢酸無水物、ジクロロ酢酸無水物、トリフルオロ酢酸無水物、クロロジフルオロ酢酸無水物、トリクロロ酢酸無水物、ペンタフルオロプロピオン酸無水物、ヘプタフルオロブチル酸無水物、コハク酸無水物、メチルコハク酸無水物、2,2−ジメチルコハク酸無水物、イソブチルコハク酸無水物、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、ヘキサヒドロ−4−メチルフタル酸無水物、イタコン酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、マレイン酸無水物、2−メチルマレイン酸無水物、2,3−ジメチルマレイン酸無水物、1−シクロペンテン−1,2−ジカルボン酸無水物、グルタル酸無水物、1−ナフチル酢酸無水物、安息香酸無水物、フェニルコハク酸無水物、フェニルマレイン酸無水物、2,3−ジフェニルマレイン酸無水物、フタル酸無水物、4−メチルフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジ無水物、4,4’−(ヘキサフルオロプロピリデン)ジフタル酸無水物、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸無水物、1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸無水物等;マレイン酸無水物とラジカル重合性不飽和基を有する化合物との共重合体;マレイン酸無水物と(メタ)アクリレートとの共重合体;マレイン酸無水物とスチレンとの共重合体;マレイン酸無水物とビニルエーテルとの共重合体等が挙げられる。
【0052】
かかる化合物(B)のうち市販されているものとしては、例えば、旭電化工業社製の商品名アデカハードナーEH−700、アデカハードナーEH−703、アデカハードナーEH−705A;新日本理化社製の商品名リカシッドTH、リカシッドHT−1、リカシッドHH、リカシッドMH−700、リカシッドMH−700H、リカシッドMH、リカシッドSH、商品名リカレジンTMEG;日立化成社製の商品名HN−5000、HN−2000;油化シェルエポキシ社製の商品名エピキュア134A、エピキュアYH306、エピキュアYH307、エピキュアYH308H;住友化学工業社製の商品名スミキュアーMS等が挙げられる。
【0053】
上記化合物(B)としては、Yが硫黄の場合にあっては、例えば、チオ酢酸無水物、チオプロピオン酸無水物、チオブチル酸無水物、チオイソブチル酸無水物、チオバレリック酸無水物、チオトリメチル酢酸無水物、チオヘキサン酸無水物、チオヘプタン酸無水物、チオデカン酸無水物、チオラウリル酸無水物、チオミリスチル酸無水物、チオパルミチン酸無水物、チオステアリル酸無水物、チオドコサン酸無水物、チオクロトン酸無水物、チオアクリル酸無水物、チオメタクリル酸無水物、チオオレイン酸無水物、チオリノレイン酸無水物、チオクロロ酢酸無水物、チオヨード酢酸無水物、チオジクロロ酢酸無水物、チオトリフルオロ酢酸無水物、チオクロロジフルオロ酢酸無水物、チオトリクロロ酢酸無水物、チオペンタフルオロプロピオン酸無水物、チオペンタフルオロブチル酸無水物、チオコハク酸無水物、チオメチルコハク酸無水物、チオイソブチルコハク酸無水物、チオイタコン酸無水物、チオマレイン酸無水物、チオグルタル酸無水物、チオフェニルコハク酸無水物、チオフェニルマレイン酸無水物、チオフタル酸無水物、チオ安息香酸無水物、チオジグリコール酸無水物、チオ乳酸無水物等が挙げられる。
【0054】
上記化合物(B)としては、Yが窒素の場合にあっては、例えば、コハク酸イミド、N−メチルコハク酸イミド、α,α−ジメチル−β−メチルコハク酸イミド、αメチル−α−プロピルコハク酸イミド、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−tert−ブチルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−(1−ピレニル)マレイミド、3−メチル−N−フェニルマレイミド、N,N’−1,2−フェニレンジマレイミド、N,N’−1,3−フェニレンジマレイミド、N,N’−1,4−フェニレンジマレイミド、N,N’−(4−メチル−1,3−フェニレン)ビスマレイミド、1,1’−(メチレンジ−1,4−フェニレン)ビスマレイミド、フタルイミド、N−メチルフタルイミド、N−エチルフタルイミド、N−プロピルフタルイミド、N−フェニルフタルイミド、N−ベンジルフタルイミド、ピロメリット酸ジイミド;N−アルキルマレイミドとラジカル重合性不飽和基を有する化合物との共重合体;N−アルキルマレイミドと(メタ)アクリレートとの共重合体;N−アルキルマレイミドとスチレンとの共重合体;N−アルキルマレイミドとビニルエーテルとの共重合体等が挙げられる。尚、本発明で言う(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
【0055】
上記化合物(B)としては、Yがリンの場合にあっては、例えば、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイドが挙げられる。
【0056】
上記化合物(B)としては、Yが炭素の場合にあっては、例えば、2,4−ペンタンジオン、3−メチル−2,4−ペンタンジオン、3−エチル−2,4−ペンタンジオン、3−クロロ−2,4−ペンタンジオン、1,1,1−トリフルオロ−2,4−ペンタンジオン、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ペンタンジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、1−ベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタン等のジケトン類;ジメチルマロネート、ジエチルマロネート、ジメチルメチルマロネート、テトラエチル−1,1,2,2−エタンテトラカルボン酸等のポリカルボン酸エステル類;メチルアセチルアセトネート、エチルアセチルアセトネート、メチルプロピオニルアセテート等のα−カルボニル−酢酸エステル類等が挙げられる。
【0057】
上記化合物(B)のなかでも、カルボン酸無水物、カルボン酸イミド又はアシルホスフィンオキサイドが、化合物(A)の光による重合又は架橋反応速度が速く、化合物(A)に対する溶解性に優れていることから好適に用いられる。
【0058】
上記化合物(B)の化合物(A)100重量部に対する配合量の好ましい下限は0.01重量部、上限は30重量部である。0.01重量部未満であると、化合物(A)に対する反応性を示すことが困難となることがあり、30重要部を超えると、得られる光硬化性接着剤の光透過性が著しく低下するため、光照射面のみが重合又は架橋し、深部反応性が著しく低下することがある。より好ましい下限は0.1重量部、上限は20重量部である。
【0059】
本発明で好ましく用いられる光硬化性接着剤は、光硬化性を向上させるために、即ち、光の照射時間を短くし光の照射エネルギーを低くするために、又は、光硬化性接着剤の深部まで更に速やかに重合・架橋させるために、光ラジカル発生剤(C)を含有することが好ましい。
【0060】
上記光ラジカル発生剤(C)とは、紫外線や可視光線等の光によりラジカルに分解する化合物;水素引き抜きによりラジカルを発生させる化合物;電子移動等のエネルギー移動によりラジカルを発生させる化合物等が挙げられる。好適には、アクリル酸エステルやメタクリル酸エステル等に対して重合開始能を有する化合物が挙げられる。光ラジカル発生剤(C)としては、複数種のものを組み合わせて用いても良い。
【0061】
上記光ラジカル発生剤(C)としては、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、α−ヒドロキシ−α,α’−ジメチルアセトフェノン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン等のアセトフェノン誘導体化合物;ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル等のベンゾインエーテル系化合物;ベンジルジメチルケタール等のケタール誘導体化合物;ハロゲン化ケトン;アシルホスフィンオキシド;アシルホスフォナート;2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−N,N−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド;ビス(η5−シクロペンタジエニル)−ビス(ペンタフルオロフェニル)−チタニウム、ビス(η5−シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピリ−1−イル)フェニル]−チタニウム;アントラセン、ペリレン、コロネン、テトラセン、ベンズアントラセン、フェノチアジン、フラビン、アクリジン、ケトクマリン、チオキサントン誘導体、ベンゾフェノン、アセトフェノン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン等が挙げられる。
【0062】
尚、市販されている光ラジカル重合開始剤を光ラジカル発生剤(C)として用いても良い。又、ジアシルホスフィン化合物は光照射によりラジカルに分解する光ラジカル発生剤であると共に、分解後のラジカルを含めて前記一般式(2)で表される分子骨格を有しているので、化合物(B)と光ラジカル発生剤(C)との両方を満たす化合物であり好ましい。
【0063】
上記光ラジカル発生剤(C)の化合物(A)と化合物(B)との合計100重量部に対する配合量の好ましい下限は0.001重量部、上限は10重量部である。0.001重量部未満であると、光ラジカル発生剤(C)による光硬化性を向上させることが困難となることがあり、10重量部を超えると、光硬化性接着剤の光透過性が著しく低下するため、光が照射された表面のみが重合又は架橋し、深部が充分に重合又は架橋されないことがある。尚、光ラジカル発生剤(C)がジアシルホスフィン化合物の場合は、化合物(A)100重量部に対しての好ましい下限は0.001重量部、上限は10重量部である。より好ましい下限は0.01重量部、上限は5重量部である。
【0064】
本発明で好ましく用いられる光硬化性接着剤は、光硬化性又は光後硬化性を向上させるために、水素ラジカル供与剤(D)を含有することが好ましい。
【0065】
上記水素ラジカル供与剤(D)としては水素ラジカルを引き抜かれやすい化合物であれば良く、例えば、メルカプタンやアルキルベンゼンのようにフリーラジカル重合において連鎖移動性を示す化合物等を挙げることができる。上記水素ラジカル供与剤(D)としては、複数種を組み合わせて用いても良い。
【0066】
上記水素ラジカル供与剤(D)としては、例えば、n−ブチルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、シクロヘキシルメルカプタン、1,6−ヘキサンジチオール等のチオール類;ジ−n−ブチルジスルフィド、ジ−n−ブチルスルフィド、テトラヒドロチオフェン、ペンタメチレンスルフィド、1,4−ジチアン、ジフェニルスルフィド等のスルフィド類;トルエン、キシレン、メシチレン、イソプロピルベンゼン、エチルベンゼン、ベンジルメチルエーテル等のアリール位に水素を有する化合物;トリエチルアミン、ブチルアミン、アニリン、メチルアニリン、ジ(p−アミノフェニル)メタン等のアミン類;n−ブチルアイオダイド、n−ブチルブロマイド、n−ブチルクロライド、2−クロロブタン、クロロホルム等のハロゲン化アルキル類;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、アニソール、ジフェニルエーテル等のエーテル類;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等のアルコール類;酢酸、プロピオン酸、酪酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸、安息香酸、フタル酸等のカルボン酸類;アセトン、メチルエチルケトン、アセチルベンゼン、ジアセチルベンゼン等のケトン類;ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、t−ブチルベンゼン等の炭化水素類等が挙げられる。
【0067】
上記水素ラジカル供与剤(D)の化合物(A)と化合物(B)との合計100重量部に対する配合量の好ましい下限は0.1重量部、上限は20重量部である。0.1重量部未満であると、速やかな後硬化性が得られないことがあり、20重量部を超えると、硬化体としたときの充分な凝集力が得られないことがある。
【0068】
本発明で好ましく用いられる光硬化性接着剤は、更に、化合物(A)の加水分解・縮合反応を促進する有機金属化合物(E)を含有することが好ましい。本発明で好ましく用いられる光硬化性接着剤においては、例えば、光硬化性接着剤を気密性の容器に封入して保存したり、開封後短時間のあいだに使い切ったりする場合や、光硬化性接着剤の貯蔵や供給時に湿気を遮断する工夫が施された塗布装置を利用する場合、偶発的又は必然的に光非照射部が発生する状況において用いる場合等がある。このような場合に有機金属化合物(E)を配合すれば、光照射後の化合物(A)の重合又は架橋反応を促進させることができる。又、光非照射部ももれなく硬化させることができる。
【0069】
上記有機金属化合物(E)としては、例えば、ゲルマニウム、錫、鉛、硼素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、チタニウム、ジルコニウム等の金属元素と有機基を置換してなる有機金属化合物等が挙げられ、更に具体的には、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫フタレート、ビス(ジブチル錫ラウリン酸)オキサイド、ジブチル錫ビスアセチルアセトナート、ジブチル錫ビス(モノエステルマレート)、オクチル酸錫、ジブチル錫オクトエート、ジオクチル錫オキサイド等の錫化合物、テトラ−n−ブトキシチタネート、テトライソプロポキシチタネート等のチタネート系化合物等が挙げられる。これらの有機金属化合物(E)は、単独で用いても良いし、2種以上を併用して使用しても良い。
【0070】
上記有機金属化合物(E)の化合物(A)100重量部に対する好ましい配合量の下限は0.01重量部、上限は10重量部である。0.01重量部未満であると、光照射後の化合物(A)の反応促進を期待できなくなり、10重量部を超えると、光照射後の反応促進はするものの、反応物への影響が著しく現れるようになる。より好ましい下限は0.1重量部、上限は8重量部である。
【0071】
本発明で好ましく用いられる光硬化性接着剤は、更に、重合性基を有する化合物(F)を含有することが好ましい。化合物(A)と化合物(B)との特定の組み合わせにおいては、光照射直後暫くしてから重合体や架橋体が生成する場合があり、光照射直後には所望の凝集力が不足し、光照射直後からの利用に制限が加わるといった問題がある。上記重合性基を有する化合物(F)を加えることにより、光照射直後の凝集力をより高めることができる。
【0072】
上記重合性基を有する化合物(F)における重合性基としては、ラジカル重合性不飽和基又はカチオン重合性基が好ましい。
【0073】
上記ラジカル重合性不飽和基としては、例えば、スチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニルエステル基、ビニロキシ基、アリル基、イソプロペニル基、ビニロキシカルボニル基、ビニルカルボニル基、N−ビニルアミノ基等が挙げられ、なかでも、アクリロイル基又はメタクリロイル基が好適に用いられる。又、複数のラジカル重合性不飽和基を複数個を組み合わせても良い。
【0074】
上記スチリル基を有する化合物として、例えば、スチレン、インデン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−クロロメチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−tert−ブトキシスチレン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
【0075】
