JP2015210335A - フィルムミラーおよび反射装置 - Google Patents

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    • F24SSOLAR HEAT COLLECTORS; SOLAR HEAT SYSTEMS
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Abstract

【課題】高温環境下における反射率の低下を抑制・防止できるフィルムミラーを提供する。【解決手段】少なくとも光反射層、樹脂基材、および粘着層を有し、前記粘着層がアクリル系粘着剤より形成されており、前記アクリル系粘着剤に含まれるアクリル系重合体の質量平均分子量が80万以上であり、且つ前記アクリル系重合体の分子量1万以下の成分が前記アクリル系重合体全体に対して5%以下であるフィルムミラー。【選択図】なし

Description

本発明は、フィルムミラーに関する。より詳しくは、本発明は、高温環境下での反射率の低下を抑制・防止できるフィルムミラーに関する。本発明のフィルムミラーは反射装置、特に太陽熱発電用反射装置に好適に使用できる。
近年の地球温暖化は一層深刻な事態に発展している。その主原因は、20世紀に入りエネルギー源として多量に使用されてきた化石燃料から放出された大気中の二酸化炭素(CO)であると考えられている。したがって近い将来、化石燃料をこのまま使い続けることは許されなくなると考えられる。また、他方で、中国、インド、ブラジル等のいわゆる発展途上国の急激な経済成長に伴うエネルギー需用の増大により、かつては無尽蔵と考えられていた石油、天然ガスの枯渇が現実味を帯びてきている。
化石燃料の代替エネルギーとして最も安定しており、かつ量の多い自然エネルギーは、太陽エネルギーであると考えられる。特に世界のサンベルト地帯と呼ばれている赤道近くには、広大な砂漠が広がっており、そこに降りそそぐ太陽エネルギーは正に無尽蔵と言える。太陽エネルギーの利用に関して、米国南西部に拡がる砂漠のわずか数%を使えば、実に7,000GWものエネルギーを得ることが可能であると考えられている。また、アラビア半島、北アフリカの砂漠のわずか数%を使えば、全人類の使うエネルギーを全て賄うことができるとも考えられている。
このように、太陽エネルギーは非常に有力な代替エネルギーであるものの、これを社会活動の中で活用するためには、(1)太陽エネルギーのエネルギー密度が低いこと、並びに(2)太陽エネルギーの貯蔵及び移送が困難であることが、問題となると考えられる。これに対して、太陽エネルギーのエネルギー密度が低いという問題は、巨大な集光装置で太陽エネルギーを集めることによって解決することが提案されている。
太陽熱発電に使われるミラーとして、現在は厚いガラスミラーが使用されているが、重く、割れやすいため、取り付け作業性が悪いのと維持コストが高い問題がある。そこで近年ミラーをフィルム化した樹脂製のフィルムミラーが注目されている。フィルムであれば、軽く、割れないので、簡単に取り付けられる上、反射率自体も高いという特徴を有する。
太陽熱発電プラントは砂漠地帯等の日射量の多い地域に建設されるが、風雨、砂埃がミラー表面に付着して、継時的に反射率が低下することが問題として挙げられる。
このため、通常、フィルムミラーの最外層に耐傷性易滑層(ハードコート層)を設けて耐傷性を改善させている。(例えば、特許文献1)
また、近年では、砂埃などの外的要因によるフィルムミラーの反射率低減をさらに抑制すべく、ビニールハウス等でフィルムミラーを覆い、雨風や砂などからフィルムミラーを保護する検討が行われている。
特開2012−242714号公報
しかしながら、本発明者は上記のビニールハウス等でフィルムミラーを覆う方法においては、ビニールハウス内に熱がこもることで温度が大幅に上昇したときに、フィルムミラーの反射率が低下するといった問題を見出した。
したがって、本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、高温環境下における反射率の低下を抑制・防止できるフィルムミラーを提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意研究を行った結果、アクリル系粘着剤より形成されており、前記アクリル系粘着剤に含まれるアクリル系重合体が、質量平均分子量が80万以上であり、且つ前記アクリル系重合体の分子量1万以下の成分が前記アクリル系重合体全体に対して5%以下である粘着層をフィルムミラーに用いることによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、上記目的は、少なくとも光反射層、樹脂基材、粘着層を有し、前記粘着層がアクリル系粘着剤より形成されており、前記アクリル系粘着剤に含まれるアクリル系重合体の質量平均分子量が80万以上であり、且つ前記アクリル系重合体の分子量1万以下の成分が前記アクリル系重合体全体に対して5%以下であることを特徴とするフィルムミラーによって達成できる。
本発明のフィルムミラーは、高温環境下での反射率の低下を抑制・防止できる。このため、本発明のフィルムミラーは、反射装置、特に太陽熱発電用反射装置に好適に使用できる。
本発明のフィルムミラーの構成の実施形態の一例を示す概略断面図である。 本発明に係る反射装置の構成の実施形態の一例を示す概略断面図である。 本発明のフィルムミラーの構成の他の実施形態の一例を示す概略断面図である。 本発明に係る反射装置の構成の他の実施形態の一例を示す概略断面図である。
本発明は、粘着層を形成するアクリル系粘着剤に含まれる、アクリル系重合体の質量平均分子量が80万以上であり、且つ前記アクリル系銃当該の分子量1万以下の成分が前記アクリル系重合体全体に対して5%以下であることを特徴とする。当該構成によって、高温環境下での反射率の低下を抑制・防止できる。ここで、本発明の構成による上記作用効果の発揮のメカニズムは以下のように推測される。なお、本発明は下記メカニズムに限定されるものではない。
フィルムミラーは、さらに耐候性や耐傷性等を改善させるべくビニールハウス等で覆われた高温環境で使用されることが考えられる。このため、フィルムミラーは高温環境下でも高い反射率を発揮、維持する必要がある。しかしながら特許文献1に記載されるフィルムミラーを初めとする従来のフィルムミラーは、高温環境にさらされると、反射率は次第に低下してしまう。
本発明者は、高温環境下の反射率低下は、フィルムミラーの光反射層の反射面の乱れによる拡散反射により生じることを確認した。さらに、光反射層の反射面の乱れの程度は、粘着層を形成するための粘着剤によって異なることを見出した。これより、本発明者は粘着剤の選択によりフィルムミラーの光反射層の反射面の乱れを低減することに注目した。
また、フィルムミラーに用いられる粘着剤としては、大面積用途であり、且つ高温環境下での長期間使用が想定されることより、一般的に安価で、且つ一定の耐熱性を有するアクリル系粘着剤が適すると考えられる。アクリル系粘着剤以外の粘着剤としてはゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等が知られている。しかしながら前者は耐熱性が低く高温環境下で長期間使用するフィルムミラー用途への使用に適さず、後者は高耐熱性ではあるものの高価でフィルムミラーのような大面積の用途へは適さない。これより、本発明者は、アクリル系粘着剤より形成された粘着層のさらなる耐熱性向上により、ビニールハウス内等の従来以上の高温環境下においても、フィルムミラーの光反射層の反射面乱れを低減することを試みた。
従来のフィルムミラーに対して、本発明では、粘着層を形成するアクリル系粘着剤に含まれるアクリル系重合体の質量平均分子量を一定以上の値とする。このため、高分子量に起因する分子間結節点が多数存在することによる大きい凝集力、及び低流動性により粘着層は十分な粘着性および耐熱性を有し、高温環境下における粘着層の変形を低減させる。これより、粘着層変形に伴い発生する応力に起因する他の層の変形及び他の層の部分剥離による凹凸発生、すなわち光反射層の反射面の乱れを低減させることができると考えられる。
また、従来のフィルムミラーに対して、本発明では、粘着層を形成するアクリル系粘着剤に含まれるアクリル系重合体の低分子量成分が少ない。このため、高温環境下において揮発しやすい低分子成分がガス化し膨張することに伴う粘着層の変形を低減させ、粘着層変形に伴い発生する応力に起因する他の層の変形、すなわち光反射層の反射面の乱れを低減させることができると考えられる。
したがって、本発明のフィルムミラーは高温環境下における反射率の低下を抑制、防止できる。さらに、ビニールハウス等で覆われた場合に熱がこもった状態での高温環境下においても反射率の低下が抑制、防止できるため、反射装置、特に太陽熱発電用反射装置に好適に使用できる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
また、本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上Y以下」を意味し、「重量」と「質量」、「重量%」と「質量%」及び「重量部」と「質量部」は同義語として扱う。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%の条件で測定する。
さらに、本明細書において、化合物の具体名における表記「(メタ)アクリル」は「メタクリル」および「アクリル」を、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」および「メタクリレート」を表す。
[フィルムミラー]
本発明のフィルムミラーは、少なくとも光反射層、樹脂基材、および粘着層を有する。ここで、前記粘着層がアクリル系粘着剤より形成されており、前記アクリル系粘着剤に含まれるアクリル系重合体の質量平均分子量が80万以上であり、且つ前記アクリル系重合体の分子量1万以下の成分が前記アクリル系重合体全体に対して5%以下であることを特徴とする。
本発明のフィルムミラーにおいては、光反射層、樹脂基材、粘着層の積層順序は限定されず、他の層を層間または層上に有していてもよい。
