JP2007207629A - フレキシブルフラットケーブル - Google Patents

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Abstract

【課題】導体を挟む絶縁層を低誘電率としながら厚さを薄くして摺動性を高める。
【解決手段】導体の両側を一対の絶縁層で挟持し、該一対の絶縁層の各外面を絶縁テープに導電性金属層を設けたシールドテープで被覆しているフレキシブルフラットケーブル(FFC)であって、前記各絶縁層は、オレフィン樹脂の多孔質シートと、該多孔質シートを挟む酸変性オレフィン樹脂製の両側の接着シートを備え、前記導体と多孔質シートと、該多孔質シートと前記シールドテープとをそれぞれ前記接着シートで接着している。
【選択図】図1

Description

本発明は、フレキシブルフラットケーブル(以下、FFCと略称する)に関し、特に、高周波向けとして用いられ、肉厚を薄くしながら低誘電性にでき、屈曲性や慴動性を向上させているものである。
従来から、OA機器、コンピュータ機器、音響機器、車両用ハーネス等の内部配線材として、導体の表裏両面を絶縁フィルムで被覆した多芯平型のFFCが使用されている。該FFCは、一般に、銅箔を所要のパターン形状に打ち抜いた導体、あるいは細幅として平行配線する導体を、ポリ塩化ビニル製のフィルムを導体の両面に配置して熱圧着(ラミネート)したものが、接着剤が不要であるため汎用されている。
前記フラットケーブルの用途が広がるに従い、絶縁フィルムの耐熱性、難燃性、強度、寸法安定性、耐薬品性等の観点から、延伸ポリエステル樹脂やポリエチレンテレフタレート(PET)からなる絶縁フィルムが好適なものとして用いられている。
前記延伸ポリエステル樹脂やPET等から成形した絶縁フィルムとして用いた場合、熱圧着では導体と絶縁フィルムとの接着ができず、よって、絶縁フィルムと導体とを接着剤を用いて接着したFFCが提供されている。
また、ノイズ対策が必要な場合には絶縁フィルムの外側面にシールドテープを積層したシールドFFCも提供されている。
近年、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどに接続される電子機器の高速伝送用の配線用ケーブルとしてFFCが用いられつつある。その場合、高速デジタル信号の送信用・受信用ICのインピーダンスと同じ100Ωにする必要があり、そのため、絶縁層を低誘電率とする必要がある。
この種の高周波向けFFCとして、特開2003−31033号(特許文献1)において、導体の両側に接着層付き発泡弾性体をラミネート加工し、該発泡弾性体の外側に導電性接着剤付き金属層を備えたFFCを提供している。
即ち、前記FFCでは発泡弾性体の誘電率は、空孔を囲む樹脂部の誘電率と空孔内の空気の誘電率とを複合化して、複合誘電率が非発泡の従来の絶縁体の誘電率(約3.0)より低い誘電率(約1.5)となるようにしている。
前記のように、特許文献1では絶縁層に発泡体を設けることで低誘電率としているが、発泡体は機械的強度が弱く、摺動させた場合、発泡層が切断しやすくなり、一般的にFFCに求められる摺動回数400万回を満足できなくなる。
また、PETフィルムを用いているため、特性インピーダンスが50Ω程度しか満足できず、特性インピーダンスが100Ωを満たす必要がある差動伝送用のケーブルとしては不適当である。
前記静電容量が不安定になる問題に対して、特開平8−212834号(特許文献2)では、導体を挟む絶縁層として、基材フィルム上に熱膨張性のマイクロバルーンが添加された発泡層、接着性の非発泡層を順次形成した絶縁層、あるいは、基材フィルム上に非発泡層−発泡層−非発泡層を順次形成した絶縁層を積層したFFCとしている。
この特許文献2の構成とすると、静電容量の安定化を図ることはできるが、発泡弾性体をマイクロバルーンを用いて形成しているため、マイクロバルーンの膨張温度以上に加熱して発泡させる発泡工程が必要となり、製造工程が増えると共に、絶縁層の肉厚の減少、耐熱性、強度等の点でも改善の余地がある。
