JP5900558B2 - 積層体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、熱可塑性樹脂基材上にハードコート層等の表面保護層を形成してなる積層体に係り、特に熱可塑性樹脂基材に対する表面保護層の密着性に優れた積層体に関する。
一般に、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、酢酸セルロース、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂成形品は、軽量性、易加工性、耐衝撃性などに優れているため、種々の用途に使用されている。例えば、ポリカーボネート樹脂は、優れた透明性、耐熱性、機械的強度、易加工性といった長所を有するため、電気、自動車、医療用途等に広く用いられ、特に近年では、自動車用窓ガラスとして使用され、自動車の軽量化による燃費向上に貢献している。
しかし、ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂成形品は、表面硬度が低いために耐擦傷性が不十分である。また、長期の屋外使用では黄変等の劣化、変質の問題があるという欠点があった。
これらの欠点を改良する目的で、熱可塑性樹脂成形品には、ハードコート層等の各種の表面保護層が形成されて製品とされている。
一方で、従来、熱可塑性樹脂成形品、特に車両用窓材としてのポリカーボネート樹脂射出成形品にあっては、その表面粗さは、透明性、金型離型性の観点に基いて好適範囲が設定されており、例えば、特許文献1では、表面粗さRaが0.001〜0.03μmとされ、この特許文献1の実施例では表面粗さRaが0.03μmの成形品を得ている。即ち、製品の透明性の観点から、表面粗さRaはなるべく小さく、表面平滑であることが好ましく、一方で、金型離型性の観点からは、ある程度の表面粗さRaを有することが好ましいことから、従来においては上述のような表面粗さRaに設定されている。
なお、このような表面粗さRaの小さい成形品を例えば射出成形により成形する場合、金型の成形面の表面粗さがそのまま成形品の表面粗さに転写されるため、金型の成形面を、目的とする成形品の表面粗さRaと同程度の表面粗さに鏡面仕上げすることが行われている。
特開2004−330728号公報
表面保護層を形成した従来の熱可塑性樹脂成形品にあっては、熱可塑性樹脂基材と表面保護層との密着性が十分ではなく、特に、耐湿熱密着性、耐候密着性が劣り、表面保護層の剥離で基材保護効果が失われたり、外観が損なわれたりする問題があった。この問題は、特に屋外で使用され、長期間にわたり温度変化、湿度変化、紫外線照射を受けたり風雨に晒されたりする車両用窓材用途にあっては大きなものとなる。
本発明は上記従来の問題点を解決し、熱可塑性樹脂基材上に表面保護層を形成した積層体であって、透明性を損なうことなく表面保護層の密着性を改善した積層体を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、熱可塑性樹脂基材の表面保護層形成面の表面粗さRa、更には表面粗さRzを特定の値に制御することにより、上記課題を解決することができることを見出した。
本発明は、このような知見に基いて達成されたものであり、以下を要旨とする。
[1] 熱可塑性樹脂基材上に、(メタ)アクリロイル基を有する化合物群から選ばれる少なくとも1種の化合物を重合してなるアクリル樹脂を含有する表面保護層をプライマー層として形成してなる積層体の製造方法において、該熱可塑性樹脂基材、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を射出成形することにより製造、該熱可塑性樹脂基材の厚み2〜10mmとし該射出成形時の金型表面により、表面保護層形成面の表面粗さRaが0.035μm以上2.0μm以下で、表面粗さRzが0.25μm以上8μm以下の該熱可塑性樹脂基材を成形し、Hazeが4%以下の積層体を製造することを特徴とする積層体の製造方法
[2] [1]において、該プライマー層上に、さらに1層以上の表面保護層を形成することを特徴とする積層体の製造方法
[3] [1]又は[2]において、該積層体の該表面保護層側の表面の表面粗さRaが0.6μm以下であることを特徴とする積層体の製造方法
[4] [1]ないし[3]のいずれかにおいて、該積層体の該表面保護層側の表面のマルテンス硬度が160N/mm以上であることを特徴とする積層体の製造方法
[5] [1]ないし[4]のいずれかにおいて、該プライマー層の形成に用いられる(メタ)アクリロイル基を有する化合物群から選ばれる少なくとも1種の化合物を重合してなるアクリル系樹脂を含有する組成物が、溶剤を含有するものであることを特徴とする積層体の製造方法
[6] [2]ないし[5]のいずれか1項において、該プライマー層上に形成される該表面保護層が熱硬化性オルガノシロキサンよりなることを特徴とする積層体の製造方法
[7] [1]ないし[6]のいずれかにおいて、該積層体のHazeが2%以下であることを特徴とする積層体の製造方法。
本発明によれば、熱可塑性樹脂基材本来の透明性を損なうことなく、熱可塑性樹脂基材と表面保護層との密着性に優れた高耐久性の積層体が提供される。
本発明の積層体によれば、高硬度で耐擦傷性、耐候性、耐薬品性等に優れた表面保護層を熱可塑性樹脂基材表面に密着性良く形成することにより、耐久性に優れた製品を提供することができる。
本発明の積層体は、テレビ、液晶モニター、携帯電話、ガラス窓、又はそれらの類似部品のガラス代替品として、或いは、自動車等の車両のパノラマルーフ、サンルーフ、リアウインド、フロントサイドウインド、サイドドア、バックドア、スライドドア、フード、ルーフ又はそれらの類似部品の窓材として、工業的に有用である。
以下、本発明の実施の形態につき詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は本発明の実施形態の代表例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変形して実施することができる。なお、本発明において、「(メタ)アクリロイル」との記載は「アクリロイル及びメタクリロイルからなる群より選ばれる少なくとも1つ」を意味し、「(メタ)アクリレート」との記載は「アクリレート及びメタクリレートからなる群より選ばれる少なくとも一つ」を意味する。また、「(ポリ)ブタンジオール」「(ポリ)エチレングリコール」のように、化合物名の前に「(ポリ)」を付けたものは、当該化合物と、そのポリマーのいずれか一方或いは両方を意味する。
本発明の積層体は、熱可塑性樹脂基材上に、1層以上の表面保護層を形成してなり、該熱可塑性樹脂基材の表面保護層形成面の表面粗さRaが0.035以上2.0以下であることを特徴とするものである。
[熱可塑性樹脂基材]
<熱可塑性樹脂>
本発明の積層体に係る熱可塑性樹脂基材を構成する熱可塑性樹脂に特に制限は無く、通常、広く一般に用いられている熱可塑性樹脂を用いることができる。
基材を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン等のスチレン樹脂、酢酸セルロース、ポリプロピレンを使用することができるが、後述の本発明に好適な表面保護層形成材料であるコーティング剤の接着性の観点から、カルボニル基を有する重合体がより好ましい。また、基材としての物性を好ましく満たすという観点から、ポリエステル、ポリアリレート、ポリカーボネート、酢酸セルロース等が好ましく、更にはポリカーボネート樹脂が好ましく、中でも芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。これらの熱可塑性樹脂は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
本発明に係る芳香族ポリカーネート樹脂は、二価アルコールとして二価フェノールを用い、これをカーボネート前駆体と界面法又は溶融法で反応させて得られる樹脂であり、2種以上のポリカーボネートの混合物であっても良い。カーボネート前駆体としては例えば、ホスゲン等のカルボニルハライド、ジフェニルカーボネート等のカルボニルエステル、ハロホルメート等が挙げられる。本発明に係る芳香族ポリカーネートは、GPC法によるポリスチレン換算の重量平均分子量が15000〜50000程度のものが好ましい。
ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂には、本発明の目的を損なわない範囲で各種の添加剤、例えば、離型剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、着色剤、増白剤、難燃剤を含有しても良い。
基材に好適な熱可塑性樹脂として、カルボニル基を有する重合体を構成するモノマーユニットとしては、通常知られる如何なるものも使用することができるが、ポリエステル、ポリアリレート、ポリカーボネートのモノマーユニットとして通常用いられる二価アルコールを用いることが好ましい。
具体的には、次のようなものが挙げられる。
ハイドロキノン、レゾルシノール、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等の2官能性フェノール化合物;
