JP2006051694A - 化粧材及びその製造方法 - Google Patents

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【課題】 表面に形成される模様により精密な艶差(光沢差)を付与することができ、該艶差が視覚的に凹部として認識されることから、表面により繊細な凹凸感を有する化粧材を提供すること。
【解決手段】 基材、及び電離放射線硬化性樹脂組成物が架橋硬化した表面保護層とを有し、前記基材と前記表面保護層の間に、基材側から、少なくとも低艶インキ層と艶消防止層とをこの順序で積層した化粧材であって、(a) 前記低艶インキ層は基材の全面に亘って形成され、(b) 前記艶消防止層は艶消処置を行う領域を切抜いた形状を有して形成されたことを特徴とする化粧材、及びその製造方法である。
【選択図】 図1

Description

本発明は表面に模様が形成され、模様に応じた艶差を有することにより視覚的凹凸感を有する化粧材及びその製造方法に関し、特に繊細な模様を表現できる化粧材及びその製造方法に関する。
家具や台所製品のキャビネットなどの表面化粧板としては、一般に木質系材料、無機系材料、合成樹脂系材料、鋼板などの金属系材料などに、例えば木目調柄などを印刷した化粧シートを接着剤で貼り合わせた構造のものが用いられている。
このような表面化粧板に使用される化粧シートには、ラミネート加工、ラッピング加工、Vカット加工などの二次加工のための適度な柔軟性、切削性、耐破断性などの加工適性、使用状態における耐候性、耐光性、耐熱性、耐水性、耐溶剤性、表面硬度、耐摩耗性、耐擦傷性など、種々の特性が要求される。
こうした要求を満たすために、上記加工適性を十分に満足する基材を用い、該基材の表面に表面保護層を施すことが行われており、表面保護層としては電離放射線硬化性樹脂組成物が好ましく用いられている。
近年の消費者の高級品指向により、床タイルや壁パネル、あるいは家具や台所製品のキャビネットなどに対しても高級感が求められるようになり、これらに用いられる化粧板や化粧シートにおいても、高級感を与える外観を有するものが望まれている。そのため、各基材シートの表面に各種の印刷をしたり、絵柄層を有するフィルムを設けたりすることに加えて、質感の付与も重要となってきており、模様の特定の部分にあわせて艶消や凹凸を付与する方法が種々提案されている。
図3は、従来の艶消や凹凸を付与する方法による化粧材の断面を示す模式図の一例を示している(特許文献1参照)。同図に示す化粧材11は、基材12、着色層13、模様層14、浸透性が低い架橋硬化塗膜層(艶消防止層に相当する)19、浸透性が高い架橋硬化模様層(低艶インキ層に該当する)15、表面保護層17等より構成されている。
このような化粧材11は、浸透性が低い架橋硬化塗膜層19の上に、模様層14の中の艶消をする模様14aに対応する艶消部分を選定して浸透性が高い架橋硬化模様層15を積層させたものであるため、該浸透性が高い架橋硬化模様層15に表面保護層17を形成する未硬化の電離放射線硬化性樹脂組成物が浸透する等によって、該浸透性が高い架橋硬化模様層15の直上部などに一種の懸濁領域ができ、低艶層18が形成される。このことによって、模様層14のうち艶消をした部分14aの近傍が視覚的には凹、それ以外の艶が高い部分が凸として認識され、絵柄に立体感を与えることになる。つまり従来の化粧剤は、艶消をする部分を選択し、そこに懸濁層などを形成させて艶差を形成するものである。
しかし、このような層の構成を有する化粧材では次のような問題が生ずる。
(1)通常、模様の中の艶消をする部分は、木目模様における導管のように、極めて細い部分であることが多く、その幅が1000μm以下であり、時には100μm以下である。このような模様中の細い部分に正確に対応(同調)させて、浸透性が高い架橋硬化模様層15を形成することは極めて困難である。
(2)また、浸透性が高い架橋硬化模様層15の近傍に形成され、低艶層18となる懸濁領域が、図3における水平方向に膨張し、艶消する模様14a をはみ出して形成されることがある。そのため、艶消部分が膨張したり、その輪郭が不明瞭になり、幅が狭い、例えば100μm以下の部分を正確に艶消することができない現象が発生する。従って、艶消部分を緻密に形成でき、模様を繊細に表現することは極めて困難な状況にある。
特開2001−199028号公報
本発明は、表面に形成される模様により精密な艶差(光沢差)を付与することができ、該艶差が視覚的に凹部として認識されることから、表面により繊細な凹凸感を有する化粧材、及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、基材及び表面保護層とを有し、前記基材と前記表面保護層の間に、少なくとも低艶インキ層と、艶消防止層と
を積層した化粧材であって、それを積層する順序、及び積層する艶消防止層の形状を工夫することによって、前記課題を解決し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
〔1〕基材、及び電離放射線硬化性樹脂組成物が架橋硬化した表面保護層とを有し、前記基材と前記表面保護層の間に、基材側から、少なくとも低艶インキ層と、艶消防止層とをこの順序で積層した化粧材であって、
(a) 前記低艶インキ層は基材の全面に亘って形成され、
(b) 前記艶消防止層は艶消処置を行う領域を切抜いた形状を有して形成されたこと、
