JP2010121013A - 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、ハードコート用硬化膜及び積層体 - Google Patents

活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、ハードコート用硬化膜及び積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた硬度と耐傷性、耐汚染性を有する硬化膜を形成する、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、及び該組成物を用いた硬化膜、積層体を提供する。
【解決手段】(A)特定構造の有機無機複合体を含む、多官能(メタ)アクリレート誘導体、(B)1〜4官能の(メタ)アクリレート及び/又は(メタ)アクリルアミド、(C)光重合開始剤、(D−1)ポリジメチルシロキサン基、パーフルオロアルキル基、及びパーフルオロアルキレン基から選ばれる一以上の基を含む活性エネルギー線硬化性化合物、を特定組成範囲で配合した組成物であって、特定条件で得られる硬化膜表面の鉛筆硬度がHB以上であり、且つ25℃の粘度が10〜500mPa・sであり、有機溶剤を組成物中の5重量%を越えて含まない組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、実質的に溶剤を含まない活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、該組成物を硬化させてなるハードコート用硬化膜及びそれを有する積層体に関する。
プラスチック製品、例えばポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、メチルメタクリレート−スチレン共重合体(MS樹脂)、アクリロニトリルスチレン共重合体(AS樹脂)などのスチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、トリアセチルセルロースなどの酢酸セルロースなどの樹脂素材は、その軽量性、易加工性、耐衝撃性、などが特に優れているので、容器、自動車のインストルメントパネルや外板や天窓、窓材、屋根材、太陽電池パネル、包装材、各種ハウジング材、光ディスク基板、プラスチックレンズ、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、プロジェクションTVなどの表示機器の基材、等、種々の用途に用いられている。
しかしながら、これらプラスチック製品は表面硬度が低いため傷つきやすく、ポリカーボネートやポリエチレンテレフタレートのような透明な樹脂においては、一度傷ついてしまうとその樹脂が持つ本来の透明性あるいは外観が著しく損なわれるという欠点があり、耐摩耗性を必要とする分野でのプラスチック製品の使用を困難なものとしている。
このため、これらプラスチック製品の表面に耐摩耗性を付与する活性エネルギー線硬化性ハードコート材料(被覆材)が求められており、これらは一般的に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に活性エネルギー線を照射して重合させてなる硬化膜(以下、単に「硬化膜」と称する場合がある)が使用されている。
たとえば、1分子内に3個以上のアクリロイル基を有する多官能アクリレート類、その誘導体(ウレタンアクリレート、エステルアクリレート、エポキシアクリレートなど)はこれらに適したものとして、広く用いられている。しかしながら、このような化合物のみを硬化成分として用いた活性エネルギー線硬化性ハードコート材料の硬化膜は収縮が大きく、反りが生じ、剥がれたり、亀裂を生じたりするため、厚く塗布することが困難であり、結果として達成しうる硬度や耐傷性には限界があった。
また、一部の化合物を除き、多官能アクリレート類は、一般に室温での粘度が非常に高く(5000〜1000000mPa・s)、塗工方法に制約を生じたり、均一な膜厚での塗布、平滑な表面を形成するような塗布が難しく、溶剤で希釈するか、水系エマルジョンなどにすることで塗布時の粘度を下げる必要があった。
一方で、近年、環境負荷の低減、生産性の向上、液のリサイクルの容易さなどさまざまな観点から、できるだけ溶剤を使用せず、高濃度のまま、或いは無溶剤で使用可能な活性エネルギー線硬化性コーティング剤の必要性が増大している。
このような問題のうち、硬化収縮を下げる方法については、いろいろなアプローチが提案、実施されている。例えば、1〜2官能のアクリル基を有する化合物を反応性希釈剤として用いる方法を挙げることができる。
しかし、この方法は、一般には架橋密度が下がるため、本来の硬度、耐傷性が低下してしまうという問題があり、ハードコート材料としての使用には限界があった。
無溶剤の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物としては、特定の用途に限定して改良品が提案されており、例えば、特許文献1にはポリエステルフィルムのインラインハードコート用の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、特許文献2には光ディスクを貼り合わせる為の接着剤用の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が記載されている。
また、高硬度、優れた耐傷性(耐摩耗性)を与える有機無機複合体を含む活性エネルギー線硬化性組成物の場合、無機成分が無溶剤化の際に凝集し、増粘したり透明性が低下するため、無溶剤の活性エネルギー線硬化性組成物とすることは難しい。これに対して、特許文献3や4には無溶剤で有機無機複合体を含む活性エネルギー線硬化性組成物が記載されている。
次世代型の光情報媒体やタッチパネル機能を付与した光学ディスプレイ等の光学物品においては、近年、指紋汚れが外観だけではなく性能や安全に影響を及ぼすことが問題になり、特に光情報媒体においては、次世代型の光情報媒体では記録/再生のエラー増大等、性能に直接影響を及ぼす問題として重大視されるようになってきた。指紋汚れのみではなく使用環境によっては、塵、埃等の他の汚染物質による汚染も起こり、これらも記録不良、再生不良等のエラーの重大な原因となる。
中でも高密度の光情報媒体として、対物レンズの開口度(N/A)を大きくする、および/または記録/再生波長を400nmまで短波長化することで、ビーム集光スポット径を小さくし、単位密度あたりの記録密度を従来(DVD)の数倍以上に高密度化した媒体が提案され、例えばBlu−Ray Disc、またはHD−DVD等の新たな光情報媒体が登場してきた。
このように記録密度を高めていくと、媒体の記録/再生ビーム入射側表面における記録/再生ビームの集光スポット径が小さくなるため、特に指紋や塵、埃などの汚れの影響が大きくなる。特に指紋のように有機物を含む汚れについては、汚れが媒体のレーザー光入射側の表面に付着した場合、記録/再生エラー等の深刻な影響を生じるうえ、その除去もしにくいことから、その対策が必要となる。
本発明者らは、すでに、特許文献5、特許文献6において特定のポリシロキサン基とエポキシ基を含ませた特定の共重合体、あるいはその(メタ)アクリル酸反応物が耐汚染性付与剤として極めて有効であることを示しており、このような耐汚染性付与剤を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が、次世代光ディスク、または高性能タッチパネルなどの光学ディスプレイ積層体用のハードコート材として極めて優れたものであることを見出している。
特開2001−301095号公報 特開2005−196888号公報 特開平6−299088号公報 特開2007−177194号公報 特開2006−160802号公報 WO2006−059702号公報
しかしながら、特許文献1に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、インラインハードコート用であるため室温より高い温度での塗布プロセスには適しているが、このような組成物は室温では粘度が高いため、通常のオフラインでのコーテイングプロセスには必ずしも適さない。
特許文献2に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物では、粘度、硬化性についてはその塗布プロセスに適したものが提案されているが、接着剤用であるためハードコート材として使用するには硬度が不足していて実用的ではない。
特許文献3及び4に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、硬化性が不十分であったり、得られる硬化膜の硬度が十分ではなかった。さらに耐汚染性付与成分のような疎水性材との相溶性に乏しく、透明性にも問題が生じるものが多く、実用的に満足できるものではない。
特許文献5及び6に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物のような従来のハードコート剤は、有機溶剤を含んでおり環境負荷への影響低減/未反応液のリサイクル等を考えた場合、抜本的な改良が必要であった。
本発明は上記課題を解決することを目的としたものであって、実質的に溶剤を含まないにもかかわらず塗布方法に合わせた幅広い範囲の粘度設定が可能で、かつ硬化性に優れているので光重合開始剤の量が少なく、緩やかな条件での活性エネルギー線で硬化が可能であり、更に、得られる硬化膜の硬度、耐傷性(耐摩耗性)及び耐汚染性が良好である、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
加えて、このような組成物を硬化させてなる硬化膜及び/又は該硬化膜からなるハードコート層を表面に有する積層体で、表面に高硬度、耐摩耗性、及び長期に亘って持続し得る優れた耐汚染性および耐汚染性の耐久性を有するような硬化膜及び/又は該硬化膜からなるハードコート層を表面に有する積層体をも提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行なった結果、耐汚染性を有する特定の構造の活性エネルギー線硬化性化合物を用い、1〜4官能の(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミドと、比較的少ない添加量で硬化が可能な光重合開始剤の、特定の組み合わせを選定し、これらと多官能(メタ)アクリレートが、共有結合で結合した有機無機複合体を含む多官能(メタ)アクリレート誘導体を配合した活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、従来知られるものよりも高い硬化性・高い硬度・耐傷性を有し、更に、さまざまな塗布方法に対応しうる粘度に設定可能で塗布性にも優れることを見出し本発明に至った。
すなわち本発明は、下記(A)、(B)、(C)及び(D−1)を含み、25℃の粘度が10〜500mPa・sである活性エネルギー線硬化性樹脂組成物であって、厚さ1mmのポリカーボネートフィルム上に、厚さ3μmの該活性エネルギー線硬化性樹脂組成物からなる塗膜を形成し、酸素濃度20%の条件下で、波長254nmでの放射照度が400mW/cm2である高圧水銀ランプを用い、紫外線を1000mJ/cm2の積算光量となるように照射した際の、硬化膜表面の鉛筆硬度がHB以上であり、且つ、有機溶剤を該組成物中の5重量%を越えて含まないことを特徴とする、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に関する。
(A)1分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートが、共有結合で無機酸化物微粒子に結合した有機無機複合体を含む、多官能(メタ)アクリレート誘導体 25〜90重量部
(B)1分子内に1〜4個の(メタ)アクリロイル基及び/又は(メタ)アクリルアミド基を含む、1〜4官能の(メタ)アクリレート及び/又は(メタ)アクリルアミド 10〜75重量部
(C)光重合開始剤 (A)及び(B)の合計量100重量部に対して2〜5重量部
(D−1)ポリジメチルシロキサン基、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキレン基から選ばれる一以上の基を含む活性エネルギー線硬化性化合物 (A)及び(B)の合計量100重量部に対し0.1〜15重量部
また本発明は、前記活性エネルギー線硬化性化合物(D−1)が、下記(D−2)である、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に関する。
(D−2)ポリジメチルシロキサン基、パーフルオロアルキル基、及びパーフルオロアルキレン基から選ばれる一以上の基を含むモノマーとエポキシ基を有する(メタ)アクリレートを含むモノマーとの混合物のラジカル重合体のエポキシ基の少なくとも一部に、1分子内に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸を反応させてなる構造に相当する構造を有する活性エネルギー線硬化性重合体
また本発明は、下記(A)、(B)、(C)及び(D−2)を含み、25℃の粘度が10〜500mPa・sである活性エネルギー線硬化性樹脂組成物であって、且つ、有機溶剤を該組成物中の5重量%を越えて含まないことを特徴とする、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物にも関する。
(A)1分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートが、共有結合で無機酸化物微粒子に結合した有機無機複合体を含む、多官能(メタ)アクリレート誘導体 25〜90重量部
(B)1分子内に1〜4個の(メタ)アクリロイル基及び/又は(メタ)アクリルアミド基を含む、1〜4官能の(メタ)アクリレート及び/又は(メタ)アクリルアミド 10〜75重量部
(C)光重合開始剤 (A)及び(B)の合計量100重量部に対して2〜5重量部
(D−2)ポリジメチルシロキサン基、パーフルオロアルキル基、及びパーフルオロアルキレン基から選ばれる一以上の基を含むモノマーとエポキシ基を有する(メタ)アクリレートを含むモノマーとの混合物のラジカル重合体のエポキシ基の少なくとも一部に、1分子内に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸を反応させてなる構造に相当する構造を有する活性エネルギー線硬化性重合体 (A)及び(B)の合計量100重量部に対し0.1〜15重量部
また本発明は、前記(B)が下記(i)〜(iii)の少なくとも一つを含む、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に関する。
(i)1分子内に1個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートであって、該(メタ)アクリロイル基に結合する酸素原子に、直接、又は、α−位炭素若しくはβ−位炭素を介して、(ポリ)シクロアルキル基、(ポリ)シクロアルケニル基、ヒドロキシアルキル基、環状エーテル基、及び(ポリ)アルキレンオキサイド基、から選ばれる1つが結合している(メタ)アクリレート
(ii)1分子内に2〜4個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートであって、少なくともいずれか一つの(メタ)アクリロイル基に結合する酸素原子に、直接、又は、α−位炭素若しくはβ−位炭素を介して、(ポリ)シクロアルキレン基、(ポリ)シクロアルケニレン基、ヒドロキシアルキレン基、環状エーテル基、(ポリ)アルキレンオキサイド基、から選ばれる1つが結合している(メタ)アクリレート
(iii)1分子内に1〜4個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリルアミドであって、(メタ)アクリロイル基に結合するアミノ基が2つのアルキル基で置換されている(メタ)アクリルアミド(ただし、2つのアルキル基は、直接、又は、ヘテロ原子を介して結合していてもよい)
また本発明は、前記(B)の総重量の1/3以上が前記(i)〜(iii)である、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に関する。
また本発明は、前記(B)が1分子内に1〜4個のアクリロイル基を含むものである、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に関する。
また本発明は、前記(A)が、ペンタエリスリトールトリアクリレートとトリエトキシシリルプロピルイソシアネートの反応物がコロイダルシリカに結合したコロイダルシリカ修飾物、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとトリエトキシシリルプロピルイソシアネートとの反応物がコロイダルシリカに結合したコロイダルシリカ修飾物、これらのコロイダルシリカ修飾物のポリアルキレンオキシドによる変性物、又はこれらのコロイダルシリカ修飾物のポリカプロラクトンによる変性物、のいずれかを含む、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に関する。
また本発明は、前記(C)がα−アミノフェニルケトン類、ベンゾフェノン類、ベンゾイルギ酸(エステル)類、及びオキシムエステル類、から選ばれる一以上を含む、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に関する。
また本発明は、厚さ1mmのポリカーボネートフィルム上に、厚さ3μmの前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物からなる塗膜を形成し、酸素濃度20%の条件下で、波長254nmでの放射照度が400mW/cm2である高圧水銀ランプを用い、紫外線を1000mJ/cm2の積算光量となるように照射した際の、硬化膜表面の水の接触角が80度以上、ヘキサデカンの接触角が25度以上である活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に関する。
また本発明は、光学材料用である前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に関する。
さらに本発明は、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に、活性エネルギー線を照射してなる硬化膜にも関する。
また本発明は、前記硬化膜からなるハードコート層を表面に有する、積層体にも関する。
また本発明は、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を塗布して塗膜を形成し、該塗膜を乾燥させる工程を経ることなく活性エネルギー線を照射して硬化膜を形成する、硬化膜の製造方法に関する。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、実質的に溶剤を含まないにもかかわらず塗布方法に合わせた幅広い範囲の粘度設定が可能で、かつ硬化性に優れているので光重合開始剤の量が少なく、温和な条件での活性エネルギー線で硬化が可能であり、更に、得られる硬化膜の硬度及び耐傷性(耐摩耗性)が良好である。この結果、該活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を光記録媒体用の基板や光学ディスプレイ表面などに塗布して硬化させることで、優れた硬化性、耐傷性、透明性を有し、さらに、これらの性能の耐久性も高めることが可能になる。特に、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は硬化性が良好であるので、表面硬度の高いハードコート層を与えることが可能である。
