JP4960135B2 - 含硫黄多分岐化合物及び不飽和基含有多分岐化合物 - Google Patents

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Description

本発明は、新規な含硫黄多分岐化合物、不飽和基含有多分岐化合物、並びにそれを含有する硬化性組成物及びその硬化物に関する。
UV硬化性樹脂は、熱硬化性樹脂とは異なり、加熱処理過程を必要としないことと、有機溶剤の使用を抑えることが可能なことから、省エネルギー、環境保全、生産性の向上が期待できる。従来のUV硬化性樹脂は、塗料、印刷用インキ、接着剤、観光性ドライフィルム等に応用されてきた。近年、さらにその用途の拡大が期待され、半導体、光ファイバー用コート材、光導波路等、エレクトロニクス分野の応用が期待されている。
その中で、アクリル酸エステル構造を有するウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート等のアクリル系(ラジカル重合系)樹脂が、UV硬化性樹脂として最も多量に用いられている。これらは、光硬化性や硬化物性に優れ、原料の供給が安定し、価格も比較的低価格である。しかし、問題点として、高い粘度、硬化時の体積収縮、酸素による硬化阻害を受けやすいことが挙げられる。
一方、高分子材料の屈折率を高めるには、分極率を高めることが一般的な手法である。分極率を高める要素として高分子鎖中にベンゼン環、フッ素以外のハロゲン原子、硫黄原子等を導入する手法が検討されている。しかし、分極率を高めると高分子鎖の配向を乱すために複屈折率が高くなる。
そこで、これらの課題を解決する新しい機能性材料の開発が求められている。
多分岐構造を有する多分岐化合物は同一直鎖状高分子に比べ溶融粘度が小さく、有機溶剤に対し高い溶解性を示し、非晶性であることが知られている。また、一段階で容易に合成可能なことから工業的な見地からも大変有用である。さらに、末端反応性基を多く有することから機能化が可能である(非特許文献1)。
本発明者らは、オキセタン化合物とトリカルボン酸との反応による多分岐ポリエステルの合成を行い、この多分岐ポリエステルのオキセタニル基と、メタクリル酸を反応させて得られた不飽和基含有多分岐化合物は活性エネルギー線照射により速やかに硬化することを報告している。さらに多塩基酸無水物を反応させて得られた不飽和基含有多分岐化合物は、アルカリ可溶性であることを報告している(特許文献1)。
特開2002−3585号公報 B.Voit,J.Polym.Sci.,PartA.,38,2505(2000)
本発明の目的は、光学材料等に好適な、含硫黄多分岐化合物、不飽和基含有多分岐化合物、それを含有する硬化性組成物及びその硬化物を提供することにある。
本発明によれば、以下の含硫黄多分岐化合物、不飽和基含有多分岐化合物、それを含有する硬化性組成物及びその硬化物等が提供される。
1.(a)分子中にx個(xは2以上)のオキセタン環を有する化合物と、(b)分子中にy個(yは2以上、但しxが2のときyは3以上)のチオール基を有する化合物との反応により得られる含硫黄多分岐化合物。
2.下記一般式(1)又は(2)で示される構造単位を有する1記載の含硫黄多分岐化合物。
Figure 0004960135
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、Rは化合物(a)のポリオキセタン残基を表し、Rは化合物(b)のポリチオール残基を表わし、nは1以上の整数である。)
3.前記一般式(1)又は(2)において、末端基は水素原子、又は下記一般式(4−1)〜(7)で示される基の少なくとも一種である2記載の含硫黄多分岐化合物。
Figure 0004960135
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、Rは化合物(a)のポリオキセタン残基を表し、Rは化合物(b)のポリチオール残基を表わす。)
4.1記載の含硫黄多分岐化合物に、さらに(メタ)アクリル酸無水物を反応させて得られる不飽和基含有多分岐化合物。
5.下記一般式(1)又は(2)で示される構造単位を有する4記載の不飽和基含有多分岐化合物。
Figure 0004960135
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、Rは化合物(a)のポリオキセタン残基を表し、Rは化合物(b)のポリチオール残基を表わし、nは1以上の整数である。)
6.前記一般式(1)又は(2)において、末端基は水素原子、又は下記一般式(3)〜(7)で示される基の少なくとも一種である5記載の不飽和基含有多分岐化合物。
Figure 0004960135
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、Rは化合物(a)のポリオキセタン残基を表し、Rは化合物(b)のポリチオール残基を表わし、R、R及びRは、それぞれ水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、アリール基、アラルキル基又はシアノ基を表し、Wは水素原子又は一般式(3)で示される基を表わす。)
7.(A)4〜6のいずれか記載の不飽和基含有多分岐化合物、及び(B)重合開始剤を含有する硬化性組成物。
8.前記重合開始剤(B)が、光ラジカル重合開始剤及び/又は熱ラジカル重合開始剤である7記載の硬化性組成物。
9.前記不飽和基含有多分岐化合物(A)100質量部に対し、前記重合開始剤(B)を0.1〜30質量部含有する7又は8記載の硬化性組成物。
10.さらに(C)熱硬化性成分を含有する7〜9のいずれか記載の硬化性組成物。
11.前記熱硬化性成分(C)が、1分子中に2つ以上のオキシラン基及び/又はオキセタニル基を有する化合物である10記載の硬化性組成物。
12.前記不飽和基含有多分岐化合物(A)100質量部に対し、前記熱硬化性成分(C)を5〜100質量部含有する10又は11記載の硬化性組成物。
13.さらに希釈剤を含有する7〜12のいずれか記載の硬化性組成物。
14.7〜13のいずれか記載の硬化性組成物を活性エネルギー線照射及び/又は加熱により硬化させて得られる硬化物。
15.14記載の硬化物からなり、屈折率が1.5〜1.9である光学材料。
16.15記載の光学材料を用いた光導波路。
17.15記載の光学材料を用いた光学レンズ。
18.15記載の光学材料を用いた光学用封止材。
19.15記載の光学材料を用いた光学用接着剤。
20.15記載の光学材料を用いた光学フィルム。
21.20記載の光学フィルムを用いた液晶表示装置。
本発明によれば、光学材料等に好適な含硫黄多分岐化合物、不飽和基含有多分岐化合物、それを含有する硬化性組成物及びその硬化物を提供することができる。
本発明の含硫黄多分岐化合物は、(a)分子中にx個(xは2以上)のオキセタン環を有する化合物(以下、多官能オキセタン化合物という場合がある)と、(b)分子中にy個(yは2以上、但しxが2のときyは3以上)のチオール基を有する化合物(以下、多官能チオール類という場合がある)との反応により得られる。