を特徴とする化粧材、
〔2〕前記艶消防止層の切抜き部分において、前記低艶インキ層の表面とその後に積層した前記表面保護層を形成する未硬化の電離放射線硬化性樹脂組成物とが接触した状態で積層されたことを特徴とする前記〔1〕に記載の化粧材、
〔3〕前記低艶インキ層の表面近傍であって、前記艶消し防止層の切抜き部分内に低艶層が形成されてなる前記〔1〕又は〔2〕に記載の化粧材、
〔4〕前記低艶インキ層と基材の間に、さらに模様層を積層した前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の化粧材、
〔5〕前記模様層と低艶インキ層との間に、さらに浸透防止層を積層した前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の化粧材、及び
〔6〕基材の全面に亘って低艶インキ層を積層し、その後に、艶消処置を行う部分を切抜いた形状の艶消防止層を該低艶インキ層の全面に積層し、続いて、前記切抜き部分を含む艶消防止層の全面に電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布し、さらに電離放射線を照射して表面保護層を形成することを特徴とする化粧材の製造方法、
を提供するものである。
本発明によれば、
(1)艶消防止層が艶消処置を行う部分を切抜いた形状を有して低艶インキ層の上(表面保護層側)に積層され、低艶インキ層が該艶消防止層の切抜き部分で表面保護層と接触しているので、低艶層がその切抜き部分内に形成される。そのため、低艶層が艶消防止層の切抜き部分より広く形成される可能性がなく、細い(シャープな)艶消層を形成することができる。
(2)低艶層の形状は、艶消防止層の切抜き部分の形状によって定まるため、低艶インキ層を積層する際、艶消しをする模様に厳密に合わせて積層する必要がなく、基材上の全面に亘って積層すればよい。そのため、製造工程を簡易にすることができるとともに、艶消部分が100μm幅以下のよな模様でも精密に艶消を行うことができ、より繊細に模様を表現することができる。
(3)電離放射線硬化性樹脂組成物の架橋硬化物である表面保護層を有するため、耐水性、耐久性など優れた物性を有する。
本発明を実行するための最良の形態について、図面とともに説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態である化粧材の断面を示す模式図を示している。化粧材1は、大略すると、基材2、低艶インキ層5、艶消防止層6、及び表面保護層7などにより構成されている。
表面保護層7は、電離放射線硬化性樹脂組成物の架橋硬化したものであり、化粧材1の最表面に被覆されている。低艶インキ層5は、表面保護層7を形成する未硬化の電離放射線硬化性樹脂組成物に対して浸透性を有する材料からなり、艶消防止層6の基材側にあって基材の全面に亘って積層されている。一方、艶消防止層6は前記表面保護層7を形成する未硬化の電離放射線硬化性樹脂組成物に対して浸透性を有しない材料からなり、低艶インキ層5の上全面に表面保護層7と接して積層されている。また、この艶消防止層6の形状は、艶消処置を行う部分を切抜いた、切抜き部分6a を有する形状を有している。つまり、艶消防止層6を挟んで、低艶インキ層5と表面保護層7が積層されていることになる。従って、低艶インキ層5と表面保護層7とは艶消防止層6によって隔離されているが、表面保護層7を形成する未硬化の電離放射線硬化性樹脂組成物が艶消防止層6の切抜き部分6a にも存在し、該切抜き部分6a においては、低艶インキ層5と表面保護層7とは、接触した状態で積層されている。
なお、図1の化粧材1は、基材2の上に、さらに、着色層3や模様層4を有している。但し、着色層3や模様層4を有しない化粧材1である場合は、低艶インキ層5と艶消防止層6に、それぞれ必要な絵柄模様インキを含ませて塗布して各層を形成することが可能であるから、これら着色層3や模様層4は必須のものではない。
上記の層構成を有する化粧材1が積層されると視覚上以下のようになる。
艶消防止層6の切抜き部分6a においては、表面保護層7の原料である電離放射線硬化性樹脂組成物中に、浸透性がある低艶インキ層5の一部が溶出し懸濁状態となり、低艶層8を形成する。この低艶層8は、切抜き部分6a 内に形成されることから、水平方向にその部分を越えて形成されることがない。このことによって、細い部分を艶消する場合であってもこれに精密に同調した低艶層8を形成できることになる。これに対し、艶消防止層6の切抜き部分以外の領域は表面保護層7と接触しているが、表面保護層を形成する材料である電離放射線硬化性樹脂組成物に対して浸透性を有しないから、艶の変化は生ずることがなく、また境界領域が変化したりすることもない。
従って、艶消防止層6の艶消処置を行う領域を切抜いた切抜き部分6aのみが精密に艶消が行われ、模様層4にある模様が、全体として艶差が鮮明になって視角上繊細な凹凸として観察できる。
続いて、図1に示す化粧材1の製造方法について説明する。
