JP2015199333A - 積層体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリメチルメタクリレートからなり、厚みが0.3〜30mmである基材層の一方の面に、下記層(A)を介して下記層(B)が積層された積層体。層(A):アクリロイル基を有する化合物を含み、アクリル当量が100g/mol以上である硬化性組成物(α)又はその硬化物からなる層、層(B):特定のシリコーン含有(メタ)アクリレートとエポキシ基を有する(メタ)アクリレートとを共重合して得られた共重合体にカルボキシル基及びアクリロイル基を有する化合物を反応させて得られるアクリル系共重合体と、活性エネルギー線硬化性化合物とを含む硬化性組成物(β)又はその硬化物からなる層
【選択図】なし
Description
これらの従来の技術はいずれも主として携帯電話やPHSの表示体カバーを志向したものであり、近年普及しているスマートフォン、タブレット等のタッチパネルに要求される耐衝撃性、耐傷付性、硬度等の特性に対してはその機能が不十分である。即ち、スマートフォン、タブレット等のタッチパネルにおける表示体カバーはそれ自体が十分な耐衝撃性を有することが求められるだけではなく、指を滑らす動き(フリップ)が操作上、頻繁に行われるようになっており、従来の携帯電話、PHS用の表示体カバーでは耐傷付性、硬度等が不十分であり、これらの表示体カバーとしては機能が不十分である。
基材層:ポリメチルメタクリレートからなる層
層(A):アクリロイル基を有する化合物を少なくとも含み、アクリル当量が100g/mol以上である硬化性組成物(α)及び/又はその硬化物(ただし、下記硬化性組成物(β)及び/又はその硬化物を除く。)からなる層
層(B):少なくとも下記式(1)で表されるシリコーン含有(メタ)アクリレートとエポキシ基を有する(メタ)アクリレートとを共重合して得られた共重合体にカルボキシル基及びアクリロイル基を有する化合物を反応させて得られるアクリル系共重合体と、活性エネルギー線硬化性化合物とを含む硬化性組成物(β)及び/又はその硬化物からなる層
層(C):アクリル当量が100g/mol以上である硬化性組成物(γ)及び/又はその硬化物からなる層
本発明の積層体は、少なくとも下記基材層と、該基材層の一方の面に該基材層側から下記層(A)及び下記層(B)をこの順で有し、該基材層の厚みが0.3〜30mmであるものである。
基材層:ポリメチルメタクリレートからなる層
層(A):アクリロイル基を有する化合物を少なくとも含み、アクリル当量が100g/mol以上である硬化性組成物(α)及び/又はその硬化物(ただし、下記硬化性組成物(β)及び/又はその硬化物を除く。)からなる層
層(B):少なくとも下記式(1)で表されるシリコーン含有(メタ)アクリレートとエポキシ基を有する(メタ)アクリレートとを共重合して得られた共重合体にカルボキシル基及びアクリロイル基を有する化合物を反応させて得られる共重合体と、活性エネルギー線硬化性化合物とを含む硬化性組成物(β)及び/又はその硬化物からなる層
本発明の積層体に用いられる基材層はポリメチルメタクリレートからなる層である。本発明において、基材層の「ポリメチルメタクリレート」とは、少なくともメチルメタクリレートを構成単位として有するアクリル系重合体の基材を意味するものであり、また、「ポリメチルメタクリレートからなる層」とは、ポリメチルメタクリレート基材層と他の樹脂基材よりなる層とを積層したものを含む意味で用いられる。
層(A)は、アクリロイル基を有する化合物を少なくとも含み、アクリル当量が100g/mol以上である硬化性組成物(α)及び/又はその硬化物からなる層である。ここで硬化性組成物(α)は後述する硬化性組成物(β)に該当するものを除く意味で用いられる。硬化性組成物(α)のアクリル当量の上限は特に制限されないが、通常、10,000g/mol以下であり、好ましくは6,000g/mol以下であり、より好ましくは3,000g/mol以下であり、更に好ましくは2,000g/mol以下であり、特に好ましくは1,000以下である。また、硬化性組成物(α)のアクリル当量が100g/mol以上であると層(A)を硬化させた際にクラックが入ることを防ぐことができる。
アクリロイル基を有する化合物としては、単官能(メタ)アクリレート及びその誘導体、多官能(メタ)アクリレート及びその誘導体、アクリロイル基を有する化合物で表面を修飾したシリカ等が挙げられる。これらの中でも層(A)の硬度を高める観点から、多官能(メタ)アクリレート及びその誘導体並びにアクリロイル基を有する化合物で表面を修飾したシリカ粒子からなる群のうちの少なくとも1つを含むことが好ましい。
