JP2004161890A - 接着剤用ポリエステル樹脂、接着剤及び積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】難燃性ポリエステル接着剤の問題を解消し、特に耐熱性、耐湿熱性、金属接着性が優れ、環境に対する負荷が少ない接着剤用ポリエステル樹脂を提供する。
【解決手段】1種以上のジカルボン酸成分と1種以上のグリコール成分からなる共重合ポリエステルであって、グリコール成分の少なくとも1種が分子量500以上のポリテトラメチレンオキシドグリコール又はビスフェノール系化合物のポリアルキレンオキシド付加物であり、特定の有機リン化合物をリン原子が5000〜50000ppmとなる量含有し、かつ、ヒンダードフェノール化合物及びイオウ化合物を含有し、ガラス転移温度が−30〜40℃である接着剤用ポリエステル樹脂及びそれを用いた接着剤並びに積層体。
【選択図】 なし
【解決手段】1種以上のジカルボン酸成分と1種以上のグリコール成分からなる共重合ポリエステルであって、グリコール成分の少なくとも1種が分子量500以上のポリテトラメチレンオキシドグリコール又はビスフェノール系化合物のポリアルキレンオキシド付加物であり、特定の有機リン化合物をリン原子が5000〜50000ppmとなる量含有し、かつ、ヒンダードフェノール化合物及びイオウ化合物を含有し、ガラス転移温度が−30〜40℃である接着剤用ポリエステル樹脂及びそれを用いた接着剤並びに積層体。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は接着剤に好適なポリエステル樹脂に関するものであり、さらに詳しくは、耐熱性、耐湿性、難燃性が要求される電子機器関連の分野で有用であり、接着性が良好な接着剤用ポリエステル樹脂に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートに代表されるポリエステル樹脂は、その優れた機械的強度、熱安定性、疎水性、耐薬品性を生かし、繊維、フィルム、成形材料等として各種分野で広く利用されている。
【0003】
また、その構成成分であるジカルボン酸及びグリコール成分に他の成分を導入することにより、様々な特徴を有する共重合ポリエステルを得ることが可能であり、接着剤、コーティング剤、インキバインダー、塗料等に広く使用されている。このような共重合ポリエステル樹脂は一般的にポリエステル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル樹脂等のプラスチック類、あるいはアルミニウム、銅等の金属箔に対する優れた接着性を有することが知られている。
【0004】
これらの特性を利用し、電子機器や自動車、建材等の用途でも共重合ポリエステル接着剤が使用されているが、安全性の点から高度な難燃性が要求されており、その基材だけでなく、接着層の難燃性も必要とされている。
【0005】
このような状況から、特許文献1や特許文献2には、有機ハロゲン化合物や、三酸化アンチモン等の無機化合物を添加することで難燃性を付与した接着剤が開示されている。これらの難燃剤は安価であり、かつ優れた難燃性を有するためこれまで広く使用されてきた。しかし、近年になって、ハロゲン化合物は燃焼時に猛毒のダイオキシンを発生し、アンチモンは環境負荷の要監視物質として取り上げられる等、環境に対する負荷が大きいことが分かり、環境の問題から非ハロゲン、非アンチモン化の要望が強くなっている。
【0006】
そこで、リン系の難燃剤を接着剤に添加し、難燃性を付与する試みがなされてきたが、充分な難燃性を付与するには難燃剤を多量に添加する必要があり、その結果、難燃剤がブリードしたり、接着強力が低下するなどの問題があった。
【0007】
また、このような用途にはガラス転移温度が低いポリエステル接着剤が好適に使用されているが、このような樹脂を難燃化するために、有機リン系化合物を共重合すると、ガラス転移温度が低いこととリン化合物をポリエステル鎖中に導入したことにより、ポリエステル樹脂自体の耐加水分解性が著しく低下し、保存時にも経時で粘度低下し易く、長期使用での信頼性に問題があった。さらに有機リン化合物は重縮合触媒の失活剤としても作用するため、高分子量のポリエステル樹脂を得るためには重縮合触媒を多量に添加する必要があり、ポリエステル樹脂の耐熱安定性が低下するという問題がある。
【0008】
特許文献3には、比較的分子量の大きなグリコールを共重合することで耐加水分解性を改良する方法が開示されているが、この方法では耐加水分解性は改良されるものの、分子量の大きなグリコールを共重合することで耐熱安定性はさらに低下するという問題があった。
【0009】
また、ポリエステル樹脂の耐熱安定性を改善するためにヒンダードフェノール化合物が酸化防止剤として使用されているが、有機リン化合物を多く含有する樹脂に対してはその改善効果が十分でないばかりか、添加量を増量するとそれ自体が重縮合触媒を失活させ重合性が著しく低下するため実用的ではなかった。
さらに、フレキシブルフラットケーブル等の接着剤として使用される場合には、導体金属との接着性が必要となるが、これらの特性のバランスを取ることは難しかった。
【0010】
【特許文献1】
特公昭55−8033号公報
【特許文献2】
特開昭60−32874号公報
【特許文献3】
特開2002−3588号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、リン含有難燃性ポリエステル接着剤がもつ種々の問題を解消し、特に耐熱性が優れ、環境に対する負荷が少なく、しかも金属板及びポリエチレンテレフタレート(以下「PET」という)フィルム又はPETシートに対して良好な接着性を有する接着剤用ポリエステル樹脂を提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記問題を解決するために鋭意検討した結果、特定のグリコール成分を含有する共重合ポリエステル樹脂に、特定の有機リン化合物をポリエステル樹脂中に導入し、さらに特定量の熱安定剤を添加することで、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、(1)1種類以上のジカルボン酸成分と1種以上のグリコール成分からなる共重合ポリエステルであって、グリコール成分の少なくとも1種類が分子量500以上のポリテトラメチレンオキシドグリコール又はビスフェノール系化合物のポリアルキレンオキシド付加物であり、下記一般式▲1▼又は▲2▼で示されるエステル形成性の官能基を2つ以上有する有機リン化合物をポリエステル樹脂中のリン原子含有量が5000〜50000ppmとなる量含有し、かつ、ヒンダードフェノール化合物及びイオウ化合物が下記式▲3▼、▲4▼を満足する量含有し、ガラス転移温度が−30〜40℃であることを特徴とする接着剤用ポリエステル樹脂。
【0013】
【化3】
【0014】
(但し、R1は炭素数が1〜18のアルキル基、アリール基、モノヒドロキシアルキル基あるいはR2を介した環状体又は水素原子を、R2は炭素数が1〜12のアルキル基またはアリール基を、X1は水酸基、カルボキシル基またはその誘導体を、A1は2価以上の炭化水素基を表す。また、mは0又は1、nはAの価数から1を引いた数を表す。)
【0015】
【化4】
【0016】
(但し、R3は炭素数が1〜12のアルキル基またはアリール基を、A2、A3は2価の炭化水素基を、X2、X3は水酸基またはカルボキシル基を表す。)
0.5≦S/HP ▲3▼
0.1≦HP≦10 ▲4▼
(但し、HP、Sはそれぞれポリエステル樹脂中のヒンダードフェノール化合物及びイオウ化合物の含有量(質量%)を表す。)
(2)(1)記載のポリエステル樹脂を主成分とする接着剤
(3)(A)ポリエチレンテレフタレートフィルム又はポリエチレンテレフタレートシートの層、(B)(2)記載の接着剤の層、(C)金属板の層の順番で構成されていることを特徴とする積層体
(4)(3)記載の積層体からなるフレキシブルフラットケーブルである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のポリエステル樹脂は、1種類以上のジカルボン酸成分と、1種類以上のグリコール成分とからなり、更にエステル形成性の官能基を2つ以上有する有機リン化合物を共重合すると共に、ヒンダードフェノール化合物、イオウ化合物を含有するものである。
【0018】
ジカルボン酸成分としては、接着特性やコストの点から主としてテレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸が好ましく用いられる。また、必要に応じて、フタル酸及びその無水物、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、エイコサン二酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸等を併用してもよい。これらジカルボン酸成分はジアルキルエステル、酸塩化物等の誘導体を用いてもよく、単独、あるいは複合して使用することができる。
【0019】