まず、基材1上に、着色層3、及び模様層4を積層する。次いで、模様層4の全面に亘って低艶インキ層5を積層する。本発明においては、着色層3、及び模様層4は必須でははないから、基材1の全面に亘って低艶インキ層5を形成することもある。その後、艶消処置を行う部分を切抜いた形状の艶消防止層6を低艶インキ層5の全面に亘って積層する。次いで、切抜き部分6a を含む艶消防止層6全面に電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布し、その後電離放射線を照射して表面保護層7を形成し、化粧材1を得る。この製造方法では、低艶インキ層5を、模様層4(基材1上に着色層3、模様層4が積層されていない場合は基材1)の全面に亘って積層すればよいため、従来のように.精密に描かれた繊細な模様の形状に合わせて厳密に積層する必要がなく、製造工程を簡易にすることができ、従って、より繊細な模様を艶消しすることが容易になる。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図2は、本発明の第2の実施形態である化粧材の断面を示す模式図を示している。図2における化粧材1は、浸透防止層9が模様層4の上に積層されたこと以外は、図1に示したものと同様である。前記浸透防止層9は、図2に示されるように模様層4と低艶インキ層5の間に設けられた、硬化性樹脂が架橋硬化した一様均一な層である。これによって、基材2上に着色層3、模様層4等がある場合には、これらの表面をならし、これらと低艶インキ層5との接着性を高める機能を果たすものであり、化粧材1の層間強度を高め、化粧材1全体の物性をさらに高めることができる。
以下、図1、図2に示す第1、第2の実施の形態である化粧材1を通じて、本発明に用いられる各層の好ましい内容について説明する。
まず、基材2としては、通常化粧材として用いられるものであれば、特に限定されず、各種の紙類、プラスチックフィルム、プラスチックシート、金属箔、金属シート、金属板、木材などの木質系の板、窯業系素材等を用途に応じて適宜選択することができる。これらの材料はそれぞれ単独で使用してもよいが、紙同士の複合体や紙とプラスチックフィルムの複合体等、任意の組み合わせによる積層体であってもよい。
これらの基材、特にプラスチックフィルムやプラスチックシートを基材として用いる場合には、その上に設けられる層との密着性を向上させるために、所望により、片面または両面に酸化法や凹凸化法などの物理的または化学的表面処理を行うことができる。
上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理法などが挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から好ましく用いられる。
また該基材はプライマー層を形成する等の処理を施してもよいし、色彩を整えるための塗装や、デザイン的な観点での模様があらかじめ形成されていてもよい。
基材として用いられる各種の紙類としては、薄葉紙、クラフト紙、チタン紙などが使用できる。これらの紙基材は、紙基材の繊維間ないしは他層と紙基材との層間強度を強化したり、ケバ立ち防止のため、これら紙基材に、更に、アクリル樹脂、スチレンブタジエンゴム、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂を添加(抄造後樹脂含浸、又は抄造時に内填)させたものでもよい。例えば、紙間強化紙、樹脂含浸紙等である。
これらの他、リンター紙、板紙、石膏ボード用原紙、又は紙の表面に塩化ビニル樹脂層を設けたビニル壁紙原反等、建材分野で使われることの多い各種紙が挙げられる。さらには、事務分野や通常の印刷、包装などに用いられるコート紙、アート紙、硫酸紙、グラシン紙、パーチメント紙、パラフィン紙、又は和紙等を用いることもできる。また、これらの紙とは区別されるが、紙に似た外観と性状を持つ各種繊維の織布や不織布も基材として使用することができる。各種繊維としてはガラス繊維、石綿繊維、チタン酸カリウム繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、若しくは炭素繊維等の無機質繊維、又はポリエステル繊維、アクリル繊維、若しくはビニロン繊維などの合成樹脂繊維が挙げられる。
プラスチックフィルム又はプラスチックシートとしては、各種の合成樹脂からなるものが挙げられる。合成樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、オレフィン系熱可塑性エラストマー等のポリオレフィン樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂等のビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等のポリエステル樹脂;ポリ(メタ)アクリル酸メチル樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エチル樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル樹脂等のアクリル樹脂;ナイロン6又はナイロン66等で代表されるポリアミド樹脂;三酢酸セルロース樹脂、セロファン等のセルロース系樹脂;ポリスチレン樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリアリレート樹脂;又はポリイミド樹脂等が挙げられる。
