JP2011020381A - 耐紫外線プラスチック成形体 - Google Patents

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健司 川合
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Abstract

【課題】透明性を有し、層剥離しにくい層を基材上に備えると共に、耐候性に優れた耐紫外線プラスチック成形体の提供。
【解決手段】プラスチック基材11と、該プラスチック基材11上に形成された透明塗膜12と、該透明塗膜12上に形成された透明で、紫外線吸収能を有する金属酸化物層13とを備えた耐紫外線プラスチック成形体10であって、前記透明塗膜12は、塗膜形成成分と、該塗膜形成成分100質量部に対して5〜30質量部の紫外線吸収剤と、0.5〜2.0質量部の光安定剤とを含むプラスチック基材用塗料組成物を前記プラスチック基材11上に塗布して形成され、かつ膜厚が5〜50μmであることを特徴とする耐紫外線プラスチック成形体10。
【選択図】図1

Description

本発明は、耐紫外線プラスチック成形体に関する。
自動車ウィンドウ、ビルや家屋等の建築物の窓、道路隔壁などに用いられる部材には、透明性や耐候性が求められる。これらの部材の材料には、重く、脆くて割れやすいガラスの代替として、プラスチック材料が使用されることがある。プラスチック材料の代表的なものとしては、(メタ)アクリル樹脂や、ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。
しかし、(メタ)アクリル樹脂は、耐候性、耐擦傷性、透明性に優れる材料であるが、ガラスと同様に割れやすいという欠点があった。
一方、ポリカーボネート樹脂は、透明性に優れると共に割れにくいので、プラスチック材料の主流となっているが、耐候性、耐擦傷性に劣るという欠点があった。
そこで、ポリカーボネート樹脂等のプラスチック材料からなる部材の耐候性や耐擦傷性を補う方法が提案されている。
例えば特許文献1には、特にポリカーボネート樹脂成形品の表面被覆に有用な、耐傷付き性、耐候性、付着性に優れた、紫外線吸収能を有する硬化塗膜を形成できる紫外線硬化性被覆用樹脂組成物が開示されている。
また、特許文献2には、基層と、該基層上に形成されたUV吸収性を有する耐候性フィルム層と、プラズマ増強化学蒸着等により耐候性フィルム層上に形成された耐磨耗性層とを備えたプラスチックパネルが開示されている。
さらに、特許文献3には、優れた耐候性とUV吸収特性を示すドープ酸化亜鉛層が、ポリマー基材上に形成された構造体が開示されている。
また、特許文献4には、透明なポリマー基板と、金属酸化物層との間に、接着促進層が設けられた多層構造が開示されている。
特開2000−281935号公報 特表2008−531338号公報 特表2002−539003号公報 特表2002−539004号公報
しかしながら、特許文献1に記載のように、紫外線吸収能を有する塗膜を基材上に設ける場合、紫外線は塗膜中を通過しながら減衰していくので、紫外線による基材の劣化を抑制することはできるものの、紫外線に直接曝される塗膜の表面が劣化しやすかった。また、塗膜は、耐擦傷性を十分に満足するものではなかった。
特許文献2に記載のプラスチックパネルは、耐候性フィルム層上に耐磨耗性層を形成することで耐擦傷性を確保しているが、これも耐候性フィルム層の表面が特に劣化しやすかった。
特許文献3に記載のように、基材上に紫外線吸収能を有する金属酸化物層を設ける場合、十分な膜厚の金属酸化物層を形成することが困難であるため、紫外線吸収能が不十分であり、基材が劣化することがあった。仮に、十分な紫外線吸収能を確保するために金属酸化物層の膜厚を厚くすると、基材から剥離したり、割れたりする傾向にあった。また、基材の膨張や収縮に金属酸化物層が追従できず、これが原因となり基材から剥離したり、割れたりすることもあった。
特許文献4に記載のように、基板と金属酸化物層との間に接着促進層を設ける場合、金属酸化物層が基板から層剥離するのを防止することはできるものの、依然として金属酸化物層では紫外線吸収能が不十分であるため、基材の劣化を十分に抑制するのが困難であった。
このように、プラスチック基材上に塗膜を形成したり、耐候性フィルム層を形成したり、金属酸化物層を形成したりする方法は、必ずしも部材の耐候性を十分に満足するものではなく、耐候性に優れたプラスチック材料からなる部材が求められている。
本発明は上記事情を鑑みてなされたもので、透明性を有し、層剥離しにくい層を基材上に備えると共に、耐候性に優れた耐紫外線プラスチック成形体の提供を目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、基材上に紫外線吸収能を有する塗膜および金属酸化物層を順次設けることで、塗膜により基材の劣化を防止し、金属酸化物層により塗膜表面の劣化を防止して、優れた耐候性を発現することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の耐紫外線プラスチック成形体は、プラスチック基材と、該プラスチック基材上に形成された透明塗膜と、該透明塗膜上に形成された透明で、紫外線吸収能を有する金属酸化物層とを備えた耐紫外線プラスチック成形体であって、前記透明塗膜は、塗膜形成成分と、該塗膜形成成分100質量部に対して5〜30質量部の紫外線吸収剤と、0.5〜2.0質量部の光安定剤とを含むプラスチック基材用塗料組成物を前記プラスチック基材上に塗布して形成され、かつ膜厚が5〜50μmであることを特徴とする。
また、前記金属酸化物層上に、ケイ素有機系化合物ガスのプラズマ化により硬化保護膜が形成されたことが好ましい。
さらに、前記塗膜形成成分は、アクリル樹脂と、該アクリル樹脂と反応可能なイソシアネート化合物とを含有し、かつ前記アクリル樹脂および/またはイソシアネート化合物が環状構造を有することが好ましい。
また、前記塗膜形成成分は、ウレタン(メタ)アクリレートを含む活性エネルギー線硬化性化合物(A)と、イソシアネート基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基よりなる群から選ばれる1種の置換基を有するシランカップリング剤(B)を含有し、かつ、当該塗膜形成成分100質量%中、前記ウレタン(メタ)アクリレートを25〜97質量%、前記シランカップリング剤(B)を3〜20質量%含有することが好ましい。
さらに、前記活性エネルギー線硬化性化合物(A)は、環状構造を有する活性エネルギー線硬化性成分を含み、かつ平均架橋点間分子量が150〜1000であることが好ましい。
本発明によれば、透明性を有し、層剥離しにくい層を基材上に備えると共に、耐候性に優れた耐紫外線プラスチック成形体が得られる。
本発明の耐紫外線プラスチック成形体の一例を示す断面図である。
以下、本発明の耐紫外線プラスチック成形体(以下、単に「成形体」という場合がある。)の一例について、図1を参照しながら説明する。
