JP2019008278A - 発色構造体、表示体、発色構造体の製造方法 - Google Patents

発色構造体、表示体、発色構造体の製造方法 Download PDF

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薫 古田
浩之 道
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浩之 道
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雅史 川下
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Abstract

【課題】何十もしくは何百層も積層することなく良好な発色を呈し、反射光を多方向に拡散させつつ、任意の透過度が確保可能な発色構造体を提供する。【解決手段】発色構造体1は、第一面11が凹凸構造を有する凹凸層10と、第一面11上に凹凸構造に沿って形成された反射層20と、を有する。凹凸構造の凸面は、平面視で複数の帯状部からなる第一パターンを有する。帯状部は、第一方向に沿った幅と、第一方向と直交する第二方向に沿った長さと、を有し、幅は入射光の波長より小さく、複数の帯状部における長さの標準偏差は幅の標準偏差よりも大きい。【選択図】図1

Description

本発明は、構造色を呈する発色構造体、発色構造体を備える表示体、および発色構造体の製造方法に関する。
微細構造により発色する構造色は、金属光沢や色素が呈する色のように分子における電子遷移に起因して視認される色とは異なる。微細構造により発色する構造色は、光の回折や干渉や散乱といった、物体の微細な構造に起因した光学現象の作用によって視認される色である。
例えば、多層膜干渉による構造色は、相互に隣り合う薄膜の屈折率が互いに異なる多層膜層において、多層膜の各界面で反射した光が干渉することによって生じる構造色である。多層膜干渉は、自然界の生物であるモルフォ蝶の翅の発色原理の1つである。モルフォ蝶の翅では、多層膜干渉によって鮮やかな青色が視認される。
このような構造発色を人工的に再現する構造として、例えば特許文献1ではモルフォ蝶の翅の発色構造を再現するために、基材の表面に多層膜層を積層した構造が提案されている。
また、特許文献2では基材の表面に屈折率及び膜厚の異なる複数の薄膜を順次成膜することで入射光の一部から赤色、緑色、青色のそれぞれに対応する狭帯域反射ピークを有する干渉光を反射させ、玉虫色の装飾効果を得る構造が提案されている。
特開2005−153192号公報 特開2010−201644号公報
ここで、構造体からの光の出射方向は、入射光の入射角度に依存した特定の方向に限定される。例えば金属の表面で入射光が反射される金属光沢や、特許文献2のように平面上に多層膜層が積層された構造では、視認される反射光の波長が観察角度によって大きく変化する。すなわち、視認される色が観察角度によって大きく変化する。そのため、特定の色を広い観察角度で一様に視認できない問題があった。
また、多層膜層による干渉で強められる光の波長は、多層膜層の各層にて生じる光路差によって変わる。その光路差は各層の膜厚および屈折率に応じて決まる。ところで、特許文献1や特許文献2に記載の構造体においては、低屈折率化合物と高屈折率化合物の膜厚とその積層数を調整した多層膜干渉により色を表現している。ここで、多層膜干渉における膜の一層当たりの反射率は低いため、所望の波長域を良好に視認するには十数層以上積層する必要がある。積層数の多いものでは、多層膜構造を利用した構造色フィルムに、テトロン(登録商標、帝人フィルムソリューション(株))がある。テトロンは数百層も積層することで色を呈している。
多層膜の形成においては膜厚が設計範囲値から外れた場合、光路長が変化するため所望の発色が得られ難くなる、いわゆる色ズレという不具合が起こる。そのため薄く均一に成膜する必要があり、真空蒸着法、スパッタリング法、原子層体積法など公知の技術を用いて成膜される。たとえば、真空蒸着法では各層の膜厚を水晶振動子にて管理する。しかし、水晶振動子は汚れに敏感であるため、膜厚が設定値から外れることが頻繁に起こりうる。また、真空下での成膜であるため、途中で振動子を交換することもできない。そのため、多層膜として十数層以上を重ねると誤差が蓄積される結果、所望の膜厚を得にくい。さらに、十数層以上重ねられた構造体に外部から物理的な衝撃や化学的な衝撃が加わると、この多層膜構造が崩れやすく、所望の発色が得られ難くなる。
生産面では、低屈折率化合物と高屈折率化合物を十数層から数百層も積層するので、大量生産時には、蒸着源毎に複数台数の真空蒸着機が必要となる。また、コスト面でも材料費が高価となる。仮に少数の真空蒸着機で繰り返し蒸着して製造したとしても、フロータイムが大きくなるため、製造原価は高くなる。そして、このような方法で製造された発色構造体を備えた表示体は、その単価が非常に高価となる。
本発明の目的は、十数層以上も積層することなく良好な発色を呈し、反射光を多方向に拡散可能な発色構造体を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、第一面と上記第一面とは反対側の面である第二面とを有し上記第一面に凹凸構造が形成された凹凸層と、上記凹凸層の上記第一面側又は上記第二面側に配置された反射層とを備え、上記凹凸構造の凸面は、平面視で複数の帯状部からなる第一パターンを有し、上記帯状部は、第一方向に沿った幅と、上記第一方向と直交する第二方向に沿った長さとを有し、上記幅は入射光の波長より小さく、上記複数の帯状部における上記長さの標準偏差は上記幅の標準偏差よりも大きい発色構造体を提供する。
本発明の一態様の発色構造体によれば、十数層以上も積層することなく良好な発色を呈し、反射光を多方向に拡散させることが期待できる。このような発色構造体を用いることで、意匠性が高く、機能的で安価な表示体その他の製品を実現可能となる。
第一実施形態の発色構造体を示す断面図である。 第一実施形態の発色構造体が有する凹凸構造を構成する多段形状の凸面を示す平面図(a)と、そのB−B断面図(b)である。 多段形状の凸面を構成する第一パターンの平面図(a)と、そのB−B断面図(b)である。 多段形状の凸面を構成する第二パターンの平面図(a)と、そのB−B断面図(b)である。 第二実施形態の発色構造体を示す断面図である。 第三実施形態の発色構造体を示す断面図である。 第四実施形態の発色構造体を示す断面図である。 第五実施形態の発色構造体を説明する断面図である。 第六実施形態の発色構造体を示す断面図である。 第七実施形態の発色構造体を説明する断面図である。 第八実施形態の発色構造体を説明する断面図である。 表示体の実施形態を説明する平面図である。 図12の表示体の第一の例を説明する断面図である。 図12の表示体の第二の例を説明する断面図である。
[第一態様の発色構造体]
光照射面である第一面が平坦面で且つ反射層を備えた発色構造体に対し、光を照射すると、正反射光の強度が非常に大きく、視覚器官への刺激も大きいため、刺激が強い光である金属光沢として認識される。
一方、第一態様の発色構造体は、凹凸層の第一面に凹凸構造を有し、その凹凸構造の表面形状に沿う形状(追従した形状)の反射層を有する。これにより、第一態様の発色構造体では、正反射光だけでなく異方性の散乱光が生じることで、視覚器官への刺激は大きくなりすぎず、指向性のある光として認識される。これは、金属光沢と異なり、異方性の散乱光があるため、広角度で光を認識することが可能となるからである。反射層を構成する材料が金属、金属合金、および金属複合物から選択された一つ以上であることが好ましい。
反射層上に、更に凹凸構造の表面形状に沿って形成された干渉層(換言すると、凹凸構造に沿った反射層の形状に追従した干渉層)を有すると、第一態様の発色構造体では、干渉層により反射した干渉光だけでなく、干渉層を透過した光も反射層により反射され、再度干渉層による干渉光として視認できる。そのため、特定の波長域での光の反射率が他の波長域での反射率より高くなり、特定の波長域の光の視認性が向上するため好ましい。
反射層を構成する材料が、可視光領域における屈折率が0.2以上5.0以下である金属、金属合金、および金属複合物から選択された一つ以上であると、入射された光が反射する場合、反射層と干渉層との界面で生じる正反射及び散乱光の強度が何れも大きくなるため、好ましい。反射層を構成する材料の屈折率は1.4以上3.0以下であることがより好ましい。
反射層を構成する材料が、可視光領域における消衰係数が2以上6以下である金属、金属合金、および金属複合物から選択された一つ以上であると、入射された光が反射層で吸収される光は小さくなり、効率的に反射に使用されるので、好ましい。
反射層を構成する材料が、Au、Ag、Cu、Al、Zn、Ni、Cr、Ge、Mo、Ga、Ta、W、In、Snの何れか金属、これらの合金、およびこれらの複合物から選択された一つ以上であると、入射された光が反射層で反射される光の明度が高くなるため、好ましい。より好ましくは、Au、Ag、Cu、Alである。
反射層の膜厚は、反射光と散乱光の強度を得るため5nm以上500nm以下であることが好ましい。膜厚が10nm以上200nm以下であると、任意の反射率を保ちつつ透過性も保持できるので、より好ましい。
干渉層が一層であると、干渉層による薄膜干渉が起こり、干渉層から出射される光の位相が反転し、効果が発現する。しかも第一態様では干渉層の下層に反射層を有するので、上記と同様の理由により入射光量の利用効率を高められる。そのため、干渉層が一層であっても良好な視認性を得られるため好ましい。さらに、黒色顔料、カーボンブラックなど、凹凸構造体を挟んで、該観察者側の反対側となる層に吸収層を設けることなく、高い意匠性が得られるため、好ましい。
干渉層を構成する材料として、干渉層と反射層との屈折率差が0.6以上1.5以下となる化合物を含むと、干渉層と反射層の間で干渉による作用が大きくなるとともに、空気と干渉層の境界で起こる反射光が大きくなるため、好ましい。より好ましくは1.0以上1.5以下である。
干渉層が2層以上の複数層からなると、多層膜干渉が起こり、入射された光を特定波長範囲で反射する光の強度が大きくなる上、特定波長範囲をコントロールがしやすくなるので、好ましい。
ここで、従来技術のような多層膜により多層膜干渉を行う場合、多層膜干渉において高屈折率化合物から低屈折率化合物に光が入射した時に位相の反転が起こる。位相の反転は2層でも起こるが、反射した光の強度は小さい。目視にて認識される色とするためには、十数層から何百層も積層して多層膜干渉を起こす必要があった。
一方、第一態様のように、反射層上に多層膜からなる干渉層を構成することで、何十にも層を重ねて干渉を起こさせる必要がなく、2層程度であっても十数層積層した場合と同様の視認性を得られるため好ましい。
干渉層として多層膜を積層する場合、干渉層は、1層以上6層以下であることが好ましく、より好ましくは2層以上4層以下である。反射層があるため、干渉膜の層数をこの範囲にすることで、少ない干渉膜の層数であっても多層膜干渉による光の強度を確保でき、良好な視認性を得ることができる。
干渉層を構成する材料は特にこれらに限定されるものではないが、チタン系化合物、ニオブ系化合物、ケイ素系化合物の何れか1つ以上の化合物を含むと、反射層を保護する保護層としての機能も果たすので、耐スクラッチ性が向上する。干渉層は、微細凹凸構造を反映した薄膜層である。保護層があることで、汚れが付着しても拭き取りやすくなるため、防汚効果が向上し、好ましい。なお、干渉層として多層膜層を適用する場合、多層膜層における反射層とは反対側となる層が上述の保護層となることが好ましい。
干渉層が、空気との界面側の層として屈折率1.4以上5.0以下の化合物からなる層を有すると、空気から干渉層に入射される光の位相が反転し、干渉層から出射される光との干渉効果が高まるため、好ましい。
干渉層の膜厚が5nm以上2000nm以下であると、薄いため安価に生産できる。5nm以上1000nm以下であると、干渉効果がより高いため、好ましい。
[第二態様の発色構造体]
第二態様の発色構造体は、反射層が凹凸構造の第一面とは反対側の面である第二面に配置した点が第一態様とは異なる。
第二態様の発色構造体では、干渉層を反射せずに透過した光は凹凸層を透過する。そして第二面に反射層があることで、凹凸層を透過した光は反射層で反射され、再度干渉層に入射される。その結果、透過した光を干渉光として再利用できる。そのため、特定の波長域での光の反射率が他の波長域での反射率より高くなり、特定の波長域の光の視認性が向上するため好ましい。また、凹凸層の厚さ(第一面と第二面間の厚さ)を調整することで凹凸構造が形成されていない平坦領域を干渉層として活用できる。その結果、干渉層を設けずとも薄膜干渉を発生させることができる。また干渉層として上記のような多層膜を設けた場合、多層膜の層数を低減することができる。
凹凸層の第一面と第二面間の厚さは20nm以上1000nm以下の範囲とすることが好ましい。より好ましくは、80nm以上800nm以下である。厚さがこの範囲内にあることで、平坦領域を干渉層を構成する1層として活用でき、干渉光を効果的に得ることができる。
上記凹凸層を構成する材料は、可視光領域における屈折率が1.4以上3.0以下からなる複合体、消衰係数が2以上6以下からなる無機化合物を含む複合体であると、凹凸層と反射層で薄膜干渉効果が大きくなる。より好ましくは、可視光領域における屈折率が1.5以上3.0以下である。
[第三態様の発色構造体]
第三態様の発色構造体は、第一態様の発色構造体において、凹凸構造の凸面は、平面視で第一パターンと、第一パターンと少なくとも一部が重なる第二パターンとを有して多段形状を有し、第二パターンは、平面視で複数の第二の帯状部からなり、第二の帯状部は第一方向に沿った幅と、第一方向と直交する第二方向に沿った長さと、を有し、複数の第二の帯状部の第一方向での配置間隔が一定でなく、配置間隔の平均値が入射光の波長域における最小波長の1/2以上である。
