JP2016137666A - 光反射フィルム、ならびにこれを用いた光反射体および光反射装置 - Google Patents

光反射フィルム、ならびにこれを用いた光反射体および光反射装置 Download PDF

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Abstract

【課題】温度変化の大きな環境においても、十分な耐久性を発揮し得る光反射フィルムを提供する。【解決手段】本発明の光反射フィルムは、光入射面側より、紫外線遮蔽層、樹脂基材、下塗りポリマー層、および銀反射層が順次積層されてなる。紫外線遮蔽層および下塗りポリマー層は、特定の化学構造を有する架橋性ポリマーを含み、紫外線反射層は、紫外線反射層は、25℃時の寸法をL0、次に引張荷重50mNをかけながら1℃/分で25℃から120℃まで昇温したときの120℃時の寸法をL1、その後1℃/分で25℃へと降温したときの25℃時の寸法をL2とし、当該温度変化に伴う寸法変化率αおよびβを、それぞれ、α=(L1−L0)/L0×100[%]、β=(L2−L0)/L0×100[%]とした際の、当該寸法変化率の絶対値の和(|α|+|β|)が1.5[%]以下であることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、温度変化に対する耐久性に優れた光反射フィルム、ならびにこれを用いた光反射体および光反射装置に関する。
近年、地球温暖化は一層深刻化しており、その主因は、化石燃料の二酸化炭素といわれている。化石燃料の代替エネルギーとして、太陽光、風力、地熱などの自然エネルギーを利用した発電技術の開発が行われている。なかでも、太陽光を利用した発電は、安定性およびエネルギー量の豊富さから特に注目されている。
一方で、太陽光は、エネルギー密度が低く、エネルギーとしての貯蔵および移送が困難であるという性質を有する。そこで、現在、太陽光を電気エネルギーへと変換する技術(太陽熱発電、太陽電池)の研究・開発が盛んに行われている。
太陽熱発電は、太陽光を集光して熱源として利用する発電方式である。太陽熱発電は、太陽電池と比較して、蓄熱により昼夜を問わず発電が可能であることや、製造・保守のコストが低いという長所を有し、長期的視野で見れば、太陽電池よりも発電効率が高いと考えられている。そこで、年間を通して日照条件の良好な砂漠地帯に太陽熱発電施設を建設する計画が進められている。
太陽熱発電では、太陽光を反射体(鏡)により反射させて一か所に集光する集光装置が用いられる。当該反射体は、太陽光による紫外線や熱、風雨、砂嵐などに晒されるため、耐久性の観点から、従来はガラス製光反射体が用いられてきた。しかしながら、ガラス製光反射体は、重い、体積が大きい、輸送時コストがかかる、設置が困難、破損しやすいなどの問題点を有していた。
上記問題を解決するために、銀などの金属反射層を含む樹脂製光反射フィルムを、支持基材に貼付した光反射体が提案されている。
例えば、特許文献1では、支持体(フィルム基材)と、還元された金属粒子を含むめっき下塗りポリマー層と、銀を含有する反射層と、樹脂保護層(例えば、UV吸収剤含有PMMAフィルム)とをこの順で有する光反射フィルムが開示されている。当該文献によると、支持体と反射層との間に上記めっき下塗りポリマー層を介在させることにより、支持体であるフィルム基材と反射層との密着性が向上する、としている。
特開2014−080671号公報
しかしながら、太陽熱発電施設が建設される砂漠地帯の温室内の温度は、1日に約20℃〜100℃もの幅で変動しうる。上記特許文献1に記載されたような光反射フィルムは、このような過酷な温度変化に対する耐久性が十分でないという問題点を有していた。
そこで本発明は、温度変化の大きな環境においても、十分な耐久性を発揮し得る光反射フィルムを提供することを目的とする。
本発明の上記課題は、以下の構成により解決される。
1.光入射面側より、紫外線遮蔽層、樹脂基材、下塗りポリマー層、および銀反射層が順次積層されてなり、
前記紫外線遮蔽層および前記下塗りポリマー層は、下記式(A)で表される重合性基含有ユニットと、下記式(B)で表される非解離性官能基からなる相互作用性基含有ユニットと、下記式(C)で表されるイオン性極性基からなる相互作用性基含有ユニットとを含む共重合体;下記式(A)で表されるユニットと、下記式(B)で表されるユニットとを含む共重合体;および下記式(A)で表されるユニットと、下記式(C)で表されるユニットとを含む共重合体;からなる群から選択される少なくとも1種が架橋されてなる架橋性ポリマーを含み、
前記紫外線反射層は、25℃時の寸法をL、次に引張荷重50mNをかけながら1℃/分で25℃から120℃まで昇温したときの120℃時の寸法をL、その後1℃/分で25℃へと降温したときの25℃時の寸法をLとし、当該温度変化に伴う寸法変化率αおよびβを、それぞれ、α=(L−L)/L×100[%]、β=(L−L)/L×100[%]とした際の、当該寸法変化率の絶対値の和(|α|+|β|)が1.5[%]以下である、光反射フィルム;
上記式(A)〜(C)中、
〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、または炭素原子数1〜4の置換もしくは無置換のアルキル基を表し、
X、Y、Z、およびUは、それぞれ独立して、単結合、置換もしくは無置換の2価の有機基、エステル基、アミド基、またはエーテル基を表し、
、L、およびLは、それぞれ独立して、単結合、または置換もしくは無置換の2価の有機基を表し、
Wはめっき触媒またはその前駆体と相互作用を形成する非解離性官能基を表し、
Vはめっき触媒またはその前駆体と相互作用を形成するイオン性極性基を表す。
2.光入射面側の最外層として、波長550nmにおける屈折率が1.5以下の低屈折率層をさらに有する、上記1に記載の光反射フィルム。
3.上記1または2に記載の光反射フィルムが、支持基材に貼付されてなる、光反射体。4.上記1または2に記載の光反射フィルムが、凹面形状を有する支持基材に貼付されてなる、凹面型光反射体。
5.上記3に記載の光反射体または上記4に記載の凹面型光反射体を有する、光反射装置。
本発明によれば、温度変化の大きな環境においても、十分な耐久性を発揮し得る光反射フィルムを提供することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る光反射フィルムを模式的に表した断面図である。
以下、本発明の実施形態を説明する。ただし、本発明は以下の形態のみに制限されない。
<光反射フィルム>
本発明の一形態に係る光反射フィルムは、光入射面側より、紫外線遮蔽層、樹脂基材、下塗りポリマー層、および銀反射層が順次積層されてなる。紫外線遮蔽層および下塗りポリマー層は、下記式(A)で表される重合性基含有ユニットと、下記式(B)で表される非解離性官能基からなる相互作用性基含有ユニットと、下記式(C)で表されるイオン性極性基からなる相互作用性基含有ユニットとを含む共重合体;下記式(A)で表されるユニットと、下記式(B)で表されるユニットとを含む共重合体;および下記式(A)で表されるユニットと、下記式(C)で表されるユニットとを含む共重合体;からなる群から選択される少なくとも1種が架橋されてなる架橋性ポリマーを含む。そして、紫外線反射層は、25℃時の寸法をL、次に引張荷重50mNをかけながら1℃/分で25℃から120℃まで昇温したときの120℃時の寸法をL、その後1℃/分で25℃へと降温したときの25℃時の寸法をLとし、当該温度変化に伴う寸法変化率αおよびβを、それぞれ、α=(L−L)/L×100[%]、β=(L−L)/L×100[%]とした際の、当該寸法変化率の絶対値の和(|α|+|β|)が1.5[%]以下であることを特徴とする。
上記式(A)〜(C)中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、または炭素原子数1〜4の置換もしくは無置換のアルキル基を表し、X、Y、Z、およびUは、それぞれ独立して、単結合、置換もしくは無置換の2価の有機基、エステル基、アミド基、またはエーテル基を表し、L、L、およびLは、それぞれ独立して、単結合、または置換もしくは無置換の2価の有機基を表し、Wはめっき触媒またはその前駆体と相互作用を形成する非解離性官能基を表し、Vはめっき触媒またはその前駆体と相互作用を形成するイオン性極性基を表す。
本形態の光反射フィルムは、上記構成を有することにより、温度変化の大きな環境においても、十分な耐久性を発揮し得る。
本形態の光反射フィルムが上記効果を奏する理由は、定かではないが、本発明者は以下のように推測している。すなわち、樹脂基材の光入射面側に配置される紫外線遮蔽層を、温度変化による寸法変化の割合が小さい材料から構成することにより、温度変化の大きな環境下で使用した場合でも、樹脂基材と紫外線遮蔽層との間での剥離や、紫外線遮蔽層にクラックが生じるのを防ぐことができる。また、上記紫外線遮蔽層と、下塗りポリマー層とが特定の架橋性ポリマーを含有することにより、光反射フィルムのカールが抑制されうる。その結果、長期に亘って高い光反射率を維持することが可能となると考えられる。なお、上記メカニズムはあくまでも推測であり、本発明は当該メカニズムに何ら制限されるものではない。
以下、添付した図面を参照しながら、本形態の光反射フィルムの全体的な構造を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
図1は、本発明の一実施形態に係る光反射フィルムを模式的に表した断面図である。図1において、紙面上部の矢印は、光の入射方向を表す。図1に示す光反射フィルム10は、樹脂基材11の一方の面側(光入射面側ではない方の面側)に下塗りポリマー層12と、銀反射層13とを順次有し、樹脂基材11の他方の面側(光入射面側)に紫外線遮蔽層14を有する。すなわち、光反射フィルム10は、光入射面側から、紫外線遮蔽層14、樹脂基材11、下塗りポリマー層12、および銀反射層13が順次積層された構成を有する。
さらに、図1に示す光反射フィルム10では、任意に設けられる機能層として、銀反射層13の表面に、当該層を保護するための銀保護ポリマー層15;支持基材と貼付するための粘着層16;および光入射面側の最表層にポリメチルシロキサンを含む低屈折率層17;を有している。以下、本形態の光反射フィルムの各構成について詳細に説明する。
[樹脂基材]
