JP6786953B2 - フラットケーブル用絶縁フィルム、フラットケーブル及びフラットケーブルの製造方法 - Google Patents

フラットケーブル用絶縁フィルム、フラットケーブル及びフラットケーブルの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、フラットケーブル用絶縁フィルム、フラットケーブル及びフラットケーブルの製造方法に関する。
電子機器の内部配線用の電線としてフラットケーブルが使用されている。このフラットケーブルは、1対の被覆材の間に複数本の導体を並列して挟み、加熱等により一体化する方法等により製造される。
上記被覆材は、絶縁性と柔軟性とを有することが求められている。また、近年の電子機器等の小型化や用途の多様化等に伴い、フラットケーブルに直接LED等の電子部品を実装することが行われており、この実装において高温のリフロー半田付けが多く用いられる。さらに、自動車部品等の高温環境下におけるフラットケーブルの使用も増加している。そのため、上記被覆材には、高温環境下での変形等が少なく寸法安定性に優れること、及び高い難燃性を備えることが要求されている。
ここで、一般的な被覆材としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等の樹脂フィルムと接着剤層とを備える絶縁フィルム等が挙げられる。このような絶縁フィルムは絶縁性及び柔軟性に優れる。しかし、上記樹脂フィルムは熱により収縮し易いため、高温環境下での被覆材の寸法安定性が不十分である。
これに対し、不織布の繊維間に熱可塑性ポリオレフィン等の結合剤を充填したものを被覆層としたフラットケーブルが開発されている(特開2004−47463号公報参照)。このフラットケーブルは、被覆材として不織布を用いているため柔軟性及び絶縁性に優れ、さらに140℃程度の環境下における寸法安定性に優れる。
しかし、上記結合剤を不織布の繊維間に充填する際、繊維間の微小な空隙に結合剤が十分に充填されず、微小なボイドが残存する場合がある。このボイドにより、被覆材の平面方向における絶縁性の均一性が低下し、被覆材の絶縁性が低下するおそれや、被覆材と導体との接着強度が低下し、フラットケーブルの強度が低下するという不都合がある。
また、上記結合剤の充填が不十分である場合、上記被覆材の上記導体と接する側の面において、不織布表面の凹凸に起因した凹凸形状が残存する。この凹凸形状により、上記被覆材と上記導体との接着強度が低下するおそれや、被覆材の絶縁性が低下するおそれがある。また、上記凹凸形状が大きい場合、被覆材と導体とを積層する際の精密な位置合わせが困難となり、微細な導体を有するフラットケーブルが製造し難いという不都合がある。
これに対し、上記微小な空隙に結合剤を十分に充填する方法としては、結合剤として低粘度の樹脂を用いる方法が挙げられる。しかし、低粘度の樹脂は溶媒等の揮発成分に富むため、結合剤を繊維間に充填した後に乾燥等させ上記溶媒を除去する必要があり、この溶媒の除去に伴い不織布に充填された結合剤中に微小なボイドが多数形成される。そのため、低粘度の樹脂を用いた場合であっても上記ボイドに由来する不都合は解消しない。
また、上記結合剤を繊維間に充填すると、不織布の柔軟性の低下や、被覆材の厚さの過度の増加という不都合も生じる。
さらに、目付が大きく繊維間の空隙が少ない不織布を用いた場合、結合剤が含浸し難く、被覆材と導体との接着強度が低下するという不都合がある。
加えて、近年環境負荷等の観点から多く用いられている鉛フリー半田では、半田の融点が200℃を超えるため、被覆材にはこのような高温環境下における寸法安定性が要求されるが、上述のような従来のフラットケーブルは、いずれもこのような高温環境下における寸法安定性が不十分である。
特開2004−47463号公報
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、比較的高い柔軟性、絶縁性、強度及び難燃性を有すると共に、高温環境下での寸法安定性に優れるフラットケーブルの製造に適するフラットケーブル用絶縁フィルム、このフラットケーブル用絶縁フィルムを備えるフラットケーブル及びこのフラットケーブルの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係るフラットケーブル用絶縁フィルムは、絶縁性を有する基材層と、この基材層の一方の面側に積層される樹脂層とを備え、上記基材層が、織布、不織布、編布又は紙であり、上記樹脂層が、不飽和基を有する共重合ポリエステルと難燃剤とを含有し、上記基材層の平均厚さに対する上記樹脂層の基材層への平均含浸厚さが20%以下であるフラットケーブル用絶縁フィルムである。
上記課題を解決するためになされた別の本発明の一態様に係るフラットケーブルは、平行に配列する複数の導体とこれらの導体の両面を被覆する1対の絶縁フィルムとを備え、上記1対の絶縁フィルムの少なくとも一方が上記フラットケーブル用絶縁フィルムであり、上記絶縁フィルムの樹脂層が基材層よりも導体側に位置するフラットケーブルである。
上記課題を解決するためになされたさらに別の本発明の一態様に係るフラットケーブルの製造方法は、平行に配列する複数の導体の両面に1対の絶縁フィルムを積層する工程と、上記積層工程後の少なくとも一方の絶縁フィルムに電離放射線を照射する工程とを備え、上記照射工程で電離放射線が照射される絶縁フィルムが上記フラットケーブル用絶縁フィルムであり、上記積層工程で、上記絶縁フィルムの樹脂層を基材層よりも導体側に配設するフラットケーブルの製造方法である。
本発明のフラットケーブル用絶縁フィルムは、比較的高い柔軟性、絶縁性、強度及び難燃性を有すると共に、高温環境下での寸法安定性に優れる。さらに、本発明のフラットケーブル用絶縁フィルムは、フラットケーブルの製造に適する。また、本発明のフラットケーブルは、上記フラットケーブル用絶縁フィルムを用いているため、柔軟性、絶縁性、強度、難燃性及び高温環境下での寸法安定性に優れる。さらに、本発明のフラットケーブルは導体が微細でも製造性に優れる。また、本発明のフラットケーブルの製造方法によれば、上記フラットケーブルを容易かつ確実に製造できる。
本発明の一実施形態に係るフラットケーブル用絶縁フィルムの模式的断面図である。 本発明の一実施形態に係るフラットケーブルの模式的平面図である。 図2のA−A線に沿う模式的断面図である。 図2のB−B線に沿う模式的断面図である。
[本発明の実施形態の説明]
本発明の一態様に係るフラットケーブル用絶縁フィルムは、絶縁性を有する基材層と、この基材層の一方の面側に積層される樹脂層とを備え、上記基材層が、織布、不織布、編布又は紙であり、上記樹脂層が、不飽和基を有する共重合ポリエステルと難燃剤とを含有し、上記基材層の平均厚さに対する上記樹脂層の基材層への平均含浸厚さが20%以下である。
当該フラットケーブル用絶縁フィルムは、基材層が織布、不織布、編布又は紙であり、樹脂層の基材層への平均含浸厚さが上記上限以下である。このように、当該フラットケーブル用絶縁フィルムの基材層は、樹脂層が実質的に含浸していない織布等であるため、樹脂フィルムや結合剤が含浸した場合と比して熱変形し難い。その結果、当該フラットケーブル用絶縁フィルムは高温環境下での寸法安定性に優れる。また、当該フラットケーブル用絶縁フィルムは、基材層が織布、不織布、編布又は紙であるため高い柔軟性を有し、上記樹脂層の基材層への平均含浸厚さが上記上限以下であることで、樹脂層の基材層への含浸に起因する基材層の柔軟性の低下を低減できる。これらの結果、当該フラットケーブル用絶縁フィルムは優れた柔軟性を発揮できる。さらに、上記基材層は絶縁性を有するため、当該フラットケーブル用絶縁フィルムは絶縁性に優れる。また、上記樹脂層が難燃剤を含有することで、当該フラットケーブル用絶縁フィルムは難燃性に優れる。
