JP7066993B2 - 積層体および化粧シート - Google Patents
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Description
特許文献1に記載の化粧シートは、光安定剤や紫外線吸収剤などをトップコート層に配合することで、耐候性向上を図っている。しかし、長期の使用により、トップコート層からブリードアウトすることで、光安定剤や紫外線吸収剤が消失することや酸素や光により各材料の化学構造が破壊されることで機能が消失することが知られている。
さらに、樹脂組成物中において紫外線吸収剤や光安定剤の化学構造が壊れ、低分子化することで、樹脂層の表面から紫外線吸収剤や光安定剤が分解した成分が浮き出す、所謂ブリードアウトが発生しやすくなる。そして、他の樹脂層との密着性が低下するなどの問題が発生する。さらには、表層に浮き出て、べたつき等の問題を生じることとなる。
課題を解決するために、本発明の第1の態様の積層体は、複数の樹脂層からなる積層体であって、上記積層体の最表面側に位置するトップコート層に、pKaが4.0から7.0の光安定剤と、光を照射したときのpKaが-4.5から-5.5である紫外線吸収剤とが含有していることを特徴とする。
また、本発明の第1の態様の化粧シートは、上記の積層体を備えることを特徴とする。
ここで、上記光安定剤を、アミノエーテル基を有し且つ分子量が600以上のヒンダードアミン系とするか、または、上記紫外線吸収剤を、トリアジン骨格もしくはベンゾトリアゾール骨格を有し且つ分子量が400以上とすることで、さらに耐候性が向上した化粧シートを提供することができる。
ここで、図1に示す構成は模式的なものであり、厚さと平面寸法との関係、各層の厚さの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造等が下記のものに限定されるものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
各層の詳細を以下に説明する。
化粧シート1の最表層には、表面の保護や艶の調整としての役割を果たすトップコート層2が設けられている。上記トップコート層2には、紫外線吸収剤及び光安定剤が配合されている。
ここで、図1では、トップコート層2が透明樹脂層3の全面に対し、透明樹脂層3の表面に沿って形成される場合を例示しているがこれに限定されない。トップコート層2は、透明樹脂層3に形成されたエンボス模様3aの凹部に対して、樹脂組成物を塗布し、塗液をスキージなどで掻き取ることで、凹部のみに当該樹脂組成物を埋め込むワイピングによって埋設されて設けられてもよい。又、トップコート層2の表面が、エンボス模様3aの凹部に関係なく、平坦であっても良い。トップコート層2は、少なくともエンボス模様3aの凹部に埋め込まれて設けられていればよく、エンボス模様3aを形成することにより層厚が薄くなっている凹部においても、埋設されたトップコート層2によって高い耐候性を維持することができる。なお、透明樹脂層3の全面を覆うようにトップコート層2を設けることで、より優れた耐候性を備えた化粧シート1を提供することができる。
トップコート層2の主成分の樹脂材料としては、ポリウレタン系、アクリルシリコン系、フッ素系、エポキシ系、ビニル系、ポリエステル系、メラミン系、アミノアルキッド系、尿素系などの樹脂材料から適宜選択して用いることができる。樹脂材料の形態は、水性、エマルジョン、溶剤系など特に限定されるものではない。硬化法についても1液タイプ、2液タイプ、紫外線硬化法など適宜選択して行うことができる。
ここで、本明細書における主成分とは、対象の層を構成する材料の70質量%以上、好ましくは90質量%以上含まれる樹脂材料を指す。
またこのとき、トップコート層2を複数の層、例えば、熱硬化樹脂を主成分とした熱硬化層と、紫外線硬化樹脂などの光硬化樹脂を主成分とした光硬化層の2層から構成しても良い。このように2層の硬化層から構成することで、化粧シート1の表面硬度を向上することができる。このとき、光硬化層を表層側とすることが好ましい。
本実施形態では、トップコート層2は、pKaが4.0から7.0の光安定剤と、光を照射したときのpKaが-4.5から-5.5の紫外線吸収剤を含有する。