樹脂基材は、紫外線遮蔽層、下塗りポリマー層、および銀反射層や、その他の任意で設けられる層を支持する機能を有する。
樹脂基材は、透明であることが好ましく、種々の樹脂フィルムを用いることができる。例えば、ポリオレフィンフィルム(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリ塩化ビニル、3酢酸セルロース、ポリイミド、ポリブチラールフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム、透明なセルロースナノファイバーフィルム等を用いることができる。これらのうち、ポリエステルフィルムを用いることが好ましい。
当該ポリエステルフィルムの中でも透明性、機械的強度、寸法安定性などの観点から、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等のジカルボン酸成分と、エチレングリコールや1,4−シクロヘキサンジメタノール等のジオール成分と、を主要な構成成分とするフィルム形成性を有するポリエステルであることが好ましい。なかでも、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートを主要な構成成分とするポリエステルや、テレフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールからなる共重合ポリエステル、およびこれらのポリエステルの2種以上の混合物を主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。
樹脂基材の材料および膜厚は、光反射フィルムの熱収縮率を樹脂基材の熱収縮率で除した値が1〜3の範囲内となるように設定されたものであることが好ましい。
なかでも樹脂基材の膜厚は、15〜200μmであることが好ましく、20〜150μmであることがより好ましく、25〜125μmであることが最も好ましい。樹脂基材の膜厚が15μm以上であると、取扱い中のシワが発生しにくくなることから好ましい。一方、樹脂基材の膜厚が200μm以下であると、光反射フィルムを支持基材と貼り合わせる際に、例えば、曲面の支持基材への追従性が良くなり、シワが発生しにくくなることから好ましい。
樹脂基材は、二軸配向ポリエステルフィルムであることが好ましいが、未延伸または少なくとも一方に延伸されたポリエステルフィルムを用いることもできる。強度向上、熱膨張抑制の観点から延伸フィルムであることが好ましい。特に自動車のフロントガラスの合わせガラスに用いられる際には、延伸フィルムであることがより好ましい。
[下塗りポリマー層]
本形態の光反射フィルムは、前述の樹脂基材と、後述の銀反射層との間に、下塗りポリマー層を必須に有する。当該下塗りポリマー層を有することにより、温度変化の大きな環境においても、十分な耐久性を有する光反射フィルムとすることができる。
本形態の下塗りポリマー層は、下記の架橋性ポリマーを含むことを特徴とする。
(架橋性ポリマー)
下塗りポリマー層は、下記式(A)で表される重合性基含有ユニットと、下記式(B)で表される非解離性官能基からなる相互作用性基含有ユニットと、下記式(C)で表されるイオン性極性基からなる相互作用性基含有ユニットとを含む共重合体;下記式(A)で表されるユニットと、下記式(B)で表されるユニットとを含む共重合体;および下記式(A)で表されるユニットと、下記式(C)で表されるユニットとを含む共重合体;からなる群から選択される少なくとも1種が架橋されてなる架橋性ポリマーを含む。
上記式(A)〜(C)中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、または炭素原子数1〜4の置換もしくは無置換のアルキル基を表し、X、Y、Z、およびUは、それぞれ独立して、単結合、置換もしくは無置換の2価の有機基、エステル基、アミド基、またはエーテル基を表し、L、L、およびLは、それぞれ独立して、単結合、または置換もしくは無置換の2価の有機基を表し、Wはめっき触媒またはその前駆体と相互作用を形成する非解離性官能基を表し、Vはめっき触媒またはその前駆体と相互作用を形成するイオン性極性基を表す。
なお、上記において、各基に置換しうる置換基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等が挙げられる。
上記において、非解離性官能基としては、シアノ基、エーテル基、アミノ基、アミド基、イミド基、ウレア基、3級のアミノ基、アンモニウム基、アミジノ基、トリアジン基、トリアゾール基、ベンゾトリアゾール基、イミダゾール基、ベンズイミダゾール基、キノリン基、ピリジン基、ピリミジン基、ピラジン基、ナゾリン基、キノキサリン基、プリン基、トリアジン基、ピペリジン基、ピペラジン基、ピロリジン基、ピラゾール基、アニリン基、アルキルアミン構造を含む基、イソシアヌル構造を含む基、ニトロ基、ニトロソ基、アゾ基、ジアゾ基、アジド基、シアノ基、シアネート基(R−O−CN)などの含窒素官能基等が挙げられる。
上記において、イオン性極性基としては、カルボン酸基、水酸基、フェノール性水酸基、カーボネート基、カルボニル基、エステル基、N−オキシド構造を含む基、S−オキシド構造を含む基、N−ヒドロキシ構造を含む基などの含酸素官能基;チオフェン基、チオール基、チオウレア基、チオシアヌール酸基、ベンズチアゾール基、メルカプトトリアジン基、チオエーテル基、チオキシ基、スルホキシド基、スルホ基、サルファイト基、スルホキシイミン構造を含む基、スルホキシニウム塩構造を含む基、スルホン酸エステル構造を含む基などの含硫黄官能基;ホスフォート基、ホスフォロアミド基、ホスフィン基、リン酸エステル構造を含む基などの含リン官能基;塩素、臭素などのハロゲン原子を含む基などが挙げられる。
また、本明細書において、有機基とは、炭素原子を含む基を意味する。
式(A)で表されるユニットにおいて、YおよびZは、それぞれ独立して、エステル基、アミド基、またはフェニレン基(−C−)であることが好ましい。Lは炭素原子数1〜10の、置換もしくは無置換の2価の有機基であることが好ましい。
式(B)で表されるユニットにおいて、Wはシアノ基またはエーテル基であることが好ましい。また、XおよびLはいずれも単結合であることが好ましい。
式(C)で表されるユニットにおいて、Vはカルボン酸基であることが好ましい。また、Vがカルボン酸基であり、かつ、LがVと連結する部分において4員〜8員の環構造を含む態様であることがより好ましい。さらに、Vがカルボン酸基であり、かつ、Lの鎖長が6原子〜18原子である態様も好ましい。当該態様のポリマーの具体例としては、特開2010−248464号公報の[化10]および[化14]に記載されたポリマーが挙げられる。
さらに、式(C)で表されるユニットにおいて、Vがカルボン酸基であり、かつ、UおよびLの少なくとも一方が単結合であることも好ましい態様の1つである。なかでも、Vがカルボン酸基であり、かつ、UおよびLのいずれも単結合である態様が最も好ましい。
下塗りポリマーは、共重合ユニット全体に対し、重合性基含有ユニット(式(A)で表されるユニット)、非解離性官能基からなる相互作用性基含有ユニット(式(B)で表されるユニット)、イオン性極性基からなる相互作用性基含有ユニット(式(C)で表されるユニット)の割合が以下の範囲であることが好ましい。以下のmol%の範囲は、その全体が100mol%になるように適宜選択される。
すなわち、式(A)で表されるユニットと、式(B)で表されるユニットと、式(C)で表されるユニットとを含む共重合体の場合には、式(A)で表されるユニット:式(B)で表されるユニット:式(C)で表されるユニット=5〜50mol%:5〜40mol%:20〜70mol%であることが好ましく、10〜40mol%:10〜35mol%:20〜60mol%であることがより好ましい。
式(A)で表されるユニットと、式(B)で表されるユニットとを含む共重合体の場合には、式(A)で表されるユニット:式(B)で表されるユニット=5〜50mol%:50〜95mol%が好ましく、10〜40mol%:60〜90mol%であるこがより好ましい。
式(A)で表されるユニットと、式(C)で表されるユニットとを含む共重合体の場合は、式(A)で表されるユニット:式(C)で表されるユニット=5〜50mol%:50〜95mol%が好ましく、10〜40mol%:60〜90mol%であるこがより好ましい。
各ユニットの割合を上記範囲とすることにより、UV露光に対する架橋性ポリマーの重合性の向上、後述の金属前駆体還元後の還元された金属粒子を含む下塗りポリマー層の抵抗値の低下、また耐湿密着力の向上等の効果が得られうる。
上記架橋性ポリマーを合成する際に用いられる溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチルなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
また、架橋性ポリマー中には、未反応の単量体を含んでいてもよい。この場合、単量体の架橋性ポリマーにおける含有量は、15質量%以下が好ましい。
本形態において、下塗りポリマー層は、上記の1種の架橋性ポリマーから構成されていてもよいし、2種以上の架橋性ポリマーが混合された形態であってもよい。また、上記架橋性ポリマー以外の他の高分子化合物が下塗りポリマー層に含まれていてもよい。この場合、他の高分子化合物の下塗りポリマー層における含有量は、下塗りポリマー層の総質量に対し、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
本形態において、上記架橋性ポリマーの重量平均分子量は、1000以上70万以下が好ましく、より好ましくは2000以上20万以下であり、さらに好ましくは5000以上10万以下である。重量平均分子量をこの範囲とすることにより、下塗りポリマー層と後述の銀反射層との間の密着強度がさらに向上しうる。また、銀反射層をめっきにより形成する場合は、アルカリ水等に対する処理液耐性が向上し、経時保存性もより良好となる、という効果も得られうる。なお、本明細書において、重量平均分子量とは、GPC(使用溶媒:N−メチルピロリドン)を用いてポリスチレン換算により測定される値であり、例えば、次の条件で測定することができる。
・カラム:ガードカラム TOSOH TSKguardcolum Super AW−H
分離カラム TOSOH TSKgel Super AWM−H(サイズ6.0mm×15cmを3本連結)
