JP2004331926A - 接着構造体及びその製造方法 - Google Patents

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JP2004331926A JP2003144053A JP2003144053A JP2004331926A JP 2004331926 A JP2004331926 A JP 2004331926A JP 2003144053 A JP2003144053 A JP 2003144053A JP 2003144053 A JP2003144053 A JP 2003144053A JP 2004331926 A JP2004331926 A JP 2004331926A
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Bungo Hatta
文吾 八田
Koji Fukui
弘司 福井
Kazuhiro Kawabata
和裕 川端
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】被着体の一方又は双方がプラスチック、金属、無機物等からなる難接着性の被着体である場合でも著しく優れた接着力を発現する接着構造体、及び、その接着構造体の効率的且つ簡便な製造方法を提供する。
【解決手段】一方の被着体、接着剤層及び他方の被着体がこの順に積層されてなる接着構造体であって、上記接着剤層が、特定の官能基を有する化合物(A)、特定の分子骨格を有する化合物(B)及びエポキシ基を有する化合物(C)を含有してなる光反応性組成物から形成されていることを特徴とする接着構造体、及び、一方又は双方の被着体の接着面にイソシアネート基を有する化合物(D)からなるプライマー層が形成されていることを特徴とする上記接着構造体、並びに、上記光反応性組成物の塗布面に光を照射した後に被着体同士を貼り合わせるか、又は、光反応性組成物を塗布した被着体同士を貼り合わせた後に光反応性組成物の塗布面に光を照射することを特徴とする接着構造体の製造方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、接着構造体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、アルコキシシリル基のような加水分解性シリル基を有する化合物を加水分解・縮合反応により重合又は架橋するに際し、加水分解・縮合反応を促進するための酸、塩基又は公知の有機錫や有機チタンのような有機金属化合物を用いることが良く知られている(例えば、特許文献1、非特許文献1、非特許文献2参照。)。
【0003】上記加水分解性シリル基を有する化合物は、重合又は架橋後、堅くて脆い性質から柔軟性や弾力性に富んだ性質まで非常に幅広い硬化体を得ることができるし、グリースのような非常に粘稠な物質や粘着性物質まで得ることができる。
【0004】
このような加水分解性シリル基を有する化合物の硬化体は、その性質を利用して、コーティング剤、グリース、粘着剤、接着剤、シーリング剤、エラストマー、離型剤等の工業的用途に用いられている。例えば、歪みを吸収しなければならない接合箇所、歪みの履歴を受ける接合箇所、耐衝撃性や耐クリープ性が要求される接合箇所等の接着剤として頻繁に利用されている。又、同様の応力を受けるシーリング箇所にもシーリング剤として多用されている。
【0005】
しかし、従来より知られている上記加水分解性シリル基を有する化合物からなる組成物を特に利便性に優れる1液型の接着剤やシーリング剤として用いる場合には、上記組成物は空気中の湿気により重合又は架橋するので、貯蔵時に湿気を遮断するような工夫が必要であり、常に空気中の湿度を低く保つか、又は、気密性に優れる容器等で保管する必要があった。
【0006】
従って、このような接着剤等は、気密性容器に封入された接着剤等を容器開封後は短時間で使い切る現場施工用としての利用が中心であり、長時間の解放系での貯蔵安定性を必要とする使用態様、例えば、生産ライン等に用いられている一般的な塗布装置で利用することは困難であった。即ち、一般的な塗布装置では接着剤等の貯蔵や供給時に湿気を遮断するような工夫が施されておらず、一部の塗布装置では構造上湿気を遮断する工夫を施すことができないものもあるからである。
【0007】又、生産ライン等に用いるためには、ライン生産性を考慮して、混合が不要であり、しかも速やかに接着力を発現することから、加水分解性シリル基を有する化合物と加水分解・縮合反応を促進する化合物とを共存させた1液型組成物が好ましいが、このような1液型組成物は、通常速やかに加水分解・縮合反応が進行するため、貯蔵安定性に優れるものにはならないという問題点がある。
【0008】
一方、貯蔵安定性に優れる1液型組成物とするために加水分解・縮合反応を促進する化合物の種類を選択すると、使用に際して速やかな重合反応や架橋反応が起こらないという問題点がある。即ち、加水分解性シリル基を有する化合物と加水分解・縮合反応を促進する化合物とを1液化し、且つ、貯蔵安定性に優れ、速やかに重合反応や架橋反応が進行する組成物を得ることは困難である。
【0009】
このような問題点を解決する技術として、例えば、アルコキシシリル基又はアルキルアルコキシシリル基を有する加水分解可能なシラン化合物と有機芳香族オニウム塩触媒とからなる、貯蔵安定性に優れ、しかも速やかに重合反応や架橋反応が進行する重合性組成物が開示されている。上記重合性組成物は、有機芳香族オニウム塩触媒に輻射線を照射し、有機芳香族オニウム塩触媒を活性化させて有機芳香族オニウム塩触媒からプロトン酸を発生させ、発生したプロトン酸により加水分解可能なシラン化合物の加水分解・縮合反応を促進させるものである(例えば、特許文献2参照。)。
【0010】
しかし、上記重合性組成物の場合、有機芳香族オニウム塩触媒は加水分解可能なシラン化合物に対する溶解性が乏しく、シラン化合物が重合体である場合には特に溶解性が低く、重合性組成物が不透明となるので、重合性組成物の輻射線透過性が劣り、輻射線の照射表面のみが反応し架橋又は硬化するという欠点があり、そのため、加水分解可能なシラン化合物と有機芳香族オニウム塩触媒との組み合わせが狭い範囲に制約されるという問題点がある。
【0011】
又、例えば、光により活性化されるベンゾインスルホネートとアクリロイル基を有する加水分解可能なシラン化合物とを組み合わせて、光架橋させる技術が開示されている。上記技術によれば、ベンゾインスルホネートは、アクリロイル基を光重合させる増感剤であると共に、加水分解性シリル基の加水分解・縮合反応を光開始させるとされている(例えば、非特許文献3参照。)。
【0012】
しかし、上記技術の場合、アクリロイル基の光重合や加水分解性シリル基の加水分解・縮合反応には長時間の光照射や多量の照射エネルギーが必要であるという問題点がある。
【0013】
更に、例えば、加水分解性基を有するシラン化合物を加水分解・部分縮合させたポリシロキサンポリマーと活性化学線によって塩基を発生する塩基発生剤とからなる感光性樹脂組成物が開示されている(例えは、特許文献3参照。)。
【0014】
しかし、上記感光性樹脂組成物の場合、活性化学線照射後、通常50〜150℃程度に加熱して後硬化(ポストキュア)させる必要があり、室温で速やかに硬化体を得ることは困難であるという問題点がある。
【0015】
本発明者らは、これまで前記一般式(1)で表される官能基を有する化合物(A)及び前記一般式(2)で表される分子骨格を有する化合物(B)を含有する光反応性組成物は、化合物(A)又は化合物(B)に由来する未溶解の化合物が残らず、均一な状態の組成物を容易に得ることができると共に、この組成物に光を照射することにより、重合又は架橋が進行し、増粘物や優れた物性を発現する硬化体を得ることができるので、接着剤やシーリング剤等として好適に用いられることを見出してきた。又、光で重合又は架橋するため、光を遮断した暗所下に保存するだけで安定に保つことが可能であり、優れた貯蔵安定性を有することも見出してきた。
【0016】
しかし、上記化合物(A)及び化合物(B)のみからなる光反応性組成物は、光硬化型接着剤として用いた場合、ポリエステル系樹脂やポリイミド系樹脂などのプラスチック、金属、無機物等からなる難接着性の被着体に対する接着力が乏しいという問題点がある。
【0017】
又、上記化合物(A)及び化合物(B)と共に例えばイソシアネート基を有する化合物を併用した光反応性組成物は、光硬化型接着剤として用いた場合、プラスチック、金属、無機物等からなる難接着性の被着体に対する接着力は確かに向上するものの、イソシアネート基を有する化合物を光反応性組成物中に配合すると、例えば皮膜状の硬化体の物性低下を来す原因になるという問題点がある。
【0018】
【特許文献1】
特開昭56−67366号公報
【特許文献2】
特開昭53−97098号公報
【特許文献3】
特開平6−273936号公報
【非特許文献1】
「ゾル−ゲル法の科学」、アグネ承風社、1988
【非特許文献2】
「第4版実験化学講座」、16巻、49〜55頁、1993
【非特許文献3】
H.Inoue等著「J.Photopolym.Sci.」、12巻、129〜132頁、1999
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、被着体の一方又は双方がプラスチック、金属、無機物等からなる難接着性の被着体である場合でも著しく優れた接着力を発現する接着構造体、及び、その接着構造体の効率的且つ簡便な製造方法を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明(本発明)による接着構造体は、一方の被着体、接着剤層及び他方の被着体がこの順に積層されてなる接着構造体であって、上記接着剤層が、下記一般式(1)で表される官能基を有する化合物(A)、下記一般式(2)で表される分子骨格を有する化合物(B)及びエポキシ基を有する化合物(C)を含有してなる光反応性組成物から形成されていることを特徴とする。
【化4】
Figure 2004331926
(式中、Xは加水分解性を有する官能基を示す)
【化5】
Figure 2004331926
(式中、nは2、3、4又は5の整数を示し、Yは周期表のIVB族、VB族又はVIB族の原子を示し、Zは水素基、炭化水素基、水酸基、メルカプト基、アミノ基、ハロゲン基、アルコキシル基、アルキルチオ基、カルボニルオキシ基又はオキソ基を示す)
【0021】
請求項2に記載の発明による接着構造体は、上記請求項1に記載の接着構造体において、一方又は双方の被着体の接着面にイソシアネート基を有する化合物(D)からなるプライマー層が形成されていることを特徴とする。
【0022】
請求項3に記載の発明による接着構造体は、上記請求項1又は請求項2に記載の接着構造体において、エポキシ基を有する化合物(C)が、下記一般式(1−1)で表される官能基を有するエポキシ系化合物であることを特徴とする。
【化6】
Figure 2004331926
(式中、mは1、2又は3の整数を示し、Rは炭化水素基を示し、Xは加水分解性を有する官能基を示す)
【0023】
請求項4に記載の発明による接着構造体は、上記請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の接着構造体において、エポキシ基を有する化合物(C)が、1分子中に3個以上のエポキシ基を有するエポキシ系化合物であることを特徴とする。
【0024】
請求項5に記載の発明による接着構造体は、上記請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の接着構造体において、一方又は双方の被着体が、ポリエステル系樹脂からなる被着体であることを特徴とする。
【0025】
請求項6に記載の発明による接着構造体は、上記請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の接着構造体において、一方又は双方の被着体が、ポリイミド系樹脂からなる被着体であることを特徴とする。
【0026】
請求項7に記載の発明(本発明)による接着構造体の製造方法は、上記請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の接着構造体の製造方法であって、光反応性組成物の塗布面に光を照射した後に被着体同士を貼り合わせるか、又は、光反応性組成物を塗布した被着体同士を貼り合わせた後に光反応性組成物の塗布面に光を照射することを特徴とする。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0027】
本発明の接着構造体に接着剤として用いられる光反応性組成物は、前記一般式(1)で表される官能基を有する化合物(A)、前記一般式(2)で表される分子骨格を有する化合物(B)及びエポキシ基を有する化合物(C)を含有してなる。
【0028】
