JP2005059344A - 樹脂成形品 - Google Patents

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Akira Motonaga
彰 元永
Yuji Inoue
裕司 井上
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Abstract

【課題】 外観、耐擦傷性、および耐候性に優れかつプラスチック基材との十分な密着性を有する保護被膜を形成した、耐擦傷性、および耐候性に優れた樹脂成形品を提供する。
【解決手段】 プラスチック基材上に、下記の2層構造の保護被膜を形成することにより上記課題は達成される。
第1層)プラスチック基材上に形成される層であって、(メタ)アクリル系重合体(A)、紫外線吸収剤(B)、ヒンダードアミン系光安定剤(C)、およびリン系あるいはラクトン系熱加工安定剤(D)を含む層。
第2層)第1層上に形成される層であって、式(1)で表されるオルガノシラン類(X)の加水分解物(E)およびコロイド状シリカ(F)を含むシリカ系組成物を加熱硬化して得られる層。
1 nSi(OR24-n (1)
(式中、R1は炭素数1〜10の有機基、R2は炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜4のアシル基を示す。nは1または2を示す。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、耐擦傷性、耐候性、プラスチック基材との密着性に優れた保護被膜を有する樹脂成形品に関する。
ポリカーボネート等のプラスチックからなる成形品は、ガラスからなる成形品に比べ、耐衝撃性、軽量性に優れているが、表面硬度が低いので表面に傷が付きやすく、また耐候性に乏しいという問題点を有している。
そこで、これらの問題点を解決するためにプラスチック成形品の表面に保護被膜を形成し、表面硬度等を改良する試みがなされている。そのような保護被膜としては、加水分解性ケイ素化合物を原料としたゾルゲル法によるものが、高い表面硬度を与えるものとして使用されている。
特に、ポリカーボネートは紫外線による表面劣化や黄変等の劣化現象の問題が有るが、その紫外線に対する耐候性を改善するために紫外線吸収剤を配合した被膜を表面に形成する方法が知られている。(例えば、特許文献1〜3参照。)
特許文献1には、コロイダルシリカ含有ポリシロキサンからなる保護被膜に紫外線吸収剤を添加した樹脂被膜が開示されている。
特許文献2には、紫外線吸収剤を添加した下塗り層の上面にコロイダルシリカ含有ポリシロキサンからなる保護被膜を設けた紫外線吸収透明基板が開示されている。
また、特許文献3には、ベンゾトリアゾール基含有紫外線吸収性ビニル単量体、アルコキシシリル基含有ビニル単量体、およびこれらと共重合可能な他の単量体の共重合体を下塗り剤として用いる方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1に開示されるようにコロイダルシリカ含有ポリシロキサンからなる保護被膜に紫外線吸収剤を添加した場合には、添加量の増加にしたがい、紫外線の吸収は大きくなるものの、添加量が多くなりすぎると保護被膜に白化が発生したり、耐擦傷性、耐熱水性が低下しやすくなったりする問題があり、紫外線吸収剤の添加量は限られている。
特許文献2に開示されるように下塗り剤に紫外線吸収剤を添加した場合には、紫外線吸収剤の種類や添加量によっては、下塗り層とプラスチック基材またはコロイダルシリカ含有ポリシロキサンからなる上塗り層との密着性が悪くなったり、加熱硬化時の紫外線吸収剤の揮発、屋外での長時間使用による紫外線吸収剤のブリードアウトや、保護被膜の白化などの悪影響がでたりする問題があった。
また、特許文献3に開示されたポリマー鎖に紫外線吸収基を持つ共重合体を下塗り剤とした場合には、加熱硬化時の紫外線吸収剤の揮発や、屋外での長時間使用による紫外線吸収剤のブリードアウトなどは抑制されるが、上塗り層のコロイダルシリカ含有ポリシロキサンからなる保護被膜との密着性を得るためには下塗り剤にアルコキシシリル基含有ビニル単量体等を添加する必要がある。このアルコキシシリル基含有ビニル単量体を下塗り剤組成物に添加すると、アルコキシシリル基含有ビニル単量体と他のビニル系単量体との相溶性が悪化したり、下塗り剤組成物の安定性が低下して、その結果、得られる保護被膜に白化などの外観上の問題が生じたり、あるいは基材または上塗り層との密着性が低下するなどの問題が発生しやすくなる。
特開昭56−88469号公報 特開昭55−500856号公報 特開2001−214122号公報
本発明は、上述した従来技術の各課題を解決すべくなされたものである。すなわち本発明の課題は、外観、耐擦傷性、および耐候性に優れかつプラスチック基材との十分な密着性を有する保護被膜を形成した、耐擦傷性、および耐候性に優れた樹脂成形品を提供することにある。
本発明者らは、上述した各課題を解決する為に鋭意検討した結果、プラスチック基材上に第1層として(メタ)アクリル系重合体、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、および熱加工安定剤を含有する被膜を形成し、さらにその上に第2層として、オルガノシラン類の加水分解物とコロイド状シリカを主成分とするシリカ系組成物を加熱硬化して被膜を形成することにより、プラスチック基材に対し十分な密着性を有する耐擦傷性、耐候性に優れた保護被膜が得られることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、プラスチック基材上に、以下の2層構造の保護被膜を有することを特徴とする樹脂成形品である。
第1層)プラスチック基材上に形成される層であって、(メタ)アクリル系重合体(A)、紫外線吸収剤(B)、ヒンダードアミン系光安定剤(C)、およびリン系あるいはラクトン系熱加工安定剤(D)を含む層;
