JP6171767B2 - 硬化性樹脂組成物、硬化物及び積層体 - Google Patents
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Description
成分(A):リン酸エステル基を有する多官能(メタ)アクリレート
成分(B):カルボキシル基、スルホ基、スルフィノ基、亜リン酸エステル基からなる群のうちの少なくとも1つの酸構造基を有し、数平均分子量(Mn)が1,000以下である多官能(メタ)アクリレート
成分(C):ポリジメチルシロキサン基、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキレン基及び炭素数6〜30の飽和炭化水素基からなる群のうちの少なくとも1つの基を有し、数平均分子量(Mn)が1,000超過である(メタ)アクリル重合体
成分(D):光重合開始剤
(C−1):ポリジメチルシロキサン基、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキレン基及び炭素数6〜30の飽和炭化水素基からなる群のうちの少なくとも1つの基を有し、かつ(メタ)アクリロイル基、エポキシ基及びオキセタン基からなる群のうちの少なくとも1つの基を有する (メタ)アクリル重合体
(C−2):ポリジメチルシロキサン基、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキレン基及び炭素数6〜30の飽和炭化水素基からなる群のうちの少なくとも1つの基を有するモノマー(C−2a)とエポキシ基を有する(メタ)アクリレートモノマー(C−2b)とを少なくとも含むモノマー混合物を重合させ、得られた重合体に1分子内に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸(C−2c)を反応させて得られる(メタ)アクリル共重合体
成分(E):ウレタン(メタ)アクリレート及び/又はイソシアヌレート構造を有する(メタ)アクリレート
成分(F):水酸基及び/又はエーテル基を有する(メタ)アクリレート
下記成分(A)〜(C)を含有してなる硬化性樹脂組成物。
成分(A):リン酸エステル基を有する多官能(メタ)アクリレート
成分(B):カルボキシル基、スルホ基、スルフィノ基、亜リン酸エステル基からなる群のうちの少なくとも1つの酸構造基を有し、数平均分子量(Mn)が1,000以下である多官能(メタ)アクリレート
成分(C):ポリジメチルシロキサン基、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキレン基及び炭素数6〜30の飽和炭化水素基からなる群のうちの少なくとも1つの基を有し、数平均分子量(Mn)が1,000超過である(メタ)アクリル重合体
本発明の硬化性樹脂組成物に用いる成分(A)の多官能(メタ)アクリレートは、リン酸エステル基を有する多官能(メタ)アクリレートである。成分(A)は、リン酸エステル基を有するものであれば、その他の置換基を有していてもよい。なお、本発明において「多官能(メタ)アクリレート」という表記は多官能アクリレート、多官能メタクリレートの一方又は両方を表すものであり、成分(A)における「多官能(メタ)アクリレート」とは、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する化合物であることを意味する。
本発明の硬化性樹脂組成物は、成分(B)として、カルボキシル基、スルホ基、スルフィノ基、亜リン酸エステル基からなる群のうちの少なくとも1つの酸構造基を有し、数平均分子量1,000以下である多官能(メタ)アクリレートを含有する。成分(B)が上記の酸構造基を有することにより、基材との密着性が良好となる。なお、成分(B)における「多官能(メタ)アクリレート」とは、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する化合物であることを意味する。
基を導入しうる酸無水物を反応させればよい。
本発明の硬化性樹脂組成物に用いる成分(C)は、ポリジメチルシロキサン基、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキレン基及び炭素数6〜30の飽和炭化水素基(ここでいう「飽和炭化水素基」は鎖状構造であっても環状構造であってもよい。)から選ばれる1種以上の基を有し、数平均分子量(Mn)が1,000超過の(メタ)アクリル重合体である。成分(C)の(メタ)アクリル重合体において、ポリジメチルシロキサン基、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキレン基及び炭素数6〜30の飽和炭化水素基から選ばれる1種以上の基は硬化性樹脂組成物中で表面に偏析することにより、耐汚染性、滑り性等の発現に寄与する。特に、耐汚染性、滑り性等を良好にするためには、数平均分子量500〜10,000のポリジメチルシロキサン基、炭素数4以上のパーフルオロアルキル基、炭素数2〜12のパーフルオロアルキレン基、炭素数6〜30の飽和炭化水素基のうちの少なくとも1つの基を有していることが好ましい。