特開2003−31033号 特開平8−212834号
本発明は前記問題に鑑みてなされたもので、導体を挟む絶縁層として、発泡弾性体を用いることなく低誘電性を実現できるようにし、よって、絶縁層の厚さを薄くしても機械的強度が優れ、慴動性を向上するシールドFFCを提供することを課題としている。
本発明は、前記課題を解決するため、導体の両側を一対の絶縁層で挟持し、該一対の絶縁層の各外面を絶縁テープに導電性金属層を設けたシールドテープで被覆しているフレキシブルフラットケーブル(FFC)であって、
前記各絶縁層は、オレフィン樹脂の多孔質シートと、該多孔質シートを挟む酸変性オレフィン樹脂製の両側の接着シートを備え、
前記導体と多孔質シートと、該多孔質シートと前記シールドテープとをそれぞれ前記接着シートで接着していることを特徴とするフレキシブルフラットを提供している。
前記のように、本発明では、導体を挟む絶縁層には、発泡弾性体を用いる代わりに、多孔質シートを用いることで、発泡弾性体を用いる場合と同様に空気充填部を有することで、低誘電率を実現し、かつ、発泡弾性体に比べてシート厚さを薄くすると共に厚さを精度良く均一し、さらに、発泡工程を不要として製造工程を簡易化している。
また、前記多孔質シートと内面側の導体、外面側のシールド層との間に接着力が強い酸変性オレフィン樹脂で形成した接着シートを介在させると共に、多孔質シート自体もオレフィン樹脂で成形しているため、接着強度を高めることができ、耐屈曲性や耐摺動性を向上させることができる。
前記多孔質シートと、該多孔質シートの内外面側の接着シートとを備えた前記各絶縁層の厚さは50μm以上260μm以下とすることが好ましい。
そのため、前記多孔質シートの厚さは50〜150μ、特に約100μm程度が好ましい。また、各接着シートの厚さは20〜50μm、特に30μm程度が好ましい。
前記導体は銅箔、スズメッキ軟銅箔等の導電性金属箔からなり、該導体の厚さは、使用する電流量に対応するが、摺動性等を考慮すると20〜50μm程度である。
前記絶縁層の外面を被覆する前記シールドテープは、基材テープとなる絶縁テープの内面に金属を蒸着し、または導電性接着剤の塗布により導電金属層を備えた構成で、該導電性金属層を前記接着シートと接着している。この導電性金属層と絶縁テープとを合わせたシールドテープの厚さは、10〜50μm、特に30μm程度としていることが好ましい。
よって、前記導体、該導体を挟む一対の絶縁層とシールド層からなるシールドFFCの全体厚さは150〜700μm、好ましくは200〜500μm、特に300〜400μmとすることが好ましい。
前記絶縁層を構成する多孔質シートの厚さおよび接着シートの厚さを前記範囲としているのは、絶縁層の厚さを50μm以上260μm以下とするためである。
これは、絶縁層の厚さが50μm以下とすると、特性インピーダンスが90Ω未満になってしまうの問題があり、260μmを越えると慴動性が低下し、慴動回数400万回を達成できないことによる。
詳細には、多孔質シートの厚さを50〜150μmとしているのは、50μm以上とすることで、特性インピーダンスを90〜110Ωにすることができ、150μm以下とすることで絶縁層の厚さが薄くして屈曲性や慴動性を高めるためである。
前記内側および外側の接着シートの各厚さを10〜50μmとしているのは、10μm以上とすることで多孔質シートやシールドテープとの接着を均一に行うと共に屈曲時に負荷がかかっても剥離を発生させないためであり、50μm以下とすることで柔軟性を低下させず、かつ、絶縁層の全体厚さを薄くするためである。
前記したように、多孔質シートはオレフィン樹脂で成形しており、具体的には、ポリエチレン、エチレンー酢酸ビニル系共重合体、エチレン−酢酸ビニルー無水マレイン酸共重合体、エチレンーエチルアクリレート系重合体、エチレンーエチルアクリレー無水マレイン酸共重合体から選ばれた1種または複数種のオレフィン樹脂から成形している。
