JP3924162B2 - 共重合ポリエステルおよび接着剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐湿熱性と耐カチオン酸性に優れ、エポキシ樹脂との相溶性、接着性を併せ持った共重合ポリエステルおよびそれを含有する接着剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
共重合ポリエステルはそのポリマー構造から極性が高く、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、エポキシ樹脂などの極性ポリマー、および銅、アルミニウムなどの金属材料に対して優れた接着性を発現することが知られている。この特性を利用し、金属とプラスチックの積層からなるフラットケーブル、プラスチック同士の積層からなるICカードなどの電気・電子部品に、また接着強力、耐熱性、耐温水性が要求される塩ビ被覆鋼管などに使用されている。
【0003】
電子部品分野における接着剤には耐湿熱性が要求され、耐湿熱性のポリエステルとしては特開平07−070535や特開2001−200041が開示されており、グリコール成分としてポリテトラメチレングリコールを共重合している。
【0004】
一方、電子部品を接合する工程には、特開2001−72938や特開2001−107011のようにポリエステル、エポキシ樹脂、光反応開始剤からなる接着剤組成物に紫外線を照射して硬化させる方法がある。
【0005】
しかしながら、ポリテトラメチレングリコールを共重合して耐湿熱性を向上させたポリエステルに、エポキシ樹脂と光反応開始剤の存在下で、紫外線を照射すると、光反応開始剤がカチオン酸として作用するため、ポリテトラメチレングリコールの一部が分解され、揮発物を発生し、重量減少する。したがって被着体がガス透過性を有しない場合、揮発物発生が接着強力低下やはく離の原因となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、耐湿熱性と耐カチオン酸性に優れ、さらにエポキシ樹脂との相溶性と接着性を併せ持った共重合ポリエステルとそれを含有する接着剤組成物を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記問題を解決するために種々検討した結果、グリコール成分にダイマージオールを導入し、さらに特定の構造を有するモノマーを共重合することで、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
【0008】
すなわち、本発明の要旨は、
芳香族ジカルボン酸成分と、下記a)〜d)成分とからなるポリエステルであって、a)〜d)成分の総量を100モル%としたことを特徴とする共重合ポリエステル。
a)ダイマージオールを3〜50モル%、
b)下記式(1)で示されるグリコールを0〜10モル%、
c)下記式(2)で示される構造を有するグリコール又はオキシ酸を10〜60モル%、および
d)炭素数2〜10のアルキレングリコールを20〜80モル%
【化2】
(式中、R1は炭素数1〜3のアルキル基、R2は水素または炭素数1〜3のアルキル基、1≦n≦3、5≦m≦100、1≦p<2である。)
および該共重合ポリエステルを含有する接着剤組成物、並びにこれを基材上に塗布してなる積層体に関するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の共重合ポリエステルを構成する酸成分としては、耐湿熱性の点から芳香族ジカルボン酸である必要がある。芳香族ジカルボン酸としてはテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などがあげられるが、これらのうち接着性やコストの点からテレフタル酸、イソフタル酸が好ましい。これらジカルボン酸成分にはジアルキルエステル、酸塩化物等の誘導体を用いても良く、単独、あるいは複合して使用してもよい。
【0010】
本発明の共重合ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸以外の成分として、下記a)〜d)成分からなり、これらの総量を100モル%としたことを特徴とする。
a)ダイマージオールを3〜50モル%、
b)下記式(1)で示されるグリコールを0〜10モル%、
c)下記式(2)で示される構造を有するグリコール又はオキシ酸を10〜60モル%、および
d)炭素数2〜10のアルキレングリコールを20〜80モル%
【化3】
(式中、R1は炭素数1〜3のアルキル基、R2は水素または炭素数1〜3のアルキル基、1≦n≦3、5≦m≦100、1≦p<2である。)
各共重合成分を上記範囲内の割合で共重合することが本発明の特徴であって、これにより耐湿熱性と耐カチオン酸性の両性能を有する共重合ポリエステルおよび該共重合ポリエステルを含有する相溶性と接着性の良好な接着剤組成物が得られる。
【0011】
本発明の共重合ポリエステルのガラス転移点は、特に限定されないが、−40〜−10℃の範囲内が好ましく、特に−30〜−10℃が好ましい。ガラス転移点が−40℃に満たない場合には、樹脂の取り扱いが難しく、接着剤としての性能、特に高温領域での接着性が低下する傾向がある。一方、−10℃を超えると接着力が不十分となる。
【0012】