図1Aは、本発明のフィルムミラーの構成の実施形態の一例を示す概略断面図である。図1Aに示されるように、フィルムミラー10は、光入射側から順に、樹脂基材2、光反射層1、粘着層3を少なくとも有している。なお、上記各層間に他の層を介していてもよいし、それぞれの層が隣接していてもよい。
図1Aのフィルムミラー10では、樹脂基材2が光反射層1に対して光入射側に配置されていたが、本発明は当該形態に限定されず、光反射層1が樹脂基材2に対して光入射側に配置されていてもよい。すなわち、図2Aは、本発明のフィルムミラーの構成の他の実施形態の一例を示す概略断面図である。図2Aに示されるように、フィルムミラー10は、光入射側から順に、光反射層1、樹脂基材2、粘着層3を少なくとも有している。なお、上記各層間に他の層を介していてもよいし、それぞれの層が隣接していてもよい。
ここで、粘着層3は光反射層や樹脂基材等の他の層と隣接して存在する。従来のフィルムミラーでは、高温環境下では、粘着剤の変形およびガス化に伴い発生する応力が、他の層(光反射層や樹脂基板等の他の層)へと伝わり、変形や剥離を引き起こすことで光反射層の反射面の乱れが発生して反射率が低下すると考えられる。しかしながら、本発明によると、粘着層は、粘着層を形成するアクリル系粘着剤の質量平均分子量が高いことより、十分な粘着力を有すると共に高温時の変形を抑止する。また、粘着層は、粘着層を形成するアクリル系粘着剤に含まれるアクリル系重合体中の分子量1万以下の成分(低分子量成分)含有量が少ないことより、粘着層からのガス発生を低減する。これより、本発明のフィルムミラーは高温環境下でも反射面の乱れが生じ難くなり、反射率の低下を抑制・防止して、高い反射率を維持できる。
本発明のフィルムミラー全体の厚さは、特に制限されないが、撓み防止、正反射率、取り扱い性等の観点から20〜300μmが好ましく、より好ましくは30〜200μm、更に好ましくは50〜170μmである。また、フィルムミラーの光入射側の最表面層の中心線平均粗さ(Ra)が、3nm以上20nm以下であることが、反射光の散乱を防止でき集光効率を高めるという観点から好ましい。
以下、各構成層の詳細について記載する。
(粘着層)
粘着層は、フィルムミラー、またはフィルムミラーと支持基材を有する反射装置、特に太陽熱発電用反射装置中の異なる層、及び/または基材同士を貼合することを可能にする粘着性を有している。特に、この粘着層によってフィルムミラーを支持基材に接合して、反射装置、特に太陽熱発電用反射装置を形成することが好ましい。
本発明の粘着層はアクリル系粘着剤より形成される。アクリル系粘着剤は、アクリル系重合体を主成分として含む粘着剤である。「アクリル系重合体を主成分とする」とは、アクリル系重合体が粘着剤層形成材料(例えば、アクリル系重合体と、必要ならば架橋剤、添加剤、及び/または他のポリマーとを配合した粘着剤組成物)に対して、50質量%以上、好ましくは60〜99質量%、より好ましくは70〜95質量%含有することを意味する。また、前記のアクリル系重合体を2種以上使用する場合は、その総量を主成分か否かの判断に用いることとする。そして、粘着層は、アクリル系粘着剤、例えばアクリル系粘着剤組成物の溶液、の塗工などにより形成することができる。
アクリル系重合体の原料としては、骨格となる主モノマーとして(メタ)アクリル酸エスエルを用いることが好ましく、例えば、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
また、特開2003−268335号公報に開示されているように、加水分解を生じ難くガスが発生し難い主モノマーとして、炭素数2〜7のアクリル酸エステルが好ましい。
これらの中でもエチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチルアクリレートがより好ましい。また、前記アルキル(メタ)アクリレートは1種または2種以上が用いられる。
アクリル系重合体のモノマーの全質量(または全量)に対する主モノマーの比率は50質量%以上であることが好ましく(上限100質量%)、好ましくは70〜99質量%、より好ましくは80〜95質量%である。
アクリル系重合体は、モノマー成分として、上記(メタ)アクリル酸エステルと共重合しうる共重合性モノマーが用いられていてもよい。かかる共重合性モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸等のカルボキシル基含有モノマー;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレート等のヒドロキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物モノマー;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スルホプロピルアクリレート等のスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等の燐酸基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等のN−置換(メタ)アクリルアミド等のアミド系モノマー;N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミド等のスクシンイミド系モノマー;酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルボン酸アミド類、スチレン、N−ビニルカプロラクタム等のビニル系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアノアクリレート系モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、2−メトキシエチルアクリレート等のアクリル酸エステル系モノマー;メチル(メタ)アクリレートやオクタデシル(メタ)アクリレート等の上記主モノマーをなすアルキル(メタ)アクリレートとは異なるアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環族アクリレートなどが挙げられる。中でも凝集力を向上させるための共重合性モノマーとして、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン、メチルメタクリレート等が好ましく、さらに架橋を促進し、安定した粘着力を付与させるために官能基含有共重合性モノマーとして、ヒドロキシル基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマーが好ましく、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等がより好ましい。
また、特開2011−202126号公報に開示されているように、酸性成分による他の構成成分の分解によるガスが発生し難い共重合性モノマーとして、酸性基以外の官能基を有するモノマーを使用することも好ましい。酸性基以外の官能基を有する共重合性モノマーとしては、例えば、前記ヒドロキシル基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、前記アミド系モノマー、前記グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有モノマー、アセトアセチル基含有モノマー、イソシアネート基含有モノマー等が挙げられ、架橋剤との反応性の観点から酸性基以外の官能基としては、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基およびグリシジル基が好ましく、ヒドロキシル基含有モノマーがより好ましい。
共重合性モノマーは1種または2種以上を用いることができる。
モノマーを重合する際に使用される重合開始剤としては、光重合開始剤、熱重合開始剤のいずれも使用することができる。光重合開始剤としては、ペンゾイン、べンゾインメチルエーテル、べンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、べンジルメチルケタールなどのべンゾインとそのアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのアセトフェノン類;メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−アミルアントラキノンなどのアントラキノン類;チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなどのケタール類;ベンゾフェノン、4,4−ビスメチルアミノべンゾフェノンなどのベンゾフェノン類およびアゾ化合物等を用いることができる。これらは単独でもまたは2種以上組み合わせても使用することができる。加えて、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミンなどの第3級アミン;2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチルなどの安息香酸誘導体等の光開始助剤などと組み合わせて使用することができる。光重合開始剤は市販品を用いてもよく、例えばイルガキュア(登録商標)−184、819、907、651、1700、1800、819、369、261、DAROCUR−TPO(BASFジャパン株式会社製)、ダロキュア(登録商標)−1173(メルク株式会社製)、エザキュア−KIP150、TZT(DKSHジャパン株式会社製)、カヤキュア(登録商標)BMS、DMBI(日本化薬株式会社製)等が挙げられる。また、熱重合開始剤としては、特に制限されないが、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリアン酸、アゾビスイソバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ハイドレート等のアゾ系化合物(アゾ系開始剤);過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;ジベンゾイルパーオキサイド(過酸化ベンゾイル)、tert−ブチルペルマレエート、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素等の過酸化物(過酸化物系開始剤);フェニル置換エタン等の置換エタン系開始剤;過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムとの混合剤、過酸化物とアスコルビン酸ナトリウムとの混合剤等のレドックス系開始剤などが挙げられる。特に汎用性の点から、過酸化ベンゾイル、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルが好ましく、過酸化ベンゾイル、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルがより好ましい。