4,4’−ビフェノール、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、3,3’−ジ(t−ブチル)−4,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、3,3’,5,5’−テトラ(t−ブチル)−4,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、2,2’,3,3’,5,5’−ヘキサメチル−4,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、2,4’−ビフェノール、3,3’−ジメチル−2,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、3,3’−ジ(t−ブチル)−2,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、2,2’−ビフェノール、3,3’−ジメチル−2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、3,3’−ジ(t−ブチル)−2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル等のビフェノール化合物;
ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等の芳香族環上に置換基を有しないビスフェノール化合物;
ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン等の芳香族環上に置換基としてアリール基を有するビスフェノール化合物;
ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−(sec−ブチル)フェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)シクロヘキサン等の芳香族環上に置換基としてアルキル基を有するビスフェノール化合物;
ビス(4−ヒドロキシフェニル)(フェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)(ジフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)(ジベンジル)メタン等の芳香族環を連結する2価基が置換基としてアリール基を有するビスフェノール化合物;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル等の芳香族環をエーテル結合で連結したビスフェノール化合物;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン等の芳香族環をスルホン結合で連結したビスフェノール化合物;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド等の芳香族環をスルフィド結合で連結したビスフェノール化合物;
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エーテル、フェノールフタルレインなど:
<基材の形態>
本発明に係る熱可塑性樹脂基材の形態についは特に制限はなく、板状、シート状、フィルム状、各種形状の成形体等いずれの形態であっても構わない。また、その表面保護層形成面は平面状であっても部分的に又は全体的に曲面状のものであっても良い。
また、熱可塑性樹脂基材の厚さや大きさについても特に制限はないが、例えば、窓材用途にあっては厚さ2〜10mm程度の板状として用いられ、その面積は400cm〜2m程度であることが好ましい。また基材としては、長辺方向の曲率半径R[m]が、5000R〜20000R、特に10000R〜20000R程度であり、短辺方向のRが1000R〜15000R、特に5000R〜10000R程度となる値で、製品の意匠面側を構成する面が凸となるように湾曲していてもよい。
<製造方法>
熱可塑性樹脂基材は、上述の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物等の熱可塑性樹脂組成物を常法に従って、成形することにより製造される。
その成形方法としては、特に限定されず、熱可塑性樹脂について一般に用いられる成形法を用いることができる。
熱可塑性樹脂基材の製造方法としては、例えば、一般的な射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサ−ト成形、IMC(インモールドコ−ティング成形)成形法、押出成形法、シ−ト成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法等が挙げられる。また、ホットランナ−方式を使用した成形法を用いることもできる。
本発明の熱可塑性樹脂基材は、好ましくは射出成形により製造される。
<表面粗さ>
本発明に係る熱可塑性樹脂基材は、その表面保護層形成面の表面粗さRaが0.035以上2.0以下であることを特徴とする。
即ち、本発明の積層体は、熱可塑性樹脂基材の表面粗さRaが0.035〜2.0の面に表面保護層を形成してなるものである。
熱可塑性樹脂基材の表面保護層形成面の表面粗さRaが上記範囲よりも小さいと、表面平滑性が高過ぎて、この面に形成される表面保護層の投錨効果が得られないことにより、表面保護層の密着性、特に耐湿熱密着性、耐候密着性が劣るものとなる。熱可塑性樹脂基材の表面保護層形成面の表面粗さRaが上記範囲よりも大きいと、得られる積層体のHazeが高くなり、透明性が損なわれる。また、表面粗さが過度に大きいときも、表面保護層の密着性が劣ることとなる。
熱可塑性樹脂基材の表面保護層形成面の好ましい表面粗さRaは0.035以上、2.0以下、より好ましくは0.035以上、1.5以下である。
同様な理由から、熱可塑性樹脂基材の表面保護層形成面の表面粗さRzは0.25以上8以下であることが好ましい。
熱可塑性樹脂基材の表面保護層形成面の表面粗さRzが上記範囲よりも小さいと、表面平滑性が高過ぎて、この面に形成される表面保護層の投錨効果が得られないことにより、表面保護層の密着性、特に耐湿熱密着性、耐候密着性が劣るものとなる傾向にあり、上記範囲よりも大きいと、得られる積層体のHazeが高くなり、透明性が損なわれる。また、表面粗さRzが過度に大きいと、表面保護層の密着性が劣ることになる上に、この表面粗さRzが大き過ぎると、この面に形成する表面保護層の厚さよりもこの表面粗さRzの方が大きくなり、表面保護層表面に熱可塑性樹脂基材部分が表出し、表面保護効果及び透明性が著しく損なわれる。
熱可塑性樹脂基材の表面保護層形成面を上述のような表面粗さとするには、成形時に用いる金型の当該表面保護層形成面を成形する面を、上述のような表面粗さとしておく、或いは、成形された熱可塑性樹脂基材の表面保護層形成面を上述のような表面粗さとなるように、サンドペーパー等で表面仕上げ処理する方法が挙げられる。
前述の如く、特許文献1に記載されているような表面粗さRa0.001〜0.03という表面平滑な基材を成形するためには、予め成形に用いる金型面をこのような高度な平滑面に鏡面仕上げしておく必要があり、そのための加工に手間とコストがかかるが、本発明における表面粗さRa0.035〜2.0という範囲は、機械加工された金型に対してこのような鏡面仕上げを行わずともそのまま適用し得る範囲を含むものであり、金型の鏡面仕上げを不要とすることができるという利点もある。
なお、本発明において、熱可塑性樹脂基材の表面粗さRa,Rzとは、後述の実施例の項に記載される方法に従って測定された10点の平均値をさす。
<表面処理>
本発明で用いる熱可塑性樹脂基材は、その表面保護層形成面が、表面保護層の形成に際して、上記表面粗さを満たすものであれば、更なる表面保護層の密着性向上等を目的として各種の表面処理を施すこともできる。表面処理の例としては例えばプラズマ処理、コロナ放電処理、紫外線照射処理、火炎処理、薬品処理、脱脂、酸化処理、蒸着処理、ブラスト処理、イオン処理などが挙げられる。
[表面保護層]
本発明において、上述のような熱可塑性樹脂基材に形成する表面保護層としては特に制限はないが、例えば次のようなコーティング剤を用いて形成されたものが挙げられる。ただし、本発明に係る表面保護層は、以下のコーティング剤により形成されたものに何ら限定されるものではない。
<コーティング剤1>
コーティング剤1は、表面保護層のうちのプライマー層(熱可塑性樹脂基材に直接形成される層)の形成に好適に用いられるものであって、(メタ)アクリロイル基を有する化合物群から選ばれる少なくとも1種の化合物を重合してなるアクリル樹脂を含有するものである。
ここで、(メタ)アクリロイル基を有する化合物群から選ばれる少なくとも1種の化合物を重合してなる樹脂は、形成されるプライマー層の物性を調整するために、(メタ)アクリロイル基を有する化合物群から選ばれる複数種の化合物による共重合体であることが好ましい。この場合に用いられる(メタ)アクリロイル基を有する化合物の種類、及び共重合比率に特に制限は無いが、当該化合物の分子量が大きすぎると、重合体の製造が困難になるため、当該化合物の炭素数は50以下が好ましく、より好ましくは40以下、特に好ましくは35以下である。
コーティング剤1に含まれるアクリル樹脂の重合成分としての(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、好ましくは下記式(1)で表される化合物(以下「化合物(1)」と称す場合がある。)が用いられる。
CH=C(R)COOR (1)
(式(1)において、R,Rはそれぞれ独立して有機置換基を表す。)
