JP2014199348A - フィルムミラー及びフィルムミラーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易に形成され、金属反射層の反射性能を低下させることなく、金属反射層を効果的に保護しうる樹脂保護層を備えた、過酷な環境下での長期使用にも耐え得る耐候性に優れたフィルムミラーを提供する。【解決手段】支持体と、金属反射層と、カチオン重合により形成された樹脂保護層と、をこの順に有するフィルムミラー。【選択図】なし

Description

本発明は、フィルムミラー及びフィルムミラーの製造方法に関する。
近年、石油、石炭、天然ガスに代表される化石燃料に代わる代替エネルギーの研究がさかんに行なわれている。特に、太陽光、風力、地熱等の自然エネルギーは、資源の枯渇、地球温暖化等の懸念がなく、クリーンなエネルギーとして注目されている。これらの中でも、太陽光を利用する太陽エネルギーは、安定供給が可能なエネルギーとして更なる開発が期待されている。
しかしながら一方で、太陽エネルギーにはエネルギー密度が低いという問題がある。この問題を解決するため、近年では、巨大な反射鏡を用いて太陽光を集光しようという試みがなされている。
これまで、太陽光を集光するための反射鏡は、屋外に設置され、太陽光に起因する紫外線や熱、風雨、砂塵等に晒されるため、ガラス製のものが用いられてきた。しかしながら、ガラス製の反射鏡は、耐候性に優れるものの、重量があり、破損しやすく、かつ、柔軟性に欠けるため、取り扱い難いという問題があった。
上記問題に対しては、ガラス製の反射鏡を、軽量で柔軟性のある樹脂製の反射鏡に置き換えることが考えられている。樹脂製の反射鏡に用いられるフィルムミラーは、一般的には、樹脂製の支持体上に銀に代表される金属反射層備える構成を有する。金属反射層は酸化などの影響を受けやすく、例えば、反射率に優れた銀を含有する金属反射層を用いた場合、経時により銀が酸化されると反射率が低下するという問題を有する。フィルムミラーの耐久性を向上させるため、金属反射層表面に樹脂保護層を設けてこれを保護している。例えば、金属反射層表面に、シクロオレフィンフィルムなどの種々の樹脂シートを予め作製し、貼り付けることで樹脂保護層を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このとき、金属反射層表面の反射性能を確保するために、樹脂保護層は可能な限り薄いことが求められる。しかしながら、可撓性の樹脂製支持体上に薄い金属反射層が形成されてなるフィルムミラー表面に、樹脂保護層を形成するために薄層の樹脂シートを貼り合わせる工程は煩雑であり、貼り合わせ時にしわができたり、気泡を巻き込んだりした場合、反射率が低下するのみならず、酸化による金属反射層変質の起点ともなりうるため、さらなる改良が求められていた。
特開2011−148300号公報
このため、特許文献1に開示されているようにフィルムミラーの樹脂保護層をラミネート法ではなく、塗布法により形成されることが検討されている。樹脂保護層の形成には、一般に空気遮断性と密着性に優れたラジカル重合性組成物が用いられる。ラジカル重合性組成物を用いる場合、硬化時に体積収縮が生じることが知られている。柔軟性を有するフィルムミラー上にラジカル重合性組成物を塗布し、硬化させると、体積収縮によるカーリングが生じる。これを抑制するために、例えば、フィルムミラーを延伸しながら樹脂保護層を形成することも考えられるが、薄層の金属反射層に影響を与える懸念があり、さらなる改良が求められている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、軽量で柔軟性があるというフィルムミラーの特性を維持しつつ、簡易に製造することができ、金属反射層の反射性能を低下させることなく、金属反射層を効果的に保護しうる樹脂保護層を備えた、過酷な環境下での長期使用にも耐え得る耐候性に優れたフィルムミラーを提供することにある。
また、本発明の他の課題は、このフィルムミラーの簡易な製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するための具体的な手段は、以下の通りである。
<1> 支持体と、金属反射層と、カチオン重合により形成された樹脂保護層と、をこの順に有するフィルムミラー。
<2> 前記樹脂保護層の厚さが3μm〜20μmである、<1>に記載のフィルムミラー。
<3> 前記金属反射層と、前記樹脂保護層との間に樹脂層をさらに有する、<1>又は<2>に記載のフィルムミラー。
<4> 前記樹脂保護層が、無機フィラーを含有する、<1>〜<3>のいずれか1項に記載のフィルムミラー。
<5> 前記樹脂保護層中の無機フィラーが前記樹脂保護層の全固形分に対して5質量%〜30質量%である、<4>に記載のフィルムミラー。
<6> 前記樹脂保護層が、酸化防止剤を含有する、<1>〜<5>のいずれか1項に記載のフィルムミラー。
<7> 前記酸化防止剤は、pKaが7以下の化合物を含む、<6>に記載のフィルムミラー。
<8> 前記酸化防止剤は、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、非塩基性ヒンダードアミン系酸化防止剤、中性ヒンダードアミン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、及びリン系酸化防止剤からなる群より選択される1種以上の化合物を含む、<6>又は<7>に記載のフィルムミラー。
<9> 太陽光集光用に用いられる、<1>〜<8>のいずれか1項に記載のフィルムミラー。
<10> 支持体上に、金属反射層を形成する金属反射層形成工程と、形成された金属反射層表面にカチオン重合性化合物を含有する樹脂保護層形成用組成物を付与し、付与された樹脂保護層形成用組成物を硬化させて樹脂保護層を形成する樹脂保護層形成工程と、をこの順で有する、<1>〜<9>のいずれか1項に記載のフィルムミラーの製造方法。
<11> 前記樹脂保護層形成工程に先立って、形成された金属反射層表面に樹脂層を形成する工程を有する、<10>に記載のフィルムミラーの製造方法。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、「固形分」とは、組成物又は混合物に含まれる成分のうち、溶媒を除いた成分を意味する。
本明細書において「含有量」を示す場合、当該含有量は、複数の化合物を含有する場合には、その総量を意味する。
本発明によれば、軽量で柔軟性があるというフィルムミラーの特性を維持しつつ、簡易に製造することができ、金属反射層の反射性能を低下させることなく、金属反射層を効果的に保護しうる樹脂保護層を備えた、過酷な環境下での長期使用にも耐え得る耐候性に優れたフィルムミラーを提供することができる。
また、本発明によれば、前記本発明のフィルムミラーの簡易な製造方法を提供することができる。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
[フィルムミラー及びその製造方法]
本発明のフィルムミラーは、支持体と、金属反射層と、厚さが2μm〜25μmであり、カチオン重合により形成された樹脂保護層と、をこの順に有する。ここで、「この順に有する」とは、各層が支持体表面に記載の順で有することを意味し、所望により設けられる他の層、例えば、支持体と金属反射層との密着性を向上するための樹脂保護層、金属反射層表面に設けられる樹脂層、最表面においてフィルムミラーを保護するハードコート層等の存在を否定するものではない。
以下、本発明のフィルムミラーの各層について、その製造方法に従い順次説明する。
<支持体>
本発明のフィルムミラーは、支持体として樹脂製支持体を用いることが好ましい。支持体を構成する樹脂は特に限定されず、目的に応じて適宜選択される。
支持体を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;ポリフェニレンサルファイド系樹脂;ポリエーテルサルフォン系樹脂;ポリエチレンサルファイド系樹脂;ポリフェニレンエーテル系樹脂;スチレン系樹脂;セルロースアセテートなどのセルロース系樹脂;等が挙げられる。
これらのうち、フィルムミラーの透明性や耐候性が良好であるという観点からポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂などが好ましい。
本発明においては、支持体の形状は特に限定されず、目的とする使用態様により適宜選択される。形状としては、例えば、シート状(平面状)、拡散面、凹面、凸面等の表面形状を有するもののいずれであってもよい。
また、支持体の構成は、単層構造に限定されず、多層構造をとるものであってもよい。多層構造の場合、同一の樹脂層の積層体でもよく、異なる樹脂層の積層体でもよい。複数層を積層する場合には、1層目の表面に塗布法で2層目を設けてもよく、熱圧着、接着剤を介する接着などにより積層してもよい。接着材を介して積層する方法が簡易であり、好ましい。
支持体の厚さは、樹脂基材の形状やフィルムミラーの設置箇所により、適宜選択されるが、支持体が平面状である場合は、25μm〜300μmが好ましく、50μm〜290μmがより好ましく、50μm〜250μmが更に好ましい。本発明における支持体は、その厚みを25μm以上とすることで力学強度が向上する傾向があり、300μm以下とすることでコスト的に有利となる。ここ支持体の厚さは多層構造の場合には全体の厚さを指す。
このような樹脂製支持体を用いることで、本発明に係るフィルムミラーは、必要な強度と耐久性とを達成しており、樹脂製支持体を構成する樹脂と厚みとを選択することで可撓性を有するフィルムミラーとすることもでき、目的に応じて剛直なフィルムミラーとすることもできる。
<樹脂中間層>
本発明のフィルムミラーは、樹脂製支持体上に金属反射層を有するが、樹脂製支持体と金属反射層との密着性を向上させる目的で、両者の間に樹脂中間層を有していてもよい。
樹脂中間層としては、金属を接着しやすくするための易接着層や、金属反射層をめっき法により形成する場合に有用なめっき下塗りポリマー層などが挙げられ、これらは単層構成であっても2層以上の複数層から構成されるものであってもよい。
なお、樹脂中間層が、易接着層及びめっき下塗りポリマー層の2層から構成される場合には、支持体上に、易接着層、めっき下塗りポリマー層の順で形成すればよい。
〔易接着層〕
易接着層は、支持体と金属反射層との密着性をより向上させるために設けられる。また、支持体と後述のめっき下塗りポリマー層との間に易接着層を設けると、めっき下塗りポリマー層が支持体に良好に固定され、その結果として、支持体と金属反射層との密着性を更に向上させることができる。
易接着層は、隣接する支持体との密着性の観点から、支持体を構成する樹脂と同じ樹脂、又は支持体を構成する樹脂と親和性を有する樹脂を含んでいることが好ましい。支持体を構成する樹脂と親和性を有する樹脂としては、例えば、ガラス転移点や弾性率、線膨張係数といった熱的物性が互いに近い樹脂が挙げられる。また、易接着層上に直接金属反射層を設ける場合には、形成される金属反射層に含まれる金属と親和性のある官能基を有する樹脂、又は表面の接着性によって金属を受容しやすい樹脂を用いることが好ましい。
易接着層に含まれる樹脂としては、例えば、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、イソシアネート系樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、エチレンアクリル酸共重合樹脂、エチレンアクリル酸エステル共重合樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニルエーテル、ポリエーテルイミド等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。
なお、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とは、それぞれ単独で用いてもよいし、併用してもよい。2種以上の樹脂の併用は、それぞれの欠点が補うことでより優れた効果を発現させる目的で行われる。
