JP2015199333A - 積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐傷付性、硬度、耐衝撃性、耐クラック性、耐衝撃性、低カール性、透明性等に優れた積層体及び該積層体からなる表示体カバーを提供する。
【解決手段】ポリメチルメタクリレートからなり、厚みが0.3〜30mmである基材層の一方の面に、下記層(A)を介して下記層(B)が積層された積層体。層(A):アクリロイル基を有する化合物を含み、アクリル当量が100g/mol以上である硬化性組成物(α)又はその硬化物からなる層、層(B):特定のシリコーン含有(メタ)アクリレートとエポキシ基を有する(メタ)アクリレートとを共重合して得られた共重合体にカルボキシル基及びアクリロイル基を有する化合物を反応させて得られるアクリル系共重合体と、活性エネルギー線硬化性化合物とを含む硬化性組成物(β)又はその硬化物からなる層
【選択図】なし

Description

本発明は耐傷付性、硬度、耐クラック性、耐衝撃性、低カール性、透明性等に優れた積層体に関する。また、本発明はこの積層体からなる表示体カバーに関する。
プラスチック製品、例えばポリカーボネート(PC)樹脂;ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂;ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、スチレン−メチルメタクリレート(MS)樹脂、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂等のスチレン系樹脂;塩化ビニル系樹脂;トリアセチルセルロース等の酢酸セルロース樹脂等の各種樹脂基材は、軽量性、易加工性、耐衝撃性等が優れているため、容器、インストルメントパネル、包装材、各種ハウジング材、光デイスク基板、プラスチックレンズ、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等の表示機器の基材等、種々の用途に用いられている。
携帯電話、PHS(Personal Handy−phone System)等の表示体を有する産業用電子機器では、デザインの多様化、薄型化、大面積化の進展に伴い、その表示体カバー自体にも薄型化、軽量化、安価化等の要求が高まっている。この表示体カバーとしてはガラス基材が一般的に使用されているが、表示体カバーそれ自体の薄型化、軽量化、安価化等の要求に伴い、現在では基材そのものが自立できる一定の厚みをもったPMMA樹脂シートやPC樹脂シート等の使用が種々検討されている。一方でこれらのプラスチック基材は従来使用されているガラス基材に比べて耐傷付性や硬度に劣るため、種々のハードコート材を被覆した樹脂シートが検討されている。
従来、主に携帯電話、PHS等の表示体カバー用の積層体として、次のような技術が開示されている。例えば、特許文献1において、PMMA基材にウレタンアクリレートとシリコーンオイルを含むハードコート材を被覆した積層体により表面の耐傷付性を改善することが開示されている。また、特許文献2において、PMMA基材に多官能アクリレートを含むハードコート材を被覆した積層体により表面の耐傷付性を改善することが開示されている。また、特許文献3において、重量平均分子量が10万以上であり、かつガラス転移温度が100℃以上であるPMMA基材に多官能アクリレートとシリコーンオイルを含むハードコート材を被覆した積層体により耐傷付性を改善することが開示されている。更に、特許文献4において、耐衝撃PMMA基材に2官能ウレタンアクリレートと多官能アクリレート及び/又は多官能ウレタンアクリレートとを含むハードコート材を被覆した積層体により耐衝撃性、カール性等を改善することが開示されている。
特開2004−299199号公報 特開2008−006811号公報 特開2008−049697号公報 特開2008−100422号公報
本発明者らの詳細な検討によれば、上記特許文献1〜4において開示されているような技術には次のような問題点があることがわかった。
これらの従来の技術はいずれも主として携帯電話やPHSの表示体カバーを志向したものであり、近年普及しているスマートフォン、タブレット等のタッチパネルに要求される耐衝撃性、耐傷付性、硬度等の特性に対してはその機能が不十分である。即ち、スマートフォン、タブレット等のタッチパネルにおける表示体カバーはそれ自体が十分な耐衝撃性を有することが求められるだけではなく、指を滑らす動き(フリップ)が操作上、頻繁に行われるようになっており、従来の携帯電話、PHS用の表示体カバーでは耐傷付性、硬度等が不十分であり、これらの表示体カバーとしては機能が不十分である。
本発明者らは上記従来技術の諸問題点に鑑み更に検討を重ね、耐衝撃性、耐傷付性を維持しながら硬度を高めるために、PMMA基材等に対して高度の耐傷付性、硬度を付与し得る、特定のシリコーン化合物と活性エネルギー線硬化性化合物とからなるハードコート材を厚膜塗布することを考えたが、このようなハードコート材を単に厚膜塗布しようとするとハードコート層にクラックが入ってしまうという問題が見出された。
本発明は以上に挙げたような種々の問題点を解決することを目的とするものである。即ち、本発明の課題は、耐傷付性、硬度、耐衝撃性、耐クラック性、耐衝撃性、低カール性、透明性等に優れた積層体及び該積層体からなる表示体カバーを提供することにある。
本発明者らが上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の種類及び厚みを有する基材層に、特定の層構成を有する積層体が耐傷付性、硬度、耐衝撃性、耐クラック性、耐衝撃性、低カール性、透明性等に優れることを見出したものである。即ち、本発明の要旨は以下の[1]〜[13]に存する。
[1] 少なくとも下記基材層と、該基材層の一方の面に該基材層側から下記層(A)及び下記層(B)をこの順で有し、該基材層の厚みが0.3〜30mmである積層体。
基材層:ポリメチルメタクリレートからなる層
層(A):アクリロイル基を有する化合物を少なくとも含み、アクリル当量が100g/mol以上である硬化性組成物(α)及び/又はその硬化物(ただし、下記硬化性組成物(β)及び/又はその硬化物を除く。)からなる層
層(B):少なくとも下記式(1)で表されるシリコーン含有(メタ)アクリレートとエポキシ基を有する(メタ)アクリレートとを共重合して得られた共重合体にカルボキシル基及びアクリロイル基を有する化合物を反応させて得られるアクリル系共重合体と、活性エネルギー線硬化性化合物とを含む硬化性組成物(β)及び/又はその硬化物からなる層
Figure 2015199333
(上記式(1)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数1〜12のアルキレン基であり、R及びRはそれぞれ独立してメチル基又はフェニル基であり、Rは炭素数1〜12のアルキル基であり、nは平均値であり、10〜100の数である。)
[2] 前記基材層の他方の面に下記層(C)を有する、[1]に記載の積層体。
層(C):アクリル当量が100g/mol以上である硬化性組成物(γ)及び/又はその硬化物からなる層
[3] 前記硬化性組成物(α)が、多官能(メタ)アクリレート及び/又はアクリロイル基を有する化合物で修飾されたシリカを含む、[1]又は[2]に記載の積層体。
[4] 前記硬化性組成物(β)が、前記アクリル系共重合体と活性エネルギー線硬化性化合物の合計量に対し、該アクリル系共重合体を0.05〜10重量%含有する、[1]乃至[3]のいずれかに記載の積層体。
[5] 前記硬化性組成物(β)に含まれる共重合体が、更に、炭素数4〜22のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを共重合したものである、[1]乃至[4]のいずれかに記載の積層体。
[6] 前記硬化性組成物(γ)が、多官能(メタ)アクリレート及び/又はアクリロイル基を有する化合物で修飾されたシリカを含む、[2]乃至[5]のいずれかに記載の積層体。
[7] 前記硬化性組成物(γ)がポリウレタンを含む、[2]乃至[6]のいずれかに記載の積層体。
[8] 前記層(B)の厚みが、2〜100μmである、[1]乃至[7]のいずれかに記載の積層体。
[9] 前記層(C)の厚みが、2〜100μm以下である、[2]乃至[8]のいずれかに記載の積層体。
[10] 前記基材層が、少なくともポリメチルメタクリレートからなる層とポリカーボネートからなる層との2層で構成されるものである、[1]乃至[9]のいずれかに記載の積層体。
[11] 前記基材層が、少なくともポリメチルメタクリレートからなる層とポリカーボネートからなる層との2層で構成されるものであり、該ポリメチルメタクリレートからなる層が前記層(A)に接しており、該ポリカーボネートからなる層が前記層(C)と接するものである、[2]乃至[10]のいずれかに記載の積層体。
[12] [1]乃至[11]のいずれかに記載の積層体からなる表示体カバー。
[13] [2]、[6]、[7]、[9]、又は[11]に記載の積層体からなる表示体カバーであり、層(B)側を前面側に有し、層(C)側を裏面側に有する表示体カバー。