(C−1):ポリジメチルシロキサン基、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキレン基及び炭素数6〜30の飽和炭化水素基からなる群のうちの少なくとも1つの基を有し、かつ(メタ)アクリロイル基、エポキシ基及びオキセタン基からなる群のうちの少なくとも1つの基を有する (メタ)アクリル重合体
ることから、(C−1)分子全体に対し、全(メタ)アクリロイル基が占める合計重量は6重量%以上であることが好ましく、より好ましくは10重量%以上であって、更に好ましくは15重量%以上である。一方、好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下である。
(C−2):ポリジメチルシロキサン基、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキレン基及び炭素数6〜30の飽和炭化水素基からなる群のうちの少なくとも1つの基を有するモノマー(C−2a)とエポキシ基を有する(メタ)アクリレートモノマー(C−2b)とを少なくとも含むモノマー混合物を重合させ、得られた重合体に1分子内に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸(C−2c)を反応させて得られる(メタ)アクリル共重合体
製のX−22−167B)、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、t−ブチル−シクロヘキシル(メタ)アクリレート等が好ましい。
に挙げたものと同様である。
本発明の硬化性樹脂組成物には上記成分(A)〜(C)に加えて下記成分(D)を含有することが硬化物を得る際に反応を十分に進行させる観点から好ましい。
成分(D):光重合開始剤
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬度と密着性のバランスを高める観点から下記成分(E)を含むことが好ましい。これは、成分(E)が硬化時に収縮の小さい構造を有し、かつ、比較的大きな伸びを有するため、結果として硬化性樹脂組成物の伸びが向上することに起因するものと考えられる。なお、本発明において、成分(E)と解されうるもののうち、前記成分(A)〜(C)のいずれかに該当するものについては、成分(E)とはみなさず、成分(A)〜(C)のいずれかとみなすこととする。また、以下に例示する成分(E)のウレタン(メタ)アクリレート及び/又はイソシアヌレート構造を有する(メタ)アクレートは1種のみで用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
成分(E):ウレタン(メタ)アクリレート及び/又はイソシアヌレート構造を有する(メタ)アクリレート
キシリレンジイソシアネート、又はテトラメチルキシリレンジイソシアネート等のアルキレンアリーレンアルキレンポリイソシアネート(ここで、「アルキレンアリーレンアルキレン」とは、脂肪族炭化水素基−芳香族炭化水素基−脂肪族炭化水素基の順で結合した基を意味する。)等が挙げられる。これらの中でも脂環族ポリイソシアネートが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、下記成分(F)を含有することが密着耐久性向上の観点から好ましい。これは成分(F)における水酸基及び/又はエーテル基がガラス等の−OH基を有する基材との間で水素結合を形成しやすいことによるものと考えられる。なお、本発明において、成分(F)と解されうるもののうち、成分(A)〜(C)及び成分(E)のいずれかに該当するものについては、成分(F)とはみなさず、成分(A)〜(C)
及び成分(E)のいずれかとみなすこととする。
成分(F):水酸基及び/又はエーテル基を有する(メタ)アクリレート
成分(A)の含有量は、硬化塗膜の接着性及び硬度の観点から、成分(A)及び成分(B)の合計量に対し、基材との密着性、硬化物の反りの観点から、好ましくは20重量%以上であり、より好ましくは30重量%以上であり、一方、硬化物の硬度、耐擦傷性の観点から、好ましくは80重量%以下であり、より好ましくは70重量%以下である。成分
(B)の含有量は成分(A)と成分(B)の合計量に対し、好ましくは80重量%以下であり、より好ましくは70重量%以下であり、一方、好ましくは20重量%以上であり、より好ましくは30重量以上である。