ここで、トップコート層2が複数の層で構成される場合には、その複数の層のうちの1以上の層に対して、pKaが4.0から7.0の光安定剤と、光を照射したときのpKaが-4.5から-5.5である紫外線吸収剤とを含有させる。またこのとき、その他の層には、pKaが4.0から7.0の光安定剤、又は光を照射したときのpKaが-4.5から-5.5である紫外線吸収剤の一方を含有させることが好ましい。
本実施形態においては、紫外線吸収剤や光安定剤の配合量は、それを配合する層において、樹脂材料100質量部に対し、紫外線吸収剤が1.0から15.0質量部、光安定剤が0.1から5.0質量部の割合で含有されている。
光安定剤は、アミノエーテル基を有し分子量が600以上のヒンダードアミン系光安定剤であることが好ましい。光安定剤の分子量は、例えば数平均分子量で測定すればよい。
もっとも、上記の光安定剤が単体で構成されている場合、その構造が既知であれば、光安定剤の分子量は、構造式から算出される値を用いてもよい。
例えば、紫外線吸収剤は、下記ヒドロキシフェニルトリアジン骨格を有する化合物(1)またはベンゾトリアゾール骨格を有する化合物(2)であり、これらは極大吸収を270nmから400nmに有する化合物が好ましい。上記の紫外線吸収剤は、光を吸収することで励起し、骨格に応じて、分子内で水素原子の移動が生じる。基底状態には、熱を放出して戻ることができる。これらは、それぞれ、反応式(3)、反応式(4)で示すことができる。
ベンゾエート系の紫外線吸収剤としては、フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4-ジ第三ブチルフェニル-3’,5’-ジ第三ブチル-4’-ヒドロキシベンゾエート、2,4-ジ第三アミルフェニル-3’,5’-ジ第三ブチル-4’-ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル-3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシベンゾエートなどが挙げられる。
光安定剤は、下記ヒンダードアミン系の化合物(5)であり、上記ヒンダードアミン系の化合物は、反応式(6)の反応によりラジカルを捕捉することができる。
これらのヒンダードアミン系の光安定剤の中でも、市販されている代表的なものとして、例えば、BASFジャパン(株)製Tinuvin 123、Tinuvin 152、Tinuvin NOR 371 FF、Tinuvin XT850 FF、Tinuvin XT855 FF、TINUVIN 5100、TINUVIN 622SF、Flamestab NOR 116 FF、(株)ADEKA製アデカスタブLA-81などが挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
光安定剤をトップコート層2へ配合する場合、トップコート層2の主成分の樹脂100質量部に対して、それぞれ0.1質量部以上5.0質量部以下配合することが好ましい。より好ましくは、0.3質量部以上3.0質量部以下である。光安定剤の配合量が0.1質量部よりも少ないと発生したラジカルに対する樹脂の安定性の効果が低いおそれがある。一方、5.0質量部よりも多いとブリードアウトが生じる可能性が高くなる。
トップコート層2には、無機粒子からなる光沢調整剤を含むことが好ましい。その無機粒子としては、例えば、シリカ、クレー、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナホワイト、水酸化アルミニウム、タルク、ベントナイト、酸化チタン等、コロイダルシリカ等で知られる無水ケイ酸、含水ケイ酸、含水ケイ酸カルシウム、含水ケイ酸アルミニウム等のホワイトカーボン、アルミナゾルなどが挙げられる。
無機粒子の粒子径は1μm以上20μm以下であることが好ましい。より好ましくは、3μm以上10μm以下である。粒子系が1μmより小さいと光沢調整の効果が低いおそれがある。一方、20μmより大きいと、フィラーが欠落する可能性が高くなる。
上記無機粒子は、化粧シートの意匠(光沢度)に寄与するため、それに応じた量を配合する。配合量としては、トップコート層2の主成分の樹脂100質量部に対して、通常、1質量部以上20質量部以下の配合が一般的である。
透明樹脂層3は、トップコート層2の基材を構成し、インキ層5を設ける場合にはインキ層5を保護する保護層となる。透明樹脂層3の透明性は、インキ層5が視認可能なだけの透明性があれば良い。なお、積層体としては、最低限、透明樹脂層3とトップコート層2を備えていればよい。インキ層5を設けない場合には、透明樹脂層3は透明である必要はない。