本発明の積層体は、耐傷付性、硬度、耐衝撃性、耐クラック性、耐衝撃性、低カール性、透明性等に優れたものである。このため、本発明の積層体は、タッチパネル、液晶テレビ等の光学ディスプレイ用部品;ランプ関連物品、ウインドウ関連物品(リアウィンドウ、サイドウィンドウ、天窓等)等の自動車関連部品;各種電気機器の筐体、化粧板、家具等の生活関連物品等の幅広い物品の表面カバーに好適に用いることができる。これらの中でもタッチパネル、液晶テレビ等の光学ディスプレイ用部品の表面カバー、即ち表示体カバーとして特に好適に用いることができる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下の説明は、本発明の実施の形態の一例であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の記載内容に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」という表現を用いる場合、その前後の数値又は物性値を含む表現として用いるものとする。また、本発明において、「(メタ)アクリル」という表現を用いた場合、「アクリル」と「メタクリル」の一方又は両方を意味するものとする。「(メタ)アクリレート」「(メタ)アクリロイル」についても同様である。
〔積層体〕
本発明の積層体は、少なくとも下記基材層と、該基材層の一方の面に該基材層側から下記層(A)及び下記層(B)をこの順で有し、該基材層の厚みが0.3〜30mmであるものである。
基材層:ポリメチルメタクリレートからなる層
層(A):アクリロイル基を有する化合物を少なくとも含み、アクリル当量が100g/mol以上である硬化性組成物(α)及び/又はその硬化物(ただし、下記硬化性組成物(β)及び/又はその硬化物を除く。)からなる層
層(B):少なくとも下記式(1)で表されるシリコーン含有(メタ)アクリレートとエポキシ基を有する(メタ)アクリレートとを共重合して得られた共重合体にカルボキシル基及びアクリロイル基を有する化合物を反応させて得られる共重合体と、活性エネルギー線硬化性化合物とを含む硬化性組成物(β)及び/又はその硬化物からなる層
Figure 2015199333
(上記式(1)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数1〜12のアルキレン基であり、R及びRはそれぞれ独立してメチル基又はフェニル基であり、Rは炭素数1〜12のアルキル基であり、nは10〜100の整数である。)
なお、本発明において、上記硬化性組成物(α)、後述の硬化性組成物(β)、後述の硬化性組成物(γ)における「アクリル当量」とは、これらの組成物に含まれるアクリロイル基を有する化合物の分子量(g/mol)を、その化合物1分子内に存在するアクリロイル基の数で除した値であり、アクリロイル基を有する化合物が2種以上含まれる組成物である場合には、各々の化合物のアクリル当量に重量比率を乗じた値の和として定義する。なお、アクリロイル基を有さない化合物については考慮しないものとする。また、「アクリロイル基」にはメタクリロイル基も含まれるものとする。
[基材層]
本発明の積層体に用いられる基材層はポリメチルメタクリレートからなる層である。本発明において、基材層の「ポリメチルメタクリレート」とは、少なくともメチルメタクリレートを構成単位として有するアクリル系重合体の基材を意味するものであり、また、「ポリメチルメタクリレートからなる層」とは、ポリメチルメタクリレート基材層と他の樹脂基材よりなる層とを積層したものを含む意味で用いられる。
基材層に用いることのできる他の樹脂基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS樹脂)、変性ポリオレフィン、水素化ポリスチレン、シクロオレフィン系樹脂等が挙げられる。これらの中でも積層体に耐衝撃性を付与する観点から好ましいのはポリカーボネートである。なお、本発明にかかる基材層がポリメチルメタクリレートからなる基材層とポリカーボネートからなる基材層との層積層構造である場合、後述の層(A)はポリメチルメタクリレートからなる基材層に接するように設けられ、後述の層(C)はポリカーボネートからなる基材層に接するように設けられることが好ましい。
本発明の積層体において、基材層の総厚みは0.3〜30mmである。本発明の積層体そのものが自立するために、基材層の総厚みは0.3mm以上であることが必要である。この観点から基材層の総厚みは0.4mm以上であることが好ましい。また、表示体等として用いるための薄型化、軽量化の要求から、基材層の総厚みは2.0mm以下であることが必要である。この観点から基材層の総厚みは1.8mm以下であることが好ましい。
また、本発明に用いる基材層におけるポリメチルメタクリレート基材層の厚みは30μm以上であることが好ましい。一方、ポリメチルメタクリレート基材層の厚みは硬度の観点から1.2mm以下であることが好ましく、1.0mm以下であることがより好ましい。
[層(A)]
層(A)は、アクリロイル基を有する化合物を少なくとも含み、アクリル当量が100g/mol以上である硬化性組成物(α)及び/又はその硬化物からなる層である。ここで硬化性組成物(α)は後述する硬化性組成物(β)に該当するものを除く意味で用いられる。硬化性組成物(α)のアクリル当量の上限は特に制限されないが、通常、10,000g/mol以下であり、好ましくは6,000g/mol以下であり、より好ましくは3,000g/mol以下であり、更に好ましくは2,000g/mol以下であり、特に好ましくは1,000以下である。また、硬化性組成物(α)のアクリル当量が100g/mol以上であると層(A)を硬化させた際にクラックが入ることを防ぐことができる。
(アクリロイル基を有する化合物)
アクリロイル基を有する化合物としては、単官能(メタ)アクリレート及びその誘導体、多官能(メタ)アクリレート及びその誘導体、アクリロイル基を有する化合物で表面を修飾したシリカ等が挙げられる。これらの中でも層(A)の硬度を高める観点から、多官能(メタ)アクリレート及びその誘導体並びにアクリロイル基を有する化合物で表面を修飾したシリカ粒子からなる群のうちの少なくとも1つを含むことが好ましい。
単官能(メタ)アクリレート及びその誘導体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよびそのカチオン化剤による変性体、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよびそのカチオン化剤による変性体、シアノエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタレート、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタレート、2−(メタ)アクリロイルプロピルフタレート、(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種のみで用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
多官能(メタ)アクリレート及び多官能(メタ)アクリレート誘導体としては、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、無水コハク酸へのペンタエリスリトールトリアクリレート付加物、無水コハク酸へのジペンタエリスリトールペンタアクリレート付加物などの多官能アクリレート類;側鎖又は側鎖と末端にアクリロイル基を有するポリエステルオリゴマー(具体的には、東亞合成社製のM8030、M7100等)等のポリエステル(メタ)アクリレート類;イソホロンジイソシアネート(IPDI)のイソシアヌレート体、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)及びヒドロキシエチルアクリレート(HEA)の反応物、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のイソシアネート体とPTMG反応物へのペンタエリスリトールトリアクリレートの反応物等の多官能ウレタン(メタ)アクリレート類;ポリカーボネートジオールを用いたオリゴエステルとペンタエリスリトールトリアクリレートの反応物等のカーボネート結合を有するポリエステル(メタ)アクリレート類;IPDIとポリカーボネートジオールの反応物と、HEAの反応物などのカーボネート結合を有するポリウレタン(メタ)アクリレート類;ビスフェノールAのアクリル酸付加物(具体的には、新中村化学社製のEA−1025)等のポリエポキシ(メタ)アクリレート類;トリエトキシイソシアヌル酸ジアクリレート、トリエトキシイソシアヌル酸トリアクリレート(具体的には、東亞合成社製のアロニックスM315、M313)等のイソシアヌレート環を有するトリエトキシ(メタ)アクリレート類;これらのアルキレンオキサイド変性物;これらのポリカプロラクトン変性物等が挙げられる。これらは1種のみで用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、粘度、硬化性、得られる硬化物表面の硬度等から、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート;これらのアルキレンオキサイド変性体;これらのカプロラクトン変性体等が特に好ましい。