また、実質的に溶剤を含まないため、未硬化の液のリサイクルも容易で、しかも実質的に揮発しやすい有機溶剤を含まないため、環境負荷が小さい。
また、耐汚染性(特に指紋汚れがつきにくく、万一ついても容易にふき取れ、その効果が長期に亘って持続するので耐久性にも優れる)が非常に優れており、製品性能の耐久性を高めることができる。
以下において、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の代表例であり、これらの内容に本発明は限定されるものではない。
なお、本明細書において(メタ)アクリロイル基とはアクリロイル基とメタクリロイル基との総称である。(メタ)アクリル、(メタ)アクリレートについても同様である。
また、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
[I]活性エネルギー線硬化性樹脂組成物
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、(A)1分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートが、共有結合で無機酸化物微粒子に結合した有機無機複合体を含む、多官能(メタ)アクリレート誘導体、(B)1分子内に1〜4個の(メタ)アクリロイル基及び/又は(メタ)アクリルアミド基を含む、1〜4官能の(メタ)アクリレート及び/又は(メタ)アクリルアミド、(C)光重合開始剤、及び(D−1)ポリジメチルシロキサン基、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキレン基から選ばれる一以上の基を含む活性エネルギー線硬化性化合物を含み、25℃の粘度が10〜500mPa・sであって、有機溶剤を該組成物中の5重量%を越えて含まないものである。
まず、(A)〜(D−1)の各成分について説明する。
(A)多官能(メタ)アクリレート誘導体
本発明における成分(A)である多官能(メタ)アクリレート誘導体は、1分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートが、共有結合で無機酸化物微粒子に結合した有機無機複合体(以下、(Ai)と呼ぶことがある)を含む。
また、成分(A)は成分(Ai)以外に、無機酸化物微粒子に共有結合以外の結合で多官能(メタ)アクリレートが結合したもの、無機酸化物微粒子に結合していない多官能(メタ)アクリレートなどを含んでいても良い。
成分(A)中の成分(Ai)の含有量は、好ましくは成分(A)中の5重量%以上、より好ましくは10重量%以上であって、好ましくは80重量%以下、より好ましくは70重量%以下である。
本発明で用いることができる有機無機複合体(Ai)は、通常、無機酸化物微粒子に−O−Si−R−結合を介して1分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートが結合しているものであることが好ましい。ここで、Rは炭素数2〜10の直鎖または分岐のアルキレン基を表す。
(a−1)(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤
本発明で用いることができる有機無機複合体(Ai)の製造には、例えば、(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤(以下、(a−1)と呼ぶことがある)を用いて製造することができる。
無機酸化物微粒子の表面に、−O−Si−R−結合(Rは炭素数2〜10の直鎖または分岐のアルキレン基を表す)、より好ましくは−O−Si−R−S−結合を介して、(メタ)アクリロイル基を有する基を結合させるには、(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤(a−1)を用いるのが好ましい。
このような成分(a−1)の好ましい一例として、分子量300以上で、ラジカル重合可能な官能基としてアクリロイル基またはメタクリロイル基を3個以上含むシランカップリング剤が挙げられる。アクリロイル基またはメタクリロイル基の数は、特に制限されるものではないが、1分子あたり3〜5個の(メタ)アクリロイル基を有することが好ましい。さらに、その位置も特に制限されるものではないが、分子の末端にあることが好ましい。
また、成分(a−1)は下記式(1)で示される構造を有する有機化合物であることがより好ましい。
(化1)
−X−C−NH− ・・・・(1)


(式(1)中、X及びYは、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子またはイミノ基を表す)。
式(1)で表される構造は、分子間において水素結合による強固な凝集力を発生させることにより機械的強度を高め、得られる硬化膜の基材への密着性および耐熱性などを高める効果があるとともに、無機酸化物微粒子の表面とラジカル重合性官能基との間のスペーサーとしても働き、過度の凝集を抑える効果があり好ましい。具体的には、−OCONH−、−SCONH−、−SCSNH−、−OCSNH−、−NHCONH−および−NHCSNH−(以下、これらを併せて式(2)と呼ぶことがある)などを挙げることができる。これらの構造のうち、熱安定性や合成の容易さの観点から、−OCONH−、−SCONH−が特に好ましい。
また、成分(a−1)はチオエーテル基を有する有機化合物であっても良い。チオエーテル基も、シリカ表面とラジカル重合性官能基または特定の極性官能基との間のスペーサーとして働き、過度の凝集を抑える効果があり好ましい。
無機酸化物微粒子と結合しうるシランカップリング剤(a−1)のシラノール基を生成しうる官能基としては、アルコキシシリル基が特に好ましい。アルコキシシリル基としては、モノアルコキシシリル基、ジアルコキシシリル基、トリアルコキシシリル基等を挙げることができるが、中でもトリメトキシシリル基やトリエトキシシリル基などの低級アルコールのトリアルコキシシリル基が反応性の点から特に好ましい。分子中における、これらの基の位置は、(メタ)アクリロイル基と反対側の分子末端にあることが好ましい。また1分子中の基の数は1〜3個であることが好ましく、1個であるのがより好ましい。
シラノール基またはシラノール基を生成し得る官能基(シラノール基生成単位)は、縮合反応または加水分解に続いて起きる縮合反応によって、無機酸化物微粒子と結合し得る生成単位である。このような生成単位を有する化合物の好ましい例をいくつか例示すると、
1)OH基を有する(メタ)アクリレート化合物のOH基と、NCO基を有するトリアルコキシシランのNCO基とが−OCONH−を形成して結合した化合物、
2)SH基を有するトリアルコキシシラン化合物のSH基と、ジイソシアネートの一方のNCO基を−NHCOS−を形成して結合し、残りのNCO基にOH基を有する(メタ)アクリレート化合物を作用させ、−NHCOO−を形成して結合した化合物、
3)NCO基を有する(メタ)アクリレート化合物のNCO基と、SH基を有するトリアルコキシシランのSH基とが、−NHCOS−を形成して結合した化合物、
4)分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物、とSH基を有するトリアルコキシシランとが、SH基の不飽和基((メタ)アクリロイル基)へのマイケル付加反応により生成するチオエーテルを解して結合した化合物、および
5)α,ω−ヒドロキシ末端ポリアルキレングリコールのモノ(メタ)アクリル酸エステルと、NCO基を有するシランカップリング剤とを反応させた化合物、
などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
OH基を有する(メタ)アクリレートとしては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどのトリ(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールペンタアクリレートなどのポリ(メタ)アクリレートが好ましい。
NCO基を有するトリアルコキシシラン化合物としては、例えば、トリエトキシシリルプロピルイソシアネート(信越化学社製 KBE9007など)、トリメトキシシリルプロピルイソシアネート、およびトリメトキシシリルプロピルメルカプタン(信越化学社製 KBM803、東レダウコーニングシリコン社製 SH6062など)などのトリアルコキシシリルアルキルメルカプタンと、ジイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)およびトルエンジイソシアナート(TDI)など)の一方のNCO基とが、チオウレタン結合を形成して結合した化合物などを例示することができる。
OH基とNCO基との反応による−OCONH−の生成法は、各化合物のNCO基の数/OH基の数≦1となるような割合で配合し、60〜100℃で1時間〜20時間混合攪拌することにより得られる。本反応においては、反応中のアクリロイル基による重合などを防止するために、例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、カテコール、p−t−ブチルカテコールおよびフェノチアジンなどの重合禁止剤を使用するのが好ましい。その配合量は反応混合物に対して、好ましくは0.01〜1重量%、より好ましくは0.05〜0.5重量%である。また反応を促進するために、例えば、ジラウリン酸ジ−n−ブチル錫、および、ジアザビシクロオクタン(DABCO)などのような公知の反応触媒を添加しても良い。さらに、本反応は、例えば、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒、エチレングリコールジエチルエーテルおよびジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル系溶媒、酢酸エチルおよび酢酸ブチルなどのカルボン酸エステル系溶媒、ならびに、キシレンおよびトルエンなどの芳香族炭化水素溶媒など、イソシアネート基と反応しうる基を含まない溶媒中で、または、同時に、分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能アクリレートの存在下で行うことができる。
得られる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の粘度、硬化性や組成物中での他の成分との親和性、さらに硬化物の物性が良好なことから、1)OH基を有する(メタ)アクリレート化合物のOH基と、NCO基を有するトリアルコキシシランのNCO基とが−OCONH−を形成して結合した化合物としては、ペンタエリスリトールトリアクリレートとトリエトキシシリルプロピルイソシアネートの反応物、もしくはジペンタエリスリトールペンタアクリレートとトリエトキシシリルプロピルイソシアネートとの反応物が特に好ましい。
SH基を有するトリアルコキシシラン化合物としては、例えば、トリメトキシシリルプロピルメルカプタン(信越化学社製 KBM803、および、東レダウコーニングシリコン社製 SH6062など)などを例示することができる。
NCO基とSH基との反応による−NHCOS−の生成法は、NCO基とOH基との反応による−NHCOO−生成と同様の方法で行うことができる。
NCO基を有する(メタ)アクリレート化合物としては、β−イソシアネートエチル(メタ)アクリレート(昭和電工社製 カレンズMOI)、または、1分子内にOH基を有し、一分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート類と、ジイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、MDIおよびTDIなど)の一方のNCO基とをウレタン結合を形成して結合した化合物などを例示することができる。
α,ω−ヒドロキシ末端ポリアルキレングリコールのモノ(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレン/プロピレン)グリコールモノ(メタ)アクリレートおよびポリ(エチレン/テトラメチレン)グリコールモノ(メタ)アクリレートなどを例示することができる。
α,ω−ヒドロキシ末端ポリアルキレングリコールのモノ(メタ)アクリル酸エステル化合物とNCO基を有するトリアルコキシシリル化合物の反応は、NCO基とOH基との反応による−NHCOO−生成と同様の方法で行うことができる。
(a−2)無機酸化物微粒子
本発明で使用することができる無機酸化物微粒子(以下、(a−2)と呼ぶことがある)としては、本発明の趣旨を逸脱しない限り特に制限されないが、珪素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、鉛、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモン、セリウム、リチウムの酸化物またはこれらの複合酸化物が好ましく、具体的には、珪素の酸化物(シリカ)、アルミニウムの酸化物(アルミナ)、珪素−アルミニウムの複合酸化物、ジルコニウムの酸化物(ジルコニア)、チタニウムの酸化物(チタニア)、酸化亜鉛、酸化錫、アンチモンドープ酸化錫、インジウム−錫複合酸化物(ITO)、酸化セリウム、シリカ−酸化リチウムの複合酸化物等を主成分とするものを挙げることができる。この中でもシリカ、特にコロイダルシリカを主成分とするものが特に好ましい。
なお、ここで「主成分とする」とは、そのものが全体の50重量%以上を占め、また、そのもののみを含むことも意味しており、例えば、「コロイダルシリカを主成分とする」とは、コロイダルシリカを無機酸化物微粒子全体の50重量%以上含んでいる場合、及びコロイダルシリカのみから構成されていることも含む趣旨である。
無機酸化物微粒子の形状は、球状、中空状、多孔質状、棒状、繊維状若しくは板状、または不定形状が好ましく、球状がより好ましい。なお、本発明でいう球状とは、厳密な球のみではなく、実質的に球状のものも含む。
無機酸化物微粒子の一次粒子径は、1〜100nmが好ましい。一次粒子径を1nm以上とすることにより、機械特性についてより効果的であり、100nm以下とすることにより、二次凝集をより効果的に防止し、透明性の喪失をより効果的に防止することができる。
本発明の無機酸化物微粒子は通常、乾燥された粉末状態で、または水若しくは有機溶剤に溶解または分散した状態で入手可能である。水または有機溶剤に溶解または分散されたゾル(以下、無機酸化物微粒子ゾルと呼ぶことがある)は、優れた分散性を発現するため好ましい。
具体的には、水に溶解または分散させた水性シリカゾル、OH基を有する有機溶媒またはエステル基やケトン基を有する極性有機溶媒に溶解または分散させたオルガノシリカゾルなどを主成分として用いることが好ましい。
水性シリカゾルとしては、塩基性の水性シリカゾル(日産化学工業社製 ST−20)、酸性の水性シリカゾル(日産化学工業社製 ST−O)、弱酸性の水性シリカ・アルミナゾル(日産化学工業社製 ST−AK)および塩基性のシリカ・酸化リチウムゾル(日産化学工業社製 リチウムシリケート)を好ましい例として挙げることができる。
また、オルガノシリカゾルとしては、イソプロパノール(IPA)分散オルガノシリカゾル(日産化学工業社製 IPA−ST、IPA−ST−ZL)、メチルエチルケトン(MEK)分散オルガノシリカゾル(日産化学工業社製 MEK−ST、MEK−ST−MS)、メチルイソブチルケトン(MIBK)分散オルガノシリカゾル(日産化学工業社製、MIBK−ST)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMA)分散オルガノシリカゾル(日産化学工業社製 PMA−ST)、ならびにこれらを原料とし、他のOH基を有する有機溶媒に溶媒置換したゾル(例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)分散オルガノシリカゾルなど)を好ましい例として挙げることができる。
ここでいう有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、エチレングリコール、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジメチルアセトアミドおよびキシレン、ならびにこれらの混合溶媒が挙げられる。
分散液中の固形分含有量としては、取り扱いや入手の容易性から、好ましくは5〜50重量%であり、より好ましくは10〜40重量%である。
(a−3)成分(Ai)の具体的な製造方法
無機酸化物微粒子(a−2)と、(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤(a−1)の結合は、この種の化合物生成において、一般的に用いられている種々の方法で達成可能である。基本的には、(a−1)が有するアルコキシシリル基を加水分解し、シラノール基を生成させ、無機酸化物微粒子(a−2)の表面のアルコキシ基およびヒドロキシ基と縮合反応を行い結合させる方法が一般的である。
使用される水の量は、膜の性能、コート液の安定性を損なわない範囲で用いられる。水の添加量は成分(a−1)のアルコキシ基が理論量として100%加水分解しうる量以上の量であればよく、好ましくはアルコキシ基の数に対して100〜300%相当量、より好ましくは100〜200%相当量を添加する。
また、使用される水は蒸留水、イオン交換水、工業用水および軟水などを挙げることができる。
さらに、この加水分解縮合反応を促進するため、酸若しくはアルカリ、またはその他の適切な化合物を触媒として添加してもよい。これらについても得られる硬化膜の性能を損なわず、かつ、コート液の性能を損なわないものであれば種々のものを使用することが可能である。例えば、酸触媒としては、塩化水素溶液、リン酸溶液および硼酸などの無機酸;クエン酸、マレイン酸、酢酸およびパラトルエンスルホン酸などの有機酸が挙げられる。また、アルカリ触媒としてはアルコール性水酸化カリウム、アンモニア、トリアルキルアミン類;ジメチルアミノピリジンなどの複素環含有アミン類などを挙げることができる。その他、アルミニウムトリアセチルアセトナートなどの金属アセチルアセトン錯体も有効である。
これらの使用量はシランカップリング剤(a−1)100重量部に対して、好ましくは0.1〜5重量部、より好ましくは0.5〜5重量部である。
成分(a−1)と成分(a−2)の反応は、好ましくは、20〜100℃、1時間〜100時間(より好ましくは20℃〜25℃、4時間以上)反応の後、40〜70℃で1〜10時間加熱し、反応を進行させる。また、副反応を抑えるため、溶媒で反応液を希釈してもよい。用いられる溶媒としては用いる水または触媒と相溶性の良いものが好ましく、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールおよびイソブタノールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトンなどのケトン類;テトラヒドロフランおよびジオキサンなどのエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルなどの水酸基含有エーテル類などを挙げることができる。
無機酸化物微粒子(a−2)(固形分)とシランカップリング剤(a−1)との重量比は、好ましくは100/0.1〜100/10であり、より好ましくは100/1〜100/5である。このような範囲内とすることにより、適切な量のシランカップリング剤(a−1)を無機酸化物微粒子(a−2)に導入させることができ好ましい。
