JP2004143201A - 活性エネルギー線硬化性組成物、それを用いた硬化皮膜の形成方法およびその硬化物、ならびに反射防止体 - Google Patents

活性エネルギー線硬化性組成物、それを用いた硬化皮膜の形成方法およびその硬化物、ならびに反射防止体 Download PDF

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Kenshirou Shimada
島田 健志郎
Keizo Ogata
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Abstract

【課題】耐擦傷性を有すると共に、プライマー層などの密着付与層を設けることなくプラスチック基材および反射防止膜の両方に優れた密着性を有する硬化皮膜、および耐擦傷性と反射防止性を併せ持った反射防止体の提供。
【解決手段】テトラヒドロフラン環含有(メタ)アクリレート(A)5〜50重量%と、シラノール基と反応可能な官能基およびエチレン性不飽和二重結合を有する化合物をシリカ粒子表面に反応せしめてなる活性エネルギー線硬化性シリカ(B)50〜95重量%とを含む活性エネルギー線硬化性組成物、プラスチック基材上に前記組成物を塗布した後、電子線を照射する硬化皮膜の形成方法、プラスチック基材上に前記組成物を塗布した後、電子線を照射せしめてなる硬化物、および該硬化物上に反射防止膜を設けてなる反射防止体。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワープロ、コンピューター、テレビ、携帯電話等の液晶表示面、プラスチックレンズ、光ディスク等の光学部品として用いられるプラスチック基材表面に耐擦傷性を付与し、更にその表面に反射防止層を設けるために好適な活性エネルギー線硬化性組成物、それを用いた硬化皮膜の形成方法およびその硬化物、ならびに反射防止体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ワープロ、コンピューター、テレビ、携帯電話等の液晶表示面、プラスチックレンズ、光ディスク等には透明なプラスチック基材が多く用いられているが、一般的にプラスチック基材は表面の耐擦傷性が弱いため、無機または有機の熱硬化型または活性エネルギー線硬化型の皮膜を表面に設けて、耐擦傷性を付与することが検討されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、プラスチック基材を通して、液晶,物体,文字,図形等の視覚情報を観察する場合には、プラスチック基材の表面が光で反射して内部の視覚情報が見えにくいという問題がある。このような問題を解決するために、表面に金属酸化物を蒸着法により形成する方法、TiO2やMgF2等の金属化合物を含む高屈折率層、低屈折率層を交互に設ける方法等により反射防止膜が形成されている(例えば、特許文献2参照。)。しかし、反射防止膜は耐擦傷性を伴っていない。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−293145号公報
【特許文献2】
特開平10−039104号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
耐擦傷性と反射防止性を併せ持った反射防止体を作成するためには、プラスチック基材表面に、まず耐擦傷性を有する皮膜を形成し、更にその上に反射防止膜を形成すれば良い。この場合、耐擦傷性を有する皮膜には、プラスチック基材および反射防止膜との優れた密着性を有すことが要求される。
しかし、前述の熱硬化型無機皮膜は耐擦傷性を有し、かつプラスチック基材および反射防止膜との密着性が優れることが知られているが、皮膜形成時に熱によるプラスチック基材の変形、反りなどを発生させるという問題がある。また、活性エネルギー線硬化型皮膜は、有機物からなるプラスチック基材と、無機物からなる反射防止膜の両者に対する密着性を満足することは難しく、プラスチック基材−耐擦傷性硬化皮膜―反射防止膜の間にプライマー層を導入しているのが現状である。
【0005】
そこで、本発明は、耐擦傷性を有すると共に、プライマー層などの密着付与層を設けることなくプラスチック基材および反射防止膜の両方に優れた密着性を有する硬化皮膜を形成できる、活性エネルギー線硬化性組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、プラスチック基材上に、耐擦傷性を有すると共に、プライマー層などの密着付与層を設けることなくプラスチック基材および反射防止膜に優れた密着性を有する硬化皮膜を形成する方法およびその硬化物を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、耐擦傷性と反射防止性を併せ持った反射防止体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、硬化皮膜にプラスチック基材への密着性を付与するテトラヒドロフラン環含有(メタ)アクリレートと、硬化皮膜に耐擦傷性および反射防止膜への密着性を付与する活性エネルギー線硬化性シリカを特定比率で含むことにより、プラスチック基材に優れた耐擦傷性を付与すると共に、プラスチック基材および反射防止膜に優れた密着性を有する硬化皮膜の形成が可能なものである。
