WO2006059613A1

WO2006059613A1 - 接着フィルム、それを用いたフラットケーブルの製造法及びフラットケーブル

Info

Publication number: WO2006059613A1
Application number: PCT/JP2005/021908
Authority: WO
Inventors: Keitaro Miyazawa; Yutaka Fukuda; Takayoshi Koinuma
Original assignee: Sumitomo Electric Industries, Ltd.
Priority date: 2004-11-30
Filing date: 2005-11-29
Publication date: 2006-06-08
Also published as: TW200638831A; JP2008024725A

Abstract

高い難燃性や接着力及び柔軟性を示すとともに、この接着フィルムを用いて製造されるフラットケーブル等に、高い耐熱性を与えることのできる接着フィルム、この接着フィルムを用いるフラットケーブルの製造方法、及びこの製造方法により製造されるフラットケーブルを提供する。絶縁性樹脂基材及び接着剤層からなり、前記接着剤層が、リン変性不飽和ポリエステル、並びにハロゲンフリーのリン系難燃剤及び／又は窒素系難燃剤を、リン変性不飽和基ポリエステル１００重量部に対し、合計５～２００重量部含有し、前記リン変性不飽和ポリエステルが、リンを０．２～２．７重量％含有し、かつ不飽和基を、多塩基酸成分単量体１ｍｏｌあたり０．２～２０ｍｍｏｌ導入したものであることを特徴とする接着フィルム、この接着フィルムを用いるフラットケーブルの製造方法、及びこの方法により製造されるフラットケーブル。

Description

明細書

接着フィルム、それを用いたフラットケーブルの製造法及びフラットケープル

技術分野

[0001] 本発明は、高い耐熱性及び難燃性を有し、フラットケーブル用絶縁フィルムとして用いられる接着フィルム、その接着フィルムを用いることを特徴とするフラットケーブルの製造法、及びその製造法により製造されることを特徴とするフラットケーブルに関する。

背景技術

[0002] 各種の電気，電子機器の内部配線用等に使用されるフラットケーブルは、一般に、絶縁性の接着フィルム（絶縁フィルム）の間に、互いに平行に並べられた複数本の導体を挟み、接着フィルム同士を熱融着等により貼り合せて、一体化して製造される。フラットケーブルの製造に用いられる接着フィルムは、通常、可撓性 (柔軟性)を有し機械特性や電気特性に優れた絶縁性榭脂基材、及び接着剤層から構成され、この接着剤層により、接着フィルム同士、接着フィルムと導体間の接着がされる。

[0003] フラットケーブルは高温環境下で使用されることもあるので、フラットケーブル用の接着フィルムには、優れた柔軟性、機械特性、電気特性及び接着性とともに、耐熱性や難燃性が求められる。難燃性の付与のためには、従来、デカブ口モジフエ-ルェ一テル (DBDPO)等のハロゲン系難燃剤が使用されていた。しかし、ハロゲン系難燃剤は、燃焼時にダイォキシン関連物質を生成する等の問題があるので、環境保護の観点から、金属水酸ィ匕物等のハロゲンフリーの難燃剤を使用し、その充填量を多くすることで難燃効果を得る方法も採用されていた。しかし、充填量を多くすると接着力が低下し、又接着フィルムの柔軟性が低下する等の問題があった。

[0004] このようなハロゲンフリーの難燃剤の問題を解決するために、飽和共重合ポリエステルの主骨格にリン成分が導入されているリン変性飽和ポリエステル共重合体カゝらなる接着剤層を有する接着シート (接着フィルム)及びこの接着シートを用いたフラットケ一ブルが、日本特許第 2987831号公報において提案されている。このリン変性飽和ポリエステル共重合体を用いた接着シートは、高い難燃性を示すだけでなぐ優れた接着力を示し、又金属水酸化物等の難燃剤の使用量を大きく減少でき柔軟性の低下も生じない。しかし、この接着シートは、耐熱性が低ぐ高温環境での長時間の使用により接着力が低下し、接着剤層の剥離が生じる等の問題があった。