上記とは別に、上記成分(a−1)を合成しうる成分のうち、あらかじめ式(1)または式(2)に示す結合基を生成しうる官能基を有するアルコキシシリル化合物を先に無機酸化物微粒子ゾルに反応させた後、他の化合物を反応させ、これに、(メタ)アクリロイル基と、式(1)または式(2)に示す結合基を導入する方法も採用することができる。式(1)のうち、アルコキシシリル基を有する化合物として、SH基を有するトリアルコキシシラン化合物は、あらかじめ無機酸化物微粒子(a−2)に反応させることが可能である。
例えば、SH基を有するトリアルコキシシランを成分(a−2)に反応させ、その後SH基を、ジイソシアネート化合物と反応させ、一方のNCO基を用いてNHCOS結合を介して接続し、残りのNCO基にOH基を有する(メタ)アクリレート化合物を作用させ、NHCOO結合を介して接続させる方法で、先の方法と同様の構造を得ることができる。
また、SH基を有するトリアルコキシシランを成分(a−2)に反応させ、その後NCO基を有する(メタ)アクリレート化合物および/または(メタ)アクリルアミド化合物と反応させることで、先の方法と同様の構造を得ることができる。
この場合のSH基を有するトリアルコキシシランと成分(a−2)の反応比は、重量比で、通常0.1/99.9〜95/5、好ましくは2/98〜90/10、より好ましくは10/90〜80/20である。このような範囲にすることにより、無機酸化物微粒子(a−2)の表面をより十分に保護することができ、さらに、アルコキシシラン自身の重合、架橋による分散状態をより安定化し、粘度上昇などを防ぐことができより好ましい。また、SH基を有するトリアルコキシシランの分子量は150以上であることが望ましい。150以上とすることにより、保護コロイドを生成する効果がより高くなり、SH基を有するトリアルコキシシラン自身の縮合、架橋などによる凝集およびゲル化をより効果的に抑止できるので好ましい。より好ましくは300以上である。
反応は、好ましくは室温〜100℃の温度で1時間〜100時間、より好ましくは室温で4時間以上反応の後、室温〜70℃で1〜10時間加熱し、進行させる。また副反応を抑えるため、溶媒で反応液を希釈しても良い。用いられる溶媒としては加水分解物であるシランアルコキシド、水または触媒との相溶性があるものが好ましく、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールおよびイソブタノールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトンなどのケトン類;テトラヒドロフランおよびジオキサンなどのエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルなどの水酸基含有エーテル類などを挙げることができる。
また、成分(a−1)の一部(重量で50%未満)を他のシランカップリング剤で置き換えても良い。他のシランカップリング剤としては、公知の各種市販シランカップリング剤の他、ラジカル重合性官能基を有しない、ポリアルキレングリコール構造を有するシランカップリング剤、COOH基またはCOOR'基(R'は例えば炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜10のシクロアルキル基、フェニル基、炭素数1〜4のアルキル基で置換されたフェニル基などの置換基である)を有するシランカップリング剤、脂環式構造を有するシランカップリング剤、および、枝分かれ構造を有するかさ高いアルコールとNCO基を有するアルコキシシリル基との反応により得られるシランカップリング剤、分子内に1〜2個の(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤などを例示することができる。
(a−4)成分(A)の無溶剤化の具体的な方法
上記(a−3)で製造した、1分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートが、共有結合で無機酸化物微粒子に結合した有機無機複合体を含む、多官能アクリレート誘導体(A)は、少なくとも成分(Ai)と溶剤を含む。成分(A)と成分(B)との配合前に、溶剤を除去する場合、以下のような方法が望ましい。
50℃以下の温度にて、酸素又は空気を吹き込みながら、減圧下で溶剤を留去することが望ましい。なお、酸素又は空気の吹き込みは連続的であることが望ましいが、断続的であってもよい。但し、この場合は、溶存酸素による重合禁止効果が弱まるので、重合禁止剤(例えばp−メトキシフェノールなど)を100〜2000ppm添加することが必要な場合がある。
基本的にはこのような方法により、OH基を有する多官能(メタ)アクリレートなどの原料として用いた多官能アクリレートの粘度をほぼ維持し、実質的に溶剤を含まない成分(A)を得ることができる。
なお、溶剤留去については、成分(A)、(B)を配合した後、上に記載したのと同様の方法で行ってもよい。この場合、系の粘度をあらかじめ低く抑えることができるため、溶剤の留去効率も良く、また、重合反応による増粘、ゲル化、不溶化も起こしにくく、好ましい場合が多い。
成分(A)は、得られる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の粘度を塗布性に優れる一定範囲に調整しやすいことより、好ましくは25℃の粘度が50mPa・s以上であり、より好ましくは100mPa・s以上であって、好ましくは10000mPa・s以下、より好ましくは7000mPa・s以下である。50mPa・s以上の場合は、比較的高分子量となるため揮発性が高すぎたり、基材を著しく侵すことがないので好ましく、10000mPa・s以下であれば、反応性希釈剤を用いることで、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物として塗布性に優れた好ましい粘度範囲に調節することができるので好ましい。
また成分(A)は、成分(Ai)として特にペンタエリスリトールトリアクリレートとトリエトキシシリルプロピルイソシアネートとの反応物がコロイダルシリカに結合したコロイダルシリカ修飾物、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとトリエトキシシリルプロピルイソシアネートとの反応物がコロイダルシリカに結合したコロイダルシリカ修飾物、これらのコロイダルシリカ修飾物のポリアルキレンオキシドによる変性物、又はこれらのコロイダルシリカ修飾物のポリカプロラクトンによる変性物、のいずれかを含んでいることが好ましい。
コロイダルシリカ修飾物のポリアルキレンオキシドによる変性物は、片末端がOH基のポリアルキレンオキシド(もう片方の末端は、アルコキシ、フェノキシ、アルキルフェノキシ、アクリロイル、メタクリロイル基)を、ペンタエリスリトールトリアクリレートの代わりに用いる他は、ペンタエリスリトールトリアクリレートとトリエトキシシリルプロピルイソシアネートとの反応物がコロイダルシリカに結合したコロイダルシリカ修飾物と同様の方法で製造することができる。
またポリカプロラクトンによる変性物は、片末端がOH基のポリカプロラクトン(もう片方の末端は、アルコキシ、フェノキシ、アルキルフェノキシ、アクリロイル、メタクリロイル基)を、ペンタエリスリトールトリアクリレートの代わりに用いる他は、ペンタエリスリトールトリアクリレートとトリエトキシシリルプロピルイソシアネートとの反応物がコロイダルシリカに結合したコロイダルシリカ修飾物と同様の方法で製造することができる。
(B)1〜4官能の(メタ)アクリレート及び/又は(メタ)アクリルアミド
本発明における成分(B)である1〜4官能の(メタ)アクリレート及び/又は(メタ)アクリルアミドは、1分子内に1〜4個の(メタ)アクリロイル基を含むものであれば特に限定されないが、硬化性が良好であることから1分子内に1〜4個のアクリロイル基を含むものであるとより好ましい。
成分(B)は、得られる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の粘度を塗布性に優れる一定範囲に調整しやすいことより、25℃の粘度が好ましくは1mPa・s以上、より好ましくは1.5mPa・s以上であって、好ましくは500mPa・s以下、より好ましくは200mPa・s以下である。1mPa・s以上であると、揮発性が高すぎて基材を侵すようなことはないため好ましく、500mPa・s以下であると得られる組成物の粘度を下げるような効果を発揮できるため好ましい。
成分(B)として具体的には、以下のようなものが例示できる。
(1)単官能の(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミド
単官能の(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミドとしては、25℃で液体であり、粘度が1〜500mPa・sの1分子内に1個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミドが挙げられる。具体的には、例えば、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、そのエチレンオキシド変性体、などの25℃で液体であるアルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート、などの25℃で液体であるアラルキル(メタ)アクリレート;トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、そのエチレンオキシド変性体などの脂環式構造を有する25℃で液体の(メタ)アクリレート;テトラヒドロフルフリルアクリレート、そのエチレンオキシド変性体などのヘテロ原子を含む環構造を有する25℃で液体の(メタ)アクリレート;N−アクリロイルモルホリンなどの25℃で液体のアクリルアミド誘導体;フェニルグリシジルエーテルのアクリル酸付加物、シクロヘキセンオキシドのアクリル酸付加物などのエポキシアクリレート;末端がOH基のポリエチレングルコールのモノアクリレート、末端がメトキシ基のポリエチレングリコールモノアクリレート、末端がフェノキシ基のポリエチレングリコールモノアクリレート、末端がフェノキシ基のポリプロピレングリコールモノアクリレートなどのポリアルキレングリコールモノアクリレート;ポリカプロラクトンモノアクリレートなどのポリエステルアクリレート等が挙げられる。
(2)2官能の(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミド
2官能の(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミドとしては、25℃で液体であり、粘度が1〜500mPa・sの1分子内に2個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミドが挙げられる。具体的には、例えば、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、デカンジオールジ(メタ)アクリレート、およびこれらのアルキレンオキシド変性物などの25℃で液体のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの25℃で液体のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートなどの脂環式構造を有する25℃で液体のジ(メタ)アクリレート;ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート(例えば日本化薬社製のカヤラッドR−604)などのヘテロ原子を含む環構造を有する25℃で液体のジ(メタ)アクリレート;ビスフェノールAジエトキシレートのジ(メタ)アクリレートなどの25℃で液体の芳香族含有ジ(メタ)アクリレート;末端をアミン変性したポリエチレングリコールのビス(メタ)アクリルアミド、末端をアミン変性したポリプロピレングリコールのビス(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
(3)3官能又は4官能の(メタ)アクリレート、又は3官能又は4官能の(メタ)アクリルアミド
3官能又は4官能の(メタ)アクリレート又は3官能又は4官能の(メタ)アクリルアミドとしては、25℃で液体であり、粘度が1〜500mPa・sの1分子内に3又は4個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミドが挙げられる。具体的には、例えばトリメチロールプロパントリアクリレート、及びそのアルキレンオキシド変性体、ジトリメチロールプロパントリアクリレートのアルキレンオキシド変性体、ペンタエリスリトールトリアクリレートのアルキレンオキシド変性体、ペンタエリスリトールテトラアクリレートのアルキレンオキシド変性体、3−アミノ−1、2−プロパンジオールのエチレンオキシド付加体のモノ(メタ)アクリルアミドジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
特に高い硬化性が必要な場合には、前記(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミドの中でも、水素引き抜きを受けやすい活性水素原子等を有する構造、又は窒素原子を有する構造を有する特定の化学構造の1〜4官能の(メタ)アクリレート又は1〜4官能の(メタ)アクリルアミドを用いることが好ましい。このような(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミドとしては、具体的には下記(i)〜(iii)が挙げられる。
(i)は1分子内に1個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートであって、該(メタ)アクリロイル基に結合する酸素原子に、直接、又は、α−位炭素若しくはβ−位炭素を介して、(ポリ)シクロアルキル基、(ポリ)シクロアルケニル基、ヒドロキシアルキル基、環状エーテル基、及び(ポリ)アルキレンオキサイド基、から選ばれる1つが結合している構造を有する。これらの構造を有する(メタ)アクリレートは、硬化性が良好であるので好ましく、アクリレートであるとより好ましい。
(ポリ)シクロアルキル基、(ポリ)シクロアルケニル基、ヒドロキシアルキル基、環状エーテル基、(ポリ)アルキレンオキサイド基は、(i)が有する1つの(メタ)アクリロイル基に結合する酸素原子に、直接、又は、α−位炭素若しくはβ−位炭素を介して結合していれば良い。ここでは、(メタ)アクリロイル基に結合する酸素に結合している1又は2個以上の炭素原子があるとき、酸素原子の隣に結合している1つ目の炭素原子をα−位炭素、2つ目の炭素原子をβ−位炭素といい、これらの炭素原子に各官能基が結合することを、α−位炭素又はβ−位炭素を介して結合するという。
(ポリ)シクロアルキル基、又は(ポリ)シクロアルケニル基は、環状のアルキル基、又はアルケニル基であれば特に限定されず、炭素数は3以上であればよいが、その他成分との相溶性が良好なことから3〜20であることが好ましい。また、ラジカルで開環したり、環のひずみが大きすぎる構造よりも、適度に環にひずみのかかるシクロペンタン環、シクロヘキサン環などの5〜6員環、及び、トリシクロデカン環、アダマンタン環などの5〜6員環が縮環した構造が特に好ましい。
(i)が(ポリ)シクロアルキル基、又は(ポリ)シクロアルケニル基を有する場合には、酸素原子に直接又はα−位炭素を介して結合している構造が好ましい。
ヒドロキシアルキル基は、1つ以上のヒドロキシル基を有する炭素数1以上のアルキル基であれば特に限定されないが、(メタ)アクリレート単独での安定性と硬化性が共に良好なことから、酸素原子とヒドロキシアルキル基の間に1又は2つの炭素原子が存在することが好ましく、より好ましくは1つである。
ヒドロキシアルキル基としては、アルキル基の炭素数が1又は2であることが好ましい。つまり、ヒドロキシメチル基又はヒドロキシエチル基であることが好ましい。
また、(i)がヒドロキシアルキル基を有する場合には、酸素原子に直接、又は、α−位炭素を介して結合していることが好ましい。
もっとも好ましくは、炭素数2のヒドロキシアルキル基が酸素原子に直接結合している構造である。
環状エーテル基とは、環状であってエーテル結合を含む構造であれば特に限定されないが、好ましくは炭素数が2以上であって、好ましくは10以下、より好ましく5以下である。具体的には、例えば、炭素数2のエポキシ基、炭素数3のトリオキサニル基、炭素数4のテトラヒドロフラニル基、ジオキサニル基、炭素数5のテトラヒドロピラニル基が挙げられる。中でも、トリオキサニル基、テトラヒドロフラニル基、ジオキサニル基、テトラヒドロピラニル基が好ましい。
また、(i)が環状エーテル基を有する場合には、酸素原子に直接、又は、α−位炭素を介して結合していることが好ましい。
(ポリ)アルキレンオキサイド基とは、酸素原子を有するアルキル基であれば特に限定されないが、(メタ)アクリレート単独での安定性と硬化性が共に良好なことから、酸素原子と(ポリ)アルキレンオキサイド基中の酸素原子との間に1〜3つの炭素原子が存在することが好ましい。なお、本発明においては、(メタ)アクリロイル基に結合する酸素原子、又はα−位炭素、若しくはβ−位炭素に、アルキレンオキサイド基の炭素原子の端が結合している。
(ポリ)アルキレンオキサイド基のアルキル基は炭素数1〜6であることが好ましく、より好ましくは炭素数2又は3である。つまり、(ポリ)エチレンオキサイド、(ポリ)プロピレンオキサイド基であることが好ましい。
また、(i)が(ポリ)アルキレンオキサイド基を有する場合には酸素原子に直接、又は、α−位炭素を介して結合していることが好ましい。
もっとも好ましくは、炭素数2の(ポリ)アルキレンオキサイド基が酸素原子に直接結合していることが好ましい。
上記の(ポリ)シクロアルキル基、(ポリ)シクロアルケニル基、ヒドロキシアルキル基、環状エーテル基、及び(ポリ)アルキレンオキサイド基はいずれも置換基を有していてもよい。置換基としては、特に限定されないが、分子量が15〜350であることが好ましい。また置換基は、鎖状であっても、環状であってもよく、酸素原子、窒素原子などを含んでいてもよい。置換基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシエチル基、ブトキシエチル基、シクロヘキシル基、トリシクロデカニル基、フェニル基、ベンジル基、ジメチルアミノエチル基、ジメチルアミノプロピル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、などが挙げられる。特に好ましくは、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、メトキシエチル基である。