これによると、凹凸構造の凸部によって反射光の拡散効果と回折効果とが得られ、発色構造体からの反射光として特定の波長域の光が広い観察角度で観察可能であるとともに、この反射光の強度が高められることにより光沢感のある鮮やかな色が視認される。
また、凹凸層の厚さ方向に凹凸構造が投影される仮想平面において凸部の投影像が構成するパターンは、複数の帯状部の集合からなるパターンであり、凹凸構造を構成する凸部の高さは一定である構成が挙げられる。この構成によると、凹凸の高さが異なると、より高い散乱光が生まれるものの、反射光は小さくなり、視認される色のコントラストは低くなるため、高さが一定であることが好ましい。
第二パターンにおいて、複数の帯状部域(第二の帯状部)は、第一方向と第二方向との各々に沿って並び、帯状部の配列間隔の平均値および標準偏差の少なくとも一方が、第一方向に沿った配列間隔と第二方向に沿った配列間隔とで異なる。この構成によれば、第一パターンの帯状部による光の散乱効果の第一方向への影響と第二方向への影響との違いに応じて、第二パターンの帯状部による光の回折効果を調整することができるため、好ましい。
第二パターンにおいて、複数の帯状部(第二の帯状部)は、第一方向と第二方向との各々に沿って並び、複数の帯状部において、第一方向に沿った帯状部の配列間隔の平均値、および、第二方向に沿った帯状部の配列間隔の平均値の各々は、1μm以上100μm以下である。
この構成によれば、第一パターンの帯状部による光の散乱効果の第一方向への影響と第二方向への影響との違いに応じて、第二パターンの帯状部による光の回折効果を調整することが可能であり、反射光の回折効果が好適に発現される範囲で上記反射光の回折効果の調整を行うことができるため、好ましい。
第一態様〜第三態様に例を示した本実施形態の発色構造体は、例えば複数の表示要素を備え、表面と裏面とを有する表示体の表示要素を構成することができる。
本実施形態の発色構造体は、発色構造体上もしくはその反対側に、必要に応じて光吸収層や保護層や接着層などの機能層を備えていてもよい。この構成によれば、表示体を観察させる用途に適した発色が実現可能となる。また、発色構造体を備えた表示体を装飾等のため、被着体に好適に取り付けることができる。
複数の表示要素を備え、本実施形態の発色構造体から構成されている表示体を時計用の表示板として用いると、パール、白蝶貝、あるいは、あわびなどからなる天然物を用いたものよりも、反射率や柄・膜厚をロット毎に一定、且つ面内で均一にできる上、高級感のある模様や色調が多彩表現できるので、意匠性が高い表示板を提供できる。
また、本実施形態の発色構造体を用いた表示体は、反射層を備えているため反射率が向上している。そのため、本実施形態の発色構造体を用いた表示体は、暗闇時にLEDなどのランプを照射する際に従来よりも明るく表示することも可能となる。
より好ましくは、上記の表示体は、太陽電池などの自己発電機能が備わった時計用の表示板である。本実施形態の発色構造体を用いた表示体は、絶縁帯の十字線を隠蔽した上で、太陽放射光に対して任意の透過性を確保できるため、充電することが可能となる。本実施形態の発色構造体を用いた表示体は、吸収層を必要としないが、黒色・濃青色の太陽電池セルが吸収層として機能することで、散乱光が大きくなり、高級な表示板を提供できる。
複数の表示要素を備え、本実施形態の発色構造体から構成されている表示体を、耐候性を必要とされる屋外・内設置物、移動物、乗り物などの部品に使用すると、塗料やインキより太陽光による退色がほとんどないため、好ましい。より好ましくは、指紋などの汚れが目立ちにくいといった観点から自動車用部品の内装、降雨時に対する自浄作用が働くといった観点では自動車用部品の外装など自動車用部品全般に好適に用いられる。
上記表示体として、平面内に表示要素を複数有し、その複数の表示要素から選択した2つの表示要素である第一表示要素および第二表示要素は、その構成する各発色構造体が、同じ材料および膜厚の層構成を有し且つ凹凸構造の凸部の高さが互いに異なる形態が挙げられる。
この形態の表示体によれば、第一表示要素と第二表示要素とは互いに異なる色相の色を呈し、第一表示要素が位置する第一表示領域と第二表示要素が位置する第二表示領域とに、互いに異なる色相の色が視認される。そして、第一表示要素と第二表示要素とにおいて発色構造体の構成が一致しているため、表示領域ごとに発色構造層を形成することを要さず、互いに異なる色相を呈する表示領域を有する表示体を簡便な製造工程によって形成することができるため、好ましい。
複数の表示要素から選択する表示要素の数を3以上とし、選択した各表示体の発色構造体が、同じ材料および膜厚の層構成を有し且つ凹凸構造の凸部の高さが互いに異なる形態としてもよい。
本実施形態の発色構造体の製造方法としては、凹版が有する凹凸をナノインプリント法により樹脂に転写することで凹凸構造を形成する工程(第一工程)を有する方法が挙げられる。なお、この第一工程の後に、凹凸層の一方の面側に反射層を形成する第二工程を行う。また必要に応じて、反射層の上、又は凹凸構造の上に干渉層を形成する第3工程を行う。反射層は、発色構造層に入射する入射光のうちの特定の波長域での光の反射率が他の波長域での光の反射率よりも高くなるように形成される。干渉層は、反射層における反射光のうち特定の波長域にて干渉するように形成される。
上記製法によれば、ナノインプリント法で任意の面積内に凹凸構造体が一括に形成されるため、微細凹凸構造の形成を好適に、かつ、簡便に作製することができるため、好ましい。
また、第二様態の発色構造体を採用する場合、ナノインプリント法を用いることで、凹凸構造と平坦領域を同時に形成することができるため好ましい。
上記製法において、上記ナノインプリント法は、光ナノインプリント法または熱ナノインプリント法がより好ましい。
フィルムなどの基材上に凹凸層を設ける、もしくは凹凸層自身にある程度の厚みを持たせれば、例えばロール・トゥ・ロール法のような大量生産に好適な製造方法がさらに好ましい。
発色構造体に引っ張り強度などの機械強度や、成形性などの機能を持たせるために、所定厚みを持った基材上に凹凸層を形成してもよい。基材により凹凸層の厚みを低減し、安価に製造できる上、用途に応じて必要な材料を基材として選択することができるため、表示体とした時の自由度が高まる。柔軟性や屈曲性を持たせるため、光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂・熱可塑性樹脂などのプラスチックが用いられる。また、ガラスや石英・クォーツ、シリコンウェハーなどの無機物、金属板でも基材として使用可能である。
本実施形態の表示体は、発色性がよく、異方性のある散乱を持たせることで、意匠性の高い表示体を提供することができる。本実施形態の表示体は、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂などの基材上にも形成可能であるため、表示体としての自由度・利用度が高い。屈曲性に富んでいるため、例えばロール・トゥ・ロール法のような大量生産に好適な製造方法の適用が可能となる。何十もしくは何百層も積層する多層膜に比べて、材料面や設備面でコストを抑えることができ、安価な表示体を提供することが可能となる。
以下、本発明の実施形態について、図を参照しつつ更に説明する。
ここで、本発明は、本明細書で説明する実施形態に限定されない。以下に示す実施形態では、この発明を実施するために技術的に好ましい限定がなされているが、この限定はこの発明の必須要件ではない。
なお、発色構造体に対する入射光および反射光の波長域は特に限定されないが、以下の説明においては、一例として、可視領域の光を対象とした発色構造体について説明する。本実施形態においては、360nm以上830nm以下の波長域の光を可視領域の光とする。
〔第一実施形態〕
図1に示すように、第一実施形態の発色構造体1は、凹凸層10と反射層20を有する。凹凸層10は、第一面11および第一面11と反対側の面である第二面110を備えた平坦領域100と、平坦領域100の第一面11側に構成された凹凸構造を有する。本実施形態では、平坦領域100の上面に凸構造を形成することで凹凸構造が設けられている。
反射層20は、第一面11側の凹凸構造に追従して形成されている。
凹凸層10の凹凸構造は、図2に示すように、予め設定した基準面(例えば平坦領域100の上面)からの突出高さが三種類(H1<H2<H3)の凸面121b〜183を有する。凸面121b,122a,123,124a,124b,125aの高さはH1である。凸面142,143の高さはH2である。凸面181,182,183の高さはH3である。つまり、第一実施形態の発色構造体1では、凹凸層10が有する凹凸構造の凸面は突出高さが三種類の三段形状からなる多段形状を有する。この三段形状は、図3に示す第一パターン12上に図4に示す第二パターン14の一部を重ねることで得られる形状である。
なお、本発明の一態様の発色構造体では、凹部構造の凸面が多段形状を有する場合、多段形状は凸面の突出高さが二種類以上の二段形状以上であればよい。
図3に示すように、第一パターン12は、平面視で複数の帯状部121a,121b,122a,122b,123,124a,124b,125a,125bからなる。各帯状部121a〜125bは、第一方向に沿った幅d1と、第一方向と直交する第二方向に沿った長さd2と、を有し、幅d1は入射光の波長より小さく、複数の帯状部における長さd2の標準偏差は幅d1の標準偏差よりも大きい。
また、これらの帯状部のうち第一方向で隣り合う帯状部121aと帯状部121b、帯状部122aと帯状部122b、帯状部124aと帯状部124b、帯状部125aと帯状部125bは、それぞれ接触して一つのパターン121,122,124,125となっている。
なお、これらの帯状部121a〜125bのうち、帯状部124b,125bは正方形であるが帯状部に含める。また、各図においてこれらの帯状部121a〜125bは平面視で矩形として表現しているがこれに限らず、幅を一定としないでその他角形や楕円形等でもかまわない。つまり、d1≦d2である形状を帯状と定義する。
図4に示すように、第二パターン14は、平面視で複数の帯状部141〜143からなり、帯状部は第一方向に沿った幅d3と、第一方向と直交する第二方向に沿った長さと、を有する。複数の帯状部141〜143の第一方向での配置間隔は一定でなく、配置間隔の平均値が入射光の波長域における最小波長の1/2以上である。
〔第二実施形態〕
図5に示すように、第二実施形態の発色構造体1Aは、第一実施形態の発色構造体1の凹凸層10の下面(反射層20が形成される面とは反対側の面)に、基材9を有する。それ以外の点は第一実施形態の発色構造体1と同じである。つまり、凹凸層10の凹凸部以外の厚みを任意に厚くすれば発色構造体に基材9を設けなくてもよいが、機械強度や成形性などの機能を持たせるために発色構造体に基材9を設けてもよい。
〔第一実施形態および第二実施形態についての補足説明〕
凹凸層10は、可視領域の光を透過する材料から形成されており、片側もしくは両側の表面に凹凸構造を有する。
反射層20は、凹凸構造上に位置して凹凸構造に追従した表面形状を保ちつつ、凹凸層10を覆っている。従って、反射層20に光が入射された時、光の波長と金属の自由電子の振動方向が異なるので、反射層20と空気の境界面で強い反射光が出射される。凹凸構造を有さない場合、正反射光のみの強度が大きく、強い刺激の光として認識されてしまう。凹凸層10に追従した表面形状を保った反射層20を有すると、正反射光以外の異方性の散乱光が生じ、指向性のある光として認識される。屈折率が0.2以上5.0以下からなる金属または金属合金を1種類以上有すると、入射された光が反射層で反射される光の強度が大きくなるため、好ましい。
また、可視光領域の反射層の消衰係数が2以上6以下であると、吸収される光が小さくなり、効率よく反射光として出射されるので好ましい。
〔第三実施形態〕
図6に示すように、第三実施形態の発色構造体1Bは、第一実施形態の発色構造体1の反射層20の上に干渉層31を有する。それ以外の点は第一実施形態の発色構造体1と同じである。
干渉層31は3層以下の多層構成からなり、高屈折率層31aと低屈折率層31bとが交互に積層された構造を有する。高屈折率層31aの屈折率は、低屈折率層31bの屈折率よりも大きい。少ない層で干渉光を大きくするためには、高屈折率層31aと低屈折率層31bの屈折率差が0.6以上1.5以下が好ましい。
干渉層31は、反射層上に位置して凹凸構造に追従した表面形状を保ちつつ、反射層20を覆っている。屈折率n、光路差lのとき、2nl=(m+1/2)の条件で明るくなる。干渉層31の屈折率は、反射層20の屈折率よりも大きい。反射層との反対面での反射光を強くするためには、干渉層の屈折率は1.4以上5.0以下であることが好ましい。
発色構造体1Bに光が入射すると、干渉層31における高屈折率層31aと低屈折率層31bとの各界面で反射した光が干渉を起こし、干渉層31の表面における不規則な凹凸に起因して進行方向を変えた結果、特定の波長域の光が広い角度に出射される。さらに干渉層31で反射されず透過した光は反射層20に到達する。ここで反射層20により反射され、再度干渉層31に進行する。再び干渉層31による干渉が起こるため、発色構造体1Bから特定の波長域からなる反射光として強く出射される。反射される波長域は高屈折率層31aと低屈折率層31bを構成する材料の屈折率及び消衰係数、膜厚、ならびに、凸部の幅、高さおよび配列によって決まる。
図6では干渉層31を多層膜層として記載しているが、干渉層が1層からなる薄膜で構成されていてもよい。干渉層が一層であると、干渉層による薄膜干渉が起こり、干渉層から出射される光の位相が反転し、効果が発現する。しかも本実施形態では干渉層31の下層に反射層20を有するので、上記と同様の理由により入射光量の利用効率を高められる。そのため、干渉層が一層であっても良好な視認性を得られるため好ましい。
〔第四実施形態〕
図7に示すように、第四実施形態の発色構造体1Cは、第一面11Aが凹凸構造を有する凹凸層10Aと、第一面11A側に凹凸構造に沿って形成された反射層20Aを有する。凹凸層10Aが有する凹凸構造の凸面は単一形状(複数の凸面の突出高さが同じ形状)を有する。
