JP4717236B2 - 接着剤用ポリエステル及び積層体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は接着剤に好適なポリエステルに関するものである。更に詳しくは、耐熱性、耐湿性、難燃性が要求される電子機器関連の分野で有用であり、接着性が良好な接着剤用ポリエステル及び積層体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートに代表されるポリエステル樹脂は、その優れた機械的強度、熱安定性、疎水性、耐薬品性を生かし、繊維、フィルム、成形材料等として各種分野で広く利用されている。
【0003】
また、その構成成分であるジカルボン酸及びグリコール成分に他の成分を導入することにより種々の特徴を有する共重合ポリエステルを得ることが可能であり、接着剤、コーティング剤、インキバインダー、塗料等に広く使用されている。このような共重合ポリエステル樹脂は一般的にポリエステル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル樹脂等のプラスチック類、あるいはアルミニウム、銅等の金属箔に優れた接着性を有することが知られている。
【0004】
これらの特性を利用し、電子機器や自動車、建材等の用途でも共重合ポリエステル接着剤が使用されているが、安全性の点から高度な難燃性が要求されており、その基材だけでなく、接着層の難燃性も必要とされている。
【0005】
このような状況から、特公昭55−8033号公報、特開昭60−32874号公報等に有機ハロゲン化合物や、三酸化アンチモン等の無機化合物を添加することで難燃性を付与した接着剤が開示されている。これらの難燃剤は安価であり、かつ優れた難燃性を有するためこれまで広く使用されてきた。しかし、近年になって、ハロゲン化合物は燃焼時に猛毒のダイオキシンを発生し、アンチモンは環境負荷の要監視物質として取り上げられる等、環境に対する負荷が大きいことが分かり、環境の問題から非ハロゲン、非アンチモン化の要望が強くなっている。
【0006】
そこで、リン系の難燃剤を接着剤に添加し、難燃性を付与する試みがなされてきたが、充分な難燃性を付与するには難燃剤を多量に添加する必要があり、その結果、難燃剤がブリードしたり、接着強力が低下するなどの問題があった。
【0007】
また、このような用途にはガラス転移点が低いポリエステル接着剤が好適に使用されているが、このような樹脂を難燃化するために、有機リン系化合物を添加、あるいは共重合すると、ガラス転移点が低いこととリン化合物をポリエステル鎖中に導入したことにより、ポリエステル自体の耐加水分解性が著しく低下し、保存時にも経時で粘度低下し易く、長期使用での信頼性に問題があった。
【0008】
また、フレキシブルフラットケーブル等の接着剤として使用される場合には、導体金属との接着性が必要となるが、これらの特性のバランスを取ることは難しかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、難燃性ポリエステル接着剤がもつ種々の問題を解消し、特に耐湿性、耐熱性、金属接着性が優れ、環境に対する負荷が少なく、しかも金属板及びプラスチックフィルムに対して良好な接着性を有するポリエステルを提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記問題を解決するために種々検討した結果、特定のグリコール成分を含有する共重合ポリエステルに、有機リン化合物をポリエステルの主鎖中あるいは、ポリエステル鎖に対してペンダント状に導入することで、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
【0011】
すなわち、本発明の要旨は次の通りである。
(1)1種類以上のジカルボン酸成分と1種類以上のグリコール成分とからなる共重合ポリエステルであって、グリコール成分の少なくとも1種類がポリテトラメチレンオキシドグリコール及び/又はビスフェノール系化合物のポリアルキレンオキシド付加物であり、下記一般式(2)で示されるエステル形成性の官能基を2つ以上有する有機リン化合物をポリエステル中のリン原子含有量が500〜50000ppmとなる量共重合し、かつ、ガラス転移点が−30〜40℃、ポリエステルの繰り返し単位当たりの平均分子量が280以上であることを特徴とする接着剤用ポリエステル。