[平均一次粒子径(nm)]=
6,000/〔[比表面積(m2/g)]×[密度(g/cm3)]〕
アクリロイル基を有する化合物で表面を修飾したシリカ粒子のシリカ粒子表面に修飾されるアクリロイル基の量(表面を(メタ)アクリロイル基を有する化合物により修飾されてなるシリカ粒子1g当りの二重結合量(mol))、仕込み値からの計算値で0.1〜2.0mmol/gであることが好ましく、0.2〜1.5mmol/gがより好ましく、0.3〜1.0mmol/gが更に好ましい。
本発明に用いる硬化性組成物(α)は、硬化性を向上させるため、光重合開始剤を含むことが好ましい。光重合開始剤は公知のものを使用することができる。光重合開始剤としては例えば、光ラジカル発生剤、光酸発生剤等が挙げられる。
硬化性組成物(α)は、有機溶媒を含むことが好ましい。有機溶媒としては、特に限定されるものではなく、硬化性組成物(α)に含まれる成分の種類等を考慮して適宜選択することができる。用いることができる有機溶媒の具体例としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、アニソール、フェネトール等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、エチレングリコールジアセテート等のエステル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒等が挙げられる。
本発明に用いる硬化性組成物(α)は、本発明の効果を阻害しない範囲で上記のアクリロイル基を有する化合物、光重合開始剤及び有機溶媒以外のその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、充填剤、シランカップリング剤、反応性希釈剤、帯電防止剤、有機顔料、スリップ剤、分散剤、チクソトロピー性付与剤(増粘剤)、消泡剤、酸化防止剤等が挙げられる。
本発明の積層体において、層(B)は硬化性組成物(β)及び/又はその硬化物からなる層である。この硬化性組成物(β)は以下に説明するアクリル系共重合体及び活性エネルギー線硬化性化合物を含む。
硬化性組成物(β)は、少なくとも下記式(1)で表されるシリコーン含有(メタ)アクリレートとエポキシ基を有する(メタ)アクリレートとを共重合して得られた共重合体にカルボキシル基及びアクリロイル基を有する化合物を反応させて得られるアクリル系共重合体を含む。
上記のカルボキシル基及びアクリロイル基を有する化合物は、前記共重合体におけるエポキシ基に対するカルボキシル基のモル%として、好ましくは10〜150モル%、より好ましくは30〜130モル%、特に好ましくは50〜110モル%の割合で用いることが、反応を過不足なく進行させる観点と原料の残渣を少なくなくする観点から好ましい。
硬化性組成物(β)に含まれる活性エネルギー線硬化性化合物は、前記アクリル系共重合体以外の化合物であり、活性エネルギー線の照射により硬化反応しうる官能基を有するものであれば特に制限されない。
本発明に用いる硬化性組成物(β)は層(B)の硬化性を向上させるために光重合開始剤を用いることが好ましい。ここで用いることのできる光重合開始剤は硬化性組成物(α)において挙げたものと同様である。
本発明に用いる硬化性組成物(β)は有機溶媒を用いることが好ましい。ここで用いることのできる有機溶媒の種類及びその量、即ち、硬化性組成物(β)の固形分濃度は、硬化性組成物(α)において挙げたものと同様である。
本発明に用いる硬化性樹脂組成物(β)は、本発明の効果を阻害しない範囲でアクリル系共重合体、活性エネルギー線硬化性化合物、光重合開始剤及び有機溶媒以外のその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、充填剤、シランカップリング剤、反応性希釈剤、帯電防止剤、有機顔料、スリップ剤、分散剤、チクソトロピー性付与剤(増粘剤)、消泡剤、酸化防止剤等が挙げられる。
本発明の積層体は、基材層上の層(A)及び層(B)が積層された面と反対側の面に下記層(C)を有することが好ましい。
層(C):アクリル当量が100g/mol以上である硬化性組成物(γ)及び/又はその硬化物からなる層
本発明の積層体は、基材層上に各層を順次積層することにより製造することができる。本発明の積層体の製造方法は特に制限されないが、通常、基材層上に層(A)を形成し、次いで層(B)を形成することにより得ることができる。また、本発明の積層体が層(C)を有する場合、層(C)を形成する順序は特に制限がなく、例えば、層(A)、層(B)を順次形成した後に層(C)を形成してもよいし、層(C)を形成してから層(A)、層(B)を順次形成してもよく、また、層(A)を形成した後で層(C)を形成し、その後で層(B)を形成してもよい。
