JP5488064B2 - 積層成形体の製造方法及び硬化皮膜転写フィルム - Google Patents

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本発明は、熱可塑性樹脂よりなる射出成形体の表面に硬化皮膜を形成してなる積層成形体を製造する方法に係り、詳しくは、硬化皮膜転写フィルムを用いて、熱可塑性樹脂の射出成形と転写による硬化皮膜の形成とを同時に行う積層成形体の製造方法と、この方法により製造された積層成形体に関する。
本発明はまた、この積層成形体の製造方法に用いられる硬化皮膜転写フィルムに関する。
一般に、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、酢酸セルロース、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂成形品は、軽量性、易加工性、耐衝撃性などに優れているため、種々の用途に使用されている。例えば、ポリカーボネート樹脂は、優れた透明性、耐熱性、機械的強度、易加工性といった長所を有するため、電気、自動車、医療用途等に広く用いられ、特に近年では、自動車用窓ガラスとして使用され、自動車の軽量化による燃費向上に貢献している。
しかし、ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂成形体は、表面硬度が低いために耐擦傷性が不十分である。また、長期の屋外使用では黄変等の劣化、変質の問題があるという欠点があった。
これらの欠点を改良する目的で、熱可塑性樹脂成形体には、硬化皮膜(ハードコート層)等の各種の表面保護層が形成されて製品とされている。
従来、熱可塑性樹脂の成形方法としては、生産効率に優れ、また、大面積の成形体も効率的に連続生産することができることから、射出成形が広く採用されている。この場合において、射出成形された成形体の表面に硬化皮膜形成用の塗布液を塗布して硬化させることにより硬化皮膜を形成する方法もあるが、より生産性に優れた方法として、基材フィルム上に硬化皮膜形成用の転写層が形成された硬化皮膜転写フィルムを用い、射出成形と同時に硬化皮膜を形成する方法がある。
この場合に用いられる硬化皮膜転写フィルムは、一般に基材フィルム上に硬化皮膜形成用の第1転写層が形成され、この第1転写層上に、硬化皮膜と成形体との接着層となる第2転写層とが形成されたものであり、このような硬化皮膜転写フィルムを射出成形用の金型内に、基材フィルムが金型内面と接するように配置した後、金型のキャビティ内に熱可塑性樹脂を射出充填して、射出成形と硬化皮膜の転写形成が同時に行われる(例えば特許文献1,2)。
このような硬化皮膜転写フィルムの硬化皮膜形成用の第1転写層を、転写前に完全硬化させてしまうと、成形体の表面に追従した硬化皮膜を密着性良く形成することができない。一方で、この第1転写層が未硬化であると、その上に第2転写層を形成することが困難であることから、第1転写層は半硬化状態とされ、転写後に硬化を完結させる方法(以下、半硬化状態の転写層の硬化を更に進行ないし完結させることを「追硬化」と称す場合がある。)が採用されている。
例えば、特許文献1には、基材フィルム上のシリコン系の熱硬化性組成物よりなる第1転写層を、半硬化状態としてその上に第2転写層を形成した硬化皮膜転写フィルムを用いて射出成形を行い、転写層を成形体側に転写した後、成形体を金型から取り出して基材フィルムを剥し取り、その後加熱して硬化皮膜形成用の第1転写層を追硬化する方法が提案されている。
また、特許文献2には、アクリル系の活性エネルギー線硬化性樹脂よりなる硬化皮膜形成用の転写層を加熱により半硬化状態とした後、射出成形及び転写後、成形体を金型から取り出して基材フィルムを剥し取り、活性エネルギー線照射を行って追硬化することが記載されている。この特許文献2には、活性エネルギー線照射で第1転写層を半硬化状態とすることは、所望の半硬化状態とするための活性エネルギー線の照射量の制御が困難であると記載されている。
特許第3376101号公報 特許第3233595号公報
特許文献1,2に記載されるように、射出成形後、成形体を金型から取り出した後に加熱又は活性エネルギー線照射で転写層の追硬化を行う方法では、次のような問題がある。
[1] 半硬化状態の硬化皮膜形成用転写層に、加熱又は活性エネルギー線照射を行う工程で、十分に硬化していない転写層に埃が付着したり傷が付いたりしやすく、不良品率が高い。
[2] 射出成形後、成形体を金型から取り出した後、加熱又は活性エネルギー線照射による追硬化のための工程が必要となり、工程数が多く、生産性、コスト面で不利である。
[3] 加熱により半硬化を行ったり、その後の追硬化を行うことは、エネルギー効率が悪く、硬化に時間を要する。
[4] 追硬化を活性エネルギー線照射で行う場合、大面積や複雑形状に対して均一な硬化を行えない場合があり、この場合には、形成される硬化皮膜の耐擦傷性、耐候性が劣るものとなる。
本発明は上記従来の問題点を解決し、硬化皮膜転写フィルムを用いて、耐擦傷性、耐候性に優れた硬化皮膜を、高い生産性のもとに効率的かつ経済的に射出成形体の表面に形成する技術を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、硬化皮膜形成用の第1転写層を活性エネルギー線照射により半硬化状態とした硬化皮膜転写フィルムを用い、射出成形時に金型のキャビティに射出充填される熱可塑性樹脂の熱で追硬化を行うことにより、射出成形及び転写と、転写層の硬化とを同時に行って、射出成形後の追硬化のための加熱又は活性エネルギー線照射工程を不要とし、しかも、追硬化を金型内の射出充填樹脂による加熱硬化で行うことにより、硬化皮膜形成用の転写層を均一にかつ効率的に硬化させることができ、これにより耐擦傷性、耐候性に優れた硬化皮膜を形成することができることを見出した。
本発明は、このような知見に基いて達成されたものであり、以下を要旨とする。
[1] 硬化皮膜転写フィルムを配置した射出成形用金型のキャビティに、熱可塑性樹脂を射出充填して該熱可塑性樹脂を射出成形して、表面に硬化皮膜が形成された積層成形体を製造する方法において、該硬化皮膜転写フィルムは、基材フィルム上に、該硬化皮膜を形成するための活性エネルギー線硬化性組成物により形成された第1転写層と、成形体に接して硬化皮膜と成形体との接着層を形成するための第2転写層とを含む少なくとも2層の転写層を有し、活性エネルギー線照射により半硬化状態とした第1転写層の上に、第2転写層を含む他の転写層を形成して該硬化皮膜転写フィルムを得る工程と、該硬化皮膜転写フィルムを、その基材フィルムが金型と接する方向となるように金型内に配設する工程と、該キャビティに熱可塑性樹脂を射出充填するとともに、充填樹脂の熱量により該第1転写層の硬化反応を行う工程とを有することを特徴とする積層成形体の製造方法。
[2] [1]において、活性エネルギー線照射により半硬化状態とした第1転写層が、指触により該第1転写層形成材料が指に付着しない指触タック性を有し、かつ、活性エネルギー線照射前の第1転写層と活性エネルギー線照射後の第1転写に対して、赤外線分光光度計による1回反射ATR表面反射法にて測定を行い、波数810cm−1におけるピークP810と波数1726cm−1におけるピークP1726との比P810/P1726の値から、下記式で算出される硬化率が、0.6以下であることを特徴とする積層成形体の製造方法。
硬化率=(活性エネルギー線照射前のP810/P1726−活性エネルギー線照射後のP810/P1726)/活性エネルギー線照射前のP810/P1726
[3] [1]又は[2]において、活性エネルギー線照射により半硬化状態とした第1転写層の波長254nmにおける吸光度が0.1以上、2.0以下であることを特徴とする積層成形体の製造方法。
[4] [1]から[3]の何れかにおいて、第1転写層を形成する活性エネルギー線硬化性組成物が、下記(A)、(B)、(C)及び(D)を含む(ただし、(A)と(B)の合計で100重量部とする。)ことを特徴とする積層成形体の製造方法。
(A)多官能(メタ)アクリレート:50〜90重量部
(B)脂環構造を有するジオール(b−1)、ラクトン類(b−2)、ポリイソシアネート(b−3)及び水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート:10〜50重量部
(C)硬化反応抑制剤:0.1〜20重量部
(D)重合開始剤:0.1〜10重量部
[5] [1]から[4]の何れかにおいて、第2転写層が、下記(a−1):5〜40重量%と、(a−2):1〜70重量%と、(a−3):1〜94重量%とを共重合して得られる、重量平均分子量が1000以上、1000000以下の共重合体を含有することを特徴とする積層成形体の製造方法。
(a−1)下記式(1)で表される不飽和単量体
CH=C(R)COOR (1)
(式(1)において、Rは水素原子、メチル基又はエチル基を表し、Rは炭素数8以上、30以下の分岐を有していてもよいアルキル基を表す。)
(a−2)紫外線吸収性基を有する不飽和単量体
(a−3)(a−1)及び/又は(a−2)の不飽和単量体と共重合可能な不飽和単量体
[6] [1]から[5]の何れかにおいて、射出充填された熱可塑性樹脂の硬化皮膜転写フィルムに接している側の表面温度が、第1転写層を形成する活性エネルギー線硬化性組成物の熱硬化開始温度以上の温度で1秒間以上保持されることを特徴とする積層成形体の製造方法。
[7] [1]から[6]の何れかにおいて、第1転写層を形成する活性エネルギー線硬化性組成物の熱硬化開始温度をTd、射出充填される熱可塑性樹脂の樹脂温度をTrとした場合、その温度差Tr−Tdが50℃以上、135℃以下であることを特徴とする積層成形体の製造方法。
[8] [1]から[7]の何れかにおいて、第1転写層を形成する活性エネルギー線硬化性組成物の熱硬化開始温度をTd、射出充填される熱可塑性樹脂の樹脂温度をTr、射出成形用金型の金型温度をTmとした場合、
180≦(2×(Tr−Td))+Tm≦300
であることを特徴とする積層成形体の製造方法。
[9] 成形体の表面に硬化皮膜を転写形成するための硬化皮膜転写フィルムであって、基材フィルムの上に、硬化皮膜を形成するための活性エネルギー線硬化性組成物により形成された第1転写層と、成形体に接して硬化皮膜と成形体との接着層を形成するための第2転写とを含む少なくとも2層の転写層を有する硬化皮膜転写フィルムにおいて、該第1転写層が、活性エネルギー線照射により半硬化状態とされており、該第1転写層を形成する活性エネルギー線硬化性組成物が、下記(A)、(B)、(C)及び(D)を含む(ただし、(A)と(B)の合計で100重量部とする。)ことを特徴とする硬化皮膜転写フィルム。
(A)多官能(メタ)アクリレート:50〜90重量部
(B)脂環構造を有するジオール(b−1)、ラクトン類(b−2)、ポリイソシアネート(b−3)及び水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート:10〜50重量部
(C)硬化反応抑制剤:0.1〜20重量部
(D)重合開始剤:0.1〜10重量部
[10] [9]において、活性エネルギー線照射により半硬化状態とした第1転写層が、指触により該第1転写層形成材料が指に付着しない指触タック性を有し、かつ、活性エネルギー線照射前の第1転写層と活性エネルギー線照射後の第1転写に対して、赤外線分光光度計による1回反射ATR表面反射法にて測定を行い、波数810cm−1におけるピークP810と波数1726cm−1におけるピークP1726との比P810/P1726の値から、下記式で算出される硬化率が、0.6以下であることを特徴とする硬化皮膜転写フィルム。
硬化率=硬化率=(活性エネルギー線照射前のP810/P1726−活性エネルギー線照射後のP810/P1726)/活性エネルギー線照射前のP810/P1726
[11] [9]又は[10]において、活性エネルギー線照射により半硬化状態とした第1転写層の波長254nmにおける吸光度が0.1以上、2.0以下であることを特徴とする硬化皮膜転写フィルム。
[12] [9]から[11]の何れかにおいて、第2転写層が、下記(a−1):5〜40重量%と、(a−2):1〜70重量%と、(a−3):1〜94重量%とを共重合して得られる、重量平均分子量が1000以上、1000000以下の共重合体を含有することを特徴とする硬化皮膜転写フィルム。
(a−1)下記式(1)で表される不飽和単量体
CH=C(R)COOR (1)
