JP2016124294A - 積層体及び表示体カバー - Google Patents
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Abstract
Description
これらの従来の技術はいずれも主として携帯電話やPHSの表示体カバーを志向したものであり、近年普及しているスマートフォン、タブレット等のタッチパネルに要求される耐衝撃性、耐傷付性、耐久性、硬度等の特性に対してはその機能が不十分である。即ち、スマートフォン、タブレット等のタッチパネルにおける表示体カバーはそれ自体が十分な耐衝撃性を有することが求められるだけではなく、指を滑らす動き(フリップ)が操作上、頻繁に行われるようになっており、従来の携帯電話、PHS用の表示体カバーでは耐傷付性、硬度等が不十分であり、これらの表示体カバーとしては機能が不十分である。
即ち、本発明の要旨は以下の[1]〜[11]に存する。
層(A):パーフルオロポリエーテル構造とアクリロイル基とを有する化合物(A−1)を少なくとも含む硬化性組成物(α)及び/又はその硬化物からなる層
層(B):ウレタン(メタ)アクリレート又はその変性体、エポキシ(メタ)アクリレート又はその変性体、及びアルキレンオキサイド構造を有する(メタ)アクリレート又はその変性体からなる群のうちの少なくとも1つの化合物(B−1)を含み、かつ該化合物(B−1)の含有量が、層(B)を構成する組成物中のアクリロイル基を有する化合物の合計量に対し20重量%以上である硬化性組成物(β)及び/又はその硬化物からなる層
本発明の積層体は、基材層と、該基材層の一方の面に下記層(A)、他方の面に下記層(B)とを少なくとも有し、該基材層の厚みが0.3〜30mmである積層体である。
層(A):パーフルオロポリエーテル構造とアクリロイル基とを有する化合物を少なくとも含む硬化性組成物(α)及び/又はその硬化物からなる層
層(B):ウレタン(メタ)アクリレート又はその変性体、エポキシ(メタ)アクリレート又はその変性体、及びアルキレンオキサイド構造を有する(メタ)アクリレート又はその変性体からなる群のうちの少なくとも1つの化合物(B−1)を含み、かつ該化合物(B−1)の含有量が、層(B)を構成する組成物中のアクリロイル基を有する化合物の合計量に対し20重量%以上である硬化性組成物(β)及び/又はその硬化物からなる層
本発明の積層体は基材層を有する。基材層の種類は特に制限されないが、通常、熱可塑性樹脂からなる層である。
本発明の積層体において、層(A)は、パーフルオロポリエーテル構造とアクリロイル基とを有する化合物(A−1)を少なくとも含む硬化性組成物(α)及び/又はその硬化物からなる層である。
本発明の積層体は、硬化性組成物(α)が化合物(A−1)を含むことにより、層(A)側の硬度、耐傷付性が良好なものとなる。この観点から、硬化性組成物(α)は、硬化性組成物(α)中のアクリロイル基を有する化合物の合計量に対し、化合物(A−1)の含有量が、0.05重量%以上であることが好ましく、0.1重量%以上であることがより好ましい。一方、硬化性を良好なものとする観点から、化合物(A−1)の含有量は、10重量%以下であることが好ましく、8重量%以下であることがより好ましく、6重量%以下であることが更に好ましい。また、硬化性組成物は(α)は後述するように、化合物(A−1)以外の活性エネルギー線硬化性組成物(A−2)を含むことが好ましい。
硬化性組成物(α)に用いることのできる活性エネルギー線硬化性化合物(A−2)は、前記化合物(A−1)及び後述する化合物(A−3)以外の化合物であり、活性エネルギー線の照射により硬化反応しうる官能基を有するものであれば特に制限されない。
本発明における硬化性組成物(α)において、前記化合物(A−1)に加え、シロキサン構造と1つ以上のアクリロイル基を有する化合物(A−3)を含むことが好ましい。硬化性組成物(α)が化合物(A−3)を含むことにより、化合物(A−1)と同様に層(A)側の耐傷付性を高めることができる。化合物(A−3)としては、例えば下記式(2)で表されるものが挙げられる。なお、硬化性組成物(α)に用いることのできる化合物(A−3)は化合物(A−1)以外のものである。
本発明に用いる硬化性組成物(α)は、硬化性を向上させるため、光重合開始剤を含むことが好ましい。光重合開始剤は公知のものを使用することができる。光重合開始剤としては例えば、光ラジカル発生剤、光酸発生剤等が挙げられる。