第2層)第1層上に形成される層であって、式(1)で表されるオルガノシラン類(X)の加水分解物(E)およびコロイド状シリカ(F)を含むシリカ系組成物を加熱硬化して得られる層。
1 nSi(OR24-n (1)
(式中、R1は炭素数1〜10の有機基、R2は炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜4のアシル基を示す。nは1または2を示す。)
なお、本発明において「(メタ)アクリル」とは、アクリルとメタクリルの総称である。
本発明によれば、耐擦傷性、および耐候性に優れかつプラスチック基材との十分な密着性を有する保護被膜を形成した、外観、耐擦傷性、耐候性に優れた樹脂成形品を得ることができる。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
本発明において、保護被膜の第1層は、プラスチック基材上に形成される層であって、(メタ)アクリル系重合体(A)、紫外線吸収剤(B)、ヒンダードアミン系光安定剤(C)、およびリン系あるいはラクトン系熱加工安定剤(D)を含む層である。
この(メタ)アクリル系重合体(A)としては、例えば、下記式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステルを共重合して得られる重合体が挙げられる。
CH2=CR3COOR4 (2)
(式中、R3は水素原子またはメチル基、R4は水素原子または炭素数9以下の炭化水素基を示す。)
式(2)において、R4が炭素数9以下の炭化水素基である場合、R4の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル基等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルは、1種類を単独で使用してもよいし、R3、R4がそれぞれ異なる複数種を混合して用いてもよい。中でも、得られる保護被膜の耐熱性、硬度の点から、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルを主成分とするのが好ましい。
(メタ)アクリル系重合体(A)の重量平均分子量は、10,000〜500,000とするのが好ましい。10,000以上とすることで、成膜性、第2層用組成物の塗布時の耐有機溶剤性および密着性を発現することができる。また、500,000以下とすることで、溶剤への溶解性を向上するとともに得られる溶液の粘度上昇を抑制し、塗布性を向上することができる。さらに好ましい重量平均分子量は、50,000〜450,000である。
(メタ)アクリル系重合体は、その製造方法は特に限定されず、従来から知られる各種の重合方法を用いることができる。また市販品として購入することもできる。
本発明で用いる紫外線吸収剤(B)としては、化学構造は特に限定されないが、例えば、ベンゾトリアゾール類、ベンゾフェノン類、サリシレート類、蓚酸アニリド類、ジフェニルシアノアクレート類、ヒドロキシベンゾトリアジン類、サリチル酸類、シアノアクリレート類が挙げられる。特に、ベンゾトリアゾール類、ベンゾフェノン類が、汎用性および紫外線吸収能の点から好ましい。
紫外線吸収剤(B)の具体例としては、
2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−[5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−tert−ブチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチル−6−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−ドデシル−4−メチルフェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノール、オクタベンゾン、メチル3−[3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネートとポリエチレングリコールの反応生成物、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、ベンゼンプロパン酸,3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−,C7−9−側鎖および直鎖アルキルエステル、オクチル−3−[3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル]プロピオネート、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−イソオクチルオキシフェニル)−s−トリアジン、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール等が挙げられる。
中でも、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールが特に好ましい。
これらは、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用しても良い。
本発明で用いるヒンダードアミン系光安定剤(C)は、この系の光安定剤であれば、化学構造は特に限定されない。
