JP4148781B2 - 不飽和基含有多分岐化合物、それを含有する硬化性組成物及びその硬化物 - Google Patents

不飽和基含有多分岐化合物、それを含有する硬化性組成物及びその硬化物 Download PDF

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Description

技術分野
本発明は、種々の分野において光硬化性成分及び/又は熱硬化性成分として有利に用いることができる不飽和基含有多分岐化合物に関する。さらに本発明は、該不飽和基含有多分岐化合物を含有し、紫外線又は電子線などの活性エネルギー線の照射により速やかに硬化し、あるいはさらに加熱によって硬化し、かつ、基材との密着性、機械的特性、耐薬品性等に優れた硬化物を与える硬化性組成物及びそれから得られる硬化物に関し、該組成物は接着剤、コーティング剤、プリント配線板の製造時に使用されるソルダーレジスト、エッチングレジスト、ビルドアップ基板用層間絶縁材、メッキレジスト、ドライフィルムなど広範囲に利用可能である。
背景技術
活性エネルギー線の照射による樹脂の硬化は、その硬化速度が速いこと、無溶剤であることなどから、金属塗装、木材コーティング、印刷インキ、電子材料などに広く利用されている。これらの分野において用いられる光硬化性組成物は、一般的に、不飽和二重結合を有するプレポリマー、重合性モノマー、及び光重合開始剤を必須成分としている。光硬化性成分として主に用いられる上記プレポリマーとしては、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、及びエポキシアクリレートが挙げられる。これらプレポリマーは、重合性の不飽和基を有しているので、活性エネルギー線の照射によりラジカルを発生する化合物(光重合開始剤)と混合することで架橋可能である。
しかしながら、これらラジカル重合性プレポリマーは、一般に分子量が小さく、活性エネルギー線の照射により瞬間的に硬化するため、塗膜中に残留応力が生じ、基材への密着性、機械的特性が低下する問題点があった。このような問題点を解決するために、ラジカル重合性プレポリマーの高分子量化も検討されてはいるが、塗工可能な粘度に調整するためには多量の反応性希釈剤が必要であり、そのため、このような活性エネルギー線硬化性組成物は強靱性、機械的特性、耐薬品性などに乏しく、その用途は限定されているのが現状であった。
上記のような問題点を解決するために、特開平11−193321号によれば、分子中にアミノ基を含有する多分岐化合物が提案されている。この多分岐化合物は、高分子量でありながら溶液粘度が低いため、硬化性組成物を調製する際の低分子量成分の添加量が少なくてすむ利点があるが、分子中に電気特性を悪化させるアミノ基を含むこと、及び側鎖に化学修飾可能な置換基を持たないため、その用途は限定されている。
また、硬化収縮が少なく、密着性に優れる硬化物が得られることから、最近はオキセタンのカチオン重合を硬化反応として利用する組成物が報告されているが、ラジカル重合性プレポリマー又はモノマーと比べて、使用できる材料の種類が少ないため、所望の硬化物特性を達成することは困難であった。
また最近、新しい有機反応の創製や、その高分子反応への応用の観点から、4員環エーテルであるオキセタン環の開環付加反応を利用した有機合成が報告されており、例えばオキセタン化合物と活性エステルとの付加反応(T. Nishikubo and K. Sato, Chem. Lett., 697 (1992))や、ビスオキセタンとジカルボン酸との重付加反応による側鎖に一級の水酸基を有するポリエステルの合成(T. Nishikubo, A. Kameyama, and A. Suzuki, Reactive & Functional Polymers, 37, 19 (1998))が報告されている。
しかしながら、前記したような公知文献にも、本発明の不飽和基含有多分岐化合物及びそれを用いた硬化性樹脂組成物に関する記載は無い。
本発明は、前記した従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、紫外線や電子線などの活性エネルギー線の照射により速やかに硬化し、あるいはさらに加熱によって硬化し、その硬化物は基材との密着性や機械的特性に優れ、種々の分野において光硬化性成分及び/又は熱硬化性成分として有利に用いることができる不飽和基含有多分岐化合物、あるいはさらにアルカリ可溶性の不飽和基含有多分岐化合物を提供することにある。
さらに本発明の目的は、紫外線又は電子線などの活性エネルギー線の照射により速やかに硬化し、あるいはさらに加熱によって硬化し、基材に対する密着性に優れると共に、機械的特性や耐熱性、熱安定性、耐薬品性、電気絶縁性等の諸特性に優れた硬化物が得られる硬化性組成物及びその硬化物を提供することにある。
発明の開示
前記目的を達成するために、本発明の第一の側面によれば、不飽和基含有多分岐化合物が提供され、その第一の態様は、(a)分子中に2つ以上のオキセタン環を有する化合物と、(b)分子中に2つ以上(但し、上記(a)成分が2つのオキセタン環を有する化合物の場合、3つ以上)のカルボキシル基を有する化合物と、(c)不飽和モノカルボン酸とを、上記(a)成分に対する(b)成分と(c)成分の反応割合(反応混合物中の仕込み割合)が、それぞれの官能基のモル比で0.1≦(b)/(a)≦1及び0.1≦(c)/(a)≦10となるように重付加反応させることにより得られ、下記一般式(2)又は(3)で示される骨格構造単位を有する不飽和基含有多分岐化合物(A−1)である。
【化4】
Figure 0004148781
(式中、R は水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基を表わし、R は多官能オキセタン残基を表わし、R はポリカルボン酸残基を表わし、nは1以上の整数である。)
この不飽和基含有多分岐化合物(A−1)は、オキセタン環の開環反応によって生成する一級の水酸基と、末端に重合性の不飽和結合を併せ持つ特定の構造を有し、しかも1分子当たりの重合性基の含有量が多いため、短時間の活性エネルギー線の照射により速やかに硬化すると共に、加熱による硬化も可能であり、かつ、一級水酸基の水素結合性によって、得られた硬化物は各種基材に対して優れた密着性を示し、さらに、エーテル結合とエステル結合を有する多分岐構造のため、硬化収縮が少なく、強度、靭性等の機械的特性に優れた硬化物を与える。また、多分岐構造のため、種々の溶媒に対する高い溶解性を示し、また溶液粘度を低下できるという特徴を有する。
また、第二の態様は、(a)分子中に2つ以上のオキセタン環を有する化合物と、(b)分子中に2つ以上(但し、上記(a)成分が2つのオキセタン環を有する化合物の場合、3つ以上)のカルボキシル基を有する化合物と、(c)不飽和モノカルボン酸とを、上記(a)成分に対する(b)成分と(c)成分の反応割合(反応混合物中の仕込み割合)が、それぞれの官能基のモル比で0.1≦(b)/(a)≦1及び0.1≦(c)/(a)≦10となるように重付加反応させることにより得られ、前記一般式(2)又は(3)で示される骨格構造単位を有する不飽和基含有多分岐化合物の水酸基に、さらに(d)多塩基酸無水物を、上記不飽和基含有多分岐化合物中のヒドロキシメチル基1化学当量に対して0.1〜1.0モルの割合で反応させて得られる不飽和基含有多分岐化合物(A−2)である。
このカルボキシル基を有する不飽和基含有多分岐化合物(A−2)は、前記のように末端に多量の重合性基を有するため光硬化性に優れた樹脂であると共に、前記不飽和基含有多分岐化合物(A−1)の側鎖の一級水酸基にさらに多塩基酸無水物を反応させて導入されたカルボキシル基を有するため、アルカリ水溶液に対して優れた溶解性を示し、アルカリ現像型の感光性樹脂として有用である。
また、本発明の第二の側面によれば、前記不飽和基含有多分岐化合物を含有する硬化性組成物も提供され、その基本的な第一の態様は、(A)前記不飽和基含有多分岐化合物((A−1)及び/又は(A−2))、及び(B)重合開始剤を必須成分とし、上記不飽和基含有多分岐化合物(A)100質量部に対し上記重合開始剤(B)を0.1〜30質量部の割合で含有することを特徴としている。
また、本発明の硬化性組成物の第二の態様は、上記(A)成分及び(B)成分に加えて、さらに(C)熱硬化性成分を、前記不飽和基含有多分岐化合物(A)100質量部に対して5〜100質量部の割合で含有することを特徴としている。
本発明の硬化性組成物は、液状のまま用いてもよいし、ドライフィルムの形態として用いてもよい。
本発明の硬化性組成物は、紫外線又は電子線などの活性エネルギー線の照射により速やかに硬化し、あるいはさらに加熱によって硬化し、基材に対する密着性に優れると共に、強度、靭性等の機械的特性や、耐熱性、熱安定性、耐薬品性、電気絶縁性等の諸特性に優れた硬化物が得られる。
さらに本発明の第三の側面によれば、前記硬化性組成物を活性エネルギー線照射及び/又は加熱により硬化させて得られる硬化物も提供され、種々の分野に適用することができるが、特にプリント配線板のソルダーレジスト層や層間絶縁層の形成に有利に適用することができる。