熱可塑性樹脂を用いる場合には、必要に応じて、架橋剤を使用することが好ましい。架橋剤の種類としては、熱可塑性樹脂が有するカルボン酸基、水酸基、アミノ基、メルカプタン基等の官能基と反応する反応性基を複数有する架橋剤が好ましい。好ましい反応性基の種類としては、カルボジイミド基、オキサゾリン基、イソシアネート基、エポキシ基、メラミン等があげられる。これらの反応性基を複数有する化合物としては、例えば、カルノジライト(日清紡(株)製)、エポクロス((株)日本触媒製)、デナコール(ナガセケムテックス(株)製)、ベッカミン(DIC北日本ポリマ(株)製)等の架橋剤が市販されている。
架橋剤の添加量は、熱可塑性樹脂が有する官能基と架橋剤の反応性基とが当量となるように調合することが好ましいが、適切な膜物性を得るために、架橋剤の添加量を適宜増減してもよい。
本発明における易接着層には、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて、有機又は無機微粒子からなるマット材、塗布助剤として界面活性剤、帯電防止剤、ワックス類等の各種添加剤を1種又は2種以上添加してもよい。
いずれの添加剤も、主成分となる樹脂に対して、含まないか、0質量%を超え50質量%までの範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは含有しないか、0質量%を超え20質量%以下の範囲で添加される。添加剤を、樹脂に対して50質量%を超える範囲で用いると、樹脂自体が本来有する強度等の特性が低下する懸念がある。
〔易接着層の形成方法〕
本発明における易接着層は、上述のような各成分を水に分散又は溶解させた塗布液、或いは、各成分を溶解可能な有機溶媒に溶解させた塗布液を、塗布等の方法で支持体に付与し、加熱及び/又は光照射により硬膜化させることにより形成することができる。
加熱の温度及び時間は、塗布溶剤が充分乾燥し得る条件を選択すればよいが、製造適性の点からは、乾燥温度が190℃以下であり、かつ、乾燥時間が10分以内であることが好ましく、乾燥温度が40℃〜180℃であり、かつ、乾燥時間が5分以内であることがより好ましい。
易接着層は、支持体上に、塗布法、転写法、印刷法等の公知の層形成方法を適用して形成される。
易接着層を塗布にて形成する際に用いる溶媒は、上述のような各成分を溶解又は分散し得るものであれば、特に制限されない。乾燥の容易性及び作業性の観点からは、沸点が高すぎない溶媒が好ましく、具体的には、沸点40℃〜150℃程度のものを選択すればよい。
具体的には、特開2007−154306号公報の段落[0045]に記載されている、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、水等を用いることができる。これらの中でも、特に揮発に伴う臭気などが抑制されるという観点から水が好ましい。上記の例示溶媒は、単独、或いは、混合して使用することができる。塗布溶液中の固形分の濃度は、1質量%〜50質量%が適当である。なお、水を溶媒として用いる場合には、上記易接着層に含まれる樹脂を水分散物又は水溶性化物とすることが好ましい。
易接着層を支持体の面上に設ける他の方法としては、例えば、二軸延伸ポリエステルフィルムの製膜において、縦延伸終了後、易接着層形成用塗布液を塗布し、横延伸の際に乾燥、硬化する方法が挙げられる。
本発明における易接着層の厚みは、一般に、0.05μm〜5μmの範囲であり、0.1μm〜3μmの範囲であることが好ましい。
〔めっき下塗りポリマー層〕
めっき下塗りポリマー層は、還元された金属粒子と、後述のめっき下塗りポリマーとを少なくとも有する。
本発明においては、金属前駆体と後述のめっき下塗りポリマーとを含む組成物を用いて、支持体上に塗布等の方法により金属前駆体を含むめっき下塗りポリマー層を形成するか、又は後述のめっき下塗りポリマーを含む組成物を用いて支持体の面上に層を形成し、その後、金属前駆体を含む組成物を支持体上に設けた前記層に浸漬等の方法によって接触させることにより金属前駆体を含むポリマー層を形成し、然る後、金属前駆体を含むめっき下塗りポリマー層が有する該金属前駆体を還元して、還元された金属粒子を含むめっき下塗りポリマー層を形成することが好ましい。
(めっき下塗りポリマー)
まず、めっき下塗りポリマー層を形成するために用いられるめっき下塗りポリマーについて説明する。
めっき下塗りポリマー層を形成するために用いられるめっき下塗りポリマーは、金属前駆体と相互作用する官能基(以下、適宜「相互作用性基」と称する。)を少なくとも有するとともに、耐水性及び耐薬品性の観点から、必要に応じて、重合性基を有することが好ましい。
めっき下塗りポリマーの主骨格としては、アクリルポリマー、ポリエーテル、ポリアクリルアミド、ポリアミド、ポリイミド、メタクリルポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、エチレンアクリル酸共重合体等が好ましいが、アクリルポリマーであることがより好ましい。
めっき下塗りポリマーは、分子内に上記重合性基と上記相互作用性基とを有することが好ましく、重合性基を有する場合には、この重合性基はポリマーの主鎖末端及び側鎖の少なくともいずれかに有すればよい。例えば、上記重合性基を有する構成単位と、上記相互作用性基を有する構成単位とを含んで構成されるポリマー等が挙げられ、同一の構成単位に重合性基と相互作用性基とを含んでいてもよい。また、2種以上の重合性基を含んでいてもよく、2種以上の相互作用性基を含んでいてもよい。また、重合性基はポリマーの作製後に高分子反応により導入されてもよい。
また、めっき下塗りポリマーは、目的に応じて、重合性基を含む構成単位、及び相互作用性基を含む構成単位以外の構成単位を含んでいてもよい。重合性基を含む構成単位、及び相互作用性基を含む構成単位以外の構成単位(以下、適宜「他の構成単位」と称する。)を含むことによって、めっき下塗り組成物としたときに、水又は有機溶剤への溶解性に優れ、均一な層を形成することができる。
めっき下塗りポリマーの好ましい態様としては、相互作用性基としての酸性基と重合性基とを側鎖に有するアクリルポリマーが挙げられる。
以下、めっき下塗りポリマーに含まれる重合性基及び相互作用性基、めっき下塗りポリマーの特性等について詳述する。
−重合性基−
めっき下塗りポリマーが有する重合性基は、エネルギー付与により、ポリマー同士、又は、ポリマーと下地層(支持体若しくは支持体上に設けられた下塗り層)との間で化学結合を形成し得る官能基であればよい。重合性基としては、例えば、ラジカル重合性基、カチオン重合性基等が挙げられる。これらの中でも、反応性の観点から、ラジカル重合性基が好ましい。
ラジカル重合性基としては、例えば、メタクリロイル基、アクリロイル基、イタコン酸エステル基、クロトン酸エステル基、イソクロトン酸エステル基、マレイン酸エステル基、スチリル基、ビニル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基等が挙げられる。これらの中でも、メタクリロイル基、アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アクリルアミド基、及びメタクリルアミド基が好ましく、ラジカル重合反応性及び合成汎用性の観点から、メタクリロイル基、アクリロイル基、アクリルアミド基、及びメタクリルアミド基がより好ましく、耐アルカリ性の観点から、アクリルアミド基、及びメタクリルアミド基が更に好ましい。
アクリルポリマーに導入される重合性基としては、例えば、(メタ)アクリレート基又は(メタ)アクリルアミド基等の(メタ)アクリル基、カルボン酸のビニルエステル基、ビニルエーテル基、アリルエーテル基等の各種重合性基が好ましい。
−相互作用性基−
めっき下塗りポリマーが有する相互作用性基は、金属前駆体と相互作用する官能基(例えば、配位性基、金属イオン吸着性基等)であり、金属前駆体と静電相互作用を形成可能な官能基、又は、金属前駆体と配位形成可能な含窒素官能基、含硫黄官能基、含酸素官能基等を使用することができる。
相互作用性基の具体例としては、アミノ基、アミド基、イミド基、ウレア基、3級のアミノ基、アンモニウム基、アミジノ基、トリアジン環、トリアゾール環、ベンゾトリアゾール基、イミダゾール基、ベンズイミダゾール基、キノリン基、ピリジン基、ピリミジン基、ピラジン基、ナゾリン基、キノキサリン基、プリン基、トリアジン基、ピペリジン基、ピペラジン基、ピロリジン基、ピラゾール基、アニリン基、アルキルアミン構造を含む基、イソシアヌル構造を含む基、ニトロ基、ニトロソ基、アゾ基、ジアゾ基、アジド基、シアノ基、シアネート基(R−O−CN)等の含窒素官能基;エーテル基、水酸基、フェノール性水酸基、カルボキシル基、カーボネート基、カルボニル基、エステル基、N−オキシド構造を含む基、S−オキシド構造を含む基、N−ヒドロキシ構造を含む基等の含酸素官能基;チオフェン基、チオール基、チオウレア基、チオシアヌール酸基、ベンズチアゾール基、メルカプトトリアジン基、チオエーテル基、チオキシ基、スルホキシド基、スルホン基、サルファイト基、スルホキシイミン構造を含む基、スルホキシニウム塩構造を含む基、スルホン酸基、スルホン酸エステル構造を含む基等の含硫黄官能基;ホスフォート基、ホスフォロアミド基、ホスフィン基、リン酸エステル構造を含む基等の含リン官能基;塩素、臭素等のハロゲン原子を含む基等が挙げられ、塩構造をとり得る官能基においては、それらの塩も使用することができる。
相互作用性基としては、非解離性官能基であっても、イオン性極性基であってもよく、これらの双方が含まれていてもよいが、イオン性極性基が好ましい。
イオン性極性基からなる相互作用性基としては、上記相互作用性基の中でも、めっき下塗りポリマーの支持体(支持体上に上記易接着層が形成されている場合には、易接着層)に対する密着性の観点から、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、及びボロン酸基が挙げられ、中でも適度な酸性(他の官能基を分解しない)を有する点、他の官能基に影響を与える懸念が少ない点、めっき層との親和性に優れる点、及び原料が入手容易であるという点から、カルボン酸基が特に好ましい。
カルボン酸基等のイオン性極性基は、酸性基を有するラジカル重合性化合物を共重合させることにより、めっき下塗りポリマーに導入することができる。以下、イオン性極性基のめっき下塗りポリマーへの導入について、カルボン酸基を例に挙げて説明する。
カルボン酸基の導入に使用されるカルボン酸基を有するラジカル重合性化合物は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、p−カルボキシルスチレン等が挙げられ、これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸、p−カルボキシルスチレンが好ましい。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
以下、めっき下塗りポリマーの好適な構成について詳細に説明する。
上述のめっき下塗りポリマーとして好適に用いられるアクリルポリマーを、より具体的に説明すると、酸性基としてカルボン酸基を含有するアクリル樹脂に、環状エーテル基含有重合性化合物、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、桂皮酸等の不飽和脂肪酸のグリシジルエステルや、脂環式エポキシ基(例えば、同一分子中にシクロヘキセンオキシド等のエポキシ基)と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物等のエポキシ基含有の重合性化合物を付加させて得られる化合物等が挙げられる。また、酸性基及び水酸基を含有するアクリル樹脂に、イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネート基含有の重合性化合物を付加させて得られる化合物、無水物基を含有するアクリル樹脂に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を含有する重合性化合物を付加させて得られる化合物等も挙げられる。また、グリシジルメタクリレート等の環状エーテル基含有重合性化合物と(メタ)アクリロイルアルキルエステル等のビニルモノマーとを共重合させ、側鎖のエポキシ基に(メタ)アクリル酸を付加させて得られる化合物等も挙げられる。
これらのポリマーの具体例は、特許2763775号公報、特開平3−172301号公報、特開2000−232264号公報等の公報に記載され、ここに記載のポリマーは本発明にも好適に使用し得る。