また、当該フラットケーブル用絶縁フィルムは、上述のように樹脂層が基材層に実質的に含浸していないため、基材層へ充填された樹脂層における微小なボイドの発生を抑制できる。その結果、樹脂層と基材層及び導体との接着強度を高いものとすることができる。また、樹脂層と基材層との間の接着強度が不十分な場合であっても、上記樹脂層が不飽和基を有する共重合ポリエステルを含有するため、電離放射線の照射等により上記不飽和基に起因して樹脂層内や樹脂層と基材層との界面において架橋が生じる。この架橋により、樹脂層と基材層との間の接着強度をより向上できる。これらの結果、当該フラットケーブル用絶縁フィルムの強度が向上する。
さらに、当該フラットケーブル用絶縁フィルムは、樹脂層を基材層中に充填することに替えて、樹脂層を基材層の表面に積層しているため、樹脂層の基材層と接する側の面と反対側の面における平滑性が高く保たれる。この反対側の面は、当該フラットケーブル用絶縁フィルムにおいて導体と接する側の面であるため、この面が平滑であることで導体が微細な場合であっても導体の精密な位置合わせが容易である。その結果当該フラットケーブル用絶縁フィルムは、微細な導体を有するフラットケーブルの製造に適する。
上記共重合ポリエステルが結晶性を有するとよい。共重合ポリエステルが結晶性を有することで、樹脂層の強度、耐熱性、耐薬品性等が向上し、その結果当該フラットケーブル用絶縁フィルムの強度等がより向上する。また、樹脂層が含有する共重合ポリエステルが結晶性を有することで、押出成形によりフィルム状の樹脂層を容易に成形できる。かつこの押出成形では成形時に溶媒を用いないため、容易かつ低コストで樹脂層を形成できる。
上記共重合ポリエステルが架橋しているとよい。共重合ポリエステルが架橋していることで、樹脂層の強度がより向上し、その結果当該フラットケーブル用絶縁フィルムの強度をより高められる。
上記基材層が、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリウレタン繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ガラス繊維又は植物繊維を主成分とするとよい。上記繊維は、製造及び加工が容易であり、かつ強度及び耐熱性に優れる。そのため、基材層の主成分が上記繊維であることで、基材層の強度が向上し、かつ当該フラットケーブル用絶縁フィルムの製造が容易となる。
上記難燃剤の含有量としては、上記共重合ポリエステル100質量部に対し20質量部以上200質量部以下が好ましい。難燃剤の含有量を上記範囲とすることで、樹脂層の絶縁性及び柔軟性を損なうことなく、難燃性を向上させることができる。
当該フラットケーブル用絶縁フィルムの260℃30分間加熱後の熱収縮率としては、5%以下が好ましい。上記熱収縮率が上記上限以下であることで、当該フラットケーブル用絶縁フィルムを備えるフラットケーブルをリフロー半田付けによる加工や高温環境下で好適に使用できる。
上記基材層と上記樹脂層とが直接積層されるとよい。このように、基材層と樹脂層とが接着剤等を介さずに直接積層されることで、基材層中に接着剤等が含浸することによる微小なボイドの形成を防止できる。その結果、当該フラットケーブル用絶縁フィルムの強度をより確実に向上させることができる。
本発明の他の一態様に係るフラットケーブルは、平行に配列する複数の導体と、これらの導体の両面を被覆する1対の絶縁フィルムとを備え、上記1対の絶縁フィルムの少なくとも一方が上記フラットケーブル用絶縁フィルムであり、上記絶縁フィルムの樹脂層が基材層よりも導体側に位置する。
当該フラットケーブルは、1対の絶縁フィルムのうち少なくとも一方が上記フラットケーブル用絶縁フィルムであるため、優れた絶縁性と柔軟性とを両立でき、強度、難燃性及び高温環境下での寸法安定性にも優れる。さらに、上記絶縁フィルムの樹脂層が基材層よりも導体側にあることで、1対の絶縁フィルムで導体を狭持した後、この積層体を熱ラミネート等することで当該フラットケーブルを容易に製造できる。また、上記フラットケーブルの樹脂層の表面における平滑性が高いため、上記フラットケーブル用絶縁フィルム表面における導体の精密な位置合わせが可能となる。その結果、当該フラットケーブルは、微細な導体を有する場合であっても容易に製造できる。
本発明のさらに他の一態様に係るフラットケーブルの製造方法は、平行に配列する複数の導体の両面に1対の絶縁フィルムを積層する工程と、上記積層工程後の少なくとも一方の絶縁フィルムに電離放射線を照射する工程とを備え、上記照射工程で電離放射線が照射される絶縁フィルムが上記フラットケーブル用絶縁フィルムであり、上記積層工程で、上記絶縁フィルムの樹脂層を基材層よりも導体側に配設する。
当該フラットケーブルの製造方法は、樹脂層を基材層よりも導体側となるように1対の絶縁フィルムを導体の両面に積層し、この積層後の絶縁フィルムに電離放射線を照射する。この電離放射線の照射により、絶縁フィルムの樹脂層内や、樹脂層と基材層との界面、樹脂層と導体との界面等において、樹脂層中の不飽和基を有する共重合ポリエステルが架橋する。その結果、樹脂層の強度、並びに樹脂層と基材層及び導体との接着強度が向上する。そのため、当該フラットケーブルの製造方法によれば、絶縁性、柔軟性、強度、難燃性及び高温環境下での寸法安定性に優れるフラットケーブルを容易かつ確実に製造できる。また、微細な導体を有する場合であっても、当該フラットケーブルの製造方法によれば、上記フラットケーブルを容易に製造できる。
ここで、「絶縁性」とは、対象層の上に複数の導体(例えば導体長100mm)を平行に配設し、互いに隣接する導体間の絶縁抵抗(例えば印可電圧0.5kV)を測定した場合において、絶縁抵抗が1.0×10Ω以上であることを意味する。「不飽和基」とは、電離放射線の照射によりラジカル重合反応を生じ得る炭素−炭素二重結合又は炭素−炭素三重結合を含む官能基を有する基を意味する。「共重合ポリエステル」とは、多価カルボン酸成分と多価アルコール成分とを重縮合して得られるポリエステルであって、上記多価カルボン酸成分及び多価アルコール成分の少なくとも一方が2種類以上の化合物を含有するものを意味する。「結晶性」とは、融点を有することを意味する。ここで「融点」とは、例えば示差走査熱量計(DSC)を用いた1次昇温において検出される融解時の吸熱ピーク温度を意味する。「主成分」とは、質量基準で最も多い成分(例えば50質量%以上)を意味する。「熱収縮率」とは、長さの変化率を意味する。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の実施形態に係るフラットケーブル用絶縁フィルム、フラットケーブル、及びフラットケーブルの製造方法について図面を参照しつつ詳説する。
[フラットケーブル用絶縁フィルム]
図1に示す当該フラットケーブル用絶縁フィルム1は、絶縁性を有する基材層2と、この基材層2の一方の面側に積層される樹脂層3とを主に備える。
<基材層>
基材層2は、織布、不織布、編布又は紙である。この織布、不織布、編布及び紙は、繊維を主成分とする。
上記繊維としては、例えば植物繊維、動物繊維、鉱物繊維、再生繊維、半合成繊維、合成繊維等が挙げられる。