なお、基材層上に硬化性組成物(α)により層(A)を形成した後、硬化性組成物(β)により層(B)を形成する際は、硬化性組成物(α)を基材層に塗布して硬化させる際に、20〜200mJ/cm2程度の少ない照射量である程度硬化させた後、硬化性組成物(β)を塗布し、300〜500mJ/cm2程度の照射量で層(A)と層(B)を共に完全硬化させるようにすることもできる。
本発明の積層体は、耐傷付性、硬度、耐衝撃性、耐クラック性、耐衝撃性、低カール性、透明性等に優れたものである。このため、本発明の積層体は、タッチパネル、液晶テレビ等の光学ディスプレイ用部品;ランプ関連物品、ウインドウ関連物品(リアウィンドウ、サイドウィンドウ、天窓等)等の自動車関連部品;各種電気機器の筐体、化粧板、家具等の生活関連物品等の幅広い物品の表面カバーに好適に用いることができる。これらの中でもタッチパネル、液晶テレビ等の光学ディスプレイ用部品の表面カバー、即ち表示体カバーとして特に好適に用いることができる。
なお、本発明の積層体を表示体カバーとして用いる場合、特に前述の層(C)を有することが好ましく、このとき、表示体カバーは前面に高硬度、耐擦傷性、防汚性の機能を有することが好ましく、また、裏面に耐衝撃性、加工工程に耐え得る硬度、耐擦傷性の機能を有することが好ましいことから、本発明の積層体における層(B)を前面側に有し、層(C)を裏面側に有する表示体カバーとすることが特に好ましい。
以下の実施例・比較例で得られた積層体は以下の方法により評価した。
#0000のスチールウール、加重160g/cm2にて硬化させた層の表面を300往復擦り、試験後の硬化膜の傷付きの程度を以下の通り評価した。
○:傷が100本以下
×:傷が100本より多い
(PMMA面側)
PMMA面側の硬化させた層の表面について、JIS準拠鉛筆硬度計(太佑機材社製)を用い、JIS K−5400の条件に基づき測定を行い、傷の入らないもっとも硬い鉛筆の番手を確認し、以下の基準で評価した。
○:鉛筆硬度8H以上であるもの
×:鉛筆高度7H以下であるもの
(PC面側)
PC面側の硬化させた層の表面について、JIS準拠鉛筆硬度計(太佑機材社製)を用い、JIS K−5400の条件に基づき測定を行い、傷の入らないもっとも硬い鉛筆の番手を確認し、以下の基準で評価した。
◎:鉛筆硬度H以上であるもの
○:鉛筆硬度2B以上であるもの
×:鉛筆硬度3B以下であるもの
硬化後、層(A)、層(B)の塗膜のクラック(ひび割れ)の有無を目視にて確認し、以下の通り評価した。
○:層(A)と層(B)の両方にクラックが入っていないもの
×:層(A)と層(B)の少なくとも一方にクラックが入っているもの
幅12.6cm、長さ22.4cm、厚み0.85mmの試験片を、層(B)(層(B)がない場合は層(A))が上面に、層(C)(層(C)がない場合は基材層の層(A)形成面と反対側の面)が下面となるように載置し、この試験片の中心部に向かって、50gの鋼球を50cmの高さから自然落下させる剛球落下試験を行い、耐衝撃性を以下の通り評価した。
○:落球により傷が付かなかったもの
×:落球により傷が付いたもの
JIS K−7136に従ってヘーズメーター(村上色彩技術研究所製「HAZE METER HM−65W」)にてヘーズ値を測定し、0.3%以下を合格として以下の通り評価した。
○:ヘーズ値が0.3以下であるもの
×:ヘーズ値が0.3より大きいもの
層(A)の硬化膜上に層(B)を塗工(リコート)することができるかどうかで以下の通り評価した。
○:層(B)をリコートすることができるもの
×:層(B)をリコートすることができないもの
<合成例1>
撹拌機、還流冷却管及び温度計を取り付けた反応器に、数平均分子量5,000の片末端メタクリロイル基置換ポリジメチルシロキサン(JNC社製「サイラプレーン FM0721」、前記式(1)で表されるシリコーン含有(メタ)アクリレートに該当する化合物)20重量部、グリシジルメタクリレート(三菱レイヨン社製「アクリエステルG」)60重量部、メチルメタクリレート(三菱レイヨン社製「アクリエステルM」)10重量部、ステアリルメタクリレート(三菱レイヨン社製「アクリエステルS」)10重量部、メチルイソブチルケトン(MIBK)151重量部を仕込み、撹拌開始後に系内を窒素置換し、55℃まで昇温し、ここへ2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製「V−65」)1.2重量部、1−ドデカンチオール(和光純薬社製)0.9重量部を添加した後、系内を65℃まで昇温し、3時間撹拌した後、更にV−65を0.6重量部添加して65℃で3時間撹拌した。系内を100℃まで昇温し、30分間撹拌した後、MIBK163重量部を加え、再度系内を100℃まで昇温した。ここへ、p−メトキシフェノール(和光純薬工業社製)0.5重量部とトリフェニルホスフィン(和光純薬工業社製)2.6重量部を添加した後、アクリル酸(三菱化学社製)31.0重量部を加え、110℃まで昇温して6時間撹拌した。冷却後、MIBK4.8重量部を添加し、数平均分子量6,500の共重合体(F1)のMIBK溶液を得た。なお、共重合体(F1)のMIBK溶液の組成は[共重合体(F1)の重量]/[MIBKの重量]=30/70(固形分30重量%)となるようにした。