この凸面の形状は、平面視で複数の帯状部からなり、帯状部は第一方向に沿った幅と、第一方向と直交する第二方向に沿った長さと、を有する。第一方向に沿った幅は入射光の波長より小さく、複数の帯状部における長さd2の標準偏差は幅d1の標準偏差よりも大きい。つまり、発色構造体1Cでは、凹凸層10Aが有する凹凸構造の凸面が第一パターンのみを有する。また、この凹凸層10Aの第一面11Aの凹凸構造に沿って反射層20Aが形成されている。
これら以外の点は第一実施形態の発色構造体1と同じである。
〔第五実施形態〕
図8に示すように、第五実施形態の発色構造体1Dは、第一実施形態の発色構造体1の反射層20が、凹凸層10の第二面110側に配置されている。それ以外の点は他の実施形態と同様の構成をとることができる。発色構造体1Dに入射した光の一部が凹凸構造により散乱反射され、他の光は凹凸層を透過する。ここで第二面110に反射層20があることで、凹凸層10を透過した光は反射層20で反射され、凹凸構造を再度透過する。反射光は凹凸構造により正反射光以外の異方性の散乱光となり、指向性のある光として認識される。さらに、平坦領域100の厚さ(第一面11と第二面110間の厚さ)を調整することで、平坦領域を1層の薄膜層として機能させることができる。その結果多層膜の一部として機能することができるので干渉層31Aの層数を減らすことができる。また、干渉層を設けずに平坦領域による薄膜干渉を発生させることもできる。
凹凸層の第一面と第二面間の厚さは20nm以上1000nm以下であることが好ましい。厚さがこの範囲内にあることで、平坦領域を干渉層を構成する1層として活用でき、干渉光を効果的に得ることができる。
また、発色構造体1Dは干渉層31Aを備えていてもよい。干渉層31Aは第三実施形態のように凹凸構造に追従するように構成されていてもよいし、平坦面でもよい。凹凸層の凹凸面と異なる第二面110でもよいし、凹凸層10と反射層20の間に設けてもよい。
〔第六実施形態〕
図9に示すように、第五実施形態の発色構造体1Eは、第四実施形態の発色構造体1Cの反射層20の上に干渉層31を有する。干渉層31の構成は第三実施形態の発色構造体1Bと同じである。それ以外の点は第四実施形態の発色構造体1と同じである。
〔第七実施形態〕
図10に示すように、第七実施形態の発色構造体1Fは、第三実施形態の発色構造体1とは逆に、干渉層31の上に反射層20を有する。それ以外の点は第三実施形態の発色構造体1と同じである。
第七実施形態では主に第二面110側から観察する際に有用である。すなわち、発色構造体1Fの第二面110側から光が入射すると、第二面110を透過した光は干渉層31の表面における不規則な凹凸に起因して進行方向を変えつつ、干渉層31における高屈折率層31aと低屈折率層31bとの各界面で反射して干渉を起こす。その結果、特定の波長域の光が広い角度に出射される。さらに干渉層31で反射されず透過した光は反射層20に到達する。ここで反射層20により反射され、再度干渉層31に進行する。再び干渉層31による干渉が起こるため、発色構造体1Bから特定の波長域からなる反射光として強く出射される。反射される波長域は高屈折率層31aと低屈折率層31bを構成する材料の屈折率及び消衰係数、膜厚、ならびに、凸部の幅、高さおよび配列によって決まる。
〔第八実施形態〕
図11に示すように、第八実施形態の発色構造体1Gは、凹凸構造に追従する反射層20を有し、反射層20が形成された面とは反対側の面である第二面110に干渉層31Cを有する。それ以外の点の構成は他の実施形態の発色構造体と同じである。
第八実施形態では主に第二面110側から観察する際に有用である。すなわち、発色構造体1Gの第二面110側から光が入射すると、干渉層31における高屈折率層31aと低屈折率層31bとの各界面で反射して干渉を起こす。また、干渉層31で反射されず透過した光は第二面110を透過し、不規則な凹凸に起因して進行方向を変えつつ反射層20に到達する。ここで反射層20により反射され、再度干渉層31に進行する。再び干渉層31による干渉が起こるため、発色構造体1Gから特定の波長域の光が広い角度に強く出射される。反射される波長域は高屈折率層31aと低屈折率層31bを構成する材料の屈折率及び消衰係数、膜厚、ならびに、凸部の幅、高さおよび配列によって決まる。
〔補足説明〕
<第一パターンについて>
図3を参照して、凹凸層における凹凸構造の詳細について説明する。図3(a)に示すように、凹凸層の厚さ方向に凹凸構造が投影される仮想平面を、第一方向に平行な二辺と、第一方向に直交する第二方向に平行な二辺とで形成される長方形とする。この仮想平面上に見えるパターンが凹凸構造の凸面の平面視でのパターンに相当する。
図3(a)に示すように、凹凸構造を構成する複数の凸部は、不規則な長さを有して帯状に延びる形状を有する。図3(b)に示すように、凹凸構造は、複数の凸部と、複数の凹部から構成される。
仮想平面において、第一パターン12の投影像が構成するパターンは、複数の帯状部からなるパターンである。第一パターン12は、第二方向に延びる形状を有し、帯状部において、第二方向の長さd2は、第一方向の長さ(幅)d1以上の大きさを有する。複数の第一パターンの帯状部は、第一方向および第二方向のいずれにおいても重ならないように配列されている。
第一パターン12を構成する複数の帯状部において、第一方向の長さd1は一定であり、複数の帯状部は、第一方向に、長さd1の配列間隔、すなわち、長さd1の周期で配置されている。
一方、第一パターン12を構成する複数の帯状部において、第二方向の長さd2は不規則であって、各々の帯状部における長さd2は、所定の標準偏差を有する母集団から選択された値である。この母集団は、正規分布に従うことが好ましい。
複数の帯状部からなる第一パターンは、例えば、所定の標準偏差で分布する長さd2を有する複数の帯状部を、所定の領域内に仮に敷き詰め、各帯状部の実際の配置の有無を一定の確率に従って決定することにより、帯状部の配置される領域と帯状部の配置されない領域とを設定することによって形成される。反射層20からの反射光を効率よく散乱させるためには、長さd2は、平均値が4.15μm以下、かつ、標準偏差が1μm以下の分布を有することが好ましい。
第一パターン12の配置されている領域が、帯状部の配置される領域であり、互いに隣接する帯状部が接する場合には、各帯状部の配置されている領域が結合された1つの領域に1つの帯状部が配置される。こうした構成においては、第一パターン12を構成する各帯状部の第一方向の長さd2は、帯状部の幅d1の整数倍である。
凹凸によって虹色の分光が生じることを抑えるために、第一パターン12を構成する帯状部における第一方向の長さ(幅)d1は可視領域の光の波長以下とされる。換言すれば、長さd1は、サブ波長以下、すなわち、入射光の波長域以下の長さを有する。すなわち、長さd1は830nm以下であることが好ましく、700nm以下であることがより好ましい。
さらに、長さd1は、反射層20から反射される上記特定の波長域の光が有するピーク波長よりも小さいことが好ましい。例えば、発色構造体40にて青色を発色させる場合は、長さd1は300nm程度であることが好ましく、発色構造体40にて緑色を発色させる場合は、長さd1は400nm程度であることが好ましく、発色構造体40にて赤色を発色させる場合は、長さd1は460nm程度であることが好ましい。
反射層20からの反射光の広がりを大きくするため、すなわち、反射光の散乱効果を高めるためには、凹凸構造の起伏が多いことが好ましく、平面視で、単位面積あたりにおいて第一パターン12が占める面積の比率は40%以上60%以下であることが好ましい。例えば、平面視で、単位面積あたりにおける第一パターン12の面積と第一凹部13との面積の比率は、1:1であることが好ましい。
図3(b)に示すように、第一パターン12の高さh1は一定であり、発色構造体1にて発色させる所望の色、すなわち、発色構造体1から反射させることの望まれる波長域に応じて設定されればよい。第一パターン12の凸部上や第一凹部13上における反射層20の表面粗さよりも、第一パターン12の凸部の高さh1が大きければ、反射光の散乱効果は得られる。
ただし、反射層20の表面の凹凸での反射に起因した光の干渉を抑えるために、高さh1は可視領域の光の波長の1/2以下であることが好ましく、すなわち、415nm以下であることが好ましい。さらに、上記光の干渉を抑えるために、高さh1は、反射層20及び干渉層31から反射される上記特定の波長域の光が有するピーク波長の1/2以下であることがより好ましい。
また、高さh1が過剰に大きいと、反射光の散乱効果が高くなりすぎて、反射光の強度が低くなりやすいため、反射光が可視領域の光である場合、高さh1は10nm以上200nm以下であることが好ましい。例えば、青色を呈する発色構造体40では、効果的な光の広がりを得るためには、高さh1は40nm以上150nm以下の程度であることが好ましく、散乱効果が高くなりすぎることを抑えるためには、高さh1は100nm以下であることが好ましい。
なお、第一パターン12を構成する帯状部(以下、「第一パターンの帯状部」とも称する)は、第一方向に沿って並ぶ2つの帯状部の一部が重なるように配列されることにより、仮想平面における第一パターン12のパターンを構成していてもよい。すなわち、複数の帯状部は、第一方向に、長さd1よりも小さい配列間隔で配置されていてもよいし、帯状部の配列間隔は一定でなくてもよい。帯状部が重なり合う部分では、各帯状部の配置されている領域が結合された1つの領域に1つのパターンが位置する。この場合、第一パターン12の第一方向の長さは、帯状部の長さd1の整数倍とは異なる長さとなる。また、第一パターン12を構成する帯状部の長さd1は、一定でなくてもよく、各帯状部において、長さd2が長さd1以上であって、複数の帯状部における長さd2の標準偏差が長さd1の標準偏差よりも大きければよい。こうした構成によっても、反射光の散乱効果は得られる。
<第二パターンについて>
凹凸構造の凸面が多段形状を有する場合、第一パターン上に第二パターンの一部を重ねることで多段形状が作製される。この場合、第二パターンと重なった部分は第一パターンの形状も異なる。
図7、図9に示す第四および第六実施形態の発色構造体のように、凹凸層が有する凹凸構造の凸面が単一形状である発色構造体(第一の構造を有する発色構造体)によれば、反射光の散乱効果によって視認される色の観察角度による変化は緩やかになるものの、散乱に起因した反射光の強度の低下によって、視認される色の鮮やかさは低下する。発色構造体の用途等によっては、より鮮やかな色を広い観察角度で観察可能な構造体が求められる場合もある。
これに対して、図1、5、6に示す第一、第二、および第三実施形態の発色構造体のように、凸層が有する凹凸構造の凸面が多段形状である発色構造体(第二の構造を有する発色構造体)では、第二パターンにおいて帯状部が反射強度の高い回折光を生じさせるように配列されている。そのため、これらの発色構造体は、第一パターン12による光の散乱効果と第二パターン14による光の回折効果とによって、より鮮やかな色を広い観察角度で観察可能となる。
図4(a)に示すように、上記仮想平面において、第二パターン14を構成するパターンは、第二方向に沿って一定の幅で延びる帯状を有し、これらのパターンは第一方向に沿って、間隔をあけて並んでいる。換言すれば、仮想平面において第二パターン14の投影像を構成するパターンは、第二方向に沿って延び、第一方向に沿って並ぶ複数の帯状部からなるパターンである。第二パターン14における第一方向の長さ(幅)d3は、第一パターン12を構成する各パターンの長さ(幅)d1と一致していてもよいし、異なっていてもよい。
第二パターン14を構成する各パターンの第一方向における配列間隔de、すなわち、第一方向における帯状部の配列間隔は、第二パターン14が構成する凹凸構造の表面での反射光の少なくとも一部が、一次回折光として観測されるように設定される。一次回折光は、換言すれば、回折次数mが1または−1である回折光である。すなわち、入射光の入射角度をθ、反射光の反射角度をφ、回折する光の波長をλとした場合、配列間隔deは、de≧λ/(sinθ+sinφ)を満たす。
例えば、λ=360nmである可視光線を対象とするとき、第二パターン14の配列間隔deは180nm以上であればよく、すなわち、配列間隔deは、入射光に含まれる波長域における最小波長の1/2以上であればよい。なお、配列間隔deは、互いに隣り合う2つのパターンの端部間の第一方向に沿った距離であって、第一方向において第二パターン14に対して同一の側に位置する端部間の距離である。
第二パターン14を構成する帯状部からなるパターンの周期性は、凹凸層が有する凹凸構造の周期性、すなわち、反射層20の表面における凹凸構造の周期性に反映される。複数の帯状部の配列間隔deが一定の場合、反射層20の表面での回折現象によって、反射層20からは、特定の波長の反射光が特定の角度に出射される。この回折による光の反射強度は、上述の第一パターン12にて説明した帯状部による光の散乱効果によって生じる反射光の反射強度と比較して非常に強いため、金属光沢のような輝きを有する光が視認されるが、一方で、回折による分光が生じ、観察角度の変化に応じて視認される色が変化する。
したがって、例えば、青色を呈する発色構造体が得られるように第一パターンをなす帯状部の構造を設計したとしても、第二パターン14をなす帯状部(以下、「第二パターンの帯状部」とも称する)の配列間隔deを400nm以上5μm以下の程度の一定値とすると、観察角度によっては、回折に起因した強い緑色から赤色の表面反射による光が観察される。これに対し、例えば、第二パターンの帯状部の配列間隔deを50μm程度に大きくすると、可視領域の光が回折される角度の範囲が狭くなるため、回折に起因した色の変化が視認されにくくなるが、金属光沢のような輝きを有する光は特定の観察角度でのみしか観察されない。