(式(1)において、Rは水素原子、メチル基又はエチル基を表し、Rは炭素数8以上、30以下の分岐を有していてもよいアルキル基を表す。)
(a−2)紫外線吸収性基を有する不飽和単量体
(a−3)(a−1)及び/又は(a−2)の不飽和単量体と共重合可能な不飽和単量体
[13] [1]から[8]の何れかの積層成形体の製造方法により製造された積層成形体。
[14] [13]において、該積層成形体の30%以上の領域が、全光線透過率10%以上、Haze15%未満の透明性を有することを特徴とする積層成形体。
本発明によれば、表面に耐擦傷性、耐候性に優れた硬化皮膜を有する積層成形体を高い生産性、経済性のもとに効率的に製造することができる。
本発明によれば、高硬度で耐擦傷性、耐候性等に優れた硬化皮膜を熱可塑性樹脂基材表面に密着性良く形成することにより、耐久性に優れた製品を提供することができる。
本発明の積層成形体は、テレビ、液晶モニター、携帯電話、ガラス窓、又はそれらの類似部品のガラス代替品として、或いは、自動車等の車両のパノラマルーフ、サンルーフ、リアウインド、フロントサイドウインド、サイドドア、バックドア、スライドドア、フード、ルーフ又はそれらの類似部品の窓材として、工業的に有用である。
本発明の積層成形体の製造方法における射出成形工程を示す模式的な断面図である。 実施例において、射出成形した形状B(皿型)の試験片を示す図であり、(b)図は平面図、(a)図は(b)図のA−A線に沿う断面図、(c)図は(b)図のC−C線に沿う断面図である。
以下、本発明の実施の形態につき詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は本発明の実施形態の代表例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変形して実施することができる。なお、本発明において、「(メタ)アクリロイル」との記載は「アクリロイル及びメタクリロイルからなる群より選ばれる少なくとも1つ」を意味し、「(メタ)アクリレート」との記載は「アクリレート及びメタクリレートからなる群より選ばれる少なくとも一つ」を意味する。また、「(ポリ)ブタンジオール」「(ポリ)エチレングリコール」のように、化合物名の前に「(ポリ)」を付けたものは、当該化合物と、そのポリマーのいずれか一方或いは両方を意味する。
本発明の積層成形体の製造方法は、硬化皮膜転写フィルムを配置した射出成形用金型のキャビティに、熱可塑性樹脂を射出充填して該熱可塑性樹脂を射出成形して、表面に硬化皮膜が形成された積層成形体を製造する方法において、該硬化皮膜転写フィルムは、基材フィルム上に、該硬化皮膜を形成するための活性エネルギー線硬化性組成物により形成された第1転写層と、成形体に接して硬化皮膜と成形体との接着層を形成するための第2転写層とを含む少なくとも2層の転写層を有し、活性エネルギー線照射により半硬化状態とした第1転写層の上に、第2転写層を含む他の転写層を形成して該硬化皮膜転写フィルムを得る工程と、該硬化皮膜転写フィルムを、その基材フィルムが金型と接する方向となるように金型内に配設する工程と、該キャビティに熱可塑性樹脂を射出充填するとともに、充填樹脂の熱量により該第1転写層の硬化反応を行う工程とを有することを特徴とする。
[熱可塑性樹脂]
本発明において、射出成形する熱可塑性樹脂に特に制限は無く、通常、広く一般に用いられている熱可塑性樹脂を用いることができる。
この熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン等のスチレン樹脂、酢酸セルロース、ポリプロピレンを使用することができるが、後述の本発明に好適な硬化皮膜転写フィルムの接着層となる第2転写層との接着性の観点から、カルボニル基を有する重合体がより好ましい。また、成形体としての物性を好ましく満たすという観点から、ポリエステル、ポリアリレート、ポリカーボネート、酢酸セルロース等が好ましく、更にはポリカーボネート樹脂が好ましく、中でも芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。これらの熱可塑性樹脂は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
本発明に係る芳香族ポリカーネート樹脂は、二価アルコールとして二価フェノールを用い、これをカーボネート前駆体と界面法又は溶融法で反応させて得られる樹脂であり、2種以上のポリカーボネートの混合物であっても良い。カーボネート前駆体としては例えば、ホスゲン等のカルボニルハライド、ジフェニルカーボネート等のカルボニルエステル、ハロホルメート等が挙げられる。本発明に係る芳香族ポリカーネートは、GPC法によるポリスチレン換算の重量平均分子量が15000〜50000程度のものが好ましい。
本発明に使用するポリカーボネート樹脂の分子量は、任意であるが、溶液粘度から換算した粘度平均分子量[Mv]として、通常10,000〜35,000である。粘度平均分子量を10,000以上とすることにより、機械的強度が向上して機械的強度の要求の高い用途に好適なものとなる。一方、粘度平均分子量を35,000以下とすることにより、流動性が低下して成形加工が容易なものとなる。なお、粘度平均分子量は、好ましくは18,000〜35,000であり、更に好ましくは20,000〜30,000である。粘度平均分子量を18,000以上とすることにより表面に硬化皮膜を形成した際の衝撃強度の低下を抑制することが可能となる。また、粘度平均分子量の異なる2種類以上のポリカーボネート樹脂を混合してもよい。
ここで、粘度平均分子量[Mv]とは、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、ウベローデ粘度計で温度20℃での極限粘度[η](単位dl/g)を求め、Schnellの粘度式(η=1.23×10−40.83)から算出される値を意味する。
本発明で使用するポリカーボネート樹脂の末端水酸基濃度は、通常2,000ppm以下、好ましくは1,500ppm以下、更に好ましくは1,000ppm以下である。また、その下限は、特にエステル交換法で製造するポリカーボネート樹脂では、通常10ppm、好ましくは30ppm、更に好ましくは40ppmである。
末端水酸基濃度を10ppm以上とすることにより、分子量の低下が抑制でき、樹脂組成物の機械的特性がより向上する傾向にある。また、末端基水酸基濃度を2,000ppm以下にすることにより、樹脂組成物の滞留熱安定性や色調がより向上する傾向にある。ハードコートなどの硬化皮膜を形成する場合、末端水酸基濃度を100〜2,000ppm、好ましくは200〜1,000ppm、更に好ましくは300〜1,000ppmと末端水酸基濃度の高いものを適用することで、その密着性や耐久性が向上する。なお、末端水酸基濃度の単位は、ポリカーボネート樹脂重量に対する、末端水酸基の重量をppmで表示したものであり、測定方法は、四塩化チタン/酢酸法による比色定量(Macromol.Chem.88 215(1965)に記載の方法)である。
ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂には、本発明の目的を損なわない範囲で各種の添加剤、例えば、離型剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、着色剤、増白剤、難燃剤を含有しても良い。
射出成形樹脂に好適な熱可塑性樹脂としてのカルボニル基を有する重合体を構成するモノマーユニットとしては、通常知られる如何なるものも使用することができるが、ポリエステル、ポリアリレート、ポリカーボネートのモノマーユニットとして通常用いられる二価アルコールを用いることが好ましい。
具体的には、次のようなものが挙げられる。
ハイドロキノン、レゾルシノール、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等の2官能性フェノール化合物;
4,4’−ビフェノール、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、3,3’−ジ(t−ブチル)−4,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、3,3’,5,5’−テトラ(t−ブチル)−4,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、2,2’,3,3’,5,5’−ヘキサメチル−4,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、2,4’−ビフェノール、3,3’−ジメチル−2,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、3,3’−ジ(t−ブチル)−2,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、2,2’−ビフェノール、3,3’−ジメチル−2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、3,3’−ジ(t−ブチル)−2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル等のビフェノール化合物;
ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等の芳香族環上に置換基を有しないビスフェノール化合物;
ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン等の芳香族環上に置換基としてアリール基を有するビスフェノール化合物;
ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−(sec−ブチル)フェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)シクロヘキサン等の芳香族環上に置換基としてアルキル基を有するビスフェノール化合物;
ビス(4−ヒドロキシフェニル)(フェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)(ジフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)(ジベンジル)メタン等の芳香族環を連結する2価基が置換基としてアリール基を有するビスフェノール化合物;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル等の芳香族環をエーテル結合で連結したビスフェノール化合物;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン等の芳香族環をスルホン結合で連結したビスフェノール化合物;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド等の芳香族環をスルフィド結合で連結したビスフェノール化合物;
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エーテル、フェノールフタルレインなど:
[硬化皮膜転写フィルム]
本発明の硬化皮膜転写フィルムは、基材フィルムと、この基材フィルム上に形成された、硬化皮膜を形成するための活性エネルギー線硬化性組成物よりなる第1転写層と、形成される硬化皮膜と射出成形体との接着層を形成するための第2転写層とを少なくとも有し、この第1転写層と第2転写層との間には、必要に応じてバインダー層、加飾層、その他の機能層のための転写層が形成されていてもよい。
<基材フィルム>
基材フィルムとしては、熱可塑性樹脂の射出成形時の温度に対する耐熱性を有し、かつ、この上に形成される第1転写層が完全硬化した後、容易に剥離し得る離型性を有するものであればよく、特に制限はないが、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂などの樹脂フィルム、アルミニウム箔、銅箔などの金属箔、グラシン紙、コート紙、セロハンなどのセルロース系シート、或いはこれらのフィルムないしシートの積層体などを用いることができる。
基材フィルムは、この上に形成される第1転写層の剥離性が良い場合には、基材フィルム上に第1転写層を直接形成することができる。