好ましくは、R,Rは置換基を有していてもよいアルキル基であって、該アルキル基は分岐や環状構造を有していても構わない。更に、Rは炭素数5以下のアルキル基であることがより好ましく、更には炭素数5以下の直鎖アルキル基であることがより好ましい。
プライマー層の機械的強度、接着性、吸水性の調整を容易にするためには、R,Rは直鎖のアルキル基であることが好ましい。特に、Rは、形成されるプライマー層の特性に大きく影響し、プライマー層の機械的強度、接着性、吸水性を調整する場合、その炭素数は30以下であることが好ましい。更に同様の理由から、Rは炭素数5以下の直鎖アルキル基が好ましく、特に好ましくは水素原子、メチル基又はエチル基である。
積層体において、プライマー層とこれに接する層との接着性を高める観点においては、Rで表されるアルキル基の炭素数は3以下であることが好ましく、特にはメチル基が好ましい。
一方で、プライマー層の吸水率を調整するためには、Rは炭素数8以上のアルキル基であることが好ましく、該アルキル基の炭素数は、より好ましくは炭素数10以上、更に好ましくは12以上、特に好ましくは炭素数16以上であって、好ましくは炭素数30以下、より好ましくは炭素数25以下である。
なかでも、前記式(1)において、Rが水素原子、メチル基又はエチル基であって、Rが炭素数8以上30以下の分岐を有していてもよいアルキル基であることが好ましい。
化合物(1)としては、より具体的には、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
また、積層体の耐候性を向上させる観点から、プライマー層の厚みによらずプライマー層全体として、波長300nmの光の光透過率が一定以下であることが好ましいが、波長300nmの光の光透過率を調整するためには、Rで表される置換基が波長300nm近傍の光を吸収又は遮断する基であることが好ましく、より具体的には、通常紫外線吸収剤として用いられている化合物に由来する、いわゆる紫外線吸収性基を有する(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ましい。
プライマー層の波長300nmの光の光透過率を調整するために、Rで表される有機置換基に用いられる紫外線吸収性基としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン骨格を有する基、トリアジン骨格を有する基、2−(5’−メチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール骨格を有する基、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート骨格を有する基、フェニルサリシレート等のサリシレート骨格を有する基、ジエチル−p−メトキシベンジリデンマロネート等のベンジリデンマロネート骨格を有する基が好ましく用いられる。なかでも、ベンゾフェノン骨格を有する基、トリアジン骨格を有する基及びベンゾトリアゾール骨格を有する基が好ましく、特にはベンゾトリアゾール骨格を有する基が好ましく用いられる。
より具体的に、プライマー層の300nmの光の光透過率を調整するために用いられる(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、例えば、式(2)に代表されるようなベンゾトリアゾール骨格を有する化合物(以下「化合物(2)」と称す場合がある。)、式(3)に代表されるようなベンゾフェノン骨格を有する化合物(以下「化合物(3)」と称す場合がある。)、及び式(4)に代表されるようなトリアジン骨格を有する化合物(以下「化合物(4)」と称す場合がある。)を挙げることができる。
Figure 0005900558
(式(2)において、Xは水素原子又は塩素原子を示す、Rは水素原子、メチル基、又は炭素数4〜8の第3級アルキル基を示す。Rは直鎖状又は分岐鎖状の炭素数2〜10のアルキレン基を示す。Rは水素原子又はメチル基を示す。nは0又は1を示す。)
Figure 0005900558
(式(3)において、Rは式(2)におけると同義である。Rは炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。Rは水素原子又は水酸基を示す。Rは水素原子、水酸基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を示す。)
Figure 0005900558
(式(4)において、Rは式(2)におけると同義である。Rは直接結合、−CHCHO−又はCHCH(OH)−CHO−を示し、nは1〜5の整数を示す。R10はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基を示し、p、qはそれぞれ独立して0〜5の整数を表す。)
コーティング剤1は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物群から選ばれる少なくとも1種の化合物を重合してなる樹脂を含有するものであるが、当該樹脂は、複数種の(メタ)アクリロイル基を有する化合物群から選ばれる化合物を用いた共重合体であっても構わない。
この場合に、共重合することが可能である不飽和単量体としては例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、アルキルビニルエーテル、アルキルビニルエステル、スチレン又はこれらの誘導体を挙げることができる。
これらの中で、(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、シアノエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタレート、2−アクリロイルオキシエチルフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタレート、2−(メタ)アクリロイルプロピルフタレート、(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルトリエトキシシランが挙げられる。
また、(メタ)アクリロニトリルの具体例としては、α−クロロアクリロニトリル、α−クロロメチルアクリロニトリル、α−トリフルオロメチルアクリロニトリル、α−メトキシアクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル、シアノ化ビニリデンが挙げられる。
また、(メタ)アクリルアミド誘導体の具体例としては、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシ(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメトキシ(メタ)アクリルアミド、N−エトキシ(メタ)アクリルアミド、N,N−エトキシ(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N−エチレンビス(メタ)アクリルアミド等を挙げることができる。
アルキルビニルエーテルの具体例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル等を挙げることができる。
アルキルビニルエステルの具体例としては、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、アクリル酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等を挙げることができる。
スチレン誘導体の具体例としては、スチレン、p−スチリルトリメトキシシラン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロメチルスチレン等を挙げることができる。
更に、(メタ)アクリロイル基を有する化合物群から選ばれる少なくとも1種の化合物を重合してなる樹脂は、(メタ)アクリロイル基を有さない他の繰り返し単位との共重合体であっても構わない。この場合、(メタ)アクリロイル基を有する化合物群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、他の繰り返し単位との共重合比率に特に制限は無いが、本発明の効果を充分に得るために、他の繰り返し単位の比率は、50mol%以下であることが好ましく、より好ましくは30mol%以下であって、更には20mol%以下が好ましく、特には10mol%以下が好ましい。
なかでも、コーティング剤1に含まれるアクリル樹脂は、前記式(1)において、Rは水素原子、メチル基又はエチル基を表し、Rは炭素数8以上30以下の分岐を有していてもよいアルキル基である化合物(1)が5〜40重量%、紫外線吸収性基を有する化合物(2)〜(4)が5〜70重量%、及びこれらと共重合可能な他の不飽和単量体が1〜94重量%の範囲で共重合して得られるアクリル樹脂であることが好ましい。
また、このアクリル樹脂は、ゲルパーミエーションクラマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算分子量の重量平均分子量が10000以上1000000以下、特に30000以上300000以下であることが好ましい。アクリル樹脂の分子量が大き過ぎるとコーティング剤1が高粘度となり表面平滑性が損なわれ、小さ過ぎると密着強度が充分ではなくなる。