上記植物繊維としては、例えば綿、麻、リンネル等が挙げられる。
上記動物繊維としては、例えば羊毛、絹、カシミヤ等が挙げられる。
上記鉱物繊維としては、例えば石綿、ガラス繊維等が挙げられる。
上記再生繊維としては、例えばレーヨン、ポリノジック、キュブラ、リヨセル等が挙げられる。
上記半合成繊維としては、例えばアセテート、トリアセテート、プロミックス等が挙げられる。
上記合成繊維としては、例えばナイロン6繊維、ナイロン66繊維、ナイロン610繊維等のナイロン繊維、パラ系アラミド繊維、メタ系アラミド繊維等のアラミド繊維などのポリアミド繊維;
ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)繊維等のポリエステル繊維;
ポリエチレン繊維、ポリプロピレン(PP)繊維等のポリオレフィン繊維;
ポリアクリレート繊維、ポリメタクリレート繊維、ポリメチルメタクリレート繊維、ポリアクリロニトリル(PAN)繊維等のアクリル繊維;
上記アクリル繊維を炭素化した炭素繊維;
ポリイミド繊維、ポリアミドイミド繊維、ポリエステルイミド繊維等のポリイミド繊維;
ポリエーテル系ウレタン繊維、ポリエステル系ウレタン繊維等のポリウレタン繊維;
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)繊維、エチレン−四フッ化エチレン共重合体(ETFE)繊維等のフッ素樹脂繊維;
ポリカーボネート繊維、ポリスチレン繊維、ポリアリレート繊維、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維、ポリエーテル−エーテルケトン繊維、ポリエーテルサルファイド繊維、ポリパラフェニレンオキサゾール(PBO)繊維、ポリビニルアルコール(PVA)繊維、液晶ポリマー(LCP)繊維などが挙げられる。
上記合成繊維としては、機械的強度、加工容易性及びコストの点から、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリウレタン繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維及び液晶ポリマー繊維が好ましく、ナイロン繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリウレタン繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維及び液晶ポリマー繊維がより好ましく、ポリエステル繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維及び液晶ポリマー繊維がさらに好ましい。
上記繊維としては、絶縁性、強度、耐熱性及び加工性に優れる観点から、植物繊維、鉱物繊維及び合成繊維が好ましく、合成繊維がより好ましい。
また、基材層2としては、不織布及び紙が好ましく、不織布がより好ましい。
基材層2の平均厚さの下限としては、30μmが好ましく、35μmがより好ましく、40μmがさらに好ましい。一方、基材層2の平均厚さの上限としては、500μmが好ましく、300μmがより好ましく、100μmがさらに好ましい。上記平均厚さが上記下限より小さいと、当該フラットケーブル用絶縁フィルム1の強度や絶縁性が低下するおそれがある。逆に、上記平均厚さが上記上限を超えると、当該フラットケーブル用絶縁フィルム1が過度に厚くなり、当該フラットケーブル用絶縁フィルム1を用いたフラットケーブルの導体の微細化が困難になるおそれや、フラットケーブルの柔軟性が低下するおそれがある。
基材層2の目付の下限としては、10g/mが好ましく、15g/mがより好ましく、20g/mがさらに好ましい。一方、上記目付の上限としては、250g/mが好ましく、100g/mがより好ましく、50g/mがさらに好ましい。上記目付が上記下限より小さいと、基材層2の強度が低下するおそれや、樹脂層3の基材層2への平均含浸厚さが過度に増加するおそれがある。逆に、上記目付が上記上限を超えると、当該フラットケーブル用絶縁フィルム1の平均厚さが過度に大きくなるおそれや、基材層2の密度が過度に増加し、その結果当該フラットケーブル用絶縁フィルム1を用いたフラットケーブルの柔軟性が向上し難くなるおそれがある。ここで「目付」とは、基材層2の1m当たりの質量を意味する。
基材層2の空隙率の下限としては、10%が好ましく、15%がより好ましく、20%がさらに好ましい。一方、上記空隙率の上限としては、45%が好ましく、43%がより好ましく、40%がさらに好ましい。上記空隙率が上記下限より小さいと、当該フラットケーブル用絶縁フィルム1の柔軟性が低下し、その結果当該フラットケーブル用絶縁フィルム1を用いたフラットケーブルの柔軟性が向上し難くなるおそれがある。逆に、上記空隙率が上記上限を超えると、樹脂層3の基材層2への平均含浸厚さが過度に増加するおそれがある。ここで「空隙率」とは、基材層2の平均厚さ、目付及び比重に基づき算出される基材層2における空隙の割合を意味する。
基材層2は、難燃性を有することが好ましい。具体的には、基材層2のJIS−K7201−1(1999)に準拠して測定される限界酸素指数(LOI)の値が20以上であることが好ましく、22以上であることがより好ましい。基材層2の限界酸素指数を上記下限以上とする手段としては、例えば難燃性を有する樹脂等を用いて形成した繊維を基材層2の主成分とする方法、難燃剤等を塗布した繊維を基材層2の主成分とする方法、基材層2を形成した後難燃剤等を塗布する方法などが挙げられる。この難燃剤としては、後述する樹脂層3が含有する難燃剤と同様のもの等が挙げられる。
<樹脂層>
樹脂層3は基材層2の一方の面側に積層される層であり、不飽和基を有する共重合ポリエステル(以下、「不飽和ポリエステル」ともいう。)と難燃剤とを含有する。この樹脂層3により、当該フラットケーブル用絶縁フィルム1は図3に示すようにフラットケーブルの導体4と接着される。
また、樹脂層3は、上記不飽和ポリエステル及び難燃剤以外に、不飽和基を有さないポリエステル(以下、「飽和ポリエステル」ともいう。)等のその他の樹脂や、酸化防止剤、架橋剤等のその他の成分をさらに含有してもよい。
(不飽和基を有する共重合ポリエステル)
上記不飽和ポリエステルは、不飽和基を有する。この不飽和基により、後述するように電離放射線の照射等により不飽和ポリエステルを容易に架橋することが可能となる。なお、不飽和ポリエステルは、不飽和基の一部又は全部が架橋結合していてもよい。
上記不飽和基としては、例えばビニル基、アクリル基、メタクリル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、クロチル基、イソブテニル基、ヘキセニル基、ビニルエーテル基、ビニレン基、ビニリデン基等が挙げられ、これらの中でビニレン基が好ましい。
上記不飽和ポリエステルは結晶性を有するものであってもよく、非結晶性であってもよいが、結晶性を有するものが好ましい。また、結晶性を有するポリエステルと非結晶性のポリエステルとの混合物であってもよい。
上記不飽和ポリエステルが結晶性を有する場合、この結晶性の不飽和ポリエステルにおける融点の下限としては、90℃が好ましく、110℃がより好ましく、120℃がさらに好ましい。一方、上記融点の上限としては、280℃が好ましく、275℃がより好ましく、270℃がさらに好ましい。上記融点が上記下限より小さいと、樹脂層3の耐熱性が不十分となるおそれがある。逆に、上記融点が上記上限を超えると、樹脂層3の形成が困難となるおそれがある。