アクリロイル基を有する化合物で表面を修飾したシリカ粒子は、例えば、溶媒に分散させたシリカ粒子と、アクリロイル基を有するシラン化合物とを加水分解縮合反応させることにより製造することができる。アクリロイル基を有する化合物で表面を修飾したシリカ粒子は例えば、特開2006−249322号に記載されている方法により製造することが可能であり、より具体的には、表面をアクリロイル基を有する化合物により修飾されてなるシリカ粒子は、まず、有機溶媒を分散媒とするシリカ粒子に、アクリロイル基を有するシラン化合物を加え、さらに水、アセチルアセトンアルミニウムを加水分解触媒として加えて、加熱下で攪拌しながら加水分解反応を進行させることで得ることができる。
溶媒に分散させたシリカ粒子としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、キシレン、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチレングリコールモノn−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トルエン、シクロヘキサノン等の1種又は2種以上の溶媒に分散させたシリカ粒子が挙げられる。これらは市販品として入手することが可能であり、その例としては例えば、日産化学工業(株)製メタノールシリカゾルMA−ST−M、イソプロピルアルコールシリカゾルIPA−ST、エチレングリコールシリカゾルEG−ST、キシレン/ブタノールシリカゾルXBA−ST、ジメチルアセトアミドシリカゾルDMAC−ST、メチルエチルケトンシリカゾルMEK−ST、メチルイソブチルケトンシリカゾルMIBK−ST、エチレングリコールモノn−プロピルエーテルシリカゾルNPC−ST−30、プロピレングリコールモノメチルエーテルシリカゾルPGM−ST、酢酸エチルシリカゾルEAC−ST、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートPMA−ST、トルエンシリカゾルTOL−ST、シクロヘキサノンシリカゾルCHO−ST−M等を用いることができる。これらは1種のみで用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記溶媒に分散させたシリカ粒子は、平均一次粒子径が、1nm以上であることが好ましく、3nm以上であることがより好ましく、5nm以上であることが更に好ましく、一方、200nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることが更に好ましく、30nm以下であることが特に好ましい。前記シリカ粒子の平均一次粒子径が上記下限値以上であると耐擦傷性、表面硬度が向上する傾向にあり、また、上記上限値以下であると硬化物の透明性が良好となる傾向にある。なお、本発明における溶媒に分散させたシリカ粒子の平均一次粒子径は、BET吸着法による比表面積測定値(JIS Z8830に準拠)を求め、以下の式から換算値として求められる値であるが、市販品についてはカタログ値を採用することができる。
[平均一次粒子径(nm)]=
6,000/〔[比表面積(m/g)]×[密度(g/cm)]〕
また、アクリロイル基を有するシラン化合物としては、例えば、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルメチルジメトキシシラン、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルメチルジエトキシシラン、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルメトキシシラン、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルエトキシシラン、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等を用いることができる。これらは1種のみで用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アクリロイル基を有する化合物で表面を修飾したシリカ粒子のシリカ粒子表面に修飾されるアクリロイル基の量(表面を(メタ)アクリロイル基を有する化合物により修飾されてなるシリカ粒子1g当りの二重結合量(mol))、仕込み値からの計算値で0.1〜2.0mmol/gであることが好ましく、0.2〜1.5mmol/gがより好ましく、0.3〜1.0mmol/gが更に好ましい。
(光重合開始剤)
本発明に用いる硬化性組成物(α)は、硬化性を向上させるため、光重合開始剤を含むことが好ましい。光重合開始剤は公知のものを使用することができる。光重合開始剤としては例えば、光ラジカル発生剤、光酸発生剤等が挙げられる。
硬化性組成物(α)に用いることのできる光重合開始剤のうち、光ラジカル発生剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインとそのアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン[例えば、商品名「イルガキュア(登録商標)184」、BASF製]、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン等のアセトフェノン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド等のホスフィンオキシド類;2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン等のアントラキノン類;ベンゾフェノン及びその各種誘導体;ベンゾイルギ酸メチル、ベンゾイルギ酸エチル等のギ酸誘導体等が挙げられる。これらは1種のみで用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの光ラジカル発生剤の中でも、硬化物の耐光性の観点から、好ましいのはアセトフェノン類、ホスフィンオキシド類、ギ酸誘導体であり、更に好ましいのは、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ベンゾイルギ酸メチルであり、特に好ましいのは、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾイルギ酸メチルである。
光酸発生剤としては公知のものが使用可能であるが、中でもジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩が硬化性、酸発生効率等から好ましい。具体例を挙げると、ジ(アルキル置換)フェニルヨードニウムのアニオン塩(具体的にはPF塩、SbF塩、テトラキス(パーフルオロフェニル)ボレート塩等)が例示できる。(アルキル置換)フェニルヨードニウムのアニオン塩の具体例としては、ジアルキルフェニルヨードニウムのPF塩[商品名「イルガキュア(登録商標)250」、BASF製]が特に好ましい。これらの光酸発生剤は1種のみで用いても2種以上を組み合わせてもよい。
硬化性組成物(α)が光重合開始剤を含む場合、その含有量は、アクリロイル基を有する化合物の合計100重量部に対して、硬化性を向上させる観点から、好ましくは0.01重量部以上であり、より好ましくは0.1重量部以上である。一方、硬化性組成物(α)を溶液としたときの液の安定性を維持する観点から、好ましくは10重量部以下であり、より好ましくは8重量部以下である。
(有機溶媒)
硬化性組成物(α)は、有機溶媒を含むことが好ましい。有機溶媒としては、特に限定されるものではなく、硬化性組成物(α)に含まれる成分の種類等を考慮して適宜選択することができる。用いることができる有機溶媒の具体例としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、アニソール、フェネトール等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、エチレングリコールジアセテート等のエステル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒等が挙げられる。
これらの有機溶媒は1種を単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。これらの有機溶媒のうち、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒及びケトン系溶媒が好ましく使用される。
有機溶媒の使用量には特に制限はなく、調製される硬化性組成物(α)の塗布性、液の粘度・表面張力、固形分の相溶性等を考慮して適宜決定される。通常、硬化性組成物(α)は、上述の溶媒を用いて、固形分濃度が20〜95重量%、好ましくは30〜80重量%の塗液として調製される。ここで、硬化性組成物(α)における「固形分」とは溶媒を除いた成分を意味するものであり、固体の成分のみならず、半固形や粘稠な液状物のものをも含むものとする。後述の硬化性組成物(β)、硬化性組成物(γ)についても同様である。
(その他の成分)
本発明に用いる硬化性組成物(α)は、本発明の効果を阻害しない範囲で上記のアクリロイル基を有する化合物、光重合開始剤及び有機溶媒以外のその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、充填剤、シランカップリング剤、反応性希釈剤、帯電防止剤、有機顔料、スリップ剤、分散剤、チクソトロピー性付与剤(増粘剤)、消泡剤、酸化防止剤等が挙げられる。