これらの中でも、上記アクリルポリマーが、高分子化合物の酸性基の一部に環状エーテル基(例えば、エポキシ基、オキセタン基を部分構造に有する基)含有重合性化合物を付加させたもの、及び高分子化合物の環状エーテル基の一部又は全部にカルボキシル基含有重合性化合物を付加させたものから選ばれる高分子化合物であることが、更に好ましい。この場合、酸性基と環状エーテル基を含有する化合物との付加反応は、触媒存在下で実施するのが好ましく、特に、その触媒が酸性化合物及び中性化合物から選択されるものであることが好ましい。
カルボン酸基に代表される酸性基は、酸性基を有するラジカル重合性化合物を共重合させることにより、めっき下塗りポリマーに付与することができる。
上記カルボン酸基を有するラジカル重合性化合物は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、p−カルボキシルスチレン等が挙げられ、これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸、及びp−カルボキシルスチレンが好ましい。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
カルボン酸基等の酸性基のめっき下塗りポリマーにおける含有量は、1.0meq/g〜10.0meq/gであることが好ましく、2.0meq/g〜9.0meq/gであることがより好ましく、2.5meq/g〜8.0meq/gであることが更に好ましい。カルボン酸基の含有量をこの範囲とすることにより、めっき層との親和力が十分となり、アルカリ水等を用いた後処理によるめっき面上の損傷をより低減させることができる。
めっき下塗りポリマーは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。また、めっき下塗りポリマーとは構造が異なる他の高分子化合物を混合して用いてもよい。この場合、他の高分子化合物のめっき下塗りポリマーにおける含有量は、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
めっき下塗りポリマーの重量平均分子量は、1000〜70万であることが好ましく、より好ましくは2000〜20万であり、更に好ましくは10000〜10万である。めっき下塗りポリマーの重量平均分子量をこの範囲とすることにより、更に高い密着強度が得られ、かつ、アルカリ水等の処理液耐性が得られ、経時保存性もより良好となる。特に、重合感度の観点から、めっき下塗りポリマーの重量平均分子量は、20000以上であることが好ましい。なお、合成中のゲル化抑制の観点から、めっき下塗りポリマーの重量平均分子量の上限値は15万であることが好ましく、より好ましくは10万以下である。
なお、ここで記載の重量平均分子量とは、GPC(使用溶媒:N−メチルピロリドン)を用いて測定されるポリスチレン換算値であり、例えば、次の条件により測定することができる。
・カラム:ガードカラム;TOSOH TSKguardcolum Super AW
−H
分離カラム;TOSOH TSKgelSuper AWM−H
(サイズ6.0mm×15cmを3本連結)
・溶離液:N−メチルピロリドン(LiBr10mM含有)
・流速:0.35mL/min
・検出方法:RI
・温度:カラム40℃、インレット40℃、RI40℃
・サンプル濃度:0.1wt%
・注入量:60μL
また、めっき下塗りポリマーの重合度としては、10量体以上であることが好ましく、より好ましくは20量体以上である。また、上限値は1500量体以下であることが好ましく、1000量体以下であることがより好ましい。
めっき下塗りポリマーとしては、ラジカル重合性基と非解離性官能基からなる相互作用性基を有するポリマーとして、特開2009−007540号公報の段落[0106]〜[0112]に記載のポリマー等が使用できる。また、ラジカル重合性基とイオン性極性基からなる相互作用性基とを有するポリマーとしては、特開2006−135271号公報の段落[0065]〜[0070]に記載のポリマー等が使用できる。ラジカル重合性基と、非解離性官能基からなる相互作用性基と、イオン性極性基からなる相互作用性基とを有するポリマーとしては、特開2010−248464号公報の段落[0010]〜[0128]、特開2010−84196号公報、及び米国特許出願公開2010−080964号明細書の段落[0030]〜[0108]に記載のポリマー等が使用できる。
めっき下塗りポリマー層を形成するための組成物(以下、「めっき下塗りポリマー層形成用組成物」と称する。)中のめっき下塗りポリマーの含有量は、特に制限されないが、組成物全量に対して、2質量%〜50質量%であることが好ましく、5質量%〜30質量%であることがより好ましい。この範囲内であれば、組成物の取扱い性に優れ、ポリマー層の厚さの制御がしやすい。
なお、後述する金属前駆体は、めっき下塗りポリマー層形成後に付与してもよく、また、めっき下塗りポリマー層用組成物に当初から含有させてもよい。めっき下塗りポリマー層形成用組成物に金属前駆体を含有させる場合の金属前駆体の含有量は、組成物全量に対して、0.5質量%〜100質量%であることが好ましく、1質量%〜50質量%であることがより好ましい。
めっき下塗りポリマー層は、エネルギー付与に対する感度を高めるために、光重合開始剤、熱重合開始剤等のラジカル重合開始剤を含有することが好ましい。ラジカル重合開始剤としては、特に限定されず、一般に公知のものが使用される。
但し、めっき下塗りポリマーが、エネルギー付与により、支持体や易接着層と相互作用する活性点を生成し得る場合、即ち、めっき下塗りポリマーに、ポリマー骨格中に重合開始部位を有するポリマーを用いるような場合には、これらのラジカル重合開始剤を添加しなくてもよい。
また、これらのラジカル重合開始剤を、支持体を形成するポリエステルフィルムや支持体上に設けられた易接着層に含有させてもよく、そのような場合には、めっき下塗りポリマー同士のみならず、めっき下塗りポリマーと支持体との相互作用がより良好に形成されることになり、金属反射層と支持体の結合がより強固になる。
めっき下塗りポリマー層形成用組成物に含有させるラジカル重合開始剤の量は、めっき下塗りポリマー層形成用組成物の構成に応じて選択されるが、一般的には、めっき下塗りポリマー層形成用組成物中に、0.05質量%〜30質量%程度であることが好ましく、0.1質量%〜10.0質量%程度であることがより好ましい。
〔めっき下塗りポリマー層の形成方法〕
(ポリマー層の形成)
−めっき下塗りポリマーを含むポリマー層形成用組成物の塗布−
めっき下塗りポリマーを含むポリマー層(以下、「ポリマー層」と称する。)は、例えば、上記支持体、又は、上記支持体上に設けられた易接着層の面上に、めっき下塗りポリマーを含むポリマー層形成用組成物の塗布液を塗布等した後、エネルギーを付与することにより形成することができる。
上記支持体上に、ポリマー層を直接設ける場合には、予め支持体の表面にエネルギーを付与する等の易接着処理(例えば、コロナ処理、プラズマ処理等)を施しておくことが好ましい。
支持体上にポリマー層を設ける方法は、特に限定されず、例えば、めっき下塗りポリマーを含むポリマー層形成用組成物中に支持体を浸漬する方法や、めっき下塗りポリマーを含むポリマー層形成用組成物を支持体上に塗布する方法等が挙げられる。得られるポリマー層の厚みを制御しやすい点から、めっき下塗りポリマーを含むポリマー層形成用組成物を支持体上に塗布する方法が好ましい。
塗布の方法は、特に制限されず、例えば、ダブルロールコータ、スリットコータ、エアナイフコーター、ワイヤーバーコーター、スライドホッパー、スプレーコーチィング、ブレードコーター、ドクターコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、トランスファーロールコーター、エクストロージョンコーター、カーテンコーター、ディップコーター、ダイコーター、グラビアロールによる塗工法、押し出し塗布法、ロール塗布法等の公知の方法を用いることができる。
めっき下塗りポリマーを含むポリマー層形成用組成物の塗布量は、後述する金属前駆体との充分な相互作用を形成させる観点から、固形分換算で0.05g/m〜10g/mであることが好ましく、0.3g/m〜5g/mであることが特に好ましい。
支持体等へ塗布しためっき下塗りポリマーを含むポリマー層形成用組成物の塗布液は、20℃〜60℃で1秒から2時間乾燥した後、60℃を超える温度で1秒〜2時間乾燥することが好ましく、20℃〜60℃で1秒〜20分間乾燥した後、60℃を超える温度で1秒〜20分間乾燥することがより好ましい。
めっき下塗りポリマーを含むポリマー層形成用組成物は、上記支持体又は上記支持体上に設けられた易接着層の面上に塗布された後、エネルギーが付与されることで、エネルギー付与領域においてポリマーが有する重合性基同士、或いは、ポリマーが有する重合性基と、上記支持体又は上記支持体上に設けられた易接着層との間に相互作用が形成され、支持体上に(又は、易接着層を介して支持体上に)固定化されたポリマー層が形成される。これにより、支持体とポリマー層とが強固に密着する。
−エネルギーの付与−
エネルギー付与方法としては、例えば、加熱や露光が挙げられる。
露光によるエネルギー付与方法としては、具体的には、UVランプ、可視光線等による光照射が可能である。露光で使用する光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線等がある。また、g線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用される。
露光パワーは、重合を容易に進行させるため、ポリマーの分解を抑制するため、又は、ポリマーが良好な相互作用を形成するため、といった観点から10mJ/cm〜8000mJ/cmの範囲であることが好ましく、100mJ/cm〜3000mJ/cmの範囲であることがより好ましい。
なお、露光は、窒素、ヘリウム、二酸化炭素等の不活性ガスによる置換を行ない、酸素濃度を600ppm以下、好ましくは400ppm以下に抑制した雰囲気中で行なってもよい。
加熱によるエネルギー付与は、例えば、一般の熱ヒートローラー、ラミネーター、ホットスタンプ、電熱板、サーマルヘッド、レーザー、送風乾燥機、オーブン、ホットプレート、赤外線乾燥機、加熱ドラム等により行なうことができる。
また、加熱によりエネルギー付与を行なう場合、その温度は、重合を容易に進行させるため、また、支持体の熱変性を抑制するため、20℃〜200℃であることが好ましく、40℃〜120℃であることがより好ましい。
−未反応めっき下塗りポリマーの除去−
エネルギー付与後は、更に適宜、未反応のポリマーを除去する工程を設けてもよい。除去方法としては、溶媒を使用する方法が挙げられ、例えば、ポリマーを溶解する溶剤や、アルカリ可溶性のポリマーの場合はアルカリ系現像液(炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、アンモニア水、水酸化ナトリウム水溶液)等を、ポリマー層が形成された支持体に接触させることで未反応のポリマーを除去することができる。
上記方法により得られるポリマー層の厚みは、特に限定されないが、上記支持体等との密着性の観点から、0.05μm〜10μmであることが好ましく、0.3μm〜5μmであることがより好ましい。
また、上記方法により得られるポリマー層の表面粗さ(Ra)は、反射性能の観点から、20nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがより好ましい。
−還元された金属粒子−
めっき下塗りポリマー層は、還元された金属粒子を含む。めっき下塗りポリマー層に含まれる還元された金属粒子は、上記支持体又は上記支持体上に設けられた易接着層の面上に形成されためっき下塗りポリマー層に、金属前駆体を付与し、この金属前駆体を還元し、金属前駆体を還元された金属粒子とすることによって得られる。金属前駆体をめっき下塗りポリマー層に付与すると、上記相互作用性基に、金属前駆体が相互作用により付着する。
以下にめっき下塗りポリマー層に含まれる金属前駆体について説明する。
−金属前駆体−
金属前駆体は、還元反応により金属に変化させることで電極として機能するものであれば、特に限定されない。また、金属前駆体としては、金属反射層の形成において、めっきの電極として機能するものが好ましく挙げられる。そのため、金属前駆体は、金属に還元させることで電極として機能するものが好ましい。