また、上記不飽和ポリエステルは架橋していることが好ましい。この場合、不飽和ポリエステル中の全ての重合体が架橋している必要はなく、その一部のみが架橋していればよい。上記不飽和ポリエステルを架橋させる方法としては、例えば架橋剤の添加及び加熱、後述する電離放射線の照射等が挙げられ、架橋密度を制御し易い点から電離放射線の照射が好ましい。この電離放射線の種類及び照射量としては、後述するフラットケーブルの製造方法において挙げたものと同様とすることができる。
上記不飽和ポリエステルとしては、例えば不飽和基を有する多価カルボン酸に由来する構造単位及び多価アルコールに由来する構造単位を含むもの、不飽和基を有さない多価カルボン酸に由来する構造単位、多価アルコールに由来する構造単位及び不飽和基を有する化合物に由来する構造単位を含むもの等が挙げられる。
上記不飽和基を有する多価カルボン酸としては、例えばマレイン酸、フマル酸等、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸等の脂肪族不飽和多価カルボン酸、フェニレンジアクリル酸等の芳香族不飽和多価カルボン酸などが挙げられる。
上記不飽和基を有さない多価カルボン酸としては、例えばマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸;
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;
テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸、トリメリット酸等の芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。
上記多価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2,2−ジメチロールヘプタン、トリメチレングリコール、1,4−テトラメチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−テトラメチレンジオール、2−メチル−1,3−トリメチレンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタメチレンジオール、水添ビスフェノールA、ヒドロキシアルキル化ビスフェノールA、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、N,N−ビス−(2−ヒドロキシエチル)ジメチルヒダントイン等の低分子量の多価アルコール;
ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、ポリブタジエン系ポリオール、(メタ)アクリル系ポリオール、ポリカプロラクトン系ポリオール、ポリシロキサン系ポリオール、ポリウレタン系ポリオール等の水酸基を2つ含有する多価アルコールなどが挙げられる。
上記不飽和基を有する化合物としては、上記不飽和基を有する多価カルボン酸の他、ビニル化合物等が挙げられる。
上記多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸及びフマル酸が好ましく、上記多価アルコールとしては、1,4−ブタンジオールが好ましい。
上記不飽和ポリエステルの合成方法としては、例えば不飽和基を有する多価カルボン酸と多価アルコールとを重縮合する方法、不飽和基を有さない多価カルボン酸と多価アルコールとを重縮合した後、不飽和基を有する化合物をさらに重合する方法等が挙げられる。
(難燃剤)
上記難燃剤は、樹脂層3の難燃性を向上させるものである。上記難燃剤としては、公知のものを採用でき、例えばリン系難燃剤、窒素系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、アンチモン系難燃剤が挙げられる。難燃剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記リン系難燃剤としては、例えば9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキサイド等の環状有機リン化合物;
トリフェニルホスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニル)ホスフェート等のリン酸エステル;
ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸アルミニウム、次亜リン酸アルミニウムなどが挙げられる。
上記窒素系難燃剤としては、例えばメラミン樹脂、メラミンシアヌレート等が挙げられる。
上記ハロゲン系難燃剤としては、例えば塩素化パラフィン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリフェニル、パークロルペンタシクロデカン等の塩素系難燃剤;
エチレンビスペンタブロモベンゼン、エチレンビスペンタブロモジフェニル、テトラブロモエタン、テトラブロモビスフェノールA、ヘキサブロモベンゼン、デカブロモビフェニルエーテル、テトラブロモ無水フタール酸、ポリジブロモフェニレンオキサイド、ヘキサブロモシクロデカン、臭化アンモニウム等の臭素系難燃剤などが挙げられる。
上記アンチモン系難燃剤としては、例えば三酸化アンチモン、三塩化アンチモン、ホウ酸アンチモン、モリブテン酸アンチモン等が挙げられる。
上記難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤及びアンチモン系難燃剤が好ましく、臭素系難燃剤及び三酸化アンチモンがより好ましく、エチレンビスペンタブロモベンゼンがさらに好ましい。
樹脂層3における上記不飽和ポリエステル100質量部に対する上記難燃剤の含有量の下限としては、20質量部が好ましく、40質量部がより好ましく、50質量部がさらに好ましい。一方、上記含有量の上限としては、200質量部が好ましく、180質量部がより好ましく、100質量部がさらに好ましい。上記含有量が上記下限より小さいと、樹脂層3の難燃性が向上し難くなるおそれがある。逆に、上記含有量が上記上限を超えると、樹脂層3と基材層2との接着強度等が低下するおそれがある。
(その他の樹脂)
樹脂層3は、樹脂成分として不飽和ポリエステルのみを含有してもよいが、上記飽和ポリエステルを上記不飽和ポリエステルと混合することで、樹脂層3の性質を調節できる。特に、上記不飽和ポリエステルを架橋する場合、樹脂層3が飽和ポリエステルをさらに含有することで、樹脂層3中の不飽和ポリエステルに由来する架橋密度を適度に調整でき、その結果樹脂層3の柔軟性と強度と接着性とを共に高いレベルとすることができる。
上記不飽和ポリエステルと飽和ポリエステルとの和に対する上記飽和ポリエステルの含有率の下限としては、1質量%が好ましく、2質量%がより好ましく、5質量%がさらに好ましい。一方、上記含有率の上限としては、80質量%が好ましく、30質量%がより好ましく、10質量%がさらに好ましい。上記含有率が上記下限より小さいと、飽和ポリエステルによる架橋密度の調整効果が発揮され難くなるおそれがある。逆に、上記含有率が上記上限を超えると、樹脂層3における不飽和ポリエステルに由来する架橋密度が低下し、架橋による効果が発揮され難くなるおそれがある。
(その他の成分)