本発明で用いられる光反応性組成物に含有される化合物(A)は、前記一般式(1)で表される官能基を有する化合物であって、Xで示される加水分解性を有する官能基(以下、加水分解性官能基と記す)が珪素原子に少なくとも2個以上結合した官能基構造を有する。上記化合物(A)は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。又、加水分解性官能基(X)が珪素原子に少なくとも2個以上結合した官能基構造とは、同じ珪素原子を介して加水分解性官能基(X)が複数個結合していても良いし、1分子中に珪素原子が2個以上ある場合には、各珪素原子に少なくとも1個以上の加水分解性官能基(X)が結合していても良い。
【0029】
上記加水分解性官能基(X)は、珪素原子と加水分解性官能基(X)との結合が加水分解反応により切断され得る官能基である。上記加水分解性官能基(X)としては、特に限定されるものではないが、例えば、アルコキシル基、オキシム基、アルケニルオキシ基、アセトキシ基等や、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン基等が挙げられ、中でも、貯蔵安定性と汎用性に優れることから、アルコキシル基が好適に用いられる。これらの加水分解性官能基(X)は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0030】
上記アルコキシル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。ジアルコキシシリル基又はトリアルコキシシリル基の場合には、同じアルコキシル基を用いても良いし、異なるアルコキシル基を組み合わせて用いても良い。又、種類の異なる加水分解性官能基(X)を組み合わせて用いても良いし、異なる化合物(A)を複数個組み合わせて用いても良い。更に、化合物(A)の加水分解性官能基(X)は、全て同じ種類のものであっても良いし、全て異なる種類のものであっても良い。
【0031】
前記一般式(1)で表される化合物(A)としては、特に限定されるものではないが、例えば、前記一般式(1−1)で表される官能基を1分子中に少なくとも1個以上有する化合物(A1)、又は、下記一般式(1−2)で表される珪素原子に加水分解性官能基(X)が1〜4個結合した分子骨格を有する化合物(A2)が好適に用いられる。但し、前記一般式(1−1)においてmが1である場合には、化合物(A1)は一般式(1−1)で表される官能基を1分子中に少なくとも2個以上有する。
【化7】
Figure 2004331926
(式中、mは1、2、3又は4の整数を示し、Rは炭化水素基を示し、Xは加水分解性官能基を示す)
【0032】
前記一般式(1−1)又は上記一般式(1−2)において、Rで示される炭化水素基としては、特に限定されるものではないが、例えば、脂肪族炭化水素基、不飽和脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。これらの炭化水素基(R)は、例えば、アミノ基、水酸基、エーテル基、エポキシ基、重合性不飽和基、ウレタン結合、ウレア基、イミド基、エステル結合等の架橋反応を阻害しない官能基又は結合を有していても良い。又、これらの炭化水素基(R)は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0033】
上記化合物(A1)としては、特に限定されるものではないが、例えば、プロピレングリコール、エチレングリコール、ブチレングリコールなどのアルキレングリコールをモノマーユニットとするポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリスチレン、ポリオレフィンなどのポリマー、これらのポリマーの共重合体であって、一般式(1−1)で表される官能基を有する重合体等が挙げられる。尚、これらのポリマーはオリゴマーであっても良い。これらの化合物(A1)は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0034】
上記化合物(A1)に含有される一般式(1−1)で表される官能基としては、特に限定されるものではないが、例えば、ジメトキシメチルシリル基、シクロヘキシルジメトキシシリル基、ジエトキシメチルシリル基、ジメトキシオクチルシリル基、ジエトキシビニルシリル基、クロロメチル(ジイソプロポキシ)シリル基、ジメトキシフェニルシリル基、ジエトキシフェニルシリル基、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、ジメトキシプロピルシリル基、イソブチルジメトキシシリル基、オクチルジメトキシシリル基、オクタデシルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基、エチルジエトキシシリル基、イソブチルジエトキシシリル基、オクチルジエトキシシリル基、ビニルジメトキシシリル基、ビニルジエトキシシリル基、アリルジエトキシシリル基、(3−クロロプロピル)ジメトキシシリル基、クロロメチルジエトキシシリル基、ビス(2−メトキシエトキシ)ビニルシリル基、3−グリシドキシプロピルジメトキシシリル基、ジエトキシ(3−グリシドキシプロピル)シリル基、ジメトキシ[2−(7−オキサビシクロ[4,1,0]−ヘプト−3−イル)エチル]シリル基、クロロジメトキシシリル基、クロロジエトキシシリル基、クロロビス(1,3−ジメチルブトキシ)−シリル基、クロロジエトキシシリル基、3−(トリエトキシシリル)−プロピオニトリル基、4−(トリエトキシシリル)−ブチロニトリル基、3−(トリエトキシシリル)−プロピルイソシアネート基、3−(トリエトキシシリル)−プロピルチオイソシアネート基、フェニルジメトキシシリル基、フェニルジエトキシシリル基、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリプロポキシシリル基、トリブトキシシリル基、1,2−ビス(メチルジクロロシリル)、ジアセトキシジフェニルシリル基、メチルトリス(エチルメチルケトオキシム)シリル基、メチルトリス(N,N−ジエチルアミノキシ)シリル基、ビス(エチルメチルケトオキシム)メチルイソプロポキシシリル基、ビス(エチルメチルケトオキシム)エトキシメチルシリル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシルエチル)トリメチルシリル基、トリス(1−メチルビニロキシ)ビニルシリル基、メチルトリイソプロペノキシシリル基、エチルトリアセトキシシリル基、メチルトリアセトキシシリル基、ジアセトキシジメチルシリル基、トリアセトキシビニルシリル基、テトラアセトキシシリル基、ジアセトキシメチルフェニルシリル基、ジメトキシエチルメチルケトオキシムメチルシリル基等が挙げられる。これらの一般式(1−1)で表される官能基は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0035】
上記化合物(A1)において、一般式(1−1)で表される官能基は、ポリマーの末端に位置していても良いし、ポリマーの側鎖に位置していても良い。又、ポリマーの末端と側鎖との両方に位置していても良い。
【0036】
上記化合物(A1)は、更に、重合性不飽和基を有することが好ましい。上記重合性不飽和基としては、特に限定されるものではないが、例えば、スチリル基、(メタ)アクリル基などのアニオン重合性基、スチリル基、ビニロキシ基などのカチオン重合性基、ラジカル重合性不飽和基等が挙げられ、中でも、ラジカル重合性不飽和基が好適に用いられる。これらの重合性不飽和基は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。尚、本発明で言う例えば(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルを意味する。
【0037】
上記ラジカル重合性不飽和基とは、ラジカルの攻撃を受けて生成したラジカルが、連鎖反応的に別の不飽和基を攻撃しラジカル又はラジカルが生成するような化学反応性を有する炭素−炭素二重結合以上の官能基を言う。このようなラジカル重合性不飽和基としては、上記化学反応性を有する炭素−炭素二重結合以上の官能基であれば如何なる官能基であっても良く、特に限定されるものではないが、中でも、(メタ)アクリロイル基が好適に用いられる。これらのラジカル重合性不飽和基は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0038】
上記化合物(A1)は、前記一般式(1−1)で表される官能基と上記ラジカル重合性不飽和基とを、複数個及び/又は複数種組み合わせた化合物であっても良い。又、複数の化合物(A1)を組み合わせて用いても良い。
【0039】
前記一般式(1−1)で表される官能基と上記ラジカル重合性不飽和基とを併せ持つ化合物(A1)としては、特に限定されるものではないが、例えば、N−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルメチルビス(トリメチルシロキシ)シラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3−アリルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルジメチルエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロペニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビンルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルジメチルイソペンテニルオキシシラン、ビニルジメチル−2−[(2−エトキシエトキシ)エトキシ]シラン、ビニルトリス(1−メチルビニルオキシ)シラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、フェニルビニルジエトキシシラン、ジフェニルビニルエトキシシラン、6−トリエトキシシリル−2−ノルボルネン、オクタ−7−エニルトリメトキシシラン、スチリルエチルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらの一般式(1−1)で表される官能基とラジカル重合性不飽和基とを併せ持つ化合物(A1)は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0040】
上記化合物(A2)としては、特に限定されるものではないが、例えば、ジメトキシジメチルシラン、シクロヘキシルジメトキシメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジメトキシメチルオクチルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、クロロメチル(ジイソプロポキシ)メチルシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、トリメトキシプロピルシラン、イソブチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、(3−クロロプロピル)トリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、トリス(2−メトキシエトキシ)ビニルシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ジエトキシ(3−グリシドキシプロピル)メチルシラン、トリメトキシ[2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]−ヘプト−3−イル)エチル]シラン、クロロトリメトキシシラン、クロロトリエトキシシラン、クロロトリス(1,3−ジメチルブトキシ)−シラン、ジクロロジエトキシシラン、3−(トリエトキシシリル)−プロピオニトリル、4−(トリエトキシシリル)−ブチロニトリル、3−(トリエトキシシリル)−プロピルイソシアネート、3−(トリエトキシシリル)−プロピルチオイソシアネート、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、1,3,5,7−テトラエトキシ−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラプロキシシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトライソプロポキシ−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラブトキシ−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタエトキシ−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘキサフェニルシクロトリシロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラフェニルシクロテトラシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルシクロトリシラザン、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルシクロテトラシラザン、1,7−ジアセトキシオクタメチルテトラシロキサン、1,7−ジクロロオクタメチルテトラシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−1,5−ジクロロトリシロキサン、1,3−ジクロロテトライソプロピルジシロキサン、1,3−ジエトキシテトラメチルジシロキサン、1,3−ジメトキシテトラメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジクロロジシロキサン、1,2−ビス(メチルジクロロシリル)エタン、ジアセトキシジフェニルシラン、メチルトリス(エチルメチルケトオキシム)シラン、メチルトリス(N,N−ジエチルアミノキシ)シラン、ビス(エチルメチルケトオキシム)メチルイソプロポキシシラン、ビス(エチルメチルケトオキシム)エトキシメチルシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシルエチル)トリメチルシラン、トリス(1−メチルビニロキシ)ビニルシラン、メチルトリイソプロペノキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、ジアセトキシジメチルシラン、トリアセトキシビニルシラン、テトラアセトキシシラン、ジアセトキシメチルフェニルシラン、ジメトキシエチルメチルケトオキシムメチルシラン等が挙げられる。これらの化合物(A2)は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。又、上記化合物(A1)及び化合物(A2)は、それぞれ単独で用いられても良いし、両者が併用されても良い。
