JP6447409B2 - ウィンドウフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、耐候性および耐久性に優れたウィンドウフィルムに関する。
近年、地球温暖化等の環境問題の深刻化に伴い、省エネルギーやCOの削減を目的として、光制御層を有するウィンドウフィルムを利用した住宅、自動車等の空間温度調整が進められている。
ウィンドウフィルムとは、太陽光等の外光の入射角度に応じて選択的に光の吸収、偏光、反射、透過等を行うことにより、室内への熱線および可視光線の入射量を調整する機能性シートである。
ウィンドウフィルムは、通常、光制御層と、上記光制御層を窓ガラス等の被着体に貼合させるための接着層とを有する。ここで、光制御層はその形状により上述の機能が発揮されることから、成型性が高く、経時による変形が生じにくい材料を用いて形成されることが求められる。また、外光を利用して室内の照度の向上や室温の向上を図るためには、より多くの量の光を室内に取り込むことが必要となり、上記光制御層は高い光透過率を有することも求められる。このため、光制御層の材料としては、電離放射線硬化性樹脂が好適とされている。しかし、上記電離放射線硬化性樹脂の構造内に有するフェニル基や、未反応の重合性不飽和結合は、外光の紫外線を吸収しやすいことから、光制御層は光劣化が生じやすいという欠点を有していた。一方、光制御層の劣化を防止するために紫外線吸収剤、光安定剤等の耐候剤を含有させると、光制御層の成型の際に上記樹脂の硬化に要する紫外線が耐候剤に吸収されてしまい、硬化反応が阻害されて光制御層を所望の形状に成型しにくくなるという問題を有していた。
そこで、外光の入射方向に対して窓ガラス等の内側に貼合させるウィンドウフィルムにおいては、接着層に耐候剤を含有させて、外光に含まれる紫外線等の光制御層の劣化の要因となる波長光を接着層において吸収することで、光制御層の劣化を防ぎ、ウィンドウフィルムの耐候性の向上を図っている。
なお、特許文献1には、高い保持力、耐候性および紫外線吸収能を有するウィンドウフィルム用接着剤として、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系共重合体、金属キレート系架橋剤、およびトリアジン系紫外線吸収剤を含む接着剤が開示されている。また、上述の組成を含む接着層と、電離放射線硬化性樹脂により形成された光制御層とを備えるウィンドウフィルムが開示されている。
特許第4881208号公報
しかし、このようなウィンドウフィルムにおいては、接着層に含まれる耐候剤が隣接する層に移動する、いわゆるブリードアウトにより、接着層中の耐候剤の含有量が低下して接着層自体の劣化が生じ、その結果、ウィンドウフィルムとしての耐候性および耐久性の向上を十分に図ることができないという問題がある。
なお、本願明細書内において、「ブリードアウト(する)」とは、接着層に含まれる耐候剤が隣接する他の層に移動すること、およびその現象のことをいう。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、耐候性および耐久性に優れたウィンドウフィルムを提供することを主目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、耐候剤を含む第1接着層と、バリア層と、第2接着層と、光制御層とが少なくともこの順で積層されたことを特徴とするウィンドウフィルムを提供する。
本発明によれば、第1接着層と光制御層との間にバリア層を介することにより、第1接着層に含まれる耐候剤のブリードアウトが抑制され、第1接着層の光劣化による黄変および接着力の低下を防止することができる。また、第1接着層に含まれる耐候剤により紫外線等の光制御層の劣化を生じさせる波長光が吸収されるため、上記光制御層の劣化を抑制することができる。
上記発明においては、上記耐候剤が紫外線吸収剤を含むことが好ましい。第1接着層および光制御層の劣化は主に外光に含まれる紫外線により生じることから、耐候剤として紫外線吸収剤を用いることで、ウィンドウフィルムの劣化をより効果的に防止することが可能となるからである。
上記発明の場合、上記耐候剤が、上記紫外線吸収剤に加えて光酸化防止剤を含むことが好ましい。耐候剤として紫外線吸収剤と光酸化防止剤とを併用することで、上記光酸化防止剤により紫外線照射時に発生するラジカルが捕捉されるため、第1接着層の酸化や結合解裂を防止することができるからである。
上記発明においては、上記バリア層が、ポリエチレンテレフタレートにより形成されたものであることが好ましい。ポリエチレンテレフタレートにより形成されるバリア層は、高い架橋密度を有するため、効率良く耐候剤のブリードアウトを阻止することが可能であり、また、安価で汎用性があるからである。
上記発明においては、上記光制御層が、一方の表面に複数本の溝部を有する光透過部、および上記溝部内に形成された光制御部を有するルーバー型光制御層であることが好ましい。上記構造を有するルーバー型光制御層は、光制御部の材料および外光の入射角度に応じて、入射光の拡散反射による採光量の確保、熱線の選択的透過および遮蔽等の光の制御方法を選択することが可能であり、高機能なウィンドウフィルムとすることができるからである。
上記発明においては、上記第1接着層の接着力が、上記第2接着層の接着力と同等または上記第2接着層の接着力よりも小さいことが好ましい。本発明のウィンドウフィルムの第1接着層が窓ガラス等との貼合面となることから、第2接着層においてウィンドウフィルムの材料破壊を起こさずに、窓ガラス等から容易に剥離が可能となるからである。
本発明においては、第1接着層に含まれる耐候剤により光制御層の劣化を防ぎ、また、バリア層により上記耐候剤の隣接層へのブリードアウトが抑制されるため、第1接着層の劣化も防ぐことができることから、高い耐候性および耐久性を有するウィンドウフィルムとすることができるという効果を奏する。
本発明のウィンドウフィルムの一例を示す概略断面図である。 ルーバー型光制御層の一例を示す概略斜視図および断面図である。 光制御部が熱線吸収部であるルーバー型光制御層を備えた本発明のウィンドウフィルム内における光の透過経路を説明するための説明図である。 光制御部の縦断面形状の一例を示す概略断面図である。 本発明のウィンドウフィルムの他の例を示す概略断面図である。
以下、本発明のウィンドウフィルムについて詳細に説明する。
本発明のウィンドウフィルムは、耐候剤を含む第1接着層と、バリア層と、第2接着層と、光制御層とが少なくともこの順で積層されたことを特徴とするものである。
本発明のウィンドウフィルムについて、図を参照して説明する。図1は本発明のウィンドウフィルムの一例を示す概略断面図である。本発明のウィンドウフィルム10は、耐候剤を含む第1接着層1と、バリア層2と、第2接着層3と、光制御層4とが少なくともこの順で積層されたものである。本発明のウィンドウフィルム10は、通常、第1接着層1が光制御層4よりも外光の光源側(図1中のLの方向)に配置されるようにして、窓ガラス等の被着体に貼合して用いられる。
上述したように、室内への外光の選択的取り込みを可能とするウィンドウフィルムにおいて、光制御層の成型性および光透過性を高いものとするために、上記光制御層には成型性の低下の要因となる耐候剤を添加せず、代わりに耐候剤を含む接着層を光制御層よりも外光の光源側に設けることで、紫外線等を先に接着層において吸収させて光制御層の劣化の防止を図ることが検討されている。また、接着層は耐候剤を含むことから、接着層自体の耐候性の向上も図ることが可能となる。しかし、このようなウィンドウフィルムであっても、経時による劣化が生じることで長期にわたりその機能を保持できず、耐候性および耐久性に劣るという問題がある。
上記問題の原因について本発明者等が鋭意検討したところ、上述のウィンドウフィルムにおいて、接着層に含まれる耐候剤が経時によりブリードアウトすることが原因であると知得した。すなわち、上記耐候剤のブリードアウトにより接着層中の耐候剤の含有量が低下してしまうため、上記接着層自体の光劣化が生じ、結果としてウィンドウフィルム全体としての耐候性および耐久性を低下させていることを見出した。
これに対し、本発明によれば、第1接着層と光制御層との間にバリア層を介することにより、第1接着層に含まれる耐候剤のブリードアウトが抑制されるため、経時による第1接着層内の耐候剤の含有量の低下を防ぐことが可能である。このため、第1接着層の光劣化を防止することができる。また、第1接着層に含まれる耐候剤により紫外線等の光制御層の劣化を生じさせる波長光が十分に吸収されるため、上記光制御層についても、上記光制御層に耐候剤を添加しなくてもその劣化を抑制することができる。すなわち、ウィンドウフィルム全体としての耐候性および耐久性の向上を図ることが可能となる。
以下、本発明のウィンドウフィルムの各部位について、詳細に説明する。
1.第1接着層
本発明における第1接着層は、耐候剤を含むものである。