金属箔、金属シート、又は金属板としては、例えばアルミニウム、鉄、ステンレス鋼、又は銅等からなるものを用いることができ、またこれらの金属をめっき等によって施したものを使用することもできる。各種の木質系の板としては、杉、松、檜、ラワン、チーク等の木材の単板、合板、集成材、パーチクルボード、又はMDF(中密度繊維板)等の木質繊維板が挙げられる。窯業系素材としては、石膏板、珪酸カルシウム板、木片セメント板などの窯業系建材、陶磁器、ガラス、琺瑯、焼成タイル等が例示される。これらの他、繊維強化プラスチック(FRP)の板、ペーパーハニカムの両面に鉄板を貼ったもの、2枚のアルミニウム板でポリエチレン樹脂を挟んだもの等、各種の素材の複合体も基材として使用できる。
基材2の厚さについては特に制限はないが、プラスチックを素材とするシートを用いる場合には、厚さは、通常20〜150μm程度、好ましくは30〜100μmの範囲であり、紙基材を用いる場合には、坪量は、通常20〜150g/m2程度、好ましくは30〜100g/m2の範囲である。
着色層3は、図1に示される全面にわたって一様均一に被覆され、本発明の化粧材の意匠性を高める目的で所望により設けられる、隠蔽層、あるいは全面ベタ層とも称されるものである。着色層3は基材2上の表面の色を整えることで、基材2自身が着色していたり、色ムラがあるときに形成して、基材2の表面に意図した色彩を与えるものである。通常不透明色で形成することが多いが、着色透明色で形成し、下地が持っている模様を活かす場合もある。基材2が白色であることを活かす場合や、基材2自身が適切に着色されている場合には着色層3の形成を行う必要はない。
着色層の形成に用いられるインキとしては、バインダーに顔料、染料などの着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤などを適宜混合したものが使用される。該バインダーとしては特に制限はなく、例えば、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−アクリル系共重合体樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ニトロセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂などの中から任意のものが、1種単独で又は2種以上を混合して用いられる。
着色剤としては、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料;キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料;アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料;二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等が用いられる。
この着色層3は厚さ1〜20μm程度の、いわゆるベタ印刷層が好適に用いられる。
図1に示される模様層4は基材2に装飾性を与えるものであり、種々の模様をインキと印刷機を使用して印刷することにより形成される。模様としては、木目模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)等の岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様等があり、これらを複合した寄木、パッチワーク等の模様もある。これらの模様は通常の黄色、赤色、青色、および黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成される他、模様を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷等によっても形成される。
模様層4に用いる絵柄インキとしては、着色層3に用いるインキと同様のものを用いることができる。
図1に示される低艶インキ層5は、基材2に直接積層されるか、または、図1に示すように必要に応じて設けられた着色層3、模様層4などの上に積層されるもので、模様の艶差を生じさせる層である。この低艶インキ層5の積層範囲については、艶消する領域のみを選択して形成する必要はなく、基材2の全面に積層(いわゆるベタ印刷)すればよい。従って、艶消する部分が100μm幅程度の繊細な模様であっても、容易に製造することが可能である。
低艶インキ層5を形成する低艶インキは、表面保護層7を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物との間で溶出、分散、混合等の相互作用を発現し得る性質を有するものであり、該電離放射線硬化性樹脂組成物(未硬化物)との関連で適宜選定されるものである。具体的には、バインダー樹脂として非架橋性樹脂を有するインキであることが好ましく、例えば熱可塑性(非架橋型)ウレタン樹脂などが好適である。また、必要に応じて、低光沢領域の発現の程度、低艶層とその周囲との艶差のコントラストを調整するため、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、又は塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などを混合することができる。