また、本発明のポリエステル樹脂は、グリコール成分として少なくとも1種類がポリテトラメチレンオキシドグリコール又はビスフェノール系化合物のポリアルキレンオキシド付加物であることが必要である。これらを共重合することにより耐湿熱性が向上し、湿熱環境下での接着性低下が著しく改善できるとともに接着性、特に金属に対する接着性が向上する。
ここで、ポリテトラメチレンオキシドグリコールとしては、分子量500以上のものが必要であり、分子量が1000〜3000のものが、ポリエステル樹脂との反応性、相溶性の点で特に好ましい。
また、ビスフェノール系化合物のポリアルキレンオキシド付加物におけるビスフェノール系化合物としては、ビスフェノール−A、ビスフェノール−S、ビスフェノール−F、4,4’−ビフェノール等が挙げられ、これらのエチレンオキシド付加物、プロピレンオキシド付加物及びそれらの複合付加物を用いることが好ましい。
【0020】
上記のポリテトラメチレンオキシドグリコール及び/又はビスフェノール系化合物のポリアルキレンオキシド付加物の割合は、ポリエステル樹脂を構成する全グリコール成分に対して1〜40モル%であることが好ましく、さらに好ましくは5〜30モル%である。この割合が1モル%未満であれば、接着性及び耐湿熱性の改良効果が乏しく好ましくない。また、40モル%を越える場合には、重縮合時の反応性が低下し、所望とする重合度のポリエステル樹脂が得られないことがある。
【0021】
さらに、ポリテトラメチレンオキシドグリコール、ビスフェノール系化合物のポリアルキレンオキシド付加物以外に本発明のポリエステル樹脂に用いられるグリコール成分としては、、接着特性やコストの点から、主としてエチレングリコール、ネオペンチルグリコールが好ましく用いられる。また、必要に応じて、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等の脂肪族グリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジエタノール等の脂環族ジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール、スピログリコール等を併用しても良い。これらグリコール成分は、単独、あるいは複合して使用することができる。
【0022】
さらに、本発明の目的を損なわない範囲であれば、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸及びこれらの酸無水物等の多価カルボン酸、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン等の脂肪族ラクトン、4−オキシ安息香酸、4−(ヒドロキシエトキシ)安息香酸、5−ヒドロキシイソフタル酸等のオキシカルボン酸、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリン等の多価アルコールを共重合してもよい。
【0023】
本発明のポリエステル樹脂は、エステル形成性の官能基を2つ以上有する有機リン化合物をポリエステル樹脂中のリン原子含有量が5000〜50000ppmとなる量含有している必要がある。有機リン化合物がエステル形成性の官能基を有しない場合には、リン化合物の含有量を多くすると接着性が低下するだけでなく、ポリエステル鎖に共重合されないため重縮合反応時に飛散しやすく、また、塗布後にブリードする等の問題が生じる。エステル形成性の官能基が1つの場合には、重縮合反応を阻害するためポリエステル樹脂の重合度が上がらず、接着性が損なわれるため好ましくない。また、ポリエステル樹脂中のリン原子含有量が5000ppm未満ではポリエステル樹脂の難燃性能が不十分であり、50000ppmを越えると重縮合反応の反応性が低下するだけでなく、接着性が損なわれる等の問題が生ずることがある。
【0024】
有機リン化合物としては、有機リン化合物の残存率、ポリエステル樹脂との反応性等の点から、前記式▲1▼又は前記式▲2▼で示される化合物である必要がある。
前記式▲1▼で示される有機リン化合物における好ましい具体例としては、次のような構造式のものが挙げられる。
【0025】
【化5】
【0026】
また、上記有機リン化合物のエステル形成性誘導体として、アルキルエステル、ヒドロキシアルキルエステル等も使用することができる。
【0027】
前記式▲2▼で示される有機リン化合物における好ましい具体例としては、次のような構造式のものが挙げられる。
【0028】
【化6】
【0029】
さらに、上記有機リン化合物のエステル形成性誘導体として、アルキルエステル、ヒドロキシアルキルエステル等も使用することができる。
【0030】
上記の有機リン化合物は単独で使用しても、併用しても差し支えない。さらに、本発明の目的を損なわない範囲であれば、上記以外の有機リン化合物を併用しても差し支えない。
【0031】
本発明のポリエステル樹脂は、ヒンダードフェノール化合物及びイオウ化合物化合物を含有している必要があり、それらヒンダードフェノール化合物及びイオウ化合物の含有量は下記一般式▲3▼及び▲4▼を満足する必要がある。
0.5≦S/HP ▲3▼
0.1≦HP≦10 ▲4▼
ただし、HP、Sはそれぞれポリエステル樹脂中のヒンダードフェノール化合物及びイオウ化合物の含有量(質量%)を表す。
【0032】
S/HPが0.5に満たない場合には、イオウ化合物によるヒンダードフェノール化合物の酸化防止能を再生する効果が不十分であり、高温環境下におけるポリエステル樹脂の耐熱耐久性が改善されないため好ましくない。また、S/HPの上限は特にないが、コストや耐熱安定性の改良効果の点から10以下であることが好ましい。
HPが0.1質量%に満たない場合には、十分な酸化防止効果が得られないためポリエステル樹脂の耐熱安定性は改善されず好ましくない。また、HPが10質量%を越える場合には、耐熱安定性の改良効果が飽和するとともに、重合性が低下するため好ましくない。
【0033】
このようなヒンダードフェノール化合物としては、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、テトラキス{メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}メタン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒジロキシフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコール−ビス{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート}、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、ブチルヒドロキシアニソール、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等が挙げられ、好ましくは3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、テトラキス{メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}メタンである。
【0034】
また、イオウ化合物としては、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート等や、チオエーテル化合物が挙げられ、好ましくはペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)である。
【0035】
本発明のポリエステル樹脂は、ガラス転移温度が−30〜40℃の範囲内である必要があり、好ましくは、−20〜25℃である。ガラス転移温度が−30℃に満たない場合には、樹脂の取り扱いが難しく、接着剤としての性能、特に高温領域(50〜120℃)での接着強力が低下し好ましくない。一方、40℃を越える場合には、高分子量のポリエステル樹脂が得られ難く、十分な接着強力が得られない。さらに、溶剤への溶解性も低下するため好ましくない。
【0036】
本発明のポリエステル樹脂は、軟化温度が60〜130℃の範囲内であることが好ましい。さらに好ましくは、70〜100℃である。軟化温度が60℃に満たない場合には、接着剤を塗布したフィルムがブロッキングしやすく、ブロッキング防止剤などを添加しても改良することが実質的にできなくなることがある。一方、130℃を越える場合には、接着剤を塗布したフィルムを熱ラミネートするためには、軟化温度以上の温度に加熱する必要があり、その際PETフィルムが収縮し寸法安定性が悪くなる傾向がある。
【0037】
また、本発明のポリエステル樹脂は、接着力維持の観点から、極限粘度が0.4以上であることが好ましい。さらに好ましくは0.45〜1.20である。
【0038】
