JP2009114337A - 多分岐硬化性樹脂及びその硬化物 - Google Patents

多分岐硬化性樹脂及びその硬化物 Download PDF

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Abstract

【課題】光カチオン重合、光ラジカル重合、熱硬化反応、又はこれらの併用により硬化可能であり、硬化反応系の選択に融通性多分岐硬化性樹脂及びその硬化物の提供。
【解決手段】多分岐硬化性樹脂は、(a)3官能エポキシ化合物と、(b)ジカルボン酸と、(c)エチレン性不飽和基を有するモノカルボン酸と、(d)1分子中に1つのカルボキシル基とオキセタニル基を有する化合物との重付加反応により得られ、分岐部が3官能エポキシ化合物残基からなる、特に下記一般式(1)で示される構造を有する多分岐硬化性樹脂が提供される。
Figure 2009114337

(式中、nは1以上の整数である。)
【選択図】なし

Description

本発明は、光カチオン重合、光ラジカル重合、熱硬化反応、又はこれらの併用により硬化可能な多分岐硬化性樹脂及びその硬化物に関する。
活性エネルギー線の照射による樹脂の硬化は、その硬化速度が速いこと、無溶剤であることなどから、金属塗装、木材コーティング、印刷インキ、電子材料などに広く利用されている。これらの分野において用いられる光硬化性組成物は、一般に、エチレン性不飽和二重結合を有するプレポリマー、重合性モノマー、及び光重合開始剤を必須成分としている。光硬化性成分として主に用いられる上記プレポリマーとしては、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、及びエポキシアクリレートが挙げられる。これらプレポリマーは、重合性の不飽和基を有しているので、活性エネルギー線の照射によりラジカルを発生する化合物(光重合開始剤)と混合することで架橋可能である。
しかしながら、これらラジカル重合性プレポリマーは、一般に分子量が小さく、活性エネルギー線の照射により瞬間的に硬化するため、塗膜中に残留応力が生じ、基材への密着性、機械的特性が低下する問題点があった。かかる問題点を解決するために、ラジカル重合性プレポリマーの高分子量化も検討されてはいるが、塗工可能な粘度に調整するためには多量の反応性希釈剤が必要であり、そのため、このような活性エネルギー線硬化性組成物は強靱性、機械的特性、耐薬品性などに乏しく、その用途は限定されているのが現状であった。
かかる問題点を解決するために、例えば、特許文献1(特開平11−193321号)には、分子中にアミノ基を含有する多分岐化合物が提案されている。この多分岐化合物は、高分子量でありながら溶液粘度が低いため、硬化性組成物を調製する際の低分子量成分の添加量が少なくてすむ利点があるが、分子中に電気特性を悪化させるアミノ基を含むこと、及び側鎖に化学修飾可能な置換基を持たないため、その用途は限定されている。
上記のような問題を解決するために、本出願人は、(a)分子中に2つ以上のエポキシ基を有する化合物と、(b)分子中に2つ以上(但し、上記(a)成分が2つのエポキシ基を有する化合物の場合、3つ以上)のカルボキシル基及び/又はフェノール性水酸基を有する化合物と、(c)不飽和モノカルボン酸又は少なくとも1つ以上の不飽和二重結合基を有する化合物との反応により得られる多分岐化合物、あるいは該多分岐化合物の水酸基にさらに(d)多塩基酸無水物を反応させて得られる、末端部に感光性の不飽和二重結合とカルボキシル基を有する多分岐構造を持つ不飽和基含有多分岐化合物を開発している(特許文献2参照)。
特開平11−193321号公報(特許請求の範囲) 国際公開WO 03/087186 A1号公報(特許請求の範囲)
多分岐硬化性樹脂(ハイパーブランチポリマー)は、多数の末端官能基を有し、対応する直鎖状高分子と比較して、溶液粘度が低く、非晶性であり、種々の有機溶媒に対して高い溶解性を示すことが知られている。しかしながら、従来の多分岐硬化性樹脂は、末端部に感光性の不飽和二重結合とカルボキシル基を有するものであるため、その硬化反応系が光ラジカル重合や熱硬化反応に限られ、他の硬化反応系を適用し難く、その使用の融通性が低いという問題があった。また、光硬化性・熱硬化性組成物の調製に当たっては、多分岐硬化性樹脂と光重合開始剤の他に、一般に熱硬化性成分としての多官能エポキシ樹脂やその硬化触媒がさらに添加され、後硬化の際に多分岐硬化性樹脂のカルボキシル基と多官能エポキシ樹脂のエポキシ基の熱硬化反応により架橋密度を上げ、得られる塗膜の機械的特性や耐熱性等の特性向上が図られている。しかしながら、この多官能エポキシ樹脂は反応性が高いために、これを含有する光硬化性・熱硬化性樹脂組成物は保存安定性が低く、例えば回路板ブランクへの塗布前に増粘し易いという難点がある。
本発明は、前記したような従来技術の問題を解消するためになされたものであり、光カチオン重合、光ラジカル重合、熱硬化反応、又はこれらの併用により硬化可能であり、硬化反応系の選択に融通性あると共に、光重合性基と熱硬化反応性基を有する対応する直鎖状高分子より優れた硬化反応性を示し、その硬化物は基材との密着性や耐熱性、硬度、耐薬品性、電気絶縁性、機械的特性等の諸特性に優れ、各種光硬化性組成物、熱硬化性組成物及び光硬化性・熱硬化性組成物の光硬化性成分及び/又は熱硬化性成分として有利に用いることができる多分岐硬化性樹脂及びその硬化物を提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、本発明によれば、分岐部が3官能エポキシ化合物残基からなり、末端にカルボキシル基、エチレン性不飽和基及びオキセタニル基を有することを特徴とする多分岐硬化性樹脂が提供される。