該オレフィン樹脂には、臭素系難燃剤、塩素系難燃剤や、シランカップリング剤を配合してもよい。その場合、オレフィン樹脂100質量部に対して難燃剤は50〜250質量部を配合し、UL規格で規定される垂直難燃試験(UL1581)に合格する難燃性を付与することが好ましい。
また、シランカップリング剤は0.4〜8質量部配合することが好ましい。
なお、ハロゲン元素や隣を含有させていないことが好ましい。
本発明で絶縁層のベースフィルムとして、多孔質シートをオレフィン樹脂で成形しているのは、絶縁性に優れ、誘電率が低く、さらに、柔軟であると共に軽量で、かつ、機械的強度に優れることによる。
なお、多孔質シートはオレフィン系樹脂をベースポリマーとし、オレフィン系ポリマーの特性を損なわない範囲で他の熱可塑性樹脂を少量混合してもよい。
前記オレフィン樹脂から成形するシートは低誘電率とするために多孔質シートとしているため、空気充填部となる空孔の形状は限定されず、丸穴や多角形穴が所要ピッチで形成されたパンチング状シートやメッシュ状シートとしてもよい。
該オレフィン樹脂製の多孔質シートは、空孔を有しない無垢の状態における誘電率は約3.0であるが、空孔を設けることで1.0以上2.0以下(約1.5)を実現している。空孔率は多孔質シートに所要の強度も保持できる程度としている。
前記オレフィン樹脂製の多孔質シートと導体との間、及び該多孔質シートとシールドテープの間に介在させる前記酸変性オレフィン樹脂製の接着シートは、誘電率は2.0以上3.0以下である。
よって、前記内側接着シート−多孔質シート−外側接着シートの3層からなる厚さ50〜250μmの絶縁層の誘電率を1,5以上2.5以下の低誘電性としている。その結果、特性インピーダンスを90〜110Ω以下とすることができ、低電圧の高速伝送材として好適なものとしている。
前記多孔質シートのオレフィン樹脂は架橋されていることが好ましい。
即ち、架橋により熱的に安定な三次元網状となり、耐熱性および難燃性を高めることができ、特に、高温雰囲気下で使用する場合に架橋させていることが好ましい。
この架橋は、オレフィン樹脂に架橋剤を配合して架橋する方法に代えて、電離放射線の照射により架橋させることが好ましい。
前記内側・外側接着シートの酸変性オレフィン樹脂も、熱的安定性、耐熱性等を高めるために、多孔質シートと同様に、架橋されていることが好ましい。
前記電離放射線を照射して架橋する場合、導体の両面にそれぞれ内側接着シート−多孔質シート−外側接着シートで重ねて導体を狭持した後に、前記外側接着シートの外面にシールド層を構成するシールドテープを重ねてケーブルを作成し、その後、該ケーブルへ電離放射線の照射して、外側・内側接着シートと多孔質シートとを同時に架橋している。
前記のように、ケーブル作成後に全体を照射架橋する代わりに、多孔質シートを作成した後、該多孔質シートを先に照射架橋し、架橋構造とした多孔質シートを接着シートと接着してもよい。
照射する電離放射線としては、α線、電子線(β線)、γ線、X線等の使用が可能であるが、浸透性が良く、短時間で効率よく照射できる等の点からはγ線が好適に用いられる。
この電離放射線の照射量及び照射時間は、絶縁層に十分に浸透させて、オレフィン樹脂を電離放射線の照射により架橋して、ゲル分率を前記したように、各シートの5重量%以上になる量としていることが好ましい。
このように、ゲル分率を5重量%以上とすることで、多孔質シートおよび接着シートを熱的に安定な三次元網状とすることができ、耐熱性および難燃性を高めることができる。上限は50重量%程度以下であり、これは、ゲル分率が50重量%を越えると接着シートや多孔質シートが硬化して、フラットケーブル自体の可撓性が低下することに因る。
前記のようにゲル分率を5重量%〜50重量%とするには、30〜200kGyで照射するのが好ましい。