重合開始剤の添加量は重合が進行する量であれば特に限定されないが、十分な硬化性が得られるのであれば、添加量が少ない方がコスト面からも好ましい。これより、モノマー全体を100質量部としたとき、モノマー全体に対して、0.1〜2.0質量部であることが好ましく、0.1〜1.0質量部であることがより好ましく、0.2〜0.8質量部であることがさらに好ましい。
アクリル系粘着剤はエマルジョン系または溶剤系が好ましく、粘着力等を高め易いことから溶剤系粘着剤がより好ましく、その中でもアクリル系重合体が溶液重合で得られたものが好ましい。
モノマーを重合する際に使用される溶剤としては、水;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール;ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサン等の芳香族または脂肪族炭化水素;酢酸メチル、酢酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のエステル化合物;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン化合物;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル化合物等が挙げられる。特に粘着剤重合への適性や汎用性の観点から、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトンが好ましく、トルエン、酢酸エチルがより好ましい。なお、上記溶剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
モノマーを重合する際の溶液の全質量に対する、溶剤の質量の割合は、特に限定されるものではないが、溶剤の割合がある程度低く、粘度も同様に低い方が製造上の取扱い性に優れ、また溶剤の割合がある程度高く、粘度も同様に高い方が、溶液重合で得られた溶液をそのまま使用して粘着剤とする場合などにおける、厚膜塗布などでの使用が容易になる。これらの両立の観点から溶液の全質量に対して40〜75質量%であることが好ましく、45〜70質量%であることがより好ましく、50〜70質量%であることがさらに好ましい。
モノマーの溶液重合を行う際の重合条件はモノマーの重合が進行する条件であれば特に限定されないが、重合温度としては、低温の方が反応速度は遅いため分子量制御が容易であり、高温の方が目的の反応を早く進めることができる。これらの両立の観点から55〜80℃であることが好ましく、60〜80℃であることがより好ましく、60〜75℃であることがさらに好ましい。重合時間としては、目的の質量平均分子量が得られる時間は必要であるが、さらに、下記のアクリル系重合体の質量平均分子量の好ましい範囲に記載のように、質量分子量が特定範囲のときはさらに接着性が優れる。これより、3〜9時間であることが好ましく、4〜8時間であることがより好ましく、5〜7時間であることがさらに好ましい。
また、未反応の低分子量成分を重合させるため、重合後に溶液を昇温し、一定時間温度を保持しながら攪拌した後、冷却を行うことが好ましい。昇温する温度は、未反応の低分子量成分を十分重合させることができ、かつ反応を制御しやすい温度が好ましい。これより、70〜95℃が好ましく、75〜95℃がより好ましく、80〜90℃がさらに好ましい。昇温状態における攪拌時間は、未反応の低分子量成分を十分に重合させることができる時間が好ましい。また、攪拌時間が長いとアクリル系重合体の高分子量化が生じると考えられるが、アクリル系重合体の質量平均分子量の好ましい範囲に記載のように、質量平均分子量が特定範囲のときはさらに接着性に優れる。これより、5〜7時間が好ましく、4〜6時間がより好ましく、3〜5時間がさらに好ましい。冷却する温度は、製造上、反応釜から取り出し、詰め替え作業を行うことを想定し、常温に近い方が好ましいため、15〜35℃が好ましく、20〜35℃がより好ましく、25〜35℃がさらに好ましい。
アクリル系重合体は、低分子量成分を低減する方法が用いられてもよい。低分子量成分の低減方法としては、特に限定されないが、重合操作の選択、または前記重合後の低分子量成分除去方法の実行によって行われてもよい。また、これらを組み合わせて行われてもよい。重合操作の選択としては、例えば、単量体の選択、乳化剤、分散剤等の種類及び量、開始剤種、単量体、開始剤、分散剤、乳化剤等の添加方法、反応温度、反応時間などの選択が挙げられるが、これらに限定されない。低分子量成分除去方法としては、例えば、溶媒抽出法、再沈殿法・分別再沈法、限外ろ過膜法、良溶媒および貧溶媒による相分離法、高温減圧下における低分子成分の揮発除去、高真空下での留去、GPC法などが挙げられるが、これらに限定されない。
これらの方法の1つとして、例えば、低分子成分の再沈殿法を用いることができる。得られたアクリル系重合体を、室温付近まで冷却することで、溶解度の差により、低文政成分と高分子成分にわかれ、高分子成分は沈殿する。沈殿物を乾燥させることで、低分子成分は除去される。1回ではすべての低分子成分は除去されないが、これを繰り返すことで、低分子成分の量をかなり減らすことが可能となる。再沈殿処理に使用する溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールなどの低級アルコール、もしくはペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの炭素数5〜10の脂肪族炭化水素など、好ましくはメタノールもしくはヘキサン、より好ましくはメタノールを用いることができるが、これらに限定されない。処理後の洗浄についても同様の溶媒を使用することができる。再沈殿処理を行うアクリル重合体の濃度は、例えば、1〜30質量%とすることができる。沈殿物を乾燥条件は、溶媒の揮発が可能であり、且つアクリル系重合体が熱分解や熱により劣化しない温度、および圧力などの条件であれば、特に限定されない。沈殿物の乾燥は、デカンテーション等により沈殿物をあらかじめ溶液から取り出した後に行ってもよい。
再沈殿処理の繰り返し回数としては、特に限定されないが、低分子成分の除去、および生産効率の観点から、1〜10回が好ましく、2〜8回がより好ましく、4〜6回がさらに好ましい。
アクリル系重合体の質量平均分子量は、80万以上である。質量平均分子量が80万以上であれば、高分子量に起因する分子間結節点が多数存在することによる大きな凝集力、及び低流動性より粘着層は十分な粘着性および耐熱性を有し、高温環境下における粘着層の変形を低減できると考えられる。これより、粘着層変形に伴い発生する応力に起因する他の層(光反射層、樹脂基材、及びその他の層、反射装置状態においては支持基材も含む)の変形及び他の層の部分剥離による凹凸発生、すなわち光反射層の反射面の乱れを低減させることができると考えられる。質量平均分子量は、80万〜200万が好ましく、80万〜150万がよりに好ましく、80万〜130万がさらに好ましい。特に上記の好ましい範囲においては、質量平均分子量が高くなることで凝集力が増加して流動性がさらに低下すると共に、より優れた接着性が得られる。これより高温時に隣接する光反射層や樹脂基板等の他の層との間で剥がれが生じ難くなり、光反射層の反射面が乱れる可能性が低下すると考えられる。
質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて下記測定条件下で測定し、標準ポリスチレンにより換算した値を採用する。
・GPC装置:島津製作所製 LC−10A
・カラム 東ソー(株)製GMHXL 4本及び東ソー(株)製HXL−1 1本を連結
・流量 1.0m/min
・カラム温度40℃
・溶離液 テトラヒドロフラン
・試料濃度 1.0mg/cm
アクリル系重合体の分子量1万以下の成分はアクリル系重合体全体に対して0%以上5%以下であり、0%以上3%以下が好ましい。分子量1万以下の成分がアクリル系重合体全体に対して5%以下であれば、高温環境下において揮発しやすい低分子量成分がガス化し膨張することに伴う粘着層の変形を低減させ、粘着層変形に伴い発生する応力に起因する他の層(光反射層、樹脂基材、及びその他の層、反射装置状態においては支持基材も含む)の変形、すなわち光反射層の反射面の乱れを低減させることができると考えられる。
アクリル系重合体全体に対するアクリル系重合体の分子量1万以下の成分の割合は、下記のように測定を行った。まず、アクリル系重合体の分子量分布を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定した。次に、積分分子量分布曲線を、1000と3000000の間の範囲に含まれる分子量に対して累積質量%をプロットすることにより得た。この積分分子量分布曲線から、1000〜10000の範囲の分子量を有する重合体画分の質量%Aを算出、1000〜3000000の範囲の分子量を有する重合体画分の質量%Bを算出し、A(質量%)/B(質量%)×100をアクリル系重合体全体に対するアクリル系重合体の分子量1万以下の成分の割合(%)として定義した。
アクリル系粘着剤組成物は、アクリル系重合体の他に架橋剤を含むことができる。
