JP6772461B2 - 積層体及び表示体カバーの製造方法 - Google Patents
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これらの従来の技術はいずれも主として携帯電話やPHSの表示体カバーを志向したものであり、近年普及しているスマートフォン、タブレット等のタッチパネルに要求される耐衝撃性、耐傷付性、耐久性、硬度等の特性に対してはその機能が不十分である。即ち、スマートフォン、タブレット等のタッチパネルにおける表示体カバーはそれ自体が十分な耐衝撃性を有することが求められるだけではなく、指を滑らす動き(フリップ)が操作上、頻繁に行われるようになっており、従来の携帯電話、PHS用の表示体カバーでは耐傷付性、硬度等が不十分であり、これらの表示体カバーとしては機能が不十分である。
即ち、本発明の要旨は以下の[1]〜[8]に存する。
層(A):パーフルオロポリエーテル構造とアクリロイル基とを有する化合物を少なくとも含む硬化性組成物(α)及び/又はその硬化物からなる層
層(B):アクリロイル基を有する化合物(B−1)を少なくとも含む硬化性組成物(β)及び/又はその硬化物(ただし、上記硬化性組成物(α)及び/又はその硬化物を除く。)からなる層
本発明の積層体は、基材層と、該基材層の一方の面に該基材層側から下記層(B)及び下記層(A)をこの順で少なくとも有し、該基材層の厚みが0.3〜30mmである積層体である。
層(A):パーフルオロポリエーテル構造とアクリロイル基とを有する化合物を少なくとも含む硬化性組成物(α)及び/又はその硬化物からなる層
層(B):アクリロイル基を有する化合物を少なくとも含む硬化性組成物(β)及び/又はその硬化物(ただし、上記硬化性組成物(α)及び/又はその硬化物を除く。)からなる層
本発明の積層体は基材層を有する。基材層の種類は特に制限されないが、通常、熱可塑性樹脂からなる層である。
本発明の積層体において、層(A)は、パーフルオロポリエーテル構造とアクリロイル基とを有する化合物(A−1)を少なくとも含む硬化性組成物(α)及び/又はその硬化物からなる層である。
本発明の積層体は、硬化性組成物(α)が化合物(A−1)を含むことにより、層(A)側の硬度、耐傷付性が良好なものとなる。この観点から、硬化性組成物(α)は、硬化性組成物(α)中のアクリロイル基を有する化合物の合計量に対し、化合物(A−1)の含有量が、0.05重量%以上であることが好ましく、0.1重量%以上であることがより好ましい。一方、硬化性を良好なものとする観点から、化合物(A−1)の含有量は、10重量%以下であることが好ましく、8重量%以下であることがより好ましく、6重量%以下であることが更に好ましい。また、硬化性組成物は(α)は後述するように、化合物(A−1)以外の活性エネルギー線硬化性組成物(A−2)を含むことが好ましい。
硬化性組成物(α)に用いることのできる活性エネルギー線硬化性化合物(A−2)は、前記化合物(A−1)及び後述する化合物(A−3)以外の化合物であり、活性エネルギー線の照射により硬化反応しうる官能基を有するものであれば特に制限されない。
本発明における硬化性組成物(α)において、前記化合物(A−1)に加え、化合物(A−1)以外のシロキサン構造と1つ以上のアクリロイル基を有する化合物(A−3)を含むことが好ましい。硬化性組成物(α)が化合物(A−3)を含むことにより、化合物(A−1)と同様に層(A)側の耐傷付性を高めることができる。化合物(A−3)としては、例えば下記式(2)で表されるものが挙げられる。
本発明に用いる硬化性組成物(α)は、硬化性を向上させるため、光重合開始剤を含むことが好ましい。光重合開始剤は公知のものを使用することができる。光重合開始剤としては例えば、光ラジカル発生剤、光酸発生剤等が挙げられる。
硬化性組成物(α)は、有機溶媒を含むことが好ましい。有機溶媒としては、特に限定されるものではなく、硬化性組成物(α)に含まれる成分の種類等を考慮して適宜選択することができる。用いることができる有機溶媒の具体例としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)、アニソール、フェネトール等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、エチレングリコールジアセテート等のエステル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒等が挙げられる。