攪拌器、還流冷却器、滴下漏斗及び温度計を取り付けた反応器に、MEK−ST(メチルエチルケトン(MEK)分散コロイダルシリカゾル(日産化学工業社製 商品名MEK−ST、平均一次粒子径:15nm(カタログ値)、シリカ固形分:30重量%))を88重量部、KBM−5103(γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製 商品名KBM−5103))を12重量部入れ、更にメチルエチルケトンを入れ、固形分濃度が30重量%となるよう希釈して攪拌した後、メチルハイドロキノン0.05重量部、水1重量部、アセチルアセトンアルミニウム0.5重量部、メチルエチルケトン1重量部を入れてオイルバスにて70℃に加熱しながら4時間反応させ、表面がアクリロイル基を有する化合物により修飾されてなるシリカ粒子(F2)を得た。シリカ粒子表面に修飾されるアクリロイル基の量は0.51mmol/gであった。
以下において、使用した基材、原料等とその略称は以下の通りである。
PMMA/PCシート:日本ウェーブロック社製 ShineTech AW−10(厚み:1.0mm(PMMA層の厚み:0.054mm、PC層の厚み:0.95mm)) PCシート:三菱瓦斯化学社製 ユーピロン(登録商標) NF−2000(厚み1.0mm)
共重合体(F1):合成例1で得られた共重合体(F1)
(アクリロイル基を有する化合物)
DPHA:日本化薬株式会社製 KAYARAD DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートとの混合物)
UA−160TM:新中村化学工業株式会社製 UA−160TM(ポリテトラメチレングリコール構造を有するウレタンアクリレート、アクリロイル基が2個)
M313:東亞合成株式会社製 アロニックスM313(イソシアヌル酸エチレンオキサイド(EO)変性ジアクリレート(ウレタンアクリレートの一種)及びイソシアヌル酸エチレンオキサイド(EO)変性トリアクリレート(ウレタンアクリレートの一種)の混合物)の混合物))
シリカ粒子(F2):合成例2で得られた表面アクリロイル基修飾シリカ粒子(F2)
BYK−306:ALTANA社製 BYK−306(アクリロイル基を有さないシリコーン系添加剤(本発明における硬化性組成物(β)に含まれるアクリル系共重合体に該当しないもの。))
<配合液1>
合成例1で得られた共重合体(F1)の溶液、DPHA及びM313を固形分重量比で1.5:86.5:12になるように配合し、更に光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製「Irgacure(登録商標) 184」)を2.5重量部添加した後、[プロピレングリコールモノメチルエーテルの重量]/[メチルイソブチルケトンの重量]=1/1(重量比)の溶液で固形分が40重量%になるように希釈し、配合液1を得た。この液のアクリル当量は110g/molであった。
<配合液2>
DPHA及びM313を固形分重量比で95:5になるように配合し、更に光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製「Irgacure(登録商標) 184」)を2.5重量部添加した後、[プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの重量]/[メチルイソブチルケトンの重量]=1/1の溶液で固形分が60重量%になるように希釈し、配合液2を得た。この液のアクリル当量は103g/molであった。
合成例2で得られた表面アクリロイル基修飾シリカ粒子(F2)の溶液、DPHA及びM313を固形分重量比で70:25:5になるように配合し、更に光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製「Irgacure(登録商標) 184」)を2.5重量部添加した後、プロピレングリコールモノメチルエーテルで固形分が60重量%になるように希釈し、配合液3を得た。この液のアクリル当量は566g/molであった。