具体例としては、N,N',N'',N'''−テトラキス[4,6−ビス{ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ}トリアジン−2−イル]−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)イミノ}]、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−オクチルオキシ−4−ピペリジニル)エステルと1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドおよびオクタンの反応生成物、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)[{3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル}メチル]ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート等が挙げられる。
中でも、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−オクチルオキシ−4−ピペリジニル)エステルと1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドおよびオクタンの反応生成物、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケートが好ましい。
これらは1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用しても良い。
本発明で用いるリン系あるいはラクトン系熱加工安定剤(D)は、リン系あるいはラクトン系であれば、化学構造は特に限定されない。
具体例としては、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト、ビス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル]エチルフォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスフォナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチル−ベンゾフラン−2−オンとo−キシレンの反応生成物、5,7−ジ−tert−ブチル−3−(3,4−ジメチルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン、5,7−ジ−tert−ブチル−3−(2,3−ジメチルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン等が挙げられる。
特に、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスフォナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、5,7−ジ−tert−ブチル−3−(3,4−ジメチルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン、5,7−ジ−tert−ブチル−3−(2,3−ジメチルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン等が良好な耐候性を与える点で好ましい。
これらは1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用しても良い。
本発明において、第1層は、耐擦傷性および耐候性を低下させない範囲で目的や用途に応じて、適宜、顔料、酸化防止剤、抗菌剤などの機能性添加物を含有してもよい。
第1層をプラスチック基材に形成する方法としては、例えば、(メタ)アクリル系重合体(A)、紫外線吸収剤(B)、ヒンダードアミン系光安定剤(C)、およびリン系あるいはラクトン系熱加工安定剤(D)を含有する溶液を塗布し、その後乾燥させる方法が一般的である。
この方法において、(A)〜(D)成分は、溶剤で希釈し、溶液として使用する。溶剤としては、例えば、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、n−ブチルセロソルブ、ジアセトンアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、イソブチルアルコール、n−ブチルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、キシレン、トルエン等が挙げられる。
中でも、アルコール系溶剤と芳香族系溶剤を混合して用いることが、(A)〜(D)各成分を良好に溶解させる点で好ましい。
さらに好ましくは、芳香族系溶剤としてトルエン、キシレンを使用することが、紫外線吸収剤(B)、ヒンダードアミン系光安定剤(C)、およびリン系あるいはラクトン系熱加工安定剤(D)を良好に溶解し、保護被膜中に均一分散できる点で好ましい。
溶剤中の芳香族系溶剤の使用量は溶剤全量に対して、3〜40質量%程度が好ましく、特に5〜20質量%がより好ましい。
(A)〜(D)成分含有溶液の濃度は、プラスチック基材への均一塗布性の点から、5〜20質量%が好ましい。(A)〜(D)各成分の使用量については、特に限定されないが、所望の膜特性に従って適宜決定される。
(A)〜(D)成分の合計質量を100とした時に、(A)成分80〜95、(B)成分4〜20、(C)成分0.1〜2、(D)成分0.01〜1とするのが好ましい。
この溶液を、例えば、刷毛塗り、ディップコート、スピンコート、フローコート、スプレーコート、ロールコート等の塗装手段によりプラスチック基材上に塗布し、塗膜を形成し、次いで必要に応じて加熱処理等を加えて乾燥させることにより第1層を形成できる。
第1層の膜厚は、0.5〜10μmとするのが好ましい。0.5μm以上とすることで、プラスチック基材及び第2層との密着性を発現できる。10μm以下とすることで、第2層のクラックの発生を抑制することができる。特に2〜6μmが好ましい。
また、第1層の340nmにおける吸光度は、2.0〜3.5とするのが好ましい。吸光度を2.0以上とすることで、紫外線によるプラスチック基材の黄変を効果的に抑制することができる。また、吸光度を3.5以下とすることで、第2層との十分な密着性を付与し、耐候性を発現することができる。