(i)としては、上記のような構造を有していれば特に限定されないが、具体的には、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンモノ(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキセンオキサイドの(メタ)アクリル酸付加物、トリシクロデカンメタノール(メタ)アクリレート、アダマンタンメチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンエタノールモノ(メタ)アクリレート、エポキシシクロヘキサンメチルアクリレートなどの(ポリ)シクロアルキル基を有する(メタ)アクリレート;トリシクロデセンモノ(メタ)アクリレート、トリシクロデセンメタノール(メタ)アクリレート、トリシクロデセンエタノールモノ(メタ)アクリレートなどの(ポリ)シクロアルケニル基を有する(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−メトキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリレート;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフラニル(メタ)アクリレート、ソルケタールモノ(メタ)アクリレート、4−(メタ)アクリロキシエチルテトラヒドロピランなどの環状エーテル基を有する(メタ)アクリレート;メトキシメチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、及びこれらの末端−メトキシ化物、末端−フェノキシ化物、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、プロポキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンメタノールエトキシレートモノ(メタ)アクリレート、数平均分子量150〜500のポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、及びそのω−末端のアルキル、フェニル置換体などの(ポリ)アルキレンオキサイド基を有する(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
中でも好ましくは、硬化性や入手の容易さなどから、シクロヘキシルアクリレート、トリシクロデセンモノアクリレート、トリシクロデカンモノアクリレート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート及びこれらの末端−メトキシ化物、末端−フェノキシ化物、メトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフラニルアクリレートであり、特に好ましくは、トリシクロデカンモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート及びこれらの末端−メトキシ化物、末端−フェノキシ化物、メトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレートである。
(ii)は1分子内に2〜4個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートであって、少なくともいずれか一つの(メタ)アクリロイル基に結合する酸素原子に、直接、又は、α−位炭素若しくはβ−位炭素を介して(ポリ)シクロアルキレン基、(ポリ)シクロアルケニレン基、ヒドロキシアルキレン基、環状エーテル基、及び(ポリ)アルキレンオキサイド基、から選ばれる1つが結合している構造を有する。これらの構造を有する(メタ)アクリレートであると、硬化性が良好であるので好ましく、アクリレートであるとより好ましい。
(ポリ)シクロアルキレン基、(ポリ)シクロアルケニレン基、ヒドロキシアルキレン基、環状エーテル基、及び(ポリ)アルキレンオキサイド基は、(ii)が有する2〜4個の(メタ)アクリロイル基の少なくともいずれか一つに結合する酸素原子に、直接、又は、α−位炭素若しくはβ−位炭素を介して結合していれば良く、2〜4個の(メタ)アクリロイル基に結合する酸素原子の複数に、直接、又は、α−位炭素若しくはβ−位炭素を介して結合していても良い。
(ポリ)シクロアルキレン基、又は(ポリ)シクロアルケニレン基とは、環状のアルキレン基、又はアルケニレン基であれば特に限定されず、炭素数は3以上であればよいが、好ましくは5以上、より好ましくは6以上であって、好ましくは20以下、より好ましくは15以下である。具体的には、例えば、シクロへキシレン基、トリシクロデカニレン基、ペンタシクロペンタデカニレン基などが挙げられる。
(ii)が(ポリ)シクロアルキル基、又は(ポリ)シクロアルケニレン基を有する場合には、酸素原子に直接、又は、α−位炭素を介して結合している構造が好ましい。
ヒドロキシアルキレン基は、1つ以上のヒドロキシル基を有する炭素数1以上のアルキレン基であれば特に限定されないが、(メタ)アクリレート単独での安定性と硬化性が共に良好なことから、酸素原子とヒドロキシアルキレン基の間に1又は2の炭素原子が存在することが好ましく、より好ましくは1つである。
ヒドロキシアルキレン基としては、アルキレン基の炭素数が1又は2であることが好ましい。
また、(ii)がヒドロキシアルキレン基を有する場合には、酸素原子に直接、又は、α−位炭素を介して結合していることが好ましい。
もっとも好ましくは、炭素数2のヒドロキシアルキレン基が酸素原子に直接結合している構造である。
環状エーテル基、及び(ポリ)アルキレンオキサイド基については、上記(i)の場合と同様である。
(ポリ)シクロアルキレン基、(ポリ)シクロアルケニレン基、ヒドロキシアルキレン基、環状エーテル基、及び(ポリ)アルキレンオキサイド基はいずれも置換基を有していても良い。置換基としては、好ましい場合は(i)と同様である。
(ii)としては、上記のような構造を有していれば特に限定されないが、具体的には、例えば、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジエタノールジ(メタ)アクリレートなどの(ポリ)シクロアルキレン基を有する(メタ)アクリレート;シクロヘキセニレンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデセニレンジ(メタ)アクリレート、トシリクロデセンジメタノールジ(メタ)アクリレートなどの(ポリ)シクロアルケニレン基を有する(メタ)アクリレート;1,5−ヘキサジエンジエポキシドの(メタ)アクリル酸付加物などのヒドロキシアルキレン基を有する(メタ)アクリレート;イソソルバイトジ(メタ)アクリレート、2,6−ジ(メタ)アクリロキシメチルテトラヒドロピラン、3,5−ジ(メタ)アクリロキシエチルテトラヒドロピランなどの環状エーテル基を有する(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールエトキシレートジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールエトキシレートジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールエトキシレートジ(メタ)アクリレート、2,5−ジメトキシ−1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、数平均分子量150〜500のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(ポリ)アルキレンオキサイド基を有する(メタ)アクリレート、グリセリンのエチレンオキシド変性物のトリアクリレート、グリセリンのシクロヘキセンオキシド変性物のトリアクリレートなどを挙げることができる。
中でも好ましくは、硬化性や入手の容易さなどから、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ブタンジオールエトキシレートジアクリレート、ヘキサンジオールエトキシレートジアクリレートであり、特に好ましくは、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ヘキサンジオールエトキシレートジアクリレート、グリセリンのエチレンオキシド変性物のトリアクリレートである。
(iii)は1分子内に1〜4個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリルアミドであって、(メタ)アクリロイル基に結合するアミノ基が2つのアルキル基で置換されている構造を有する。ただし、2つのアルキル基が、直接、又は、ヘテロ原子を介して結合していてもよい。これらの構造を有する(メタ)アクリルアミドであると、硬化性が良好であるので好ましく、アクリルアミドであるとより好ましい。
2つのアルキル基で置換されているアミノ基中のアルキル基は、特に限定されないが、2つのアルキル基が互いに結合していない場合は、硬化性が優れることからそれぞれ炭素数2以下のアルキル基であることが好ましい。より好ましくは、2つともメチル基である。
また、2つのアルキル基が互いに結合している場合には、2つのアルキル基の炭素数の総和が好ましくは2以上であって、好ましくは10以下、より好ましくは6以下である。さらに、ヘテロ原子を介して結合する場合のヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子が挙げられ、中でも酸素原子であることが好ましい。
(iii)としては、上記のような構造を有していれば特に限定されないが、具体的には、例えば、N、N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N、N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、メチレンビス(メタ)アクリルアミドのN,N’−ジメチル体、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−(メタ)アクリロイルピロリジン、N−(メタ)アクリロイルピペリジン、イソシアヌル酸トリアクリルアミドなどを挙げることができる。中でも好ましくは、硬化性や入手の容易さなどから、N、N−ジメチルアクリルアミド、N−アクリロイルモルホリンである。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は成分(A)及び(B)を合計量100重量部含み、このうち(A)多官能(メタ)アクリレート誘導体が25〜90重量部である。25重量部以上であると、硬度が高く、耐傷性に優れる硬化膜が得られ、90重量部以下であると、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の粘度が高くなりすぎず塗布性に優れる。好ましくは35重量部以上、より好ましくは50重量部以上であって、80重量部以下である。
一方、成分(A)及び(B)の合計量100重量部のうち、(B)1〜4官能の(メタ)アクリレート及び/又は(メタ)アクリルアミドが10〜75重量部である。10重量部以上であると、得られる樹脂組成物の粘度が低くなるため塗布性に優れ、75重量部以下であると、硬化性が良好で硬度の高い硬化膜が得られる。好ましくは15重量部以上であって、60重量部以下である。
また、硬化性が良好になることより、成分(B)の総重量の1/3以上が前記(i)〜(iii)であることが好ましい。より好ましくは35/100以上、更に好ましくは40/100以上であって、最も好ましくは全量が(i)〜(iii)である。
(C)光重合開始剤
本発明における成分(C)である光重合開始剤としては、公知のものを広く採用できるが、好ましくは、α−ヒドロキシアセトフェノン(α−ヒドロキシフェニルケトン)類、α−アミノアセトフェノン類、ベンジルケタール類などのアルキルフェノン型化合物;アシルホスフィンオキシド型化合物;オキシフェニル酢酸エステル類;ベンゾインエーテル類;芳香族ケトン類(ベンゾフェノン類);オキシムエステル類;ケトン/アミン化合物;ベンゾイルギ酸およびそのエステル誘導体等であり、更に好ましくはα−アミノフェニルケトン類、ベンゾフェノン類、ベンゾイルギ酸(エステル)類、及びオキシムエステル類である。
具体的には、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシド、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、ミヒラーズケトン、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ベンゾイルギ酸、ベンゾイルギ酸メチル、ベンゾイルギ酸エチル、CGI242(チバスペシャリティケミカルズ社製)、OXE01(チバスペシャリテイケミカルズ社製)などが好ましい。これらの光重合開始剤は2種以上を適宜に併用することもできる。
中でも、硬化性が良好になることから2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、などのα−アミノフェニルケトン類;ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、2−クロロチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、などのベンゾフェノン類;ベンゾイルギ酸メチル、ベンゾイルギ酸、ベンゾイルギ酸エチル、などのベンゾイルギ酸(エステル)類;CGI242(チバスペシャリテイケミカルズ社製)、OXE01(チバスペシャリテイケミカルズ社製)、などのオキシムエステル類が好ましい。
更に、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、ベンゾフェノン、ベンゾイルギ酸メチルなどを用いることがより好ましく、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、ベンゾイルギ酸メチルが特に好ましい。
これらを(C)成分として用いる場合、(B)成分の少なくとも一部として前記(i)〜(iii)を含むと、硬化性向上がより顕著にみられ、更に好ましい。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中の成分(A)及び(B)の総重量を100重量部としたとき、(C)光重合開始剤は2〜5重量部であり、好ましくは2.5重量部以上、4.5重量部以下である。2重量部未満では硬化性に劣り、5重量部以上では硬化物の物性が低下したりするため、好ましくない。
また、硬化性の点から、成分(C)はα−アミノフェニルケトン類、ベンゾフェノン類、ベンゾイルギ酸(エステル)類、及びオキシムエステル類から選ばれる一以上を含むことが好ましい。その量は、成分(C)の総重量の1/3以上であるのが好ましく、より好ましくは1/2以上、更に好ましくは3/5以上である。
一方、上記α−アミノフェニルケトン類、ベンゾフェノン類、ベンゾイルギ酸(エステル)類、及びオキシムエステル類、及びα−ヒドロキシフェニルケトン類以外の光重合開始剤を含む場合には、硬化性低下や着色の問題を起こしにくいことから、使用する場合には、成分(C)の総重量の1/2を超えない範囲で用いることが好ましい。
(D−1)ポリジメチルシロキサン基、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキレン基から選ばれる一以上の基を含む活性エネルギー線硬化性化合物
本発明における成分(D−1)活性エネルギー線硬化性化合物は、ポリジメチルシロキサン基、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキレン基から選ばれる一以上の基を含むものであれば特に限定されないが、耐汚染性が良好なことから、数平均分子量1000以上であって、10000以下のポリジメチルシロキサン基、炭素数4以上のパーフルオロアルキル基、炭素数4以上のパーフルオロアルキレン基から選ばれる一以上の基を含み、さらに、側鎖及び/又は末端に少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基、又はエポキシ基などの活性エネルギー線硬化性基を含むことが好ましい。
ポリジメチルシロキサン基の数平均分子量が1000以上であると、防汚性能が十分に発揮され、10000以下では硬化膜の透明性が良好となるため好ましい。また、パーフルオロアルキル基及びパーフルオロアルキレン基の炭素数は4以上で防汚性が十分に発揮され、特に12以下では溶解性が良好で、硬化膜の透明性や外観が良好となり好ましい。
ポリジメチルシロキサン基を含むものの例としては、信越化学社製の両末端にメタクリロイル基を含むポリジメチルシロキサン、両末端にエポキシ基を含むポリジメチルシロキサン、両末端及び側鎖にエポキシ基を含むポリジメチルシロキサン、EVONIK社(旧デグサ社)製のTego−Rad(側鎖にアクリロイル基を有するポリジメチルシロキサン誘導体)、Gelest社製の両末端にアクリルロイル基を含むポリジメチルシロキサン、あるいは、主鎖又は側鎖にポリジメチルシロキサンを有し側鎖及び/又は末端にアクリロイル基及び/又はエポキシ基を有する共重合体、などを例示することができる。
また、炭素数4以上のパーフルオロアルキル基またはアルキレン基を含むものの例としては、パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、あるいは、これらを共重合し側鎖及び/又は末端にアクリロイル基及び/又はエポキシ基を有する共重合体など、を例示することができる。
なお、成分(D−1)はこれら特定の基を2種以上含んでいてもよい。この様な化合物の例としては、ポリジメチルシロキサン基とパーフルオロオクチル基を有し、側鎖及び/又は末端にアクリロイル基及び/又はエポキシ基を有する共重合体などを例示することができる。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中の成分(A)及び(B)の総重量を100重量部としたとき、(D−1)活性エネルギー線硬化性化合物は0.1〜15重量部であり、好ましくは0.15重量部以上、9.5重量部以下である。0.1重量部未満では十分な耐汚染性の付与が難しく、一方15重量部を超えると、表面の硬度が低下したり、硬化性が低下したり、透明性が低下したりすることがあるため、好ましくない。
エポキシ基に(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸を反応させてなる構造(いわゆるエポキシ(メタ)アクリレート構造)が、光硬化反応性が非常に高いと考えられるため、成分(D−1)はこのような構造を有するのが好ましい。
成分(D−1)は、(D−2)ポリジメチルシロキサン基、パーフルオロアルキル基、及びパーフルオロアルキレン基から選ばれる一以上の基を含むモノマーとエポキシ基を有する(メタ)アクリレートを含むモノマーとの混合物のラジカル重合体のエポキシ基の少なくとも一部に、1分子内に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸を反応させてなる構造に相当する構造を有する活性エネルギー線硬化性重合体であると、得られる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化性が良好であることから好ましい。中でも、上記ポリジメチルシロキサン基、パーフルオロアルキル基、及びパーフルオロアルキレン基から選ばれる一以上の基を含むモノマーが、ジメルカプトポリシロキサンであると、樹脂組成物の粘度や組成物中のその他の成分との相溶性、得られる硬化膜の耐汚染性の点から特に好ましい。
以下に成分(D−2)の製造方法について、上記ポリジメチルシロキサン基、パーフルオロアルキル基、及びパーフルオロアルキレン基から選ばれる一以上の基を含むモノマーが、ジメルカプトポリシロキサンである場合を例として好ましい製造方法の例を記す。但し、上記ポリジメチルシロキサン基、パーフルオロアルキル基、及びパーフルオロアルキレン基から選ばれる一以上の基を含むモノマーが、ジメルカプトポリシロキサン以外の場合も同様にして製造できる。
以下において、成分(D−2)の製造原料としてのモノマー混合物100重量部中の各成分の量(重量部)を「使用量」と称す場合がある。