(1)耐候剤
第1接着層に含有される耐候剤としては、光制御層の劣化の原因となる波長光を吸収することが可能なものや、光照射により第1接着層の樹脂の分子鎖が切断される際に生じるラジカルを補捉することが可能なもの等であればよく、紫外線吸収剤、光酸化防止剤等が挙げられる。光酸化防止剤としては、光安定剤、酸化防止剤等が挙げられる。
本発明においては、耐候剤が紫外線吸収剤を含むことが好ましい。
紫外線吸収剤としては、所望の波長の紫外線を吸収できるものであれば特に限定されるものではない。このような紫外線吸収材料としては、例えば有機系紫外線吸収剤、および反応性紫外線吸収剤を挙げることができる。
上記有機系紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、べンゾトリアゾール系、サリシレート系、フェニルサリシレート系、シアノアクリレート系、ベンゾエート系、ベンゾオキサジノン系、トリアジン系、ヒドロキシフェニルトリアジン系、置換アクリロニトリル系、ニッケルキレート系、ヒンダートアミン系等が挙げられる。
上記反応性紫外線吸収剤としては、上述の有機系紫外線吸収剤に、例えばビニル基、アクリロイル基、メタクロイル基等の付加重合性二重結合、あるいはアルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基等を導入したものを樹脂バインダに反応固定したものが挙げられる。反応固定する方法としては、従来公知のモノマー、オリゴマー、または反応性重合体の樹脂成分と、上記の付加重合性二重結合を有する反応性紫外線吸収剤とをラジカル重合することにより共重合体とすることができる。また、反応性紫外線吸収剤が、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エボキシ基、イソシアネート基等の反応性基を有する場合には、上記の反応性基と反応性を有する熱可塑性樹脂を使用し、必要に応じて触媒を用いて、熱等によって反応性紫外線吸収剤を熱可塑性樹脂に反応固定することができる。
光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系、ニッケル錯体系等の光安定剤を用いることができる。これらの光安定剤の具体例としては、例えば光学フィルム等の高い光透過性が求められる部材における接着層に使用されるものが挙げられる。ヒンダードアミン系光安定剤としては、具体的には、Tinuvin 111FDL、Tinuvin 123、Tinuvin 144、Tinuvin 152、Tinuvin 292、Tinuvin 5100(以上、BASF社製)、Viosorb 770、Viosorb 622、Viosorb765(以上、共同薬品社製)等が挙げられる。
また、光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基等の反応性官能基を有する反応性光安定剤を用いてもよい。具体的には1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート(製品名:サノールLS−3410 日本乳化剤株式会社製)等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール系等の酸化防止剤を用いることができる。具体的には、IRGANOX 1035、IRGANOX 3114(以上、チバスペシャリティケミカルズ社製)等が挙げられる。
本発明においては、耐候剤が紫外線吸収剤を含むことが好ましい。第1接着層および光制御層の劣化は、主に外光に含まれる紫外線により生じることから、耐候剤として紫外線吸収剤を用いることで、ウィンドウフィルムの劣化をより効果的に防止することが可能となるからである。
第1接着層における紫外線吸収剤(固形分)の含有量としては、後述する接着剤100質量部に対して0.1質量部〜40質量部の範囲内であることが好ましく、中でも1質量部〜30質量部の範囲内であることが好ましい。接着剤100質量部に対する紫外線吸収剤の含有量が上記範囲よりも多いと、例えば耐候剤としてベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を用いる場合において、第1接着層が着色を帯びてしまい、ウィンドウフィルム全体としての外観上の問題が生じる可能性がある。一方、紫外線吸収剤の含有量が上記範囲よりも少ないと、紫外線等の光制御層の劣化原因となる波長光を第1接着層において十分に吸収しきれず、光制御層の劣化が生じる場合がある。
本発明においては、上記耐候剤が紫外線吸収剤のみを含んでいてもよいが、上記耐候剤が、紫外線吸収剤に加えて光酸化防止剤を含むことがより好ましい。耐候剤として紫外線吸収剤と光酸化防止剤とを併用することにより、紫外線照射時に発生するラジカルが光酸化防止剤により捕捉されるため、第1接着層の酸化や結合解裂を防止することができるからである。
耐候剤が、紫外線吸収剤に加えて光酸化防止剤を含む場合の、第1接着層における上記光酸化防止剤(固形分)の含有量としては、接着剤100質量部に対して0.1質量部〜40質量部の範囲内であることが好ましく、中でも1質量部〜30質量部の範囲内であることが好ましい。接着剤100質量部に対する光酸化防止剤の含有量が上記範囲よりも大きいと、第1接着層を形成する接着剤の溶解性の観点から、第1接着層の硬化不良を起こす場合があり、一方、上記範囲よりも小さいと、光酸化防止剤を添加することによる効果が発揮されない場合がある。
なお、上記耐候剤が紫外線吸収剤に加えて光酸化防止剤を含むとは、紫外線吸収剤に加えて、光酸化防止剤として光安定剤および酸化防止剤の少なくとも一方を含むことをいい、光安定剤および酸化防止剤の両方を含んでいてもよい。光酸化防止剤として光安定剤および酸化防止剤の両方含む場合は、光安定剤および酸化防止剤の各含有量の総量が上記範囲内となる。
(2)接着剤
第1接着層に用いられる接着剤としては、第1接着層が所望の接着力を示し、高い光透過性を有することが可能な材料であれば特に限定されるものではない。このような接着剤としては、例えばアクリル系接着剤、シリコン系接着剤、エステル系接着剤、ウレタン系接着剤、フッ素系接着剤、ポリイミド系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタンエステル系接着剤、酢酸ビニル系接着剤、合成ゴム系接着剤、天然ゴム系接着剤等が挙げられる。中でも透明性、耐久性、耐熱性に優れ、低コストであることから、アクリル系接着剤が好ましい。アクリル系接着剤としては、例えばアクリル酸エステルと他の単量体とを共重合させたアクリル酸エステル共重合体を挙げることができる。
上記アクリル酸エステルとしては、例えばアクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸ヒドロキシルエチル、アクリル酸プロピレングリコール、アクリルアミド、アクリル酸グリシジル等を挙げることができる。中でも被着体である窓ガラス等に対して良好な貼合性を示すことから、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル等が好ましい。また、上記アクリル酸エステルは、単独で用いられてもよく、複数が混合されて用いられてもよい。
上記他の単量体としては、例えばアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アクリル酸ヒドロキシルエチル、メタクリル酸ヒドロキシルエチル、アクリル酸プロピレングリコール、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸−tert−ブチルアミノエチル、メタクリル酸−n−エチルヘキシル等を挙げることができる。中でもメタクリル酸−n−エチルヘキシルが好ましい。また、上記他の単量体は、単独で用いられてもよく、複数が混合されて用いられてもよい。
(3)その他の添加剤
第1接着層は、上述の材料の他に添加剤を含むものであってもよい。添加剤としては、例えば架橋剤、シランカップリング剤、接着付与剤、充填剤、レベリング剤等が挙げられる。架橋剤としては、例えばイソシアネート系、金属キレート系、エポキシ系、およびメラミン系が挙げられる。
(4)第1接着層
第1接着層の膜厚としては、上述した所望の量の耐候剤を含むことが可能な大きさであればよく、例えば10μm〜80μmの範囲内、中でも15μm〜60μmの範囲内、特に20μm〜40μmの範囲内であることが好ましい。第1接着層の膜厚が上記範囲よりも大きいと、ウィンドウフィルムの光透過性の低下、ヘイズの上昇による外観不良等を生じる場合があり、また、施工上好ましくない場合がある。一方、上記膜厚が上記範囲よりも小さいと、所望の量の耐候剤を含むことができない場合や、所望の接着力が得られず、ウィンドウフィルムとしての性能を担保できない場合がある。