・溶離液:N−メチルピロリドン(LiBr10mM含有)
・流速:0.35mL/min
・検出方法:RI
・温度:カラム40℃、インレット40℃、RI40℃
・サンプル濃度:0.1wt%
・注入量:60μL。
また、本形態において、架橋性ポリマーの重合度としては、10量体以上のものを使用することが好ましく、より好ましくは20量体以上のものである。また、重合度の上限は1500量体以下が好ましく、1000量体以下がより好ましい。
架橋性ポリマーの具体例としては、ラジカル重合性基と非解離性官能基からなる相互作用性基を有するポリマーとして、特開2009−007540号公報の段落[0106]〜[0112]に記載のポリマーが使用できる。また、ラジカル重合性基とイオン性極性基からなる相互作用性基とを有するポリマーとしては、特開2006−135271号公報の段落[0065]〜[0070]に記載のポリマーなどが使用できる。ラジカル重合性基と、非解離性官能基からなる相互作用性基と、イオン性極性基からなる相互作用性基とを有するポリマーとしては、特開2010−248464号公報の段落[0010]〜[0128]、特開2010−84196号公報、米国特許出願公開2010−080964号明細書の段落[0030]〜[0108]に記載のポリマーなどが使用できる。
以下に、本形態において特に好適に用いられる架橋性ポリマーを挙げるが、本発明はこれらに限定されない。なお、添え字の数字は組成比(モル比)を表す。下記例示化合物の重量平均分子量は10,000〜70,000である。
下塗りポリマー層を形成する方法は、特に制限されないが、一例としては、上記樹脂基材上に、上記架橋性ポリマーの原料となる共重合体を含む下塗りポリマー層形成用組成物を含有する塗膜を形成し、エネルギーを付与して架橋構造を形成する方法が挙げられる。
下塗りポリマー層形成用組成物中の架橋性ポリマーの含有量は特に制限されないが、組成物の全量に対して、2〜50質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましい。上記範囲内であれば、組成物の取扱い性が良好となる。また、上記範囲内とすることにより、塗布液が高粘化することなく、塗膜の状態がより良好となるため、所望の塗布膜厚を得ることが容易となる。
なお、後述する金属前駆体は、下塗りポリマー層形成後に付与してもよく、また、下塗りポリマー層用組成物に当初から含有させてもよい。下塗りポリマー層形成用組成物に金属前駆体を含有させる場合の金属前駆体の含有量は、組成物の全量に対して、0.5〜90質量%が好ましく、1〜50質量%であることがより好ましい。この範囲であると、還元された金属粒子を含む下塗りポリマー層を電極として用いたときに導電性が良好でエネルギーの損失が小さい。
下塗りポリマー層形成用組成物は、架橋性ポリマーを溶解しうる溶剤を含有することが好ましい。溶剤は、特に限定されず、本技術分野において塗布液を調製する際に使用されうる溶剤が適宜採用されうる。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、1−メトキシ−2−プロパノールなどのアルコール系溶剤、酢酸などの酸、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤、ホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶剤、アセトニトリル、プロピロニトリルなどのニトリル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル系溶剤、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどのカーボネート系溶剤、この他にも、エーテル系溶剤、グリコール系溶剤、アミン系溶剤、チオール系溶剤、ハロゲン系溶剤などが挙げられる。なお、これらの溶剤は1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用しても構わない。
下塗りポリマー層形成用組成物中の溶剤の含有量は特に制限されないが、組成物の全量に対して、50〜95質量%が好ましく、70〜90質量%がより好ましい。上記範囲内であれば、組成物の取扱い性に優れ、下塗りポリマー層の膜厚の制御などがしやすくなる。
下塗りポリマー層形成用組成物において、イオン性極性基を塩基で中和し、親水性の度合いを上げることで、溶剤として水を使用することもできる。水は、不純物を含まないことが好ましく、RO水や脱イオン水、蒸留水、精製水などが好ましく、脱イオン水や蒸留水がより好ましい。
溶剤として水を使用する場合、塗布時の塗布性を考慮すると、水と水溶性有機溶剤とを併用することが好ましく、その際の水溶性有機溶剤の含有量は、溶剤の全量に対して、20質量%〜90質量%であることが好ましい。ここで、水溶性有機溶剤とは、上記の含有量の範囲において水と溶解しうるものを意味する。このような性質を有している有機溶剤であれば、特に限定されず、組成物の溶剤として用いることができる。水溶性有機溶剤としては、例えば、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、アミン系溶媒、チオール系溶媒、ハロゲン系溶媒などが好ましく用いられる。
下塗りポリマー層形成用組成物は、架橋構造を形成する際のエネルギー付与に対する感度を高めるために、活性種を発生しうる材料を含有することが好ましい。活性種を発生しうる材料としては、各種のラジカル開始剤が好適である。
ラジカル開始剤としては、熱重合開始剤、光重合開始剤などが用いられ、熱重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、アゾイソブチロニトリルなどのような過酸化物開始剤、およびアゾ系開始剤などを使用することができる。
光重合開始剤としては、一般に使用される公知の低分子化合物または高分子化合物が使用される。
低分子の光重合開始剤としては、例えば、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、2,2’−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンなどのアセトフェノン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドなどのホスフィンオキサイド類;ベンゾフェノン、4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類;ベンジルジメチルケタール、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのベンジルケタール類;ミヒラーのケトン;ベンゾイルベンゾエート;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどのベンゾイン類;2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン類;およびその他の化合物(α−アシロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、トリクロロメチルトリアジンなど)等が挙げられる。また通常、光酸発生剤として用いられるスルホニウム塩やヨードニウム塩なども光照射によりラジカル発生剤として作用するため、これらを用いてもよい。
高分子の光重合開始剤としては、特開平9−77891号、特開平10−45927号の各公報に記載の活性カルボニル基を側鎖に有する高分子化合物や、特開2004−161995号公報に記載の重合開始基が側鎖にペンダントしてなるポリマーも使用することができる。また既述の低分子の光重合開始剤をその骨格中に有する高分子化合物も用いることができる。
なお、これらのラジカル開始剤は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用しても構わない。
下塗りポリマー層形成用組成物中の重合開始剤の含有量は特に制限されないが、組成物の全量(ただし、後述の溶剤を除く)に対して、0.05〜30質量%程度であることが好ましく、0.1〜10.0質量%程度であることがより好ましい。
また、上記以外にも、下塗りポリマー形成用組成物には、必要に応じて、増感剤、界面活性剤、可塑剤、重合禁止剤、硬化剤、硬化促進剤などの添加剤を適宜添加してもよい。
樹脂基材上に下塗りポリマー層形成用組成物の塗膜を形成する方法は、特に制限されず、下塗りポリマー層形成用組成物中に樹脂基材またはこれを含む積層体を浸漬する方法(ディップコータ)や、下塗りポリマー層形成用組成物を樹脂基材またはこれを含む積層体の表面に塗布する方法(塗布法)などが挙げられる。下塗りポリマー層の厚みを制御しやすいという観点から、塗布法が好ましい。
塗布法を用いる場合の具体的な方法としては、ダブルロールコータ、スリットコータ、エアナイフコータ、グラビアコータ、ワイヤーバーコータ、スライドホッパー、スプレーコーチィング、ブレードコータ、ドクターコータ、スクイズコータ、リバースロールコータ、トランスファーロールコータ、エクストロージョンコータ、カーテンコータ、ダイコータ、グラビアロールによる塗工法、押し出し塗布法、ロール塗布法等が挙げられるが、これらに制限されない。
また上記以外の方法として、蒸着やインクジェットにより下塗りポリマー層を形成してもよい。インクジェットを用いた場合、下塗りポリマー層を形成する領域を制御することができ、露光におけるマスキングが不要になる。
下塗りポリマー層形成用組成物を樹脂基材上に塗布する場合の、塗布量は、特に制限されないが、固形分換算で0.05〜10g/mが好ましく、0.3〜5g/mがより好ましい。このような範囲とすることにより、後述する金属前駆体との充分な相互作用形成性を発揮させることができる。
下塗りポリマー層形成用組成物を樹脂基材上に塗布した後、必要に応じて溶剤等を除去するための乾燥工程を設けることが好ましい。乾燥条件としては20〜60℃で0〜2時間乾燥した後に、60℃以上で0〜2時間乾燥することが好ましく、20〜60℃で1秒〜20分間乾燥した後に、60℃以上で0〜2時間乾燥することがより好ましい。
次に、上記方法で得られた塗膜にエネルギーを付与し、共重合体中に含まれる重合性基が反応し、架橋構造が導入され、下塗りポリマー層が形成される。