基材フィルムと第1転写層との剥離性が十分でない場合には、基材フィルムの第1転写層形成面に離型層を全面的に形成してもよい。離型層の形成材料としては、メラミン樹脂系離型剤、シリコーン樹脂系離型剤、フッ素樹脂系離型剤、セルロース誘導体系離型剤、尿素樹脂系離型剤、ポリオレフィン樹脂系離型剤、パラフィン系離型剤及びこれらの複合型離型剤などを用いることができ、その形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、スプレーコート法、リップコート法、コンマコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。
特に制限はないが、基材フィルムの厚さは、10〜100μm程度であることが好ましい。
基材フィルムの厚さが薄過ぎると転写層形成時や硬化皮膜転写フィルムとしての取り扱い時に機械的強度が不足してフィルムが破断するおそれがあり、厚過ぎると、射出成形用金型への配材が困難となったり、成形時に金型形状に追随し難く転写性が低下する場合がある。
<第1転写層>
第1転写層を形成する活性エネルギー線硬化性組成物の組成は特に制限はないが、活性エネルギー線照射による半硬化と、その後の射出成形時の射出充填樹脂の熱による追硬化を良好に行うために、下記(A)、(B)、(C)及び(D)成分を少なくとも含有し、更に必要に応じて以下の(E)〜(G)成分を含有することが好ましい。
(A)多官能(メタ)アクリレート
(B)脂環構造を有するジオール(b−1)、ラクトン類(b−2)、ポリイソシアネート(b−3)及び水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート
(C)硬化反応抑制剤
(D)重合開始剤
(E)ヒンダードアミン系光安定剤
(F)コロイド状シリカ
(G)溶剤
(A)多官能(メタ)アクリレート
コーティング剤2としての活性エネルギー線硬化性組成物に使用される、(A)多官能(メタ)アクリレートとしては例えば、次のようなものが挙げられる。
1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド(以下、EOと略記することがある)変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アウリレート、イソシアヌル酸エトキシ変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エトキシ変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクロン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の(メタ)アクリレート;
上記3官能以上の(メタ)アクリレートとγ−メルカプトプロピルトリメトキシシランの付加物とコロイダルシリカ及び/又はシリケート加水分解縮合物;
グリセリンジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等の水酸基含有アクリレートとイソシアネートプロピルトリエトキシシランの付加物とコロイダルシリカ及び/又はシリケート加水分解縮合物;
イソホロンジイソシアネートや水添ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環骨格イソシアネート化合物に、(ポリ)ブタジエンジオール、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、(ポリ)テトラメチレングリコール、(ポリ)エステルジオール、(ポリ)カプロラクトン変性ジオール、(ポリ)カーボネートジオール、(ポリ)スピログリコール等の1種又は2種以上の化合物の水酸基を付加させた後、残ったイソシアネート基に2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチルアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等の水酸基を持つ(メタ)アクリレートを反応させたウレタンポリ(メタ)アクリレート類;
ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ノボラック型エポキシ樹脂類、トリスフェノールメタントリグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、2,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサノン−メタ−ジオキサン、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、EHPE−3150(ダイセル化学工業(株)製、脂環式エポキシ樹脂)等を(メタ)アクリル酸で変性したエポキシ(メタ)アクリレート類等:
これらの多官能(メタ)アクリレートは単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
第1転写層を形成する活性エネルギー線硬化性組成物において、(A)多官能(メタ)アクリレートの含有量は、耐擦傷性の理由から(A)多官能(メタ)アクリレートと(B)ウレタン(メタ)アクリレート成分の合計量を100重量部とした場合に50〜90重量部であることが好ましく、より好ましくは60〜90重量部であって、更に好ましくは60〜80重量部である。
(B)ウレタン(メタ)アクリレート
脂環構造を有するジオール(b−1)、ラクトン類(b−2)、ポリイソシアネート(b−3)及び水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られる(B)ウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、下記の原料を使用して合成されたものを使用することが出来る。
脂環構造を有するジオール(b−1)としては、例えば、インデン、ナフタレン、アズレン、アントラセン等をヒドロキシアルキル化した化合物;ビシクロ[5,3,0]デカンジメタノール、ビシクロ[4,4,0]デカンジメタノール、ビシクロ[4,3,0]ノナンジメタノール、ノルボルナンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、1,3−アダマンタンジオール(1,3−ジヒドロキシトリシクロ[3,3,1,13,7]デカン、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、イソソルバイド、水添ビスフェノールA、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
ラクトン類(b−2)としては、例えば、β−プロピオラクトン、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、α,β,γ−トリメトキシ−δ−バレロラクトン、β−メチル−ε−イソプロピル−ε−カプロラクトン、ラクチド、グリコリド等が挙げられる。
ポリイソシアネート(b−3)としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。
水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等が挙げられる。
本発明に係る(B)ウレタン(メタ)アクリレートを製造するには、例えば、まず、脂環構造を有するジオール(b−1)としてトリシクロデンカンジメタノールを用い、ラクトン類(b−2)としてε−カプロラクトンを用いて、触媒の存在下、50〜220℃、好ましくは100〜200℃に加熱することにより付加反応を行って、脂環構造を有するカプロラクトン変性ジオールを合成する。この時低温では反応速度が遅く、高温では熱分解が起こるので好ましくない。この反応に使用される触媒としては無機塩類、無機酸、有機アルカリ金属、スズ化合物、チタン化合物、アルミニウム化合物、亜鉛化合物、タングステン化合物、モリブデン化合物及び、ジルコニウム化合物が挙げられる。脂環構造を有するカプロラクトン変性ジオールに、ジイソシアネート(ポリイソシアネート(b−3))を20〜100℃、好ましくは40〜80℃で1〜20時間反応させた後、更に水酸基含有(メタ)アクリレートを20〜100℃にて1〜20時間反応させることにより(B)ウレタン(メタ)アクリレートを得ることができる。
ここで脂環構造を有するカプロラクトン変性ジオールとジイソシアネート、及びその反応生成物と水酸基含有(メタ)アクリレートの反応にあたっては、反応を促進するために触媒を使用することが好ましい。ここで使用できる触媒としてはジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテートに代表される有機錫化合物やトリエチルアミン等の3級アミン化合物を使用することができる。
第1転写層を形成する活性エネルギー線硬化性組成物において、(B)ウレタン(メタ)アクリレートの含有量は、耐候性の理由からを(A)多官能(メタ)アクリレートと(B)ウレタン(メタ)アクリレート成分の合計量を100重量部とした場合に10〜50重量部であることが好ましく、より好ましくは10〜40重量部であって、更に好ましくは20〜40重量部である。
(C)硬化反応抑制剤
(C)硬化反応抑制剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、シアノアクリレート系の紫外線吸収剤が挙げられる。
これらの具体例としては例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−t−ペンチルベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)]ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−s−ブチル−5’−t−ブチルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3−ドデシル−5’−メチルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−1,1,3,3−テトラメチルブチル]−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、3−[3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネートとポリエチレングリコールの反応物等のベンゾトリアゾール類、2−ヒドロキシベンゾフェノン、5−クロロ2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、4−ドデシロキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(メチル)オキシ]−フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(エチル)オキシ]−フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル−[(プロピル)オキシ]−フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ブチル)オキシ]−フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール等のトリアジン類、フェニルサリシレート、p−tert−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート等のサリシレート類3−ヒドロキシフェニルベンゾエート、フェニレン−1,3−ベンゾエート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2―イル)−5−ヘキシルオキシフェノール等が挙げられる。
これらの紫外線吸収剤等の硬化反応抑制剤は単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
第1転写層を形成する活性エネルギー線硬化性組成物において、(C)硬化反応抑制剤の含有量は、本発明における半硬化と追硬化を良好に行うために、(A)多官能(メタ)アクリレートと(B)ウレタン(メタ)アクリレート成分の合計量を100重量部とした場合に0.1〜20重量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜10重量部であって、更に好ましくは0.5〜5重量部である。