本発明の含硫黄多分岐化合物において、好ましくは、xは2〜10である。好ましくは、yは2〜10である。
本発明の含硫黄多分岐化合物は、多分岐構造のため、種々の溶媒に対する溶解性が高く、また溶融粘度が低い。さらに、オキセタン環の開環反応により生成する一級の水酸基を光機能化することにより光機能性高分子の特性を持たせることができることから、熱硬化性樹脂を製造するための原料として利用できる。
また、多分岐構造のため、同じ分子量の線状ポリマーと比較すると、分子同士の絡み合いがなくなるため、種々の溶媒に対する高い溶解性を示し、また溶液粘度を低下できる。
この含硫黄多分岐化合物は、透明性、光学特性に優れ(高屈折率、高アッベ数、低屈折率等)、熱的特性、機械的特性等が良好であり、かつ、成形加工性、生産性が良好であることから、各種光学部品用材料として有用である。光学部品としては、視力矯正用眼鏡レンズ、撮像機器(例えば、カメラ、VT等)用レンズ、ピックアップ用レンズ、コリメトリーレンズ、フレネルレンズ等の各種プラスチック光学レンズ、光ディスク基板、高磁気ディスク基板等の光記憶媒体基板、液晶セル用プラスチック基板、光ファイバー、光導波路等の各種光学部品を挙げることができる。
本発明の不飽和基含有多分岐化合物は、前記含硫黄多分岐化合物に、さらに(メタ)アクリル酸無水物を反応させて得られる。
この不飽和基含有多分岐化合物は、1分子当たりの重合性基の含有量が多いため、短時間の活性エネルギー線の照射により速やかに硬化すると共に、不飽和二重結合の存在により熱ラジカルによる加熱硬化が可能である
また、多分岐構造のため、同じ分子量の線状ポリマーと比較すると、分子同士の絡み合いがなくなるため、種々の溶媒に対する高い溶解性を示し、また溶液粘度を低下できる。
本発明の不飽和基含有多分岐化合物は、前記したような優れた特性を有するため、種々の分野において光硬化性成分及び/又は熱硬化性成分として有利に用いることができる。得られた硬化物は種々の分野に適用することができる。例えば、プリント配線板のソルダーレジスト層や層間絶縁層の形成、光導波路、光学レンズ、光学用封止材、光学用接着剤、液晶表示装置等の電気・電子分野、光学用途に有利に適用することができる。
上述したように本発明の含硫黄多分岐化合物は、多官能オキセタン化合物(a)と、多官能チオール類(b)との反応により製造することができる。
例えば、多官能オキセタン化合物(a)と多官能チオール類(b)の双方共に三官能以上の化合物とすると、さらに分岐の状態は複雑になる。
例えば、多官能オキセタン化合物(a)としてビスオキセタン化合物を用い、多官能チオール類(b)としてトリチオールを用いた場合、例えば下記一般式(1)で示されるような構造単位を有する含硫黄多分岐化合物が得られる。
また、例えば多官能オキセタン化合物(a)としてトリスオキセタン化合物を用い、多官能チオール類(b)としてジチオールを用いた場合、例えば下記一般式(2)で示されるような構造単位を有する含硫黄多分岐化合物が得られる。
Figure 0004960135
式中、Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基、Rは化合物(a)のポリオキセタン残基を表し、Rは化合物(b)のポリチオール残基を表わす。
nは1以上の整数であり、その上限は所望の分子量に応じて適宜制御できる。
また、前記一般式(1)及び(2)において、末端基はチオール基、又はオキセタン基となる。
具体的には水素原子、又は下記一般式(4−1)〜(7)で示される基の少なくとも一種である。
Figure 0004960135
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、Rは化合物(a)のポリオキセタン残基を表し、Rは化合物(b)のポリチオール残基を表わす。)
尚、一般式(5)、(6)はトリチオールを用いた場合、一般式(7)はジチオールを用いた場合である。
前記反応は、反応促進剤の存在下、多官能オキセタン化合物(a)と、多官能チオール類(b)を混合し、重付加反応させることにより実施できる。
前記反応において、多官能オキセタン化合物(a)と多官能チオール類(b)との割合(反応混合物中の仕込み割合)は、それぞれの官能基(化合物(a)はオキセタニル基、化合物(b)はチオール基)のモル比で0.1≦(b)/(a)≦10の範囲が好ましく、より好ましくは0.2≦(b)/(a)≦5の範囲である。
官能基比のモルバランスがくずれると、所望の分子量の樹脂が得られないか、架橋反応が進行しゲル化する恐れがある。
反応時間や反応温度等の反応条件を変えることにより、また、前記した当量比の範囲内において配合比を制御することにより、生成する含硫黄多分岐化合物の分子量及び分岐状態をある程度制御することが可能となる。
このようにして、分子量の大きさに応じて液状から固形状までの含硫黄多分岐化合物を合成することができる。
含硫黄多分岐化合物の好適な数平均分子量は、500〜500,000であり、より好ましくは1,000〜10,000である。
本発明に用いられる多官能オキセタン化合物(a)のうち、1分子中に2つのオキセタン環を有する化合物の代表例としては、下記一般式(8)で示されるビスオキセタン類が挙げられる。
Figure 0004960135
上記一般式(8)において、Rは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基である。Yは、炭素数1〜12の線状又は分岐状飽和炭化水素類、下記式(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)で示される芳香族類、式(G)及び(H)で示されるカルボニル基を含む直鎖状又は環状のアルキレン類、式(I)及び(J)で示されるカルボニル基を含む芳香族炭化水素類から選択される2価の基である。Xは、酸素又は硫黄原子を表す。
Figure 0004960135
式(A)〜(E)中、Rは、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表わし、Rは、−O−、−S−、−CH−、−NH−、−SO−、−CH(CH)−、−C(CH−又は−C(CF−を表わし、Rは、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表わす。
Figure 0004960135
式(G)中、mは1〜12の整数を表わす。
Figure 0004960135
1分子中に3つ以上のオキセタン環を有する化合物の代表例としては、下記一般式(9)で表わされる、トリスオキセタン類の他、オキセタンとノボラック樹脂、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)、カルド型ビスフェノール類、カリックスアレーン類、カリックスレゾルシンアレーン類、又はこれらとシルセスキオキサン等の水酸基を有する樹脂とのエーテル化物等が挙げられる。その他、オキセタン環を含有する不飽和モノマーとアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体等も挙げられる。
Figure 0004960135