また、第1層の340nmにおける膜厚1μmあたりの吸光度は、0.5〜1.5とするのが好ましい。ここで言う「膜厚1μmあたりの吸光度」とは、第1層の吸光度をその膜厚で除した値を意味する。第1層の膜厚1μmあたりの吸光度を、0.5以上とすることで、耐候性を向上することができる。また、1.5以下とすることで、溶剤への溶解性、(メタ)アクリル系重合体(A)との相溶性を向上することができる。より好ましくは、0.6〜1.0である。
本発明において、保護被膜の第2層は、第1層上に形成される層であって、式(1)で表されるオルガノシラン類(X)の加水分解物(E)、コロイド状シリカ(F)を含むシリカ系組成物を加熱硬化して得られる層である。
1 nSi(OR24-n (1)
(式中、R1は炭素数1〜10の有機基、R2は炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜4のアシル基を示す。nは1または2を示す。)
式(1)においてR1は炭素数1〜10の有機基であり、その具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−デシル基等のアルキル基や、アリル基、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)基、3−アミノプロピル基、ビニル基、3−グリシドキシプロピル基、3−メタクリロキシプロピル基、3−メルカプトプロピル基、3−クロロブチル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、3,3,3−トリフロロプロピル基、置換基を有してもよいフェニル基等が挙げられる。なお、nが2のとき、R1は、2つが同一である必要はなく、異なっていてもよい。
式(1)において、R2は炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜4のアシル基であり、その具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、アセチル基等が挙げられる。なお、R2は、同一である必要はなく、異なった複数種類のものであってもよい。
本発明の加水分解物(E)は、式(1)で表されるオルガノシラン類(X)のアルコキシ基またはアシルオキシ基の一部または全部が水酸基に置換されたものである。また、加水分解物(E)の分子間で水酸基同士が縮合していても良い。
これらの加水分解物の製造方法としては、例えば式(1)で表されるオルガノシラン類(X)に、水(オルガノシラン類(X)1モルに対して、例えば1〜10モル)、および塩酸や酢酸などを加え溶液を酸性(例えばpH2〜5)とし、撹拌することによって製造することができる。
また、オルガノシラン類(X)は、1種類を単独で使用しても良いし、数種類を混合して使用しても良い。
中でも、オルガノシラン類(X)として、式(3)で表される3官能オルガノシラン類(X−1)と、式(4)で表されるフェニルシラン類(X−2)と、式(5)で表される2官能オルガノシラン類(X−3)を混合して使用することが好ましい。さらに、(X−1)〜(X−3)を混合して使用することが特に好ましい。
5Si(OR63 (3)
(式中、R5は炭素数1〜10のアルキル基、R6は炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜4のアシル基を示す。)
PhSi(OR73 (4)
(式中、Phは置換基を有してもよいフェニル基、R7は炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜4のアシル基を示す。)
8 2Si(OR92 (5)
(式中、R8は炭素数1〜10の有機基、R9は炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜4のアシル基を示す。)
式(3)で表される3官能オルガノシラン類(X−1)は、第2層形成用シリカ系組成物に使用することで、得られる保護被膜の硬度、耐擦傷性を発現させる成分である。
式(3)において、R5は炭素数1〜10のアルキル基であり、その具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基等が挙げられる。
式(3)において、R6は炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜4のアシル基であり、その具体例としては、先に挙げた式(1)のR2と同様のものが挙げられる。
式(3)で表される3官能オルガノシラン類(X−1)の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリプロポキシシラン、n−プロピルトリブトキシシラン、n−プロピルトリアセトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリプロポキシシラン、イソプロピルトリブトキシシラン、イソプロピルトリアセトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ブチルトリプロポキシシラン、n−ブチルトリブトキシシラン、n−ブチルトリアセトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリプロポキシシラン、イソブチルトリブトキシシラン、イソブチルトリアセトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン等が挙げられる。中でも、加水分解や縮合の速度、および得られる保護被膜の硬度、強度、耐擦傷性の点から、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシランが好ましい。特に、メチルトリメトキシシランが好ましい。