果を得る観点から、成分(A)及び成分(B)の合計100重量部に対し、好ましくは100重量部以下であり、より好ましくは70重量部以下である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、有機溶媒を用いて固形分濃度を調整することが好ましい。有機溶媒としては、特に限定されるものではなく、成分(A)〜(F)や積層体とする際に用いる基材の種類、基材への塗布及び/又は塗工の方法等を考慮して適宜選択することができる。用いることができる有機溶媒の具体例としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、アニソール、フェネトール等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、エチレングリコールジアセテート等のエステル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒;等が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で成分(A)〜(F)及び有機溶媒以外のその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、充填剤、シランカップリング剤、反応性希釈剤、帯電防止剤、有機顔料、スリップ剤、分散剤、チクソトロピー性付与剤(増粘剤)、消泡剤、酸化防止剤等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤等の紫外線吸収剤が挙げられる。これらの中でも耐光性(特に耐黄変性)、低揮発性、他成分との相溶性とのバランスの観点から、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤が好ましい。
は、1種のみで用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ヘキサノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−オクタノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアオイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、コハク酸−ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン)、セバシン酸−ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン)、セバシン酸−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジン)、セバシン酸−ビス(1−オクタノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン)、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]デカン−2,4−ジオン、N−メチル−3−ドデシル−1−(−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)ピロリジン−2,5−ジオン、N−アセチル−3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)、トリメシン酸−トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)等が挙げられる。これらの中でもこれらの中でも耐光性(特に耐黄変性)と低揮発性、他成分との相溶性とのバランスが特に良好であるため、セバシン酸−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジン)、セバシン酸−ビス(1−オクタノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン)等の窒素原子にアルキル基又はアルコキシ基が結合した化合物が好ましい。
充填剤には無機充填剤及び有機充填剤が含まれる。
シランカップリング剤としては、アミン化合物(γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン等)、ウレイド化合物(ウレイドプロピルトリエトキシシラン等)、ビニル化合物[ビニルエトキシシラン、ビニルメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン等]、メタクリロイル基含有化合物(γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等)、エポキシド(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等)、イソシアネート化合物(γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等)、ポリマー型(ポリメトキシジメチルシロキサン、ポリエトキシジメチルシロキサン等)、カチオン型[N−(N−ベンジル−β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩等]等が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、後述する基材への塗布に当たり反応性希釈剤で希釈して使用することもできる。該反応性希釈剤としては、25℃の粘度が100mPa・s以下の(メタ)アクリロイル基を有する化合物であれば、特に制約されない(ただし、成分(A)〜(C)、(E)及び(F)に該当するものを除く。)。本発明の硬化性樹脂組成物の全重量に基づいて、通常60重量%以下、添加硬化、硬化性や硬度の観点から好ましくは50%以下である。