上記一般式(9)において、Rは前記と同じ意味であり、R10は、エーテル化物の水酸基含有樹脂残基、下記式(K)、(L)又は(M)で示されるような炭素数1〜12の分岐状アルキレン基、式(N)又は(O)で示される芳香族炭化水素類である。
式(9)中、pは残基R10に結合している官能基の数を表わし、3以上の整数、好ましくは3〜5000の整数である。Xは酸素、又は硫黄原子を表わす。
Figure 0004960135
本発明に用いられる多官能チオール類(b)のうち、1分子中に2つ以上のチオール基を有する化合物としては、例えば、1,2−エタンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,8−オクタンジチオール、1,9−ノナンジチオール、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、ジチオエリスリトール、2,3−ジメルカプトサクシン酸、1,2−ベンゼンジチオール、1,2−ベンゼンジメタンチオール、1,3−ベンゼンジチオール、1,3−ベンゼンジメタンチオール、1,4−ベンゼンジメタンチオール、3,4−ジメルカプトトルエン、4−クロロ−1,3−ベンゼンジチオール、2,4,6−トリメチル−1,3−ベンゼンジメタンチオール、4,4’−チオジフェノール、2−ヘキシルアミノ−4,6−ジメルカプト−1,3,5−トリアジン、2−ジエチルアミノ−4,6−ジメルカプト−1,3,5−トリアジン、2−シクロヘキシルアミノ−4,6−ジメルカプト−1,3,5−トリアジン、2−ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−1,3,5−トリアジン、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ブタンジオールビスメルカプトアセテート、エチレングリコールビスメルカプトアセテート、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2,2’−(エチレンジチオ)ジエタンチオール、2,2−ビス(2−ヒドロキシ−3−メルカプトプロポキシフェニルプロパン)等が挙げられる。
また本発明では、ジチオール類として、下記一般式(P)で示されるジチオールを用い
ることができる。
Figure 0004960135
式(P)中、R12は、−O−、−S−、−CH−、−NH−、−SO−、−CH
(CH)−、−C(CH−又は−C(CF−を表わす。
前記1分子中に3個のメルカプト基を有する化合物としては、例えば、1,2,6−ヘキサントリオールトリチオグリコレート、1,3,5−トリチオシアヌル酸、2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジン、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリスメルカプトアセテート等が挙げられる。
前記1分子中に4個のメルカプト基を有する化合物としては、例えば、ペンタエリトリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリトリトールテトラキスメルカプトアセテート、ジペンタエリトリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリトリトールヘキサキスメルカプトアセテート等が挙げられる。
前記含硫黄多分岐化合物及び後述する不飽和基含有多分岐化合物の合成に使用する反応促進剤としては、三級アミン、三級アミン塩、四級オニウム塩、三級ホスフィン、クラウンエーテル錯体又はホスホニウムイリドの中から任意に選択することが可能であり、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
三級アミンとしては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン)、DBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン)、DABCO(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン)、ピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン等が挙げられる。
三級アミン塩としては、例えば、サンアプロ(株)製のU−CATシリーズ等が挙げられる。
四級オニウム塩としては、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、アルソニウム塩、スチボニウム塩、オキソニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、スタンノニウム塩、ヨードニウム塩等が挙げられる。
特に好ましいものは、アンモニウム塩及びホスホニウム塩である。
アンモニウム塩の具体例としては、テトラn−ブチルアンモニウムクロライド(TBAC)、テトラn−ブチルアンモニウムブロミド(TBAB)、テトラn−ブチルアンモニウムアイオダイド(TBAI)等のテトラn−ブチルアンモニウムハライドや、テトラn−ブチルアンモニウムアセテート(TBAAc)等が挙げられる。
ホスホニウム塩の具体例としては、テトラn−ブチルホスホニウムクロライド(TBPC)、テトラn−ブチルホスホニウムブロミド(TBPB)、テトラn−ブチルホスホニウムアイオダイド(TBBI)等のテトラn−ブチルホスホニウムハライド、テトラフェニルホスホニウムクロライド(TPPC)、テトラフェニルホスホニウムブロミド(TPPB)、テトラフェニルホスホニウムアイオダイド(TPPI)等のテトラフェニルホスホニウムハライドや、エチルトリフェニルホスホニウムブロミド(ETPPB)、エチルトリフェニルホスホニウムアセテート(ETPPAc)等が挙げられる。
三級ホスフィンとしては、炭素数1〜12のアルキル基、又はアリール基を有する、三価の有機リン化合物であればよい。
具体例としては、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等が挙げられる。
さらに、三級アミン又は三級ホスフィンと、カルボン酸又は酸性の強いフェノールとの付加反応により形成される四級オニウム塩も反応促進剤として使用可能である。
これらは、反応系に添加する前に四級塩を形成するか、又はそれぞれを別に添加して反応系中で四級塩形成を行なわせるいずれの方法でもよい。
具体的には、トリブチルアミンと酢酸より得られるトリブチルアミン酢酸塩、トリフェニルホスフィンと酢酸より形成されるトリフェニルホスフィン酢酸塩等が挙げられる。
また、クラウンエーテル錯体の具体例としては、12−クラウン−4、15−クラウン−5、18−クラウン−6、ジベンゾ18−クラウン−6、21−クラウン−7、24−クラウン−8等のクラウンエーテル類と、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム等のアルカリ金属塩との錯体が挙げられる。
