JP5488064B2 - 積層成形体の製造方法及び硬化皮膜転写フィルム - Google Patents
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本発明はまた、この積層成形体の製造方法に用いられる硬化皮膜転写フィルムに関する。
[1] 半硬化状態の硬化皮膜形成用転写層に、加熱又は活性エネルギー線照射を行う工程で、十分に硬化していない転写層に埃が付着したり傷が付いたりしやすく、不良品率が高い。
[2] 射出成形後、成形体を金型から取り出した後、加熱又は活性エネルギー線照射による追硬化のための工程が必要となり、工程数が多く、生産性、コスト面で不利である。
[3] 加熱により半硬化を行ったり、その後の追硬化を行うことは、エネルギー効率が悪く、硬化に時間を要する。
[4] 追硬化を活性エネルギー線照射で行う場合、大面積や複雑形状に対して均一な硬化を行えない場合があり、この場合には、形成される硬化皮膜の耐擦傷性、耐候性が劣るものとなる。
硬化率=(活性エネルギー線照射前のP810/P1726−活性エネルギー線照射後のP810/P1726)/活性エネルギー線照射前のP810/P1726
(A)多官能(メタ)アクリレート:50〜90重量部
(B)脂環構造を有するジオール(b−1)、ラクトン類(b−2)、ポリイソシアネート(b−3)及び水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート:10〜50重量部
(C)硬化反応抑制剤:0.1〜20重量部
(D)重合開始剤:0.1〜10重量部
(a−1)下記式(1)で表される不飽和単量体
CH2=C(R1)COOR2 (1)
(式(1)において、R1は水素原子、メチル基又はエチル基を表し、R2は炭素数8以上、30以下の分岐を有していてもよいアルキル基を表す。)
(a−2)紫外線吸収性基を有する不飽和単量体
(a−3)(a−1)及び/又は(a−2)の不飽和単量体と共重合可能な不飽和単量体
180≦(2×(Tr−Td))+Tm≦300
であることを特徴とする積層成形体の製造方法。
(A)多官能(メタ)アクリレート:50〜90重量部
(B)脂環構造を有するジオール(b−1)、ラクトン類(b−2)、ポリイソシアネート(b−3)及び水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート:10〜50重量部
(C)硬化反応抑制剤:0.1〜20重量部
(D)重合開始剤:0.1〜10重量部
硬化率=硬化率=(活性エネルギー線照射前のP810/P1726−活性エネルギー線照射後のP810/P1726)/活性エネルギー線照射前のP810/P1726
(a−1)下記式(1)で表される不飽和単量体
CH2=C(R1)COOR2 (1)
(式(1)において、R1は水素原子、メチル基又はエチル基を表し、R2は炭素数8以上、30以下の分岐を有していてもよいアルキル基を表す。)
(a−2)紫外線吸収性基を有する不飽和単量体
(a−3)(a−1)及び/又は(a−2)の不飽和単量体と共重合可能な不飽和単量体
本発明の積層成形体は、テレビ、液晶モニター、携帯電話、ガラス窓、又はそれらの類似部品のガラス代替品として、或いは、自動車等の車両のパノラマルーフ、サンルーフ、リアウインド、フロントサイドウインド、サイドドア、バックドア、スライドドア、フード、ルーフ又はそれらの類似部品の窓材として、工業的に有用である。
本発明において、射出成形する熱可塑性樹脂に特に制限は無く、通常、広く一般に用いられている熱可塑性樹脂を用いることができる。
具体的には、次のようなものが挙げられる。
本発明の硬化皮膜転写フィルムは、基材フィルムと、この基材フィルム上に形成された、硬化皮膜を形成するための活性エネルギー線硬化性組成物よりなる第1転写層と、形成される硬化皮膜と射出成形体との接着層を形成するための第2転写層とを少なくとも有し、この第1転写層と第2転写層との間には、必要に応じてバインダー層、加飾層、その他の機能層のための転写層が形成されていてもよい。
基材フィルムとしては、熱可塑性樹脂の射出成形時の温度に対する耐熱性を有し、かつ、この上に形成される第1転写層が完全硬化した後、容易に剥離し得る離型性を有するものであればよく、特に制限はないが、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂などの樹脂フィルム、アルミニウム箔、銅箔などの金属箔、グラシン紙、コート紙、セロハンなどのセルロース系シート、或いはこれらのフィルムないしシートの積層体などを用いることができる。
基材フィルムの厚さが薄過ぎると転写層形成時や硬化皮膜転写フィルムとしての取り扱い時に機械的強度が不足してフィルムが破断するおそれがあり、厚過ぎると、射出成形用金型への配材が困難となったり、成形時に金型形状に追随し難く転写性が低下する場合がある。