そこで、配列間隔deを一定の値とせず、第二パターンの帯状部のパターンを、周期が異なる複数の周期構造が重ね合わされたパターンとすれば、回折による反射光に複数の波長の光が混じり合うため、分光された単色性の高い光は視認されにくくなる。したがって、光沢感のある鮮やかな色が広い観察角度で観察される。この場合、配列間隔deは、例えば、360nm以上5μm以下の範囲から選択され、複数の第二パターン14の帯状部の配列間隔deの平均値が、入射光に含まれる波長域における最小波長の1/2以上であればよい。
ただし、配列間隔deの標準偏差が大きくなるにつれ、第二パターンの帯状部の配列が不規則となって散乱効果が支配的になり、回折による強い反射が得られにくくなる。そのため、第二パターンの帯状部の配列間隔deは、第一パターンの帯状部による光の散乱効果によって光が広がる角度に応じて、この光が広がる範囲と同程度の範囲に回折による反射光が出射されるように決定することが好ましい。例えば、青色の反射光が、入射角度に対して±40°の範囲に広がって出射される場合、第二パターンの帯状部のパターンにおいて、配列間隔deを、その平均値が1μm以上5μm以下の程度であり、標準偏差が1μm程度であるように設定する。これにより、第一パターンの帯状部の光の散乱効果によって光が広がる角度と同程度の角度に回折による反射光が生じる。
さらに、より長周期の回折現象を生じさせるために、一辺が10μm以上100μm以下の正方形領域を単位領域とし、単位領域ごとの第二パターンの帯状部のパターンにおいて、配列間隔deを、平均値が1μm以上5μm以下の程度、かつ、標準偏差が1μm程度としてもよい。なお、複数の単位領域のなかには、配列間隔deが1μm以上5μm以下の範囲に含まれる一定の値である領域が含まれてもよい。配列間隔deが一定である単位領域が存在したとしても、この単位領域と隣接する単位領域のいずれかにおいて、配列間隔deが標準偏差1μm程度のばらつきを有していれば、人の目の解像度においてはすべての単位領域で配列間隔deがばらつきを有している構成と同等の効果が期待できる。
なお、図4に示した第二パターン14は、第一方向のみに、配列間隔deに起因した周期性を有している。第一パターンの帯状部による光の散乱効果は、主として、第一方向に沿った方向への反射光に作用するが、第二方向に沿った方向への反射光にも一部影響し得る。したがって、第二パターン14を構成する帯状部は、第二方向にも周期性を有してもよい。すなわち、第二パターン14は、第二方向に延びる複数の帯状部が、第一方向と第二方向との各々に沿って並ぶパターンであってもよい。
こうした第二パターン14において、例えば、帯状部の第一方向に沿った配列間隔と第二方向に沿った配列間隔との各々は、各々の平均値が1μm以上100μm以下であるようにばらつきを有していればよい。また、第一パターンの帯状部による光の散乱効果の第一方向への影響と第二方向への影響との違いに応じて、第一方向に沿った配列間隔の平均値と、第二方向に沿った配列間隔の平均値とは互いに異なっていてもよく、第一方向に沿った配列間隔の標準偏差と、第二方向に沿った配列間隔の標準偏差とは互いに異なっていてもよい。
図4(b)に示すように、第二パターン14を構成する各帯状部141〜143の高さh2は、凸面(第二パターン14の上面)や凹面15上における反射層20や干渉層31の表面粗さよりも大きければよい。ただし、高さh2が大きくなるほど、凹凸構造が反射光に与える効果において第二パターンの帯状部による回折効果が支配的となって、第一パターンの帯状部による光の散乱効果が得られにくくなるため、高さh2は第一パターンの帯状部の高さh1と同程度であることが好ましく、高さh2は高さh1と一致していてもよい。例えば、第一パターンの帯状部の高さh1と第二パターンの帯状部の高さh2とは、10nm以上200nm以下の範囲に含まれていることが好ましく、青色を呈する発色構造体では、第一パターンの帯状部の高さh1と第二パターンの帯状部の高さh2とは、10nm以上150nm以下の範囲に含まれていることが好ましい。
図2を参照して、第二の構造を有する発色構造体の凹凸構造の詳細について説明する。
第二の構造を有する発色構造体では、図2(a)に示すように、上記仮想平面にて、凸部投影像が構成するパターンは、第一パターン12と第二パターン14とが重ね合わされたパターンである。すなわち、凸部が位置する領域には、第一パターン12の帯状部のみから構成される領域16と、第二パターン14の帯状部のみから構成される領域17と、第一パターン12の帯状部と第二パターン14の帯状部とが重なっている領域18と、凹部19からなる。なお、図2においては、第一パターン12と第二パターン14とが、第一方向においてその端部が揃うように重ねられているが、こうした構成に限らず、第一パターン12の端部と第二パターン14の端部とは、ずれていてもよい。
図2(b)に示すように、領域16の凸部の高さH1は、第一パターン12の高さh1である。また、領域17の凸部の高さH2は、第二パターン14の高さh2である。領域18の凸部の高さH3は、第一パターン12の高さh1と第二パターン14の高さh2との和である。また、このように、仮想平面での投影像が第一パターン12を構成し所定の高さh1を有する帯状部と、仮想平面での投影像が第二パターン14を構成し所定の高さh2を有する帯状部とが、高さ方向に重ねられた多段形状を有する。
以上のように、多段形状の凸面を有する発色構造体1,1A,1Bによれば、第一パターン12が構成する部分に起因した光の拡散現象と、第二パターン14が構成する部分に起因した光の回折現象との相乗によって、特定の波長域の反射光が広い観察角度で観察可能であるとともに、この反射光の強度が高められることにより光沢感のある鮮やかな色が視認される。換言すれば、多段形状の凸面を有する発色構造体1,1A,1Bにおいては、1つの構造体でありながら、多段であるために、光の拡散機能と光の回折機能との2つの機能を担っている。
なお、仮想平面にて、第一パターン12と第二パターン14とが重ならないように配置されてもよい。こうした構造によっても、第一パターン12による光の拡散効果と第二パターン14の各帯状部による光の回折効果とは得られる。ただし、第一パターン12と第二パターン14とを互いに重ならないように配置しようとすれば、第一の構造と比較して、単位面積あたりにおける第一パターン12の配置可能な面積が小さくなり、光の拡散効果が低下する。したがって、第一パターン12および第二パターン14の各帯状部による光の拡散効果と回折効果とを高めるためには、図2に示したように、第一パターン12と第二パターン14とを重ねて凸部を多段形状とすることが好ましい。
〔発色構造体の製造方法〕
発色構造体を構成する各層の材料、および発色構造体の製造方法を説明する。
凹凸構造体10,10Aからなる凹凸層は、可視領域の光に対して光透過性を有する材料、すなわち、可視領域の光に対して透明な材料から構成される。もしくは、黒色顔料や染料を含む光吸収性の材料の何れでもよい。特にこれらに限定されるものではないが、主成分として、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂などが用いられることが好ましい。
用いることができる熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、スチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ウレア系樹脂、などあるが、それらに限定されるものではない。ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロオレフィンコポリマー、ポリエチレンテレフタラート、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ナイロン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、ポリ乳酸、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド等の樹脂からなるフィルムやペレットを熱で溶融させ、所望の凹凸構造を形成することができる。用いることができる熱硬化性樹脂は、反応性水酸基を有するアクリルポリオールまたはポリエステルポリオールとポリイソシアネートとの反応により得られるウレタン樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール系樹脂などを含むが、それらに限定されるものではない。
光硬化性樹脂は、例えばウレタン系アクリレート、エポキシ系アクリレート、ポリエステル系アクリレート、ポリアクリルアクリレート、ポリジメチルシロキサンからなる。重合させるためにラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤など1種類以上を用いてもよい。
本実施形態では、ラジカル重合性モノマーはアクリロイル基またはメタクリロイル基を1つ以上有する化合物が好ましい。特にこれらに限定されるものではないが、アクリロイル基またはメタクリロイル基を1つ有する単官能(メタ)アクリル化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、メチルアダマンチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ−2−メチルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2ーフェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、4−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、3−(2−フェニルフェニル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、EO変性p−クミルフェニル(メタ)アクリレート、2−ブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4−ジブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、EO変性フェノキシ(メタ)アクリレート、PO変性フェノキシ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、
などが挙げられるが、これらに限定されない。
アクリロイル基またはメタクリロイル基を2つ以上有する多官能(メタ)アクリル化合物としては、例えば、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO,PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−へキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロイルオキシ)イソシアヌレート、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、EO変性2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシ)フェニル)プロパン、PO変性2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシ)フェニル)プロパン、EO,PO変性2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシ)フェニル)プロパンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
これらラジカル重合性モノマーは、単独で又は2種類以上を用いることができる。なお、上記において、(メタ)アクリレートとはアクリレート及び/またはメタクリレートを意味し、(メタ)アクリロイル基とはアクリロイル基及び/またはメタクリロイル基を意味し、EOはエチレンオキサイドを示し、EO変性された化合物はエチレンオキサイド基のブロック構造を有するものである。また、POはプロピレンオキサイドを示し、PO変性された化合物はプロピレンオキサイド基のブロック構造を有するものである。
屈折率を調整するために、フルオロ基を有するアクリロイル基またはメタクリロイル基を2つ以上有する単官能もしくは多官能モノマーを添加してもよい。例えば、(メタ)アクリル化合物トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロプロピル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘプタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、トリフルオロブチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロブチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロブチル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、ヘプタフルオロブチル(メタ)アクリレート、トリフルオロペンチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ヘプタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ノナフルオロペンチル(メタ)アクリレート、トリフルオロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラフルオロヘキシル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロヘキシル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプタフルオロヘキシル(メタ)アクリレート、オクタフルオロヘキシル(メタ)アクリレート、ノナフルオロヘキシル(メタ)アクリレート、デカフルオロヘキシル(メタ)アクリレート、ウンデカフルオロヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、これらに限定されない。