【0007】
即ち、本発明は、下記式(1)で示される、テトラヒドロフラン環含有(メタ)アクリレート(A)5〜50重量%と、シラノール基と反応可能な官能基およびエチレン性不飽和二重結合を有する化合物をシリカ粒子表面に反応せしめてなる活性エネルギー線硬化性シリカ(B)50〜95重量%とを含むことを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物である。
【0008】
式(1)
【化2】
Figure 2004143201
(式中 nは0〜5の整数である。R1およびR2は、Hまたは−CHである。)
【0009】
本発明の硬化性組成物は、更にシランカップリング剤(C)を含むことが好ましく、この場合の樹脂組成物中のテトラヒドロフラン環含有(メタ)アクリレート(A)と、活性エネルギー線硬化性シリカ(B)と、シランカップリング剤(C)との組成比は、(A)/(B)/(C)=10〜40/50〜89.9/0.1〜10(重量%)であることが好ましい。
【0010】
また、本発明は、プラスチック基材上に上記組成物を塗布した後、電子線を照射する硬化皮膜の形成方法である
また、本発明は、プラスチック基材上に上記組成物を塗布した後、電子線を照射せしめてなる硬化物である。本発明の硬化物において、プラスチック基材はポリメタクリル酸メチルであることが好ましい。
さらに、本発明は、上記硬化物上に反射防止膜を設けてなる反射防止体である。
【0011】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物について説明する。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、テトラヒドロフラン環含有(メタ)アクリレート(A)5〜50重量%と、活性エネルギー線硬化性シリカ(B)50〜95重量%とを含むものである。
【0012】
テトラヒドロフラン環含有(メタ)アクリレート(A)は、上記式(1)で示される化合物であり、硬化皮膜にプラスチック基材への密着性を付与する。テトラヒドロフラン環含有(メタ)アクリレート(A)として具体的には、テトラヒドロフルフリルアクリレート(大阪有機化学工業社製「ビスコート#150」)およびそのオリゴ体(大阪有機化学工業社製「ビスコート#150D」)等が挙げられる。
【0013】
テトラヒドロフラン環含有(メタ)アクリレート(A)は、組成物中に、組成物の全量を基準として、5〜50重量%、好ましくは10〜30重量%含まれる。テトラヒドロフラン環含有(メタ)アクリレート(A)の含有量が5重量%よりも少ないと、プラスチック基材への密着性が低下し、50重量%よりも多いと硬化皮膜の耐擦傷性が低下する。
【0014】
活性エネルギー線硬化性シリカ(B)は、シラノール基と反応可能な官能基およびエチレン性不飽和二重結合を有する化合物をシリカ粒子表面に反応せしめてなるものである。活性エネルギー線硬化性シリカ(B)は、シリカ粒子表面にエチレン性不飽和二重結合が付加した、活性エネルギー線硬化性を有するものであり、硬化皮膜に耐擦傷性および反射防止膜への密着性を付与する。
シラノール基と反応可能な官能基としては、アルコキシシリル基、水酸基、イソシアネート基、アミノ基等が挙げられる。
【0015】
活性エネルギー線硬化性シリカ(B)の作製方法としては、例えば(メタ)アクリロイル基およびアルコキシシリル基を有する化合物のアルコキシシリル基を加水分解した後、シリカ粒子表面に存在するシラノール基と反応せしめる方法が挙げられる。反応は、原料となる2成分を初めから混合して反応する方法(1段階反応)、アルコキシシリル基の加水分解後に、シリカ粒子を加えて反応する方法(2段階反応)のいずれを用いても構わない。
【0016】
(メタ)アクリロイル基およびアルコキシシリル基を有する化合物として具体的には、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製「KBM503」)、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業社製「KBE503」)等が挙げられる。
また、活性エネルギー線硬化性シリカ(B)は、GE東芝シリコーン社からUVHC8553,8556、8558,1101,1103等として市販されている。
【0017】
活性エネルギー線硬化性シリカ(B)は、組成物中に、組成物の全量を基準として、50〜95重量%、好ましくは70〜90重量%含まれる。活性エネルギー線硬化性シリカ(B)の含有量が50重量%よりも少ないと耐擦傷性が低下すると共に、反射防止膜への密着性が低下する。95重量%よりも多いと硬化皮膜のプラスチック基材への密着性が低下し、硬化時にクラックが発生する等の問題が生じる。
【0018】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物には、反射防止膜への密着性を更に向上させるために、シランカップリング剤(C)を適宜加えることができる。シランカップリング剤(C)としては、例えば、エポキシ基含有シラン類、(メタ)アクリロイルオキシ基含有シラン類、アミノ基含有シラン類、メルカプト基含有シラン類、イソシアネート基含有シラン類等を使用できる。なかでも、反射防止膜への密着性を向上させる効果が高いため、特にエポキシ基含有シランカップリング剤が好ましい。