具体的には、Au、Pt、Pd、Ag、Cu、Ni、Al、Fe、Co等の金属イオンが用いられる。金属前駆体である金属イオンは、めっき下塗りポリマーを含む組成物(めっき下塗りポリマー層形成用組成物)に含まれており、支持体上に層を形成した後、還元反応によって0価の金属粒子となる。
金属前駆体である金属イオンは、金属塩としてめっき下塗りポリマー層形成用組成物に含まれることが好ましい。
使用される金属塩としては、適切な溶剤に溶解して金属イオンと塩基(陰イオン)とに解離されるものであれば特に制限はなく、M(NO、MCl、M2/n(SO)、M3/n(PO)(Mは、n価の金属原子を表す)等が挙げられる。金属イオンとしては、上記の金属塩が解離したものを好適に用いることができる。例えば、Agイオン、Cuイオン、Alイオン、Niイオン、Coイオン、Feイオン、Pdイオン等が挙げられ、中でも、多座配位可能なものが好ましく、特に、配位可能な官能基の種類、数、及び触媒能の点で、Agイオン、Cuイオン、及びPdイオンが好ましい。
金属前駆体の好ましい例の一つとして、銀イオンが挙げられる。
銀イオンを用いる場合、以下に示すような銀化合物が解離したものを好適に用いることができる。銀化合物の具体例としては、硝酸銀、酢酸銀、硫酸銀、炭酸銀、シアン化銀、チオシアン酸銀、塩化銀、臭化銀、クロム酸銀、クロラニル酸銀、サリチル酸銀、ジエチルジチオカルバミン酸銀、ジエチルジチオカルバミド酸銀、及びp−トルエンスルホン酸銀が挙げられる。これらの中でも、水溶性の観点から硝酸銀が好ましい。
また、金属前駆体としては、銅イオンが好ましい別の例として挙げられる。銅イオンを用いる場合、以下に示すような銅化合物が解離したものを好適に用いることができる。銅化合物の具体例としては、硝酸銅、酢酸銅、硫酸銅、シアン化銅、チオシアン酸銅、塩化銅、臭化銅、クロム酸銅、クロラニル酸銅、サリチル酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミド酸銅、及びp−トルエンスルホン酸銅が挙げられる。これらの中でも、水溶性の観点から硫酸銅が好ましい。
金属前駆体は、分散液又は溶液(金属前駆体液)として、めっき下塗りポリマー層に付与されることが好ましい。
付与の方法としては、例えば、めっき下塗りポリマーを含む組成物を用いて支持体上にポリマー層を形成した後、このポリマー層の面上に金属前駆体を含む組成物(分散液又は溶液)を塗布する方法、或いは、上記ポリマー層が形成された支持体を、金属前駆体を含む組成物(分散液又は溶液)に浸漬する方法が挙げられる。
上記のように、金属前駆体を含む分散液又は溶液を上記ポリマー層に接触させることで、めっき下塗りポリマー中の相互作用基に、ファンデルワールス力のような分子間力による相互作用、又は、孤立電子対による配位結合による相互作用を利用して、金属前駆体を吸着させることができる。
金属前駆体の吸着を充分に行なわせるという観点から、金属前駆体を含む分散液又は溶液中の金属前駆体の濃度は、0.001質量%〜50質量%であることが好ましく、0.005質量%〜30質量%であることがより好ましい。
金属前駆体の分散液及び溶液に用いる溶媒には、水や有機溶媒が用いられる。水や有機溶剤を含有することで、ポリマー層に対する金属前駆体の浸透性が向上し、相互作用性基に効率よく金属前駆体を吸着させることができる。
金属前駆体のめっき下塗りポリマー層への付与に分散液を用いる場合、金属前駆体の粒子径は、1nm〜200nmであることが好ましく、1nm〜100nmであることがより好ましく、1nm〜60nmであることが更に好ましい。この粒子径とすることで、還元された金属粒子の粒子径を所望の大きさに制御することができる。
なお、ここで粒子径とは、平均1次粒子径(体積換算)のことであり、SEM(S−5200、(株)日立ハイテクマニファクチャ&サービス製)の画像から読み取ったものである。
金属前駆体液に使用される水は、不純物を含まないことが好ましい。このような観点から、RO水や脱イオン水、蒸留水、精製水等を用いるのが好ましく、脱イオン水や蒸留水を用いるのが特に好ましい。金属前駆体液に使用される有機溶媒は、ポリマー層に浸透し得る溶媒であれば、特に限定されない。例えば、アセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、エチレングリコールジアセテート、シクロヘキサノン、アセチルアセトン、アセトフェノン、2−(1−シクロヘキセニル)シクロヘキサノン、プロピレングリコールジアセテート、トリアセチン、ジエチレングリコールジアセテート、ジオキサン、N−メチルピロリドン、ジメチルカーボネート、ジメチルセロソルブ等を用いることができる。
特に、金属前駆体との相溶性、及びポリマー層への浸透性の観点では、水又は水溶性の有機溶剤が好ましく、アセトン、ジメチルカーボネート、ジメチルセロソルブ、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルが好ましい。
さらに、分散液や溶液には、目的に応じて他の添加剤を含有させてもよい。他の添加剤としては、例えば、膨潤剤や、界面活性剤等が挙げられる。
めっき下塗りポリマー層に付与した金属前駆体である金属イオンは、金属活性化液(還元液)により還元する。金属活性化液は、金属前駆体(主に金属イオン)を0価金属に還元できる還元剤と、該還元剤を活性化するためのpH調製剤からなる。
金属活性化液全体に対する還元剤の濃度は、0.05質量%〜50質量%であることが好ましく、0.1質量%〜30質量%であることがより好ましい。
還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミンボランのようなホウ素系還元剤、ホルムアルデヒド、次亜リン酸等の還元剤を用いることが可能である。特に、ホルムアルデヒドを含有するアルカリ水溶液で還元することが好ましい。
金属活性化液全体に対するpH調整剤の濃度は、0.05質量%〜10質量%であることが好ましく、0.1〜5質量%であることがより好ましい。
pH調整剤としては、酢酸、塩酸、硫酸、硝酸、炭酸水素ナトリウム、アンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を使用することが可能である。
還元時の温度は、10℃〜100℃であることが好ましく、20℃〜70℃であることが更に好ましい。
これら濃度や温度の範囲は、還元の際の、金属前駆体の粒子径、ポリマー層の表面粗さ(Ra)、導電性(表面抵抗値)、及び還元液の劣化の観点から、これらの範囲であることが好ましい。
めっき下塗りポリマー層に含まれる還元された金属粒子の粒子径は、反射性能の観点から、1nm〜200nmであることが好ましく、1nm〜100nmであることがより好ましく、1nm〜60nmであることが更に好ましい。この範囲内にあることで、めっき後の反射率が良好となる。
なお、ここでいう粒子径は、SEM(日立ハイテクマニファクチャ&サービス社製 S−5200)画像から読み取ったものである。
還元された金属粒子を含むめっき下塗りポリマー層の表面抵抗値は、0.001Ω/□以上100Ω/□以下であることが好ましく、0.03Ω/□以上50Ω/□以下であることがより好ましい。この範囲内であると、均一及び平滑にめっき面が形成され、反射率が良好となる。
また、還元された金属粒子を含むめっき下塗りポリマー層の表面粗さ(Ra)は、反射性能の観点から、20nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがより好ましい。
<金属反射層>
金属反射層は、上記支持体上に、上記樹脂中間層を介して設けられることが好ましい。金属反射層の形成材料は、可視光及び赤外光を反射する金属材料であれば、特に限定されず、例えば、銀、アルミニウム等が挙げられる。光の反射性能の観点からは、銀、又は銀を含む合金が好ましい。銀、又は銀を含む合金は、フィルムミラーの可視光領域での反射率を高め、入射角による反射率の依存性を低減できる。可視光領域とは、400nm〜700nmの波長領域を意味する。ここで、入射角とは膜面に対して垂直な線に対する角度を意味する。銀合金としては、銀含有金属層の耐久性が向上する点から、銀と、金、パラジウム、スズ、ガリウム、インジウム、銅、チタン、及びビスマスからなる群の金属から選ばれる1種以上の金属とからなる合金が好ましい。銀合金としては、銀と金との合金が、耐湿熱性、反射率等の観点から特に好ましい。
例えば、金属反射層が銀合金からなる膜である場合、銀の含有量は、金属反射層における銀と他の金属との合計(100原子%)中、90原子%〜99.8原子%であることが好ましい。また、他の金属の含有量は、耐久性の点から0.2原子%〜10原子%であることが好ましい。
金属反射層の表面粗さ(Ra)は、20nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがより好ましく、5nm以下であることが更に好ましい。この範囲内とすることで、得られたフィルムミラーの反射率が向上し、太陽光を効率良く集光することが可能となる。
〔金属反射層の形成方法〕
金属反射層の形成方法は、特に限定されず、湿式法又は乾式法のいずれを採用してもよい。
湿式法としては、例えば、電気めっき法、無電解めっき法、銀錯体塗布焼成法等が挙げられる。
乾式法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法等が挙げられる。
以下、金属反射層を電気めっき法により形成する場合について、説明する。
電気めっき法としては、従来公知の方法を用いることができる。
本発明においては、めっき下塗りポリマー層が電極としての機能を有する場合、めっき下塗りポリマー層に対して電気めっきを行なうことにより、金属反射層を形成することができる。
めっきに用いられる金属化合物としては、例えば、硝酸銀、酢酸銀、硫酸銀、炭酸銀、メタンスルホン酸銀、アンモニア銀、シアン化銀、チオシアン酸銀、塩化銀、臭化銀、クロム酸銀、クロラニル酸銀、サリチル酸銀、ジエチルジチオカルバミン酸銀、ジエチルジチオカルバミド酸銀、p−トルエンスルホン酸銀等の銀化合物が挙げられる。これらの中でも、環境影響や平滑性の観点から、メタンスルホン酸銀が好ましい。
なお、めっき下塗りポリマー層と金属反射層との間には、例えば、銅、ニッケル、クロム、鉄等の他の金属を含有する金属層を下地金属層として有していてもよい。
また、電気めっき法により得られる金属反射層の膜厚は、めっき浴中に含まれる金属濃度、又は、電流密度を調整することで制御することができる。適切な厚みの下地金属層を入れることで、表面平滑化による反射率向上やピンホール低減が可能となる。
金属反射層の膜厚は、ピンホールなく反射膜を形成する観点、及び金属反射層の表面に光を散乱させるような凹凸を作らないという観点から、0.05μm〜2.0μmであることが好ましく、0.08〜0.5μmであることがより好ましい。
また、本発明においては、還元された金属粒子を含むめっき下塗りポリマー層を利用して真空蒸着等の乾式めっきを行なうことにより、金属反射層を形成してもよい。この方法によれば、めっき下塗りポリマー層の表面が金属で覆われているため、通常の蒸着等よりも密着性がよく、かつ、熱に対しても強い金属反射層を形成することができる。
電気めっきの後、金属反射層の反射性能や耐久性を向上させるために、金属反射層を強酸や強アルカリ等で処理してもよい。また、金属表面に、無機皮膜や金属酸化皮膜を形成してもよい。また、変色防止剤を含有する変色防止剤層を更に設けてもよい。
変色防止剤層は、金属反射層の変色防止に機能する。変色防止剤としては、チオエーテル系、チオール系、Ni系有機化合物系、ベンゾトリアゾール系、イミダゾール系、オキサゾール系、テトラザインデン系、ピリミジン系、チアジアゾール系等の変色防止剤が挙げられる。
変色防止剤層は、大別して、金属を吸着する吸着基を有するものや、酸化防止剤が好ましく用いられる。
<樹脂保護層>
本発明のフィルムミラーでは、太陽光、雨水、砂塵等による金属反射層の劣化や破損を防止し、鏡面性の安定化を図るために、前記金属反射層の入射光側の表面上に、樹脂保護層を有する。なお、支持体側が入射光側となる場合には、支持体の入射光側の面に、保護層を設けることが好ましい。
本発明における樹脂保護層は、カチオン重合により形成される樹脂保護層であり、カチオン重合性化合物及び、好ましくはさらにカチオン重合開始剤を含む樹脂保護層形成用組成物を用いて形成される。