第1転写層を形成する活性エネルギー線硬化性組成物の組成は特に制限はないが、活性エネルギー線照射による半硬化と、その後の射出成形時の射出充填樹脂の熱による追硬化を良好に行うために、下記(A)、(B)、(C)及び(D)成分を少なくとも含有し、更に必要に応じて以下の(E)〜(G)成分を含有することが好ましい。
(A)多官能(メタ)アクリレート
(B)脂環構造を有するジオール(b−1)、ラクトン類(b−2)、ポリイソシアネート(b−3)及び水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート
(C)硬化反応抑制剤
(D)重合開始剤
(E)ヒンダードアミン系光安定剤
(F)コロイド状シリカ
(G)溶剤
コーティング剤2としての活性エネルギー線硬化性組成物に使用される、(A)多官能(メタ)アクリレートとしては例えば、次のようなものが挙げられる。
上記3官能以上の(メタ)アクリレートとγ−メルカプトプロピルトリメトキシシランの付加物とコロイダルシリカ及び/又はシリケート加水分解縮合物;
グリセリンジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等の水酸基含有アクリレートとイソシアネートプロピルトリエトキシシランの付加物とコロイダルシリカ及び/又はシリケート加水分解縮合物;
脂環構造を有するジオール(b−1)、ラクトン類(b−2)、ポリイソシアネート(b−3)及び水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られる(B)ウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、下記の原料を使用して合成されたものを使用することが出来る。
(C)硬化反応抑制剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、シアノアクリレート系の紫外線吸収剤が挙げられる。
(C)硬化反応抑制剤が上記上限よりも多いと、後述の第1転写層の半硬化を十分に行えず、指触タック性がでるおそれがあり、上記下限よりも少ないと、活性エネルギー線照射で硬化が進みすぎ、良好な半硬化状態とすることが難しくなる。
(D)重合開始剤としては例えば、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾインとそのアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノンなどのアセトフェノン類;2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノンなどのアントラキノン類;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなどのケタール類、ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類又はキサントン類、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ1−1(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1等のαアミノケトン類、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニルチタニウム、η5−シクロペンタジエニル−η6−クメニルアイアン(1+)−ヘキサフルオロフォスフェイト(1−)等の光重合開始剤を挙げることができる。
これらの重合開始剤は単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(E)ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ヘキサノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−オクタノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアオイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、コハク酸−ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン)、セバシン酸−ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン)、セバシン酸−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジン)、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]デカン−2,4−ジオン、N−メチル−3−ドデシル−1−(−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)ピロリジン−2,5−ジオン、N−アセチル−3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)、トリメシン酸−トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)等が挙げられる。