【0041】
上記化合物(A)の市販品としては、特に限定されるものではないが、例えば、鐘淵化学工業社製の商品名「MSポリマー」シリーズとして「MSポリマーS−203」、「MSポリマーS−303」、「MSポリマーS−903」、「MSポリマーエピオン」等、同じく鐘淵化学工業社製の商品名「サイリル」シリーズとして「サイリルSAT−200」、「サイリルMA−403」、「サイリルMA−447」、「サイリルMA−903」等、旭硝子社製の商品名「エクセスター」シリーズとして「エクセスターESS−2410」、「エクセスターESS−2420」、「エクセスターESS−3630」等、チッソ社製のアセトキシ末端ポリジメチルシロキサン(商品名「PS363.5」)、ジメチルアミノ末端ポリジメチルシロキサン(商品名「PS383」)、エトキシ末端ポリジメチルシロキサン(商品名「PS393」)、ステアリロキシ末端ポリジメチルシロキサン(商品名「PS053.5」)、トリエトキシシリル変性ポリ(1,2−ブタジエン)(商品名「PS078.5」)、(N−トリメトキシシリルプロピル)ポリアザミド(商品名「PS075」)、(N−トリメトキシシリルプロピル)ポリエチレンイミン(商品名「PS076」)、(N−トリメトキシシリルプロピル)−O−ポリエチレンオキサイドウレタン(商品名「PS077」)等が挙げられる。
【0042】
本発明で用いられる光反応性組成物に含有される化合物(B)は、上記化合物(A)を光の照射により硬化させる機能を有するものであって、前記一般式(2)で表される分子骨格を有する化合物である。上記化合物(B)は、異なる一般式(2)で表される分子骨格を1分子中に複数組み合わせた化合物であっても良い。又、本発明で用いられる光反応性組成物においては、異なる一般式(2)で表される分子骨格を有する化合物を複数組み合わせて用いても良い。
【0043】
前記一般式(2)で表される分子骨格を有する化合物は、周期表のIVB族、VB族又はVIB族の原子、即ち、酸素、硫黄、窒素、リン及び炭素より選ばれる原子Yに対し、カルボニル基が2個結合した分子骨格を有する化合物であって、原子Yの置換基として原子Yの価数に応じ、適宜、水素基、炭化水素基、水酸基、メルカプト基、アミノ基、ハロゲン基、アルコキシル基、アルキルチオ基、カルボニルオキシ基又はオキソ基であるZを有する。
【0044】
上記Zとしての炭化水素基としては、特に限定されるものではないが、例えば、脂肪族炭化水素基、不飽和脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。尚、これらの炭化水素基は、例えば、アミノ基、水酸基、エーテル基、エポキシ基、重合性不飽和基、ウレタン結合、ウレア基、イミド基、エステル結合等の架橋反応を阻害しない官能基もしくは結合を有していても良い。
【0045】
前記一般式(2)で表される分子骨格としては、特に限定されるものではないが、例えば、下記一般式(2A)、下記一般式(2B)、下記一般式(2C)、下記一般式(2D)、下記一般式(2E)で表される官能基等が挙げられる。
【0046】
【化8】
Figure 2004331926
【0047】
又、上記化合物(B)としては、特に限定されるものではないが、例えば、下記一般式(2−1)で表される環状化合物や、下記一般式(2−1)のような同じ環状鎖の中に複数個の同種又は異種の前記一般式(2)で表される分子骨格を有する化合物等が挙げられる。更に、複数個の同種又は異種のこれら環状化合物を、適宜な有機基で結合した化合物や、複数個の同種又は異種のこれら環状化合物をユニットとして少なくとも1個以上含む双環化合物等が挙げられる。
【0048】
【化9】
Figure 2004331926
【0049】
上記一般式(2−1)中、nは2、3、4又は5の整数を示し、Yは周期表のIVB族、VB族又はVIB族の原子を示し、Zは水素基、炭化水素基、水酸基、メルカプト基、アミノ基、ハロゲン基、アルコキシル基、アルキルチオ基、カルボニルオキシ基又はオキソ基を示し、Aは有機基を示す。
【0050】
上記化合物(B)としては、Yが酸素の場合にあっては、特に限定されるものではないが、例えば、酢酸無水物、プロピオン酸無水物、ブチル酸無水物、イソブチル酸無水物、バレリック酸無水物、2−メチルブチル酸無水物、トリメチル酢酸無水物、ヘキサン酸無水物、ヘプタン酸無水物、デカン酸無水物、ラウリル酸無水物、ミリスチリル酸無水物、パルミチン酸無水物、ステアリル酸無水物、ドコサン酸無水物、クロトン酸無水物、アクリル酸無水物、メタクリル酸無水物、オレイン酸無水物、リノレイン酸無水物、クロロ酢酸無水物、ヨード酢酸無水物、ジクロロ酢酸無水物、トリフルオロ酢酸無水物、クロロジフルオロ酢酸無水物、トリクロロ酢酸無水物、ペンタフルオロプロピオン酸無水物、ヘプタフルオロブチル酸無水物、コハク酸無水物、メチルコハク酸無水物、2,2−ジメチルコハク酸無水物、イソブチルコハク酸無水物、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、ヘキサヒドロ−4−メチルフタル酸無水物、イタコン酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、マレイン酸無水物、2−メチルマレイン酸無水物、2,3−ジメチルマレイン酸無水物、1−シクロペンテン−1,2−ジカルボン酸無水物、グルタル酸無水物、1−ナフチル酢酸無水物、安息香酸無水物、フェニルコハク酸無水物、フェニルマレイン酸無水物、2,3−ジフェニルマレイン酸無水物、フタル酸無水物、4−メチルフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジ無水物、4,4’−(ヘキサフルオロプロピリデン)ジフタル酸無水物、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸無水物、1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸無水物等等や、マレイン酸無水物と(メタ)アクリレートとの共重合体、マレイン酸無水物とスチレンとの共重合体、マレイン酸無水物とビニルエーテルとの共重合体などのマレイン酸無水物と重合性不飽和基を有する化合物との共重合体等が挙げられる。これらのYが酸素の場合の化合物(B)は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0051】
このようなYが酸素の場合の化合物(B)の市販品としては、特に限定されるものではないが、例えば、旭電化工業社製の商品名「アデカハードナー」シリーズとして「アデカハードナーEH−700」、「アデカハードナーEH−703」、「アデカハードナーEH−705A」等、新日本理化社製の商品名「リカシッド」シリーズとして「リカシッドTH」、「リカシッドHT−1」、「リカシッドHH」、「リカシッドMH−700」、「リカシッドMH−700H」、「リカシッドMH」、「リカシッドSH」等、同じく新日本理化社製の商品名「リカレジン」シリーズとして「リカレジンTMEG」等、日立化成社製の商品名「HN」シリーズとして「HN−2000」、「HN−5000」等、油化シェルエポキシ社製の商品名「エピキュア」シリーズとして「エピキュア134A」、「エピキュアYH306」、「エピキュアYH307」、「エピキュアYH308H」等、住友化学工業社製の商品名「スミキュアー」シリーズとして「スミキュアーMS」等が挙げられる。
【0052】
上記化合物(B)としては、Yが硫黄の場合にあっては、特に限定されるものではないが、例えば、チオ酢酸無水物、チオプロピオン酸無水物、チオブチル酸無水物、チオイソブチル酸無水物、チオバレリック酸無水物、チオトリメチル酢酸無水物、チオヘキサン酸無水物、チオヘプタン酸無水物、チオデカン酸無水物、チオラウリル酸無水物、チオミリスチル酸無水物、チオパルミチン酸無水物、チオステアリル酸無水物、チオドコサン酸無水物、チオクロトン酸無水物、チオアクリル酸無水物、チオメタクリル酸無水物、チオオレイン酸無水物、チオリノレイン酸無水物、チオクロロ酢酸無水物、チオヨード酢酸無水物、チオジクロロ酢酸無水物、チオトリフルオロ酢酸無水物、チオクロロジフルオロ酢酸無水物、チオトリクロロ酢酸無水物、チオペンタフルオロプロピオン酸無水物、チオペンタフルオロブチル酸無水物、チオコハク酸無水物、チオメチルコハク酸無水物、チオイソブチルコハク酸無水物、チオイタコン酸無水物、チオマレイン酸無水物、チオグルタル酸無水物、チオフェニルコハク酸無水物、チオフェニルマレイン酸無水物、チオフタル酸無水物、チオ安息香酸無水物、チオジグリコール酸無水物、チオ乳酸無水物等が挙げられる。これらのYが硫黄の場合の化合物(B)は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0053】
上記化合物(B)としては、Yが窒素の場合にあっては、特に限定されるものではないが、例えば、コハク酸イミド、N−メチルコハク酸イミド、α,α−ジメチル−β−メチルコハク酸イミド、αメチル−α−プロピルコハク酸イミド、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−tert−ブチルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−(1−ピレニル)マレイミド、3−メチル−N−フェニルマレイミド、N,N’−1,2−フェニレンジマレイミド、N,N’−1,3−フェニレンジマレイミド、N,N’−1,4−フェニレンジマレイミド、N,N’−(4−メチル−1,3−フェニレン)ビスマレイミド、1,1’−(メチレンジ−1,4−フェニレン)ビスマレイミド、フタルイミド、N−メチルフタルイミド、N−エチルフタルイミド、N−プロピルフタルイミド、N−フェニルフタルイミド、N−ベンジルフタルイミド、ピロメリット酸ジイミド等や、N−アルキルマレイミドと(メタ)アクリレートとの共重合体、N−アルキルマレイミドとスチレンとの共重合体、N−アルキルマレイミドとビニルエーテルとの共重合体などのN−アルキルマレイミドと重合性不飽和基を有する化合物との共重合体等が挙げられる。これらのYが窒素の場合の化合物(B)は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0054】
上記化合物(B)としては、Yがリンの場合にあっては、特に限定されるものではないが、例えば、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイドなどのアシルホスフィンオキサイド等が挙げられる。これらのYがリンの場合の化合物(B)は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0055】
上記化合物(B)としては、Yが炭素の場合にあっては、特に限定されるものではないが、例えば、2,4−ペンタンジオン、3−メチル−2,4−ペンタンジオン、3−エチル−2,4−ペンタンジオン、3−クロロ−2,4−ペンタンジオン、1,1,1−トリフルオロ−2,4−ペンタンジオン、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ペンタンジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、1−ベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタンなどのジケトン類、ジメチルマロネート、ジエチルマロネート、ジメチルメチルマロネート、テトラエチル−1,1,2,2−エタンテトラカルボン酸などのポリカルボン酸エステル類、メチルアセチルアセトネート、エチルアセチルアセトネート、メチルプロピオニルアセテートなどのα−カルボニル−酢酸エステル類等が挙げられる。これらのYが炭素の場合の化合物(B)は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0056】