本発明に用いる硬化性組成物(α)は、本発明の効果を阻害しない範囲で上記の化合物(A−1)、活性エネルギー線硬化性化合物(A−2)、化合物(A−3)、光重合開始剤及び有機溶媒以外のその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、充填剤、シランカップリング剤、反応性希釈剤、帯電防止剤、有機顔料、スリップ剤、分散剤、チクソトロピー性付与剤(増粘剤)、消泡剤、酸化防止剤、レベリング剤等が挙げられる。
層(A)の厚みは、得られる積層体の硬度や耐傷付性の観点からは厚い方が好ましく、耐クラック性の観点からは薄い方が好ましい。従って、層(A)の厚みは、好ましくは1μm以上であり、より好ましくは2μm以上であり、更に好ましくは3μm以上であり、特に好ましくは4μm以上であり、一方、好ましくは100μm以下であり、より好ましくは35μm以下であり、更に好ましくは10μm以下であり、更に好ましくは8μm以下である。
本発明の第二の態様にかかる積層体において、層(B)は、アクリロイル基を有する化合物(B−1)を少なくとも含む硬化性組成物(β)及び/又はその硬化物からなる層である。ここで硬化性組成物(β)は前述の硬化性組成物(α)に該当するものを除く意味で用いられる。
硬化性組成物(B)に含むことのできるアクリロイル基を有する化合物(B−1)としては、単官能(メタ)アクリレート及びその誘導体、多官能(メタ)アクリレート及びその誘導体、アクリロイル基を有する化合物で表面を修飾したシリカ等が挙げられる。これらの中でも層(B)の硬度を高める観点から、多官能(メタ)アクリレート及びその誘導体並びにアクリロイル基を有する化合物で表面を修飾したシリカ粒子からなる群のうちの少なくとも1つを含むことが好ましい。
[平均一次粒子径(nm)]=
6,000/〔[比表面積(m2/g)]×[密度(g/cm3)]〕
アクリロイル基を有する化合物で表面を修飾したシリカ粒子のシリカ粒子表面に修飾されるアクリロイル基の量(表面を(メタ)アクリロイル基を有する化合物により修飾されてなるシリカ粒子1g当りの二重結合量(mol))、仕込み値からの計算値で0.1〜2.0mmol/gであることが好ましく、0.2〜1.5mmol/gがより好ましく、0.3〜1.0mmol/gが更に好ましい。
本発明に用いる硬化性組成物(β)は層(B)の硬化性を向上させるために光重合開始剤を用いることが好ましい。ここで用いることのできる光重合開始剤は硬化性組成物(α)において挙げたものと同様である。
本発明に用いる硬化性組成物(β)は有機溶媒を用いることが好ましい。ここで用いることのできる有機溶媒の種類及びその量、即ち、硬化性組成物(β)の固形分濃度は、硬化性組成物(α)において挙げたものと同様である。
本発明に用いる硬化性樹脂組成物(β)は、本発明の効果を阻害しない範囲で化合物(B−1)、光重合開始剤及び有機溶媒以外のその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、充填剤、シランカップリング剤、反応性希釈剤、帯電防止剤、有機顔料、スリップ剤、分散剤、チクソトロピー性付与剤(増粘剤)、消泡剤、酸化防止剤等が挙げられる。
層(B)の厚みは、硬度の観点から2μm以上であることが好ましく、4μm以上であることが特に好ましい。一方、耐クラック性の観点から、100μm以下であることが好ましく、60μm以下であることがより好ましく、30μm以下であることが更に好ましく、20μm以下であることが特に好ましい。
本発明の積層体は、更に、以下の層(C)を、基材層上の層(A)とは反対側の面に有していることが耐衝撃性を向上させる観点から好ましい。
層(C)は、ウレタン(メタ)アクリレート又はその変性体、エポキシ(メタ)アクリレート又はその変性体、及びアルキレンオキサイド構造を有する(メタ)アクリレート又はその変性体からなる群のうちの少なくとも1つのアクリロイル基を有する化合物(C−1)を含み、かつ該化合物(C−1)の含有量が硬化性組成物(γ)中のアクリロイル基を有する化合物の合計量に対し20重量%以上である硬化性組成物(γ)及び/又はその硬化物からなる層である。
本発明の積層体は、硬化性組成物(γ)が化合物(C−1)を含むことにより、耐衝撃性が良好なものとなる。化合物(C−1)としては、具体的には以下のような化合物が挙げられる。
硬化性組成物(γ)は上記の化合物(C−1)以外の活性エネルギー線硬化性化合物(C−2)を含んでいてもよい。
硬化性組成物(γ)に含まれる活性エネルギー線硬化性化合物(C−2)は、前記化合物(C−1)以外の化合物であり、活性エネルギー線の照射により硬化反応しうる官能基を有するものであれば特に制限されない。