この例の耐紫外線プラスチック成形体10は、プラスチック基材11と、該プラスチック基材11上に形成された透明塗膜12と、該透明塗膜12上に形成された金属酸化物層13と、該金属酸化物層13上に形成された硬化保護膜14とを備えて構成される。
なお、図1においては、説明の便宜上、寸法比は実際のものと異なったものである。
ここで、本発明において「透明」とは、全光線透過率が50%以上であることを意味し、無色透明であってもよく、有色透明であってもよい。
また、本発明において「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレートとアクリレートの両方を示すものとする。
[プラスチック基材]
プラスチック基材11を構成するプラスチック材料としては特に限定されないが、例えばポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)等が挙げられる。
また、プラスチック基材として透明な基材を用いれば、自動車ウィンドウ、ビルや家屋等の建築物の窓、道路隔壁など、ガラスの代替品として本発明の成形体を好適に用いることができる。
[透明塗膜]
透明塗膜12は、塗膜形成成分と紫外線吸収剤と光安定剤とを含むプラスチック基材用塗料組成物(以下、「塗料組成物」という。)を、プラスチック基材11上に塗布して形成される。
透明塗膜12の膜厚は5〜50μmであり、10〜40μmが好ましい。透明塗膜12の膜厚が5μm以上であれば、プラスチック基材11の劣化を十分に防止できるので、得られる成形体10の耐候性を向上できると共に、透明塗膜12が黄変するのを抑制できる。また、プラスチック基材11上に形成される透明塗膜12の付着性が確保できる。一方、透明塗膜12の膜厚が50μm以下であれば、プラスチック基材11上に形成される透明塗膜12の付着性が確保できる。
本発明の成形体10は、プラスチック基材11上に透明塗膜12が形成されるので、透明塗膜12を形成する前と遜色なく、透明塗膜12を介してプラスチック基材の模様等を確認することができ、デザインの自由度が高い。
さらに、プラスチック基材11として、透明な基材を用いれば、自動車ウィンドウ、ビルや家屋等の建築物の窓、道路隔壁など、ガラスの代替品として本発明の成形体10を好適に用いることができる。
塗料組成物としては、熱硬化型または光硬化型の塗料組成物を用いることができる。熱硬化型の塗料組成物(以下、「塗料組成物(I)」という。)は、熱硬化性の塗膜形成成分(以下、「塗膜形成成分(i)」という。)を含有する。
一方、光硬化型の塗料組成物(以下、「塗料組成物(II)という。」は、光硬化性の塗膜形成成分(以下、「塗膜形成成分(ii)」という。)を含有する。
ここで、各塗料組成物について、詳しく説明する。
<<塗料組成物(I)>>
<塗膜形成成分(i)>
塗膜形成成分(i)は、アクリル樹脂と、該アクリル樹脂と反応可能なイソシアネート化合物とを含有する。
(アクリル樹脂)
アクリル樹脂としては、塗料用に使用される一般的なアクリル樹脂であれば特に制限されないが、中でも水酸基価が10〜220mgKOH/g、さらに好ましくは10〜150mgKOH/gのアクリル樹脂が望ましい。水酸基価が10mgKOH/g未満であると、十分な架橋密度が確保できず、透明塗膜12の耐熱性等に不具合が生じる場合がある。一方、水酸基価が220mgKOH/gを超えると、プラスチック基材11に対する透明塗膜12の付着性が低下する場合がある。
アクリル樹脂の水酸基価はJIS K1557に準拠して測定される値である。
また、アクリル樹脂としては、環状構造を有するアクリル樹脂が好ましい。環状構造を有するアクリル樹脂を用いることで、透明塗膜12上に形成される金属酸化物層13の付着性がより向上する。
環状構造としては特に制限されず、例えば脂環構造や芳香環構造などが挙げられる。
脂環構造のアクリル樹脂は、例えばイソボロニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の脂環構造を有するモノマー(脂環構造モノマー)の単独重合または共重合により得られる。一方、芳香環構造のアクリル樹脂は、例えばスチレン等の芳香環構造を有するモノマー(芳香環構造モノマー)の単独重合または共重合により得られる。
共重合の際には、脂環構造モノマー同士または芳香環構造モノマー同士を共重合させてもよいし、さらにこれらモノマーと共重合可能な他のモノマーを共重合させてもよい。
他のモノマーとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、2−ジシクロペンテノキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、アクリロイルモルホリンなどが挙げられる。
アクリル樹脂の含有量は、塗膜形成成分(i)100質量%中、50〜95質量%が好ましく、60〜90質量%がより好ましい。アクリル樹脂の含有量が50質量%以上であれば、耐熱性を十分に確保できる。一方、アクリル樹脂の含有量が95質量%以下であれば、透明塗膜12上に形成される金属酸化物層13の付着性が十分に確保できる。
なお、アクリル樹脂として芳香環構造モノマーを用いる場合、その含有量は塗膜形成成分(i)100質量%中、15質量%以下であることが望ましい。
(イソシアネート化合物)
イソシアネート化合物としては、上述したアクリル樹脂と反応可能であり、塗料用に使用される一般的なイソシアネート化合物であれば特に制限されないが、中でも環状構造を有するイソシアネート化合物が好ましい。環状構造を有するイソシアネート化合物を用いることで、透明塗膜12上に形成される金属酸化物層13の付着性がより向上する。
環状構造としては特に制限されず、例えば脂環構造や芳香環構造などが挙げられる。
脂環構造のイソシアネート化合物としては、例えば水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネートなどが挙げられる。また、市販品としては、例えば三井化学株式会社製の「タケネート600」;住化バイエルウレタン株式会社製の「デスモジュールW」;日本ポリウレタン工業株式会社製の「コロネートHX」;旭化成ケミカルズ株式会社製の「デュラネートTPA」などが好適である。
一方、芳香環構造を有するイソシアネート化合物としては、例えばトリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネートなどが挙げられる。また、市販品としては、例えば日本ポリウレタン工業株式会社製の「コロネートL」;DIC株式会社製の「バーノックD750」などが好適である。