本発明のより具体的な態様によれば、(a)3官能エポキシ化合物と、(b)ジカルボン酸と、(c)エチレン性不飽和基を有するモノカルボン酸と、(d)1分子中に1つのカルボキシル基とオキセタニル基を有する化合物との重付加反応により得られ、分岐部が3官能エポキシ化合物残基からなり、末端にカルボキシル基、エチレン性不飽和基及びオキセタニル基を有することを特徴とする多分岐硬化性樹脂、特に下記一般式(1)で示される構造を有することを特徴とする多分岐硬化性樹脂が提供される。尚、本明細書において、「3官能エポキシ化合物」とは、分子中に3つのエポキシ基を有するエポキシ化合物を意味し、「ジカルボン酸」とは、分子中に2つのカルボキシル基を有する化合物を意味する。
Figure 2009114337
(式中、nは1以上の整数である。)
さらに本発明によれば、前記多分岐硬化性樹脂を、(A)光カチオン重合、(B)光ラジカル重合、(C)熱硬化反応、(D)光カチオン重合と光ラジカル重合の併用、(E)光カチオン重合と熱硬化反応の併用、(F)光ラジカル重合と熱硬化反応の併用、又は(G)光カチオン重合と光ラジカル重合及び熱硬化反応の併用により硬化させて得られる硬化物も提供される。
本発明の多分岐硬化性樹脂は、分岐部が3官能エポキシ化合物残基からなり、末端にカルボキシル基、エチレン性不飽和基及びオキセタニル基を有するため、光カチオン重合、光ラジカル重合、熱硬化反応、又はこれらの併用により硬化可能であり、硬化反応系の選択に融通性がある。従って、各種分野において光硬化性樹脂組成物、熱硬化性組成物及び光硬化性・熱硬化性組成物の光硬化性成分及び/又は熱硬化性成分として有利に用いることができると共に、1分子当たりの光重合性基と熱硬化反応性基の含有量が多いため、光重合性基と熱硬化反応性基を有する対応する直鎖状高分子より優れた硬化反応性を示す。特に、単独型硬化反応の場合よりも併用型硬化反応を採用することにより、硬化物の架橋密度を上げることができ、耐熱性、耐薬品性や機械的特性の向上を図ることができる。また、多数のカルボキシル基が存在するために、アルカリ水溶液に対して優れた溶解性を示し、アルカリ現像型の感光性樹脂として有用であり、エポキシ基の開環反応によって生成する水酸基の水素結合性によって、得られた硬化物は各種基材に対して優れた密着性を示す。さらに、エーテル結合及び/又はエステル結合を有する多分岐構造のため、硬化収縮が少なく、強度、伸び、靭性等の機械的特性に優れた硬化物を与える。また、多分岐構造のため、種々の溶媒に対する高い溶解性を示し、また溶液粘度を低下できるという特徴を有する。
本発明者らは、前記した課題を解決するために鋭意検討した結果、(a)3官能エポキシ化合物と、(b)ジカルボン酸と、(c)エチレン性不飽和基を有するモノカルボン酸と、(d)1分子中に1つのカルボキシル基とオキセタニル基を有する化合物との重付加反応により、分岐部が3官能エポキシ化合物残基からなり、末端にカルボキシル基、エチレン性不飽和基及びオキセタニル基を多数有する多分岐硬化性樹脂が得られ、この多分岐硬化性樹脂は前記したような優れた性質を有することを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
以下、本発明の多分岐硬化性樹脂の合成について詳細に説明する。
まず、本発明の多分岐硬化性樹脂は、反応促進剤の存在下、3官能エポキシ化合物(a)と、ジカルボン酸(b)と、エチレン性不飽和基を有するモノカルボン酸(c)と、1分子中に1つのカルボキシル基とオキセタニル基を有する化合物(d)の重付加反応により製造することができる。
例えば、3官能エポキシ化合物(a)をX、ジカルボン酸(b)をY、エチレン性不飽和基を有するモノカルボン酸(c)をT、1分子中に1つのカルボキシル基とオキセタニル基を有する化合物(d)をUで表わすと、例えば下記一般式(2)で示されるような多分岐構造のポリマーが得られる。
Figure 2009114337
上記一般式(2)に示されるように、3官能エポキシ化合物Xとジカルボン酸Yとの重付加反応により、分岐部が3官能エポキシ化合物残基からなる多分岐構造が得られる。その際、その末端部に位置する多数の3官能エポキシ化合物Xに、さらに、反応停止剤として、エチレン性不飽和基を有するモノカルボン酸T及び1分子中に1つのカルボキシル基とオキセタニル基を有する化合物Uのカルボキシル基がエポキシ基と反応するため、末端部には、ジカルボン酸Yのエポキシ基と反応せずに残存した一方のカルボキシル基と、末端部に位置する3官能エポキシ化合物Xのエポキシ基に、エチレン性不飽和基を有するモノカルボン酸Tが付加して導入されたエチレン性不飽和基と、1分子中に1つのカルボキシル基とオキセタニル基を有する化合物Uが付加して導入されたオキセタニル基が存在することになる。
この多分岐硬化性樹脂は、その末端に存在するエチレン性不飽和二重結合の存在により、光ラジカル重合が可能であり、しかも1分子当たりのエチレン性不飽和二重結合の含有量が多いため、短時間の活性エネルギー線の照射により速やかに硬化すると共に、不飽和二重結合の存在により熱ラジカルによる加熱硬化も可能である。また、末端に存在するオキセタニル基の存在により、光カチオン重合及び加熱硬化が可能である。さらに、末端に存在するカルボキシル基の存在により、アルカリ水溶液に可溶であると共に、カルボキシル基と反応し得る熱硬化性成分、例えば1分子中に少なくとも2つ以上のエポキシ基及び/又はオキセタニル基を有する多官能エポキシ化合物や多官能オキセタン化合物を添加することにより熱硬化させることができる他、多分岐硬化性樹脂自体が末端にカルボキシル基とオキセタニル基を有するため、これら多分岐硬化性樹脂同士を熱硬化させて架橋させることができる。