本発明に用いる硬化性組成物(γ)は、層(C)の硬化性を向上させるために、光重合開始剤を含むことが好ましい。ここで用いることのできる光重合開始剤は、硬化性組成物(α)において挙げたものと同様である。
本発明に用いる硬化性組成物(γ)は有機溶媒を含むことが好ましい。ここで用いることのできる有機溶媒の種類及びその量、即ち、硬化性組成物(γ)の固形分濃度は、硬化性組成物(α)において挙げたものと同様である。
本発明に用いる硬化性樹脂組成物(γ)は、本発明の効果を阻害しない範囲で上記の化合物(C−1)、活性エネルギー線硬化性化合物(C−2)、光重合開始剤及び有機溶媒以外のその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、充填剤、シランカップリング剤、反応性希釈剤、帯電防止剤、有機顔料、スリップ剤、分散剤、チクソトロピー性付与剤(増粘剤)、消泡剤、酸化防止剤、レベリング剤等が挙げられる。
層(C)の厚みは、耐衝撃性の観点から1μm以上であることが好ましく、2μm以上であることがより好ましく、3μm以上であることが更に好ましく、4μm以上であることが特に好ましい。一方、耐カール性、耐衝撃性の観点から、100μm以下であることが好ましく、45μm以下であることがより好ましく、40μm以下であることが更に好ましく、35μm以下であることが特に好ましく、30μm以下であることが最も好ましい。
層(A)と層(C)の厚み比が上記範囲であることにより、本発明の積層体の耐カール性がより良好なものとなる傾向にある。
本発明の積層体は、基材層上に各層を順次積層することにより製造することができる。本発明の積層体の製造方法は特に制限されないが、通常、基材層上に層(B)を形成し、次いで層(A)を形成することにより得ることができる。また、前述の層(C)を基材層上の層(A)と逆側の面に形成してもよく、その形成の順序は層(B)、層(A)の前後のいずれであってもよく、また、同時であってもよい。
本発明の積層体は、耐傷付性、耐久性、硬度、耐衝撃性、耐クラック性、耐衝撃性、透明性等に優れたものである。このため、本発明の積層体は、タッチパネル、液晶テレビ等の光学ディスプレイ用部品;ランプ関連物品、ウインドウ関連物品(リアウィンドウ、サイドウィンドウ、天窓等)等の自動車関連部品;各種電気機器の筐体、化粧板、家具等の生活関連物品等の幅広い物品の表面カバーに好適に用いることができる。これらの中でもタッチパネル、液晶テレビ等の光学ディスプレイ用部品の表面カバー、即ち表示体カバーとして特に好適に用いることができ、更にはこの表示体カバーを備えた、PDPモジュール、タッチパネルモジュール、有機ELモジュール等のモジュールとして好適に用いることができる。なお、本発明の積層体を表示体カバーとして用いる場合、表示体は前面に高硬度、耐傷付性、防汚性の機能を有することが好ましく、また、裏面に耐衝撃性、加工工程に耐えうる硬度、耐傷付性の機能を有することが好ましいことから、本発明の積層体として、層(C)を有する場合、層(A)を表面側に有し、層(C)を裏面側に有する表示体カバーとすることが特に好ましい。
<合成例1>
攪拌器、還流冷却器、滴下漏斗及び温度計を取り付けた反応器に、MEK−ST(メチルエチルケトン(MEK)分散コロイダルシリカゾル(日産化学工業社製 商品名MEK−ST、平均一次粒子径:15nm(カタログ値)、シリカ固形分:30重量%))を88重量部、KBM−5103(γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製 商品名KBM−5103))を12重量部入れ、更にメチルエチルケトンを入れ、固形分濃度が30重量%となるよう希釈して攪拌した後、メチルハイドロキノン0.05重量部、水1重量部、アセチルアセトンアルミニウム0.5重量部、メチルエチルケトン1重量部を入れてオイルバスにて70℃に加熱しながら4時間反応させ、表面がアクリロイル基を有する化合物により修飾されてなるシリカ粒子(F1)を得た。シリカ粒子表面に修飾されるアクリロイル基の量は0.51mmol/gであった。
以下において、使用した基材、原料等とその略称は以下の通りである。
PMMA/PCシート:日本ウェーブロック社製 ShineTech AW−10(厚み:1.0mm(PMMA層の厚み:0.054mm、PC層の厚み:0.95mm))
・DAC−HP:ダイキン工業株式会社製 オプツール(登録商標) DAC−HP(パーフルオロポリエーテル構造とアクリロイル基とを有する化合物)
・UA−160TM:新中村化学工業社製 UA−160TM(ポリテトラメチレングリコール構造を有するウレタンアクリレート、アクリロイル基が2個)