特許文献 1 :日本特許第 2987831号公報 (請求項 1)

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0005] 本発明は、フラットケーブル用絶縁フィルムとして用いることのできるハロゲンフリーの接着フィルムであって、前記の従来技術の問題を解決し、高い難燃性や接着力及び柔軟性を示すとともに、この接着フィルムを用いて製造されるフラットケーブル等に、高温環境で長時間使用しても剥離等の問題を生じない高い耐熱性を与えることのできる接着フィルム、この接着フィルムを用いるフラットケーブルの製造方法、及びこの製造方法により製造されるフラットケーブルを提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

[0006] 本発明者は、検討の結果、接着剤層に、リン及び不飽和基を含有するリン変性不飽和ポリエステルを用いると、不飽和基を有するので電離放射線照射等によりこのリン変性不飽和ポリエステルを架橋することができ、その結果耐熱性が向上し、高温環境で長時間使用しても剥離等の問題を生じに《なることを見出した。そして、リン変性不飽和ポリエステルを用いることにより、高い難燃性や接着力を有する接着フィルムが得られるとともに、フラットケーブルの耐熱性を向上できること、さらに、接着剤層に含有する難燃剤量を少なくすることができるので優れた柔軟性を保つことができることも見出し、本発明を完成した。

[0007] 本発明は、絶縁性榭脂基材及びその上に形成された接着剤層からなり、前記接着剤層が、リン変性不飽和ポリエステル、並びにハロゲンフリーであって、分子中のリン濃度が 5重量％以上のリン系難燃剤及び Z又は窒素系難燃剤を含有し、前記リン変性不飽和ポリエステル力リンを、その重量に対し 0. 2〜2. 7重量％含有し、かつ不飽和基を、構成する多塩基酸成分単量体 lmolあたり 0. 2〜20mmol導入したものであり、及び前記リン系難燃剤及び窒素系難燃剤の合計含有量が、前記リン変性不飽和基ポリエステル 100重量部に対し、 5〜200重量部であることを特徴とする接着フィルムを提供する。

[0008] すなわち、本発明の接着フィルムは、次に示す 1)〜6)の構成力もなる。

1)絶縁性榭脂基材及びその上に形成された接着剤層からなる。

2)接着剤層は、リン変性不飽和ポリエステル、並びにリン系難燃剤及び Z又は窒素系難燃剤を含有する。

3)リン変性不飽和ポリエステルは、リンを、その重量に対し 0. 2〜2. 7重量％含有する。

4)リン変性不飽和ポリエステルは、不飽和基を、構成する多塩基酸成分単量体 lmo 1あたり 0. 2〜20mmol導入したものである。

5)リン系難燃剤は、ハロゲンフリーであってリン濃度が 5重量％以上である。

6)リン系難燃剤及び窒素系難燃剤の合計含有量は、前記リン変性不飽和基ポリエステル 100重量部に対し、 5〜200重量部である。

[0009] リン変性不飽和ポリエステルとは、不飽和基が導入されたポリエステルであって、その主骨格にリン成分が導入されているものである。リン変性不飽和ポリエステルは、不飽和多塩基酸又はその無水物を含む多塩基酸成分及び多価アルコール、必要によりさらにこれらと共重合可能な他の単量体 (以後、共重合成分と言う。）を、共重合させることにより得られ、この多塩基酸成分、多価アルコール又は共重合成分の少なくとも 1つが、リンを含有する必要がある（以後、リンを含有する成分を、リン成分という。

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[0010] 不飽和多塩基酸又はその無水物としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、ィタコン酸、及びシトラコン酸等、並びにこれらの無水物、例えば無水マレイン酸が挙げられる。これらは、 2種以上併用してもよい。多塩基酸成分には、不飽和多塩基酸又はその無水物の他に、通常、飽和多塩基酸又はその無水物が、不飽和基の濃度を調節するため、又可撓性、強度、耐熱性などの特性の観点カゝら併用される。ここで、飽和多塩基酸としては、テレフタル酸、ナフタレンカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸及びイソフタル酸等が挙げられる。