上記化合物(B)の中でも、前記化合物(A)の光の照射による硬化速度が速くなり、化合物(A)に対する溶解性にも優れていることから、カルボン酸無水物、カルボン酸イミド又はアシルホスフィンオキサイドが好適に用いられる。
【0057】
前記化合物(A)に対する上記化合物(B)の配合量は、特に限定されるものではないが、化合物(A)100重量部に対し、化合物(B)0.01〜30重量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜20重量部である。
【0058】
化合物(A)100重量部に対する化合物(B)の配合量が0.01重量部未満であると、光の照射による化合物(A)の硬化性が不十分となることがあり、逆に化合物(A)100重量部に対する化合物(B)の配合量が30重量部を超えると、光反応性組成物の光透過性が低下するため、光照射面のみが硬化し、深部硬化性が不十分となることがある。
【0059】
本発明で用いられる光反応性組成物に含有されるエポキシ基を有する化合物(C)は、光反応性組成物のプラスチック、金属、無機物等からなる難接着性の被着体に対する接着力や耐熱性等を著しく向上させる機能を有する。
【0060】
上記エポキシ基を有する化合物(C)としては、特に限定されるものではないが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、異節環状型エポキシ樹脂、多官能性エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ポリグリシジルアミン型エポキシ樹脂、例えば水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂などのアルコール型エポキシ樹脂、例えば臭素化エポキシ樹脂などのハロゲン化エポキシ樹脂、ゴム変成エポキシ樹脂、ウレタン変成エポキシ樹脂、エポキシシラン系化合物、グリシジルエステル系化合物、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体等が挙げられ、中でも、前記一般式(1−1)で表される官能基を有するエポキシ系化合物や1分子中に3個以上のエポキシ基を有するエポキシ系化合物が好適に用いられる。これらのエポキシ基を有する化合物(C)は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0061】
一般式(1−1)で表される官能基を有するエポキシ系化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。これらの一般式(1−1)で表される官能基を有するエポキシ系化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0062】
又、1分子中に3個以上のエポキシ基を有するエポキシ系化合物の内の市販品としては、特に限定されるものではないが、例えば、ジャパンエポキシレジン社製の商品名「エピコート」シリーズとして「エピコート152」、「エピコート154」、「エピコート604」等や、ダイセル化学社製の商品名「エポリード」シリーズとして「エポリードGT301」、「エポリードGT302」、「エポリードGT401」、「エポリードGT403」等が挙げられる。これらの1分子中に3個以上のエポキシ基を有するエポキシ系化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0063】
上記エポキシ基を有する化合物(C)の配合量は、特に限定されるものではないが、前記化合物(A)100重量部に対し、エポキシ基を有する化合物(C)0.1〜30重量部であることが好ましい。
【0064】
化合物(A)100重量部に対するエポキシ基を有する化合物(C)の配合量が0.1重量部未満であると、光反応性組成物の難接着性の被着体に対する接着力や耐熱性等が十分に向上しないことがあり、逆に化合物(A)100重量部に対するエポキシ基を有する化合物(C)の配合量が30重量部を超えると、光反応性組成物の難接着性の被着体に対する接着力や耐熱性等は十分に向上するものの、光反応性組成物の硬化体への好ましくない影響が大きくなり過ぎることがある。
【0065】
本発明で用いられる光反応性組成物は、光反応性を向上させるために、即ち、光の照射時間を短くし光の照射エネルギーを低くするために、又、光反応性組成物の深部まで速やかに硬化させるために、必要に応じて、光ラジカル発生剤を含有していても良い。
【0066】
上記光ラジカル発生剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、紫外線や可視光線等の光によりラジカルに分解する化合物、水素引き抜きによりラジカルを発生させる化合物、電子移動等のエネルギー移動によりラジカルを発生させる化合物等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリル酸エステル等に対してラジカル重合開始能を有する化合物が好適に用いられる。
【0067】
上記光ラジカル発生剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、α−ヒドロキシ−α,α’−ジメチルアセトフェノン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンなどのアセトフェノン誘導体化合物、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテルなどのベンゾインエーテル系化合物、ベンジルジメチルケタールなどのケタール誘導体化合物、ハロゲン化ケトン、アシルホスフィンオキシド、アシルホスフォナート、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−N,N−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(η5−シクロペンタジエニル)−ビス(ペンタフルオロフェニル)−チタニウム、ビス(η5−シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピリ−1−イル)フェニル]−チタニウム、アントラセン、ペリレン、コロネン、テトラセン、ベンズアントラセン、フェノチアジン、フラビン、アクリジン、ケトクマリン、チオキサントン誘導体、ベンゾフェノン、アセトフェノン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン等が挙げられる。これらの光ラジカル発生剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0068】
尚、市販されている光ラジカル重合開始剤を光ラジカル発生剤として用いても良い。又、ジアシルホスフィン化合物は光照射によりラジカルに分解する光ラジカル発生剤であると共に、分解後のラジカルを含めて前記一般式(2)で表される分子骨格を有しているので、前記化合物(B)と上記光ラジカル発生剤との両方を満たす化合物であり好ましい。
【0069】
上記光ラジカル発生剤の配合量は、特に限定されるものではないが、前記化合物(A)及び化合物(B)の合計量100重量部に対し、光ラジカル発生剤0.001〜10重量部であることが好ましい。
【0070】
化合物(A)及び化合物(B)の合計量100重量部に対する光ラジカル発生剤の配合量が0.001重量部未満であると、光ラジカル発生剤による光反応性向上効果を十分に得られないことがあり、逆に化合物(A)及び化合物(B)の合計量100重量部に対する光ラジカル発生剤の配合量が10重量部を超えると、光反応性組成物の光透過性が低下して、光が照射された表面のみが硬化し、深部硬化性が不十分になることがある。
【0071】
尚、光ラジカル発生剤がジアシルホスフィン化合物である場合の配合量は、特に限定されるものではないが、化合物(A)100重量部に対し、光ラジカル発生剤(ジアシルホスフィン化合物)0.001〜10重量部であることが好ましく、より好ましくは0.01〜5重量部である。
【0072】
本発明で用いられる光反応性組成物は、光反応性を更に向上させるために、必要に応じて、水素ラジカル供与剤を含有していても良い。
【0073】
上記水素ラジカル供与剤としては、水素ラジカルを引き抜かれ易く、フリーラジカル重合において連鎖移動性を示す化合物であれば良く、特に限定されるものではないが、例えば、n−ブチルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、シクロヘキシルメルカプタン、1,6−ヘキサンジチオールなどのチオール類、ジ−n−ブチルジスルフィド、ジ−n−ブチルスルフィド、テトラヒドロチオフェン、ペンタメチレンスルフィド、1,4−ジチアン、ジフェニルスルフィドなどのスルフィド類、トルエン、キシレン、メシチレン、イソプロピルベンゼン、エチルベンゼン、ベンジルメチルエーテルなどのアリール位に水素を有する化合物、トリエチルアミン、ブチルアミン、アニリン、メチルアニリン、ジ(p−アミノフェニル)メタンなどのアミン類、n−ブチルアイオダイド、n−ブチルブロマイド、n−ブチルクロライド、2−クロロブタン、クロロホルムなどのハロゲン化アルキル類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、アニソール、ジフェニルエーテルなどのエーテル類、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリンなどのアルコール類、酢酸、プロピオン酸、酪酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸、安息香酸、フタル酸などのカルボン酸類、アセトン、メチルエチルケトン、アセチルベンゼン、ジアセチルベンゼンなどのケトン類、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、t−ブチルベンゼンなどの炭化水素類等が挙げられる。これらの水素ラジカル供与剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0074】
上記水素ラジカル供与剤の配合量は、特に限定されるものではないが、前記化合物(A)及び化合物(B)の合計量100重量部に対し、水素ラジカル供与剤0.1〜20重量部であることが好ましい。
【0075】
化合物(A)及び化合物(B)の合計量100重量部に対する水素ラジカル供与剤の配合量が0.1重量部未満であると、水素ラジカル供与剤による光反応性向上効果を十分に得られないことがあり、逆に化合物(A)及び化合物(B)の合計量100重量部に対する水素ラジカル供与剤の配合量が20重量部を超えると、光反応性組成物の硬化体の凝集力が不十分となることがある。
【0076】
本発明で用いられる光反応性組成物は、更に、前記化合物(A)の加水分解・縮合反応を促進させるために、必要に応じて、有機金属化合物を含有していても良い。本発明で用いられる光反応性組成物は、例えば、光反応性組成物を気密性の容器に封入して貯蔵したり、開封後短時間のあいだに使い切ったりする場合や、光反応性組成物の貯蔵時や供給時に湿気を遮断する工夫が施された塗工装置を利用する場合に、偶発的又は必然的に光非照射部が発生する状況において用いられる場合がある。このような場合に有機金属化合物を配合すれば、光照射後の化合物(A)の反応を促進させることができる。又、光非照射部ももれなく反応させることができる。
【0077】
上記有機金属化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、ゲルマニウム、錫、鉛、硼素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、チタニウム、ジルコニウムなどの金属元素と有機基とを置換してなる有機金属化合物等が挙げられ、その具体例としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫フタレート、ビス(ジブチル錫ラウリン酸)オキサイド、ジブチル錫ビスアセチルアセトナート、ジブチル錫ビス(モノエステルマレート)、オクチル酸錫、ジブチル錫オクトエート、ジオクチル錫オキサイドなどの錫化合物、テトラ−n−ブトキシチタネート、テトライソプロポキシチタネートなどのチタネート系化合物等が挙げられる。これらの有機金属化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0078】
上記有機金属化合物の配合量は、特に限定されるものではないが、前記化合物(A)100重量部に対し、有機金属化合物0.01〜10重量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜8重量部である。
