JP2003252972A - 接着剤用ポリエステルおよびそれを用いた積層体 - Google Patents
接着剤用ポリエステルおよびそれを用いた積層体Info
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Abstract
優れ、しかも環境に対する負荷が少ない接着剤用ポリエ
ステル及びこれを用いた積層体を提供する。 【解決手段】 1種類以上のジカルボン酸成分及び/又
はオキシカルボン酸成分、1種類以上のグリコール成
分、及びエステル形成性の官能基を2つ以上有する1種
類以上のリン化合物からなる共重合ポリエステルであっ
て、リン化合物の少なくとも1種が特定の構造を有する
リン化合物であり、かつ、ポリエステル中のリン原子含
有量が20000〜50000ppmであり、ガラス転
移点が−30〜40℃であり、極限粘度が0.45以上
であることを特徴とする接着剤用ポリエステル。
Description
に優れ、加熱時に有毒ガスを発生することのない接着剤
用共重合ポリエステル、及びこれを用いた積層体に関す
るものである。
るポリエステルは、優れた物理的、化学的性質を有し、
衣料用、産業資材用の繊維やフィルム等の成形品として
広く用いられている。ポリエチレンテレフタレートは軟
化点が高く、かつ汎用溶剤への溶解性が低いため、その
まま接着剤用樹脂として使用することはできない。しか
し、ポリエチレンテレフタレートの構成成分であるジカ
ルボン酸及びグリコール成分に他の成分を導入して共重
合ポリエステルとすることにより、接着性を付与するこ
とができ、共重合したポリエチレンテレフタレートは、
ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル樹脂
等のプラスチック類、あるいはアルミニウム、銅等の金
属箔に対して優れた接着性を有し、接着剤、コーティン
グ剤、インキバインダー、塗料等に使用されている。
自動車、建材等用途にも使用されているが、これらの用
途においては安全性の点から高度な難燃性が要求されて
おり、その基材だけでなく、接着層についても難燃性が
必要とされている。このような状況において、特公昭5
5−8033号公報、特開昭60−32874号公報等
には、有機ハロゲン化合物や、三酸化アンチモン等の無
機化合物を添加することによって、接着剤に難燃性を付
与することが開示されている。これらの難燃剤は安価で
あり、かつ優れた難燃性を有するためこれまで広く使用
されてきた。しかし、近年になって、ハロゲン化合物は
燃焼時に猛毒のダイオキシンを発生し、アンチモンは環
境負荷の要監視物質として取り上げられる等、これらの
難燃剤は環境に対する負荷が大きいことが分かり、環境
の問題から難燃剤の非ハロゲン、非アンチモン化の要望
が強くなっている。
し、難燃性を付与する試みがなされてきたが、充分な難
燃性を付与するには難燃剤を多量に添加する必要があ
り、その結果、難燃剤がブリードしたり、接着強力が低
下するなどの問題があった。
リン原子を含有するモノマー原料をポリエステルに共重
合することにより、樹脂に難燃性を付与させる方法も提
案されている。しかし、提案された方法は、繊維、フィ
ルム、ボード等の成形品を形成することのできる難燃性
共重合ポリエステルの製造法に関するものであって、難
燃性を有する接着剤用樹脂については検討されていな
い。
公昭63−3913号公報には、難燃性を有するポリエ
ステル接着剤が提案されている。しかし、前者は、繊維
素材を加工するには十分な接着性、難燃性を有するが、
難燃性の要求レベルが高い電気材料用途では十分な難燃
性を付与することができないだけでなく、接着性も十分
でない。後者は、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等
のモノマー原料が共重合されたものであり、水分散性の
繊維処理剤や水溶性接着剤として使用されるものであっ
て、有機溶剤型の接着剤用樹脂ではなく、耐湿熱性が悪
く、金属板とポリエチレンテレフタレートフィルム又は
ポリエチレンテレフタレートシートとの接着剤として好
適に使用できるものではなかった。さらに、フレキシブ
ルフラットケーブル等の積層体の接着剤として使用され
る場合には、導体金属との接着性が必要となるが、これ
らの特性のバランスをとることは難しいものであった。
エステル接着剤がもつ種々の問題を解消し、難燃性が高
く、接着性、特に金属に対する接着性に優れ、環境に対
する負荷が少ない接着剤用ポリエステルを提供しようと