本発明のポリエステル樹脂を製造する方法は、特に限定されるものではなく、従来公知のポリエステル樹脂の製造方法を用いることができる。例えば、前記のようなジカルボン酸成分、グリコール成分(それらのエステル形成性誘導体を含む)、有機リン化合物、ヒンダードフェノール化合物、イオウ化合物を原料とし、常法によって、150〜280℃の温度でエステル化又はエステル交換反応を行った後、重縮合触媒を添加し5hPa以下の減圧下、200〜300℃、好ましくは230〜280℃の温度で重縮合反応を行うことで調製することができる。さらに、目的、用途によっては重縮合反応により得られたポリマーに、酸成分及び/又はグリコール成分を添加して、220〜280℃の温度で解重合反応を行う方法で調製することもできる。この際、前記有機リン化合物は重縮合反応以前の任意の段階で添加できるが、エステル化又はエステル交換反応前に添加することが好ましい。また、ヒンダードフェノール化合物、イオウ化合物はポリエステル樹脂の製造工程の任意の段階で添加することとができるが、重縮合反応以前の段階で添加することが好ましい。
【0039】
上記のポリエステル樹脂を製造する際に使用する触媒としては、従来公知の金属化合物を用いることができる。具体的には、亜鉛、アンチモン、ゲルマニウム、スズ、チタン、アルミニウム、コバルト等の有機酸塩、酸化物、アルコキシド、アルキル化合物等が挙げられる。
【0040】
なお、ポリエステル樹脂を重縮合する際には、トリフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、リン酸等の安定剤や、ホスファイト化合物、ヒンダードアミン化合物のような酸化防止剤、二酸化チタン等の艶消し剤等を、本発明の特性を損なわない範囲で添加してもよい。
【0041】
本発明のポリエステル樹脂は、種々の金属やプラスチックに対する接着剤として使用することができる。プラスチックとしては、具体的には、ポリ塩化ビニルやポリ塩化ビニリデン等の塩素系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリブチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリスチレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂等が挙げられ、金属としては、銅、鉄、アルミニウム、ブリキ等が挙げられる。また、被着体の形状は、フィルム状、シート状、板状には限定されず、繊維状、円筒状、その他のいかなる形状になっていても構わないが、なかでも、PETフィルム(又はPETシート)と金属板に特に良好な接着性を有する。
【0042】
次に、本発明の接着剤について説明する。
本発明の接着剤は上記ポリエステル樹脂を含有したものであり、単独で使用してもよいし、必要に応じてイソシアネート樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等の硬化剤と併用してもよい。このような硬化剤を併用することで、接着剤の耐熱安定性、耐湿熱性を更に高めることができる。
【0043】
また、難燃剤を併用することで難燃性を更に向上させることができる。例えばトリフェニルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート、トリキシレニルフォスフェート、トリエチルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニル)フォスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニル)フォスフェート、有機フォスフィンオキサイド、赤燐等のリン系難燃剤、ポリリン酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、フォスファゼン、シクロフォスファゼン、トリアジン、メラミンシアヌレート、サクシノグアナミン、エチレンジメラミン、トリグアナミン、シアヌル酸トリアジニル塩、メラム、メレム、硫酸グアニルメラミン、硫酸メラム、硫酸メレム等の窒素系難燃剤、芳香族スルホンイミド金属塩などの金属塩系難燃剤、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化バリウム、塩基性炭酸マグネシウム、水酸化ジルコニウム、酸化スズ等の水和物金属系難燃剤、シリカ、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化マンガン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化モリブデン、酸化ビスマス、酸化スズ、酸化タングステン、硼酸亜鉛、メタ硼酸亜鉛、メタ硼酸バリウム、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫化亜鉛等の無機系難燃剤、硫化亜鉛等の金属硫化物、ポリアルキルシリコーン、ポリアリールシリコーン、シリコーンパウダー等のケイ素系難燃剤である。
【0044】
さらに、本発明の接着剤には必要に応じて、リン酸等の熱安定剤、ヒンダードアミン化合物のような酸化防止剤、タルクやシリカ等の滑剤、酸化チタン等の顔料、充填剤、帯電防止剤、発泡剤等の従来公知の添加剤を含有させても差し支えない。
【0045】
また、本発明の接着剤は、有機溶剤に溶解した溶液であることが好ましい。このような有機溶剤としては、本発明のポリエステル樹脂を溶解させるものなら特に限定されないが、具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系の溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素系の溶剤、酢酸エチル、イソホロン、γ−ブチロラクトン等のエステル系の溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系の溶剤、ジエチルエーテル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系の溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール系の溶剤、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、ノナン等の脂肪族炭化水素系の溶剤、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環族炭化水素系の溶剤等が挙げられる。これらは単独で用いても、複数種混合して用いてもよい。
【0046】
有機溶剤に溶解させる場合の濃度としては、20質量%以上であることが好ましく、さらに好ましくは25〜50質量%である。20質量%未満では、接着剤を塗布後に除去すべき有機溶剤が多くなるため、生産性が低下する。
【0047】
このようにして得られた接着剤は、PETフィルム又はPETシートの層、本発明の接着剤からなる層及び金属板の層の順序で構成された積層体として、電気、電子分野、機械分野、食品分野、建築分野、自動車分野で好適に用いられる。
【0048】
次に、本発明の積層体及びその製造方法について説明する。
ここで、PETフィルムとは、JIS Z−0108に記載されているように厚み0.25mm以下のものをいい、PETシートとは、厚み0.25mmを超えるものであり、その表面にコロナ処理を施したり、あるいは、易接着樹脂層を設ける等の易接着処理を施してもよい。
【0049】
また、金属板としては、特に限定されないが、銅、鉄、アルミニウム、ブリキ等の板が好ましく、汎用に使用されている種々の金属合金板でも良い。また、こうした金属板は、スズ、亜鉛などのメッキ品、あるいはリン酸亜鉛、クロメートなどの化成処理品であっても良い。
【0050】
本発明の積層体における接着剤の層の形成方法は、特に限定されないが、例えば、有機溶剤の溶液とした本発明の接着剤を、PETフィルム又はPETシートの層上に塗布し、次いで溶媒を除去することで、接着層を形成することができる。また、金属板の層に接着剤を塗布し、溶媒を除去することにより接着層を形成することもできる。
【0051】
次に、PETフィルム又はPETシートの層、接着剤の層及び金属板の層となるように配置し、ヒートシール、ロール接着、加熱圧着等、従来公知の方法によって積層体とする。
この際、接着剤の層(B)を介して被着体同士を接着する際の被着体(通常は金属板)の予熱温度は、100〜220℃の範囲とすることが好ましく、150℃〜200℃の範囲とすることがより好ましい。予熱温度が100℃未満である場合には、圧力をいくら上昇させても接着強力が大きいものが得られない。一方、予熱温度が 220℃を超える場合には、被着体であるPETフィルム又はPETシート)の層が変形したり、しわ等が発生するので好ましくない。また、接着する際の圧力は20kPa以上とすることが好ましく、50〜300kPaとすることがより好ましい。接着時の圧力が20kPa未満では、予熱温度を高くし、かつ圧着時間を長くしても接着強力が大きいものが得られない。さらに、接着時の圧着時間は 0.2〜5秒であることが好ましい。圧着時間が0.2秒未満では、予熱温度を上昇させても接着強力が大きいものが得られない。一方、圧着時間が5秒を超えると、得られる積層体の接着強力には問題がないが、生産性に劣るので好ましくない。