これらの光安定剤は単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(F)コロイド状シリカとしては、例えば、水、メタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、エチレングリコール、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジメチルアセトアミド、キシレン及びこれらの混合溶剤を分散媒とし、平均粒子径が1〜200nmのシリカが好ましい、更に好ましくは平均粒子径5〜50nmのシリカである。
第1転写層を形成する活性エネルギー線硬化性組成物には、組成物の取り扱い上の点から溶剤を含有することができる。この溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−ブトキシエチルアセテート、3−メトキシプロピルアセタート等のエーテルエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類;等が挙げられる。これらを溶剤は単独又は2種以上を組み合わせ用いることができる。
上述のような活性エネルギー線硬化性組成物を用いて第1転写層を形成する方法として特に限定されず、常法に従って、この活性エネルギー線硬化性組成物を基材フィルム上に塗工し、形成された塗膜に活性エネルギー線を照射して半硬化状態とすればよい。
その塗工方法としては例えば、ディッピング法、フローコート法、スプレー法、スピンコート法、グラビアコート法、ロールコート法、ブレードコート法、エアーナイフコート法、オフセット法、バーコート法等のいずれの方法によっても塗布することもできる。また、印刷等により画像様に塗工することもできる。
本発明においては、第1転写層を形成する活性エネルギー線硬化性組成物を基材フィルムに塗工した後、活性エネルギー線照射により、この第1転写層を半硬化状態とする。
硬化率=(活性エネルギー線照射前のP810/P1726−活性エネルギー線照射後のP810/P1726)/活性エネルギー線照射前のP810/P1726
第1転写で形成される硬化皮膜と射出成形体との接着層として機能する第2転写の構成材料としては特に制限はないが、(メタ)アクリロイル基を有する化合物群から選ばれる少なくとも1種の化合物を重合してなるアクリル樹脂を含有することが好ましい。従って、第2転写層はこのようなアクリル樹脂を含む組成物により形成することが好ましい。
CH2=C(R1)COOR2 (1)
(式(1)において、R1は水素原子、メチル基又はエチル基を表し、R2は炭素数8以上、30以下の分岐を有していてもよいアルキル基を表す。)
(a−2)紫外線吸収性基を有する不飽和単量体(以下「不飽和単量体(a−2)」と称す場合がある。)
(a−3)(a−1)及び/又は(a−2)の不飽和単量体と共重合可能な不飽和単量体(以下「不飽和単量体(a−3)」と称す場合がある。)
光安定剤としては、例えばビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)カーボネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)サクシネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−オクタノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ジフェニルメタン−p,p’−ジカーバメート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ベンゼン−1,3−ジスルホネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)フェニルホスファイト等のヒンダードアミン類、ニッケルビス(オクチルフェニルサルファイド、ニッケルコンプレクス−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルリン酸モノエチラート、ニッケルジブチルジチオカーバメート等のニッケル錯体が挙げられる。これらの剤は単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
シランカップリング剤としては、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチル〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕アンモニウムクロライド、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられ、また上記シランカップリング剤の部分加水分解縮合物も使用できる。かかる剤を添加することにより、熱可塑性樹脂射出成形体と第2転写層並びに第2転写層とこの上の第1転写層(硬化皮膜)又は必要に応じて設けられる後述のバインダー層等の中間転写層との密着力が長期にわたり持続される。これらの剤は単独で使用しても2種以上を併用しても良い。