(C)硬化反応抑制剤が上記上限よりも多いと、後述の第1転写層の半硬化を十分に行えず、指触タック性がでるおそれがあり、上記下限よりも少ないと、活性エネルギー線照射で硬化が進みすぎ、良好な半硬化状態とすることが難しくなる。
(D)重合開始剤
(D)重合開始剤としては例えば、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾインとそのアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノンなどのアセトフェノン類;2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノンなどのアントラキノン類;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなどのケタール類、ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類又はキサントン類、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ1−1(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1等のαアミノケトン類、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニルチタニウム、η5−シクロペンタジエニル−η6−クメニルアイアン(1+)−ヘキサフルオロフォスフェイト(1−)等の光重合開始剤を挙げることができる。
これらの重合開始剤は単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(D)光重合開始剤の含有量は形成される硬化皮膜の硬度の点から、第1転写層を形成する活性エネルギー線硬化性組成物の(A)多官能(メタ)アクリレートと(B)ウレタン(メタ)アクリレート成分の合計量を100重量部とした場合、0.1〜10重量部が好ましく、更に好ましくは1〜5重量部である。
(E)ヒンダードアミン系光安定剤
(E)ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ヘキサノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−オクタノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアオイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、コハク酸−ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン)、セバシン酸−ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン)、セバシン酸−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジン)、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]デカン−2,4−ジオン、N−メチル−3−ドデシル−1−(−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)ピロリジン−2,5−ジオン、N−アセチル−3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)、トリメシン酸−トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)等が挙げられる。これらの光安定剤は単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
光安定剤の配合量は形成される硬化皮膜の硬度の点から、(A)多官能(メタ)アクリレートと(B)ウレタン(メタ)アクリレート成分の合計量を100重量部とした場合、10重量部以下、例えば0.1〜10重量部が好ましく、更に好ましくは0.5〜5重量部である。
(F)コロイド状シリカ
(F)コロイド状シリカとしては、例えば、水、メタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、エチレングリコール、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジメチルアセトアミド、キシレン及びこれらの混合溶剤を分散媒とし、平均粒子径が1〜200nmのシリカが好ましい、更に好ましくは平均粒子径5〜50nmのシリカである。
ここで、シリカの平均粒子径の測定は、走査型電子顕微鏡(日本電子社製JSM−7401F)を用いて粒子を撮影し、この画像の50個の粒子について画像解析ソフトImageProPlus(MediaCybernetics社製)を用いて測定される。
(F)コロイド状シリカとしては、特に、有機溶剤に分散したコロイド状シリカを利用すると、塗膜とした場合に、高い透明性を発現するので好ましく、代表的には水酸基を有する溶剤、又はケトン基を有する極性溶剤に分散したオルガノシリカゾルを用いることが好ましい。このようなコロイド状シリカとしては、具体的には、「IPA−ST」(IPA分散オルガノシリカゾル、日産化学社製)、「MEK−ST」(MEK分散オルガノシリカゾル、日産化学社製)、「MIBK−ST」(MIBK分散オルガノシリカゾル、日産化学社製)等、又はこれらを原料に他の水酸基を有する溶剤に溶媒置換したゾル(例えばPGM分散オルガノシリカゾル等)を挙げることができる。
(F)コロイド状シリカとしては、表面修飾がなされたものを使用しても、未修飾のものを使用しても構わないが、好ましくは表面修飾されたコロイド状シリカが用いられる。コロイド状シリカの修飾には、加水分解性ケイ素基又は水酸基が結合したケイ素基を有する化合物を用いることができる。加水分解性ケイ素基は加水分解によりシラノール基が生成し、それらのシラノール基がコロイド状シリカ表面に存在するシラノール基と反応して結合することにより表面修飾コロイド状シリカが生成する。
コロイド状シリカの修飾に使用されるケイ素基含有化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルオリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、p−ビニルフェニルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。ケイ素基含有化合物は単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
コロイド状シリカの表面修飾方法としては、コロイド状シリカと加水分解性ケイ素基を含有する化合物、触媒、及び水を、20〜100℃にて1〜40時間反応させることにより合成することができる。
この反応に使用する触媒としては、塩酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸;ギ酸、酢酸、シュウ酸、p−トルエンスルホン酸、アクリル酸、メタクリル酸等の有機酸;アルカリ;アセチルアセトンアルミニウム、アルミニウム2,2,6,6,−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート、アルミニウムジイソプロポキシドエチルアセトアセテート、アルミニウムジイソブトキシドエチルアセトアセテート、ホウ酸ブトキシド、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクテート等を使用することができる。これらの触媒の使用量はコロイド状シリカと加水分解性ケイ素基含有化合物の合計量100重量部に対して0.0001〜5重量部、好ましくは0.01〜1重量部である。また、加水分解に必要な水の量は加水分解性ケイ素基に対して0.5〜100当量、好ましくは1〜30当量である。
本反応に使用されるコロイド状シリカとしては酸性又は塩基性の分散形態のコロイド状シリカが使用できるが、好ましくは酸性のコロイド状シリカである。
第1転写層を形成する活性エネルギー線硬化性組成物に、(F)コロイド状シリカを配合する場合、その配合量は、固形分として(A)多官能(メタ)アクリレートと(B)ウレタン(メタ)アクリレート成分の合計量を100重量部とした場合に、50重量部以下、例えば10〜40重量部とすることが好ましい。
(G)溶剤
第1転写層を形成する活性エネルギー線硬化性組成物には、組成物の取り扱い上の点から溶剤を含有することができる。この溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−ブトキシエチルアセテート、3−メトキシプロピルアセタート等のエーテルエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類;等が挙げられる。これらを溶剤は単独又は2種以上を組み合わせ用いることができる。
第1転写層を形成する活性エネルギー線硬化性組成物が溶剤を含む場合、この活性エネルギー線硬化性組成物は、その固形分濃度が5〜60重量%程度の組成物として調製されることが好ましい。
<第1転写層の形成方法>
上述のような活性エネルギー線硬化性組成物を用いて第1転写層を形成する方法として特に限定されず、常法に従って、この活性エネルギー線硬化性組成物を基材フィルム上に塗工し、形成された塗膜に活性エネルギー線を照射して半硬化状態とすればよい。
その塗工方法としては例えば、ディッピング法、フローコート法、スプレー法、スピンコート法、グラビアコート法、ロールコート法、ブレードコート法、エアーナイフコート法、オフセット法、バーコート法等のいずれの方法によっても塗布することもできる。また、印刷等により画像様に塗工することもできる。
なお、塗布量については特に制限されないが、活性エネルギー線の照射によって半硬化した第1転写層の膜厚が、1〜50μm、好ましくは2〜10μmとなるように塗工するのが好ましい。
活性エネルギー線硬化性組成物に、所望により溶剤を用いた場合、硬化性組成物を基材フィルムに塗工した後、乾燥して溶剤を除去する。この場合の乾燥条件は溶剤の沸点、基材フィルムの材質、硬化性組成物の塗布量等によって、好ましい範囲が異なるが、一般的には、30〜120℃で1〜30分間行い、好ましくは50〜100℃で1〜5分間行う。
必要に応じて乾燥を行った後、硬化性組成物の塗膜に活性エネルギー線を照射して硬化させる際に用いる活性エネルギー線としては、キセノンランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯、タングステンランプ等の光源から発せられる紫外線、通常20〜2000kVの粒子加速器から取り出される電子線、α線、β線、γ線等を用いることができる。
<第1転写層の半硬化状態>
本発明においては、第1転写層を形成する活性エネルギー線硬化性組成物を基材フィルムに塗工した後、活性エネルギー線照射により、この第1転写層を半硬化状態とする。
この半硬化状態の程度としては、この第1転写層に指触した際、この第1転写層の形成材料である硬化性組成物が指に付着しない指触タック性を有し、かつ、活性エネルギー線照射前の第1転写層と活性エネルギー線照射後の第1転写層に対して、赤外線分光光度計による1回反射ATR表面反射法にて測定を行い、波数810cm−1におけるピークP810と波数1726cm−1におけるピークP1726との比P810/P1726の値から、下記式で算出される硬化率が、0.6以下、特に0.5以下、とりわけ0.4以下であるような程度であることが好ましい。
硬化率=(活性エネルギー線照射前のP810/P1726−活性エネルギー線照射後のP810/P1726)/活性エネルギー線照射前のP810/P1726
また、この半硬化状態の第1転写層の波長254nmにおける吸光度が0.1〜2.0、特に0.3〜1.5、とりわけ0.5〜1.3となるような程度であることが好ましい。
上記硬化率及び吸光度は、硬化の程度を表す指標となるものであり、上記硬化率が大き過ぎると、硬化が進みすぎており、射出成形時に成形体の形状に追従し得ず、硬化皮膜の剥離、クラック発生等の欠陥が発生し易く、小さ過ぎると未硬化状態で指触タック性がでるため好ましくない。