【0079】
化合物(A)100重量部に対する有機金属化合物の配合量が0.01重量部未満であると、光照射後の化合物(A)の反応促進を期待できなくなることがあり、逆に化合物(A)100重量部に対する有機金属化合物の配合量が10重量部を超えると、光照射後の反応促進はするものの、光反応性組成物の硬化体への好ましくない影響が著しく現れるようになることがある。
【0080】
本発明で用いられる光反応性組成物は、更に、必要に応じて、重合性基を有する化合物(以下、重合性化合物と記す)を含有していても良い。前記化合物(A)と前記化合物(B)との特定の組み合わせにおいては、光照射した後、暫くしてから硬化体が生成する場合があり、光照射直後には所望の凝集力が不足し、光照射直後からの利用に制限が加わるといった問題がある。しかし、上記重合性化合物を配合することにより、光照射直後の凝集力をより高めることができる。
【0081】
上記重合性化合物における重合性基としては、ラジカル重合性不飽和基又はカチオン重合性基が好適に用いられる。
【0082】
上記ラジカル重合性不飽和基としては、特に限定されるものではないが、例えば、(メタ)アクリロイル基、スチリル基、ビニルエステル基、ビニロキシ基、アリル基、イソプロペニル基、ビニロキシカルボニル基、ビニルカルボニル基、N−ビニルアミノ基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好適に用いられる。これらのラジカル重合性不飽和基は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0083】
上記(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−3−メチルブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、2−[(メタ)アクリロイルオキシ]エチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、2−[(メタ)アクリロイルオキシ]エチル−2−ヒドロキシプロピルフタル酸等や、下記一般式(3)、下記一般式(4)、下記一般式(5)、下記一般式(6)、下記一般式(7)、下記一般式(8)、下記一般式(9)、下記一般式(10)、下記一般式(11)、下記一般式(12)、下記一般式(13)、下記一般式(14)、下記一般式(15)、下記一般式(16)、下記一般式(17)、下記一般式(18)、下記一般式(19)、下記一般式(20)、下記一般式(21)、下記一般式(22)で表される化合物等が挙げられる。これらの(メタ)アクリロイル基を有する化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0084】
【化10】
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【0085】
【化11】
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【0086】
【化12】
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【0087】
【化13】
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【0088】
【化14】
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【0089】
【化15】
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【0090】
【化16】
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【0091】
【化17】
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【0092】
【化18】
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【0093】
【化19】
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【0094】
【化20】
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【0095】
【化21】
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【0096】
【化22】
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【0097】
【化23】
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【0098】
【化24】
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【0099】
【化25】
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【0100】
【化26】
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【0101】
【化27】
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【0102】
【化28】
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【0103】
【化29】
Figure 2004331926
【0104】
上記スチリル基を有する化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、スチレン、インデン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−クロロメチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−tert−ブトキシスチレン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。これらのスチリル基を有する化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0105】
上記ビニルエステル基を有する化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、安息香酸ビニル、珪皮酸ビニル等が挙げられる。これらのビニルエステル基を有する化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0106】
上記ビニロキシ基を有する化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、tert−アミルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、エチレングリコールブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールメチルビニルエーテル、安息香酸(4−ビニロキシ)ブチル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ブタン−1,4−ジオール−ジビニルエーテル、ヘキサン−1,6−ジオール−ジビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール−ジビニルエーテル、イソフタル酸ジ(4−ビニロキシ)ブチル、グルタル酸ジ(4−ビニロキシ)ブチル、コハク酸ジ(4−ビニロキシ)ブチルトリメチロールプロパントリビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール−モノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル−3−アミノプロピルビニルエーテル、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチルビニルエーテル、ウレタンビニルエーテル、ポリエステルビニルエーテル等が挙げられる。これらのビニロキシ基を有する化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0107】
上記カチオン重合性基とは、プロトン酸やルイス酸のような酸の存在下で連鎖反応的に重合や架橋を起こす官能基のことであり、前記化合物(C)中に存在するエポキシ基もカチオン重合性基の範疇に属するが、エポキシ基以外のカチオン重合性基としては、特に限定されるものではないが、例えば、スチリル基、オキセタニル基、ビニロキシ基等が挙げられる。これらのカチオン重合性基は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0108】
上記スチリル基を有する化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、スチレン、インデン、αーメチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−クロロメチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−tert−ブトキシスチレン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。これらのスチリル基を有する化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0109】
上記オキセタニル基を有する化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−フェノキシメチルオキセタン、3−エチル−3−へキシルオキシメチルオキセタン、1,4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシメチル)ベンゼン等が挙げられる。これらのオキセタニル基を有する化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0110】
上記ビニロキシ基を有する化合物として、特に限定されるものではないが、例えば、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、tert−アミルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、エチレングリコールブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールメチルビニルエーテル、安息香酸(4−ビニロキシ)ブチル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ブタン−1,4−ジオール−ジビニルエーテル、ヘキサン−1,6−ジオール−ジビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール−ジビニルエーテル、イソフタル酸ジ(4−ビニロキシ)ブチル、グルタル酸ジ(4−ビニロキシ)ブチル、コハク酸ジ(4−ビニロキシ)ブチルトリメチロールプロパントリビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール−モノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、3−アミノプロピルビニルエーテル、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチルビニルエーテル、ウレタンビニルエーテル、ポリエステルビニルエーテル等が挙げられる。これらのビニロキシ基を有する化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0111】
上記重合性化合物として上記カチオン重合性基を有する化合物を選択する場合には、上記重合性化合物は、更に、前記一般式(1−1)で表される官能基を有していても良い。即ち、上記重合性化合物は、カチオン重合性基と一般式(1−1)で表される官能基とを併せ持つ化合物であって、複数個、複数種のカチオン重合性基と一般式(1−1)で表される官能基とが組み合わされて含まれる化合物であっても良い。
【0112】
このような重合性化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、トリメトキシ[2−(7−オキサビシクロ[4,1,0]−ヘプト−3−イル)エチル]シラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジイソプロピルエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジイソプロペノキシシラン、スチリルエチルトリメトキシシラン、3−(3−テトラエトキシシリルプロポキシ)メチル−3−エチルオキセタン等が挙げられる。これらの重合性化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0113】