【0052】
【作用】
本発明の接着剤用ポリエステル樹脂は、使用に十分な耐湿熱性、難燃性、柔軟性、耐ブロッキング性を有しており、接着性、特に金属に対する接着性に優れたものである。
ポリテトラメチレンオキシドグリコール及び/又はビスフェノール系化合物のポリアルキレンオキシド付加物が共重合されていることで金属に対する密着性が向上すると共に、繰り返し単位当たりの平均分子量が大きくなるため、ポリエステル樹脂中のエステル基濃度が低下し、加水分解が起こり難くなり耐湿熱性が向上する。
また、難燃剤である有機リン化合物が、ポリエステル樹脂に共重合されているため、難燃剤とポリエステル樹脂との相溶性不良によるブリードや接着性の低下がない。
さらに、酸化防止剤として寄与したヒンダードフェノール化合物をイオウ化合物が再生することで、ヒンダードフェノール化合物の酸化防止効果が向上し、ポリエステル樹脂の耐熱安定性が著しく向上している。
【0053】
【実施例】
次に、実施例をあげて本発明を詳述する。各種評価方法は下記の通りである。
リン原子の含有量
リガク社製蛍光X線スペクトロメータ 3270型にて測定した。
極限粘度([η])
ポリエステル樹脂をフェノールと四塩化エタンとの等重量混合物を溶媒とし、20℃で測定した溶液粘度から求めた値である。
ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)
セイコー電子工業社製の示差走査熱量計SSC5200型を用いて、昇温速度
10℃/分で測定した。
耐熱安定性
ポリエステル樹脂を110℃の熱風乾燥機中で96時間処理して、その前後の極限粘度を上記の方法で測定し、次式により極限粘度の保持率を求め、90%以上を合格とした。
耐熱安定性(%)=(熱処理後の[η])÷(熱処理前の[η])×100
耐湿熱性
ポリエステル樹脂を40℃、95%RHの恒温恒湿槽中で96時間処理して、その前後の極限粘度を上記の方法で測定し、極限粘度の保持率を次式により求め、90%以上を合格とした。
耐湿熱性(%)=(湿熱処理後の[η])÷(湿熱処理前の[η])×100
限界酸素指数(以下LOIと略す)
JIS K7201に準じて燃焼試験を行い、LOIを求めた。27以上を合格とした。
積層体の接着強力
オリエンテック社製テンシロンRTC−1210型を用いて20℃及び60℃の雰囲気下、及び積層体を110℃の熱風乾燥機中に入れ、96時間処理した後、あるいは60℃、95%RHの恒温恒湿槽中に入れ96時間処理した後、20℃の雰囲気下で、引張速度50mm/分でサンプル幅10mmの積層体の接着強力をそれぞれ測定した。接着強力が10N/cm以上を合格とした。
【0054】
実施例1
テレフタル酸8.9kg(53.6モル部)、イソフタル酸4.5kg(26.8モル部)、ネオペンチルグリコール10.9kg(93.8モル部)、ポリテトラメチレングリコール(分子量1000)13.4kg(13.4モル部)、前記リン化合物(A)のエチレングリコールエステルの63質量%エチレングリコール溶液37.0kg(53.6モル部)、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(旭電化社製ヒンダードフェノール系酸化防止剤AO−80)50g(生成するポリエステル樹脂に対して0.1質量%)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)(旭電化社製イオウ系酸化防止剤AO−412S)150g(生成するポリエステル樹脂に対して0.3質量%)をエステル化反応槽に仕込み、圧力0.1MPaG、温度250℃で4時間エステル化反応を行った。
得られたエステル化物を重縮合反応槽に移送した後、重縮合触媒としてテトラブチルチタネート46g(ポリエステル樹脂を構成する酸成分1モルに対して10×10−4モル)添加した。次いで、60分間で反応系内を最終的に0.4hPaとなるまで徐々に減圧し、255℃で3時間重縮合反応を行いポリエステル樹脂を得た。
【0055】
表1に得られたポリエステル樹脂の組成と特性値、および耐熱安定性、耐湿熱性試験、燃焼試験を行った結果を示す。
【0056】
実施例2〜7、比較例1〜8
得られるポリエステル樹脂の組成が表1及び表2に示した割合となるように、原料の仕込量を変えた以外は、実施例1と同様にしてポリエステル樹脂を得た。
【0057】
表1及び表2に得られたポリエステル樹脂の組成と特性値、および耐熱安定性試験、耐湿熱性試験、燃焼試験を行った結果を示す。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
表中のポリエステル樹脂組成の略号はそれぞれ、PTMG1000:ポリテトラメチレンオキシドグリコール(分子量1000)、PTMG2000:ポリテトラメチレンオキシドグリコール(分子量2000)、BA−EO:ビスフェノール−Aのエチレンオキシド2モル付加物、BS−EO:ビスフェノール−Sのエチレンオキシド2モル付加物を示す。
また、HPはヒンダードフェノール化合物の含有量、Sはイオウ化合物の含有量を示す。
【0061】
実施例8〜15、比較例9〜15
表3及び表4で示したポリエステル樹脂を、トルエンとメチルエチルケトンとの混合溶媒(体積比1/1)に30重量%の濃度となるように溶解し、ポリエステル接着剤溶液を得た。
その溶液を25μmのポリエステルフィルム上に塗布後、乾燥機に入れ、80℃で2分間、引き続き150℃で3分間乾燥して溶媒を除去し、10μm厚の接着剤層を形成した。次いで、180℃に予熱した表2に示す金属板を接着剤層と接するように、上記の接着剤層を形成したポリエステルフィルムを配置し、圧力0.1MPa、圧着時間1秒の条件で、シーラーにより圧着して、ポリエステルフィルム/ポリエステル接着剤層/金属板からなる積層体を得た。
【0062】
表3及び表4に得られた積層体の特性を示す。
【0063】
【表3】
【0064】
【表4】
【0065】
表1及び表3から明らかなように、実施例1〜7のポリエステル樹脂は耐熱安定性、耐湿熱性及び難燃性が良好なものであり、これらのポリエステル樹脂を使用した実施例8〜15の積層体は接着性、耐熱性及び耐湿熱性は良好なものだった。
これに対して、比較例では次のような問題があった。
比較例1では、有機リン化合物を添加していないため、難燃性が認められなかった。
比較例2では、ヒンダードフェノール化合物及びイオウ化合物を含有していないため、耐熱安定性が悪かった。また、比較例9に示すように、積層体としたときの耐熱安定性も悪かった。
比較例3では、ヒンダードフェノール化合物に対するイオウ化合物の含有量が0.5未満であるため、熱処理による極限粘度の低下が大きくなっており、耐熱安定性が悪かった。また、比較例10に示すように、積層体としたときの耐熱安定性も悪かった。
比較例4では、ヒンダードフェノール化合物の含有量が多いため、重縮合触媒が失活しポリエステル樹脂の重合度が上がり難かった。また、比較例11に示すように、積層体としたときの高温雰囲気下での接着強力が低下した。
比較例5では、有機リン化合物の添加量が多いため、耐湿熱性が悪かった。また、比較例12に示すように、積層体としたときには被着材との密着性が低くなり、高温雰囲気下での接着強力及び、耐湿熱性とも低かった。
比較例6は、ポリテトラメチレンオキシドグリコール又は、ビスフェノール系化合物のポリアルキレングリコール付加物が共重合されていないため、湿熱処理による極限粘度保持率が低く、また、比較例13に示すように、積層体としたときの耐湿熱性も悪かった。
比較例7は、ガラス転移温度が低いため、比較例14に示すように、積層体としたときの、60℃での接着強力が低く耐熱性がなかった。
比較例8は、ガラス転移温度が高いため、高分子量のポリエステル樹脂を得ることが難しく、比較例15に示すように、積層体としたときに十分な接着強力が得られなかった。また、溶剤に対する溶解性も低いため、濃度を下げて溶剤に溶解させる必要があった。
【0066】
【発明の効果】
本発明によれば、優れた耐熱安定性、難燃性、耐湿熱性を有し、金属板及びPETフィルム又はPETシートに対して良好な接着性を有するポリエステル接着剤を得ることができる。従って、本発明のポリエステル樹脂は、電気、電子分野、機械分野、食品分野、建築分野、自動車分野の接着剤、具体的には、電線被覆剤、フレキシブルフラットケーブル等の電気部品、PCM塗料、建材、食品や医薬品等の包装材の接着剤用樹脂として特に好適に利用することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は接着剤に好適なポリエステル樹脂に関するものであり、さらに詳しくは、耐熱性、耐湿性、難燃性が要求される電子機器関連の分野で有用であり、接着性が良好な接着剤用ポリエステル樹脂に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートに代表されるポリエステル樹脂は、その優れた機械的強度、熱安定性、疎水性、耐薬品性を生かし、繊維、フィルム、成形材料等として各種分野で広く利用されている。