・M313:東亞合成株式会社製 アロニックスM313(イソシアヌル酸エチレンオキサイド(EO)変性ジアクリレート(ウレタンアクリレートの一種)及びイソシアヌル酸エチレンオキサイド(EO)変性トリアクリレート(ウレタンアクリレートの一種)の混合物、アクリロイル基が3個)
・DPHA:日本化薬株式会社製 KAYARAD DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートとの混合物)(活性エネルギー線硬化性化合物(A−2)、化合物(B−1)及び活性エネルギー線硬化性化合物(C−2)のいずれにも該当する化合物)
・シリカ粒子(F1):合成例1で得られた表面アクリロイル基修飾シリカ粒子(F1)(活性エネルギー線硬化性化合物(A−2)、化合物(B−1)及び活性エネルギー線硬化性化合物(C−2)のいずれにも該当する化合物)
<配合液1>
DAC−HP、DPHA及びM313を固形分重量比で1.5:86.5:12になるように配合し、更に光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製「Irgacure(登録商標)184」)を2.5重量部添加した後、[プロピレングリコールモノメチルエーテルの重量]/[メチルイソブチルケトンの重量]=1/1の混合溶媒で固形分が40重量%になるように希釈し、配合液1を得た。
<配合液2>
DPHA及びM313を固形分重量比で90:10になるように配合し、更に光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製「Irgacure(登録商標)184」)を2.5重量部添加した後、[プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの重量]/[メチルイソブチルケトンの重量]=1/1(重量比)の混合溶媒で固形分が60重量%になるように希釈し、配合液2を得た。この液のアクリル当量は105g/molであった。
合成例1で得られた表面アクリロイル基修飾シリカ粒子(F1)の溶液、DPHA及びM313を固形分重量比で25:70:5になるように配合し、更に光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製「Irgacure(登録商標)184」)を2.5重量部添加した後、プロピレングリコールモノメチルエーテルの溶媒で固形分が60重量%になるように希釈し、配合液3を得た。この液のアクリル当量は566g/molであった。
<配合液4>
DPHA及びUA−160TMを固形分比で60:40になるように配合し、更に光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製「Irgacure(登録商標)184」)を4.5重量部添加した後、[プロピレングリコールモノメチルエーテルの重量]/[メチルイソブチルケトンの重量]=1/1(重量比)の混合溶媒で固形分が40重量%になるように希釈し、配合液4を得た。
以下の実施例・比較例で得られた積層体は以下の方法により評価した。
#0000のスチールウールを用い、加重160g/cm2にて硬化させた層(A)の表面を300往復擦り、試験後の硬化膜の傷付きの程度を以下の通り評価した。
○:傷が100本以下であるもの
×:傷が100本より多いもの
硬化させた層(A)、層(A)の逆側表面について、JIS準拠鉛筆硬度計(太佑機材社製)を用い、JIS K−5400の条件に基づき測定を行い、傷の入らない最も硬い鉛筆の番手を確認し、以下の基準で評価した。
(層(A)側)
○:鉛筆硬度が8H以上であるもの
△:鉛筆硬度が6H〜7Hであるもの
×:鉛筆硬度が5H以下であるもの
(層(A)の逆側)
◎:鉛筆硬度がHB以上であるもの
○:鉛筆硬度が2Bであるもの
×:鉛筆硬度が2Bより悪いもの
硬化させた層(A)の表面を、プラスチック消しゴム(シード社製「レーダーS−60」)で2,000g/cm2にて500往復擦り、試験前後の硬化膜の傷付きの程度を水接触角測定機器(協和界面科学社製「Drop Master DM500」)にて以下の通り評価した。
○:試験前の水接触角が100°以上であり、且つ試験前後の水接触角低下が10°以下のもの
×:試験前の水接触角が100°未満のもの及び/又は試験前後の水接触角低下が10°超過のもの
硬化後、層(B)及び層(A)の硬化膜のクラック(ひび割れ)の有無を目視にて確認し、以下の通り評価した。
○:層(B)と層(A)の両方にクラックが入っていないもの
×:層(B)と層(A)の少なくとも一つの層にクラックが入っているもの