【0012】
【化2】
【0013】
(但し、R4は炭素数が1〜12のアルキル基またはアリール基を、A2、A3は2価の炭化水素基を、X 1 、X 2 は水酸基またはカルボキシル基を表し、X 1 とX 2 は同じ基である。)
(2)上記(1)記載のポリエステルからなる層を含むことを特徴とする積層体。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明のポリエステルは、1種類以上のジカルボン酸成分と、1種類以上のグリコール成分とからなり、グリコール成分の少なくとも1種類がポリテトラメチレンオキシドグリコール及び/又はビスフェノール系化合物のポリアルキレンオキシド付加物であり、更にエステル形成性の官能基を2つ以上有する有機リン化合物からなるものである。
【0015】
ジカルボン酸成分としては、接着特性やコストの点から主としてテレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸が好ましく用いられる。また、必要に応じて、フタル酸及びその無水物、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、エイコサン二酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸等を併用しても良い。これらジカルボン酸成分はジアルキルエステル、酸塩化物等の誘導体を用いても良く、単独、あるいは複合して使用することができる。
【0016】
また本発明のポリエステルは、グリコール成分として少なくとも1種類がポリテトラメチレンオキシドグリコール及び/又はビスフェノール系化合物のポリアルキレンオキシド付加物であることが必要である。これらを共重合することにより耐湿熱性が向上し、湿熱環境下での接着性低下が著しく改善できるとともに接着性、特に金属に対する接着性が向上する。
【0017】
ここで、ポリテトラメチレンオキシドグリコールとしては、分子量500以上のものが好ましく、分子量が1000〜3000のものがポリエステルとの反応性、相溶性の点で特に好ましい。
【0018】
また、ビスフェノール系化合物のポリアルキレンオキシド付加物におけるビスフェノール系化合物としては、ビスフェノール−A、ビスフェノール−S、ビスフェノール−F、4,4’−ビフェノール等が挙げられ、これらのエチレンオキシド付加物、プロピレンオキシド付加物及びそれらの複合付加物を用いることが好ましい。
【0019】
上記のポリテトラメチレンオキシドグリコール及び/又はビスフェノール系化合物のポリアルキレンオキシド付加物の割合は、ポリエステルを構成する全グリコール成分に対して1〜40モル%であることが好ましく、更に好ましくは5〜30モル%である。この割合が1モル%未満であれば、接着性及び耐湿熱性の改良効果が乏しく好ましくない。また、40モル%を超える場合には、重縮合時の反応性が低下し、所望とする重合度のポリエステルが得られない。
【0020】
更に、本発明のポリエステルに用いられるグリコール成分としては、ポリテトラメチレンオキシドグリコール及び/又はビスフェノール系化合物のポリアルキレンオキシド付加物以外に、接着特性やコストの点から、主としてエチレングリコール、ネオペンチルグリコールが好ましく用いられる。また、必要に応じて、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等の脂肪族グリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジエタノール等の脂環族ジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール、スピログリコール等を併用してもよい。これらグリコール成分は、単独、あるいは複合して使用することができる。
【0021】
更に、本発明の目的を損なわない範囲であれば、以下のような成分を共重合してもよい。このような成分としては、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸及びこれらの酸無水物等の多価カルボン酸、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン等の脂肪族ラクトン、4−オキシ安息香酸、4−(ヒドロキシエトキシ)安息香酸、5−ヒドロキシイソフタル酸等のオキシカルボン酸、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリン等の多価アルコールを共重合してもよい。