【0003】
また、その構成成分であるジカルボン酸及びグリコール成分に他の成分を導入することにより、様々な特徴を有する共重合ポリエステルを得ることが可能であり、接着剤、コーティング剤、インキバインダー、塗料等に広く使用されている。このような共重合ポリエステル樹脂は一般的にポリエステル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル樹脂等のプラスチック類、あるいはアルミニウム、銅等の金属箔に対する優れた接着性を有することが知られている。
【0004】
これらの特性を利用し、電子機器や自動車、建材等の用途でも共重合ポリエステル接着剤が使用されているが、安全性の点から高度な難燃性が要求されており、その基材だけでなく、接着層の難燃性も必要とされている。
【0005】
このような状況から、特許文献1や特許文献2には、有機ハロゲン化合物や、三酸化アンチモン等の無機化合物を添加することで難燃性を付与した接着剤が開示されている。これらの難燃剤は安価であり、かつ優れた難燃性を有するためこれまで広く使用されてきた。しかし、近年になって、ハロゲン化合物は燃焼時に猛毒のダイオキシンを発生し、アンチモンは環境負荷の要監視物質として取り上げられる等、環境に対する負荷が大きいことが分かり、環境の問題から非ハロゲン、非アンチモン化の要望が強くなっている。
【0006】
そこで、リン系の難燃剤を接着剤に添加し、難燃性を付与する試みがなされてきたが、充分な難燃性を付与するには難燃剤を多量に添加する必要があり、その結果、難燃剤がブリードしたり、接着強力が低下するなどの問題があった。
【0007】
また、このような用途にはガラス転移温度が低いポリエステル接着剤が好適に使用されているが、このような樹脂を難燃化するために、有機リン系化合物を共重合すると、ガラス転移温度が低いこととリン化合物をポリエステル鎖中に導入したことにより、ポリエステル樹脂自体の耐加水分解性が著しく低下し、保存時にも経時で粘度低下し易く、長期使用での信頼性に問題があった。さらに有機リン化合物は重縮合触媒の失活剤としても作用するため、高分子量のポリエステル樹脂を得るためには重縮合触媒を多量に添加する必要があり、ポリエステル樹脂の耐熱安定性が低下するという問題がある。
【0008】
特許文献3には、比較的分子量の大きなグリコールを共重合することで耐加水分解性を改良する方法が開示されているが、この方法では耐加水分解性は改良されるものの、分子量の大きなグリコールを共重合することで耐熱安定性はさらに低下するという問題があった。
【0009】
また、ポリエステル樹脂の耐熱安定性を改善するためにヒンダードフェノール化合物が酸化防止剤として使用されているが、有機リン化合物を多く含有する樹脂に対してはその改善効果が十分でないばかりか、添加量を増量するとそれ自体が重縮合触媒を失活させ重合性が著しく低下するため実用的ではなかった。
さらに、フレキシブルフラットケーブル等の接着剤として使用される場合には、導体金属との接着性が必要となるが、これらの特性のバランスを取ることは難しかった。
【0010】
【特許文献1】
特公昭55−8033号公報
【特許文献2】
特開昭60−32874号公報
【特許文献3】
特開2002−3588号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、リン含有難燃性ポリエステル接着剤がもつ種々の問題を解消し、特に耐熱性が優れ、環境に対する負荷が少なく、しかも金属板及びポリエチレンテレフタレート(以下「PET」という)フィルム又はPETシートに対して良好な接着性を有する接着剤用ポリエステル樹脂を提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記問題を解決するために鋭意検討した結果、特定のグリコール成分を含有する共重合ポリエステル樹脂に、特定の有機リン化合物をポリエステル樹脂中に導入し、さらに特定量の熱安定剤を添加することで、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、(1)1種類以上のジカルボン酸成分と1種以上のグリコール成分からなる共重合ポリエステルであって、グリコール成分の少なくとも1種類が分子量500以上のポリテトラメチレンオキシドグリコール又はビスフェノール系化合物のポリアルキレンオキシド付加物であり、下記一般式▲1▼又は▲2▼で示されるエステル形成性の官能基を2つ以上有する有機リン化合物をポリエステル樹脂中のリン原子含有量が5000〜50000ppmとなる量含有し、かつ、ヒンダードフェノール化合物及びイオウ化合物が下記式▲3▼、▲4▼を満足する量含有し、ガラス転移温度が−30〜40℃であることを特徴とする接着剤用ポリエステル樹脂。
【0013】
【化3】
【0014】
(但し、R1は炭素数が1〜18のアルキル基、アリール基、モノヒドロキシアルキル基あるいはR2を介した環状体又は水素原子を、R2は炭素数が1〜12のアルキル基またはアリール基を、X1は水酸基、カルボキシル基またはその誘導体を、A1は2価以上の炭化水素基を表す。また、mは0又は1、nはAの価数から1を引いた数を表す。)
【0015】
【化4】
【0016】
(但し、R3は炭素数が1〜12のアルキル基またはアリール基を、A2、A3は2価の炭化水素基を、X2、X3は水酸基またはカルボキシル基を表す。)
0.5≦S/HP ▲3▼
0.1≦HP≦10 ▲4▼
(但し、HP、Sはそれぞれポリエステル樹脂中のヒンダードフェノール化合物及びイオウ化合物の含有量(質量%)を表す。)
(2)(1)記載のポリエステル樹脂を主成分とする接着剤
(3)(A)ポリエチレンテレフタレートフィルム又はポリエチレンテレフタレートシートの層、(B)(2)記載の接着剤の層、(C)金属板の層の順番で構成されていることを特徴とする積層体
(4)(3)記載の積層体からなるフレキシブルフラットケーブルである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のポリエステル樹脂は、1種類以上のジカルボン酸成分と、1種類以上のグリコール成分とからなり、更にエステル形成性の官能基を2つ以上有する有機リン化合物を共重合すると共に、ヒンダードフェノール化合物、イオウ化合物を含有するものである。
【0018】
ジカルボン酸成分としては、接着特性やコストの点から主としてテレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸が好ましく用いられる。また、必要に応じて、フタル酸及びその無水物、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、エイコサン二酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸等を併用してもよい。これらジカルボン酸成分はジアルキルエステル、酸塩化物等の誘導体を用いてもよく、単独、あるいは複合して使用することができる。
【0019】
また、本発明のポリエステル樹脂は、グリコール成分として少なくとも1種類がポリテトラメチレンオキシドグリコール又はビスフェノール系化合物のポリアルキレンオキシド付加物であることが必要である。これらを共重合することにより耐湿熱性が向上し、湿熱環境下での接着性低下が著しく改善できるとともに接着性、特に金属に対する接着性が向上する。
ここで、ポリテトラメチレンオキシドグリコールとしては、分子量500以上のものが必要であり、分子量が1000〜3000のものが、ポリエステル樹脂との反応性、相溶性の点で特に好ましい。
また、ビスフェノール系化合物のポリアルキレンオキシド付加物におけるビスフェノール系化合物としては、ビスフェノール−A、ビスフェノール−S、ビスフェノール−F、4,4’−ビフェノール等が挙げられ、これらのエチレンオキシド付加物、プロピレンオキシド付加物及びそれらの複合付加物を用いることが好ましい。
【0020】
上記のポリテトラメチレンオキシドグリコール及び/又はビスフェノール系化合物のポリアルキレンオキシド付加物の割合は、ポリエステル樹脂を構成する全グリコール成分に対して1〜40モル%であることが好ましく、さらに好ましくは5〜30モル%である。この割合が1モル%未満であれば、接着性及び耐湿熱性の改良効果が乏しく好ましくない。また、40モル%を越える場合には、重縮合時の反応性が低下し、所望とする重合度のポリエステル樹脂が得られないことがある。
【0021】
さらに、ポリテトラメチレンオキシドグリコール、ビスフェノール系化合物のポリアルキレンオキシド付加物以外に本発明のポリエステル樹脂に用いられるグリコール成分としては、、接着特性やコストの点から、主としてエチレングリコール、ネオペンチルグリコールが好ましく用いられる。また、必要に応じて、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等の脂肪族グリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジエタノール等の脂環族ジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール、スピログリコール等を併用しても良い。これらグリコール成分は、単独、あるいは複合して使用することができる。