透明樹脂層3は、樹脂の主成分がオレフィン系樹脂であり且つpKaが7.0以下の化合物を樹脂材料100質量部に対して0.3質量部以上含有した樹脂層であることが好ましい。配合するpKaが7.0以下の化合物は、15.0質量部以下が好ましい。
pKaが7.0以下の化合物は、例えば上述のようなトップコート層2に配合するのと同じ光安定剤や紫外線吸収剤である。
エンボス模様3aは、意匠性を向上させるために形成される。エンボス模様3aは、トップコート層2を形成する前に、凹凸模様を有するエンボス版を用いて熱および圧力を付与することによってエンボス模様3aを形成する方法や、押出機を用いて製膜する際に凹凸模様を有する冷却ロールを用いてシートの冷却と同時にエンボス模様3aを形成する方法などによって形成することができる。
透明樹脂層3に対して非極性のポリプロピレンを用いた場合、当該透明樹脂層3と下面に配置される樹脂層との密着性が低い場合には、接着性樹脂層7を設けることが好ましい。接着性樹脂層7としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリル系などの樹脂に酸変性を施したものが好ましく、層厚は接着性や耐熱性の観点から2μm以上20μm以下が望ましい。また、当該接着性樹脂層7は、接着強度向上の観点から、透明樹脂層3と共押出ラミネート法によって形成されることが好ましい。
透明樹脂層3の下面側には、図1に示すように、さらに下面側のインキ層5と透明樹脂層3との密着性を向上させるための接着剤層4が設けられている。
接着剤層4の材質は特に限定されるものではないが、アクリル系、ポリエステル系、ポリウレタン系、エポキシ系などから適宜選択して用いることができる。塗工方法は接着剤の粘度などに応じて適宜選択することができるが、一般的には、グラビアコートが用いられ、インキ層5が施された原反層6側にグラビアコートによって塗布された後、透明樹脂層3及び接着性樹脂層7とラミネートするようにされている。なお、接着剤層4は、透明樹脂層3とインキ層5との接着強度が十分に得られる場合には、省略することができる。
本実施形態のインキ層5は、絵柄模様層5aとベタインキ層5bとを備える。そして、少なくとも絵柄模様層5aに対し、上述の目的で光安定剤を含有している。また、絵柄模様層5aの下面側にベタインキ層5bを設けることにより、隠蔽性をもたせることができる。
これらのインキ層5は、原反層6に対して直接、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、静電印刷、インクジェット印刷などにより形成することができる。また、金属によって隠蔽性を付与する場合には、コンマコーター、ナイフコーター、リップコーター、金属蒸着あるいはスパッタ法などを用いることが好ましい。
なお、樹脂材料やインキが積層される界面に対しては、その接着性を考慮して、当該樹脂材料やインキを施す前に、積層される表面にコロナ処理、オゾン処理、プラズマ処理、電子線処理、紫外線処理、重クロム酸処理などの表面処理を施すことにより表面を活性化した後に積層工程を経ると層同士の接着性を向上させることができる。
インキ層5の下面側には、基材層となる原反層6が設けられている。原反層6は、薄葉紙、チタン紙、樹脂含浸紙などの紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリブチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、アクリルなどの合成樹脂、あるいはこれら合成樹脂の発泡体、エチレン-プロピレン共重合ゴム、エチレン-プロピレン-ジエン共重合ゴム、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合ゴム、ポリウレタンなどのゴム、有機もしくは無機系の不織布、合成紙、アルミニウム、鉄、金、銀などの金属箔などから任意に選択することができる。
また、原反層6としてオレフィン系の樹脂を用いる場合には、表面が不活性な状態となっていることが多いので、原反層6と化粧シート1を貼り付ける基材(不図示)との間にプライマー層(不図示)を設けることが好ましい。この他にも、オレフィン系樹脂からなる原反層6と上記基材との接着性を向上させるために、原反層6の裏面に対して、コロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、電子線処理、紫外線処理または重クロム酸処理などが施されていることが好ましい。