発明を実施するための最良の形態
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、(a)分子中に2つ以上のオキセタン環を有する化合物(以下、多官能オキセタン化合物という)と、(b)分子中に2つ以上(但し、上記(a)成分が2つのオキセタン環を有するビスオキセタン化合物の場合、3つ以上)のカルボキシル基を有する化合物(以下、ポリカルボン酸という)と、(c)不飽和モノカルボン酸との重付加反応により得られる不飽和基含有多分岐化合物(A−1)は、オキセタン環の開環反応によって生成する一級の水酸基と、末端に不飽和二重結合を併せ持つ特定の構造を有し、しかも1分子当たりの重合性基の含有量が多いため、短時間の活性エネルギー線の照射により速やかに硬化すると共に、不飽和二重結合の存在により熱ラジカルによる加熱硬化が可能であり、また、上記側鎖の一級水酸基の存在のために水酸基と反応し得る硬化剤(例えば、イソシアネート類)の添加により加熱硬化も可能であること、かつ、一級水酸基の水素結合性によって、得られる硬化物は各種基材に対して優れた密着性を示すこと、さらに、エーテル結合とエステル結合を有する多分岐構造のため、これを硬化性成分として含有する組成物は、硬化収縮が少なく、強度、靭性等の機械的特性や耐熱性に優れた硬化物を与えることを見出した。また、多分岐構造のため、同じ分子量の線状ポリマーと比較すると、分子同士の絡み合いがなくなるため、種々の溶媒に対する高い溶解性を示し、また溶液粘度を低下できるという特徴を有する。
さらに本発明者らの研究によれば、前記した不飽和基含有多分岐化合物(A−1)の一級水酸基にさらに(d)多塩基酸無水物を反応させて得られる、カルボキシル基を有する不飽和基含有多分岐化合物(A−2)は、末端に多量の重合性基を有するため光硬化性に優れた樹脂であると共に、側鎖に導入されたカルボキシル基の存在によりアルカリ水溶液に対して優れた溶解性を示すため、アルカリ現像型の感光性樹脂となる。
従って、本発明の不飽和基含有多分岐化合物(A−1)及び(A−2)は、前記したような優れた特性を有するため、種々の分野において光硬化性成分及び/又は熱硬化性成分として有利に用いることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
まず、本発明の不飽和基含有多分岐化合物(A−1)は、反応促進剤の存在下、多官能オキセタン化合物(a)と、ポリカルボン酸(b)と、不飽和モノカルボン酸(c)との重付加反応により製造することができる。
例えば、多官能オキセタン化合物(a)とポリカルボン酸(b)のいずれか一方を二官能、他方を三官能の化合物とした場合、例えばポリカルボン酸としてトリカルボン酸を用いてXで表わし、多官能オキセタン化合物としてビスオキセタン化合物を用いてYで表わし、不飽和モノカルボン酸をZで表わすと、例えば下記一般式(1)で示されるような多分岐構造のポリマーが得られる。
【化5】
Figure 0004148781
二官能化合物と三官能化合物を逆にした場合、即ち1分子中に3つのオキセタン環を有するトリスオキセタン化合物と1分子中に2つのカルボキシル基を有するジカルボン酸との重付加反応の場合も同様な多分岐構造となるが、不飽和モノカルボン酸は反応停止剤として作用し、またオキセタン環と反応するため、末端部にはオキセタン環に不飽和モノカルボン酸が付加して導入された不飽和基が存在する。同様に、多官能オキセタン化合物(a)とポリカルボン酸(b)の双方共に三官能以上の化合物とした場合にも、さらに分岐の状態は複雑になるが、多分岐構造となる。
前記のことを化学式を用いてより具体的に説明すると、例えば、多官能オキセタン化合物(a)として後述する一般式(9)で示されるようなビスオキセタン化合物を用い、ポリカルボン酸(b)として後述する一般式(12)で示されるようなトリカルボン酸を用いた場合、例えば下記一般式(2)で示されるような骨格構造単位を有する不飽和基含有多分岐化合物(A−1)が得られる。また、例えば多官能オキセタン化合物(a)としてトリスオキセタン化合物を用い、ポリカルボン酸(b)としてジカルボン酸を用いた場合、例えば下記一般式(3)で示されるような骨格構造単位を有する不飽和基含有多分岐化合物(A−1)が得られる。
【化6】
Figure 0004148781
式中、Rは水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基、Rは多官能オキセタン残基、Rはポリカルボン酸残基を表わす。nは1以上の整数であり、その上限は所望の分子量に応じて適宜制御できる。
また、前記一般式(2)及び(3)において、末端基は下記一般式(4)
〜(8)で示されるような基となる。
【化7】
Figure 0004148781
式中、R〜Rは前記と同じ意味であり、R、R、及びRは、それぞれ水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、アリール基、アラルキル基、シアノ基、フッ素原子、又はフリル基を表わす。
すなわち、末端部のオキセタン環に不飽和モノカルボン酸が付加して不飽和基が導入された部分の末端は一般式(4)で示される末端基となる。また、末端部のオキセタン環に不飽和モノカルボン酸が付加しなかった部分の末端は一般式(5)で示される末端基となる。さらに、割合的には少ないが、ポリカルボン酸(b)に多官能オキセタン化合物(a)と未反応のカルボキシル基が残存する場合、その部分の末端は一般式(6)、(7)又は(8)で示される末端基となる。但し、一般式(6)、(7)はトリカルボン酸を用いた場合、一般式(8)はジカルボン酸を用いた場合である。
前記反応は、多官能オキセタン化合物(a)とポリカルボン酸(b)と不飽和モノカルボン酸(c)とを一括して混合し、反応させる方法(ワンポット方法)と、多官能オキセタン化合物(a)とポリカルボン酸(b)の重付加反応終了後に不飽和モノカルボン酸(c)を添加して反応させる方法(逐次方法)のいずれも可能である。しかしながら、作業性を考慮すると、多官能オキセタン化合物(a)とポリカルボン酸(b)と不飽和モノカルボン酸(c)の3成分を一括して混合して反応させるワンポット方法が好ましい。
前記反応において、多官能オキセタン化合物(a)とポリカルボン酸(b)との割合(反応混合物中の仕込み割合)は、それぞれの官能基のモル比で0.1≦(b)/(a)≦1の範囲が好ましく、より好ましくは0.2≦(b)/(a)≦0.8の範囲である。上記当量比が0.1以下であると、生成する多分岐化合物中へのポリカルボン酸骨格の導入量が少なくなり、所望の分子量の樹脂が得られず、充分な塗膜物性が得られないので好ましくない。一方、上記当量比が1を超えると、重付加反応において重合末端がカルボキシル基となり易いため、引き続く不飽和モノカルボン酸(c)の付加反応が進行し難く、重合性基の導入が困難となるため好ましくない。すなわち、多官能オキセタン化合物(a)とポリカルボン酸(b)の価数に拘らず、多官能オキセタン化合物(a)の官能基(オキセタニル基)がポリカルボン酸(b)の官能基(カルボキシル基)よりも過剰となるようにして反応させることにより、末端部にオキセタン環が位置するようにし、これに不飽和モノカルボン酸(c)が付加して多量の不飽和基を導入することができる。反応時間や反応温度等の反応条件を変えることにより、また、前記した当量比の範囲内においてポリカルボン酸(b)の使用量を制御することにより、生成する多分岐化合物の分子量及び分岐状態をある程度制御することが可能となる。
さらに、多官能オキセタン化合物(a)に対する不飽和モノカルボン酸(c)の割合(反応混合物中の仕込み割合)は、それぞれの官能基のモル比で0.1≦(c)/(a)≦10の範囲が好ましく、より好ましくは0.2≦(c)/(a)≦5の範囲である。不飽和モノカルボン酸(c)の使用量や反応方法(ワンポット方法か逐次方法か)を制御することにより、導入される不飽和基の割合や分子量を制御することが可能となる。
このようにして、分子量の大きさに応じて液状から固形状までの不飽和基含多分岐化合物(A−1)を合成することができる。
本発明に用いられる多官能オキセタン化合物(a)のうち、1分子中に2つのオキセタン環を有する化合物の代表例としては、下記一般式(9)で示されるビスオキセタン類が挙げられる。
【化8】
Figure 0004148781
上記一般式(9)において、Rは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり、Rは、炭素数1〜12の線状又は分岐状飽和炭化水素類、炭素数1〜12の線状又は分岐状不飽和炭化水素類、下記式(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)で示される芳香族炭化水素類、式(F)及び(G)で示されるカルボニル基を含む直鎖状又は環状のアルキレン類、式(H)及び(I)で示されるカルボニル基を含む芳香族炭化水素類から選択される2価の原子価を持った基である。
【化9】