コーティング剤1には、重合により樹脂を得る際の利便性や、プライマー層を形成する際の塗工性を向上する目的で、溶剤を含有することができる。
用いられる溶剤は、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;2−メトキシエチルアセタート、2−エトキシエチルアセタート、2−メトキシプロピルアセテート、2−ブトキシエチルアセタート等のエーテルエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類;等が挙げられ、更にこれらの溶剤の任意の比率での混合物であっても構わない。
コーティング剤1が溶剤を含む場合、コーティング剤1のアクリル樹脂含有量(固形分濃度)としては特に制限はないが、1重量%以上80重量%以下、特に5重量%以上50重量%以下であることが好ましい。
コーティング剤1にはまた、以下のような安定剤(例えば、ヒンダードアミン系安定剤)、酸化防止剤(例えば、フェノール系、硫黄系、リン系酸化防止剤)、ブロッキング防止剤、レベリング剤、シランカップリング剤等のこの種の組成物に配合される種々の添加剤を、コーティング剤1中の固形分100重量部に対し、それぞれ0.01〜10重量部の範囲で配合することができる。
・光安定剤
光安定剤としては、例えばビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)カーボネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)サクシネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−オクタノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ジフェニルメタン−p,p’−ジカーバメート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ベンゼン−1,3−ジスルホネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)フェニルホスファイト等のヒンダードアミン類、ニッケルビス(オクチルフェニルサルファイド、ニッケルコンプレクス−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルリン酸モノエチラート、ニッケルジブチルジチオカーバメート等のニッケル錯体が挙げられる。これらの剤は単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
・シランカップリング剤
シランカップリング剤としては、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチル〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕アンモニウムクロライド、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられ、また上記シランカップリング剤の部分加水分解縮合物も使用できる。かかる剤を添加することにより、熱可塑性樹脂基材とプライマー層及びプライマー層とこの上のトップコート層の密着力が長期にわたり持続される。これらの剤は単独で使用しても2種以上を併用しても良い。
コーティング剤1の基材への供給は、通常、塗布により行う。この場合の塗布方法については特に制限されず、ディップコート法、フローコート法、スプレー法、スピンコート法、バーコート法、カーテンコート法、ダイコート法、グラビアコート法、ロールコート法、ブレードコート法及びエアーナイフコート法等のいずれの塗工方法によって塗布することもできる。
塗布は1回の工程で行なっても、2回以上に分けて行なってもよいが、通常は、1回で行なう方が経済的に有利であり、好ましい。
コーティング剤1が溶剤を含む場合、コーティング剤1を基材に塗布した後、乾燥して溶剤を除去する。乾燥条件は溶剤の沸点、基材の材質、塗布量等によって、好ましい範囲が異なるが、一般的には、30〜150℃で1〜60分間行い、好ましくは80〜120℃で1〜10分間行う。
コーティング剤1により形成される層の厚みは、この層が更にこの上にトップコート層を形成するためのプライマー層であるか、或いは、この層のみで表面保護層を形成するかによって異なるが、プライマー層として形成する場合の厚みは、積層体の耐候性を向上させるために、通常1μm以上、好ましくは5μm以上、より好ましくは8μm以上、更に好ましくは10μm以上であって、溶剤を用いたコーティング剤1を塗布乾燥する際の乾燥性に優れるという理由から、通常50μm以下、好ましくは20μm以下、より好ましくは15μm以下である。
また、この層のみで表面保護層を形成する場合の厚さは、通常10μm以上、好ましくは30μm以上、より好ましくは50μm以上、また、通常300μm以下、好ましくは200μm以下、より好ましくは120μm以下である。
<コーティング剤2>
コーティング剤2は、上述のコーティング剤1により形成されたプライマー層の上に、トップコート層(ハードコート層)を形成する際に好適に用いられるものであり、下記(A),(B),(C)成分を少なくとも含有し、更に必要に応じて、好ましくは以下の(D)〜(G)成分を含有する活性エネルギー線硬化性組成物である。
(A)多官能(メタ)アクリレート
(B)脂環構造を有するジオール(b−1)、ラクトン類(b−2)、ポリイソシアネート(b−3)及び水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート
(C)紫外線吸収剤
(D)コロイド状シリカ
(E)ヒンダードアミン系光安定剤
(F)光重合開始剤
(G)溶剤
(A)多官能(メタ)アクリレート
コーティング剤2としての活性エネルギー線硬化性組成物に使用される、(A)多官能(メタ)アクリレートとしては例えば、次のようなものが挙げられる。
1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド(以下、EOと略記することがある)変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アウリレート、イソシアヌル酸エトキシ変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エトキシ変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクロン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の(メタ)アクリレート;
上記3官能以上の(メタ)アクリレートとγ−メルカプトプロピルトリメトキシシランの付加物とコロイダルシリカ及び/又はシリケート加水分解縮合物;
グリセリンジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等の水酸基含有アクリレートとイソシアネートプロピルトリエトキシシランの付加物とコロイダルシリカ及び/又はシリケート加水分解縮合物;
イソホロンジイソシアネートや水添ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環骨格イソシアネート化合物に、(ポリ)ブタジエンジオール、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、(ポリ)テトラメチレングリコール、(ポリ)エステルジオール、(ポリ)カプロラクトン変性ジオール、(ポリ)カーボネートジオール、(ポリ)スピログリコール等の1種又は2種以上の化合物の水酸基を付加させた後、残ったイソシアネート基に2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチルアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等の水酸基を持つ(メタ)アクリレートを反応させたウレタンポリ(メタ)アクリレート類;
ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ノボラック型エポキシ樹脂類、トリスフェノールメタントリグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、2,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサノン−メタ−ジオキサン、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、EHPE−3150(ダイセル化学工業(株)製、脂環式エポキシ樹脂)等を(メタ)アクリル酸で変性したエポキシ(メタ)アクリレート類等:
これらの多官能(メタ)アクリレートは単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
コーティング剤2の活性エネルギー線硬化性組成物において、(A)多官能(メタ)アクリレートの含有量は、耐擦傷性の理由から(A)多官能(メタ)アクリレートと(B)ウレタン(メタ)アクリレート成分の合計量を100重量部とした場合に50〜90重量部であることが好ましく、より好ましくは60〜90重量部であって、更に好ましくは60〜80重量部である。
(B)ウレタン(メタ)アクリレート