無機化合物の分散性をよくするため、もしくは、干渉層との密着性が上げるために、ジメチルポリシロキサン主鎖やシリコーン主鎖とするアクリロイル基またはメタクリロイル基を有する単官能モノマー、もしくは2つ以上有する多官能モノマーを添加してもよい。アクリロイル基またはメタクリロイル基は片末端型、両末端型の何れでもよく、側鎖型でもよい。シリコーン主鎖の分子量が小さいと、樹脂との祖溶性がよく、シリコーン主鎖の分子量が大きいと、表面の特性が改善される。
次に重合性モノマーは、カチオン重合性モノマーでもよい。カチオン重合性モノマーとしてはビニルエーテル基、エポキシ基またはオキセタニル基を1つ以上有する化合物が好ましい。
ビニルエーテル基を1つ有する化合物としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、n−ノニルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルメチルビニルエーテル、4−メチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、ジシクロペンテニルビニルエーテル、2−ジシクロペンテノキシエチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、ブトキシエチルビニルエーテル、メトキシエトキシエチルビニルエーテル、エトキシエトキシエチルビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル、テトラヒドロフリフリルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、クロルブチルビニルエーテル、クロルエトキシエチルビニルエーテル、フェニルエチルビニルエーテル、フェノキシポリエチレングリコールビニルエーテルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
ビニルエーテル基を2つ以上有する化合物としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ブチレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキサイドジビニルエーテル、ビスフェノールFアルキレンオキサイドジビニルエーテルなどのジビニルエーテル類;トリメチロールエタントリビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、グリセリントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、エチレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテルなどの多官能ビニルエーテル類などが挙げられるが、これらに限定されない。
エポキシ基を1つ有する化合物としては、例えば、フェニルグリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、1,2−ブチレンオキサイド、1,3−ブタジエンモノオキサイド、1,2−エポキシドデカン、エピクロロヒドリン、1,2−エポキシデカン、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、3−メタクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−アクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−ビニルシクロヘキセンオキサイドなどが挙げられるが、これらに限定されない。
エポキシ基を2つ以上有する化合物としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンオキサイド、4−ビニルエポキシシクロヘキサン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類、1,1,3−テトラデカジエンジオキサイド、リモネンジオキサイド、1,2,7,8−ジエポキシオクタン、1,2,5,6−ジエポキシシクロオクタンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
オキセタニル基を1つ有する化合物としては、例えば、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−(メタ)アリルオキシメチル−3−エチルオキセタン、(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチルベンゼン、4−フルオロ−〔1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、4−メトキシ−〔1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、〔1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)エチル〕フェニルエーテル、イソブトキシメチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、イソボルニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、イソボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−エチルヘキシル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、エチルジエチレングリコール(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンタジエン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラヒドロフルフリル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−テトラブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−トリブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシプロピル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ブトキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタクロロフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
オキセタニル基を2つ以上有する化合物としては、例えば、EO変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、PO変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、PO変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールF(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサ−ノナン、3,3’−(1,3−(2−メチレニル)プロパンジイルビス(オキシメチレン))ビス−(3−エチルオキセタン)、1,4−ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、1,2−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリシクロデカンジイルジメチレン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、1,4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ヘキサン、ペンタエリスリトールトリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ポリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジトリメチロールプロパンテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル等の多官能オキセタンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
これらカチオン重合性モノマーは、1種類又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。前記において、EOはエチレンオキサイドを示し、EO変性された化合物はエチレンオキサイド基のブロック構造を有するものである。また、POはプロピレンオキサイドを示し、PO変性された化合物はプロピレンオキサイド基のブロック構造を有するものである。また、水添とはベンゼン環などのC=C二重結合に対して水素原子を付加させることである。
重合開始剤は、重合性モノマーがラジカル重合性モノマーの場合は光(赤外線、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、電子線等の荷電粒子線などの放射線)によりラジカルを発生する重合開始剤であり、重合性モノマーがカチオン重合性モノマーの場合は光により酸を発生する重合開始剤である。
ラジカル発生剤は、として挙げられる化合物は、例えば、 2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−又はp−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等のような置換されていてもよい2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;ベンゾフェノン、N,N′−テトラメチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノンのようなベンゾフェノン誘導体;2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1,2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−プロパノン−1−オンなどの芳香族ケトン誘導体;
2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−t−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナンタラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン等のキノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル誘導体;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン、プロピルベンゾインなどのベンゾイン誘導体;ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体; 9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9′−アクリジニル)ヘプタンなどのアクリジン誘導体;N−フェニルグリシンなどのN−フェニルグリシン誘導体; アセトフェノン、3−メチルアセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンなどのアセトフェノン誘導体;チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントンなどのチオキサントン誘導体: キサントン、フルオレノン、べンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシドなどが挙げられるが、これらに限定されない。これらは、単体もしくは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
光により酸を発生する重合開始剤として用いられる化合物としては、例えば、オニウム塩化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、スルホンイミド化合物、ジアゾメタン化合物などが挙げられるが、これらに限定されない。