【0022】
本発明のポリエステルは、エステル形成性の官能基を2つ以上有する有機リン化合物をポリエステル中のリン原子含有量が500〜50000ppmとなる量共重合している必要がある。有機リン化合物がエステル形成性の官能基を有しない場合には、リン化合物の含有量を多くすると接着性が低下するだけでなく、ポリエステル鎖に共重合されないため重縮合反応時に飛散しやすく、また、塗布後にブリードし、更には、埋め立て処理された場合に、有機リン化合物が溶出し環境を汚染する等の問題が生じる。エステル形成性の官能基が1つの場合には、重縮合反応を阻害するためポリエステルの重合度が上がらず、接着性が損なわれるため好ましくない。また、ポリエステル中のリン原子含有量が500ppm未満ではポリエステルの難燃性能が不十分であり、50000ppmを超えると重縮合反応の反応性が低下するだけでなく、接着性が損なわれる等の問題が生ずることがある。
【0023】
有機リン化合物としては、有機リン化合物の残存率、ポリエステルとの反応性等の点から、前記式(2)で示される化合物である必要がある。
【0024】
前記式(2)で示される有機リン化合物における好ましい具体例としては、次のような構造式のものが挙げられる。
【0025】
【化3】
【0026】
更に、上記有機リン化合物のエステル形成性誘導体として、アルキルエステル、ヒドロキシアルキルエステル等も使用することができる。上記の有機リン化合物は単独で使用しても、併用しても差し支えない。更に、本発明の目的を損なわない範囲であれば、上記以外の有機リン化合物を併用しても差し支えない。
【0027】
本発明のポリエステルは、ガラス転移点が−30〜40℃の範囲内である必要があり、好ましくは、−20〜25℃である。ガラス転移点が−30℃に満たない場合には、樹脂の取り扱いが難しく、接着剤としての性能、特に高温領域(50〜120℃)での接着強力が低下し好ましくない。一方、40℃を超える場合には、高分子量のポリエステルが得られ難く、十分な接着強力が得られない。更に、溶剤への溶解性も低下するため好ましくない。
【0028】
更に、本発明のポリエステルは、ポリエステルの繰り返し単位当たりの平均分子量が280以上である必要があり、好ましくは、300〜500である。繰り返し単位当たりの平均分子量が280に満たない場合には、ポリエステル中のエステル基濃度が高くなるため、湿熱環境下では加水分解による粘度低下が著しい。
【0029】
また、本発明のポリエステルは、極限粘度が0.2以上であることが好ましい。極限粘度が0.2に満たない場合には、接着力が低くなるため好ましくない。
【0030】
本発明のポリエステルを製造する方法は、特に制限されるものではなく、従来公知のポリエステルの製造方法によって製造することができる。例えば、前記のようなジカルボン酸成分、グリコール成分(それらのエステル形成性誘導体を含む)、有機リン化合物を原料とし、常法によって、150〜280℃の温度でエステル化又はエステル交換反応を行った後、重縮合触媒を添加し5hPa以下の減圧下、200〜300℃、好ましくは230〜280℃の温度で重縮合反応を行うことで調製することができる。さらに、目的、用途によっては重縮合反応により得られたポリマーに、酸成分及び/又はグリコール成分を添加して、220〜280℃の温度で解重合反応を行う方法で調製することもできる。この際、前記有機リン化合物は重縮合反応以前の任意の段階で添加できるが、エステル化又はエステル交換反応前に添加することが好ましい。
【0031】
上記のポリエステルを製造する際に使用する触媒としては、従来公知の金属化合物を用いることができる。具体的には、亜鉛、アンチモン、ゲルマニウム、スズ、チタン、アルミニウム、コバルト等の有機酸塩、酸化物、アルコキシド、アルキル化合物等が挙げられる。
【0032】
なお、ポリエステルを重縮合する際には、トリフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、リン酸等の安定剤や、ヒンダードフェノール化合物、硫黄化合物、ホスファイト化合物、ヒンダードアミン化合物のような酸化防止剤、二酸化チタン等の艶消し剤等を、本発明の特性を損なわない範囲で添加してもよい。