第1接着層の接着力としては、4N/25mm〜30N/25mmの範囲内、中でも4N/25mm〜25N/25mmの範囲内、特に4N/25mm〜20N/25mmの範囲内であることが好ましい。第1接着層の接着力が上記範囲内であることにより、本発明のウィンドウフィルムを窓ガラス等の被着体に安定的に貼合させることができ、また、上記ウィンドウフィルムを剥がす際に上記被着体に糊残り等が生じることなく剥がすことが可能となるからである。
なお、上記接着力は、JIS Z0237準拠した方法で、25mm幅のサンプル(被着体:青板ガラス、3mm厚)について、180°引き剥がし法(300mm/min)により測定される値である。
またこのとき、第1接着層の接着力は、後述する第2接着層の接着力と同等または第2接着層の接着力よりも小さいことが好ましい。第2接着層はバリア層と光制御層等とを貼合させるものであり、第1接着層の接着力が第2接着層の接着力よりも大きいと、窓ガラス等の被着体に貼合された本発明のウィンドウフィルムを剥がす際に、第2接着層とバリア層との層間で材料破壊が生じることで、上記被着体の表面にウィンドウフィルムの一部が糊残りする場合があるからである。
なお、第2接着層の接着力についての詳細は、後で説明する。
第1接着層の形成方法としては、所望の膜厚で形成できれば特に限定されないが、例えば、上述の材料を所望の溶媒に溶かした第1接着層形成用塗布液を用いてバリア層の一方の表面に塗布し、加熱により塗工膜を硬化させる方法を用いることができる。中でも接着層内の架橋の促進を図るために、熱硬化後にエージング処理を行うことが好ましい。
上記第1接着層形成用塗布液を塗布する方法としては、例えば、ナイフコーター、アプリケーターコーター、ダイコーター、コンマコーター、グラビアコーター、ロールコーター等によるコーティング法が挙げられる。
2.バリア層
本発明におけるバリア層は、耐候剤を含む第1接着層と第2接着層との間に有するものである。
上記バリア層により、第1接着層からの耐候剤のブリードアウトを防ぐことができる。
バリア層としては、高い光透過性を有し、耐候剤がブリードアウトしにくい層構造を有するものであればよく、例えば樹脂材料から形成される層が好ましい。なお、樹脂材料から形成されるバリア層において、ブリードアウトしにくい層構造とは、層内における樹脂の架橋密度が高いことをいう。
バリア層としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルイミド(PEI)、セルローストリアセテート(CTA)、環状ポリオレフィン(COP)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリサルフォン(PSF)、ポリアミドイミド(PAI)、アクリル樹脂、アクリルポリオール樹脂、アクリル・ウレタン共重合体、アクリルポリオール・イソシアネート共重合体、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、イソシアネート等からなるシートまたはフィルムが挙げられる。
中でもバリア層が、PETにより形成されたものであることであることが好ましい。PETにより形成されるバリア層は、高い架橋密度を有するため、効率良く耐候剤のブリードアウトを阻止することが可能であり、また、安価で汎用性があるからである。
また、バリア層は、上述の樹脂材料から成る樹脂層のほか、樹脂層上に透明な無機材料から成る透明無機化合物層を備えるものであってもよい。透明無機化合物層は、高い層密度を有することから、薄膜であっても高効率でブリードアウトを阻止することが可能であるからである。
上記透明無機化合物層の材料としては、高い光透過性を有するものであればよく、例えばSi、Al、Ti等の無機酸化物、無機窒化物、無機炭化物、無機酸化炭化物、無機窒化炭化物、無機酸化窒化物、無機酸化窒化炭化物等が挙げられる。
バリア層は、第1接着層からの耐候剤のブリードアウトを十分に抑制可能な程度に薄膜であることが好ましい。ブリードアウト層の膜厚としては、例えば10μm〜70μmの範囲内、中でも12μm〜50μmの範囲内、特に16μm〜25μmの範囲内であることが好ましい。バリア層の膜厚が上記範囲よりも大きいと、ウィンドウフィルムの光透過性の低下、ヘイズの上昇による外観不良等を生じる場合があり、また、施工上好ましくない場合がある。一方、上記範囲よりも小さいと、耐候剤がバリア層を介して滲出する場合や、ウィンドウフィルムのコシが弱く、製造時にしわ等が入りやすくなり外観が損なわれる場合がある。
3.第2接着層
本発明における第2接着層は、バリア層と、光制御層との間に有するものである。
第2接着層に用いられる接着剤としては、上述した「1.第1接着層」の項で説明した接着剤と同様とすることができるが、中でもアクリル系接着剤が好ましい。
また、第2接着層に用いられる接着剤は、第1接着層に用いられる接着剤と同じであってもよく、異なっても良い。
第2接着層は、光制御層へのブリードアウトを防止する観点から、通常、「1.第1接着層」の項で説明した耐候剤を含有しないものであるが、含有してもよい。また、第2接着層は、耐候剤の他に必要に応じて適宜添加剤を含むものであってもよい。第2接着層に含有される耐候剤および添加剤については、「1.第1接着層」の項で説明したものと同様とする。
第2接着層の膜厚としては、バリア層と光制御層とを十分な接着力で貼合させることができ、且つ、本発明のウィンドウフィルムが所望の光透過性を有することが可能な薄さを有することが好ましい。例えば10μm〜50μmの範囲内、中でも10μm〜40μmの範囲内、特に10μm〜30μmの範囲内であることが好ましい。
第2接着層の膜厚が上記範囲よりも大きいと、本発明のウィンドウフィルムの光透過性が低下する場合があり、一方、上記範囲よりも小さいと、バリア層と光制御層とを十分に貼合させることができず、本発明のウィンドウフィルムの機械的強度が低下する場合がある。
なお、第2接着層の膜厚は、第1接着層の膜厚と同等であってもよく、第1接着層の膜厚よりも小さくてもよい。
第2接着層の接着力としては、光制御層とバリア層とを十分に貼合させ、剥離しにくくすることが可能な強度であればよく、例えば20N/25mm以上であることが好ましい。第2接着層の接着力が上記範囲内であることにより、本発明のウィンドウフィルムにおいて、光制御層とバリア層とが十分に貼合されるため、層間において剥離による材料破壊等が生じにくいものとすることができる。
なお、上記接着力の測定方法については「1.第1接着層」の項で説明した方法と同様である。
第2接着層の形成方法としては、所望の膜厚で形成できれば特に限定されないが、上述した第1接着層の形成方法と同様の方法を用いることが好ましい。
4.光制御層
本発明における光制御層は、第2接着層と積層されるものである。
なお、本発明において光制御層は、上述した理由から、耐候剤を通常含まないものであるが、光制御層の形成を阻害しない程度に耐候剤を含んでいてもよい。
本発明における光制御層は、熱線および可視光線を選択的に透過することが可能な構造を有するものであればよく、例えばルーバー型、プリズム型等が挙げられる。中でもルーバー型光制御層が好ましい。外光の入射角度に応じて、入射光の反射による採光量の確保、熱線の選択的透過および遮蔽等を行うことが可能だからである。
以下、ルーバー型光制御層と、その他の光制御層とに分けて説明する。
(1)ルーバー型光制御層
本発明におけるルーバー型光制御層とは、一方の表面に複数本の溝部を有する光透過部、および上記溝部内に形成された光制御部を有するものである。
上記ルーバー型光制御層について図を参照して説明する。図2(a)は本発明におけるルーバー型光制御層の一例を示す概略斜視図であり、図2(b)は図2(a)のX−X線縦断面図である。図2で示すように、ルーバー型光制御層4Aは、光透過部11に直線かつ並列に複数本の溝部13が形成され、上記溝部13内に光制御部12を有するものである。
ルーバー型光制御層では、光制御部の材料に応じて光の制御方法を選択することが可能となる。例えば、光制御部を、光透過部よりも低屈折率を示す樹脂材料から成る低屈折率部とすることにより、光透過部と光制御部との界面において、屈折率の違いによる光の全反射を生じさせることで、反射光を利用した採光量の増加を図ることができる。また、光制御部を、熱線吸収粒子を含む材料から成る熱線吸収部とすることにより、熱線の透過および遮蔽を選択的に行うことができる。さらに、光制御部を、隠蔽性を示す材料から成る光拡散部とすることにより、光制御部と光透過部との界面において光を拡散反射させて室内への採光量の増加を図ることができる。
図3は、光制御部が熱線吸収部であるルーバー型光制御層を備えた本発明のウィンドウフィルム内における光の透過経路を説明するための説明図である。図3中の符号については図1および図2で説明したものと同様とする。例えば図3(a)で示すように、太陽高度が高い夏季では、窓ガラス100に対する太陽光Lの入射角度θは大きくなるため、太陽光Lは熱線吸収部12aの側面から多く入射される。このとき、可視光線は熱線吸収部12aを透過して室内に取り込まれ、一方で、熱線は熱線吸収部12aにおいて吸収されるため室内側への取り込みが遮蔽される。すなわち、夏季においては、可視光線を利用して室内の照度を確保すると共に、熱線による室内温度の上昇を抑制することができる。