BYK−306、DPHA及びM313を固形分比で1.5:86.5:12になるように配合し、更に光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製「Irgacure(登録商標) 184」)を2.5重量部添加した後、[プロピレングリコールモノメチルエーテルの重量]/[メチルイソブチルケトンの重量]=1/1(重量比)の溶液で固形分が40重量%になるように希釈し、配合液4を得た。
DPHA及びUA−160TMを固形分重量比60:40になるように配合し、更に光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製「Irgacure(登録商標) 184」)を4.5重量部添加した後、[プロピレングリコールモノメチルエーテルの重量]/[メチルイソブチルケトンの重量]=1/1の溶液で固形分が50重量%になるように希釈し、配合液5を得た。この液のアクリル当量は380g/molであった。
アジピン酸系ポリエステルポリオール(日立化成社製「テスラック2488」)及びポリイソシアネート硬化剤(三菱化学社製「マイテック(登録商標)NY730A−T」)を固形分重量比53:47になるよう配合し、更にオクチル酸錫触媒(日東化成社製「ネオスタンU−810」)を0.1重量部添加した後、メチルエチルケトン溶液で固形分が40重量%になるように希釈し、溶液中で反応させることによりポリウレタンの配合液6を得た。この液の各原料成分はアクリロイル基を有さないため、アクリル当量は無限大であった。
<実施例1>
PMMA/PCシートのPC基材面に配合液5を乾燥後の塗膜が20μmとなるようにバーコーターにて塗布した。この塗膜を80℃で1.5分間加熱して乾燥させた後、出力120W/cmの高圧水銀灯を使用し、450mW/cm2、500mJ/cm2の紫外線を照射して硬化膜を被覆させ、基材のPC基材面上に層(C)を形成した。
層(A)について、配合液2の代わりに配合液3を用いた以外は実施例1と同様にして積層体を得た。
層(C)を形成しなかった以外は実施例1と同様にして積層体を得た。
PMMA/PCシートのPC基材面に配合液6を乾燥後の塗膜が20μmとなるようにバーコーターにて塗布し、80℃で10分間加熱して塗膜を乾燥、硬化させ、PC基材面に層(C)を形成した。
PMMA/PCシートのPC基材面について、実施例1と同様にして層(C)を形成した。次に、PMMA基材面に配合液1を乾燥後の塗膜が20μmとなるようにバーコーターにて塗布し、80℃で1.5分間加熱して塗膜を乾燥後、出力120W/cmの高圧水銀灯を使用し、450mW/cm2、500mJ/cm2の紫外線を照射し、硬化膜を被覆させ、PMMA基材面上に層を形成し、積層体を得た。
PMMA/PCシートのPC基材面について、実施例1と同様にして層(C)を形成した。次に、PMMA基材面に配合液1を乾燥後の塗膜が15μmとなるようにバーコーターにて塗布し、80℃で1.5分間加熱して塗膜を乾燥後、出力80W/cmの高圧水銀灯を使用し、100mW/cm2、50mJ/cm2の紫外線を照射し、硬化膜を被覆させ、層を形成した。更に、この層の上に配合液1を用いて更に層を形成しようとしたところ、層表面で配合液1をはじいたために層を形成することができなかった。
PMMA/PCシートのPC基材面について、実施例1と同様にして層(C)を形成した。次に、PMMA基材面に配合液1を乾燥後の塗膜が15μmとなるようにバーコーターにて塗布し、80℃で1.5分間加熱して塗膜を乾燥後、出力80W/cmの高圧水銀灯を使用し、100mW/cm2、50mJ/cm2の紫外線を照射し、硬化膜を被覆させ、層を形成した。更に、この層の上に配合液2を用いて更に層を形成しようとしたところ、層表面で配合液2をはじいたために層を形成することができなかった。
PMMA/PCシートのPC基材面について、実施例1と同様にして層(C)を形成した。次に、PMMA基材面に配合液1を乾燥後の塗膜が15μmとなるようにバーコーターにて塗布し、80℃で1.5分間加熱して塗膜を乾燥後、出力80W/cmの高圧水銀灯を使用し、100mW/cm2、50mJ/cm2の紫外線を照射し、硬化膜を被覆させ、層を形成した。更に、この層の上に配合液3を用いて更に層を形成しようとしたところ、層表面で配合液3をはじいたために層を形成することができなかった。
層(B)について、配合液1の代わりに配合液2を用いた以外は実施例1と同様にして積層体を得た。
層(B)について、配合液1の代わりに配合液3を用いた以外は実施例2と同様にして積層体を得た。