式(4)で表されるフェニルシラン類(X−2)は、第2層形成用組成物に使用することで、プラスチック基材及び第1層との密着性を向上させる成分である。
式(4)において、Phは置換基を有してもよいフェニル基であり、置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ハロゲン基等が挙げられる。R7は炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜4のアシル基であり、その具体例としては、先に挙げた式(1)のR2と同様のものが挙げられる。
フェニルシラン類(X−2)の具体例としては、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、フェニルトリブトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン等が挙げられる。中でも、加水分解、縮合の速度の速い点から、フェニルトリメトキシシランが好ましい。
式(5)で表される2官能オルガノシラン類(X−3)は、第2層形成用組成物に使用することで、得られる保護被膜の強靱性を付与することができる。
式(5)において、R8は炭素数1〜10の有機基である。なお、R8は、2つが同一である必要はなく、異なっていてもよい。その具体例としては、先に挙げた式(1)のR1と同様のものが挙げられる。R9は炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜4のアシル基を示す。その具体例としては、先に挙げた式(1)のR2と同様のものが挙げられる。
式(5)で表される2官能オルガノシラン類(X−3)の具体例としては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等を挙げることができる。加水分解速度、縮合速度の速い点から、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシランが好ましい。中でも、ジメチルジメトキシシランが特に好ましい。
また、第2層において、1官能あるいは4官能オルガノシラン類(式(1)中、nが3、または0の場合である。)を、保護被膜の性能を損なわない範囲で併用することもできる。
第2層において、コロイド状シリカ(F)は、例えば、シリカ微粒子が水に均一に分散したシリカゾル、または有機溶剤に均一に分散したオルガノシリカゾルである。分散液中のシリカ含有率(固形分濃度)は、10〜50質量%が好ましく、20〜40質量%がより好ましい。
このコロイド状シリカ(F)は、保護被膜を形成した際に保護被膜に高硬度、耐擦傷性を付与する成分である。
コロイド状シリカ(F)の粒子径は、保護被膜としたときの透明性の点から、100nm以下が好ましい。粒子径の下限は1nm以上であるものが好ましい。コロイド状シリカの溶剤は、第2層形成用シリカ系組成物に配合した際オルガノシラン類(X)の加水分解物(E)を凝集、沈殿させることなく均一に分散させ、かつ加水分解、縮合等の反応を妨げないという点から、水、メタノール、エタノール、イソブタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等の親水性溶剤であることが好ましい。
コロイド状シリカ(F)の具体例としては、水分散コロイド状シリカ、メタノール分散コロイド状シリカ、エタノール分散コロイド状シリカ、イソプロパノール分散コロイド状シリカ、エチレングリコール分散コロイド状シリカ、イソブタノール分散コロイド状シリカ等が挙げられる。中でも、他成分と混合した際の安定性の点から、イソプロパノール分散コロイド状シリカが好ましい。市販品としては、日産化学工業(株)製 スノーテックスIPA−ST(商品名)、触媒化成工業(株)製 OSCAL1432(商品名)などが挙げられる。
また、コロイド状シリカにコロイド状のアルミナルやチタンを混合して用いることもできる。
第2層形成用のシリカ系組成物としては、例えば、式(1)で表されるオルガノシラン類(X)(好ましくは(X−1)〜(X−3)混合物)、コロイド状シリカ(F)と、水(全シラン化合物の合計1モルに対して、例えば1〜10モル)とを混合し、さらに塩酸、酢酸等を加えて混合液を酸性(例えばpH2〜5)にして数時間から数日間撹拌し続け加水分解を充分に進行させる方法がある。このとき、エタノール、イソプロパノール等の親水性溶剤を加えても良い。
また、通常加水分解反応に続いて、縮合反応も進行するが、加水分解が充分に進行した後、縮合反応を進めるために水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウムなどを添加してpHを中性付近(例えば、pH6〜7)に制御しても良い。
第2層形成用シリカ系組成物中の、オルガノシラン類(X)、コロイド状シリカ(F)の使用量比率に関しては、特に制限はなく、所望の保護被膜の性能に応じて適宜決定すればよい。
好ましくは(X)成分に対する(F)成分の仕込みモル数比が、(F)/(X)=250/100〜25/100であることが好ましい。(F)成分の仕込みモル数比が(F)/(X)=250/100より小さいと、得られる保護被膜のクラック発生が抑制される。また、基材との密着性も向上する。一方、(F)の仕込みモル数比が(F)/(X)=25/100より大きいと、得られる保護被膜の表面硬度および耐擦傷性が向上する。より好ましい仕込みモル数比は(F)/(X)=200/100〜50/100である。
オルガノシラン類(X)は、式(3)で表される3官能オルガノシラン類(X−1)、式(4)で表されるフェニルシラン類(X−2)および式(5)で表される2官能オルガノシラン類(X−3)を併用するのが好ましい。