一方、図3(b)示すように、太陽高度が低い冬季では、窓ガラス100に対する太陽光Lの入射角度θが小さくなり、窓ガラス100の面に対して垂直に近い角度から入射される。このため、図3(a)で示した夏季の場合に比べて、熱線吸収部12aよりも光透過部11へ入射する太陽光Lの割合が増加する。光透過部11は熱線も透過するため、可視光線と熱線との両方を室内に取り込むことができる。すなわち冬季においては、可視光線を利用して室内の照度の確保と、熱線による室内温度の上昇との両方を図ることが可能となる。
以下、ルーバー型光制御層の各構成について説明する。
(a)光透過部
光透過部の材料としては、電離放射線硬化性樹脂であることが好ましい。上記電離放射線硬化性樹脂としては、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、可視光線硬化性樹脂、近赤外線硬化性樹脂等が挙げられるが、中でも、紫外線硬化性樹脂および電子線硬化性樹脂が好ましい。
上記紫外線硬化性樹脂および電子線硬化性樹脂としては、従来から慣用されている重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。例えば、重合性オリゴマーないしはプレポリマー、中でも多官能の重合性オリゴマーないしはプレポリマーが挙げられる。重合性オリゴマーないしはプレポリマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマーやプレポリマー、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系、ポリエーテル系のウレタン(メタ)アクリレート、カプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系のオリゴマーやプレポリマー、エチレンオキシド(EO)変性、プロピレンオキシド(PO)変性、プロポキシ化エトキシ化等の変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。なお、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレートまたはメタクリレート」を意味する。
上記光透過部に用いられる材料として多官能のウレタン(メタ)アクリレートを用いる場合、粘度調整等の目的でメチル(メタ)アクリレート等の単官能性(メタ)アクリレートを希釈剤として併用することができる。上記単官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよく、低分子量の多官能性(メタ)アクリレートを併用してもよい。
また、上記光透過部の材料として紫外線硬化性樹脂を用いる場合には、光重合開始剤を併用することが好ましい。上記光重合開始剤の種類としては、従来慣用されているものを用いることができる。上記光透過部における光重合開始剤の含有率としては、紫外線硬化性樹脂100質量部に対して、0.1質量部〜5質量部程度の範囲内であることが好ましい。
光透過部は、上述の樹脂の他に、任意の添加剤を含有していてもよい。任意の添加剤としては、例えば離型剤、重合禁止剤、架橋剤、酸化防止剤、可塑剤、消泡剤、充填剤等が挙げられる。なお、本発明において、上記光透過部は、耐候剤としての紫外線吸収剤、光安定剤を通常含まないが、光透過部の形成を阻害しない程度に含んでいてもよい。
光透過部の厚さは、溝部の高さに応じて適宜選択されるものであるが、例えば10μm〜300μmの範囲内であることが好ましく、中でも25μm〜250μmの範囲内であることが好ましく、特に50μm〜200μmの範囲内であることが好ましい。光透過部の厚さが上記範囲よりも大きいと、光透過部において入射光が吸収されることにより室内側への出射光量が減少し、本発明のウィンドウフィルムの視認性が低下する場合があり、一方、上記範囲よりも小さいと、溝部を所望の形状とすることが困難になる場合がある。
なお、光透過部の厚さは、すなわちルーバー型光制御層の厚さであり、図2(b)においてT1で示される部分である。
光透過部の有する溝部の縦断面形状等については、後述する光制御部の縦断面形状等と同様であるため、この項での説明は省略する。
光透過部の屈折率としては、光制御部の種類に応じて適宜選択されるが、例えば1.40〜1.80の範囲内、中でも1.45〜1.70の範囲内、特に1.50〜1.65の範囲内であることが好ましい。
なお、光透過部の屈折率は、JIS K 7142に規定された屈折率の測定方法に従い、アッベ屈折計((株)アタゴ社製)を用いて、温度23℃の条件下で、測定波長589nmのナトリウム光源を用いて測定された値である。以下の説明における屈折率の測定方法については、この方法により測定されるものとする。
また、光透過部の可視光線透過率は70%以上であることが好ましく、中でも80%以上であることが好ましく、特に90%以上であることが好ましい。光透過部が上記の可視光線透過率を有することにより、光透過部における入射光の吸収による室内側への出射光量の減少が抑制され、本発明のウィンドウフィルムの視認性を向上させることができる。
なお、上記可視光線透過率は、分光光度計((株)島津製作所製 UV−2450、JIS K 0115準拠品)を用い、PETフィルム(品番:コスモシャインA4300、膜厚100μm、東洋紡績製)上に形成された膜厚10μmの光透過部に対し、測定波長380nm〜780nmの範囲内で測定された値である。
(b)光制御部
光制御部は、光透過部の溝部内に形成されるものである。すなわち光制御部と溝部とは、通常、同形状となる。また、光制御部は、構成材料に応じてその機能を選択することができる。
以下、想定される光制御部の例について説明する。
(i)低屈折率部
低屈折率部は、光透過部よりも低屈折率を示す樹脂材料から成るものである。光制御部を低屈折率部とすることにより、光透過部と光制御部との界面において屈折率の違いによる光の全反射を生じさせることができ、反射光を利用した採光量の増加を図ることができる。
低屈折率部の材料としては、光透過部よりも屈折率の低い透明樹脂であればよく、上述の「(a)光透過部」の項で説明した紫外線硬化性樹脂および電子線硬化性樹脂を用いることができる。
また、紫外線硬化性樹脂を用いる場合には、光重合開始剤を併用することが好ましい。上記光重合開始剤の種類としては、従来慣用されているものを用いることができる。光重合開始剤の含有率としては、紫外線硬化性樹脂100質量部に対して、0.1質量部〜5質量部程度の範囲内であることが好ましい。
また、上記低屈折率部は、他の任意の材料を含んでいても良いが、形状安定性の観点から紫外線吸収剤、光安定剤については含まないことが好ましい。
低屈折率部の屈折率としては、光透過部の屈折率よりも低ければよく、例えば1.40〜1.55の範囲内であることが好ましい。
低屈折率部は所望の可視光線透過率を有することが好ましい。具体的には、上述した光透過部の可視光線透過率と同様であるため、ここでの記載は省略する。
(ii)熱線吸収部
熱線吸収部は、熱線吸収剤として熱線吸収粒子を含む材料から成るものである。光制御部を熱線吸収部とすることにより、熱線の透過および遮蔽を選択的に行うことができる。
(熱線吸収粒子)
上記熱線吸収粒子は、可視光線を透過し熱線を吸収するもの、すなわち、赤外光領域に吸収特性を有し、且つ、可視光領域に透過特性を有する粒子であればよく、可視光線透過率が50%以上、中でも60%以上、特に70%以上を示すものが好ましい。また、赤外線吸収率が50%以上であることが好ましく、中でも60%以上であることが好ましく、特に70%以上であることが好ましい。
なお、上記可視光線透過率は、後述する実施例で用いられるバインダ樹脂95質量%に熱線吸収粒子を5質量%含有させて全体量を100質量%とした熱線吸収部形成用組成物を、東洋紡績製PETフィルム(商品名:コスモシャインA4300、膜厚100μm)の上に膜厚1μmで塗布し、分光光度計((株)島津製作所製 UV−2450、JIS K 0115準拠品)を用いて、測定波長380nm〜780nmの範囲内で測定した時の、各波長における可視光線透過率の平均値である。
また、上記赤外線吸収率は、上述した可視光線透過率の測定と同様のサンプルおよび測定方法を用い、測定波長780nm〜2500nmの範囲内で測定したときの、各波長における赤外線吸収率の平均値である。