塗布は1回の工程で行なっても、2回以上に分けて行なってもよいが、通常は、1回で行なう方が経済的に有利であり、好ましい。
本発明の硬化皮膜転写フィルムにおいては、第1転写層と第2転写層との接着性を向上するため、その間にバインダー層を設けてもよい。バインダー層の形成材料は、他の転写層の材質に合わせて選定するのが好ましく、例えば、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ブチラール系樹脂、ゼラチン、セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、ウレタン系樹脂等の樹脂から適切なものが選択され、これらの樹脂は、必要に応じて溶剤に溶解した組成物としてバインダー層の形成に用いられる。
本発明においては、上述のような硬化皮膜転写フィルムと熱可塑性樹脂を用い、硬化皮膜転写フィルムを射出成形用金型に配置した後、金型のキャビティ内に熱可塑性樹脂を射出充填して射出成形と転写層の転写を行うと共に、半硬化状態の第1転写層を充填樹脂の熱により追硬化させて完全硬化させる。
なお、図1においては、硬化皮膜転写フィルム2は、転写層として第1転写層2bと第2転写層2cのみを有するが、前述の如く、この第1転写層2bと第2転写層2cとの間にバインダー層等の他の機能層が形成されていてもよい。
まず、図1(a)に示す如く、金型1を開いた状態で硬化皮膜転写フィルム2を、その基材フィルム2a側が金型(図1(a)では可動型1B)側の型面に接する方向となるように配置する。
次に、型締めした後、図1(b)に示す如く、射出装置4から、ランナー5を経て熱可塑性樹脂3を金型1のキャビティ内に射出充填する。
なお、ここで射出充填時された熱可塑性樹脂の硬化皮膜転写フィルムに接している側の表面温度は、金型キャビティ内に配設された温度センサーにより測定することができる。この際、温度センサーは直接、溶融樹脂に接触せずとも、硬化被覆転写フィルム厚みが、温度測定に影響のない薄さであるので、当該フィルムを介して測定すればよい。この、表面温度が第1転写層の活性エネルギー線硬化性組成物の熱硬化開始温度Td以上の温度に1秒間以上保持されたことは、計測した温度の推移を時系列的に確認することにより求めることができる。
従来において、加熱溶融された熱可塑性樹脂が射出充填されても、熱可塑性樹脂は、金型内で瞬時に冷却されてしまうため、このように、熱可塑性樹脂の硬化皮膜転写フィルムと接する側の表面温度が第1転写層の活性エネルギー線硬化性組成物の熱硬化開始温度以上の温度で1秒以上保持させるためには、熱可塑性樹脂の樹脂温度や金型温度を調整することが必要である。
好ましくは、180≦(2×(Tr−Td))+Tm≦300、
より好ましくは、180≦(2×(Tr−Td))+Tm≦250、
特に好ましくは、200≦(2×(Tr−Td))+Tm≦250
とする。
逆に、上記(1)の保持時間が長過ぎたり、(2)のTr−Tdが大き過ぎたり、上記(3)の(2×(Tr−Td))+Tmが大き過ぎる場合には、硬化皮膜転写フィルム2が熱により劣化してシワが発生したり、溶けてしまう場合がある。
なお、第1転写層を形成する活性エネルギー線硬化性組成物の熱硬化開始温度Tdは、前述の好適な活性エネルギー線硬化性組成物配合において、通常150〜250℃程度である。
熱可塑性樹脂の樹脂温度:選択された成形材料の射出成形に適した樹脂温度であればよく、例えばポリカーボネート樹脂であれば、260〜320℃である。
金型温度:30〜130℃程度
樹脂充填率:10〜250cm3/sec
保圧力:樹脂充填圧の25〜60%を2〜30秒
冷却時間:5〜30秒
上記射出成形と共に転写と追硬化を行った後は、図1(c)のように、型開きをして積層成形体6を取り出す。この積層成形体6は、硬化皮膜転写フィルム2の第1転写層2b及び第2転写層2cが、射出成形体の表面に転写される共に、第1転写層2bが追硬化により完全硬化してなる硬化皮膜が、第2転写層の接着層により密着性良く形成されたものである。
このようにして製造される本発明の積層成形体の形態についは特に制限はなく、板状、シート状、フィルム状、各種形状の成形体等いずれの形態であっても構わない。また、その硬化皮膜形成面は平面状であっても部分的に又は全体的に曲面状のものであっても良い。
積層成形体の全光線透過率は好ましくは15%以上、より好ましくは20%以上である。また、Hazeは好ましくは4%以下、より好ましくは2%以下である。
積層成形体の全光線透過率は大きいほど好ましいが、通常その上限は99%である。
また、積層成形体のHazeは小さいほど好ましいが、通常のその下限は0.1%である。