【0033】
本発明のポリエステルは、優れた難燃性、耐湿熱性を有し、金属板及びプラスチックフィルムに対して良好な接着性を有するものであり、プラスチックフィルムの層、本発明のポリエステルからなる接着剤の層、及び金属板の層の順序で構成された積層体として、電気、電子分野、機械分野、食品分野、建築分野、自動車分野で好適に用いられる。
【0034】
次に、本発明の積層体について説明する。本発明の積層体は、本発明のポリエステルからなる層を含むことが必要である。積層体を構成する他の層としては、プラスチックフィルム及び金属板が用いられることが好ましい。このようなプラスチックとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニルやポリ塩化ビニリデン等の塩素系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリスチレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂等が挙げられる。また、被着体の形状は、フィルム状、シート状、板状には限定されず、繊維状、円筒状、その他のいかなる形状になっていても構わない。さらに、その表面にコロナ処理を施したり、あるいは、易接着樹脂層を設ける等の易接着処理を施しても差し支えない。また、金属板としては、特に限定されないが、銅、鉄、アルミニウム、ブリキ等の板が好ましく、汎用に使用されている種々の金属合金板でもよい。また、これらのスズ、亜鉛などのメッキ品、あるいはリン酸亜鉛、クロメートなどの化成処理品であってもよい。
【0035】
本発明のポリエステルからなる接着剤の層の形成方法は、如何なる方法で行ってもよいが、上記ポリエステルを有機溶剤に溶解し、プラスチックフィルムの層上に塗布し、次いで溶媒を除去する方法が好適である。また、金属板の層にポリエステルを溶解させた溶液を塗布し、溶媒を除去することにより接着剤の層を形成することもできる。
【0036】
接着剤層を形成する際に用いられる有機溶剤は、本発明のポリエステルを溶解させるものなら特に限定されるものではないが、具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系の溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素系の溶剤、酢酸エチル、イソホロン、γ−ブチロラクトン等のエステル系の溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキノン等のケトン系の溶剤、ジエチルエーテル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系の溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール系の溶剤、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、ノナン等の脂肪族炭化水素系の溶剤、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環族炭化水素系の溶剤等が挙げられる。これらは単独で用いることもできるが、複数種混合して使用することもできる。
【0037】
次に、プラスチックフィルムの層、接着剤の層、及び金属板の層となるように配置し、ヒートシール、ロール接着、加熱圧着等、従来公知の方法によって積層体にする。
【0038】
この際、接着剤の層を介して被着体同士を接着する際の被着体(通常は金属板)の予熱温度は、100〜220℃の範囲とすることが好ましく、150℃〜200℃の範囲とすることがより好ましい。予熱温度が100℃未満である場合には、圧力をいくら上昇させても接着強力が大きいものが得られない。一方、予熱温度が220℃を超える場合には、被着体であるフィルムの層が変形したり、しわ等が発生するので好ましくない。また、接着する際の圧力は20kPa以上とすることが好ましく、50〜300kPaとすることがより好ましい。接着時の圧力が20kPa未満では、予熱温度を高くし、かつ圧着時間を長くしても接着強力が大きいものが得られない。さらに、接着時の圧着時間は0.2〜5秒であることが好ましい。圧着時間が0.2秒未満では、予熱温度を上昇させても接着強力が大きいものが得られない。一方、圧着時間が5秒を超えると、得られる積層体の接着強力には問題がないが、生産性に劣るので好ましくない。
