JP6586748B2 - 化粧シート及び化粧材 - Google Patents
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Description
高い耐候性を有する化粧シートとして、現在、オレフィン系の材料を用いた化粧シートが実用化されている。耐候性の評価は、実際の屋外暴露や促進耐候性試験によって行われている。オレフィン系材料を用いた化粧シートの耐候性は、実用の条件を満たすものである。なお、このような化粧シートは、例えば、特許文献1に記載されている。
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、遮熱性を有し、赤外光による反りを防ぐことができる化粧シート及び化粧材を提供することを目的とする。
(化粧材)
図1は、本実施形態の化粧材1を説明するための断面図である。本実施形態の化粧材1は、化粧シート3と、基材20と、化粧シート3と基材20とを貼り合わせる接着層21と、を有している。
本実施形態の化粧材1は、波長が0.7μm〜1000μmの赤外光に対する印刷層13の透過率を高め、透過した赤外光を着色熱可塑性樹脂基材層11で反射することによって基材20の蓄熱を防いでいる。
本実施形態の化粧シート3は、着色熱可塑性樹脂基材層11の一方の面側に、絵柄が印刷された印刷層13及び2層以上の透明熱可塑性樹脂層51、53がこの順で積層されたものである。即ち、化粧シート3は、着色熱可塑性樹脂基材層11、印刷層13、ヒートシール層15及び透明熱可塑性樹脂層5を有している。透明熱可塑性樹脂層5は、最外層53と最外層53の下側に位置する内側層51を含む2層以上の層からなる。
〈着色熱可塑性樹脂基材層〉
着色熱可塑性樹脂基材層11は、着色ベースフィルム層等の熱可塑性樹脂基材層である。着色熱可塑性樹脂基材層11に用いられる熱可塑性樹脂として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体またはその鹸化物、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体等のポリオレフィン系共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネート、共重合ポリエステル(代表的には1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂である通称PET−G)等のポリエステル系樹脂、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂、6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン、12−ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂等のスチレン系樹脂、セルロースアセテート、ニトロセルロース等の繊維素誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の塩素系樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフロロエチレン、エチレン−テトラフロロエチレン共重合体等のフッ素系樹脂等、またはこれらから選ばれる2種または3種以上の共重合体や混合物、複合体、積層体等を使用することができる。
着色熱可塑性樹脂基材層11には、着色剤のほか、充填剤(シリカ、タルク、酸化チタン、硫酸バリウム等)紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤(ステアリン酸、金属石けん等)、難燃剤、抗菌剤、防黴剤、減摩剤、光散乱剤、艶調整剤等の各種の添加剤から選ばれる1種以上が添加されていても良い。
ただし、着色熱可塑性樹脂基材層11に添加される酸化チタンが多くなると、着色熱可塑性樹脂基材層11の膜質に酸化チタンが影響を及ぼす。このため、着色熱可塑性樹脂基材層11の酸化チタンの好適な含有量は、23質量部以上40質量部以下である。
着色熱可塑性樹脂基材層11の成形方法としては、例えば押出成形法、インフレーション成形法、カレンダー成形法、キャスト成形法等が使用可能である。
本実施形態の印刷層13は、顔料を用いたインキを使ってグラビア印刷等により設けられる。本実施形態の印刷層13は、ベタ印刷層131と、絵柄層132と、からなる。ベタ印刷層131は、模様のない印刷層であり、絵柄層132は、化粧シート3に任意の模様を付すための層である。模様としては、木目柄、石目柄、布目柄、抽象柄及び幾何学模様等が考えられる。さらに、意匠が単なる着色や色彩調整のものである場合には、単色無地であってもよい。絵柄層132の模様としては、化粧シート3の用途に応じて任意の絵柄を採用することができる。