層(A)の厚みは、硬度の観点から2μm以上であることが好ましく、5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることが特に好ましい。一方、耐クラック性の観点から、100μm以下であることが好ましく、60μm以下であることがより好ましく、30μm以下であることが更に好ましく、20μm以下であることが特に好ましい。
[層(B)]
本発明の積層体において、層(B)は硬化性組成物(β)及び/又はその硬化物からなる層である。この硬化性組成物(β)は以下に説明するアクリル系共重合体及び活性エネルギー線硬化性化合物を含む。
(アクリル系共重合体)
硬化性組成物(β)は、少なくとも下記式(1)で表されるシリコーン含有(メタ)アクリレートとエポキシ基を有する(メタ)アクリレートとを共重合して得られた共重合体にカルボキシル基及びアクリロイル基を有する化合物を反応させて得られるアクリル系共重合体を含む。
Figure 2015199333
(上記式(1)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数1〜12のアルキレン基であり、R及びRはそれぞれ独立してメチル基又はフェニル基であり、Rは炭素数1〜12のアルキル基であり、nは平均値であり、10〜100の数である。)
式(1)中、Rは水素原子又はメチル基を表す。Rは、得られるアクリル系共重合体のガラス転移温度(Tg)が高くなり、層(B)を硬化させた際の表面の硬度が高くなるためにメチル基であることが好ましい。
式(1)中、Rは炭素数1〜12のアルキレン基である。原料を入手し易く、また、製造し易いために、その炭素数は、2以上であることが好ましく、3以上であることがより好ましく、一方、10以下であることが好ましく、8以下であることがより好ましい。
式(1)中、R及びRはそれぞれ独立してメチル基又はフェニル基である。原料を入手し易く、また、製造し易いためにメチル基であることが好ましい。
式(1)中、Rは炭素数1〜12のアルキル基である。Rの炭素数は、2以上であることが好ましく、3以上であることがより好ましく、一方、Rの炭素数は、10以下であることが好ましく、8以下であることがより好ましい。Rの炭素数が上記範囲であると、原料を入手し易く、また、製造し易いために好ましい。
式(1)中、nは平均値であり、10〜100の数である。nが10以上であると、硬化性組成物(β)を硬化させた硬化膜の表面易滑性が十分に発現して滑り性が良好となる。この効果をより良好なものとする観点から、nは25以上であることが好ましく、50以上であることがより好ましい。一方、nが100以下であると、溶媒への溶解性が良好となる。この効果をより良好なものとする観点から、nは90以下であることが好ましく、80以下であることがより好ましい。なお、nの値は数平均分子量(Mn)から計算により求めることができる。
式(1)で表されるシリコーン含有(メタ)アクリレートの数平均分子量(Mn)は、硬化性組成物(β)を硬化させた硬化膜の表面易滑性が十分に発現して滑り性を良好なものとする観点から、1,000以上であることが好ましく、2,000以上であることがより好ましく、3,000以上であることが更に好ましい。また、式(1)で表されるシリコーン含有(メタ)アクリレートの数平均分子量(Mn)は、溶媒への溶解性を良好なものとする観点から、50,000以下であることが好ましく、20,000以下であることがより好ましく、10,000以下であることが更に好ましい。
式(1)で表されるシリコーン含有(メタ)アクリレートの中でも、ポリジメチルシロキサン構造を有するものが好ましく、特に好ましいものとして片末端にメタクリロイル基を有するポリジメチルシロキサン(市販品の具体例としては、JNC社製「サイラプレーン FM0711」、「サイラプレーン FM0721」、「サイラプレーン FM0725」等が挙げられる。)等が挙げられる。なお、式(1)で表されるシリコーン含有(メタ)アクリレートは1種のみで用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アクリル系共重合体の原料として用いるエポキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でもグリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。エポキシ基を有する(メタ)アクリレートは1種のみを用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
式(1)で表されるシリコーン含有(メタ)アクリレートとエポキシ基を有する(メタ)アクリレートとを共重合させる際には更にその他のモノマーを共重合させてもよい。その他のモノマーは炭素原子間二重結合を有し、式(1)で表されるシリコーン含有(メタ)アクリレート及びエポキシ基を有する(メタ)アクリレートと共重合させることができるものであれば特に制限されないが、例えば、これら以外の(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド等を挙げることができる。
その他のモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、シアノエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタレート等の(メタ)アクリレート;N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−エチルメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシ(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメトキシ(メタ)アクリルアミド、N−エトキシ(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエトキシ(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、及びN,N−エチレンビス(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。これらは1種のみを用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。その他のモノマーとしては、炭素数4〜22のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。
式(1)で表されるシリコーン含有(メタ)アクリレート、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート及び必要に応じて用いられるその他のモノマーを共重合させてアクリル系共重合体を製造する際の、各モノマーの使用量には特に制限はないが、好ましくは式(1)で表されるシリコーン含有(メタ)アクリレート5〜90重量%、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート10〜95重量%、及び必要に応じて用いられるその他のモノマー0〜80重量%(ただし、式(1)で表されるシリコーン含有(メタ)アクリレート、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート及び必要に応じて用いられるその他のモノマーの合計で100重量%とする。)、特に好ましくは式(1)で表されるシリコーン含有(メタ)アクリレート10〜80重量%、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート20〜90重量%、及び必要に応じて用いられるその他のモノマー5〜60重量%の割合で用いるのが耐傷付性、防汚性の観点から好ましい。
式(1)で表されるシリコーン含有(メタ)アクリレート、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート及び必要に応じて用いられるその他のモノマーを共重合させる反応は、通常、ラジカル重合反応であり、具体的には、有機溶媒中でラジカル重合開始剤の存在下で行うことができる。この反応の反応時間は通常、1〜50時間であり、好ましくは3〜12時間である。ここで用いることのできる有機溶媒、ラジカル重合開始剤は次の通りである。