エネルギー付与方法は、特に制限されないが、例えば、露光等の輻射線照射を用いることができる。具体的には、UVランプ、可視光線などによる光照射が用いられうる。
露光で使用する光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、などがある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。また、g線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用される。
またアーク放電やグロー放電などによるプラズマ照射もエネルギー付与の手法として用いることができる。
露光量は、特に制限されないが、10〜8000mJ/cmの範囲であることが好ましく、100〜3000mJ/cmの範囲であることがより好ましい。この範囲であると、重合反応が容易に進行する、架橋性ポリマーの分解が抑制される、または、架橋性ポリマーが良好な相互作用を形成する、といった効果が得られる。
さらに、エネルギー付与後に、適宜、未反応のポリマーを除去する工程を行ってもよい。除去方法としては、溶媒を使用する方法が挙げられ、例えば、ポリマーを溶解する溶剤や、アルカリ可溶性のポリマーの場合はアルカリ系現像液(炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、アンモニア水、水酸化ナトリウム水溶液)などを下塗りポリマー層に接触させることで未反応のポリマーを除去することができる。
下塗りポリマー層の厚みは特に制限されないが、後に形成される反射層となる金属膜との密着性の点から、0.05〜10μmが好ましく、0.3〜5μmがより好ましい。
また、乾燥重量で0.05〜10g/mが好ましく、特に0.3〜5g/mが好ましい。
下塗りポリマー層の銀反射層側の表面粗さRaは、20nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがより好ましく、5nm以下であることが更に好ましい。この範囲内であると、銀反射層が平滑になり、光反射性が良好となる。なお、本明細書において、表面粗さRaは、原子間力顕微鏡(AFM)(セイコーインスツルメンツ製、SPA−400)にて測定した値を採用するものとする。
(還元された金属粒子)
本形態の下塗りポリマー層は、還元された金属粒子を含んでもよい。下塗りポリマー層に還元された金属粒子を含有させる方法は、特に制限されないが、例えば、上記下塗りポリマー層に、金属前駆体を付与することにより、下塗りポリマー層の架橋性ポリマーに含まれる相互作用性基に金属前駆体を付着させ、その後、金属前駆体を還元する方法が挙げられる。また、これ以外方法として、下塗りポリマー層形成用組成物中に金属前駆体を予め含有させておき、樹脂基材上に塗膜を形成した後、還元する方法が挙げられる。
金属前駆体としては、還元反応により金属に変化させることで電極として機能するものであれば、特に制限なく使用することができる。また、金属前駆体としては、銀反射層の形成工程において、めっきの電極として機能するものが好ましく挙げられる。そのため、金属前駆体は、金属に還元させることで電極として機能するものが好ましい。具体的としては、Auイオン、Ptイオン、Pdイオン、Agイオン、Cuイオン、Niイオン、Alイオン、Feイオン、Coイオンなどの金属イオンが挙げられる。中でも、多座配位可能なものが好ましく、特に、配位可能な官能基の種類、数、および触媒能の点で、Agイオン、Cuイオン、Pdイオンが好ましい。
上記金属イオン源となる金属塩としては、適切な溶剤に溶解して金属イオンと塩基(陰イオン)とに解離されるものであれば特に制限はなく、M(NO、MCl、M2/n(SO)、M3/n(PO)(Mは、n価の金属原子を表す)などが挙げられる。
本形態で用いられる金属前駆体の好ましい例の一つとして、銀イオンが挙げられる。銀イオンを用いる場合、以下に示すような銀化合物が解離したものを好適に用いることができる。銀化合物の具体例としては、硝酸銀、酢酸銀、硫酸銀、炭酸銀、シアン化銀、チオシアン酸銀、塩化銀、臭化銀、クロム酸銀、クロラニル酸銀、サリチル酸銀、ジエチルジチオカルバミン酸銀、ジエチルジチオカルバミド酸銀、p−トルエンスルホン酸銀が挙げられる。この中でも、水溶性の観点から硝酸銀が好ましい。
上記下塗りポリマー層に、金属前駆体を付与する方法としては、金属前駆体を含む分散液または溶液に、上記下塗りポリマー層を含む積層体を浸漬させる方法などが挙げられる。金属前駆体の分散液または溶液に用いる溶媒としては、水や有機溶媒が用いられる。水や有機溶剤を含有することで、下塗りポリマー層に金属前駆体が浸透しやすくなり、相互作用性基に効率よく金属前駆体を吸着させることができる。
上記水としては、不純物を含まないことが好ましい。そのような観点から、RO水や脱イオン水、蒸留水、精製水などを用いるのが好ましく、脱イオン水や蒸留水を用いるのがより好ましい。また、上記有機溶媒としては、下塗りポリマー層に浸透しうる溶媒であれば特に制限されず、例えば、アセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、エチレングリコールジアセテート、シクロヘキサノン、アセチルアセトン、アセトフェノン、2−(1−シクロヘキセニル)シクロヘキサノン、プロピレングリコールジアセテート、トリアセチン、ジエチレングリコールジアセテート、ジオキサン、N−メチルピロリドン、ジメチルカーボネート、ジメチルセロソルブなどを用いることができる。
次に、金属前駆体を還元する方法について説明する。金属前駆体である金属イオンは、金属活性化液(還元液)により還元することができる。金属活性化液は、金属前駆体(主に金属イオン)を0価金属に還元できる還元剤と該還元剤を活性化するためのpH調整剤からなる。
還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミンボランのようなホウ素系還元剤、ホルムアルデヒド、次亜リン酸などの還元剤を使用することが可能である。特に、ホルムアルデヒドを含有するアルカリ水溶液で還元することが好ましい。
pH調整剤としては、酢酸、塩酸、硫酸、硝酸、炭酸水素ナトリウム、アンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを使用することが可能である。
なお、金属活性化液中の還元剤の濃度は、0.05〜50質量%であることが好ましく、0.1〜30質量%であることがより好ましい。また、金属活性化液中のpH調整剤の濃度は、0.05〜10質量%の範囲であることが好ましく、0.1〜5質量%の範囲であることがより好ましい。還元時の温度は、10℃〜100℃が好ましく、20℃〜70℃がより好ましい。濃度や温度が上記範囲であると、金属前駆体の粒子径、下塗りポリマー層の表面粗さ、導電性(表面抵抗値)等を良好な範囲とすることができるとともに、還元液の劣化を防ぐことができる。
下塗りポリマー層に含まれる還元された金属粒子の粒子径は、1nm以上200nm以下が好ましく、1nm以上100nm以下がより好ましく、1nm以上60nm以下であることがさらに好ましい。この範囲内にあることで、銀反射層の反射率が良好となる。なお、ここで粒子径とは、平均1次粒子径(体積換算)のことであり、本明細書では、SEM(日立ハイテクマニファクチャ&サービス社製、S−5200)画像から読み取った値を採用するものとする。
還元された金属粒子を含む場合の下塗りポリマー層の表面抵抗値は、0.001Ω/□以上100Ω/□以下であることが好ましく、0.03Ω/□以上50Ω/□以下であることがより好ましい。この範囲内であると、銀反射層をめっきにより形成する場合に、均一で平滑なめっき面が形成され反射率が良好となる。なお、本明細書において、表面抵抗値は、表面抵抗計(三菱化学製、ロレスターGP MCP−T600)にて測定した値を採用するものとする。
[銀反射層]
銀反射層は、光反射フィルムの本質的な機能である、光を反射する機能を有する層である。
本形態における銀反射層は、銀を主成分とする。ここで、主成分とは、銀反射層に含まれる金属原子の全量を100原子%とした場合において、銀原子の含有量が50原子%超であることを意味する。本形態の銀反射層は、耐久性を向上させる観点から、銀以外の金属を含んでもよい。
また、本形態の銀反射層は、耐久性を向上させる観点から、銀以外の他の金属を含んでもよい。他の金属をとしては、例えば、アルミニウム、クロム、ニッケル、チタン、マグネシウム、ロジウム、プラチナ、パラジウム、スズ、ガリウム、インジウム、ビスマスおよび金からなる群から選択される少なくとも1種の金属や、これら他の金属と銀との合金などが挙げられる。上記のような銀の合金が銀反射層の主成分である場合には、銀反射層における銀と他の金属との合計(100原子%)中、銀原子は90〜99.8原子%であることが好ましく、他の金属原子は、耐久性の観点から、0.2〜10原子%であることが好ましい。特に、高温耐湿性および反射率の点から、他の金属として金がより好ましい。
本形態において、銀反射層の表面反射率は、好ましくは80%以上であり、より好ましくは90%以上である。当該表面反射率は、市販の分光光度計、例えばU−4100(日本分光株式会社製)を用いて測定することができる。
また、本形態の光反射フィルムは、2層以上の銀反射層を有いていてもよい。2層以上とすることにより、赤外領域から可視光領域までの反射率を高め、入射角による反射率の依存性を低減できる。なお、赤外領域から可視光領域とは、400〜2500nmの波長領域を意味する。入射角とは、フィルムミラーの膜面に対して垂直な線(法線)に対する角度を意味する。
銀反射層の形成法としては、湿式法及び乾式法のどちらも使用することができる。湿式法とは、めっき法の総称であり、溶液から金属を析出させ膜を形成する方法である。具体例をあげるとすれば、銀鏡反応などがある。一方、乾式法とは、真空製膜法の総称であり、具体的に例示するとすれば、抵抗加熱式真空蒸着法、電子ビーム加熱式真空蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト真空蒸着法、スパッタ法などがある。本形態では、めっき法(湿式法)を用いて銀反射層を形成する製造方法であることが好ましい。
以下、銀反射層の形成方法の好ましい例として、電気めっきにより形成する場合について説明する。電気めっきの方法としては、従来公知の方法を用いることができる。本発明においては、下塗りポリマー層が還元された金属粒子を含む場合、電極として機能することができるため、下塗りポリマー層に対して電気めっきを行うことにより、銀反射層を形成できる。