イソシアネート化合物は、イソシアネート化合物中に含まれるNCO基と、アクリル樹脂中に含まれるOH基のモル比(NCO基/OH基)が0.5〜2.0の範囲となるように塗膜形成成分(i)中に含まれることが好ましく、より好ましくは0.8〜1.5の範囲である。NCO基とOH基のモル比が0.5未満であると、透明塗膜12上に形成される金属酸化物層13の透明性が保持されにくくなる。一方、NCO基とOH基のモル比が2.0を超えると、プラスチック基材11と透明塗膜12との密着性が低下しやすくなる。
なお、イソシアネート化合物として芳香環構造を有するイソシアネート化合物を用いる場合、その含有量は塗膜形成成分(i)100質量%中、15質量%以下であることが望ましい。
(その他)
塗膜形成成分(i)は、塗料組成物の流動性を改質するために熱可塑性樹脂をさらに含んでもよい。熱可塑性樹脂としては、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリメタクリル酸2−エチルヘキシル等のホモポリマーや、これらの共重合体等の(メタ)アクリル樹脂が例示できる。これらの中でも、ポリメタクリル酸メチルが好ましい。
熱可塑性樹脂は、得られる塗料組成物の用途に応じて添加されるものであり、その含有量は塗膜形成成分(i)100質量%中、0〜30質量%が好ましく、0〜20質量%がより好ましい。熱可塑性樹脂を含有しない場合であっても、本発明の効果は十分に発揮されるが、含有量が上記範囲内であれば、形成される透明塗膜12の付着性、耐水性等の諸物性を保持しつつ、さらに塗料組成物(I)の流動性を改質することができる。
<紫外線吸収剤>
紫外線吸収剤としては、塗料用に使用される一般的な紫外線吸収剤であれば特に制限されないが、例えばベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、ヒドロキシフェニルトリアジン(HPT)系、サリシレート系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤や、酸化チタン微粒子、酸化亜鉛微粒子、酸化スズ微粒子などが挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えばチバ・ジャパン株式会社の「TINUVIN P」、「TINUVIN 234」、「TINUVIN 326」、「TINUVIN 328」、「TINUVIN 329」、「TINUVIN 384」、「TINUVIN 213」、「TINUVIN 571」、「TINUVIN PS」、「TINUVIN 99−2」、「TINUVIN 109」、「TINUVIN 384−2」、「TINUVIN 900」、「TINUVIN 928」、「TINUVIN 1130」;シプロ化成株式会社製の「シーソーブ701」、「シーソーブ703」、「シーソーブ704」、「シーソーブ706」、「シーソーブ707」、「シーソーブ709」などが好適である。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、例えばチバ・ジャパン株式会社の「TINUVIN 1577 FF」などが好適である。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えばチバ・ジャパン株式会社の「CHIMASSORB 81」;シプロ化成株式会社製の「シーソーブ100」、「シーソーブ101」、「シーソーブ101S」、「シーソーブ102」、「シーソーブ103」、「シーソーブ105」、「シーソーブ106」、「シーソーブ107」などが好適である。
ベンゾエート系紫外線吸収剤としては、例えばチバ・ジャパン株式会社の「TINUVIN 120」などが好適である。
ヒドロキシフェニルトリアジン(HPT)系紫外線吸収剤としては、例えばチバ・ジャパン株式会社の「TINUVIN 400」、「TINUVIN 405」、「TINUVIN 460」、「TINUVIN 479」などが好適である。
紫外線吸収剤の含有量は、塗膜形成成分(i)100質量部に対して5〜30質量部であり、10〜25質量部が好ましい。紫外線吸収剤の含有量が5質量部以上であれば、プラスチック基材11の劣化を十分に防止できるので、得られる成形体10の耐候性を向上できると共に、透明塗膜12が黄変するのを抑制できる。一方、紫外線吸収剤の含有量が30質量部以下であれば、プラスチック基材11上に形成される透明塗膜12の付着性が確保できる。
<光安定剤>
光安定剤としては、塗料用に使用される一般的な紫外線吸収剤であれば特に制限されないが、例えばヒンダードアミン系等の光安定剤などが挙げられる。また、市販品としては、例えばチバ・ジャパン株式会社製の「CHIMASSORB 119 FL」、「CHIMASSORB 2020 FDL」、「CHIMASSORB 944 FDL」、「TINUVIN 622 LD」、「TINUVIN 440」、「TINUVIN 765」、「TINUVIN 770 DF」、「TINUVIN 111 FDL」、「TINUVIN 123」、「TINUVIN 144」、「TINUVIN 152」、「TINUVIN 292」、「TINUVIN 5100」などが好適である。
光安定剤の含有量は、塗膜形成成分(i)100質量部に対して0.5〜2.0質量部であり、1.0〜1.5質量部が好ましい。光安定剤の含有量が0.5質量部以上であれば、プラスチック基材11の劣化を十分に防止できるので、得られる成形体10の耐候性を向上できると共に、透明塗膜12が黄変するのを抑制できる。一方、光安定剤の含有量が2.0質量部以下であれば、プラスチック基材11上に形成される透明塗膜12の付着性が確保できる。
<任意成分>
塗料組成物(I)は、必要に応じて各種溶剤を含んでいてもよい。溶剤としては、例えばトルエン、キシレン、ソルベントナフサ、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤などが挙げられる。これら溶剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、塗料組成物(I)は、酸化防止剤、表面調整剤、可塑剤、顔料沈降防止剤等、塗料用に使用される一般的な添加剤を適量含んでいてもよい。
塗料組成物(I)は、上述した塗膜形成成分(i)と、紫外線吸収剤と、光安定剤と、必要に応じて溶剤、各種添加剤等の任意成分とを混合することにより調製できる。
こうして調製された塗料組成物(I)を硬化後の塗膜の膜厚が5〜50μmとなるように、スプレー塗装法、刷毛塗り法、ローラ塗装法、カーテンコート法、フローコート法、浸漬塗り法等でプラスチック基材11表面に塗装した後、例えば熱風乾燥炉で加熱乾燥することで、透明塗膜12を形成できる。乾燥温度は40〜100℃程度が好ましく、乾燥時間は5〜60分程度が好ましい。なお、十分な乾燥時間を設けることができる場合は、常温にて乾燥してもよい。
<<塗料組成物(II)>>
<塗膜形成成分(ii)>
塗膜形成成分(ii)は、活性エネルギー線硬化性化合物(A)とシランカップリング剤(B)を含有する。
(活性エネルギー線硬化性化合物(A))
活性エネルギー線硬化性化合物(以下、「A成分」という。)は、ウレタン(メタ)アクリレートを含む。