有機溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)等のケトン系溶媒;エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、イソブタノール等のアルコール系溶媒;エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、2−エトキシエチルアセタート等のエステル系溶媒;トルエン等の芳香族炭化水素溶媒等が挙げられる。これらの有機溶媒は1種のみを用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ラジカル重合開始剤としては、例えば一般にラジカル重合に用いられる公知の開始剤を用いることができ、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキシド等の有機過酸化物;2,2’−アゾビスブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物が挙げられる。これらのラジカル重合開始剤は1種のみを用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に用いるアクリル系共重合体は、少なくとも式(1)で表されるシリコーン含有(メタ)アクリレート、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート及び必要に応じて用いられるその他のモノマーを共重合して得られた共重合体にカルボキシル基及びアクリロイル基を有する化合物を反応させて得られるものであり、この反応において、反応温度は好ましくは50〜110℃であり、より好ましくは55〜100℃である。また、反応時間は好ましくは3〜50時間であり、より好ましくは4〜30時間である。なお、この反応は通常、前記共重合体中のエポキシ基とカルボキシル基及びアクリロイル基を有する化合物との付加反応である。
この反応で用いることのできるカルボキシル基及びアクリロイル基を有する化合物としては例えば、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレートと無水コハク酸の付加物、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートと無水コハク酸の付加物、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートと無水フタル酸の付加物等が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートと無水コハク酸の付加物が好ましい。なお、カルボキシル基及びアクリロイル基を有する化合物は1種のみを用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記のカルボキシル基及びアクリロイル基を有する化合物は、前記共重合体におけるエポキシ基に対するカルボキシル基のモル%として、好ましくは10〜150モル%、より好ましくは30〜130モル%、特に好ましくは50〜110モル%の割合で用いることが、反応を過不足なく進行させる観点と原料の残渣を少なくなくする観点から好ましい。
また、前記共重合体にカルボキシル基及びアクリロイル基を有する化合物を付加させる反応を促進させるため、触媒を用いて反応させることができる。触媒としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、トリフェニルホスフィン等が挙げられる。触媒の使用量は原料の合計量に対して0.01〜2重量%であることが好ましく、0.05〜1重量%であることがより好ましい。なお、この反応においては前記共重合体の製造における反応に用いた有機溶媒をそのまま用いて反応させてもよいし、適宜有機溶媒を追加して反応させてもよい。この反応に用いることのできる有機溶媒は先に挙げたものと同様である。
アクリル系共重合体の数平均分子量(Mn)は、好ましくは500以上であり、より好ましくは1,000以上であり、一方、好ましくは10,000以下であり、より好ましくは8,000以下である。この数平均分子量が上記下限値以上であると、防汚性や滑り性発現の観点で好ましく、一方、上記上限値以下であると他の成分との相溶性が維持される観点から好ましい。
硬化性組成物(β)において、アクリル系共重合体の含有量は、アクリル系共重合体と後述する活性エネルギー線硬化性化合物の合計量に対し、耐傷付性を良好なものとする観点から、0.05重量%以上であることが好ましく、0.1重量%以上であることが好ましく、0.5重量%以上であることがより好ましい。一方、硬化性組成物(β)の硬化性を良好なものとする観点から、10重量%以下であることが好ましく、8重量%以下であることがより好ましく、6重量%以下であることが更に好ましい。
(活性エネルギー線硬化性化合物)
硬化性組成物(β)に含まれる活性エネルギー線硬化性化合物は、前記アクリル系共重合体以外の化合物であり、活性エネルギー線の照射により硬化反応しうる官能基を有するものであれば特に制限されない。
活性エネルギー線硬化性化合物はアクリロイル基を含有する化合物であることが好ましく、また、硬化膜の硬度・耐擦傷性が良好となり、また硬化時の反応性も高い点から、活性エネルギー線硬化性化合物中のアクリロイル基の数は、3個以上であることが好ましく、4個以上であることがより好ましい。また、硬化前の粘度が塗工に適する観点から、9個以下であることが好ましく、7個以下であることがより好ましい。
アクリロイル基を有する活性エネルギー線硬化性化合物としては、具体的には、多官能(メタ)アクリレート;多官能(メタ)アクリレートのウレタン変性体、エステル変性体、カーボネート変性体等の多官能(メタ)アクリレート誘導体;アクリロイル基を有する化合物で表面を修飾したシリカ等が挙げられる。
多官能(メタ)アクリレート及び多官能(メタ)アクリレート誘導体としては、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、無水コハク酸へのペンタエリスリトールトリアクリレート付加物、無水コハク酸へのジペンタエリスリトールペンタアクリレート付加物などの多官能アクリレート類;側鎖又は側鎖と末端にアクリロイル基を有するポリエステルオリゴマー(具体的には、東亞合成社製のM8030、M7100等)等のポリエステル(メタ)アクリレート類;イソホロンジイソシアネート(IPDI)のイソシアヌレート体、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)及びヒドロキシエチルアクリレート(HEA)の反応物、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のイソシアネート体とPTMG反応物へのペンタエリスリトールトリアクリレートの反応物等の多官能ウレタン(メタ)アクリレート類;ポリカーボネートジオールを用いたオリゴエステルとペンタエリスリトールトリアクリレートの反応物等のカーボネート結合を有するポリエステル(メタ)アクリレート類;IPDIとポリカーボネートジオールの反応物と、HEAの反応物などのカーボネート結合を有するポリウレタン(メタ)アクリレート類;ビスフェノールAのアクリル酸付加物(具体的には、新中村化学社製のEA−1025)等のポリエポキシ(メタ)アクリレート類;トリエトキシイソシアヌル酸ジアクリレート、トリエトキシイソシアヌル酸トリアクリレート(具体的には、東亞合成社製のアロニックスM315、M313)等のイソシアヌレート環を有するトリエトキシ(メタ)アクリレート類;これらのアルキレンオキサイド変性物;これらのポリカプロラクトン変性物等が挙げられる。これらは1種のみで用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、粘度、硬化性、得られる硬化物表面の硬度等から、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート;これらのアルキレンオキサイド変性体;これらのカプロラクトン変性体等が特に好ましい。
(光重合開始剤)
本発明に用いる硬化性組成物(β)は層(B)の硬化性を向上させるために光重合開始剤を用いることが好ましい。ここで用いることのできる光重合開始剤は硬化性組成物(α)において挙げたものと同様である。
硬化性組成物(β)が光重合開始剤を含む場合、その含有量は、活性エネルギー線硬化性化合物100重量部に対し、硬化性を向上させる観点から、好ましくは0.01重量部以上であり、より好ましくは0.1重量部以上である。一方、硬化性組成物(β)を溶液としたときの液の安定性、硬化性組成物(β)を硬化させた際の耐傷付性を維持する観点から、好ましくは10重量部以下であり、より好ましくは8重量部以下である。
(有機溶媒)
本発明に用いる硬化性組成物(β)は有機溶媒を用いることが好ましい。ここで用いることのできる有機溶媒の種類及びその量、即ち、硬化性組成物(β)の固形分濃度は、硬化性組成物(α)において挙げたものと同様である。
(その他の成分)
本発明に用いる硬化性樹脂組成物(β)は、本発明の効果を阻害しない範囲でアクリル系共重合体、活性エネルギー線硬化性化合物、光重合開始剤及び有機溶媒以外のその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、充填剤、シランカップリング剤、反応性希釈剤、帯電防止剤、有機顔料、スリップ剤、分散剤、チクソトロピー性付与剤(増粘剤)、消泡剤、酸化防止剤等が挙げられる。
層(B)の厚みは、硬度の観点から2μm以上であることが好ましく、4μm以上であることが特に好ましい。一方、耐クラック性の観点から、100μm以下であることが好ましく、60μm以下であることがより好ましく、30μm以下であることが更に好ましく、20μm以下であることが特に好ましい。
[層(C)]
本発明の積層体は、基材層上の層(A)及び層(B)が積層された面と反対側の面に下記層(C)を有することが好ましい。
層(C):アクリル当量が100g/mol以上である硬化性組成物(γ)及び/又はその硬化物からなる層