[0011] またリン成分としては、多価アルコールであるホスフォネート型ポリオールやホスフエート型ポリオール、ホスフィネート型ポリオール、共重合成分であるビュルホスフォネート、ァリルホスフォネート等を使用することができる。このように主骨格にリン成分を導入したポリエステル共重合体は、単にポリエステルにリン成分を混合分散させたものよりも高い難燃性を示す。

[0012] リン成分以外の多価アルコールとしては、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、 1, 3— プロパンジオール、 1, 4 ブタンジオール等の脂肪族グリコール、芳香族グリコール、脂環族グリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の 3価以上のァルコール、不飽和ポリジエンポリオール (例えば、出光石油化学 (株)製の R— 45HT )等が例示される。これらは、 2種以上併用してもよい。

[0013] リン変性不飽和ポリエステルは、前記の多塩基酸成分及び多価アルコール等を用い、常圧下、温度 200〜280°Cで直接エステルイ匕又はエステル交換反応を行った後、触媒の存在下、 5hPa以下の減圧下、 200〜280°Cで溶融重縮合反応を行って製造することができる。触媒としては、日本公開特許 2000— 128967号公報の段落 00 19に記載されて、るような従来公知の触媒が用いられる。

[0014] リン変性不飽和ポリエステル中のリン含有量 (リン濃度）は、ポリエステルの種類、リン成分の種類、接着剤層を形成するその他の成分あるいは接着シートを構成する絶縁フィルムの種類等に応じて、本発明の接着フィルムが所定の難燃性を満足するように定めることができる力少なくとも、リン変性不飽和ポリエステルの重量に対し 0. 2 重量％以上でありかつ 2. 7重量％以下である。

[0015] リン濃度が 0. 2重量％未満の場合は、充分な難燃性が得られない。一方、 2. 7重量％を越えると、重合度を上げることが困難になり、製品の機械的強度の低下が生じる。リン濃度の調整は、リン変性不飽和ポリエステルの製造に使用する単量体中のリン成分、すなわちリンを含有する成分の量を調整することにより行うことができる。

[0016] リン変性不飽和ポリエステル中の、不飽和基の導入量は、リン変性不飽和ポリエステルを構成する多塩基酸成分単量体 (共重合に使用される単量体中の多塩基酸成分） lmolあたり（又は多価アルコール lmolあたり） 0. 2mmol以上であり、 20mmol 以下である。不飽和基の導入量が 0. 2mmol未満の場合は、放射線照射等によりリン変性不飽和ポリエステルの架橋を行っても、充分な耐熱性が得られない。一方、 2 Ommolを越えると、榭脂安定性 (溶液安定性）が低下し、リン変性不飽和ポリエステルの製造時や難燃剤との混合時にゲルを生じやすくなり、薄膜塗工ができない。前記のように、不飽和基の導入量の調整は、多塩基酸成分中の、不飽和多塩基酸又はその無水物の割合を調整することにより行うことができる。

[0017] 本発明の接着フィルムの接着剤層は、前記のリン変性不飽和ポリエステルとともにリン系難燃剤及び Z又は窒素系難燃剤を含有する。すなわち、リン系難燃剤及び窒素系難燃剤からなる群力選ばれる少なくとも 1種の難燃剤を含有するものであり、リン系難燃剤のみを含有する場合、窒素系難燃剤のみを含有する場合、並びに、リン系難燃剤及び窒素系難燃剤を共に含有する場合がある。このリン系難燃剤は、ハロゲンフリーであって、リン濃度カ^ン系難燃剤の全量に対して 5重量％以上である。リン濃度が 5重量％未満の場合は、難燃性の向上効果が充分でない。

[0018] このようなリン系難燃剤としては、トリフエ-ルホスフアイト、ビスフエノール Aビス（ジフェ -ル)ホスフェート等のリン酸エステル、ポリリン酸アンモ-ゥム等が例示される。又窒素系難燃剤としては、メラミンシァヌレート、メラミン等のトリアジン系難燃剤が例示される。