上記アクリロイル基又はメタクリロイル基を有する化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−3−メチルブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、2−[(メタ)アクリロイルオキシ]エチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、2−[(メタ)アクリロイルオキシ]エチル−2−ヒドロキシプロピルフタル酸;下記一般式(3)、下記一般式(4)、下記一般式(5)、下記一般式(6)、下記一般式(7)、下記一般式(8)、下記一般式(9)、下記一般式(10)、下記一般式(11)、下記一般式(12)、下記一般式(13)、下記一般式(14)、下記一般式(15)、下記一般式(16)、下記一般式(17)、下記一般式(18)、下記一般式(19)、下記一般式(20)、下記一般式(21)、下記一般式(22)で表される化合物等が挙げられる。
【0076】
【化9】
【0077】
【化10】
【0078】
【化11】
【0079】
【化12】
【0080】
【化13】
【0081】
【化14】
【0082】
【化15】
【0083】
【化16】
【0084】
【化17】
【0085】
【化18】
【0086】
【化19】
【0087】
【化20】
【0088】
【化21】
【0089】
【化22】
【0090】
【化23】
【0091】
【化24】
【0092】
【化25】
【0093】
【化26】
【0094】
【化27】
【0095】
【化28】
【0096】
上記ビニルエステル基を有する化合物としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、安息香酸ビニル、珪皮酸ビニル等が挙げられる。
【0097】
上記ビニロキシ基を有する化合物としては、例えば、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、tert−アミルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、エチレングリコールブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールメチルビニルエーテル、安息香酸(4−ビニロキシ)ブチル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ブタン−1,4−ジオール−ジビニルエーテル、ヘキサン−1,6−ジオール−ジビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール−ジビニルエーテル、イソフタル酸ジ(4−ビニロキシ)ブチル、グルタル酸ジ(4−ビニロキシ)ブチル、コハク酸ジ(4−ビニロキシ)ブチルトリメチロールプロパントリビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール−モノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル−3−アミノプロピルビニルエーテル、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチルビニルエーテル、ウレタンビニルエーテル、ポリエステルビニルエーテル等が挙げられる。
【0098】
上記カチオン重合性基とは、プロトン酸あるいはルイス酸のような酸の存在下で、連鎖反応的に重合あるいは架橋を起こす官能基である。かかる官能基としては、例えば、スチリル基、エポキシ基、オキセタニル基、ビニロキシ基等が挙げられる。又、1分子中に複数のカチオン重合性基を組み合わせた化合物を用いても良い。
【0099】
上記スチリル基を有する化合物としては、例えば、スチレン、インデン、αーメチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−クロロメチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−tert−ブトキシスチレン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
【0100】
上記エポキシ基を有する化合物としては、例えば、ビスフェノールA系エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA系エポキシ樹脂、ビスフェノールF系エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール型エポキシ樹脂、脂肪族環式エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、ゴム変成エポキシ樹脂、ウレタン変成エポキシ樹脂、グリシジルエステル系化合物、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化SBS{SBSはポリ(スチレン−co−ブタジエン−co−スチレン)共重合体を示す}等が挙げられる。
【0101】
上記オキセタニル基を有する化合物としては、例えば、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−フェノキシメチルオキセタン、3−エチル−3−へキシルオキシメチルオキセタン、1,4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシメチル)ベンゼン等が挙げられる。
【0102】
上記ビニロキシ基を有する化合物として、例えば、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、tert−アミルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、エチレングリコールブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールメチルビニルエーテル、安息香酸(4−ビニロキシ)ブチル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ブタン−1,4−ジオール−ジビニルエーテル、ヘキサン−1,6−ジオール−ジビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール−ジビニルエーテル、イソフタル酸ジ(4−ビニロキシ)ブチル、グルタル酸ジ(4−ビニロキシ)ブチル、コハク酸ジ(4−ビニロキシ)ブチルトリメチロールプロパントリビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール−モノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル3−アミノプロピルビニルエーテル、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチルビニルエーテル、ウレタンビニルエーテル、ポリエステルビニルエーテル等が挙げられる。
【0103】
又、上記化合物(F)として上記カチオン重合性基を有する化合物を選択する場合には、上記化合物(F)は、更に前記一般式(1−2)で表される官能基を有していても良い。即ち、カチオン重合性基と一般式(1−2)で表される官能基を併せ持つ化合物であって、複数個、複数種のカチオン重合性基と一般式(1−2)で表される官能基とが組み合わされて含まれる化合物でも良い。かかる化合物(F)としては、例えば、トリメトキシ[2−(7−オキサビシクロ[4,1,0]−ヘプト−3−イル)エチル]シラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジイソプロピルエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジイソプロペノキシシラン、スチリルエチルトリメトキシシラン、3−(3−テトラエトキシシリルプロポキシ)メチル−3−エチルオキセタン等が挙げられる。これらは、単独で用いても良く、2種類以上を併用しても良い。
【0104】
又、上記化合物(F)として上記カチオン重合性基を有する化合物を選択する場合には、本発明で好ましく用いられる光硬化性接着剤は、更に、光照射によりカチオン性重合性基を有する化合物(F)を重合又は架橋させる化合物を含有することが好ましい。かかる化合物としては、例えば、鉄−アレン錯体化合物、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、ピリジニウム、アルミニウム錯体/シラノール塩、ハロゲン化アルキル置換トリアジン誘導体、トリフルオロメタンスルホン酸−N−イミドエステル誘導体、ベンゼンスルホン酸−N−イミドエステル誘導体、メタンスルホン酸−N−イミドエステル誘導体、トリブロモメチルフェニルスルホン誘導体等が挙げられる。
【0105】
又、これらの化合物のうち市販されているものとしては、例えば、イルガキュア−261(チバガイギー社製)、オプトマーSP−150(旭電化工業社製)、オプトマーSP−151(旭電化工業社製)、オプトマーSP−170(旭電化工業社製)、オプトマーSP−171(旭電化工業社製)、UVE−1014(ゼネラルエレクトロニクス社製)、CD−1012(サートマー社製)、サンエイドSI−60L(三新化学工業社製)、サンエイドSI−80L(三新化学工業社製)、サンエイドSI−100L(三新化学工業社製)、CI−2064(日本曹達社製)、CI−2639(日本曹達社製)、CI−2624(日本曹達社製)、CI−2481(日本曹達社製)、RHODORSIL PHOTOINITIATOR 2074(ローヌ・プーラン社製)、UVIー6990(ユニオンカーバイド社製)、BBIー103(ミドリ化学社製)、MPIー103(ミドリ化学社製)、TPSー103(ミドリ化学社製)、MDSー103(ミドリ化学社製)、DTSー103(ミドリ化学社製)、NATー103(ミドリ化学社製)、NDSー103(ミドリ化学社製)等が挙げられる。これらは、単独で用いても良く、2種類以上を併用しても良い。
【0106】
上記光照射によりカチオン性重合性基を有する化合物(F)を重合又は架橋させる化合物の好適な配合量としては、化合物(F)100重量部に対して好ましい下限は0.01重量部、上限は30重量部である。0.01重量部未満であると、光硬化性を示すことは困難となることがあり、30重要部を超えると、光硬化性接着剤の光透過性が著しく低下するため、光照射面のみが重合あるいは架橋し、深部反応性が著しく低下することがある。より好ましい下限は0.1重量部、上限は20重量部である。
【0107】
上記化合物(F)の化合物(A)10〜99重量部に対する好ましい配合量の下限は1重量部、上限は90重量部である。1重量部未満であると、凝集力発現が困難となることがあり、90重量部を超えると、硬化物の強度が充分に得られないことがある。
【0108】
本発明で好ましく用いられる光硬化性接着剤が上記化合物(F)を含有する場合には、光硬化性接着剤の使用時に偶発的又は必然的な光非照射部の発生によって未反応の化合物(F)を残さないようにするために、更に化合物(F)の重合開始剤を含有することが好ましい。上記化合物(F)の重合開始剤としては、化合物(F)がラジカル重合性不飽和基を有する場合にあっては、熱ラジカル発生剤又は嫌気性条件下で加熱するとラジカルを発生するラジカル発生剤が挙げられる。又、化合物(F)がカチオン重合性基を有する化合物の場合にあっては、熱活性によりカチオン重合性基を重合させる化合物、例えば、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、アンモニウム塩等のオニウム塩;3フッ化ホウ素トリエチルアミン錯体、3フッ化ホウ素ピリジン錯体等のルイス酸−ルイス塩基錯体が挙げられる。更に、化合物(F)がエポキシ基を有する化合物の場合にあっては、ジシアンジアミド、ケチミン等の熱又は湿気によりアミンを発生する化合物が挙げられる。
【0109】
上記熱ラジカル発生剤としては、例えば、有機過酸化物、即ち、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、tert−ヘキシルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、α,α’−ビス(tert−ブチルペルオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、ジキュミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、tert−ブチル キュミル パーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキサイド類、ケトンパーオキサイド類、パーオキシケタール類、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシジカーボネート類、パーオキシエステル類等の有機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物が挙げられる。これらは、単独で用いても良く、2種類以上を併用しても良い。
【0110】
上記嫌気性条件下で加熱するとラジカルを発生するラジカル開始剤としては、例えば、キュメンハイドロパーオキサイド/ベンゾキノン等の有機過酸化物/キノン化合物の組み合わせ(混合物)が挙げられる。
【0111】
本発明で好ましく用いられる光硬化性接着剤は、更に、エポキシ基を有する化合物(G)を含有することが好ましい。上記エポキシ基を有する化合物(G)を含有することにより、光硬化性接着剤は、金属面への密着性、接着性を更に向上させることができる。
【0112】
上記化合物(G)としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ポリグリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、エポキシシラン化合物等が挙げられる。なかでも特に効果の高いものとして、前記一般式(1−2)で表される官能基を有するエポキシ化合物、及び、エポキシ基を1分子中に3個以上有する化合物が挙げられる。これらは、単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
【0113】
一般式(1−2)で表される官能基を有するエポキシ化合物としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
【0114】
上記分子内に3個以上のエポキシ基を有する化合物のうち市販されているものとしては、例えば、ジャパンエポキシレジン社製の商品名エピコート152、エピコート154、エピコート604;ダイセル化学社製の商品名エポリードGT301、エポリードGT302、エポリードGT401、エポリードGT403等が挙げられる。
【0115】
上記化合物(G)の光硬化性接着剤中の樹脂分100重量部に対する好ましい配合量の下限は0.1重量部、上限は30重量部である。0.1重量部未満であると、化合物(G)の効果が充分に得られないことがあり、30重量部を超えると、金属への密着性の効果は向上するが、全体への影響が大きくなりすぎることがある。
【0116】
本発明で好ましく用いられる光硬化性接着剤には、必要に応じて、上記化合物(B)又は光ラジカル発生剤(C)に対する感光性増感剤、光硬化性接着剤の粘性特性を調整するための増粘剤やチキソトロープ剤、引っ張り特性等を改善する物性調整剤、増量剤、可塑剤、補強剤、着色剤、難燃剤等の公知の機能を有する各種添加剤を加えても良い。
【0117】
上記増粘剤としては、化合物(A)との相溶性の良い高分子化合物から選ばれることが好ましく、例えば、アクリル系高分子、メタクリル系高分子、ポリビニルアルコール誘導体、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン誘導体、ポリエステル類、ポリエーテル類、ポリイソブテン、ポリオレフィン類、ポリアルキレンオキシド類、ポリウレタン類、ポリアミド類、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、NBR、SBS、SIS、SEBS、水添NBR、水添SBS、水添SIS、水添SEBS等;これらの共重合体、官能基変成体等が挙げられる。これらは、単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