Figure 0004148781
式中、Rは、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表わし、Rは、−O−、−S−、−CH−、−NH−、−SO−、−CH(CH)−、−C(CH−、又は−C(CF−を表わし、Rは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表わす。
【化10】
Figure 0004148781
式中、mは1〜12の整数を表わす。
【化11】
Figure 0004148781
1分子中に3つ以上のオキセタン環を有する化合物の代表例としては、下記一般式(10)で表わされるトリスオキセタン類の他、オキセタンとノボラック樹脂、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)、カルド型ビスフェノール類、カリックスアレーン類、カリックスレゾルシンアレーン類、又はこれらとシルセスキオキサンなどの水酸基を有する樹脂とのエーテル化物などが挙げられる。その他、オキセタン環を含有する不飽和モノマーとアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体なども挙げられる。
【化12】
Figure 0004148781
上記一般式(10)において、Rは前記と同じ意味であり、R10は、前記エーテル化物の水酸基含有樹脂残基、下記式(J)、(K)、及び(L)で示されるような炭素数1〜12の分岐状アルキレン基、式(M)、(N)、及び(O)で示される芳香族炭化水素類である。また、pは残基R10に結合している官能基の数を表わし、3以上の整数、好ましくは3〜5000の整数である。
【化13】
Figure 0004148781
【化14】
Figure 0004148781
式中、R11は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はアリール基を
表わす。
本発明に用いられるポリカルボン酸(b)のうち、1分子中に2つのカルボキシル基を有する化合物の代表例としては、下記一般式(11)で示されるジカルボン酸類が挙げられる。
【化15】
Figure 0004148781
式中、Rは前記と同じ意味である。
ジカルボン酸の具体的な例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカ二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、エイコサン二酸等の炭素数2〜20の直鎖脂肪族ジカルボン酸;メチルマロン酸、エチルマロン酸、n−プロピルマロン酸、ブチルマロン酸、メチルコハク酸、エチルコハク酸、1,1,3,5−テトラメチルオクチルコハク酸等の炭素数3〜20の分岐状脂肪族ジカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メチルシトラコン酸、メサコン酸、メチルメサコン酸、イタコン酸、グルタコン酸等の直鎖又は分岐状脂肪族不飽和ジカルボン酸;ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、シクロヘキセン−1,6−ジカルボン酸、シクロヘキセン−3,4−ジカルボン酸、シクロヘキセン−4,5−ジカルボン酸、式(P)でそれぞれ示されるメチルヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロイソフタル酸及びメチルヘキサヒドロテレフタル酸等のテトラヒドロフタル酸などが挙げられる。
【化16】
Figure 0004148781
さらに、シクロヘキセン−1,3−ジカルボン酸、シクロヘキセン−1,5−ジカルボン酸、シクロヘキセン−3,5−ジカルボン酸等のテトラヒドロイソフタル酸;シクロヘキセン−1,4−ジカルボン酸、シクロヘキセン−3,6−ジカルボン酸等のテトラヒドロテレフタル酸;1,3−シクロヘキサジエン−1,2−ジカルボン酸、1,3−シクロヘキサジエン−1,6−ジカルボン酸、1,3−シクロヘキサジエン−2,3−ジカルボン酸、1,3−シクロヘキサジエン−5,6−ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサジエン−1,2−ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサジエン−1,6−ジカルボン酸等のジヒドロフタル酸;1,3−シクロヘキサジエン−1,3−ジカルボン酸、1,3−シクロヘキサジエン−3,5−ジカルボン酸等のジヒドロイソフタル酸;1,3−シクロヘキサジエン−1,4−ジカルボン酸、1,3−シクロヘキサジエン−2,5−ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサジエン−1,4−ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサジエン−3,6−ジカルボン酸等のジヒドロテレフタル酸;式(Q)で示されるメチルテトラヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、エンド−cis−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸(商品名:ナジック酸)及びメチルエンド−cis−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸(商品名:メチルナジック酸)などの飽和又は不飽和脂環式ジカルボン酸が挙げられる。
【化17】
Figure 0004148781
さらには、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、3−メチルフタル酸、3−エチルフタル酸、3−n−プロピルフタル酸、3−sec−ブチルフタル酸、3−イソブチルフタル酸、3−tert−ブチルフタル酸等の3−アルキルフタル酸類;2−メチルイソフタル酸、2−エチルイソフタル酸、2−プロピルイソフタル酸、2−イソプロピルイソフタル酸、2−n−ブチルイソフタル酸、2−sec−ブチルイソフタル酸、2−tert−ブチルイソフタル酸等の2−アルキルイソフタル酸;4−メチルイソフタル酸、4−エチルイソフタル酸、4−プロピルイソフタル酸、4−イソプロピルイソフタル酸、4−n−ブチルイソフタル酸、4−sec−ブチルイソフタル酸、4−tert−ブチルイソフタル酸等の4−アルキルイソフタル酸:メチルテレフタル酸、エチルテレフタル酸、プロピルテレフタル酸、イソプロピルテレフタル酸、n−ブチルテレフタル酸、sec−ブチルテレフタル酸、tert−ブチルテレフタル酸等のアルキルテレフタル酸;ナフタレン−1,2−ジカルボン酸、ナフタレン−1,3−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ナフタレン−1,6−ジカルボン酸、ナフタレン−1,7−ジカルボン酸、ナフタレン−1,8−ジカルボン酸、ナフタレン−2,3−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、アントラセン−1,3−ジカルボン酸、アントラセン−1,4−ジカルボン酸、アントラセン−1,5−ジカルボン酸、アントラセン−1,9−ジカルボン酸、アントラセン−2,3−ジカルボン酸、アントラセン−9,10−ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸が挙げられる。
また本発明では、ジカルボン酸として上記の他に、下記一般式(R)で示されるジカルボン酸を用いることができる。
【化18】
Figure 0004148781
式中、R12は、−O−、−S−、−CH−、−NH−、−SO−、−CH(CH)−、−C(CH−、又は−C(CF−を表わす。
1分子中に少なくとも3つのカルボキシル基を有する化合物(b)の代表例としては、下記一般式(12)で表わされるトリカルボン酸類が挙げられる。
【化19】
Figure 0004148781
トリカルボン酸の具体的な例としては、メタントリカルボン酸、1,2,3−プロパントリカルボン酸、1,3,5−ペンタントリカルボン酸、アコニック酸、3−ブテン−1,2,3−トリカルボン酸などの炭素数1〜18の飽和又は不飽和脂肪族トリカルボン酸、ヘミメレニック酸、トリメシン酸、トリメリック酸などの芳香族トリカルボン酸などが挙げられる。
また、下記一般式(13)で表わされるトリカルボン酸類も挙げられる。
【化20】
Figure 0004148781
式中、R13は、−O−、−S−、−CH−、−NH−、−SO−、−CH(CH)−、−C(CH−、又は−C(CF−を表わす。
さらには、下記一般式(14)で表わされるトリカルボン酸類も挙げることができる。
【化21】
Figure 0004148781
式中、R14は、炭素数1〜12のアルキル基、アリール基、アラルキル基を表わす。