また、上記熱線吸収粒子としては、無機ナノ粒子を用いることができ、具体的にはアンチモン錫酸化物(ATO)、インジウム錫酸化物(ITO)、六ホウ化ランタン(LaB)、アルミニウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、酸化タングステン、六ホウ化セリウム、無水アンチモン酸亜鉛および硫化銅またはそれらの混合物のナノ粒子等を用いることができる。中でもアンチモン錫酸化物(ATO)、インジウム錫酸化物(ITO)、六ホウ化ランタン(LaB)、またはこれらの混合物を用いることが好ましい。
上記熱線吸収粒子は透明であってもよく、透明でないものであってもよいが、透明であることが好ましい。
熱線吸収粒子はナノ微粒子であることが好ましく、その平均粒径(D50)としては、例えば10nm〜200nmの範囲内、中でも、20nm〜150nmの範囲内、特に30nm〜100nmの範囲内であることが好ましい。熱線吸収粒子の平均粒径が上記範囲よりも大きいと、ヘイズが発生して本発明のウィンドウフィルムの透明性が低下する場合があり、一方、上記範囲よりも小さいと、熱線を十分に吸収できない場合がある。
なお、上記平均粒径は、熱線吸収粒子の粒子を電子顕微鏡で観察し、算術平均により求めた値である。
(バインダ樹脂)
熱線吸収部は、上述した熱線吸収粒子の他に、少なくともバインダ樹脂を有することが好ましい。バインダ樹脂は、電離放射線の照射により硬化し得る材料であれば特に限定されるものではない。なお、電離放射線とは、電磁波が有する量子エネルギーで区分することもあるが、本発明では、すべての紫外線(UV−A、UV−B、UV−C)、可視光線、γ線、X線、電子線、活性エネルギー線等を意味する。中でも汎用性が高いことから紫外線が好ましい。
バインダ樹脂の材料としては、構造中にラジカル重合性の活性基を有するモノマー、オリゴマー、プレポリマーまたはポリマーを主成分として重合された電離放射線硬化性樹脂であることが好ましく、上記電離放射線硬化性樹脂としては、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、可視光線硬化性樹脂、近赤外線硬化性樹脂等が挙げられる。中でも、紫外線硬化性樹脂および電子線硬化性樹脂を用いることが好ましい。具体的には、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、ポリチオール系等の反応性オリゴマー、ビニルピロリドン、2−エチルヘキシルアクリレート、β−ヒドロキシアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリテート、多官能(メタ)アクリレート等の多官能化合物等の反応性のモノマー等が挙げられる。
また、バインダ樹脂には光重合開始剤が含まれることが好ましい。波長300nm〜400nmの紫外線等を照射してバインダ樹脂を硬化させることができるからである。上記光重合開始剤としては、照射する電離放射線の種類に応じて適宜選択でき、例えば、ケトン系やアセトフェノン系の光重合開始剤、具体的には、サンドレー1000、Darocure1163、Darocure1173、Irgacure183、Irgacure651等を用いることができる。なお、上記光重合開始剤の含有率としては、バインダ樹脂の量に応じて適宜調整することができ、例えば、バインダ樹脂100質量部に対して、0.1質量部〜5質量部程度の範囲内であることが好ましい。
熱線吸収部におけるバインダ樹脂は、可視光線の屈折率が小さいことが好ましい。上述した熱線吸収粒子は可視光線の屈折率が大きいため、バインダ樹脂の屈折率を小さくすることで、熱線吸収部全体の上記屈折率を調整することができるからである。
熱線吸収部におけるバインダ樹脂の含有率としては、熱線吸収部の全質量(100質量%)に対して40質量%〜98質量%の範囲内、中でも50質量%〜95質量%の範囲内であることが好ましい。バインダ樹脂の含有率が上記範囲よりも多いと、熱線吸収粒子の濃度が薄くなり熱線を十分に吸収できない場合があり、一方、上記範囲よりも少ないと、光透過部との密着性に劣る場合がある。
(熱線吸収部)
熱線吸収部は、上述した熱線吸収粒子およびバインダ樹脂の他に、光開始剤等を含むものであってもよいが、紫外線吸収剤、光安定剤については形状安定性の観点から含まないことが好ましい。
熱線吸収部は所望の可視光線透過率および赤外線吸収率を有することが好ましい。具体的には、上述した熱線吸収粒子の可視光線透過率および赤外線吸収率と同様であるため、ここでの記載は省略する。
また、熱線吸収部は可視光線に対して所望の屈折率を有することが好ましく、中でも光透過部における可視光線に対する屈折率との差が小さいことが好ましい。光制御部と光透過部との屈折率差が大きいと、ウィンドウフィルムに映る像の上下方向に平行な複数のスジが入り、上記スジの入った方向に対して像の色が分解した虹状の不鮮明な像(以下、「多重像」と称する。)となり、高い視認性が得られない場合がある。これは、光制御部および光透過部を透過した可視光線と、光透過部のみを透過した可視光線との出射光の拡散に偏りが生じるためである。
熱線吸収部の上記屈折率としては、具体的には1.40〜1.80の範囲内、中でも1.45〜1.70の範囲内、特に1.50〜1.65の範囲内であることが好ましい。また、上記光透過部と上記熱線吸収部との屈折率差が0.025以下、中でも0.015以下であることが好ましい。
(iii)光拡散部
光拡散部は、隠蔽性を示す材料から成るものである。光制御部を光拡散部とすることにより、光制御部と光透過部との界面において光を拡散反射させて室内への採光量の増加を図ることができる。
上記光拡散部の材料としては、隠蔽性のあるものが好ましく、例えば白色顔料、銀色顔料等が挙げられる。白色顔料としては、例えば酸化チタン、二酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等の金属酸化物が挙げられる。銀色顔料としては、例えばアルミニウム、クロム等の金属が挙げられる。
また、上記光拡散部は、必要に応じて他の任意の材料を含んでも良いが、紫外線吸収剤、光安定剤については含まないことが好ましい。
また、光拡散部と光透過部との界面において光を拡散反射させ易くするという観点からは、光拡散部は光透過部との界面をマット面としてもよい。
(iv)光制御部
光制御部の縦断面形状としては、三角形、正方形、長方形、台形状、少なくとも一方の側面の斜辺が2本以上の直線または曲線にて構成されるテーパー形状、四辺が曲線である形状等が挙げられる。また、溝部の形状に応じて上記光制御部の角部が曲率を有していてもよく、さらに上記縦断面形状を成す側面の辺は直線であってもよく曲線であってもよい。なお、図4は光制御部の縦断面形状の一例を示す概略断面図であり、図4(a)は台形状、図4(b)は両側面の斜辺が2本の直線にて構成されるテーパー形状、図4(c)は角に曲率を有する三角形の形状から成る光制御部の例をそれぞれ示すものである。
光制御部の平面視上における形状としては、特に限定されるものではなく、例えば、直線状であってもよく、曲線等の形状であってもよい。さらに、平面視上における光制御部の配置は、並列配置であってもよく、平行に並んで配置されていてもよく、他方向にランダムに配置されていてもよい。中でも図2(a)で示すように、光制御部が平面視上において直線状に平行に配置されることが好ましい。
光制御部の高さとしては、10μm〜300μmの範囲内であることが好ましく、中でも25μm〜250μmの範囲内であることが好ましく、特に50μm〜200μmの範囲内であることが好ましい。また、光制御部の高さは光透過部の厚さの30%〜100%未満の範囲内、中でも40%〜97.5%の範囲内、特に50%〜95%の範囲内であることが好ましい。光透過部の高さが上記範囲内にないと、本発明のウィンドウフィルムの厚さが相対的に増し、屈曲性が劣る場合がある。なお、光制御部の高さとは、図2(b)においてT2で示される部分である。
光制御部の幅としては、光制御部の種類に応じて適宜設定することができる。例えば、光制御部が低屈折率部、熱線吸収部であるとき、その幅としては5μm〜50μmの範囲内、中でも7μm〜45μmの範囲内、特に10μm〜40μmの範囲内であることが好ましい。光制御部の幅が上記範囲よりも大きいと、ウィンドウフィルム全体として可視光線が透過しにくくなる場合があり、一方、上記範囲よりも小さいと、光制御部が所望の高さを有さない場合や、所望の光反射機能や熱線吸収機能を果たせない場合がある。
また、光制御部が光拡散部であるとき、その幅としては、5μm〜150μmの範囲内であることが好ましい。光拡散部の幅が上記範囲よりも大きいと、光の散乱効果を得ることが難くなる場合がある。なお、光制御部の幅とは、光制御部の縦断面形状において最も広幅の部分をいい、例えば図2(b)においてWで示される部分である。
光制御部の長さとしては、所望のウィンドウフィルムの大きさに応じて適宜選択されるものである。なお、光制御部の長さとは、平面視上において長尺方向の長さをいう。
光制御部のピッチ幅としては、光制御部の種類に応じて適宜設定することができる。