ホスホニウムイリドとしては、ホスホニウム塩と塩基との反応により得られる化合物であれば公知のものが使用可能であるが、取扱いの容易さから安定性の高いものの方が好ましい。
具体的な例としては、(ホルミルメチレン)トリフェニルホスフィン、(アセチルメチレン)トリフェニルホスフィン、(ピバロイルメチレン)トリフェニルホスフィン、(ベンゾイルメチレン)トリフェニルホスフィン、(p−メトキシベンゾイルメチレン)トリフェニルホスフィン、(p−メチルベンゾイルメチレン)トリフェニルホスフィン、(p−ニトロベンゾイルメチレン)トリフェニルホスフィン、(ナフトイル)トリフェニルホスフィン、(メトキシカルボニル)トリフェニルホスフィン、(ジアセチルメチレン)トリフェニルホスフィン、(アセチルシアノ)トリフェニルホスフィン、(ジシアノメチレン)トリフェニルホスフィン等が挙げられる。
これら反応促進剤の使用量は、多官能オキセタン化合物(a)のオキセタニル基1モルに対して約0.1〜25モル%の割合であることが望ましく、さらに好ましくは0.5〜20モル%の割合であり、より好ましくは1〜15モル%の割合である。
反応促進剤の使用量がオキセタニル基に対して0.1モル%よりも少ない割合の場合、実用的な速度で反応が進行し難く、一方、25モル%を超えて多量に存在しても顕著な反応促進効果は見られないため、経済性の点で好ましくない。
含硫黄多分岐化合物の合成の反応温度としては、約100〜200℃の範囲が望ましく、さらに好ましくは120〜160℃である。
反応温度が100℃よりも低い場合には、反応が進行し難くなるので好ましくない。
一方、200℃を超えた場合には、不飽和基含有多分岐化合物の合成において生成物の二重結合が反応して熱重合を生じ易くなり、また低沸点の不飽和モノカルボン酸が蒸発する恐れがあるので好ましくない。
反応時間は、原料の反応性、反応温度に応じて適時選択すればよいが、約1〜48時間が好ましく、さらに好ましくは2〜12時間で行うとよい。
前記反応は無溶剤下でも進行するが、反応時の攪拌効率を改善するために希釈剤の存在下で行なうことも可能である。
用いる希釈剤としては反応温度を維持できるものであれば特に限定されないが、好ましくは原料を溶解するものが良い。
また、合成時の希釈剤として有機溶媒を用いた場合は、減圧蒸留等の公知の方法にて溶媒を除去してもよい。
さらには、製造時に後述する反応性希釈剤(D)の存在下で行なうことも可能である。
有機溶剤は、反応に悪影響を与えず、反応温度を維持できるものであれば公知のものが使用できる。
具体的には、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等のアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエステル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等のアミド類;トルエン、キシレン等の炭化水素類が挙げられる。
次に、不飽和基含有多分岐化合物及びその製造方法について説明する。
不飽和基含有多分岐化合物は、上記の含硫黄多分岐化合物の水酸基及び/又はチオール基に、さらに(メタ)アクリル酸無水物を反応させて得ることができる。
本明細書中において、(メタ)アクリル酸とはアクリル酸とメタアクリル酸を総称する用語であり、他の類似の表現についても同様である。
含硫黄多分岐化合物中には、多官能オキセタン化合物(a)のオキセタニル基と多官能チオール類(b)のチオール基との付加反応により生じたヒドロキシメチル基が存在している。不飽和基含有多分岐化合物は、ヒドロキシメチル基の水酸基、チオール基と(メタ)アクリル酸無水物との付加反応によって合成される。
不飽和基含有多分岐化合物の製造には、上述した含硫黄多分岐化合物を用いることができる。従って、不飽和基含有多分岐化合物は、例えば、上記一般式(1)又は(2)で示される構造単位を有し、さらに、一般式(1)又は(2)において、水素原子、又は下記一般式(3)〜(7)で示される基の少なくとも一種の末端基を有する。
Figure 0004960135
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、Rは化合物(a)のポリオキセタン残基を表し、Rは化合物(b)のポリチオール残基を表わし、R、R及びRは、それぞれ水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、アリール基、アラルキル基又はシアノ基を表し、Wは水素原子又は一般式(3)で示される基を表わす。)
不飽和基含多分岐化合物の好適な数平均分子量は、500〜500,000であり、より好ましくは1,000〜20,000である。
(メタ)アクリル酸無水物と、含硫黄多分岐化合物との反応は、例えば約−50〜150℃、好ましくは0〜50℃の温度範囲で行なうことができる。
(メタ)アクリル酸無水物の使用量は、前記含硫黄多分岐化合物中のヒドロキシメチル基とチオール基1化学当量に対して、0.1〜3.0モルが好適である。
0.1モルより少ないと導入される(メタ)アクリレート基の量が少なくなり、好ましくない。一方、3.0モルを越えて多量に配合すると、未反応の多塩基酸無水物が樹脂中に残存し、耐久性、電気特性等の特性を低下させる恐れがあるため好ましくない。
また、含硫黄多分岐化合物中のヒドロキシメチル基とチオール基に(メタ)アクリル酸無水物を反応で、含硫黄多分岐化合物中のチオール基の割合は18.7%未満が好ましい。チオール基の割合が18.7%以上の場合、末端チオール基とメタクリロイル基とのMichael付加反応が進行し、ゲル化する可能性がある。
反応の際、塩基を用いることが好ましく、塩基としては、三級アミン化合物、水酸化ナトリウムや、水酸化カリウム等の金属酸化物、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の金属水素化物が使用可能である。
その使用量は(メタ)アクリル酸無水物1化学等量に対して好ましくは0.3〜3モルの範囲であり、さらに好ましくは1〜2モルである。
前記反応は、有機溶媒の存在下、又は無溶媒下でも進行するが、反応時撹拌効率を改善するため反応性希釈剤の存在下で行なうことも可能である。
また、前記反応においては、不飽和二重結合の重合によるゲル化を防止する目的で、空気を吹き込んだり、重合禁止剤を加えてもよい。
重合禁止剤の例としては、メトキノン、ハイドロキノン、トルキノン、メトキシフェノール、フェノチアジン、トリフェニルアンチモン、塩化銅等が挙げられる。
本発明の不飽和基含有多分岐化合物の1種又は2種以上の混合物に、重合開始剤(B)として光ラジカル重合開始剤及び/又は熱ラジカル重合開始剤を混合することにより、光硬化性及び/又は熱硬化性の組成物が得られる。この組成物は、紫外線又は電子線等の活性エネルギー線の照射により速やかに硬化し、又はさらに加熱によって硬化し、基材との密着性、機械的特性、耐薬品性等に優れた硬化物を形成することができる。
この光硬化性・熱硬化性組成物は、その塗膜を露光・現像することで画像形成が可能であり、さらに現像後加熱することで、硬化収縮を生じることなく、基材との密着性、機械的特性、耐熱性、電気絶縁性、耐薬品性、耐クラック性等の諸特性に優れた硬化皮膜を形成することができる。