低艶インキ層5を形成する低艶インキは着色層3や模様層4で用いるインキ組成物と同様に、着色剤を有し、それ自体で着色したり、艶消防止層6との組合わせによって絵柄模様を与えることができるが、図1に示すような着色層3や模様層4を有する場合には、既に基材2に対して色彩や模様を与えているので、低艶インキ層5を形成するための低艶インキ組成物には、必ずしも着色剤を添加して着色する必要はない。低艶インキ層5を形成する低艶インキの塗布量については、1〜30g/m2の範囲であることが好ましい。1g/m2以上であると、上述した低艶インキの電離放射線硬化性樹脂組成物との相互作用が十分であり、化粧材表面の十分な艶差が得られる。一方30g/m2以下であると、低艶インキの印刷に際して機械的制約がなく、また経済的にも有利である。以上の観点から、低艶インキの塗布量はさらに2〜10g/m2の範囲であることが好ましい。
図1に示される艶消防止層6は、低艶インキ層5の上に積層されるものであり、さらにその上に積層される表面保護層7と低艶インキ層5とに挟まれて積層されている。この艶消防止層6の形状は、上述のように艶消処置を行う領域を切抜いた、切抜き部分6a を有する形状をなしている。例えば、木目模様を表現する場合にあっては、木目の導管部分を切抜いた形状であり、タイル貼模様を表現しようとする場合には、タイル貼の目地溝部分を切抜いた形状である。艶消防止層6がこのような形状であることによって、切抜き部分6a に侵入している表面保護層7の原料である電離放射線硬化性樹脂組成物と低艶インキ層5とは、接触し、その他の部分は、艶消防止層6によって遮断された状態にある。従って、艶消防止層6は、切抜いた部分で低艶層8を形成するとともに、それ以外の部分が艶消されることを防止する艶領域を確保する層である。
艶消防止層6を形成する艶消防止インキは、表面保護層7を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物との間で溶出、分散、混合等の相互作用を発現しない性質を有するものであり、該電離放射線硬化性樹脂組成物(未硬化物)との関連で適宜選定されるものである。具体的には、バインダー樹脂として遮蔽性のある架橋性樹脂組成を有するインキであることが好ましく、例えばポリエステルポリオールやアクリルポリオール,ポリビニルブチラールなどが好適である。また、低艶インキ層5を形成する低艶インキと同様に、着色層3や模様層4で用いるインキ組成物と同様に、着色剤を有し、それ自体で絵柄模様を与えることができるが、図1に示すような着色層3や模様層4を有する場合には、既に基材2に対して色彩や模様を与えているので、艶消防止層6を形成する艶消防止インキ組成物には、必ずしも着色剤を添加して着色する必要はない。
艶消防止層6を形成する艶消防止インキの塗布量については、1〜5g/m2の範囲であることが好ましい。1g/m2以上であると、低艶インキ層と電離放射線硬化性樹脂組成物との相互作用を遮蔽することが可能であり、化粧材表面に十分な艶差を与えることができる。一方5g/m2以下であると、艶消防止インキの印刷に際して機械的制約がなく、また経済的にも有利である。以上の観点から、艶消防止インキの塗布量はさらに2〜4g/m2の範囲であることが好ましい。
図1に示される表面保護層7は上述のように電離放射線硬化性樹脂組成物が架橋硬化したもので構成される。ここで、電離放射線硬化性樹脂組成物とは、電磁波または荷電粒子線の中で分子を架橋、重合させ得るエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線または電子線などを照射することにより、架橋、硬化する樹脂組成物を指す。具体的には、従来電離放射線硬化性樹脂組成物として慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。
代表的には、重合性モノマーとして、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好適であり、中でも多官能性(メタ)アクリレートが好ましい。なお、ここで「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。多官能性(メタ)アクリレートとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートであればよく、特に制限はない。具体的にはエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの多官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記多官能性(メタ)アクリレートとともに、その粘度を低下させるなどの目的で、単官能性(メタ)アクリレートを、本発明の目的を損なわない範囲で適宜併用することができる。単官能性(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの単官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
次に、重合性オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマー、例えばエポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系などが挙げられる。ここで、エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーも用いることができる。ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