脂環構造を有するジオール(b−1)、ラクトン類(b−2)、ポリイソシアネート(b−3)及び水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られる(B)ウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、下記の原料を使用して合成されたものを使用することが出来る。
脂環構造を有するジオール(b−1)としては、例えば、インデン、ナフタレン、アズレン、アントラセン等をヒドロキシアルキル化した化合物;ビシクロ[5,3,0]デカンジメタノール、ビシクロ[4,4,0]デカンジメタノール、ビシクロ[4,3,0]ノナンジメタノール、ノルボルナンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、1,3−アダマンタンジオール(1,3−ジヒドロキシトリシクロ[3,3,1,13,7]デカン、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、イソソルバイド、水添ビスフェノールA、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
ラクトン類(b−2)としては、例えば、β−プロピオラクトン、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、α,β,γ−トリメトキシ−δ−バレロラクトン、β−メチル−ε−イソプロピル−ε−カプロラクトン、ラクチド、グリコリド等が挙げられる。
ポリイソシアネート(b−3)としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。
水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等が挙げられる。
本発明に係る(B)ウレタン(メタ)アクリレートを製造するには、例えば、まず、脂環構造を有するジオール(b−1)としてトリシクロデンカンジメタノールを用い、ラクトン類(b−2)としてε−カプロラクトンを用いて、触媒の存在下、50〜220℃、好ましくは100〜200℃に加熱することにより付加反応を行って、脂環構造を有するカプロラクトン変性ジオールを合成する。この時低温では反応速度が遅く、高温では熱分解が起こるので好ましくない。この反応に使用される触媒としては無機塩類、無機酸、有機アルカリ金属、スズ化合物、チタン化合物、アルミニウム化合物、亜鉛化合物、タングステン化合物、モリブデン化合物及び、ジルコニウム化合物が挙げられる。脂環構造を有するカプロラクトン変性ジオールに、ジイソシアネート(ポリイソシアネート(b−3))を20〜100℃、好ましくは40〜80℃で1〜20時間反応させた後、更に水酸基含有(メタ)アクリレートを20〜100℃にて1〜20時間反応させることにより(B)ウレタン(メタ)アクリレートを得ることができる。
ここで脂環構造を有するカプロラクトン変性ジオールとジイソシアネート、及びその反応生成物と水酸基含有(メタ)アクリレートの反応にあたっては、反応を促進するために触媒を使用することが好ましい。ここで使用できる触媒としてはジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテートに代表される有機錫化合物やトリエチルアミン等の3級アミン化合物を使用することができる。
コーティング剤2の活性エネルギー線硬化性組成物において、(B)ウレタン(メタ)アクリレートの含有量は、耐候性の理由からを(A)多官能(メタ)アクリレートと(B)ウレタン(メタ)アクリレート成分の合計量を100重量部とした場合に10〜50重量部であることが好ましく、より好ましくは10〜40重量部であって、更に好ましくは20〜40重量部である。
(C)紫外線吸収剤
(C)紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、シアノアクリレート系の紫外線吸収剤が挙げられる。
これらの具体例としては例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−t−ペンチルベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)]ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−s−ブチル−5’−t−ブチルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3−ドデシル−5’−メチルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−1,1,3,3−テトラメチルブチル]−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、3−[3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネートとポリエチレングリコールの反応物等のベンゾトリアゾール類、2−ヒドロキシベンゾフェノン、5−クロロ2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、4−ドデシロキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(メチル)オキシ]−フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(エチル)オキシ]−フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル−[(プロピル)オキシ]−フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ブチル)オキシ]−フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール等のトリアジン類、フェニルサリシレート、p−tert−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート等のサリシレート類3−ヒドロキシフェニルベンゾエート、フェニレン−1,3−ベンゾエート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2―イル)−5−ヘキシルオキシフェノール等が挙げられる。
これらの紫外線吸収剤は単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
コーティング剤2の活性エネルギー線硬化性組成物において、(C)紫外線吸収剤の含有量は、耐候性の理由からを(A)多官能(メタ)アクリレートと(B)ウレタン(メタ)アクリレート成分の合計量を100重量部とした場合に0.1〜20重量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜10重量部であって、更に好ましくは0.5〜5重量部である。
(D)コロイド状シリカ
(D)コロイド状シリカとしては、例えば、水、メタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、エチレングリコール、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジメチルアセトアミド、キシレン及びこれらの混合溶剤を分散媒とし、平均粒子径が1〜200nmのシリカが好ましい、更に好ましくは平均粒子径5〜50nmのシリカである。
ここで、シリカの平均粒子径の測定は、走査型電子顕微鏡(日本電子社製JSM−7401F)を用いて粒子を撮影し、この画像の50個の粒子について画像解析ソフトImageProPlus(MediaCybernetics社製)を用いて測定される。
(D)コロイド状シリカとしては、特に、有機溶剤に分散したコロイド状シリカを利用すると、塗膜とした場合に、高い透明性を発現するので好ましく、代表的には水酸基を有する溶剤、又はケトン基を有する極性溶剤に分散したオルガノシリカゾルを用いることが好ましい。このようなコロイド状シリカとしては、具体的には、「IPA−ST」(IPA分散オルガノシリカゾル、日産化学社製)、「MEK−ST」(MEK分散オルガノシリカゾル、日産化学社製)、「MIBK−ST」(MIBK分散オルガノシリカゾル、日産化学社製)等、又はこれらを原料に他の水酸基を有する溶剤に溶媒置換したゾル(例えばPGM分散オルガノシリカゾル等)を挙げることができる。
(D)コロイド状シリカとしては、表面修飾がなされたものを使用しても、未修飾のものを使用しても構わないが、好ましくは表面修飾されたコロイド状シリカが用いられる。コロイド状シリカの修飾には、加水分解性ケイ素基又は水酸基が結合したケイ素基有する化合物を用いることができる。加水分解性ケイ素基は加水分解によりシラノール基が生成し、それらのシラノール基がコロイド状シリカ表面に存在するシラノール基と反応して結合することにより表面修飾コロイド状シリカが生成する。
コロイド状シリカの修飾に使用されるケイ素基含有化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルオリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、p−ビニルフェニルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。ケイ素基含有化合物は単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