ここで、a)成分として必要なダイマージオールとは、不飽和脂肪酸を2量化したダイマー酸を還元して得られる脂肪族両末端ジオールである。本発明の共重合ポリエステルは、ダイマージオールを3〜50モル%、好ましくは10〜30モル%含有することが必要である。5モル%未満では耐湿熱性の改善効果が乏しく、50モル%を越えると接着剤組成物の相溶性が低下する。
【0013】
一般にダイマージオールの共重合量が多いほど、ガラス転移点が下がる傾向にある。一方、接着剤組成物の相溶性を重視する際には、ダイマージオールの共重合量を上記範囲内で少なくする方が好ましい。相溶性を重視してダイマージオールの共重合量を上記範囲内で少なくすると、ガラス転移点が上昇し、接着性が低下する傾向にあるため、この場合、b)成分である、式(1)で示されるグリコールを共重合して相溶性とガラス転移点とのつり合いをとる必要がある。このようなグリコールの量は10モル%以下、好ましくは5モル%以下である。10モル%を越えると、カチオン酸との反応によって生じる揮発物が多くなり好ましくない。
【0014】
このようなグリコールとしては、ポリプロピレングリコール、ポリ(1,2−ブチレングリコール)、ポリ(1,3-ブチレングリコール)、ポリ(1,2-ペンタンジオール)、ポリ(1,3-ペンタンジオール)、ポリ(1,4-ペンタンジオール)、ポリ(1,3-ヘキサンジオール)、ポリ(1,4-ヘキサンジオール)などの分岐構造を有する長鎖ポリエーテルポリオールが挙げられる。これらは、ポリエチレングリコールやポリテトラメチレングリコールなどの分岐構造を有さない長鎖ポリエーテルポリオールと比べて、カチオン酸との反応によって生じる分解揮発物量が少ないという特徴を有する。中でも、式(1)においてn=1、R1=CH3としたポリプロピレングリコールは、分解揮発物量が特に少ないので好ましい。また、ポリプロピレングリコールは、分子量500以上のものが好ましく、分子量が1000〜3000のものがポリエステルとの反応性、相溶性の点で特に好ましい。
【0015】
また、本発明の共重合ポリエステルの構成成分のうち、c)成分は、式(2)で示される構造を有する化合物であり、a)〜d)成分の総量に対して、10〜60モル%、好ましくは20〜50モル%である必要がある。10モル%未満では接着剤組成物とした際の共重合ポリエステルとエポキシ樹脂との相溶性が劣り、60モル%を越えるとガラス転移点が上がり、接着性が低下する傾向がある。
【0016】
式(2)で表される構造を有するグリコールまたはオキシ酸としては、ビスフェノール系、ベンゼンジオール、ビフェニル系、ヒドロキシ安息香酸などのアルキレンオキサイド付加物があげられる。付加するアルキレンオキサイドとしては、式(2)中でR2=Hまたはメチルとしたエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドが好ましい。たとえば、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF、ヒドロキノン、レゾルシノール、2,2'−ビフェノール、4,4'‐ビフェノール、p‐ヒドロキシ安息香酸、m‐ヒドロキシ安息香酸などのエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物である。好ましくはビスフェノールAまたはp‐ヒドロキシ安息香酸のエチレンオキサイド付加物であり、これらをそれぞれ単独で用いてもよいし、併用してもよい。なお、アルキレンオキサイドの付加モル数は、分解揮発物の発生を避ける点から、具体的には、1芳香環あたり1モル以上2モル未満(式(2)において、1≦p<2)とする必要があり、特に1.5モル以下(p≦1.5)が好ましい。
【0017】
さらに、d)成分として、炭素数2〜10のアルキレングリコールを20〜80モル%、好ましくは30〜50モル%共重合する必要がある。20モル%未満では必然的に、他の構成モノマー成分の割合が増えるので、相溶性、耐カチオン酸性、接着性が悪くなるばかりか、コストの点からも好ましくない。逆に、80モル%を越えると、他の成分の割合が減り、耐湿熱性、接着性、相溶性が低下する。
【0018】
炭素数2〜10のアルキレングリコールとしては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチルプロパンジオール、3−メチルペンタンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコールなどである。これらグリコール成分は、単独、あるいは複合して使用することができる。
【0019】
さらに、本発明の目的を損なわない範囲であれば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸及びこれらの酸無水物などの多価カルボン酸、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトンなどの脂肪族ラクトン、4−オキシ安息香酸、5−ヒドロキシイソフタル酸などのオキシカルボン酸、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリンなどの多価アルコールを15モル%以下の量で共重合してもよい。
【0020】
また、本発明の共重合ポリエステルは、極限粘度が0.5dl/g以上であることが好ましい。極限粘度が0.5dl/gに満たない場合には、十分な耐湿熱性が得られない。