さらに前記のような硬化性組成物又は光硬化性・熱硬化性組成物に、反応性希釈剤(D)として後述するような反応性モノマーを添加することにより、光硬化性を向上させることができる。
前記重合開始剤(B)として用いられる光ラジカル重合開始剤としては、活性エネルギー線の照射によりラジカルを発生する公知の化合物が使用可能であり、その具体例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾインとそのアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、4−(1−t−ブチルジオキシ−1−メチルエチル)アセトフェノン等のアセトフェノン類;2−メチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン等のアントラキノン類;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン、4−(1−t−ブチルジオキシ−1−メチルエチル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラキス(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;2−メチルチオ−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアミノアセトフェノン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルホスフィンオキシド等のアルキルホスフィン類;9−フェニルアクリジン等のアクリジン類等が挙げられる。これらの光ラジカル重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの光ラジカル重合開始剤の配合量は、不飽和基含有多分岐化合物100質量部当り0.1〜30質量部の割合が好ましい。
光ラジカル重合開始剤の配合量が上記範囲よりも少ない場合、活性エネルギー線の照射を行なっても硬化しないか、又は照射時間を増やす必要があり、適切な塗膜物性が得られ難くなる。一方、上記範囲よりも多量に光ラジカル重合開始剤を添加しても、硬化性に変化は無く、経済的に好ましくない。
本発明の硬化性組成物又は光硬化性・熱硬化性組成物においては、活性エネルギー線による硬化を促進させるために、硬化促進剤及び/又は増感剤を上記のような光ラジカル重合開始剤と併用してもよい。
硬化促進剤としては、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノール、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート等の三級アミン類;β−チオジグリコール等のチオエーテル類等が挙げられる。
増感剤としては、(ケト)クマリン、チオキサンテン等の増感色素類;及びシアニン、ローダミン、サフラニン、マラカイトグリーン、メチレンブルー等の色素のアルキルホウ酸塩等が挙げられる。
これらの硬化促進剤及び/又は増感剤は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
その使用量は、不飽和基含有多分岐化合物100質量部当り0.1〜30質量部の割合が好ましい。
前記重合開始剤(B)として用いられる熱ラジカル重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等の有機過酸化物;2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2′−アゾビス−2,4−ジバレロニトリル、1,1′−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、1′−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、ジメチル−2,2′−アゾビスイソブチレイト、4,4′−アゾビス−4−シアノバリックアシツド、2−メチル−2,2′−アゾビスプロパンニトリル等のアゾ系開始剤等が挙げられ、より好ましくはノンシアン、ノンハロゲンタイプの1,1′−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)が挙げられる。
熱ラジカル重合開始剤は、不飽和基含有多分岐化合物100質量部当り好ましくは0.1〜30質量部、より好ましくは0.5〜5質量部の割合で用いられる。
また、熱ラジカル重合開始剤として有機過酸化物のうち硬化速度の小さいものを用いる場合には、トリブチルアミン、トリエチルアミン、ジメチル−p−トルイジン、ジメチルアニリン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン等の三級アミン、又はナフテン酸コバルト、オクトエ酸コバルト、ナフテン酸マンガン等の金属石鹸を促進剤として用いることができる。
本発明の硬化性組成物は熱硬化性成分(C)を含むことができる。熱硬化性成分(C)としては、1分子中に少なくとも2つ以上のオキシラン基及び/又はオキセタニル基を有する多官能エポキシ化合物(C−1)及び/又は多官能オキセタン化合物(C−2)を好適に用いることができる。
多官能エポキシ化合物(C−1)としては、例えば、ノボラック型エポキシ樹脂(例えば、フェノール、クレゾール、ハロゲン化フェノール、アルキルフェノール等のフェノール類とホルムアルデヒドを酸触媒下で反応させて得られるノボラック類に、エピクロルヒドリン及び/又はメチルエピクロルヒドリンを反応させて得られるものであり、市販品としては日本化薬(株)製のEOCN−103、EOCN−104S、EOCN−1020、EOCN−1027、EPPN−201、BREN−S;ダウ・ケミカル社製のDEN−431、DEN−438;大日本インキ化学工業(株)製のN−730、N−770、N−865、N−665、N−673、N−695、VH−4150等)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(例えば、ビスフェノール、ビスフェノール、ビスフェノール、テトラブロモビスフェノール等のビスフェノール類にエピクロルヒドリン及び/又はメチルエピクロルヒドリンを反応させて得られるものであり、市販品としては、油化シェルエポキシ(株)製のエピコート1004、エピコート1002;ダウ・ケミカル社製のDER−330、DER−337等)、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂(例えば、トリスフェノールメタン、トリスクレゾールメタン等とエピクロルヒドリン及び/又はメチルエピクロルヒドリンを反応させて得られるものであり、市販品としては、日本化薬(株)製のEPPN−501、EPPN−502等)、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、ビフェノールジグリシジルエーテル、その他脂環式エポキシ樹脂、アミノ基含有エポキシ樹脂、共重合型エポキシ樹脂、カルド型エポキシ樹脂、カリックスアレーン型エポキシ樹脂等公知慣用のエポキシ樹脂を、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