また、得られる多分岐硬化性樹脂は、エポキシ基の開環反応によって生成する二級水酸基を有するため、水酸基と反応し得る硬化剤(例えば、イソシアネート類)の添加により加熱硬化も可能であり、かつ、二級水酸基の水素結合性によって、得られる硬化物は各種基材に対して優れた密着性を示す。さらに、エーテル結合及び/又はエステル結合を有する多分岐構造のため、これを硬化性成分として含有する組成物は、硬化収縮が少なく、強度、靭性等の機械的特性や耐熱性に優れた硬化物を与える。また、多分岐構造のため、同じ分子量の線状ポリマーと比較すると、分子同士の絡み合いがなくなるため、種々の溶媒に対する高い溶解性を示し、また溶液粘度を低下できるという特徴を有する。その結果、溶剤量を低減することが可能となり、さらに合成時のモノマー選択に自由度があり、結晶性が高いモノマーでも骨格内に取りこむことによって溶解性が向上し、成膜性も良好になる。
従って、本発明の多分岐硬化性樹脂は、前記したような優れた特性を有するため、種々の分野において光硬化性成分及び/又は熱硬化性成分として有利に用いることができる。
前記の構造を具体的な化合物を用いてより具体的に説明すると、例えば、3官能エポキシ化合物(a)として1,3,5−トリスグリシジルオキシベンゼン(略号TGOB)を用い、ジカルボン酸(b)として3,3−ビス(4−カルボキシフェニルオキシメチル)オキセタン(略号CPOMO)、エチレン性不飽和基を有するモノカルボン酸(c)としてメタクリル酸(略号MAA)、1分子中に1つのカルボキシル基とオキセタニル基を有する化合物(d)として3−カルボキシ−3−エチルオキセタン(略号CEO)を用い、触媒としてテトラブチルアンモニウムブロミド(略号TBAB)を用いて反応を行った場合、例えば下記一般式(3)で示されるような骨格構造単位を有する多分岐硬化性樹脂が得られる。
Figure 2009114337
(式中、nは1以上の整数であり、その上限は所望の分子量に応じて適宜制御できる。)
前記反応は、3官能エポキシ化合物(a)と、ジカルボン酸(b)と、エチレン性不飽和基を有するモノカルボン酸(c)と、1分子中に1つのカルボキシル基とオキセタニル基を有する化合物(d)とを一括して混合し、反応させる方法(一段階合成)と、3官能エポキシ化合物(a)とジカルボン酸(b)の重付加反応終了後に、エチレン性不飽和基を有するモノカルボン酸(c)と、1分子中に1つのカルボキシル基とオキセタニル基を有する化合物(d)を添加して反応させる方法(逐次合成)のいずれも可能である。しかしながら、作業性を考慮すると、3官能エポキシ化合物(a)と、ジカルボン酸(b)と、エチレン性不飽和基を有するモノカルボン酸(c)と、1分子中に1つのカルボキシル基とオキセタニル基を有する化合物(d)の4成分を一括して混合して反応させる一段階合成方法が好ましい。また、反応は、大気中でも行なうことができるが、酸素による重合阻害を防止するために、不活性雰囲気下、例えば窒素雰囲気下で行なうことが好ましい。
前記反応において、3官能エポキシ化合物(a)とジカルボン酸(b)との割合(反応混合物中の仕込み割合)は、それぞれの官能基のモル比で0.7≦[ジカルボン酸のカルボキシル基のモル数]/[3官能エポキシ化合物のエポキシ基のモル数]≦1の範囲が好ましく、より好ましくは0.8≦[ジカルボン酸のカルボキシル基のモル数]/[3官能エポキシ化合物のエポキシ基のモル数]≦1.0の範囲である。上記当量比が0.7未満であると、生成する多分岐硬化性樹脂中へのカルボキシル基の導入量が少なくなるので好ましくない。一方、上記当量比が1を超えると、重付加反応において重合末端がカルボキシル基となり易いため、引き続くエチレン性不飽和基を有するモノカルボン酸(c)及びカルボキシル基とオキセタニル基を有する化合物(d)の付加反応が進行し難く、重合性基(エチレン性不飽和基とオキセタニル基)の導入が困難となるため好ましくない。すなわち、3官能エポキシ化合物(a)の官能基がジカルボン酸(b)の官能基(カルボキシル基)よりも過剰となるようにして反応させることにより、末端部にエポキシ基が位置するようにし、これにエチレン性不飽和基を有するモノカルボン酸(c)と1分子中に1つのカルボキシル基とオキセタニル基を有する化合物(d)が付加して多量の重合性基(エチレン性不飽和基とオキセタニル基)を導入することができる。反応時間や反応温度等の反応条件を変えることにより、また、前記した当量比の範囲内においてジカルボン酸(b)の使用量を制御することにより、生成する多分岐化合物の分子量及び分岐状態をある程度制御することが可能となる。
さらに、3官能エポキシ化合物(a)に対するエチレン性不飽和基を有するモノカルボン酸(c)及び1分子中に1つのカルボキシル基とオキセタニル基を有する化合物(d)の割合(反応混合物中の仕込み割合)は、それぞれの官能基のモル比で、0.1≦[化合物(c)又は(d)のカルボキシル基のモル数]/[3官能エポキシ化合物のエポキシ基のモル数]≦1.0の範囲が好ましく、より好ましくは0.2≦[化合物(c)又は(d)のカルボキシル基のモル数]/[3官能エポキシ化合物のエポキシ基のモル数]≦0.5の範囲である。エチレン性不飽和基を有するモノカルボン酸(c)及び1分子中に1つのカルボキシル基とオキセタニル基を有する化合物(d)の使用量や反応方法(一段階方法か逐次方法か)を制御することにより、導入される重合性基(エチレン性不飽和基とオキセタニル基)の割合や分子量を制御することが可能となる。