前記反応に使用する不飽和モノカルボン酸(c)としては、分子中に重合性の不飽和結合とカルボキシル基を併せ持つ化合物であれば公知のものが使用可能である。具体的な例としては、アクリル酸、メタクリル酸、ケイ皮酸、クロトン酸、ソルビン酸、α−シアノケイ皮酸、β−スチリルアクリル酸等が挙げられる。また、二塩基酸無水物と水酸基を有する(メタ)アクリレート類とのハーフエステルを用いてもよい。具体的には、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、マレイン酸、コハク酸等の酸無水物と、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート類とのハーフエステルなどが挙げられる。これらの不飽和モノカルボン酸は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。なお、本明細書中において、(メタ)アクリレートとはアクリレートとメタクリレートを総称する用語であり、他の類似の表現についても同様である。
前記不飽和基含有多分岐化合物(A−1)の合成に使用する反応促進剤としては、三級アミン、三級アミン塩、四級オニウム塩、三級ホスフィン、クラウンエーテル錯体、又はホスホニウムイリドの中から任意に選択することが可能であり、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
三級アミンとしては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン)、DBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン)、DABCO(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン)、ピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジンなどが挙げられる。
三級アミン塩としては、例えば、サンアプロ(株)製のU−CATシリーズなどが挙げられる。
四級オニウム塩としては、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、アルソニウム塩、スチボニウム塩、オキソニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、スタンノニウム塩、ヨードニウム塩等が挙げられる。特に好ましいものは、アンモニウム塩及びホスホニウム塩である。アンモニウム塩の具体例としては、テトラn−ブチルアンモニウムクロライド(TBAC)、テトラn−ブチルアンモニウムブロミド(TBAB)、テトラn−ブチルアンモニウムアイオダイド(TBAI)等のテトラn−ブチルアンモニウムハライドや、テトラn−ブチルアンモニウムアセテート(TBAAc)などが挙げられる。ホスホニウム塩の具体例としては、テトラn−ブチルホスホニウムクロライド(TBPC)、テトラn−ブチルホスホニウムブロミド(TBPB)、テトラn−ブチルホスホニウムアイオダイド(TBBI)等のテトラn−ブチルホスホニウムハライド、テトラフェニルホスホニウムクロライド(TPPC)、テトラフェニルホスホニウムブロミド(TPPB)、テトラフェニルホスホニウムアイオダイド(TPPI)等のテトラフェニルホスホニウムハライドや、エチルトリフェニルホスホニウムブロミド(ETPPB)、エチルトリフェニルホスホニウムアセテート(ETPPAc)などが挙げられる。
三級ホスフィンとしては、炭素数1〜12のアルキル基、又はアリール基を有する、三価の有機リン化合物であればよい。具体例としては、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィンなどが挙げられる。
さらに、三級アミン又は三級ホスフィンと、カルボン酸あるいは酸性の強いフェノールとの付加反応により形成される四級オニウム塩も反応促進剤として使用可能である。これらは、反応系に添加する前に四級塩を形成するか、もしくはそれぞれを別に添加して反応系中で四級塩形成を行なわせるいずれの方法でもよい。具体的には、トリブチルアミンと酢酸より得られるトリブチルアミン酢酸塩、トリフェニルホスフィンと酢酸より形成されるトリフェニルホスフィン酢酸塩などが挙げられる。
また、クラウンエーテル錯体の具体例としては、12−クラウン−4、15−クラウン−5、18−クラウン−6、ジベンゾ18−クラウン−6、21−クラウン−7、24−クラウン−8等のクラウンエーテル類と、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウムなどのアルカリ金属塩との錯体が挙げられる。
ホスホニウムイリドとしては、ホスホニウム塩と塩基との反応により得られる化合物であれば公知のものが使用可能であるが、取扱いの容易さから安定性の高いものの方が好ましい。具体的な例としては、(ホルミルメチレン)トリフェニルホスフィン、(アセチルメチレン)トリフェニルホスフィン、(ピバロイルメチレン)トリフェニルホスフィン、(ベンゾイルメチレン)トリフェニルホスフィン、(p−メトキシベンゾイルメチレン)トリフェニルホスフィン、(p−メチルベンゾイルメチレン)トリフェニルホスフィン、(p−ニトロベンゾイルメチレン)トリフェニルホスフィン、(ナフトイル)トリフェニルホスフィン、(メトキシカルボニル)トリフェニルホスフィン、(ジアセチルメチレン)トリフェニルホスフィン、(アセチルシアノ)トリフェニルホスフィン、(ジシアノメチレン)トリフェニルホスフィンなどが挙げられる。
これら反応促進剤の使用量は、多官能オキセタン化合物(a)のオキセタニル基1モルに対して約0.1〜25モル%の割合であることが望ましく、さらに好ましくは0.5〜20モル%の割合であり、より好ましくは1〜15モル%の割合である。反応促進剤の使用量がオキセタニル基に対して0.1モル%よりも少ない割合の場合、実用的な速度で反応が進行し難く、一方、25モル%を超えて多量に存在しても顕著な反応促進効果は見られないため、経済性の点で好ましくない。
前記不飽和基含有多分岐化合物(A−1)合成の反応温度としては、約100〜200℃の範囲が望ましく、さらに好ましくは120〜160℃である。反応温度が100℃よりも低い場合には、反応が進行し難くなるので好ましくない。一方、200℃を超えた場合には、生成物の二重結合が反応して熱重合を生じ易くなり、また低沸点の不飽和モノカルボン酸が蒸発するので好ましくない。反応時間は、原料の反応性、反応温度に応じて適時選択すればよいが、約5〜72時間が好適である。
前記反応は無溶剤下でも進行するが、反応時の攪拌効率を改善するために希釈剤の存在下で行なうことも可能である。用いる希釈剤としては反応温度を維持できるものであれば特に限定されないが、好ましくは原料を溶解するものが良い。また、合成時の希釈剤として有機溶媒を用いた場合は、減圧蒸留などの公知の方法にて溶媒を除去してもよい。さらには、製造時に後述する反応性希釈剤(D)の存在下で行なうことも可能である。
有機溶剤は、反応に悪影響を与えず、反応温度を維持できるものであれば公知のものが使用できる。具体的には、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルなどのアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのグリコールエステル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ヘキサメチルリン酸トリアミドなどのアミド類;トルエン、キシレンなどの炭化水素類が挙げられる。
次に、カルボキシル基を有する不飽和基含有多分岐化合物(A−2)の合成について説明する。
本発明では、前記のようにして生成した末端にエチレン性不飽和基、側鎖にヒドロキシメチル基を有する不飽和基含有多分岐化合物(A−1)中のヒドロキシメチル基の1化学当量に対して、多塩基酸無水物(d)を0.1〜1.0モル反応させることにより、カルボキシル基を有する不飽和基含有多分岐化合物(A−2)が製造される。この不飽和基含有多分岐化合物(A−2)中には、多官能オキセタン化合物(a)のオキセタニル基とポリカルボン酸(b)のカルボキシル基との付加反応により生じたヒドロキシメチル基が存在しており、この水酸基と多塩基酸無水物(d)との付加反応によってカルボキシル基が導入されるため、アルカリ可溶性となる。
多塩基酸無水物(d)の具体例としては、無水フタル酸、無水コハク酸、オクテニル無水フタル酸、ペンタドデセニル無水コハク酸、無水マレイン酸、無水テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、トリメリット酸などの二塩基酸無水物、あるいはビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物などの四塩基酸二無水物などが挙げられる。これらは単独で又は2種以上の混合物として用いることができる。