【0118】
上記チキソトロープ剤としては、光硬化性接着剤がチキソトロープ性を発現するような物質から適宜選ばれる。例えば、コロイダルシリカ、ポリビニルピロリドン、疎水化炭酸カルシウム、ガラスバルーン、ガラスビーズ等が挙げられる。上記チキソトロープ剤の選択については、化合物(A)に親和性の高い表面を有するものを選択することが好ましい。
【0119】
上記引っ張り特等を改善する物性調整剤としては、各種シランカップリング剤として、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N’−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ヘキサエチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ヘキサエチレンジアミン等が挙げられる。これらは、単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
【0120】
上記増量剤としては、光硬化性接着剤中に添加してチキソトロープ性を発現しないものが好適に利用でき、例えば、タルク、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水シリカ、含水シリカ、ケイ酸カルシウム、二酸化チタン、カーボンブラック等が挙げられる。これらは、単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
【0121】
上記可塑剤としては、例えば、リン酸トリブチル、リン酸トリクレジル等のリン酸エステル類、フタル酸ジオクチル等のフタル酸エステル類、グリセリンモノオレイル酸エステル等の脂肪酸−塩基酸エステル類、アジピン酸ジオクチル等の脂肪酸二塩基酸エステル類、ポリプロピレングリコール類等が挙げられる。これらは、単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
【0122】
その他、必要に応じて、タレ防止剤、酸化防止剤、老化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、溶剤、香料、顔料、染料等を添加しても良い。
【0123】
本発明で好ましく用いられる光硬化性接着剤に光を照射する際に利用できる光源としては、光源が発する光により光硬化性接着剤が光活性を示し、上記化合物(A)の光反応により重合体又は架橋体が生成する光源である限り特に限定されない。又、用途に応じて光源を適宜選択することができる。
【0124】
このような光源の好適例としては、上記化合物(B)に起因する光硬化性接着剤の吸収波長を含む光を発する光源が挙げられる。又、光ラジカル発生剤(C)を含有する光硬化性接着剤については、化合物(B)及び光ラジカル発生剤(C)の双方に起因する光硬化性接着剤の吸収する波長を含む光を発する光源であることが好ましい。
【0125】
このような光源として、複数の光源を組み合わせて用いる場合は、各種の光源からの光を同時に光硬化性接着剤に照射することが好ましい。又、それぞれの光源からの光を順番に照射しても良いし、それぞれの光源からの光を交互に照射しても良い。
【0126】
公知の光源としては、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、エキシマレーザー、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ、ナトリウムランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、蛍光灯、太陽光、電子線照射装置等が挙げられる。又、フィルター等を用いて不要な波長成分を低減もしくは除去しても良いし、各種光源を組み合わせて用いても良い。各種光源の光硬化性接着剤への照射手順としては、各種光源の同時照射、又は、時間差をおいて逐次照射するといった方法や同時照射と逐次照射とを組み合わせても良い。
【0127】
本発明1のFFCは、上記光硬化性接着剤が用いられてなるものであることが好ましい。又、本発明2のFFCは、上記光硬化性接着剤が用いられてなる。但し、本発明2のFFCに用いられる光硬化性接着剤は、23℃におけるダンベル引張物性において、破断点強度が1〜500N/mm2 及び破断点伸びが5〜3000%の特性を満たさないものであっても良い。
【0128】
本発明のFFCは、上記接着剤が用いられたものであれば特に限定されず、例えば、断面が扁平な平角導体を、上記接着剤が塗布された柔軟性を有する電気絶縁性のプラスチックフィルム等(以下、「被覆材」と記す)で挟み込み、サンドイッチ状に被覆することにより得られる。
【0129】
上記平角導体としては、特に限定されず、例えば、銅、銅合金、アルミニウム等の金属からなるものが挙げられる。
【0130】
上記被覆材としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、1,4−シクロヘキシルジメチレンテレフタレート、ポリイミド等のプラスチックフィルムが挙げられる。
【0131】
上記接着剤の塗布方法としては、塗布機を用いる場合は、例えば、ロールコーター、コンマコーター、メイヤーバーコーター、ダイコーター、グラビアコーター等が挙げられ、塗布機を用いない場合は、例えば、ひも状、点状等に塗布する方法が挙げられる。接着剤が塗布された被覆材は、通常、接着剤を押し広げるようにして、平角導体をサンドイッチ状に被覆し貼り合わせて接着することにより、FFCが形成されることが好ましい。この際、必要に応じて、ラミネーター、プレス等を使用しても良い。又、接着剤の硬化を促進するために、必要に応じて、光照射や加熱等を行っても良い。
【0132】
こうして得られる本発明のFFCは、導線接合部に負荷がかかり、切断する恐れがあることから、更に、補強材が接合されて補強されていることが好ましい。
【0133】
補強材の材質としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、ナイロン、ポリイミド、PET、PBT、PEN等のプラスチックが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0134】
補強材の形状としては、例えば、FFCの片面もしくは両面に貼り付けるフィルム状(シート状も含む)や板状のもの、FFCの端部を包み込む筒状や箱状のもの、繊維状のもの等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0135】
補強材がフィルム状である場合、その厚みは、特に限定されるものではないが、5〜1000μmであることが好ましく、より好ましくは20〜500μmである。補強材がフィルム状である場合の厚みが5μm未満であると、補強材自体の強度が弱くなりすぎて、充分な補強効果を得られないことがあり、逆に補強材がフィルム状である場合の厚みが1000μmを超えると、FFCの端部の厚みが大きくなりすぎて、省スペース化に支障を来すことがある。
【0136】
図1はFFC端部(導線引出し部)に補強材を接合した本発明のFFCの一例を示す模式図であり、図2はFFC端部(導線引出し部)に補強材を接合した本発明のFFCの他の例を示す模式図である。
【0137】
FFCに対する補強材の接合部位は、特に限定されるものではなく、図1及び図2に示すようなFFC端部(導線引出し部)であっても良いし、FFC中央部であっても良いし、FFC全面であっても良いが、補強材による補強効果を充分に得るためには、FFC端部(導線引出し部)であることが好ましい。
【0138】
FFCに対する補強材の接合を接着剤を用いて行う場合、その接着剤は、特に限定されるものではないが、好ましくは高伸びを有する接着剤であり、更に好ましくは本発明の接着剤である。本発明の接着剤を用いると、変形や振動に対して強く、導線の破壊を防止することができる。
【0139】
上記接着剤の具体例としては、ベース樹脂として、例えば、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、ゴム系接着剤、ポリエステル系接着剤、変成シリコーン系接着剤、エポキシ系接着剤等が挙げられる。又、接着剤の形態としては、例えば、溶剤系接着剤、エマルション系接着剤、ホットメルト系接着剤、2液混合系接着剤、1液液状系接着剤等が挙げられる。更に、接着剤の反応系及び硬化系としては、例えば、非反応性接着剤、加熱硬化性接着剤、湿気硬化性接着剤、光硬化性接着剤等が挙げられ、なかでも、前記湿気硬化性接着剤や前記光硬化性接着剤を用いることが好ましく、とりわけ、前記化合物(A)及び前記化合物(B)を含有する光硬化性接着剤を用いることが特に好ましい。
【0140】
本発明のFFC接合体は、本発明のFFCに用いられる前記接着剤を用い、FFC同士、又は、FFCと回路基板、又は、FFCと補強材とが接合されたものである。具体的には、例えば、FFC同士又はFFCと回路基板とを双方の端子部が接するように重ね合わせ、接着剤が塗布された被覆材で挟み込みサンドイッチ状に被覆することにより得ることができる。
【0141】
本発明のFFC接合体に用いられるFFCは、特に限定されるものではなく、本発明のFFCであっても良いし、又、一般に市販されているFFCであっても良い。
【0142】
【作用】
本発明のFFCは、23℃におけるダンベル引張物性において、破断点強度が1〜500N/mm2 であり、且つ、破断点伸びが5〜3000%である接着剤が用いられてなるので、接着剤自体の優れた物性により、FFCの柔軟性を損なうことなくプラスチックフィルム等の被覆材を被覆することができ、優れた柔軟性を発現するFFCとなる。
【0143】
本発明のFFCに用いられる接着剤として湿気硬化性接着剤又は光硬化性接着剤を用い、且つ、上記光硬化性接着剤を前記化合物(A)及び前記化合物(B)からなるものとすることにより、上記効果は更に確実なものとなる。
【0144】
本発明のFFC接合体は、上記接着剤を用いてFFC同士、又は、FFCと回路基板、又は、FFCと補強材とが接合されてなるので、上記と同様の優れた効果を発現する。
【0145】
【発明の実施の形態】
本発明を更に詳しく説明するため以下に実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。尚、実施例中の「部」は「重量部」を意味する。
【0146】
(実施例1)
[湿気硬化性接着剤の調製]
プラネタリーミキサーを用いて、湿気硬化性ポリマーとしてアルコキシシリル変性ポリプロピレングリコール(商品名「MSポリマーS−303」、鐘淵化学工業社製)100部、増量剤として乾燥した炭酸カルシウム(商品名「ホワイトンP−30」、白石工業社製)60部及び同じく増量剤として乾燥した炭酸カルシウム(商品名「カルファインK−200」、白石工業社製)50部を混合し、次いで、可塑剤としてDOP(積水化学工業社製)30部及び有機溶剤を添加混合した後、湿気硬化触媒(商品名「U−100」、日東化成社製)2部、物性調整剤(商品名「A−1120」、日本ユニカー社製)5部及び脱水剤(商品名「TSL−8310」、東芝シリコーン社製)3部を添加混合して、湿気硬化性接着剤を調製した。
【0147】
[FFCの作製]
PETフィルム(厚み0.03mm)2枚に、上記で得られた湿気硬化性接着剤を塗布し、平角銅線(厚み0.12mm)を挟み込むようにサンドイッチ状に被覆し接着して、FFCを作製した。得られたFFCの全体厚みは0.4mmであった。
【0148】
[FFC接合体の作製]
上記で得られたFFCを長さ100mm、幅25mmにカットしたものを2枚準備し、この2枚を重ね合わせたものを、PETフィルム(厚み0.03mm)2枚に上記で得られた湿気硬化性接着剤を塗布したもので挟み込むようにサンドイッチ状に被覆し接着して、FFC接合体を作製した。得られたFFC接合体の全体厚みは1.3mmであった。
【0149】
(実施例2)
[光硬化性接着剤の調製]
プラネタリーミキサーを用いて、化合物(A)としてアルコキシシリル変性ポリプロピレングリコール「MSポリマーS−303」100部、化合物(B)として無水マレイン酸(和光純薬社製)5部及び同じく化合物(B)としてジアシルホスフィンオキサイド(商品名「イルガキュアー819」、チバスペシャリティケミカル社製)1部を80℃で加熱溶融混合し、室温まで冷却した後、増量剤として乾燥した炭酸カルシウム「カルファインK−200」30部及び同じく増量剤としてシリカ(商品名「シベライトM6000」、S.C.R.SIBELCO社製)90部を添加混合して、光硬化性接着剤を調製した。
【0150】
[FFCの作製]
上記で得られた光硬化性接着剤を塗布した後に、高圧水銀灯(波長365nm、照射強度10mW)を用いて、塗布面に60秒間光照射を行ったこと以外は実施例1の場合と同様にして、FFCを作製した。得られたFFCの全体厚みは0.4mmであった。
【0151】
[FFC接合体の作製]
上記で得られた光硬化性接着剤を塗布した後に、高圧水銀灯(波長365nm、照射強度10mW)を用いて、塗布面に60秒間光照射を行ったこと以外は実施例1の場合と同様にして、FFC接合体を作製した。得られたFFC接合体の全体厚みは1.3mmであった。
【0152】
(実施例3)
[FFC及びFFC接合体の作製]
実施例1で作製したFFCを長さ100mm、幅25mmにカットしたものの片面のPETフィルムを剥離した。次に、剥離面と反対側のFFC表面に実施例1で調製した湿気硬化性接着剤を塗布し、補強材としてPETフィルム(厚み0.2mm)を貼り合わせて、補強材が接合されたFFCを作製した。次いで、上記で得られた補強材が接合されたFFCを用いたこと以外は実施例1の場合と同様にして、FFC接合体を作製した。
【0153】
(実施例4)
[FFC及びFFC接合体の作製]
実施例2で作製したFFCを長さ100mm、幅25mmにカットしたものの片面のPETフィルムを剥離した。次に、剥離面と反対側のFFC表面に実施例2で調製した光硬化性接着剤を塗布し、高圧水銀灯(波長365nm、照射強度10mW)を用いて、塗布面に60秒間光照射を行った後に、補強材としてPETフィルム(厚み0.2mm)を貼り合わせて、補強材が接合されたFFCを作製した。次いで、上記で得られた補強材が接合されたFFCを用いたこと以外は実施例2の場合と同様にして、FFC接合体を作製した。
【0154】
(比較例1)
[FFC及びFFC接合体の作製]
接着剤として2液混合型エポキシ系接着剤(商品名「アラルダイト」、ニチバン社製)を用いたこと以外は実施例1の場合と同様にして、FFC(厚み0.4mm)及びFFC接合体(全体厚み1.3mm)を作製した。
【0155】
[接着剤物性の評価]
テンシロン引張試験機を用い、JIS K−6301に準拠して、測定温度23℃、3号形ダンベル、引張速度500mm/分の条件で、実施例1で調製した湿気硬化性接着剤、実施例2で調製した光硬化性接着剤及び比較例1で用いた2液混合型エポキシ系接着剤の硬化物(厚み1mm)のダンベル引張物性を測定し、破断点強度(N/mm2 )及び破断点伸び(%)を求めた。その結果は表1に示すとおりであった。
【0156】
[接着剤(硬化物)の割れの有無の評価]
実施例1〜実施例4及び比較例1で作製したFFC(長さ100mm、幅25mm)及びFFC接合体(長さ100mm、幅25mm)について、曲面状態で折り目が付かないように幅方向の両端が接するまで曲げ、次いで、反対方向に同様の操作を行い、これを1サイクルとして合計10サイクル繰り返した後、接着剤(硬化物)の割れの有無を目視で観察した。その結果は表1に示すとおりであった。
【0157】
[導線の破壊の有無の評価]
実施例1〜実施例4及び比較例1で作製したFFC接合体(長さ100mm、幅25mm)について、曲面状態で折り目が付かないように幅方向の両端が接するまで曲げ、次いで、反対方向に同様の操作を行い、これを1サイクルとして合計10サイクル繰り返した後、導線の破壊の有無を目視で観察した。その結果は表1に示すとおりであった。
【0158】
【表1】
【0159】
表1から明らかなように、本発明による実施例1〜実施例4のFFC及びそれを用いて作製したFFC接合体は、いずれも接着剤の割れを発生することがなく、優れた柔軟性を発現した。又、上記実施例1〜実施例4のFFCを用いて作製したFFC接合体は、いずれも導線の破壊が発生しなかった。