硬化性組成物(α)は、有機溶媒を含むことが好ましい。有機溶媒としては、特に限定されるものではなく、硬化性組成物(α)に含まれる成分の種類等を考慮して適宜選択することができる。用いることができる有機溶媒の具体例としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)、アニソール、フェネトール等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、エチレングリコールジアセテート等のエステル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒等が挙げられる。
本発明に用いる硬化性組成物(α)は、本発明の効果を阻害しない範囲で上記の化合物(A−1)、活性エネルギー線硬化性化合物(A−2)、化合物(A−3)、光重合開始剤及び有機溶媒以外のその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、充填剤、シランカップリング剤、反応性希釈剤、帯電防止剤、有機顔料、スリップ剤、分散剤、チクソトロピー性付与剤(増粘剤)、消泡剤、酸化防止剤、レベリング剤等が挙げられる。
層(A)の厚みは、得られる積層体の硬度や耐傷付性の観点からは厚い方が好ましく、耐クラック性の観点からは薄い方が好ましい。従って、層(A)の厚みは、好ましくは1μm以上であり、より好ましくは2μm以上であり、更に好ましくは3μm以上であり、特に好ましくは4μm以上であり、一方、好ましくは100μm以下であり、より好ましくは45μm以下であり、更に好ましくは40μm以下であり、特に好ましくは35μm以下であり、最も好ましいのは30μm以下である。
本発明の積層体において、層(B)は、ウレタン(メタ)アクリレート又はその変性体、エポキシ(メタ)アクリレート又はその変性体、及びアルキレンオキサイド構造を有する(メタ)アクリレート又はその変性体からなる群のうちの少なくとも1つのアクリロイル基を有する化合物(B−1)を含み、かつ該化合物(B−1)の含有量が硬化性組成物(β)中のアクリロイル基を有する化合物の合計量に対し20重量%以上である硬化性組成物(β)及び/又はその硬化物からなる層である。かかる層(B)を、基材層上の層(A)とは反対側の面に有することにより耐衝撃性が良好となる。
本発明の積層体は、硬化性組成物(β)が化合物(B−1)を含むことにより、耐衝撃性が良好なものとなる。化合物(B−1)としては、具体的には以下のような化合物が挙げられる。
硬化性組成物(β)は上記の化合物(B−1)以外の活性エネルギー線硬化性化合物(B−2)を含んでいてもよい。
硬化性組成物(β)に含まれる活性エネルギー線硬化性化合物(B−2)は、前記化合物(B−1)以外の化合物であり、活性エネルギー線の照射により硬化反応しうる官能基を有するものであれば特に制限されない。
本発明に用いる硬化性組成物(β)は、層(B)の硬化性を向上させるために、光重合開始剤を含むことが好ましい。ここで用いることのできる光重合開始剤は、硬化性組成物(α)において挙げたものと同様である。
本発明に用いる硬化性組成物(β)は有機溶媒を含むことが好ましい。ここで用いることのできる有機溶媒の種類及びその量、即ち、硬化性組成物(β)の固形分濃度は、硬化性組成物(α)において挙げたものと同様である。
本発明に用いる硬化性樹脂組成物(β)は、本発明の効果を阻害しない範囲で上記の化合物(B−1)、活性エネルギー線硬化性化合物(B−2)、光重合開始剤及び有機溶媒以外のその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、充填剤、シランカップリング剤、反応性希釈剤、帯電防止剤、有機顔料、スリップ剤、分散剤、チクソトロピー性付与剤(増粘剤)、消泡剤、酸化防止剤、レベリング剤等が挙げられる。
層(B)の厚みは、耐衝撃性の観点から1μm以上であることが好ましく、2μm以上であることがより好ましく、3μm以上であることが更に好ましく、4μm以上であることが特に好ましい。一方、耐カール性、耐衝撃性の観点から、100μm以下であることが好ましく、45μm以下であることがより好ましく、40μm以下であることが更に好ましく、35μm以下であることが特に好ましく、30μm以下であることが最も好ましい。
層(A)と層(B)の厚み比が上記範囲であることにより、本発明の積層体の耐カール性がより良好なものとなる傾向にある。
本発明の積層体において、基材層と層(A)との間にアクリロイル基を有する化合物(C−1)を少なくとも含む硬化性組成物(γ)及び/又はその硬化物からなる層である、層(C)を有することが、硬度、耐クラック性の観点から好ましい。ただし、硬化性組成物(γ)は前述の硬化性組成物(α)に該当するものを除く意味で用いられる。