なお、樹脂保護層がカチオン重合により形成されたものであることは、樹脂保護層中の残存カチオン重合性モノマー及び残存カチオン重合開始剤を適当な溶媒場で抽出した後に高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で検出する等の方法により確認される。
以下、本発明に係る樹脂保護層の形成に用いられる各成分及び形成方法の詳細を説明する。
(カチオン重合性化合物)
カチオン重合性化合物としては、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物から選ばれる単量体(モノマー)が挙げられ、具体的には以下の化合物が例示できる。
(エポキシ化合物(モノマー)、オキセタン化合物(モノマー))
本発明において樹脂保護層の形成に用いるエポキシ化合物としては、以下の芳香族エポキシド、脂環式エポキシド及び脂肪族エポキシド等が挙げられる。
芳香族エポキシドとしては、例えば、ビスフェノールA、あるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールA或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル、並びにノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
脂環式エポキシドとしては、少なくとも1個のシクロへキセン又はシクロペンテン環等のシクロアルカン環を有する化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化することによって得られる、シクロヘキセンオキサイド又はシクロペンテンオキサイド含有化合物が挙げられる。
脂肪族エポキシドの好ましいものとしては、脂肪族多価アルコール或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル等があり、その代表例としては、エチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテル又は1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、グリセリン或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はトリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコール或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコール或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
芳香族エポキシモノマーとしては、特に限定はされないが、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型のビスフェノール骨格を有するエポキシモノマー;ジシクロペンタジエンジオキシド、ジシクロペンタジエン骨格を有するフェノールノボラックエポキシモノマーなどのジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシモノマー;1−グリシジルナフタレン、2−グリシジルナフタレン、1,2−ジグリシジルナフタレン、1,5−ジグリシジルナフタレン、1,6−ジグリシジルナフタレン、1,7−ジグリシジルナフタレン、2,7−ジグリシジルナフタレン、トリグリシジルナフタレン、1,2,5,6−テトラグリシジルナフタレン等のナフタレン骨格を有するエポキシモノマー;1,3−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)アダマンテン、2,2−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)アダマンテン等のアダマンテン骨格を有するエポキシモノマー;9,9−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−クロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−ブロモフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−フルオロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−メトキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3,5−ジクロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3,5−ジブロモフェニル)フルオレン等のフルオレン骨格を有するエポキシモノマー、
4,4’−ジグリシジルビフェニル、4,4’−ジグリシジル−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル等のビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂;1,1’−バイ(2,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,8’−バイ(2,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,1’−バイ(3,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,8’−バイ(3,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,1’−バイ(3,5−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,8’−バイ(3,5−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,2’−バイ(2,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,2’−バイ(3,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,2’−バイ(3,5−グリシジルオキシナフチル)メタン等のバイ(グリシジルオキシフェニル)メタン骨格を有するエポキシモノマー;1,3,4,5,6,8−ヘキサメチル−2,7−ビス−オキシラニルメトキシ−9−フェニル−9H−キサンテン等のキサンテン骨格を有するエポキシモノマー;アントラセン骨格やピレン骨格を有するエポキシモノマー等が挙げられる。これらのエポキシモノマーは、1種のみが用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
本発明において樹脂保護層の形成に用いるオキセタンモノマーとしては、特に限定はされないが、例えば、単官能または2官能のオキセタンモノマーを用いることもできる。
より具体的には、例えば、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(東亜合成(株)製商品名OXT101等)、ジ(1−エチル−3−オキセタニル)メチルエーテル(同OXT221等)、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン(同OXT212等)等を好ましく用いることができ、特に、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、ジ(1−エチル−3−オキセタニル)メチルエーテルなどの化合物や、特開2001−220526号公報、同2001−310937号公報に記載されている公知のあらゆる官能または2官能オキセタン化合物を使用できる。
芳香族オキセタンモノマーとしては、例えば、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ベンゼン(同OXT121等)、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン(同OXT211等)、4,4’−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル、1,4−ベンゼンジカルボン酸ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メチル]エステル、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ベンゼン、オキセタン化フェノールノボラック等が挙げられる。これらオキセタンモノマーのこれらの詳細は、特開2012−163691号公報に記載されており、ここに記載の化合物は本発明にも好適に使用される。
本発明に係る樹脂保護層の形成に用いられるカチオン重合性化合物は、1種のみが用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。併用する場合には、単官能モノマーと多官能モノマーとを併用してもよく、種類の異なるカチオン重合性化合物、例えば、エポキシ化合物とオキセタン化合物とを併用してもよい。特にエポキシ化合物とオキセタン化合物の併用は硬化速度向上の観点から好ましい。

樹脂保護層形成用組成物に用いられるカチオン重合性化合物の含有量は。樹脂保護層形成用組成物の全固形分に対し、30質量%〜99質量%であることが好ましく、50質量%〜99質量%であることがより好ましい。
本発明に用いられる樹脂保護層形成用組成物には、カチオン重合開始剤を含有してもよい。カチオン重合開始剤を含有することで、樹脂保護層の形成効率が向上する。
(カチオン重合開始剤)
カチオン光重合開始剤としては、有機スルフォニウム塩系、ヨードニウム塩系、フォスフォニウム塩系等を例示することができ、有機スルフォニウム塩系、が好ましく、トリフェニルスルフォニウム塩が特に好ましい。これら化合物の対イオンとしては、ヘキサフルオロアンチモネート、ヘキサフルオロフォスフェートなどが好ましく用いられる。
樹脂保護層形成用組成物には、カチオン重合開始剤を1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カチオン重合開始剤の使用量は、樹脂保護層形成用組成物(塗布液)における固形分換算で、0.01質量%〜20質量%であることが好ましく、0.5質量%〜5質量%であることがさらに好ましい。
樹脂保護層形成用組成物には、前記の必須成分に加え、本発明の効果を損なわない範囲において、目的に応じて種々の添加物を併用することができる。
(無機フィラー)
本発明に係る樹脂保護層は、無機フィラーを含有してもよい。樹脂保護層が無機フィラーを含有させる場合には、既述の樹脂保護層形成用組成物に無機フィラーを添加すればよい。
本発明における樹脂保護層が無機フィラーを含有することによって、耐傷性をより向上させることができる。
無機フィラーとしては特に限定はないが、シリカ、アルミナ、ジルコニア等が挙げられる。例えば、コロイダルシリカシリーズ(日産化学(株)製)、コロイダルアルミナシリーズ(日産化学(株)製)、オルガノシリカゾルシリーズ(日産化学(株)製)、ナノユースシリーズ(日産化学(株)製)が挙げられる。
無機フィラーの粒子形状は、分散性の良好な球状が好ましい。
無機フィラーの粒子径は分散性が良好で、且つ、形成された樹脂保護層の透明性が良好であるという観点から平均粒子径は100nm以下が好ましく、30nm以下がさらに好ましい。また、取り扱いやすさの観点からは、5nm以上が好ましく、8nm以上がより好ましい。なお、本明細書では、平均粒子径は、動的光散乱法で測定した値を用いている
樹脂保護層には、無機フィラーを1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
無機フィラーを用いる場合の添加量としては、樹脂保護層形成用組成物の全固形分に対して5質量%〜30質量%好ましく、10質量%〜20質量%がより好ましい。
添加量が上記範囲において、添加による耐傷性向上効果が十分に得られ、固形分の増加による樹脂保護層の強度低下が抑制され、脆くなったり、割れが生じたりする懸念がないため好ましい。
(酸化防止剤)
本発明における樹脂保護層には、酸化防止剤を添加してもよい。酸化防止剤を含有することによって、樹脂保護層の耐久性をより向上させることができる。
樹脂保護層に酸化防止剤を含有させる場合には、前記樹脂保護層形成用組成物に酸化防止剤を添加すればよい。