それらの使用比率に制限はなく、所望の保護被膜の性能に応じて適宜決定すればよい。好ましい使用比率は、(X−1)〜(X−3)成分の合計仕込みモルに対し、それぞれ、40〜94モル%、3〜30モル%、3〜30モル%とするのが好ましい。
(X−1)成分の好ましい使用比率は、(X−1)〜(X−3)成分の合計仕込みモルに対し、40〜94モル%である。(X−1)成分を40モル%以上とすることで、第2層の皮膜の硬度、耐擦傷性が向上する。94モル%以下とすることで、第2層の皮膜の強度がまし、クラックが発生しにくくなる。より好ましい使用比率は、60〜90モル%である。
(X−2)成分の好ましい使用比率は、(X−1)〜(X−3)成分の合計仕込みモルに対し、3〜30モル%である。(X−2)成分を3モル%以上とすることで、得られる保護被膜とプラスチック基材との密着性が向上する。また、30モル%以下とすることで、得られる保護被膜の硬度と耐擦傷性の低下を抑制することができる。より好ましい使用比率は、5〜20モル%である。
(X−3)成分の好ましい使用比率は、(X−1)〜(X−3)成分の合計仕込みモルに対し、3〜30モル%である。(X−3)成分を3モル%以上とすることで、得られる保護被膜の強靱性が向上する。また、30モル%以下とすることで、得られる保護被膜の硬度と耐擦傷性の低下を抑制することができる。より好ましい使用比率は、5〜20モル%である。
なお、上述した(X)、(X−1)、(X−2)、(X−3)、(F)成分の各モル数は、以下の式で示されるものである。
(X)成分のモル数=(オルガノシラン類(X)の仕込み質量)/(オルガノシラン類(X)の分子量)
(X−1)成分のモル数=(3官能オルガノシラン類(X−1)の仕込み質量)/(3官能オルガノシラン類(X−1)の分子量)
(X−2)成分のモル数=(フェニルシラン類(X−2)の仕込み質量)/(フェニルシラン類(X−2)の分子量)
(X−3)成分のモル数=(2官能オルガノシラン類(X−3)の仕込み質量)/(2官能オルガノシラン類(X−3)の分子量)
(F)成分のモル数=(コロイド状シリカ溶液中の仕込みシリカ(固形分)質量)/(シリカの分子量;60.1(SiO2として))。
本発明の第2層形成用シリカ系組成物は、固形分濃度調整、分散安定性向上、塗布性向上、第1層目の保護被膜への密着性向上等を目的として、有機溶媒を含有することが好ましい。有機溶媒としては、アルコール類、ケトン類、エーテル類、セロソルブ類、エステル類、芳香族化合物類、エステル類などを挙げることができる。具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、イソブタノール、ジアセトンアルコール、γ−ブチロラクトン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどを挙げることができる。これらは1種あるいは2種以上を混合して使用することもできる。
本発明の第2層形成用シリカ系組成物の全固形分濃度は1〜50質量%とするのが好ましい。全固形分濃度を50質量%以下とすることで、シリカ系組成物の保存安定性を保ち、ならびに液の粘度が高くなり過ぎるのを防止して良好な塗膜を得る点で意義が有る。
また、全固形分濃度を1質量%以上とすることで、固形分が低くなりすぎて塗膜が薄くなり、十分な耐擦傷性が得られなくなるのを避ける点で意義が有る。より好ましい全固形分濃度は、5〜40質量%である。
第2層形成用組成物には、比較的低い温度でより速く硬化させるために硬化触媒を加えることができる。硬化触媒としては、例えば、カルボン酸のアルカリ金属塩およびアンモニウム塩、過塩素酸塩、アセチルアセトン酸の金属塩、第四級アンモニウムおよび第四級アンモニウム塩等が挙げられる。また、被膜表面の平滑性を向上させるためのレベリング剤(シリコーン系、フッ素系界面活性剤等)、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、光安定剤、導電性微粒子等を添加することもできる。
第2層形成用シリカ系組成物を調製する方法の好適な一例を説明する。
まず、式(1)で表されるオルガノシラン類(X)を良く混合撹拌する。この混合液を攪拌しながら、適量の水を入れ充分に加水分解する。その際、加水分解を促進するために塩酸、酢酸などによりpH2〜5に調整する。さらにコロイド状シリカ(F)を加え、攪拌を続ける。3〜5時間程度攪拌後、NMR法により充分に加水分解されているのを確認した後、アンモニウム、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム水溶液などを添加し、pHを6〜7程度に調整し、約20時間程度攪拌を続け縮合を行う。その後、有機溶媒、必要に応じ硬化剤、紫外線吸収剤、レベリング剤などを添加し、均一に混合して、第2層形成用の組成物を得ることができる。
この方法において、式(1)で表されるオルガノシラン類(X)を複数種類使用する場合(例えば式(3)で表される(X−1)、式(4)で表される(X−2)、式(5)で表される(X−3)を併用する場合)は、それぞれに適量の水で加水分解した後、混合してもよいし、予め複数種のオルガノシラン類(X)を混合した後、適量の水を加え加水分解しても良い。さらには、式(1)で表される、オルガノシラン類(X)およびコロイド状シリカ(F)を予め混合し、その後加水分解を行っても良い。
このようにして得た第2層形成用組成物を用いて、第2層を形成する方法の好適な一例を説明する。まず、プラスチック基材上に形成された第1層の上に、第2層形成用組成物を刷毛塗り、ディップコート、スピンコート、フローコート、スプレーコート、ロールコート等の塗装手段により塗布し、塗膜を形成する。次いで、この塗膜を20〜60℃で5〜60分間乾燥させ、その後80〜130℃で1〜5時間加熱、硬化させることにより、第2層が得られる。
本発明における第2層の膜厚は、1〜10μmとするのが好ましい。厚さを1μm以上とすることで、耐擦傷性を向上させることができる。また、膜厚を10μm以下とすることで、第2層を形成する際にクラックが発生し難くなる。特に好ましい膜厚は、2〜5μmである。