するものである。
を解決するため研究を重ねた結果、特定の有機リン化合
物を共重合し、かつ、ポリエステルに占めるリン原子の
含有量、ガラス転移点及び極限粘度を特定の範囲に調整
することにより、上記課題を解決できることを見出し、
本発明に到達した。すなわち、本発明の要旨は、次の通
りである。 (1)1種類以上のジカルボン酸成分及び/又はオキシ
カルボン酸成分、1種類以上のグリコール成分、及びエ
ステル形成性の官能基を2つ以上有する1種類以上のリ
ン化合物からなる共重合ポリエステルであって、リン化
合物の少なくとも1種が下記一般式で表されるリン化
合物であり、かつ、ポリエステル中のリン原子含有量が
20000〜50000ppmであり、ガラス転移点が
−30〜40℃であり、極限粘度が0.45以上である
ことを特徴とする接着剤用ポリエステル。
アリール基を表し、同一でも異なっていてもよく、R1
とR2とは互いに環を形成していてもよい。A1は3価の
有機残基を表し、Xは水酸基又はヒドロキシアルキレン
オキシド基又はカルボキシル基を表す。) (2)グリコール成分の少なくとも1種類がポリテトラ
メチレンオキシドグリコール及び/又はビスフェノール
系化合物のポリアルキレンオキシド付加物であることを
特徴とする(1)記載の接着剤用ポリエステル。 (3)(A)ポリエチレンテレフタレートフィルム又は
ポリエチレンテレフタレートシートの層、(B)(1)
又は(2)記載のポリエステルを主成分とする接着剤の
層、(C)金属板の層の順番で構成されていることを特
徴とする積層体。
する。本発明のポリエステルは、1種類以上のジカルボ
ン酸成分及び/又はオキシカルボン酸成分と、1種類以
上のグリコール成分、更にエステル形成性の官能基を2
つ以上有する1種類以上のリン化合物からなるものであ
る。
ストの点から主としてテレフタル酸、イソフタル酸、ア
ジピン酸、セバシン酸が好ましく用いられる。また、必
要に応じて、フタル酸及びその無水物、2,6−ナフタ
レンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、
マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アゼライン酸、ドデ
カン二酸、エイコサン二酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカ
ルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,
3−シクロヘキサンジカルボン酸、トリシクロデカンジ
カルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、フマル酸、マレイ
ン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸等を併用して
もよい。これらジカルボン酸成分はジアルキルエステ
ル、酸塩化物等の誘導体を用いてもよく、単独、あるい
は複合して使用することができる。
ロラクトン、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクト
ン、グリコール酸、乳酸、2−ヒドロキシイソ酪酸、3
−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、16−ヒドロ
キシヘキサデカン酸、2−ヒドロキシ−2−メチル酪
酸、10−ヒドロキシステアリン酸、リンゴ酸、クエン
酸、グルコン酸、4−オキシ安息香酸、4−(ヒドロキ
シエトキシ)安息香酸、5−ヒドロキシイソフタル酸等
を用いてもよく、単独、あるいは複合して使用すること
ができる。
ール成分としては、接着特性やコストの点から、主とし
てエチレングリコール、ネオペンチルグリコールが好ま
しく用いられる。また、必要に応じて、1,2−プロピ
レングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−
ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオー
ル、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオ
ール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオ
ール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオ
ール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール
等の脂肪族グリコール、1,4−シクロヘキサンジメタ
ノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,1
−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサ
ンジエタノール、トリシクロデカンジメタノール等の脂
環族ジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレ
ングリコール等のポリアルキレングリコール、スピログ
リコール等を併用してもよい。これらグリコール成分
は、単独、あるいは複合して使用することができる。
がポリテトラメチレンオキシドグリコール及び/又はビ
スフェノール系化合物のポリアルキレンオキシド付加物
であることが好ましい。これらを共重合することにより
耐湿熱性が向上し、湿熱環境下での接着性低下が著しく
改善できるとともに接着性、特に金属に対する接着性が
向上する。ここで、ポリテトラメチレンオキシドグリコ
ールとしては、分子量500以上のものが好ましく、分
子量が1000〜3000のものがポリエステルとの反
応性、相溶性の点で特に好ましい。また、ビスフェノー
ル系化合物のポリアルキレンオキシド付加物におけるビ
スフェノール系化合物としては、ビスフェノール−A、
ビスフェノール−S、ビスフェノール−F、4,4’−
ビフェノール等が挙げられ、これらのエチレンオキシド
付加物、プロピレンオキシド付加物及びそれらの複合付
加物を用いることが好ましい。上記のポリテトラメチレ
ンオキシドグリコール及び/又はビスフェノール系化合
物のポリアルキレンオキシド付加物の共重合量は、ポリ
エステルを構成する全グリコール成分に対して1〜40
モル%であることが好ましく、更に好ましくは5〜30
モル%である。この割合が1モル%未満であれば、接着
性及び耐湿熱性の改良効果が乏しく好ましくない。ま
た、40モル%を超える場合には、重縮合時の反応性が
低下し、所望とする重合度のポリエステルが得られな
い。
れば、以下のような成分を共重合してもよい。このよう
な成分としては、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロ
メリット酸及びこれらの酸無水物等の多価カルボン酸、
トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリ
セリン等の多価アルコールが挙げられる。
合物は、エステル形成性の官能基を2つ以上有するもの
であり、1種だけでなく2種以上のリン化合物を複合し
て使用してもよいが、少なくとも1種は下記一般式で
表されるリン化合物である必要がある。
アリール基を表し、同一でも異なっていてもよく、R1
とR2とは互いに環を形成していてもよい。A1は3価の
有機残基を表し、Xは水酸基又はヒドロキシアルキレン
オキシド基又はカルボキシル基を表す。)
水分解の影響を受けやすいリン−酸素−炭素の結合を実
質的に有していないので、ポリエステルの耐湿熱性を低
下させない。更には、このリン化合物が共重合されるこ
とで、リン原子を含む嵩高い置換基をポリエステルの主
鎖に対してペンダント状に導入することができるため、
立体障害により水分子のエステル結合への攻撃を抑制で
き、ポリエステルの耐湿熱性が向上する。
る好ましい例としては、以下のリン化合物が挙げられ
る。
の好ましい例としては、耐湿熱性や難燃性、反応性等の
点から以下の化合物が挙げられる。
導体として、アルキルエステル、ヒドロキシアルキルエ
ステル等も使用することができる。
のリン原子含有量が20000〜50000ppmであ
ることが必要である。このリン原子含有量が20000
ppm未満では難燃性が不十分であり、50000pp
mを超える場合には、ポリエステルの重合性が低下し生
産性が悪くなり、また、分子量が低いポリエステルは接
着力が低くなるため好ましくない。
−30〜40℃の範囲内である必要があり、好ましく
は、−20〜25℃の範囲である。ガラス転移点が−3
0℃に満たない場合には、樹脂の取り扱いが難しく、接
着剤としての性能、特に高温領域(50〜120℃)で
の接着強力が低下し好ましくない。一方、40℃を超え
る場合には、高分子量のポリエステルが得られ難く、十
分な接着強力が得られない。
が0.45以上であることが好ましい。極限粘度が0.