[0019] リン系難燃剤及び窒素系難燃剤の合計の含有量は、前記リン変性不飽和基ポリエステル 100重量部に対し、 5〜200重量部の範囲である。 5重量部未満の場合充分な難燃性が得られない。一方、 200重量部を越えると、接着フィルム、フラットケープルの柔軟性が低下するとともに、接着フィルムの接着力が低下し、充分な接着力が得られない。

[0020] 本発明の接着フィルムは、例えば、絶縁性榭脂基材上に、前記のリン変性不飽和ポリエステル並びにリン系難燃剤及び Z又は窒素系難燃剤を溶剤に溶解した溶液を塗布し、溶剤を乾燥することにより製造される。溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系、酢酸ェチル、 _Ύ ブチロラタトン等のエステル系、アセトン、メチルェチルケトン等のケトン系、テトラヒドロフラン、ェチルセ口ソルブ等のエーテル系、 η—へキサン、 η オクタン等の脂肪族炭化水素系等が例示され、これらの 1種又は 2種以上の混合溶剤が用いられる。 [0021] 絶縁性榭脂基材には、機械的強度、耐熱性、可撓性、屈曲性、耐薬品性、耐溶剤性、絶縁性等に優れ、かつ環境保護の観点からハロゲンを含まない榭脂のフィルムが好ましく使用される。このような榭脂としては、分子骨格中に芳香族環を有し、ハロゲンを含まなヽ榭脂が好ましく例示される。

[0022] 分子骨格中に芳香族環を有し、ハロゲンを含まない榭脂として、より具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系榭脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等のポリイミド系榭脂、ポリフエ-レンサルファイド等や、芳香族環を有するポリエーテルケトン、ポリエステルエーテル、ポリカルボネート等の各種の榭脂を挙げることができる。例示の榭脂の中でも、価格の観点から、ポリエチレンテレフタレ一ト、ポリエチレンナフタレ一ト力り好ましい。

[0023] 絶縁性榭脂基材の厚さは、 9 μ m〜100 μ m程度が好ましぐ又接着剤層の厚さは 10 μ m〜100 μ m程度が好ましい。

[0024] 前記の本発明の接着フィルムは、被覆材 (絶縁フィルム）としてフラットケーブル等の製造に用いられる。フラットケーブルは、例えば、前記の本発明の接着フィルムを 2 枚使用し、それらの接着剤層の間に、 1本又は複数本の導体を挟み、前記接着剤層間を貼り合せてケーブルを作成した後、リン変性不飽和ポリエステルの架橋を行う方法により製造することができる。リン変性不飽和ポリエステルが架橋されることにより、フラットケーブルの耐熱性が向上し、長時間、高温環境下で使用しても、フィルムの剥離等の問題が生じにくくなる。

[0025] この実施態様は、前記の接着フィルム 2枚の、接着剤層間に、導体を挟み、前記接着剤層間を貼り合せ、ケーブルを作成した後、リン変性不飽和ポリエステルの架橋を行うことを特徴とするフラットケーブルの製造法を提供するものである。

[0026] リン変性不飽和ポリエステルの架橋の方法としては、前記ケーブルへの、電離放射線の照射による方法が、照射量の調整により、架橋量を容易に調整できるので好ましい。この実施態様は、前記のフラットケーブルの製造法であって、リン変性不飽和ポリエステルの架橋力前記ケーブルへの、電離放射線の照射により行われることを特徴とするフラットケーブルの製造法を提供するものである。電離放射線としては、電子線や γ線が例示される。

[0027] 電離放射線の照射量を、リン変性不飽和ポリエステルの架橋により、ゲル分率が 5 重量％以上となる量とすると、フラットケーブルの充分な耐熱性を得ることができるので好ましい。ここで、ゲル分率は、接着剤層を構成するリン変性不飽和ポリエステルを、トルエン Ζメチルェチルケトンの混合溶媒 (体積比 4/1)に 60°Cで 24時間浸漬して溶解し、溶解せずに残った残分を 80°Cで乾燥後、重量測定し、次の式により求めた値である。