又、上記重合性化合物として上記カチオン重合性基を有する化合物を選択する場合には、本発明で用いられる光反応性組成物は、更に、光照射によりカチオン重合性基を有する化合物を重合又は架橋させる化合物を含有していても良い。
【0114】
このような化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、鉄−アレン錯体化合物、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、ピリジニウム、アルミニウム錯体−シラノール塩、ハロゲン化アルキル置換トリアジン誘導体、トリフルオロメタンスルホン酸−N−イミドエステル誘導体、ベンゼンスルホン酸−N−イミドエステル誘導体、メタンスルホン酸−N−イミドエステル誘導体、トリブロモメチルフェニルスルホン誘導体等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0115】
又、これらの化合物の市販品としては、特に限定されるものではないが、例えば、チバスペシャルティケミカルズ社製の商品名「イルガキュア−261」、旭電化工業社製の商品名「オプトマー」シリーズとして「オプトマーSP−150」、「オプトマーSP−151」、「オプトマーSP−170」、「オプトマーSP−171」等、ゼネラルエレクトロニクス社製の商品名「UVE−1014」、サートマー社製の商品名「CD−1012」、三新化学工業社製の商品名「サンエイド」シリーズとして「サンエイドSI−60L」、「サンエイドSI−80L」、「サンエイドSI−100L」等、日本曹達社製の商品名「CI」シリーズとして「CI−2064」、「CI−2481」、「CI−2624」、「CI−2639」等、ローヌプーラン社製の商品名「RHODORSIL PHOTOINITIATOR 2074」、ユニオンカーバイド社製の商品名「UVIー6990」、ミドリ化学社製の商品名「BBIー103」、「MPIー103」、「TPSー103」、「MDSー103」、「DTSー103」、「NATー103」、「NDSー103」等が挙げられる。
【0116】
上記光照射によりカチオン重合性基を有する化合物を重合又は架橋させる化合物の配合量は、特に限定されるものではないが、カチオン重合性基を有する化合物100重量部に対し、上記化合物0.01〜30重量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜20重量部である。
【0117】
カチオン重合性基を有する化合物100重量部に対する上記化合物の配合量が0.01重量部未満であると、光反応性を示すことが困難となることがあり、逆にカチオン重合性基を有する化合物100重量部に対する上記化合物の配合量が30重量部を超えると、光反応性組成物の光透過性が低下して、光が照射された表面のみが反応(重合又は架橋)し、深部反応性が不十分となることがある。
【0118】
上記重合性化合物の配合量は、特に限定されるものではないが、前記化合物(A)10〜99重量部に対し、重合性化合物1〜90重量部であることが好ましい。重合性化合物の配合量が1重量部未満であると、光反応性組成物の硬化体の凝集力発現が困難となることがあり、逆に重合性化合物の配合量が90重量部を超えると、光反応性組成物の硬化体の強度が不十分となることがある。
【0119】
本発明で用いられる光反応性組成物が上記重合性化合物を含有する場合には、光反応性組成物の使用時に偶発的又は必然的な光非照射部の発生によって未反応の重合性化合物を残さないようにするために、更に、重合性化合物の重合開始剤を含有していても良い。
【0120】
上記重合性化合物の重合開始剤としては、重合性化合物がラジカル重合性不飽和基を有する化合物の場合にあっては、熱ラジカル発生剤や嫌気性条件下で加熱するとラジカルを発生する嫌気性ラジカル発生剤が挙げられる。又、重合性化合物がカチオン重合性基を有する化合物の場合にあっては、熱活性によりカチオン重合性基を重合させる化合物、例えば、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、アンモニウム塩などのオニウム塩や、3フッ化ホウ素トリエチルアミン錯体、3フッ化ホウ素ピリジン錯体などのルイス酸−ルイス塩基錯体等が挙げられる。更に、重合性化合物がエポキシ基を有する化合物(C)の場合にあっては、ジシアンジアミドやケチミン等の熱又は湿気によりアミンを発生する化合物が挙げられる。これらの重合開始剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0121】
上記熱ラジカル発生剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、有機過酸化物、即ち、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、tert−ヘキシルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド類、α,α’−ビス(tert−ブチルペルオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、ジキュミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、tert−ブチルキュミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3などのジアルキルパーオキサイド類、ケトンパーオキサイド類、パーオキシケタール類、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシジカーボネート類、パーオキシエステル類等の有機過酸化物や、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ化合物等が挙げられる。これらの熱ラジカル発生剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0122】
上記嫌気性ラジカル発生剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、キュメンハイドロパーオキサイドとベンゾキノンとの混合物などの有機過酸化物とキノン化合物との混合物等が挙げられる。これらの嫌気性ラジカル発生剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0123】
本発明で用いられる光反応性組成物は、必要に応じて、例えば、粘接着性を向上させるための粘接着性付与剤(タッキファイヤー)、粘度を調整するための粘度調整剤、チキソトロープ性(揺変性)を付与するためのチキソトロープ剤(揺変性付与剤)、引っ張り特性等を改善するための物性調整剤、増量剤、補強剤、可塑剤(軟化剤)、前記化合物(B)や光ラジカル発生剤に対する感光性増感剤、タレ防止剤、酸化防止剤(老化防止剤)、熱安定剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、香料、有機溶剤等の公知の機能を有する各種配合剤(添加剤)の1種類もしくは2種類以上を含有していても良い。
【0124】
上記粘接着性付与剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ガムロジン、トールロジン、ウッドロジン、不均斉化ロジン、重合ロジン、これらロジンのグリセリンエステルやペンタエリスリトールエステル、これらの水素添加物などのロジン系樹脂、テルペン樹脂、炭化水素変性テルペン樹脂、これらの水素添加物などのテルペン系樹脂、テルペンフェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂の水素添加物などのテルペンフェノール系樹脂、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、共重合系石油樹脂、ジシクロペンタジエン系石油樹脂、ピュアーモノマー系石油樹脂、これらの水素添加物などの石油系樹脂、スチレン系樹脂、クマロンインデン系樹脂、アルキルフェノール系樹脂、キシレン系樹脂、ダンマル、コーパル、シェラック等が挙げられる。これらの粘接着性付与剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0125】
上記粘度調整剤としては、前記化合物(A)との相溶性の良い高分子化合物から選択されることが好ましく、特に限定されるものではないが、例えば、アクリルゴムなどの(メタ)アクリル系高分子、ポリビニルアルコール誘導体、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン誘導体、ポリエステル類、ポリエーテル類、ポリイソブテン、ポリオレフィン類、ポリアルキレンオキサイド類、ポリウレタン類、ポリアミド類、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブチルゴム、エピクロルヒドリンゴム、NBR、SBS、SIS、水添NBR、水添SBS、水添SIS等や、これらの共重合体や官能基変成体等が挙げられる。これらの粘度調整剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0126】
上記チキソトロープ剤としては、前記化合物(A)に対して親和性の高い表面を有するものから選択されることが好ましく、特に限定されるものではないが、例えば、コロイダルシリカ、ポリビニルピロリドン、疎水化炭酸カルシウム、ガラスバルーン、ガラスビーズ等が挙げられる。これらのチキソトロープ剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0127】
上記物性調整剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N’−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ヘキサエチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ヘキサエチレンジアミンなどのシランカップリング剤、イソプロピルトリスイソステアロイルチタネート、イソプロピル−n−ドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルピロホシフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトライソプロピルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジ−トリドデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネートなどのチタンカップリング剤、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスファイト、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどのポリイソシアネート化合物等が挙げられる。これらの物性調整剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0128】
上記増量剤としては、光反応性組成物中に配合してチキソトロープ性を発現しないものから選択されることが好ましく、特に限定されるものではないが、例えば、タルク、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水シリカ、含水シリカ、ケイ酸カルシウム、二酸化チタン、カーボンブラック等が挙げられる。これらの増量剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0129】
上記補強剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ガラスバルーン、アルミナバルーン、セラミックスバルーンなどの無機中空体、塩化ビニリデンバルーン、アクリルバルーンなどの有機中空体、ナイロンビーズ、アクリルビーズ、シリコーンビーズ、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体粒子、末端カルボキシル化アクリロニトリル−ブタジエン共重合体粒子などの有機球状体、ガラス、ポリエステル、レーヨン、ナイロン、セルロースなどの単繊維等が挙げられる。これらの補強剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0130】
上記可塑剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、リン酸トリブチル、リン酸トリクレジルなどのリン酸エステル類、フタル酸ジオクチルなどのフタル酸エステル類、グリセリンモノオレイル酸エステルなどの脂肪酸−塩基酸エステル類、アジピン酸ジオクチルなどの脂肪酸二塩基酸エステル類、ポリプロピレングリコール類等が挙げられる。これらの可塑剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0131】