【0019】
エポキシ基含有シラン類として具体的には、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
(メタ)アクリロイルオキシ基含有シラン類として具体的には、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランなどが挙げられる。
【0020】
アミノ基含有シラン類として具体的には、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−(N−ビニルベンジル−2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アニリノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0021】
メルカプト基含有シラン類として具体的には、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシランなどが挙げられる。
イソシアネート基含有シラン類として具体的には、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシランなどが挙げられる。
【0022】
シランカップリング剤(C)を含む場合のテトラヒドロフラン環含有(メタ)アクリレート(A)と、活性エネルギー線硬化性シリカ(B)と、シランカップリング剤(C)との組成比は、組成物の全量を基準として(A)/(B)/(C)=10〜40/50〜89.9/0.1〜10(重量%)、特に10〜30/65〜85/1〜5(重量%)であることが好ましい。シランカップリング剤(C)の含有量が10重量%よりも多いと、硬化皮膜の耐擦傷性が劣り、0.1重量%よりも少ないと、反射防止膜への密着性向上効果が得られない。
【0023】
本発明の組成物には、組成物の粘度の調整や硬化皮膜の柔軟性、硬化性を付与等の目的で、(A)、(B)、(C)以外のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物(D)を適宜添加しても良い。エチレン性不飽和二重結合を有する他の化合物(D)としては、脂肪族,脂環式または芳香族の(メタ)アクリレートモノマー、アリル型モノマー、ビニル型モノマーや、ウレタン,エポキシ,ポリエステル等のオリゴマーの(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも、硬化皮膜の柔軟性が向上することから、ウレタン(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0024】
脂肪族(メタ)アクリレートのうち、単官能のタイプとしては、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のN−置換アクリルアミド等が挙げられる。
【0025】
脂肪族(メタ)アクリレートのうち、多官能のタイプとしては、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド,プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクレート等のトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0026】
脂環式(メタ)アクリレートのうち、単官能のタイプとしては、シクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられ、多官能のタイプとしては、ジシクロペンタジエニルジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
芳香族(メタ)アクリレートのうち、単官能のタイプとしては、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられ、多官能のタイプとしては、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0027】
ビニル型モノマーとしては、スチレン、α―メチルスチレン、ジビニルベンゼン、N―ビニルピロリドン、酢酸ビニル、N―ビニルホルムアミド、N―ビニルカプロラクタム、アルキルビニルエーテル等が挙げられる。
アリル型モノマーとしては、トリメタリルイソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。
【0028】
ウレタン(メタ)アクリレートとしては、エチレングリコール等のエーテルグリコールをジイソシアネートで鎖延長して、その両末端を(メタ)アクリレート化したポリエーテルウレタン(メタ)アクリレート、エーテルグリコールの代わりにポリエステルグリコールを用いたポリエステルウレタン(メタ)アクリレート、その他、カプロラクトンジオール,ポリカーボネートジオール等を用いたものが挙げられる。
【0029】