45に満たない場合には、接着力が低くなるため好まし
くない。
特に制限されるものではなく、従来公知のポリエステル
の製造方法によって製造することができる。例えば、前
記のようなジカルボン酸成分、グリコール成分(それら
のエステル形成性誘導体を含む)、リン化合物を原料と
し、常法によって、150〜280℃の温度でエステル
化又はエステル交換反応を行った後、重縮合触媒を添加
し5hPa以下の減圧下、200〜300℃、好ましく
は230〜280℃の温度で重縮合反応を行うことで調
製することができる。この際、前記リン化合物は重縮合
反応以前の任意の段階で添加できるが、エステル化又は
エステル交換反応前に添加することが好ましい。
る触媒としては、従来公知の金属化合物を用いることが
できる。具体的には、亜鉛、アンチモン、ゲルマニウ
ム、スズ、チタン、アルミニウム、コバルト等の有機酸
塩、酸化物、アルコキシド、アルキル化合物等が挙げら
れる。
トリフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、
リン酸等の安定剤や、ヒンダードフェノール化合物、硫
黄化合物、ホスファイト化合物、ヒンダードアミン化合
物のような酸化防止剤、二酸化チタン等の艶消し剤又は
顔料等を、本発明の特性を損なわない範囲で添加しても
よい。
ついて説明する。すなわち、本発明の積層体は、ポリエ
チレンテレフタレートフィルム又はポリエチレンテレフ
タレートシートの層(A)、上記したポリエステルから
なる接着剤の層(B)及び金属板の層(C)の順序で構
成されていることを特徴とするものである。ここで、ポ
リエチレンテレフタレートフィルムとは、JIS Z−
0108に記載されているように厚み0.25mm以下
のものをいい、ポリエチレンテレフタレートシートと
は、厚み0.25mmを超えるものであり、その表面に
コロナ処理を施したり、あるいは、易接着樹脂層を設け
る等の易接着処理を施しても差し支えない。
しては、特に限定されないが、銅、鉄、アルミニウム、
ブリキ等の板が好ましく、汎用に使用されている種々の
金属合金板、金属箔でもよい。また、これらのスズ、亜
鉛などのメッキ品、あるいはリン酸亜鉛、クロメートな
どの化成処理品であってもよい。
(B)の形成方法は、如何なる方法で行ってもよいが、
上記のポリエステルを有機溶剤に溶解し、ポリエチレン
テレフタレートフィルム又はシートの層(A)上に塗布
し、次いで溶媒を除去する方法が好適である。また、金
属板の層(C)にポリエステルを溶解させた溶液を塗布
し、溶媒を除去することにより接着剤の層(B)を形成
することもできる。
有機溶剤は、本発明のポリエステルを溶解させるものな
ら特に限定されるものではないが、具体的には、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン等の芳香族系の溶剤、塩化メチ
レン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエ
タン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、クロロベ
ンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素系の溶剤、酢酸エチ
ル、イソホロン、γ−ブチロラクトン等のエステル系の
溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチ
ルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系の溶剤、ジエ
チルエーテル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、
テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル
系の溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノー
ル、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール
系の溶剤、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、n
−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、ノナン等の
脂肪族炭化水素系の溶剤、シクロペンタン、シクロヘキ
サン等の脂環族炭化水素系の溶剤等が挙げられる。これ
らは単独で用いることもできるが、複数種混合して使用
することもできる。
ム又はシートの層(A)、接着剤の層(B)、及び金属
板の層(C)となるように配置し、ヒートシール、ロー
ル接着、加熱圧着等、従来公知の方法によって積層体に
する。この際、接着剤の層(B)を介して被着体同士を