オニウム塩化合物としては、例えば、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ピリジニウム塩等を挙げることができる。オニウム塩化合物の具体例としては、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム2−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムピレンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムn−ドデシルベンゼンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムp−トルエンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムベンゼンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムn−オクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム2−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウムピレンスルホネート、ジフェニルヨードニウムn−ドデシルベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウムp−トルエンスルホネート、ジフェニルヨードニウムベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウム10−カンファースルホネート、ジフェニルヨードニウムn−オクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウムピレンスルホネート、トリフェニルスルホニウムn−ドデシルベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウムベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート、トリフェニルスルホニウムn−オクタンスルホネート、ジフェニル(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムパーフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニル(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニル(4−t−ブチルフェニル)スルホニウム2−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ジフェニル(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムピレンスルホネート、ジフェニル(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムn−ドデシルベンゼンスルホネート、ジフェニル(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムp−トルエンスルホネート、ジフェニル(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムベンゼンスルホネート、ジフェニル(4−t−ブチルフェニル)スルホニウム10−カンファースルホネート、ジフェニル(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムn−オクタンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムパーフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウム2−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムピレンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムn−ドデシルベンゼンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムp−トルエンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムベンゼンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウム10−カンファースルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムn−オクタンスルホネートなどが挙げられるが、これらに限定されない。
スルホン化合物としては、例えば、β−ケトスルホン、β−スルホニルスルホンや、これらのα−ジアゾ化合物等を挙げることができる。スルホン化合物の具体例としては、フェナシルフェニルスルホン、メシチルフェナシルスルホン、ビス(フェニルスルホニル)メタン、4−トリスフェナシルスルホンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
スルホン酸エステル化合物としては、例えば、アルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネート等を挙げることができる。スルホン酸エステル化合物の具体例としては、α−メチロールベンゾインパーフルオロ−n−ブタンスルホネート、α−メチロールベンゾイントリフルオロメタンスルホネート、α−メチロールベンゾイン2−トリフルオロメチルベンゼンスルホネートなどが挙げられるが、これらに限定されない。
スルホンイミド化合物の具体例としては、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)フタルイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(4−フルオロフェニル)フタルイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ナフチルイミドなどが挙げられるが、これらに限定されない。
ジアゾメタン化合物の具体例としては、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、メチルスルホニルp−トルエンスルホニルジアゾメタン、(シクロヘキシルスルホニル)(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
光により酸を発生する重合開始剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
所望の屈折率に調整するために、主成分の樹脂に加えて、以下に示す無機化合物を添加してもよい。特にこれらに限定されるものではないが、Nb25、Ta25、Al23、Fe23、HfO2、MgO、ZrO、Zr2O、SnO2、Sb23、Sb25、CeO3、WO3、PbO、In23、CdO、BaTiO3、LiF、BaF2、CaF2、MgF2、AlF3、CeF3、ZnS、PbCl2、TO、PTO、ATO、ITOなど、単体もしくは複数用いてもよい。
これらの粒子径は5〜100nmが好ましい。所望の凹凸構造を作製するためには、5〜30nmである。また、凝集なく均一な分散とするために、分散剤を添加してもよい。
基材9を構成する材料は、可視領域の光に対して光透過性を有する材料、もしくは、黒色顔料や染料を含む光吸収性の材料の何れでもよい。例えば、基材9を構成する材料としては、用いることができる熱可塑性樹脂は、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、スチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ウレア系樹脂、などあるが、それらに限定されるものではない。ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロオレフィンコポリマー、ポリエチレンテレフタラート、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ナイロン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、ポリ乳酸、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、トリアセチルセルロース等の樹脂からなるフィルムを基材として使用することができる。基材と凹凸層との密着力を高めるために、コロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、易施着処理などの表面処理を施したものを用いてもよい。
合成石英やシリコンウェハーなどの比較的硬度のある基板表面の凹凸構造は、例えば、光または荷電粒子線を照射するリソグラフィやドライエッチング等の公知の微細加工技術を利用して形成される。
反射層20を構成する材料は、入射された光を反射する化合物であれば、特に限定されるものではないが、好ましくは金属もしくは金属合金である。金属もしくは金属合金、複合物を用いることにより、何十層も重ねることなく、色を発色することが可能である。凹凸構造に光が入射されても、強い正反射光と散乱光が得られるため、屈折率0.2以上3以下の金属もしくは金属合金が好ましい。光の吸収を少なくできるため、消衰係数2以上6以下が好ましい。具体的には、Au、Ag、Cu、Al、Zn、Ni、Cr、Ge、Mo、Ga、Ta、W、In、Snの何れか金属、もしくはこれらの合金、複合物を1種類以上有とすると、入射された光が反射層で反射される光の明度が高くなるため、好ましい。より好ましくは、Au、Ag、Cu、Alである。
干渉層31を構成する層が単層である場合、高屈折率材料からなることが好ましく、より好ましくは屈折率1.5以上5.0以下からなり、消衰係数2以上6以下からなる化合物が好ましい。
干渉層を多層膜とする場合、高屈折率層31aと低屈折率層31bを交互に積層することで、多層膜干渉とする。これらの順番を入れ替えてもよく、機能を果たすのであれば、積層数を減らすことも可能である。高屈折率層及び低屈折率層の何れも可視領域の光に対して光透過性を有する材料、すなわち、可視領域の光に対して透明な材料から構成される。
高屈折率層31aの屈折率が、低屈折率層31bの屈折率よりも高い構成であれば、これらの層の材料は限定されないが、高屈折率層31aと低屈折率層31bとの屈折率の差が0.6以上1.5以下であるほど、少ない積層数で高い強度の反射光が得られる。また、高屈折率層を空気との界面側に屈折率1.5以上5.0以下の化合物を設置することで、空気から干渉層に光が入射される場合に、位相が反転し、高い干渉効果が生まれる。
干渉層に使用される化合物としては、Nb25、Ta25、Al23、Fe23、HfO2、MgO、ZrO、ZrO、SnO2、Sb23、Sb2、CeO3、WO3、PbO、In23、CdO、BaTiO3、LiF、BaF2、CaF2、MgF2、AlF3、CeF3、ZnS、PbCl2、TO、PTO、ATO、ITOなどの無機誘電体材料や、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂などの有機樹脂材料に無機材料を分散させた無機有機ハイブリッド材料でもよい。
より好ましくは高屈折率層としてTiO2を有し、低屈折率層としてSiO2を有する構成が好ましい。
低屈折率層31bを挟む各高屈折率層31aは同じ材料を用いてもよいし、別の化合物を用いてもよい。
こうした無機材料からなる高屈折率層31aおよび低屈折率層31bの各層は、スパッタリング、真空蒸着、あるいは、原子層堆積法等の公知の薄膜形成技術を用いて形成される。また、高屈折率層31aおよび低屈折率層32bの各々は有機材料から構成されてもよく、この場合、高屈折率層31aおよび低屈折率層32bの形成には、自己組織化等の公知の技術が用いられればよい。
高屈折率層31aおよび低屈折率層31bの各々の膜厚は、発色構造体にて発色させる所望の色に応じて、転送行列法等を用いて設計されればよい。高屈折率層及び低屈折率層の膜厚は30nm以上300nm以下程度であることが好ましい。
なお、図6、図8では、干渉層31として、凹凸層10に近い位置から高屈折率層31aと低屈折率層31bとがこの順に交互に積層された3層からなる干渉層31を例示したが、干渉層31が有する層数や積層の順序はこれに限られない。干渉層31は、相互に隣接する層の屈折率が互いに異なり、干渉層31に入射する入射光のうち特定の波長域での光の反射率が他の波長域での反射率よりも高いように構成されていればよい。
また、干渉層を構成する材料は特にこれらに限定されるものではないが、チタン系化合物、ニオブ系化合物、ケイ素系化合物の何れか1つ以上の化合物を含むと、反射層を保護する保護層としての機能も果たすので、耐スクラッチ性が向上する。干渉層は、微細凹凸構造を反映した薄膜層であるため、汚れが付着しても拭き取りやすくなるため、防汚効果があり、好ましい。なお、干渉層として多層膜層を適用する場合、多層膜層における反射層とは反対側となる層が上述の保護層となることが好ましい。
ここで、凹凸層10,10Aは可視領域の光に対して透明な材料から形成されているため、入射光に含まれる波長域のうち、干渉層31にて反射される特定の波長域以外の波長域の光の一部は、干渉層31、さらには、凹凸層10,10Aを透過する。そのため、凹凸層10,10Aをその表裏の一方側から観察するとき、凹凸層10,10Aの他方側に、光源や、白色板等の透過光をはね返す構造物が存在すると、上記一方側では、反射層20からの特定の波長域の反射光とともに、他方側から反射層20を透過した透過光が視認される。上述のように、この透過光の波長域は反射光の波長域とは異なり、透過光の色は、主として、反射光の色の補色である。そのため、こうした透過光が視認されると、反射光による色の視認性が低下する。
凹凸層10,10Aの凹凸構造の形成方法としては、例えば、ナノインプリント法が用いられる。例えば、光ナノインプリント法によって凹凸層10,10Aの凹凸構造を形成する場合、まず、形成対象の凹凸の反転された凹凸を有する凹版であるモールドの凹凸が形成された面に、凹凸層10,10Aを構成する樹脂として、光硬化性樹脂が塗布される。光硬化性樹脂の塗布方法は特に限定されず、インクジェット法、スプレー法、バーコート法、ロールコート法、スリットコート法、グラビアコート法等の公知の塗布法が用いられればよい。
次いで、光硬化性樹脂からなる塗布層の表面に、基材9が重ねられ、塗布層とモールドとが互いに押し付けられた状態で、基材9側もしくはモールド側から光が照射される。続いて、硬化した光硬化性樹脂および基材9からモールドが離型される。これによって、モールドの有する凹凸が光硬化性樹脂に転写されて、表面に凹凸を有する凹凸層10,10Aが形成される。モールドは、例えば、合成石英やシリコンから構成され、光または荷電粒子線を照射するリソグラフィやドライエッチング等の公知の微細加工技術を利用して形成される。
なお、光硬化性樹脂は、基材9の表面に塗布され、基材9上の塗布層にモールドが押し当てられた状態で、光の照射が行われてもよい。