エポキシ(メタ)アクリレートとしては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂,ノボラック型エポキシ樹脂,エポキシ化油型等のエポキシ基に(メタ)アクリル酸を反応せしめたものが挙げられる。
ポリエステル(メタ)アクリレートは、多塩基酸と多価アルコールを重縮合せしめて、水酸基またはカルボキシル基を有するポリエステルを得、ついで該ポリエステル中の水酸基と(メタ)アクリル酸とをエステル化し、あるいは該ポリエステル中のカルボキシル基と水酸基含有(メタ)アクリレートとをエステル化することにより得られるものが挙げられる。
上記オリゴマーにおいて構造の基本となる部分,例としてポリウレタン(メタ)アクリレートの場合にはジオール成分の種類は、特に1種類に限定されるわけでは無く、異種のものを混合しても良い。
【0030】
その他の(メタ)アクリレートの例としては、Si原子を含むものとして、ポリシロキサン変性(メタ)アクリレート、F原子を含むものとして、フッ素変性(メタ)アクリレート、ハロゲン原子を含むものとして、テトラブロモビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、テトラクロロビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ヒンダードアミン骨格を有するものとして、ペンタメチルピペリジルメタアクリレート,テトラメチルピペリジルメタアクリレート、トリアジン骨格を有するものとして、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
【0031】
本発明の組成物には、テトラヒドロフラン環含有(メタ)アクリレート(A)、活性エネルギー線硬化性シリカ(B)、シランカップリング剤(C)、および(A)、(B)、(C)以外のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物(D)の他に、シリカ粒子、紫外線吸収剤、光安定剤、さらに酸化防止剤、消泡剤、レベリング剤、防菌防かび剤、摩耗性付与剤、顔料もしくは染料を、硬化皮膜の最終物性に影響しない範囲で加えることができる。
【0032】
シリカ粒子は、表面にエチレン性不飽和二重結合が導入されていない非硬化性のシリカ粒子であり、硬化皮膜の硬化収縮を低減し、プラスチック基材への密着性を付与するために適宜加えることができる。
シリカ粒子の粒径は、通常0.001〜5μmであるが、硬化皮膜の透明性や平滑性の点から、0.005〜0.1μm、特に0.01〜0.05μmであることが好ましい。
シリカ粒子は、組成物中に、組成物の全量を基準として0〜15重量%、特に1〜10重量%の範囲内で含有されることが好ましい。シリカ粒子の含有量が15重量%よりも多いと、硬化皮膜の透明性が悪化する。
【0033】
シリカ粒子としては、周知の方法で製造され市販されている、溶媒にシリカ粒子を分散させたコロイドシリカ、または分散溶媒を含有しないシリカ粒子粉末を用いることができる。
コロイダルシリカの分散媒としては、水や、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノールなどのアルコール類、エチレングリコールなどの多価アルコール類及びその誘導体、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジメチルアセトアミドなどのケトン類、酢酸エチルなどのエステル類、トルエン、キシレンなどの非極性溶媒を用いることができる。
【0034】
本発明の組成物を用いて形成される硬化皮膜は、活性エネルギー硬化性化合物が高度に架橋した塗膜であるため、その内部歪みの大きさから、経時で皮膜にワレ、ヒビが入ってしまう場合があるため、硬化皮膜の安定性向上の目的で、紫外線吸収剤、光安定剤の添加が有効である。
紫外線吸収剤および光安定剤は、任意の量を添加することができるが、コスト面からは、組成物の全量を基準としてそれぞれ0.5〜5重量%の範囲で添加されることが好ましい。また、本発明の組成物を紫外線で硬化する場合には、紫外線吸収剤は、皮膜の硬化性を阻害しない範囲で添加される。
【0035】
紫外線吸収剤としては、サリチル酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤等の有機系紫外線吸収剤、或いは酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウムの微粒子からなる無機系紫外線吸収剤が挙げられるが、硬化皮膜の透明性、コストの点から、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤,トリアジン系紫外線吸収剤が好ましい。
【0036】
光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)、Ni系光安定剤、ベンゾエート系光安定剤が挙げられるが、光による着色が少ないため、ヒンダードアミン系光安定剤が好ましい。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、1−(メチル)−8−(1,2,2,66−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−[[3,5−ビス1,1−ジメチルエチル]−4−ヒドロキシフェニル]メチル−ブチルマロネート、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物等が挙げられる。