温度計、攪拌機及び還流冷却管を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル200g、トルエン100g、メチルメタクリレート150g、ステアリルメタクリレート40g、(2,[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール(大塚化学社製RUVA93)10g、及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)2gを加え、65℃で3時間反応させ、更に2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1gを加えて3時間反応させて、不揮発分(樹脂含有量)40重量%、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量180000の共重合体を含むアクリル樹脂1を得た。
温度計、攪拌機及び還流冷却管を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル200g、メチルイソブチルケトン100g、メチルメタクリレート148g、ステアリルメタクリレート40g、(2,[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール(大塚化学社製RUVA93)10g、2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート2g、及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)2gを加え、65℃で3時間反応させ、更に2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1gを加えて3時間反応させて、不揮発分(樹脂含有量)40重量%、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量150000の共重合体を含むアクリル樹脂2を得た。
温度計、攪拌機及び還流冷却管を備えたフラスコに、トリシクロデカンジメタノール39.3g、ε−カプロラクトン46.6g、及びテトラオクチルスズ0.1gを加え、窒素気流下180℃にて15時間加熱撹拌した後、イソホロンジイソシアネート88.9g、2−ヒドロキシエチルアクリレート46.5g、フェノキシジエチレングリコールアクリレート55.3g、ジブチルスズラウレート0.2g及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.1gを加えて空気気流下80℃にて5時間加熱撹拌し、ウレタンアクリレートを得た。
表1に示す処方で各材料を混合して、各転写層形成用コーティング剤を調製した。
表1に記載される各材料の詳細は次の通りである。
アクリル樹脂2 :製造例2で製造されたアクリル樹脂2
バインダー樹脂 :ユニオンカーバイド社製 塩化ビニル/酢酸ビニル
/ヒドロキシル変性アクリル樹脂(商品名:VAGF)
多官能アクリレート1:日本化薬社製 ジペンタリスリトールヘキサアクリレート
(商品名:カヤラッドDPHA)
多官能アクリレート2:大阪有機化学社製 ペンタエリスリトールトリアクリレート
(商品名:ビスコート300)
多官能アクリレート3:東亞合成社製 イソシアヌル酸EO変性アクリレート
(商品名:アロニックスM313)
ウレタンアクリレート:製造例3で製造されたウレタンアクリレート
硬化反応抑制剤1:チバスペシャルティーケミカルズ社製トリアジン系紫外線吸収剤
(商品名:TINUVIN400)
硬化反応抑制剤2:チバスペシャルティーケミカルズ社製ベンゾトリアゾール系紫外線
吸収剤(商品名:TINUVIN213)
HALS1 :チバスペシャルティーケミカルズ社製ヒンダードアミン系光安定剤
(商品名:TINUVIN123)
HALS2 :三共社製ヒンダードアミン系光安定剤(商品名:サノールLS765)
PGM :プロピレングリコールモノメチルエーテル
光重合開始剤1:チバスペシャルティーケミカルズ社製
(商品名:イルガキュア184)
厚さ38μmのポリエステル樹脂フィルムを基材フィルムとして用い基体シート上に、
メラミン樹脂系離型剤をグラビアコート法にて塗布し、厚さ1μmの離型層を形成した後、第1転写層形成用のコーティング剤(コーティング剤T1,T2又はT3)をバーコーターを用いて塗布し、80℃で2分間加熱乾燥した。次いで、この塗膜に120W/cm2の高圧水銀灯を用いて表2,3に示す所定量の紫外線を照射した。次いで、第2転写層形成用のコーティング剤(コーティング剤P1又はP2)をバーコーターを用いて塗布し、120℃で5分間加熱乾燥して硬化皮膜転写フィルムを製造した(実施例1〜3,7〜11、比較例1〜3)。
第1転写層:6μm
バインダー層:5μm
第2転写層:7μm
射出成形には次の2種類の熱可塑性樹脂を用いた。