なお、電離放射線の照射で表面のシールドテープの絶縁テープに含まれる接着剤成分も同時に架橋される。よって。シールドテープの絶縁テープが耐熱性の低い樹脂によって形成している場合には、積極的に電離放射線の照射で架橋させることが好ましい。一方、架橋により絶縁テープの柔軟性が低下する場合には、架橋禁止剤を配合しておけばよい。
前記シールドテープは、ポリエチレンテレフタレート等の分子骨格中に芳香族環が有する絶縁テープの内面側に、導電性金属を蒸着、メッキ、イオンプレーテイング等で被覆して形成し、該導電性金属を前記接着シートと接着している。また、該導電性金属の表面に更に銀ペースト等の導電性接着剤を塗布し、よりシールド性能を高めてもよい。
前記シールドテープの樹脂テープとしては、分子骨格中に芳香族環を有するものから成形すると難燃性及び強度に優れたものとすることができる。
この種の樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド、ポリフェニレンンスルファイド(PPS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFFA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ1.4シクロヘキシルジメレンテレフタレート(PCT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等を挙げることができ、なかでも、PETが安価であり且つ機械的強度の点から好適に用いられる。
また、シールドテープの絶縁テープはUL規格で規定される絶縁抗張力及び伸びに合格するために、絶縁伸びが100%以上、好ましくは150%以上500%以下であり、絶縁抗張力が1.1kg/mm以上、好ましくは3kg/mm以上としていることが好ましい。
前記シールドテープは前記導体と一対の絶縁層の外周面に巻き付けていることが好ましい。即ち、外側接着剤シールドの外面側に夫々積層する場合には、両側外面と直交方向の厚さ方向の端面にシールド層が配置されないこととなるが、シールドテープを巻き付けると、厚さ方向の両端面も含めて全外周をシールド層で囲むことができる。
なお、前記絶縁層を構成する多孔質シートおよび接着シート、シールド層を構成する基材樹脂テープには、必要に応じて、酸化チタン等の顔料、補強剤、老化防止剤、粘着性付与剤、粘度調整剤、架橋剤の各種添加剤を配合してもよい。
上述したように、本発明のフレキシブルフラットケーブルでは、絶縁層のベースシートをオレフィン樹脂からなる多孔質シートで形成して低誘電率としているため、低電圧の高速伝送用FFCとして適したものとすることができ、かつ、該多孔質シートの両側に導体およびシールドテープとの接着用の酸変性オレフィン樹脂からなる接着シートを重ねた3層構造としても、その厚さを250μm以下としている。
よって、導体を両面を前記250μm以下の絶縁層でそれぞれ挟み、さらに、その外面にシールドテープを設けても、全体厚さを薄くすることができる。その結果、FFCに求められる摺動回数400万回を実現できると共に耐屈曲性を得ることができる。
また、電離放射線を照射して、絶縁層の多孔質シールドとするオレフィン樹脂、接着剤シールドとする酸変性オレフィン樹脂を架橋すると、熱的安定性を付与でき、高温雰囲気時においても耐熱性を高めることができる。
以下、本発明の実施形態を説明する。
まず、図1に示すフレキシブルフラットケーブル(FFC)1について説明する。
FFC1は、直線状の導電性金属箔からなる複数の導体2を所要の隙間をあけて平行配置し、これら導体2の両面を、それぞれ、内側接着シート3(3A、3B)、多孔質シート4(4A、4B)、外側接着シート5(5A、5B)からなる絶縁層10を配置し、その外周面にシールドテープ6を巻き付けて被覆している。