ウレタン(メタ)アクリレートとしては、ポリイソシアネート化合物と、ポリオールと、水酸基を有する(メタ)アクリレートとの反応物が挙げられる。
ポリイソシアネート化合物としては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
ポリオールとしては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテルポリオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール等の多価アルコール、多価アルコールとアジピン酸等の多塩基酸との反応によって得られるポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、1,4−シクロヘキサンジオール、2,2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンなどが挙げられる。
水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリルレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
上述したポリイソシアネート化合物とポリオールを反応させ、得られた生成物に水酸基を有する(メタ)アクリレートを反応させることによって、ウレタン(メタ)アクリレートが得られる。また、反応には公知の触媒を使用できる。
また、ウレタン(メタ)アクリレートとしては、市販のものを用いてもよく、例えば、ダイセルサイテック社製のウレタンオリゴマー「エベクリル1290」、日本合成化学工業社製のウレタンオリゴマー「紫光UV−3200B」等が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートの含有量は、塗膜形成成分(ii)100質量%中、25〜97質量%が好ましく、30〜75質量%がより好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートの含有量が上記範囲内であれば、透明塗膜12上に形成される金属酸化物層13がより剥離しにくくなる。
A成分は、上述したウレタン(メタ)アクリレート以外の他の化合物を含有してもよい。他の化合物としては、例えば分子内に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物が挙げられる。具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロヘキシルペンタニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、1,4ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ジメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
A成分は、環状構造を有する活性エネルギー線硬化性成分(以下、「環状成分」という場合がある。)をA成分100質量%中、30質量%以上含むことが好ましく、より好ましくは40質量%以上である。環状成分の含有量が30質量%以上であれば、透明塗膜12上に形成される金属酸化物層13がより剥離しにくくなる。
環状構造としては特に制限されず、例えば脂環構造や芳香環構造などが挙げられる。
また、環状成分は、上述したウレタン(メタ)アクリレートおよび/または他の化合物からなる。よって、環状構造のウレタン(メタ)アクリレートおよび/または環状構造の他の化合物の含有量が、合計して上記範囲内であることが好ましい。
環状構造のウレタン(メタ)アクリレートは、例えばポリイソシアネート化合物として、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネートなどの脂環構造を有するポリイソシアネート化合物や、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香環構造を有するポリイソシアネート化合物を用い、上述したポリオールを反応させ、得られた生成物に水酸基を有する(メタ)アクリレートを反応させることによって得られる。脂環構造を有するポリイソシアネート化合物を用いれば脂環構造のウレタン(メタ)アクリレートが、芳香環構造を有するポリイソシアネート化合物を用いれば芳香環構造のウレタン(メタ)アクリレートが得られる。
一方、環状構造の他の化合物としては、脂環構造を有する化合物が好ましく、具体的には、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロヘキシルペンタニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、A成分は、平均架橋点間分子量が150〜1000であることが好ましく、より好ましくは180〜700であり、さらに好ましくは200〜500である。平均架橋点間分子量が150以上であれば、塗料組成物(II)より形成される透明塗膜12が必要以上に硬くなるのを防止すると共に、金属酸化物層13がより剥離しにくくなる。一方、平均架橋点間分子量が1000以下であれば、塗料組成物(II)より形成される透明塗膜12が必要以上に柔らかくなるのを防止すると共に、金属酸化物層13が割れるのを抑制できる。
なお、本発明において、平均架橋点間分子量とは、A成分を構成する各モノマーの平均分子量を該モノマーの反応性官能基数で除して算出した架橋点間分子量の平均値(すなわち、各架橋点間分子量値を各モノマーの割合に応じて換算した合計値)のことである。例えば、A成分がジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート(DPHA)を含有する場合、DPHAの平均分子量は578であり、反応性官能基数は6であることから、架橋点間分子量の値は96である。なお、DPHAの反応性官能基とは、アクリロイル基(ビニル基)を指す。
A成分の含有量は、塗膜形成成分(ii)100質量%中、50〜97質量%が好ましく、70〜97質量%がより好ましい。A成分の含有量が50質量%以上であれば、活性エネルギー線硬化性を十分に確保できる。一方、A成分の含有量が97質量%以下であれば、透明塗膜12上に形成される金属酸化物層13がより剥離しにくくなる。
(シランカップリング剤(B))
シランカップリング剤(以下、「B成分」という。)は、イソシアネート基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基よりなる群から選ばれる1種の置換基を有する。
B成分がイソシアネート基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基よりなる群から選ばれる1種の置換基を有するシランカップリング剤であることで、透明塗膜12上に形成される金属酸化物層13がより剥離しにくくなる。