また、上記吸光度が小さ過ぎると、硬化が進みすぎており、射出成形時に成形体の形状に追従し得ず、硬化皮膜の剥離、クラック発生等の欠陥が発生し易く、大き過ぎると未硬化状態で指触タック性がでるため好ましくない。
<第2転写層>
第1転写で形成される硬化皮膜と射出成形体との接着層として機能する第2転写の構成材料としては特に制限はないが、(メタ)アクリロイル基を有する化合物群から選ばれる少なくとも1種の化合物を重合してなるアクリル樹脂を含有することが好ましい。従って、第2転写層はこのようなアクリル樹脂を含む組成物により形成することが好ましい。
ここで、(メタ)アクリロイル基を有する化合物群から選ばれる少なくとも1種の化合物を重合してなる樹脂は、形成される接着層の物性を調整するために、(メタ)アクリロイル基を有する化合物群から選ばれる複数種の化合物による共重合体であることが好ましい。この場合に用いられる(メタ)アクリロイル基を有する化合物の種類、及び共重合比率に特に制限は無いが、当該化合物の分子量が大きすぎると、重合体の製造が困難になるため、当該化合物の炭素数は50以下が好ましく、より好ましくは40以下、特に好ましくは35以下である。
第2転写層に好適なアクリル樹脂の重合成分としての(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、好ましくは下記式(1A)で表される化合物が用いられる。
CH=C(R11)COOR12 (1A)
(式(1A)において、R11,R12はそれぞれ独立して有機置換基を表す。)
好ましくは、R11,R12は置換基を有していてもよいアルキル基であって、該アルキル基は分岐や環状構造を有していても構わない。更に、R11は炭素数5以下のアルキル基であることがより好ましく、更には炭素数5以下の直鎖アルキル基であることがより好ましい。
第2転写層の機械的強度、接着性、吸水性の調整を容易にするためには、R11,R12は直鎖のアルキル基であることが好ましい。特に、R12は、形成される接着層の特性に大きく影響し、接着層の機械的強度、接着性、吸水性を調整する場合、その炭素数は30以下であることが好ましい。更に同様の理由から、R11は炭素数5以下の直鎖アルキル基が好ましく、特に好ましくは水素原子、メチル基又はエチル基である。
第2転写層の接着性を高める観点においては、R12で表されるアルキル基の炭素数は3以下であることが好ましく、特にはメチル基が好ましい。
一方で、第2転写層により形成される接着層の吸水率を調整するためには、R12は炭素数8以上のアルキル基であることが好ましく、該アルキル基の炭素数は、より好ましくは炭素数10以上、更に好ましくは12以上、特に好ましくは炭素数16以上であって、好ましくは炭素数30以下、より好ましくは炭素数25以下である。
なかでも、前記式(1A)において、R11が水素原子、メチル基又はエチル基であって、R12が炭素数8以上30以下の分岐を有していてもよいアルキル基であることが好ましく、従って、式(1A)で表される化合物は後掲の式(1)で表されることが好ましい。
また、積層成形体の耐候性を向上させる観点から、形成される接着層の厚みによらず接着層全体として、波長300nmの光の光透過率が一定以下であることが好ましいが、波長300nmの光の光透過率を調整するためには、式(1A)のR12で表される置換基が波長300nm近傍の光を吸収又は遮断する基であることが好ましく、より具体的には、通常紫外線吸収剤として用いられている化合物に由来する、いわゆる紫外線吸収性基を有する(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ましい。
また、形成される接着層の波長300nmの光の光透過率を調整するために、式(1A)のR12で表される有機置換基に用いられる紫外線吸収性基としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン骨格を有する基、トリアジン骨格を有する基、2−(5’−メチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール骨格を有する基、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート骨格を有する基、フェニルサリシレート等のサリシレート骨格を有する基、ジエチル−p−メトキシベンジリデンマロネート等のベンジリデンマロネート骨格を有する基が好ましく用いられる。なかでも、ベンゾフェノン骨格を有する基、トリアジン骨格を有する基及びベンゾトリアゾール骨格を有する基が好ましく、特にはベンゾトリアゾール骨格を有する基が好ましく用いられる。
このようなことから、第2転写層は、特に、下記(a−1):5〜40重量%と、(a−2):1〜70重量%と、(a−3):1〜94重量%とを共重合して得られる、重量平均分子量が1000以上、1000000以下の共重合体よりなるアクリル樹脂を含有することが好ましい。
(a−1)下記式(1)で表される不飽和単量体(以下「不飽和単量体(a−1)」と称す場合がある。)
CH=C(R)COOR (1)
(式(1)において、Rは水素原子、メチル基又はエチル基を表し、Rは炭素数8以上、30以下の分岐を有していてもよいアルキル基を表す。)
(a−2)紫外線吸収性基を有する不飽和単量体(以下「不飽和単量体(a−2)」と称す場合がある。)
(a−3)(a−1)及び/又は(a−2)の不飽和単量体と共重合可能な不飽和単量体(以下「不飽和単量体(a−3)」と称す場合がある。)
不飽和単量体(a−1)としては、より具体的には、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
不飽和単量体(a−2)は、形成される接着層の波長300nmの光の光透過率を調整するための化合物であり、例えば、式(2)に代表されるようなベンゾトリアゾール骨格を有する化合物(以下「化合物(2)」と称す場合がある。)、式(3)に代表されるようなベンゾフェノン骨格を有する化合物(以下「化合物(3)」と称す場合がある。)、及び式(4)に代表されるようなトリアジン骨格を有する化合物(以下「化合物(4)」と称す場合がある。)を挙げることができる。
Figure 0005488064
(式(2)において、Xは水素原子又は塩素原子を示す、Rは水素原子、メチル基、又は炭素数4〜8の第3級アルキル基を示す。Rは直鎖状又は分岐鎖状の炭素数2〜10のアルキレン基を示す。Rは水素原子又はメチル基を示す。nは0又は1を示す。)
Figure 0005488064
(式(3)において、Rは式(2)におけると同義である。Rは炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。Rは水素原子又は水酸基を示す。Rは水素原子、水酸基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を示す。)
Figure 0005488064
(式(4)において、Rは式(2)におけると同義である。Rは直接結合、−CHCHO−又はCHCH(OH)−CHO−を示し、nは1〜5の整数を示す。R10はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基を示し、p、qはそれぞれ独立して0〜5の整数を表す。)
不飽和単量体(a−3)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、アルキルビニルエーテル、アルキルビニルエステル、スチレン又はこれらの誘導体を挙げることができる。
これらの中で、(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、シアノエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタレート、2−アクリロイルオキシエチルフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタレート、2−(メタ)アクリロイルプロピルフタレート、(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルトリエトキシシランが挙げられる。
また、(メタ)アクリロニトリルの具体例としては、α−クロロアクリロニトリル、α−クロロメチルアクリロニトリル、α−トリフルオロメチルアクリロニトリル、α−メトキシアクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル、シアノ化ビニリデンが挙げられる。
また、(メタ)アクリルアミド誘導体の具体例としては、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシ(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメトキシ(メタ)アクリルアミド、N−エトキシ(メタ)アクリルアミド、N,N−エトキシ(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N−エチレンビス(メタ)アクリルアミド等を挙げることができる。
アルキルビニルエーテルの具体例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル等を挙げることができる。
アルキルビニルエステルの具体例としては、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、アクリル酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等を挙げることができる。
スチレン誘導体の具体例としては、スチレン、p−スチリルトリメトキシシラン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロメチルスチレン等を挙げることができる。
更に、(メタ)アクリロイル基を有する化合物群から選ばれる少なくとも1種の化合物を重合してなる樹脂は、(メタ)アクリロイル基を有さない他の繰り返し単位との共重合体であっても構わない。この場合、(メタ)アクリロイル基を有する化合物群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、他の繰り返し単位との共重合比率に特に制限は無いが、本発明の効果を充分に得るために、他の繰り返し単位の比率は、50mol%以下であることが好ましく、より好ましくは30mol%以下であって、更には20mol%以下が好ましく、特には10mol%以下が好ましい。
また、このアクリル樹脂は、ゲルパーミエーションクラマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算分子量の重量平均分子量が10000以上、1000000以下、特に30000以上、300000以下であることが好ましい。アクリル樹脂の分子量が大き過ぎると第2転写層形成用組成物が高粘度となり表面平滑性が損なわれ、小さ過ぎると密着強度が充分ではなくなる。
第2転写層を形成する組成物は、重合により樹脂を得る際の利便性や、第2転写層を形成する際の塗工性を向上する目的で、溶剤を含有することができる。
用いられる溶剤は、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;2−メトキシエチルアセタート、2−エトキシエチルアセタート、2−メトキシプロピルアセテート、2−ブトキシエチルアセタート等のエーテルエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類;等が挙げられ、更にこれらの溶剤の任意の比率での混合物であっても構わない。
第2転写層形成用組成物が溶剤を含む場合、この組成物のアクリル樹脂含有量(固形分濃度)としては特に制限はないが、1重量%以上80重量%以下、特に5重量%以上50重量%以下であることが好ましい。
第2転写層形成用組成物にはまた、以下のような安定剤(例えば、ヒンダードアミン系安定剤)、酸化防止剤(例えば、フェノール系、硫黄系、リン系酸化防止剤)、ブロッキング防止剤、レベリング剤、シランカップリング剤等のこの種の組成物に配合される種々の添加剤を、組成物中の固形分100重量部に対し、それぞれ0.01〜10重量部の範囲で配合することができる。
・光安定剤