PC:三菱エンジニアリングプラスチックス社製 芳香族ポリカーボネート樹脂ペレット「ユーピロン(登録商標)S−3000UR」(この樹脂ペレットは射出成形前に120℃で5時間熱風乾燥した。)
PMMA:三菱レイヨン社製、「商品名 アクリペット VH」(この樹脂ペレットは射出成形前に100℃で5時間熱風乾燥した。)
<形状A(平板)の射出成形>
表2,3に示す成形樹脂と以下の射出成形機を用い、金型内に硬化皮膜転写フィルムを配置して以下の成形条件で150mm×100mm×厚さ3mmの試験片を製造した。ゲートはフィルムゲート(150mm幅、2mm厚)を用いた。金型キャビティ内には、ゲート先端から溶融樹脂の流れ方向10mmのキャビティ面(150mm×100mmの面)に温度センサーを設置してあり、当該センサーのある面に硬化被膜転写フィルムを配置した。そして当該センサーにより硬化被膜転写フィルム越しに充填樹脂の温度状態を計測した。
射出成形機:日本製鋼所製「J150EP−2M」(型締め力150t)
成形条件:成形時樹脂温度:表2,3に記載
金型温度:表2,3に記載
充填時間:1.8秒
Td以上の保持時間:表2,3に記載
保圧:射出時のピーク圧力の50%を15秒
冷却時間:20秒
表2,3に示す成形樹脂と以下の射出成形機を用い、金型内に硬化皮膜転写フィルムを配置して以下の成形条件で図2に示す形状の100mm×100mm×3mm厚×10mm絞りHの試験片を製造した。ゲートはサイドゲート(10mm幅、2mm厚)を用いた。金型キャビティ内には、ゲート先端から溶融樹脂の流れ方向10mmのキャビティ面(150mm×100mmの面)に温度センサーを設置してあり、当該センサーのある面に硬化被膜転写フィルムを配置した。そして当該センサーにより硬化被膜転写フィルム越しに充填樹脂の温度状態を計測した。
射出成形機:日本製鋼所製「J150EP−2M」(型締め力150t)
成形条件:成形時樹脂温度:表2,3に記載
金型温度:表2,3に記載
充填時間:1.2秒
Td以上の保持時間:表2,3に記載
保圧:射出時のピーク圧力の50%を15秒
冷却時間:20秒
表2,3に示す条件で得られた積層成形体について、以下の評価を行って結果を表2,3に示した。
なお、積層成形体についての評価は、成形性の評価以外は、形状A(平板)の試験片について行った。
硬化皮膜転写フィルムの第1転写層形成時と同様の条件で、石英板の上に硬化皮膜転写フィルムの第1転写層と同様の膜厚となるように第1転写層形成用コーティング剤を塗布、硬化したサンプルを作成し、このサンプルについて紫外可視分光光度計(日本分光社製V570)を用いて、波長254nmにおける吸光度を測定した。
上記の吸光度測定サンプルについて、赤外線分光光度計(サーモ社製Magna550)を用いて1回反射ATR表面反射法にて測定を行い、波数810cm−1におけるピークP810と波数1726cm−1におけるピークP1726との比P810/P1726の値から、下記式で算出した。
硬化率=(活性エネルギー線照射前のP810/P1726−活性エネルギー線照射後のP810/P1726)/活性エネルギー線照射前のP810/P1726
硬化皮膜転写フィルムの製造時に、基材フィルムに第1転写層を塗布、硬化させた後に、指触により塗膜表面の状態を確認し、以下の基準で評価した。
○:膜の成分が指に付着しない。
×:膜の成分が指に付着する。
各々の積層成形体の試験片を目視観察し、以下の基準で評価した。
○:硬化皮膜の剥離やクラックの発生などの欠陥が全くなく、良好である。
×:硬化皮膜にシワ、剥離クラック等の欠陥があり、実用に耐えない。
積層成形体の試験片について、JIS K−7136に従って、ヘイズ値(H%)を求めた。
JIS K5600に準拠し、積層成形体の試験片の硬化皮膜の形成面に、2mm間隔にて100個のます目をつくり、セロハンテープ(ニチバン製24mm)を圧着させて上方に剥がし、以下の基準で評価した。
○:100個のます目のいずれも硬化皮膜の剥離が生じない。
×:硬化皮膜の剥離がある。
積層成形体の試験片について、JIS K7204に準拠し、摩耗輪CS−10F、荷重500g、回転数100サイクルの条件にて、テーバー摩耗試験を行い、試験前後のヘイズ値の差ΔH(%)を測定した。この値が小さい程、耐擦傷性に優れる。
積層成形体の試験片の基材フィルムが剥れた後の硬化皮膜面に、紫外線照射装置にて120W/cm2の高圧水銀灯を用いて3000mJ/cm2の紫外線を照射した後、JIS K7204に準拠し、摩耗輪CS−10F、荷重500g、回転数100サイクルの条件にて、テーバー摩耗試験を行い、試験前後のヘイズ値の差ΔH(%)を測定した。
積層成形体の試験片の硬化皮膜表面について目視にて観察し、以下の基準で評価した。
○:埃が付着しない。
×:埃が付着する。
積層成形体の試験片について、JIS K−7361−1に従って全光線透過率を、そしてJIS K−7136に従って、ヘイズ値(%)を求めた。