また、光ナノインプリント法に代えて、熱ナノインプリント法が用いられてもよく、この場合、凹凸構造体を有する凹凸層に用いられる樹脂としては、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等の、製造方法に応じた樹脂が用いられる。
[発色構造体の適用例]
上述した発色構造体の具体的な適用例について説明する。以下で説明する適用例には、第一構造を有する発色構造体、第二構造を有する発色構造体、および、上述の第一パターンの帯状部を有する発色構造体、第一パターンの帯状部を有する構造体及び第二パターンの帯状部を有する発色構造体の上に、反射層及び干渉層を形成した発色構造体のいずれもが適用可能である。
<表示体>
発色構造体の第一の適用例は、発色構造体を表示体に用いる形態である。表示体は、物品の偽造の困難性を高める目的で用いられてもよいし、物品の意匠性を高める目的で用いられてもよいし、これらの目的を兼ねて用いられてもよい。物品の偽造の困難性を高める目的としては、表示体は、例えば、パスポートや免許証等の認証書類、商品券や小切手等の有価証券類、クレジットカードやキャッシュカード等のカード類、紙幣等に貼り付けられる。また、物品の意匠性を高める目的としては、表示体は、例えば、身に着けられる装飾品や、使用者に携帯される物品、家具や家電等のように据え置かれる物品、壁や扉、看板、自動車の内装や外装等の構造物等に取り付けられる。
図12に示すように、表示体50は、表面50Fと、表面50Fとは反対側の面である裏面を有し、表面50F側から見て、表示体50は、第一表示領域51と第二表示領域52とを含んでいる。第一表示領域51は、複数の第一画素51Aが配置されている領域であり、第二表示領域52は、複数の第二画素52Aが配置されている領域である。換言すれば、第一表示領域51は、複数の第一画素51Aの集合から構成されており、第二表示領域52は、複数の第二画素52Aの集合から構成されている。第一画素51Aと第二画素52Aとの各々には、発色構造体の構成が適用されており、第一画素51Aと第二画素52Aとは、互いに異なる色相の色を呈する。すなわち、表示体50の表面50Fと対向する方向から見て、第一表示領域51と第二表示領域52とには、互いに異なる色相の色が視認される。
第一表示領域51と第二表示領域52との各々は、これらの領域単独、もしくは、これらの領域の2以上の組み合わせによって、文字、記号、図形、模様、絵柄、これらの背景等を表現する。
なお、表示体50は、表示領域51,52の周囲等に、発色構造体の構成とは異なる構成を有する領域、例えば、表面が平坦な基材に干渉層31が積層された構造を有する領域や、基材に反射層20が積層された構造を有する領域等を有していてもよい。
図13、図14は、第一画素51Aと第二画素52Aとの断面構造を示す図である。図13においては、これらの画素51A,52Aを構成する発色構造体が、第一の構造を有する発色構造体である例を示している。図14においては、これらの画素51A,52Aを構成する発色構造体が、第二の構造を有する発色構造体である例を示している。
図13の表示体における第一画素51Aと第二画素52Aとでは、第一パターン12の高さh1が互いに異なっている。一方、第一画素51Aと第二画素52Aとにおいて、反射層20の構成は共通しており、すなわち、高屈折率層16aの材料や膜厚、低屈折率層16bの材料や膜厚、および、これらの層の層数は、共通している。第一画素51Aと第二画素52Aとで、第一パターン12の凸部の高さh1が異なることによって、第一画素51Aと第二画素52Aとは互いに異なる色相の色を呈する。各画素51A,52Aにおける第一パターン12の凸部の高さh1は、各画素51A,52Aの所望の色相に応じて設定されればよい。
ここで、第一画素51Aの第一パターン12の凸部の高さh1aと、第二画素52Aの第一パターン12の凸部の高さh1bとの差が大きいほど、第一画素51Aの呈する色相と第二画素52Aの呈する色相との差が大きくなり、その色相の差が人の目によって認識されやすくなる。例えば、高さh1aと高さh1bとの差は5nm以上であることが好ましく、干渉層31が平坦面に積層されている場合における反射層20からの反射光のピーク波長の1%以上であることが好ましい。
例えば、反射層20が平坦面に積層されている場合における反射層20からの反射光のピーク波長が500nmであり、画素によって緑色を発色させたい場合は、第一パターン12の凸部の高さh1を100nm程度とすることが好ましく、画素によって赤色を発色させたい場合は、第一パターン12の凸部の高さh1を200nm程度とすることが好ましい。
図14の表示体における第一画素51Aと第二画素52Aとでは、第一パターンの高さh1は同じで、第二パターンの高さh2が異なっている。第一画素51Aの第二パターンの凸部の高さh2aと、第二画素52Aの第二パターンの凸部の高さh2bとの関係は、h2a<h2bである。これにより、第一パターンと第二パターンが重なる凸部の高さH3が、第一画素51Aでの高さH3aよりも第二画素52Aでの高さH3bの方が高い。
なお、画素51A,52Aに適用される発色構造体が、第二の構造を有する発色構造体である場合、上記仮想平面にて凸部の投影像が構成するパターンにおいて第一パターンの帯状部が占める割合よりも第二パターンの帯状部が占める割合が小さい構成においては、第二パターンの帯状部の高さh2が画素51A,52Aの呈する色相に与える影響は微小である。
したがって、図14に示す第二の構造を有する発色構造体においても、第一の構造の第一パターン12を構成する帯状部の高さの調整によって、画素51A,52Aの呈する色相の調整が可能である。
第一パターン12は、例えば、第一画素51Aごと、および、第二画素52Aごとに設定される。すなわち、第一パターン12の投影像のパターンを構成する複数の帯状部における長さd1や長さd2の平均値や標準偏差は、画素51A,52Aごとに設定される。第一パターン12は画素51A,52Aごとに異なっていてもよいし、一致していてもよい。画素51A,52Aの大きさは、表示領域51,52が構成する像についての所望の解像度に応じて設定されればよい。より高精度な像を表示するためには、画素51A,52Aの一辺は10μm以上であることが好ましい。
表面50F側から表示体50を観察した場合と、反射層20からの反射光による色の視認性される色は異なるため、表示体50において多彩な表現ができる。
第一画素51Aと第二画素52Aとの間で、凹凸層10の下側部分は連続しており、すなわち、これらの画素51A,52Aは、共通した1つの基材を有している。
凹凸構造は、例えば、第一画素51Aの位置する第一表示領域51に対応する部分と、第二画素52Aの位置する第二表示領域52に対応する部分との各々に対して、リソグラフィやドライエッチングを行うことによって形成される。第一パターン12の凸部の高さh1を変えるためには、エッチング時間を変更すればよい。
第一表示領域51と第二表示領域52とが接している場合、第一画素51Aと第二画素52Aとの間で、反射層20、および、干渉層31の各々は連続している。
なお、第一画素51Aと第二画素52Aとの呈する色相を異ならせることは、第一画素51Aと第二画素52Aとで、反射層20を構成する層の材料や膜厚等の構成を異ならせることによっても可能ではある。しかしながら、表示領域51,52ごとに反射層20の構成が異なると、表示領域51,52ごとに、領域のマスキングや高屈折率層31aと低屈折率層31bとの成膜を繰り返すことが必要であり、製造工程が複雑になる。結果として、製造コストの増加や歩留まりの低下が引き起こされる。また、微小な領域にマスキングを行うことは困難であるため、精細な像の形成には限界がある。
これに対し、上記表示体50の構成であれば、第一表示領域51に対応する部分と第二表示領域52に対応する部分とに対し、反射層20を同時に形成することが可能であるため、表示体50の製造に要する負荷が軽減される。また、微小な領域へのマスキングと比較して、微小な領域ごとに第一パターン12凸部の高さh1を異ならせることは容易であるため、表示領域51,52を小さくしてより精細な像を形成することもできる。
なお、第一画素51Aと第二画素52Aとで、反射層20の構成を同一として、第一パターン12の凸部の高さh1を変えることによって色相を異ならせるためには、反射層20を以下のように構成することが好ましい。すなわち、平坦面に反射層20を積層した場合における反射層20からの反射光のピーク波長が、第一画素51Aにて発色させる色相の光の波長と、第二画素52Aにて発色させる色相の光の波長との間に位置するように、反射層20を構成することが好ましい。
第一パターン12の凸部の高さh1を変えることにより、反射層20を構成する各層の形状が変わって光路長が変化することや、凹凸構造が効率的に散乱させる光の波長域が変化することが起こり、こうした現象等に起因して、発色構造体に視認される色相が変化すると考えられる。
また、画素51A,52Aの構成に、発色構造体の構成、すなわち、基材9に積層された凹凸層10を有している構成が適用される場合、この凹凸構造は、例えば、以下のように形成される。すなわち、ナノインプリント法を利用して、各表示領域51,52に対応する部分で凹凸の高さを変えたモールドが用いられ、各画素51A,52Aの凹凸層10の凹凸構造が同時に形成される。
こうしたモールドは、表示領域51,52に対応する部分ごとに、リソグラフィやドライエッチングを行うことにより形成されてもよい。また例えば、以下の方法によれば、より簡便にモールドの形成が可能である。すなわち、荷電粒子線リソグラフィに用いられるレジストに対して照射する荷電粒子線の線量を表示領域51,52ごとに変え、各表示領域51,52について所望の高さの凹凸が形成されるように現像時間を調整してレジストパターンを形成する。レジストパターンの表面に例えばニッケル等の金属層を電鋳によって形成した後、レジストを溶解することによって、ニッケル製のモールドが得られる。
なお、表示体50が含む表示領域の数、すなわち、発色構造体から構成される画素が配置されて、互いに異なる色相の色を呈する表示領域の数は特に限定されず、表示領域の数は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。さらに、表示領域には、発色構造体から構成された表示要素が含まれればよく、表示要素は、ラスタ画像を形成するための繰返しの最小単位である画素に限らず、ベクタ画像を形成するためのアンカを結んだ領域であってもよい。
複数の表示要素を備え、上記発色構造体から構成されている表示体を時計の文字盤に用いると、意匠性が高い上に、LEDなどのランプや太陽放射光に対して、任意の透過性を確保できるため、暗闇で明るく表示したり、放射された光を太陽電池で蓄電することも可能となるため、好ましい。
複数の表示要素を備え、上記発色構造体から構成されている表示体をより好ましくは自動車用部品に用いると、意匠性が高い上、耐候性や防汚性の高い外装、内装用部品として用いることができるため、好ましい。
発色構造体が第一の構造の凹凸構造を有する構成であれば、凸部によって反射光の拡散効果が得られ、反射層20からの反射光として特定の波長域の光が広い角度で観察される。
発色構造体が第二の構造の凹凸構造を有する構成であれば、凸部によって反射光の拡散効果と回折効果とが得られ、反射層20からの反射光として特定の波長域の光が広い観察角度で観察可能であるとともに、この反射光の強度が高められることにより光沢感のある鮮やかな色が視認される。
発色構造体が第二の構造の凹凸構造を有する構成において、第二パターンの帯状部の投影像が構成する第二パターンにて、複数の帯状部が第一方向と第二方向との各々に沿って並び、帯状部の配列間隔の平均値および標準偏差の少なくとも一方が、第一方向に沿った配列間隔と第二方向に沿った配列間隔とで異なる構成によれば、第一パターンの帯状部による反射光の散乱効果の第一方向への影響と第二方向への影響との違いに応じて、第二パターンの帯状部による反射光の回折効果を調整することができる。また、帯状部における第一方向の配列間隔の平均値と第二方向の配列間隔の平均値との各々が1μm以上100μm以下である構成では、反射光の回折効果が好適に発現される範囲で上記反射光の回折効果の調整を行うことができる。
発色構造体から構成される画素を備える表示体50にて、第一画素51Aと第二画素52Aとにおいて、反射層20を構成する各層の材料および膜厚は一致し、凹凸層における凸部の高さが異なる構成では、第一画素51Aの位置する領域と第二画素52Aの位置する領域とに互いに異なる色相の色が視認される。そして、第一画素51Aと第二画素52Aとにおいては反射層20の構成が一致しているため、各画素51A,52Aの位置する領域ごとに反射層20を形成する必要がなく、互いに異なる色相を呈する画素51A,52Aを有する表示体50を簡便な製造工程によって形成することができる。
ナノインプリント法を用いて凹凸層の凹凸構造が形成される製造方法によれば、微細な凹凸構造を好適に、かつ、簡便に形成することができる。そして、ナノインプリント法として、光ナノインプリント法もしくは熱ナノインプリント法が用いられる製造方法であれば、ナノインプリント法による凹凸構造の形成が、好適、かつ、簡便に実現される。
表示体50が含む画素には、上記仮想平面にて凹凸層における凹凸構造の延びる方向が互いに異なる画素が含まれてもよい。具体的には、任意の画素での凸部の延びる方向である第二方向と、この画素とは異なる画素での凸部の延びる方向である第二方向とが、異なる方向であり、例えばこれらの方向が直交する構成であってもよい。こうした構成によれば、画素によって、反射層20からの反射光が拡散される方向を変えることが可能であり、多彩な像の表現が可能である。