なお、成分(D−2)は下記方法で得られる重合体に相当する構造を有していればよく、下記製造法で得られたものに限定されない。
<(d1)ジメルカプトポリシロキサン>
成分(D−2)の製造に使用される(d1)ジメルカプトポリシロキサンは、下記式(3)の繰り返し構造単位が2以上連結されたポリシロキサン構造を有する。
−(SiR12−O)− (3)
式(3)中、R1およびR2は、それぞれ独立して、置換基を有していても良いアルキル基または置換基を有していても良いフェニル基を表し、好ましくはヒドロキシル基またはアルコキシ基で置換されていてもよいアルキル基(より好ましくはアルコキシ基およびアルキル基の炭素数が1〜3である)であり、更に好ましくは置換基を有しない炭素数1〜3のアルキル基であり、最も好ましくはメチル基である。
このような化合物としては、例えば、α,ω−ジメルカプトポリジメチルシロキサン、α,ω−ジメルカプトポリジエチルシロキサン、α,ω−ジメルカプトポリメチルエチルシロキサン、α,ω−ジメルカプトポリジヒドロキシメチルシロキサン、α,ω−ジメルカプトポリジメトキシメチルシロキサン等が挙げられるが、中でも好ましいのはα,ω−ジメルカプトポリジメチルシロキサンで、このメルカプト基は直接ポリシロキサン基に連結していても良いし、アルキレン基を介してポリシロキサン基に連結していてもよい。より好ましくは、メルカプト基がプロピレン基を介してポリシロキサン基に連結しているポリシロキサン(α,ω−ジメルカプトプロピルポリジメチルシロキサン)である。ただし、本願発明の効果が得られるものであればこれらに何ら限定されるものではない。
(d1)ジメルカプトポリシロキサンは、耐汚染性と硬度をバランス良く達成するため、数平均分子量1000〜5000程度であることが好ましい。
このような(d1)ジメルカプトポリシロキサンは、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
成分(D−2)の製造にあたっての(d1)ジメルカプトポリシロキサンの使用量は、0.01重量部以上、15重量部以下であることが好ましい。(d1)ジメルカプトポリシロキサンの使用量が0.01重量部以上では耐汚染性付与が十分に発揮され、15重量部以下であると得られる成分(D−2)と他の成分との相溶性(重合反応時の系の均一相溶性、並びに組成物としたときの成分(D−2)と他の成分との相溶性)が良好であり、得られる硬化膜の硬度が高くなるため、好ましい。
より好ましくは(d1)ジメルカプトポリシロキサンの使用量は1重量部以上である。また、より好ましくは(d1)ジメルカプトポリシロキサンの使用量は12重量部以下である。
<(d2)エポキシ基を有する(メタ)アクリレート>
(d2)エポキシ基を有する(メタ)アクリレートのいくつかの代表的な具体例を示すと、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のグリシジル基を有する(メタ)アクリレート;3,4−エポキシシクロヘキシルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメタクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート等の脂環構造に直接エポキシ基が結合している(メタ)アクリレートが挙げられるが、本願発明の効果が得られるものであれば何らこれらに限定されるものではない。
これらの中では、入手の容易さ、(メタ)アクリル酸による変性のしやすさから、グリシジルメタクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメタクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート等が特に好ましい。
このような(d2)エポキシ基を有する(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
成分(D−2)の製造にあたっての(d2)エポキシ基を有する(メタ)アクリレートの使用量は、5重量部以上、60重量部以下が好ましい。(d2)エポキシ基を有する(メタ)アクリレートの使用量が5重量部以上では(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸変性によって導入された(メタ)アクリロイル基の光ラジカル重合により、硬化性が良好で、硬度が高くなる等の表面硬化性の向上効果が十分発揮され、60重量部以下では、成分(D−2)を含むポリマー溶液の粘度や液安定性が良好となり、また光ラジカル重合により硬化性が良好で、硬度が高くなるような効果が得られるため好ましい。
より好ましくは(a2)エポキシ基を有する(メタ)アクリレートの使用量が15重量部以上である。また、より好ましくは(a2)エポキシ基を有する(メタ)アクリレートの使用量は55重量部以下である。
<(d3)分子量100〜300の単官能メルカプタン>
成分(D−2)の製造にあたっての原料として、分子量を制御することにより優れた他成分との親和性、より優れた消泡性を発現させる目的で(d3)分子量100〜300の単官能メルカプタンを含んでいても良い。また、成分(D−2)のように、メルカプト基と共に、これと反応しやすい官能基(例えばエポキシ基、イソシアネート基、アルコキシシリル基など)を有するフリーラジカル重合性モノマーでは、重合時に、メルカプト基と、エポキシ基などの上記のような反応基が副反応を起こし、架橋/不溶化/ゲル化といった問題を生じる場合があるが、(d3)分子量100〜300単官能メルカプタンを使用することにより、副反応を制御して、架橋/不溶化/ゲル化を抑え、良好な成分(D−2)を製造することができる。
(d3)分子量100〜300の単官能メルカプタンとしては、例えば、ヘキシルメルカプタン、デシルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、ヘキサデシルメルカプタン、ステアリルメルカプタンなどのアルキルメルカプタン;シクロヘキシルメルカプタンなどのシクロアルキルメルメルカプタン;チオフェノール、クロロチオフェノール、メルカプトナフタレンなどの芳香族メルカプタンなどを例示することができるが、本願発明の効果が得られるものであればこれらに何ら限定されるものではない。中でも、反応性、反応選択性、臭気などを考慮すると、デシルメルカプタン、ドデシルメルカプタンなどの炭素数9〜15のアルキルメルカプタンが最も好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に使用される単官能メルカプタンの分子量が100以上では、揮発性が低いため、重合反応時に反応系から逃失することなく、効果を発現しやすい。また、単官能メルカプタンの分子量が300以下であると、他のモノマーとの相溶性が向上し、相分離をおこしにくいので好ましい。単官能メルカプタンのより好ましい分子量は150以上であり、また250以下である。
このような(d3)単官能メルカプタンは、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
成分(D−2)の製造にあたって(d3)分子量100〜300の単官能メルカプタンを用いる場合、その使用量は0.01重量部以上、特に0.1重量部以上であり、5重量部以下、特に4重量部以下であることが好ましい。(d3)単官能メルカプタンの使用量が0.01重量部以上であると、(d3)単官能メルカプタンの濃度が適当となり、反応性が十分で、(d1)ジメルカプトポリシロキサンと(d2)エポキシ基を有する(メタ)アクリレートとの副反応を起こさないよう制御が可能となる。一方、(d3)単官能メルカプタンの使用量が5重量部以下であると、十分に反応が進行するので未反応のモノマーが残りにくく、得られる成分(D−2)の分子量が適当となり、好ましい。
また、(d3)分子量100〜300の単官能メルカプタンを用いる場合、(d1)ジメルカプトポリシロキサンのメルカプト基(以下「M(d1)」と記す。)と(d3)分子量100〜300の単官能メルカプタンのメルカプト基(以下「M(d3)」と記す。)とのモル比M(d1)/M(d3)は、通常は0.01以上、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上であり、20以下、好ましくは15以下、より好ましくは10以下となる量で用いることが好ましい。M(d1)/M(d3)が0.01以上であると、(d1)ジメルカプトポリシロキサンのメルカプト基と、(d2)エポキシ基を有する(メタ)アクリレートのエポキシ基との反応による架橋、枝分かれによる粘度の上昇、溶解性低下などが実質的に起こらないように制御でき、20以下であると十分に反応が進行するので未反応のモノマーが残りにくく、得られる成分(D−2)の分子量が好適なものとなり、好ましい。
<(d4)ビニル基含有モノマー>
成分(D−2)の製造にあたっての原料として、上記(d1)〜(d3)以外に(d4)ビニル基含有モノマーを含むことができる。(d4)ビニル基含有モノマーとしては、ビニル基を有するものであって、本願発明の効果が得られるものであれば特に限定されないが、好ましくはエポキシ基との反応性が低く、生成ポリマーの安定性を低下させないもの、あるいは骨格が剛直で、硬度を下げないもの、耐汚染性を更に向上しうるもの、などを使用することができる。
このような(d4)ビニル基含有モノマーのいくつかの具体例を挙げると、スチレン、またはその低級(炭素数1〜4の)アルキル基、アルケニル基置換誘導体、炭素数1〜20のアルキル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリルアミド、炭素数5〜20の(ポリ)シクロアルキル側鎖を有するシクロアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド類等のラジカル重合性モノマーなどを例示することができる。
これらの(d4)ビニル基含有モノマーとしては、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
成分(D−2)の製造にあたって(d4)ビニル基含有モノマーの使用量は、1重量部以上、50重量部以下であることが好ましい。(d4)ビニル基含有モノマーの使用量が1重量部以上では溶解性や透明性が優れ、一方50重量部以下であると、得られる硬化膜の表面の耐傷性や鉛筆硬度が良好となるため、好ましい。より好ましくは(d4)ビニル基含有モノマーの使用量は5重量部以上である。また、より好ましくは(d4)ビニル基含有モノマーの使用量は40重量部以下である。
<溶媒>
上述の(d1)〜(d4)成分を含むモノマー混合物のラジカル重合に際しては、均一性を向上させるために、溶媒を加えても良い。
このような溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)等のケトン系溶媒;エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、イソブタノール等のアルコール系溶媒;エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、2−エトキシエチルアセタート等のエステル系溶媒;トルエン等の芳香族炭化水素溶媒;および水が好ましい例として挙げられる。
これらの溶媒は、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。2種以上を用いる場合は2層とならず、均一層を形成する溶媒が好ましい。
<ラジカル重合開始剤>
上述の(d1)〜(d4)成分を含むモノマー混合物のラジカル重合には、ラジカル重合開始剤を用いるのが好ましい。
該ラジカル重合開始剤としては特に限定されないが、通常は一般にラジカル重合に用いられる公知の開始剤を用いることができ、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキシド等の有機過酸化物、2,2’−アゾビスブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物が好ましい例として挙げられる。
これらのラジカル重合開始剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
<ラジカル重合方法および条件>
上述の(d1)〜(d2)成分を含むモノマー混合物に、更に必要に応じて(d3)成分、(d4)成分、溶媒およびラジカル重合開始剤を用いてラジカル重合を行う際の、(d1)〜(d4)の各モノマー成分と溶媒との混合・溶解方法等には特に制限はないが、例えば、モノマー成分と溶媒の混合後、一定時間以内、好ましくは3時間以内にラジカル重合開始剤を添加して、重合を開始するのが好ましい。
ラジカル重合に供する反応液中のモノマー成分の総和濃度は、好ましくは10重量%以上、60重量%以下であり、ラジカル重合開始剤は、好ましくはモノマー成分の合計に対し、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.2重量%以上で、好ましくは10重量%以下、より好ましくは2重量%以下使用される。
また、好ましい重合条件は用いるラジカル重合開始剤により異なるが、重合温度は通常20〜150℃、重合時間は通常1〜72時間である。
<(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸>
成分(D−2)の製造においては、通常は上述のようにして得られるラジカル重合体のエポキシ基の少なくとも一部に、1分子内に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸、好ましくは1分子内に1〜5個の(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸を反応(付加反応)させる。
ここで用いる(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、末端カルボン酸のポリカプロラクトンアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートと無水コハク酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸などの酸無水物の付加体、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートと無水コハク酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸などの酸無水物の付加体、などを挙げることができる。これは1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
<付加反応方法および条件>
上記の付加反応の例では、ラジカル重合体が有するエポキシ基と、(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸のカルボキシル基とが反応する。
ラジカル重合体と(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸とは、ラジカル重合体のエポキシ基と(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸のカルボキシル基との個数の比(以下単に「エポキシ基/カルボキシル基」と称す場合がある。)が1以上となる割合で用いるのが好ましい。またエポキシ基/カルボキシル基が10以下であるのが好ましく、より好ましくは5以下、さらに好ましくは2以下である。
エポキシ基/カルボキシル基が上記下限値以上であると、未反応で残る(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸による安定性の低下を防ぐことができ、上記上限値以下であると、残存するエポキシ基による安定性の低下を防ぐことができるため好ましい。
また、ラジカル重合体が有するエポキシ基のうち、50〜99%が(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸のカルボキシル基と反応していることが好ましい。
この付加反応は、50〜110℃で3〜50時間行うのが好ましい。
また本反応では、反応を促進させるために、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリドおよびトリフェニルホスフィンなどを触媒として1種または2種以上を使用することができる。該触媒を使用する場合は、その使用量は反応混合物(即ち、ラジカル重合体と、(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸との合計)に対して0.01重量%以上であるのが好ましく、0.05重量%以上であるのが好ましい。また2重量%以下であるのが好ましく、1重量%以下であるのがより好ましい。
また、本反応では、(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸の(メタ)アクリロイル基によるラジカル重合を防止するために、例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、カテコール、p−t−ブチルカテコール、フェノチアジンなどの重合禁止剤の1種または2種以上を使用するのが好ましい。重合禁止剤の使用量は、反応混合物に対して0.01重量%以上であるのが好ましく、0.05重量%以上であるのがより好ましい。また1重量%以下であるのが好ましく、5重量%以下であるのがより好ましい。
以上のような例に従い、本発明に用いられる成分(D−2)を得ることができる。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が成分(D−1)としてエポキシ基を含む化合物を含む場合、更に(E)光カチオン硬化開始剤を含むと、表面硬化性が一層向上し、好ましい場合がある。成分(E)としては、カチオン重合性の光開始剤であって公知の光酸発生剤であれば特に限定されないが、好ましくは、ジアリールヨードニウム塩型、又はトリアリールスルホニウム塩型で、対イオンとしては、PF6、SbF5、AsF6、BPh4、CF3OSO2、等を例示することができる。なおこの成分のみでは、硬化性が低い場合には、アミン類(トリエタノールアミン等)、ホスフィン類(トリブチルホスフィン等)、チオキサントン類を併用し、増感した方が好ましい場合がある。なお、(E)光カチオン硬化開始剤として用いることができるものは上記に示したものに限られない。
成分(E)を含む場合、成分(A)及び(B)の総重量を100重量部として、好ましくは0.01重量部以上、2重量部以下含むことが、表面硬化性の面から好ましい。
本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない限りで、各種機能性を付与する目的で帯電防止剤、すべり性付与剤、防曇付与剤、剥離性付与剤の少なくとも1種を配合すると好ましい場合がある。
それぞれ、特に限定されないが、例えば、帯電防止剤であれば、特開2003−201444号公報に記載したような帯電防止剤が特に好ましいものとして挙げられる(四級アンモニウム塩基含有重合体、又は四級アンモニウム塩基含有シランカップリング剤、等)。
また、すべり性付与剤としては、ポリジメチルシロキサン基を有するような重合体を例示することができる。
一方、防曇付与剤としては、親水基変性コロイダルシリカ、シリケート変性コロイダルシリカ、ポリアルキレングリコール基等の親水基を側鎖に有する重合体やオリゴマー類を例示することができる。
さらに、剥離性付与剤としては、公知のシリコーン系、フッ素系、長鎖アクリル系のオリゴマーからポリマー型、これらに硬化性基を含むものなどを例示することができる。