コロイド状シリカの表面修飾方法としては、コロイド状シリカと加水分解性ケイ素基を含有する化合物、触媒、及び水を、20〜100℃にて1〜40時間反応させることにより合成することができる。
この反応に使用する触媒としては、塩酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸;ギ酸、酢酸、シュウ酸、p−トルエンスルホン酸、アクリル酸、メタクリル酸等の有機酸;アルカリ;アセチルアセトンアルミニウム、アルミニウム2,2,6,6,−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート、アルミニウムジイソプロポキシドエチルアセトアセテート、アルミニウムジイソブトキシドエチルアセトアセテート、ホウ酸ブトキシド、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクテート等を使用することができる。これらの触媒の使用量はコロイド状シリカと加水分解性ケイ素基含有化合物の合計量100重量部に対して0.0001〜5重量部、好ましくは0.01〜1重量部である。また、加水分解に必要な水の量は加水分解性ケイ素基に対して0.5〜100当量、好ましくは1〜30当量である。
本反応に使用されるコロイド状シリカとしては酸性又は塩基性の分散形態のコロイド状シリカが使用できるが、好ましくは酸性のコロイド状シリカである。
コーティング剤2の活性エネルギー線硬化性組成物において、(D)コロイド状シリカは、固形分として(A)多官能(メタ)アクリレートと(B)ウレタン(メタ)アクリレート成分の合計量を100重量部とした場合に、10〜40重量部含有されることが好ましい。
(E)ヒンダードアミン系光安定剤
(E)ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ヘキサノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−オクタノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアオイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、コハク酸−ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン)、セバシン酸−ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン)、セバシン酸−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジン)、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]デカン−2,4−ジオン、N−メチル−3−ドデシル−1−(−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)ピロリジン−2,5−ジオン、N−アセチル−3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)、トリメシン酸−トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)等が挙げられる。これらの光安定剤は単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
光安定剤の添加量は形成されるトップコート層の硬度の点から、コーティング剤2の活性エネルギー線硬化性組成物100重量部に対して10重量部以下が好ましい。
(F)光重合開始剤
(F)光重合開始剤としては例えば、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾインとそのアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノンなどのアセトフェノン類;2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノンなどのアントラキノン類;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなどのケタール類、ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類又はキサントン類、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ1−1(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1等のαアミノケトン類、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニルチタニウム、η5−シクロペンタジエニル−η6−クメニルアイアン(1+)−ヘキサフルオロフォスフェイト(1−)等を挙げることができる。
これらの光重合開始剤は単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
光重合開始剤の含有量は形成されるトップコート層の硬度の点からコーティング剤2の活性エネルギー線硬化性組成物100重量部に対して0.1〜20重量部が好ましく、更に好ましくは1〜5重量部である。
(G)溶剤
コーティング剤2の活性エネルギー線硬化性組成物には、組成物の取り扱い上の点から溶剤を含有することができる。例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−ブトキシエチルアセテート、3−メトキシプロピルアセタート等のエーテルエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類;等が挙げられる。これらを溶剤は単独又は2種以上を組み合わせ用いることができる。
コーティング剤2の活性エネルギー線硬化性組成物が溶剤を含む場合、コーティング剤2の活性エネルギー線硬化性組成物は、その固形分濃度が5〜60重量%程度の組成物として調製させることが好ましい。
コーティング剤2の活性エネルギー線硬化性組成物を基材に塗工する方法として特に限定されず、公知慣用の方法が使用できる。塗工方法としては例えば、ディッピング法、フローコート法、スプレー法、スピンコート法、グラビアコート法、ロールコート法、ブレードコート法、エアーナイフコート法、オフセット法、バーコート法等のいずれの方法によっても塗布することもできる。また、印刷等により画像様に塗工することもできる。
なお、塗布量については特に制限されないが、活性エネルギー線の照射によって硬化した被膜の膜厚が、0.1〜50μm、好ましくは1〜10μmとなるように塗工するのが好ましい。
コーティング剤2の活性エネルギー線硬化性組成物に、所望により溶剤を用いた場合、硬化性組成物を基材に供給した後、乾燥して溶剤を除去する。この場合の乾燥条件は溶剤の沸点、基材の材質、塗布量等によって、好ましい範囲が異なるが、一般的には、30〜120℃で1〜30分間行い、好ましくは50〜100℃で1〜5分間行う。
必要に応じて乾燥を行った後、塗膜に活性エネルギー線を照射して硬化させる際に用いる活性エネルギー線としては、キセノンランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯、タングステンランプ等の光源から発せられる紫外線、通常20〜2000kVの粒子加速器から取り出される電子線、α線、β線、γ線等を用いることができる。
コーティング剤2の塗膜を熱によって硬化させる場合、220〜320℃で0.1〜5分程度、特に250〜300℃で0.5〜1分程度加熱することが好ましい。
<コーティング剤3>
コーティング剤3は、コーティング剤2と同様、前述のコーティング剤1により形成されたプライマー層の上にトップコート層を形成する際に好適に用いられるものである。
このコーティング剤3は、下記式(5)で表されるアルコキシシランの加水分解縮合物を含有する。
11 12 Si(OR134−a−b ………(5)
(式(5)中、R11、R12はそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、ビニル基、メタクリロイル基、アミノ基、グリシドキシ基、及び3,4−エポキシシクロヘキシル基からなる郡から選ばれる1種以上の官能基で置換された炭素数1〜3のアルキル基であり、R13は炭素数1〜4のアルキル基であり、a、bはそれぞれ独立して0〜3の整数であり、a+bは0〜3の整数である)
前記式(5)で表されるアルコキシシランの加水分解縮合物に使用されるアルコキシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメヒルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメヒルジエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン等の1種又は2種以上が挙げられる。
コーティング剤3もコーティング剤2と同様に光安定剤を含むことができ、その場合の光安定剤としては、コーティング剤2に用いられる光安定剤として例示したものを用いることができる。