硬化性組成物(γ)に含むことのできるアクリロイル基を有する化合物(C−1)としては、単官能(メタ)アクリレート及びその誘導体、多官能(メタ)アクリレート及びその誘導体、アクリロイル基を有する化合物で表面を修飾したシリカ等が挙げられる。これらの中でも層(C)の硬度を高める観点から、多官能(メタ)アクリレート及びその誘導体並びにアクリロイル基を有する化合物で表面を修飾したシリカ粒子からなる群のうちの少なくとも1つを含むことが好ましい。
[平均一次粒子径(nm)]=
6,000/〔[比表面積(m2/g)]×[密度(g/cm3)]〕
アクリロイル基を有する化合物で表面を修飾したシリカ粒子のシリカ粒子表面に修飾されるアクリロイル基の量(表面を(メタ)アクリロイル基を有する化合物により修飾されてなるシリカ粒子1g当りの二重結合量(mol))、仕込み値からの計算値で0.1〜2.0mmol/gであることが好ましく、0.2〜1.5mmol/gがより好ましく、0.3〜1.0mmol/gが更に好ましい。
本発明に用いる硬化性組成物(γ)は層(C)の硬化性を向上させるために光重合開始剤を用いることが好ましい。ここで用いることのできる光重合開始剤は硬化性組成物(α)において挙げたものと同様である。
本発明に用いる硬化性組成物(γ)は有機溶媒を用いることが好ましい。ここで用いることのできる有機溶媒の種類及びその量、即ち、硬化性組成物(γ)の固形分濃度は、硬化性組成物(α)において挙げたものと同様である。
本発明に用いる硬化性樹脂組成物(γ)は、本発明の効果を阻害しない範囲で化合物(C−1)、光重合開始剤及び有機溶媒以外のその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、充填剤、シランカップリング剤、反応性希釈剤、帯電防止剤、有機顔料、スリップ剤、分散剤、チクソトロピー性付与剤(増粘剤)、消泡剤、酸化防止剤等が挙げられる。
層(C)の厚みは、硬度の観点から2μm以上であることが好ましく、4μm以上であることが特に好ましい。一方、耐クラック性の観点から、100μm以下であることが好ましく、60μm以下であることがより好ましく、30μm以下であることが更に好ましく、20μm以下であることが特に好ましい。
本発明の積層体は、基材層の一方の層に層(A)を形成し、他方の面に層(B)を形成することにより製造することができる。層(A)と層(B)とはいずれを先に形成してもよく、これらを同時に形成してもよい。また、基材層と層(A)との間に層(C)を有する場合には、基材層上の一方の面に層(C)を形成した後で層(C)上に層(A)を形成すればよい。
本発明の積層体は、耐傷付性、耐久性、硬度、耐衝撃性、耐クラック性、耐衝撃性、透明性等に優れたものである。このため、本発明の積層体は、タッチパネル、液晶テレビ等の光学ディスプレイ用部品;ランプ関連物品、ウインドウ関連物品(リアウィンドウ、サイドウィンドウ、天窓等)等の自動車関連部品;各種電気機器の筐体、化粧板、家具等の生活関連物品等の幅広い物品の表面カバーに好適に用いることができる。これらの中でもタッチパネル、液晶テレビ等の光学ディスプレイ用部品の表面カバー、即ち表示体カバーとして特に好適に用いることができ、更にはこの表示体カバーを備えた、PDPモジュール、タッチパネルモジュール、有機ELモジュール等のモジュールとして好適に用いることができる。なお、本発明の積層体を表示体カバーとして用いる場合、表示体は前面に高硬度、耐傷付性、防汚性の機能を有することが好ましく、また、裏面に耐衝撃性、加工工程に耐えうる硬度、耐傷付性の機能を有することが好ましいことから、本発明の積層体として、層(A)及び層(B)を有するものを用い、層(A)を表面側に有し、層(B)を裏面側に有する表示体カバーとすることが特に好ましい。
<合成例1>
攪拌器、還流冷却器、滴下漏斗及び温度計を取り付けた反応器に、MEK−ST(メチルエチルケトン(MEK)分散コロイダルシリカゾル(日産化学工業社製 商品名MEK−ST、平均一次粒子径:15nm(カタログ値)、シリカ固形分:30重量%))を88重量部、KBM−5103(γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製 商品名KBM−5103))を12重量部入れ、更にメチルエチルケトンを入れ、固形分濃度が30重量%となるよう希釈して攪拌した後、メチルハイドロキノン0.05重量部、水1重量部、アセチルアセトンアルミニウム0.5重量部、メチルエチルケトン1重量部を入れてオイルバスにて70℃に加熱しながら4時間反応させ、表面がアクリロイル基を有する化合物により修飾されてなるシリカ粒子(F1)を得た。シリカ粒子表面に修飾されるアクリロイル基の量は0.51mmol/gであった。
以下において使用した基材、原料等の種類とその略称は以下の通りである。
・PMMA(ポリメチルメタクリレート)シート:三菱レイヨン社製 アクリライト(厚み0.65mm)