積層成形体の試験片を50℃、95%Rhの条件下に2週間静置した後、以下の(1)と(2)の二つの方法により評価し、これら二つの評価結果から、以下の基準により評価した。
(1) 目視により観察し、硬化皮膜の剥離の有無とクラック等の欠陥発生の有無を確認した。
(2) JIS D0202−1988に準拠した碁盤目テープ剥離評価を実施した。
即ち、硬化皮膜に10×10マス(計100マス)の切り込みを入れ、この上にセロハンテープ(ニチバン社製「CT24」)を指の腹で密着させた後、テープを剥離し、100マスにおける剥離の有無を目視で確認した。
○:(1)、(2)ともに剥離や欠陥がない。
△:(1)で剥離、クラック等が観察されたが、(2)では剥離は観察されない。
×:(1)で剥離、クラック等は観察されないが、(2)で剥離がある。
××:(1)、(2)ともに剥離、クラックなどの不具合が観察される。
キセノンアーク式耐候促進評価試験機により、積層成形体の試験片に対して、ブラックパネル温度70℃、120分サイクル中、18分間水噴霧、積算紫外線照射量500mJ/m2の条件で耐候促進試験を行い、試験後、上記耐湿熱密着性の評価におけると同様に(1)と(2)の二つの方法により同様の評価基準で評価を行った。
硬化皮膜転写フィルムを用いないこと以外は上記と同様にしてPCを用いて形状A(平板)の射出成形を行い、得られた射出成形体の表面にコーティング剤P1をバーコーターを用いて塗布し、120℃で5分間加熱乾燥した後、コーティング剤T1をバーコーターを用いて塗布し、80℃で2分間加熱乾燥した後、120W/cm2の高圧水銀灯を用いて表2に示す量の紫外線を照射して完全硬化させることにより硬化皮膜を形成した。
これらの実施例では、耐擦傷性と追加UV照射耐擦傷性とでほぼ同等の結果が得られており、射出成形時の金型内の追硬化で、第1転写層が完全硬化されていることが分かる。
これに対して、実施例11は、硬化皮膜転写フィルム製造時の第1転写層へのUV照射量が比較的多く、第1転写層の半硬化状態の硬化率が、他の実施例に比べて大きい例であるが、問題なく、耐擦傷性、耐候性に優れた積層成形体が得られた。
これは、本発明のように、活性エネルギー線照射により半硬化状態とした第1転写層を金型内の充填樹脂の熱による追硬化で完全硬化させると、第1転写層の全体にわたって均一に熱が付与されて十分な硬化を行えるのに対して、硬化をすべて活性エネルギー線で行う場合には、このような均一かつ十分な硬化を行えず、形成される硬化皮膜の耐擦傷性が若干劣るものとなることによるものと推定される。
1A 固定型
1B 可動型
2 硬化皮膜転写フィルム
2a 基材フィルム
2b 第1転写層
2c 第2転写層
3 熱可塑性樹脂
4 射出装置
5 ランナー
6 積層成形体
10 皿型試験片
Claims (14)
- 硬化皮膜転写フィルムを配置した射出成形用金型のキャビティに、熱可塑性樹脂を射出充填して該熱可塑性樹脂を射出成形して、表面に硬化皮膜が形成された積層成形体を製造する方法において、
該硬化皮膜転写フィルムは、基材フィルム上に、該硬化皮膜を形成するための活性エネルギー線硬化性組成物により形成された第1転写層と、成形体に接して硬化皮膜と成形体との接着層を形成するための第2転写層とを含む少なくとも2層の転写層を有し、
活性エネルギー線照射により半硬化状態とした第1転写層の上に、第2転写層を含む他の転写層を形成して該硬化皮膜転写フィルムを得る工程と、
該硬化皮膜転写フィルムを、その基材フィルムが金型と接する方向となるように金型内に配設する工程と、
該キャビティに熱可塑性樹脂を射出充填するとともに、充填樹脂の熱量により該第1転写層の硬化反応を行う工程と
を有することを特徴とする積層成形体の製造方法。 - 請求項1において、活性エネルギー線照射により半硬化状態とした第1転写層が、指触により該第1転写層形成材料が指に付着しない指触タック性を有し、かつ、活性エネルギー線照射前の第1転写層と活性エネルギー線照射後の第1転写に対して、赤外線分光光度計による1回反射ATR表面反射法にて測定を行い、波数810cm−1におけるピークP810と波数1726cm−1におけるピークP1726との比P810/P1726の値から、下記式で算出される硬化率が、0.6以下であることを特徴とする積層成形体の製造方法。
硬化率=(活性エネルギー線照射前のP810/P1726−活性エネルギー線照射後のP810/P1726)/活性エネルギー線照射前のP810/P1726 - 請求項1又は2において、活性エネルギー線照射により半硬化状態とした第1転写層の波長254nmにおける吸光度が0.1以上、2.0以下であることを特徴とする積層成形体の製造方法。
- 請求項1から3の何れかにおいて、第1転写層を形成する活性エネルギー線硬化性組成物が、下記(A)、(B)、(C)及び(D)を含む(ただし、(A)と(B)の合計で100重量部とする。)ことを特徴とする積層成形体の製造方法。
(A)多官能(メタ)アクリレート:50〜90重量部