このようにして、種々の分子量の多分岐硬化性樹脂を合成することができる。得られる多分岐硬化性樹脂の分子量は、前記各成分(a)〜(d)の配合割合や、反応時間、反応温度等の反応条件を変えることにより任意に制御でき、特定の範囲に限定されないが、一般に、数平均分子量Mnは1000〜20000、好ましくは1500〜15000の範囲が適当であり、また、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比である分子量分布Mw/Mnは、1.2〜10、好ましくは1.3〜6の範囲が適当である。
本発明に用いられる3官能エポキシ化合物(a)の代表例としては、例えば、前記した1,3,5−トリスグリシジルオキシベンゼンの他、ナガセケムテックス(株)製;デナコールEX−301、ダイセル化学(株)製;エポリードGT400、日産化学工業(株)製;TEPIC−Sなど1分子中に3つのエポキシ基を有する化合物であれば特に制限は無く、公知慣用のエポキシ樹脂を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に用いられるジカルボン酸(b)としては、例えば、前記した3,3−ビス(4−カルボキシフェニルオキシメチル)オキセタンの他、下記一般式(4)で示されるジカルボン酸類が挙げられる。
Figure 2009114337
式中、Rはジカルボン酸残基であり、炭素数2〜20の直鎖又は分岐状の飽和又は不飽和脂肪族アルキル基、アルキル置換もしくは非置換シクロヘキサン基、アルキル置換もしくは非置換シクロヘキセン基、アルキル置換もしくは非置換シクロヘキサジエン基、アルキル置換もしくは非置換フェニレン基、ナフタレン基、アントラセン基、下記一般式(5)で示される基などが挙げられる。
Figure 2009114337
(式中、Rは、−O−、−S−、−CH−、−NH−、−SO−、−CH(CH)−、−C(CH−、又は−C(CF−を表わす。)
前記エチレン性不飽和基を有するモノカルボン酸(c)としては、分子中に重合性のエチレン性不飽和結合とカルボキシル基を併せ持つ化合物であれば公知のものが使用可能である。具体的な例としては、アクリル酸、メタクリル酸、ケイ皮酸、クロトン酸、ソルビン酸、α−シアノケイ皮酸、β−スチリルアクリル酸等が挙げられる。また、二塩基酸無水物と水酸基を有する(メタ)アクリレート類とのハーフエステルを用いてもよい。具体的には、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、マレイン酸、コハク酸等の酸無水物と、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート類とのハーフエステルなどが挙げられる。さらに、これらの化合物に、ε−カプロラクトンなどのラクトンモノマーを付加した化合物なども挙げられる。これらのエチレン性不飽和基を有するモノカルボン酸(c)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。なお、本明細書中において、(メタ)アクリレートとはアクリレートとメタクリレートを総称する用語であり、他の類似の表現についても同様である。
前記1分子中に1つのカルボキシル基とオキセタニル基を有する化合物(d)としては、例えば、前記した3−カルボキシ−3−エチルオキセタンの他、3−カルボキシオキセタン、3−カルボキシ−3−メチルオキセタン、3−カルボキシ−3−n−プロピルオキセタン、3−カルボキシ−3−イソプロピルオキセタン、3−カルボキシ−3−n−ブチルオキセタン、3−カルボキシ−3−sec−ブチルオキセタン、3−カルボキシ−3−t−ブチルオキセタン、3−カルボキシ−3−n−ペンチルオキセタン、3−カルボキシ−3−イソペンチルオキセタン、3−カルボキシ−3−ネオペンチルオキセタン、3−カルボキシ−3−n−ヘキシルオキセタン、3−カルボキシ−3−イソヘキシルオキセタンなどが挙げられる。これらの中でも、3−カルボキシオキセタン、3−カルボキシ−3−メチルオキセタン、3−カルボキシ−3−エチルオキセタンが好ましい。
前記多分岐硬化性樹脂の合成に使用する反応促進剤としては、三級アミン、三級アミン塩、四級オニウム塩、三級ホスフィン、クラウンエーテル錯体、又はホスホニウムイリドの中から任意に選択することが可能であり、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
三級アミンとしては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン)、DBN(1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノナ−5−エン)、DABCO(1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン)、ピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジンなどが挙げられる。
三級アミン塩としては、例えば、サンアプロ(株)製のU−CATシリーズなどが挙げられる。