ベタ印刷層131、絵柄層132に使用されるインキは、共に着色熱可塑性樹脂基材層11に印刷可能なものであればよく、具体的には着色熱可塑性樹脂基材層11がランダムポリプロピレン系樹脂であれば、ウレタン樹脂と塩化ビニル=酢酸ビニル共重合樹脂の混合物が好適に用いられる。
本発明の発明者らは、以上のようにベタ印刷層131の上に木目柄を印刷し、印刷層13の総合的な赤外光透過率を測定した。この測定によれば、波長が0.781μm〜2.5μmの光の透過率は、40%以上であった。
印刷層13の形成方法には特に制限はなく、例えばグラビア印刷法やオフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、静電印刷法、インクジェット印刷法等の従来公知の各種の印刷方法を使用することができる。また、例えば全面ベタ状の場合には前記した各種の印刷方法の他、例えばロールコート法やナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、キスコート法、フローコート法、ディップコート法等の各種のコーティング方法によることもできる。その他、例えば手描き法、墨流し法、写真法、レーザービームまたは電子ビーム描画法、金属等の部分蒸着法やエッチング法等、またはこれらの方法を複数組み合わせて行うことも勿論可能である。
また、印刷層13の形成に先立ち、必要に応じて、着色熱可塑性樹脂基材層11の表面に例えばコロナ処理、オゾン処理、プラズマ処理、電離放射線処理、重クロム酸処理、アンカーまたはプライマー処理等の表面処理を施すことによって、着色熱可塑性樹脂基材層11と印刷層13との間の密着性を向上することもできる。
ヒートシール層15は、着色熱可塑性樹脂基材層11と透明熱可塑性樹脂層5とを強固に貼り合せる場合に適宜使用される。着色熱可塑性樹脂基材層11と透明熱可塑性樹脂層5が接着性を有している場合には必要ないが、層間強度を上げるために使用することが好適である。ヒートシール層15に用いられるヒートシール剤としては、アクリル−ポリエステル−塩化酢酸ビニル系樹脂が好適である。ただし、本実施形態のヒートシール層15は、特にアクリル−ポリエステル−塩化酢酸ビニル系樹脂に限定されるものではない。
上記したように、本実施形態の透明熱可塑性樹脂層5は、最外層53及び内側層51の二層構造を有している。内側層51としては、アクリル系樹脂が用いられる。具体的には、内側層51は、メチルメタアクリレート樹脂、ポリメチルメタアクリレート樹脂(Tgは−20℃程度)等が使用可能である。内側層51の厚みは、透明熱可塑性樹脂層5の総厚に対する比率が85%〜90%の範囲が耐候性の点で好適である。また、内側層51に公知の紫外線吸収剤を添加しても良い。
具体的には、最外層53の材料として、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、四フッ化エチレンペルフルオロアルコキシビニルエーテル共重合体(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、四フッ化エチレン・エチレン共重合体(ETFE)、クロロトリフルオロエチレン・エチレン共重合体(ECTFE)、ポリビニルフロライド(PVF)等が使用可能であり、特には折り曲げ白化性、アクリル樹脂層との密着性の点でポリフッ化ビニリデン(PVDFのTgは−39℃)が好適である。
また、透明熱可塑性樹脂層5の総厚に対し、最外層53は、厚みが5%〜15%となる範囲に水分を含むことが耐候性の点で好適である。
透明熱可塑性樹脂層5の最外層53と内側層51とを合わせた厚さは、20μm〜80μmが望ましく、特には耐候性の点で30μm〜60μmが好適である。
基材20は、表面に化粧シート3を貼着(ラミネート)して使用するものである。基材20には、金属系基材や木質系基材等の各種材料のものがある。金属系基材としては、アルポリック材がある。アルポリック材は、塗装や鏡面仕上げ等の表面加工処理が施された金属板で樹脂材を挟んだアルミ樹脂複合板である。金属板としては、アルミ、ガルバリウム鋼板、ステンレス及びチタン等が使用される。また、樹脂材としては、ポリエチレン単体、あるいはポリエチレンに無機材を加えたもの等が使用される。
また、木質系基材としては、例えば、MDF(medium density fiberboard)や合板、パーチクルボード等が使用される。
接着層21としては、化粧シートと基材との貼り合わせに使用される公知の接着剤であれば、どのようなものを用いてもよい。また、本実施形態では、例えば、反応性ホットメルト系の接着剤を使用して接着層21を形成することができる。特に、反応性ホットメルト系の接着剤のうち、2液タイプのポリウレタンの接着剤を用いて接着層21を形成してもよい。このような接着層21のうち、本実施形態では、特に、一般社団法人日本壁装協会の規定による不燃認定を受けている部材を用いることが望ましい。