架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アリジリン系架橋剤、メラミン系架橋剤、アルデヒド系架橋剤、アミン系架橋剤、金属キレート系架橋剤等が挙げられるが、これらに限定されない。アクリル系重合体との反応性より、イソシアネート系架橋剤が好ましい。
これらの架橋剤としては、例えば、特開2011−202126に記載の各種架橋剤を挙げることができる。上記イソシアネート系架橋剤としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート(実施例コロネートL55E)、2,6−トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、およびこれらのポリイソシアネート化合物とトリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体、これらポリイソシアネート化合物のビュレット体やイソシアヌレート体等が挙げられる。上記エポキシ系架橋剤としては、例えば、N,N,N′,N′−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、ジグリシジルアニリン、1,3−ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エテレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o−フタル酸ジグリシジルエステル、トリグリシジル−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、レゾルシングリシジルエーテル、ビスフェノール−S−ジグリシジルエーテルの他、分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ系樹脂等が挙げられる。上記アジリジン系架橋剤としては、例えば、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、N,N′−ジフェニルメタン−4,4′−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、N,N′−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)等が挙げられる。上記メラミン系架橋剤としては、例えば、へキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキサプロポキシメチルメラミン、ヘキサプトキシメチルメラミン、ヘキサペンチルオキシメチルメラミン、ヘキサヘキシルオキシメチルメラミン、メラミン樹脂等が挙げられる。上記アルデヒド系架橋剤としては、例えば、グリオキザール、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、マレインジアルデヒド、グルタルジアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。上記アミン系架橋剤としては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、トリエチルジアミン、ポリエチレンイミン、ヘキサメチレンテトラアミン、ジエチレントリアミン、トリエチルテトラアミン、イソフォロンジアミン、アミノ樹脂、ポリアミド等が挙げられる。上記金属キレート系架橋剤としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、パナジウム、クロム、ジルコニウム等の多金属のアセチルアセトンやアセトアセチルエステル配位化合物等が挙げられる。
架橋剤の含有量は、少ない方がゲル化が生じる可能性が低く、多い方が凝集力が大きく架橋が十分な接着層が形成できることより、これらの両立の観点からアクリル系重合体の0.01〜10質量部が好ましく、0.1〜8質量部がより好ましく、0.5〜6質量部がさらに好ましい。
架橋剤を含有する場合は、加熱等の所定の条件にて架橋処理が施されて粘着剤として使用することができる。
アクリル系粘着剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、アクリル系重合体の他に添加剤、及び/または他のポリマーを含むことができる。これらは、例えば、安定剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、難燃剤、帯電防止剤、抗酸化剤、熱安定剤、滑剤、充填剤、着色剤、接着調整剤等が挙げられる。しかしながら、これらの添加は低分子量成分が増加する原因となり得るので、粘着剤はこれらを含まないことが好ましい。他のポリマーとしてはアクリル系粘着剤に主成分としては含まれないポリマーが挙げられる。ここで、本願のアクリル系重合体は粘着剤として機能することを特徴としており、粘着性を有さないアクリル系ポリマーは、他のポリマーとして扱うこととする。
粘着層の膜厚は15〜100μmであることが好ましく、15〜50μmがより好ましく、20〜40μmがさらに好ましい。粘着剤層の膜厚が薄くなると、フィルムミラー全体の構成中における粘着層の割合が小さくなる。このとき、高温環境下における粘着剤の変形による反射面の乱れも小さくなり、反射率の低下も小さくなる。反対に粘着剤の膜厚が厚くなると、被着体との接着性が増加して剥がれにくく、さらに高温時に隣接する光反射層や樹脂基板等の他の層との間で剥がれが生じ難くなることで反射率の低下も小さくなる。これより、上記範囲の膜厚は、反射面の乱れの低減と十分な接着性が両立した優れた粘着層が得られるため、好ましい。
粘着層の100℃におけるガラス板およびアルミ板に対する接着力は2N/25mm以上であることが好ましく、2.5N/mm以上であることが好ましく、3N/25mm以上であることがさらに好ましい。2N/25mm以上の粘着力は、被着体との接着性が増加して剥がれにくく、さらに高温時に隣接する光反射層や樹脂基板等の他の層との間で剥がれが生じ難くなることで反射率の低下も小さくなるため、好ましい。接着力の上限値は限定されないが、通常70N/25mm以下である。
(光反射層)
光反射層は、光を反射する機能を有する金属等からなる層である。特に、太陽光を有効に反射する機能を有するものが好ましい。
光反射層の表面反射率は好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。この光反射層は、Al、Ag、Cr、Cu、Ni、Ti、Mg、Rh、Pt及びAuからなる元素群の中から選ばれるいずれかの元素を含む材料により形成されることが好ましい。中でも、反射率、耐食性の観点からAlまたはAgを主成分としていることが好ましく、このような金属の薄膜を2層以上形成するようにしてもよい。特に銀を主成分とする光反射層が好ましい。
光反射層の厚さは、反射率等の観点から、10〜200nmが好ましく、より好ましくは30〜150nmである。
また、光反射層にSiO、TiO等の金属酸化物からなる層を設けてさらに反射率を向上させてもよい。
この光反射層の形成法としては、湿式法及び乾式法のどちらも使用することができる。湿式法とは、めっき法の総称であり、溶液から金属を析出させ膜を形成する方法である。具体例をあげるとすれば、銀鏡反応などがある。一方、乾式法とは、真空製膜法の総称であり、具体的に例示するとすれば、抵抗加熱式真空蒸着法、電子ビーム加熱式真空蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト真空蒸着法、スパッタ法などがある。とりわけ、本発明には連続的に製膜するロールツーロール方式が可能な蒸着法が好ましく用いられる。例えば、フィルムミラーの製造方法において、光反射層を銀蒸着(特に真空蒸着)によって形成する製造方法であることが好ましい。
また、本発明においては、光反射層として選択波長反射層を用いてもよく、例えば赤外線反射層や紫外線反射層などを用いることができる。選択波長反射層としては、例えば誘電体多層膜などが考えられる。
光反射層が多層膜干渉により反射を行う場合は、本発明のフィルムミラーは光反射層の反射面の乱れによる拡散反射により特性方向の反射率が次第に低下することを抑制・防止することに加え、光反射層の内部の乱れにより干渉効果が得られなくなり、反射率が次第に低下することも抑制・防止できると考えられる。
(樹脂基材)
樹脂基材としては、従来公知の種々の樹脂フィルムを用いることができる。例えば、セルロースエステル系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテートフィルム、セルローストリアセテートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ポリカーボネートフィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリルフィルム等を挙げることができる。中でも、ポリカーボネート系フィルム、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、及びセルロースエステル系フィルム、アクリルフィルムが好ましい。これらのうち、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系フィルム又はアクリルフィルムを用いることが好ましく、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系フィルムが特に好ましい。ここで、樹脂基材は、いずれの方法によって製造されてもよく、例えば、溶融流延製膜で製造されたフィルムであっても、溶液流延製膜で製造されたフィルムであってもよい。
樹脂基材の厚さは、特に制限されないが、樹脂の種類及び目的等に応じて適切な厚さにすることが好ましい。樹脂基材の厚さは、例えば、10〜250μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは20〜200μmである。
(透光性樹脂層)
本発明のフィルムミラーは、他に透光性樹脂層を含んでいてもよい。
透光性樹脂層は、光透過性を有する樹脂材料からなり、紫外線吸収剤を含有してもよい樹脂層である。