【0160】
これに対し、23℃におけるダンベル引張物性において、破断点強度が500N/mm2 を超えており、且つ、破断点伸びが5%未満であった2液混合型エポキシ系接着剤を用いて作製した比較例1のFFC及びそれを用いて作製したFFC接合体は、共に接着剤の割れが発生しており、柔軟性が悪かった。又、上記比較例1のFFCを用いて作製したFFC接合体は、導線の破壊が発生した。
【0161】
【発明の効果】
本発明のFFCは、23℃におけるダンベル引張物性において、破断点強度が1〜500N/mm2 であり、且つ、破断点伸びが5〜3000%である接着剤が用いられてなるので、接着剤自体の優れた物性により、FFCの柔軟性を損なうことなくプラスチックフィルム等の被覆材を被覆することができ、優れた柔軟性を発現する。
【0162】
又、上記接着剤として湿気硬化性接着剤又は光硬化性接着剤を用い、且つ、上記光硬化性接着剤を前記化合物(A)及び前記化合物(B)からなるものとすることにより、上記効果は更に確実なものとなる。
【0163】
本発明のFFC接合体は、上記接着剤を用いてFFC同士、又は、FFCと回路基板、又は、FFCと補強材とが接合されてなるので、上記と同様の優れた効果を発現する。
【0164】
以上述べたように、本発明のFFC及びFFC接合体は、優れた柔軟性を有するので、外力や振動等により接着剤が割れたり、FFC接合体の接合部が外れたり、導線が破壊したりすることがない。又、電磁波設備などの特別な設備を必要とすることもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】FFC端部(導線引出し部)に補強材を接合した本発明のFFCの一例を示す模式図である。
【図2】FFC端部(導線引出し部)に補強材を接合した本発明のFFCの他の例を示す模式図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子・電気機器内などにおいて基板間の電気的接続などに好適に用いられるフレキシブルフラットケーブルとそれに用いられる接着剤及びその接合体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、断面が扁平な平角導体を、柔軟性を有する電気絶縁性のプラスチックフィルム(プラスチックシートも含む)等で接着剤を用いてサンドイッチ状に被覆し積層したフレキシブルフラットケーブル(以下、「FFC」と記す)は、薄物、軽量、柔軟性等の点で、電子・電気機器内などの配線基盤の接続ケーブルなどに広く用いられている。このFFCに用いられる接着剤には上記特性の柔軟性を損なわないものが望まれ、又、FFC同士の接着及びFFCと回路基板との接着においてもFFCの柔軟性を損なわない接着剤が望まれている。
【0003】
従来、上記FFC同士の接着やFFCと回路基板との接着は端子部を半田で接合したものが多用されていたが、この場合、FFCへの外力や振動等により接合部が外れるという問題点があった。
【0004】
又、例えば、FFC同士やFFCと回路基板との電磁波を用いた接着方法も提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、上記接着方法の場合、使用部材が電磁波を通しやすい部材に限られるという問題点や、非常に強力な電磁波設備を要するという問題点があった。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−148037号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来の問題点に鑑み、優れた柔軟性を有するFFCとそれに用いられる接着剤及びその接合体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明(本発明1)によるFFCは、23℃におけるダンベル引張物性において、破断点強度が1〜500N/mm2 であり、且つ、破断点伸びが5〜3000%である接着剤が用いられてなることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明によるFFCは、上記請求項1に記載のFFCであって、接着剤が湿気硬化性接着剤であることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明によるFFCは、上記請求項1に記載のFFCであって、接着剤が光硬化性接着剤であることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明(本発明2)によるFFCは、下記一般式(1)で表される官能基を有する化合物(A)及び下記一般式(2)で表される分子骨格を有する化合物(B)からなる光硬化性接着剤が用いられてなることを特徴とする。
【化3】
(式中、Xは加水分解性を有する官能基を示す)
【化4】
(式中、nは2、3、4又は5の整数を示し、Yは周期表のIVB族、VB族又はVIB族の原子を示し、Zは水素基、炭化水素基、水酸基、メルカプト基、アミノ基、ハロゲン基、アルコキシル基、アルキルチオ基、カルボニルオキシ基又はオキソ基を示す)
【0011】
請求項5に記載の発明によるFFCは、上記請求項1又は請求項3に記載のFFCであって、上記一般式(1)で表される官能基を有する化合物(A)及び上記一般式(2)で表される分子骨格を有する化合物(B)からなる光硬化性接着剤が用いられたことを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載のFFCは、上記請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のFFCであって、更に、補強材が接合されてなることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の接着剤は、上記請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のFFCに用いられることを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載のFFC接合体は、上記請求項7に記載の接着剤を用い、FFC同士、又は、FFCと回路基板、又は、FFCと補強材とが接合されてなることを特徴とする。
【0015】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明1のFFCにおける接着剤は、23℃におけるダンベル引張物性において、破断点強度が1〜500N/mm2 であり、且つ、破断点伸びが5〜3000%である。ここで、ダンベル引張物性とは、JIS K−6301「加硫ゴム物理試験方法」(3号形ダンベル、引張速度500mm/分)にて測定されたものである。
【0016】
上記破断点強度が1N/mm2 未満であると、接着剤被膜が柔らかくなりすぎて、FFC及びその接合体の接合が不充分となりやすく、逆に破断点強度が500N/mm2 を超えると、FFC及びその接合体の柔軟性が失われやすい。上記破断点強度は、好ましくは1〜300N/mm2 であり、より好ましくは1〜100N/mm2 である。
【0017】
又、上記破断点伸びが5%未満であると、変形追従性が無くなり、柔軟性が失われやすく、逆に破断点伸びが3000%を超えると、接着剤被膜が柔らかすぎて、FFC及びその接合体の接合部強度が不充分となりやすい。上記破断点伸びは、好ましくは10〜2000%であり、より好ましくは50〜1000%である。
【0018】
上記接着剤の具体例としては、ベース樹脂として、例えば、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、ゴム系接着剤、ポリエステル系接着剤、変成シリコーン系接着剤、エポキシ系接着剤等が挙げられる。又、接着剤の形態としては、例えば、溶剤系接着剤、エマルション系接着剤、ホットメルト系接着剤、2液混合系接着剤、1液液状系接着剤等が挙げられる。
【0019】
接着剤の反応系及び硬化系としては、上記ダンベル物性を発現するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、非反応性接着剤、加熱硬化性接着剤、湿気硬化性接着剤、光硬化性接着剤等が挙げられ、中でも、湿気硬化性接着剤や光硬化性接着剤が好ましい。
【0020】
本発明1において好ましく用いられる湿気硬化性接着剤としては、例えば、末端にイソシアネート基、アルコキシシリル基等を有し湿気により反応し硬化するポリマーからなる接着剤が挙げられ、中でも、末端にアルコキシシリル基を有するものが好ましい。
【0021】
上記アルコキシシリル基としては、例えば、メトキシシリル基、エトキシシリル基等が挙げられる。
【0022】
上記末端にアルコキシシリル基を有するポリマーの主鎖としては、例えば、ポリオキシアルキレン、ポリオレフィン等が挙げられる。
【0023】
上記ポリオキシアルキレンとしては、例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン等が挙げられ、現在はポリオキシプロピレンのものが一般に市販されている。又、上記ポリオレフィンとしては、例えば、ポリイソブチレン等が挙げられる。
【0024】
上記ポリマーの数平均分子量は4000〜30000のものが好ましく、更に数平均分子量が10000〜30000で分子量分布(Mw/Mn)が1.6以下のものが扱いやすくより好ましい。
【0025】
上記ポリマーの市販品としては、例えば、鐘淵化学工業社製の商品名「MSポリマーS−203」、「MSポリマーS−303」、「MSポリマーS−903」などの「MSポリマー」シリーズ、商品名「サイリルSAT−200」、「サイリルMA−403」、「サイリルMA−447」などの「サイリル」シリーズ、商品名「エピオンEP103S」、「エピオンEP303S」、「エピオンEP505S」などの「エピオン」シリーズ、旭硝子社製の商品名「エクセスターESS−2410」、「エクセスターESS−2420」、「エクセスターESS−3630」などの「エクセスター」シリーズ等が挙げられる。
【0026】
本発明1において好ましく用いられる光硬化性接着剤とは、可視光線、紫外線、電子線等の光を照射することにより硬化が始まる接着剤である。
【0027】
上記光硬化性接着剤としては、例えば、アクリル系光硬化性接着剤、不飽和ポリエステル系光硬化性接着剤、エン−チオール系光硬化性接着剤、光カチオン硬化性接着剤、前記一般式(1)で示される官能基を有する化合物(A)及び前記一般式(2)で示される分子骨格を有する化合物(B)からなる光硬化性接着剤等や、これらを他の硬化性接着剤と組み合わせた接着剤等が挙げられる。
【0028】
上記光硬化性接着剤の中でも、柔軟性により優れる硬化物ひいてはFFCを得られることから、前記一般式(1)で示される官能基を有する化合物(A)及び前記一般式(2)で示される分子骨格を有する化合物(B)からなる光硬化性接着剤がより好ましく用いられる。
【0029】
上記化合物(A)は、前記一般式(1)で表される官能基を有する化合物であって、Xで示される加水分解性を有する官能基(以下、加水分解性官能基と記す)が珪素原子に少なくとも2個以上結合した官能基構造を有する。尚、化合物(A)は1種類で用いても良いし、複数種類を併用しても良い。又、加水分解性官能基(X)が珪素原子に少なくとも2個以上結合した官能基構造とは、同じ珪素原子を介して加水分解性官能基(X)が複数個結合していても良いし、1分子中に珪素原子が2個以上ある場合には、各珪素原子に少なくとも1個以上の加水分解性官能基(X)が結合していても良い。
【0030】
上記加水分解性官能基(X)は、珪素原子と加水分解性官能基(X)との結合が加水分解反応により切断されうる官能基である。上記加水分解性官能基(X)としては、特に限定されるものではないが、公知の官能基を用いることができ、例えば、アルコキシル基、オキシム基、アルケニルオキシ基、アセトキシ基;塩素、臭素等のハロゲン基等が挙げられる。なかでも、貯蔵安定性と汎用性の観点から、アルコキシル基が好適である。
【0031】
上記アルコキシル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。ジアルコキシシリル基又はトリアルコキシシリル基の場合には、同じアルコキシル基を用いても良いし、異なるアルコキシル基を組み合わせて用いても良い。又、種類の異なる加水分解性官能基(X)を組み合わせて用いても良いし、異なる化合物(A)を複数個組み合わせて用いても良い。更に、化合物(A)の加水分解性官能基(X)は全て同じ種類であっても良いし、全て種類が異なっていても良い。
【0032】
上記一般式(1)で表される化合物(A)としては、特に限定されるものではないが、例えば、下記一般式(1−1)で表される珪素原子に加水分解性官能基(X)が2〜4個結合した分子骨格を有する化合物(A1)、又は、下記一般式(1−2)で表される官能基を1分子中に少なくとも1個以上有する化合物(A2)が好適である。但し、下記一般式(1−2)においてmが1である場合には、化合物(A2)は一般式(1−2)で表される官能基を1分子中に少なくとも2個以上有する。
【化5】
(式中、mは2、3又は4の整数を示し、Rは炭化水素基を示し、Xは加水分解性官能基を示す)
【化6】
(式中、mは1、2又は3の整数を示し、Rは炭化水素基を示し、Xは加水分解性官能基を示す)
【0033】
上記一般式(1−1)又は上記一般式(1−2)において、Rで示される炭化水素基としては、特に限定されるものではないが、例えば、脂肪族炭化水素基、不飽和脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。これらの炭化水素基(R)は、アミノ基、水酸基、エーテル基、エポキシ基、重合性不飽和基、ウレタン結合、ウレア基、イミド基、エステル結合等の架橋反応を阻害しない官能基又は結合を有していても良い。
【0034】
上記化合物(A1)としては、例えば、ジメトキシジメチルシラン、シクロヘキシルジメトキシメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジメトキシメチルオクチルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、クロロメチル(ジイソプロポキシ)メチルシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、トリメトキシプロピルシラン、イソブチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、(3−クロロプロピル)トリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、トリス(2−メトキシエトキシ)ビニルシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ジエトキシ(3−グリシドキシプロピル)メチルシラン、トリメトキシ[2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]−ヘプト−3−イル)エチル]シラン、クロロトリメトキシシラン、クロロトリエトキシシラン、クロロトリス(1,3−ジメチルブトキシ)−シラン、ジクロロジエトキシシラン、3−(トリエトキシシリル)−プロピオニトリル、4−(トリエトキシシリル)−ブチロニトリル、3−(トリエトキシシリル)−プロピルイソシアネート、3−(トリエトキシシリル)−プロピルチオイソシアネート、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、1,3,5,7−テトラエトキシ−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラプロキシシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトライソプロポキシ−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラブトキシ−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタエトキシ−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘキサフェニルシクロトリシロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラフェニルシクロテトラシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルシクロトリシラザン、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルシクロテトラシラザン、1,7−ジアセトキシオクタメチルテトラシロキサン、1,7−ジクロロオクタメチルテトラシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−1,5−ジクロロトリシロキサン、1,3−ジクロロテトライソプロピルジシロキサン、1,3−ジエトキシテトラメチルジシロキサン、1,3−ジメトキシテトラメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジクロロジシロキサン、1,2−ビス(メチルジクロロシリル)エタン、ジアセトキシジフェニルシラン、メチルトリス(エチルメチルケトオキシム)シラン、メチルトリス(N,N−ジエチルアミノキシ)シラン、ビス(エチルメチルケトオキシム)メチルイソプロポキシシラン、ビス(エチルメチルケトオキシム)エトキシメチルシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシルエチル)トリメチルシラン、トリス(1−メチルビニロキシ)ビニルシラン、メチルトリイソプロペノキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、ジアセトキシジメチルシラン、トリアセトキシビニルシラン、テトラアセトキシシラン、ジアセトキシメチルフェニルシラン、ジメトキシエチルメチルケトオキシムメチルシラン等が挙げられる。