本発明の樹脂組成物に、本発明の効果を損なわない限りで、上記の他各種機能性を付与する目的で、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤を配合すると、さらに耐候性が著しく向上し、好ましい場合がある。
紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸系、シアノアクリレート系、トリアジン系紫外線吸収剤等を好ましい例として挙げることができる。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、特に限定されず、例えばサノールLS765(チバスペシャリティケミカルズ社製)等のN−メチル体が好ましいが、LS−770(チバスペシャリティケミカルズ社製)等の通常のN−H体でも差し支えない。
本発明の樹脂組成物に、硬化膜物性を改良する目的で、酸化防止剤(たとえば、ヒンダードフェノール系、硫黄系、リン系酸化防止剤等)、ブロッキング防止剤、スリップ剤、レベリング剤などの、この種の耐汚染性を付与する組成物に一般的に配合される種々の添加剤を配合してもよい。この場合の配合量としては、組成物全体の0.01〜2重量%配合することが好ましい。
本発明で得られる硬化膜の硬度の一層の向上や硬化膜への耐ブロッキング性付与の目的で、無機微粒子を未処理のまま配合してもよい。この場合の配合量としては、固形分として組成物全体の0.01〜20重量%配合することが好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、通常、25℃での粘度が10〜500mPa・sである。10mPa・s以上であると、塗布時に揮発したり、液の好ましくない流動が起こって膜厚が均一にならなくなるという現象が避けられるので好ましく、500mPa・s以下であると、濡れ性が良く、塗布時に液が均一に広がり、均一な膜厚を確保できるので好ましい。好ましくは15mPa・s以上、より好ましくは20mPa・s以上であって、好ましくは450mPa・s以下、より好ましくは400mPa・s以下である。
また、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、有機溶剤を該組成物中の5重量%を超えて含まず、実質的に有機溶剤を含まないものとして取り扱うことができる。このことにより、有機溶剤の環境への逃失に伴う環境汚染を避けることができ環境負荷の低減ができる。また、液の濃度が一定であるため、液のリサイクルが容易となり、結果として、環境負荷の低減、生産性の向上につながり好ましい。
具体的には、有機溶剤の量が該組成物中の5重量%以下であって、好ましくは沸点100℃以下の有機溶剤(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトンなど)が2重量%以下であると、上記のような効果を十分に発揮することができる。環境負荷をゼロにするためには、より好ましくは該組成物中に有機溶剤を全く含まない。
有機溶剤以外の溶剤のうち水については、該組成物中の1重量%を越えて含まないことが好ましい。水に関しては全く含まないよう管理することは非常に難しいが、1重量%以下とすると、液の分離による濁りが起こらず、硬化性が良好になるため好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は実質的に有機溶剤を含まないものであることから、該組成物を塗布して塗膜を形成し、該塗膜を乾燥させる工程を経ることなく活性エネルギー線を照射して硬化膜を形成することができる。
[II]活性エネルギー線硬化性樹脂組成物からなる硬化膜、及びその硬化膜からなるハードコート層を有する積層体
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に活性エネルギー線を照射してなる硬化膜、及びその硬化膜からなるハードコート層を有する積層体は、硬度、耐傷性等の特性に優れる。
本発明の組成物に活性エネルギー線を照射して重合させてなる硬化膜を表面に有する物品は、硬度、耐傷性等の特性に優れる。物品の表面に組成物を塗布した後、活性エネルギー線を照射して重合させてもよいし、活性エネルギー線を照射し重合させた膜を別途作成したのち物品に積層してもよい。
本発明の硬化膜は種々の物品に適用しうるが、例えば、光学レンズ、光学プリズム、プリズムシート、自動車の窓材、建造物の窓材、眼鏡レンズ、太陽電池の表面保護フィルム、農業用ビニールハウスの透明フィルム、再帰反射標識表面保護用透明フィルムなどを挙げることができる。
本発明の組成物は種々の基材上に塗布、乾燥、硬化されてハードコート層を形成する。基材の種類は特に限定されないが、接着性の高さ等から樹脂からなる基材が好ましい。樹脂基材は板状、シート状、フィルム状のいずれであってもよいし、任意の形状の成形品であってもよい。また基材が積層体の一部であってもよく、基材と硬化膜との間に他の層を介してもよい。
樹脂基材は、熱可塑性樹脂でもよいし、熱や活性エネルギー線により硬化した硬化樹脂でもよい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブシレンテレフタレート(PBT)やポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、メタクリル酸メチル(MMA)含有共重合体(メタクリル酸メチル−スチレン共重合樹脂(MS樹脂))、ポリカーボネート(PC)、特殊ポリカーボネート(例えば帝人社製ピュアエース)、トリアセチルセルロース、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、変性ポリオレフィン樹脂、水素化ポリスチレン樹脂、シクロオレフィン系樹脂(例えばJSR社製のアートン、日本ゼオン社製のゼオネックス、ゼオノア、三井化学社製のアペル)等が挙げられる。
硬化樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、熱硬化性や光硬化性のアクリル系樹脂の硬化物、熱硬化性や光硬化性の有機無機ハイブリッド樹脂などの硬化物等が挙げられる。
これら基材は、例えばそれ自体塗布形成された膜であってもよいし、各種成形法による成形品であってもよい。
本発明の硬化膜は透明性に優れ、硬度、耐傷性に優れるので、高い透明性が要求される光学材料に適用できる。ここで言う光学材料とは、それを構成する材料の光学特性、例えば透明性(およびその波長依存性)、吸発光特性、外界との屈折率差、複屈折の小ささ、前記の特異な屈折率とアッベ数とのバランス等、種々の光学特性を利用する用途に用いられる成形体一般を指す。具体的には、例えば光記録媒体、光学ディスプレイ、レンズ、レンズアレイ、光学フィルター、プリズム、光ファイバーなどが挙げられる。
このとき、基材も透明であることが必要な場合には、基材は、コーティング法、溶融押し出し成形法、ソルベントキャスト法のいずれかで形成されてなることが望ましい。また基材が活性エネルギー線光又は熱で硬化可能な官能基を含む場合、活性エネルギー線照射又は加熱により硬化させるとより好ましい場合がある。また、これらの基材は、成形品(物品)の形のものであっても良いし、基材と本発明の組成物の塗布面との間に他の層を介していてもよい。なお透明とは、一般に、目的とする波長の光の透過率が80%以上であることを言う。
塗布方法としては、スピンコート、デイップコート、フローコート、スプレーコート、バーコート、グラビアコート、ロールコート、ブレードコート、エアナイフコート等を好ましい例として挙げることができる。
上記基材に上記塗布方法で塗膜を形成後、活性エネルギー線照射することにより重合させて、硬化膜が得られる。該硬化膜の厚さは、特に定めるものではなく、例えば、5μm以上であってもよいし、2μm以下であってもよい。本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、薄膜化/厚膜化の両方が可能な点で極めて有意である。塗布されてなる硬化膜の厚さは、特に好ましくは0.01〜50μm、硬度を重視する場合は特に好ましくは2〜20μm、硬度を比較的重視しない場合は特に好ましくは0.04〜2μmである。
活性エネルギー線の照射法としては、例えば、キセノンランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯、タングステンランプ等の光源から発せられる紫外線、又は通常20〜2000kVの粒子加速器から取り出される電子線、α線、β線、γ線、等の活性エネルギー線を照射する方法が挙げられる。
このような活性エネルギー線で硬化した硬化膜は生産性・物性のバランスに優れ、特に好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物からなる硬化膜は、光記録媒体及び光学ディスプレイの耐汚染性ハードコート層として特に好適に用いうる。
光記録媒体として代表的なのは光ディスクであるが、種類は相変化型、色素型、光磁気型、再生専用型等、いずれでもよい。なかでも、好ましいのはDVDやHD DVD、Blu−Ray Disc等の高密度記録用光ディスクである。記録密度を高めるためには記録マークも記録/再生用レーザー光のビーム径も小さくなるので、汚れや傷に敏感でジッターが高くなったり記録/再生エラーが増えたりし易く、耐汚染性や硬度に優れたハードコート層が求められる。
好ましい構成は、基板上に、少なくとも記録層又は反射層を有する多層膜を有する光記録媒体であって、少なくとも、該光記録媒体の光入射側の最表面に本発明の硬化膜からなるハードコート層を有する構成の積層体である。光入射側の最表面に汚れや傷があると記録/再生ビームが遮られエラーとなるため、光入射側の最表面に耐汚染性ハードコート層として本発明の硬化膜を設けることが好ましい。例えば(1)Blu−Ray Disc等のように記録層又は反射層に対し基板側とは逆側が光入射面であるもの、(2)DVD等のように、記録層又は反射層に対し基板側が光入射面であるもの、がある。この場合、ハードコート層は光透過性である必要がある。光透過性とは、通常、記録/再生光の波長の光に対して、透過度が80%以上ある状態を言う。光入射側とは反対側の最表面にも本発明の硬化膜を設けてもよい。
光記録媒体の好ましい層構成について以下に説明する。
(1)多層膜側表面が記録/再生ビーム入射側表面とされる光記録媒体
このような光記録媒体の好ましい層構成は、基板上に(反射層、)記録層、ハードコート層(硬化膜)をこの順に有する。より好ましくは記録層等とハードコート層の間に光透過層を有する。光透過層を設けることで、光記録媒体の光入射側最表面と記録層(反射層)との間隔が開き、記録/再生ビームが媒体表面の汚れや傷の影響を受けにくくなるため好ましい。光透過層の膜厚は30μm以上が好ましく、70μm以上がさらに好ましい。また、光透過層の厚さは200μm以下が好ましく、150μm以下がさらに好ましい。
各層間には目的に応じ任意の層を設けてよい。例えば記録層の上下に誘電体などからなる無機保護層を設けてもよい。或いは、記録容量を上げるために、光透過スペーサー層を介して記録層や反射層を複数設けてもよい。光透過スペーサー層は複数の記録層間で信号が混ざるのを防ぐために設けられ、膜厚は光透過層と同程度が好ましい。
特に好ましい層構成の例としては、基板/反射層/無機保護層/記録層/無機保護層/光透過層/ハードコート層、基板/反射層/光透過層/ハードコート層といった構成や、基板/反射層/無機保護層/記録層/無機保護層/光透過スペーサー層/反射層/無機保護層/記録層/無機保護層/光透過層/ハードコート層、基板/無機保護層/記録層/無機保護層/光透過層/ハードコート層、等といった構成が好ましく挙げられるが、これらに限定されるものではない。
基板、記録層、反射層、無機保護層の材質は特に限定されず、光記録媒体用に公知のいずれのものも用いうる。
基板としては、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリオレフィンなどの樹脂、あるいはガラス等を用いることができる。基板側から記録/再生光を入射する場合は、基板は記録/再生光に対して透明とする必要がある。基板の厚さは通常0.3〜1.2μmである。基板にはグルーブ(溝)やピットが形成される場合が多い。
記録層は、相変化型、色素型、光磁気型などがある。再生専用型の場合は記録層を有しないこともある。相変化型記録層には、カルコゲン系合金が用いられることが多く、例えば、GeSbTe系合金、InSbTe系合金、GeSnTe系合金、AgInSbTe系合金が挙げられる。相変化型記録層の厚さは通常3nm〜50nmである。色素型記録層には、アゾ系色素、シアニン系色素、フタロシアニン系色素、ポルフィリン系色素などを用いうるが、これらに限定されない。色素型記録層の厚さは通常50nm〜10μmである。
無機保護層の材料は、屈折率、熱伝導率、化学的安定性、機械的強度、密着性等に留意して決定され、通常、誘電体が用いられる。無機保護層の材料は、一般的には透明性が高く高融点である、金属や半導体の酸化物、硫化物、酸硫化物、窒化物やCa、Mg、Li等のフッ化物が用いられる。無機保護層の厚さは通常5〜200nm程度である。
反射層は、反射率および熱伝導度が大きい材料からなるのが好ましい。反射率および熱伝導度が大きい反射層材料としては、Ag、Au、Al、Cu等を主成分とする金属が挙げられる。中でもAgは、Au、Al、Cuに比べて反射率、熱伝導度が大きい。これらに、Cr、Mo、Mg、Zr、V、Ag、In、Ga、Zn、Sn、Si、Cu、Au、Al、Pd、Pt、Pb、Ta、Ni、Co、O、Se、V、Nb、Ti、O、N等の元素を5原子%程度まで含んでもよい。反射層の厚さは、通常30〜200nmである。また反射層はいわゆる半反射層であってもよい。
光透過層及び光透過スペーサー層は、光透過性で所定の厚みがあればよく、材質や形成方法は特に限定されないが、通常は樹脂組成物が用いられ、代表的には以下の2つの方法で形成される。第一の方法は、硬化性樹脂組成物をスピンコート法などで塗布後、光や熱により硬化して膜とする方法である。このときウレタンアクリレートを含有させると、硬化収縮による反りを抑えつつ表面の硬度や耐傷性を高めることができ、好ましい。また、光透過性を損なわない範囲で、コロイダルシリカなど無機酸化物微粒子を含有することも、表面の硬度や耐傷性を高めるために好ましい。第二の方法は、ソルベントキャスト又は溶融押出し成形等で作製したフィルムを直接又は粘着剤を介して貼り付ける方法である。このとき、表面の硬度や耐傷性を更に高めるためには、光透過性を損なわない範囲で、コロイダルシリカなど無機酸化物微粒子を含有することが好ましい。光透過スペーサー層にはグルーブ(溝)やピットが形成される場合もある。
本発明の組成物から得られる硬化膜からなるハードコート層の形成方法について説明する。上述したような層の上に、スピンコート法などで本発明の組成物を塗布後、活性エネルギー線照射により重合して硬化膜とする方法が一般的である。または、剥離性フィルム上に塗布し活性エネルギー線照射により重合硬化して膜としたのち、膜側を光記録媒体に直接又は粘着剤を介して貼り付け、フィルムを剥離し、ハードコート層とする方法も好ましい。さらにまた、ソルベントキャスト又は溶融押出し成形等で作製したフィルムに、本発明の組成物を塗布後、活性エネルギー線照射により重合して硬化膜としたものを、直接又は粘着剤を介して光記録媒体に貼り付けることにより、光透過層とハードコート層を同時に形成する方法も好ましい。
このような層構成を有する光記録媒体としては、Blu−Ray Disc等がある。
ハードコート層の形成方法のためのどちらの方法においても、表面の硬度・耐傷付き性をさらに高めるために、無機酸化物微粒子を、透明性など他の性能を損なわない範囲で、配合することができる。
また、特に、スピンコート法で、形成し、硬化、膜化させる場合は、膜の硬度を高めるような組成物を用いると、通常は硬化収縮による反りを生じやすい。これを避けるために、無機酸化物微粒子の配合および/またはウレタンアクリレートを含むと特に好ましい場合がある。
(2)基板側表面が記録/再生ビーム入射側表面とされる光記録媒体
このような光記録媒体の好ましい層構成は、基板上に記録層、反射層をこの順に有し、基板の他方の面にハードコート層を有する。記録/再生光は、ハードコート層や基板を通して記録層や反射層に入射する。基板とハードコート層の間に光透過層を設けてもよい。
各層間には目的に応じ任意の層を設けてよい。例えば記録層の上下に誘電体などからなる無機保護層を設けてもよい。また、記録容量を上げるために、光透過スペーサー層を介して記録層や反射層を複数設けてもよい。
特に好ましい層構成の例としては、ハードコート層/基板/無機保護層/記録層/無機保護層/反射層、ハードコート層/基板/反射層といった構成や、ハードコート層/基板/無機保護層/記録層/無機保護層/反射層/光透過スペーサー層/無機保護層/記録層/無機保護層/反射層、ハードコート層/光透過層/基板/無機保護層/記録層/無機保護層/反射層、等といった構成が好ましく挙げられるが、これらに限定されるものではない。
各層の材質や厚さは(1)と同様のものが好ましい。
このような層構成を有する光記録媒体としてはDVD±R、DVD±RW、DVD−RAMなどの各種DVD(記録層を複数有するDVDも含む)やHD DVDがある。本構成におけるハードコート層の形成方法は、基板等の上に本発明の組成物をスピンコート法などで塗布後、活性エネルギー線照射により重合硬化して膜とする方法が一般的である。
光学ディスプレイの中でも、代表的なのはタッチパネル光学ディスプレイであるが、これは、タッチパネルの形式等により層構成が異なる。例えば、抵抗膜式の場合、透明導電層つき透明フィルム(通常はポリエステルフィルムが用いられるが、脂環オレフィン骨格含有ポリマーのフィルムや、光学用ポリカーボネートフィルム、光学用アクリルフィルム、トリアセチルセルロースフィルムなどのその他の透明な光学フィルムでも使用可能)が、ディスプレイの最表面にくることになり、耐傷性/防汚性(特に耐指紋性)が必須である。この形式は、携帯電話やゲーム機、携帯音楽プレーヤー、情報端末、カーナビゲーション、デジタルカメラなどで広く用いられている。
また、静電容量方式の場合も、従来から現金自動預け払い機(ATM)や券売機、一部のタッチパネル操作可能なパソコンなどで広く使われているが、透明導電膜を保護する観点などから、防汚・反射防止性を付与する薄い光学フィルムを最外層に設ける必要が増している。さらに、最近、携帯電話などで急速に普及しはじめている新しい静電容量方式でタッチパネルを形成する場合も、最表面はアクリル保護板となることが多く、その表面はやはり耐傷性と防汚性を有することが不可欠である。このような静電容量形式のタッチパネルは、今後、カーナビゲーション、デジタルカメラ、ゲーム機、ノートパソコンや、デジタルサイネージ、など大きく用途拡大すると考えられている。
本発明の硬化膜からなるハードコート層は、このような光学ディスプレイにおいてペンや指がふれる面に特に好適に用いられる。
本発明の硬化膜からなるハードコート層を形成するための一般的な塗布方法としては、上述の方法を例として挙げることができるが、特に光記録媒体の場合はスピンコートが好ましい。本発明の樹脂組成物をスピンコートして塗膜を形成する場合、被塗布物を高速回転させながらコート液を塗布する方法であれば、短時間で均一に塗布できるうえ、揮発性の有機溶媒や水が少量残存していても、塗布時にその大部分が揮発するため、乾燥工程を省略することもできる。従って、生産効率・品質安定・生産設備コストの低減など、さまざまな側面から光記録媒体用途での塗布方法としてはスピンコートが最も適している。