・PMMA/PCシート:日本ウェーブロック社製 ShineTech AW−10(厚み:1.0mm(PMMA層の厚み:0.054mm、PC層の厚み:0.95mm))
・DAC−HP:ダイキン工業社製 オプツール DAC−HP(パーフルオロポリエーテル構造とアクリロイル基とを有する化合物)
・RS−76−E:DIC社製 メガファック RS−76−E(パーフルオロポリエーテル構造とアクリロイル基とを有する化合物)
・UA−122P:新中村化学工業社製UA−122P(ポリエステル構造を有するウレタンアクリレート、アクリロイル基が2個)
・M313:東亞合成社製 アロニックスM313(イソシアヌル酸エチレンオキサイド(EO)変性ジアクリレート(ウレタンアクリレートの一種)及びイソシアヌル酸エチレンオキサイド(EO)変性トリアクリレート(ウレタンアクリレートの一種)の混合物、アクリロイル基が3個)
・3002A(N):共栄社化学社製エポキシエステル3002A(N)(ビスフェノールA構造を有するエポキシアクリレート、アクリロイル基が2個)
・FA−324A:日立化成社製ファンクリルFA−324A、エチレンオキサイド(EO)変性ビスフェノールAジアクリレート、アクリロイル基が2個)
・DPHA:日本化薬社製 KAYARAD DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートとの混合物)(活性エネルギー線硬化性化合物(A−2)、活性エネルギー線硬化性化合物(B−2)及び化合物(C−1)のいずれにも該当する化合物)
・Irg184:BASF社製 Irgacure 184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)
・S−651:AGCセイケミカル社製 サーフロン S−651(アクリロイル基を有さないフッ素系添加剤(アクリロイル基を有さないフッ素系添加剤)
・PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
・MIBK:メチルイソブチルケトン
[硬化性組成物(α)の調製]
<配合例1−1>
DAC−HP、DPHA及びM313を固形分重量比で1.5:86.5:12になるように配合し、更に光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを2.5重量部添加した後、[PGMEの重量]/[MIBKの重量]=1/1の混合溶媒で固形分が40重量%になるように希釈し、硬化性組成物(α−1)を得た。
配合例1−1から表−1に示すように原料、組成を変更し、硬化性組成物(α−2)を得た。
<配合例2−1>
DPHA及びUA−122Pを固形分重量比40:60になるように配合し、さらに光重合開始剤としてIrg 184を4.5重量部添加した後、[PGMEの重量]/[MIBKの重量]=1/1の溶液で固形分が40重量%になるように希釈し、硬化性組成物(β−1)を得た。この液のアクリル当量は370g/molであった。
配合例2−1から表−2に示すように原料、組成を変更し、表−2に示すアクリル当量の硬化性組成物(β−2)、(β−3)を得た。
<配合例3−1>
DPHAを固形分100重量%とし、これに光重合開始剤としてIrg 184を4.5重量部添加した後、[PGMEの重量]/[MIBKの重量]=1/1の溶液で固形分が40重量%になるように希釈し、硬化性組成物(γ−1)を得た。この硬化性組成物(γ−1)のアクリル当量は100g/molであった。
配合例3−1から表−3に示すように原料、組成を変更し、硬化性組成物(γ−2)、(γ−3)を得た。硬化性組成物(γ−2)のアクリル当量は145g/molであった。
以下の実施例・比較例で得られた積層体は以下の方法により評価した。
#0000のスチールウールを用い、加重160g/cm2にて硬化させた層(A)の表面を300往復擦り、試験後の硬化膜の傷付きの程度を以下の通り評価した。
○:傷が100本以下であるもの
×:傷が100本より多いもの
硬化させた層(A)について、JIS準拠鉛筆硬度計(太佑機材社製)を用い、JIS K−5400の条件に基づき測定を行い、傷の入らない最も硬い鉛筆の番手を確認した。
硬化させた層(A)の表面を、プラスチック消しゴム(シード社製「レーダーS−60」)で2000g/cm2にて500往復擦り、試験前後の硬化膜の傷付きの程度を水接触角測定機器(協和界面科学社製「Drop Master DM500」)にて以下の通り評価した。
○:試験前の水接触角が100°以上であり、かつ試験前後の水接触角低下が10°以下のもの
×:試験前の水接触角が100°未満のもの及び/又は試験前後の水接触角低下が10°超過のもの