【0022】
さらに、本発明の目的を損なわない範囲であれば、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸及びこれらの酸無水物等の多価カルボン酸、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン等の脂肪族ラクトン、4−オキシ安息香酸、4−(ヒドロキシエトキシ)安息香酸、5−ヒドロキシイソフタル酸等のオキシカルボン酸、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリン等の多価アルコールを共重合してもよい。
【0023】
本発明のポリエステル樹脂は、エステル形成性の官能基を2つ以上有する有機リン化合物をポリエステル樹脂中のリン原子含有量が5000〜50000ppmとなる量含有している必要がある。有機リン化合物がエステル形成性の官能基を有しない場合には、リン化合物の含有量を多くすると接着性が低下するだけでなく、ポリエステル鎖に共重合されないため重縮合反応時に飛散しやすく、また、塗布後にブリードする等の問題が生じる。エステル形成性の官能基が1つの場合には、重縮合反応を阻害するためポリエステル樹脂の重合度が上がらず、接着性が損なわれるため好ましくない。また、ポリエステル樹脂中のリン原子含有量が5000ppm未満ではポリエステル樹脂の難燃性能が不十分であり、50000ppmを越えると重縮合反応の反応性が低下するだけでなく、接着性が損なわれる等の問題が生ずることがある。
【0024】
有機リン化合物としては、有機リン化合物の残存率、ポリエステル樹脂との反応性等の点から、前記式▲1▼又は前記式▲2▼で示される化合物である必要がある。
前記式▲1▼で示される有機リン化合物における好ましい具体例としては、次のような構造式のものが挙げられる。
【0025】
【化5】
【0026】
また、上記有機リン化合物のエステル形成性誘導体として、アルキルエステル、ヒドロキシアルキルエステル等も使用することができる。
【0027】
前記式▲2▼で示される有機リン化合物における好ましい具体例としては、次のような構造式のものが挙げられる。
【0028】
【化6】
【0029】
さらに、上記有機リン化合物のエステル形成性誘導体として、アルキルエステル、ヒドロキシアルキルエステル等も使用することができる。
【0030】
上記の有機リン化合物は単独で使用しても、併用しても差し支えない。さらに、本発明の目的を損なわない範囲であれば、上記以外の有機リン化合物を併用しても差し支えない。
【0031】
本発明のポリエステル樹脂は、ヒンダードフェノール化合物及びイオウ化合物化合物を含有している必要があり、それらヒンダードフェノール化合物及びイオウ化合物の含有量は下記一般式▲3▼及び▲4▼を満足する必要がある。
0.5≦S/HP ▲3▼
0.1≦HP≦10 ▲4▼
ただし、HP、Sはそれぞれポリエステル樹脂中のヒンダードフェノール化合物及びイオウ化合物の含有量(質量%)を表す。
【0032】
S/HPが0.5に満たない場合には、イオウ化合物によるヒンダードフェノール化合物の酸化防止能を再生する効果が不十分であり、高温環境下におけるポリエステル樹脂の耐熱耐久性が改善されないため好ましくない。また、S/HPの上限は特にないが、コストや耐熱安定性の改良効果の点から10以下であることが好ましい。
HPが0.1質量%に満たない場合には、十分な酸化防止効果が得られないためポリエステル樹脂の耐熱安定性は改善されず好ましくない。また、HPが10質量%を越える場合には、耐熱安定性の改良効果が飽和するとともに、重合性が低下するため好ましくない。
【0033】
このようなヒンダードフェノール化合物としては、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、テトラキス{メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}メタン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒジロキシフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコール−ビス{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート}、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、ブチルヒドロキシアニソール、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等が挙げられ、好ましくは3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、テトラキス{メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}メタンである。
【0034】
また、イオウ化合物としては、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート等や、チオエーテル化合物が挙げられ、好ましくはペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)である。
【0035】
本発明のポリエステル樹脂は、ガラス転移温度が−30〜40℃の範囲内である必要があり、好ましくは、−20〜25℃である。ガラス転移温度が−30℃に満たない場合には、樹脂の取り扱いが難しく、接着剤としての性能、特に高温領域(50〜120℃)での接着強力が低下し好ましくない。一方、40℃を越える場合には、高分子量のポリエステル樹脂が得られ難く、十分な接着強力が得られない。さらに、溶剤への溶解性も低下するため好ましくない。
【0036】
本発明のポリエステル樹脂は、軟化温度が60〜130℃の範囲内であることが好ましい。さらに好ましくは、70〜100℃である。軟化温度が60℃に満たない場合には、接着剤を塗布したフィルムがブロッキングしやすく、ブロッキング防止剤などを添加しても改良することが実質的にできなくなることがある。一方、130℃を越える場合には、接着剤を塗布したフィルムを熱ラミネートするためには、軟化温度以上の温度に加熱する必要があり、その際PETフィルムが収縮し寸法安定性が悪くなる傾向がある。
【0037】
また、本発明のポリエステル樹脂は、接着力維持の観点から、極限粘度が0.4以上であることが好ましい。さらに好ましくは0.45〜1.20である。
【0038】
本発明のポリエステル樹脂を製造する方法は、特に限定されるものではなく、従来公知のポリエステル樹脂の製造方法を用いることができる。例えば、前記のようなジカルボン酸成分、グリコール成分(それらのエステル形成性誘導体を含む)、有機リン化合物、ヒンダードフェノール化合物、イオウ化合物を原料とし、常法によって、150〜280℃の温度でエステル化又はエステル交換反応を行った後、重縮合触媒を添加し5hPa以下の減圧下、200〜300℃、好ましくは230〜280℃の温度で重縮合反応を行うことで調製することができる。さらに、目的、用途によっては重縮合反応により得られたポリマーに、酸成分及び/又はグリコール成分を添加して、220〜280℃の温度で解重合反応を行う方法で調製することもできる。この際、前記有機リン化合物は重縮合反応以前の任意の段階で添加できるが、エステル化又はエステル交換反応前に添加することが好ましい。また、ヒンダードフェノール化合物、イオウ化合物はポリエステル樹脂の製造工程の任意の段階で添加することとができるが、重縮合反応以前の段階で添加することが好ましい。
【0039】
上記のポリエステル樹脂を製造する際に使用する触媒としては、従来公知の金属化合物を用いることができる。具体的には、亜鉛、アンチモン、ゲルマニウム、スズ、チタン、アルミニウム、コバルト等の有機酸塩、酸化物、アルコキシド、アルキル化合物等が挙げられる。
【0040】
なお、ポリエステル樹脂を重縮合する際には、トリフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、リン酸等の安定剤や、ホスファイト化合物、ヒンダードアミン化合物のような酸化防止剤、二酸化チタン等の艶消し剤等を、本発明の特性を損なわない範囲で添加してもよい。
【0041】
本発明のポリエステル樹脂は、種々の金属やプラスチックに対する接着剤として使用することができる。プラスチックとしては、具体的には、ポリ塩化ビニルやポリ塩化ビニリデン等の塩素系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリブチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリスチレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂等が挙げられ、金属としては、銅、鉄、アルミニウム、ブリキ等が挙げられる。また、被着体の形状は、フィルム状、シート状、板状には限定されず、繊維状、円筒状、その他のいかなる形状になっていても構わないが、なかでも、PETフィルム(又はPETシート)と金属板に特に良好な接着性を有する。