B成分の含有量は、塗膜形成成分(ii)100質量%中、3〜20質量%が好ましく、6〜20質量%がより好ましい。B成分の含有量が3質量%以上であれば、透明塗膜12上に形成される金属酸化物層13がより剥離しにくくなる。一方、B成分の含有量が20質量%以下であれば、透明塗膜12が白濁するのを防止すると共に、金属酸化物層13がより剥離しにくくなる。
イソシアネート基を有するシランカップリング剤としては、例えば3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
エポキシ基を有するシランカップリング剤としては、例えば2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤としては、例えば3−メタクリロキシプロプルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
(その他樹脂)
塗膜形成成分(ii)は、塗料組成物(II)の流動性を改質するために熱可塑性樹脂をさらに含んでもよい。熱可塑性樹脂としては、塗料組成物(I)の説明において先に例示した熱可塑性樹脂を用いることができる。中でも、ポリメタクリル酸メチルが好ましい。
熱可塑性樹脂は、得られる塗料組成物(II)の用途に応じて添加されるものであり、その含有量は塗膜形成成分(ii)100質量%中、0〜30質量%が好ましく、0〜20質量%がより好ましい。熱可塑性樹脂を含有しない場合であっても、本発明の効果は十分に発揮されるが、含有量が上記範囲内であれば、形成される透明塗膜12の付着性、耐水性等の諸物性を保持しつつ、さらに塗料組成物(II)の流動性を改質することができる。
<紫外線吸収剤>
紫外線吸収剤としては、塗料組成物(I)の説明において先に例示した紫外線吸収剤を用いることができる。
紫外線吸収剤の含有量は、塗膜形成成分(ii)100質量部に対して5〜30質量部であり、10〜25質量部が好ましい。紫外線吸収剤の含有量が5質量部以上であれば、プラスチック基材11の劣化を十分に防止できるので、得られる成形体10の耐候性を向上できると共に、透明塗膜12が黄変するのを抑制できる。一方、紫外線吸収剤の含有量が30質量部以下であれば、プラスチック基材11上に形成される透明塗膜12の付着性が確保できる。
<光安定剤>
光安定剤としては、塗料組成物(I)の説明において先に例示した光安定剤を用いることができる。
光安定剤の含有量は、塗膜形成成分(ii)100質量部に対して0.5〜2.0質量部であり、1.0〜1.5質量部が好ましい。光安定剤の含有量が0.5質量部以上であれば、プラスチック基材11の劣化を十分に防止できるので、得られる成形体10の耐候性を向上できると共に、透明塗膜12が黄変するのを抑制できる。一方、光安定剤の含有量が2.0質量部以下であれば、プラスチック基材11上に形成される透明塗膜12の付着性が確保できる。
<任意成分>
塗料組成物(II)は、光重合開始剤を含んでいてもよい。
光重合開始剤としては、例えばチバ・ジャパン株式会社製の「イルガキュア184」、「イルガキュア149」、「イルガキュア651」、「イルガキュア907」、「イルガキュア754」、「イルガキュア819」、「イルガキュア500」、「イルガキュア1000」、「イルガキュア1800」、「イルガキュア754」;BASF社製の「ルシリンTPO」;日本化薬株式会社製の「カヤキュアDETX−S」、「カヤキュアEPA」、「カヤキュアDMBI」等が挙げられる。これら光重合開始剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、光重合開始剤とともに、光増感剤や光促進剤を使用してもよい。
光重合開始剤の含有量は、前記A成分100質量部に対して、1〜20質量部が好ましく、2〜10質量部がより好ましい。光重合開始剤の含有量が上記範囲内であれば、十分な架橋密度が得られる。
また、塗料組成物(II)は、必要に応じて各種溶剤や、塗料用に使用される一般的な添加剤を含んでいてもよい。溶剤や添加剤としては、塗料組成物(I)の説明において先に例示した溶剤や添加剤を用いることができる。
塗料組成物(II)は、上述した塗膜形成成分(ii)と、紫外線吸収剤と、光安定剤と、必要に応じて光重合開始剤、溶剤、各種添加剤等の任意成分とを混合することにより調製できる。
こうして調製された塗料組成物(II)を硬化後の塗膜厚さが5〜50μmとなるように、スプレー塗装法、刷毛塗り法、ローラ塗装法、カーテンコート法、フローコート法、浸漬塗り法等でプラスチック基材11表面に塗装した後、例えば5000mJ/cmを上限として、100〜3000mJ/cm程度(日本電池株式会社製「UVR−N1」による測定値)の紫外線をヒュージョンランプ、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等を用いて1〜10分間程度照射することにより、透明塗膜12を形成できる。
活性エネルギー線としては、紫外線の他、電子線、ガンマ線等も使用できる。
[金属酸化物層]
金属酸化物層13は、透明であり、かつ紫外線吸収能を有する。
ここで、「紫外線吸収能」とは、波長200〜380nmの領域の少なくとも一部の光を吸収する機能のことである。紫外線の吸収領域が200nmよりも短波長側にあると、透明塗膜12の表面の劣化を十分に抑制しにくくなる。一方、紫外線の吸収領域が380nmよりも長波長側にあると、可視光を吸収して着色する場合がある。
このような金属酸化物層13を構成する材料としては、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ(SnO)などが挙げられる。
金属酸化物層13は、熱スプレー法、ゾルゲル法、スパッタリング法、アークプラズマ堆積法などにより形成できる。
金属酸化物層13の厚さは、50〜1000nmが好ましく、50〜500nmがより好ましい。金属酸化物層13の厚さが50nm以上であれば、十分な紫外線吸収能を確保でき、透明塗膜12の表面が紫外線により劣化するのを抑制できる。一方、金属酸化物層13の厚さが1000nm以下であれば、透明性を良好に維持でき、着色やクラックの発生を抑制できる。
本発明の成形体10は、プラスチック基材11上に透明塗膜12、および透明な金属酸化物層13が順次形成されるので、これらを形成する前と遜色なく、透明塗膜12および金属酸化物層13を介してプラスチック基材の模様等を確認することができ、デザインの自由度が高い。
さらに、プラスチック基材11として、透明な基材を用いれば、自動車ウィンドウ、ビルや家屋等の建築物の窓、道路隔壁など、ガラスの代替品として本発明の成形体10を好適に用いることができる。
[硬化保護膜]
図1に示すように、本発明の成形体10は、金属酸化物層13上に硬化保護膜14が形成されていることが好ましい。金属酸化物層13は紫外線吸収能を有するものの、傷付きやすいので露出していると成形体10の耐擦傷性が低下する場合がある。そこで、金属酸化物層13上に硬化保護膜14を設けることで、金属酸化物層13を保護し、成形体10の耐擦傷性を良好に維持できる。