これらの多塩基酸無水物と、前記不飽和基含有多分岐化合物(A−1)との反応は、前記の配合割合で約50〜150℃、好ましくは80〜130℃の温度範囲で行なうことが可能である。多塩基酸無水物の使用量は、前記不飽和基含有多分岐化合物(A−1)中のヒドロキシメチル基1化学当量に対して、0.1〜1.0モルが好適である。0.1モルより少ないと導入されるカルボキシル基の量が少なくなり、アルカリ可溶性が著しく低くなるので好ましくない。一方、1.0モルを越えて多量に配合すると、未反応の多塩基酸無水物が樹脂中に残存し、耐久性、電気特性などの特性を低下させるため好ましくない。
前記多塩基酸無水物との反応における反応促進剤としては、前述の三級アミン、三級アミン塩、四級オニウム塩、三級ホスフィン、リンイリド、クラウンエーテル錯体、及び三級アミンあるいは三級ホスフィンとカルボン酸又は酸性の強いフェノールとの付加体が使用可能である。その使用量は多塩基酸無水物に対して0.1〜25モル%の範囲であり、さらに好ましくは0.5〜20モル%であり、より好ましくは1〜15モル%である。但し、前記不飽和基含有多分岐化合物(A−1)の製造時に用いた触媒が系内に残存する場合、新たに触媒を添加しなくても反応を促進することが可能である。
前記反応は、有機溶媒の存在下、又は無溶媒下でも進行するが、反応時撹拌効率を改善するために前記希釈剤の存在下で行なうことも可能である。
また、前記反応においては、不飽和二重結合の重合によるゲル化を防止する目的で、空気を吹き込んだり、重合禁止剤を加えてもよい。重合禁止剤の例としては、ハイドロキノン、トルキノン、メトキシフェノール、フェノチアジン、トリフェニルアンチモン、塩化銅などが挙げられる。
前記のようにして得られた本発明の不飽和基含有多分岐化合物(A−1及びA−2)の1種又は2種以上の混合物に、重合開始剤(B)として光ラジカル重合開始剤及び/又は熱ラジカル重合開始剤を混合することにより、光硬化性及び/又は熱硬化性の組成物が得られ、紫外線又は電子線などの活性エネルギー線の照射により速やかに硬化し、あるいはさらに加熱によって硬化し、基材との密着性、機械的特性、耐薬品性等に優れた硬化物を形成することができる。
また、前記不飽和基含有多分岐化合物(A−1及び/又はA−2)及び重合開始剤(B)と共に、熱硬化性成分(C)、例えば1分子中に2つ以上のオキシラン基及び/又はオキセタニル基を有する化合物を混合することにより、光硬化性・熱硬化性組成物が得られる。この光硬化性・熱硬化性組成物は、その塗膜を露光・現像することで画像形成が可能であり、さらに現像後加熱することで、硬化収縮を生じることなく、基材との密着性、機械的特性、耐熱性、電気絶縁性、耐薬品性、耐クラック性等の諸特性に優れた硬化皮膜を形成することができる。
さらに前記のような硬化性組成物もしくは光硬化性・熱硬化性組成物に、希釈剤(D)として後述するような反応性モノマーを添加することにより、光硬化性を向上させることができる。なお、本発明の硬化性組成物もしくは光硬化性・熱硬化性組成物に含まれる不飽和基含有多分岐化合物(A−1及び/又はA−2)の使用量には、特に制限が無い。
前記重合開始剤(B)として用いられる光ラジカル重合開始剤としては、活性エネルギー線の照射によりラジカルを発生する公知の化合物が使用可能であり、その具体例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾインとそのアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、4−(1−t−ブチルジオキシ−1−メチルエチル)アセトフェノン等のアセトフェノン類;2−メチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン等のアントラキノン類;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン、4−(1−t−ブチルジオキシ−1−メチルエチル)ベンゾフェノン、3,3´,4,4´−テトラキス(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;2−メチルチオ−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアミノアセトフェノン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルホスフィンオキシド等のアルキルホスフィン類;9−フェニルアクリジン等のアクリジン類などが挙げられる。
これらの光ラジカル重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの光ラジカル重合開始剤の配合量は、前記不飽和基含有多分岐化合物(A−1及び/又はA−2)100質量部当り0.1〜30質量部の割合が好ましい。光ラジカル重合開始剤の配合量が上記範囲よりも少ない場合、活性エネルギー線の照射を行なっても硬化しないか、もしくは照射時間を増やす必要があり、適切な塗膜物性が得られ難くなる。一方、上記範囲よりも多量に光ラジカル重合開始剤を添加しても、硬化性に変化は無く、経済的に好ましくない。
本発明の硬化性組成物もしくは光硬化性・熱硬化性組成物においては、活性エネルギー線による硬化を促進させるために、硬化促進剤及び/又は増感剤を上記のような光ラジカル重合開始剤と併用してもよい。使用し得る硬化促進剤としては、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノール、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート等の三級アミン類;β−チオジグリコール等のチオエーテル類などが挙げられる。増感剤としては、(ケト)クマリン、チオキサンテン等の増感色素類;及びシアニン、ローダミン、サフラニン、マラカイトグリーン、メチレンブルー等の色素のアルキルホウ酸塩などが挙げられる。これらの硬化促進剤及び/又は増感剤は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。その使用量は、前記不飽和基含有多分岐化合物(A−1及び/又はA−2)100質量部当り0.1〜30質量部の割合が好ましい。
前記重合開始剤(B)として用いられる熱ラジカル重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等の有機過酸化物;2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2´−アゾビス−2,4−ジバレロニトリル、1,1´−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、1´−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、ジメチル−2,2´−アゾビスイソブチレイト、4,4´−アゾビス−4−シアノバリックアシツド、2−メチル−2,2´−アゾビスプロパンニトリル等のアゾ系開始剤などが挙げられ、より好ましいものとしてはノンシアン、ノンハロゲンタイプの1,1´−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)が挙げられる。熱ラジカル重合開始剤は、前記不飽和基含有多分岐化合物(A−1及び/又はA−2)100質量部当り0.1〜10質量部、好ましくは0.5〜5質量部の割合で用いられる。
また、熱ラジカル重合開始剤として有機過酸化物のうち硬化速度の小さいものを用いる場合には、トリブチルアミン、トリエチルアミン、ジメチル−p−トルイジン、ジメチルアニリン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン等の三級アミン、あるいはナフテン酸コバルト、オクトエ酸コバルト、ナフテン酸マンガン等の金属石鹸を促進剤として用いることができる。
本発明の光硬化性・熱硬化性組成物中に添加される熱硬化性成分(C)としては、1分子中に少なくとも2つ以上のオキシラン基及び/又はオキセタニル基を有する多官能エポキシ化合物(C−1)及び/又は多官能オキセタン化合物(C−2)を好適に用いることができ。