本発明の硬化性樹脂組成物の製造方法は特に制限されないが、例えば、成分(A)〜(C)、及び必要により適宜、成分(D)〜(F)、溶媒、その他の成分等を混合することにより得ることができる。各成分の混合に際しては、ディスパーザー、撹拌機等で均一混合して製造することが好ましい。
本発明の硬化物は前記の硬化性樹脂組成物に活性エネルギー線を照射してなるものである。また、本発明の積層体は、基材とハードコート層とを有する積層体であり、ハードコ
ート層が前記の硬化性樹脂組成物を該基材上に塗布し、これに活性エネルギー線を照射して形成される。なお、本発明において、「塗布」とは一般的に「塗工」と呼ばれるものも含む概念として用いることとする。
本発明の硬化性樹脂組成物はガラス等の基材に密着し、かつ高い防汚性、滑り性、耐擦傷性、耐傷付性、寸法安定性、柔軟性、基材への密着耐久性等に優れた硬化物を与えることができる。このため、ガラス、プラスチック、金属、紙等のハードコート剤として有用である。特に、タッチパネルの表面コート、太陽電池の保護表面コート、自動車ガラスの表面コート等に好適に用いることができる。
(製造例1)
(c−1)の製造
1000mLのセパラブル丸底フラスコにパーフルオロへキシルエチルメタクリレート(M−1620、ダイキン社製)50g、ラウリルメタクリレート(三菱レイヨン社製)10g、α、ω−ジメルカプトプロピルポリジメチルシロキサン(数平均分子量1,600、信越化学社製)10g、グリシジルメタクリレート(三菱レイヨン社製)30g、ドデシルメルカプタン(東京化成社製)2g、1−メトキシ−1−プロパノール(PGM)
200gを加え、内温を窒素気流下約60℃まで昇温した。その後2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(V65、和光純薬社製)を2回にわけ、計2g添加し、65℃で6時間攪拌を続けた。その後、内温を80℃まで上げ、V65を完全に失活させた後、室温に戻した。得られた(メタ)アクリル共重合体の数平均分子量は9000、固形分濃度は約34重量%であった。
カラム:東ソー株式会社製「TSKgel Super H1000+H2000+H3000」
検出器:示差屈折率検出器(RI検出器/内蔵)
溶媒 :テトラヒドロフラン
温度 :40℃
流速 :0.5mL/分
注入量:10μL
濃度 :0.02重量%
較正試料:単分散ポリスチレン
較正法:ポリスチレン換算
(c−2)の製造
1000mLのセパラブル丸底フラスコにメチルメタクリレート(三菱レイヨン社製)10g、ステアリルメタクリレート(三菱レイヨン社製)10g、FM0721(平均分子量5000の片末端メタクリレートのポリジメチルシロキサン、JNC社製)10g、グリシジルメタクリレート60g、ドデシルメルカプタン2g、メチルイソブチルケトン
(MIBK)200gを加え、内温を窒素気流下約60℃まで昇温した。その後2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(V65)を2回にわけ、計2g添加し、65℃で6時間攪拌を続けた。その後、内温を80℃まで上げ、V65を完全に失活させた後、室温に戻した。数平均分子量は10,000、固形分濃度は約34重量%であった。
(c−3)の製造
1000mLのセパラブル丸底フラスコにメチルメタクリレート20g、ステアリルメタクリレート30g、AE400(片末端アクリル基のPEG400、日油社製)20g、グリシジルメタクリレート30g、ドデシルメルカプタン2g、メチルイソブチルケトン(MIBK)200gを加え、内温を窒素気流下約60℃まで昇温した。その後2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(V65)を2回にわけ、計2g添加し、65℃で6時間攪拌を続けた。その後、内温を80℃まで上げ、V65を完全に失活させた後、室温に戻した。数平均分子量は7000、固形分濃度は約34重量%であった。
表−1に従って原料を配合し、樹脂組成物(実施例1〜10、比較例1〜3)を得た。
配合成分は下記の通りである。下記の各基材に、硬化性樹脂組成物を、バーコーターを
用いて塗布(塗布直後の厚みは15μm)した後、紫外線照射装置[型番 US5−XO40:アイグラフィックス(株)製]を用いて500〜2000mJ/cm2の紫外線を照射して塗膜を硬化させ、硬化後膜厚が12μmの被覆物試験片を得た(膜厚は、厚みゲージ(ミツトヨ社製ABSデジマチックインジケータ、又は薄膜測定装置(フィルメトリックス社製F20−EXR)で測定した)。この試験片を用いて以下の各種評価を行った。