本発明の積層体はタッチパネル等の表示体カバーとして有用であるが、このような用途に用いる場合、積層体を形成した後に、数度の印刷・乾燥工程や組み立て工程を経て使用される。このため、本発明の積層体は、複数の工程でのハンドリング等により傷付かないようにすることが好ましい。ハンドリング時には表面だけでなく裏面にも負荷がかかることがあるため、基材層の両面にハードコート層が積層されていることが好ましい。
層(C)に用いられる硬化性組成物(γ)はアクリル当量が100g/mol以上である硬化性組成物に該当するものであれば、前述の硬化性組成物(β)に該当するものであってもよい。この点を除いては、硬化性組成物がアクリロイル基を有する化合物を含むものである場合、硬化性組成物(γ)は前述の硬化性組成物(α)と同様のものを用いることができる。また、前述の硬化性組成物(α)はアクリロイル基を有する化合物を含むものであるが、硬化性組成物(γ)はアクリル当量が100g/mol以上であれば、層(C)を硬化させた際のクラックが入ることを防ぐことが可能となることから、硬化性組成物(γ)はアクリロイル基有する化合物を含まないもの(アクリル当量が無限大であるもの)であってもよい。
硬化性組成物(γ)に用いることのできるアクリロイル基を有さない化合物において、耐クラック性、硬度等の観点から好ましいものとしては、ポリウレタンが例示される。ポリウレタンとしては具体的には、ポリイソシアネートとポリオールを反応させて得られるものが挙げられる。ポリウレタンの原料として用いることのできるポリイソシアネート、ポリオールの例を以下に挙げるが、硬化性組成物(γ)において、ポリウレタンは1種のみを用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリウレタンの原料として用いることのできるポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;エチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート等の鎖状脂肪族ポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート等の脂環族ポリイソシアネート;キシリレンジイソシアネート、又はテトラメチルキシリレンジイソシアネート等のアルキレンアリーレンアルキレンポリイソシアネート(ここで、「アルキレンアリーレンアルキレン」とは、脂肪族炭化水素基−芳香族炭化水素基−脂肪族炭化水素基の順で結合した基を意味する。)等が挙げられる。ポリイソシアネートは1種のみを用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリウレタンの原料として用いることのできるポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,5−ペンタンジオール、2,3,5−トリメチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール等の脂肪族ジオール;ビスヒドロキシエトキシベンゼン、ビスヒドロキシエチルテレフタレート、ビスフェノール−A等の芳香族系ジオール;N−メチルジエタノールアミン等のジアルカノールアミン;ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の低分子量ポリオール;ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリール、ポリカーボネートポリオール等の高分子量ポリオール等が挙げられる。なお、ここでいう低分子量ポリオールは分子量が500以下のものを意味し、高分子量ポリオールは分子量が500超過のものを意味する。ポリオールは1種のみを用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
層(C)の厚みは、硬度の観点から2μm以上であることが好ましく、4μm以上であることが特に好ましい。一方、耐クラック性の観点から、100μm以下であることが好ましく、60μm以下であることがより好ましく、30μm以下であることが更に好ましく、20μm以下であることが特に好ましい。
[積層体の製造方法]
本発明の積層体は、基材層上に各層を順次積層することにより製造することができる。本発明の積層体の製造方法は特に制限されないが、通常、基材層上に層(A)を形成し、次いで層(B)を形成することにより得ることができる。また、本発明の積層体が層(C)を有する場合、層(C)を形成する順序は特に制限がなく、例えば、層(A)、層(B)を順次形成した後に層(C)を形成してもよいし、層(C)を形成してから層(A)、層(B)を順次形成してもよく、また、層(A)を形成した後で層(C)を形成し、その後で層(B)を形成してもよい。
層(A)〜(C)のそれぞれの層は、例えば、硬化性組成物(α)、硬化性組成物(β)、硬化性組成物(γ)を基材上(層(B)の場合は層(A)上)に塗布(塗工)し、必要に応じて40〜100℃程度で乾燥させた後、更に、必要に応じてこれに活性エネルギー線を照射して形成することができる。これらの硬化性組成物を基材上に塗布(塗工)する方法としては、例えば、リバースコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、バーコート法、マイヤーバーコート法、ダイコート法、スプレーコート法等が挙げられる。また、本発明のこれらの硬化性組成物を硬化させた硬化物の形態は特に制限されないが、通常、基材上で活性エネルギー線を照射して硬化させて得られた硬化物は基材の少なくとも片面の一部に硬化被膜(硬化膜)の状態として得ることができる。
なお、本発明の積層体において、基材層と層(A)との間、層(A)と層(B)との間及び基材層と層(C)との間のそれぞれにおいて、本発明の効果を阻害しない範囲でその他の層が積層されていてもよい。
また、本発明の積層体の総厚みは、各層の厚みを確保して、各々の機能を十分に発揮させる観点から0.3mm以上であることが好ましく、0.4mm以上であることがより好ましく、0.5mm以上であることが特に好ましい。一方、本発明の積層体が適用される製品の薄型化、軽量化の観点から2.0mm以下であることが好ましく、1.9mm以下であることがより好ましく、1.8mm以下であることが特に好ましい。
本発明の積層体において、硬化性組成物(α)〜(γ)を硬化させる際に用いることのできる活性エネルギー線には、紫外線、電子線、X線、赤外線及び可視光線が含まれる。これらの活性エネルギー線のうち硬化性と樹脂劣化防止の観点から好ましいのは紫外線及び電子線である。
本発明の積層体を製造する際、硬化性組成物(α)〜(γ)を紫外線照射により硬化させる場合には、種々の紫外線照射装置を用いることができ、その光源としてはキセノンランプ、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、LED−UVランプ等を使用することができる。紫外線の照射量(単位はmJ/cm)は、通常10〜10,000mJ/cmであり、硬化性組成物(α)〜(γ)の硬化性、硬化物(硬化膜)の可撓性等の観点から好ましくは15〜5,000mJ/cmであり、より好ましくは200〜3,000mJ/cmである。
なお、基材層上に硬化性組成物(α)により層(A)を形成した後、硬化性組成物(β)により層(B)を形成する際は、硬化性組成物(α)を基材層に塗布して硬化させる際に、20〜200mJ/cm程度の少ない照射量である程度硬化させた後、硬化性組成物(β)を塗布し、300〜500mJ/cm程度の照射量で層(A)と層(B)を共に完全硬化させるようにすることもできる。
また、本発明の積層体を製造する際、硬化性組成物(α)〜(γ)を電子線照射で硬化させる場合は、種々の電子線照射装置を使用することができる。電子線の照射量(Mrad)は、通常、0.5〜20Mradであり、硬化性組成物(α)〜(γ)の硬化性、硬化物の可撓性、基材の損傷防止等の観点から好ましくは1〜15Mradである。
[用途]
本発明の積層体は、耐傷付性、硬度、耐衝撃性、耐クラック性、耐衝撃性、低カール性、透明性等に優れたものである。このため、本発明の積層体は、タッチパネル、液晶テレビ等の光学ディスプレイ用部品;ランプ関連物品、ウインドウ関連物品(リアウィンドウ、サイドウィンドウ、天窓等)等の自動車関連部品;各種電気機器の筐体、化粧板、家具等の生活関連物品等の幅広い物品の表面カバーに好適に用いることができる。これらの中でもタッチパネル、液晶テレビ等の光学ディスプレイ用部品の表面カバー、即ち表示体カバーとして特に好適に用いることができる。
なお、本発明の積層体を表示体カバーとして用いる場合、特に前述の層(C)を有することが好ましく、このとき、表示体カバーは前面に高硬度、耐擦傷性、防汚性の機能を有することが好ましく、また、裏面に耐衝撃性、加工工程に耐え得る硬度、耐擦傷性の機能を有することが好ましいことから、本発明の積層体における層(B)を前面側に有し、層(C)を裏面側に有する表示体カバーとすることが特に好ましい。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の諸例において「部」とあるのは「重量部」を意味する。
〔積層体の評価〕
以下の実施例・比較例で得られた積層体は以下の方法により評価した。
(1)耐傷付性
#0000のスチールウール、加重160g/cmにて硬化させた層の表面を300往復擦り、試験後の硬化膜の傷付きの程度を以下の通り評価した。
○:傷が100本以下
×:傷が100本より多い
(2)硬度(鉛筆硬度)