本実施形態の化粧シート1においては、原反層6は印刷作業性、コストなどを考慮して20μm~150μm、接着剤層4は1μm~20μm、透明樹脂層3は20μm~200μm、トップコート層2は3μm~20μmとすることが望ましく、化粧シート1の総厚は45μm~400μmの範囲内とすることが好適である。
紫外線吸収剤と光安定剤は分子間相互作用を必要とするため近接して存在するほうが好ましい。ここで、トリアジン骨格もしくはベンゾトリアゾール骨格の紫外線吸収剤とヒンダードアミン骨格の光安定剤を用いた場合の相互作用について見てみる。一般に紫外線吸収剤と光安定剤の分子間相互作用は、紫外線吸収剤の共役系と光安定剤のヒンダードアミン骨格の間で生じる。紫外線吸収剤は、光吸収した際に、トリアジン骨格もしくはベンゾトリアゾール骨格の窒素上に分子内水素結合を生じている存在確立が高い。言い換えると、ヒドロキシル基上の水素が解離しやすい状態にある。
このような事に鑑み、本実施形態では、トップコート層2を構成する樹脂組成物中に、pKaが4.0から7.0の光安定剤、光を照射したときのpKaが-4.5から-5.5の紫外線吸収剤を含有させることで、耐候性の高いトップコート層2を有する積層体を提供し、その積層体を使用した、安定した耐候性を有する化粧シート1を提供することができる。
また、透明樹脂層3に配合する化合物のpKaを7.0以下とすることが好ましい。
水系で既知のpKa値を有する有機参照物質に、0.1N過塩素酸/ジオキサンのアセトニトリル:クロロホルム=1:1溶液を滴下し、非水系における半中和電位(HNP)を滴定した。その際、pKaに対するHNP検量線のプロットを作成した。次いで同様にして光安定剤を滴定し、検量線プロットから相当するpKaを求めた。
ここで、紫外線吸収剤を極大吸収波長での吸光度が1となるようにアセトニトリルに溶解させ、窒素により15分間バブリングを行った。その後、この溶液に70%過塩素酸を滴下し、溶液のpHを変化させていった。その際、溶液の吸収スペクトルを測定し、λmaxにおける吸光度から各pHにおける紫外線吸収剤と紫外線吸収剤のベンゾトリアゾール骨格もしくはトリアジン骨格の窒素に水素イオンが付加したものを計算した。その値が等しくなる点より、紫外線吸収剤の光吸収時のpKaを求めた。吸収スペクトルの測定には、日立ハイテク製U-4000分光光度計を用いた。
高結晶性ホモポリプロピレン樹脂100質量部に対して、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(イルガノックス1010;BASF社製)を0.5質量部、トリアジン系紫外線吸収剤(CYASORB UV-1164;SUNCHEM製)を0.5質量部、NOR型光安定剤(Tinuvin XT850 FF;BASF社製)を0.5質量部それぞれ配合した樹脂を、押出機を用いて溶融押出しして、厚さ100μmの透明な高結晶性ポリプロピレンシートとしてのシート状の透明樹脂層3を製膜した。そして、得られた透明樹脂層3の両面にコロナ処理を施し、シート表面の濡れ張力を40dyn/cm以上とした。
しかる後、上記原反層6の絵柄模様層5aの面上に、透明樹脂層3をドライラミネート用接着剤(タケラックA540;三井化学(株)製;塗布量2g/m2)を介してドライラミネート法にて貼り合わせた。この貼り合わせたシートの透明樹脂層3の表面にエンボス模様3aを施した。
エンボス模様3aを施した透明樹脂層3にトップコート層2を形成し、総厚190μm~200μmからなる化粧シート1を得た。
下記の各実施例及び比較例では、以下のトップコート層形成用組成物から選択した組成物を使用して、それぞれのトップコート層2を形成した。
トップコート層形成用組成物は、下記の通り、熱硬化組成物、光硬化組成物、または熱硬化・光硬化ハイブリッド組成物からなる。
熱硬化組成物は、下記のポリマー溶液Aに、下記の硬化剤、光沢調整剤、紫外線吸収剤、光安定剤を配合して構成した。
・ポリマー溶液A
撹拌機、窒素導入管および還流冷却管を備えた4つ口フラスコ内に、メチルメタクリレートを80g、2-ヒドロキシエチルメタクリレートを20g導入し、酢酸エチル100gを加えて溶解し、油浴上で窒素雰囲気下撹拌した。これに0.2gのα, α’-アゾビスイソブチロニトリルを配合することで重合を開始し、60℃の油浴上で5時間加熱撹拌を続けて、無色、粘ちょうなポリマー溶液Aを得た。
配合:80質量部
・硬化剤
品名:デュラネート 24A-100