【0039】
本発明の積層体を構成するポリエステル層には必要に応じて、リン酸等の熱安定剤、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、チオエーテル化合物のような酸化防止剤、タルクやシリカ等の滑剤、酸化チタン等の顔料、充填剤、帯電防止剤、発泡剤等の従来公知の添加剤を含有させても差し支えない。また、難燃性を更に向上させるため、金属水酸化物、金属酸化物、リン酸塩、硼酸塩、金属硫化物、アンモニウム塩、有機窒素系難燃剤、ケイ素系難燃剤、リン系難燃剤等を配合しても差し支えない。さらに、本発明のポリエステルは、単独で接着剤用樹脂として使用することもできるが、イソシアネート樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等の硬化剤と併用して使用することもできる。
【0040】
【作用】
本発明の接着剤用ポリエステルは、使用に十分な耐湿熱性、難燃性、柔軟性を有しており、接着性、特に金属に対する接着性に優れたものである。ポリテトラメチレンオキシドグリコール及び/又はビスフェノール系化合物のポリアルキレンオキシド付加物が共重合されていることで金属に対する密着性が向上すると共に、繰り返し単位当たりの平均分子量が大きくなるため、ポリエステル中のエステル基濃度が低下し、加水分解が起こり難くなり耐湿熱性が向上する。また、難燃剤である有機リン化合物が、ポリエステルに共重合されているため、難燃剤とポリエステルとの相溶性不良によるブリードや接着性の低下がない。
【0041】
【実施例】
次に、実施例をあげて本発明を記述する。
【0042】
(繰り返し単位あたりの平均分子量)ポリエステルの組成分析(モル分率)は日本電子工業社製1H−NMRスペクトロメータ JNM−LA400型を用いて行った。次いで、この結果を基に、次式により繰り返し単位あたりの平均分子量を求めた。
繰り返し単位あたりの平均分子量=Σ(Ai×ai)+Σ(Gj×gj)
ここで、Aiはポリエステルを構成する酸成分iの残基の式量を表し、aiはi成分の全酸成分中のモル分率を表す。Gjはポリエステルを構成するグリコール成分jの残基の式量を表し、gjはj成分の全グリコール成分中のモル分率を表す。
【0043】
(リン原子の含有量)リガク社製蛍光X線スペクトロメータ 3270型にて測定した。
【0044】
(極限粘度([η]))ポリエステルをフェノールと四塩化エタンとの等重量混合物を溶媒とし、20℃で測定した溶液粘度から求めた値である。
【0045】
(極限粘度保持率)ポリエステルを40℃、95%RHの恒温恒湿槽中に入れ96時間処理し、その前後の極限粘度を上記の方法で測定した。次いで、この結果を基に、湿熱処理前後での極限粘度の保持率を次式により求めた。
[η]保持率(%)=(湿熱処理後の[η]/湿熱処理前の[η])×100極限粘度の保持率が90%以上を合格とした。
【0046】
(ポリエステルのガラス転移点(Tg))セイコー電子工業社製の示差走査熱量計SSC5200型を用いて、昇温速度10℃/分で測定した。
【0047】
(限界酸素指数(以下LOIと略す))JIS K7201に準じて燃焼試験を行い、LOIを求めた。27以上を合格とした。
【0048】
(積層体の接着強力)オリエンテック社製テンシロンRTC−1210型を用いて20、60℃の雰囲気下、及び積層体を60℃、95%RHの恒温恒湿槽中に入れ、96時間処理した後、20℃の雰囲気下で、引張速度50mm/分でサンプル幅10mmの積層体の接着強力をそれぞれ測定した。接着強力が10N/cm以上を合格とした。
【0049】
実施例1、2、比較例1〜6
得られるポリエステルの組成が表1に示した割合となるように、原料化合物をエステル化反応槽に仕込み、圧力0.5MPaG、温度250℃で4時間エステル化反応を行った。得られたエステル化物を重縮合反応槽に移送した後、重縮合触媒としてテトラブチルチタネートをポリエステルを構成する酸成分1モルに対して4×10-4モル添加した。次いで、60分間で反応系内を最終的に0.4hPaとなるまで徐々に減圧し、255℃で5時間重縮合反応を行いポリエステルを得た。表1に得られたポリエステルの組成と特性値、および湿熱処理試験、燃焼試験を行った結果を示す。
【0050】
【表1】
【0051】