本発明に用いうる酸化防止剤としては特に限定はないが、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、及びリン系酸化防止剤から選ばれる化合物を挙げることができる。これらのなかでも、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、及びヒンダードアミン系酸化防止剤が好ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、より具体的には、例えば、Irganox1010(BASF(株)製)、Irganox1135(BASF(株)製)、Irganox1176(BASF(株)製)等を挙げることができる。
ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、より具体的には、例えば、Tinuvin123(BASF(株)製)、Tinuvin292(BASF(株)製)、Tinuvin144(BASF(株)製)等を挙げることができる。
カチオン重合反応は塩基によって阻害されることから、ヒンダードアミン系酸化防止剤を用いる場合には、pKaが7以下である化合物、即ち、非塩基性化合物あるいは中性化合物を用いること好ましい。
樹脂保護層には、酸化防止剤を1種のみ用いてもよく、目的に応じて2種以上を併用してもよい。
樹脂保護層に酸化防止剤を用いる場合の添加量としては、全固形分に対し、0.5質量%〜10質量%が好ましく、1質量%〜5質量%がより好ましい。添加量が上記範囲において、添加による保護層の劣化抑制効果が十分に得られ、また、添加によるブリードアウトや酸化防止剤自身の吸収による反射率の低下などの懸念が少ない。
なお、通常のラジカル重合性組成物では、酸化防止剤は重合反応を阻害するために、含有量に制限があり、その添加量は、0.5質量%以内に限られるが、本発明の如く樹脂保護層の形成にカチオン重合性組成物を用いる場合には、上記のように、樹脂保護層の劣化防止に十分な量の酸化防止剤を添加しうることも利点の一つといえる。
樹脂保護層には、上記以外の成分、例えば、紫外線吸収剤、帯電防止剤、塗布助剤(レベリング剤)、防汚剤、消泡剤等の添加剤が含有されていてもよい。
樹脂保護層に紫外線吸収剤を添加する場合の含有量は、樹脂保護層を構成する材料の全質量に対して、0.1質量%〜20質量%であることが好ましく、1質量%〜15質量%であることがより好ましく、3質量%〜10質量%であることが更に好ましい。保護層における紫外線吸収剤の含有量が上記範囲において、添加による耐候性の改良効果が十分に得られ、隣接する層との密着性が損なわれない。
(樹脂保護層形成用組成物の調製と塗布)
樹脂保護層形成用組成物は、上記各成分を適切な溶媒に溶解して調製すればよい。組成物の調製に用いる溶媒としては特に制限はないが、カチオン重合阻害のない非プロトン性溶媒が好ましく、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエンなどが挙げられる。
樹脂保護層の形成に際しては、前記各成分を含む保護層形成用組成物を前記金属反射層表面、或いは、所望により金属反射層上に設けられる後述する保護層の表面に塗布し、その後、硬化させればよい。
塗布方法は、公知の方法を適用でき、ディップコート法、エアーナイフコート法、スピンコート法、スリットコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書)等を適用できる。また、後述する保護層と本実施形態に係る樹脂保護層など、二以上の層を同時に塗布してもよい。同時塗布の方法については、米国特許2761791号、同2941898号、同3508947号、同3526528号の各明細書および原崎勇次著、コーティング工学、253頁、朝倉書店(1973)に記載があり、ここに記載の方法を本発明にも適用しうる。
(樹脂保護層の硬化)
カチオン重合性モノマーとカチオン重合開始剤とを含む樹脂保護層の硬化方法には特に限定は無いが、加熱重合、光(紫外線、可視光線)重合、電子ビーム重合、プラズマ重合、あるいはこれらの組み合わせが好ましく用いられる。これらのうち、光重合が特に好ましい。
光重合を行う場合は、樹脂保護層形成用組成物に光重合開始剤を併用することが好ましい。光重合開始剤の例としてはサンアプロ株式会社から市販されているCPIシリーズ、BASF株式会社から市販されているIRGACURE250、IRGACURE270等が挙げられる。
樹脂保護層形成用組成物の重合、硬化のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、10mJ/cm〜10J/cmであることが好ましく、25〜1000mJ/cmであることがさらに好ましい。照度は10〜2000mW/cmであることが好ましく、20mW/cm〜1500mW/cmであることがより好ましく、40mW/cm〜1000mW/cmであることがさらに好ましい。
照射波長としては250nm〜450nmにピークを有することが好ましく、300nm〜410nmにピークを有することがさらに好ましい。
重合反応を促進するため、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは加熱条件下で光照射を実施してもよい。また、カチオン重合は水分によって阻害されるため、硬化反応を行う雰囲気湿度は60%以下が好ましく、40%以下であることがさらに好ましい。
硬化後の樹脂保護層の厚さは、2μm〜25μmであり、3μm〜20μmであることが好ましく、5μm〜10μmであることがさらに好ましい。厚さが2μm以上であることで樹脂保護層による耐傷性が十分に得られ、25μm以下であることで、硬化時にカールが生じる懸念や金属反射層の反射性能に影響を与える可能性が著しく低減される。
(樹脂層)
本発明における樹脂保護層の硬化に用いられるカチオン重合開始剤は、酸を発生し、この酸によりカチオン重合反応が開始進行するが、隣接する金属反射層表面における酸による劣化を防止する目的で、金属反射層と樹脂保護層との間に、樹脂層を設けることも好ましい態様である。
樹脂層の形成に用いられる樹脂材料としては、フィルム又は層を形成しうる樹脂であって、形成されたフィルム又は層の強度、耐久性、空気や水分の遮断性、さらには、樹脂層と隣接する層、例えば、金属反射層や樹脂保護層等との密着性に加え、透明性、特にフィルムミラーが必要とする波長の光に対する高い透過性を達成しうる樹脂を選択することが好ましい。
具体的には、例えば、セルロースエステル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリスルフォン(ポリエーテルスルフォンも含む)系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロースジアセテート樹脂、セルローストリアセテート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、エチレンビニルアルコール樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、及びエチレンアクリル酸エステル共重合体、エチレンアクリル酸共重合体、ポリカーボネート、ノルボルネン系樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリアミド、フッ素系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリル樹脂、オレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂等を挙げることができる。
これらのなかでも、透明性、酸素・水蒸気遮断性、及び、保護層と金属反射層との密着性の観点から、保護層に含有される樹脂としては、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、エチレン酢酸ビニル樹脂、及びエチレンアクリル酸エステル共重合体から選ばれる1種以上の樹脂が好ましい。
(樹脂層の形成方法)
樹脂層は前記樹脂保護層と同様にして形成することができる。形成方法としては、例えば、上記樹脂、及び所望により併用される各成分を含む樹脂層形成用組成物を溶剤に溶解させ、金属反射層の表面上に塗布した後、溶剤を減じて樹脂層を形成する方法、樹脂層形成用組成物に含まれる樹脂が溶融する温度まで加熱した後、金属反射層の面上にキャストして樹脂層を形成する方法、樹脂層形成用組成物を用いて予めフィルム状に成形し、得られたフィルムを、粘着剤を介して金属反射層に貼り合わせるか、或いは、熱ラミネート等の方法で金属反射層に融着させる等の方法により樹脂層を形成する方法等が挙げられる。
(樹脂層塗布膜厚)
樹脂層の塗布膜厚は1μm〜30μmが好ましく、5μm〜15μmがより好ましい。
塗布膜厚が上記範囲において、カチオン重合開始反応によって生じた酸の層間移動により金属反射層への到達と、それに起因する金属反射層の劣化が効果的に抑制され、酸素、水、硫黄化合物等の金属反射層を劣化させる物質の遮断硬化が十分に得られ、且つ、塗布膜厚が厚くなることに起因する、実用上問題となるような反射率の低下が生じることがない。
本発明のフィルムミラーは太陽光の集光用として好適に用いることができる。その応用態様としては、例えば、太陽光反射板への適用が挙げられる。
本発明のフィルムミラーを用いて作製された太陽光反射板は、樹脂、金属、又はセラミックのいずれかからなる基板や枠体に、本発明のフィルムミラーを固定化してなるものが挙げられる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
また、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は、「質量%」を表す。
[フィルムミラーの作製]
<実施例1>
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡製、コスモシャインA−4300、厚さ:120μm)を樹脂製支持体として、該PETフィルム上に、下記工程により電気めっきにて銀含有金属反射層を設けた。
〔樹脂中間層の作製〕
(易接着層の形成)
前記ポリエチレンテレフタレートフィルムを搬送速度80m/分で搬送し、このPETフィルムの一方の面上に、730J/mの条件でコロナ放電処理を施した後、下記の易接着層形成用塗布液を、乾燥重量が124mg/mとなるようにバーコート法により塗布した。そして、これを180℃で1分間乾燥することにより、厚さ0.11μmの易接着層を形成した。
−易接着層形成用塗布液の組成−
・ポリエステル樹脂水分散物 48質量部
(バイロナール1245、固形分:30質量%、東洋紡(株)製・・・バインダー)
・PMMA樹脂微粒子 0.5質量部
(MP−1000、固形分:100質量%、綜研化学(株)製・・・マット材)
・オキサゾリン化合物 3質量部
(エポクロスWS−700、固形分:25質量%、日本触媒(株)製・・・架橋剤)
・カルボジイミド化合物 17質量部
(カルボジライトV−02−L2、固形分:40質量%、日清紡(株)製・・・架橋剤)
・ポリオキシアルキレンアルキルエーテル 0.15質量部
(ナロアクティーCL−95、固形分:100質量%、三洋化成工業(株)製)
(めっき下塗りポリマー層の形成)
易接着層が形成された二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(P−1)の易接着層の面上に、下記の方法により調製しためっき下塗りポリマー層形成用塗布液を、乾燥後の膜厚が約0.55μmとなるように、バーコート法により塗布し、25℃で10分間、及び80℃で5分間乾燥した後、UV照射装置(UVランプ:メタルハライドランプ、GSユアサ社製)を用いて、UV露光(波長:254nm、UV露光量:1000mJ/cm)した。次いで、このUV露光後のP−1を、1質量%の炭酸水素ナトリウム水溶液に5分間浸漬させた後、純水で1分間掛け流しにより洗浄し、未反応のポリマーを除去した。
−めっき下塗りポリマー層形成用塗布液の調製−
下記構造のアクリルポリマー1(7質量部)、1−メトキシ−2プロパノール(74質量部)、及び水(19質量部)の混合溶液に、光重合開始剤(エサキュアKTO−46、ランベルディー社製)(0.35質量部)を添加し、攪拌することにより、アクリルポリマー1を含むめっき下塗りポリマー層形成用塗布液を調製した。なお、アクリルポリマー1の重量平均分子量は、40000(上述のGPCを用いたポリスチレン換算値)であり、アクリルポリマー1におけるカルボン酸基の含有量は、4.3meq/gであった。