前記一対の内側接着シート3は導体2と多孔質シート4とを接着し、導体2が存在しない領域では多孔質シート4A、4B同士を接着している。また、一対の外側接着シート5(5A、5B)が多孔質シート4A、4Bとシールドテープ6とを接着している。
前記絶縁層10を構成する多孔質シート4(4A、4B)は、オレフィン樹脂系のポリエチレン樹脂で成形している。内側接着シート3(3A、3B)お外側接着シート5(5A、5B)は酸変性オレフィン樹脂の酸性ポリエチレンで成形している。
多孔質シート4は所要ピッチをあけて丸穴4aを穿設した形状とし、該オレフィン樹脂からなる多孔質シート4の誘電率を約1.7となるように、前記丸穴4aを設けている。一方、酸変性オレフィン樹脂からなる内外接着シート3、5の誘電率は約2.2であり、よって、導体2を挟む各絶縁層10の誘電率を1.9としている。
また、前記多孔質シート4の厚さは100μmとし、内側接着シート3および外側接着シート5の厚さは夫々30μmとしている。よって、導体2を挟む両側の絶縁層10の厚さは夫々160μmとしている。
前記シールドテープ6は、厚さ10μmのポリエチレンテレフタートからなる絶縁樹脂テープの表面に銀を蒸着し、さらに銀蒸着面に銀ペーストを厚さ20μmで塗布した構成とし、シールドテープ6の厚さを30μmとしている。
前記導体2は錫メッキ軟銅箔から形成した厚さ35μm、幅500μmの平角導体としている。
よって、本実施形態のFFC1の全体厚さは415μmとなるが、積層状態でプレス機を用いて熱圧着することにより、全体厚さを380μmしている。
前記絶縁層10の多孔質シート4を構成するオレフィン樹脂、内外接着シート3、5を構成する酸変性オレフィン樹脂は、電離放射線を照射して架橋している。
次に、前記FFC1の製造方法を説明する。
まず、絶縁層10を構成するベースシートの多孔質シート3の両面に、内側接着シート3と外側接着シート5とを重ねて接着し、3層構造の絶縁層10を一対、予め形成しておく。
ついで、一方の絶縁層10を、その内側接着シート3Aを上面として配置して、その上面に所要本数の導体2を所要間隔をあけて並設する。
ついで、他方の絶縁層10を内側接着シート3Bを下向きとして重ねて、導体2を上下両側を絶縁層10、10の内側接着シート3Aと3Bで挟む。
ついで、予め作製していたシートテープ6を両側外面に位置する外側接着シート5A、5Bおよび厚さ方向の両側端面も被覆するように巻き付ける。
このように組みつけた後に、上下一対の熱ロールの間に通し、所要温度に加熱しながら上下両側から圧力を加えて、内外接着シート3、5の少なくとも表面を溶融させて熱圧着する。この熱圧着により、導体2の上下両面を内側接着シート3A、3Bと接着させると共に、導体2が存在していない箇所では上下多孔質シート4A、4Bを内側接着シート3A、3Bで接着させる。また、外側のシールドテープ6と多孔質シート4A、4Bと外側接着シート5A、5Bで接着する。
前記工程は、ライン上で連続的になされ、ロールにより熱圧着されて搬送されてくる積層体に対して、上下方向の一方から、電離放射線を照射して、少なくとも接着剤層5A、5Bを架橋している。
(実施例)
次ぎに、本発明の実施例と比較例のフラットケーブルについて説明する。
実施例は図1に示す前記実施形態と同一の構成とした。
導体は錫メッキ軟銅箔から形成した厚さ35μm、幅500μmの平角導体としている。
絶縁層の多孔質シートとして、厚さ100μmの多孔質シート(樫の木製作所株式会社製エアーテープ)を用いる一方、接着シートは酸変性オレフィン樹脂(三井化学株式会社アドマーNE060)を用いて、厚さ30μmの接着シートを設けた。
シールドテープとして、厚さ10μmのPET製のテープの一面に銀を蒸着し、その上に導電性接着剤を厚さ20μmで塗布したシールドテープ(全体厚さ30μm)を設けた。
導体の両面に、接着シート−多孔質シート−接着シートを積層した絶縁層を重ね、この状態で135℃の熱圧着ロールをとおした。