ゲル分率 (重量％) = { (乾燥後の残分の重量) / (溶解前の重量) } X 100 [0028] 本発明はさらに、前記の本発明のフラットケーブルの製造法により製造されたことを特徴とするフラットケーブルを提供する。このフラットケーブルは、高い難燃性や接着力及び柔軟性を示すとともに、耐熱性が高ぐ高温環境で長時間使用しても接着力の低下等の問題を生じないとの特徴を有し、各種の電気、電子機器の内部配線用等に好適に使用される。

発明の効果

[0029] 本発明の接着フィルムは、ハロゲンフリーであり、高い難燃性や接着力及び柔軟性を示すとともに、この接着フィルムを使用して製造されるフラットケーブル等に、高温環境で長時間使用しても剥離等の問題を生じない高い耐熱性を与えることができる。本発明の接着フィルムの 2枚と導体を貼り合せること、及びリン変性不飽和ポリエステルの架橋を行うことを特徴とする本発明のフラットケーブルの製造法によれば、高ヽ難燃性、接着力及び柔軟性を有し、かつ耐熱性が高ぐ高温環境で長時間使用しても剥離等の問題を生じないフラットケーブルを得ることができる。この製造法により得られたフラットケーブルは、前記の優れた特徴を有するものであり、各種の電気、電子機器の内部配線用等に好適に使用される。

発明を実施するための最良の形態

[0030] 次に本発明を実施するための最良の形態を、実施例として説明する。なお、本発明はこの実施例に限定されるものではなぐ本発明の趣旨を損なわない限り、他の形態への変更も可能である。

実施例 [0031] (製造例：リン変性不飽和ポリエステルの製造）

多塩基酸成分としてテレフタル酸の 481. 4g、イソフタル酸の 222. 6g、セバシン酸の 288. 8g及びフマル酸の 6. 73gの混合物を、多価アルコールとしてエチレングリコールの 256. 0g、ネオペンチルグリコールの 447. 4g及びリン含有グリコール（商品名： PE— 100、クラリアント社製)の 33. 7gからなる混合物を用い、触媒のテトラプチルチタネートを濃度が 300ppmとなるように加えて、 230。Cに 2時間保ちエステルイ匕を行った。その後、同量の触媒を追加し 2hPaに減圧して重縮合反応を 2時間行った後、トルエン Zメチルェチルケトンの混合溶媒 (体積比 4Z1)を加えて、リン変性不飽和ポリエステルを 30重量％溶解したトルエン Zメチルェチルケトン溶液を得た。これを、リン変性不飽和ポリエステル 1とする。リン変性不飽和ポリエステル 1中のリン濃度は 0. 3重量％、不飽和基の導入量は、原料モノマーの酸成分 lmolに対し、 lOmmo 1であった。なお、リン濃度及び不飽和基の導入量は NMRで測定した。

[0032] 原料モノマーの、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール及びリン含有グリコールの比率を変えることによりリン濃度及び不飽和基の導入量を変えた以外は、前記と同様にしてリン変性不飽和ポリエステル 2〜9を得た。それぞれの、リン濃度及び不飽和基の導入量を表 1に示す。

[0033] [表 1]

(接着フィルムの作成）

前記のリン変性不飽和ポリエステル;!〜 9のトルエン/メチルェチルケトン（体積比 4 ZD溶液のそれぞれに、リン系難燃剤（商品名： PX— 200、大八化学工業 (株)製リン含有量： 9重量％)及びメラミンシァヌレートを、表 2、表 3に示した配合比で混合して得られた液を、ポリエチレンテレフタレートフィルム（商品名：ルミラー、東レ製、厚さ 25 μ m)に塗工し、溶剤を乾燥させ接着フィルムを作成した。そのとき、ポリエチレンテレフタレートフィルム上の接着剤層の厚さは、 40 μ mであった。

[0035] (ケーブルの作成）

前記で得られた接着フィルムを 2枚用いた。その 1枚の接着剤層上に、スズメツキ軟銅箔（厚さ 0. 035mm X幅 0. 8mm)を 10本平行に並べ、その後、他の 1枚の接着フイルムを、接着剤層同士が向かい合うようにして積層し、熱圧着させてフラットケープルを形成した。その後、このフラットケーブルに γ線（50kGy)を照射し、リン変性不飽和ポリエステルを架橋した。架橋後のリン変性不飽和ポリエステルのゲル分率を測定したところ 50重量％であった。