なお、下塗りポリマー層と銀反射層との間に、例えば、銅、ニッケル、クロム、鉄などの他の金属を含有する金属層を下地金属層として有していてもよい。
また、電気めっきにより得られる銀反射層の膜厚は、めっき浴中に含まれる金属濃度、または、電流密度などを調整することで制御することができる。適切な厚みの下地金属層を入れることで、表面平滑化による反射率向上やピンホール低減が可能となる。
銀反射層の膜厚は、ピンホールなく反射膜を形成する観点、および銀反射層の表面に光を散乱させるような凹凸を作らないという観点から、0.05〜2.0μmであることが好ましく、0.08〜0.5μmがより好ましい。
また、金属前駆体が還元された金属粒子を含む下塗りポリマー層を利用して真空蒸着等の乾式めっきを行って、銀反射層を形成してもよい。この場合、表面が金属で覆われているため通常の蒸着等よりも密着性がよく、かつ、熱に対しても強い銀反射層を形成することができる。更に、電気めっきの後、銀反射層の反射性能をより向上させたり、銀反射層層の耐久性を向上させるために、銀反射層を強酸や強アルカリ等で処理してもよい。また、金属表面に無機皮膜や金属酸化皮膜を形成してもよい。また、変色防止剤で処理をして変色防止剤層を設けてもよい。変色防止剤層は、銀反射層の変色防止として機能する。変色防止剤としては、チオエーテル系、チオール系、Ni系有機化合物系、ベンゾトリアゾール系、イミダゾール系、オキサゾール系、テトラザインデン系、ピリミジン系、チアジアゾール系が挙げられる。
[紫外線遮蔽層]
本形態の光反射フィルムは、上記樹脂基材よりも光入射面側に、紫外線遮蔽層を必須に有する。紫外線遮蔽層は、紫外線により銀反射層や、樹脂基材および下塗りポリマー層等が劣化するのを抑制する機能を有する。
本形態において、紫外線遮蔽層は、前述の下塗りポリマー層の項で説明した架橋性ポリマーを必須に含むことを特徴の一つとする。架橋性ポリマーの定義や好ましい形態等は、上述の下塗りポリマー層の項で説明したのと同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
紫外線遮蔽層は、架橋性ポリマー以外に、紫外線吸収剤を含みうる。かような紫外線吸収剤には特に制限はなく、例えばチアゾリドン系、ベンゾトリアゾール系、アクリロニトリル系、ベンゾフェノン系、アミノブタジエン系、トリアジン系(例えば、Tinuvin477、479(BASF製))、サリチル酸フェニル系、ベンゾエート系などの有機系の紫外線吸収剤、あるいは酸化セリウム、酸化マグネシウムなどの微粉末系の紫外線遮断剤や酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄などなどがあり、特に有機系の紫外線吸収剤が好ましい。
有機系の紫外線吸収剤として、例えば特開昭46−3335号、同55−152776号、特開平5−197074号、同5−232630号、同5−307232号、同6−211813号、同8−53427号、同8−234364号、同8−239368号、同9−31067号、同10−115898号、同10−147577号、同10−182621号各公報、独国特許第19739797A号、欧州特許第711804A号各公報および特表平8−501291号公報、米国特許第1,023,859号、同第2,685,512号、同第2,739,888号、同第2,784,087号、同第2,748,021号、同第3,004,896号、同第3,052,636号、同第3,215,530号、同第3,253,921号、同第3,533,794号、同第3,692,525号、同第3,705,805号、同第3,707,375号、同第3,738,837号、同第3,754,919号、英国特許第1,321,355号明細書などに記載されている化合物を用いることができる。
これら紫外線吸収剤のなかでも、分子量が400以上の紫外線吸収剤は、高沸点で揮発しにくく、高温成形時にも飛散しにくいため、比較的少量の添加で効果的に耐候性を改良することができる。また、分子量が400以上の紫外線吸収剤は、紫外線遮蔽層に隣接する他の層への移行性も小さく、積層体の表面にも析出しにくいため、含有された紫外線吸収剤量が長時間維持され、耐候性改良効果の持続性に優れるなどの点から好ましい。
分子量が400以上の紫外線吸収剤としては、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2−ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールなどのベンゾトリアゾール系、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートなどのヒンダードアミン系、さらには2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、1−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどの分子内にヒンダードフェノールとヒンダードアミンの構造を共に有するハイブリッド系のものが挙げられ、これらは単独で、あるいは2種以上を併用して使用することができる。これらのうちでも、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2−ベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]が特に好ましい。
また、紫外線吸収剤としては上記した以外に、紫外線の保有するエネルギーを分子内で振動エネルギーに変換し、その振動エネルギーを熱エネルギーなどとして放出する機能を有する化合物を用いることもできる。さらに、酸化防止剤あるいは着色剤などとの併用により効果を発現するもの、あるいはクエンチャーと呼ばれる、光エネルギー変換剤的に作用する光安定剤なども併用することができる。但し、上記の紫外線吸収剤を使用する場合は、紫外線吸収剤の光吸収波長が、架橋性ポリマーを形成する際の光重合開始剤の有効波長と重ならないものを選択する必要がある。通常の紫外線吸収剤を使用する場合は、可視光でラジカルを発生する光重合開始剤を使用することが有効である。
なお、上記紫外線吸収剤はそれぞれ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。また、必要により、上記紫外線吸収剤以外の紫外線吸収剤、例えば、サリチル酸誘導体、置換アクリロニトリル、ニッケル錯体などを含有させることもできる。
紫外線遮蔽層への紫外線吸収剤の含有量(固形分換算)は、特に制限されないが、紫外線遮蔽層に対して、0.1〜25質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜20質量%、さらに好ましくは1〜15質量%である。また、紫外線吸収剤の紫外線遮蔽層への含有量(フィルム単位面積当たりの含有量)もまた特に制限されないが、好ましくは0.17〜2.28g/m、より好ましくは0.4〜2.28g/mである。紫外線吸収剤の含有量を上記の範囲にすることによって、耐候性能をより十分発揮しつつ、紫外線吸収剤のブリードアウトによるロールやフィルムの汚れを起こすこと(ひいては、ヘイズの上昇)をより有効に抑制・防止できる。
また、紫外線吸収基を含むポリマーを用いて紫外線遮蔽層を形成してもよい。紫外線吸収基を含むポリマーとしては、特に制限されないが、例えば、新中村化学製のニューコートUVA−204W、日本触媒製のUV−G13などが使用できる。
紫外線遮蔽層には、劣化を防止するために、酸化防止剤をさらに含有させてもよい。酸化防止剤としては、特に制限されないが、フェノール系酸化防止剤、チオール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤を使用することが好ましい。ここで、フェノール系酸化防止剤、チオール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤としては、それぞれ、国際公開第2012/165460号などに記載される公知の酸化防止剤が使用できる。
本形態における紫外線遮蔽層のもう一つの特徴は、温度変化に伴う寸法変化率が所定の範囲内である点にある。すなわち、紫外線遮蔽層は、25℃時の寸法をL、次に引張荷重50mNをかけながら1℃/分で25℃から120℃まで昇温したときの120℃時の寸法をL、その後1℃/分で25℃へと降温したときの25℃時の寸法をLとし、当該温度変化に伴う寸法変化率αおよびβを、それぞれ、α=(L−L)/L×100[%]、β=(L−L)/L×100[%]とした際の、当該寸法変化率の絶対値の和(|α|+|β|)が1.5[%]以下であることを特徴とする。当該寸法変化率は、上限値が1.5%以下であることを必須し、好ましくは1.0%以下であり、より好ましくは0.75%以下であり、さらに好ましくは0.70%以下であり、最も好ましくは0.60%以下である。なお、下限値は特に制限されないが、樹脂基材との熱膨張差を考慮すると、0.01%以上であることが好ましく、0.05%以上であることがより好ましく、0.1%以上であることがさらに好ましい。なお、本明細書において、寸法変化率は後述の実施例に記載の方法により測定される値を採用するものとする。
紫外線遮蔽層の寸法変化率を上記範囲とする方法は、特に制限されないが、一例を挙げると、架橋性ポリマーの水酸基価を大きくすることにより、架橋密度が高まるため、寸法変化率を小さくすることができる。
また、寸法変化率を上記範囲とする別の方法としては、硬化剤(架橋剤)の種類や添加量を調整する方法が挙げられる。本形態では、硬化剤として、有機ポリイソシアネート系の架橋剤を用いることが好ましく、これらの硬化剤の添加量を多くすることにより架橋密度が高まり、寸法変化率を小さくすることができる。
有機ポリイソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネ−ト、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添化トリレンジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネートが挙げられる。また、これらの有機ポリイソシアネートと2官能以上のポリオールとの反応で得られるイソシアネートのポリオールアダクト、ポリメリックポリイソシアネート、イソシアヌレート変性体、カルボジイミド変性体等も使用可能である。具体的には、日本ポリウレタン工業製のコロネートL、コロネート3041、コロネート2030、コロネート2031、コロネートHL、コロネートHX、ミリオネートMTL、ミリオネートMR、住化バイエル社製のDesmodur Z4470SN等が挙げられる。