多官能オキセタン化合物(C−2)の代表例としては、先に例示したような分子中に2つのオキセタン環を有するビスオキセタン類や、分子中に3つ以上のオキセタン環を有すトリスオキセタン類等が挙げられ、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記多官能エポキシ化合物(C−1)及び/又は多官能オキセタン化合物(C−2)の配合量は、不飽和基含有多分岐化合物100質量部に対して好ましくは5〜100質量部の割合が適当であり、より好ましくは15〜60質量部である。
さらに、熱硬化反応を促進するために、三級アミン類、四級オニウム塩類、三級ホスフィン類、クラウンエーテル錯体等や、イミダゾール誘導体、ジシアンジアミド等の公知の硬化促進剤を少量併用することができる。硬化促進剤は、これらの中から任意に選択することが可能であり、これらを単独で又は2種以上混合して用いてもよい。その他、ホスホニウムイリド等、公知の硬化促進剤を使用できる。
イミダゾール誘導体としては、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等が挙げられる。
市販されているものとしては、例えば四国化成(株)製の2MZ−A、2MZ−OK、2PHZ、2P4BHZ、2P4MHZ等が挙げられる。
経時安定性向上を図るものとしては、旭チバ(株)製のノバキュアHX−3721、HX−3748、HX−3741、HX−3088、HX−3722、HX−3742、HX−3921HP、HX−3941HP、HX−3613等も挙げられる。
硬化促進剤の使用量は、前記多官能エポキシ化合物(C−1)及び/又は多官能オキセタン化合物(C−2)のオキシラン基及び/又はオキセタニル基1モルに対して好ましくは0.1〜25モル%の範囲であり、より好ましくは0.5〜20モル%であり、より好ましくは1〜15モル%である。
硬化促進剤の使用量が、オキシラン基/オキセタニル基に対して0.1モルよりも少ないと実用的な速度で硬化反応が進行し難い恐れがあり、一方、25モル%よりも多量に存在しても顕著な反応促進硬化は見られないので、経済性の点で好ましくない。
本発明の硬化性組成物又は光硬化性・熱硬化性組成物には、反応性希釈剤(D)を合成時又は合成後に加えることができる。
反応性希釈剤(D)としては、前記した有機溶剤の他、硬化反応に関与することができる重合性基を有する化合物を好適に用いることができ、単官能(メタ)アクリレート類及び/又は多官能(メタ)アクリレート類等の公知の反応性希釈剤が使用可能である。
具体的な例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、及び二塩基酸無水物と1分子中に少なくとも1個以上の不飽和基を有するアルコールとの反応物等を挙げることができる。
反応性希釈剤(D)は、単独で又は2種以上の混合物で用いられ、その使用量には制限が無い。
本発明の硬化性組成物又は光硬化性・熱硬化性組成物には、さらに必要に応じて硫酸バリウム、シリカ、タルク、クレー、炭酸カルシウム等の公知慣用の充填剤、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、カーボンブラック等の公知慣用の着色顔料、消泡剤、密着付与剤、レベリング剤等の各種添加剤を加えてもよい。
尚、前記硬化性組成物として、不飽和基含有多分岐化合物の代わり又は共に、本発明の含硫黄多分岐化合物を用いることもできる。
前記硬化性組成物又は光硬化性・熱硬化性組成物を硬化させるための照射光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ等が適当である。また、レーザー光線等も露光用活性光源として利用できる。その他、電子線、α線、β線、γ線、X線中性子線等も利用可能である。
本発明の光学材料は、上記の硬化性組成物を硬化させた硬化物からなる。好ましくは屈折率は1.5〜1.9である。
上記の硬化性組成物又は光硬化性・熱硬化性組成物は、希釈剤の添加により粘度を調整した後、スクリーン印刷法、カーテンコーティング法、ロールコーティング法、ディップコーティング法、及びスピンコーティング法等の塗布方法により塗布し、例えば約60〜120℃の温度で仮乾燥することで組成物中に含まれる有機溶剤を除去し、塗膜を形成できる。
ドライフィルムの形態にある場合には、そのままラミネートすればよい。その後、活性エネルギー線を照射することにより、速やかに硬化する。
また、光硬化性成分として不飽和基含有多分岐化合物を含有する組成物の場合、所定の露光パターンを形成したフォトマスクを通して選択的に活性エネルギー線により露光し、未露光部を有機溶剤、又はアルカリ水溶液により現像してパターンを形成できる。
さらに、熱硬化性成分を含有する光硬化性・熱硬化性組成物の場合、上記露光・現像後に約100〜200℃の温度で加熱して熱硬化させることにより、密着性、機械的強度、はんだ耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性、耐電蝕性等の諸特性に優れた硬化皮膜が形成できる。また、熱硬化前又は後にポストUV硬化を行なうことにより、諸特性をさらに向上させることができる。
前記有機溶剤系現像液としては、例えば、1,1,1−トリクロロエタン、N−メチルピロリドン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。これらの有機溶剤は、引火防止のため、1〜20質量%の範囲で水を添加してもよい。アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、珪酸ナトリウム、アンモニア、有機アミン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキシド等の水溶液が使用できる。現像液中のアルカリの濃度は概ね0.1〜5wt%であればよい。
現像方式はディップ現像、パドル現像、スプレー現像等の公知の方法を用いることができる。
以下に実施例を示して本発明についてより具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものでない。
実施例1
10mlナスフラスコに、1,4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)ベンゼン(1,4−BEOMB)(化合物(a))0.459g(1.5mmol)、チオシアヌル酸(TCA)(化合物(b))0.177g(1.0mmol)、テトラフェニルホスホニウムクロリド(TPPC)(触媒)0.031(5mol%)、及び1−メチル−2−ピロリドン1.25mlを量り取り、窒素置換後、130℃で4時間反応を行なった。
反応終了後、反応液を大量の水に滴下し固体を得た。得られた個体をテトラヒドロフランで希釈し、貧溶媒としてメタノールを用いて再沈精製を行い、減圧乾燥することで、含硫黄多分岐化合物を0.3696g(収率:62%)得た。