多官能エポキシ化合物(C−1)としては、例えば、ノボラック型エポキシ樹脂(例えば、フェノール、クレゾール、ハロゲン化フェノール、アルキルフェノールなどのフェノール類とホルムアルデヒドを酸触媒下で反応させて得られるノボラック類に、エピクロルヒドリン及び/又はメチルエピクロルヒドリンを反応させて得られるものであり、市販品としては日本化薬(株)製のEOCN−103、EOCN−104S、EOCN−1020、EOCN−1027、EPPN−201、BREN−S;ダウ・ケミカル社製のDEN−431、DEN−438;大日本インキ化学工業(株)製のN−730、N−770、N−865、N−665、N−673、N−695、VH−4150など)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(例えば、ビスフェノール、ビスフェノール、ビスフェノール、テトラブロモビスフェノールなどのビスフェノール類にエピクロルヒドリン及び/又はメチルエピクロルヒドリンを反応させて得られるものであり、市販品としては、油化シェルエポキシ(株)製のエピコート1004、エピコート1002;ダウ・ケミカル社製のDER−330、DER−337など)、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂(例えば、トリスフェノールメタン、トリスクレゾールメタンなどとエピクロルヒドリン及び/又はメチルエピクロルヒドリンを反応させて得られるものであり、市販品としては、日本化薬(株)製のEPPN−501、EPPN−502など)、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、ビフェノールジグリシジルエーテル、その他脂環式エポキシ樹脂、アミノ基含有エポキシ樹脂、共重合型エポキシ樹脂、カルド型エポキシ樹脂、カリックスアレーン型エポキシ樹脂など公知慣用のエポキシ樹脂を、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の光硬化性・熱硬化性組成物において熱硬化性成分として用いられる多官能オキセタン化合物(C−2)の代表例としては、先に例示したような分子中に2つのオキセタン環を有するビスオキセタン類や、分子中に3つ以上のオキセタン環を有すトリスオキセタン類などが挙げられ、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記の多官能エポキシ化合物(C−1)及び/又は多官能オキセタン化合物(C−2)の配合量は、前記不飽和基含有多分岐化合物(A−1及び/又はA−2)100質量部に対して5〜100質量部の割合が適当であり、好ましくは15〜60質量部である。
さらに、熱硬化反応を促進するために、三級アミン類、四級オニウム塩類、三級ホスフィン類、クラウンエーテル錯体などや、イミダゾール誘導体、ジシアンジアミドなどの公知の硬化促進剤を少量併用することができる。硬化促進剤は、これらの中から任意に選択することが可能であり、これらを単独で又は2種以上混合して用いてもよい。その他、ホスホニウムイリドなど、公知の硬化促進剤を使用できる。
イミダゾール誘導体としては、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾールなどが挙げられる。市販されているものとしては、例えば四国化成(株)製の2MZ−A、2MZ−OK、2PHZ、2P4BHZ、2P4MHZなどが挙げられる。経時安定性向上を図るものとしては、旭チバ(株)製のノバキュアHX−3721、HX−3748、HX−3741、HX−3088、HX−3722、HX−3742、HX−3921HP、HX−3941HP、HX−3613なども挙げられる。
硬化促進剤の使用量は、前記多官能エポキシ化合物(C−1)及び/又は多官能オキセタン化合物(C−2)のオキシラン基及び/又はオキセタニル基1モルに対して0.1〜25モル%の範囲であり、好ましくは0.5〜20モル%であり、より好ましくは1〜15モル%である。硬化促進剤の使用量が、オキシラン基/オキセタニル基に対して0.1モルよりも少ないと実用的な速度で硬化反応が進行し難く、一方、25モル%よりも多量に存在しても顕著な反応促進硬化は見られないので、経済性の点で好ましくない。
本発明の硬化性組成物もしくは光硬化性・熱硬化性組成物には、希釈剤(D)を合成時あるいは合成後に加えることができる。希釈剤(D)としては、前記した有機溶剤の他、硬化反応に関与することができる重合性基を有する化合物を好適に用いることができ、単官能(メタ)アクリレート類及び/又は多官能(メタ)アクリレート類などの公知の反応性希釈剤が使用可能である。具体的な例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、及び二塩基酸無水物と1分子中に少なくとも1個以上の不飽和基を有するアルコールとの反応物などを挙げることができる。希釈剤(D)は、単独で又は2種以上の混合物で用いられ、その使用量には制限が無い。
本発明の硬化性組成物もしくは光硬化性・熱硬化性組成物には、さらに必要に応じて硫酸バリウム、シリカ、タルク、クレー、炭酸カルシウムなどの公知慣用の充填剤、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、カーボンブラックなどの公知慣用の着色顔料、消泡剤、密着付与剤、レベリング剤などの各種添加剤を加えてもよい。
このようにして得られた硬化性組成物もしくは光硬化性・熱硬化性組成物は、希釈剤の添加により粘度を調整した後、スクリーン印刷法、カーテンコーティング法、ロールコーティング法、ディップコーティング法、及びスピンコーティング法などの塗布方法により塗布し、例えば約60〜120℃の温度で仮乾燥することで組成物中に含まれる有機溶剤を除去し、塗膜を形成する。ドライフィルムの形態にある場合には、そのままラミネートすればよい。その後、活性エネルギー線を照射することにより、速やかに硬化する。
また、光硬化性成分としてカルボキシル基を有する不飽和基含有多分岐化合物を含有する組成物の場合、所定の露光パターンを形成したフォトマスクを通して選択的に活性エネルギー線により露光し、未露光部をアルカリ水溶液により現像してレジストパターンを形成できる。
さらに、熱硬化性成分を含有する光硬化性・熱硬化性組成物の場合、上記露光・現像後に約140〜200℃の温度で加熱して熱硬化させることにより、密着性、機械的強度、はんだ耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性、耐電蝕性などの諸特性に優れた硬化皮膜が形成できる。またさらには、熱硬化前又は後にポストUV硬化を行なうことにより、諸特性をさらに向上させることができる。
上記現像に用いるアルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、珪酸ナトリウム、アンモニア、有機アミン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキシドなどの水溶液が使用できる。現像液中のアルカリの濃度は概ね0.1〜5wt%であればよい。現像方式はディップ現像、パドル現像、スプレー現像などの公知の方法を用いることができる。
前記硬化性組成物もしくは光硬化性・熱硬化性組成物を硬化させるための照射光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプなどが適当である。また、レーザー光線なども露光用活性光源として利用できる。その他、電子線、α線、β線、γ線、X線中性子線なども利用可能である。
以下に実施例を示して本発明についてより具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものでないことはもとよりである。なお、以下において「部」及び「%」とあるのは、特に断わりのない限り、全て質量基準である。
実施例1
撹拌機、還流冷却管、温度計を備えた200mlの4つ口フラスコに、1,4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)ベンゼン10.0部、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸3.3部、テトラフェニルホスホニウムクロリド0.56部、及びN−メチルピロリドン20mlを仕込み、140℃にて24時間反応を行なった。その後、メタクリル酸12.9部及びメトキノン0.05部を加え、さらに同温度で6時間反応を行なった。反応液を室温まで冷却後、大量の水に注ぎ、沈澱した固体を回収した。さらに、この固体をテトラヒドロフランに溶解し、大量のヘキサンに注ぐことで精製を行なった。得られた沈澱をろ別し、減圧乾燥することで、不飽和基含有多分岐化合物(a)を4.6部得た。
得られた不飽和基含有多分岐化合物(a)の構造は、H−NMR及びIRスペクトルにて確認した。H−NMRより求めたメタクリル酸の導入率は33%であった。また、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)による測定結果から、重量平均分子量は12000であった。図1に得られた不飽和基含有多分岐化合物のIRスペクトルを示す。オキセタンの開環付加反応により生じた水酸基の吸収及び不飽和二重結合に由来する吸収が検出されたことから、目的の構造であることが判明した。
実施例2
撹拌機、還流冷却管、温度計を備えた200mlの4つ口フラスコに、1,4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)ベンゼン10.0部、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸3.3部、メタクリル酸2.60部、テトラフェニルホスホニウムクロリド0.56部、メトキノン0.05部、及びN−メチルピロリドン20mlを仕込み、140℃にて24時間反応を行なった。反応液を室温まで冷却後、大量の水に注ぎ、沈澱した固体を回収した。さらに、この固体をテトラヒドロフランに溶解し、大量のヘキサンに注ぐことで精製を行なった。得られた沈澱をろ別し、減圧乾燥することで、不飽和基含有多分岐化合物(b)を8.6部得た。