【0021】
本発明の共重合ポリエステルは、上記モノマー成分を用いて、従来公知のポリエステルの重縮合法によって製造することができ、その製造方法は特に限定されるものではない。
【0022】
本発明の共重合ポリエステルは、優れた耐湿熱性と耐カチオン酸性の両方を併せ持ち、さらにエポキシ樹脂との相溶性が良く、該共重合ポリエステルを含有する接着剤組成物は、紫外線を照射して硬化させる工程において使用する接着剤として好適である。
【0023】
つぎに、本発明の接着剤組成物について説明する。
本発明の接着剤組成物は、本発明の共重合ポリエステルを含むことが必要である。本発明の共重合ポリエステルにカチオン重合性化合物と光反応開始剤を配合のうえ活性化エネルギーを付与して硬化させる設計の接着剤組成物として用いる場合、本発明の共重合ポリエステルの耐カチオン酸性を発揮することができるが、その他の配合成分からなる接着剤組成物であっても良い。
【0024】
具体的には、紫外線硬化エポキシ樹脂接着剤組成物がある。エポキシ化合物は紫外線照射によって開環重合をほとんど起こさないが、紫外線分解によって発生したカチオン重合開始剤によって間接的にカチオン重合を開始させる。
【0025】
エポキシ樹脂としてはビスフェノールA型、ノボラック型、エーテル型、グリシジルエステル型、グリシジルアミン型などのエポキシ樹脂を挙げることができる。具体例としてはエピコート828(油化シェルエポキシ社製、ビスフェノールA型)などを挙げることができる。
【0026】
光反応開始剤としては、p−メトキシベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロフォスフェートのような芳香族ジアゾニウム塩、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロフォスフェートのようなハロニウム塩、トリフェニルスルフォニウム塩などのスルホニウム塩が用いられるが、重合速度および安定性からスルホニウム塩系触媒が市販されている。具体例としてはアデカオプトマーSP150、SP170(旭電化工業製)やUVE−1014、1016(ゼネラルエレクトロニクス製)などが挙げられる。
【0027】
被着体としては、プラスチックフィルムあるいは金属板が用いられることが好ましい。このようなプラスチックとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルのほか、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、エポキシ樹脂などの極性ポリマーが挙げられる。被着体の形状は、フィルム状、シート状、繊維状、その他のいかなる形状でも構わない。これらはコロナ処理を施したり、易接着処理を施してもよい。
また、金属板としては、特に限定されないが、銅、鉄、アルミニウム等の板が好ましく、汎用に使用されている種々の金属合金板でもよい。
【0028】
本発明の共重合ポリエステルを含有する接着剤組成物の層の形成方法は、如何なる方法で行ってもよいが、上記共重合ポリエステルを有機溶剤に溶解し、プラスチックフィルムあるいは金属板の上に塗布し、次いで溶媒を除去する方法が好適である。
【0029】
【作用】
本発明の共重合ポリエステルは、耐湿熱性と耐カチオン酸性および、接着剤組成物としたとき他の成分との良好な相溶性を有しており、さらにエポキシ樹脂と光反応開始剤の存在下で紫外線を照射して硬化させる際に発生する揮発物量が抑えられ、接着性が良好となる。
【0030】
【実施例】
以下に実施例、比較例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではなく、本発明の思想を逸脱しない範囲で種々の変形及び応用が可能である。 なお、共重合ポリエステルの特性については、下記の方法で測定あるいは評価した。
(a)構成成分:プロトンNMR分析装置(日本電子製、JOEL LAMDBA300WB)を用いて、樹脂の構成を分析した。
(b)極限粘度:共重合ポリエステルをフェノールと四塩化エタンとの等重量混合物を溶媒とし、20℃で測定し、dl/g単位で示した。
(c)ガラス転移温度(Tgと略す):示差走査熱量測定装置(パーキンエルマー社製、DSC7)を用い、昇温速度10℃/分で測定して求めた。
(d)耐湿熱性:共重合ポリエステル約1gを100℃で熱プレスし、直径約4cmの偏平なサンプルを作成した。これを120℃2気圧の飽和水蒸気中に7日間暴露後し、そのポリエステルの極限粘度を測定した。
また、暴露前の極限粘度を基準として、粘度の保持率(%)を算出した。
(e)耐カチオン酸性:後述のように接着剤組成物を調製し、これに紫外線照射して光反応開始剤から発生したカチオン酸の存在下で、共重合ポリエステルを150℃で60分加熱処理し、処理前後の樹脂重量から、分解揮発量を次式で求めた。
分解揮発量(重量%)
=〔(処理前樹脂重量)−(処理後樹脂重量)〕/(処理前樹脂重量)×100
(f)エポキシとの相溶性
後述のように接着剤組成物を調製し、これを離型処理したフィルムの上に塗布して乾燥後得られたシート状物に紫外線照射して硬化させた。この硬化物から、テトラヒドロフランを溶媒として可溶物を室温で抽出し、次式によりゲル分率を求め、相溶性の指標とした。ゲル分率が高いほど相溶性が優れていることを意味する。