得られた含硫黄多分岐化合物の構造を、H−NMR、13C−NMR及びIRスペクトル(Thermo ELECTRON(株)製 NICOLET 380 FT−IR)にて確認した。
また、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)による測定結果から、数平均分子量は6900、分子量分布は4.6であった。
得られた高分子化合物の分析結果を以下に示す。
IR(cm−1):3420、3044、2965、2875、1508、985、724
H−NMR(600MHz,DMSO−d,TMS)δppm: 0.80(m,6.1H,H,H)、1.42(m,3.0H,H)、1.72(m,1.6H,H)、2.15(m,0.31H,H)、2.60(m,0.6H,H)、3.58(m,0.9H,H)、3.93(m,1.0H,H)、3.73(m2.8H,H,)、4.77(m,1.0H,H)、4.37,4.27(m,2.6H,H)、6.79(m,4.0H,aromaticH
Figure 0004960135
13C−NMR(500MHz,DMSO−d,TMS)δppm: 7.1〜8.0(C,C,C),22.8〜32.1(C,C,C,C),62.3〜70.8(C,C,C)、76.8(C),115.4(C),153.0(C),178.9(C),181.9(C
Figure 0004960135
実施例2
実施例1において、触媒であるTPPCを、テトラフェニルホスホニウムブロミド(TPPB)、テトラフェニルホスホニウムアイオダイド(TPPI)に代えたこと以外は、実施例1と同様にして行った。
結果を表1に示す。
Figure 0004960135
実施例3
実施例1において、溶媒として1−メチル−2−ピロリドンの他、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドを用い、触媒にTPPBを用いたこと以外は、実施例1と同様に行った。
結果を表2に示す。
Figure 0004960135
実施例4
実施例1において、反応温度を130℃と120℃とし、触媒にTPPBを用いたこと以外は、実施例1と同様に行った。
結果を表3に示す。
Figure 0004960135
実施例5
実施例1において、反応時間を、4時間から、3、4.5、5、6時間に代えたこと以外は、実施例1と同様に行った。
結果を表4に示す。
Figure 0004960135
反応時間に伴い、収率、分子量ともに増加し、3.5〜4.5時間が最適な反応時間であることが分かった。反応時間が長くなると、収率、分子量は増加するものの、分子量分布が急激に増加した。
実施例6
実施例1において、TCAの仕込み量を0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2mmolとし、触媒にTPPBを用いたこと以外は、実施例1と同様に行った。
結果を表5に示す
Figure 0004960135
1,4−BEOMB1.5mmolに対し、TCA1.0mmol(官能基比1.0:1.0)で仕込んだ場合、収率62%で対応する多分岐化合物(A)が得られた。しかしながらTCAを1.2mmolで反応させた場合、69%の不溶部を確認した。これは、チオールの転化率が高くなることで、多分岐化合物同士のカップリング反応が進行し、ゲル化したものと思われる。
以下に含硫黄多分岐化合物のユニット比算出方法を示す。
Figure 0004960135
ユニット比はTCAの2.15ppmのプロトンを基準に、1,4−BEOMBの6.79ppmのArHと1.72ppm、1.42ppmの開環前後のオキセタニル基のメチレンプロトンに起因するシグナルの積分値により上記式1,2を用いて算出した。
実施例7
含硫黄多分岐化合物の側鎖水酸基と末端チオール基の定量を以下のように行った。
ナスフラスコに実施例6の条件で1,4−BEOMB1.5mmolに対し、TCA1.0mmol(官能基比1.0:1.0)の仕込み比で得られた含硫黄多分岐化合物(M=3600,M/M=1.5)を0.10gと無水酢酸を0.16g(1.6mmol,HBPSの水酸基と末端チオール基に対して過剰量)量り取り、ピリジン0.39g(4.9mmol)に溶解させて窒素雰囲気下、60℃で24時間反応を行った。反応終了後、反応母液を温水に落とし、未反応の無水酢酸を加水分解した。この酢酸水溶液を三角フラスコに移し、混合指示薬(クレゾールレッド/チモールブルー)を2滴加え、生成した酢酸の総量を0.05N水酸化カリウムエタノール溶液で黄色から青色変わるまで滴定した。また反応母液を水に落とした際に析出した固体はTHFに溶解させ、貧溶媒にエーテルを用いて再沈精製し、減圧乾燥後、白色の粉末固体を得た。構造確認はH−NMR、IRスペクトルにより行った。
別に同量の無水酢酸とピリジンについてもから試験を行い、無水酢酸から生成する酢酸を滴定し、これら測定値を下記式3に代入しHBPSの水酸基及び末端チオール基当量を算出した。また、エステル化率は、IRスペクトルより、3400cm−1付近の水酸基に起因するピークが完全に消失したところを100%とした。
Figure 0004960135
エステル化率:100%
収量:0.062g(57%)
水酸基及び末端チオール基当量:131.8g/mol OH and SH eq.
IR(KRS,film,cm−1): 3046(νC−H aromatic)、2968(νC−H alphatic)、1741(νC=O ester)、1508(νC=C aromatic)、1229,1045(νC−O−C ester)
H−NMR(600MHz,DMSO−d,TMS)δppm: 0.84(m,6.0H,H,H)、1.49(m,2.9H,H),1.73(m,1.2H,H)、1.96(m,3.2H,H)、2.28(m,0.9H,H)、3.10(m,0.7H,H),3.37(m,2.8H,H)、3.96(m,1.9H,H,)、4.05(m,1.0H,H)、4.29,4.38(m,2.8H,H)、6.78(m,4.0H,aromaticH
Figure 0004960135
実施例8
側鎖及び末端にメタクリロイル基を有する不飽和基含有多分岐化合物の合成を以下のように行った。
実施例6でTCAを0.6mmol反応させて得られた多分岐化合物を0.95g(M=4400,M/M=1.4)、トリエチルアミンを1.39g(14mmol)、1−メチル−2−ピロリドンを2.9mL、メトキノンを少量加えた。その後、窒素雰囲気下、氷冷下でメタクリル酸無水物をゆっくり滴下し、室温で24時間反応を行った。反応終了後、反応溶液を塩化メチレンで希釈し、1N塩酸水溶液で2回、水で3回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、乾燥剤をろ別後、良溶媒として塩化メチレン、貧溶媒としてジエチルエーテルを用いて再沈精製を行うことにより、黄色固体の不飽和基含有多分岐化合物を0.82g(収率:85%)得た。メタクリロイル基の導入率(D.E.)は100%であった。分析結果を以下に示す。