[0036] このようにして得られた γ線照射後フラットケーブルのそれぞれにつ!/ヽて、難燃性、接着力、耐熱性、溶液安定性を評価した。

[0037] 難燃性は、垂直燃焼試験 (UL1581)で評価した。 60秒以下で消火する物を合格とした。接着力は、軟銅箔との接着力を 180° 剥離法で測定し、 0. 5Ν以上を合格とした。耐熱性は、 113°Cに 1週間放置し、接着剤層がデラミネーシヨン (剥離)を起こさないものを合格とした。溶液安定性は、リン変性不飽和ポリエステルの重合時及び難燃剤を混合するときにゲルイ匕しないものを合格とした。これらの結果を、表 2、表 3に示す。

[0038] [表 2]

P T/JP2005/021908

[0039] [表 3]

[0040] 表 2及び表 3の結果より、本発明の範囲内の実施例 1 6では、難燃性、接着力、耐熱性、溶液安定性のずれの評価項目も優れてヽることが明らかである。

[0041] —方、リン濃度が 0. 2重量％未満 (0. 1重量⁰ /₀)のリン変成不飽和ポリエステル 5を用いた比較例 1では、難燃性が低い。リン濃度が 2. 7重量％を越える (3. 0重量⁰ /₀) リン変成不飽和ポリエステル 6を用いた比較例 2、及び不飽和基の導入量が 20mmo 1を越える（25mmol)リン変成不飽和ポリエステル 7を用いた比較例 3は、溶液安定性が低い。一方、不飽和基の導入量が 0. 2mmol未満 (0. Immol)のリン変成不飽和ポリエステル ₈を用いた比較例 ₄は耐熱性が低レヽ。リン系難燃剤及び窒素系難燃剤の合計量が 200重量部を越える比較例 5及び比較例 6では、接着力が低い。本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。

本出願は 2004年 11月 30日出願の日本特許出願 (特願 2004— 345945)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。

Claims

請求の範囲

[1] 絶縁性榭脂基材及びその上に形成された接着剤層からなり、

前記接着剤層が、リン変性不飽和ポリエステル、並びにハロゲンフリーであって、分子中のリン濃度が 5重量％以上のリン系難燃剤及び Z又は窒素系難燃剤を含有し、前記リン変性不飽和ポリエステル力リンを、その重量に対し 0. 2〜2. 7重量％含有し、かつ不飽和基を、構成する多塩基酸成分単量体 lmolあたり 0. 2〜20mmol 導入したものであり、及び

前記リン系難燃剤及び窒素系難燃剤の合計含有量が、前記リン変性不飽和基ポリエステル 100重量部に対し、 5〜200重量部であることを特徴とする接着フィルム。

[2] 前記絶縁性榭脂基材が、分子骨格中に芳香族環を有し、ハロゲンを含まな!/ヽ榭脂であることを特徴とする請求の範囲第 1項に記載の接着フィルム。

[3] 請求の範囲第 1項又は第 2項に記載の接着フィルム 2枚の、接着剤層間に導体を挟み、前記接着剤層間を貼り合せ、ケーブルを作成した後、リン変性不飽和ポリエステルの架橋を行うことを特徴とするフラットケーブルの製造法。

[4] リン変性不飽和ポリエステルの架橋力前記ケーブルへの、電離放射線の照射により行われることを特徴とする請求の範囲第 3項に記載のフラットケーブルの製造法。

[5] 電離放射線の照射量が、リン変性不飽和ポリエステルの架橋により、ゲル分率が 5 重量％以上となる量であることを特徴とする請求の範囲第 4項に記載のフラットケーブルの製造法。

[6] 請求の範囲第 3項な、し第 5項の、ずれかに記載のフラットケーブルの製造法により製造されたことを特徴とするフラットケーブル。