接着する際の被着体(通常は金属板)の予熱温度は、1
00〜220℃の範囲とすることが好ましく、150℃
〜200℃の範囲とすることがより好ましい。予熱温度
が100℃未満である場合には、圧力をいくら上昇させ
ても接着強力が大きいものが得られない。一方、予熱温
度が220℃を超える場合には、被着体であるフィルム
又はシートの層が変形したり、しわ等が発生するので好
ましくない。また、接着する際の圧力は0.02MPa
以上とすることが好ましく、0.05〜0.3MPaと
することがより好ましい。接着時の圧力が0.02MP
a未満では、予熱温度を高くし、かつ圧着時間を長くし
ても接着強力が大きいものが得られない。さらに、接着
時の圧着時間は0.2〜5秒であることが好ましい。圧
着時間が0.2秒未満では、予熱温度を上昇させても接
着強力が大きいものが得られない。一方、圧着時間が5
秒を超えると、得られる積層体の接着強力には問題がな
いが、生産性に劣るので好ましくない。
レフタレートフィルム又はシートと金属板に特に良好な
接着性を有するが、被着体に用いられる材料はこれに限
定されず、種々のプラスチックに対する接着剤としても
使用することができる。具体的には、ポリ塩化ビニルや
ポリ塩化ビニリデン等の塩素系樹脂、ポリカーボネート
樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリブチレンテレフタレー
トやポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、
ポリエーテルサルホン樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリス
チレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂等に対する接着剤と
して好適に用いられる。また、被着体の形状は、フィル
ム状、シート状、板状に限定されず、繊維状、円筒状、
その他のいかなる形状になっていても構わない。
リン酸等の熱安定剤、ヒンダードフェノール化合物のよ
うな酸化防止剤、タルクやシリカ等の結晶核剤、滑剤、
酸化チタン等の顔料、充填剤、帯電防止剤、発泡剤等の
従来公知の添加剤を含有させてもよい。また、難燃性を
向上させるため、金属水酸化物、リン酸塩、硼酸塩、金
属硫化物、アンモニウム塩、有機窒素系難燃剤、ケイ素
系難燃剤、リン系難燃剤等を配合してもよい。さらに、
本発明のポリエステルは、単独で接着剤用樹脂として使
用することもできるが、イソシアネート樹脂、フェノー
ル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等の硬化剤と併用
して使用することもできる。
な耐湿熱性、難燃性、柔軟性を有しており、接着性、特
に金属に対する接着性に優れたものである。本発明のポ
リエステルは、難燃剤であるリン化合物が共重合されて
いるため、難燃剤とポリエステルとの相溶性不良による
ブリードがなく、優れた接着性、難燃性を有する。更
に、ポリエステルの主鎖中にリン−酸素−炭素の結合を
持ち込まないようなリン化合物を使用しているため、耐
湿熱性の低下が抑制される。また、ポリテトラメチレン
オキシドグリコール及び/又はビスフェノール系化合物
のポリアルキレンオキシド付加物が共重合されているこ
とで金属に対する密着性が向上すると共に、繰り返し単
位当たりの平均分子量が大きくなるため、ポリエステル
中のエステル基濃度が低下し加水分解が起こり難くな
り、耐湿熱性が向上する。更に、ポリエステルのガラス
転移点が低いため、熱接着時の粘性が低く基材へのぬれ
性が向上することで、接着力が高くなっている。
定した。
合物を溶媒とし、20℃で測定した溶液粘度から求めた
値である。
れ168時間湿熱処理し、その前後の極限粘度を上記の
方法で測定した。次いで、この結果を基に、湿熱処理後
の極限粘度の保持率を次式により求めた。極限粘度の保
持率が90%以上を合格とした。 [η]保持率(%)=(湿熱処理後の[η])/(湿熱
処理前の[η])×100
型を用いて、昇温速度10℃/分で測定した。
求めた。30以上を合格とした。
ンシロンRTC−1210型を用いて、20、60℃の
雰囲気下、引張速度50mm/分でT剥離試験を行い、
接着強力をそれぞれ測定した。また、積層体を60℃、
95%RHの恒温恒湿槽中に入れ168時間湿熱処理し
た後、20℃の雰囲気下で接着強力を測定した。接着強
力が10N/cm以上を合格とした。
原料化合物をエステル化反応槽に仕込み、圧力0.5M
PaG、温度250℃で4時間エステル化反応を行っ
た。得られたエステル化物を重縮合反応槽に移送した
後、重縮合触媒としてテトラブチルチタネートをポリエ
ステルを構成する酸成分1モルに対して4×10-4モル
添加した。次いで、60分間で反応系内を最終的に0.