光安定剤の含有量は形成されるトップコート層の硬度の点からコーティング剤3の組成物100重量部に対して10重量部以下が好ましい。
コーティング剤3もコーティング剤2と同様にコロイダルシリカを含むことができ、その場合のコロイダルシリカとしては、コーティング剤2に用いられるコロイダルシリカとして例示したものを用いることができる。
コーティング剤3におけるこれらのコロイダルシリカの含有量は、多過ぎると膜が脆くなる傾向があり、少な過ぎると硬度が不足する傾向があることから、コーティング剤3に対して10〜60重量%、特に15〜50重量%であることが好ましい。
コーティング剤3に含まれるその他の成分としては、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、光吸収剤等の安定剤類;ガラス繊維、ガラスビーズ、マイカ、タルク、カオリン、金属繊維、金属粉等のフィラー類;炭素繊維、カーボンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブ、C60等のフラーレン類等の炭素材料(フィラー類、フラーレン類などを総称して無機充填成分と称する);帯電防止剤、可塑剤、離型剤、消泡剤、レベリング剤、沈降防止剤、界面活性剤、チクソトロピー付与剤等の改質剤類;顔料、染料、色相調整剤等の着色剤;モノマー及び/又はそのオリゴマー又は無機成分の合成に必要な硬化剤、触媒、硬化促進剤類なども挙げられる。
更に、これらの成分の使用量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常、コーティング剤3の組成物の20重量%以下だけ用いることが望ましい。
また、コーティング剤3もコーティング剤2と同様に溶剤を含むことができ、その場合の溶剤としては、コーティング剤2に用いられる溶剤として例示したものを用いることができる。
コーティング剤3の熱硬化性組成物が溶剤を含む場合、コーティング剤3の熱硬化性組成物は、その固形分濃度が5〜80重量%程度の組成物として調製させることが好ましい。
コーティング剤3による層形成は、これを塗布することにより、コーティング剤3の層を形成し、その層を加熱硬化させることにより形成するが、硬化させる方法としては、50〜200℃により硬化させることが好ましい。より好ましくは80℃〜150度である。硬化時間は10分〜4時間、より好ましくは20分〜1時間である。
コーティング剤3の塗布方法としては特に制限されず、ディップコート法、フローコート法、スプレー法、スピンコート法、バーコート法、カーテンコート法、ダイコート法、グラビアコート法、ロールコート法、ブレードコート法及びエアーナイフコート法等のいずれの塗工方法によって塗布することもできる。また、この際、塗布されたコーティング剤3の層の厚みに制限は無いが、通常2μm以上、好ましくは4μm以上、より好ましくは6μm以上、また、通常20μm以下、好ましくは10μm以下、より好ましくは8μm以下とすることが望ましい。また、塗布は1回で行なっても良く、2回以上に分けて行なってもよいが、通常は、1回で行なう方が経済的に有利であり、好ましい。
コーティング剤3に、所望により溶剤を用いた場合、コーティング剤3を基材に塗布した後、乾燥して溶剤を除去する。乾燥条件は溶剤の沸点、基材の材質、塗布量等によって、好ましい範囲が異なるが、一般的には、30〜150℃で1〜60分間行い、好ましくは80〜120℃で1〜10分間行う。
[積層体の物性]
前述の熱可塑性樹脂基材に上述の表面保護層を形成してなる本発明の積層体は、その積層体としてのHazeが10%以下であることが好ましい。
積層体のHazeが10%を超えると、透明性に優れた積層体を提供するという本発明の目的を達成し得ない。積層体のHazeは好ましくは4%以下、より好ましくは2%以下である。
積層体のHazeは小さいほど好ましいが、通常のその下限としては0.1%である。
また、本発明の積層体は、その熱可塑性樹脂基材上に形成された表面保護層の表面の硬度(マルテンス硬度)が160N/mm以上であることが好ましい。表面硬度が160N/mm未満では、十分な耐擦傷性を得ることができず、製品としての用途が制限される。
積層体の表面硬度は特に160N/mm以上、とりわけ200N/mm以上であることが好ましい。積層体の表面硬度は高い程好ましい。
なお、本発明の積層体のHaze及び硬度の値は、後述の実施例の項に記載される方法で測定された値である。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
なお、以下の実施例及び比較例で用いた試験片(熱可塑性樹脂基材)及びコーティング剤(表面保護層形成材料)の製造方法は以下の通りである。
[試験片の製造]
以下の樹脂ペレットと射出成形機を用いて、以下の成形条件で150mm×150mm×厚さ3mmの試験片を製造した。
樹脂ペレット:三菱エンジニアリングプラスチックス社製 芳香族ポリカーボネート樹脂ペレット「ユーピロン(登録商標)S−3000UR」(この樹脂ペレットは射出成形前に120℃で5時間熱風乾燥した。)
射出成形機:日本製鋼所製「J150EP−2M」(型締め力150t)
成形条件:成形時樹脂温度:300℃
金型温度:80℃
充填時間:2秒
保圧:射出時のピーク圧力の50%を15秒
冷却時間:20秒
この射出成形に当たり、表1に示す条件の表面処理を施した入れ駒を準備し、入れ駒を交換したこと以外は同様にして射出成形を行って、それぞれ試験片I〜VIIを製造した。
各試験片について、以下の条件で表面粗さを測定し、結果を表2A〜2Cに示した。なお、表面粗さは、試験片の板面の任意の位置の10ヶ所について測定し、その平均値を測定結果とした。
<表面粗さの測定条件>
測定機:サーフコム3000A((株)東京精密製)
算出規格:JIS B0601 2001規格
測定種別:粗さ測定
測定長さ:4.0mm
カットオフ波長:0.8mm
測定速度:0.30mm/s
カットオフ種別:ガウシアン
傾斜補正:最小二乗曲線補正
λsカットオフ比:300
λsカットオフ波長:2.6666667μm
Figure 0005900558
[コーティング剤P1の製造]
温度計、攪拌機及び還流冷却管を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル300g、メチルメタクリレート150g、ステアリルメタクリレート40g、(2,[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール(大塚化学社製RUVA93)10g、及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)2gを加え、65℃で3時間反応させ、更に2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1gを加えて3時間反応させて、不揮発分(樹脂含有量)40重量%、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量180000の共重合体を含むアクリル樹脂組成物を得た。
このアクリル樹脂組成物100重量部に、安定剤としてチヌビン765(チバスペシャリティーケミカルズ社製)を0.6重量部添加して、コーティング剤P1(UV)とした。
[コーティング剤P2の製造]
温度計、攪拌機及び還流冷却管を備えたフラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテル300gにメチルメタクリレート148g、ステアリルメタクリレート40g、(2,[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール(大塚化学社製RUVA93)10g、2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート2g、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)2gを加え、65℃で3時間反応させ、更に2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1gを加えて3時間反応させて、不揮発分(樹脂含有量)40重量%、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量150000の共重合体を含むアクリル樹脂組成物を得た。
このアクリル樹脂組成物100重量部に、チヌビン765を0.6重量部添加して、コーティング剤P2(熱)とした。
[ウレタンアクリレートの製造]
温度計、攪拌機及び還流冷却管を備えたフラスコにトリシクロデカンジメタノール39.3g、ε−カプロラクトン46.6g、テトラオクチルスズ0.1gを加え窒素気流下180℃にて15時間加熱撹拌した後、イソホロンジイソシアネート88.9g、2−ヒドロキシエチルアクリレート46.5g、フェノキシジエチレングリコールアクリレート55.3g、ジブチルスズラウレート0.2g及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.1gを空気気流下80℃にて5時間加熱撹拌し、ウレタンアクリレート1を得た。
[コーティング剤T1(UV)の製造]
以下の成分を以下の配合量で混合してコーティング剤T1(UV)を製造した。
<成分配合(重量部)>
ペンタエリスリトールトリアクリレート:16
トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート:16