例えば、光制御部が低屈折率部、熱線吸収部であるとき、そのピッチ幅は15μm〜200μmの範囲内、中でも20μm〜150μmの範囲内、特に25μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。ピッチ幅が上記範囲よりも大きいと、入射角度の大きい外光が光制御部に入射しにくくなり、光制御部による機能が十分に果たされない場合があり、一方、上記範囲よりも小さいと、光透過部において可視光線が透過しにくくなる場合があるからである。
また、光制御部が光拡散部であるとき、そのピッチ幅は10μm〜200μmの範囲内であることが好ましい。ピッチ幅が上記範囲よりも小さいと、光拡散による採光量の増加が図れない場合がある。
なお、光制御部のピッチ幅とは、隣り合う光制御部の中心間距離をいい、例えば図2(b)においてPで示される部分である。
(c)ルーバー型光制御層
ルーバー型光制御層の光制御部を含む表面は、平坦であってもよく凹凸を有してもよく、光制御層の機能に応じて適宜選択することができる。例えば、高い視認性が求められるウィンドウフィルムの場合は、当該表面が平坦であることが好ましく、平均表面粗さ(Ra)として0.1nm〜100nmの範囲内、中でも0.1nm〜20nmの範囲内、特に0.1nm〜10nmの範囲内であることが好ましい。
当該表面が凹凸を有する場合、外光の入射面または出射面が平坦である領域と凹部状または凸部状である領域とで、それぞれの入射面または出射面における光の拡散に偏りが生じる。このため、出射光の量に偏りが生じて光の回折現象および干渉現象が誘発されることにより、ウィンドウフィルム上に多重像が発現し、視認性が低下する場合がある。
なお、上記平均表面粗さ(Ra)は、JIS B0601 2001の規定に従い23℃の測定環境下で測定し、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけを抜き取り、抜き取り部分の平均線の方向にX軸を、縦倍率の方向にY軸を取り、粗さ曲線をy=f(x)で表したときに、以下の式(1)によって算出される値とした。
また、ルーバー型光制御層の光制御部を含む表面には、平坦化層、散乱層等を有していてもよい。光の回折現象や干渉現象の発生を抑制し、多重像の発現によるウィンドウフィルムの視認性の低下を防止できるからである。また、空気室のコントロールを目的として光触媒層を有していてもよい。
本発明のウィンドウフィルムにおけるルーバー型光制御層の配置態様としては、光制御部を含む光制御層の表面を第2接着層との貼合面としてもよく、上記表面と対向する表面(光制御部を含まない光制御層の表面)を第2接着層との貼合面としてもよい。なお、図3で示したウィンドウフィルムにおけるルーバー型光制御層の配置態様は、光制御部を含む光制御層の表面を第2接着層との貼合面とした態様を示したものである。
ルーバー型光制御層の形成方法としては、表面に所望の形状の溝部を複数本有する光透過部を形成し、上記溝部に光制御部を形成することができる方法であれば、特に限定されない。
光透過部の形成方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、光透過部の材料を含む光透過部形成用組成物を基材上に塗布した後、凸部を有する賦形版を押圧した状態で架橋硬化させて形成することができる。このとき用いられる賦形版は、表面上に複数本の凸部を有するものであり、上記凸部の反転形状およびその寸法等は、通常、溝部の形状および寸法等に相当する。
光透過部形成用組成物の塗布方法としては、均一の膜厚で塗布することが可能な方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、スピンコート法、ダイコート法、ディップコート法、バーコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などを用いることができる。
光透過部形成用組成物の硬化方法としては、電離放射線の照射による硬化が好ましく、中でも実用的である点から紫外線、電子線を用いることが好ましい。硬化条件等については、光透過部の材料に応じて適宜設定することができる。
また、光制御部の形成方法としては、特に限定されるものではなく、例えば光制御部の材料を含む光制御部形成用組成物を塗布し、光透過部の溝部に充填して硬化させる方法を用いることができる。
光制御部形成用組成物の塗布方法としては、少なくとも溝部内に十分に充填させることが可能な方法であれば、特に限定されるものではなく、ワイピング法、コーティング法、ドライラミネート法、押出しラミネート法等を用いることができる。また、光制御部形成用組成物を塗布する際に、溝部から光透過部の表面に流れ出た過剰量の光制御部形成用組成物を、スキージ等を用いて摺り切りを行い除去してもよい。
上記光制御部形成用組成物の硬化方法としては、紫外線、電子線等の電離放射線の照射による硬化が好ましく、硬化条件等については、材料および電離放射線の種類に応じて適宜設定することができる。
(2)その他の光制御層
その他の光制御層としては、例えば、プリズム型光制御層等を用いることができる。プリズム型光制御層とは、外光を偏光、反射して室内側への光の入射方向を制御する機能を有するものである。例えば図5で示すように、プリズム型光制御層4Bは台形断面を有する単位プリズム31を複数備えた構造を有するものであり、単位プリズム31の偏光面31aにおいて外光を全反射して所望の偏光を生じさせることにより、外光が室内へ入射する際の入射方向を制御することができる。
なお、隣り合う単位プリズム間(図5中の32で示される部分)は、空気が充填されていてもよく、単位プリズムと屈曲率の異なる材料が充填されていてもよい。
単位プリズムの材料については、「(1)ルーバー型光制御層」の項で説明した光透過部の材料と同様とすることができる。
また、単位プリズムの構造等の詳細については、例えば、特開2013−155569号公報に記載される単位プリズムの詳細と同様とすることができる。
プリズム型光制御層の膜厚としては、10μm以上200μm以下であることが好ましい。膜厚が上記範囲よりも小さいと、光学的な性能が不十分となる場合や、プリズム型光制御層の加工が微細となり精度が低下する場合があり、上記範囲より大きいとプリズム型光制御層を成型する際に金型からの剥離が困難となる場合がある。
5.基材
本発明のウィンドウフィルムは、基材を有していてもよい。上記基材は、通常、光制御層の表面のうち、第2接着層が設けられた面と反対側の面に有するものである。
上記基材としては、光透過性を有し、視認性に悪影響を与えないものであれば特に限定されず、例えば透明性を有する樹脂からなるシート、フィルム等を用いることができ、中でもフィルムが好ましい。
基材に用いられる樹脂としては、透明性を有し、光制御層等を支持可能な強度を有するものであればよい。例えばポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、塩化ビニル、フッ素樹脂、ゴム等を用いることができる。中でも透明性および強度の点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートが好ましい。また、基材は酸化防止剤、紫外線吸収剤等を含んでいてもよい。
基材は、必要に応じて片面または両面に表面処理等を行っていてもよい。表面処理としては、コロナ放電処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン紫外線照射処理等の酸化法による表面処理、サンドブラスト法、溶剤処理法等の凹凸化法による表面処理、化学的表面処理等が挙げられる。
基材の膜厚としては、用途に応じて適宜設定が可能であるが、通常5μm〜200μmの範囲内、中でも10μm〜150μmの範囲内であることが好ましい。基材の膜厚が上記範囲よりも小さいと、カール、シワ等が入りやすく、ウィンドウフィルムの強度が得られない場合がある。
6.剥離層
本発明のウィンドウフィルムは、第1接着層上に剥離層を有することが好ましい。剥離層を有することにより、窓ガラス等の被着体にウィンドウフィルムを貼合するまでの第1接着層への埃等の付着を防止し、汚れによる上記ウィンドウフィルムの視認性の低下を防ぐことができる。また、ロール状に巻き取ったウィンドウフィルムを巻き出す際に、第1接着層の表面が荒れて、巻き出し不良が発生するのを防止できるからである。
剥離層の材料としては、一般に使用されているものであれば特に限定されない。例えばポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系およびメタアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、シリコン樹脂、塩化ゴム、カゼイン、各種界面活性剤、金属酸化物等が挙げられる。これらの材料は単独または2種以上混合したものであってもよい。
7.オーバーコート層
本発明のウィンドウフィルムは、第2接着層と光制御層との密着性の向上および外観向上の観点から、第2接着層と光制御層との間にオーバーコート層を有していてもよい。