光安定剤としては、例えばビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)カーボネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)サクシネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−オクタノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ジフェニルメタン−p,p’−ジカーバメート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ベンゼン−1,3−ジスルホネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)フェニルホスファイト等のヒンダードアミン類、ニッケルビス(オクチルフェニルサルファイド、ニッケルコンプレクス−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルリン酸モノエチラート、ニッケルジブチルジチオカーバメート等のニッケル錯体が挙げられる。これらの剤は単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
・シランカップリング剤
シランカップリング剤としては、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチル〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕アンモニウムクロライド、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられ、また上記シランカップリング剤の部分加水分解縮合物も使用できる。かかる剤を添加することにより、熱可塑性樹脂射出成形体と第2転写層並びに第2転写層とこの上の第1転写層(硬化皮膜)又は必要に応じて設けられる後述のバインダー層等の中間転写層との密着力が長期にわたり持続される。これらの剤は単独で使用しても2種以上を併用しても良い。
このような組成物により第2転写層を形成するには、通常、基材フィルム上に形成した半硬化状態の第1転写層又は必要に応じて設けられる後述のバインダー層等の中間転写層上に、この組成物を塗布する。この場合の塗布方法については特に制限されず、ディップコート法、フローコート法、スプレー法、スピンコート法、バーコート法、カーテンコート法、ダイコート法、グラビアコート法、ロールコート法、ブレードコート法及びエアーナイフコート法等のいずれの塗工方法によって塗布することもできる。
塗布は1回の工程で行なっても、2回以上に分けて行なってもよいが、通常は、1回で行なう方が経済的に有利であり、好ましい。
第2転写層形成用組成物が溶剤を含む場合、この組成物を基材フィルム上の半硬化状態の第1転写層又は必要に応じて設けられる後述のバインダー層等の中間転写層上に塗布した後、乾燥して溶剤を除去する。この場合の乾燥条件は溶剤の沸点、基材フィルムの材質、塗布量等によって、好ましい範囲が異なるが、一般的には、30〜150℃で1〜60分間行い、好ましくは80〜120℃で1〜10分間行う。
第2転写層の厚みは、十分な接着性を確保するために、得られる積層形成体に形成される接着層の厚みとして、通常1μm以上、好ましくは5μm以上、より好ましくは8μm以上、更に好ましくは10μm以上であって、溶剤を用いた組成物を塗布乾燥する際の乾燥性に優れるという理由から、通常50μm以下、好ましくは20μm以下、より好ましくは15μm以下である。
<その他の層>
本発明の硬化皮膜転写フィルムにおいては、第1転写層と第2転写層との接着性を向上するため、その間にバインダー層を設けてもよい。バインダー層の形成材料は、他の転写層の材質に合わせて選定するのが好ましく、例えば、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ブチラール系樹脂、ゼラチン、セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、ウレタン系樹脂等の樹脂から適切なものが選択され、これらの樹脂は、必要に応じて溶剤に溶解した組成物としてバインダー層の形成に用いられる。
このバインダー層の厚みは0.1〜50μmが好ましく、さらに好ましくは1〜10μmである。バインダー層が上記範囲より薄い場合にはバインダー層による接着性向上効果が十分でなく、上記範囲を超えると転写成形の際にフィルム切れなどの不具合が発生する。
本発明に係るバインダー層の形成に用いられる溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−ブトキシエチルアセテート、3−メトキシプロピルアセタート等のエーテルエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類;等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、本発明の硬化皮膜転写フィルムにおいては、第1転写層と第2転写層との間に、加飾のために絵柄層及び/又は金属蒸着層を形成してもよい。
絵柄層はインキにより絵柄、図柄、模様等を施したものであり、絵柄層の形成に用いるインキとしては、アゾ系顔料、イソインソリン、キナクリドン、フタロシアニンブルー、アニリンブラック等の有機顔料、コバルトブルー、弁柄、黄鉛、酸化チタン等の無機顔料、各種有機染料を使用することができる。
また、金属蒸着層は、アルミニウム、錫、銀、銅、クロム等の金属を真空蒸着により形成してなるものである。
更に、本発明の硬化皮膜転写フィルムにおいては、第1転写層と第2転写層との間に、上記バインダー層や加飾層以外の他の機能層が形成されていてもよい。
[射出成形及び転写]
本発明においては、上述のような硬化皮膜転写フィルムと熱可塑性樹脂を用い、硬化皮膜転写フィルムを射出成形用金型に配置した後、金型のキャビティ内に熱可塑性樹脂を射出充填して射出成形と転写層の転写を行うと共に、半硬化状態の第1転写層を充填樹脂の熱により追硬化させて完全硬化させる。
以下に本発明の積層成形体の製造方法の製造工程の一例を示す図1を参照して、この方法を説明する。
図1において、1は固定型1Aと可能型1Bよりなる金型であり、2は基材フィルム2aと第1転写層2bと第2転写層2cが形成された硬化皮膜転写フィルム、3は熱可塑性樹脂、4は射出装置、5は金型1のキャビティに熱可塑性樹脂3を導入するためのランナー、6は積層成形体である。
なお、図1においては、硬化皮膜転写フィルム2は、転写層として第1転写層2bと第2転写層2cのみを有するが、前述の如く、この第1転写層2bと第2転写層2cとの間にバインダー層等の他の機能層が形成されていてもよい。
<硬化皮膜転写フィルムの配置>
まず、図1(a)に示す如く、金型1を開いた状態で硬化皮膜転写フィルム2を、その基材フィルム2a側が金型(図1(a)では可動型1B)側の型面に接する方向となるように配置する。
<熱可塑性樹脂の射出充填>
次に、型締めした後、図1(b)に示す如く、射出装置4から、ランナー5を経て熱可塑性樹脂3を金型1のキャビティ内に射出充填する。
この熱可塑性樹脂3の射出充填による射出成形において、効果的な追硬化を行って、第1転写層を完全硬化させるために、次の(1)〜(3)の条件の好ましくは1以上、より好ましくは2以上、最も好ましくは(1)〜(3)のすべての条件を満たすような射出条件を採用することが好ましい。
(1) 熱可塑性樹脂3の射出充填時に、該熱可塑性樹脂3の硬化皮膜転写フィルム2に接している側の表面温度が、第1転写層2bを形成する活性エネルギー線硬化性組成物の熱硬化開始温度Td以上の温度で1秒間以上、より好ましくは1〜5秒保持される(以下、この保持時間を「Td以上の保持時間」と称す場合がある。)。
なお、ここで射出充填時された熱可塑性樹脂の硬化皮膜転写フィルムに接している側の表面温度は、金型キャビティ内に配設された温度センサーにより測定することができる。この際、温度センサーは直接、溶融樹脂に接触せずとも、硬化被覆転写フィルム厚みが、温度測定に影響のない薄さであるので、当該フィルムを介して測定すればよい。この、表面温度が第1転写層の活性エネルギー線硬化性組成物の熱硬化開始温度Td以上の温度に1秒間以上保持されたことは、計測した温度の推移を時系列的に確認することにより求めることができる。
従来において、加熱溶融された熱可塑性樹脂が射出充填されても、熱可塑性樹脂は、金型内で瞬時に冷却されてしまうため、このように、熱可塑性樹脂の硬化皮膜転写フィルムと接する側の表面温度が第1転写層の活性エネルギー線硬化性組成物の熱硬化開始温度以上の温度で1秒以上保持させるためには、熱可塑性樹脂の樹脂温度や金型温度を調整することが必要である。
(2) 第1転写層2bを形成する活性エネルギー線硬化性組成物の熱硬化開始温度をTd、射出充填される熱可塑性樹脂3の樹脂温度をTrとした場合、その温度差Tr−Tdが50℃〜135℃、好ましくは50〜120℃、より好ましくは50〜100℃。
(3) 第1転写層2bを形成する活性エネルギー線硬化性組成物の熱硬化開始温度をTd、射出充填される熱可塑性樹脂3の樹脂温度をTr、射出成形用金型1の金型温度をTmとした場合、
好ましくは、180≦(2×(Tr−Td))+Tm≦300、
より好ましくは、180≦(2×(Tr−Td))+Tm≦250、
特に好ましくは、200≦(2×(Tr−Td))+Tm≦250
とする。
上記(1)のTd以上の保持時間が短か過ぎたり、(2)のTr−Tdが小さ過ぎたり、上記(3)の(2×(Tr−Td))+Tmが小さ過ぎる場合には、追硬化による硬化が十分でなく、第1転写層を完全硬化させることができない場合がある。
逆に、上記(1)の保持時間が長過ぎたり、(2)のTr−Tdが大き過ぎたり、上記(3)の(2×(Tr−Td))+Tmが大き過ぎる場合には、硬化皮膜転写フィルム2が熱により劣化してシワが発生したり、溶けてしまう場合がある。
なお、第1転写層を形成する活性エネルギー線硬化性組成物の熱硬化開始温度Tdは、前述の好適な活性エネルギー線硬化性組成物配合において、通常150〜250℃程度である。
本発明における射出成形条件は、上記(1)〜(3)の条件を満たす条件であれば特に制限はなく、例えば次のような条件が採用される。
熱可塑性樹脂の樹脂温度:選択された成形材料の射出成形に適した樹脂温度であればよく、例えばポリカーボネート樹脂であれば、260〜320℃である。
金型温度:30〜130℃程度
樹脂充填率:10〜250cm/sec
保圧力:樹脂充填圧の25〜60%を2〜30秒
冷却時間:5〜30秒
<積層成形体の脱型>
上記射出成形と共に転写と追硬化を行った後は、図1(c)のように、型開きをして積層成形体6を取り出す。この積層成形体6は、硬化皮膜転写フィルム2の第1転写層2b及び第2転写層2cが、射出成形体の表面に転写される共に、第1転写層2bが追硬化により完全硬化してなる硬化皮膜が、第2転写層の接着層により密着性良く形成されたものである。
[積層成形体]
このようにして製造される本発明の積層成形体の形態についは特に制限はなく、板状、シート状、フィルム状、各種形状の成形体等いずれの形態であっても構わない。また、その硬化皮膜形成面は平面状であっても部分的に又は全体的に曲面状のものであっても良い。
また、積層成形体の熱可塑性樹脂よりなる射出成形体の厚さや大きさについても特に制限はないが、例えば、窓材用途にあっては厚さ2〜10mm程度の板状として用いられ、その面積は400cm〜2m程度であることが好ましい。また、長辺方向の曲率半径R[m]が、5000R〜20000R、特に10000R〜20000R程度であり、短辺方向のRが1000R〜15000R、特に5000R〜10000R程度となる値で、製品の意匠面側を構成する面が凸となるように湾曲していてもよい。
また、本発明の積層成形体は、その表面の硬化皮膜の表面硬度(マルテンス硬度)が160N/mm以上であることが好ましい。表面硬度が160N/mm未満では、十分な耐擦傷性を得ることができず、製品としての用途が制限される。特に、この表面硬度は200N/mm以上であることが好ましい。この表面硬度は高い程好ましい。
また、本発明の積層成形体を窓部材用途として用いる場合は、その30%以上、好ましくは35%以上、より好ましくは40〜100%の領域が、全光線透過率が10%以上、Hazeが15%未満の透明性を有することが好ましい。
積層成形体の全光線透過率が10%未満であったり、Hazeが15%以上であると、透明性を要する用途への適用が困難となる。