硬化保護膜14は、ケイ素有機系化合物ガスをプラズマ化することで形成できる。ケイ素有機系化合物ガスとしては、ヘキサメチレンジシロキサンなどが挙げられる。
プラズマ化の方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、透明塗膜12と金属酸化物層13とが順次形成されたプラスチック基材11をプラズマ重合装置に備え、減圧下、ヘキサメチレンジシロキサンガスと酸素ガスを通気しながら放電させてプラズマを発生させることで、金属酸化物層13上に硬化保護膜14が形成する。なお、このようにして形成される硬化保護膜14は、透明性を有している。
放電の際の圧力や電力等は特に制限されないが、硬化保護膜14の膜厚が0.5〜10μmになるように、圧力や電力等を調整するのが好ましい。
[用途]
本発明の成形体10の用途としては特に制限はない。本発明の成形体10は、プラスチック基材11上に透明塗膜12、および透明な金属酸化物層13が順次形成されるので、これらを形成する前と遜色なく、透明塗膜12および金属酸化物層13を介してプラスチック基材の模様等を確認することができ、デザインの自由度が高い。従って、様々な用途に使用できるが、例えばプラスチック基材として透明な基材を用いれば、自動車ウィンドウ、ビルや家屋等の建築物の窓、高速道路外壁など、ガラスの代替として本発明の成形体10を好適に用いることができる。
以上説明した本発明の成形体は、プラスチック基材上に紫外線吸収能を有する透明塗膜と金属酸化物層が順次形成されている。従って、紫外線によるプラスチック基材の劣化を透明塗膜により防止し、かつ紫外線による透明塗膜表面の劣化を金属酸化物層により防止できるので、本発明の成形体は耐候性に優れる。また、紫外線による黄変等の発生が抑制されるので、特にプラスチック基材として透明な基材を用いれば、透明性にも優れた成形体が得られる。
また、プラスチック基材と金属酸化物層との間に透明塗膜が介在しているので、透明塗膜が接着剤の役割を果たし、金属酸化物層のプラスチック基材に対する付着性を確保できる。加えて、プラスチック基材が膨張したり収縮したりしても、透明塗膜がその変化に追従できるので、金属酸化物層が剥離したり割れたりするのを抑制できる。従って、本発明の成形体は層剥離しにくい。
さらに、金属酸化物層上に硬化保護膜が形成していれば、耐擦傷性にも優れた成形体が得られる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
ここで、各例で実施した評価方法を以下に示す。
(1)初期外観の評価
試験片の外観について、透明塗膜、金属酸化物層および硬化保護膜の状態を目視にて観察し、以下の評価基準にて評価した。
○:透明性、表面状態共に問題がない。
△:透明性、表面状態にわずかな問題があるが、実用上問題はない。
×:透明性、表面状態共に問題がある。
(2)初期付着性の評価
試験片に1mm幅で10×10の碁盤目状にカッターで切れ目を入れ、碁盤目状の部分にテープを貼着し剥がす操作を実施し、以下の評価基準にて評価した。なお、テープとしては、セロハンテープ(ニチバン株式会社製)を使用した。
○:剥離が見られない。
△:マスの角の部分が剥がれたが、実用上問題はない。
×:1マス以上の剥離が見られた。
(3)耐熱付着性の評価
試験片を110℃の雰囲気中に240時間放置した後、試験片に1mm幅で10×10の碁盤目状にカッターで切れ目を入れ、碁盤目状の部分にテープを貼着し剥がす操作を実施し、以下の評価基準にて評価した。なお、テープとしては、セロハンテープ(ニチバン株式会社製)を使用した。
○:剥離が見られない。
△:マスの角の部分が剥がれたが、実用上問題はない。
×:1マス以上の剥離が見られた。
(3)温水付着性の評価
試験片を40℃の温水に240時間浸漬した後、試験片に1mm幅で10×10の碁盤目状にカッターで切れ目を入れ、碁盤目状の部分にテープを貼着し剥がす操作を実施し、以下の評価基準にて評価した。なお、テープとしては、セロハンテープ(ニチバン株式会社製)を使用した。
○:剥離が見られない。
△:マスの角の部分が剥がれたが、実用上問題はない。
×:1マス以上の剥離が見られた。
(4)耐候性試験1:外観の評価
試験片を促進耐候性試験機(スガ試験機株式会社製、「サンシャインウェザオメーター WL−SUN−DC−B型」)にセットし、人口太陽光線の照射時間で3000時間、照射間3000時間中の水噴射時間600時間、温度63℃の条件にて、試験片の劣化促進試験を実施した。
劣化促進試験後の試験片の外観について、透明塗膜、金属酸化物層および硬化保護膜の状態を目視にて観察し、以下の評価基準にて評価した。
○:透明性、表面状態共に問題がない。
△:透明性、表面状態にわずかな問題があるが、実用上問題はない。
×:透明性、表面状態共に問題がある。
(5)耐候性試験2:付着性の評価
(4)耐候性試験1と同様にして実施した劣化促進試験後の試験片に、1mm幅で10×10の碁盤目状にカッターで切れ目を入れ、碁盤目状の部分にテープを貼着し剥がす操作を実施し、以下の評価基準にて評価した。なお、テープとしては、セロハンテープ(ニチバン株式会社製)を使用した。
○:剥離が見られない。
△:マスの角の部分が剥がれたが、実用上問題はない。
×:1マス以上の剥離が見られた。
[試験1]
<アクリル樹脂(W−1〜W−5)の調製>
冷却機、温度計、撹拌機およびモノマー滴下装置を備えた1リットルの四つ口フラスコに、表1に示す組成(1)の各成分を仕込み、撹拌下、内温90℃になるまで加温した。ついで、表1に示す組成(2)のモノマー混合物を90分間にわたって滴下し、90℃で80分保持した。その後、表1に示す組成(3)を加え92℃に昇温して200分保持し、不揮発分47%のアクリルポリオール(アクリル樹脂:W−1〜W−5)を得た。
表1中の重合開始剤は以下の通りである。
・重合開始剤A:2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)。
・重合開始剤B:パーブチルO(日本油脂株式会社製)。
得られたアクリル樹脂のガラス転移温度、水酸基価、質量平均分子量を以下のようにして測定した。結果を表1に示す。なお、得られたアクリル樹脂のうち、W−3〜W−5は、環状構造を有するアクリル樹脂である。
アクリル樹脂のガラス転移温度は、JIS K7121に準拠して測定した。
アクリル樹脂の水酸基価は、JIS K1557に準拠して測定した。
アクリル樹脂の質量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエションクロマトグラフィ)により測定した。
Figure 2011020381
<実施例1〜11、比較例1〜8>
表2〜5に示す固形分比率(質量比)で各成分を混合して、液状の塗料組成物(I)を各々調製した。