(B)脂環構造を有するジオール(b−1)、ラクトン類(b−2)、ポリイソシアネート(b−3)及び水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート:10〜50重量部
(C)硬化反応抑制剤:0.1〜20重量部
(D)重合開始剤:0.1〜10重量部 - 請求項1から4の何れかにおいて、第2転写層が、下記(a−1):5〜40重量%と、(a−2):1〜70重量%と、(a−3):1〜94重量%とを共重合して得られる、重量平均分子量が1000以上、1000000以下の共重合体を含有することを特徴とする積層成形体の製造方法。
(a−1)下記式(1)で表される不飽和単量体
CH2=C(R1)COOR2 (1)
(式(1)において、R1は水素原子、メチル基又はエチル基を表し、R2は炭素数8以上、30以下の分岐を有していてもよいアルキル基を表す。)
(a−2)紫外線吸収性基を有する不飽和単量体
(a−3)(a−1)及び/又は(a−2)の不飽和単量体と共重合可能な不飽和単量体 - 請求項1から5の何れかにおいて、射出充填された熱可塑性樹脂の硬化皮膜転写フィルムに接している側の表面温度が、第1転写層を形成する活性エネルギー線硬化性組成物の熱硬化開始温度以上の温度で1秒間以上保持されることを特徴とする積層成形体の製造方法。
- 請求項1から6の何れかにおいて、第1転写層を形成する活性エネルギー線硬化性組成物の熱硬化開始温度をTd、射出充填される熱可塑性樹脂の樹脂温度をTrとした場合、その温度差Tr−Tdが50℃以上、135℃以下であることを特徴とする積層成形体の製造方法。
- 請求項1から7の何れかにおいて、第1転写層を形成する活性エネルギー線硬化性組成物の熱硬化開始温度をTd、射出充填される熱可塑性樹脂の樹脂温度をTr、射出成形用金型の金型温度をTmとした場合、
180≦(2×(Tr−Td))+Tm≦300
であることを特徴とする積層成形体の製造方法。 - 成形体の表面に硬化皮膜を転写形成するための硬化皮膜転写フィルムであって、基材フィルムの上に、硬化皮膜を形成するための活性エネルギー線硬化性組成物により形成された第1転写層と、成形体に接して硬化皮膜と成形体との接着層を形成するための第2転写とを含む少なくとも2層の転写層を有する硬化皮膜転写フィルムにおいて、
該第1転写層が、活性エネルギー線照射により半硬化状態とされており、該第1転写層を形成する活性エネルギー線硬化性組成物が、下記(A)、(B)、(C)及び(D)を含む(ただし、(A)と(B)の合計で100重量部とする。)ことを特徴とする硬化皮膜転写フィルム。
(A)多官能(メタ)アクリレート:50〜90重量部
(B)脂環構造を有するジオール(b−1)、ラクトン類(b−2)、ポリイソシアネート(b−3)及び水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート:10〜50重量部
(C)硬化反応抑制剤:0.1〜20重量部
(D)重合開始剤:0.1〜10重量部 - 請求項9において、活性エネルギー線照射により半硬化状態とした第1転写層が、指触により該第1転写層形成材料が指に付着しない指触タック性を有し、かつ、活性エネルギー線照射前の第1転写層と活性エネルギー線照射後の第1転写に対して、赤外線分光光度計による1回反射ATR表面反射法にて測定を行い、波数810cm−1におけるピークP810と波数1726cm−1におけるピークP1726との比P810/P1726の値から、下記式で算出される硬化率が、0.6以下であることを特徴とする硬化皮膜転写フィルム。
硬化率=硬化率=(活性エネルギー線照射前のP810/P1726−活性エネルギー線照射後のP810/P1726)/活性エネルギー線照射前のP810/P1726 - 請求項9又は10において、活性エネルギー線照射により半硬化状態とした第1転写層の波長254nmにおける吸光度が0.1以上、2.0以下であることを特徴とする硬化皮膜転写フィルム。
- 請求項9から11の何れかにおいて、第2転写層が、下記(a−1):5〜40重量%と、(a−2):1〜70重量%と、(a−3):1〜94重量%とを共重合して得られる、重量平均分子量が1000以上、1000000以下の共重合体を含有することを特徴とする硬化皮膜転写フィルム。
(a−1)下記式(1)で表される不飽和単量体
CH2=C(R1)COOR2 (1)
(式(1)において、R1は水素原子、メチル基又はエチル基を表し、R2は炭素数8以上、30以下の分岐を有していてもよいアルキル基を表す。)
(a−2)紫外線吸収性基を有する不飽和単量体
(a−3)(a−1)及び/又は(a−2)の不飽和単量体と共重合可能な不飽和単量体 - 請求項1から8の何れかの積層成形体の製造方法により製造された積層成形体。
- 請求項13において、該積層成形体の30%以上の領域が、全光線透過率10%以上、Haze15%未満の透明性を有することを特徴とする積層成形体。
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