【0037】
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤が挙げられる。
レベリング剤、消泡剤としては、シリコーン系、アクリルポリマー系など公知のものが使用できる。
防菌防かび剤としては、銀系無機化合物、バイナジン、プリベントール、チエベンダドール、ベンズイミダゾール、チアゾリルスルファミド等が挙げられる。
摩耗性付与剤としては、アルミナ、微粒子酸化チタン、沈降性硫酸バリウム等の無機化合物が使用できる。
【0038】
顔料としては、公知のものを用いることができるが、なかでも耐光性、耐候性の高いものが好ましい。耐光性、耐候性の高い顔料としては、例えばキナクリドン系、アンスラキノン系、ペリレン系、ペリノン系、ジケトピロロピロール系、イソインドリノン系、縮合アゾ系、ベンズイミダゾロン系、モノアゾ系、不溶性アゾ系、ナフトール系、フラバンスロン系、アンスラピリミジン系、キノフタロン系、ピランスロン系、ピラゾロン系、チオインジゴ系、アンスアンスロン系、ジオキサジン系、フタロシアニン系、インダンスロン系等の有機顔料や、ニッケルジオキシンイエロー、銅アゾメチンイエロー等の金属錯体、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛等の金属酸化物、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の金属塩、カーボンブラック、アルミニウム、雲母等の無機顔料が挙げられる。
染料としては、アゾ系、キノリン系、スチルベン系、チアゾール系、インジゴイド系、アントラキノン系、オキサジン系等が挙げられる。
【0039】
本発明の組成物に紫外線を照射して硬化する場合には、本発明の組成物に光開始剤、および必要に応じて光増感剤、光促進剤を適当量添加する必要がある。光開始剤としては、例えばベンゾインモノメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ベンジルジメチルケタール、2,2−ジェットキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が挙げられる。光増感剤としては、2ークロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等が挙げられる。また、光促進剤としては、例えばp−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、p−ジメチルアミノ安息香酸2−n−プトキシエチル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル等が挙げられる。
【0040】
次に、本発明の硬化皮膜の形成方法について説明する。
硬化皮膜の形成は、プラスチック基材上に、本発明の組成物を公知の方法で塗布した後、活性エネルギー線を照射することにより行うことができる。
硬化皮膜の厚みは特に限定されないが、好ましくは0.01〜20μm、さらに好ましくは0.1〜5μmである。硬化皮膜が0.01μmより薄い場合には、プラスチック基材の耐傷性が低くなり、20μmより厚い場合には、プラスチック基材の変形等が起こりやすくなる。
【0041】
組成物の塗布方式としては、グラビアコート方式、リバースコート方式、ダイコート方式、リップコート方式、コンマコート方式、ブレードコート方式、ロールコート方式、スピンコート方式、ロールコート方式、ナイフコート方式、カーテンコート方式、スロットオリフィス方式、スプレーコート方式等が挙げられる。この場合、数回に分けて塗布しても良いし、1回で塗布しても良く、また異なる方式を複数組み合わせても良い。
【0042】
活性エネルギー線としては、紫外線、電子線等が挙げられるが、電子線を照射して硬化することが好ましい。紫外線による硬化の場合は、経時で開始剤およびその分解物が表面にブリードして、硬化皮膜の物性を低下させる可能性があり、また硬化時に紫外線によるプラスチック基材および硬化皮膜の黄変や熱によるプラスチック基材の変形等の不具合が生じる可能性があるためである。それに対して、電子線硬化の場合、開始剤は含まれず、熱によるプラスチック基材の変形はほとんど見られない。
【0043】
紫外線照射装置としては、高圧水銀灯やメタルハライドランプ等の公知の装置を使用でき、照射エネルギーは100〜2000mJ/cm、特に300〜700mJ/cmが好ましい。
また、電子線照射装置としては、公知の装置を使用することができ、照射線量は10kGy〜200kGyが好ましく、さらに30kGy〜100kGyがより好ましい。電子線の照射線量が10kGy未満の場合は塗膜を完全に硬化できず、200kGyを越えると電子線照射管の寿命が著しく短くなり、経済的に好ましくない。
【0044】
さらに、電子線照射時の加速電圧は、プラスチック基材上に形成される塗膜の厚みおよび密度により設定されるが、好ましくは10kv〜200kv、より好ましくは20kv〜120kv、特に好ましくは20kv〜70kvである。加速電圧が200kvを越えると、電子線が塗膜を通過する割合が多くなり、プラスチック基材の劣化または黄変を引き起こす場合がある。また、10kv未満では、塗膜の硬化に必要な電子線が浸透せず、硬化が不十分になる場合がある。