本発明で用いられる光反応性組成物の製造方法は、特別なものではなく、例えば、万能ミキサー、バンバリーミキサー、ニーダー、2本ロール、3本ロール、押出機等の公知の各種混練機を単独で用いるか又は併用して、必須成分である化合物(A)、化合物(B)及びエポキシ基を有する化合物(C)の各所定量と、含有していても良いその他の各種成分の1種類もしくは2種類以上の各所定量とを、常温下もしくは加熱下で、常圧下、減圧下、加圧下もしくは不活性ガス気流下等の条件下で均一に混練することにより、所望の光反応性組成物を作製することができる。
【0132】
本発明の接着構造体は、一方の被着体、接着剤層及び他方の被着体がこの順に積層されてなる接着構造体であって、上記接着剤層が、上述した光反応性組成物から形成されてなる。
【0133】
本発明の接着構造体においては、一方又は双方の被着体の接着面にイソシアネート基を有する化合物(D)からなるプライマー層が形成されていても良い。特に、一方又は双方の被着体が、例えば、ポリエステル系樹脂やポリイミド系樹脂からなる難接着性の被着体である場合には、この被着体の接着面に上記イソシアネート基を有する化合物(D)からなるプライマー層を形成することにより、この被着体に対する密着性や接着力を著しく向上させることができる。
【0134】
上記イソシアネート基を有する化合物(D)としては、特に限定されるものではないが、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、ビス(4−イソシアネートシクロヘキシル) メタン、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェイト、キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−(イソシアネートメチル)シクロキサン、及び、これらのアダクト体、イソシアヌレート体、プレポリマー、オリゴマー、ビウレット体、共重合体、ウレトジオン等が挙げられる。これらのイソシアネート基を有する化合物(D)は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。又、これらのイソシアネート基を有する化合物(D)は、必要に応じて、例えば、酢酸エチルや酢酸ブチル等の有機溶剤で溶解もしくは希釈されていても良い。
【0135】
このようなイソシアネート基を有する化合物(D)として、特に限定されるものではないが、例えば、三井東圧化学社製の商品名「コスモネート」、住化バイエルウレタン社製の商品名「スミジュール」や「デスモジュール」、日本ポリウレタン社製の商品名「コロネート」や「ミリオネート」、武田薬品工業社製の商品名「タケネート」や「タケラック」、旭化成社製の商品名「デュラネート」等の市販品を用いても良い。
【0136】
本発明の接着構造体において、接着剤層形成用の接着剤として用いられる光反応性組成物に光を照射する際に利用できる光源としては、光源が発する光により光反応性組成物が光活性を示し、前記化合物(A)の光反応により硬化体が生成する光源であれば良く、特に限定されるものではない。又、光反応性組成物の種類や接着構造体の用途等に対応して光源を適宜選択しても良い。
【0137】
このような光源の好適な例としては、前記化合物(B)に起因する光反応性組成物の吸収する波長を含む光を発する光源が挙げられる。又、光ラジカル発生剤を含有する光反応性組成物については、化合物(B)及び光ラジカル発生剤の双方に起因する光反応性組成物の吸収する波長を含む光を発する光源であることが好ましい。
【0138】
このような光源として、複数の光源を組み合わせて用いる場合には、各種の光源からの光を同時に光反応性組成物に照射することが好ましい。又、それぞれの光源からの光を順番に照射しても良いし、それぞれの光源からの光を交互に照射しても良い。
【0139】
上記光源の具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、エキシマレーザー、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ、ナトリウムランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、蛍光灯、太陽光、電子線照射装置等が挙げられる。これらの光源の使用に際しては、例えばフィルター等を用いて不要な波長成分を低減もしくは除去しても良いし、各種光源を組み合わせて用いても良い。又、各種光源の光反応性組成物への照射手順としては、例えば、各種光源の同時照射、時間差をおいての逐次照射、同時照射と逐次照射との組み合わせ照射等が挙げられ、いずれの照射手順を採っても良い。
【0140】
本発明の接着構造体を構成する被着体は、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエステル、ポリイミド、ABS、ポリ塩化ビニル、ポリ(メタ)アクリレート、ポリカーボネート、エポキシ、ガラスエポキシ、ポリスチレン、ポリアミド、変成ポリフェニレンエーテル、フェノール、ポリアセタール、ポリエチレン、ポリプロピレン、メラミンなどのプラスチック系被着体、アルミニウム、銅、鉄、亜鉛、SUS、マグネシウム合金、チタン、ニッケルなどの金属系被着体、モルタル、スレート、ガラスなどの無機物質系被着体、木材などの木質系被着体等の如何なる被着体であっても良いが、中でも、一般的な接着剤では接着力を発現し難い難接着性の被着体、特にポリエステル系樹脂やポリイミド系樹脂からなる難接着性の被着体が好ましく用いられる。
【0141】
上記ポリエステル系樹脂からなる被着体(以下、ポリエステル系被着体と記す)としては、ポリエステル系樹脂からなる成形品であれば良く、特に限定されるものではないが、例えば、フィルム、シート、板、成形体、糸、織布、不織布等の定形もしくは不定形の各種ポリエステル系成形品が挙げられる。
【0142】
上記ポリエステル系樹脂とは、多塩基酸と多価アルコールとの反応によって得られる主鎖にエステル結合を有する樹脂の総称であり、その具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンテレフタレート共重合体(PETG)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート、ポリエステルイミド等が挙げられる。
【0143】
上記ポリイミド系樹脂からなる被着体(以下、ポリイミド系被着体と記す)としては、ポリイミド系樹脂からなる成形品であれば良く、特に限定されるものではないが、例えば、フィルム、シート、板、成形体、糸、織布、不織布等の定形もしくは不定形の各種ポリイミド系成形品が挙げられる。
【0144】
上記ポリイミド系樹脂とは、テトラカルボン酸又はその二無水物とジアミンとの反応によって得られる主鎖にイミド結合を有する樹脂の総称である。
【0145】
上記テトラカルボン酸又はその二無水物としては、特に限定されるものではないが、例えば、無水ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらのテトラカルボン酸又はその二無水物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0146】
又、上記ジアミンとしては、特に限定されるものではないが、例えば、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,4−ジアミノベンゼン等が挙げられる。これらのジアミンは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0147】
上記プラスチック系被着体には、必要に応じて、例えば、可塑剤、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤等の各種配合剤の1種類もしくは2種類以上が配合されていても良い。
【0148】
又、上記プラスチック系被着体の接着面には、予めコロナ放電処理やプラズマ放電処理等の前処理(下地処理)が施されていても良い。尚、上記プラスチック系被着体には、例えば、フラットプリントケーブル(FPC)等の基材表面がプラスチックにより被覆もしくはコーティングされている場合も含まれる。
【0149】
次に、本発明の接着構造体の製造方法は、上述した本発明の接着構造体の製造方法であって、先ず、本発明の接着構造体を構成する被着体の内の少なくとも一方の被着体の接着面に前述した光反応性組成物を常法により塗布した後、上記光反応性組成物の塗布面に光を照射した後に他方の被着体と貼り合わせるか、又は、他方の被着体と貼り合わせた後に上記光反応性組成物の塗布面に光を照射することにより、一方の被着体、光反応性組成物からなる接着剤層及び他方の被着体をこの順に積層して、接着構造体とする。
【0150】
本発明で用いられる光反応性組成物は、前記化合物(A)と前記化合物(B)との配合割合を変化させる等の手段により、光反応性(光反応速度)を調節することが可能なので、光後硬化性組成物とすることができる。従って、上記のように、少なくとも一方の被着体の接着面に塗布された光反応性組成物に先ず光を照射した後に、被着体同士を貼り合わせることができる。
【0151】
又、被着体の少なくとも一方が光透過性の被着体である場合には、少なくとも一方の被着体の接着面に光反応性組成物を塗布し、次いで、被着体同士を貼り合わせた後に、上記光透過性の被着体を介して光照射を行っても良い。
【0152】
又、双方の被着体の接着面に光反応性組成物を塗布し、この光反応性組成物に光照射を行って接着剤層を形成した後に、この接着剤層が適度の粘着性を有している間に双方の被着体の接着剤層同士を貼り合わせる、所謂コンタクト接着方式を採っても良い。
【0153】
更に、光反応性組成物の塗布に先立って、予め一方又は双方の被着体の接着面に前記イソシアネート基を有する化合物(D)からなるプライマー層を形成した後に、上記いずれかの方法を採って、接着構造体としても良い。
【0154】
【作用】
本発明の接着構造体は、接着剤層が、前記一般式(1)で表される官能基を有する化合物(A)、前記一般式(2)で表される分子骨格を有する化合物(B)及び前記エポキシ基を有する化合物(C)を含有してなる光反応性組成物から形成されているので、被着体の一方又は双方がプラスチック、金属、無機物等からなる難接着性の被着体である場合でも著しく優れた接着力を発現する。
【0155】
又、上記光反応性組成物は、完全に硬化するまで継続的に光を照射する必要がなく、一旦光が照射されると光照射後もその重合反応又は架橋反応が持続するので、光照射を終了した後の時間経過に伴って硬化が進行する後硬化性を有している。従って、本発明の接着構造体が光を照射し難い構造である場合や、本発明の接着構造体を構成する被着体の双方が光透過性に劣る場合や、被着体の内の少なくとも一方が光によって劣化を来たし易い場合等のように、光反応性組成物が完全に硬化するまで継続的に光を照射することが困難である場合でも、本発明の接着構造体は優れた接着力を発現するものとなる。
【0156】
本発明の接着構造体の製造方法によれば、上記光反応性組成物の塗布面に光を照射した後に被着体同士を貼り合わせるか、又は、光反応性組成物を塗布した被着体同士を貼り合わせた後に光反応性組成物の塗布面に光を照射する手順を採るので、上記優れた性能を有する本発明の接着構造体を効率的且つ簡便に作製することができる。
【0157】
【発明の実施の形態】本発明を更に詳しく説明するため以下に実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0158】
(実施例1)
一般式(1)で表される官能基を有する化合物(A)として商品名「エクセスターESS−3630」(旭硝子社製)100重量部、一般式(2)で表される分子骨格を有する化合物(B)として無水マレイン酸(和光純薬工業社製)5重量部、同じく一般式(2)で表される分子骨格を有する化合物(B)としてビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(商品名「イルガキュア819」、チバスペシャルティケミカルズ社製)1重量部、エポキシ基を有する化合物(C)としてβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(商品名「サイラエースS530」、1分子中に脂環式エポキシ基を1個含有、チッソ社製)4重量部及び増量剤として炭酸カルシウム(商品名「ビスコライトU」、白石カルシウム社製)70重量部を、適宜の加熱下で、均一に攪拌混練して、光反応性組成物を調製した。
【0159】
(実施例2)
光反応性組成物の調製において、エポキシ基を有する化合物(C)として、「サイラエースS530」4重量部の代わりに、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名「サイラエースS510」、1分子中に脂環式エポキシ基を1個含有、チッソ社製)4重量部を配合したこと以外は実施例1の場合と同様にして、光反応性組成物を調製した。