【0035】
上記化合物(A2)としては、例えば、プロピレングリコール、エチレングリコール、ブチレングリコール等のアルキレングリコールをモノマーユニットとするポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリスチレン、ポリオレフィン等のポリマーやこれらのポリマーの共重合体であって、一般式(1−2)で表される官能基を有する重合体等が挙げられる。尚、これらのポリマーはオリゴマーであっても良い。
【0036】
上記化合物(A2)に含有される一般式(1−2)で表される官能基としては、例えば、ジメトキシメチルシリル基、シクロヘキシルジメトキシシリル基、ジエトキシメチルシリル基、ジメトキシオクチルシリル基、ジエトキシビニルシリル基、クロロメチル(ジイソプロポキシ)シリル基、ジメトキシフェニルシリル基、ジエトキシフェニルシリル基、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、ジメトキシプロピルシリル基、イソブチルジメトキシシリル基、オクチルジメトキシシリル基、オクタデシルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基、エチルジエトキシシリル基、イソブチルジエトキシシリル基、オクチルジエトキシシリル基、ビニルジメトキシシリル基、ビニルジエトキシシリル基、アリルジエトキシシリル基、(3−クロロプロピル)ジメトキシシリル基、クロロメチルジエトキシシリル基、ビス(2−メトキシエトキシ)ビニルシリル基、3−グリシドキシプロピルジメトキシシリル基、ジエトキシ(3−グリシドキシプロピル)シリル基、ジメトキシ[2−(7−オキサビシクロ[4,1,0]−ヘプト−3−イル)エチル]シリル基、クロロジメトキシシリル基、クロロジエトキシシリル基、クロロビス(1,3−ジメチルブトキシ)−シリル基、クロロジエトキシシリル基、3−(トリエトキシシリル)−プロピオニトリル基、4−(トリエトキシシリル)−ブチロニトリル基、3−(トリエトキシシリル)−プロピルイソシアネート基、3−(トリエトキシシリル)−プロピルチオイソシアネート基、フェニルジメトキシシリル基、フェニルジエトキシシリル基、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリプロポキシシリル基、トリブトキシシリル基、1,2−ビス(メチルジクロロシリル)、ジアセトキシジフェニルシリル基、メチルトリス(エチルメチルケトオキシム)シリル基、メチルトリス(N,N−ジエチルアミノキシ)シリル基、ビス(エチルメチルケトオキシム)メチルイソプロポキシシリル基、ビス(エチルメチルケトオキシム)エトキシメチルシリル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシルエチル)トリメチルシリル基、トリス(1−メチルビニロキシ)ビニルシリル基、メチルトリイソプロペノキシシリル基、エチルトリアセトキシシリル基、メチルトリアセトキシシリル基、ジアセトキシジメチルシリル基、トリアセトキシビニルシリル基、テトラアセトキシシリル基、ジアセトキシメチルフェニルシリル基、ジメトキシエチルメチルケトオキシムメチルシリル基等が挙げられる。
【0037】
上記化合物(A2)において、前記一般式(1−2)で表される官能基は、ポリマー末端に位置していても良いし、ポリマーの側鎖に位置していても良い。又、ポリマー末端と側鎖の両方に位置していても良い。
【0038】
上記化合物(A2)は、更に、重合性不飽和基を有することが好ましい。上記重合性不飽和基としては、スチリル基、アクリル基、メタクリル基等のアニオン重合性基;スチリル基、ビニロキシ基等のカチオン重合性基;ラジカル重合性不飽和基等が挙げられる。なかでも、ラジカル重合性不飽和基がより好ましい。
【0039】
上記ラジカル重合性不飽和基とは、ラジカルの攻撃を受けて生成したラジカルが、連鎖反応的に別の不飽和基を攻撃しラジカル又はラジカルが生成するような化学反応性を有する炭素−炭素二重結合以上の官能基を言う。かかるラジカル重合性不飽和基としては、アクリロイル基又はメタクリロイル基であることが更に好ましい。
【0040】
上記化合物(A2)は、前記一般式(1−2)で表される官能基及び/又はラジカル重合性不飽和基を、複数個及び/又は複数種組み合わせた化合物であっても良い。又、複数の化合物(A2)を組み合わせて用いても良い。
【0041】
前記一般式(1−2)で表される官能基と上記ラジカル重合性不飽和基とを併せ持つ化合物(A2)としては、例えば、N−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルメチルビス(トリメチルシロキシ)シラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3−アリルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルジメチルエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロペニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビンルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルジメチルイソペンテニルオキシシラン、ビニルジメチル−2−[(2−エトキシエトキシ)エトキシ]シラン、ビニルトリス(1−メチルビニルオキシ)シラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、フェニルビニルジエトキシシラン、ジフェニルビニルエトキシシラン、6−トリエトキシシリル−2−ノルボルネン、オクタ−7−エニルトリメトキシシラン、スチリルエチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0042】
上記化合物(A)のうち市販されているものとしては、例えば、鐘淵化学工業社製の商品名MSポリマーとしてMSポリマーS−203、S−303、エピオン等、商品名サイリルポリマーとしてサイリルSAT−200、MA−903、MA−447等、旭硝子社製の商品名エクセスターESS−2410、ESS−2420、ESS−3630、チッソ社製のアセトキシ末端ポリジメチルシロキサン(PS363.5)、ジメチルアミノ末端ポリジメチルシロキサン(PS383)、エトキシ末端ポリジメチルシロキサン(PS393)、ステアリロキシ末端ポリジメチルシロキサン(PS053.5)、トリエトキシシリル変性ポリ(1,2−ブタジエン)(PS078.5)、(N−トリメトキシシリルプロピル)ポリアザミド(PS075)、(N−トリメトキシシリルプロピル)ポリエチレンイミン(PS076)、(N−トリメトキシシリルプロピル)−O−ポリエチレンオキサイドウレタン(PS077)等が挙げられる。
【0043】
上記化合物(B)は、前記一般式(2)で表される分子骨格を有する化合物であって、異なる一般式(2)で表される分子骨格を1分子中に複数組み合わせた化合物であっても良い。又、本発明で好ましく用いられる光硬化性接着剤においては、異なる上記一般式(2)で表される分子骨格を有する化合物を複数組み合わせて用いても良い。
【0044】
前記一般式(2)で表される分子骨格を有する化合物は、周期表のIVB族、VB族又はVIB族の原子、即ち、酸素、硫黄、窒素、リン及び炭素より選ばれる原子Yに対し、カルボニル基が2個結合した分子骨格を有する化合物であって、原子Yの置換基として原子Yの価数に応じ、適宜、水素基、炭化水素基、水酸基、メルカプト基、アミノ基、ハロゲン基、アルコキシル基、アルキルチオ基、カルボニルオキシ基又はオキソ基であるZを有する。
【0045】
上記Zとしての炭化水素基としては、例えば、脂肪族炭化水素基、不飽和脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。尚、これらの炭化水素基は、アミノ基、水酸基、エーテル基、エポキシ基、重合性不飽和基、ウレタン結合、ウレア基、イミド基、エステル結合等の架橋反応を阻害しない官能基もしくは結合を有していても良い。
【0046】
前記一般式(2)で表される分子骨格としては、例えば、下記一般式(2A)、下記一般式(2B)、下記一般式(2C)、下記一般式(2D)、下記一般式(2E)で表される官能基が挙げられる。
【0047】
【化7】
【0048】
又、上記化合物(B)としては、例えば、下記一般式(2−1)で表される環状化合物や、下記一般式(2−1)のような同じ環状鎖の中に複数個の同種又は異種の上記一般式(2)表される分子骨格を有する化合物等が挙げられる。更に、複数個の同種又は異種のこれら環状化合物を、適宜な有機基で結合した化合物や、複数個の同種又は異種のこれら環状化合物をユニットとして少なくとも1個以上含む双環化合物等が挙げられる。
【0049】
【化8】
【0050】
上記一般式(2−1)中、nは2、3、4又は5の整数を示し、Yは周期表のIVB族、VB族又はVIB族の原子を示し、Zは水素基、炭化水素基、水酸基、メルカプト基、アミノ基、ハロゲン基、アルコキシル基、アルキルチオ基、カルボニルオキシ基又はオキソ基を示し、Aは有機基を示す。
【0051】
上記化合物(B)としては、Yが酸素の場合にあっては、例えば、酢酸無水物、プロピオン酸無水物、ブチル酸無水物、イソブチル酸無水物、バレリック酸無水物、2−メチルブチル酸無水物、トリメチル酢酸無水物、ヘキサン酸無水物、ヘプタン酸無水物、デカン酸無水物、ラウリル酸無水物、ミリスチリル酸無水物、パルミチン酸無水物、ステアリル酸無水物、ドコサン酸無水物、クロトン酸無水物、アクリル酸無水物、メタクリル酸無水物、オレイン酸無水物、リノレイン酸無水物、クロロ酢酸無水物、ヨード酢酸無水物、ジクロロ酢酸無水物、トリフルオロ酢酸無水物、クロロジフルオロ酢酸無水物、トリクロロ酢酸無水物、ペンタフルオロプロピオン酸無水物、ヘプタフルオロブチル酸無水物、コハク酸無水物、メチルコハク酸無水物、2,2−ジメチルコハク酸無水物、イソブチルコハク酸無水物、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、ヘキサヒドロ−4−メチルフタル酸無水物、イタコン酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、マレイン酸無水物、2−メチルマレイン酸無水物、2,3−ジメチルマレイン酸無水物、1−シクロペンテン−1,2−ジカルボン酸無水物、グルタル酸無水物、1−ナフチル酢酸無水物、安息香酸無水物、フェニルコハク酸無水物、フェニルマレイン酸無水物、2,3−ジフェニルマレイン酸無水物、フタル酸無水物、4−メチルフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジ無水物、4,4’−(ヘキサフルオロプロピリデン)ジフタル酸無水物、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸無水物、1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸無水物等;マレイン酸無水物とラジカル重合性不飽和基を有する化合物との共重合体;マレイン酸無水物と(メタ)アクリレートとの共重合体;マレイン酸無水物とスチレンとの共重合体;マレイン酸無水物とビニルエーテルとの共重合体等が挙げられる。
【0052】
かかる化合物(B)のうち市販されているものとしては、例えば、旭電化工業社製の商品名アデカハードナーEH−700、アデカハードナーEH−703、アデカハードナーEH−705A;新日本理化社製の商品名リカシッドTH、リカシッドHT−1、リカシッドHH、リカシッドMH−700、リカシッドMH−700H、リカシッドMH、リカシッドSH、商品名リカレジンTMEG;日立化成社製の商品名HN−5000、HN−2000;油化シェルエポキシ社製の商品名エピキュア134A、エピキュアYH306、エピキュアYH307、エピキュアYH308H;住友化学工業社製の商品名スミキュアーMS等が挙げられる。
【0053】
上記化合物(B)としては、Yが硫黄の場合にあっては、例えば、チオ酢酸無水物、チオプロピオン酸無水物、チオブチル酸無水物、チオイソブチル酸無水物、チオバレリック酸無水物、チオトリメチル酢酸無水物、チオヘキサン酸無水物、チオヘプタン酸無水物、チオデカン酸無水物、チオラウリル酸無水物、チオミリスチル酸無水物、チオパルミチン酸無水物、チオステアリル酸無水物、チオドコサン酸無水物、チオクロトン酸無水物、チオアクリル酸無水物、チオメタクリル酸無水物、チオオレイン酸無水物、チオリノレイン酸無水物、チオクロロ酢酸無水物、チオヨード酢酸無水物、チオジクロロ酢酸無水物、チオトリフルオロ酢酸無水物、チオクロロジフルオロ酢酸無水物、チオトリクロロ酢酸無水物、チオペンタフルオロプロピオン酸無水物、チオペンタフルオロブチル酸無水物、チオコハク酸無水物、チオメチルコハク酸無水物、チオイソブチルコハク酸無水物、チオイタコン酸無水物、チオマレイン酸無水物、チオグルタル酸無水物、チオフェニルコハク酸無水物、チオフェニルマレイン酸無水物、チオフタル酸無水物、チオ安息香酸無水物、チオジグリコール酸無水物、チオ乳酸無水物等が挙げられる。
【0054】
上記化合物(B)としては、Yが窒素の場合にあっては、例えば、コハク酸イミド、N−メチルコハク酸イミド、α,α−ジメチル−β−メチルコハク酸イミド、αメチル−α−プロピルコハク酸イミド、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−tert−ブチルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−(1−ピレニル)マレイミド、3−メチル−N−フェニルマレイミド、N,N’−1,2−フェニレンジマレイミド、N,N’−1,3−フェニレンジマレイミド、N,N’−1,4−フェニレンジマレイミド、N,N’−(4−メチル−1,3−フェニレン)ビスマレイミド、1,1’−(メチレンジ−1,4−フェニレン)ビスマレイミド、フタルイミド、N−メチルフタルイミド、N−エチルフタルイミド、N−プロピルフタルイミド、N−フェニルフタルイミド、N−ベンジルフタルイミド、ピロメリット酸ジイミド;N−アルキルマレイミドとラジカル重合性不飽和基を有する化合物との共重合体;N−アルキルマレイミドと(メタ)アクリレートとの共重合体;N−アルキルマレイミドとスチレンとの共重合体;N−アルキルマレイミドとビニルエーテルとの共重合体等が挙げられる。尚、本発明で言う(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