IR(KRS,film,cm−1): 3044(νC−H aromatic)、2965(νC−H alphatic)、1720(νC=O ester)、1636(νC=C methacryl)、1226,1054(νC−O−C ester)
H−NMR(600MHz,DMSO−d,TMS)δppm: 0.8〜1.76(m,18.8H,H,H,H,H)、1.91(m,6.41H,H)、3.81〜4.34(m,8.2H,H,H,H,H,H)、5.53〜5.93(m,3.0H,H,)、6.79(m,4.0H,H
Figure 0004960135
IRスペクトルにおいて、3300cm−1付近の水酸基に起因するピークが消失し、新たに1719cm−1にメタクリロイル基のνC=O、1636cm−1にメタクリロイル基のνC=Cの伸縮振動に起因するピークが現れたことを確認した。さらに、H−NMRにおいて、1.91ppmにメタクリロイル基のメチルプロトン、5.52〜5.97ppmにメタクリロイル基のビニルプロトンに起因するシグナルを確認した。このことから、不飽和基含有多分岐化合物が生成したと判明した。一方、TCAを0.8〜1.2mmol反応させて得られた含硫黄多分岐化合物は、メタクリル酸無水物を導入時にゲル化した。
実施例9
以下のように、不飽和基含有多分岐化合物を光ラジカル重合して光架橋化合物を生成した。
実施例8で得られた不飽和基含有多分岐化合物を0.097g(97wt%)、光ラジカル開始剤として2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(以下Irgacure907(登録商標)と記す(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))を0.003g(3wt%)を量り取り、テトラヒドロフラン(2mL)に溶解させ、サンプルを調製した。調製したサンプルをKBr板に塗布し、減圧乾燥によりフィルムを作成した。フィルムに光源として250−W超高圧水銀灯(254nm、8.0mW/cm)を用いて光照射を行った。
光ラジカル重合によるメタクリロイル基の転化率はIRにより1636cm−1のメタクリロイル基(νC=C)に起因するピークの減少率から算出した。IRにおけるメタクリロイル基のνC=Cに起因する1635cm−1の吸収が減少し、光照射15分後にはメタクリロイル基のνC=Cの転化率は約55%に達し光ラジカル重合が速やかに進行したことが明らかとなった。得られた硬化フィルムは、一般的な有機溶媒に不溶となった。
実施例10
実施例8で得られた不飽和基含有多分岐化合物を0.123g(77wt%)、光ラジカル開始剤としてIrgacure907を0.048g(20wt%)、反応希釈剤として2−ヒドロキシメチルメタクリレート(以下、HEMAと訳す)を0.324g(20wt%)を量り取り、テトラヒドロフランを用いてサンプルフィルムを調製し、実施例9と同様な操作により光照射を行った。
実施例9の反応転化率と比較して、HEMAを添加させた場合、反応が早く進行し、光照射15分後にはメタクリロイル基のνC=Cの転化率は約58%となった。
実施例11
実施例6でTCAを0.6mmol反応させて得られた多分岐化合物(ポリマーA)、実施例8で得られた不飽和基含有多分岐化合物(ポリマーB)、及び実施例9で得られた光架橋化合物(ポリマーC)の熱特性及び屈折率(nD)を測定した。熱特性はTG/DTA及びDSCを用いて測定した。
Figure 0004960135
Tgの測定方法:アルミニウムパンに合成したポリマーを約5mg秤とり、パンを密閉した後、示差走査熱量計(Seiko Instruments EXSTAR 6000/TG/DTA6200)により、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/minの条件で測定を行った。
Td測定方法:約5mgのポリマーをアルミニウムパンに量り取り、Seiko Instruments EXSTAR 6000/TG/DTA6200により窒素雰囲気下、昇温速度10℃/minで室温から600℃まで昇温させ、TG/DTA測定を行った。
屈折率測定方法:ポリマーを酢酸2−メトキシエチルに溶解させ、シリコンウエハー上に滴下し、スピンコート(ミカサ(株)製スピンコータ 1H−D7)よりフィルムを作成した後、60℃で減圧乾燥させた。屈折率測定はエリプソメータ((株)満尻工学工業所製エリプソメータDHA−OLX/S4、波長632.8nm)を用いて行った。
本発明の含硫黄多分岐化合物は、高屈折率で複屈折率が少ない光学材料として使用できる。
本発明の不飽和基含有多分岐化合物は、光硬化性に優れた樹脂であると共にアルカリ水溶液、又は有機溶剤に対して優れた溶解性を示し、溶剤現像型、又はアルカリ現像型の感光性樹脂として有用である。
これらの不飽和基含有多分岐化合物は加熱による硬化も可能であり、得られる硬化物は、各種基材に対する密着性に優れると共に、強度、靭性等の機械的特性や、耐熱性、熱安定性、耐薬品性、電気絶縁性等の諸特性に優れた硬化物が得られるため、接着剤、コーティング剤、プリント配線板の製造時に使用されるソルダーレジスト、エッチングレジスト、ビルドアップ基板用層間絶縁材、メッキレジスト、ドライフィルム、さらに、光導波路、光学レンズ、光学用封止材、光学用接着剤、光学フィルム、光ファイバー、光ディスク、液晶表示装置等の光学材料として、広範囲に利用可能である。

Claims (10)

  1. 下記一般式
    Figure 0004960135
    (式中、nは1以上の整数である。)
    で示される構造単位を有し、数平均分子量が2000〜9600である含硫黄多分岐化合物に、さらに(メタ)アクリル酸無水物を反応させて得られる、下記一般式
    Figure 0004960135
    (式中、nは1以上の整数である。)
    で示される構造単位を有する不飽和基含有多分岐化合物。
  2. (A)請求項記載の不飽和基含有多分岐化合物、及び(B)重合開始剤を含有する硬化性組成物。
  3. 前記重合開始剤(B)が、光ラジカル重合開始剤及び/又は熱ラジカル重合開始剤である請求項記載の硬化性組成物。
  4. 前記不飽和基含有多分岐化合物(A)100質量部に対し、前記重合開始剤(B)を0.1〜30質量部含有する請求項又は記載の硬化性組成物。
  5. さらに(C)熱硬化性成分を含有する請求項のいずれか記載の硬化性組成物。
  6. 前記熱硬化性成分(C)が、1分子中に2つ以上のオキシラン基及び/又はオキセタニル基を有する化合物である請求項記載の硬化性組成物。
  7. 前記不飽和基含有多分岐化合物(A)100質量部に対し、前記熱硬化性成分(C)を5〜100質量部含有する請求項又は記載の硬化性組成物。
  8. さらに希釈剤を含有する請求項のいずれか記載の硬化性組成物。
  9. 請求項のいずれか記載の硬化性組成物を活性エネルギー線照射及び/又は加熱により硬化させて得られる硬化物。
  10. 請求項記載の硬化物からなり、屈折率が1.5〜1.9である光学材料。
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