(アクリルポリマー1)
(金属前駆体の付与)
金属前駆体を含む溶液として、硝酸銀の1質量%水溶液を調製した。上記にて得られためっき下塗りポリマーが塗布されたポリエチレンテレフタレートフィルム(P−1)を、25℃に温調した1質量%の硝酸銀水溶液に5分間浸漬させた後、純水で1分間掛け流しにより洗浄し、金属前駆体の付与を行なった。
(金属前駆体の還元)
還元液として、0.14質量%の水酸化ナトリウムを含有する0.25質量%のホルムアルデヒド水溶液(還元液)を調製した。上記にて得られた金属前駆体が付与されたポリエチレンテレフタレートフィルム(P−1)を、25℃に温調した上記還元液に1分間浸漬させた後、純水で1分間掛け流しにより洗浄し、金属前駆体を還元した。
還元後の表面抵抗値を、表面抵抗計を用いて測定したところ、約5Ω/□であった。また、表面粗さ(Ra)を、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて測定したところ、約7nmであった。さらに、還元後の金属の粒子径を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて測定したところ、約50nmであった。
〔金属反射層の作製〕
(電気めっき)
電気めっきの前処理として、上記にて得られた還元された金属の粒子を含むめっき下塗りポリマー層を面上に有するポリエチレンテレフタレートフィルム(P−1)を、25℃に温調したダインクリーナーAC100(大和化成(株)製)の10質量%水溶液に30秒間浸漬させた後、数回洗浄した。続けて、同じく電気めっき前処理として、ダインシルバーACC(主成分:メタンスルホン酸、大和化成(株)製)の10質量%水溶液に10秒間浸漬させた後、数回洗浄した。
次に、電気めっき液として、ダインシルバーブライトPL50(主成分:メタンスルホン酸銀、大和化成(株)製)を、8M水酸化カリウムによりpH9.0に調整したものを調製した。そして、この電気めっき液に、上記還元された金属の粒子を含むめっき下塗りポリマー層を面上に有するポリエチレンテレフタレートフィルム(P−1)を浸漬させ、0.5A/dmにて20秒間めっきした。
電気めっきの後処理として、めっき後のポリエチレンテレフタレートフィルム(P−1)を、ダインシルバーACC(大和化成(株)製)の10質量%水溶液に90秒間浸漬させた後、数回洗浄し、金属反射層を形成した。
めっき後処理後の金属反射層の表面粗さ(Ra)を、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて測定したところ、約4nmであった。
〔樹脂保護層の作製〕
上記にて得られた金属反射層のめっき処理面上に、下記の樹脂保護層形成用組成物(樹脂保護層形成用塗布液)TC−1を、樹脂保護層形成後の膜厚が8μmとなるようにバーコート法により塗布した。そして、これを湿度40%の条件下、空気中で照射量が500mJ/cmになるように高圧水銀灯を照射することにより樹脂保護層を形成し、実施例1のフィルムミラーを得た。
−樹脂保護層形成用塗布液TC−1の組成−
・アロンオキセタンOXT−221(東亞合成(株)製) 38.92質量部
(カチオン重合性化合物:オキセタン化合物)
・デナコールEX−614B(ナガセケムテックス(株)製) 2.12質量部
(カチオン重合性化合物:エポキシ化合物)
・サンエイドCPI−100P(カチオン重合開始剤)
(サンエイド(株)製、固形分50%) 2.54質量部
・メガファックF−780−F(フッ素系界面活性剤)
(DIC(株)製、固形分30%) 0.04質量部
・メチルイソブチルケトン(溶剤) 51.37質量部
・シクロヘキサノン(溶剤) 5.00質量部
<実施例2>
実施例1において、樹脂保護層形成用塗布液TC−1を、下記樹脂保護層形成用塗布液TC−2に代えた以外は、実施例1と同様にして、金属反射層表面に樹脂保護層を有する実施例2のフィルムミラーを得た。
−樹脂保護層形成用塗布液TC−2の組成−
・アロンオキセタンOXT−221(東亞合成(株)製) 30.05質量部
・デナコールEX−614B(ナガセケムテックス(株)製) 2.12質量部
・サンエイドCPI−100P
(サンエイド(株)製、固形分50%) 2.54質量部
・メガファックF−780−F
(DIC(株)製、固形分30%) 0.04質量部
・オルガノシリカゾルMIBK−ST(無機フィラー)
(日産化学工業(株)製、固形分30%:平均粒径:15nm) 28.22質量部
・IRGANOX1010(BASF(株)製) 0.42質量部
・メチルイソブチルケトン 31.61質量部
・シクロヘキサノン 5.00質量部
<実施例3>
金属反射層表面に、まず、下記樹脂層形成用塗布液OC−1を、樹脂層形成後の膜厚が10μmとなるようにバーコート法により塗布した。そして、これを130℃で1分間乾燥して、樹脂層を形成した。
−樹脂層形成用塗布液OC−1の組成−
・エスレックBL−1(ポリビニルブチラール樹脂:積水化学工業(株)製
16.98質量部
・メガファックF−780−F(フッ素系界面活性剤)
(DIC(株)製、固形分30%) 0.03質量部
・IRGANOX1076(BASF(株)製:酸化防止剤) 0.16質量部
・メチルエチルケトン(溶剤) 57.83質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテル(溶剤) 20.00質量部
・シクロヘキサノン(溶剤) 5.00質量部
前記樹脂層表面に、前記実施例2で用いた樹脂保護層形成用塗布液TC−2を、樹脂保護層形成後の膜厚が8μmとなるようにバーコート法により塗布した以外は、実施例2と同様にして、金属反射層表面に樹脂層と樹脂保護層とを有する実施例3のフィルムミラーを得た。
<実施例4>
実施例3において、樹脂保護層形成用塗布液TC−2を用い、樹脂保護層形成後の膜厚が2μmとなるようにバーコート法により塗布した以外は、実施例3と同様にして、金属反射層表面に樹脂層と樹脂保護層とを有する実施例3のフィルムミラーを得た。
<実施例5>
実施例3において、樹脂保護層形成用塗布液TC−2を用い、樹脂保護層形成後の膜厚が3μmとなるようにバーコート法により塗布した以外は、実施例3と同様にして、金属反射層表面に樹脂保護層とを有する実施例4のフィルムミラーを得た。
<実施例6>
実施例3において、樹脂保護層形成用塗布液TC−2を用い、樹脂保護層形成後の膜厚が5μmとなるようにバーコート法により塗布した以外は、実施例3と同様にして、金属反射層表面に樹脂層と樹脂保護層とを有する実施例10のフィルムミラーを得た。
<実施例7>
実施例3において、樹脂保護層形成用塗布液TC−2を用い、樹脂保護層形成後の膜厚が10μmとなるようにバーコート法により塗布した以外は、実施例3と同様にして、金属反射層表面に樹脂層と樹脂保護層とを有する実施例11のフィルムミラーを得た。
<実施例8>
実施例3において、樹脂保護層形成用塗布液TC−2を用い、樹脂保護層形成後の膜厚が20μmとなるようにバーコート法により塗布した以外は、実施例3と同様にして、金属反射層表面に樹脂層と樹脂保護層とを有する実施例12のフィルムミラーを得た。
<実施例9>
実施例3において、樹脂保護層形成用塗布液TC−2を用い、樹脂保護層形成後の膜厚が25μmとなるようにバーコート法により塗布した以外は、実施例3と同様にして、金属反射層表面に樹脂層と樹脂保護層とを有する実施例9のフィルムミラーを得た。
<実施例10>
実施例3において、樹脂保護層形成用塗布液TC−2を、下記樹脂保護層形成用塗布液TC−3に代えた以外は、実施例3と同様にして、金属反射層表面に樹脂層と樹脂保護層とを有する実施例5のフィルムミラーを得た。
−樹脂保護層形成用塗布液TC−3組成
・アロンオキセタンOXT−221(東亞合成(株)製) 21.58質量部
・デナコールEX−614B(ナガセケムテックス(株)製) 2.12質量部
・サンエイドCPI−100P
(サンエイド(株)製、固形分50%) 2.54質量部
・メガファックF−780−F
(DIC(株)製、固形分30%) 0.04質量部
・オルガノシリカゾルMIBK−ST
(日産化学工業(株)製、固形分30%) 56.45質量部
・IRGANOX1010(BASF(株)製) 0.42質量部
・メチルイソブチルケトン 11.85質量部
・シクロヘキサノン 5.00質量部
<実施例11>
実施例3において、樹脂保護層形成用塗布液TC−2を、下記樹脂保護層形成用塗布液TC−7に代えた以外は、実施例3と同様にして、金属反射層表面に樹脂層と樹脂保護層とを有する実施例6のフィルムミラーを得た。
−樹脂保護層形成用塗布液TC−7組成
・アロンオキセタンOXT−221(東亞合成(株)製) 38.51質量部
・デナコールEX−614B(ナガセケムテックス(株)製) 2.12質量部
・サンエイドCPI−100P
(サンエイド(株)製、固形分50%) 2.54質量部
・メガファックF−780−F
(DIC(株)製、固形分30%) 0.04質量部
・IRGANOX1010(BASF(株)製) 0.42質量部
・メチルイソブチルケトン 51.37質量部
・シクロヘキサノン 5.00質量部
<実施例12>
実施例3において、樹脂保護層形成用塗布液TC−2を、下記樹脂保護層形成用塗布液TC−8に代えた以外は、実施例3と同様にして、金属反射層表面に樹脂層と樹脂保護層とを有する実施例7のフィルムミラーを得た。
−樹脂保護層形成用塗布液TC−8組成−
・アロンオキセタンOXT−221(東亞合成(株)製) 30.457質量部
・デナコールEX−614B(ナガセケムテックス(株)製) 2.12質量部
・サンエイドCPI−100P
(サンエイド(株)製、固形分50%) 2.54質量部
・メガファックF−780−F
(DIC(株)製、固形分30%) 0.04質量部
・オルガノシリカゾルMIBK−ST
(日産化学工業(株)製、固形分30%) 28.22質量部
・メチルイソブチルケトン 31.63質量部
・シクロヘキサノン 5.00質量部
<実施例13>
実施例3において、樹脂保護層形成用塗布液TC−2を、下記樹脂保護層形成用塗布液TC−9に代えた以外は、実施例3と同様にして、金属反射層表面に樹脂層と樹脂保護層とを有する実施例8のフィルムミラーを得た。
−樹脂保護層用塗布液TC−9組成−
・アロンオキセタンOXT−221(東亞合成(株)製) 30.05質量部
・デナコールEX−614B(ナガセケムテックス(株)製) 2.12質量部
・サンエイドCPI−100P
(サンエイド(株)製、固形分50%) 2.54質量部
・メガファックF−780−F
(DIC(株)製、固形分30%) 0.04質量部
・オルガノシリカゾルMIBK−ST
(日産化学工業(株)製、固形分30%) 28.22質量部
・TINUVIN292(BASF(株)製) 0.42質量部
・メチルイソブチルケトン 31.61質量部
・シクロヘキサノン 5.00質量部
<実施例14>
実施例3において、樹脂保護層形成用塗布液TC−2を、下記樹脂保護層形成用塗布液TC−4に代えた以外は、実施例3と同様にして、金属反射層表面に樹脂層と樹脂保護層とを有する実施例13のフィルムミラーを得た。
−樹脂保護層用塗布液TC−4組成−
・アロンオキセタンOXT−221(東亞合成(株)製) 25.81質量部
・デナコールEX−614B(ナガセケムテックス(株)製) 2.12質量部
・サンエイドCPI−100P
(サンエイド(株)製、固形分50%) 2.54質量部
・メガファックF−780−F
(DIC(株)製、固形分30%) 0.04質量部
・オルガノシリカゾルMIBK−ST
(日産化学工業(株)製、固形分30%) 42.34質量部
・IRGANOX1010(BASF(株)製) 0.42質量部
・メチルイソブチルケトン 21.73質量部
・シクロヘキサノン 5.00質量部
<実施例15>
実施例3において、樹脂保護層形成用塗布液TC−2を、下記樹脂保護層形成用塗布液TC−5に代えた以外は、実施例3と同様にして、金属反射層表面に樹脂層と樹脂保護層とを有する実施例15のフィルムミラーを得た。
−樹脂保護層用塗布液TC−5組成−
・アロンオキセタンOXT−221(東亞合成(株)製) 34.28質量部
・デナコールEX−614B(ナガセケムテックス(株)製) 2.12質量部