【0055】
上記化合物(B)としては、Yがリンの場合にあっては、例えば、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイドが挙げられる。
【0056】
上記化合物(B)としては、Yが炭素の場合にあっては、例えば、2,4−ペンタンジオン、3−メチル−2,4−ペンタンジオン、3−エチル−2,4−ペンタンジオン、3−クロロ−2,4−ペンタンジオン、1,1,1−トリフルオロ−2,4−ペンタンジオン、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ペンタンジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、1−ベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタン等のジケトン類;ジメチルマロネート、ジエチルマロネート、ジメチルメチルマロネート、テトラエチル−1,1,2,2−エタンテトラカルボン酸等のポリカルボン酸エステル類;メチルアセチルアセトネート、エチルアセチルアセトネート、メチルプロピオニルアセテート等のα−カルボニル−酢酸エステル類等が挙げられる。
【0057】
上記化合物(B)のなかでも、カルボン酸無水物、カルボン酸イミド又はアシルホスフィンオキサイドが、化合物(A)の光による重合又は架橋反応速度が速く、化合物(A)に対する溶解性に優れていることから好適に用いられる。
【0058】
上記化合物(B)の化合物(A)100重量部に対する配合量の好ましい下限は0.01重量部、上限は30重量部である。0.01重量部未満であると、化合物(A)に対する反応性を示すことが困難となることがあり、30重要部を超えると、得られる光硬化性接着剤の光透過性が著しく低下するため、光照射面のみが重合又は架橋し、深部反応性が著しく低下することがある。より好ましい下限は0.1重量部、上限は20重量部である。
【0059】
本発明で好ましく用いられる光硬化性接着剤は、光硬化性を向上させるために、即ち、光の照射時間を短くし光の照射エネルギーを低くするために、又は、光硬化性接着剤の深部まで更に速やかに重合・架橋させるために、光ラジカル発生剤(C)を含有することが好ましい。
【0060】
上記光ラジカル発生剤(C)とは、紫外線や可視光線等の光によりラジカルに分解する化合物;水素引き抜きによりラジカルを発生させる化合物;電子移動等のエネルギー移動によりラジカルを発生させる化合物等が挙げられる。好適には、アクリル酸エステルやメタクリル酸エステル等に対して重合開始能を有する化合物が挙げられる。光ラジカル発生剤(C)としては、複数種のものを組み合わせて用いても良い。
【0061】
上記光ラジカル発生剤(C)としては、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、α−ヒドロキシ−α,α’−ジメチルアセトフェノン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン等のアセトフェノン誘導体化合物;ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル等のベンゾインエーテル系化合物;ベンジルジメチルケタール等のケタール誘導体化合物;ハロゲン化ケトン;アシルホスフィンオキシド;アシルホスフォナート;2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−N,N−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド;ビス(η5−シクロペンタジエニル)−ビス(ペンタフルオロフェニル)−チタニウム、ビス(η5−シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピリ−1−イル)フェニル]−チタニウム;アントラセン、ペリレン、コロネン、テトラセン、ベンズアントラセン、フェノチアジン、フラビン、アクリジン、ケトクマリン、チオキサントン誘導体、ベンゾフェノン、アセトフェノン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン等が挙げられる。
【0062】
尚、市販されている光ラジカル重合開始剤を光ラジカル発生剤(C)として用いても良い。又、ジアシルホスフィン化合物は光照射によりラジカルに分解する光ラジカル発生剤であると共に、分解後のラジカルを含めて前記一般式(2)で表される分子骨格を有しているので、化合物(B)と光ラジカル発生剤(C)との両方を満たす化合物であり好ましい。
【0063】
上記光ラジカル発生剤(C)の化合物(A)と化合物(B)との合計100重量部に対する配合量の好ましい下限は0.001重量部、上限は10重量部である。0.001重量部未満であると、光ラジカル発生剤(C)による光硬化性を向上させることが困難となることがあり、10重量部を超えると、光硬化性接着剤の光透過性が著しく低下するため、光が照射された表面のみが重合又は架橋し、深部が充分に重合又は架橋されないことがある。尚、光ラジカル発生剤(C)がジアシルホスフィン化合物の場合は、化合物(A)100重量部に対しての好ましい下限は0.001重量部、上限は10重量部である。より好ましい下限は0.01重量部、上限は5重量部である。
【0064】
本発明で好ましく用いられる光硬化性接着剤は、光硬化性又は光後硬化性を向上させるために、水素ラジカル供与剤(D)を含有することが好ましい。
【0065】
上記水素ラジカル供与剤(D)としては水素ラジカルを引き抜かれやすい化合物であれば良く、例えば、メルカプタンやアルキルベンゼンのようにフリーラジカル重合において連鎖移動性を示す化合物等を挙げることができる。上記水素ラジカル供与剤(D)としては、複数種を組み合わせて用いても良い。
【0066】
上記水素ラジカル供与剤(D)としては、例えば、n−ブチルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、シクロヘキシルメルカプタン、1,6−ヘキサンジチオール等のチオール類;ジ−n−ブチルジスルフィド、ジ−n−ブチルスルフィド、テトラヒドロチオフェン、ペンタメチレンスルフィド、1,4−ジチアン、ジフェニルスルフィド等のスルフィド類;トルエン、キシレン、メシチレン、イソプロピルベンゼン、エチルベンゼン、ベンジルメチルエーテル等のアリール位に水素を有する化合物;トリエチルアミン、ブチルアミン、アニリン、メチルアニリン、ジ(p−アミノフェニル)メタン等のアミン類;n−ブチルアイオダイド、n−ブチルブロマイド、n−ブチルクロライド、2−クロロブタン、クロロホルム等のハロゲン化アルキル類;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、アニソール、ジフェニルエーテル等のエーテル類;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等のアルコール類;酢酸、プロピオン酸、酪酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸、安息香酸、フタル酸等のカルボン酸類;アセトン、メチルエチルケトン、アセチルベンゼン、ジアセチルベンゼン等のケトン類;ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、t−ブチルベンゼン等の炭化水素類等が挙げられる。
【0067】
上記水素ラジカル供与剤(D)の化合物(A)と化合物(B)との合計100重量部に対する配合量の好ましい下限は0.1重量部、上限は20重量部である。0.1重量部未満であると、速やかな後硬化性が得られないことがあり、20重量部を超えると、硬化体としたときの充分な凝集力が得られないことがある。
【0068】
本発明で好ましく用いられる光硬化性接着剤は、更に、化合物(A)の加水分解・縮合反応を促進する有機金属化合物(E)を含有することが好ましい。本発明で好ましく用いられる光硬化性接着剤においては、例えば、光硬化性接着剤を気密性の容器に封入して保存したり、開封後短時間のあいだに使い切ったりする場合や、光硬化性接着剤の貯蔵や供給時に湿気を遮断する工夫が施された塗布装置を利用する場合、偶発的又は必然的に光非照射部が発生する状況において用いる場合等がある。このような場合に有機金属化合物(E)を配合すれば、光照射後の化合物(A)の重合又は架橋反応を促進させることができる。又、光非照射部ももれなく硬化させることができる。
【0069】
上記有機金属化合物(E)としては、例えば、ゲルマニウム、錫、鉛、硼素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、チタニウム、ジルコニウム等の金属元素と有機基を置換してなる有機金属化合物等が挙げられ、更に具体的には、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫フタレート、ビス(ジブチル錫ラウリン酸)オキサイド、ジブチル錫ビスアセチルアセトナート、ジブチル錫ビス(モノエステルマレート)、オクチル酸錫、ジブチル錫オクトエート、ジオクチル錫オキサイド等の錫化合物、テトラ−n−ブトキシチタネート、テトライソプロポキシチタネート等のチタネート系化合物等が挙げられる。これらの有機金属化合物(E)は、単独で用いても良いし、2種以上を併用して使用しても良い。
【0070】
上記有機金属化合物(E)の化合物(A)100重量部に対する好ましい配合量の下限は0.01重量部、上限は10重量部である。0.01重量部未満であると、光照射後の化合物(A)の反応促進を期待できなくなり、10重量部を超えると、光照射後の反応促進はするものの、反応物への影響が著しく現れるようになる。より好ましい下限は0.1重量部、上限は8重量部である。
【0071】
本発明で好ましく用いられる光硬化性接着剤は、更に、重合性基を有する化合物(F)を含有することが好ましい。化合物(A)と化合物(B)との特定の組み合わせにおいては、光照射直後暫くしてから重合体や架橋体が生成する場合があり、光照射直後には所望の凝集力が不足し、光照射直後からの利用に制限が加わるといった問題がある。上記重合性基を有する化合物(F)を加えることにより、光照射直後の凝集力をより高めることができる。
【0072】
上記重合性基を有する化合物(F)における重合性基としては、ラジカル重合性不飽和基又はカチオン重合性基が好ましい。
【0073】
上記ラジカル重合性不飽和基としては、例えば、スチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニルエステル基、ビニロキシ基、アリル基、イソプロペニル基、ビニロキシカルボニル基、ビニルカルボニル基、N−ビニルアミノ基等が挙げられ、なかでも、アクリロイル基又はメタクリロイル基が好適に用いられる。又、複数のラジカル重合性不飽和基を複数個を組み合わせても良い。
【0074】
上記スチリル基を有する化合物として、例えば、スチレン、インデン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−クロロメチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−tert−ブトキシスチレン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
【0075】
上記アクリロイル基又はメタクリロイル基を有する化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−3−メチルブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、2−[(メタ)アクリロイルオキシ]エチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、2−[(メタ)アクリロイルオキシ]エチル−2−ヒドロキシプロピルフタル酸;下記一般式(3)、下記一般式(4)、下記一般式(5)、下記一般式(6)、下記一般式(7)、下記一般式(8)、下記一般式(9)、下記一般式(10)、下記一般式(11)、下記一般式(12)、下記一般式(13)、下記一般式(14)、下記一般式(15)、下記一般式(16)、下記一般式(17)、下記一般式(18)、下記一般式(19)、下記一般式(20)、下記一般式(21)、下記一般式(22)で表される化合物等が挙げられる。
【0076】
【化9】
【0077】
【化10】
【0078】
【化11】
【0079】
【化12】
【0080】
【化13】
【0081】
【化14】
【0082】
【化15】
【0083】
【化16】
【0084】
【化17】
【0085】
【化18】
【0086】
【化19】
【0087】
【化20】
【0088】
【化21】
【0089】
【化22】
【0090】
【化23】
【0091】
【化24】
【0092】
【化25】
【0093】
【化26】
【0094】
【化27】
【0095】
【化28】
【0096】
上記ビニルエステル基を有する化合物としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、安息香酸ビニル、珪皮酸ビニル等が挙げられる。
【0097】
上記ビニロキシ基を有する化合物としては、例えば、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、tert−アミルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、エチレングリコールブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールメチルビニルエーテル、安息香酸(4−ビニロキシ)ブチル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ブタン−1,4−ジオール−ジビニルエーテル、ヘキサン−1,6−ジオール−ジビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール−ジビニルエーテル、イソフタル酸ジ(4−ビニロキシ)ブチル、グルタル酸ジ(4−ビニロキシ)ブチル、コハク酸ジ(4−ビニロキシ)ブチルトリメチロールプロパントリビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール−モノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル−3−アミノプロピルビニルエーテル、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチルビニルエーテル、ウレタンビニルエーテル、ポリエステルビニルエーテル等が挙げられる。
【0098】
上記カチオン重合性基とは、プロトン酸あるいはルイス酸のような酸の存在下で、連鎖反応的に重合あるいは架橋を起こす官能基である。かかる官能基としては、例えば、スチリル基、エポキシ基、オキセタニル基、ビニロキシ基等が挙げられる。又、1分子中に複数のカチオン重合性基を組み合わせた化合物を用いても良い。
【0099】
上記スチリル基を有する化合物としては、例えば、スチレン、インデン、αーメチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−クロロメチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−tert−ブトキシスチレン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
【0100】
上記エポキシ基を有する化合物としては、例えば、ビスフェノールA系エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA系エポキシ樹脂、ビスフェノールF系エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール型エポキシ樹脂、脂肪族環式エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、ゴム変成エポキシ樹脂、ウレタン変成エポキシ樹脂、グリシジルエステル系化合物、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化SBS{SBSはポリ(スチレン−co−ブタジエン−co−スチレン)共重合体を示す}等が挙げられる。