本形態において、紫外線遮蔽層の厚さは、特に制限されないが、好ましくは5〜100μmであり、より好ましくは10〜50μmである。厚さが5μm以上であると、フレキシブル性の観点から取り扱いが容易となるため好ましい。一方、厚さが100μm以下であると、光線透過率が良好となるため好ましい。
[銀保護ポリマー層]
本形態の光反射フィルムは、銀反射層の腐食を防止する目的で、銀反射層に隣接するように銀保護ポリマー層(腐食防止層とも称される)を有していてもよい。銀保護ポリマー層は、腐食防止剤およびバインダーを含みうる。
銀保護ポリマー層のバインダーとしては、例えば、セルロースエステル、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ポリノルボルネン、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、またはアクリル樹脂などを挙げることができる。なかでも、アクリル樹脂が好ましい。また、本発明の効果をより一層発揮させる観点から、銀保護ポリマー層のバインダーとして、前述の下塗りポリマー層および紫外線遮蔽層で使用したのと同様の架橋性ポリマーを用いることも好ましい。さらに、銀保護ポリマー層は、2,4−トリレンジイソシアネートなどの硬化剤を含んでもよい。
腐食防止剤としては、銀反射層を構成する銀等の金属に対する吸着性基を有することが好ましい。ここで、「腐食」とは、金属がそれをとり囲む環境物質によって、化学的もしくは電気化学的に浸食されるかまたは材質的に劣化する現象をいう(JIS Z0103:2004参照)。なお、腐食防止剤の含有量は、使用する化合物によって最適量は異なるが、一般的には0.1〜1.0g/mの範囲内であることが好ましい。
金属に対する吸着性基を有する腐食防止剤としては、例えば、アミン類およびその誘導体、ピロール環を有する化合物、ベンゾトリアゾールなどトリアゾール環を有する化合物、ピラゾール環を有する化合物、チアゾール環を有する化合物、イミダゾール環を有する化合物、インダゾール環を有する化合物、銅キレート化合物類、チオ尿素類、メルカプト基を有する化合物、ナフタレン系化合物の少なくとも1種またはこれらの2種以上の混合物から選ばれることが好ましい。ベンゾトリアゾールなどの化合物においては、紫外線吸収剤が腐食防止剤を兼ねる場合もある。また、シリコーン変性樹脂を用いることも可能である。さらに具体的には、特開2012−232538号公報の段落「0063」〜「0072」に記載の腐食防止剤を使用することができる。
銀保護ポリマー層は、1層のみからなっていてもよいし、複数層からなっていてもよい。銀保護ポリマー層の厚さは、好ましくは30〜1000nm、より好ましくは20nm〜600nmである。
[低屈折率層]
本形態の光反射フィルムは、光入射面側の最外層として、低屈折率層をさらに有することが好ましい。ここで低屈折率層とは、波長550nmにおける屈折率が1.5以下である層を意味する。光入射面側の最表層から銀反射層までの各層間の屈折率差が大きいと、各層間の界面において反射が生じうる。この現象により、特に凹面型の反射面を有する反射体では、光の反射方向にずれが生じやすくなり、集光効率が低下しやすくなる。しかしながら、最外層にこのような低屈折率層を設けることにより、上記問題が生じにくくなり、集光効率を向上させることができる。
低屈折率層を構成する材料は、特に制限されないが、本技術分野で使用されるポリシロキサン系ハードコート材料等が好適である。例えば、ポリシロキサン系ハードコート材料としては、下記一般式(1)で表される化合物が好ましい。
上記一般式(1)において、RおよびRは、それぞれ独立して、炭素原子数1〜10の直鎖状、分枝状、または環状のアルキル基を表し、mおよびnは、m+n=4の関係を満たす整数である。
具体的な化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ポロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テロラペンタエトキシシラン、テトラペンタ−iso−プロポキシシラン、テトラペンタ−n−プロポキシシラン、テトラペンタ−n−ブトキシシラン、テトラペンタ−sec−ブトキシシラン、テトラペンタ−tert−ブトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、ジメチルプロポキシシラン、ジメチルブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン等が挙げられる。また、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−β−(N−アミノベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルメトキシシラン・塩酸塩、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アミノシラン、メチルメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライドを挙げることができる。これらのメトキシ基、エトキシ基などの加水分解性基がヒドロキシ基に置換した状態のものが、一般的にポリオルガノシロキサン系ハードコート材料といわれている。
前記ポリオルガノシロキサン系ハードコート材料は、具体的にはサーコートシリーズ、BP−16N(以上、株式会社動研製)、SR2441(東レ・ダウコーニング株式会社製)、Perma−New 6000(California Hardcoating Company社製)などを利用することができる。
本形態において、低屈折率層の厚さは、特に制限されないが、0.05〜5μmが好ましく、0.06〜0.1μmがより好ましい。厚さが0.05μm以上であると、可視光領域での反射率を向上させることができる。一方、厚さが5μm以下であると、ヘイズ減少や透光性向上の観点から好ましい。
[粘着層]
本形態の光反射フィルムは、後述の支持基材に貼付するための粘着層をしていてもよい。粘着層を構成する粘着剤としては、特に制限されず、例えば、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリビニルブチラール系粘着剤、エチレン−酢酸ビニル系粘着剤等が挙げられる。
アクリル系粘着剤としては、溶剤系およびエマルジョン系どちらでもよいが、粘着力等を高め易いことから、溶剤系粘着剤が好ましく、その中でも溶液重合で得られたものが好ましい。このような溶剤系アクリル系粘着剤を溶液重合で製造する場合の原料としては、例えば、骨格となる主モノマーとして、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクリルアクリレート等のアクリル酸エステル、凝集力を向上させるためのコモノマーとして、酢酸ビニル、アクリルニトリル、スチレン、メチルメタクリレート等、さらに架橋を促進し、安定した粘着力を付与させ、また水の存在下でもある程度の粘着力を保持するために官能基含有モノマーとして、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、ヒドロキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等が挙げられる。該積層フィルムの粘着剤層には、主ポリマーとして、特に高タック性を要するため、ブチルアクリレート等のような低いガラス転移温度(Tg)を有するものが特に有用である。
この粘着層には、添加剤として、例えば安定剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、難燃剤、帯電防止剤、抗酸化剤、熱安定剤、滑剤、充填剤、着色、接着調整剤等を含有させることもできる。
粘着層の厚みは1μm〜100μmが好ましく、より好ましくは3〜50μmである。1μm以上であれば、十分な粘着力が得られる。一方、100μm以下であれば光学フィルムの透明性や、銀反射層の平滑性が向上しうる。
本形態の光反射フィルムは、上記の層以外にも、さらなる機能の付加を目的として、易接着層(接着層)、ハードコート層、紫外線吸収剤含有層、導電性層、帯電防止層、ガスバリア層、防汚層、消臭層、流滴層、易滑層、耐摩耗性層、反射防止層、電磁波シールド層、赤外線吸収層、印刷層、蛍光発光層、ホログラム層、剥離層、接着層、赤外線カット層(金属層、液晶層)、着色層(可視光線吸収層)、合わせガラスに利用される中間膜層などの機能層の1つ以上を任意の位置に有していてもよい。
<(凹面型)光反射体>
本発明の他の一形態によれば、前述の光反射フィルムが、自己支持性の基材(支持基材)に貼付されてなることを特徴とする光反射体が提供される。ここで、「自己支持性の基材」という場合の、「自己支持性」とは、光反射体の基材として用いられる大きさに断裁された場合において、その対向する端縁部分を支持することで、基材を担持することが可能な程度の剛性を有することを表す。支持基材が自己支持性を有することで、後述の光反射装置に設置する際に取り扱い性に優れるとともに、光反射体を保持するための保持部材を簡素な構成とすることが可能となるため、光反射装置を軽量化することが可能となり、例えば、太陽熱発電の太陽光反射装置として用いた際、太陽追尾の際の消費電力を抑制することが可能となる。
支持基材は、単層であってもよく、複数の層を積層させた形状であってもよい。また、単一構造であってもよく、複数に分割されていてもよい。支持基材の形状としては、光反射面側が凹面状の形状を有する又は凹面状の形状になり得ることが好ましい。すなわち、好ましい一形態によると、前述の光反射フィルムが、凹面形状を有する支持基材に貼付されてなることを特徴とする凹面型光反射体が提供される。凹面形状を有する支持基材としては、平板状から凹面状の形状に可変である支持基材を用いてもよいし、凹面状の形状に固定されている支持基材を用いてもよい。凹面状の形状に可変である支持基材は、基材の曲率を調整することで、貼付されている光反射フィルムの曲率を任意に調整することが可能となるため、反射効率を調整し、高い正反射率を得ることができるため好ましい。凹面状の形状が固定されている基材は曲率を調整する必要がなくなるため、調整費用の観点から好ましい。