配合:5質量部
・光沢調整剤(無機粒子)
品名:サンスフェアH122(AGCエスアイテック(株)製)
性状:球状、平均粒子径12μm、細孔容積2ml/g
配合:10質量部
・紫外線吸収剤
品名:Tinuvin 400(BASF社製)
配合:5.0質量部
・光安定剤
品名:Tinuvin 123(BASF社製)
配合:2.0質量部
・希釈溶剤
品名:酢酸エチル
配合:50質量部
光硬化組成物は、下記のモノマーに、下記の光開始剤、光沢調整剤、光安定剤を配合して構成した。
・モノマー
品名:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
配合:90質量部
・光開始剤
品名:イルガキュア184
配合:8質量部
・光沢調整剤(無機粒子)
品名:サイリシア430(富士シリシア化学(株)製)
性状:不定形、平均粒子径4μm、細孔容積2.3ml/g
配合:10質量部
・紫外線吸収剤
品名:Tinuvin 400(BASF社製)
配合:5.0質量部
・光安定剤
品名:Tinuvin 123(BASF社製)
配合:2.0質量部
・希釈溶剤
品名:酢酸エチル
配合:60質量部
熱硬化・光硬化ハイブリッド組成物は、下記のポリマー溶液Aおよびモノマーに、下記の硬化剤、光開始剤、光沢調整剤、紫外線吸収剤、光安定剤を配合して構成した。
・ポリマー溶液A
撹拌機、窒素導入管および還流冷却管を備えた4つ口フラスコ内に、メチルメタクリレートを80g、2-ヒドロキシエチルメタクリレートを20g導入し、酢酸エチル100gを加えて溶解し、油浴上で窒素雰囲気下撹拌した。これに0.2gのα, α’-アゾビスイソブチロニトリルを配合することで重合を開始し、60℃の油浴上で5時間加熱撹拌を続けて、無色、粘ちょうなポリマー溶液Aを得た。
配合:40質量部
・モノマー
品名:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
配合:40質量部
・硬化剤
品名:デュラネート 24A-100
配合:10質量部
・光開始剤
品名:イルガキュア184
配合:10質量部
・光沢調整剤(無機粒子)
品名:サンスフェアH122(AGCエスアイテック(株)製)
性状:球状、平均粒子径12μm、細孔容積2ml/g
配合:10質量部
・紫外線吸収剤
品名:Tinuvin 400(BASF社製)
配合:5.0質量部
・光安定剤
品名:Tinuvin 123(BASF社製)
配合:2.0質量部
・希釈溶剤
品名:酢酸エチル
配合:50質量部
トップコート層2として、熱硬化組成物(乾燥後塗布量10g/m2)を塗布し、層厚190μmからなる実施例1の化粧シート1を得た。
<実施例2>
実施例1の熱硬化組成物中の紫外線吸収剤をTinuvin 329(BASF社製)に置き換えた以外は、全て実施例1と同様にして実施例2の化粧シート1を得た。
実施例1の熱硬化組成物中の光安定剤をTinuvin 152(BASF社製)に置き換えた以外は、全て実施例1と同様にして実施例3の化粧シート1を得た。
<実施例4>
トップコート層2として、光硬化組成物(乾燥後塗布量10g/m2)を塗布し、層厚190μmからなる実施例4の化粧シート1を得た。
トップコート層2として、熱硬化・光硬化ハイブリッド組成物(乾燥後塗布量10g/m2)を塗布し、層厚190μmからなる実施例5の化粧シート1を得た。
<実施例6>
トップコート層2として、熱硬化組成物(乾燥後塗布量10g/m2)、光硬化組成物(乾燥後塗布量5g/m2)を順次積層することで、熱硬化層と光硬化層の2層からなるトップコート層2を形成し、総厚195μmからなる実施例6の化粧シート1を得た。
トップコート層2として、熱硬化組成物(乾燥後塗布量10g/m2)、熱硬化・光硬化ハイブリッド組成物(乾燥後塗布量5g/m2)を順次積層することで、熱硬化層と熱硬化・光硬化ハイブリッド層の2層からなるトップコート層2を形成し、総厚195μmからなる実施例7の化粧シート1を得た。
<実施例8>
トップコート層2として、熱硬化組成物(乾燥後塗布量10g/m2)、熱硬化・光硬化ハイブリッド組成物(乾燥後塗布量5g/m2)、光硬化組成物(乾燥後塗布量5g/m2)を順次積層することで、熱硬化層、熱硬化・光硬化ハイブリッド層、光硬化層の3層からなるトップコート層2を形成し、総厚200μmからなる実施例8の化粧シート1を得た。