積層成形体の全光線透過率は好ましくは15%以上、より好ましくは20%以上である。また、Hazeは好ましくは4%以下、より好ましくは2%以下である。
積層成形体の全光線透過率は大きいほど好ましいが、通常その上限は99%である。
また、積層成形体のHazeは小さいほど好ましいが、通常のその下限は0.1%である。
なお、本発明の積層成形体の全光線透過率、Haze値等は、後述の実施例の項に記載される方法で測定された値である。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
[製造例1]
温度計、攪拌機及び還流冷却管を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル200g、トルエン100g、メチルメタクリレート150g、ステアリルメタクリレート40g、(2,[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール(大塚化学社製RUVA93)10g、及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)2gを加え、65℃で3時間反応させ、更に2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1gを加えて3時間反応させて、不揮発分(樹脂含有量)40重量%、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量180000の共重合体を含むアクリル樹脂1を得た。
[製造例2]
温度計、攪拌機及び還流冷却管を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル200g、メチルイソブチルケトン100g、メチルメタクリレート148g、ステアリルメタクリレート40g、(2,[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール(大塚化学社製RUVA93)10g、2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート2g、及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)2gを加え、65℃で3時間反応させ、更に2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1gを加えて3時間反応させて、不揮発分(樹脂含有量)40重量%、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量150000の共重合体を含むアクリル樹脂2を得た。
[製造例3]
温度計、攪拌機及び還流冷却管を備えたフラスコに、トリシクロデカンジメタノール39.3g、ε−カプロラクトン46.6g、及びテトラオクチルスズ0.1gを加え、窒素気流下180℃にて15時間加熱撹拌した後、イソホロンジイソシアネート88.9g、2−ヒドロキシエチルアクリレート46.5g、フェノキシジエチレングリコールアクリレート55.3g、ジブチルスズラウレート0.2g及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.1gを加えて空気気流下80℃にて5時間加熱撹拌し、ウレタンアクリレートを得た。
[転写層形成用コーティング剤の調製]
表1に示す処方で各材料を混合して、各転写層形成用コーティング剤を調製した。
表1に記載される各材料の詳細は次の通りである。
アクリル樹脂1 :製造例1で製造されたアクリル樹脂1
アクリル樹脂2 :製造例2で製造されたアクリル樹脂2
バインダー樹脂 :ユニオンカーバイド社製 塩化ビニル/酢酸ビニル
/ヒドロキシル変性アクリル樹脂(商品名:VAGF)
多官能アクリレート1:日本化薬社製 ジペンタリスリトールヘキサアクリレート
(商品名:カヤラッドDPHA)
多官能アクリレート2:大阪有機化学社製 ペンタエリスリトールトリアクリレート
(商品名:ビスコート300)
多官能アクリレート3:東亞合成社製 イソシアヌル酸EO変性アクリレート
(商品名:アロニックスM313)
ウレタンアクリレート:製造例3で製造されたウレタンアクリレート
硬化反応抑制剤1:チバスペシャルティーケミカルズ社製トリアジン系紫外線吸収剤
(商品名:TINUVIN400)
硬化反応抑制剤2:チバスペシャルティーケミカルズ社製ベンゾトリアゾール系紫外線
吸収剤(商品名:TINUVIN213)
HALS1 :チバスペシャルティーケミカルズ社製ヒンダードアミン系光安定剤
(商品名:TINUVIN123)
HALS2 :三共社製ヒンダードアミン系光安定剤(商品名:サノールLS765)
PGM :プロピレングリコールモノメチルエーテル
光重合開始剤1:チバスペシャルティーケミカルズ社製
(商品名:イルガキュア184)
Figure 0005488064
[硬化皮膜転写フィルムの製造]
厚さ38μmのポリエステル樹脂フィルムを基材フィルムとして用い基体シート上に、
メラミン樹脂系離型剤をグラビアコート法にて塗布し、厚さ1μmの離型層を形成した後、第1転写層形成用のコーティング剤(コーティング剤T1,T2又はT3)をバーコーターを用いて塗布し、80℃で2分間加熱乾燥した。次いで、この塗膜に120W/cmの高圧水銀灯を用いて表2,3に示す所定量の紫外線を照射した。次いで、第2転写層形成用のコーティング剤(コーティング剤P1又はP2)をバーコーターを用いて塗布し、120℃で5分間加熱乾燥して硬化皮膜転写フィルムを製造した(実施例1〜3,7〜11、比較例1〜3)。
第1転写層と第2転写層との間に、バインダー層を形成する場合(実施例4〜6)には、上記と同様にして第1転写層を形成した後、バインダー層形成用コーティング剤(バインダー)をバーコーターを用いて塗布し、その後、上記と同様にして第2転写層を形成して転写フィルムを製造した。
なお、第1転写層、バインダー層、第2転写層は、それぞれ得られる積層成形体における厚さが以下のような厚さとなるように形成した。
第1転写層:6μm
バインダー層:5μm
第2転写層:7μm
[熱可塑性樹脂]
射出成形には次の2種類の熱可塑性樹脂を用いた。
PC:三菱エンジニアリングプラスチックス社製 芳香族ポリカーボネート樹脂ペレット「ユーピロン(登録商標)S−3000UR」(この樹脂ペレットは射出成形前に120℃で5時間熱風乾燥した。)
PMMA:三菱レイヨン社製、「商品名 アクリペット VH」(この樹脂ペレットは射出成形前に100℃で5時間熱風乾燥した。)
[射出成形]
<形状A(平板)の射出成形>
表2,3に示す成形樹脂と以下の射出成形機を用い、金型内に硬化皮膜転写フィルムを配置して以下の成形条件で150mm×100mm×厚さ3mmの試験片を製造した。ゲートはフィルムゲート(150mm幅、2mm厚)を用いた。金型キャビティ内には、ゲート先端から溶融樹脂の流れ方向10mmのキャビティ面(150mm×100mmの面)に温度センサーを設置してあり、当該センサーのある面に硬化被膜転写フィルムを配置した。そして当該センサーにより硬化被膜転写フィルム越しに充填樹脂の温度状態を計測した。
射出成形機:日本製鋼所製「J150EP−2M」(型締め力150t)
成形条件:成形時樹脂温度:表2,3に記載
金型温度:表2,3に記載
充填時間:1.8秒
Td以上の保持時間:表2,3に記載
保圧:射出時のピーク圧力の50%を15秒
冷却時間:20秒
<形状B(皿型)の射出成形>
表2,3に示す成形樹脂と以下の射出成形機を用い、金型内に硬化皮膜転写フィルムを配置して以下の成形条件で図2に示す形状の100mm×100mm×3mm厚×10mm絞りHの試験片を製造した。ゲートはサイドゲート(10mm幅、2mm厚)を用いた。金型キャビティ内には、ゲート先端から溶融樹脂の流れ方向10mmのキャビティ面(150mm×100mmの面)に温度センサーを設置してあり、当該センサーのある面に硬化被膜転写フィルムを配置した。そして当該センサーにより硬化被膜転写フィルム越しに充填樹脂の温度状態を計測した。
射出成形機:日本製鋼所製「J150EP−2M」(型締め力150t)
成形条件:成形時樹脂温度:表2,3に記載
金型温度:表2,3に記載
充填時間:1.2秒
Td以上の保持時間:表2,3に記載
保圧:射出時のピーク圧力の50%を15秒
冷却時間:20秒
硬化皮膜転写フィルムは、形状Aの成形時には射出成形金型の固定型側に、成形樹脂のゲートを避けた状態となるように挿入し、形状B成形時には図1に示す様に射出生計金型の可動側に挿入した。次いで、何れの場合も型締め→樹脂充填→保圧→冷却→型開き→製品取り出し(突き出し)の手順で成形を行った。得られた積層成形体の取り出し時に硬化皮膜は成形体側に転写され、硬化皮膜転写フィルムの基材フィルムは金型に残留した。
[実施例1〜11、比較例1〜3]
表2,3に示す条件で得られた積層成形体について、以下の評価を行って結果を表2,3に示した。
なお、積層成形体についての評価は、成形性の評価以外は、形状A(平板)の試験片について行った。
<吸光度>
硬化皮膜転写フィルムの第1転写層形成時と同様の条件で、石英板の上に硬化皮膜転写フィルムの第1転写層と同様の膜厚となるように第1転写層形成用コーティング剤を塗布、硬化したサンプルを作成し、このサンプルについて紫外可視分光光度計(日本分光社製V570)を用いて、波長254nmにおける吸光度を測定した。
<硬化率>
上記の吸光度測定サンプルについて、赤外線分光光度計(サーモ社製Magna550)を用いて1回反射ATR表面反射法にて測定を行い、波数810cm−1におけるピークP810と波数1726cm−1におけるピークP1726との比P810/P1726の値から、下記式で算出した。
硬化率=(活性エネルギー線照射前のP810/P1726−活性エネルギー線照射後のP810/P1726)/活性エネルギー線照射前のP810/P1726
<指触タック性>
硬化皮膜転写フィルムの製造時に、基材フィルムに第1転写層を塗布、硬化させた後に、指触により塗膜表面の状態を確認し、以下の基準で評価した。
○:膜の成分が指に付着しない。
×:膜の成分が指に付着する。
<成形性>
各々の積層成形体の試験片を目視観察し、以下の基準で評価した。
○:硬化皮膜の剥離やクラックの発生などの欠陥が全くなく、良好である。
×:硬化皮膜にシワ、剥離クラック等の欠陥があり、実用に耐えない。
<Haze>
積層成形体の試験片について、JIS K−7136に従って、ヘイズ値(H%)を求めた。
<密着性(初期密着性)>
JIS K5600に準拠し、積層成形体の試験片の硬化皮膜の形成面に、2mm間隔にて100個のます目をつくり、セロハンテープ(ニチバン製24mm)を圧着させて上方に剥がし、以下の基準で評価した。
○:100個のます目のいずれも硬化皮膜の剥離が生じない。
×:硬化皮膜の剥離がある。
<耐擦傷性>
積層成形体の試験片について、JIS K7204に準拠し、摩耗輪CS−10F、荷重500g、回転数100サイクルの条件にて、テーバー摩耗試験を行い、試験前後のヘイズ値の差ΔH(%)を測定した。この値が小さい程、耐擦傷性に優れる。
<追加UV照射後耐擦傷性>
積層成形体の試験片の基材フィルムが剥れた後の硬化皮膜面に、紫外線照射装置にて120W/cmの高圧水銀灯を用いて3000mJ/cmの紫外線を照射した後、JIS K7204に準拠し、摩耗輪CS−10F、荷重500g、回転数100サイクルの条件にて、テーバー摩耗試験を行い、試験前後のヘイズ値の差ΔH(%)を測定した。
<埃付着性>
積層成形体の試験片の硬化皮膜表面について目視にて観察し、以下の基準で評価した。
○:埃が付着しない。
×:埃が付着する。
<全光線透過率・Haze>
積層成形体の試験片について、JIS K−7361−1に従って全光線透過率を、そしてJIS K−7136に従って、ヘイズ値(%)を求めた。
<耐湿熱密着性>
積層成形体の試験片を50℃、95%Rhの条件下に2週間静置した後、以下の(1)と(2)の二つの方法により評価し、これら二つの評価結果から、以下の基準により評価した。
(1) 目視により観察し、硬化皮膜の剥離の有無とクラック等の欠陥発生の有無を確認した。
(2) JIS D0202−1988に準拠した碁盤目テープ剥離評価を実施した。
即ち、硬化皮膜に10×10マス(計100マス)の切り込みを入れ、この上にセロハンテープ(ニチバン社製「CT24」)を指の腹で密着させた後、テープを剥離し、100マスにおける剥離の有無を目視で確認した。
○:(1)、(2)ともに剥離や欠陥がない。