層(A)側を上面に、基材側を下面に置いた、幅12.6cm、長さ22.4cmの試験片の中心に向って、50gの鋼球を上方から自然落下させる剛球落下試験を行い、耐衝撃性を以下の通り評価した。なお、鋼球を落下させる高さは5cmずつ変更して実施した。
○:20cmの上方から落下させても割れずにかつ傷が付かなかったもの
×:上方20cm以下の位置からの落下で割れた又は傷が付いたもの
JIS K−7136に従ってヘーズメーター(村上色彩技術研究所製「HAZE METER HM−65W」)にてヘーズ値を測定し、0.3%以下を合格として以下の通り評価した。
○:ヘーズ値が0.3以下であるもの
×:ヘーズ値が0.3より大きいもの
<実施例1>
PMMA/PCシートのPMMA基材面に配合液2を乾燥後の塗膜が15μmとなるようにバーコーターにて塗布し、80℃で1.5分間加熱して塗膜を乾燥させた。その後、出力80W/cm2の高圧水銀灯を使用し、100mW/cm2、50mJ/cm2の紫外線を照射して硬化膜を被覆させ、PMMA基材面上に層(B)を形成した。
層(B)の形成に、配合液2の代わりに配合液3を用いた以外は実施例1と同様に実施して積層体を得た。この積層体について上記(1)〜(6)の評価を行い、これらの結果を表−1に示した。
層(A)、(B)の形成の他、PC基材面に配合液4を用いて層(A)と同様にして基材のPC基材面上に層(C)を形成して積層体を得た。この積層体について上記(1)〜(6)の評価を行い、これらの結果を表−1に示した。
PMMA/PCシートのPMMA基材面に層(B)は形成せずに、配合液1を乾燥後の塗膜が10μmとなるようにバーコーターにて塗布した。この塗膜を80℃で1.5分間加熱して乾燥させた後、出力120W/cm2の高圧水銀灯を使用し、450mW/cm2、500mJ/cm2の紫外線を照射して硬化膜を被覆させ、基材のPMMA基材面上に層(A)を形成して積層体を得た。なお、この積層体は実施例1と同一の積層体である。この積層体について上記(1)〜(6)の評価を行い、これらの結果を表−1に示した。
層(A)の形成にあたり、配合液1を乾燥後の塗膜が20μmとなるように形成した以外は比較例1と同様にして積層体を得た。この積層体について上記(1)〜(6)の評価を行い、これらの結果を表−1に示した。
表−1からわかるように、実施例1〜3の積層体は、層(A)側の耐傷付性、硬度、耐久性、耐クラック性、耐衝撃性に優れ、透明性も良好であった。特に、基材層と層(A)との間に層(B)を形成したことで、硬度が大きく向上したことがわかる。また、実施例3は層(C)を形成した為、層(C)側の硬度も良好であった。一方、比較例1では、層(B)を形成しなかったことで、硬度が満足に向上しなかった。比較例2では、層(B)を形成せず、層(A)を20μmの厚さに形成したことで硬度は向上したものの耐クラック性が悪化した。
Claims (7)
- 厚みが0.3〜30mmの基材層の一方の面に、アクリロイル基を有する化合物(B−1)及び有機溶媒を含む硬化性組成物(β)(ただし、下記硬化性組成物(α)を除く)を塗布し、活性エネルギー線を照射する操作を含む工程により硬化させて層(B)を形成し、当該層(B)の表面に、パーフルオロポリエーテル構造とアクリロイル基とを有する化合物(A−1)を少なくとも含む硬化性組成物(α)を塗布し、活性エネルギー線を照射する操作を含む工程により硬化させて厚みが1〜100μmの層(A)を形成する積層体の製造方法。
- 硬化性組成物(α)が、前記化合物(A−1)を、硬化性組成物(α)中のアクリロイル基を有する化合物の合計量に対し、0.05〜10重量%含有する、請求項1に記載の積層体の製造方法。
- 硬化性組成物(β)が、多官能(メタ)アクリレート及び/又はアクリロイル基を有する化合物で修飾されたシリカを含む、請求項1又は2に記載の積層体の製造方法。
- 層(B)の厚みが、2〜100μmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
- 前記基材層が、少なくともポリメチルメタクリレートからなる層とポリカーボネートからなる層との2層で構成されるものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
- 積層体からなる表示体カバーの製造方法であって、請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層体の製造方法を含む表示体カバーの製造方法。
- 表示体カバーを備えたモジュールの製造方法であって、請求項6に記載の表示体カバーの製造方法を含むモジュールの製造方法。
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