上記酸化防止剤は、不飽和ポリエステルの酸化を防止し、その結果樹脂層3の耐熱性を向上させるものである。上記酸化防止剤としては、公知のものを使用でき、例えばペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のヒンダードフェノール系酸化防止剤;
ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ビス[2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル]スルフィド等の硫黄系酸化防止剤などが挙げられる。これらの中で、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。また、上記酸化防止剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記架橋剤は、上記不飽和ポリエステルを架橋する場合において、架橋を促進するものである。この架橋剤としては、公知のものを使用でき、例えばエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等のアクリル系単量体;
トリアリルイソシアヌレート、ジエチレンゴルコールジアリルエーテル等のアリル系単量体;
アクリル変性エポキシオリゴマー、アクリル変性エステルオリゴマー、アクリル変性ウレタンオリゴマー、アクリル変性スピロアセタールオリゴマー、アクリル変性ブタジエンオリゴマー等のアクリル変性オリゴマー類;
ポリエン−チオール型スピロアセタールオリゴマーなどが挙げられる。これらの中で、アリル系単量体が好ましく、トリアリルイソシアヌレートがより好ましい。また、上記架橋剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂層3における上記不飽和ポリエステル100質量部に対するその他の成分の含有量の上限としては、15質量部が好ましく、10質量部がより好ましく、5質量部がさらに好ましい。上記含有量が上記上限を超えると、樹脂層3と基材層2との接着強度が低下するおそれがある。
樹脂層3の平均厚さの下限としては、10μmが好ましく、30μmがより好ましい。一方、上記平均厚さの上限としては、100μmが好ましく、80μmがより好ましい。上記平均厚さが上記下限より小さいと、樹脂層3と基材層2との接着強度が低下するおそれがある。逆に、上記平均厚さが上記上限を超えると、当該フラットケーブル用絶縁フィルム1の厚さが過度に増加し、当該フラットケーブル用絶縁フィルム1を用いたフラットケーブルの小型化が困難となるおそれがある。
基材層2の平均厚さに対する樹脂層3の基材層2への平均含浸厚さの上限としては、20%であり、10%が好ましく、5%がより好ましい。上記平均含浸厚さが上記上限を超えると、基材層2に含浸した樹脂層3内で微小なボイドが発生し易くなり、耐剥離性及び導体接着性が低下するおそれがある。
基材層2と樹脂層3とは、図1に示すように直接積層されていてもよく、接着剤層等の他の層を介して積層されていてもよいが、直接積層されていることが好ましい。この場合、後述するように基材層2と樹脂層3とを直接重ね合わせた後熱ラミネート等することにより基材層2と樹脂層3とを積層できる。
当該フラットケーブル用絶縁フィルム1の260℃で30分加熱後の熱収縮率の上限としては、5%が好ましく、3%がより好ましく、2%がさらに好ましく、1%が特に好ましい。上記熱収縮率が上記上限を超えると、当該フラットケーブル用絶縁フィルム1の高温環境下での寸法安定性が不十分となるおそれがある。
また、当該フラットケーブル用絶縁フィルム1は、加熱により収縮するものの他、加熱により膨張する場合がある。この場合、260℃で30分加熱後の熱膨張率の上限としては、1%が好ましく、0.8%がより好ましく、0.5%がさらに好ましい。上記熱膨張率が上記上限を超えると、当該フラットケーブル用絶縁フィルム1の高温環境下での寸法安定性が不十分となるおそれがある。ここで、「熱膨張率」とは、長さの変化率を意味する。
<フラットケーブル用絶縁フィルムの製造方法>
フラットケーブル用絶縁フィルム1の製造方法としては、例えば基材層2の上に樹脂層形成用組成物を直接押し出す方法、樹脂層形成用組成物を押出成形することでフィルム状の樹脂層3を形成した後、このフィルム状の樹脂層3を基材層2に重ねて熱によりラミネートする方法、上記フィルム状の樹脂層3と基材層2とを接着剤により接着する方法等が挙げられる。これらの中で、基材層2と樹脂層3とを直接積層できる点から、基材層2の上に樹脂層形成用組成物を直接押し出す方法、及びフィルム状の樹脂層3を基材層2に重ねて熱ラミネートする方法が好ましい。
上記樹脂層形成用組成物は、上記不飽和ポリエステル、難燃剤及び任意成分を混合することで調製できる。この混合に用いる混練機としては、例えばオープンロール、ニーダー等が挙げられる。また、二軸混練押出機等の押出機で混練してもよい。
上記樹脂層形成用組成物を基材層2の上に押し出す方法や、樹脂層形成用組成物を押出成形することでフィルム状の樹脂層3を形成する方法において用いられる押出法としては、例えば溶融押出法が挙げられる。この溶融押出法としては、例えばTダイ法、インフレーション法等が挙げられ、これらの中でTダイ法が好ましい。
上記フィルム状の樹脂層3と基材層2とを熱ラミネートする場合、ラミネート温度の上限としては、140℃が好ましく、120℃がより好ましい。一方、ラミネート温度の下限としては、60℃が好ましく、70℃がより好ましい。ラミネート温度が上記上限を超えると、基材層2が溶融し樹脂層3へ過度に含浸するおそれや、基材層2や樹脂層3が熱変形するおそれがある。逆に、ラミネート温度が上記下限未満の場合、基材層2と樹脂層3とが十分に接着されないおそれがある。
また、上記熱ラミネートにおけるラミネート速度の上限としては、50m/分が好ましく、40m/分がより好ましい。一方、ラミネート速度の下限としては、2m/分が好ましく、5m/分がより好ましい。ラミネート速度が上記上限を超えると、基材層2と樹脂層3とが十分に接着されないおそれがある。逆に、ラミネート速度が上記下限未満の場合、基材層2の加熱及び加圧時間が過度に長くなり、基材層2が樹脂層3へ過度に含浸するおそれや、当該フラットケーブル用絶縁フィルム1の生産性が低下するおそれがある。
上記接着剤により基材層2と樹脂層3とを接着する場合、この接着剤としては公知の物を用いることができる。また、基材層2の平均厚さに対する上記接着剤の基材層2への平均含浸厚さの上限としては、10%が好ましく、5%がより好ましく、3%がさらに好ましい。上記平均含浸厚さが上記上限を超えると、基材層2に含浸した接着剤中に微小なボイドが発生し、当該フラットケーブル用絶縁フィルム1の寸法安定性が低下するおそれがある。
<利点>
当該フラットケーブル用絶縁フィルム1は、基材層2が織布、不織布、編布又は紙であり、樹脂層3の基材層2への平均含浸厚さが上記上限以下である。このように、当該フラットケーブル用絶縁フィルム1の基材層2は、樹脂層3が実質的に含浸していない織布等であるため、樹脂フィルムや結合剤が含浸した場合と比して熱変形し難い。その結果、当該フラットケーブル用絶縁フィルム1は高温環境下での寸法安定性に優れる。また、当該フラットケーブル用絶縁フィルム1は、基材層2が織布、不織布、編布又は紙であるため高い柔軟性を有する。加えて、上記樹脂層3の基材層2への平均含浸厚さが上記上限以下であることで、樹脂層3の基材層2への含浸に起因する基材層2の柔軟性の低下を低減できる。これらの結果、当該フラットケーブル用絶縁フィルム1は優れた柔軟性を発揮できる。さらに、上記基材層2は絶縁性を有するため、当該フラットケーブル用絶縁フィルム1は絶縁性に優れる。また、上記樹脂層3が難燃剤を含有することで、当該フラットケーブル用絶縁フィルム1は難燃性に優れる。