【0045】
プラスチック基材としては、一般的な熱可塑性樹脂のフィルム状またはシート状の基材が使用できる。熱可塑性樹脂としては、例えばポリプロピレン(以下、PPと略す。),ポリエチレン,エチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、EVAと略す。),ポリイソブチレン,ポリブタジエン等のオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略す。),ポリエチレンナフタレート,ポリブチレンテレフタレート(以下、PBTと略す。)等のポリエステル系樹脂、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂、メタクリルスチレン樹脂,ポリスチレン,アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン,ポリ塩化ビニル,ポリ塩化ビニリデン,ポリビニルアルコール,ポリエチレン−ビニルアルコール等のビニル系樹脂、トリアセチルセルロース,ジアセチルセルロース,アセテートブチレートセルロース等のセルロース樹脂、その他、ポリエステルエラストマー,ポリカーボネート,ポリイミド,ポリフェニレンサルファイド,ポリエーテルエーテルケトン、フッ素樹脂、ポリメチルペンテン、アイオノマー等が挙げられる。
【0046】
なかでも、透明性、機械強度、コストの点からポリメタクリル酸メチル(以下、PMMAと略す。)が好ましい。
プラスチック基材の厚みは、一般的に10μm〜10mmであるが、100μm〜3mmが好ましい。厚みが10μm未満であると、硬化皮膜を設けたプラスチック基材が変形した際、硬化皮膜にクラックが生じたり、硬化収縮によるプラスチック基材の断裂、破壊が生じやすくなる。また、10mmを越えると、プラスチック基材が重くなり、取り扱いにくくなるため生産性が低下する。
また、プラスチック基材には、硬化皮膜との適度な密着性を付与する目的で、コロナ処理、プラズマ処理などの表面処理を施しても良い。
【0047】
上記方法で形成された硬化物は、反射防止膜をその上に設けることにより、反射防止体となる。なお、本発明では反射防止は防眩性等をも意味する。
反射防止膜の形成は、公知の技術、例えば無機酸化物よりなる蒸着膜を多層形成する技術を用いることにより行うことができる。蒸着膜を形成する方法としては、真空蒸着法、真空スパッタ法、イオンプレーティング法、CVD法等が挙げられる。
【0048】
無機酸化物は金属、非金属、亜金属の酸化物であり、具体例としては、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化カルシウム、酸化カドミウム、酸化銀、酸化金、酸化クロム、酸化珪素、酸化コバルト、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、酸化白金、酸化パラジウム、酸化ビスマス、酸化マグネシウム、酸化マンガン、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化バリウム等が挙げられる。
反射防止膜としては、酸化珪素と酸化チタンを交互に積層し、多層化したものが特に好ましい。なお、無機酸化物には、微量の金属、非金属、亜金属単体やそれらの水酸化物、また、可撓性を向上させるために適宜炭素又はフッ素が含まれていてもよい。
【0049】
【実施例】
(実施例1)
厚さ2mmのPMMAシート(三菱レーヨン社製「アクリライトL」)の表面に、下記組成の活性エネルギー線硬化性組成物をスピンコート法にて5g/m塗布し、窒素雰囲気下150kv,50kGyの電子線を照射して硬化させ、硬化皮膜(1)を形成した。ついで、硬化皮膜(1)上に、酸化珪素および酸化チタンをEB(電子)銃を蒸発エネルギー源とする真空蒸着装置を用いて真空蒸着して反射防止膜を設け、反射防止体(I)を得た。
テトラヒドロフルフリルアクリレート          20重量部
活性エネルギー線硬化性シリカ
(GE東芝シリコン社製「UVHC−1101」)    70重量部
ウレタンアクリレート
(ダイセルUCB社製「エベクリル284」)      10重量部
【0050】
(実施例2)
電子線の加速電圧を50kvに、照射線量を80kGyに変えた以外は、実施例1と同様にして硬化皮膜(2)を形成、反射防止体(II)を得た。
【0051】
(実施例3)
厚さ2mmのPMMAシート(三菱レーヨン社製「アクリライトL」)の表面に、下記組成の活性エネルギー線硬化性組成物をスピンコート法にて5g/m塗布し、窒素雰囲気下50kv,80kGyの電子線を照射して硬化させ、硬化皮膜(3)を形成した。ついで、硬化皮膜(3)上に、実施例1と同様にして反射防止膜を設け、反射防止体(III)を得た。
テトラヒドロフルフリルアクリレート          15重量部
活性エネルギー線硬化性シリカ
(GE東芝シリコン社製「UVHC−8558」)    75重量部
ウレタンアクリレート
(ダイセルUCB社製「エベクリル284」)      10重量部