四級オニウム塩としては、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、アルソニウム塩、スチボニウム塩、オキソニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、スタンノニウム塩、ヨードニウム塩等が挙げられる。特に好ましいものは、アンモニウム塩及びホスホニウム塩である。アンモニウム塩の具体例としては、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロライド(TBAC)、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド(TBAB)、テトラ−n−ブチルアンモニウムアイオダイド(TBAI)等のテトラ−n−ブチルアンモニウムハライドや、テトラ−n−ブチルアンモニウムアセテート(TBAAc)などが挙げられる。ホスホニウム塩の具体例としては、テトラ−n−ブチルホスホニウムクロライド(TBPC)、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロミド(TBPB)、テトラ−n−ブチルホスホニウムイオダイド(TBBI)等のテトラ−n−ブチルホスホニウムハライド、テトラフェニルホスホニウムクロライド(TPPC)、テトラフェニルホスホニウムブロミド(TPPB)、テトラフェニルホスホニウムイオダイド(TPPI)等のテトラフェニルホスホニウムハライドや、エチルトリフェニルホスホニウムブロミド(ETPPB)、エチルトリフェニルホスホニウムアセテート(ETPPAc)などが挙げられる。
三級ホスフィンとしては、炭素数1〜12のアルキル基、又はアリール基を有する、三価の有機リン化合物であればよい。具体例としては、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィンなどが挙げられる。
さらに、三級アミン又は三級ホスフィンと、カルボン酸あるいは酸性の強いフェノールとの付加反応により形成される四級オニウム塩も反応促進剤として使用可能である。これらは、反応系に添加する前に四級塩を形成するか、もしくはそれぞれを別に添加して反応系中で四級塩形成を行なわせるいずれの方法でもよい。具体的には、トリブチルアミンと酢酸より得られるトリブチルアミン酢酸塩、トリフェニルホスフィンと酢酸より形成されるトリフェニルホスフィン酢酸塩などが挙げられる。
また、クラウンエーテル錯体の具体例としては、12−クラウン−4、15−クラウン−5、18−クラウン−6、ジベンゾ18−クラウン−6、21−クラウン−7、24−クラウン−8等のクラウンエーテル類と、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウムなどのアルカリ金属塩との錯体が挙げられる。
ホスホニウムイリドとしては、ホスホニウム塩と塩基との反応により得られる化合物であれば公知のものが使用可能であるが、取扱いの容易さから安定性の高いものの方が好ましい。具体的な例としては、(ホルミルメチレン)トリフェニルホスフィン、(アセチルメチレン)トリフェニルホスフィン、(ピバロイルメチレン)トリフェニルホスフィン、(ベンゾイルメチレン)トリフェニルホスフィン、(p−メトキシベンゾイルメチレン)トリフェニルホスフィン、(p−メチルベンゾイルメチレン)トリフェニルホスフィン、(p−ニトロベンゾイルメチレン)トリフェニルホスフィン、(ナフトイル)トリフェニルホスフィン、(メトキシカルボニル)トリフェニルホスフィン、(ジアセチルメチレン)トリフェニルホスフィン、(アセチルシアノ)トリフェニルホスフィン、(ジシアノメチレン)トリフェニルホスフィンなどが挙げられる。
これら反応促進剤の使用量は、3官能エポキシ化合物(a)のエポキシ基1モルに対して約0.1〜25モル%の割合であることが望ましく、さらに好ましくは0.5〜20モル%の割合であり、より好ましくは1〜15モル%の割合である。反応促進剤の使用量がエポキシ基1モルに対して0.1モル%よりも少ない割合の場合、実用的な速度で反応が進行し難く、一方、25モル%を超えて多量に存在しても顕著な反応促進効果は見られないため、経済性の点で好ましくない。
前記多分岐硬化性樹脂の合成反応の温度としては、約50〜200℃の範囲が望ましく、さらに好ましくは70〜130℃である。反応温度が50℃よりも低い場合には、反応が進行し難くなるので好ましくない。一方、200℃を超えた場合には、生成物の二重結合が反応して熱重合を生じ易くなり、また低沸点のエチレン性不飽和基を有するモノカルボン酸が蒸発するので好ましくない。反応時間は、原料の反応性、反応温度に応じて適時選択すればよいが、約5〜72時間が好適である。
前記反応は無溶剤下でも進行するが、反応時の攪拌効率を改善するために希釈剤の存在下で行なうことも可能である。用いる希釈剤としては反応温度を維持できるものであれば特に限定されないが、好ましくは原料を溶解するものが良い。また、合成時の希釈剤として有機溶剤を用いた場合は、減圧蒸留などの公知の方法にて溶媒を除去してもよい。
有機溶剤は、反応に悪影響を与えず、反応温度を維持できるものであれば公知のものが使用できる。具体的には、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルなどのアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのグリコールエステル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ヘキサメチルリン酸トリアミドなどのアミド類;トルエン、キシレンなどの炭化水素類が挙げられる。
前記のようにして得られた本発明の多分岐硬化性樹脂(1種類又は2種類以上の混合物)は、重合開始剤としての光ラジカル重合開始剤もしくは光カチオン重合開始剤及び/又は熱ラジカル重合開始剤もしくは熱カチオン重合開始剤と混合し、あるいはさらに必要に応じて希釈剤としての前記したような有機溶剤や後述するような反応性希釈剤を混合することにより、光硬化性及び/又は熱硬化性の組成物が得られ、紫外線又は電子線などの活性エネルギー線の照射により速やかに硬化し、あるいはさらに加熱によって硬化し、基材との密着性、機械的特性、耐薬品性等に優れた硬化物を形成することができる。