・サンエイドCPI−100P
(サンエイド(株)製、固形分50%) 2.54質量部
・メガファックF−780−F
(DIC(株)製、固形分30%) 0.04質量部
・オルガノシリカゾルMIBK−ST
(日産化学工業(株)製、固形分30%) 14.11質量部
・IRGANOX1010(BASF(株)製) 0.42質量部
・メチルイソブチルケトン 41.49質量部
・シクロヘキサノン 5.00質量部
<実施例16>
実施例3において、樹脂保護層形成用塗布液TC−2を、下記樹脂保護層形成用塗布液TC−6に代えた以外は、実施例3と同様にして、金属反射層表面に樹脂層と樹脂保護層とを有する実施例16のフィルムミラーを得た。
−樹脂保護層用塗布液TC−6組成−
・アロンオキセタンOXT−221(東亞合成(株)製) 36.39質量部
・デナコールEX−614B(ナガセケムテックス(株)製) 2.12質量部
・サンエイドCPI−100P
(サンエイド(株)製、固形分50%) 2.54質量部
・メガファックF−780−F
(DIC(株)製、固形分30%) 0.04質量部
・オルガノシリカゾルMIBK−ST
(日産化学工業(株)製、固形分30%) 7.06質量部
・IRGANOX1010(BASF(株)製) 0.42質量部
・メチルイソブチルケトン 46.43質量部
・シクロヘキサノン 5.00質量部
<実施例17>
実施例3において、樹脂保護層形成用塗布液TC−2を、下記樹脂保護層形成用塗布液TC−10に代えた以外は、実施例3と同様にして、金属反射層表面に樹脂層と樹脂保護層とを有する実施例17のフィルムミラーを得た。
−樹脂保護層用塗布液TC−10組成−
・アロンオキセタンOXT−221(東亞合成(株)製) 30.05質量部
・デナコールEX−614B(ナガセケムテックス(株)製) 2.12質量部
・サンエイドCPI−100P
(サンエイド(株)製、固形分50%) 2.54質量部
・メガファックF−780−F
(DIC(株)製、固形分30%) 0.04質量部
・オルガノシリカゾルMIBK−ST
(日産化学工業(株)製、固形分30%) 28.22質量部
・TINUVIN123(BASF(株)製) 0.42質量部
・メチルイソブチルケトン 31.61質量部
・シクロヘキサノン 5.00質量部
<実施例18>
実施例3において、樹脂保護層形成用塗布液TC−2を、下記樹脂保護層形成用塗布液TC−11に代えた以外は、実施例3と同様にして、金属反射層表面に樹脂層と樹脂保護層とを有する実施例18のフィルムミラーを得た。
−樹脂保護層用塗布液TC−11組成−
・アロンオキセタンOXT−221(東亞合成(株)製) 30.05質量部
・デナコールEX−614B(ナガセケムテックス(株)製) 2.12質量部
・サンエイドCPI−100P
(サンエイド(株)製、固形分50%) 2.54質量部
・メガファックF−780−F
(DIC(株)製、固形分30%) 0.04質量部
・オルガノシリカゾルMIBK−ST
(日産化学工業(株)製、固形分30%) 28.22質量部
・IRGANOX PS 800 FD
(BASF(株)製) 0.42質量部
・メチルイソブチルケトン 31.61質量部
・シクロヘキサノン 5.00質量部
<実施例19>
実施例3において、樹脂保護層形成用塗布液TC−2を、下記樹脂保護層形成用塗布液TC−12に代えた以外は、実施例3と同様にして、金属反射層表面に樹脂層と樹脂保護層とを有する実施例19のフィルムミラーを得た。
−樹脂保護層用塗布液TC−12組成−
・アロンオキセタンOXT−221(東亞合成(株)製) 30.05質量部
・デナコールEX−614B(ナガセケムテックス(株)製) 2.12質量部
・サンエイドCPI−100P
(サンエイド(株)製、固形分50%) 2.54質量部
・メガファックF−780−F
(DIC(株)製、固形分30%) 0.04質量部
・オルガノシリカゾルMIBK−ST
(日産化学工業(株)製、固形分30%) 28.22質量部
・IRGAFOS168(BASF(株)製) 0.42質量部
・メチルイソブチルケトン 31.61質量部
・シクロヘキサノン 5.00質量部
<比較例1>
実施例1において、樹脂保護層形成用塗布液TC−1を、下記比較樹脂保護層形成用塗布液TC−13に代えた以外は、実施例1と同様にして、金属反射層表面に樹脂保護層を有する比較例1のフィルムミラーを得た。
−比較樹脂保護層用塗布液TC−13組成−
・ディフェンサFH−700
(ラジカル重合性塗料、DIC(株)製、固形分90%) 45.62質量部
・IRGACURE127(ラジカル重合開始剤) 1.27質量部
・メガファックF−780−F
(DIC(株)製、固形分30%) 0.04質量部
・メチルイソブチルケトン 48.07質量部
・シクロヘキサノン 5.00質量部
<比較例2>
実施例3において、樹脂保護層形成用塗布液TC−2を、下記比較樹脂保護層形成用塗布液TC−14に代えた以外は、実施例3と同様にして、金属反射層表面に樹脂層と樹脂保護層とを有する比較例2のフィルムミラーを得た。
−比較樹脂保護層用塗布液TC−14組成−
・ディフェンサFH−700
(ラジカル重合性塗料、DIC(株)製、固形分90%) 36.21質量部
・IRGACURE127 1.27質量部
・メガファックF−780−F
(DIC(株)製、固形分30%) 0.04質量部
・オルガノシリカゾルMIBK−ST
(日産化学工業(株)製、固形分30%) 28.22質量部
・メチルイソブチルケトン 29.26質量部
・シクロヘキサノン 5.00質量部
<比較例3>
実施例3において、樹脂保護層形成用塗布液TC−2を、下記比較樹脂保護層形成用塗布液TC−15に代えた以外は、実施例3と同様にして、金属反射層表面に樹脂層と樹脂保護層とを有する比較例3のフィルムミラーを得た。
−比較樹脂保護層用塗布液TC−15組成
・ディフェンサFH−700
(ラジカル重合性塗料、DIC(株)製、固形分90%) 35.74質量部
・IRGACURE127 1.27質量部
・メガファックF−780−F
(DIC(株)製、固形分30%) 0.04質量部
・オルガノシリカゾルMIBK−ST
(日産化学工業(株)製、固形分30%) 28.22質量部
・IRGANOX1010(BASF(株)製) 0.42質量部
・メチルイソブチルケトン 29.31質量部
・シクロヘキサノン 5.00質量部
上記にて作製した実施例1〜実施例19、及び比較例1〜比較例3の構成において、樹脂保護層形成用組成物に含まれるオキセタン化合物、樹脂フィラー、酸化防止剤の樹脂保護層形成用組成物に対する固形分換算の含有率(%)、樹脂保護層の膜厚、及び樹脂層の有無について下記表1に示す。
[評価]
上記にて作製した実施例1〜実施例19、及び比較例1〜比較例3のフィルムミラーについて、下記評価方法及び評価基準にて、割れ、カール、耐傷性及び耐久性の評価を行なった。これらの結果を表2に示す。
[割れ]
作製した実施例、比較例の各フィルムミラーを10cm×10cmのサイズに裁断し、得られた試料について、ワレの有無を目視で観察し、以下の基準で評価した。なお、「割れ」とは、フィルムミラーの表面における樹脂保護層における「ひび」や「クラック(割れ目)」を指す。
A:割れがない
B:割れが裁断した試料の端部や屈曲部のみに生じた
C:割れが試料の全面に生じた
[カール]
下記カール試験により評価した
水平な台上にサイズ10cm×10cmに裁断したフィルムミラーの試料を置き、四隅の浮き高さを測定した。
AA:四隅の浮きの高さの平均が5mm未満
A:四隅の浮きの高さの平均が5mm以上10mm未満
B:四隅の浮きの高さが10mm以上11mm未満
C:四隅の浮きの高さが11mm以上であるが安定に置かれている
D:カールが非常に大きく、試料が丸まって高さを計測できない
[耐傷性]
JIS H 8503(1989年)に記載された「砂落とし磨耗試験方法」に準じて耐傷性試験を行った。
具体的には、作製した実施例、比較例の各フィルムミラーを3cm角に切り出し、45度の角度からSiO粒子が衝突するようにガードナー式落砂磨耗試験機(SD−1、スガ試験機(株)製)に固定した後、320gのSiO粒子(粒径:150μm)を100cmの高さから自由落下させて衝突させた。その後、試料を純水中で超音波洗浄し、付着した粒子を取り除いた。砂塵試験前後のヘイズ値の差(ΔH)を測定し、耐傷性の指標とした。その結果より以下の基準にて評価した。
AA:ΔHが2%以下
A:ΔHが2%以上、5%未満
B:ΔHが5%以上、10%未満
C:ΔHが10%以上
[耐久性]
得られたフィルムミラーについて、キセノンランプ耐光性試験機(ATLAS社製、Ci5000、パワー:180W、Black Panel Temperature:83℃)内に配置して、温度55℃、湿度50%RHの条件下で6000時間放置し、その際のフィルムミラーの450nmにおける反射率の低下(放置前の反射率(%)−放置後の反射率(%))を評価した。なお、反射率は、紫外可視近赤外分光光度計UV−3100(島津製作所社製)を用いて測定した。
A:反射率の低下が5%未満
B:反射率の低下が5%以上10%未満
C:反射率の低下が10%以上
表2に示すように、本発明のフィルムミラーは裁断時のワレが生じず、樹脂保護層を形成した場合にもカールが抑制され、耐傷性、耐久性のいずれにも優れていた。実施例2と実施例3との対比より金属反射層と樹脂保護層との間に樹脂層を設けることで、耐久性がより向上することがわかる。また、樹脂保護層形成用組成物に無機フィラーを加えることで耐傷性がより向上すること、酸化防止剤を加えることで耐久性がより向上することがわかる。実施例3〜実施例9により、樹脂保護層の厚さは2μm〜25μmの広い範囲において本発明の効果が確認されたが、なかでも、厚さ3μm〜20μmの範囲において、その効果が著しいことがわかる。
他方、塗布法を用いて形成されたものであっても、カチオン重合によらずに形成された樹脂保護層を有する比較例1〜比較例3のフィルムミラーは、いずれもカールの発生が著しく、実用上問題となるレベルであった。

Claims (11)

  1. 支持体と、金属反射層と、カチオン重合により形成された樹脂保護層と、をこの順に有するフィルムミラー。
  2. 前記樹脂保護層の厚さが3μm〜20μmである、請求項1に記載のフィルムミラー。
  3. 前記金属反射層と、前記樹脂保護層との間に樹脂層をさらに有する、請求項1又は請求項2に記載のフィルムミラー。
  4. 前記樹脂保護層が、無機フィラーを含有する、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のフィルムミラー。
  5. 前記樹脂保護層中の無機フィラーが前記樹脂保護層の全固形分に対して5質量%〜30質量%である請求項4に記載のフィルムミラー。
  6. 前記樹脂保護層が、酸化防止剤を含有する、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のフィルムミラー。
  7. 前記酸化防止剤は、pKaが7以下の化合物を含む、請求項6に記載のフィルムミラー。
  8. 前記酸化防止剤は、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、非塩基性ヒンダードアミン系酸化防止剤、中性ヒンダードアミン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、及びリン系酸化防止剤からなる群より選択される1種以上の化合物を含む、請求項6又は請求項7に記載のフィルムミラー。
  9. 太陽光集光用に用いられる、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のフィルムミラー。
  10. 支持体上に、金属反射層を形成する金属反射層形成工程と、
    形成された金属反射層表面にカチオン重合性化合物を含有する樹脂保護層形成用組成物を付与し、付与された樹脂保護層形成用組成物を硬化させて樹脂保護層を形成する樹脂保護層形成工程と、
    をこの順で有する、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載のフィルムミラーの製造方法。
  11. 前記樹脂保護層形成工程に先立って、形成された金属反射層表面に樹脂層を形成する工程を有する、請求項10に記載のフィルムミラーの製造方法。
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