△:(1)で剥離、クラック等が観察されたが、(2)では剥離は観察されない。
×:(1)で剥離、クラック等は観察されないが、(2)で剥離がある。
××:(1)、(2)ともに剥離、クラックなどの不具合が観察される。
<耐候密着性>
キセノンアーク式耐候促進評価試験機により、積層成形体の試験片に対して、ブラックパネル温度70℃、120分サイクル中、18分間水噴霧、積算紫外線照射量500mJ/mの条件で耐候促進試験を行い、試験後、上記耐湿熱密着性の評価におけると同様に(1)と(2)の二つの方法により同様の評価基準で評価を行った。
[参考例1]
硬化皮膜転写フィルムを用いないこと以外は上記と同様にしてPCを用いて形状A(平板)の射出成形を行い、得られた射出成形体の表面にコーティング剤P1をバーコーターを用いて塗布し、120℃で5分間加熱乾燥した後、コーティング剤T1をバーコーターを用いて塗布し、80℃で2分間加熱乾燥した後、120W/cmの高圧水銀灯を用いて表2に示す量の紫外線を照射して完全硬化させることにより硬化皮膜を形成した。
コーティング剤P1による接着層の厚さと、コーティング剤T1による硬化皮膜の厚さは実施例1におけると同様とした。
この積層成形体の試験片について、実施例1と同様にして全光線透過率、Haze、密着性、耐擦傷性、埃付着性、耐湿熱密着性、耐候性の評価を行い、結果を表3に示した。
Figure 0005488064
Figure 0005488064
以上の結果から、次のことが分かる。
比較例1は、硬化皮膜転写フィルムの製造時の第1転写層へのUV照射量が多く、完全硬化状態としたため、射出成形時に、特に皿型の試験片において、硬化皮膜にクラックが発生し、実用不可能である。
比較例2は、硬化皮膜転写フィルムの製造時の第1転写層へのUV照射量は少ないが、第1転写層形成用のコーティング剤が硬化反応抑制剤を含まないため、少ないUV照射量で硬化が進行してしまい、ほぼ完全硬化となってしまうため、比較例1と同様、射出成形時に硬化皮膜にクラックが発生する。
比較例3は、硬化皮膜転写フィルムの第1転写層形成時に乾燥のみでUV照射による硬化を行わなかったため、指触タック性があり、射出成形時に転写層流れや転写ムラが発生し、実用不可能である。
これに対して、UV照射で硬化皮膜転写フィルムの第1転写層を半硬化状態とした後、射出成形時の充填樹脂の熱で、第1転写層の追硬化を行って硬化皮膜を形成した実施例1〜11では、耐擦傷性、耐候性に優れた積層成形体を得ることができる。
これらの実施例では、耐擦傷性と追加UV照射耐擦傷性とでほぼ同等の結果が得られており、射出成形時の金型内の追硬化で、第1転写層が完全硬化されていることが分かる。
なお、実施例7〜9は、Tr−Td及び/又は(2×(Tr−Td))+Tmの値が小さく、追硬化が若干不十分であるために、これらの条件が本発明の好適範囲を満たす実施例1〜6,10,11に比べて耐擦傷性が劣る。
実施例10は、硬化皮膜転写フィルム製造時の第1転写層へのUV照射量が比較的少なく、第1転写層の半硬化状態の硬化率が、他の実施例に比べて小さい例であるが、問題なく耐擦傷性、耐候性に優れた積層成形体が得られた。
これに対して、実施例11は、硬化皮膜転写フィルム製造時の第1転写層へのUV照射量が比較的多く、第1転写層の半硬化状態の硬化率が、他の実施例に比べて大きい例であるが、問題なく、耐擦傷性、耐候性に優れた積層成形体が得られた。
なお、参考例1は、硬化皮膜転写フィルムではなく、射出成形体への塗布法で硬化皮膜を形成した例であるが、この方法では、射出成形後、硬化皮膜形成のための、塗布、乾燥、硬化工程を要し、工程が煩雑である上に、形成された硬化皮膜の耐擦傷性が実施例1〜6や実施例10,11で形成された硬化皮膜よりも劣るものとなり、埃も付着している。
これは、本発明のように、活性エネルギー線照射により半硬化状態とした第1転写層を金型内の充填樹脂の熱による追硬化で完全硬化させると、第1転写層の全体にわたって均一に熱が付与されて十分な硬化を行えるのに対して、硬化をすべて活性エネルギー線で行う場合には、このような均一かつ十分な硬化を行えず、形成される硬化皮膜の耐擦傷性が若干劣るものとなることによるものと推定される。
本発明の積層成形体は、熱可塑性樹脂成形体表面に、耐擦傷性、耐候性に優れた硬化皮膜を有するものであり、ヘッドランプカバー、車両用窓材、車両用屋根材、建築物用窓材、建築物用外壁材、道路用防音壁、ディスプレイ用面板及び携帯電話用部材等に有用である。更に、高い透明性を維持しつつ、同時に高い耐擦傷性、耐摩耗性、耐候性を有する積層成形体とすることができるため、樹脂製窓材として、とりわけ、屋外で使用され、長期間にわたり温度変化、湿度変化、紫外線照射、赤外線照射、風雨に曝される自動車用の窓材として好適である。
1 金型
1A 固定型
1B 可動型
2 硬化皮膜転写フィルム
2a 基材フィルム
2b 第1転写層
2c 第2転写層
3 熱可塑性樹脂
4 射出装置
5 ランナー
6 積層成形体
10 皿型試験片

Claims (14)

  1. 硬化皮膜転写フィルムを配置した射出成形用金型のキャビティに、熱可塑性樹脂を射出充填して該熱可塑性樹脂を射出成形して、表面に硬化皮膜が形成された積層成形体を製造する方法において、
    該硬化皮膜転写フィルムは、基材フィルム上に、該硬化皮膜を形成するための活性エネルギー線硬化性組成物により形成された第1転写層と、成形体に接して硬化皮膜と成形体との接着層を形成するための第2転写層とを含む少なくとも2層の転写層を有し、
    活性エネルギー線照射により半硬化状態とした第1転写層の上に、第2転写層を含む他の転写層を形成して該硬化皮膜転写フィルムを得る工程と、
    該硬化皮膜転写フィルムを、その基材フィルムが金型と接する方向となるように金型内に配設する工程と、
    該キャビティに熱可塑性樹脂を射出充填するとともに、充填樹脂の熱量により該第1転写層の硬化反応を行う工程と
    を有することを特徴とする積層成形体の製造方法。
  2. 請求項1において、活性エネルギー線照射により半硬化状態とした第1転写層が、指触により該第1転写層形成材料が指に付着しない指触タック性を有し、かつ、活性エネルギー線照射前の第1転写層と活性エネルギー線照射後の第1転写に対して、赤外線分光光度計による1回反射ATR表面反射法にて測定を行い、波数810cm−1におけるピークP810と波数1726cm−1におけるピークP1726との比P810/P1726の値から、下記式で算出される硬化率が、0.6以下であることを特徴とする積層成形体の製造方法。
    硬化率=(活性エネルギー線照射前のP810/P1726−活性エネルギー線照射後のP810/P1726)/活性エネルギー線照射前のP810/P1726
  3. 請求項1又は2において、活性エネルギー線照射により半硬化状態とした第1転写層の波長254nmにおける吸光度が0.1以上、2.0以下であることを特徴とする積層成形体の製造方法。
  4. 請求項1から3の何れかにおいて、第1転写層を形成する活性エネルギー線硬化性組成物が、下記(A)、(B)、(C)及び(D)を含む(ただし、(A)と(B)の合計で100重量部とする。)ことを特徴とする積層成形体の製造方法。
    (A)多官能(メタ)アクリレート:50〜90重量部
    (B)脂環構造を有するジオール(b−1)、ラクトン類(b−2)、ポリイソシアネート(b−3)及び水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート:10〜50重量部
    (C)硬化反応抑制剤:0.1〜20重量部
    (D)重合開始剤:0.1〜10重量部
  5. 請求項1から4の何れかにおいて、第2転写層が、下記(a−1):5〜40重量%と、(a−2):1〜70重量%と、(a−3):1〜94重量%とを共重合して得られる、重量平均分子量が1000以上、1000000以下の共重合体を含有することを特徴とする積層成形体の製造方法。
    (a−1)下記式(1)で表される不飽和単量体
    CH=C(R)COOR (1)
    (式(1)において、Rは水素原子、メチル基又はエチル基を表し、Rは炭素数8以上、30以下の分岐を有していてもよいアルキル基を表す。)
    (a−2)紫外線吸収性基を有する不飽和単量体
    (a−3)(a−1)及び/又は(a−2)の不飽和単量体と共重合可能な不飽和単量体
  6. 請求項1から5の何れかにおいて、射出充填された熱可塑性樹脂の硬化皮膜転写フィルムに接している側の表面温度が、第1転写層を形成する活性エネルギー線硬化性組成物の熱硬化開始温度以上の温度で1秒間以上保持されることを特徴とする積層成形体の製造方法。
  7. 請求項1から6の何れかにおいて、第1転写層を形成する活性エネルギー線硬化性組成物の熱硬化開始温度をTd、射出充填される熱可塑性樹脂の樹脂温度をTrとした場合、その温度差Tr−Tdが50℃以上、135℃以下であることを特徴とする積層成形体の製造方法。
  8. 請求項1から7の何れかにおいて、第1転写層を形成する活性エネルギー線硬化性組成物の熱硬化開始温度をTd、射出充填される熱可塑性樹脂の樹脂温度をTr、射出成形用金型の金型温度をTmとした場合、
    180≦(2×(Tr−Td))+Tm≦300
    であることを特徴とする積層成形体の製造方法。
  9. 成形体の表面に硬化皮膜を転写形成するための硬化皮膜転写フィルムであって、基材フィルムの上に、硬化皮膜を形成するための活性エネルギー線硬化性組成物により形成された第1転写層と、成形体に接して硬化皮膜と成形体との接着層を形成するための第2転写とを含む少なくとも2層の転写層を有する硬化皮膜転写フィルムにおいて、
    該第1転写層が、活性エネルギー線照射により半硬化状態とされており、該第1転写層を形成する活性エネルギー線硬化性組成物が、下記(A)、(B)、(C)及び(D)を含む(ただし、(A)と(B)の合計で100重量部とする。)ことを特徴とする硬化皮膜転写フィルム。
    (A)多官能(メタ)アクリレート:50〜90重量部
    (B)脂環構造を有するジオール(b−1)、ラクトン類(b−2)、ポリイソシアネート(b−3)及び水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート:10〜50重量部
    (C)硬化反応抑制剤:0.1〜20重量部
    (D)重合開始剤:0.1〜10重量部
  10. 請求項9において、活性エネルギー線照射により半硬化状態とした第1転写層が、指触により該第1転写層形成材料が指に付着しない指触タック性を有し、かつ、活性エネルギー線照射前の第1転写層と活性エネルギー線照射後の第1転写に対して、赤外線分光光度計による1回反射ATR表面反射法にて測定を行い、波数810cm−1におけるピークP810と波数1726cm−1におけるピークP1726との比P810/P1726の値から、下記式で算出される硬化率が、0.6以下であることを特徴とする硬化皮膜転写フィルム。
    硬化率=硬化率=(活性エネルギー線照射前のP810/P1726−活性エネルギー線照射後のP810/P1726)/活性エネルギー線照射前のP810/P1726
  11. 請求項9又は10において、活性エネルギー線照射により半硬化状態とした第1転写層の波長254nmにおける吸光度が0.1以上、2.0以下であることを特徴とする硬化皮膜転写フィルム。
  12. 請求項9から11の何れかにおいて、第2転写層が、下記(a−1):5〜40重量%と、(a−2):1〜70重量%と、(a−3):1〜94重量%とを共重合して得られる、重量平均分子量が1000以上、1000000以下の共重合体を含有することを特徴とする硬化皮膜転写フィルム。
    (a−1)下記式(1)で表される不飽和単量体
    CH=C(R)COOR (1)
    (式(1)において、Rは水素原子、メチル基又はエチル基を表し、Rは炭素数8以上、30以下の分岐を有していてもよいアルキル基を表す。)
    (a−2)紫外線吸収性基を有する不飽和単量体
    (a−3)(a−1)及び/又は(a−2)の不飽和単量体と共重合可能な不飽和単量体
  13. 請求項1から8の何れかの積層成形体の製造方法により製造された積層成形体。
  14. 請求項13において、該積層成形体の30%以上の領域が、全光線透過率10%以上、Haze15%未満の透明性を有することを特徴とする積層成形体。
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