また、当該フラットケーブル用絶縁フィルム1は、上述のように樹脂層3が基材層2に実質的に含浸していないため、基材層2へ充填された樹脂層3における微小なボイドの発生を抑制できる。その結果、樹脂層3と基材層2及び導体との接着強度を高いものとすることができる。また、樹脂層3と基材層2との間の接着強度が不十分な場合であっても、上記樹脂層3が不飽和基を有する共重合ポリエステルを含有するため、電離放射線の照射等により上記不飽和基に起因して樹脂層3内や樹脂層3と基材層2との界面において架橋が生じる。この架橋により、樹脂層3と基材層2との間の接着強度をより向上できる。さらに、当該フラットケーブル用絶縁フィルム1は、樹脂層3自体の耐熱性を向上できるため、高温化での変形を防止できる。これらの結果、当該フラットケーブル用絶縁フィルム1の強度が向上する。
さらに、樹脂層3を基材層2中に充填することに替えて、樹脂層3を基材層2の表面に積層しているため、樹脂層3の基材層2と接する側の面と反対側の面における平滑性が高く保たれる。この反対側の面は、当該フラットケーブル用絶縁フィルム1において導体と接する側の面であるため、導体が微細な場合であっても導体の精密な位置合わせが容易である。
[フラットケーブル]
図2のフラットケーブルは、平行に配列する複数の導体4と、これらの導体4の両面を被覆する1対の絶縁フィルムとを主に備える。この1対の絶縁フィルムは、導体4の一方の面側に積層される第1絶縁フィルム1と、導体4の他方の面側に積層される第2絶縁フィルム11とからなる。
この1対の第1絶縁フィルム1及び第2絶縁フィルム11は上述の当該フラットケーブル用絶縁フィルムと同じものである。このように、当該フラットケーブルに用いる1対の絶縁フィルムを共に当該フラットケーブル用絶縁フィルムとすることで、当該フラットケーブルの寸法安定性等の各種性能をより向上させることができる。
また、第1絶縁フィルム1の樹脂層3及び第2絶縁フィルム11の樹脂層13は、それぞれの基材層よりも導体4側に位置する。つまり、第1絶縁フィルム1の基材層2及び第2絶縁フィルム11の基材層12は、それぞれの樹脂層よりも外側に位置する。なお、図2においては、図1の当該フラットケーブル用絶縁フィルム1と同様な要素等については同一の符号を附し、以下における重複説明を省略する。
<導体>
複数の導体4は、1対の絶縁フィルムに狭持され、当該フラットケーブルの長手方向の全長にわたって配置されている。
これらの導体4は、例えば銅、錫メッキ軟銅、ニッケルメッキ軟銅等の導電性金属を主成分とする。導体4としては、箔状の導電性金属が好ましく、メッキを施した箔状の導電性金属がより好ましく、メッキ軟銅がさらに好ましい。導体4の平均厚さは、使用する電流量等に応じて決定すれば良く、例えば導体4を箔状とする場合には20μm以上100μm以下とされる。
<第2絶縁フィルム>
第2絶縁フィルム11は、絶縁性を有する基材層12と、この基材層12の一方の面側に積層される樹脂層13とを備える。本実施形態では、第2絶縁フィルム11は当該フラットケーブル用絶縁フィルムであるため、第2絶縁フィルム11の基材層12は当該フラットケーブル用絶縁フィルム1の上記基材層2と同じものである。また、第2絶縁フィルム11の樹脂層13は当該フラットケーブル用絶縁フィルム1の上記樹脂層3と同じものである。
また、当該フラットケーブルのように上記1対の絶縁フィルムが共に当該フラットケーブル用絶縁フィルムである場合、これらのフラットケーブル用絶縁フィルムの基材層及び樹脂層の成分や平均厚さ等は同じであってもよく、異なってもよいが、同じであることが好ましい。このように、1対の絶縁フィルムが同じ化学的特性及び機械的特性を備えることで、当該フラットケーブルの一方の面側と他方の面側の各種特性が均一なものとなる。その結果、当該フラットケーブルの強度等がより向上する。
1対の絶縁フィルムのうち少なくとも一方には、図2に示すように矩形状等の開口が穿設されていてもよい。絶縁フィルムがこのような開口を有することで、当該フラットケーブルの一部において導体4が露出し、この露出部にLED等の電子部品を実装することが可能となる。
上記導体4の露出部への電子部品の実装方法としては特に限定されず、例えばリフロー半田等の半田付け、導電性接着剤による接着などが挙げられる。これらの中で、リフロー半田付けが好ましい。
<利点>
当該フラットケーブルは、1対の絶縁フィルムのうち少なくとも一方が上記フラットケーブル用絶縁フィルム1であるため、優れた絶縁性と柔軟性とを両立でき、強度、難燃性及び高温環境下での寸法安定性にも優れる。さらに、上記絶縁フィルムの樹脂層が基材層よりも導体側にあることで、1対の絶縁フィルムで導体4を狭持した後、この積層体を熱ラミネート等することで当該フラットケーブルを容易に製造できる。また、上記フラットケーブルの樹脂層の表面における平滑性が高いため、上記フラットケーブル用絶縁フィルム表面における導体4の精密な位置合わせが可能となる。その結果、微細な導体を有する場合であっても、当該フラットケーブルは容易に製造できる。
<フラットケーブルの製造方法>
当該フラットケーブルの製造方法は、平行に配列する複数の導体の両面に1対の絶縁フィルムを積層する工程(以下、「積層工程」ともいう。)と、上記積層工程後の少なくとも一方の絶縁フィルムに電離放射線を照射する工程(以下、「照射工程」ともいう。)とを主に備える。
また、上記1対の絶縁フィルムのうち少なくとも一方は当該フラットケーブル用絶縁フィルム1であり、上記積層工程で、上記絶縁フィルムの基材層を導体層の反対側に配設する。
さらに、当該フラットケーブルの製造方法は、上記導体と1対の絶縁フィルムとを接合する工程(以下、「接合工程」ともいう。)をさらに備えてもよい。この接合工程は、通常上記積層工程と照射工程との間に行われ、積層工程と同時に行ってもよい。
(積層工程)
積層工程では、平行に並列する複数の導体の両面に1対の絶縁フィルムを積層する。この積層方法としては、例えば1枚の絶縁フィルムの樹脂層上に導体4を平行に配設し、もう1枚の絶縁フィルムを樹脂層側が導体4側となるように重ね合わせる方法等が挙げられる。
(照射工程)
照射工程では、上記積層工程で形成した導体の両面に1対の絶縁フィルムのうち、当該フラットケーブル用絶縁フィルムに電離放射線を照射する。この電離放射線の照射により、当該フラットケーブル用絶縁フィルム1の樹脂層3において架橋が生じる。
上記電離放射線としては、例えば電子線、高エネルギーイオン線等の荷電粒子線、γ線、X線等の高エネルギー電磁波、中性子線などが挙げられ、これらの中で電子線が好ましい。電子線発生装置は比較的安価であり、また電子線は他の電離放射線と比して出力を容易に上げることができる。さらに、電子線照射によれば、樹脂層における上記架橋密度の制御が容易である。