ゲル分率(重量%)=(抽出後試料重量)/(抽出前試料重量)×100
(g)積層体の接着性
島津製作所製オートグラフAG100Bを使用し、20℃の雰囲気下、クロスヘッド速度50mm/分でサンプル幅10mmの積層体の180℃はく離試験を行い、接着強力(N/10mm)を測定した。
【0031】
実施例1
(共重合ポリエステル樹脂の製造方法)
ポリエチレンテレフタレートオリゴマー1.3kg(エチレンテレフタレート繰り返し単位として6.5mol)、イソフタル酸1.1kg(6.5mol)、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物(明成化学社製)1.2kg(3.9mol)、ポリプロピレングリコール(ライオン社製レオコンPG1000、分子量1000)0.7kg(0.7mol)、ダイマージオール(ユニケマ社製PRIPOL2033)1.0kg(1.9mol)、2,4−ジエチルペンタンジオール0.6kg(3.9mol)、ヘキサンジオール0.3kg(2.6mol)さらに触媒としてテトラブチルチタネート3gを反応器に仕込み、系内を窒素に置換した。仕込み原料を30rpmで撹拌しながら、反応器を0.4MPaに加圧し、240℃で加熱し、内容物を溶融させた。反応器内温度が240℃に到達してから4時間エステル化反応を進行させた。エステル化反応終了後、系内を245℃に上昇させかつ減圧にする。系内が66.5Paに到達してから8時間重合反応を行なった。重合反応終了後、系内に窒素を封入することで常圧に戻し、生成した樹脂を系外に払い出した。この樹脂の組成を分析したところ、TPA/IPA/BAEO/PPG/DD/DEPD/HD=50/50/30/5/15/30/20(モル比)であった。(各略号については表1参照)
(接着剤組成物の調製)
上記の共重合ポリエステル樹脂70部、エポキシ樹脂(エピコート828)30部、光カチオン重合開始剤(アデカオプトマーSP170)1部、及びトルエンとメチルエチルケトンとの混合溶剤(質量比1:1)100部を撹拌混合し、接着剤組成物を調製した。
(積層体の作成)
接着剤組成物を厚さ50μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に塗布した後、乾燥して、厚み100μmとなるように塗工した接着剤層側に波長365nmの紫外線を2400mJ/cm2となるように照射した後、直ちに厚さ30μmの銅板を重ね、室温でラミネートし接着させた積層体を得た。表1に樹脂および接着剤組成物の特性を示す。
【0032】
【表1】
【0033】
以下実施例2〜5および比較例1〜6は表1記載の樹脂組成となるように仕込みをした以外は実施例1と同様にして樹脂および接着剤組成物を得た。表1に実施例2〜5および比較例1〜6の樹脂および接着剤組成物の特性を示す。
【0034】
表1から明らかなように、実施例1〜5の共重合ポリエステルは耐湿熱性及び耐カチオン酸性が良好であり、該共重合ポリエステルを含有する接着剤組成物は相溶性が良く、この接着剤組成物からなる積層体は接着性が良好であった。
これに対して、比較例では次のような問題があった。
比較例1では、ダイマージオール成分を含んでおらず、本発明の範囲外であるポリテトラメチレングリコールを共重合しているので、耐湿熱性が十分でなく、耐カチオン酸性に劣る。またカチオン酸によって分解揮発物が発生し、接着性も悪い。
比較例2では、ダイマージオール成分を含んでおらず、ポリプロピレングリコールの共重合量が本発明の範囲を超えているので、耐湿熱性が十分でなく、耐カチオン酸性に劣る。
比較例3は、ダイマージオールの共重合量が本発明の範囲を外れているので、接着剤組成物にしたときのエポキシ樹脂との相溶性に劣り、接着性も悪い。
比較例4は、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物の共重合量が本発明の範囲を下方に外れていたので、得られた樹脂は耐湿熱性とエポキシ樹脂との相溶性に劣り、接着性能が低い結果となった。
比較例5は、酸成分としてダイマー酸を多量に共重合したので、耐湿熱性、相溶性、接着性を満たすものが得られなかった。
比較例6は、酸成分として脂環族カルボン酸のシクロヘキサンジカルボン酸を多量に共重合したので、耐湿熱性、接着性を満たすものが得られなかった。
比較例7は、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物の共重合量が本発明の範囲を上方に外れていた結果、耐湿熱性に劣り、接着性も低かった。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、優れた耐湿熱性、耐カチオン酸性を有する共重合ポリエステルが得られ、エポキシ樹脂との相溶性が良好で、プラスチックフィルムあるいは金属板に対して良好な接着性を有する接着剤組成物を得ることができる。 したがって、本発明の共重合ポリエステルは、電気・電子部品分野における接着用途に好適に利用することができる。
Claims (3)
- 請求項1記載の共重合ポリエステルを含有する接着剤組成物。
- 請求項2記載の接着剤組成物を基材上に塗布してなる積層体。
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