なお、反射層20は、凹凸層における凸部の側面にも成膜されるため、反射層20における凹凸構造の凸部の幅は、凹凸層における凸部の幅よりもやや広がる。凹凸構造の延びる方向が互いに異なる画素が相互に隣接する部分において、延びる方向の異なる凸部の間で反射層20における上述のように広がった部分が連なり、反射層20における凹凸構造に崩れが生じると、各画素から所望の発色が所望の方向に得られ難くなる。そのため、凹凸構造の延びる方向が互いに異なる画素の間には、凹凸層に凹凸が形成されていない領域が設けられていることが好ましい。また、延びる方向が同一の凹凸構造を有する画素間においても、凹凸層に凹凸が形成されていない領域が設けられていてもよく、こうした構成によれば、反射層20の広がりに起因した凹凸構造の崩れが画素の端部にて抑えられ、各画素の全体から所望の発色が得られやすくなる。画素間に設けられる凹凸が形成されていない領域の幅は、例えば、反射層20の膜厚の1/2以上であることが好ましい。
凹凸層の凹凸構造を構成する凸部は、基部から頂部に向かって第一方向の幅が徐々に小さくなる構成を有していてもよい。こうした構成によれば、凸部に反射層20が成膜されやすくなる。この場合、第一方向の長さd1や長さd3は、凸部の底面が構成するパターンにて規定される。
上述した発色構造体および発色構造体を含む表示体の製造方法について、具体的な実施例を用いて説明する。
<実施例1>
実施例1は、発色構造体が画素に適用された表示体である。実施例1の表示体が有する画素は、基材に第一の構造の凹凸構造が形成された発色構造体から構成される。
まず、光ナノインプリント法で用いる凹版であるモールドを用意した。具体的には、光ナノインプリント法において照射する光として、365nmの波長の光を用いたため、この波長の光を透過する合成石英をモールドの材料として用いた。モールドの形成に際しては、まず、合成石英基板の表面に、クロム(Cr)からなる膜をスパッタリングによって成膜し、電子線リソグラフィによって電子線レジストパターンをCr膜上に形成した。
形成したパターンは、図3に示した複数の帯状部の集合からなるパターンである。画素となる領域は、一辺が130mmの正方形であり、第一方向における上記帯状部の長さは380nmであり、第二方向における上記帯状部の長さは、平均値が2400nm、標準偏差が580nmの正規分布から選択される長さである。上記パターンにおいて、複数の帯状部は第一方向に重ならないように配列されている。使用したレジストはポジ型であり、膜厚は200nmとした。
次に、塩素(Cl2)と酸素(O2)との混合ガスに高周波を印加して発生させたプラズマにより、レジストから露出した領域のCr膜をエッチングした。続いて、六弗化エタンガスに高周波を印加して発生させたプラズマによりレジストおよびCr膜から露出した領域の合成石英基板をエッチングした。これによりエッチングした合成石英基板の深さは70nmであった。残存したレジストおよびCr膜を除去することにより、凹凸構造が形成されたモールドを得た。
続いて、モールドの表面に、離型剤としてオプツールHD−1100(ダイキン工業製)を塗布した。そして、基材として用いる合成石英ウエハの表面に、光硬化性樹脂(PAK−02、東洋合成製)を塗布し、この樹脂にモールドの凹凸が形成されている面を押し当てて、モールドの裏面側から365nmの光を照射した。この光の照射によって光硬化性樹脂を硬化した後、合成石英ウエハおよび樹脂層をモールドから剥離した。これにより、凹凸構造を有する樹脂層が積層された合成石英ウエハが得られた。
続いて、合成石英ウエハに対してOガスを用いたプラズマによるエッチングを実施し、凹凸構造の凹部に残存している光硬化性樹脂を除去した。この工程では、O2ガスを40sccm導入し、プラズマ放電させた。次に、オクタフルオロシクロブタン(C48)とアルゴン(Ar)との混合ガスを用いたプラズマによるエッチングを実施し、樹脂層の有する凹凸構造を合成石英ウエハに転写した。この工程では、Cガスを40sccm、Arガスを60sccm導入し、プラズマチャンバー内の圧力を5mTorrに設定後、RIEパワー75W、ICPパワー400Wを印加して、プラズマ放電させた。合成石英ウエハに形成された凹凸構造における凸部の高さは100nmとした。
次に、ジメチルスルホキシド:モノエタノールアミン=7:3の混合液(ST−105、関東化学製)を用いた有機洗浄、および、硫酸および過酸化水素水を基本成分とする混合水溶液(SH−303、関東化学製)を用いた酸洗浄を行い、第一の構造である凹凸構造を有する基材である合成石英ウエハを得た。
次に、上記合成石英ウエハの凹凸を有する表面に、真空蒸着によって、膜厚が50nmである反射層としてのAl膜と、膜厚が200nmである薄膜層としてのTiO2膜とを
順に成膜し、発色構造層を形成した。
<実施例2>
実施例2は、発色構造体が適用された表示体である。実施例2の表示体は、基材上に凹凸構造を備えた凹凸層、反射層、薄膜層が形成された発色構造層から構成される。
まず、光ナノインプリント法で用いる凹版であるモールドを用意した。具体的には、光ナノインプリント法において照射する光として、365nmの波長の光を用いたため、この波長の光を透過する合成石英をモールドの材料として用いた。モールドの形成に際しては、まず、合成石英基板の表面に、クロム(Cr)からなる膜をスパッタリングによって成膜し、電子線リソグラフィによって電子線レジストパターンをCr膜上に形成した。
形成したパターンは、図3に示した複数の帯状部の集合からなる第一パターンである。第一方向における上記帯状部の長さ(幅)は300nmであり、第二方向における上記帯状部の長さは、平均値が2000nm、標準偏差が500nmの正規分布から選択される長さである。上記パターンにおいて、複数の帯状部は第一方向に重ならないように配列されている。使用したレジストはポジ型であり、膜厚は200nmとした。
続いて、塩素(Cl2)と酸素(O2)との混合ガスに高周波を印加して発生させたプラズマにより、レジストから露出した領域のCr膜をエッチングした。続いて、六弗化エタンガスに高周波を印加して発生させたプラズマによりレジストおよびCr膜から露出した領域の合成石英基板をエッチングした。これによりエッチングした合成石英基板の深さは70nmであった。残存したレジストおよびCr膜を除去することにより、第一構造に対応する凹凸構造が形成された合成石英基板を得た。
次に、上記凹凸構造が形成された合成石英基板の表面に、Crからなる膜をスパッタリングによって成膜し、電子線リソグラフィによって電子線レジストパターンをCr膜上に形成した。形成したパターンは、図4に示した複数の帯状部からなる第二パターンである。第一方向における上記帯状部の長さ(幅)は200nmであり、第一方向における上記帯状部の配列間隔は、平均値が2000nm、標準偏差が500nmである。使用した電子線レジストはポジ型であり、膜厚は200nmとした。
続いて、塩素(Cl2)と酸素(O2)との混合ガスに高周波を印加して発生させたプラズマにより、レジストから露出した領域のCr膜をエッチングした。続いて、六弗化エタンガスに高周波を印加して発生させたプラズマによりレジストおよびCr膜から露出した領域の合成石英基板をエッチングした。これによりエッチングした合成石英基板の深さは65nmであった。残存したレジストおよびCr膜を除去した後、合成石英基板の表面に、離型剤としてオプツールHD−1100(ダイキン工業製)を塗布した。これにより、第二構造に対応する凹凸構造が形成されたモールドを得た。
次に、片面に易接着処理が施されたポリエステルフィルム(コスモシャインA4100、東洋紡製)の易接着処理が施された面に、光硬化性樹脂(PAK−02、東洋合成製)を塗布し、この樹脂にモールドの凹凸が形成されている面を押し当てて、モールドの裏面側から365nmの光を照射した。この光の照射によって光硬化性樹脂を硬化した後、ポリエステルフィルムおよび凹凸層をモールドから剥離した。これにより、第一の帯状構造及び第二の帯状構造からなる凹凸構造体を有する凹凸層が積層された基材であるポリエステルフィルムが得られた。
得られた基材と凹凸層との積層体の凹凸構造を有する面に、真空蒸着によって、膜厚が50nmである反射層としてのAl膜と、膜厚が200nmである高屈折率層としてのTiO2膜を順に成膜し、発色構造層を形成した。
上記とは異なるバッチの、基材と凹凸層との積層体の凹凸構造を有する面に、真空蒸着によって、膜厚が50nmである反射層としてのAl膜と、膜厚が80nmである高屈折率層としてのTiO2膜と膜厚が70nmである低屈折率層であるSiO2と膜厚が150nmである高屈折率層としてのTiO2膜を順に成膜し、発色構造層を形成した。
<実施例3>
上記とは異なるバッチの、基材と凹凸層との積層体の凹凸構造を有する面に、真空蒸着によって、膜厚が80nmである高屈折率層としてのTiO膜と膜厚が70nmである低屈折率層であるSiO膜とを順に成膜し、干渉層とした。その後、凹凸層とは異なる面に膜厚が50nmである反射層としてのAl膜を真空蒸着し、発色構造層を形成した。
<実施例4>
上記とは異なるバッチの、基材と凹凸層との積層体の凹凸構造を有する面に、真空蒸着によって、膜厚が70nmである低屈折率層であるSiOと膜厚が80nmである高屈折率層としてのTiO膜を順に成膜し、干渉層とした。その後、凹凸構造を有する面に膜厚が50nmである反射層としてのAl膜を真空蒸着し、発色構造層を形成した。
1,1A,1B,1C,1D・・・発色構造体
9・・・基材
10,10A・・・凹凸層
100・・・平坦領域
11,11A・・・第一面
110・・・第二面
12・・・第一パターン
121a,121b・・・第一パターンの帯状部
122a,122b・・・第一パターンの帯状部
123・・・第一パターンの帯状部
124a,124b・・・第一パターンの帯状部
125a,125b・・・第一パターンの帯状部
13・・・第一パターンの凹部
14・・・第二パターン
141〜143・・・第二パターンの帯状部(第二の帯状部)
15・・・第二パターンの凹部
16・・・第一パターンの帯状部のみからなる領域
17・・・第二パターンの帯状部のみからなる領域
18・・・第一及び第二パターンの帯状部が重なっている領域
19・・・凹部
20・・・反射層
31・・・干渉層
31a・・・高屈折率層
31b・・・低屈折率層
50・・・表示体
51・・・第一表示領域
51A・・・第一画素
52・・・第二表示領域
52A・・・第二画素

Claims (15)

  1. 第一面と、前記第一面とは反対側の面である第二面とを有し、前記第一面に凹凸構造が形成された凹凸層と、前記凹凸層の前記第一面側又は前記第二面側に配置された反射層とを備え、
    前記凹凸構造の凸面は、平面視で複数の帯状部からなる第一パターンを有し、
    前記帯状部は、第一方向に沿った幅と、前記第一方向と直交する第二方向に沿った長さとを有し、前記幅は入射光の波長より小さく、前記複数の帯状部における前記長さの標準偏差は前記幅の標準偏差よりも大きい発色構造体。
  2. 前記反射層は、前記第一面側に配置されて、前記凹凸構造の表面形状に追従していることを特徴とする請求項1に記載の発色構造体。
  3. 前記反射層は、前記凹凸層の前記第二面側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の発色構造体。
  4. 前記凹凸層は、前記第一面と前記第二面との間の厚さが20nm以上1000nm以下の範囲であることを特徴とする請求項3に記載の発色構造体。
  5. 前記凹凸構造の凸面は、平面視で、前記第一パターンと、前記第一パターンと少なくとも一部が重なる第二パターンとを有して、第一パターンと第二パターンとの重なりで多段形状を有し、
    前記第二パターンは、
    平面視で複数の第二の帯状部からなり、前記第二の帯状部は前記第一方向に沿った幅と、前記第一方向と直交する前記第二方向に沿った長さと、を有し、
    前記複数の第二の帯状部の前記第一方向での配置間隔が一定でなく、前記配置間隔の平均値が入射光の波長域における最小波長の1/2以上である請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の発色構造体。
  6. 前記凹凸層を構成する材料は、可視光領域における屈折率が1.4以上3.0以下からなる複合体、または消衰係数が2以上6以下である無機化合物を含む複合体である請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の発色構造体。
  7. 前記反射層を構成する材料は、金属、金属合金、および金属複合材料の中から選択された一つ以上の材料からなり、その選択した材料は、可視光領域における屈折率が0.2以上5.0以下、及び可視光領域における消衰係数が2以上6以下の一方又は両方を満足する請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の発色構造体。
  8. 前記凹凸構造の表面形状に追従した干渉層を有する請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の発色構造体。
  9. 前記干渉層を構成する材料は、前記凹凸層との屈折率差が0.2以上0.8以下となる化合物を含む請求項8に記載の発色構造体。
  10. 前記干渉層を構成する材料は、前記反射層との屈折率差が0.6以上1.5以下となる化合物を含む請求項8又は請求項9に記載の発色構造体。
  11. 請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の発色構造体で構成された表示要素を有する表示体。
  12. 平面内に前記表示要素を複数有し、
    その複数の前記表示要素から選択した2つの表示要素である第一表示要素および第二表示要素は、構成する各発色構造体が、同じ材料および膜厚の層構成を有し、且つ前記凹凸構造の凸部の高さが互いに異なる請求項11に記載の表示体。
  13. 請求項11または12に記載の表示体を備えた時計の文字板。
  14. 請求項11または12に記載の表示体を備えた自動車用部品。
  15. 請求項1乃至10のいずれか1項に記載された発色構造体の製造方法であって、
    凹版が有する凹凸をナノインプリント法により樹脂に転写することで前記凹凸構造を形成する工程を有する発色構造体の製造方法。
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