ついで、シールドテープを巻き付けた後に、プレス機で熱圧着した。
このように作製いた実施例のFFCは総厚さが380μmで、インピーダンスは100Ωであった。
また、前記上下一対の絶縁層の誘電率は1.9であった。
(比較例)
比較例は図2の構成とし、導体およびシールドテープは実施例と同一とした。
絶縁層は、厚さ50μmの架橋酸変性オレフィン樹脂からなるシート50、厚さ25μmのPET製のシート51、厚さ300μmのオレフィン樹脂からなる穴なしシート52から形成した。絶縁層の厚さは375μmとした。該絶縁層の誘電率は2.5であった。
前記絶縁層のうち、シート50と51とで構成したテープを導体にラミネートし、その外面にシート52をプレス機で熱融着し、その後、シールドテープ53を巻き付けて熱融着した。このように作製した比較例のFFCの総厚さは810μmで、インピーダンスは100Ωであった。
(摺動性評価)
屈曲半径R=5.0mm、屈曲速度1000サイクル/分としたU字摺動屈曲試験により摺動性を評価した。
該摺動性評価において、実施例は400万回以上であったが、引用例は4万回が限界であった。これより、実施例のFFCは比較例のFFCより遥かに摺動特性が優れていることが確認できた。
上述したように、本発明に係わるFFCでは、絶縁層をオレフィン樹脂で成形した多孔質シートと、その両面に酸変性オレフィン樹脂からなる接着シートを積層した構成としていることで、絶縁層を低誘電率をしながら厚さを薄くできる。よって、その外面に更にシールドテープで被覆しても、FFCの全体厚さを薄く出来るため、摺動特性を高めることができる。したがって、屈曲しながら摺動する作動が繰り返される低電圧の高速伝送用のFFCとして好適の用いることができる。
本発明の実施形態(実施例)のFFCを示し、(A)は断面図、(B)は多孔質シートの斜視図である。 比較例のFFCの断面図である。
符号の説明
1 フレキシブルフラットケーブル(FFC)
2 導体
3(3A、3B) 内側接着シート
4(4A、4B) 多孔質シート
5(5A、5B) 外側接着シート
6 シールドテープ
10 絶縁層

Claims (6)

  1. 導体の両側を一対の絶縁層で挟持し、該一対の絶縁層の各外面を、絶縁テープに導電性金属層を設けたシールドテープで被覆しているフレキシブルフラットケーブル(FFC)であって、
    前記各絶縁層は、オレフィン樹脂の多孔質シートと、該多孔質シートを挟む酸変性オレフィン樹脂製の両側の接着シートを備え、
    前記導体と多孔質シートと、該多孔質シートと前記シールドテープとをそれぞれ前記接着シートで接着していることを特徴とするフレキシブルフラットケーブル。
  2. 前記多孔質シートと、該多孔質シートを挟む前記両側の接着シートとを備えた前記各絶縁層の厚さを50μm以上260μm以下としている請求項1に記載のフレキシブルフラットケーブル。
  3. 前記オレフィン樹脂製の多孔質シートは誘電率が1.0以上2.0以下、前記酸変性オレフィン樹脂製の内側・外側接着シートは誘電率が2.0以上3.0以下として、前記各絶縁層の誘電率を1.5以上2.5以下の低誘電性としている請求項1または請求項2に記載のフレキシブルフラットケーブル。
  4. 特性インピーダンスが90Ω〜110Ωの低電圧の高速伝送用としている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のフレキシブルフラットケーブル。
  5. 前記多孔質シートのオレフィン樹脂が架橋されている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のフレキシブルフラットケーブル。
  6. 前記両側の接着シートの酸変性オレフィン樹脂が架橋されている請求項5に記載のフレキシブルフラットケーブル。
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