オーバーコート層の材料としては、電離放射線硬化性樹脂を用いることが好ましく、重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。中でも、多官能の重合性オリゴマーないしはプレポリマーを用いることが好ましい。重合性オリゴマーないしはプレポリマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマーやプレポリマー、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系やポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートやカプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系のオリゴマーやプレポリマー等が挙げられ、特に、多官能性のウレタン(メタ)アクリレート系が、耐候性とハードコート性を両立させる点で好ましく、分子量としては、1000〜5000程度のものが好ましい。
なお、ここでの(メタ)アクリレートとは、アクリレートまたはメタクリレートを指す。
上記電離放射線硬化性樹脂には、上記の多官能性の重合性オリゴマーの他に、カプロラクトン系ポリオールと有機イソシアネートとヒドロキシアクリレートとの反応により得られるカプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレートや、ポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート等のような高分子ウレタン(メタ)アクリレートを併用することができる。オーバーコート層の耐候性を向上することができるからである。中でも、カプロラクトン系の材料を併用することが好ましい。
また、オーバーコート層の材料として多官能性のウレタン(メタ)アクリレートを用いる場合、その粘度を調整する等の目的で、メチル(メタ)アクリレート等の単官能性(メタ)アクリレートのような希釈剤を併用することができる。上記単官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、低分子量の多官能性(メタ)アクリレートを併用してもよい。また、希釈剤としては、上記のモノマーを用いて、塗布性を確保することもできる。
オーバーコート層は、紫外線吸収剤や光安定剤、シリケート化合物等を含んでいてもよい。紫外線吸収剤および光安定剤の詳細については、「1.第1接着層」の項で説明したものと同様である。
オーバーコート層の厚さとしては、0μm〜40μmの範囲内、中でも0μm〜20μmの範囲内、特に0μm〜10μmの範囲内であることが好ましい。
オーバーコート層の形成方法としては、例えば、上述した材料を所望の溶剤で希釈した塗布液を調製し、上記塗布液を光制御層、または基材上に塗布して形成することができる。
塗布方法としては、例えばアプリケーターコート、ビヤバーコート、ワイヤバーコート、グラビアコーター、ダイコーター等を用いることができる。
8.他の任意の層
本発明のウィンドウフィルムは、光制御層の表面のうち、第2接着層との貼合面と対向する他の表面上に耐傷層、自浄性層等を有していても良い。光制御層の上記他の表面と基材とが貼合されている場合は、耐傷層、自浄性層は上記基材を介して光制御層の上記他の表面上に配置される。中でも耐傷層を有することが好ましい。
耐傷層、自浄性層の詳細については、上述したオーバーコート層と同様とすることができる。
9.ウィンドウフィルム
本発明のウィンドウフィルムの可視光線透過率としては、外光の入射角度が0°のときの可視光線透過率が65%以上であることが好ましく、中でも70%以上、より好ましくは85%以上が好ましい。外光の入射角度が0°のとき可視光線透過率を上記範囲内とすることにより、外観等を明瞭に観察することができる。また、室内等に取り込まれる可視光線の量も増えるため、外光を利用して室内の照度を確保することもできる。ここでいう外光の入射角度とは、図3中で示す角度θをいう。
なお、上記可視光線透過率は、赤外可視紫外分光光度計((株)島津製作所社製 UV3100PC)を使用し、JIS A5759−2008に従い380nm〜780nmの波長域における分光透過率測定し、同規格に規定される算出式により算出したものである。
本発明のウィンドウフィルムの使用態様としては、第1接着層およびバリア層が、光制御層よりも外光の光源側に配置されることが好ましい。本発明の効果がより発揮されるからである。このことから、本発明のウィンドウフィルムは主に室内用として用いられる。
10.製造方法
本発明のウィンドウフィルムの製造方法としては、所望の層構成を形成可能な方法であれば特に限定されない。例えば、光制御層上に、第2接着層の材料を含む第2接着層形成用塗布液を塗布し、乾燥して第2接着層を形成し、上記第2接着層上にバリア層をラミネートした後に、第1接着層形成用塗布液を塗布し、乾燥して第1接着層を形成する方法等がある。各層の形成方法については、上述した各層の説明をした項で述べた方法を用いることができる。
11.用途
本発明のウィンドウフィルムは、例えば、ビル、家屋、電車、車、バス等の車両、飛行機、船舶等の窓ガラス、開口部等に貼り付けて使用することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
1.熱線吸収部を有するウィンドウフィルム
以下の方法により、光制御部として熱線吸収部を有するウィンドウフィルムを得た。
[実施例1]
(光制御層の形成)
以下の方法により光制御層を形成した。
(1)光透過部および溝部の形成
連続帯状の透明2軸延伸PETフィルム(厚さ100μm)の一方の表面に、下記の組成から成る液状の光透過部形成用組成物Aを硬化後の膜厚が200μmとなるように塗布した。
<光透過部形成用組成物A>
・EO変性ビスフェノールAジアクリレート(製品名:FA−324A、日立化成株式会社製) … 100質量部
・ベンゾフェノン系光開始剤(光重合開始剤、製品名:イルガキュア184、チバスペシャリティケミカルズ社製) … 1質量部
表面の面方向に沿って円周方向に直線状に連なり、その主切断面が、高さ150μm、版表面側の幅が20μm、版から遠い側の幅が20μmの長方形となる凸部を、90μm周期で複数が互いに平行に配列した凸状群(吸収部群と同形状且つ逆凹凸)が形成されたロール金型を準備した。
上記ロール金型とPETフィルムとの間に光透過部形成用組成物Aが挟まれた状態で、水銀灯を用いて紫外線照射を行い、光透過部形成用組成物Aを架橋硬化させた後、ロール金型を剥離して溝部を表面に有する光透過部をPETフィルムの片面上に形成した。
溝部の形状は、上述のロール金型の凸状群の反転形状、すなわち、縦断面形状が長方形の凹状群を有した。
(2)光制御部の形成
次に、溝部内に光制御部としての熱線吸収部を形成した。まず、下記組成からなる液状の熱線吸収部形成用組成物を調製し、これを上記光透過部の溝部を含む表面に塗布後、鉄製ドクターブレードでスキージして溝部内にのみ充填させた後、水銀灯を用いて紫外線照射を行い、熱線吸収部形成用組成物を架橋硬化させて熱線吸収部を形成し、ルーバー型光制御層を得た。
<熱線吸収部形成用組成物>
・ウレタンアクリレート(ダイセルサイテック社製)およびジペンタエリスリトールアクリレートオリゴマー(新中村化学社製)の混合液からなる透明アクリル系紫外線硬化性プレポリマー(バインダ樹脂) … 100質量部
・ATOナノ粒子(平均粒子径100nm) … 4.5質量部
・LaB … 0.6質量部
・1−ヒドロキシ−シクロへキシル−フェニル−ケトン(光重合開始剤、製品名:イルガキュア184、BASF社製) … 1質量部
(オーバーコート層の形成)
ルーバー型光制御層の熱線吸収部を含む表面に生じた2μm程度の凹部を埋めるようにして、上述の光透過部形成用樹脂組成物Aを塗布し、紫外線照射により硬化せしめて平滑なオーバーコート層(Ra=0.12nm)を形成した。
(第2接着層の形成)
アクリル共重合体B(製品名:SKダイン1429DT、固形分30%、綜研化学社製)100質量部に対して、アルミキレート架橋剤(製品名:AD−5A、綜研化学社製)10質量部(固形分量で3質量部)を添加し、スクライバーにて50rpmで10分間撹拌して第2接着層形成用塗布液Aを得た。その後、アプリケーターを用いて光制御層のオーバーコート層を有する表面に乾燥前膜厚が83μmとなるように第2接着層形成用塗布液Aを塗布し、80℃、2分間にて乾燥し、乾燥後の膜厚が25μmの第2接着層を形成した。
第2接着層の接着力は25N/25mmであった。なお、接着力は上述した「1.第1接着層」の項で説明した測定方法で測定した。以下の実施例、比較例についても同様とする。
(バリア層の形成)
第2接着層上に、バリア層としてPETフィルム(製品名:コスモシャインA4300、膜厚16μm、東洋紡績製)をラミネートした。