得られた不飽和基含有多分岐化合物(b)の構造は、H−NMR及びIRスペクトルにて確認した。H−NMRより求めたメタクリル酸の導入率は24%であった。また、GPCによる測定結果から、重量平均分子量は12000であった。
実施例3
メタクリル酸の量を12.9部とした以外は、実施例2と同様に行なった。その結果、不飽和基含有多分岐化合物(c)を9.6部得た。
得られた不飽和基含有多分岐化合物(c)の構造は、H−NMR及びIRスペクトルにて確認した。H−NMRより求めたメタクリル酸の導入率は83%であった。また、GPCによる測定結果から、重量平均分子量は6300であった。
下記実施例で用いた原材料を表1に示す。
【表1】
Figure 0004148781
実施例4〜8
表2に示す配合割合で各成分を配合し、3本ロールミルを用いて混練し、活性エネルギー線硬化性組成物を調製し、以下の性能評価に供した。
【表2】
Figure 0004148781
(1)光硬化性
前記のようにして調製した各活性エネルギー線硬化性組成物を、バーコーターを用いて銅箔上に10μmの膜厚で塗布し、高圧水銀灯を用いて光照射を行ない、タックフリーとなるまでの時間を測定した。
(2)二重結合の転化率
実施例4〜8の各活性エネルギー線硬化性組成物を、KBr板に10μmの膜厚になるように塗布し、高圧水銀灯にて120秒間光照射を行ない、IRスペクトルにて二重結合の転化率を測定した。
(3)強靱性
実施例4〜8の各活性エネルギー線硬化性組成物を、バーコーターを用いてアルミ箔に10μmの膜厚で塗布し、高圧水銀灯にて120秒間光照射を行ない、硬化塗膜を作成した。この塗膜を90°に折り曲げた際のクラックの有無を目視にて観察した。
○:全くクラックが認められないもの
△:僅かにクラックが認められたもの
×:塗膜全面にクラックが認められるもの
上記の試験結果を表3にまとめて示す。
【表3】
Figure 0004148781
表3に示す結果から明らかなように、本発明の実施例1〜3により製造された不飽和基含有多分岐化合物を用いた実施例4〜8の活性エネルギー線硬化性組成物は、硬化性に優れ、かつ強靱性に優れた硬化物を与えることが分かる。
実施例9
撹拌機、還流冷却管、温度計を備えた200mlの4つ口フラスコに、1,4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)ベンゼン10.0部、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸2.1部、メタクリル酸2.6部、テトラフェニルホスホニウムクロリド0.56部、メトキノン0.05部及びN−メチルピロリドン20mlを仕込み、140℃にて24時間反応を行なった。反応液を室温まで冷却後、大量の水に注ぎ、沈澱した固体を回収した。さらに、この固体をテトラヒドロフランに溶解し、大量のヘキサンに注ぐことで精製を行なった。得られた沈澱をろ別し、減圧乾燥することで、不飽和基含有多分岐化合物を得た。得られた不飽和基含有多分岐化合物の水酸基当量は199mgKOH/OH基、酸価は42mgKOH/gであった。
次に、触媒にテトラフェニルホスホニウムクロリド0.26部を用いて、上記不飽和基含有多分岐化合物9.80部とテトラヒドロフタル酸無水物7.61部との付加反応を、ラジカル重合禁止剤としてハイドロキノン0.11部の存在下、ジオキサン中、80℃で3時間行なった。
得られた粉末固体についてH−NMR及びIRスペクトルにて構造確認を行なった結果、H−NMRにおいて、テトラヒドロフタル酸無水物に起因するメチンプロトンとメチレンプロトンをそれぞれ2.30ppmと2.94ppm、及びビニルプロトンを5.57ppmに確認した。IRスペクトルにおいては、テトラヒドロフタル酸無水物の付加反応が進行したことを示すエステル結合に起因するνC=OとνC−O−Cの吸収がそれぞれ1707cm−1と1289、1198、1160cm−1に新たに見られた。また、カルボキシル基に起因する幅広の吸収が見られたことにより、側鎖にカルボキシル基が導入されたことが確認された。さらに、酸価測定を行なった結果、カルボキシル基導入前の不飽和基含有多分岐化合物の酸価が42mgKOH/gであったのに対し、導入後は187mgKOH/gに増加した。
図2に、前記カルボキシル基導入前(略号HBPで示す)及び導入後(略号HBP(Ca)で示す)の不飽和基含有多分岐化合物のIRスペクトルを対比して示す。
また、上記のようにして得られたカルボキシル基導入後の不飽和基含有多分岐化合物について、種々のアルカリ水溶液に対する溶解特性を検討した。その結果を表4に示す。
【表4】
Figure 0004148781
表4から明らかなように、上記のようにして得られたカルボキシル基導入後の不飽和基含有多分岐化合物は、1.0wt%の炭酸水素ナトリウム水溶液をはじめとする種々のアルカリ水溶液に対して室温において可溶であった。これは、カルボキシル基導入後の不飽和基含有多分岐化合物の酸価が187mgKOH/g(カルボキシル基含有率15%)に増加したためと考えられる。
実施例10
撹拌機、還流冷却管、温度計を備えた200mlの4つ口フラスコに、1,4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)ベンゼン10.0部、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸2.1部、メタクリル酸2.6部、テトラフェニルホスホニウムクロリド0.56部、メトキノン0.05部及びN−メチルピロリドン20mlを仕込み、140℃にて24時間反応を行なった。反応液を室温まで冷却後、大量の水に注ぎ、沈澱した固体を回収した。さらに、この固体をテトラヒドロフランに溶解し、大量のヘキサンに注ぐことで精製を行なった。得られた沈澱をろ別し、減圧乾燥することで、不飽和基含有多分岐化合物を得た。得られた不飽和基含有多分岐化合物の水酸基当量は319.3mgKOH/OH基、酸価は26.2mgKOH/gであった。
次に、触媒にテトラフェニルホスホニウムクロリド0.26部を用いて、上記不飽和基含有多分岐化合物9.60部とテトラヒドロフタル酸無水物2.8部との付加反応を、ラジカル重合禁止剤としてハイドロキノン0.11部の存在下、ジオキサン中、80℃で6時間行なった。
得られた粉末固体についてH−NMR及びIRスペクトルにて構造確認を行なった結果、H−NMRにおいて、テトラヒドロフタル酸無水物に起因するメチンプロトンとメチレンプロトンをそれぞれ2.30ppmと2.94ppm、及びビニルプロトンを5.57ppmに確認した。さらにIRスペクトルにおいては、テトラヒドロフタル酸無水物のνC=Oに起因する1778cm−1の吸収が完全に消失し、3000cm−1付近にカルボキシル基に起因する幅広の吸収が見られたことにより、側鎖にカルボキシル基が導入されたことが確認された。酸価測定を行なった結果、カルボキシル基導入前の不飽和基含有多分岐化合物の酸価が26.2mgKOH/gであったのに対し、導入後は100mgKOH/gに増加した。以下、上記のようにして得られたカルボキシル基を有する不飽和基含有多分岐化合物を多分岐化合物dと称す。
実施例11
撹拌機、還流冷却管、温度計を備えた200mlの4つ口フラスコに、4,4´−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ビフェノール10.6部、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸2.1部、テトラフェニルホスホニウムブロミド0.63部、及びN−メチルピロリドン60mlを仕込み、140℃にて12時間反応を行なった。その後、反応系内にメトキノン0.05部、メタクリル酸5.6部を加え、さらに140℃で12時間反応を行なった。反応液を室温まで冷却後、大量の水に注ぎ、沈澱した固体を回収した。さらに、この固体をテトラヒドロフランに溶解し、大量のヘキサンに注ぐことで精製を行なった。得られた沈澱をろ別し、減圧乾燥することで、不飽和基含有多分岐化合物を9.9部得た。得られた不飽和基含有多分岐化合物の水酸基当量は173.5mgKOH/OH基、酸価は6.4mgKOH/gであった。
次に、触媒にトリフェニルホスフィン0.24部を用いて、上記不飽和基含有多分岐化合物10.4部とテトラヒドロフタル酸無水物3.7部との付加反応を、ラジカル重合禁止剤としてハイドロキノン0.11部の存在下、カルビトールアセテート中、80℃で6時間行なった。
得られた樹脂溶液についてIRスペクトルにて構造確認を行なった結果、テトラヒドロフタル酸無水物のνC=Oに起因する1778cm−1の吸収が完全に消失し、3000cm−1付近にカルボキシル基に起因する幅広の吸収が見られたことにより、側鎖にカルボキシル基が導入されたことが確認された。さらに、酸価測定を行なった結果、カルボキシル基導入前の不飽和基含有多分岐化合物の酸価が6.4mgKOH/gであったのに対し、導入後は100mgKOH/gに増加した。以下、上記のようにして得られたカルボキシル基を有する不飽和基含有多分岐化合物を多分岐化合物eと称す。