【0042】
次に、本発明の接着剤について説明する。
本発明の接着剤は上記ポリエステル樹脂を含有したものであり、単独で使用してもよいし、必要に応じてイソシアネート樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等の硬化剤と併用してもよい。このような硬化剤を併用することで、接着剤の耐熱安定性、耐湿熱性を更に高めることができる。
【0043】
また、難燃剤を併用することで難燃性を更に向上させることができる。例えばトリフェニルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート、トリキシレニルフォスフェート、トリエチルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニル)フォスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニル)フォスフェート、有機フォスフィンオキサイド、赤燐等のリン系難燃剤、ポリリン酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、フォスファゼン、シクロフォスファゼン、トリアジン、メラミンシアヌレート、サクシノグアナミン、エチレンジメラミン、トリグアナミン、シアヌル酸トリアジニル塩、メラム、メレム、硫酸グアニルメラミン、硫酸メラム、硫酸メレム等の窒素系難燃剤、芳香族スルホンイミド金属塩などの金属塩系難燃剤、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化バリウム、塩基性炭酸マグネシウム、水酸化ジルコニウム、酸化スズ等の水和物金属系難燃剤、シリカ、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化マンガン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化モリブデン、酸化ビスマス、酸化スズ、酸化タングステン、硼酸亜鉛、メタ硼酸亜鉛、メタ硼酸バリウム、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫化亜鉛等の無機系難燃剤、硫化亜鉛等の金属硫化物、ポリアルキルシリコーン、ポリアリールシリコーン、シリコーンパウダー等のケイ素系難燃剤である。
【0044】
さらに、本発明の接着剤には必要に応じて、リン酸等の熱安定剤、ヒンダードアミン化合物のような酸化防止剤、タルクやシリカ等の滑剤、酸化チタン等の顔料、充填剤、帯電防止剤、発泡剤等の従来公知の添加剤を含有させても差し支えない。
【0045】
また、本発明の接着剤は、有機溶剤に溶解した溶液であることが好ましい。このような有機溶剤としては、本発明のポリエステル樹脂を溶解させるものなら特に限定されないが、具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系の溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素系の溶剤、酢酸エチル、イソホロン、γ−ブチロラクトン等のエステル系の溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系の溶剤、ジエチルエーテル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系の溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール系の溶剤、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、ノナン等の脂肪族炭化水素系の溶剤、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環族炭化水素系の溶剤等が挙げられる。これらは単独で用いても、複数種混合して用いてもよい。
【0046】
有機溶剤に溶解させる場合の濃度としては、20質量%以上であることが好ましく、さらに好ましくは25〜50質量%である。20質量%未満では、接着剤を塗布後に除去すべき有機溶剤が多くなるため、生産性が低下する。
【0047】
このようにして得られた接着剤は、PETフィルム又はPETシートの層、本発明の接着剤からなる層及び金属板の層の順序で構成された積層体として、電気、電子分野、機械分野、食品分野、建築分野、自動車分野で好適に用いられる。
【0048】
次に、本発明の積層体及びその製造方法について説明する。
ここで、PETフィルムとは、JIS Z−0108に記載されているように厚み0.25mm以下のものをいい、PETシートとは、厚み0.25mmを超えるものであり、その表面にコロナ処理を施したり、あるいは、易接着樹脂層を設ける等の易接着処理を施してもよい。
【0049】
また、金属板としては、特に限定されないが、銅、鉄、アルミニウム、ブリキ等の板が好ましく、汎用に使用されている種々の金属合金板でも良い。また、こうした金属板は、スズ、亜鉛などのメッキ品、あるいはリン酸亜鉛、クロメートなどの化成処理品であっても良い。
【0050】
本発明の積層体における接着剤の層の形成方法は、特に限定されないが、例えば、有機溶剤の溶液とした本発明の接着剤を、PETフィルム又はPETシートの層上に塗布し、次いで溶媒を除去することで、接着層を形成することができる。また、金属板の層に接着剤を塗布し、溶媒を除去することにより接着層を形成することもできる。
【0051】
次に、PETフィルム又はPETシートの層、接着剤の層及び金属板の層となるように配置し、ヒートシール、ロール接着、加熱圧着等、従来公知の方法によって積層体とする。
この際、接着剤の層(B)を介して被着体同士を接着する際の被着体(通常は金属板)の予熱温度は、100〜220℃の範囲とすることが好ましく、150℃〜200℃の範囲とすることがより好ましい。予熱温度が100℃未満である場合には、圧力をいくら上昇させても接着強力が大きいものが得られない。一方、予熱温度が 220℃を超える場合には、被着体であるPETフィルム又はPETシート)の層が変形したり、しわ等が発生するので好ましくない。また、接着する際の圧力は20kPa以上とすることが好ましく、50〜300kPaとすることがより好ましい。接着時の圧力が20kPa未満では、予熱温度を高くし、かつ圧着時間を長くしても接着強力が大きいものが得られない。さらに、接着時の圧着時間は 0.2〜5秒であることが好ましい。圧着時間が0.2秒未満では、予熱温度を上昇させても接着強力が大きいものが得られない。一方、圧着時間が5秒を超えると、得られる積層体の接着強力には問題がないが、生産性に劣るので好ましくない。
【0052】
【作用】
本発明の接着剤用ポリエステル樹脂は、使用に十分な耐湿熱性、難燃性、柔軟性、耐ブロッキング性を有しており、接着性、特に金属に対する接着性に優れたものである。
ポリテトラメチレンオキシドグリコール及び/又はビスフェノール系化合物のポリアルキレンオキシド付加物が共重合されていることで金属に対する密着性が向上すると共に、繰り返し単位当たりの平均分子量が大きくなるため、ポリエステル樹脂中のエステル基濃度が低下し、加水分解が起こり難くなり耐湿熱性が向上する。
また、難燃剤である有機リン化合物が、ポリエステル樹脂に共重合されているため、難燃剤とポリエステル樹脂との相溶性不良によるブリードや接着性の低下がない。
さらに、酸化防止剤として寄与したヒンダードフェノール化合物をイオウ化合物が再生することで、ヒンダードフェノール化合物の酸化防止効果が向上し、ポリエステル樹脂の耐熱安定性が著しく向上している。
【0053】
【実施例】
次に、実施例をあげて本発明を詳述する。各種評価方法は下記の通りである。
リン原子の含有量
リガク社製蛍光X線スペクトロメータ 3270型にて測定した。
極限粘度([η])
ポリエステル樹脂をフェノールと四塩化エタンとの等重量混合物を溶媒とし、20℃で測定した溶液粘度から求めた値である。
ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)
セイコー電子工業社製の示差走査熱量計SSC5200型を用いて、昇温速度
10℃/分で測定した。
耐熱安定性
ポリエステル樹脂を110℃の熱風乾燥機中で96時間処理して、その前後の極限粘度を上記の方法で測定し、次式により極限粘度の保持率を求め、90%以上を合格とした。
耐熱安定性(%)=(熱処理後の[η])÷(熱処理前の[η])×100
耐湿熱性
ポリエステル樹脂を40℃、95%RHの恒温恒湿槽中で96時間処理して、その前後の極限粘度を上記の方法で測定し、極限粘度の保持率を次式により求め、90%以上を合格とした。