【0160】
(実施例3)
光反応性組成物の調製において、エポキシ基を有する化合物(C)として、「サイラエースS530」4重量部の代わりに、1分子中に脂環式エポキシ基を3個有しているエポキシ系化合物(商品名「エポリードGT403」、ダイセル化学社製)5重量部を配合したこと以外は実施例1の場合と同様にして、光反応性組成物を調製した。
【0161】
(実施例4)
光反応性組成物の調製において、エポキシ基を有する化合物(C)としての「サイラエースS530」の配合量を5重量部としたこと以外は実施例1の場合と同様にして、光反応性組成物を調製した。
【0162】
(比較例1)
光反応性組成物の調製において、エポキシ基を有する化合物(C)としての「サイラエースS530」を配合しなかったこと以外は実施例1の場合と同様にして、光反応性組成物を調製した。
【0163】
実施例1、実施例2及び比較例1で得られた光反応性組成物を用いて作製した接着構造体の性能(▲1▼引張剪断強度、▲2▼引張強度)を以下の測定方法で評価した。その結果は表1に示すとおりであった。
【0164】
▲1▼引張剪断強度の測定方法
幅30mm×長さ100mm×厚み5mmの同種の一方の被着体の接着面に光反応性組成物を接着面積が30mm×30mm、塗布厚みが0.35mmとなるように塗布し、この塗布面に、高圧水銀灯(商品名「TOSCURE401」、東芝ライテック社製)を用いて、波長365nmにおけるエネルギー量が500mJ/cmの紫外線を照射した後、即ち、波長365nmにおける照射強度が8.3mW/cmの紫外線を60秒間照射した後、幅30mm×長さ100mm×厚み5mmの同種の他方の被着体の接着面を貼り合わせて、同種の被着体同士が接着されてなる接着構造体を作製した。次いで、上記で得られた接着構造体を20℃−50%RHの雰囲気下で所定時間養生した後、クロスヘッド速度5mm/分の条件で、引張剪断試験を行って、最大応力から引張剪断強度(N/cm)を求めた。尚、上記被着体としては、アルミニウム板、銅板、鉄板、亜鉛板、SUS板、ABS樹脂板、塩化ビニル樹脂板、ガラスエポキシ板の8種類の被着体を用いた。
【0165】
▲2▼引張強度の測定方法
幅30mm×長さ100mm×厚み5mmの同種の一方の被着体の接着面に光反応性組成物を接着面積が30mm×30mm、塗布厚みが0.35mmとなるように塗布し、この塗布面に、高圧水銀灯「TOSCURE401」を用いて、波長365nmにおけるエネルギー量が500mJ/cmの紫外線を照射した後、即ち、波長365nmにおける照射強度が8.3mW/cmの紫外線を60秒間照射した後、幅30mm×長さ100mm×厚み5mmの同種の他方の被着体の接着面を十文字状に貼り合わせて、同種の被着体同士が接着されてなる接着構造体を作製した。次いで、上記で得られた接着構造体を20℃−50%RHの雰囲気下で所定時間養生した後、クロスヘッド速度5mm/分の条件で、引張試験を行って、最大応力から引張強度(N/cm)を求めた。尚、上記被着体としては、アルミニウム板、銅板、鉄板、亜鉛板、SUS板、ABS樹脂板、塩化ビニル樹脂板、ガラスエポキシ板の8種類の被着体を用いた。
【0166】
次に、実施例3、実施例4及び比較例1で得られた光反応性組成物を用いて作製した接着構造体の性能(▲3▼T型剥離強度)を以下の測定方法で評価した。その結果は表1に示すとおりであった。
【0167】
▲3▼T型剥離強度の測定方法
被着体としてPETフィルム(商品名「PET501L」、厚み0.05mm、リンテック社製)、PENフィルム(商品名「テオネックス」、厚み0.05mm、帝人デュポン社製)、PETGフィルム(厚み0.05mm)、ポリイミドフィルム(商品名「ユーピレックス」、厚み0.05mm、宇部興産社製)及びポリイミド被覆FPCを用い、イソシアネート基を有する化合物(D)としてトリス(フェニルイソシアネート)チオホスフェイトの27重量%酢酸エチル溶液(商品名「デスモジュールRFE」、住化バイエルウレタン社製)を上記PETフィルム、PENフィルム、PETGフィルム、ポリイミドフィルム及びポリイミド被覆FPCに塗布量が約10g/mとなるようにそれぞれ塗布し、乾燥して、プライマー層が形成されたPETフィルム、PENフィルム、PETGフィルム、ポリイミドフィルム及びポリイミド被覆FPCを準備した。
【0168】
上記プライマー層が形成されたPETフィルム、PENフィルム及びPETGフィルムを幅30mm×長さ100mmに裁断し、それぞれのプライマー層上に実施例3、実施例4及び比較例1で得られた光反応性組成物をそれぞれ接着面積が30mm×30mm、塗布厚みが0.35mmとなるように塗布し、この塗布面に、高圧水銀灯「TOSCURE401」を用いて、波長365nmにおけるエネルギー量が500mJ/cmの紫外線を照射した後、即ち、波長365nmにおける照射強度が8.3mW/cmの紫外線を60秒間照射した後、上記プライマー層が形成されたPETフィルム、PENフィルム及びPETGフィルムのそれぞれのプライマー層面を貼り合わせて、プライマー層が形成されたPETフィルム同士、プライマー層が形成されたPENフィルム同士及びプライマー層が形成されたPETGフィルム同士が接着されてなる接着構造体を作製した。次いで、得られた接着構造体を20℃−50%RHの雰囲気下で所定時間養生した後、クロスヘッド速度20mm/分の条件で、T型剥離試験を行って、最大応力からT型剥離強度(N/cm)を求めた。
【0169】
又、実施例3、実施例4及び比較例1で得られた光反応性組成物を用い、被着体として、プライマー層を形成することなく、上記PETフィルム「PET501L」、PENフィルム「テオネックス」及びPETGフィルムをそのまま用いたこと以外は上記と同様の操作を行って、プライマー層が形成されていないPETフィルム同士、プライマー層が形成されていないPENフィルム同士及びプライマー層が形成されていないPETGフィルム同士が接着されてなる接着構造体を作製した。次いで、得られた接着構造体を20℃−50%RHの雰囲気下で所定時間養生した後、クロスヘッド速度20mm/分の条件で、T型剥離試験を行って、最大応力からT型剥離強度(N/cm)を求めた。
【0170】
次に、上記プライマー層が形成されたポリイミドフィルム及びポリイミド被覆FPCを幅30mm×長さ100mmに裁断し、それぞれのプライマー層上に実施例3及び比較例1で得られた光反応性組成物を接着面積が30mm×30mm、塗布厚みが0.35mmとなるように塗布し、この塗布面に、高圧水銀灯「TOSCURE401」を用いて、波長365nmにおけるエネルギー量が500mJ/cmの紫外線を照射した後、即ち、波長365nmにおける照射強度が8.3mW/cmの紫外線を60秒間照射した後、上記プライマー層が形成されたポリイミドフィルム及びポリイミド被覆FPCのそれぞれのプライマー層面を貼り合わせて、プライマー層が形成されたポリイミドフィルム同士及びプライマー層が形成されたポリイミド被覆FPC同士が接着されてなる接着構造体を作製した。次いで、得られた接着構造体を20℃−50%RHの雰囲気下で所定時間養生した後、クロスヘッド速度5mm/分の条件で、T型剥離試験を行って、最大応力からT型剥離強度(N/cm)を求めた。
【0171】
又、実施例3及び比較例1で得られた光反応性組成物を用い、被着体として、プライマー層を形成することなく、上記ポリイミドフィルム「ユーピレックス」及びポリイミド被覆FPCをそのまま用いたこと以外は上記と同様の操作を行って、プライマー層が形成されていないポリイミドフィルム同士及びプライマー層が形成されていないポリイミド被覆FPC同士が接着されてなる接着構造体を作製した。次いで、得られた接着構造体を20℃−50%RHの雰囲気下で所定時間養生した後、クロスヘッド速度5mm/分の条件で、T型剥離試験を行って、最大応力からT型剥離強度(N/cm)を求めた。
【0172】
【表1】
Figure 2004331926
【0173】
表1から明らかなように、実施例1及び実施例2で調製した光反応性組成物を用いて作製した実施例1及び実施例2の接着構造体は、金属板同士及びプラスチック板同士のいずれの被着体の場合にも優れた引張剪断強度及び引張強度を発現した。又、実施例3で調製した光反応性組成物を用いて作製した実施例3の接着構造体は、ポリエステル系フィルム同士、ポリイミドフィルム同士及びポリイミド被覆FPC同士の接着において、プライマー層が形成されていない場合でも優れたT型剥離強度を発現し、プライマー層が形成されている場合には著しく優れたT型剥離強度を発現した。更に、実施例4で調製した光反応性組成物を用いて作製した比較例4の接着構造体は、ポリエステル系フィルム同士の接着において、プライマー層が形成されていない場合でも良好なT型剥離強度を発現し、プライマー層が形成されている場合には著しく優れたT型剥離強度を発現した。
【0174】
これに対し、エポキシ基を有する化合物(C)を含有させなかった光反応性組成物を用いて作製した比較例1の接着構造体は、金属板同士及びプラスチック板同士のいずれの被着体の場合にも引張剪断強度及び引張強度が若干もしくは大幅に劣っていた。又、上記比較例1の接着構造体は、ポリエステル系フィルム同士の接着において、プライマー層が形成されていない場合のT型剥離強度が劣っていた。更に、上記比較例1の接着構造体は、ポリイミドフィルム同士及びポリイミド被覆FPC同士の接着において、プライマー層が形成されていない場合のT型剥離強度が極端に劣っていた。
【0175】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の接着構造体は、一方の被着体、接着剤層及び他方の被着体がこの順に積層されてなり、且つ、上記接着剤層が、前記一般式(1)で表される官能基を有する化合物(A)、前記一般式(2)で表される分子骨格を有する化合物(B)及びエポキシ基を有する化合物(C)を含有してなる光反応性組成物から形成されているので、被着体の一方又は双方がプラスチック、金属、無機物等からなる難接着性の被着体である場合でも著しく優れた接着力を発現する。
【0176】
又、本発明の接着構造体の製造方法によれば、上記光反応性組成物の塗布面に光を照射した後に被着体同士を貼り合わせるか、又は、光反応性組成物を塗布した被着体同士を貼り合わせた後に光反応性組成物の塗布面に光を照射する手順を採るので、上記優れた性能を有する本発明の接着構造体を効率的且つ簡便に作製することができる。

Claims (7)

  1. 一方の被着体、接着剤層及び他方の被着体がこの順に積層されてなる接着構造体であって、上記接着剤層が、下記一般式(1)で表される官能基を有する化合物(A)、下記一般式(2)で表される分子骨格を有する化合物(B)及びエポキシ基を有する化合物(C)を含有してなる光反応性組成物から形成されていることを特徴とする接着構造体。
    Figure 2004331926
    (式中、Xは加水分解性を有する官能基を示す)
    Figure 2004331926
    (式中、nは2、3、4又は5の整数を示し、Yは周期表のIVB族、VB族又はVIB族の原子を示し、Zは水素基、炭化水素基、水酸基、メルカプト基、アミノ基、ハロゲン基、アルコキシル基、アルキルチオ基、カルボニルオキシ基又はオキソ基を示す)
  2. 一方又は双方の被着体の接着面にイソシアネート基を有する化合物(D)からなるプライマー層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の接着構造体。
  3. エポキシ基を有する化合物(C)が、下記一般式(1−1)で表される官能基を有するエポキシ系化合物であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の接着構造体。
    Figure 2004331926
    (式中、mは1、2又は3の整数を示し、Rは炭化水素基を示し、Xは加水分解性を有する官能基を示す)
  4. エポキシ基を有する化合物(C)が、1分子中に3個以上のエポキシ基を有するエポキシ系化合物であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の接着構造体。
  5. 一方又は双方の被着体が、ポリエステル系樹脂からなる被着体であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の接着構造体。
  6. 一方又は双方の被着体が、ポリイミド系樹脂からなる被着体であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の接着構造体。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の接着構造体の製造方法であって、光反応性組成物の塗布面に光を照射した後に被着体同士を貼り合わせるか、又は、光反応性組成物を塗布した被着体同士を貼り合わせた後に光反応性組成物の塗布面に光を照射することを特徴とする接着構造体の製造方法。
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