表中のポリエステル樹脂組成の略号はそれぞれ、TPA:テレフタル酸、IPA:イソフタル酸、SEA:セバシン酸、EG:エチレングリコール、NPG:ネオペンチルグリコール、PTMG1000:ポリテトラメチレンオキシドグリコール(分子量1000)、PTMG2000:ポリテトラメチレンオキシドグリコール(分子量2000)、BA−EO:ビスフェノール−Aのエチレンオキシド2モル付加物、BS−EO:ビスフェノール−Sのエチレンオキシド2モル付加物を示す。また、リン化合物(A)および(C)は下記の構造式で示される化合物を示し、リン化合物(X)はジフェニル−(2−カルボキシルエチル)ホスフィンオキシドを示す。
【化4】
【0052】
上記方法により得られた共重合ポリエステル樹脂を、トルエンとメチルエチルケトンとの混合溶媒(体積比1/1)に30重量%の濃度となるように溶解し、ポリエステルの溶液を得た。その溶液を25μmのポリエステルフィルム上に塗布後、乾燥機に入れ、80℃で2分間、引き続き150℃で3分間乾燥して溶媒を除去し、10μm厚の接着剤層を形成した。次いで、180℃に予熱した表1に示す金属板を接着剤層と接するように、上記の接着剤層を形成したポリエステルフィルムを配置し、圧力0.1MPa、圧着時間1秒でシーラーで圧着することにより、ポリエステルフィルム/ポリエステル接着剤層/金属板からなる積層体を得た。表1に得られた積層体の特性を示す。
【0053】
表1から明らかなように、実施例1、2のポリエステルは耐湿熱性及び難燃性が良好なものであり、これらのポリエステルを使用した積層体は接着性、耐熱性及び耐湿熱性は良好なものだった。これに対して、比較例では次のような問題があった。比較例1では、有機リン化合物を添加していないため、難燃性が認められなかった。比較例2では、有機リン化合物の添加量が多く、更に繰り返し単位当たりの平均分子量が低いため、耐湿熱性が悪かった。また、積層体としたときには被着材との密着性が低くなり、耐熱性、耐湿熱性とも低かった。比較例3は、ポリテトラメチレンオキシドグリコール又は、ビスフェノール系化合物のポリアルキレングリコール付加物が共重合されておらず、更に繰り返し単位当たりの平均分子量も低いため、湿熱処理による極限粘度保持率が低く、また、積層体としたときの耐湿熱性も悪かった。比較例4は、ガラス転移点が低いため、積層体としたときの、60℃での接着強力が低く耐熱性がなかった。比較例5は、ガラス転移点が高いため、高分子量のポリエステルを得ることが難しく、積層体としたときに十分な接着強力が得られなかった。また、溶剤に対する溶解性も低いため、濃度を下げて溶剤に溶解させる必要があった。比較例6は、有機リン化合物がエステル形成性の官能基を1つしか有していないため、高分子量のポリエステルが得られず、積層体としたときの、接着力が低かった。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、優れた難燃性、耐湿熱性を有し、金属板及びプラスチックフィルムに対して良好な接着性を有するポリエステル接着剤を得ることができる。従って、本発明のポリエステルは、電気、電子分野、機械分野、食品分野、建築分野、自動車分野の接着剤、具体的には、電線被覆剤、フラットケーブル等の電気部品、PCM塗料、建材、食品や医薬品等の包装材の接着剤用樹脂として特に好適に利用することができる。

Claims (2)

  1. 1種類以上のジカルボン酸成分と1種類以上のグリコール成分とからなる共重合ポリエステルであって、グリコール成分の少なくとも1種類がポリテトラメチレンオキシドグリコール及び/又はビスフェノール系化合物のポリアルキレンオキシド付加物であり、下記一般式(2)で示されるエステル形成性の官能基を2つ以上有する有機リン化合物をポリエステル中のリン原子含有量が500〜50000ppmとなる量共重合し、かつ、ガラス転移点が−30〜40℃、ポリエステルの繰り返し単位当たりの平均分子量が280以上であることを特徴とする接着剤用ポリエステル。
    (但し、R4は炭素数が1〜12のアルキル基またはアリール基を、A2、A3は2価の炭化水素基を、X 1 、X 2 は水酸基またはカルボキシル基を表し、X 1 とX 2 は同じ基である。)
  2. 請求項1記載のポリエステルからなる層を含むことを特徴とする積層体。
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