上記電離放射線の照射量としては、当該フラットケーブル用絶縁フィルム1の樹脂層3や基材層2の材質、平均厚さ等に応じ適宜調節できるが、その下限としては、20kGyが好ましく、30kGyがより好ましく、50kGyがさらに好ましい。一方、上記照射量の上限としては、200kGyが好ましく、180kGyがより好ましく、150kGyがさらに好ましい。上記照射量が上記下限より小さいと、樹脂層3における架橋密度が過度に少なくなり、樹脂層3と基材層2や導体4との接着強度の向上の程度が不十分となるおそれがある。逆に、上記照射量が上記上限を超えると、樹脂層3の架橋密度が過剰となり、樹脂層3の柔軟性が低下するおそれがある。なお、上記照射量は、複数回電離放射線の照射を行った場合は合計の照射量を指す。
上記電離放射線の照射は、フラットケーブルの一方の面側のみから行ってもよく、両方の面側から行ってもよいが、上記1対の絶縁フィルムが共に当該フラットケーブル用絶縁フィルムである場合、フラットケーブルの両方の面側から行うことが好ましい。このように、1対の当該フラットケーブル用絶縁フィルムの両方に電離放射線を照射することで、当該フラットケーブルの強度をより向上することができる。
また、上記1対の絶縁フィルムが、当該フラットケーブル用絶縁フィルム1及び従来の絶縁フィルムの組み合わせである場合、少なくとも当該フラットケーブル用絶縁フィルム1に電離放射線を照射することが好ましい。
(接合工程)
接合工程では、1対の絶縁フィルムと導体とを接合する。この接合方法としては、例えば1対の絶縁フィルムで導体を狭持したものを加熱ラミネータ等により両面側から熱する方法等が挙げられる。この加熱ラミネータ等としては、公知の物を用いることができる。
絶縁フィルムと導体とを熱ラミネートする場合、ラミネート温度は例えば100℃以上200℃以下、ラミネート速度は例えば0.5m/分以上10m/分以下とすることができる。
図2に示すような導体4が露出した当該フラットケーブル1を製造する方法としては、例えば予め絶縁フィルムに穴を穿設したものを導体4に積層する方法、上記積層工程後や照射工程後に一方の絶縁フィルムの一部を除去する方法等が挙げられるが、導体4等の破損のおそれが少なく、かつ微細な穴を形成し易い観点から、予め絶縁フィルムに穴を穿設する方法が好ましい。
<利点>
当該フラットケーブルの製造方法は、樹脂層が基材層よりも導体側となるように1対の絶縁フィルムを導体の両面に積層し、この積層後の絶縁フィルムに電離放射線を照射する。この電離放射線の照射により、絶縁フィルムの樹脂層内や、樹脂層と基材層との界面、樹脂層と導体との界面等において、樹脂層中の不飽和基を有する共重合ポリエステルが架橋する。その結果、樹脂層の強度並びに樹脂層と基材層及び導体との接着強度が向上する。そのため、当該フラットケーブルの製造方法によれば、絶縁性、柔軟性、強度、難燃性及び高温環境下での寸法安定性に優れるフラットケーブルを容易かつ確実に製造できる。
[他の実施形態]
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
当該フラットケーブル用絶縁フィルムを導体に積層する前に、当該フラットケーブル用絶縁フィルムのみに電離放射線を照射してもよい。この場合、樹脂層側の面に電離放射線を照射してもよく、基材層側の面に電離放射線を照射してもよく、また両側の面に電離放射線を照射してもよい。なお、当該フラットケーブル用絶縁フィルムと導体との接着強度をより向上させる観点からは、上記実施形態のように当該フラットケーブル用絶縁フィルムを導体に積層した後に電離放射線を照射することが好ましい。
当該フラットケーブルは、上記実施形態のように絶縁フィルムに開口を有するものに限定されず、開口を有さないものであってもよい。また、当該フラットケーブルは複数の開口を有してもよい。さらに、当該フラットケーブルの開口の形状としては、上記実施形態のような矩形状のほか、実装する電子機器の形状に合わせ円形等の多様な形状とできる。
また、当該フラットケーブルは、導体を被覆する1対の絶縁フィルムが共に当該フラットケーブル用絶縁フィルムであるものに限定されず、どちらか一方が公知の絶縁フィルムであってもよい。この場合であっても、当該フラットケーブルは従来のフラットケーブル等と比して高温環境下での寸法安定性等に優れる。上記公知の絶縁フィルムとしては、基材層及び樹脂層を備えるものであれば特に限定されない。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[樹脂層形成用組成物の調製]
樹脂層形成用組成物の調製に用いた化合物を以下に示す。
(共重合ポリエステル)
C−1:不飽和基を有さない共重合ポリエステル(東洋紡社の「バイロン(登録商標)GM913」、融点126℃)
C−2:不飽和を有し、結晶性の共重合ポリエステル(日本合成化学社の「ポリエスター(登録商標)X14」、融点124℃)
(難燃剤)
B−1:エチレンビスペンタブロモベンゼン(アルベマールコーポレーション社の「SAYTEX(登録商標)8010」)
B−2:三酸化アンチモン
(酸化防止剤)
ヒンダードフェノール系酸化防止剤(BASF社の「イルガノックス(登録商標)1010」)
(架橋剤)
トリアリルイソシアヌレート
<調製例1>
共重合ポリエステルとしての(C−1)20質量部及び(C−2)80質量部、難燃剤としての(B−1)60質量部、並びに酸化防止剤としてのヒンダードフェノール系酸化防止剤1質量部を混合することで、樹脂層形成用組成物(P−1)を調製した。
<調製例2〜4>
表1に示す種類及び添加量の化合物を用いた以外は上記調製例1と同様に操作し、樹脂層形成用組成物(P−2)〜(P−4)を調製した。なお、表1中、「−」は該当する化合物を用いていないことを示す。
Figure 0006786953
フラットケーブル用絶縁フィルムの基材層として用いた不織布等を以下に示す。
S−1:ガラス不織布(オリベスト社の「グラベストSAS−030」、目付32g/m、平均厚さ240μm)
S−2:ポリアミド紙(デュポン帝人アドバンスドペーパー社の「ノーメックスT410−2MIL」、目付41g/m、平均厚さ50μm)
S−3:絶縁紙(大昭和製紙社の「FK−30」、目付18.5g/m、平均厚さ30μm)
S−4:ポリエステル不織布(旭化成社の「エルタスフラットEH5035C」、平均厚さ60μm)
S−5:ポリフェニレンサルファイド紙(東レ社の「トルコンPS0040S」、平均厚さ50μm)
S−6:液晶ポリマー不織布(クラレ社の「ベクルス」、目付40g/m、平均厚さ115μm)
SS−1:ポリエステルフィルム(東レ社の「ルミラー(登録商標)P60」、平均厚さ12μm)
SS−2:ポリイミドフィルム(東レ社の「カプトン(登録商標)100V」、平均厚さ25μm)
SS−3:ポリフェニレンサルファイドフィルム(東レ社の「トレリナ(登録商標)3030」、平均厚さ25μm)
[試験例1]
<フラットケーブル用絶縁フィルムの製造>
上記樹脂層形成用組成物(P−1)を500mm幅のTダイ押出成形機を用いて押出成形し、平均厚さ75μmの樹脂層を得た。この樹脂層に、基材層としてのガラス不織布(S−1)を積層し、ラミネータを用いて加熱温度120℃、ラミネート速度10m/分の条件で樹脂層と基材層とを熱ラミネートすることでフラットケーブル用絶縁フィルムを得た。
<フラットケーブルの製造>
樹脂層が内側となるよう対向させた1対の幅100mmのフラットケーブル用絶縁フィルムの樹脂層間に導体40本を0.5mmピッチで配置した。この導体としては、錫メッキを施した帯状の軟銅箔(平均厚さ35μm、平均幅0.3mm)を用いた。この2枚の絶縁フィルムと導体との積層体をラミネータを用い、160℃、2m/分の条件で加熱圧着した。加熱圧着後、片側の絶縁フィルムについて、電子線照射装置を用い、加速電圧1MeVの条件で、両面にそれぞれ電子線照射量60kGyで電子線を照射することでフラットケーブルを得た。