透光性樹脂層に用いられる樹脂材料は、特に制限されないが、薄膜を形成した際に透明性を維持しうる、従来公知の種々の合成樹脂を用いることができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、及びセルロースジアセテート、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスルホン類、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)或いはアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等が挙げられる。
この透光性樹脂層の形成方法は特に制限されないが、例えば、塗布による方法を挙げることができる。塗布方式で透光性樹脂層となる塗膜を塗設する場合には、従来用いられる種々の塗布方法、例えば、スプレーコート、スピンコート、バーコート等の方法を用いることができる。
こうした塗布方式で透光性樹脂層を形成することによって、透光性樹脂層の平滑性を高めることができる。具体的には、塗布方式で形成した透光性樹脂層の中心線平均粗さ(Ra)は、3nm以上20nm以下にすることができる。換言すれば、中心線平均粗さがこの値を満たせば、溶液製膜または溶融製膜によって製造された透光性樹脂フィルムを接着剤層で貼り合わせて設けられた透光性樹脂層ではなく、その透光性樹脂層が塗布によって設けられたものとみなすことができる。なお、透光性樹脂層の平滑性の指標となる中心線平均粗さ(Ra)は、JIS B0601−1982に基づく測定方法により求めることができる。
透光性樹脂層の厚さ(乾燥膜厚)は、特に制限されないが、5〜150μmであることが好ましく、より好ましくは10〜100μmであり、特に好ましくは20〜80μmである。このような厚みであれば、十分な透光性を確保し、また、製膜時に乾燥により溶剤を十分に蒸発でき、生産性上好ましい。
透光性樹脂層に含まれる紫外線吸収剤には、特に制限はないが、例えばチアゾリドン系、ベンゾトリアゾール系、アクリロニトリル系、ベンゾフェノン系、アミノブタジエン系、トリアジン系、サリチル酸フェニル系、ベンゾエート系などの有機系の紫外線吸収剤、あるいは酸化セリウム、酸化マグネシウムなどの微粉末系の紫外線遮断剤や酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄等などがあり、特に有機系の紫外線吸収剤が好ましい。
有機系の紫外線吸収剤として、例えば特開昭46−3335号、同55−152776号、特開平5−197074号、同5−232630号、同5−307232号、同6−211813号、同8−53427号、同8−234364号、同8−239368号、同9−31067号、同10−115898号、同10−147577号、同10−182621号各公報、独国特許第19739797A号、欧州特許第711804A号各公報及び特表平8−501291号公報、米国特許第1,023,859号、同第2,685,512号、同第2,739,888号、同第2,784,087号、同第2,748,021号、同第3,004,896号、同第3,052,636号、同第3,215,530号、同第3,253,921号、同第3,533,794号、同第3,692,525号、同第3,705,805号、同第3,707,375号、同第3,738,837号、同第3,754,919号、英国特許第1,321,355号明細書等に記載されている化合物を用いることができる。
透光性樹脂層は、劣化を防止するために、酸化防止剤をさらに含有させてもよい。酸化防止剤としては、特に制限されないが、フェノール系酸化防止剤、チオール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤を使用することが好ましい。ここで、フェノール系酸化防止剤、チオール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤としては、それぞれ、国際公開第2012/165460号などに記載される公知の酸化防止剤が使用できる。
(ハードコート層)
本発明のフィルムミラーは、他にハードコート層を含んでいてもよい。
ハードコート層は、フィルムミラー表面の傷つきや汚れの付着を防止する目的に設けられる。透明なハードコート層は、光入射側の最外層であることが好ましい。ハードコート層の上に更に薄い(1μm以下が好ましい)別の層を設けてもよい。より好ましくは、ハードコート層は透光性樹脂層の光入射側の面に設けられることが特に好ましい。
ハードコート層の作製方法としては、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法等、従来公知のコーティング方法を挙げることができる。また、所定の材料を塗布、塗工することに加え、各種表面処理等を組み合わせてもよい。
なお、ハードコート層の厚みは、十分な耐傷性を得つつ、フィルムミラーにそりが発生することを防止するという観点から、0.05μm以上、10μm以下であることが好ましい。より好ましくは、1μm以上、10μm以下である。
ハードコート層を形成する材料としては、透明性、耐候性、硬度、機械的強度等が得られるものであれば、特に限定されるものではない。ハードコート層は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、有機シリケート化合物、シリコーン系樹脂などで構成することができる。特に、硬度と耐久性などの点で、シリコーン系樹脂やアクリル系樹脂が好ましい。さらに、硬化性、可撓性および生産性の点で、活性エネルギー線硬化型のアクリル系樹脂、または熱硬化型のアクリル系樹脂からなるものが好ましいが、耐侯性面での不安があり、ハードコート層としての変色が経時で発生し、ヘイズが上昇することで、反射率が低下する懸念がある。そのため、表面保護性、耐侯性が高いという点で、メタロキサン(有機シリケート化合物、シリコーン系樹脂)が好ましく使用される。すなわち、ハードコート層は、メタロキサン系のハードコート層であることが好ましい。
このハードコート層は、屈曲性があり、反りが生じないことが好ましい。フィルムミラーの最表面層における透明なハードコート層は密な架橋構造を形成する場合があり、そのためフィルムが反り曲がることや、屈曲性がないためにクラックが入りやすいようなことがあり、取り扱いが困難になる。このような場合、ハードコート層組成中の無機物の量を調整するなどして、柔軟性があり、平面性が得られるように設計することが好ましい。
また、ハードコート層は、紫外線吸収剤や酸化防止剤を含有してもよい。紫外線吸収剤や酸化防止剤としては、上述の透光性樹脂層で用いた紫外線吸収剤や酸化防止剤を用いることができる。ハードコート層に用いられる酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、チオール系酸化防止剤およびホスファイト系酸化防止剤など、有機系酸化防止剤を使用することが好ましい。有機系酸化防止剤をハードコート層に含有させることでも、転落角を低下し得る。酸化防止剤と光安定剤を併用してもよい。ここで、光反射層の酸化防止剤および併用する場合には光安定剤は、特に制限されないが、上記透光性樹脂層の項で記載されたものと同様のものが使用できるため、ここでは説明を省略する。
ハードコート層中には、さらに各種の添加剤を必要に応じて配合することができる。例えば、界面活性剤、レベリング剤および帯電防止剤などを用いることができる。
レベリング剤は、表面凹凸低減に効果的である。レベリング剤としては、例えば、シリコーン系レベリング剤として、ジメチルポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体(例えば東レダウコーニング(株)製SH190)が好適である。
(アンカー層)
本発明のフィルムミラーは、他にアンカー層を含んでいてもよい。
アンカー層は、樹脂基材と光反射層との間に配置されうる。アンカー層は、樹脂からなり、樹脂基材と光反射層とを密着させるものである。したがって、アンカー層は、樹脂基材と光反射層とを密着する密着性、光反射層を真空蒸着法等で形成する際の熱にも耐え得る耐熱性、及び光反射層が本来有する高い反射性能を引き出すための平滑性が必要である。
アンカー層に使用される材料(樹脂材料)、アンカー層の形成方法は、特に制限されないが、例えば、国際公開第2012/165460号(特に、段落「0209」〜「0212」)等の公知の文献に記載されるのと同様の材料や方法が使用できる。
(腐食防止層)
本発明のフィルムミラーは、他に腐食防止層を含んでいてもよい。
腐食防止層は、腐食防止剤を含有している樹脂層であり、光反射層に隣接していることが好ましい。例えば、光反射層と粘着層との間に設けられうる。
腐食防止層は、1層のみからなっていてもよいし、複数層からなっていてもよい。腐食防止層の厚さは、1〜10μmが好ましく、より好ましくは2〜8μmである。
腐食防止層に用いる樹脂、腐食防止剤は、特に制限されないが、例えば、国際公開第2012/165460号(特に、段落「0079」〜「0095」)等の公知の文献に記載されるのと同様の材料が使用できる。
これら樹脂材料(バインダー)を光反射層1上などに塗布、塗工するなどして、腐食防止層を形成することができる。
腐食防止剤としては、銀に対する吸着性基を有することが好ましい。ここで、「腐食」とは、金属(銀)がそれをとり囲む環境物質によって、化学的または電気化学的に浸食されるか若しくは材質的に劣化する現象をいう(JIS Z0103−2004参照)。
なお、腐食防止剤の含有量は、使用する化合物によって最適量は異なるが、一般的には0.1〜1.0g/mの範囲内であることが好ましい。
(ガスバリアー層)
本発明のフィルムミラーは、他にガスバリア層を含んでいてもよい。
ガスバリアー層は、光反射層よりも光入射側に設けることが好ましい。特に、樹脂基材と光反射層の間にガスバリアー層を設けることが好ましい。