支持基材の素材としては、鋼板、銅板、アルミニウム板、アルミニウムめっき鋼板、アルミニウム系合金めっき鋼板、銅めっき鋼板、錫めっき鋼板、クロムめっき鋼板、ステンレス鋼板等の金属板、ベニヤ板(好ましくは防水処理がされたもの)等の木板、繊維強化プラスチック(FRP)板、樹脂板等が挙げられる。前記材料の中でも金属板を用いることが、熱伝導率が高いという観点から好ましい。さらに好ましくは、高い熱伝導率だけでなく耐腐食性の良好な、めっき鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板などにすることである。最も好ましくは、樹脂と金属板を組み合わせた鋼板を用いることである。
表面層としての樹脂フィルムの材料としては、従来公知の種々の樹脂フィルムを用いることができる。例えば、ポリカーボネート系フィルム、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、およびセルロースエステル系フィルム、アクリルフィルムが好ましく、特にポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系フィルム又はアクリルフィルムを用いることが好ましい。この樹脂フィルムの厚さは、樹脂の種類及び目的等に応じて適切な厚さにすることが好ましい。例えば、一般的には、10〜250μmであり、好ましくは20〜200μmである。
<光反射装置>
本発明の他の一形態によれば、前述の(凹面型)光反射体を有することを特徴とする光反射装置が提供される。本形態の光反射装置は、太陽熱発電において太陽光を集光する、太陽光反射装置として好適に用いられる。本形態の光反射装置は、(凹面型)光反射体および光反射体を保持する保持部材を有する。
好ましい形態としては、当該光反射装置を太陽熱発電用として場合、内部に流体を有する筒状部材を集熱部としてフィルムミラーの近傍に設け、筒状部材に太陽光を反射させることで内部の流体を加熱し、その熱エネルギーを変換して発電する、一般的にトラフ型と呼ばれる形態が挙げられる。また、その他の形態として、タワー型と呼ばれる形態も挙げられる。タワー型の形態は、少なくとも一つの集熱部と、太陽光を反射して集熱部に照射するための少なくとも一つの太陽光反射装置を有しており、集熱部に集められた熱を用いて液体を加熱しタービンを回して発電するものがある。なお、集熱部の周囲に、太陽光反射装置が複数配置されていることが好ましい。また、それぞれの太陽光反射装置が同心円状や、同心の扇状に複数配置されていることが好ましい。また、支持タワーの周囲に設置された太陽光反射装置により、太陽光が集光鏡へと反射され、その後、集光鏡によりさらに反射し、集熱部へと送られ熱交換施設へ送られる。本形態の太陽光反射装置はトラフ型、タワー型のどちらにも用いることができ、それ以外の種々の太陽熱発電に用いることも可能である。
太陽光反射装置は、光反射体を保持する保持部材を有する。保持部材は、光反射体が太陽を追尾可能な状態で保持する事が好ましい。保持部材の形態としては、特に制限はないが、例えば、光反射体が所望の形状を保持できるように、複数個所を棒状の保持部材により、保持する形態が好ましい。保持部材は太陽を追尾可能な状態で光反射体を保持する構成を有することが好ましいが、太陽追尾に際しては、手動で駆動させてもよいし、別途駆動装置を設けて自動的に太陽を追尾する構成としてもよい。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。また、特記しない限り、各操作は、室温(25℃)で行われる。なお、本発明は以下実施例に限定されるものではない。
<光反射フィルムの作製>
[実施例1]
(1)樹脂基材
樹脂基材として、2軸延伸ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ25μm)を用いた。
(2)下塗りポリマー層および銀反射層
下記式で表されるアクリルポリマー1(各繰り返し単位の数字は質量換算の組成比を表す。以下同様。):19質量部と、1−メトキシ−2−プロパノール:80質量部との混合溶液に、架橋剤としてコロネートHX(東ソー(株)製)1質量部と、を添加し、攪拌することにより、架橋性ポリマー溶液を調製した。
得られた架橋性ポリマー溶液を、上記樹脂基材上に、乾燥後の膜厚が約0.55μmとなるように、グラビアコート法により塗布し、25℃で10分間、その後80℃で5分間乾燥した。
上記工程で得られた積層体に、下記に記載の金属前駆体の付与、金属前駆体の還元、電気めっきを実施し、銀反射層(膜厚100nm)を形成した。
(金属前駆体の付与)
金属前駆体を含む溶液として、硝酸銀の1質量%水溶液を調製した。この金属前駆体溶液に、上記積層体を25℃で5分間浸漬後、純水を1分間掛け流すことにより洗浄し、金属前駆体の付与を行った。
(金属前駆体の還元)
還元液として、ホルムアルデヒド0.25質量%と、水酸化ナトリウム0.14質量%とを含む水溶液を調製した。この還元液に、上記工程で得られた金属前駆体が付与された積層体を25℃で1分間浸漬後、純水を1分間掛け流すことにより洗浄し、金属前駆体の還元を行った。これにより、樹脂基材上に下塗りポリマー層(還元された金属粒子を含む)が積層された積層体を得た。
還元後の表面抵抗値を表面抵抗計を用いて測定したところ、約10Ω/□であった。また、表面粗さ(Ra)をAFMを用いて測定したところ、約7nmであった。還元後の金属の平均一次粒子径をSEMを用いて測定したところ、約50nmであった。
(電気めっき)
電気めっきの前処理として、上記工程で得られた樹脂基材上に下塗りポリマー層(還元された金属粒子を含む)が積層された積層体を、ダインクリーナーAC100(商品名、大和化成社製)の10質量%水溶液に25℃で30秒間浸漬後、数回洗浄した。続けて同じく電気めっき前処理として、ダインシルバーACC(商品名、大和化成社製)の10質量%水溶液に10秒浸漬後、数回洗浄した。
電気めっき液として、ダインシルバーブライトPL50(商品名、大和化成社製、主成分:メタンスルホン酸銀)を用い、8M水酸化カリウムによりpH9.0に調整した。上記工程で得られた前処理後の積層体を、電気めっき液に浸漬し、0.5A/dmにて20秒間めっきした。
電気めっき後処理として、めっき後の積層体を、ダインシルバーACC(商品名、大和化成社製、主成分:メタンスルホン酸)の10質量%水溶液に90秒間浸漬後、数回洗浄した。
(3)銀保護ポリマー層
上記架橋性ポリマー溶液80質量部と、TDI系イソシアネート(2,4−トリレンジイソシアネート)2質量部とを混合した。これに、さらに腐食防止剤としてグリコールジメルカプトアセテートを、塗布後に0.3g/mとなる量を添加し、上記銀反射層上に、グラビアコート法により膜厚が約0.55μmになるようコーティングして、銀保護ポリマー層を形成した。
(4)紫外線遮蔽層
上記架橋性ポリマー溶液80質量部と、トリアジン系紫外線吸収剤(Tinuvin479、BASF製)2質量部と、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(Tinuvin928、BASF製)を1質量部と、メチルエチルケトン(MEK)17質量部とを混合し、紫外線遮蔽層形成用塗布液を調製した。これを上記樹脂基材の下塗りポリマー層が形成されていない面側の表面に、グラビアコート法によりコーティングして、55℃で4分間乾燥し、厚さ10μmの紫外線遮蔽層を形成した。
(5)粘着層
上記銀保護ポリマー層上にアクリル系の粘着剤エスダイン#7851(積水化学工業製)を15μm厚に塗布して粘着層を形成し、光反射フィルム1を完成させた。
[実施例2]
上記(1)において、架橋性ポリマー溶液を調製する際に、アクリルポリマー1の代わりに、下記式で表されるアクリルポリマー2を使用したこと以外は実施例1と同様の方法で光反射フィルム2を作製した。
アクリルポリマー2は、以下の方法で合成した。2000mL三口フラスコに、1−メトキシ−2−プロパノール400gを入れ、窒素気流下、100℃に加熱した。これに、アクリル酸198g、アクリル酸ヘキシル117g、3−エチル−3−オキセタニルメチルメタクリレート255g、およびV−601(和光純薬製)13gと1−メトキシ−2−プロパノール306gとの混合溶液を7時間かけて滴下した。2時間反応させた後、V−501(和光純薬製)3gと1−メトキシ−2−プロパノール50gとの混合溶液を1時間かけて滴下し、更に2時間反応させた。反応後、1−メトキシ−2−プロパノール100gを添加し、アクリルポリマー2の1−メトキシ−2−プロパノール溶液(固形分質量40%)を得た。
[実施例3]
上記(1)において、架橋性ポリマー溶液を調製する際に、アクリルポリマー1の代わりに、下記式で表されるアクリルポリマー3を使用したこと以外は実施例1と同様の方法で光反射フィルム3を作製した。
アクリルポリマー3は、以下の方法で合成した。2000mL三口フラスコに、1−メトキシ−2−プロパノール143gを入れ、窒素気流下、70℃に加熱した。これに、アクリル酸149g、アクリロニトリル7.2g、スチレン14.2g、アクリル酸エチル68.2g、およびV−501(和光純薬製)7.2gと1−メトキシ−2−プロパノール219gとの混合溶液を4時間かけて滴下した後、さらに4時間反応させた。次いで、2,6−ジターシャリブチル−4−トルオール1g、テトラブチルアンモニウムブロミド(触媒)1g、およびグリシジルメタクリレート49gを加え、100℃で反応させた。反応終了後、1−メトキシ−2−プロパノール22gを加えて希釈し、アクリルポリマー3の1−メトキシ−2−プロパノール溶液(固形分質量40%)を得た。
[実施例4]
上記(1)において、架橋性ポリマー溶液を調製する際に、アクリルポリマー1の代わりに、下記式で表されるアクリルポリマー4を使用したこと以外は実施例1と同様の方法で光反射フィルム4を作製した。
アクリルポリマー4は、以下の方法で合成した。