光ラジカル重合開始剤としては、活性エネルギー線の照射によりラジカルを発生する公知の化合物が使用可能であり、その具体例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾインとそのアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、4−(1−t−ブチルジオキシ−1−メチルエチル)アセトフェノン等のアセトフェノン類;2−メチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン等のアントラキノン類;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン、4−(1−t−ブチルジオキシ−1−メチルエチル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラキス(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;2−メチルチオ−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアミノアセトフェノン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルホスフィンオキシド等のアルキルホスフィン類;9−フェニルアクリジン等のアクリジン類などが挙げられる。
光カチオン重合開始剤としては、光によりカチオン種を発生する公知の化合物が使用可能であり、例えばジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、ブロモニウム塩、クロロニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、ピリリウム塩、チアピリリウム塩、ピリジニウム塩等のオニウム塩;トリス(トリハロメチル)−s−トリアジン及びその誘導体等のハロゲン化化合物;スルホン酸の2−ニトロベンジルエステル;イミノスルホナート;1−オキソ−2−ジアゾナフトキノン−4−スルホナート誘導体;N−ヒドロキシイミド=スルホナート;トリ(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン誘導体;ビススルホニルジアゾメタン類;スルホニルカルボニルアルカン類;スルホニルカルボニルジアゾメタン類;ジスルホン化合物等が挙げられる。
これらの光ラジカル重合開始剤もしくは光カチオン重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの光ラジカル重合開始剤もしくは光カチオン重合開始剤の配合量は、前記多分岐硬化性樹脂(1種類又は2種類以上の混合物)100質量部当り0.1〜30質量部の割合が好ましい。光ラジカル重合開始剤もしくは光カチオン重合開始剤の配合量が上記範囲よりも少ない場合、活性エネルギー線の照射を行なっても硬化しないか、もしくは照射時間を増やす必要があり、適切な塗膜物性が得られ難くなる。一方、上記範囲よりも多量に光ラジカル重合開始剤もしくは光カチオン重合開始剤を添加しても、硬化性に変化は無く、経済的に好ましくない。
また、活性エネルギー線による硬化を促進させるために、硬化促進剤及び/又は増感剤を上記のような光ラジカル重合開始剤もしくは光カチオン重合開始剤と併用してもよい。使用し得る硬化促進剤としては、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノール、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート等の三級アミン類;β−チオジグリコール等のチオエーテル類などが挙げられる。増感剤としては、(ケト)クマリン、チオキサンテン等の増感色素類;及びシアニン、ローダミン、サフラニン、マラカイトグリーン、メチレンブルー等の色素のアルキルホウ酸塩などが挙げられる。これらの硬化促進剤及び/又は増感剤は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。その使用量は、前記多分岐硬化性樹脂(1種類又は2種類以上の混合物)100質量部当り0.1〜30質量部の割合が好ましい。
前記熱ラジカル重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等の有機過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジバレロニトリル、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、1’−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレイト、4,4’−アゾビス−4−シアノバリックアシツド、2−メチル−2,2’−アゾビスプロパンニトリル等のアゾ系開始剤などが挙げられ、より好ましいものとしてはノンシアン、ノンハロゲンタイプの1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)が挙げられる。
前記熱カチオン重合開始剤の具体例としては、例えばサンエイドSI−45、SI−47、SI−60、SI−60L、SI−80、SI−80L、SI−100、SI−100L、SI−145、SI−150、SI−160、SI−110L、SI−180L(以上、三新化学工業(株)製の商品名)、CI−2920、CI−2921、CI−2946、CI−3128、CI−2624、CI−2639、CI−2064(以上、日本曹達(株)製の商品名)、CP−66、CP−77(以上、旭電化工業(株)製の商品名)、FC−520(3M(株)製の商品名)、カヤエステルO−50(化薬アクゾ(株)製の商品名)等が挙げられる。