4hPaとなるまで徐々に減圧し、255℃で5時間重
縮合反応を行い、ポリエステルを得た。表1に得られた
ポリエステルの組成と特性値、および湿熱処理試験、燃
焼試験を行った結果を示した。実施例1〜5及び比較例
2〜6で得られたポリエステルを、トルエンとメチルエ
チルケトンとの混合溶媒(体積比1/1)に30質量%
の濃度となるように溶解し、ポリエステルの溶液を得
た。その溶液を25μmのポリエステルフィルム上に塗
布後、乾燥機に入れ、80℃で2分間、引き続き150
℃で3分間乾燥して溶媒を除去し、10μm厚の接着剤
層を形成した。次いで、180℃に予熱した表1に示す
金属板を接着剤層と接するように、上記の接着剤層を形
成したポリエステルフィルムを配置し、圧力0.1MP
a、圧着時間1秒でシーラーで圧着することにより、ポ
リエステルフィルム/ポリエステル接着剤層/金属板か
らなる積層体を得た。得られた積層体の特性を表1に示
した。
ポリエステルは耐湿熱性及び難燃性が良好なものであ
り、これらのポリエステルを使用した積層体は接着性、
耐熱性及び耐湿熱性が良好なものであった。これに対し
て、比較例では次のような問題があった。比較例1で
は、リン化合物の共重合量が少ないため、難燃性が低か
った。比較例2では、リン化合物の共重合量が多いた
め、重合性が悪く極限粘度が低いものとなった。また積
層体としたときには被着材との密着性が低くなり、耐熱
性も低かった。比較例3は、一般式で表されるリン化
合物が共重合されていないため、湿熱処理による極限粘
度保持率が非常に低く、また積層体としたときの耐湿熱
性も悪かった。比較例4は、ガラス転移点が低いため、
積層体としたときの60℃での接着強力が低く耐熱性が
なかった。比較例5は、ガラス転移点が高いため、高分
子量のポリエステルを得ることが難しく、積層体とした
ときに十分な接着強力が得られなかった。また、溶剤に
対する溶解性も低いため、濃度を20質量%に下げて溶
剤に溶解させる必要があった。比較例6は、リン化合物
がエステル形成性の官能基を1つしか有していないた
め、高分子量のポリエステルが得られず、積層体とした
ときの接着力も低かった。
性を有し、金属板及びポリエチレンテレフタレートフィ
ルム又シートに対して良好な接着性を有するポリエステ
ル接着剤を得ることができる。従って、本発明のポリエ
ステルは、電気、電子分野、機械分野、食品分野、建築
分野、自動車分野等の難燃性が必要とされる分野の接着
剤、具体的には、電線被覆剤、フラットケーブル等の電
気部品、PCM塗料、建材、食品や医薬品等の包装材の
接着剤用樹脂として特に好適に利用することができる。
Claims (3)
- 【請求項1】 1種類以上のジカルボン酸成分及び/又
はオキシカルボン酸成分、1種類以上のグリコール成
分、及びエステル形成性の官能基を2つ以上有する1種
類以上のリン化合物からなる共重合ポリエステルであっ
て、リン化合物の少なくとも1種が下記一般式で表さ
れるリン化合物であり、かつ、ポリエステル中のリン原
子含有量が20000〜50000ppmであり、ガラ
ス転移点が−30〜40℃であり、極限粘度が0.45
以上であることを特徴とする接着剤用ポリエステル。 【化1】 (但し、R1、R2は炭素数が1〜18のアルキル基又は
アリール基を表し、同一でも異なっていてもよく、R1
とR2とは互いに環を形成していてもよい。A1は3価の
有機残基を表し、Xは水酸基又はヒドロキシアルキレン
オキシド基又はカルボキシル基を表す。) - 【請求項2】 グリコール成分の少なくとも1種類がポ
リテトラメチレンオキシドグリコール及び/又はビスフ
ェノール系化合物のポリアルキレンオキシド付加物であ
ることを特徴とする請求項1記載の接着剤用ポリエステ
ル。 - 【請求項3】 (A)ポリエチレンテレフタレートフィ
ルム又はポリエチレンテレフタレートシートの層、
(B)請求項1又は2記載のポリエステルを主成分とす
る接着剤の層、(C)金属板の層の順番で構成されてい
ることを特徴とする積層体。
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2002
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