本発明において、プラスチック基材の形状や材質は特に限定されず、従来より樹脂成形品に使用し得るものとして知られる各種のものを使用できる。特に、本発明においては、ポリカーボネートからなる基材を用いることが好ましい。
以下に実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例中の被膜の物性は下記の方法による測定結果を示したものである。
1)膜厚
保護被膜を有する樹脂成形品の断面を走査型電子顕微鏡で観察し、第1層、第2層の膜厚を測定した。
2)吸光度
板厚3mm石英ガラス板上に、実施例、比較例の第1層成形と同様の方法で、同じ膜厚の保護被膜を形成し、可視紫外吸光光度計により、340nmにおける、第1層の吸光度を測定した。
3)外観
目視にて保護被膜を有する樹脂成形品の透明性、クラック、白化の有無を観察し、以下により評価した。
○:透明でクラック、白化の欠陥がないもの(良好)。
×:不透明な部分のあったもの、クラック、白化の欠陥があったもの(不良)。
4)耐擦傷性
保護被膜を有する樹脂成形品の表面を、#000のスチールウールにて、1kg/cm2の圧力を加えて10往復擦り、1cm×3cmの範囲に発生した傷の程度を観察し、以下の基準で評価した。
A:ほとんどキズがつかない。光沢面あり。
B:1〜9本のキズがつく。光沢面あり。
C:10〜99本のキズがつく。光沢面あり。
D:100本以上のキズがつく。光沢面あり。
E:光沢面がなくなる。
5)被膜密着性
樹脂成形品の保護被膜へ、カミソリの刃で1mm間隔に縦横11本ずつの切れ目を入れて100個の碁盤目を作り、セロハンテープをよく密着させた後、45度手前方向に急激に剥がした後、保護被膜が剥離せずに残存したマス目数を計測し、以下の基準で評価した。
○:剥離したマス目が無い(密着性良好)。
△:剥離したマス目が0〜5/100(密着性中程度)。
×:剥離したマス目が6/100以上(密着性不良)。
6)耐候性
初期物性の良好なものについて、JIS K5400 サンシャインウェザーメーター加速曝露試験(ブラックパネル温度63℃、湿度50%RH、「12分雨有り→48分雨なし」を1サイクルとした。)を実施した。2000時間曝露後と5000時間曝露後の外観、被膜密着性を下記基準で評価した。
○:5000時間曝露後、透明でクラック、白化の欠陥がなく、被膜密着性があるもの(耐候性良好)。
△:2000時間曝露後、透明でクラック及び白化の欠陥がなく、被膜密着性があるものの、5000時間曝露後、試験前と比較して、不透明な部分、クラック、白化の欠陥が増加したもの、被膜密着性が低下したもの(耐候性中程度)。
×:2000時間曝露後、試験前と比較して、不透明な部分、クラック、白化の欠陥が増加したもの、被膜密着性が低下したもの(耐候性不良)。
また、下記の化合物を使用した。なお、第1表、第2表の略号は下記による。
・(メタ)アクリル系樹脂(A)
P−1: ポリメチルメタクリレート、重量平均分子量95,000(三菱レイヨン(株)製、商品名:BR−80)
・紫外線吸収剤(B)
UVA−1: 2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名:チヌビンP)
UVA−2: 2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名:チヌビンPS)
・ヒンダードアミン系光安定剤(C)
HALS−1: デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−オクチルオキシ−4−ピペリジル)エステルと1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドおよびオクタンの反応生成物(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名:チヌビン123)
HALS−2: ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケートとメチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケートの混合物(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名:チヌビン292)
・リン系あるいはラクトン系熱加工安定剤(D)
TS−1: 5,7−ジ−tert−ブチル−3−(3,4−ジメチルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オンを主成分とする混合物(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名:HP−136)
TS−2: ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガフォス126)
TS−3: テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスフォナイト(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガフォスP−EPO)
・オルガノシラン類(X)
MTMS: メチルトリメトキシシラン(X−1)
ETMS: エチルトリメトキシシラン(X−1)
MTES: メチルトリエトキシシラン(X−1)
PhTMS: フェニルトリメトキシシラン(X−2)
DMDMS: ジメチルジメトキシシラン(X−3)
・コロイド状シリカ(F)
IPA−ST: イソプロピルアルコール分散コロイド状シリカ(固形分濃度30質量%、日産化学工業(株)製、商品名:スノーテックスIPA−ST)
実施例1
[第1層形成用組成物の調製]