熱ラジカル重合開始剤もしくは熱カチオン重合開始剤は、前記多分岐硬化性樹脂(1種類又は2種類以上の混合物)100質量部当り0.1〜10質量部、好ましくは0.5〜5質量部の割合で用いられる。
また、熱ラジカル重合開始剤として有機過酸化物のうち硬化速度の小さいものを用いる場合には、トリブチルアミン、トリエチルアミン、ジメチル−p−トルイジン、ジメチルアニリン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン等の三級アミン、あるいはナフテン酸コバルト、オクトエ酸コバルト、ナフテン酸マンガン等の金属石鹸を促進剤として用いることができる。
また、前記多分岐硬化性樹脂(1種類又は2種類以上の混合物)及び重合開始剤と共に、必要に応じて、反応性希釈剤として公知の単官能(メタ)アクリレート類及び/又は多官能(メタ)アクリレート類などの光重合性モノマーを添加することにより、光硬化性を向上させることができ、さらに、熱硬化性成分、例えば1分子中に少なくとも2つ以上のエポキシ基及び/又はオキセタニル基を有する化合物、あるいはさらに硬化促進剤を必要に応じて混合することにより、光硬化性・熱硬化性組成物が得られる。該組成物には、さらに必要に応じて硫酸バリウム、シリカ、タルク、クレー、炭酸カルシウムなどの公知慣用の充填剤、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、カーボンブラックなどの公知慣用の着色顔料、消泡剤、密着付与剤、レベリング剤などの各種添加剤を加えてもよい。
このようにして得られた硬化性組成物もしくは光硬化性・熱硬化性組成物を、例えばプリント配線板等に使用する場合には、希釈剤の添加により粘度を調整した後、スクリーン印刷法、カーテンコーティング法、ロールコーティング法、ディップコーティング法、及びスピンコーティング法などの塗布方法により塗布し、例えば約60〜120℃の温度で仮乾燥することで組成物中に含まれる有機溶剤を除去し、塗膜を形成する。ドライフィルムの形態にある場合には、そのままラミネートすればよい。その後、所定の露光パターンを形成したフォトマスクを通して選択的に活性エネルギー線により、又は直接描画法により露光し、未露光部をアルカリ水溶液により現像してパターン皮膜を形成できる。さらに、上記露光・現像後に約140〜200℃の温度で加熱して熱硬化させることにより、基材との密着性、機械的特性、耐熱性、電気絶縁性、耐薬品性、耐クラック性等の諸特性に優れた硬化皮膜が形成できる。またさらには、熱硬化前又は後にポストUV硬化を行なうことにより、諸特性をさらに向上させることができる。
前記硬化性組成物もしくは光硬化性・熱硬化性組成物を硬化させるための照射光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプなどが適当である。また、レーザー光線なども露光用活性光源として利用できる。その他、電子線、α線、β線、γ線、X線中性子線なども利用可能である。また、現像に用いるアルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、珪酸ナトリウム、アンモニア、有機アミン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキシドなどの水溶液が使用できる。現像液中のアルカリの濃度は概ね0.1〜5wt%であればよい。現像方式はディップ現像、パドル現像、スプレー現像などの公知の方法を用いることができる。
以下に実施例を示して本発明についてより具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものでないことはもとよりである。なお、以下において「部」及び「%」とあるのは、特に断わりのない限り、全て質量基準である。
実施例1
3,3−ビス(4−カルボキシフェニルオキシメチル)オキセタン(以下、CPOMOと略記する)と1,3,5−トリスグリシジルオキシベンゼン(以下、TGOBと略記する)と、メタクリル酸(以下、MMAと略記する)と、3−カルボキシ−3−エチルオキセタン(以下、CEOと略記する)との重付加反応を、触媒としてテトラブチルアンモニウムブロミド(以下、TBABと略記する)を用い、N−メチルピロリドン(以下、NMPと略記する)中、窒素雰囲気下、90℃、18時間の条件で行った。反応式は前記式(3)に示すとおりである。その結果、Mn=5200、Mw/Mn=2.21の多分岐硬化性樹脂(HBP−OX−MA−CA)が収率80%で得られた(下記表1のRun No.5に対応)。
得られた多分岐硬化性樹脂の構造確認は、IRスペクトル及びH−NMRにて行った。得られた多分岐硬化性樹脂のIRスペクトルを図1に、H−NMRスペクトルを図2に示す。IRスペクトルにより、エステル結合のνC=O及びνC−O−Cの伸縮振動に起因する吸収ピークをそれぞれ1713cm−1と1252cm−1、1170cm−1に確認し、さらに、3400cm−1付近にオキシラン環の開環により生じたνOHの伸縮振動に起因する吸収ピーク、オキセタンのνC−O−Cの伸縮振動に起因する979cm−1の吸収ピーク、メタクリロイル基のνC=Cの伸縮振動に起因する1637cm−1の吸収ピークを確認した(図1参照)。また、H−NMRスペクトルにおいて、オキセタンのメチレンプロトンに起因するシグナルを4.25〜4.36ppmに確認した。さらに、1.87ppmにメタクリロイル基のメチルプロトン、5.69ppmと6.06ppm付近にメタクリロイル基のビニルプロトンに起因するシグナルを確認した(図2参照)。以上のことから、末端にカルボキシル基(以下、CAと略記する)、メタクリロイル基(以下、MAと略記する)、及びオキセタニル基(以下、OXと略記する)を有する多分岐硬化性樹脂(HBP−OX−MA−CA)が得られたことが判明した。