さらに、重合性オリゴマーとしては、他にポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマー、小さな分子内に多くの反応性基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート系オリゴマー、あるいはノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテル等の分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマーなどがある。
上述のように低艶インキ層5を構成する低艶インキが表面保護層7を構成する電離放射線硬化性樹脂組成物に対して、溶出、分散、混合等の相互作用を発現し得る性質を有することが重要であり、この観点から適当なインキと電離放射線硬化性樹脂組成物が選定されるが、電離放射線硬化性樹脂組成物としては、多官能性(メタ)アクリレートモノマーを含有することが好ましい。
電離放射線硬化性樹脂組成物として紫外線硬化性樹脂組成物を用いる場合には、光重合用開始剤を樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜5質量部程度添加することが望ましい。光重合用開始剤としては、従来慣用されているものから適宜選択することができ、特に限定されず、例えば、分子中にラジカル重合性不飽和基を有する重合性モノマーや重合性オリゴマーに対しては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタールなどが挙げられる。
また、分子中にカチオン重合性官能基を有する重合性オリゴマー等に対しては、芳香族スルホニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等が挙げられる。
また、光増感剤としては、例えばp−ジメチル安息香酸エステル、第三級アミン類、チオール系増感剤などを用いることができる。
図1に示される表面保護層7においては、電離放射線硬化性樹脂組成物として電子線硬化性樹脂組成物を用いることが好ましい。電子線硬化性樹脂組成物は無溶剤化が可能であって、環境や健康の観点からより好ましく、また光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるからである。
また電離放射線硬化性樹脂組成物には、得られる硬化樹脂層の所望物性に応じて、各種添加剤を配合することができる。この添加剤としては、例えば耐候性改善剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、溶剤、着色剤などが挙げられる。
ここで、耐候性改善剤としては、紫外線吸収剤や光安定剤を用いることができる。紫外線吸収剤は、有機系紫外線吸収剤として、例えばベンゾトリアゾール系、具体的には、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、ポリエチレングリコールの3−[3−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸エステルなどが挙げられる。一方、光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系、具体的には2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2’−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートなどが挙げられる。また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基などの重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、t−ブチルカテコールなどが、架橋剤としては、例えばポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、金属キレート化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物などが用いられる。
着色剤としては、例えばキナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、酸化チタン、カーボンブラックなどの公知の着色用顔料などが用いられる。
赤外線吸収剤としては、例えば、ジチオール系金属錯体、フタロシアニン系化合物、ジインモニウム化合物等が用いられる。
図1に示される表面保護層7においては、前記の電離放射線硬化成分である重合性モノマーや重合性オリゴマー、微粒子及び各種添加剤を、それぞれ所定の割合で均質に混合し、電離放射線硬化性樹脂組成物からなる塗工液を調製する。この塗工液の粘度は、後述の塗工方式により、基材の表面に未硬化樹脂層を形成し得る粘度であればよく、特に制限はない。
このようにして調製された塗工液を、基材の表面に、硬化後の厚さが1〜20μm程度になるように、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコートなどの公知の方式、好ましくはグラビアコートにより塗工し、未硬化樹脂層を形成させる。硬化後の厚さが1μm以上であると所望の機能を有する硬化樹脂層が得られる。硬化後の表面保護層の厚さは、好ましくは2〜20μm程度である。