エポキシ基含有シランカップリング剤
(信越化学工業社製「KBM403」)         1.5重量部
【0052】
(実施例4)
厚さ2mmのPMMAシート(三菱レーヨン社製「アクリライトL」)の表面に、下記組成の活性エネルギー線硬化性組成物をスピンコート法にて5g/m塗布し、電気オーブンにて80℃−1min乾燥後、窒素雰囲気下50kv,80kGyの電子線を照射して硬化させ、硬化皮膜(4)を形成した。ついで、硬化皮膜(4)上に、実施例1と同様にして反射防止膜を設け、反射防止体(IV)を得た。
テトラヒドロフルフリルアクリレート            15重量部
活性エネルギー線硬化性シリカ
(GE東芝シリコン社製「UVHC−1101」)      75重量部
ウレタンアクリレート
(ダイセルUCB社製「エベクリル284」)        10重量部
シランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM403」)1.5重量部
コロイダルシリカ(日産化学工業社製「NPCST−30」、
固形分30重量%、平均粒径0.015μm)        20重量部
【0053】
(実施例5)
厚さ3mmのポリカーボネートシート(帝人化成社製「パンライト」)の表面に、下記組成の活性エネルギー線硬化性組成物をスピンコート法にて2g/m塗布し、窒素雰囲気下50kv,80kGyの電子線を照射して硬化させ、硬化皮膜(5)を形成した。ついで、硬化皮膜(5)上に、実施例1と同様にして反射防止膜を設け、反射防止体(V)を得た。
テトラヒドロフルフリルアクリレート           8重量部
活性エネルギー線硬化性シリカ
(GE東芝シリコン社製「UVHC−8558」)    92重量部
【0054】
(実施例6)
厚さ3mmのポリカーボネートシート(帝人化成社製「パンライト」)の表面に、下記組成の活性エネルギー線硬化性組成物をスピンコート法にて2g/m塗布し、窒素雰囲気下50kv,80kGyの電子線を照射して硬化させ、硬化皮膜(6)を形成した。ついで、硬化皮膜(6)上に、実施例1と同様にして反射防止膜を設け、反射防止体(VI)を得た。
テトラヒドロフルフリルアルコールオリゴアクリレート
(大阪有機化学工業社製「ビスコート#150D」)   40重量部
活性エネルギー線硬化性シリカ
(GE東芝シリコン社製「UVHC−1101」)    50重量部
ウレタンアクリレート
(ダイセルUCB社製「エベクリル264」)      10重量部
【0055】
(実施例7)
厚さ500μmのPETフィルムの表面に、下記組成の活性エネルギー線硬化性組成物をスピンコート法にて0.5g/m塗布し、窒素雰囲気下150kv,50kGyの電子線を照射して硬化させ、硬化皮膜(7)を形成した。ついで、硬化皮膜(7)上に、実施例1と同様にして反射防止膜を設け、反射防止体(VII)を得た。
テトラヒドロフルフリルアクリレート          15重量部
活性エネルギー線硬化性シリカ
(GE東芝シリコン社製「UVHC−1101」)    72重量部
ウレタンアクリレート
(ダイセルUCB社製「エベクリル264」)      13重量部
紫外線吸収剤
(チバスペシャリティケミカルズ社製「チヌビン400」) 1重量部
ヒンダードアミン系光安定剤
(チバスペシャリティケミカルズ社製「チヌビン292」) 1重量部
【0056】
(実施例8)
厚さ2mmのPMMAシート(三菱レーヨン社製「アクリライトL」)の表面に、下記組成の活性エネルギー線硬化性組成物をスピンコート法にて5g/m塗布し、600mJ/cmの紫外線を照射して硬化させ、硬化皮膜(8)を形成した。ついで、硬化皮膜(8)上に、実施例1と同様にして反射防止膜を設け、反射防止体(VIII)を得た。
テトラヒドロフルフリルアクリレート          20重量部
活性エネルギー線硬化性シリカ
(GE東芝シリコン社製「UVHC−1101」)    70重量部
ウレタンアクリレート
(ダイセルUCB社製「エベクリル284」)      10重量部
光開始剤(チバスペシャリティケミカルズ社製「イルガキュア651」)1重量部
【0057】
(比較例1)
厚さ2mmのPMMAシート(三菱レーヨン社製「アクリライトL」)の表面に、下記組成の活性エネルギー線硬化性組成物をスピンコート法にて5g/m塗布し、窒素雰囲気下150kv,50kGyの電子線を照射して硬化させ、硬化皮膜(9)を形成した。ついで、硬化皮膜(9)上に、実施例1と同様にして反射防止膜を設け、反射防止体(IX)を得た。
テトラヒドロフルフリルアクリレート           3重量部
活性エネルギー線硬化性シリカ
(GE東芝シリコン社製「UVHC−1101」)    70重量部
ウレタンアクリレート
(ダイセルUCB社製「エベクリル284」)      27重量部
【0058】
(比較例2)
厚さ2mmのPMMAシート(三菱レーヨン社製「アクリライトL」)の表面に、下記組成の活性エネルギー線硬化性組成物をスピンコート法にて5g/m塗布し、窒素雰囲気下150kv,50kGyの電子線を照射して硬化させ、硬化皮膜(10)を形成した。ついで、硬化皮膜(10)上に、実施例1と同様にして反射防止膜を設け、反射防止体(X)を得た。