(基材)
(基材1)ガラス:ケイ酸ガラス板[松浪硝子(株)製、サイズ1mm(厚み)×2.6cm×7.6cm、ヘーズ0.1%]
(基材2)PET:ポリエチレンテレフタレート二軸延伸フィルム[商品名「ダイアホイル(登録商標)T600E」、三菱樹脂(株)製、サイズ100μm(厚み)×10cm×10cm、ヘーズ1.2%]
(a−1):ビス(2−メタアクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート[商品名「ライトエステルP−2M」、共栄社化学(株)製]
(b−1):ペンタエリスリトールトリアクリレートの無水コハク酸変性物[商品名「アロニックスTO−756」(分子量398)、東亞合成(株)製]
(c−1):製造例1において製造した重合体
(c−2):製造例2において製造した重合体
(c−3):製造例3において製造した重合体
(d−1):1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン[商品名「イルガキュア184」、BASF製]
(e−1):トリスアクリロイロキシエチルイソシアヌレート[商品名「アロニックスM−315」、東亞合成(株)製]
(e−2):ポリテトラメチレングリコール系のウレタンアクリレート[商品名「PR−202」、三菱化学(株)製]
(f−1):アクリロイルグリセリンモノメタクリ―ト[Aldrich製]
(1)密着性
以下に示す方法により、初期密着性、経時密着性及び耐熱密着性の評価を行った。
JIS K5600に準じ、碁盤目試験により初期密着性を下記の基準で評価した(隙
間間隔1mm)。
○:残ったマス目数が100
△:残ったマス目数が90〜99
×:残ったマス目数が0〜89
初期密着性の評価後、23℃、湿度60%RHの条件で2週間静置した。その後、JIS K5600に準じ、碁盤目試験により経時密着性を以下の基準で評価した(隙間間隔
1mm)。
○:残ったマス目数が100
△:残ったマス目数が90〜99
×:残ったマス目数が0〜89
K5600に準じ、碁盤目試験により下記の基準で評価した(隙間間隔1mm)。
○:残ったマス目数が100
△:残ったマス目数が90〜99
×:残ったマス目数が0〜89
JIS K5600に準拠して、引っかき硬度(鉛筆法)により測定した。
JIS K7105に従って、各積層体のヘーズ値(H%)を求めた。ヘーズ値が小さいほど、透明性に優れるものと評価される。
(水の接触角):硬化膜に0.002mLの純水を滴下し、10秒後の接触角を測定した。なお、接触角の測定には、接触角計(協和界面科学社製 DropMaster500)を用いた(単位:度)。水の接触角が大きいほど撥水性に優れることを示す。
(ヘキサデカンの接触角):硬化膜に0.002mLのヘキサデカンを滴下し、10秒後の接触角を測定した。なお、接触角の測定には、接触角計(協和界面科学社製 DropMaster500)を用いた(単位:度)。ヘキサデカンの接触角が大きいほど撥油性に優れることを示す。
鼻脂を親指につけ、3秒以上押し付けて指紋を付着させた。その後、日本製紙クレシア社製 キムワイプ(登録商標) S−200により指紋をふき取ることにより耐指紋性を評価した。
◎:上記操作により2往復以内でふきとれる。
○:上記操作により2.5−3往復でふき取れる。
△:上記操作により3.5−4往復でふき取れる。
×:上記操作により4往復ではふき取れない。
(マジックインキはじき性):試験片塗布面の表面に油性マジックマーカー(ゼブラ社製
マッキーケア極細(黒)の細)で線を描いた。30秒置いた後、試験片塗布面の表面から油性マジックマーカーの線がはじかれるかどうかにより、以下の通り評価した。
○:線をはじく。
△:線を一部はじく。
×:線をはじかない。
(マジックインキふき取り性):試験片塗布面の表面に油性マジックマーカー(ゼブラ社製 マッキーケア極細(黒)の細)で線を描き、30秒後、試験片塗布面の表面をテイッシュペーパー(クレシア社製)でふき、以下の基準で評価した。
◎:3往復以内でふき取ることができ、また、繰り返して3往復以内でふき取ることができる。
○:3往復以内でふき取ることができるが、繰り返してふき取ることはできない。
×:3往復以内でふき取ることができない。
協和界面化学社製のTriboster(TS501)を用い、点接触子(径3mm)を用いて、荷重100gで測定し、5回繰り返して測定した値の平均値を求めた。動摩擦係数の値が小さいほど滑り性に優れるものと評価され、以下の基準により評価した。
○:動摩擦係数が0.1以下である。
△:動摩擦係数が0.1超過0.2以下である。
×:動摩擦係数が0.2超過である。