【0101】
上記オキセタニル基を有する化合物としては、例えば、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−フェノキシメチルオキセタン、3−エチル−3−へキシルオキシメチルオキセタン、1,4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシメチル)ベンゼン等が挙げられる。
【0102】
上記ビニロキシ基を有する化合物として、例えば、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、tert−アミルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、エチレングリコールブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールメチルビニルエーテル、安息香酸(4−ビニロキシ)ブチル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ブタン−1,4−ジオール−ジビニルエーテル、ヘキサン−1,6−ジオール−ジビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール−ジビニルエーテル、イソフタル酸ジ(4−ビニロキシ)ブチル、グルタル酸ジ(4−ビニロキシ)ブチル、コハク酸ジ(4−ビニロキシ)ブチルトリメチロールプロパントリビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール−モノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル3−アミノプロピルビニルエーテル、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチルビニルエーテル、ウレタンビニルエーテル、ポリエステルビニルエーテル等が挙げられる。
【0103】
又、上記化合物(F)として上記カチオン重合性基を有する化合物を選択する場合には、上記化合物(F)は、更に前記一般式(1−2)で表される官能基を有していても良い。即ち、カチオン重合性基と一般式(1−2)で表される官能基を併せ持つ化合物であって、複数個、複数種のカチオン重合性基と一般式(1−2)で表される官能基とが組み合わされて含まれる化合物でも良い。かかる化合物(F)としては、例えば、トリメトキシ[2−(7−オキサビシクロ[4,1,0]−ヘプト−3−イル)エチル]シラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジイソプロピルエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジイソプロペノキシシラン、スチリルエチルトリメトキシシラン、3−(3−テトラエトキシシリルプロポキシ)メチル−3−エチルオキセタン等が挙げられる。これらは、単独で用いても良く、2種類以上を併用しても良い。
【0104】
又、上記化合物(F)として上記カチオン重合性基を有する化合物を選択する場合には、本発明で好ましく用いられる光硬化性接着剤は、更に、光照射によりカチオン性重合性基を有する化合物(F)を重合又は架橋させる化合物を含有することが好ましい。かかる化合物としては、例えば、鉄−アレン錯体化合物、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、ピリジニウム、アルミニウム錯体/シラノール塩、ハロゲン化アルキル置換トリアジン誘導体、トリフルオロメタンスルホン酸−N−イミドエステル誘導体、ベンゼンスルホン酸−N−イミドエステル誘導体、メタンスルホン酸−N−イミドエステル誘導体、トリブロモメチルフェニルスルホン誘導体等が挙げられる。
【0105】
又、これらの化合物のうち市販されているものとしては、例えば、イルガキュア−261(チバガイギー社製)、オプトマーSP−150(旭電化工業社製)、オプトマーSP−151(旭電化工業社製)、オプトマーSP−170(旭電化工業社製)、オプトマーSP−171(旭電化工業社製)、UVE−1014(ゼネラルエレクトロニクス社製)、CD−1012(サートマー社製)、サンエイドSI−60L(三新化学工業社製)、サンエイドSI−80L(三新化学工業社製)、サンエイドSI−100L(三新化学工業社製)、CI−2064(日本曹達社製)、CI−2639(日本曹達社製)、CI−2624(日本曹達社製)、CI−2481(日本曹達社製)、RHODORSIL PHOTOINITIATOR 2074(ローヌ・プーラン社製)、UVIー6990(ユニオンカーバイド社製)、BBIー103(ミドリ化学社製)、MPIー103(ミドリ化学社製)、TPSー103(ミドリ化学社製)、MDSー103(ミドリ化学社製)、DTSー103(ミドリ化学社製)、NATー103(ミドリ化学社製)、NDSー103(ミドリ化学社製)等が挙げられる。これらは、単独で用いても良く、2種類以上を併用しても良い。
【0106】
上記光照射によりカチオン性重合性基を有する化合物(F)を重合又は架橋させる化合物の好適な配合量としては、化合物(F)100重量部に対して好ましい下限は0.01重量部、上限は30重量部である。0.01重量部未満であると、光硬化性を示すことは困難となることがあり、30重要部を超えると、光硬化性接着剤の光透過性が著しく低下するため、光照射面のみが重合あるいは架橋し、深部反応性が著しく低下することがある。より好ましい下限は0.1重量部、上限は20重量部である。
【0107】
上記化合物(F)の化合物(A)10〜99重量部に対する好ましい配合量の下限は1重量部、上限は90重量部である。1重量部未満であると、凝集力発現が困難となることがあり、90重量部を超えると、硬化物の強度が充分に得られないことがある。
【0108】
本発明で好ましく用いられる光硬化性接着剤が上記化合物(F)を含有する場合には、光硬化性接着剤の使用時に偶発的又は必然的な光非照射部の発生によって未反応の化合物(F)を残さないようにするために、更に化合物(F)の重合開始剤を含有することが好ましい。上記化合物(F)の重合開始剤としては、化合物(F)がラジカル重合性不飽和基を有する場合にあっては、熱ラジカル発生剤又は嫌気性条件下で加熱するとラジカルを発生するラジカル発生剤が挙げられる。又、化合物(F)がカチオン重合性基を有する化合物の場合にあっては、熱活性によりカチオン重合性基を重合させる化合物、例えば、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、アンモニウム塩等のオニウム塩;3フッ化ホウ素トリエチルアミン錯体、3フッ化ホウ素ピリジン錯体等のルイス酸−ルイス塩基錯体が挙げられる。更に、化合物(F)がエポキシ基を有する化合物の場合にあっては、ジシアンジアミド、ケチミン等の熱又は湿気によりアミンを発生する化合物が挙げられる。
【0109】
上記熱ラジカル発生剤としては、例えば、有機過酸化物、即ち、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、tert−ヘキシルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、α,α’−ビス(tert−ブチルペルオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、ジキュミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、tert−ブチル キュミル パーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキサイド類、ケトンパーオキサイド類、パーオキシケタール類、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシジカーボネート類、パーオキシエステル類等の有機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物が挙げられる。これらは、単独で用いても良く、2種類以上を併用しても良い。
【0110】
上記嫌気性条件下で加熱するとラジカルを発生するラジカル開始剤としては、例えば、キュメンハイドロパーオキサイド/ベンゾキノン等の有機過酸化物/キノン化合物の組み合わせ(混合物)が挙げられる。
【0111】
本発明で好ましく用いられる光硬化性接着剤は、更に、エポキシ基を有する化合物(G)を含有することが好ましい。上記エポキシ基を有する化合物(G)を含有することにより、光硬化性接着剤は、金属面への密着性、接着性を更に向上させることができる。
【0112】
上記化合物(G)としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ポリグリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、エポキシシラン化合物等が挙げられる。なかでも特に効果の高いものとして、前記一般式(1−2)で表される官能基を有するエポキシ化合物、及び、エポキシ基を1分子中に3個以上有する化合物が挙げられる。これらは、単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
【0113】
一般式(1−2)で表される官能基を有するエポキシ化合物としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
【0114】
上記分子内に3個以上のエポキシ基を有する化合物のうち市販されているものとしては、例えば、ジャパンエポキシレジン社製の商品名エピコート152、エピコート154、エピコート604;ダイセル化学社製の商品名エポリードGT301、エポリードGT302、エポリードGT401、エポリードGT403等が挙げられる。
【0115】
上記化合物(G)の光硬化性接着剤中の樹脂分100重量部に対する好ましい配合量の下限は0.1重量部、上限は30重量部である。0.1重量部未満であると、化合物(G)の効果が充分に得られないことがあり、30重量部を超えると、金属への密着性の効果は向上するが、全体への影響が大きくなりすぎることがある。
【0116】
本発明で好ましく用いられる光硬化性接着剤には、必要に応じて、上記化合物(B)又は光ラジカル発生剤(C)に対する感光性増感剤、光硬化性接着剤の粘性特性を調整するための増粘剤やチキソトロープ剤、引っ張り特性等を改善する物性調整剤、増量剤、可塑剤、補強剤、着色剤、難燃剤等の公知の機能を有する各種添加剤を加えても良い。
【0117】
上記増粘剤としては、化合物(A)との相溶性の良い高分子化合物から選ばれることが好ましく、例えば、アクリル系高分子、メタクリル系高分子、ポリビニルアルコール誘導体、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン誘導体、ポリエステル類、ポリエーテル類、ポリイソブテン、ポリオレフィン類、ポリアルキレンオキシド類、ポリウレタン類、ポリアミド類、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、NBR、SBS、SIS、SEBS、水添NBR、水添SBS、水添SIS、水添SEBS等;これらの共重合体、官能基変成体等が挙げられる。これらは、単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
【0118】
上記チキソトロープ剤としては、光硬化性接着剤がチキソトロープ性を発現するような物質から適宜選ばれる。例えば、コロイダルシリカ、ポリビニルピロリドン、疎水化炭酸カルシウム、ガラスバルーン、ガラスビーズ等が挙げられる。上記チキソトロープ剤の選択については、化合物(A)に親和性の高い表面を有するものを選択することが好ましい。
【0119】
上記引っ張り特等を改善する物性調整剤としては、各種シランカップリング剤として、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N’−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ヘキサエチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ヘキサエチレンジアミン等が挙げられる。これらは、単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
【0120】
上記増量剤としては、光硬化性接着剤中に添加してチキソトロープ性を発現しないものが好適に利用でき、例えば、タルク、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水シリカ、含水シリカ、ケイ酸カルシウム、二酸化チタン、カーボンブラック等が挙げられる。これらは、単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
【0121】
上記可塑剤としては、例えば、リン酸トリブチル、リン酸トリクレジル等のリン酸エステル類、フタル酸ジオクチル等のフタル酸エステル類、グリセリンモノオレイル酸エステル等の脂肪酸−塩基酸エステル類、アジピン酸ジオクチル等の脂肪酸二塩基酸エステル類、ポリプロピレングリコール類等が挙げられる。これらは、単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
【0122】
その他、必要に応じて、タレ防止剤、酸化防止剤、老化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、溶剤、香料、顔料、染料等を添加しても良い。
【0123】
本発明で好ましく用いられる光硬化性接着剤に光を照射する際に利用できる光源としては、光源が発する光により光硬化性接着剤が光活性を示し、上記化合物(A)の光反応により重合体又は架橋体が生成する光源である限り特に限定されない。又、用途に応じて光源を適宜選択することができる。
【0124】
このような光源の好適例としては、上記化合物(B)に起因する光硬化性接着剤の吸収波長を含む光を発する光源が挙げられる。又、光ラジカル発生剤(C)を含有する光硬化性接着剤については、化合物(B)及び光ラジカル発生剤(C)の双方に起因する光硬化性接着剤の吸収する波長を含む光を発する光源であることが好ましい。
【0125】
このような光源として、複数の光源を組み合わせて用いる場合は、各種の光源からの光を同時に光硬化性接着剤に照射することが好ましい。又、それぞれの光源からの光を順番に照射しても良いし、それぞれの光源からの光を交互に照射しても良い。
【0126】
公知の光源としては、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、エキシマレーザー、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ、ナトリウムランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、蛍光灯、太陽光、電子線照射装置等が挙げられる。又、フィルター等を用いて不要な波長成分を低減もしくは除去しても良いし、各種光源を組み合わせて用いても良い。各種光源の光硬化性接着剤への照射手順としては、各種光源の同時照射、又は、時間差をおいて逐次照射するといった方法や同時照射と逐次照射とを組み合わせても良い。
【0127】
本発明1のFFCは、上記光硬化性接着剤が用いられてなるものであることが好ましい。又、本発明2のFFCは、上記光硬化性接着剤が用いられてなる。但し、本発明2のFFCに用いられる光硬化性接着剤は、23℃におけるダンベル引張物性において、破断点強度が1〜500N/mm2 及び破断点伸びが5〜3000%の特性を満たさないものであっても良い。
【0128】
本発明のFFCは、上記接着剤が用いられたものであれば特に限定されず、例えば、断面が扁平な平角導体を、上記接着剤が塗布された柔軟性を有する電気絶縁性のプラスチックフィルム等(以下、「被覆材」と記す)で挟み込み、サンドイッチ状に被覆することにより得られる。