(メタ)アクリル系重合体(A)として、P−1 11.0g、紫外線吸収剤(B)として、UVA−1 1.26g、ヒンダードアミン系光安定剤(C)として、HALS−1 0.25gおよび熱加工安定剤(D)として、TS−1 0.02gとTS−2 0.04gを、トルエン8.9g、ジアセトンアルコール26.7gおよびプロピレングリコールモノメチルエーテル53.4gの混合溶媒に均一に溶解し、第1層形成用組成物とした。
[第2層形成用組成物の調製]
(X−1)成分として、MTMS 16.3g(0.120mol)、(X−2)成分として、PhTMS 2.97g(0.015mol)、(X−3)成分として、DMDMS 1.80g(0.015mol)、(F)成分として、IPA−ST 30.1g(0.150mol)を用い、水20.0gと混合した。この溶液を攪拌しつつ、さらに溶液がpH2.0となるように0.05N塩酸を加えた。溶液が発熱するので、水浴で冷却しつつ、液温を約10℃に維持しながら4時間攪拌を続けた。次いで、溶液がpH6.8となるように、酢酸ナトリウムを加え、さらに20時間攪拌した。有機溶剤としてγ−ブチロラクトン12.0gおよびブチルセロソルブ13.9gを加え攪拌し均一溶液とした。さらに、シリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名:L−7001)0.01gを添加し、約1時間室温で攪拌し、第2層形成用シリカ系組成物を得た。
[保護被膜の形成]
ポリカーボネート板(筒中プラスチック(株)製、商品名:ポリカエースECK100)上に、第1層形成用組成物をディップコート法(引き上げ速度約30cm/分)で塗布し、室温で約30分自然乾燥し、その後乾燥器により120℃で0.5時間加熱することにより、第1層を形成した。次いで、第1層を形成したポリカーボネート板上に、第2層形成用組成物をディップコート法(引き上げ速度約30cm/分)で塗布し、室温で約20分自然乾燥し、その後乾燥器により120℃で2時間加熱、硬化することにより第2層を形成し、ポリカーボネート基材上に2層構造の保護被膜を有する樹脂成形品を得た。第1層の膜厚は4.1μm、340nmにおける吸光度は3.0であった。また、第2層の膜厚は約2.5μmであった。
この樹脂成形品は、優れた外観、耐擦傷性、被膜密着性、耐候性を有していた。評価結果を第1表に示した。
実施例2〜11
第1表に示す各種組成の保護被膜形成用組成物を実施例1と同様の方法で調整し、実施例1と同様の方法にて保護被膜を有する樹脂成形品を作製した。これらの樹脂成形品について、実施例1と同様に評価し、その結果を第1表に示した。実施例2〜11で得た樹脂成形品は、実施例1と同様に優れた外観、耐擦傷性、被膜密着性、耐候性を有していた。
比較例1〜4
第2表に示す各種組成の保護被膜形成用組成物を実施例1と同様の方法で調整し、実施例1と同様の方法にて保護被膜を有する樹脂成形品を作製した。得られた樹脂成形品について、実施例1と同様に評価し、その結果を第2表に示した。
比較例5
第2層を形成せず、第1層のみをポリカーボネート板上に形成したこと以外は、実施例1と同様の方法にて保護被膜を有する樹脂成形品を作製した。得られた樹脂成形品について、実施例1と同様に評価し、その結果を第2表に示した。
比較例6
第1層を形成せず、第2層のみをポリカーボネート板上に形成したこと以外は、実施例1と同様の方法にて保護被膜を有する樹脂成形品を作製した。得られた樹脂成形品について、実施例1と同様に評価し、その結果を第2表に示した。
比較例7
保護被膜を形成することなく、ポリカーボネート板をそのまま実施例1と同様に評価し、その結果を第2表に示した。
下記第1表および第2表から明らかなように、実施例の樹脂成形品は、比較例のものと比べて、外観、被膜密着性、耐擦傷性、および耐候性が良好であった。
Figure 2005059344
Figure 2005059344
Figure 2005059344
以上説明したように、本発明によれば、外観、耐擦傷性、および耐候性に優れかつプラスチック基材との十分な密着性を有する保護被膜を形成した、耐擦傷性、および耐候性に優れた樹脂成形品を得ることができる。

Claims (3)

  1. プラスチック基材上に、以下の2層構造の保護被膜を有することを特徴とする樹脂成形品:
    第1層)プラスチック基材上に形成される層であって、(メタ)アクリル系重合体(A)、紫外線吸収剤(B)、ヒンダードアミン系光安定剤(C)、およびリン系あるいはラクトン系熱加工安定剤(D)を含む層;
    第2層)第1層上に形成される層であって、式(1)で表されるオルガノシラン類(X)の加水分解物(E)およびコロイド状シリカ(F)を含むシリカ系組成物を加熱硬化して得られる層。
    1 nSi(OR24-n (1)
    (式中、R1は炭素数1〜10の有機基、R2は炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜4のアシル基を示す。nは1または2を示す。)
  2. リン系あるいはラクトン系熱加工安定剤(D)が、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスフォナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、5,7−ジ−tert−ブチル−3−(3,4−ジメチルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン、5,7−ジ−tert−ブチル−3−(2,3−ジメチルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オンのいずれかである請求項1記載の樹脂成形品。
  3. プラスチック基材がポリカーボネート系重合体である請求項1記載の樹脂成形品。
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