層(B)について、配合液1の代わりに配合液4を用いた以外は実施例1と同様にして積層体を得た。
PMMA/PCシートの代わりにPCシートを用いた以外は実施例1と同様にして積層体を得た。
表−1からわかるように、実施例1〜4の積層体は、耐傷付性、層(A)側の硬度、耐クラック性、耐衝撃性、透明性、リコート性いずれも良好であった。実施例1、2、4では層(C)を形成したため、層(C)側の硬度も良好であり、特に実施例4では硬度Hの高硬度が得られた。
比較例2〜4では、基材層上に硬化性組成物(β)及び/又はその硬化物からなる層に該当する配合液1を硬化して得た層を形成した後、配合液1〜3を硬化した層をそれぞれ形成しようとしたところ、リコート性が悪かったため、他の評価は実施しなかった。
比較例5〜7では、基材上に層(A)に該当する層を形成した後、層(B)に該当しない層を形成したところ、耐傷付性が悪かった。更に、比較例8は基材層として、PMMAからなる層を用いずに層(A)に該当する層、層(B)に該当する層を形成したところ、層(A)側の硬度が悪かった。
Claims (13)
- 少なくとも下記基材層と、該基材層の一方の面に該基材層側から下記層(A)及び下記層(B)をこの順で有し、該基材層の厚みが0.3〜30mmである積層体。
基材層:ポリメチルメタクリレートからなる層
層(A):アクリロイル基を有する化合物を少なくとも含み、アクリル当量が100g/mol以上である硬化性組成物(α)及び/又はその硬化物(ただし、下記硬化性組成物(β)及び/又はその硬化物を除く。)からなる層
層(B):少なくとも下記式(1)で表されるシリコーン含有(メタ)アクリレートとエポキシ基を有する(メタ)アクリレートとを共重合して得られた共重合体にカルボキシル基及びアクリロイル基を有する化合物を反応させて得られるアクリル系共重合体と、活性エネルギー線硬化性化合物とを含む硬化性組成物(β)及び/又はその硬化物からなる層
- 前記基材層の他方の面に下記層(C)を有する、請求項1に記載の積層体。
層(C):アクリル当量が100g/mol以上である硬化性組成物(γ)及び/又はその硬化物からなる層 - 前記硬化性組成物(α)が、多官能(メタ)アクリレート及び/又はアクリロイル基を有する化合物で修飾されたシリカを含む、請求項1又は2に記載の積層体。
- 前記硬化性組成物(β)が、前記アクリル系共重合体と活性エネルギー線硬化性化合物の合計量に対し、該アクリル系共重合体を0.05〜10重量%含有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記硬化性組成物(β)に含まれる共重合体が、更に、炭素数4〜22のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを共重合したものである、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記硬化性組成物(γ)が、多官能(メタ)アクリレート及び/又はアクリロイル基を有する化合物で修飾されたシリカを含む、請求項2乃至5のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記硬化性組成物(γ)がポリウレタンを含む、請求項2乃至6のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記層(B)の厚みが、2〜100μmである、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記層(C)の厚みが、2〜100μm以下である、請求項2乃至8のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記基材層が、少なくともポリメチルメタクリレートからなる層とポリカーボネートからなる層との2層で構成されるものである、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記基材層が、少なくともポリメチルメタクリレートからなる層とポリカーボネートからなる層との2層で構成されるものであり、該ポリメチルメタクリレートからなる層が前記層(A)に接しており、該ポリカーボネートからなる層が前記層(C)と接するものである、請求項2乃至10のいずれか1項に記載の積層体。
- 請求項1乃至11のいずれか1項に記載の積層体からなる表示体カバー。
- 請求項2、6、7、9、又は11に記載の積層体からなる表示体カバーであり、層(B)側を前面側に有し、層(C)側を裏面側に有する表示体カバー。
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