(PMMA面側)
PMMA面側の硬化させた層の表面について、JIS準拠鉛筆硬度計(太佑機材社製)を用い、JIS K−5400の条件に基づき測定を行い、傷の入らないもっとも硬い鉛筆の番手を確認し、以下の基準で評価した。
○:鉛筆硬度8H以上であるもの
×:鉛筆高度7H以下であるもの
(PC面側)
PC面側の硬化させた層の表面について、JIS準拠鉛筆硬度計(太佑機材社製)を用い、JIS K−5400の条件に基づき測定を行い、傷の入らないもっとも硬い鉛筆の番手を確認し、以下の基準で評価した。
◎:鉛筆硬度H以上であるもの
○:鉛筆硬度2B以上であるもの
×:鉛筆硬度3B以下であるもの
(3)耐クラック性
硬化後、層(A)、層(B)の塗膜のクラック(ひび割れ)の有無を目視にて確認し、以下の通り評価した。
○:層(A)と層(B)の両方にクラックが入っていないもの
×:層(A)と層(B)の少なくとも一方にクラックが入っているもの
(4)耐衝撃性
幅12.6cm、長さ22.4cm、厚み0.85mmの試験片を、層(B)(層(B)がない場合は層(A))が上面に、層(C)(層(C)がない場合は基材層の層(A)形成面と反対側の面)が下面となるように載置し、この試験片の中心部に向かって、50gの鋼球を50cmの高さから自然落下させる剛球落下試験を行い、耐衝撃性を以下の通り評価した。
○:落球により傷が付かなかったもの
×:落球により傷が付いたもの
(5)透明性(ヘーズ)
JIS K−7136に従ってヘーズメーター(村上色彩技術研究所製「HAZE METER HM−65W」)にてヘーズ値を測定し、0.3%以下を合格として以下の通り評価した。
○:ヘーズ値が0.3以下であるもの
×:ヘーズ値が0.3より大きいもの
(6)リコート性
層(A)の硬化膜上に層(B)を塗工(リコート)することができるかどうかで以下の通り評価した。
○:層(B)をリコートすることができるもの
×:層(B)をリコートすることができないもの
〔合成例〕
<合成例1>
撹拌機、還流冷却管及び温度計を取り付けた反応器に、数平均分子量5,000の片末端メタクリロイル基置換ポリジメチルシロキサン(JNC社製「サイラプレーン FM0721」、前記式(1)で表されるシリコーン含有(メタ)アクリレートに該当する化合物)20重量部、グリシジルメタクリレート(三菱レイヨン社製「アクリエステルG」)60重量部、メチルメタクリレート(三菱レイヨン社製「アクリエステルM」)10重量部、ステアリルメタクリレート(三菱レイヨン社製「アクリエステルS」)10重量部、メチルイソブチルケトン(MIBK)151重量部を仕込み、撹拌開始後に系内を窒素置換し、55℃まで昇温し、ここへ2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製「V−65」)1.2重量部、1−ドデカンチオール(和光純薬社製)0.9重量部を添加した後、系内を65℃まで昇温し、3時間撹拌した後、更にV−65を0.6重量部添加して65℃で3時間撹拌した。系内を100℃まで昇温し、30分間撹拌した後、MIBK163重量部を加え、再度系内を100℃まで昇温した。ここへ、p−メトキシフェノール(和光純薬工業社製)0.5重量部とトリフェニルホスフィン(和光純薬工業社製)2.6重量部を添加した後、アクリル酸(三菱化学社製)31.0重量部を加え、110℃まで昇温して6時間撹拌した。冷却後、MIBK4.8重量部を添加し、数平均分子量6,500の共重合体(F1)のMIBK溶液を得た。なお、共重合体(F1)のMIBK溶液の組成は[共重合体(F1)の重量]/[MIBKの重量]=30/70(固形分30重量%)となるようにした。
<合成例2>
攪拌器、還流冷却器、滴下漏斗及び温度計を取り付けた反応器に、MEK−ST(メチルエチルケトン(MEK)分散コロイダルシリカゾル(日産化学工業社製 商品名MEK−ST、平均一次粒子径:15nm(カタログ値)、シリカ固形分:30重量%))を88重量部、KBM−5103(γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製 商品名KBM−5103))を12重量部入れ、更にメチルエチルケトンを入れ、固形分濃度が30重量%となるよう希釈して攪拌した後、メチルハイドロキノン0.05重量部、水1重量部、アセチルアセトンアルミニウム0.5重量部、メチルエチルケトン1重量部を入れてオイルバスにて70℃に加熱しながら4時間反応させ、表面がアクリロイル基を有する化合物により修飾されてなるシリカ粒子(F2)を得た。シリカ粒子表面に修飾されるアクリロイル基の量は0.51mmol/gであった。
〔基材・原料等〕
以下において、使用した基材、原料等とその略称は以下の通りである。
(基材)
PMMA/PCシート:日本ウェーブロック社製 ShineTech AW−10(厚み:1.0mm(PMMA層の厚み:0.054mm、PC層の厚み:0.95mm)) PCシート:三菱瓦斯化学社製 ユーピロン(登録商標) NF−2000(厚み1.0mm)
(アクリル系共重合体)
共重合体(F1):合成例1で得られた共重合体(F1)
(アクリロイル基を有する化合物)
DPHA:日本化薬株式会社製 KAYARAD DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートとの混合物)
UA−160TM:新中村化学工業株式会社製 UA−160TM(ポリテトラメチレングリコール構造を有するウレタンアクリレート、アクリロイル基が2個)
M313:東亞合成株式会社製 アロニックスM313(イソシアヌル酸エチレンオキサイド(EO)変性ジアクリレート(ウレタンアクリレートの一種)及びイソシアヌル酸エチレンオキサイド(EO)変性トリアクリレート(ウレタンアクリレートの一種)の混合物)の混合物))
シリカ粒子(F2):合成例2で得られた表面アクリロイル基修飾シリカ粒子(F2)
(添加剤)
BYK−306:ALTANA社製 BYK−306(アクリロイル基を有さないシリコーン系添加剤(本発明における硬化性組成物(β)に含まれるアクリル系共重合体に該当しないもの。))
〔硬化性組成物(β)の調製〕
<配合液1>
合成例1で得られた共重合体(F1)の溶液、DPHA及びM313を固形分重量比で1.5:86.5:12になるように配合し、更に光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製「Irgacure(登録商標) 184」)を2.5重量部添加した後、[プロピレングリコールモノメチルエーテルの重量]/[メチルイソブチルケトンの重量]=1/1(重量比)の溶液で固形分が40重量%になるように希釈し、配合液1を得た。この液のアクリル当量は110g/molであった。
〔硬化性組成物(α)、(γ)の調製〕
<配合液2>
DPHA及びM313を固形分重量比で95:5になるように配合し、更に光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製「Irgacure(登録商標) 184」)を2.5重量部添加した後、[プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの重量]/[メチルイソブチルケトンの重量]=1/1の溶液で固形分が60重量%になるように希釈し、配合液2を得た。この液のアクリル当量は103g/molであった。
<配合液3>
合成例2で得られた表面アクリロイル基修飾シリカ粒子(F2)の溶液、DPHA及びM313を固形分重量比で70:25:5になるように配合し、更に光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製「Irgacure(登録商標) 184」)を2.5重量部添加した後、プロピレングリコールモノメチルエーテルで固形分が60重量%になるように希釈し、配合液3を得た。この液のアクリル当量は566g/molであった。
<配合液4>
BYK−306、DPHA及びM313を固形分比で1.5:86.5:12になるように配合し、更に光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製「Irgacure(登録商標) 184」)を2.5重量部添加した後、[プロピレングリコールモノメチルエーテルの重量]/[メチルイソブチルケトンの重量]=1/1(重量比)の溶液で固形分が40重量%になるように希釈し、配合液4を得た。
<配合液5>
DPHA及びUA−160TMを固形分重量比60:40になるように配合し、更に光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製「Irgacure(登録商標) 184」)を4.5重量部添加した後、[プロピレングリコールモノメチルエーテルの重量]/[メチルイソブチルケトンの重量]=1/1の溶液で固形分が50重量%になるように希釈し、配合液5を得た。この液のアクリル当量は380g/molであった。
<配合液6>
アジピン酸系ポリエステルポリオール(日立化成社製「テスラック2488」)及びポリイソシアネート硬化剤(三菱化学社製「マイテック(登録商標)NY730A−T」)を固形分重量比53:47になるよう配合し、更にオクチル酸錫触媒(日東化成社製「ネオスタンU−810」)を0.1重量部添加した後、メチルエチルケトン溶液で固形分が40重量%になるように希釈し、溶液中で反応させることによりポリウレタンの配合液6を得た。この液の各原料成分はアクリロイル基を有さないため、アクリル当量は無限大であった。