表−1、表−2の結果から、本発明に該当する実施例1〜12は、10μm以上の厚膜であっても、高硬度領域で各種基材、特にガラス基材との密着性(初期密着性、経時密着性及び耐熱密着性)に極めて優れることがわかる。併せて表−3の結果から、いずれも水に対する接触角が大きく、かつ耐指紋性に優れる。また、(c−1)を用いた組成物から得られる塗膜はヘキサデカンに対する接触角が大きく撥油性に優れ、結果として耐マジック性に優れる。一方(c−2)を用いた硬化性樹脂組成物から得られる塗膜は動摩擦係数が低く、滑り性に優れるほか、組成によっては極めて高い耐マジック性を示すことが明白であり、高いレベルの防汚性、滑り性等を示すことが明らかであった。
傷性、耐傷付性、寸法安定性、柔軟性、基材への密着耐久性等に優れた硬化物を与えることができる。このため、ガラス、プラスチック、金属、紙等のハードコート剤として有用である。特に、タッチパネルの表面コート、太陽電池の保護表面コート、自動車ガラスの表面コート等に好適に用いることができる。
Claims (12)
- 下記成分(A)〜(C)を含有し、前記成分(A)と前記成分(B)との合計量に対し、成分(A)の含有量が20〜80重量%である硬化性樹脂組成物。
成分(A):リン酸エステル基を有する多官能(メタ)アクリレート
成分(B):カルボキシル基、スルホ基、スルフィノ基、亜リン酸エステル基からなる群のうちの少なくとも1つの酸構造基を有し、数平均分子量(Mn)が1,000以下である多官能(メタ)アクリレート
成分(C):ポリジメチルシロキサン基、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキレン基及び炭素数6〜30の飽和炭化水素基からなる群のうちの少なくとも1つの基を有し、数平均分子量(Mn)が1,000超過である(メタ)アクリル重合体 - 前記成分(A)と前記成分(B)との合計100重量部に対し、前記成分(C)の含有量が0.1〜20重量部である、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
- 更に下記成分(D)を含み、前記成分(A)〜(C)の合計100重量部に対し、該成分(D)の含有量が0.01〜10重量部である、請求項1又は2に記載の硬化性樹脂組成物。
成分(D):光重合開始剤 - 前記成分(C)が下記(C−1)である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
(C−1):ポリジメチルシロキサン基、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキレン基及び炭素数6〜30の飽和炭化水素基からなる群のうちの少なくとも1つの基を有し、かつ(メタ)アクリロイル基、エポキシ基及びオキセタン基からなる群のうちの少なくとも1つの基を有する (メタ)アクリル重合体 - 前記成分(C)が下記(C−2)である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
(C−2):ポリジメチルシロキサン基、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキレン基及び炭素数6〜30の飽和炭化水素基からなる群のうちの少なくとも1つの基を有するモノマー(C−2a)とエポキシ基を有する(メタ)アクリレートモノマー(C−2b)とを少なくとも含むモノマー混合物を重合させ、得られた重合体に1分子内に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸(C−2c)を反応させて得られる(メ
タ)アクリル共重合体 - 前記(C−2a)と前記(C−2b)との合計量に対し、(C−2a)の含有量が7〜78重量%である、請求項5に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記成分(D)として光ラジカル発生剤を含む、請求項3乃至6のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
- 更に下記成分(E)を含む、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
成分(E):ウレタン(メタ)アクリレート及び/又はイソシアヌレート構造を有する(メタ)アクリレート - 更に下記成分(F)を含む、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
成分(F):水酸基及び/又はエーテル基を有する(メタ)アクリレート - 請求項1乃至9のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物に活性エネルギー線を照射してなる硬化物。
- 基材とハードコート層とを有する積層体であり、ハードコート層が請求項1乃至9のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物を該基材上に塗布し、これに活性エネルギー線を照射して形成される積層体。
- 前記基材が、プラスチック基材及び/又はガラス基材である、請求項11に記載の積層体。
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