ガスバリアー層は、湿度の変動、特に高湿度による樹脂基材及び樹脂基材に支持される各構成層等の劣化を防止するためのものであるが、特別の機能・用途を持たせたものであってもよく、劣化防止機能を有する限りにおいて、種々の態様のガスバリアー層を設けることができる。ガスバリアー層の防湿性としては、40℃、90%RHにおける水蒸気透過度が、1g/m・day以下であることが好ましく、より好ましくは0.5g/m・day以下、更に好ましくは0.2g/m・day以下である。また、ガスバリアー層の酸素透過度としては、測定温度23℃、湿度90%RHの条件下で、0.6ml/m/day/atm以下であることが好ましい。
ガスバリアー層に使用される材料、ガスバリアー層の形成方法は、特に制限されないが、例えば、国際公開第2012/165460号(特に、段落「0188」〜「0209」)等の公知の文献に記載されるのと同様の材料や方法が使用できる。
(フィルムミラーの製造方法)
上述した各構成層を適宜積層することによって、フィルムミラーを製造することができる。以下、本発明のフィルムミラーの製造方法について好ましい実施形態を説明するが、本発明は下記形態に限定されるものではない。
まず、樹脂基材(例えば、溶融製膜などで作製されたポリエチレンテレフタレートフィルム)を用意する。なお、必要であれば、樹脂基材上に、所定の樹脂材料を塗布する(塗布後、必要であれば乾燥する)ことによって光反射層以外の各構成層を形成するか、または真空蒸着等の方法によって光反射層(例えば、銀反射層)を形成する。さらに、必要であれば、各構成層または光反射層上にそれぞれ、真空蒸着等の方法によって光反射層(例えば、銀反射層)を形成するか、または所定の樹脂材料を塗布する(塗布後、必要であれば乾燥する)ことによって光反射層以外の各構成層を形成する。
上記各構成層のうち、粘着層はアクリル系粘着剤を塗工して形成し、フィルムミラーが製造される。
アクリル系粘着剤組成物は、溶剤に希釈して基材へ塗布することができる。アクリル系粘着剤組成物を溶剤へ溶解させることでアクリル系粘着剤組成物溶液を作製してもよい。また、アクリル系重合体が溶液重合系アクリル系重合体である場合など、重合後の当初よりアクリル系重合体溶液が存在する場合においては、必要ならば架橋剤や他のポリマーおよび/または添加剤をアクリル系重合体溶液に加え、さらに必要ならば固形分濃度を調整してアクリル系粘着剤組成物溶液を作製してもよい。
溶剤としては、アクリル系粘着剤組成物を溶解させるものであれば限定されず、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール;ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサン等の芳香族または脂肪族炭化水素;酢酸メチル、酢酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のエステル化合物;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン化合物;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル化合物等が挙げられる。なお、上記溶剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
希釈濃度としては、5〜80質量%が好ましく、より好ましくは10〜60質量%、さらに好ましくは20〜60質量%である。
アクリル系粘着剤の基材上への塗布方法としては、特に限定されず、例えばロールコーター、ブレードコーター、バーコーター、エアーナイフコーター、グラビアコーター、リバースコーター、ダイコーター、リップコーター、スプレーコーター、コンマコーター等により行われ、必要によりスムージングや、乾燥、加熱、紫外線等電子線露光工程等を経て、粘着層が形成される。
アクリル系粘着剤の塗布後の乾燥条件としては、乾燥して粘着層を形成することができる条件であれば限定されない。例えば50〜150℃で1〜5分として行うことができる。温度としては、低温の方が基材の収縮が生じる可能性が低く、高温の方が十分な乾燥を行えることより、これらの両立の観点から60〜130℃がより好ましく、80〜120℃がさらに好ましく、時間としては、短い方が基材の収縮が生じる可能性が低く、長い方が十分な乾燥を行えることより、これらの両立の観点から0.3〜5分が好ましく、1〜3分が特に好ましい。
また、必要に応じてエージング処理等を行うことができる。温度としては、低温の方が構成材料の収縮が生じる可能性が低く、高温の方が架橋は促進されやすいことより、これらの両立の観点から35〜60℃がより好ましく、40〜50℃がさらに好ましく、時間としては、短い方が生産効率に優れ、長い方が架橋は促進されやすいことより、これらの両立の観点から1〜7日が好ましく、2〜5日が特に好ましい。
なお、フィルムミラーは、粘着層が最外層に存在する場合は、光反射層または樹脂基材等の他の層とは反対側の面を覆う剥離シートを備えていてもよい。フィルムミラーが剥離シートを有する場合、剥離シートを粘着層から剥離した後に、粘着層を介してフィルムミラーを支持基材に貼り付けることができる。
剥離シートは、フィルムミラーにおける粘着層の光入射側とは反対側の面を覆う部材である。
例えば、フィルムミラーの出荷時には剥離シートが粘着層に張り付いた状態であり、その後、剥離シートをフィルムミラーの粘着層から剥離し、そのフィルムミラーを支持基材に貼り合わせて反射装置、特に太陽熱発電用反射装置を形成することができる。
剥離シートとしては、粘着層の粘着性を保護することができるものであればよく、例えば、アクリルフィルム又はシート、ポリカーボネートフィルム又はシート、ポリアリレートフィルム又はシート、ポリエチレンナフタレートフィルム又はシート、ポリエチレンテレフタレートフィルム又はシート、フッ素フィルムなどのプラスチックフィルム又はシート、又は酸化チタン、シリカ、アルミニウム粉、銅粉などを練り込んだ樹脂フィルム又はシート、これらを練り込んだ樹脂にコーティングを施したりアルミニウム等の金属を金属蒸着したりなどの表面加工を施した樹脂フィルム又はシートが用いられる。
剥離シートの厚さは、特に制限されないが、通常12〜250μmの範囲であることが好ましい。
なお、上記構成以外の層を有するフィルムミラーを製造する際には、フィルムミラーに必要な各構成層を光反射層、樹脂基材または粘着層に積層することで、所望のフィルムミラーを製造することができる。例えば、アンカーコート層を樹脂基材と光反射層との間に形成する場合には、樹脂基材上に、所定の樹脂材料(必要であれば、所定の樹脂材料を含むアンカーコート層形成液)を塗布する(塗布後、必要であれば乾燥する)ことによって、アンカーコート層を形成することが可能である。ここで、アンカーコート層形成液の調製に使用できる溶剤、乾燥条件などは、制限されず、ここでは説明を省略する。同様にして、腐食防止層を光反射層と粘着層との間に形成する場合には、光反射層上に、腐食防止剤を含有した樹脂材料(必要であれば、所定の樹脂材料及び腐食防止剤を含む腐食防止層形成液)を塗布する(塗布後、必要であれば乾燥する)ことによって、腐食防止層を形成することが可能である。ここで、腐食防止層形成液の調製に使用できる溶剤、乾燥条件などは、制限されず、ここでは説明を省略する。また、フィルムミラーがガスバリアー層を有する場合には、ガスバリアー層は、所定の層上にゾル−ゲル法および加熱/UV処理を施すことによって形成されうる。さらに、フィルムミラーがハードコート層を有する場合には、所定の層の上に、ハードコート材料を含むハードコート層形成液を塗布する(塗布後、必要であれば乾燥し、さらに必要に応じて硬化する)ことによって、ハードコート層を形成することが可能である。ここで、ハードコート層形成液の調製に使用できる溶剤、乾燥条件などは、制限されず、ここでは説明を省略する。その他の層を設ける場合についても、所定の層の上に、適宜形成することが可能である。
そして、本発明のフィルムミラーでは、樹脂基材のみが溶液製膜または溶融製膜などで作製された樹脂フィルムであり、他の構成層には樹脂フィルムを用いておらず、その樹脂基材に対して順次、各構成層の材料の塗布・塗工や蒸着などによる成膜を繰り返し、所定の構成層を積層することでフィルムミラーを製造することが好ましい。つまり、本発明のフィルムミラーの製造方法は、いずれか2つの樹脂フィルムを接着剤(接着層)によって貼り合わせる工程を含まないことが好ましい。
(反射装置)
反射装置は、フィルムミラーと自己支持性の支持基材とを有しており、粘着層を介してフィルムミラーが支持基材に接合されている反射鏡である。反射装置の用途は特に限定されないが、太陽熱発電用反射装置に用いることが好ましい。
なお、ここで言う「自己支持性」とは、反射装置の支持基材として用いられる大きさに断裁された状態で、支持基材がフィルムミラーの端縁部分を支持することで、フィルムミラーを担持することが可能な程度の剛性を有することを表す。反射装置の支持基材が自己支持性を有することで、反射装置を設置する際に取り扱い性に優れるとともに、例えば太陽熱発電用反射装置に用いる際には反射装置を保持するための保持部材を簡素な構成とすることが可能となるため、反射装置自体を軽量化することが可能となり、太陽追尾の際の消費電力を抑制することが可能となる。
(支持基材)
例えば、鋼板、銅板、アルミニウム板、アルミニウムめっき鋼板、アルミニウム系合金めっき鋼板、銅めっき鋼板、錫めっき鋼板、クロムめっき鋼板、ステンレス鋼板などの金属材料を好ましく用いることができる。また、樹脂やセラミック材料を用いてもよい。樹脂としては、例えば樹脂基材において説明したものを使用することができる。これらの支持基材の厚みは、取扱性、熱伝導性、熱容量等の観点から、0.05mm〜3mm程度が好ましい。
支持基材が樹脂であると、反射装置の高温環境下における反射率低下をより小さくすることができるため好ましい。これは、加熱環境下にて粘着層中でガスが発生したガスが樹脂製の支持基材を透過して太陽光発電用反射装置外へと移動できるからであると推測している。樹脂製支持基材の中でも反射率低下の低減効果、取扱い性、経済性の観点から、ポリエチレンテレフタレート製の支持基材が好ましい。また、前記観点から、樹脂製支持基材の膜厚は0.1mm以上3mm以下であることが好ましい。