硬化後、層(A)の硬化膜のクラック(ひび割れ)の有無を目視にて確認し、以下の通り評価した。
○:層(A)にクラックが入っていないもの
×:層(A)にクラックが入っているもの
幅12.6cm、長さ22.4cmの試験片を用い、層(A)を表面に、層(B)を裏面にした状態で50gの鋼球を中心部に向かって自然落下させる剛球落下試験により耐衝撃性を評価した。10cmの高さから始め、5cmずつ高さを変え、割れるまで試験を実施した。なお、表−4中、割れなかった高さの最大値を示した。
◎:高さ40cmまで割れなかったもの
○:高さ30cmまで割れなかったが、高さ40cmまでに割れたもの
×:高さ30cmまでに割れたもの
JIS K−7136に従ってヘーズメーター(村上色彩技術研究所製「HAZE METER HM−65W」)にてヘーズ値を測定し、0.3%以下を合格として以下の通り評価した。
○:ヘーズ値が0.3以下であるもの
×:ヘーズ値が0.3より大きいもの
<実施例1>
PMMAシートの一方の面に硬化性組成物(α−1)を乾燥後の塗膜が10μmとなるようにバーコーターにて塗布した。この塗膜を80℃で1.5分間加熱して乾燥させた後、出力120W/cm2の高圧水銀灯を使用し、450mW/cm2、500mJ/cm2の紫外線を照射して硬化膜を被覆させて層(A)を形成した。次に、硬化性組成物(β−1)を用いて層(A)と同様にして層(A)形成面と反対側の面に層(B)を形成して積層体を得た。この積層体について上記(1)〜(6)の評価を行い、これらの結果を表−4に示した。
基材、積層体の各層に用いた硬化性組成物の種類及び各層の厚みを表−4、表−5に示すように変更した以外は実施例1と同様にして積層体を得た。得られた積層体について、前記(1)〜(6)の各評価を行った。これらの結果を表−4、表−5に示す。なお、実施例7、8については基材としてPMMA/PCシートを用いたが、PMMA基材側に層(A)を形成し、PC基材側に層(B)を形成した。
表−4、表−5からわかるように、実施例1〜8の積層体は、層(A)側の耐傷付性、硬度、耐久性、耐クラック性、耐衝撃性に優れ、透明性も良好であった。
Claims (11)
- 基材層と、該基材層の一方の面に下記層(A)、他方の面に下記層(B)とを少なくとも有し、該基材層の厚みが0.3〜30mmである積層体。
層(A):パーフルオロポリエーテル構造とアクリロイル基とを有する化合物(A−1)を少なくとも含む硬化性組成物(α)及び/又はその硬化物からなる層
層(B):ウレタン(メタ)アクリレート又はその変性体、エポキシ(メタ)アクリレート又はその変性体、及びアルキレンオキサイド構造を有する(メタ)アクリレート又はその変性体からなる群のうちの少なくとも1つの化合物(B−1)を含み、かつ該化合物(B−1)の含有量が、層(B)を構成する組成物中のアクリロイル基を有する化合物の合計量に対し20重量%以上である硬化性組成物(β)及び/又はその硬化物からなる層 - 硬化性組成物(α)が、硬化性組成物(α)中のアクリロイル基を有する化合物の合計量に対して前記化合物(A−1)を0.05〜10重量%含有する、請求項1に記載の積層体。
- 硬化性組成物(α)が、化合物(A−1)以外の活性エネルギー線硬化性化合物(A−2)を含む、請求項1又は2に記載の積層体。
- 層(A)の厚みが1〜45μmであり、かつ層(B)の厚みが1〜45μmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体。
- 層(A):層(B)の厚み比が0.5:2〜2:0.5である、請求項1乃〜至4のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記基材層がポリメチルメタクリレート樹脂及びポリカーボネート樹脂のうちの少なくとも一方からなるものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記基材層が、ポリメチルメタクリレート樹脂からなる層と、ポリカーボネート樹脂からなる層との2層で構成されるものである、請求項6に記載の積層体。
- 層(A)にポリメチルメタクリレート樹脂からなる層が接しており、層(B)にポリカーボネート樹脂からなる層が接している、請求項7に記載の積層体。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の積層体からなる、表示体カバー。
- 層(A)を表面に有し、かつ層(B)を裏面に有する、請求項9に記載の表示体カバー。
- 請求項9又は10に記載の表示体カバーを備えたモジュール。
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