一方、特に抵抗膜式の光学ディスプレイの場合には、通常は、広幅のフィルムやシートの導電膜とは反対面にハードコート層を形成するか、あるいは、導電膜付きのフィルムやシートの反対面にハードコート層つきフィルムを貼り合わせて作成した、導電膜付きハードコートフィルム(またはシート)を用いる。従って、ハードコート層を形成する塗布方法としては、フィルムへの一般的な塗布方法(ロールコーター、グラビアコーター、ナイフコーター、ブレードコーター、カーテンコーターなど)を広く採用することができる。
また、静電容量式の光学ディスプレイの場合も、通常はハードコート層付きフィルムを表面に貼る場合が多く、このようなフィルムでのハードコート層を形成する塗布方法としては上と同様である。新しい静電容量式でIML法やIMD法を用いる場合も、加飾・転写前にフィルム上に(ハード)コート膜を形成する必要があり、やはり塗布方法は上と同様である。
なお、少量評価の場合は、バーコーターのような方法、デイップコート、スピンコートなどの方法を用いても良い。
硬化膜の厚さは、特に定めるものではないが、光記録媒体の場合は、好ましくは0.01〜20μm、硬度を重視する場合は特に好ましくは2〜10μm、光記録媒体の反り抑制を重視し、硬度を比較的重視しない場合は特に好ましくは0.01〜2μmである。光学ディスプレイの場合は、好ましくは0.1〜20ミクロン、より好ましくは2〜10ミクロンである。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物からなる硬化膜、及びその硬化膜からなるハードコート層は下記物性を満たすことが好ましい。
1)鉛筆硬度
厚さ1mm厚のポリカーボネートフィルム上に、厚さ3μmの本発明の組成物からなる塗膜を形成し、酸素濃度20%の条件下で、波長254nmでの放射照度が400mW/cm2である高圧水銀ランプを用い、紫外線を1000mJ/cm2の積算光量となるように照射して得られる硬化膜の表面の鉛筆硬度は、通常HB以上である。好ましくはF以上である。なお、この際の放射照度は、JIS準拠(JIS−C 1609−1 2006)し、波長254nm用センサーを有する照度計を用いて測定する。
ここで、鉛筆硬度は、軟らかいものから順に、6B、5B、・・・、B、HB、F、H、2H、3H、・・・9Hである。
本発明の組成物によれば、硬化性が良好であるため、上記のような緩やかな紫外線照射条件であっても、得られる硬化膜の表面は高い鉛筆硬度を有するものとなる。よって、比較的緩やかな紫外線照射条件で硬化させることが求められる光記録媒体等の用途に、特に好適に用いることが可能である。
2)接触角
厚さ1mmのポリカーボネートフィルム上に、厚さ3μmの本発明の組成物からなる塗膜を形成し、酸素濃度20%の条件下で、波長254nmでの放射照度が400mW/cm2である高圧水銀ランプを用い、紫外線を1000mJ/cm2の積算光量となるように照射して得られる硬化膜の表面の水の接触角は80度以上、ヘキサデカンに対する接触角が25度以上であることが好ましい。
本発明の硬化膜では、水及びヘキサデカンに対する接触角が高いので、優れた耐汚染性を示す。
3)ESCA(XPS)
厚さ100μmの易接着ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、厚さ3μmの本発明の組成物からなる塗膜を形成し、酸素濃度20%の条件下で、波長254nmでの放射照度が400mW/cm2である高圧水銀ランプを用い、紫外線を500mJ/cm2の積算光量となるように照射したとき、硬化膜の膜表面から厚さ3nmの位置での耐汚染性付与基の含有量が、該硬化膜全体の耐汚染性付与基の平均含有量の3倍以上となることが好ましく、特に3.2〜100倍となることが好ましい。即ち、本発明の組成物によれば、耐汚染性付与基が硬化膜の表面に特異的に高濃度に存在していることが好ましい。硬化膜をこのような構成としうるのは、本発明の組成物の特徴の1つであり、この結果、組成物中の耐汚染性付与基の含量が、たとえば組成物全体の1重量%と低くても、塗膜表面の耐汚染性付与基の量が多くなり、結果として硬化膜の耐汚染性は優れたものとなる。
本明細書において、耐汚染性付与基とは、ポリジメチルシロキサン基、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキレン基等、耐汚染性を付与しうる基を言う。
この耐汚染性付与基の含有量は、例えば、X線光電子分光分析装置(以下、ESCAまたはXPSという)による測定により求めることができる。即ち、ESCA(XPS)を用いて、表面から3nmの範囲の原子数比を求め、該組成物の平均組成比と比較することにより求めることができる。ここで、例えば、フッ素系耐汚染性付与基を用いた場合は、F/C比、シリコーン系耐汚染性付与基を用いた場合は、Si/C比を求めることにより、比較することができる。
4)耐摩耗性
厚さ100μmの易接着ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、厚さ3μmの本発明の組成物からなる塗膜を形成し、酸素濃度20%の条件下で、波長254nmでの放射照度が400mW/cm2である高圧水銀ランプを用い、紫外線を500mJ/cm2の積算光量となるように照射したとき、得られる硬化膜の耐摩耗性が25.0以下となることが好ましい。なお、この耐摩耗性の測定方法は、後述の実施例の項に記載する。この際の放射照度は、JIS準拠(JIS−C 1609−1 2006)し、波長254nm用センサーを有する照度計を用いて測定する。
5)耐指紋性
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を使用することにより、硬化膜又はハードコート層の表面に、指紋又は人工指紋液を付着させ、200g荷重でテイッシュペーパーでふき取る場合、3往復以内のふき取り操作、より好ましくは2往復以内の操作で、完全に指紋が除去できるような、極めて耐指紋ふき取り性の良い表面物性を得ることができる。なお、人工指紋液は、トリオレイン/JIS試験用粉体1−11種(関東ローム、日本粉体工業技術協会製)/メトキシプロパノール=1/0.4/10(重量比)の混合物で、次世代光ディスクの耐指紋性評価に採用されている液である。
DVDや次世代光ディスク用の耐指紋性付与剤や光学ディスプレイ用積層体用途の耐指紋性付与剤として開発されてきた多くの耐汚染性付与剤は、例えば付着量や付着径が小さくとも、ふき取り時、すべり性(スリップ性)が高すぎたり、硬度が不足しているため、面上に広がりやすく、ふき取りにも3往復以上有するものが多いが、本発明の硬化膜及びハードコート層は、硬化後の硬度が高く、かつ、過度のすべり性を有さないため、少ないふき取り回数でふき取ることができるという特徴を有する。
また、指紋または人工指紋液を付着させ、200g荷重でテイッシュペーパーで3往復ふく、ふき取り操作を20回繰り返しても、指紋除去性が低下しないことはさらに大きな特徴である。
少ないふき取り回数でふき取れるようにする耐汚染性付与剤を用いても、従来のものは硬度が不足していたり、耐汚染性付与剤自身が硬化膜表面に固定されていないため、付着、ふき取り操作を繰り返すと、数回〜十数回で表面に細かい傷がつき、その隙間に指紋(または人工指紋液)が入り込んだり、あるいは耐汚染性付与剤自身が表面から失われてしまい、指紋除去性の耐久性に劣っていたが、本発明の硬化膜及びハードコート層は、硬化後の硬度が高く、かつ膜表面に耐汚染性付与基を有する化合物が固定されているため、20回以上、好ましくは40回以上操作を繰り返しても、指紋(または人工指紋液)のふき取り性が低下しないという、極めて高い性能耐久性を持つ、という特徴を有する。
6)硬化性
厚さ1mm厚のポリカーボネートフィルム上に、厚さ3μmの本発明のハードコート用樹脂組成物からなる塗膜を形成し、酸素濃度20%の条件下で、波長254nmでの放射照度が400mW/cm2である高圧水銀ランプを用い、紫外線を500mJ/cm2の積算光量となるように照射したとき、完全にタックフリーになるまで硬化が進行した硬化膜が得られることが好ましい。なお、この際の放射照度は、JIS準拠(JIS−C 1609−1 2006)し、波長254nm用センサーを有する照度計を用いて測定する。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。以下に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は、以下に示す具体例に限定されるものではない。
なお、実施例中の「部」及び「%」は、それぞれ「重量部」及び「重量%」を意味する。また、実施例中の「実質的に無溶剤」とは、有機溶剤を組成物中の5重量%を超えて含まないことを意味する。
下記の実施例等で得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、及び該組成物からなる硬化膜の物性は下記の方法により評価した。
(1)粘度
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物について、ブルックフィールド型粘度計(ブルックフィールド社DV−I型)を用いて、25℃、30〜60rpmにて測定した(単位:mPa・s)。
(2)外観
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の外観を、目視にて以下の通り評価した。
〇:目視で異物が確認できず、均一である。
×:目視で異物が確認でき、不均一である。
(3)硬化性
厚さ1mmのポリカーボネートフィルム上に、スピンコートにて厚さ3μmの活性エネルギー線硬化性樹脂組成物からなる塗膜を形成し、酸素濃度20%の条件下で、波長254nmでの放射照度が400mW/cm2である高圧水銀ランプを用い、紫外線を照射した際の硬化性を、以下の通り評価した。なお、この際の放射照度は、JIS準拠(JIS−C 1609−1 2006)し、波長254nm用センサーを有する照度計 アイUVテスター UV−PFA1 受光部PD−254(岩崎電気社製)を用いて測定した。
◎:積算光量≦300mJ/cm2で硬化膜表面がタックフリーとなる。
〇:300mJ/cm2<積算光量≦500mJ/cm2で硬化膜表面がタックフリーとなる。
△:500mJ/cm2<積算光量≦1000mJ/cm2で硬化膜表面がタックフリーとなる。
×:積算光量=1000mJ/cm2で硬化膜表面がタックフリーとならない。
(4)−1 透明性(ヘイズ値)
後述の通り、ポリカーボネートフィルム上に硬化膜を形成して得られた積層体について、JIS K−7105の条件に基づきヘイズ値を測定し、評価した。
(4)−2 透明性(目視)
硬化膜について、目視にて以下の通り評価した。
○:塗布膜に全く曇り、濁り、白化が見られない。
△:塗布膜が均一にわずかに曇っている。
×;塗布膜が不均一に曇っている、又は部分的、或いは全体に濁っているか、白化が見られる。
(5)鉛筆硬度
硬化膜について、JIS準拠鉛筆硬度計(太佑機材社製)を用い、JIS K−5400の条件に基づき測定を行い、傷の入らないもっとも硬い鉛筆の番手で評価した。
(6)耐傷性
硬化膜について、スチールウール#0000を用いて、200g荷重でこすり、以下の通り評価した。
◎:10往復で、目視で傷が全く確認できない。
〇:5往復で、目視で傷が確認できず、10往復では目視で傷が確認できる。
×:5往復で、目視で顕著な傷が確認できる。
(7)水の接触角
硬化膜に0.002mlの純水を滴下し、1分後の接触角を測定した。なお、接触角の測定には、接触角計(協和界面科学社製 DropMaster500)を用いた(単位:度)。
(8)ヘキサデカンの接触角
硬化膜に0.002mlのヘキサデカンを滴下し、1分後の接触角を測定した。なお、接触角の測定には、接触角計(協和界面科学社製 DropMaster500)を用いた(単位:度)。
(9)指紋付着性
光ディスク形状に射出成形した厚さ1.1mmのポリカーボ−ネート基板上に、人工指紋液を3000rpmでスピンコート塗布し、60℃で3分間乾燥し、人工指紋液原盤を作成した。なお、人工指紋液は、トリオレイン/JIS試験用粉体1−11種(関東ローム、日本粉体工業技術協会製)/メトキシプロパノール=1/0.4/10(重量比)の混合物で、次世代光ディスクの耐指紋性評価に採用されている液である。
この原盤上に、No.1のシリコーンゴムの小さい方の端面を#240の研磨紙で一様に粗化した転写材を準備し、粗化した端面を4.9Nの一定荷重で10秒間押し当て、次いで、評価する硬化膜表面にその端面を4.9Nの一定荷重で押し当てる(操作L1)。
さらに、原盤上に粗化した端面を4.9Nの一定荷重で10秒間押し当てる操作をn回連続的に繰り返し、人工指紋液の付着量を増した後、次いで、評価する硬化膜表面にその端面を4.9Nの一定荷重で押し当てる(操作Ln)。
この操作による人工指紋液の付着径を倍率100倍のスケール付の顕微鏡で目視観察し、最大付着径が20μm以下に保たれる範囲で、nが最大となる操作Lnを人工指紋液付着性とした。
nが最大となるLnは、L3又はL4であることが好ましく、より好ましくはL4である。
(10)指紋ふき取り性
鼻脂を皮脂の代用とし、鼻脂を親指につけ、その親指を硬化膜に3秒間押し付け、硬化膜に指紋をつけた。その指紋をテイッシュペーパー(クレシア社製)で表面を軽く拭き、15cm離れた状態で、目視で見えなくなるまでの往復回数を指紋ふき取り性として評価した。
(11)指紋ふき取り耐久性
鼻脂を皮脂の代用とし、鼻脂を親指につけ、その親指を硬化膜に3秒間押し付け、硬化膜に指紋をつけた。その指紋を200gの分銅に巻きつけたテイッシュペーパー(クレシア社製)で拭く操作を3往復行った。この操作を繰り返し回数が20回目まで行った。該20回目の操作後、15cm離れた状態で、指紋が目視で見えなければ〇、目視で見えれば×として評価した。
(12)耐マジック付着性
油性マジックマーカー(ゼブラ社製 マッキーケア極細(黒)の細)で線を描き、30秒後に線をはじいていれば○、はじいていなければ×として評価した。
(13)耐マジックふき取り性
油性マジックマーカー(ゼブラ社製 マッキーケア極細(黒)の細)で線を描き、30秒後、表面をテイッシュペーパー(クレシア社製)で拭き、3往復以内で拭き取れれば○、拭き取れなければ×として評価した。
<合成例1>1分子内に3個以上のアクリロイル基を有する多官能アクリレートが、共有結合で無機酸化物微粒子に結合した有機無機複合体を含む、多官能アクリレート誘導体(A−1)の合成
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(カヤラッドDPHA、日本化薬社製)1kgとγ−トリエトキシシリルプロピルイソシアネート(KBE9007、信越シリコーン社製)50g、ジブチルスズジラウレート0.2g、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.5gを攪拌混合の後、空気気流下90℃まで昇温し、1時間保持した。赤外線分光分析(以下、IRと略記することがある)でNCO基に対応する吸収が完全に消失していることを確認し、その後室温に戻し、生成物を取り出した(シランカップリング剤1、以下、SC1と示す)。この反応は定量的であった。
次いでメチルエチルケトン(MEK)分散オルガノシリカゾル(MEK−ST、30%MEK分散液、日産化学社製)400g、上記SC1を400g、ヒドロキノンモノメチルエーテル0.4g、アセチルアセトンアルミニウム4g、をよく攪拌混合の後、純水8gを加え、室温で3時間以上攪拌を続けた。その後、空気雰囲気下、50〜70℃まで昇温し、その温度で2時間以上攪拌継続し、シリカゾルの表面にシランカップリング剤を反応させたコロイダルシリカ修飾物(A−1)を含む、MEK分散液を得た。
この液から空気を連続供給しながらMEKを留去することで、実質的に無溶剤の(A−1)を得た。25℃での粘度は6000mPa・sであった。
<合成例2>1分子内に3個以上のアクリロイル基を有する多官能アクリレートが、共有結合で無機酸化物微粒子に結合した有機無機複合体を含む、多官能アクリレート誘導体(A−2)の合成
合成例1において、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(カヤラッドDPHA、日本化薬社製)1kgに替えてジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(カヤラッドDPHA、日本化薬社製)0.5kgと、ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(ビスコート#300、大阪有機社製)0.5kgを用いた以外は合成例1と同様にして、シランカップリング剤2(以下、SC2と示す)を得た。この反応は定量的であった。
次いで合成例1において、SC1に替えて上記SC2を用いた以外は合成例1と同様にして実質的に無溶剤のコロイダルシリカ修飾物(A−2)を得た。25℃での粘度は3000mPa・sであった。
<合成例3>1分子内に3個以上のアクリロイル基を有する多官能アクリレートが、共有結合で無機酸化物微粒子に結合した有機無機複合体を含む、多官能アクリレート誘導体(A−3)の合成
合成例1において、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(カヤラッドDPHA、日本化薬社製)1kgに替えてペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(ビスコート#300、大阪有機社製)1.0kgを用いた以外は合成例1と同様にして、シランカップリング剤3(以下、SC3と示す)を得た。この反応は定量的であった。
次いで合成例1において、SC1に替えて上記SC3を用いた以外は合成例1と同様にして実質的に無溶剤のコロイダルシリカ修飾物(A−3)を得た。25℃での粘度は800mPa・sであった。
<合成例4> 活性エネルギー線硬化性化合物(d−1)の合成
1000mlのセパラブル丸底フラスコにパーフルオロオクチルエチルメタクリレート50g、ラウリルメタクリレート10g、α、ω−ジメルカプトプロピルポリジメチルシロキサン(数平均分子量1600)10g、グリシジルメタクリレート30g、ドデシルメルカプタン2g(ドデシルメルカプタンのSH基の数/α、ω−ジメルカプトプロピルポリジメチルシロキサンのSH基の数=1.78、SH基の総数/エポキシ基の数=0.106)、1−メトキシ−1−プロパノール(PGM)200gを加え、内温を窒素気流下約60℃まで昇温した。その後2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(V65)を2回にわけ、計1.5g添加し、65℃で6時間攪拌を続けた。その後、内温を80℃まで上げ、V65を完全に失活させた後、室温に戻した。数平均分子量は15000、固形分濃度は34%であった。
次に空気雰囲気下、90℃に加熱した後、p−メトキシフェノール0.1g、トリフェニルホスフィン0.5gを加えた。5分後、アクリル酸15.3gをPGM50gに溶解し、30分かけて滴下した。この間液温を90〜105℃に保った。その後液温を110℃に上げ、8時間保持した後、室温に戻し、活性エネルギー線硬化性化合物(d−1)を得た。数平均分子量は15000、固形分濃度は33%であった。
なお、数平均分子量はゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、THFを溶媒として測定した。分子量はポリスチレン換算分子量である。固形分濃度は、液1gをアルミカップにとり、80℃にて真空乾燥した後の残存固形物量(3点の平均値)である。
<合成例5> 活性エネルギー線硬化性化合物(d−2)の合成