支持基材としては、例えば、一対の金属平板とその金属平板間に介装された中間層を有するもの(タイプA)か、中空構造を有する樹脂材料からなるもの(タイプB)などを使用してもよい。これらの具体的な構成については、国際公開第2011/162154号または米国特許出願公開第2013/0114155号公報などに記載される自己支持性基材AやBを採用することができる。
(保持部材)
反射装置が太陽熱発電用反射装置である場合には、反射装置自体を保持する保持部材を有することができる。
保持部材は、太陽熱発電用反射装置における反射面(フィルムミラー)が、太陽を追尾可能な状態で保持することが好ましい。保持部材の形態としては、特に制限はないが、太陽熱発電用反射装置が所望の形状や姿勢を保持できるように、例えば、太陽熱発電用反射装置の裏面側の支持基材における複数個所を棒状の柱状部材や梁状部材によって保持する形態が好ましい。
保持部材は、太陽を追尾可能な状態で太陽熱発電用反射装置を保持する構成を有するが、太陽追尾に際しては、手動で駆動させてもよいし、別途駆動装置を設けて自動的に太陽を追尾する構成としてもよい。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。なお、下記実施例において、特記しない限り、操作は室温(25℃)で行われた。また、特記しない限り、「%」および「部」は、それぞれ、「質量%」および「質量部」を意味する。
実施例1
(アクリル系重合体A−1の合成)
アクリル系重合体A−1は下記の通り調製を行った。
冷却管、窒素導入管、温度計、攪拌機、滴下漏斗を付したフラスコに、ブチルアクリレート95質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート5質量部、酢酸エチル150質量部、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.5質量部を仕込み、これを攪拌しながら窒素雰囲気下で68℃まで昇温させ5時間重合させた。さらに混合モノマーの滴下終了後、85℃まで昇温して4時間攪拌した後30℃まで冷却した。次に、得られた溶液を25℃まで冷却した後、メタノール中に入れ、再沈殿処理を行い、得られた沈殿物を、120℃において2時間乾燥させ生成物を得た。同様の再沈殿処理を3回行った。乾燥処理後の生成物をアクリル系重合体A−1としてGPC測定を行ったところ、質量平均分子量100万であった。またGPC測定結果よりアクリル系重合体全体に対するアクリル系重合体の分子量1万以下の成分の割合を算出したところ、分子量1万以下の成分の割合は3%であった。その後、乾燥処理後の生成物を再度酢酸エチルへ溶解させてアクリル系重合体A−1溶液を作製したところ、アクリル系重合体A−1溶液は、不揮発分35.0%、粘度4200mPa・sであった。
(フィルムミラー1の作製)
樹脂基材として、2軸延伸ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム厚さ25μm)である樹脂フィルムを用いた。
まず、上記樹脂基材の片面に光反射層として、真空蒸着法により厚さ100nmの銀反射層を形成した。
次に、ポリエステル系樹脂(ポリエスターTP220、日本合成化学工業株式会社製)とTDI(2.4−トリレンジイソシアネート)系イソシアネートを樹脂固形分質量比率で10:2に混合した樹脂に対して、銀の腐食防止剤として、2−メルカプトベンゾチアゾールを、樹脂100質量部に対して10質量部となるように添加し、メチルエチルケトン中に5質量%になるよう塗布液を調製した。この塗布液を、グラビアコート法により光反射層上にコーティングして、厚さ3μmの腐食防止層を形成した。
さらに、腐食防止層上に、上記で合成したA−1溶液100質量部とイソシアネート系架橋剤としてコロネートL55E(日本ポリウレタン工業製)1.0質量部を混合し、酢酸エチルを適量加えて固形分濃度20%となるようにアクリル系粘着剤組成物溶液を調製した。このアクリル系粘着剤組成物溶液を、アプリケーター バーコーター法にて上記の光反射層上にコーティングして、90℃で2分間乾燥後に45℃で3日間エージング処理を行い、厚さ25μmの粘着層を形成して、フィルムミラー1を得た。
実施例2
(フィルムミラー2の作製)
実施例1において、粘着層の膜厚を10μmとした以外は同様にして、フィルムミラー2を得た。
実施例3
(フィルムミラー3の作製)
実施例1において、粘着層の膜厚を15μmとした以外は同様にして、フィルムミラー3を得た。
実施例4
(フィルムミラー4の作製)
実施例1において、粘着層の膜厚を120μmとした以外は同様にして、フィルムミラー4を得た。
実施例5
(フィルムミラー5の作製)
実施例1において、粘着層の膜厚を90μmとした以外は同様にして、フィルムミラー5を得た。
実施例6
(アクリル系重合体A−2の合成)
アクリル系重合体A−2は下記の通り調製を行った。
実施例1のアクリル系重合体A−1の合成において、ブチルアクリレート95質量部の代わりに、2−エチルヘキシルアクリレート70質量部と、メチルメタクリレート20質量部、酢酸ビニル5質量部を使用した以外は同様に重合反応を行った。次に、得られた溶液をメタノール中に入れ、再沈殿処理を行い、得られた沈殿物を、120℃において2時間乾燥させ、生成物を得た。乾燥処理後の生成物をアクリル系重合体A−2としたところ、アクリル系重合体A−2は、質量平均分子量140万、分子量1万以下の成分の割合は5%であった。その後、乾燥処理後の生成物を酢酸エチルへ溶解させてアクリル系重合体A−2溶液を作製したところ、アクリル系重合体A−2溶液は、不揮発分40.3%、粘度7200mPa・sであった。
(フィルムミラー6の作製)
実施例1において、アクリル系重合体溶液A−1の代わりにアクリル系重合体溶液A−2を使用した以外は同様にして、フィルムミラー5を得た。
実施例7
(フィルムミラー7の作製)
実施例1において、粘着層の膜厚を100μmとした以外は、実施例1と同様として、フィルムミラー7を得た。
実施例8
(アクリル系重合体A−3の合成)
アクリル系重合体A−3は下記の通り調製を行った。
実施例1のアクリル系重合体A−1の合成において、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルの添加量を0.4質量部とした以外は同様に重合反応を行った。また、得られた生成物の再沈殿処理も実施例1と同様に行った。乾燥後の生成物をアクリル系重合体A−3としたところ、アクリル系重合体A−3は質量平均分子量80万、分子量1万以下の成分の割合は3%であった。また、乾燥処理後の生成物を酢酸エチルへ溶解させてアクリル系重合体溶液A−3溶液を作製したところ、アクリル系重合体A−3溶液は、不揮発分36.1%、粘度4000mPa・sであった。
(フィルムミラー8の作製)
実施例1において、アクリル系重合体溶液A−1の代わりにアクリル系重合体溶液A−3を使用した以外は同様にして、フィルムミラー8を得た。
実施例9
(アクリル系重合体A−4の合成)
アクリル系重合体A−4は下記の通り調製を行った。
実施例1のアクリル系重合体A−1の合成において、窒素雰囲気下の昇温温度と重合時間について、窒素雰囲気下で68℃まで昇温させたのち、6時間重合させた以外は同様に重合反応を行った。また、得られた生成物の再沈殿処理も実施例1と同様に行った。乾燥後の生成物をアクリル系重合体A−4としたところ、アクリル系重合体A−4は質量平均分子量140万、分子量1万以下の成分の割合は3%であった。また、乾燥後の生成物を酢酸エチルへ溶解させてアクリル系重合体A−4溶液を作製したところ、アクリル系重合体A−4溶液は、不揮発分34.1%、粘度7000mPa・sであった。
(フィルムミラー9の作製)
実施例1において、アクリル系重合体溶液A−1の代わりにアクリル系重合体溶液A−4を使用した以外は同様にして、フィルムミラー9を得た。
実施例10
(アクリル系重合体A−5の合成)
アクリル系重合体A−5は下記の通り調製を行った。
実施例1のアクリル系重合体A−1の合成において、窒素雰囲気下の昇温温度と重合時間について、窒素雰囲気下で68℃まで昇温させたのち、7時間重合させた以外は同様に重合反応を行った。また、得られた生成物の再沈殿処理も実施例1と同様に行った。乾燥後の生成物をアクリル系重合体A−5としたところ、アクリル系重合体A−5は質量平均分子量190万、分子量1万以下の成分の割合は3%であった。また、乾燥後の生成物を酢酸エチルへ溶解させてアクリル系重合体A−5溶液を作製したところ、アクリル系重合体A−5溶液は、不揮発分37.0%、粘度8000mPa・sであった。
(フィルムミラー10の作製)
実施例1において、アクリル系重合体溶液A−1の代わりにアクリル系重合体溶液A−5を使用した以外は同様にして、フィルムミラー10を得た。
実施例11
(アクリル系重合体A−6の合成)
アクリル系重合体A−6は下記の通り調製を行った。
実施例1のアクリル系重合体A−1の合成において、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルの添加量を0.7質量部とし、窒素雰囲気下の昇温温度と重合時間について、窒素雰囲気下で68℃まで昇温させたのち、7時間重合させた以外は同様に重合反応を行った。また、得られた生成物の再沈殿処理も実施例1と同様に行った。乾燥後の生成物をアクリル系重合体A−6としたところ、アクリル系重合体A−6は質量平均分子量210万、分子量1万以下の成分の割合は3%であった。また、乾燥後の生成物を酢酸エチルへ溶解させてアクリル系重合体A−6溶液を作製したところ、アクリル系重合体A−6溶液は、不揮発分34.2%、粘度12000mPa・sであった。
(フィルムミラー11の作製)
実施例1において、アクリル系重合体溶液A−1の代わりにアクリル系重合体溶液A−6を使用した以外は同様にして、フィルムミラー11を得た。
実施例12
(アクリル系重合体A−7の合成)