このようにして形成された未硬化樹脂層に、電子線、紫外線等の電離放射線を照射して該未硬化樹脂層を硬化させる。ここで、電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度で未硬化樹脂層を硬化させることが好ましい。
なお、電子線の照射においては、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、基材として電子線により劣化する基材を使用する場合には、電子線の透過深さと樹脂層の厚みが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定することにより、基材への余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による基材の劣化を最小限にとどめることができる。
また、照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy、好ましくは10〜50kGyの範囲で選定される。
さらに、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、通常波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈等が用いられる。
このようにして、形成された硬化樹脂層には、各種の添加剤を添加して各種の機能、例えば、高硬度で耐擦傷性を有する、いわゆるハードコート機能、防曇コート機能、防汚コート機能、防眩コート機能、反射防止コート機能、紫外線遮蔽コート機能、赤外線遮蔽コート機能などを付与することができる。
次に、浸透防止層9は、図2に示されるように、模様層4と低艶インキ層5の間に設けられ、化粧材1の層間強度を高め、化粧材1全体の物性を高める機能を果たす。また、浸透防止層9は前記低艶インキ層5を構成する低艶インキが、基材2中に浸透することを抑制する機能をも持つものであり、基材2が紙や不織布などの浸透性基材である場合に特に効果を発揮する。
浸透防止層9を形成する浸透防止インキの塗布量については、1〜30g/m2の範囲であることが好ましい。1g/m2以上であれば、化粧材の層間強度を高め物性を高めることができる。一方30g/m2以下であると、浸透防止インキの印刷に際して機械的制約がなく、また経済的にも有利である。以上の観点から、浸透防止インキの塗布量はさらに2〜10g/m2の範囲であることがさらに好ましい。
上記図1、図2で示した本発明の第1及び第2の形態における化粧材1は、特定形状を有する艶消防止層6を挟んで積層された低艶インキ層5と表面保護層7の原料を構成する電離放射線硬化性樹脂組成物が、艶消防止層6の切抜いた部分を通して接触し、その相互作用によって模様の艶差を形成するものである。以下、模様の艶差を形成する作用機構について図1を用いて説明する。
本発明における艶差発生の機構は、低艶インキ層5の表面に艶消防止層6を積層し、さらに表面保護層7を形成するために電離放射線硬化性樹脂の未硬化物を塗工した際に、艶消防止層6の切抜き部分6a で、低艶インキ層5の樹脂成分が一部表面保護層中に溶出、分散、混合、又は浸透などすることによるものと推測される。この際、低艶インキ層5のインキと電離放射線硬化性樹脂の未硬化物におけるそれぞれの樹脂成分は、短時間には完全相溶状態にならずに懸濁状態となって、低艶インキ層5の直上部、すなわち、艶消防止層6の切抜いた部分の中に存在し、該懸濁状態となった部分が光を散乱して低光沢領域をなすものと考えられる。この懸濁状態を有したまま、表面保護層を架橋硬化せしめることにより、かかる状態が固定されると、表面保護層中に低光沢領域を有する低艶層8が形成され、その部分が凹部であるかの如く認知されるものと推測される。
また、該低艶層8の形状は、それが主として艶消防止層6の切抜いた部分の中に形成されることから、艶消防止層6の切抜いた幅を超えて存在することはなく、絵柄に基づいた精密(シャープ)な模様の艶差が形成される。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。
(評価方法)
各実施例で得られた化粧材について、以下の方法で評価した。
(1)艶消模様の外観の評価
目視により、幅が約80μmの艶消部分(木目模様の導管部分)が明確に凹として認識できるか(○)、できないか(×)を観察した。
(2)艶の評価
グロスメーター(村上色彩技術研究所製「GMX−203」)を用い、入射角75度の条件で、高光沢領域と低光沢領域におけるグロス値を測定した。数字が高いほど高光沢(高艶)であることを示し、数字が低いほど低光沢(低艶)であることを示す。
(3)耐水性
水を入れたコップを化粧材の表面に逆さに固定し、24時間放置後コップをとる。その後、室温で24時間放置し、表面に膨れ等の変化が発生していないかを目視で観察した。判定基準を以下のようにして評価した。
◎ 全く変化がない
△ 変化はあるものの軽微なもので実用上問題がない
× 膨れ等の変化が明瞭である
(4)経時剥離性
化粧材表面にセロファンテープ(ニチバン(株)製のセロファン粘着テープ、「セロテープ(商標)」2.5mm幅)を貼着させ、室温(25℃)及び50℃で24時間放置し、その後強制的に剥離した。該化粧材の剥離面を目視で観察し、以下の判定基準で評価した。
◎ 絵柄の剥離がいずれの温度においても全くない
△ 絵柄の剥離はあるものの軽微なもので実用上問題がない
× 絵柄の剥離が著しい
(5)耐汚染性
JIS K−6902に準拠して、汚染物を化粧材表面に塗布し、ふき取った後の汚染物の残存具合を目視にて観察した。判定基準を以下のようにして評価した。