ついで、ポリカーボネート樹脂基板(Sabic Innovative Plastics Japan社製、「LEXAN−2」、100×100×3mm)をイソプロピルアルコールで洗浄し、乾燥後、得られた塗料組成物(I)を硬化後の膜厚が表2〜5に示す値になるように、ポリカーボネート樹脂基板の表面にスプレーガンでエアースプレー塗装した。ついで、熱風乾燥炉内にて80℃×30分間の条件で加熱乾燥して硬化させ、透明塗膜を形成した。
なお、比較例8については、透明塗膜を形成せずに、次の工程を実施した。
ついで、スパッタリング装置(株式会社徳田製作所製、「CFS−8ES」)を用い、厚さが表2〜5に示す値になるように、透明塗膜上に酸化亜鉛をスパッタリングして、金属酸化物層(酸化亜鉛層)を形成した。
なお、比較例7については、金属酸化物層を形成せずに、次の工程を実施した。
ついで、透明塗膜と金属酸化物層が順次形成されたポリカーボネート樹脂基板をプラズマ重合装置(ULVAC社製、「CPV−450」)にセットし、減圧下、ヘキサメチレンジシロキサンガスを20sccmと、酸素ガスを100sccmの割合で通気しながら、圧力を2.3×10−1Paに調節・保持し、1356MHz、800W/cmの低周波電力を与えながら放電させてプラズマを発生させた。この状態で、80℃で0.5〜2時間保持し、表2〜5に示す膜厚の硬化保護膜を金属酸化物層上に形成させ、試験片(耐紫外線プラスチック成形体)を得た。なお、「sccm」とは「mL/分」のことである。
得られた試験片について、各評価を実施した。結果を表2〜5に示す。
なお、表2〜5中、外観評価における「△(ワレ)」は、硬化保護膜と金属酸化物層が割れたことを意味し、「△(ワレ)」は、硬化保護膜と金属酸化物層と透明塗膜が割れたことを意味し、「△(黄変)」および「×(黄変)」は、透明塗膜が黄変したことを意味し、「×(黄変)」は、ポリカーボネート樹脂基板が黄変したことを意味する。また、付着性評価における「△」および「×」は、金属酸化物層と透明塗膜の間で剥離が生じたことを意味し、「△」および「×」は、透明塗膜とポリカーボネート樹脂基板の間で剥離が生じたことを意味する。ただし、いずれの場合も「△」は実用上問題ない程度である。
また、表2〜5中の各成分は、以下の通りである。
・イソシアネートA:ヘキサメチレンジイソシアネート(旭化成ケミカルズ株式会社製、「デュラネート24A−100」)。
・イソシアネートB:水添キシリレンジイソシアネート(三井化学株式会社製、「タケネート600」)。
・イソシアネートC:水添ジフェニルメタンジイソシアネート(三井化学株式会社製、「デスモジュールW」)。
・イソシアネートD:ヘキサメチレンジイソシアネート(住化バイエルウレタン株式会社製、「デスモジュールN3400」)。
・イソシアネートE:トリレンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業株式会社製、「コロネートL」)。
・紫外線吸収剤A:ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チバ・ジャパン株式会社製、「TINUVIN 384」)。
・光安定剤A:ヒンダードアミン系光安定剤(チバ・ジャパン株式会社製、「TINUVIN 292」)。
Figure 2011020381
Figure 2011020381
Figure 2011020381
Figure 2011020381
表2〜3から明らかなように、各実施例で得られた耐紫外線プラスチック成形体は、透明性を有し、耐候性および付着性に優れていた。
一方、表4〜5から明らかなように、光安定剤を含有しない塗料組成物(I)を用いて透明塗膜を形成した比較例1の場合、耐紫外線プラスチック成形体の耐候性が低下し、透明塗膜が黄変した。
塗膜形成成分(i)100質量部に対して3質量部の光安定剤を含有する塗料組成物(I)を用いて透明塗膜を形成した比較例2の場合、耐紫外線プラスチック成形体の耐候性は各実施例と同程度であったものの、温水付着性が低下し、基材と透明塗膜との間で剥離が生じた。
塗膜形成成分(i)100質量部に対して3質量部の紫外線吸収剤を含有する塗料組成物(I)を用いて透明塗膜を形成した比較例3の場合、耐紫外線プラスチック成形体の耐候性が低下し、透明塗膜が黄変した。
塗膜形成成分(i)100質量部に対して40質量部の紫外線吸収剤を含有する塗料組成物(I)を用いて透明塗膜を形成した比較例4の場合、耐紫外線プラスチック成形体の耐候性が低下し、基材と透明塗膜との間でわずかに剥離が生じた。また、温水付着性が低下し、基材と透明塗膜との間で剥離が生じた。
透明塗膜の膜厚が2μmである比較例5の場合、耐紫外線プラスチック成形体の耐候性が低下し、透明塗膜が黄変すると共に、基材と透明塗膜との間で剥離が生じた。また、初期付着性と温水付着性が低下し、基材と透明塗膜との間で剥離が生じた。
透明塗膜の膜厚が60μmである比較例6の場合、耐紫外線プラスチック成形体の耐候性が低下し、基材と透明塗膜との間で剥離が生じた。また、温水付着性が低下し、基材と透明塗膜との間で剥離が生じた。
金属酸化物層を設けない比較例7の場合、耐紫外線プラスチック成形体の耐候性が低下し、透明塗膜(特に塗膜表面)が黄変した。
透明塗膜を設けない比較例8の場合、耐紫外線プラスチック成形体の耐候性が低下し、基材が黄変すると共に、基材と金属酸化物層との間で剥離が生じた。また、初期付着性、耐熱付着性、温水付着性が低下し、基材と金属酸化物層との間で剥離が生じた。
[試験2]
<活性エネルギー線硬化性化合物(A)>
実施例および比較例で用いたA成分の内容を以下に示す。また、ウレタンアクリレートおよび他の化合物の物性について表6に示す。
・環状ウレタンオリゴマー:以下に示す方法にて調製した。
1,6−ヘキサンジオール(宇部興産社製)59質量部、水添キシリレンジイソシアネート(三井武田ケミカル社製)194質量部を、攪拌機、温度計を備えた500mlのフラスコに仕込み、窒素気流下において70℃で4時間反応させた。ついで、このフラスコ中にさらに2−ヒドロキシエチルアクリレート(共栄化学工業社製)116質量部、ハイドロキノン0.6質量部、ジブチルスズジラウレート0.3質量部を加え、フラスコ内の内容物に窒素をバブリングしながら、70℃でさらに5時間反応させ、環状ウレタンオリゴマーを得た。
・ウレタンオリゴマーA:ダイセルサイテック社製、「エベクリル1290」。
・ウレタンオリゴマーB:日本合成化学工業社製、「紫光UV−3200B」。
・6官能モノマー(DPHA、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート):日本化薬社製、「カヤラッドDPHA」。
・3官能モノマー(TMPTA、トリメチロールプロパントリアクリレート):東亞合成社製、「アロニックスM−309」。
・2官能モノマー:BASF社製、「Laromer HDDA」。
・2官能脂環モノマー:日本化薬社製、「カヤラッドR−684」。