〔実施例・比較例〕
<実施例1>
PMMA/PCシートのPC基材面に配合液5を乾燥後の塗膜が20μmとなるようにバーコーターにて塗布した。この塗膜を80℃で1.5分間加熱して乾燥させた後、出力120W/cmの高圧水銀灯を使用し、450mW/cm、500mJ/cmの紫外線を照射して硬化膜を被覆させ、基材のPC基材面上に層(C)を形成した。
次に、基材のPMMA基材面に配合液2を乾燥後の塗膜が15μmとなるようにバーコーターにて塗布し、80℃で1.5分間加熱して塗膜を乾燥した。その後、出力80W/cmの高圧水銀灯を使用し、100mW/cm、50mJ/cmの紫外線を照射して硬化膜を被覆させ、PMMA基材面上に層(A)を形成した。
更に、層(A)上に配合液1を乾燥後の塗膜が5μmとなるようにバーコーターにて塗布し、80℃で1.5分間加熱して塗膜を乾燥させた。その後、出力120W/cmの高圧水銀灯を使用し、450mW/cm、500mJ/cmの紫外線を照射して硬化膜を被覆させ、層(A)上に層(B)を形成して積層体を得た。
<実施例2>
層(A)について、配合液2の代わりに配合液3を用いた以外は実施例1と同様にして積層体を得た。
<実施例3>
層(C)を形成しなかった以外は実施例1と同様にして積層体を得た。
<実施例4>
PMMA/PCシートのPC基材面に配合液6を乾燥後の塗膜が20μmとなるようにバーコーターにて塗布し、80℃で10分間加熱して塗膜を乾燥、硬化させ、PC基材面に層(C)を形成した。
次いで、実施例1と同様にしてPMMA基材上に層(A)及び層(B)を順次形成して積層体を得た。
<比較例1>
PMMA/PCシートのPC基材面について、実施例1と同様にして層(C)を形成した。次に、PMMA基材面に配合液1を乾燥後の塗膜が20μmとなるようにバーコーターにて塗布し、80℃で1.5分間加熱して塗膜を乾燥後、出力120W/cmの高圧水銀灯を使用し、450mW/cm、500mJ/cmの紫外線を照射し、硬化膜を被覆させ、PMMA基材面上に層を形成し、積層体を得た。
<比較例2>
PMMA/PCシートのPC基材面について、実施例1と同様にして層(C)を形成した。次に、PMMA基材面に配合液1を乾燥後の塗膜が15μmとなるようにバーコーターにて塗布し、80℃で1.5分間加熱して塗膜を乾燥後、出力80W/cmの高圧水銀灯を使用し、100mW/cm、50mJ/cmの紫外線を照射し、硬化膜を被覆させ、層を形成した。更に、この層の上に配合液1を用いて更に層を形成しようとしたところ、層表面で配合液1をはじいたために層を形成することができなかった。
<比較例3>
PMMA/PCシートのPC基材面について、実施例1と同様にして層(C)を形成した。次に、PMMA基材面に配合液1を乾燥後の塗膜が15μmとなるようにバーコーターにて塗布し、80℃で1.5分間加熱して塗膜を乾燥後、出力80W/cmの高圧水銀灯を使用し、100mW/cm、50mJ/cmの紫外線を照射し、硬化膜を被覆させ、層を形成した。更に、この層の上に配合液2を用いて更に層を形成しようとしたところ、層表面で配合液2をはじいたために層を形成することができなかった。
<比較例4>
PMMA/PCシートのPC基材面について、実施例1と同様にして層(C)を形成した。次に、PMMA基材面に配合液1を乾燥後の塗膜が15μmとなるようにバーコーターにて塗布し、80℃で1.5分間加熱して塗膜を乾燥後、出力80W/cmの高圧水銀灯を使用し、100mW/cm、50mJ/cmの紫外線を照射し、硬化膜を被覆させ、層を形成した。更に、この層の上に配合液3を用いて更に層を形成しようとしたところ、層表面で配合液3をはじいたために層を形成することができなかった。
<比較例5>
層(B)について、配合液1の代わりに配合液2を用いた以外は実施例1と同様にして積層体を得た。
<比較例6>
層(B)について、配合液1の代わりに配合液3を用いた以外は実施例2と同様にして積層体を得た。
<比較例7>
層(B)について、配合液1の代わりに配合液4を用いた以外は実施例1と同様にして積層体を得た。
<比較例8>
PMMA/PCシートの代わりにPCシートを用いた以外は実施例1と同様にして積層体を得た。
上記の実施例1〜4及び比較例1〜8で得られた積層体について、前述の(1)〜(6)の評価を行い、結果を表−1に示した。
Figure 2015199333
〔評価結果〕
表−1からわかるように、実施例1〜4の積層体は、耐傷付性、層(A)側の硬度、耐クラック性、耐衝撃性、透明性、リコート性いずれも良好であった。実施例1、2、4では層(C)を形成したため、層(C)側の硬度も良好であり、特に実施例4では硬度Hの高硬度が得られた。
比較例1では、基材層上に層(A)に該当する層を形成せずに硬化性組成物(β)及び/又はその硬化物からなる層を20μm形成したところ、クラックが発生した。
比較例2〜4では、基材層上に硬化性組成物(β)及び/又はその硬化物からなる層に該当する配合液1を硬化して得た層を形成した後、配合液1〜3を硬化した層をそれぞれ形成しようとしたところ、リコート性が悪かったため、他の評価は実施しなかった。
比較例5〜7では、基材上に層(A)に該当する層を形成した後、層(B)に該当しない層を形成したところ、耐傷付性が悪かった。更に、比較例8は基材層として、PMMAからなる層を用いずに層(A)に該当する層、層(B)に該当する層を形成したところ、層(A)側の硬度が悪かった。

Claims (13)

  1. 少なくとも下記基材層と、該基材層の一方の面に該基材層側から下記層(A)及び下記層(B)をこの順で有し、該基材層の厚みが0.3〜30mmである積層体。
    基材層:ポリメチルメタクリレートからなる層
    層(A):アクリロイル基を有する化合物を少なくとも含み、アクリル当量が100g/mol以上である硬化性組成物(α)及び/又はその硬化物(ただし、下記硬化性組成物(β)及び/又はその硬化物を除く。)からなる層
    層(B):少なくとも下記式(1)で表されるシリコーン含有(メタ)アクリレートとエポキシ基を有する(メタ)アクリレートとを共重合して得られた共重合体にカルボキシル基及びアクリロイル基を有する化合物を反応させて得られるアクリル系共重合体と、活性エネルギー線硬化性化合物とを含む硬化性組成物(β)及び/又はその硬化物からなる層
    Figure 2015199333
    (上記式(1)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数1〜12のアルキレン基であり、R及びRはそれぞれ独立してメチル基又はフェニル基であり、Rは炭素数1〜12のアルキル基であり、nは平均値であり、10〜100の数である。)
  2. 前記基材層の他方の面に下記層(C)を有する、請求項1に記載の積層体。
    層(C):アクリル当量が100g/mol以上である硬化性組成物(γ)及び/又はその硬化物からなる層
  3. 前記硬化性組成物(α)が、多官能(メタ)アクリレート及び/又はアクリロイル基を有する化合物で修飾されたシリカを含む、請求項1又は2に記載の積層体。
  4. 前記硬化性組成物(β)が、前記アクリル系共重合体と活性エネルギー線硬化性化合物の合計量に対し、該アクリル系共重合体を0.05〜10重量%含有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の積層体。
  5. 前記硬化性組成物(β)に含まれる共重合体が、更に、炭素数4〜22のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを共重合したものである、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の積層体。
  6. 前記硬化性組成物(γ)が、多官能(メタ)アクリレート及び/又はアクリロイル基を有する化合物で修飾されたシリカを含む、請求項2乃至5のいずれか1項に記載の積層体。
  7. 前記硬化性組成物(γ)がポリウレタンを含む、請求項2乃至6のいずれか1項に記載の積層体。
  8. 前記層(B)の厚みが、2〜100μmである、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の積層体。
  9. 前記層(C)の厚みが、2〜100μm以下である、請求項2乃至8のいずれか1項に記載の積層体。
  10. 前記基材層が、少なくともポリメチルメタクリレートからなる層とポリカーボネートからなる層との2層で構成されるものである、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の積層体。
  11. 前記基材層が、少なくともポリメチルメタクリレートからなる層とポリカーボネートからなる層との2層で構成されるものであり、該ポリメチルメタクリレートからなる層が前記層(A)に接しており、該ポリカーボネートからなる層が前記層(C)と接するものである、請求項2乃至10のいずれか1項に記載の積層体。
  12. 請求項1乃至11のいずれか1項に記載の積層体からなる表示体カバー。
  13. 請求項2、6、7、9、又は11に記載の積層体からなる表示体カバーであり、層(B)側を前面側に有し、層(C)側を裏面側に有する表示体カバー。
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