接着層21は、紫外線吸収剤や光安定剤等を含有するものであってもよい。また、接着層21の厚みは、5μm〜50μm程度が好ましい。
また、実施形態中の図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は上記説明を参酌して判断すべきものである。
[実施例1]
実施例1では、ポリプロピレン樹脂100質量部に、ヒンダードフェノール系酸化防止剤3質量部、紫外線吸収剤1質量部、ヒンダードアミン系光安定剤1質量部、酸化チタン23質量部添加し、厚み70μmの着色熱可塑性樹脂基材層を製膜した。
実施例2では、実施例1の化粧シートの作製条件のうち、着色熱可塑性樹脂基材層の材料のみを変更して化粧シートを作製した。実施例2では、ポリプロピレン樹脂100質量部に代えてポリエチレン樹脂100質量部を使用して着色熱可塑性樹脂基材層を作製した。
[実施例3]
実施例3では、実施例1の化粧シートの作製条件のうち、着色熱可塑性樹脂基材層の顔料のみを変更して化粧シートを作製した。実施例3では、ジケトピロロピロール2質量部、キイナクリドン2質量部、フタロシアニン1質量部及び酸化チタン23質量部をポリプロピレン樹脂100質量部に添加して着色熱可塑性樹脂基材層を作製した。
比較例では、実施例1の印刷層に用いた黒色顔料の条件だけを変更して化粧シートを作製した。比較例の化粧シートは、黒色顔料としてカーボンブラックを使用したインクを使って作製された。
[評価]
本発明の発明者らは、上記実施例1、実施例2、実施例3及び比較例について、それぞれ遮熱性能、蓄熱性能及び耐候性を評価した。
本発明の発明者らは、メタルハライドランプ方式の超促進耐候性試験機(ダイプラ・ウィンテス株式会社製)を用いて化粧シートの促進耐候性を評価した。試験は、メタルハライドランプの放射照度650W/m2、ブラックパネル温度(試験片温度)53℃の条件で行われた。そして、照射後、試験片に著しい変化の無い場合を「○」と評価し、表面樹脂層のクラック、剥離が発生した場合を「×」と評価した。
なお、このような促進耐候性の試験方法は、JIS規格、K5602に規定されたものである。
本発明の発明者らは、遮熱性能を、JIS規格、K5602に規定された塗膜の日射反射率の測定方法を用いて測定した。測定は、株式会社島津製作所製分光光度計UV3600(製品名)によって行われた。そして、JIS規格、K5602の規定により、塗膜の日射反射率が40%以上であれば「〇」と評価し、40%以下であれば「×」と評価した。
蓄熱性能の評価では、本発明の発明者らは、縦21cm、横29.7cm、厚みが0.5mmの無塗装鋼板の片側の表面に接着剤を用いて化粧シートを貼り合わせ、試験片を作製した。そして、試験片表面の真上であって、表面から15cm離れた位置にハロゲン球を設置し、120分間ハロゲン光を照射しながら試験片の表面と裏面の温度を1分毎に測定し、その最高温度を記録した。
3 化粧シート
5 透明熱可塑性樹脂層
11 着色熱可塑性樹脂基材層
13 印刷層
15 ヒートシール層
20 基材
21 接着層
51 内側層
53 最外層
111 酸化チタン層
131 ベタ印刷層
132 絵柄層
Claims (4)
- 酸化チタンを含む着色熱可塑性樹脂基材層の一方の面側に、絵柄が印刷された印刷層及び2層以上の透明熱可塑性樹脂層がこの順で積層され、
前記透明熱可塑性樹脂層は、最外層以外の層である内側層がアクリル系樹脂からなり、
前記最外層を構成する熱可塑性樹脂の透湿度が前記アクリル系樹脂の透湿度より低く、
前記印刷層は、前記着色熱可塑性樹脂基材層の側からベタ印刷層と絵柄層とをこの順に有してなり、前記ベタ印刷層は、顔料が、イソインドリノン、ジスアゾ、ポリアゾ、ジケトピロロピロール、キイナクリドン、フタロシアニン及び酸化チタンから選択され、前記絵柄層においては、黒色が、イソインドリノン顔料、ジケトピロロピロール顔料及びフタロシアニン顔料を混色して再現され、
前記着色熱可塑性樹脂基材層は、前記印刷層の側の面に酸化チタンからなる酸化チタン層を有し、
前記着色熱可塑性樹脂基材層における前記酸化チタンの含有量は、23質量部以上40質量部以下であり、
前記酸化チタン層を有する前記着色熱可塑性樹脂基材層の前記酸化チタンの含有量は、23質量部以上であることを特徴とする化粧シート。 - 前記最外層に含まれる透明熱可塑性樹脂層がフッ素樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
- 前記フッ素樹脂がポリフッ化ビニリデン樹脂であることを特徴とする請求項2に記載の化粧シート。
- 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の化粧シートを基材に貼り合わせてなることを特徴とする化粧材。
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