耐湿熱性(%)=(湿熱処理後の[η])÷(湿熱処理前の[η])×100
限界酸素指数(以下LOIと略す)
JIS K7201に準じて燃焼試験を行い、LOIを求めた。27以上を合格とした。
積層体の接着強力
オリエンテック社製テンシロンRTC−1210型を用いて20℃及び60℃の雰囲気下、及び積層体を110℃の熱風乾燥機中に入れ、96時間処理した後、あるいは60℃、95%RHの恒温恒湿槽中に入れ96時間処理した後、20℃の雰囲気下で、引張速度50mm/分でサンプル幅10mmの積層体の接着強力をそれぞれ測定した。接着強力が10N/cm以上を合格とした。
【0054】
実施例1
テレフタル酸8.9kg(53.6モル部)、イソフタル酸4.5kg(26.8モル部)、ネオペンチルグリコール10.9kg(93.8モル部)、ポリテトラメチレングリコール(分子量1000)13.4kg(13.4モル部)、前記リン化合物(A)のエチレングリコールエステルの63質量%エチレングリコール溶液37.0kg(53.6モル部)、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(旭電化社製ヒンダードフェノール系酸化防止剤AO−80)50g(生成するポリエステル樹脂に対して0.1質量%)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)(旭電化社製イオウ系酸化防止剤AO−412S)150g(生成するポリエステル樹脂に対して0.3質量%)をエステル化反応槽に仕込み、圧力0.1MPaG、温度250℃で4時間エステル化反応を行った。
得られたエステル化物を重縮合反応槽に移送した後、重縮合触媒としてテトラブチルチタネート46g(ポリエステル樹脂を構成する酸成分1モルに対して10×10−4モル)添加した。次いで、60分間で反応系内を最終的に0.4hPaとなるまで徐々に減圧し、255℃で3時間重縮合反応を行いポリエステル樹脂を得た。
【0055】
表1に得られたポリエステル樹脂の組成と特性値、および耐熱安定性、耐湿熱性試験、燃焼試験を行った結果を示す。
【0056】
実施例2〜7、比較例1〜8
得られるポリエステル樹脂の組成が表1及び表2に示した割合となるように、原料の仕込量を変えた以外は、実施例1と同様にしてポリエステル樹脂を得た。
【0057】
表1及び表2に得られたポリエステル樹脂の組成と特性値、および耐熱安定性試験、耐湿熱性試験、燃焼試験を行った結果を示す。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
表中のポリエステル樹脂組成の略号はそれぞれ、PTMG1000:ポリテトラメチレンオキシドグリコール(分子量1000)、PTMG2000:ポリテトラメチレンオキシドグリコール(分子量2000)、BA−EO:ビスフェノール−Aのエチレンオキシド2モル付加物、BS−EO:ビスフェノール−Sのエチレンオキシド2モル付加物を示す。
また、HPはヒンダードフェノール化合物の含有量、Sはイオウ化合物の含有量を示す。
【0061】
実施例8〜15、比較例9〜15
表3及び表4で示したポリエステル樹脂を、トルエンとメチルエチルケトンとの混合溶媒(体積比1/1)に30重量%の濃度となるように溶解し、ポリエステル接着剤溶液を得た。
その溶液を25μmのポリエステルフィルム上に塗布後、乾燥機に入れ、80℃で2分間、引き続き150℃で3分間乾燥して溶媒を除去し、10μm厚の接着剤層を形成した。次いで、180℃に予熱した表2に示す金属板を接着剤層と接するように、上記の接着剤層を形成したポリエステルフィルムを配置し、圧力0.1MPa、圧着時間1秒の条件で、シーラーにより圧着して、ポリエステルフィルム/ポリエステル接着剤層/金属板からなる積層体を得た。
【0062】
表3及び表4に得られた積層体の特性を示す。
【0063】
【表3】
【0064】
【表4】
【0065】
表1及び表3から明らかなように、実施例1〜7のポリエステル樹脂は耐熱安定性、耐湿熱性及び難燃性が良好なものであり、これらのポリエステル樹脂を使用した実施例8〜15の積層体は接着性、耐熱性及び耐湿熱性は良好なものだった。
これに対して、比較例では次のような問題があった。
比較例1では、有機リン化合物を添加していないため、難燃性が認められなかった。
比較例2では、ヒンダードフェノール化合物及びイオウ化合物を含有していないため、耐熱安定性が悪かった。また、比較例9に示すように、積層体としたときの耐熱安定性も悪かった。
比較例3では、ヒンダードフェノール化合物に対するイオウ化合物の含有量が0.5未満であるため、熱処理による極限粘度の低下が大きくなっており、耐熱安定性が悪かった。また、比較例10に示すように、積層体としたときの耐熱安定性も悪かった。
比較例4では、ヒンダードフェノール化合物の含有量が多いため、重縮合触媒が失活しポリエステル樹脂の重合度が上がり難かった。また、比較例11に示すように、積層体としたときの高温雰囲気下での接着強力が低下した。
比較例5では、有機リン化合物の添加量が多いため、耐湿熱性が悪かった。また、比較例12に示すように、積層体としたときには被着材との密着性が低くなり、高温雰囲気下での接着強力及び、耐湿熱性とも低かった。
比較例6は、ポリテトラメチレンオキシドグリコール又は、ビスフェノール系化合物のポリアルキレングリコール付加物が共重合されていないため、湿熱処理による極限粘度保持率が低く、また、比較例13に示すように、積層体としたときの耐湿熱性も悪かった。
比較例7は、ガラス転移温度が低いため、比較例14に示すように、積層体としたときの、60℃での接着強力が低く耐熱性がなかった。
比較例8は、ガラス転移温度が高いため、高分子量のポリエステル樹脂を得ることが難しく、比較例15に示すように、積層体としたときに十分な接着強力が得られなかった。また、溶剤に対する溶解性も低いため、濃度を下げて溶剤に溶解させる必要があった。
【0066】
【発明の効果】
本発明によれば、優れた耐熱安定性、難燃性、耐湿熱性を有し、金属板及びPETフィルム又はPETシートに対して良好な接着性を有するポリエステル接着剤を得ることができる。従って、本発明のポリエステル樹脂は、電気、電子分野、機械分野、食品分野、建築分野、自動車分野の接着剤、具体的には、電線被覆剤、フレキシブルフラットケーブル等の電気部品、PCM塗料、建材、食品や医薬品等の包装材の接着剤用樹脂として特に好適に利用することができる。
Claims (4)
- 1種以上のジカルボン酸成分と1種以上のグリコール成分からなる共重合ポリエステルであって、グリコール成分の少なくとも1種が分子量500以上のポリテトラメチレンオキシドグリコール又はビスフェノール系化合物のポリアルキレンオキシド付加物であり、下記一般式▲1▼又は▲2▼で示されるエステル形成性の官能基を2つ以上有する有機リン化合物をポリエステル樹脂中のリン原子含有量が5000〜50000ppmとなる量含有し、かつ、ヒンダードフェノール化合物及びイオウ化合物が下記式▲3▼、▲4▼を満足する量含有し、ガラス転移温度が−30〜40℃であることを特徴とする接着剤用ポリエステル樹脂。
0.5≦S/HP ▲3▼
0.1≦HP≦10 ▲4▼
(但し、HP、Sはそれぞれポリエステル樹脂中のヒンダードフェノール化合物及びイオウ化合物の含有量(質量%)を表す。) - 請求項1記載のポリエステル樹脂を主成分とする接着剤。
- (A)ポリエチレンテレフタレートフィルム又はポリエチレンテレフタレートシートの層、(B)請求項2記載の接着剤の層、(C)金属板の層の順番で構成されていることを特徴とする積層体。
- 請求項3記載の積層体からなるフレキシブルフラットケーブル。
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WO2005063922A1 (ja) * | 2003-12-26 | 2005-07-14 | Toyo Boseki Kabushiki Kaisha | 含リン難燃剤の製造方法、含リン難燃剤並びに難燃性ポリエステル |
JP2012001688A (ja) * | 2010-06-21 | 2012-01-05 | Unitika Ltd | 共重合ポリエステル樹脂およびそれを用いた接着剤 |
CN104822770A (zh) * | 2013-03-11 | 2015-08-05 | 东洋纺株式会社 | 溶剂可溶性弹性树脂组合物 |
WO2020085126A1 (ja) * | 2018-10-25 | 2020-04-30 | ユニチカ株式会社 | 樹脂組成物 |
CN115948775A (zh) * | 2022-11-22 | 2023-04-11 | 广州三孚新材料科技股份有限公司 | 一种用于高速镀锡的甲磺酸高速镀锡液及其制备方法 |
-
2002
- 2002-11-13 JP JP2002329576A patent/JP2004161890A/ja active Pending
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