また、上記のようにして得られたカルボキシル基導入後の不飽和基含有多分岐化合物d,eについて、種々のアルカリ水溶液に対する溶解特性を検討した。その結果は、表4に示される結果と同様であった。
下記実施例で用いた原材料を表5に示す。
【表5】
Figure 0004148781
実施例12、13及び比較例1
前記実施例10、11で得られた不飽和基含有多分岐化合物d,eを用い、表6に示す配合割合で各成分を配合し、3本ロールミルを用いて混練し、光硬化性・熱硬化性組成物を調製し、硬化塗膜の特性を以下の方法で評価した。
また、比較として、一般的なノボラック型エポキシアクリレート系樹脂を用いた塗膜も同様に評価した。
【表6】
Figure 0004148781
<評価方法>
試験片の作製:
前記の光硬化性・熱硬化性組成物をアプリケータ−を用いてポリエステルフィルムに塗布し、80℃にて30分間乾燥し有機溶剤を揮発させた。この乾燥塗膜に対して、紫外線を500mJ/cm照射し、引き続き150℃にて60分熱硬化した。ポリエステルフィルムから硬化塗膜を剥がし、所定のサイズに切断して、以下の試験に供した。
弾性率、破断点応力、破断点歪みの測定:
膜厚40μmの硬化塗膜を作製し、10mm×60mmのサイズに切断し、島津製作所(株)製オートグラフAGS−G100Nにて測定した。
ガラス転移点Tgの測定:
膜厚40μmの硬化塗膜を作製し、5mm×40mmのサイズに切断し、セイコーインスツルメンツ社製DMS6100にて測定した。
誘電率、誘電正接の測定:
膜厚40μmの硬化塗膜を作製し、15mm×15mmサイズに切断し、ヒューレットパッカード社製HP4291A RFインピーダンス/マテリアルアナライザにて測定した。
折り曲げ試験:
厚み25μmのカプトンフィルムに乾燥膜厚25μmとなるように光硬化性・熱硬化性組成物を塗布した。この乾燥塗膜を500mJ/cmの紫外線で全面露光し、その後150℃にて60分間熱硬化反応を行ない、硬化塗膜を作製した。この塗膜を180度に折り曲げて、クラックの有無を目視で観察した。
○:全くクラックの発生しないもの
△:僅かにクラックの発生したもの
×:塗膜全面にクラックが認められるもの
上記の試験結果をまとめて表7に示す。
【表7】
Figure 0004148781
表7に示す結果から明らかなように、本発明の実施例10、11により製造された不飽和基含有多分岐化合物を用いて得られた実施例12、13の光硬化性・熱硬化性組成物は、一般的なエポキシアクリレート系樹脂を用いた場合である比較例1と比較して強靭性に優れた硬化物を与えることがわかる。
産業上の利用可能性
以上説明したように、本発明の不飽和基含有多分岐化合物(A−1)は、短時間の活性エネルギー線の照射により速やかに硬化すると共に、加熱による硬化も可能であり、かつ、得られた硬化物は各種基材に対して優れた密着性を示し、さらに、硬化収縮が少なく、強度、靭性等の機械的特性に優れた硬化物を与える。また、本発明のカルボキシル基を有する不飽和基含有多分岐化合物(A−2)は、光硬化性に優れた樹脂であると共に、アルカリ水溶液に対して優れた溶解性を示し、アルカリ現像型の感光性樹脂として有用である。
従って、本発明の不飽和基含有多分岐化合物(A−1)及び(A−2)は、前記したような優れた特性を有するため、種々の分野において光硬化性成分及び/又は熱硬化性成分として有利に用いることができる。
さらに前記不飽和基含有多分岐化合物(A−1)及び/又は(A−2)を重合開始剤と共に含有する本発明の硬化性組成物、あるいはさらに熱硬化性成分を含有する熱硬化性・光硬化性組成物は、紫外線又は電子線などの活性エネルギー線の照射により速やかに硬化し、あるいはさらに加熱によって硬化し、基材に対する密着性に優れると共に、強度、靭性等の機械的特性や、耐熱性、熱安定性、耐薬品性、電気絶縁性等の諸特性に優れた硬化物が得られるため、接着剤、コーティング剤、プリント配線板の製造時に使用されるソルダーレジスト、エッチングレジスト、ビルドアップ基板用層間絶縁材、メッキレジスト、ドライフィルムなど広範囲に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
図1は、実施例1で製造された不飽和基含有多分岐化合物のIRスペクトルを示すグラフである。
図2は、実施例9で製造されたカルボキシル基導入前の不飽和基含有多分岐化合物(略号HBPで示す)及びカルボキシル基導入後の不飽和基含有多分岐化合物(略号HBP(Ca)で示す)の各IRスペクトルを対比して示すグラフである。

Claims (9)

  1. (a)分子中に2つ以上のオキセタン環を有する化合物と、(b)分子中に2つ以上(但し、上記(a)成分が2つのオキセタン環を有する化合物の場合、3つ以上)のカルボキシル基を有する化合物と、(c)不飽和モノカルボン酸とを、上記(a)成分に対する(b)成分と(c)成分の反応割合(反応混合物中の仕込み割合)が、それぞれの官能基のモル比で0.1≦(b)/(a)≦1及び0.1≦(c)/(a)≦10となるように重付加反応させることにより得られ、下記一般式(2)又は(3)で示される骨格構造単位を有する不飽和基含有多分岐化合物。
    Figure 0004148781
    (式中、R は水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基を表わし、R は多官能オキセタン残基を表わし、R はポリカルボン酸残基を表わし、nは1以上の整数である。)
  2. 前記一般式(2)又は(3)において、末端基は下記一般式(4)〜(8)で示される基の少なくとも1種であり、かつ少なくとも1つの下記一般式(4)で示される末端基を有する請求項に記載の不飽和基含有多分岐化合物。
    Figure 0004148781
    (式中、Rは水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基を表わし、Rは多官能オキセタン残基を表わし、Rはポリカルボン酸残基を表わし、R、R、及びRは、それぞれ水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、アリール基、アラルキル基、シアノ基、フッ素原子、又はフリル基を表わす。)
  3. (a)分子中に2つ以上のオキセタン環を有する化合物と、(b)分子中に2つ以上(但し、上記(a)成分が2つのオキセタン環を有する化合物の場合、3つ以上)のカルボキシル基を有する化合物と、(c)不飽和モノカルボン酸とを、上記(a)成分に対する(b)成分と(c)成分の反応割合(反応混合物中の仕込み割合)が、それぞれの官能基のモル比で0.1≦(b)/(a)≦1及び0.1≦(c)/(a)≦10となるように重付加反応させることにより得られ、下記一般式(2)又は(3)で示される骨格構造単位を有する不飽和基含有多分岐化合物の水酸基に、さらに(d)多塩基酸無水物を、上記不飽和基含有多分岐化合物中のヒドロキシメチル基1化学当量に対して0.1〜1.0モルの割合で反応させて得られる不飽和基含有多分岐化合物。
    Figure 0004148781
    (式中、R は水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基を表わし、R は多官能オキセタン残基を表わし、R はポリカルボン酸残基を表わし、nは1以上の整数である。)
  4. (A)前記請求項1乃至のいずれか一項に記載の不飽和基含有多分岐化合物、及び(B)重合開始剤を必須成分とし、上記不飽和基含有多分岐化合物(A)100質量部に対し上記重合開始剤(B)を0.1〜30質量部の割合で含有することを特徴とする硬化性組成物。
  5. さらに(C)熱硬化性成分を、前記不飽和基含有多分岐化合物(A)100質量部に対して5〜100質量部の割合で含有することを特徴とする請求項に記載の硬化性組成物。
  6. 前記重合開始剤(B)が、光ラジカル重合開始剤又は熱ラジカル重合開始剤であり、前記不飽和基含有多分岐化合物(A)100質量部に対し、前記重合開始剤(B)を光ラジカル重合開始剤の場合には0.1〜30質量部、熱ラジカル重合開始剤の場合には0.1〜10質量部の割合で含有することを特徴とする請求項に記載の硬化性組成物。
  7. 前記熱硬化性成分(C)が、1分子中に2つ以上のオキシラン基及び/又はオキセタニル基を有する化合物であることを特徴とする請求項に記載の硬化性組成物。
  8. さらに硬化促進剤を、前記1分子中に2つ以上のオキシラン基及び/又はオキセタニル基を有する化合物のオキシラン基及び/又はオキセタニル基1モルに対して0.1〜25モル%の割合で含有することを特徴とする請求項に記載の硬化性組成物。
  9. 前記請求項又はに記載の硬化性組成物を活性エネルギー線照射及び/又は加熱により硬化させて得られる硬化物。
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