日産化学社製オルガノシリカゾル(30%溶液):27
トリアジン系紫外線吸収剤(チバスペシャルティーケミカルズ社製「チヌビン400」):2
ヒンダードアミン系光安定剤(三共(株)製「サノールLS765」):0.6
光重合開始剤(チバスペシャルティーケミカルズ社製「イルガキュア184」):0.4
プロピレングリコールモノメチルエーテル:41
[コーティング剤T2(UV)の製造]
以下の成分を以下の配合量で混合してコーティング剤T2(UV)を製造した。
<成分配合(重量部)>
ジペンタリスリトール(日本化薬社製「カヤラッドDPHA」):27
ウレタンアクリレート(ウレタンアクリレートの製造に記載):18
オルガノシリカゾル(日産化学社製「IPA−ST」(平均粒子径13nm、30重量%2−プロパノール溶液)):13
トリアジン系紫外線吸収剤(チバスペシャルティーケミカルズ社製「チヌビン400」):0.5
ヒンダードアミン系光安定剤(チバスペシャルティーケミカルズ社製「チヌビン123」):0.2
光重合開始剤(チバスペシャルティーケミカルズ社製「イルガキュア184」):0.4
プロピレングリコールモノメチルエーテル:40.9
[コーティング剤T3(熱)の製造]
以下の成分を以下の配合量で混合してコーティング剤T3(熱)を製造した。
<成分配合(重量部)>
シリコーン系樹脂(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製「トスガード510」(固形分濃度20.5重量%)):100
トリアジン系紫外線吸収剤(チバスペシャルティーケミカルズ社製「チヌビン400」):1
ヒンダードアミン系光安定剤(三共(株)製「サノールLS765」):0.2
[実施例1〜4,9、比較例1〜3]
表2A〜2Cに示す試験片の表面に、コーティング剤P1を、フィルムアプリケータを用いて塗布し、120℃で5分間加熱乾燥し、表2A〜2Cに示す厚さの表面保護層を形成して積層体を得た。
[実施例5,7,10〜13、比較例4]
表2A〜2Cに示す試験片の表面に、コーティング剤P1をフィルムアプリケータを用いて塗布し、120℃で5分間加熱乾燥し、更にその上にコーティング剤T1(UV)を、バーコータを用いて塗布し、80℃で2分間加熱乾燥した。次いで、この塗布板に120W/cmの高圧水銀灯を用いて3000mJ/cmの紫外線を照射し、表2A〜2Cに示す厚さのプライマー層(コーティング剤P1により形成された層)とトップコート層(コーティング剤T1(UV)により形成された層)からなる表面保護層を形成して積層体を得た。
[実施例6]
表2Aに示す試験片の表面に、コーティング剤P2をフィルムアプリケータを用いて塗布し、120℃で5分間加熱乾燥した。更にその上にコーティング剤T3(熱)をバーコータを用いて塗布し、室温にて5分間放置した後、120℃で60分間加熱乾燥し、表2Aに示す厚さのプライマー層(コーティング剤P2により形成された層)とトップコート層(コーティング剤T3(熱)により形成された層)からなる表面保護層を形成して積層体を得た。
[実施例8]
表2Bに示す試験片の表面に、コーティング剤P1をフィルムアプリケータを用いて塗布し、120℃で5分間加熱乾燥し、更にその上にコーティング剤T1(UV)を、バーコータを用いて塗布し、80℃で2分間加熱乾燥し、更にその上にコーティング剤T2(UV)をバーコータを用いて塗布し、80℃で2時間加熱乾燥した。次いで、この塗布板に120W/cmの高圧水銀灯を用いて3000mJ/cmの紫外線を照射し、表2Bに示す厚さのプライマー層(コーティング剤P1により形成された層)とトップコート層(コーティング剤T1(UV)により形成された層とコーティング剤T2(UV)により形成された層)からなる表面保護層を形成して積層体を得た。
実施例及び比較例で得られた積層体について、以下の方法で、表面粗さ、Haze、密着性(初期密着性)、表面硬度、耐湿熱密着性、及び耐候密着性を評価し、結果を表2A〜2Cに示した。
<表面粗さ>
前述の基材の試験片の表面粗さの測定におけると同様の条件で、積層体の表面保護層の表面粗さを測定した。
<密着性(初期密着性)>
JIS K5600に準拠し、直径20mmのアルミニウム製試験円筒(本田ビジネスシステム社)を、エポキシ接着剤(Huntsman Advanced Materials社製「アラルダイト2011」)を用いて試験片の表面保護層面に接着し、デフェルスコ社製アドヒージョンテスターを使用して表面保護層の剥離試験を行い、表面保護層が剥離したときの最大密着力を測定した。
<Haze>
JIS K−7105に従って、ヘイズ値(H%)を求めた。
<表面硬度>
表面保護層の硬度をフィッシャースコープHM200(フィッシャーインストルメンツ社製)を使用してビッカース圧子を使用して試験力2mN/mmにて押し込み硬度を測定した。
<耐湿熱密着性>
積層体を50℃、95%Rhの条件下に2週間静置した後、以下の(1)と(2)の二つの方法により評価し、これら二つの評価結果から、
(1)、(2)ともに剥離が観察されない場合を「○」、
(1)で剥離・クラック等が観察されずとも、(2)で剥離がある場合を「×」、
(1)、(2)ともに剥離等が観察された場合を「××」
として示した。
(1) 積層体を目視により観察し、剥離の有無とクラック発生の有無を確認した。
(2) 積層体に対して、JIS K5400−1990に準拠した碁盤目テープ剥離評価を実施した。
即ち、表面保護層に10×10マス(計100マス)の切り込みを入れ、この上にセロハンテープ(ニチバン社製「CT24」)を指の腹で密着させた後、テープを剥離し、100マスにおける剥離の有無を目視で確認した。
<耐候密着性>
キセノンアーク式耐候促進評価試験機により、積層体に対して、ブラックパネル温度70℃、120分サイクル中18分間水噴霧、積算紫外線照射量500mJ/mの条件で耐候促進試験を行い、試験後、上記耐湿熱密着性の評価におけると同様に(1)と(2)の二つの方法により同様の評価基準で評価を行った。
Figure 0005900558
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表2A〜2Cにより、本発明によれば、表面保護層を形成する熱可塑性樹脂基材の表面粗さRaを0.035〜2.0とすることにより、表面保護層の密着性と透明性に優れ、更には表面硬度の高い高特性積層体を提供することができることが分かる。
これに対して、熱可塑性樹脂基材の表面粗さRaが0.014と小さい比較例1では、表面保護層の密着性、特に耐湿熱密着性、耐候密着性に劣る。逆に、熱可塑性樹脂基材の表面粗さが2を超える比較例2〜4では、初期密着性、耐湿熱密着性、耐候密着性がいずれも悪い上に透明性も劣る。
本発明の積層体は、熱可塑性樹脂基材上に、基材密着性に優れた表面保護層を有するものであり、ヘッドランプカバー、車両用窓材、車両用屋根材、建築物用窓材、建築物用外壁材、道路用防音壁、ディスプレイ用面板及び携帯電話用部材等に有用である。更に、高い透明性を維持しつつ、同時に高い耐擦傷性、耐摩耗性、耐候性、及び基材密着性を有する積層体とすることができるため、樹脂製窓材として、とりわけ、屋外で使用され、長期間にわたり温度変化、湿度変化、紫外線照射、赤外線照射、風雨に曝される自動車用の窓材として好適である。

Claims (7)

  1. 熱可塑性樹脂基材上に、(メタ)アクリロイル基を有する化合物群から選ばれる少なくとも1種の化合物を重合してなるアクリル樹脂を含有する表面保護層をプライマー層として形成してなる積層体の製造方法において、
    該熱可塑性樹脂基材を、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を射出成形することにより製造し、
    該熱可塑性樹脂基材の厚みを2〜10mmとし、
    該射出成形時の金型表面により、表面保護層形成面の表面粗さRaが0.035μm以上2.0μm以下で、表面粗さRzが0.25μm以上8μm以下の該熱可塑性樹脂基材を成形し、
    Hazeが4%以下の積層体を製造することを特徴とする積層体の製造方法。
  2. 請求項1において、該プライマー層上に、さらに1層以上の表面保護層を形成することを特徴とする積層体の製造方法
  3. 請求項1又は2において、該積層体の該表面保護層側の表面の表面粗さRaが0.6μm以下であることを特徴とする積層体の製造方法
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、該積層体の該表面保護層側の表面の硬度が160mN/mm以上であることを特徴とする積層体の製造方法
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項において、該プライマー層の形成に用いられる(メタ)アクリロイル基を有する化合物群から選ばれる少なくとも1種の化合物を重合してなるアクリル系樹脂を含有する組成物が、溶剤を含有するものであることを特徴とする積層体の製造方法
  6. 請求項2ないし5のいずれか1項において、該プライマー層上に形成される該表面保護層が熱硬化性オルガノシロキサンよりなることを特徴とする積層体の製造方法
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項において、該積層体のHazeが2%以下であることを特徴とする積層体の製造方法
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