[試験例2〜12]
樹脂層形成用組成物及び基材層として、表2に示す種類のものを用いた以外は上記試験例1と同様の操作により、フラットケーブル用絶縁フィルム及びフラットケーブルを製造した。なお、表2の電子線照射量は両面での合計を示す。
<樹脂層の基材層への平均含浸厚さ>
上記試験例のフラットケーブル用絶縁フィルムについて、積層前の絶縁フィルムの基材層及び樹脂層それぞれの平均厚さと、積層後の絶縁フィルムの平均厚みから平均含浸厚さを算出した。基材層の平均厚さに対する上記平均含浸厚さの割合を表2に示す。なお、樹脂層の平均厚みは、押出重量と密度とから換算した。
<難燃性>
上記試験例のフラットケーブルについて、UL1581 VW−1に準拠し難燃性を評価した。UL1581 VW−1の評価において合格であるものを「A」と、不合格であるものを「B」とした。この評価結果を表2に示す。
<耐剥離性>
上記試験例のフラットケーブルについて、一方の面側の絶縁フィルムが内側となるように2つ折りにした。この折り線の延伸方向は、フラットケーブルにおける導体の長手方向と垂直とした。この2つ折り後のフラットケーブルを150℃の環境下で7日間静置した。その後、折り目を戻し、折り曲げ部分について目視で観察した。折り曲げ部分において、2枚の絶縁フィルムが剥離しなかったものを「A」と、2枚の絶縁フィルムが剥離したものを「B」とした。この評価結果を表2に示す。
<寸法安定性>
上記試験例のフラットケーブル用絶縁フィルム2枚を樹脂層が内側になるよう重ね、上記電子線照射装置を用い、加速電圧1MeVの条件で、電子線吸収量が表2に記載の値となるように基材層側から電子線を照射した。この電子線照射後の絶縁フィルムを、幅30mm、長さ150mmに裁断し、間隔100mmで2本の標線を付した。その後、絶縁フィルムを温風式恒温槽内に配設し、260℃で30分静置した。静置後、絶縁フィルムを温風式恒温槽から取り出し、絶縁フィルムの温度が室温となるまで静置した。この絶縁フィルムについて、標線間の長さを測定し、その変化割合(熱収縮率又は熱膨張率)を寸法安定性の基準とした。測定結果について表2に示す。なお、表2中「−」は、絶縁フィルムが大きく収縮及び変形し、標線間の長さを測定できなかったことを示す。
<導体との接着強度>
上記試験例のフラットケーブルの一方の絶縁フィルムに穿孔窓を設け、JIS−K6854−2(1999)「接着剤−はく離接着強さ試験方法−第2部:180度はく離」に準じ、この窓に露出する導体を他方の絶縁フィルムから180°はく離した際のはく離接着強さを求め、導体との接着強度の指標とした。この測定結果を表2に示す。
Figure 0006786953
表2に示すように、基材層が不織布又は紙であり、樹脂層が不飽和ポリエステル及び難燃剤を含有し、かつ樹脂層の基材層への平均含浸厚さが20%以下である試験例1〜7のフラットケーブル用絶縁フィルムは、難燃性、耐剥離性、寸法安定性及び導体との接着強度の全てに優れていた。特に、基材層が紙又はガラス繊維不織布である試験例1〜3及び7は、寸法安定性により優れていた。
一方、基材層がフィルムである試験例8〜11は、難燃性は優れており、また導体と絶縁フィルムとの接着強度についても、上記試験例1〜7と同等の値を示したが、いずれも寸法安定性が劣っていた。特に、電子線照射を行っていない試験例9及び10では、耐剥離性に劣ると共に、寸法安定性が大きく劣っていた。また、基材層が不織布又は紙であり、かつ樹脂層が不飽和ポリエステル及び難燃剤を含有するが、樹脂層の基材層への平均含浸厚さが20%を超える試験例12では、耐剥離性及び導体接着性に劣っていた。
本発明のフラットケーブル用絶縁フィルムは、比較的高い柔軟性、絶縁性、強度及び難燃性を有すると共に、寸法安定性に優れるフラットケーブルの製造に適する。このため、当該フラットケーブル用絶縁フィルムは、電子部品を実装するフラットケーブルや、自動車部品等のフラットケーブル等に好適に用いることができる。
1、11 フラットケーブル用絶縁フィルム
2、12 基材層
3、13 樹脂層
4 導体

Claims (9)

  1. 絶縁性を有する基材層と、この基材層の一方の面側に積層される樹脂層とを備え、
    上記基材層が、織布、不織布、編布又は紙であり、
    上記樹脂層が、不飽和基を有する共重合ポリエステルと難燃剤とを含有し、
    上記基材層の平均厚さに対する上記樹脂層の上記基材層への平均含浸厚さが10%以下であり、
    上記基材層の空隙率が20%以上40%以下であり、
    上記樹脂層が酸化防止剤を含み、
    260℃で30分加熱後の熱収縮率が5%以下であり、
    260℃で30分加熱後の熱膨張率が1%以下であるフラットケーブル用絶縁フィルム。
  2. 上記共重合ポリエステルが結晶性を有する請求項1に記載のフラットケーブル用絶縁フィルム。
  3. 上記共重合ポリエステルが架橋している請求項1又は請求項2に記載のフラットケーブル用絶縁フィルム。
  4. 上記基材層が、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリウレタン繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ガラス繊維又は植物繊維を主成分とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載のフラットケーブル用絶縁フィルム。
  5. 上記難燃剤の含有量が、上記共重合ポリエステル100質量部に対し20質量部以上200質量部以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のフラットケーブル用絶縁フィルム。
  6. 上記樹脂層が架橋剤をさらに含み、
    上記酸化防止剤及び架橋剤の含有量が、上記共重合ポリエステル100質量部に対して15質量部以下である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のフラットケーブル用絶縁フィルム。
  7. 上記基材層と上記樹脂層とが直接積層される請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のフラットケーブル用絶縁フィルム。
  8. 平行に配列する複数の導体と、これらの導体の両面を被覆する1対の絶縁フィルムとを備え、
    上記1対の絶縁フィルムの少なくとも一方が請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のフラットケーブル用絶縁フィルムであり、
    上記絶縁フィルムの樹脂層が基材層よりも導体側に位置するフラットケーブル。
  9. 平行に配列する複数の導体の両面に1対の絶縁フィルムを積層する工程と、
    上記積層工程後の少なくとも一方の絶縁フィルムに電離放射線を照射する工程と
    を備え、
    上記照射工程で電離放射線が照射される絶縁フィルムが請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のフラットケーブル用絶縁フィルムであり、
    上記積層工程で、上記絶縁フィルムの樹脂層を基材層よりも導体側に配設するフラットケーブルの製造方法。
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