アクリル系重合体A−7は下記の通り調製を行った。 実施例1のアクリル系重合体A−1の合成において、ブチルアクリレート95質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート5質量部の代わりに、ブチルアクリレート90質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート5質量部、酢酸ビニル5質量部を使用した以外は同様に重合反応を行った。次に、得られた溶液をメタノール中に入れ、再沈殿処理を行い、得られた沈殿物を、120℃において2時間乾燥させ、生成物を得た。乾燥後の生成物をアクリル系重合体A−7としたところ、アクリル系重合体A−7は質量平均分子量100万、分子量1万以下の成分の割合は5%であった。また、乾燥後の生生物を酢酸エチルへ溶解させてアクリル系重合体A−7溶液を作製したところ、アクリル系重合体A−7溶液は、不揮発分34.2%、粘度4000mPa・sであった。
(フィルムミラー12の作製)
実施例1において、アクリル系重合体溶液A−1の代わりにアクリル系重合体溶液A−7を使用した以外は同様にして、フィルムミラー12を得た。
比較例1
(アクリル系重合体A−8の合成)
アクリル系重合体A−8は下記の通り調製を行った。
実施例1のアクリル系重合体A−1の合成において、ブチルアクリレート95質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート5質量部の代わりに、2−エチルヘキシルアクリレート80質量部と、メチルメタクリレート10質量部、酢酸ビニル10質量部を使用した以外は同様に重合反応を行った。得られたアクリル系重合体A−8溶液は、不揮発分38.3%、粘度5800mPa・sであった。また、不揮発分をアクリル系重合体としてGPC測定を行ったところ、アクリル系重合体A−8は質量平均分子量100万、アクリル系重合体の分子量1万以下の成分の割合は12%であった。
尚、比較例1においては、実施例1と異なり、再沈殿処理は行わなかった。
(フィルムミラー13の作製)
実施例1において、アクリル系重合体溶液A−1の代わりにアクリル系重合体溶液A−8を使用した以外は同様にして、フィルムミラー13を得た。
比較例2
(アクリル系重合体A−9の合成)
アクリル系重合体A−9は下記の通り調製を行った。
実施例1のアクリル系重合体A−1の合成において、ブチルアクリレート95質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート5質量部の代わりに、2−エチルヘキシルアクリレート87質量部と、メチルメタクリレート10質量部、酢酸ビニル3質量部を使用し、その他は同様に重合反応を行った。得られたアクリル系重合体A−9溶液は、不揮発分38.0%、粘度5100mPa・sであった。また、不揮発分をアクリル系重合体としてGPC測定を行ったところ、アクリル系重合体A−9は質量平均分子量90万、アクリル系重合体の分子量1万以下の成分の割合は7%であった。
尚、比較例2においては、実施例1と異なり、再沈殿処理は行わなかった。
(フィルムミラー14の作製)
実施例1において、アクリル系重合体溶液A−1の代わりにアクリル系重合体溶液A−9を使用し、粘着層の膜厚を100μmとした以外は同様にして、フィルムミラー14を得た。
比較例3
(アクリル系重合体A−10の合成)
アクリル系重合体A−10は下記の通り調製を行った。
実施例1のアクリル系重合体A−1の合成において、窒素雰囲気下の昇温温度と重合時間について、窒素雰囲気下で78℃まで昇温させたのち、8時間重合させた。さらに、昇温温度、攪拌時間、及び冷却温度について、混合モノマーの滴下終了後、85℃まで昇温して8時間攪拌した後30℃まで冷却させた。前記の操作以外は同様に重合反応を行った。次に、得られた溶液をメタノール中に入れ、再沈殿処理を行い、得られた沈殿物を、120℃において2時間乾燥させ、生成物を得た。同様の再沈殿操作を5回行った。乾燥後の生成物をアクリル系重合体A−10としたところ、アクリル系重合体A−10は質量平均分子量30万、アクリル系重合体の分子量1万以下の成分の割合は1%であった。また、乾燥後の生成物を酢酸エチルへ溶解させてアクリル系重合体A−10溶液を作製したところ、アクリル系重合体A−10溶液は、不揮発分35.0%、粘度2200mPa・sであった。
(フィルムミラー15の作製)
実施例1において、アクリル系重合体溶液A−1の代わりにアクリル系重合体溶液A−10を使用し、粘着層の膜厚を80μmとした以外は同様にして、フィルムミラー15を得た。
比較例4
(アクリル系重合体A−11の合成)
アクリル系重合体A−11は下記の通り調製を行った。
実施例1のアクリル系重合体A−1の合成において、窒素雰囲気下の昇温温度と重合時間について、窒素雰囲気下で78℃まで昇温させたのち、8時間重合させた。さらに、昇温温度、攪拌時間、及び冷却温度について、混合モノマーの滴下終了後、85℃まで昇温して4時間攪拌した後30℃まで冷却させた。前記の操作以外は同様に重合反応を行った。また、得られた生成物の再沈殿処理も実施例1と同様に行った。乾燥後の生成物をアクリル系重合体A−11としたところ、アクリル系重合体A−11は質量平均分子量30万、分子量1万以下の成分の割合は3%であった。また、乾燥後の生成物を酢酸エチルへ溶解させてアクリル系重合体A−11溶液を作製したところ、アクリル系重合体A−11溶液は、不揮発分35.0%、粘度2200mPa・sであった。
(フィルムミラー16の作製)
実施例1において、アクリル系重合体溶液A−1の代わりにアクリル系重合体溶液A−11を使用した以外は同様にして、フィルムミラー16を得た。
[評価]
上記実施例および比較例で得られたフィルムミラーについて、下記の方法により、100℃における粘着力、初期の正反射率、および耐久性試験(100℃×500時間放置)後の正反射率を測定した。結果を下記表1に示す。
<100℃における粘着力の測定>
作製した試料を25℃、50%RHの環境下で25×150mmに裁断した後、
粘着剤層側をアルミ板、またはガラス板に2.0kgローラーを往復させ、加圧貼付けし、同雰囲気下で30分間放置した。その後、100℃の環境下に1時間放置し、取り出し後、すぐにオートグラフ(島津製作所製「オートグラフAGS−H500n」)を用いて、剥離速度300mm/minで180度剥離強度(N/25mm)を測定した。
<正反射率の測定>
日立ハイテク製の分光光度計「UH4150」を使用し、反射面の法線に対して、
入射光の入射角5°となるように調整し、反射角 5°の正反射率を測定した。評価は、250nm〜2500nmの平均反射率として測定した。
<耐久性試験(100℃×500時間放置)後の正反射率の測定>
各フィルムミラーを温度100℃の条件で、500時間放置した後、各フィルムミラーの正反射率を上記正反射率の測定と同様の方法により測定した。
比較例5
(フィルムミラー17の作製)
市販のアクリル系粘着剤SZ7543(日本カーバイト工業製、不揮発分35%、不揮発分の質量平均分子量50万)100質量部と、エポキシ系化合物TETRAD−X(三菱ガス化学製、不揮発分100%)0.06質量部を混合し、酢酸エチルを加えて固形分濃度20%となるように調製したものをアクリル系粘着剤組成物溶液として用いた以外は実施例1と同様にして、フィルムミラー17を得た。
比較例5のフィルムミラー17を実施例1〜12および比較例1〜4のフィルムミラー1〜16と同様に評価したところ、100℃の粘着力はアルミ板、およびガラス板に対してそれぞれ1.5N/25mm、および1.8N/mmであり、初期の正反射率は93%、耐久性試験(100℃×500時間放置)後の正反射率は69%であり、実施例1〜12のフィルムミラー1〜12と比較して、高温環境下における反射率の低下が劣っていることが確認された。
さらに、実施例1フィルムミラー1を、支持基材であるポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ0.1mm)、およびアルミ板に貼合し、反射装置1、および1−2を作製した。これらの反射装置1、および1−2について、耐久性試験前後の正反射率の測定を行ったところ、耐久性試験前の正反射率は共にフィルムミラー単体の測定値と同様であり、耐久性試験後の正反射率はそれぞれ93%、および89%であった。これより、本発明のフィルムミラーを用いた反射装置は耐久性に優れることが確認された。また、反射装置1、および1−2の比較より、ポリエステルフィルムを支持基材として用いた方が、アルミ板を用いたよりも耐久性に優れることが確認された。これらの反射装置は、その耐久性の高さより、高温環境下で使用される太陽熱発電用反射装置として適する。
上記結果より、粘着層としてアクリル系粘着剤で構成されており、前記アクリル系粘着剤に含まれるアクリル系重合体の質量平均分子量が80万以上であり、且つ前記アクリル系重合体の分子量1万以下の成分が前記アクリル系重合体全体に対して5%以下であるものを使用した本発明の実施例1〜12のフィルムミラー1〜12は、前記粘着層を使用しなかった比較例1〜5のフィルムミラー13〜17に比して、高温環境下における反射率の低下が抑制・防止できることがわかる。
1…光反射層、
2…樹脂基材、
3…粘着層、
4…支持基材、
10…フィルムミラー、
20…反射装置。

Claims (6)

  1. 少なくとも光反射層、樹脂基材、および粘着層を有し、前記粘着層がアクリル系粘着剤より形成されており、前記アクリル系粘着剤に含まれるアクリル系重合体の質量平均分子量が80万以上であり、且つ前記アクリル系重合体の分子量1万以下の成分が前記アクリル系重合体全体に対して5%以下であるフィルムミラー。
  2. 前記粘着層の厚みが15〜100μmである、請求項1に記載のフィルムミラー。
  3. 前記粘着層の100℃における、対ガラス板、および対アルミ板に対する粘着力が、共に2N/25mm以上である、請求項1又は2に記載のフィルムミラー。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載のフィルムミラーと支持基材を有することを特徴とする反射装置。
  5. 前記支持基材がポリエチレンテレフタレート製であり、膜厚が0.1mm以上である、請求項4に記載の反射装置。
  6. 前記反射装置が太陽熱発電用反射装置である、請求項4または5に記載の反射装置。
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