◎ 汚染物の残存は全くない
△ 汚染物の残存はあるものの軽微なもので実用上問題がない
× 汚染物の残存が著しい
(6)マリーング性能
29.4kPa(300g/cm2)の荷重となるように調整された重りに、スチールウール(#0000)を取り付けて、化粧材の表面を50回擦り、該表面の艶の変化を目視にて観察した。判定基準を以下のようにして評価した。
◎ 全く変化がない
△ 変化はあるものの軽微なもので実用上問題がない
× 変化が著しい
実施例1
基材2として、米秤量30g/m2の建材用紙間強化紙を用い、その片面にアクリル樹脂と硝化綿をバインダーとし、チタン白、弁柄、黄鉛を着色剤とするインキを用いて、塗工量5g/m2の(全面ベタ)層をグラビア印刷にて施して着色層3とした。その上に硝化綿をバインダーとし、弁柄を主成分とする着色剤を含有するインキを用いて、木目模様の模様層4をグラビア印刷にて形成した。
次に、数平均分子量30,000、ガラス転移温度(Tg)−62.8℃のポリエステルウレタン系樹脂をバインダーとした透明インキ100質量部に対して、平均粒子径1.5μmのシリカ粒子を10質量部配合したインキ組成物を用いて全面にグラビア印刷にて低艶インキ層5を形成した。この際の塗工量は3g/m2であり、次工程の表面保護層形成後の低艶インキ層5の厚さは2μmであった。
続いて、アクリルポリオールとイソシアネートの混合物からなる艶消防止インキを、導管部分を切抜いた形状になるようにグラビア印刷して、艶消防止層6を形成した。
これらインキ層の上に3官能アクリレートモノマーであるエチレンオキサイド変性トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリアクリレートを60質量部と6官能アクリレートモノマーであるジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを40質量部からなる電子線硬化性樹脂組成物を塗工量5g/m2でグラビアオフセットコータ法により塗工した。塗工後、加速電圧175kV、照射線量50kGyの電子線を照射して、電子線硬化性樹脂組成物を硬化させて、表面保護層7とした。表面保護層4の厚さは4μmであった。次いで、70℃で24時間の養生を行い、化粧材を得た。
この化粧材について、艶消模様の外観評価、艶の評価、耐水性、経時剥離性、耐汚染性及びマリーング性能について評価した。その結果を第1表に示す。
実施例2
模様層4をグラビア印刷にて形成した後で、平均分子量30,000、ガラス転移温度(Tg)+55.0℃のアクリルポリオール系樹脂を用いて、塗工量5g/m2で全面にグラビア印刷して浸透防止層9を形成した以外は、実施例1と同様の操作を行い、化粧材を得た。
Figure 2006051694
本発明によれば、表面に模様が形成され、模様に応じた艶差を有し、該艶差が視覚的に凹部として認識される、表面に凹凸感を有する化粧材であって、かつ耐溶剤性、耐摩耗性、あるいは層間強度の高い化粧材を得ることができる。特に木目模様に用いた場合には、導管部分の艶差及び凹凸感を繊細かつリアルに表現でき、実際の木材を用いた材料と同様の質感を得ることができる。
本発明の第1の実施形態である化粧材の断面を示す模式図である。 本発明の第2の実施形態である化粧材の断面を示す模式図である。 従来技術を説明するための化粧材の断面を示す模式図である。
符号の説明
1、11. 化粧材
2、12. 基材
3、13. 着色層
4、14. 模様層
4a 、14a 艶消する模様
5. 低艶インキ層
15. 架橋硬化模様層(低艶インキ層)
6. 低艶インキ層
6a 切抜き部分
7,17. 表面保護層
8,18. 低艶層
9. 浸透防止層
19. 架橋硬化塗膜層

Claims (6)

  1. 基材、及び電離放射線硬化性樹脂組成物が架橋硬化した表面保護層とを有し、前記基材と前記表面保護層の間に、基材側から、少なくとも低艶インキ層と、艶消防止層とをこの順序で積層した化粧材であって、
    (a) 前記低艶インキ層は基材の全面に亘って形成され、
    (b) 前記艶消防止層は艶消処置を行う領域を切抜いた形状を有して形成されたこと、
    を特徴とする化粧材。
  2. 前記艶消防止層の切抜き部分において、前記低艶インキ層の表面とその後に積層した前記表面保護層を形成する未硬化の電離放射線硬化性樹脂組成物とが接触した状態で積層されたことを特徴とする請求項1に記載の化粧材。
  3. 前記低艶インキ層の表面近傍であって、前記艶消し防止層の切抜き部分内に低艶層が形成されてなる請求項1又は2に記載の化粧材。
  4. 前記低艶インキ層と基材の間に、さらに模様層を積層した請求項1〜3のいずれかに記載の化粧材。
  5. 前記模様層と低艶インキ層との間に、さらに浸透防止層を積層した請求項1〜4のいずれかに記載の化粧材。
  6. 基材の全面に亘って低艶インキ層を積層し、その後に、艶消処置を行う部分を切抜いた形状の艶消防止層を該低艶インキ層の全面に積層し、続いて、前記切抜き部分を含む艶消防止層の全面に電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布し、さらに電離放射線を照射して表面保護層を形成することを特徴とする化粧材の製造方法。
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