実施例2(CPOMOとTGOBとMAAとCEOとの重付加反応によるモノマーの仕込み比及び反応時間効果)
CPOMOとTGOBとMAAとCEOとの重付加反応を、触媒として5モル%のTBABを用い、NMP中、90℃、18時間の条件で、種々の仕込み比で検討した。その結果を表1に示す。
Figure 2009114337
上記表1に示されるように、それぞれの官能基の総量を当量に調節して重付加反応を行った場合、得られたポリマーの末端はエポキシ基(EP)、メタクリロイル基(MA)、オキセタニル基(OX)の多分岐硬化性樹脂がMn=2620〜5020、収率=69〜80%で得られた(Run No.1〜3)。このことは、基本的に全てのカルボキシル基がエポキシ基と反応したことを示唆している。次に、末端にカルボキシル基が残存する多分岐硬化性樹脂の合成を目的として、エポキシ基に対してカルボキシル基の量を過剰にして反応を行った。仕込み比、CPOMO/TGOB/MAA/CEO=1.0/1.2/0.3/0.3で行った場合、Mn=4870のハイブリッド型多分岐硬化性樹脂(HBP−OX−MA−CA)が78%の収率で得られた(Run No.4)。得られたポリマーの末端官能基の比率をH−NMRで測定した結果、メタクリロイル基(MA)/オキセタニル基(OX)/カルボキシル基(CA)/エポキシ基(EP)=1.0/1.4/0.7/0であることが判明した。さらに、仕込み比、CPOMO/TGOB/MAA/CEO=1.2/1.2/0.3/0.3で行った場合、Mn=5200、MA/OX/CA/EP=1.0/1.4/1.5/0の多分岐硬化性樹脂(HBP−OX−MA−CA)が80%の収率で得られた(Run No.5)。
実施例3
前記実施例1で合成した多分岐硬化性樹脂(HBP−OX−MA−CA)のワニス(NMP中、濃度30質量%)について、各開始剤又は反応促進剤を添加した後、テフロン板に15μmの厚さで塗布して70℃20分で乾燥し、以下の硬化反応を検討した。その硬化反応は、(A)光カチオン重合(光カチオン重合開始剤として、アデカ(株)製SP−150を上記ワニス100質量部に対して3質量部添加、超高圧水銀灯にて5000mJ/cmの積算光量)、(B)光ラジカル重合(光ラジカル重合開始剤として、チバ・ジャパン(株)製イルガキュア907を上記ワニス100質量部に対して1質量部添加、超高圧水銀灯にて5000mJ/cmの積算光量)、(C)熱硬化反応(反応促進剤として、テトラフェニルホスホニウムイオダイド(TPPI)を上記ワニス100質量部に対して1質量部添加、180℃×120分)、(D)上記と同じ条件での光カチオン重合と光ラジカル重合の併用、(E)上記と同じ条件での光カチオン重合と熱硬化反応の併用、(F)上記と同じ条件での光ラジカル重合と熱硬化反応の併用、(G)上記と同じ条件での光カチオン重合と光ラジカル重合及び熱硬化反応の併用による硬化反応で行った。その結果、いずれの硬化反応も速やかに進行し、対応する硬化物が得られることが判明した。
さらに、得られた硬化物のガラス転移点Tgを測定した。その結果を下記表2に示す。
Figure 2009114337
上記表2に示される結果から明らかなように、得られた硬化物のガラス転移点Tgは、単独型硬化反応の場合よりも併用型硬化反応の場合の方が高くなることが判明した。このことは、併用型硬化反応により、硬化物の架橋密度が高くなることを示している。
本発明の多分岐硬化性樹脂は、光カチオン重合、光ラジカル重合、熱硬化反応、又はこれらの併用により硬化可能であり、硬化反応系の選択に融通性がある。従って、接着剤、コーティング剤、プリント配線板の製造時に使用されるソルダーレジスト、エッチングレジスト、ビルドアップ基板用層間絶縁材、メッキレジスト、ドライフィルムなど、広範囲の利用分野において、光硬化性組成物、熱硬化性組成物及び光硬化性・熱硬化性組成物の光硬化性成分及び/又は熱硬化性成分としての利用が期待できる。
実施例1で製造された多分岐硬化性樹脂のIRスペクトルを示すグラフである。 実施例1で製造された多分岐硬化性樹脂のH−NMRスペクトル(溶媒CDCl)を示すグラフである。

Claims (4)

  1. 分岐部が3官能エポキシ化合物残基からなり、末端にカルボキシル基、エチレン性不飽和基及びオキセタニル基を有することを特徴とする多分岐硬化性樹脂。
  2. (a)3官能エポキシ化合物と、(b)ジカルボン酸と、(c)エチレン性不飽和基を有するモノカルボン酸と、(d)1分子中に1つのカルボキシル基とオキセタニル基を有する化合物との重付加反応により得られ、分岐部が3官能エポキシ化合物残基からなり、末端にカルボキシル基、エチレン性不飽和基及びオキセタニル基を有することを特徴とする多分岐硬化性樹脂。
  3. 下記一般式(1)で示される構造を有し、分岐部が3官能エポキシ化合物残基からなり、末端にカルボキシル基、エチレン性不飽和基及びオキセタニル基を有することを特徴とする多分岐硬化性樹脂。
    Figure 2009114337
    (式中、nは1以上の整数である。)
  4. 前記請求項1乃至3のいずれか一項に記載の多分岐硬化性樹脂を、(A)光カチオン重合、(B)光ラジカル重合、(C)熱硬化反応、(D)光カチオン重合と光ラジカル重合の併用、(E)光カチオン重合と熱硬化反応の併用、(F)光ラジカル重合と熱硬化反応の併用、又は(G)光カチオン重合と光ラジカル重合及び熱硬化反応の併用により硬化させて得られる硬化物。
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