【0129】
上記平角導体としては、特に限定されず、例えば、銅、銅合金、アルミニウム等の金属からなるものが挙げられる。
【0130】
上記被覆材としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、1,4−シクロヘキシルジメチレンテレフタレート、ポリイミド等のプラスチックフィルムが挙げられる。
【0131】
上記接着剤の塗布方法としては、塗布機を用いる場合は、例えば、ロールコーター、コンマコーター、メイヤーバーコーター、ダイコーター、グラビアコーター等が挙げられ、塗布機を用いない場合は、例えば、ひも状、点状等に塗布する方法が挙げられる。接着剤が塗布された被覆材は、通常、接着剤を押し広げるようにして、平角導体をサンドイッチ状に被覆し貼り合わせて接着することにより、FFCが形成されることが好ましい。この際、必要に応じて、ラミネーター、プレス等を使用しても良い。又、接着剤の硬化を促進するために、必要に応じて、光照射や加熱等を行っても良い。
【0132】
こうして得られる本発明のFFCは、導線接合部に負荷がかかり、切断する恐れがあることから、更に、補強材が接合されて補強されていることが好ましい。
【0133】
補強材の材質としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、ナイロン、ポリイミド、PET、PBT、PEN等のプラスチックが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0134】
補強材の形状としては、例えば、FFCの片面もしくは両面に貼り付けるフィルム状(シート状も含む)や板状のもの、FFCの端部を包み込む筒状や箱状のもの、繊維状のもの等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0135】
補強材がフィルム状である場合、その厚みは、特に限定されるものではないが、5〜1000μmであることが好ましく、より好ましくは20〜500μmである。補強材がフィルム状である場合の厚みが5μm未満であると、補強材自体の強度が弱くなりすぎて、充分な補強効果を得られないことがあり、逆に補強材がフィルム状である場合の厚みが1000μmを超えると、FFCの端部の厚みが大きくなりすぎて、省スペース化に支障を来すことがある。
【0136】
図1はFFC端部(導線引出し部)に補強材を接合した本発明のFFCの一例を示す模式図であり、図2はFFC端部(導線引出し部)に補強材を接合した本発明のFFCの他の例を示す模式図である。
【0137】
FFCに対する補強材の接合部位は、特に限定されるものではなく、図1及び図2に示すようなFFC端部(導線引出し部)であっても良いし、FFC中央部であっても良いし、FFC全面であっても良いが、補強材による補強効果を充分に得るためには、FFC端部(導線引出し部)であることが好ましい。
【0138】
FFCに対する補強材の接合を接着剤を用いて行う場合、その接着剤は、特に限定されるものではないが、好ましくは高伸びを有する接着剤であり、更に好ましくは本発明の接着剤である。本発明の接着剤を用いると、変形や振動に対して強く、導線の破壊を防止することができる。
【0139】
上記接着剤の具体例としては、ベース樹脂として、例えば、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、ゴム系接着剤、ポリエステル系接着剤、変成シリコーン系接着剤、エポキシ系接着剤等が挙げられる。又、接着剤の形態としては、例えば、溶剤系接着剤、エマルション系接着剤、ホットメルト系接着剤、2液混合系接着剤、1液液状系接着剤等が挙げられる。更に、接着剤の反応系及び硬化系としては、例えば、非反応性接着剤、加熱硬化性接着剤、湿気硬化性接着剤、光硬化性接着剤等が挙げられ、なかでも、前記湿気硬化性接着剤や前記光硬化性接着剤を用いることが好ましく、とりわけ、前記化合物(A)及び前記化合物(B)を含有する光硬化性接着剤を用いることが特に好ましい。
【0140】
本発明のFFC接合体は、本発明のFFCに用いられる前記接着剤を用い、FFC同士、又は、FFCと回路基板、又は、FFCと補強材とが接合されたものである。具体的には、例えば、FFC同士又はFFCと回路基板とを双方の端子部が接するように重ね合わせ、接着剤が塗布された被覆材で挟み込みサンドイッチ状に被覆することにより得ることができる。
【0141】
本発明のFFC接合体に用いられるFFCは、特に限定されるものではなく、本発明のFFCであっても良いし、又、一般に市販されているFFCであっても良い。
【0142】
【作用】
本発明のFFCは、23℃におけるダンベル引張物性において、破断点強度が1〜500N/mm2 であり、且つ、破断点伸びが5〜3000%である接着剤が用いられてなるので、接着剤自体の優れた物性により、FFCの柔軟性を損なうことなくプラスチックフィルム等の被覆材を被覆することができ、優れた柔軟性を発現するFFCとなる。
【0143】
本発明のFFCに用いられる接着剤として湿気硬化性接着剤又は光硬化性接着剤を用い、且つ、上記光硬化性接着剤を前記化合物(A)及び前記化合物(B)からなるものとすることにより、上記効果は更に確実なものとなる。
【0144】
本発明のFFC接合体は、上記接着剤を用いてFFC同士、又は、FFCと回路基板、又は、FFCと補強材とが接合されてなるので、上記と同様の優れた効果を発現する。
【0145】
【発明の実施の形態】
本発明を更に詳しく説明するため以下に実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。尚、実施例中の「部」は「重量部」を意味する。
【0146】
(実施例1)
[湿気硬化性接着剤の調製]
プラネタリーミキサーを用いて、湿気硬化性ポリマーとしてアルコキシシリル変性ポリプロピレングリコール(商品名「MSポリマーS−303」、鐘淵化学工業社製)100部、増量剤として乾燥した炭酸カルシウム(商品名「ホワイトンP−30」、白石工業社製)60部及び同じく増量剤として乾燥した炭酸カルシウム(商品名「カルファインK−200」、白石工業社製)50部を混合し、次いで、可塑剤としてDOP(積水化学工業社製)30部及び有機溶剤を添加混合した後、湿気硬化触媒(商品名「U−100」、日東化成社製)2部、物性調整剤(商品名「A−1120」、日本ユニカー社製)5部及び脱水剤(商品名「TSL−8310」、東芝シリコーン社製)3部を添加混合して、湿気硬化性接着剤を調製した。
【0147】
[FFCの作製]
PETフィルム(厚み0.03mm)2枚に、上記で得られた湿気硬化性接着剤を塗布し、平角銅線(厚み0.12mm)を挟み込むようにサンドイッチ状に被覆し接着して、FFCを作製した。得られたFFCの全体厚みは0.4mmであった。
【0148】
[FFC接合体の作製]
上記で得られたFFCを長さ100mm、幅25mmにカットしたものを2枚準備し、この2枚を重ね合わせたものを、PETフィルム(厚み0.03mm)2枚に上記で得られた湿気硬化性接着剤を塗布したもので挟み込むようにサンドイッチ状に被覆し接着して、FFC接合体を作製した。得られたFFC接合体の全体厚みは1.3mmであった。
【0149】
(実施例2)
[光硬化性接着剤の調製]
プラネタリーミキサーを用いて、化合物(A)としてアルコキシシリル変性ポリプロピレングリコール「MSポリマーS−303」100部、化合物(B)として無水マレイン酸(和光純薬社製)5部及び同じく化合物(B)としてジアシルホスフィンオキサイド(商品名「イルガキュアー819」、チバスペシャリティケミカル社製)1部を80℃で加熱溶融混合し、室温まで冷却した後、増量剤として乾燥した炭酸カルシウム「カルファインK−200」30部及び同じく増量剤としてシリカ(商品名「シベライトM6000」、S.C.R.SIBELCO社製)90部を添加混合して、光硬化性接着剤を調製した。
【0150】
[FFCの作製]
上記で得られた光硬化性接着剤を塗布した後に、高圧水銀灯(波長365nm、照射強度10mW)を用いて、塗布面に60秒間光照射を行ったこと以外は実施例1の場合と同様にして、FFCを作製した。得られたFFCの全体厚みは0.4mmであった。
【0151】
[FFC接合体の作製]
上記で得られた光硬化性接着剤を塗布した後に、高圧水銀灯(波長365nm、照射強度10mW)を用いて、塗布面に60秒間光照射を行ったこと以外は実施例1の場合と同様にして、FFC接合体を作製した。得られたFFC接合体の全体厚みは1.3mmであった。
【0152】
(実施例3)
[FFC及びFFC接合体の作製]
実施例1で作製したFFCを長さ100mm、幅25mmにカットしたものの片面のPETフィルムを剥離した。次に、剥離面と反対側のFFC表面に実施例1で調製した湿気硬化性接着剤を塗布し、補強材としてPETフィルム(厚み0.2mm)を貼り合わせて、補強材が接合されたFFCを作製した。次いで、上記で得られた補強材が接合されたFFCを用いたこと以外は実施例1の場合と同様にして、FFC接合体を作製した。
【0153】
(実施例4)
[FFC及びFFC接合体の作製]
実施例2で作製したFFCを長さ100mm、幅25mmにカットしたものの片面のPETフィルムを剥離した。次に、剥離面と反対側のFFC表面に実施例2で調製した光硬化性接着剤を塗布し、高圧水銀灯(波長365nm、照射強度10mW)を用いて、塗布面に60秒間光照射を行った後に、補強材としてPETフィルム(厚み0.2mm)を貼り合わせて、補強材が接合されたFFCを作製した。次いで、上記で得られた補強材が接合されたFFCを用いたこと以外は実施例2の場合と同様にして、FFC接合体を作製した。
【0154】
(比較例1)
[FFC及びFFC接合体の作製]
接着剤として2液混合型エポキシ系接着剤(商品名「アラルダイト」、ニチバン社製)を用いたこと以外は実施例1の場合と同様にして、FFC(厚み0.4mm)及びFFC接合体(全体厚み1.3mm)を作製した。
【0155】
[接着剤物性の評価]
テンシロン引張試験機を用い、JIS K−6301に準拠して、測定温度23℃、3号形ダンベル、引張速度500mm/分の条件で、実施例1で調製した湿気硬化性接着剤、実施例2で調製した光硬化性接着剤及び比較例1で用いた2液混合型エポキシ系接着剤の硬化物(厚み1mm)のダンベル引張物性を測定し、破断点強度(N/mm2 )及び破断点伸び(%)を求めた。その結果は表1に示すとおりであった。
【0156】
[接着剤(硬化物)の割れの有無の評価]
実施例1〜実施例4及び比較例1で作製したFFC(長さ100mm、幅25mm)及びFFC接合体(長さ100mm、幅25mm)について、曲面状態で折り目が付かないように幅方向の両端が接するまで曲げ、次いで、反対方向に同様の操作を行い、これを1サイクルとして合計10サイクル繰り返した後、接着剤(硬化物)の割れの有無を目視で観察した。その結果は表1に示すとおりであった。
【0157】
[導線の破壊の有無の評価]
実施例1〜実施例4及び比較例1で作製したFFC接合体(長さ100mm、幅25mm)について、曲面状態で折り目が付かないように幅方向の両端が接するまで曲げ、次いで、反対方向に同様の操作を行い、これを1サイクルとして合計10サイクル繰り返した後、導線の破壊の有無を目視で観察した。その結果は表1に示すとおりであった。
【0158】
【表1】
【0159】
表1から明らかなように、本発明による実施例1〜実施例4のFFC及びそれを用いて作製したFFC接合体は、いずれも接着剤の割れを発生することがなく、優れた柔軟性を発現した。又、上記実施例1〜実施例4のFFCを用いて作製したFFC接合体は、いずれも導線の破壊が発生しなかった。
【0160】
これに対し、23℃におけるダンベル引張物性において、破断点強度が500N/mm2 を超えており、且つ、破断点伸びが5%未満であった2液混合型エポキシ系接着剤を用いて作製した比較例1のFFC及びそれを用いて作製したFFC接合体は、共に接着剤の割れが発生しており、柔軟性が悪かった。又、上記比較例1のFFCを用いて作製したFFC接合体は、導線の破壊が発生した。
【0161】
【発明の効果】
本発明のFFCは、23℃におけるダンベル引張物性において、破断点強度が1〜500N/mm2 であり、且つ、破断点伸びが5〜3000%である接着剤が用いられてなるので、接着剤自体の優れた物性により、FFCの柔軟性を損なうことなくプラスチックフィルム等の被覆材を被覆することができ、優れた柔軟性を発現する。
【0162】
又、上記接着剤として湿気硬化性接着剤又は光硬化性接着剤を用い、且つ、上記光硬化性接着剤を前記化合物(A)及び前記化合物(B)からなるものとすることにより、上記効果は更に確実なものとなる。
【0163】
本発明のFFC接合体は、上記接着剤を用いてFFC同士、又は、FFCと回路基板、又は、FFCと補強材とが接合されてなるので、上記と同様の優れた効果を発現する。
【0164】
以上述べたように、本発明のFFC及びFFC接合体は、優れた柔軟性を有するので、外力や振動等により接着剤が割れたり、FFC接合体の接合部が外れたり、導線が破壊したりすることがない。又、電磁波設備などの特別な設備を必要とすることもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】FFC端部(導線引出し部)に補強材を接合した本発明のFFCの一例を示す模式図である。
【図2】FFC端部(導線引出し部)に補強材を接合した本発明のFFCの他の例を示す模式図である。
Claims (8)
- 23℃におけるダンベル引張物性において、破断点強度が1〜500N/mm2 であり、且つ、破断点伸びが5〜3000%である接着剤が用いられてなることを特徴とするフレキシブルフラットケーブル。
- 接着剤が湿気硬化性接着剤であることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルフラットケーブル。
- 接着剤が光硬化性接着剤であることを特徴とする請求項1に記載フレキシブルフラットケーブル。
- 上記一般式(1)で表される官能基を有する化合物(A)及び上記一般式(2)で表される分子骨格を有する化合物(B)からなる光硬化性接着剤が用いられたことを特徴とする請求項1又は請求項3に記載のフレキシブルフラットケーブル。
- 更に、補強材が接合されてなることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のフレキシブルフラットケーブル。
- 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のフレキシブルフラットケーブルに用いられることを特徴とする接着剤。
- 請求項7に記載の接着剤を用い、フレキシブルフラットケーブル同士、又は、フレキシブルフラットケーブルと回路基板、又は、フレキシブルフラットケーブルと補強材とが接合されてなることを特徴とするフレキシブルフラットケーブル接合体。
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---|---|---|---|
JP2002366999A JP2004047415A (ja) | 2002-05-24 | 2002-12-18 | フレキシブルフラットケーブル、接着剤及びその接合体 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006059613A1 (ja) * | 2004-11-30 | 2006-06-08 | Sumitomo Electric Industries, Ltd. | 接着フィルム、それを用いたフラットケーブルの製造法及びフラットケーブル |
JPWO2016167305A1 (ja) * | 2015-04-17 | 2018-02-15 | 積水化学工業株式会社 | 硬化体、電子部品、表示素子、及び、光湿気硬化型樹脂組成物 |
KR20180035714A (ko) * | 2016-09-29 | 2018-04-06 | 듀폰 도레이 컴파니, 리미티드 | 플렉시블 플랫 케이블 보강판용 필름 |
-
2002
- 2002-12-18 JP JP2002366999A patent/JP2004047415A/ja not_active Withdrawn
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