実施例1の熱硬化組成物中の紫外線吸収剤をTinuvin 329に、光安定剤をTinuvin 292(BASF社製)に、置き換えた以外は、全て実施例1と同様にして比較例1の化粧シートを得た。
表1に使用した紫外線吸収剤および光安定剤について表示する。併せて、表1には評価結果についても記載する。
(耐候性(外観))
実施例及び比較例で得られた化粧シートを、ダイプラ・ウィンテス株式会社製メタルウェザーにセットし、ライト条件(照度:60mW/cm2、ブラックパネル温度63℃、層内湿度50%RH)で20時間、結露条件(照度:0mW/cm2、ブラックパネル温度30℃、層内湿度98%RH)で4時間、水噴霧条件(結露条件の前後10秒間)の条件で500または1000時間放置する耐候性試験を行った。上記試験後、25℃50%RHの条件下で2日間保持してから、板表面のクラックや黄変などの外観を目視で下記の基準により評価した。
○ :外観変化は全くなかった。
△ :表面に微細なクラックがあった。
× :表面に無数のクラックがあった。
(基材黄変)
○ :外観変化は全くなかった。
△ :若干の黄変がみられた。
× :著しく黄変した。
以上の結果から、本発明に基づく実施例の化粧シート1は、耐候性および意匠性に優れていることが分かる。
なお、本発明の化粧シートは、上記の実施形態および実施例に限定されるものではなく、発明の特徴を損なわない範囲において種々の変更が可能である。
2 トップコート層
3 透明樹脂層(オレフィン樹脂層)
3a エンボス模様
4 接着剤層
5 インキ層
5a 絵柄模様層
5b ベタインキ層
6 原反層(基材層)
7 接着性樹脂層
Claims (9)
- 複数の樹脂層からなる積層体であって、
上記積層体の最表面側に位置するトップコート層に、pKaが4.0から7.0の光安定剤と、光を照射したときのpKaが-4.5から-5.5である紫外線吸収剤とが含有しており、
上記トップコート層は、熱硬化層と、上記熱硬化層の上に形成された光硬化層とを備え、
上記熱硬化層と上記光硬化層のいずれか一方の硬化層は、上記光安定剤と上記紫外線吸収剤とを含み、且つ他方の硬化層は、上記光安定剤と上記紫外線吸収剤のいずれか一方のみを含んでいることを特徴とする積層体。 - 上記光安定剤は、アミノエーテル基を有し分子量が600以上のヒンダードアミン系光安定剤であることを特徴とする請求項1に記載した積層体。
- 上記紫外線吸収剤は、トリアジン骨格もしくはベンゾトリアゾール骨格を有し、分子量が400以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した積層体。
- 上記トップコート層は、無機粒子からなる光沢調整剤を含むことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか1項に記載した積層体。
- 樹脂の主成分がオレフィン系樹脂であり、且つpKaが7.0以下の化合物を、樹脂材料100質量部に対して0.3質量部以上含有した樹脂層であるオレフィン樹脂層を有し、
上記トップコート層は、上記オレフィン樹脂層の上に形成されていることを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか1項に記載した積層体。 - 上記熱硬化層は、上記光安定剤と上記紫外線吸収剤とを含むことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか1項に記載した積層体。
- 上記トップコート層は、硬化性樹脂として熱硬化性樹脂のみを含んだ上記熱硬化層と、上記熱硬化層の上に形成され、硬化性樹脂として光硬化性樹脂のみを含んだ上記光硬化層と、上記熱硬化層と上記光硬化層との間に位置し、硬化性樹脂として熱硬化性樹脂と光硬化性樹脂とを含んだ熱硬化・光硬化ハイブリッド層と、を備えることを特徴とする請求項1~請求項6のいずれか1項に記載した積層体。
- 上記熱硬化・光硬化ハイブリッド層における上記熱硬化性樹脂は、メチルメタクリレートと2-ヒドロキシエチルメタクリレートとを構成成分とする樹脂であり、
上記熱硬化・光硬化ハイブリッド層における上記光硬化性樹脂は、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを構成成分とする樹脂であることを特徴とする請求項7に記載した積層体。 - 請求項1~請求項8のいずれか1項に記載した積層体を備えた化粧シート。
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