1000mlのセパラブル丸底フラスコにメチルメタクリレート35g、α、ω−ジメルカプトプロピルポリジメチルシロキサン(数平均分子量1600)15g、グリシジルメタクリレート50g、ドデシルメルカプタン2g(ドデシルメルカプタンのSH基の数/α、ω−ジメルカプトプロピルポリジメチルシロキサンのSH基の数=0.52、SH基の総数/エポキシ基の数=0.081)、PGM200gを加え、内温を窒素気流下約60℃まで昇温した。その後V65を2回にわけ、計1.5g添加し、65℃で6時間攪拌を続けた。その後、内温を80℃まで上げ、V65を完全に失活させた後、室温に戻した。数平均分子量は16000、固形分濃度は34%であった。
次に、アクリル酸を25.5gとした以外は合成例4と同様の操作を行い、活性エネルギー線硬化性化合物(d−2)を得た。数平均分子量は16000、固形分濃度は35%であった。
<合成例6>活性エネルギー線硬化性化合物(d−3)の合成
1000mlのセパラブル丸底フラスコにメチルメタクリレート75g、ヒドロキシエチルメタクリレート5g、α、ω−ジメルカプトプロピルポリジメチルシロキサン(X−22−167B(信越化学社製);数平均分子量1600)20g、メチルエチルケトン200gを加え、内温を窒素気流下約60℃まで昇温した。次に、V65を2回に分け、計1.5g添加し、65℃で6時間攪拌を続けた。その後、内温を80℃まで上げ、V65を完全に失活させた後、室温に戻した。数平均分子量は15000、固形分濃度は34%であった。
この後、2−イソシアネートエチルアクリレート(カレンズAOI(昭和電工社製))5.4g、ジオクチルスズジラウレート0.05g、p−メトキシフェノール0.05gを加え、空気雰囲気下70℃で4時間反応させて、側鎖にアクリル基を導入した後、室温に戻し、活性エネルギー線硬化性化合物(d−3)を得た。数平均分子量は16000、固形分濃度は35%であった。
<実施例1〜14>
表1に示す組成で、成分(A)、(B)、(C)、(D−1)を配合し、透明の液体であり、実質的に無溶剤の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。なお、(D−1)成分として、(d−1)、(d−2)を用いる場合には、配合後、空気を吹き込みながら残存溶媒を組成物中の5重量%未満まで減圧除去した。該組成物の物性は表1に示した通りである。いずれも、25℃での粘度は好ましい範囲にあり、塗布性に優れていた。
次に、厚さ1mmのポリカーボネートフィルム上に、スピンコートにより厚さ3μmの活性エネルギー線硬化性樹脂組成物からなる塗膜を形成し、酸素濃度20%の条件下で、波長254nmでの放射照度が400mW/cm2である高圧水銀ランプを用い、紫外線を1000mJ/cm2の積算光量となるように照射して得られた硬化膜の物性を、表2に示した。なお、この際の放射照度は、JIS準拠(JIS−C 1609−1 2006)し、波長254nm用センサーを有する照度計 アイUVテスター UV−PFA1 受光部PD−254(岩崎電気社製)を用いて測定した。いずれも鉛筆硬度はHB以上であり、かつ透明性、耐傷性等の他の物性も優れるものであった。
また、硬化膜の水及びヘキサデカンの接触角、各種耐汚染性の評価を行った結果を表3に示す。いずれも表面の水の接触角が80度以上、ヘキサデカンの接触角が25度以上であり、かつ耐汚染性に優れていた。
Figure 2010121013
Figure 2010121013
Figure 2010121013
<比較例1〜5>
表4に示す組成で、成分(A)、(B)、(C)、(D−1)を配合し、透明の液体であり、実質的に無溶剤の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。該組成物の物性は表4に示した通りである。比較例1〜5は成分(A)の割合が多く、いずれも25℃での粘度が500mPa・sを超えるため、塗布性に劣り、塗布欠陥のない塗布や均一な膜厚での塗布が困難であった。
<比較例6〜8>
表4に示す組成で、成分(A)、(B)、(C)、(D−1)として各成分を配合し、透明の液体であり、実質的に無溶剤の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。該組成物の物性は表4に示した通りである。いずれも25℃での粘度は好ましい範囲にあり、塗布性に優れるものであった。
次に、表4に示す組成の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いて、実施例1〜14と同様にして得られた硬化膜の物性を、表5に示した。いずれも鉛筆硬度が2B以下であったり、緩やかな活性エネルギー線の照射条件ではタックが残る等、硬化性が不足していた。また、耐傷性等の物性も劣り、好ましくないものであった。
<比較例9〜11>
表4に示す組成で、成分(A)、(B)、(C)、(D−1)として各成分を配合し、透明の液体であり、実質的に無溶剤の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。該組成物の物性は表4に示した通りである。いずれも25℃での粘度は好ましい範囲にあり、塗布性に優れるものであった。
次に、表4に示す組成の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いて、実施例1〜14と同様にして得られた硬化膜の物性を、表5に示した。いずれも成分(C)の量が少ないため、鉛筆硬度が2B以下であったり、緩やかな活性エネルギー線の照射条件ではタックが残る等、硬化性が不足していた。また、耐傷性等の物性も劣り、好ましくないものであった。
<比較例12、13>
表4に示す組成で、成分(A)、(B)、(C)、(D−1)として各成分を配合し、透明の液体であり、実質的に無溶剤の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。該組成物の物性は表4に示した通りであり、25℃での粘度は好ましい範囲にあり、塗布性に優れたものであった。
次に、表4に示す組成の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いて、実施例1〜14と同様にして得られた硬化膜の物性を、表5に示した。鉛筆硬度が3Bとなり、緩やかな活性エネルギー線の照射条件ではタックが残り硬化性が不足していた。また、耐傷性等の物性も劣り、好ましくないものであった。
Figure 2010121013
Figure 2010121013
<製造例1>
情報記録のためにグルーブが作成されたディスク状支持基体(ポリカーボネート製、厚さ1.1mm、直径120mm)のグルーブが形成された面上に、反射層、第2誘電体層、記録層、第1誘電体層を形成したブルーレイディスク用光記録媒体(中間品)を準備した。
この第1誘電体層表面に、下記組成のラジカル重合性の活性エネルギー線硬化性材料をスピンコート法により塗布した後、出力密度60W/cmの高圧水銀灯を用い、積算光量1000mJ/cm2になるよう紫外線照射し、硬化後の厚さ97μmの光透過保護層を形成した。この表面の鉛筆硬度は4Bであった。
((光透過保護層用のラジカル重合性の活性エネルギー線硬化性材料の組成))
ウレタンアクリレートオリゴマー 60重量部
(平均分子量800のポリテトラメチレングリコールにイソホロンジイソシアネートを付加させたイソシアネート末端オリゴマーにヒドロキシエチルアクリレートを反応させて生成させたウレタンアクリレート)
イソシアヌル酸エチレンオキシド変性トリアクリレート 20重量部
(東亞合成社製、アロニックスM313)
テトラヒドロフルフリルアクリレート 20重量部
イルガキュア184 3重量部
<実施例15〜17>
表6に示す組成で、実施例1〜14と同様にして活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
この組成物を、製造例1で形成した透明性保護層上に、スピンコート法により塗布して塗膜とした。この塗膜に、酸素濃度20%の条件下で、波長254nmでの放射照度が400mW/cm2である高圧水銀ランプを用い、紫外線を1000mJ/cm2の積算光量となるように照射し、硬化後の厚さ3μmのハードコート層を作成した。なお、この際の放射照度は、JIS準拠(JIS−C 1609−1 2006)し、波長254nm用センサーを有する照度計 アイUVテスター UV−PFA1 受光部PD−254(岩崎電気社製)を用いて測定した。
そのハードコート層の表面物性について、透明性(目視で評価)、鉛筆硬度、接触角(水、ヘキサデカン)、耐汚染性(人工指紋液付着性、人工指紋液ふき取り性、人工指紋液ふき取り耐久性)について評価した。耐汚染性については表8に、その他の物性については表7に結果を示した。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(実施例15〜17)から作成したハードコート層は、接触角が高く、耐汚染性のうちの付着性に特に優れ、結果としてふき取り性やふき取り耐久性にも優れており、Blu−ray Discとして好ましいものを得ることができた。
なお、PC基材上に光透過保護層を介して膜厚3μmの硬化膜を形成した実施例15〜17は、Blu−ray Disc用途に対応するものである。
Figure 2010121013
Figure 2010121013
Figure 2010121013
参考のため、市販されている耐汚染性ハードコート剤を塗布、硬化したハードコート層を表面に有する光記録媒体(次世代光ディスク(Blu−ray Disc))の鉛筆硬度、接触角、耐汚染性を評価した。その結果を表9に示す。
市販品A,B,Cは人工指紋液の付着性は優れているものの、ふき取り性は3往復を超え、かつふき取り耐久性も低く、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化膜からなるハードコート層に比べ明らかに劣っていた。
Figure 2010121013
<実施例18〜20>
実施例15〜17と同様にして表6に示す組成の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
この組成物を、易接着処理層を表面に有する厚さ100ミクロンの2軸延伸PETフィルム(三菱樹脂社、ダイアホイルT600E100)に、バーコート法により塗布して塗膜とした。この塗膜に、酸素濃度20%の条件下で、波長254nmでの放射照度が400mW/cm2である高圧水銀ランプを用い、紫外線を1000mJ/cm2の積算光量となるように照射し、硬化後の厚さ5μmのハードコート層を作成した。なお、この際の放射照度は、JIS準拠(JIS−C 1609−1 2006)し、波長254nm用センサーを有する照度計 アイUVテスター UV−PFA1 受光部PD−254(岩崎電気社製)を用いて測定した。
該ハードコート層の表面物性について、透明性(目視で評価)、鉛筆硬度、接触角(水、ヘキサデカン)、耐汚染性(人工指紋液付着性、人工指紋液ふき取り性、人工指紋液ふき取り耐久性)を評価した。耐汚染性については表11に、その他の物性については表10に結果を示した。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物から作成したハードコート層は、接触角が高く、耐汚染性のうちの付着性に特に優れ、結果としてふき取り性やふき取り耐久性にも優れており、特にタッチパネルディスプレイの表面保護コート用としても好ましいものを得ることができた。
なお、PETフィルム基材上に膜厚5μmの硬化膜を形成した実施例18〜20は、タッチパネルディスプレイ用途に対応するものである。
Figure 2010121013
Figure 2010121013

Claims (13)

  1. 下記(A)、(B)、(C)及び(D−1)を含み、25℃の粘度が10〜500mPa・sである活性エネルギー線硬化性樹脂組成物であって、厚さ1mmのポリカーボネートフィルム上に、厚さ3μmの該活性エネルギー線硬化性樹脂組成物からなる塗膜を形成し、酸素濃度20%の条件下で、波長254nmでの放射照度が400mW/cm2である高圧水銀ランプを用い、紫外線を1000mJ/cm2の積算光量となるように照射した際の、硬化膜表面の鉛筆硬度がHB以上であり、且つ、有機溶剤を該組成物中の5重量%を越えて含まないことを特徴とする、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
    (A)1分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートが、共有結合で無機酸化物微粒子に結合した有機無機複合体を含む、多官能(メタ)アクリレート誘導体 25〜90重量部
    (B)1分子内に1〜4個の(メタ)アクリロイル基及び/又は(メタ)アクリルアミド基を含む、1〜4官能の(メタ)アクリレート及び/又は(メタ)アクリルアミド 10〜75重量部
    (C)光重合開始剤 (A)及び(B)の合計量100重量部に対して2〜5重量部
    (D−1)ポリジメチルシロキサン基、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキレン基から選ばれる一以上の基を含む活性エネルギー線硬化性化合物 (A)及び(B)の合計量100重量部に対し0.1〜15重量部
  2. 前記活性エネルギー線硬化性化合物(D−1)が、下記(D−2)である、請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
    (D−2)ポリジメチルシロキサン基、パーフルオロアルキル基、及びパーフルオロアルキレン基から選ばれる一以上の基を含むモノマーとエポキシ基を有する(メタ)アクリレートを含むモノマーとの混合物のラジカル重合体のエポキシ基の少なくとも一部に、1分子内に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸を反応させてなる構造に相当する構造を有する活性エネルギー線硬化性重合体
  3. 下記(A)、(B)、(C)及び(D−2)を含み、25℃の粘度が10〜500mPa・sである活性エネルギー線硬化性樹脂組成物であって、且つ、有機溶剤を該組成物中の5重量%を越えて含まないことを特徴とする、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
    (A)1分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートが、共有結合で無機酸化物微粒子に結合した有機無機複合体を含む、多官能(メタ)アクリレート誘導体 25〜90重量部
    (B)1分子内に1〜4個の(メタ)アクリロイル基及び/又は(メタ)アクリルアミド基を含む、1〜4官能の(メタ)アクリレート及び/又は(メタ)アクリルアミド 10〜75重量部
    (C)光重合開始剤 (A)及び(B)の合計量100重量部に対して2〜5重量部
    (D−2)ポリジメチルシロキサン基、パーフルオロアルキル基、及びパーフルオロアルキレン基から選ばれる一以上の基を含むモノマーとエポキシ基を有する(メタ)アクリレートを含むモノマーとの混合物のラジカル重合体のエポキシ基の少なくとも一部に、1分子内に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸を反応させてなる構造に相当する構造を有する活性エネルギー線硬化性重合体 (A)及び(B)の合計量100重量部に対し0.1〜15重量部
  4. 前記(B)が下記(i)〜(iii)の少なくとも一つを含む、請求項1〜3のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
    (i)1分子内に1個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートであって、該(メタ)アクリロイル基に結合する酸素原子に、直接、又は、α−位炭素若しくはβ−位炭素を介して、(ポリ)シクロアルキル基、(ポリ)シクロアルケニル基、ヒドロキシアルキル基、環状エーテル基、及び(ポリ)アルキレンオキサイド基、から選ばれる1つが結合している(メタ)アクリレート
    (ii)1分子内に2〜4個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートであって、少なくともいずれか一つの(メタ)アクリロイル基に結合する酸素原子に、直接、又は、α−位炭素若しくはβ−位炭素を介して、(ポリ)シクロアルキレン基、(ポリ)シクロアルケニレン基、ヒドロキシアルキレン基、環状エーテル基、及び(ポリ)アルキレンオキサイド基、から選ばれる1つが結合している(メタ)アクリレート
    (iii)1分子内に1〜4個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリルアミドであって、(メタ)アクリロイル基に結合するアミノ基が2つのアルキル基で置換されている(メタ)アクリルアミド(ただし、2つのアルキル基は、直接、又は、ヘテロ原子を介して結合していてもよい)
  5. 前記(B)の総重量の1/3以上が前記(i)〜(iii)である、請求項4に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  6. 前記(B)が1分子内に1〜4個のアクリロイル基を含むものである、請求項1〜5のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  7. 前記(A)が、ペンタエリスリトールトリアクリレートとトリエトキシシリルプロピルイソシアネートの反応物がコロイダルシリカに結合したコロイダルシリカ修飾物、もしくはジペンタエリスリトールペンタアクリレートとトリエトキシシリルプロピルイソシアネートとの反応物がコロイダルシリカに結合したコロイダルシリカ修飾物、これらのコロイダルシリカ修飾物のポリアルキレンオキシドによる変性物、又はこれらのコロイダルシリカ修飾物のポリカプロラクトンによる変性物、のいずれかを含む、請求項1〜6のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  8. 前記(C)がα−アミノフェニルケトン類、ベンゾフェノン類、ベンゾイルギ酸(エステル)類、及びオキシムエステル類、から選ばれる一以上を含む、請求項1〜7のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  9. 厚さ1mmのポリカーボネートフィルム上に、厚さ3μmの前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物からなる塗膜を形成し、酸素濃度20%の条件下で、波長254nmでの放射照度が400mW/cm2である高圧水銀ランプを用い、紫外線を1000mJ/cm2の積算光量となるように照射した際の、硬化膜表面の水の接触角が80度以上、ヘキサデカンの接触角が25度以上である、請求項1〜8のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  10. 光学材料用である請求項1〜9のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に、活性エネルギー線を照射してなる硬化膜。
  12. 請求項11に記載の硬化膜からなるハードコート層を表面に有する、積層体。
  13. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を塗布して塗膜を形成し、該塗膜を乾燥させる工程を経ることなく活性エネルギー線を照射して硬化膜を形成する、硬化膜の製造方法。
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