2000mL三口フラスコに、1−メトキシ−2−プロパノール216gを入れ、窒素気流下、90℃に加熱した。これに、アクリル酸319g、アクリルアミド11g、およびV−601(和光純薬製)11gと1−メトキシ−2−プロパノール366gとの混合溶液を4時間かけて滴下した後、さらに2時間反応させた。次いで、V−601 5gと1−メトキシ−2−プロパノール36gとの混合溶液を1時間かけて滴下し、さらに2時間反応させた。その後、2,6−ジターシャリブチル−4−トルオール1.3g、テトラブチルアンモニウムブロミド(触媒)1.3g、およびグリシジルメタクリレート74gを加え、100℃で反応させた。反応終了後、1−メトキシ−2−プロパノール33gを加えて希釈し、アクリルポリマー4の1−メトキシ−2−プロパノール溶液(固形分質量40%)を得た。
[実施例5]
上記(1)において、架橋性ポリマー溶液を調製する際に、アクリルポリマー1の代わりに、下記式で表されるアクリルポリマー5を使用したこと以外は実施例1と同様の方法で光反射フィルム5を作製した。
[実施例6]
上記(1)において、架橋性ポリマー溶液を調製する際に、コロネートHX(東ソー(株)製)の添加量を0.1質量部としたこと以外は、実施例1と同様の方法で光反射フィルム6を作製した。
[実施例7]
上記(1)において、架橋性ポリマー溶液を調製する際に、コロネートHX(東ソー(株)製)の添加量を5質量部とし、さらにシリカ微粒子(平均粒子径8〜11nm)10質量部を添加したこと以外は、実施例1と同様の方法で光反射フィルム7を作製した。
[実施例8]
上記(4)で形成した紫外線遮蔽層上に、以下の方法で熱硬化型低屈折率層を形成したこと以外は、実施例1と同様の方法で光反射フィルム8を作製した。紫外線遮蔽層上に、熱硬化ポリシロキサン(BP16N 動研製)を乾燥膜厚5μmになるようにダイコータで塗布し、90℃の温風炉にて1分間乾燥および硬化させ、熱硬化型低屈折率層を形成した。熱硬化型低屈折率層の波長550nmにおける屈折率は1.49であった。
なお、低屈折率層の屈折率は、以下の方法で測定した。基材上に屈折率を測定するため当該熱硬化型低屈折率層を単層で塗布したサンプルを作製し、このサンプルを10cm×10cmに裁断した後、下記の方法に従って屈折率を求めた。日立製の分光光度計U−4100(固体試料測定システム)を用いて、各サンプルの測定面とは反対側の面(裏面)を粗面化処理した後、黒色のスプレーで光吸収処理を行って裏面での光の反射を防止して、5度正反射の条件にて550nmの反射率を測定して平均値を求め、その結果より平均反射率を求め、さらに屈折率を求めた。
[実施例9]
熱硬化型低屈折率層の形成において、熱硬化ポリシロキサン(BP16N 動研製)の代わりに、シリカ粒子含有ポリシロキサン(Perma−new 6000 California Hard−coating Company製)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で光反射フィルム9を作製した。なお、熱硬化型低屈折率層の波長550nmにおける屈折率は1.48であった。
[比較例1]
上記(1)において、架橋性ポリマー溶液を調製する際に、アクリルポリマー1の代わりに、下記式で表されるアクリルポリマー6を使用し、さらにシリカ微粒子(平均粒子径8〜11nm)10質量部を添加したこと以外は、実施例1と同様の方法で光反射フィルム10を作製した。
[比較例2]
上記(1)において、架橋性ポリマー溶液を調製する際に、アクリルポリマー1の代わりに、下記式で表されるアクリルポリマー7を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で光反射フィルム11を作製した。
[比較例3]
上記(1)において、架橋性ポリマー溶液を調製する際に、アクリルポリマー1の代わりに、シリカ含有ポリシロキサン(Perma−new 6000 California Hardcoating Company製)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で光反射フィルム12を作製した。
<寸法変化率の測定>
フッ素離型剤ダイフリー(ダイキン工業製)を薄く塗布したA4サイズガラス板(厚み1cm)に上記紫外線遮蔽層形成用塗布液を乾燥膜厚が10μmになるように塗布し、80℃で5分乾燥させた。乾燥後、得られた紫外線遮蔽層部分のみを剥がして、測定試料を得た。
上記測定試料を、EXSTAR TMA/SS6000型熱応力歪測定装置(セイコーインスツル株式会社製)を用いて、25℃時の寸法(L=15mm)を基準とし、窒素雰囲気下で引張荷重50mNをかけながら昇温速度1分/℃で25℃から120℃まで昇温したときの120℃時の寸法(L)を測定した。その後、1分/℃で25℃へと降温したとき25℃時の寸法(L)を測定した。そして、当該温度変化に伴う寸法変化率αおよびβを、それぞれ、α=(L−L)/L×100[%]、β=(L−L)/L×100[%]とした際の、当該寸法変化率の絶対値の和(|α|+|β|)を算出した。
<光反射フィルムの評価>
[初期の5度正反射率の測定]
上記で作製した各光反射フィルムの太陽光入射面側における5度正反射率を測定した。具体的には、日立社製の分光光度計 U−4100(固体試料測定システム)を使って、入射角5度の基準サンプルに対する相対反射率測定を行なった。波長範囲は250nm〜2500nmで測定し、部分的に反射率が落ちる波長範囲が無いかどうかを確認した。可視光領域(400nm〜800nm)における反射率を平均し、これを5度正反射率とした。
[耐候性試験]
上記作製した各光反射フィルムを、 北緯33.5°西経112°海抜硬度610mの米国アリゾナ州の屋外曝露試験場にてASTM G90 − 10 Standard Practice for Performing Accelerated Outdoor Weathering of Nonmetallic Materials Using Concentrated Natural Sunlightに沿って太陽光下曝露を6ヶ月間実施した。
[密着性の評価(クロスカット試験)]
上記耐候性試験の後、JIS K 5600−5−6:1999に準拠した碁盤目試験を行った。具体的には、紫外線遮蔽層を形成した面側に、1mm間隔で縦、横に11本の切れ目を入れ、1mm角の碁盤目を100個作製した。この上にセロハンテープを貼り付け、90度の角度で素早く剥がし、剥がれずに残った碁盤目の数を測定し、下記の基準に従って、樹脂基材と紫外線遮蔽層との密着性評価を評価した。
5:剥離がまったく認められない
4:剥離した碁盤目数が、1個以上、5個以下である
3:剥離した碁盤目数が、6個以上、10個以下である
2:剥離した碁盤目数が、11個以上、20個以下である
1:剥離した碁盤目数が、21個以上である。
[クラック観察]
上記耐候性試験の後、蛍光灯下において10cm×10cm内のクラックの本数を確認した。
5:傷がまったく認められない
4:1センチ以上の傷が、1本以上、5本以下である
3:1センチ以上の傷が、6本以上、10本以下である
2:1センチ以上の傷が、11本以上、20本以下である
1:1センチ以上の傷が、21本以上である。
[集熱管への集光効率]
上記耐候性試験の後、10cm×10cmの光反射フィルムを0.8mmのアルミ板に粘着層を介して貼りあわせ、開口部7cmの凹面状に曲げた。波長532nmのレーザー光を光反射フィルム表面で反射させ、反射光をパワーメータにて検出した。耐光試験前の光反射フィルムの反射光のパワーメータ検出量を100%としたとき、耐候性試験後のパワーメータにて検出された反射光量を%で表現した。
以上の評価結果を表1に示す。
表1の結果より、本発明の光反射フィルムは、温度変化の大きな環境においても、十分な耐久性を有することが示された。
また、実施例8および9では、光入射面側の最外層に低屈折率層を有することにより、凹面型の光反射体を用いた集熱管への集光効率が特に良好であることが示された。
10 光反射フィルム、
11 樹脂基材、
12 下塗りポリマー層、
13 銀反射層、
14 紫外線遮蔽層、
15 銀保護ポリマー層、
16 粘着層、
17 低屈折率層。

Claims (5)

  1. 光入射面側より、紫外線遮蔽層、樹脂基材、下塗りポリマー層、および銀反射層が順次積層されてなり、
    前記紫外線遮蔽層および前記下塗りポリマー層は、下記式(A)で表される重合性基含有ユニットと、下記式(B)で表される非解離性官能基からなる相互作用性基含有ユニットと、下記式(C)で表されるイオン性極性基からなる相互作用性基含有ユニットとを含む共重合体;下記式(A)で表されるユニットと、下記式(B)で表されるユニットとを含む共重合体;および下記式(A)で表されるユニットと、下記式(C)で表されるユニットとを含む共重合体;からなる群から選択される少なくとも1種が架橋されてなる架橋性ポリマーを含み、
    前記紫外線反射層は、25℃時の寸法をL、次に引張荷重50mNをかけながら1℃/分で25℃から120℃まで昇温したときの120℃時の寸法をL、その後1℃/分で25℃へと降温したときの25℃時の寸法をLとし、当該温度変化に伴う寸法変化率αおよびβを、それぞれ、α=(L−L)/L×100[%]、β=(L−L)/L×100[%]とした際の、当該寸法変化率の絶対値の和(|α|+|β|)が1.5[%]以下である、光反射フィルム;
    上記式(A)〜(C)中、
    〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、または炭素原子数1〜4の置換もしくは無置換のアルキル基を表し、
    X、Y、Z、およびUは、それぞれ独立して、単結合、置換もしくは無置換の2価の有機基、エステル基、アミド基、またはエーテル基を表し、
    、L、およびLは、それぞれ独立して、単結合、または置換もしくは無置換の2価の有機基を表し、
    Wはめっき触媒またはその前駆体と相互作用を形成する非解離性官能基を表し、
    Vはめっき触媒またはその前駆体と相互作用を形成するイオン性極性基を表す。
  2. 光入射面側の最外層として、波長550nmにおける屈折率が1.5以下の低屈折率層をさらに有する、請求項1に記載の光反射フィルム。
  3. 請求項1または2に記載の光反射フィルムが、支持基材に貼付されてなる、光反射体。
  4. 請求項1または2に記載の光反射フィルムが、凹面形状を有する支持基材に貼付されてなる、凹面型光反射体。
  5. 請求項3に記載の光反射体または請求項4に記載の凹面型光反射体を有する、光反射装置。
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