テトラヒドロフルフリルアクリレート          55重量部
活性エネルギー線硬化性シリカ
(GE東芝シリコン社製「UVHC−1101」)    30重量部
ウレタンアクリレート
(ダイセルUCB社製「エベクリル284」)      15重量部
【0059】
(比較例3)
厚さ2mmのPMMAシート(三菱レーヨン社製「アクリライトL」)の表面に、下記組成の活性エネルギー線硬化性組成物をスピンコート法にて5g/m塗布し、窒素雰囲気下150kv,50kGyの電子線を照射して硬化させ、硬化皮膜(11)を形成あいた。ついで、硬化皮膜(11)上に、実施例1と同様にして反射防止膜を設け、反射防止体(XI)を得た。
テトラヒドロフルフリルアクリレート          15重量部
活性エネルギー線硬化性シリカ
(GE東芝シリコン社製「UVHC−1101」)    45重量部
ウレタンアクリレート
(ダイセルUCB社製「エベクリル284」)      40重量部
【0060】
(比較例4)
厚さ2mmのPMMAシート(三菱レーヨン社製「アクリライトL」)の表面に、下記組成の活性エネルギー線硬化性組成物をスピンコート法にて5g/m塗布し、窒素雰囲気下150kv,50kGyの電子線を照射して硬化させ、硬化皮膜(12)を形成した。ついで、硬化皮膜(12)上に、実施例1と同様にして反射防止膜を設け、反射防止体(XII)を得た。
テトラヒドロフルフリルアクリレート           2重量部
活性エネルギー線硬化性シリカ
(GE東芝シリコン社製「UVHC−1101」)    98重量部
【0061】
硬化皮膜のプラスチック基材および反射防止膜への密着性および反射防止体の耐擦傷性、鉛筆硬度、黄変性を以下の方法で評価した。結果を表1に示す。
密着性 :60℃−100%RH下、1000時間保管後、碁盤目剥離試験をJIS K5400に従って行い、テープ剥離時の硬化皮膜または反射防止膜の残存率を記載した。
耐擦傷性:所定のバーの先端にスチールウール#0000を取り付け、1kg/cmの荷重をかけて、20回数往復摩擦したときの反射防止体表面を、目視で観察し、3段階で評価した。
(評価基準)○ : 全く傷が入らない。
△ : 僅かに傷が入る。
× : 顕著に傷が目立つ。
鉛筆硬度:JIS K5400に従って測定した。
黄変性 :活性エネルギー線硬化性組成物を塗布前のプラスチック基材と、塗布硬化後のプラスチック基材の色差を測定し、その両者のb値の差を△bとした。
【0062】
【表1】
Figure 2004143201
表中、*印付きは基材/硬化皮膜間の密着性が悪く、結果として基材/硬化皮膜間の測定値と同等であった。
【0063】
【発明の効果】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を用いることにより、特にプライマー,接着剤を介することなく、種々のプラスチック基材に優れた耐擦傷性を付与すると共に、簡便に反射防止膜を設けることが可能になった。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を用いて形成される硬化物上に反射防止膜を設けてなる反射防止体は、光学性が要求されるディスプレイ等、種々の用途に耐擦傷性が優れる材料として利用することができる。

Claims (8)

  1. 下記式(1)で示される、テトラヒドロフラン環含有(メタ)アクリレート(A)5〜50重量%と、シラノール基と反応可能な官能基およびエチレン性不飽和二重結合を有する化合物をシリカ粒子表面に反応せしめてなる活性エネルギー線硬化性シリカ(B)50〜95重量%とを含むことを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物。
    式(1)
    Figure 2004143201
    (式中、nは0〜5の整数である。R1およびR2は、Hまたは−CHである。)
  2. 更に、シランカップリング剤(C)を含むことを特徴とする請求項1記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  3. 樹脂組成物中のテトラヒドロフラン環含有(メタ)アクリレート(A)と、活性エネルギー線硬化性シリカ(B)と、シランカップリング剤(C)との組成比が、(A)/(B)/(C)=10〜40/50〜89.9/0.1〜10(重量%)であることを特徴とする請求項2記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  4. プラスチック基材上に、請求項1ないし3いずれか1項に記載の組成物を塗布した後、電子線を照射することを特徴とする硬化皮膜の形成方法。
  5. 電子線の加速電圧が20〜120kVであることを特徴とする請求項4記載の硬化皮膜の形成方法。
  6. プラスチック基材上に、請求項1ないし3いずれか1項に記載の組成物を塗布した後、電子線を照射せしめてなることを特徴とする硬化物。
  7. プラスチック基材がポリメタクリル酸メチルであることを特徴とする請求項6記載の硬化物。
  8. 請求項6または7記載の硬化物上に反射防止膜を設けてなることを特徴とする反射防止体。
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