・1官能脂環モノマー:ダイセルサイテック社製、「エベクリルIBOA」。
Figure 2011020381
<実施例12〜24、比較例9〜14>
表7〜9に示す固形分比率(質量比)で各成分を混合して、液状の塗料組成物(II)を各々調製した。
表7〜9中の各成分は、以下の通りである。
・エポキシシラン:東レ・ダウコーニング社製、「Z−6043」。
・(メタ)アクリロイルシラン:東レ・ダウコーニング社製、「Z−6530」。
・イソシアネートシラン:信越化学工業社製、「KBE−9007」。
・熱可塑性樹脂:ポリメタクリル酸メチル(藤倉化成社製、「アクリベースLH101」、固形分含有量40質量%)。
・紫外線吸収剤A:ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チバ・ジャパン株式会社製、「TINUVIN 384」)。
・紫外線吸収剤B:ヒドロキシフェニルトリアジン(HPT)系紫外線吸収剤(チバ・ジャパン株式会社製、「TINUVIN 400」)。
・光安定剤A:ヒンダードアミン系光安定剤(チバ・ジャパン株式会社製、「TINUVIN 292」)。
・光重合開始剤:チバ・ジャパン社製、「イルガキュア184」。
Figure 2011020381
Figure 2011020381
Figure 2011020381
ついで、ポリカーボネート樹脂基板(Sabic Innovative Plastics Japan社製、「LEXAN−LS2」、100×100×3mm)をイソプロピルアルコールで洗浄し、乾燥後、得られた塗料組成物(II)を硬化後の膜厚が表10〜12に示す値になるように、ポリカーボネート樹脂基板の表面にスプレーガンでエアースプレー塗装した。ついで、熱風乾燥炉内にて60℃×3分間の条件で溶剤を乾燥させた後、高圧水銀灯により500mJ/cm(日本電池社製UVR−N1による測定値)の紫外線を2〜3分間照射して透明塗膜を形成した。
ついで、金属酸化物層の厚さ、および硬化保護膜の膜厚が表10〜12に示す値になるように変更した以外は、試験1と同様にして試験片(耐紫外線プラスチック成形体)を得た。
得られた試験片について、各評価を実施した。結果を表10〜12に示す。
なお、表10〜12中、外観評価における「△(白濁)」は、金属酸化物層が白濁したことを意味し、「△(ワレ)」は、硬化保護膜と金属酸化物層が割れたことを意味し、「×(シワ)」は、透明塗膜にシワが形成されたことを意味し、「×(黄変)」は、透明塗膜が黄変したことを意味する。また、付着性評価における「△」は、金属酸化物層と透明塗膜の間で剥離が生じたことを意味し、「×」は、透明塗膜とポリカーボネート樹脂基板の間で剥離が生じたことを意味する。ただし、いずれの場合も「△」は実用上問題ない程度である。
Figure 2011020381
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Figure 2011020381
表10〜11から明らかなように、各実施例で得られた耐紫外線プラスチック成形体は、透明性を有し、耐候性および付着性に優れていた。
一方、表12から明らかなように、透明塗膜の膜厚が3μm、または60μmである比較例9、10の場合、耐紫外線プラスチック成形体の耐候性が低下し、基材と透明塗膜との間で剥離が生じた。また、初期付着性、耐熱付着性、温水付着性が低下し、基材と透明塗膜との間で剥離が生じた。
塗膜形成成分(ii)100質量部に対して0.3質量部の光安定剤を含有する塗料組成物(II)を用いて透明塗膜を形成した比較例11の場合、耐紫外線プラスチック成形体の耐候性が低下し、透明塗膜が黄変すると共に、基材と透明塗膜との間で剥離が生じた。
塗膜形成成分(ii)100質量部に対して2.4質量部の光安定剤を含有する塗料組成物(II)を用いて透明塗膜を形成した比較例12の場合、耐紫外線プラスチック成形体の耐候性が低下し、透明塗膜にシワが形成されると共に、基材と透明塗膜との間で剥離が生じた。また、初期外観においても透明塗膜にシワが形成された。さらに、温水付着性が低下し、基材と透明塗膜との間で剥離が生じた。
塗膜形成成分(ii)100質量部に対して3.0質量部の紫外線吸収剤を含有する塗料組成物(II)を用いて透明塗膜を形成した比較例13の場合、耐紫外線プラスチック成形体の耐候性が低下し、透明塗膜が黄変すると共に、基材と透明塗膜との間で剥離が生じた。
塗膜形成成分(ii)100質量部に対して35.0質量部の紫外線吸収剤を含有する塗料組成物(II)を用いて透明塗膜を形成した比較例14の場合、耐紫外線プラスチック成形体の耐候性が低下し、透明塗膜にシワが形成されると共に、基材と透明塗膜との間で剥離が生じた。また、初期外観においても透明塗膜にシワが形成された。さらに、温水付着性が低下し、基材と透明塗膜との間で剥離が生じた。
10:耐紫外線プラスチック成形体、11:プラスチック基材、12:透明塗膜、13:金属酸化物層、14:硬化保護膜。

Claims (5)

  1. プラスチック基材と、該プラスチック基材上に形成された透明塗膜と、該透明塗膜上に形成された透明で、紫外線吸収能を有する金属酸化物層とを備えた耐紫外線プラスチック成形体であって、
    前記透明塗膜は、塗膜形成成分と、該塗膜形成成分100質量部に対して5〜30質量部の紫外線吸収剤と、0.5〜2.0質量部の光安定剤とを含むプラスチック基材用塗料組成物を前記プラスチック基材上に塗布して形成され、かつ膜厚が5〜50μmであることを特徴とする耐紫外線プラスチック成形体。
  2. 前記金属酸化物層上に、ケイ素有機系化合物ガスのプラズマ化により硬化保護膜が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の耐紫外線プラスチック成形体。
  3. 前記塗膜形成成分は、アクリル樹脂と、該アクリル樹脂と反応可能なイソシアネート化合物とを含有し、かつ前記アクリル樹脂および/またはイソシアネート化合物が環状構造を有することを特徴とする請求項1または2に記載の耐紫外線プラスチック成形体。
  4. 前記塗膜形成成分は、ウレタン(メタ)アクリレートを含む活性エネルギー線硬化性化合物(A)と、イソシアネート基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基よりなる群から選ばれる1種の置換基を有するシランカップリング剤(B)を含有し、かつ、当該塗膜形成成分100質量%中、前記ウレタン(メタ)アクリレートを25〜97質量%、前記シランカップリング剤(B)を3〜20質量%含有することを特徴とする請求項1または2に記載の耐紫外線プラスチック成形体。
  5. 前記活性エネルギー線硬化性化合物(A)は、環状構造を有する活性エネルギー線硬化性成分を含み、かつ平均架橋点間分子量が150〜1000であることを特徴とする請求項4に記載の耐紫外線プラスチック成形体。
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