(第1接着層の形成)
アクリル共重合体A(製品名:OC3447、固形分30%、サイデン化学社製)100質量部に対して、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤A(製品名:バイオソーブ520、共同薬品社製)4質量部(固形分量で1.18質量部)をスクライバーにて50rpmで30分間撹拌して溶解した。さらに、イソシアネートXDI系(アダクト体)硬化剤(製品名:K−341、固形分75%、サイデン化学社製)0.15質量部(固形分量で0.15質量部)を添加して10分間撹拌し、第1接着層形成用塗布液Aを得た。
次に、アプリケーターを用いてバリア層の表面に乾燥前膜厚が83μmとなるように第1接着層形成用塗布液Aを塗布し、80℃、2分間にて乾燥して、乾燥後の膜厚が25μmの第1接着層を形成した。第1接着層の接着力は10N/25mmであった。なお、接着力は上述した「1.第1接着層」の項で説明した測定方法で測定した。
その後、第1接着層上にシリコン転写性の小さい軽剥離セパレーターフィルム(製品名:P381031、膜厚38μm、リンテック社製)をラミネートし、40℃で5日間エージングを行い、ウィンドウフィルムを得た。
[実施例2]
紫外線吸収剤を、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤B(製品名:Tinuvin384−2、BASF社製)に替えた第1接着層形成用塗布液Bを用いて第1接着層を形成したこと以外は、実施例1と同様にしてウィンドウフィルムを得た。第1接着層の接着力は10N/25mmであった。
[実施例3]
紫外線吸収剤を、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤C(製品名:Tinuvin928、BASF社製)に替えた第1接着層形成用塗布液Cを用いて第1接着層を形成したこと以外は、実施例1と同様にしてウィンドウフィルムを得た。第1接着層の接着力は10N/25mmであった。
[実施例4]
バリア層として膜厚23μmのPETフィルムを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてウィンドウフィルムを得た。
[実施例5]
下記組成の第2接着層形成用塗布液Bを用いて第2接着層を形成したこと以外は、実施例1と同様にしてウィンドウフィルムを得た。なお、第2接着層形成用塗布液Bの調製方法は、第2接着層形成用塗布液Aと同様の方法で行った。第2接着層の接着力は25N/25mmであった。
<第2接着層形成用塗布液B>
・アクリル共重合体C(製品名:SKダイン2094DT、固形分25%、綜研化学社製) … 100質量部
・エポキシ硬化剤(製品名:E−5XM、固形分5%、綜研化学社製) … 0.27質量部(固形分量で0.054質量部)
[実施例6]
下記組成の第1接着層形成用塗布液Dを用いて第1接着層を形成したこと以外は、実施例1と同様にしてウィンドウフィルムを得た。なお、第1接着層形成用塗布液Dの調製方法は、第1接着層形成用塗布液Aと同様の方法で行った。第1接着層の接着力は15N/25mmであった。
<第1接着層形成用塗布液D>
・アクリル共重合体D(製品名:OC3949、固形分20.5%、サイデン化学社製) … 100質量部
・イソシアネートXDI系(アダクト体)硬化剤(製品名:K−130、固形分75%、サイデン化学社製) … 0.15質量部(固形分量で3質量部)
・ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤A … 4質量部
[実施例7]
下記組成の第1接着層形成用塗布液Eを用いて第1接着層を形成したこと以外は、実施例1と同様にしてウィンドウフィルムを得た。なお、第1接着層形成用塗布液Eの調製方法は、第1接着層形成用塗布液Aと同様の方法で行った。第1接着層の接着力は16N/25mmであった。
<第1接着層形成用塗布液E>
・アクリル共重合体E(製品名:SKダイン1435DT、固形分30%、綜研化学社製) … 100質量部
・イソシアネート系(XDI系)硬化剤(製品名:TD−75、固形分75%、綜研化学社製) … 1.3質量部(固形分量で10質量部)
・ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤A … 4質量部
[実施例8]
下記組成の第2接着層形成用塗布液Cを用いて第2接着層を形成したこと以外は、実施例1と同様にしてウィンドウフィルムを得た。なお、第2接着層形成用塗布液Cの調製方法は、第2接着層形成用塗布液Aと同様の方法で行った。第2接着層の接着力は25N/25mmであった。
<第2接着層形成用塗布液C>
・アクリル共重合体B … 100質量部
・イソシアネート系(TDI系)硬化剤(製品名:M−5ADT、固形分5%、綜研化学社製) … 3質量部(固形分量で10質量部)
[比較例1]
上記組成の第1接着層形成用塗布液Aを用いて第2接着層を形成し、バリア層および第1接着層を設けなかったこと以外は、実施例1と同様にしてウィンドウフィルムを得た。第2接着層の接着力は10N/25mmであった。
[比較例2]
下記組成の第2接着層形成用塗布液Dを用いて第2接着層を形成し、バリア層および第1接着層を設けなかったこと以外は、実施例1と同様にしてウィンドウフィルムを得た。なお、第2接着層形成用塗布液Dの調製方法は、第2接着層形成用塗布液Aと同様の方法で行った。第2接着層の接着力は25N/25mmであった。
<第2接着層形成用塗布液D>
・アクリル共重合体C(製品名:SKダイン2094、固形分30%、綜研化学社製) … 100質量部
・ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤A … 4質量部(固形分量で1.18質量部)
[評価1]
(耐紫外線劣化性試験)
実施例1〜8および比較例1〜2の各ウィンドウフィルムを、縦100mm、横100mm、厚さ2.8mmのガラス(東京特殊硝子製)と貼合して試験片を作製した。各試験片について以下の手順で耐紫外線劣化試験を行い、劣化後の外観評価および保持力評価を行った。
耐紫外線劣化性試験は、超促進耐紫外線劣化性試験機(岩崎電気株式会社製、商品名:アイスーパーUVテスター、型番:SUV−W23)を用いて、下記の(A)、(B)、(C)を1サイクルとして42サイクル繰り返した。
(A)温度63℃、湿度50%RHの雰囲気下で、照度60mW/cm、ピーク波長365nmの紫外線を20時間照射する。
(B)シャワーによる散水処理を30秒間行う。
(C)温度63℃、湿度98%RHの雰囲気下で、紫外線照射は行わずに4時間保持する。
<外観評価>
耐紫外線劣化性試験後の各試験片について色差測定を行った。測定は分光光度計((株)島津製作所製、型番:UV−3100PC)を用い、JIS K 7105に準拠して透過法によりΔEab値を測定した。なお、ΔEab値は、CIE1976規格の(L,a,b)空間表色系による色差公式(ΔEab={(ΔL+(Δa+(Δb1/2)から求められる値である。ΔEab値が3未満のものを○、3以上のものを×とした。ΔEab値が3未満のものは黄変が確認されず良好な耐候性を示しており、ΔEab値が3以上のものは実用上問題となるレベルの黄変が視認された。
<保持力評価>
耐紫外線劣化性試験後の各試験片について、テンシロン(製品名:RTG−1205、(株)エー・アンド・ディ製)を用い、JIS A 5759に準拠して最大加重容量0.5kNのヘッドを用いて保持力の測定を行った。保持力が4N以上のものを○、4N未満のものを×とした。保持力が4N未満の試験片では、耐紫外線劣化性試験により軽剥離となった。
実施例1〜8および比較例1〜2のウィンドウフィルムについての外観評価および保持力評価の結果を表1に示す。
表1の結果から、バリア層を有する実施例1〜8については、第1接着層の組成を問わず、耐紫外線劣化性試験後においてもその外観および保持力が良好であったのに対し、バリア層を有さない比較例1〜2については、同試験後において黄変や保持力の低下が確認された。これは、比較例における第2接着層に含まれる耐候剤がブリードアウトすることにより、第2接着層の劣化が生じたものと推量される。
上記結果から、第1接着層と光制御層との間にバリア層を介することにより、耐候性および耐久性に優れたウィンドウフィルムが得られることが示された。
[実施例9]
(光制御層の形成)
表面の面方向に沿って円周方向に直線状に連なり、その主切断面が、高さ150μm、版表面側の幅が28μm、版から遠い側(頂部の面幅)が24μmの長方形となる凸部を、78μm周期で複数が互いに平行に配列した凸状群(吸収部群と同形状且つ逆凹凸)が形成されたロール金型を用いたこと以外は、実施例1と同様にして光制御層を形成した。
(第2接着層の形成)
以下の組成材料を10分間撹拌して第2接着層形成用塗布液Eを調整した。その後、光制御層の熱線吸収部を含む表面に濡れ膜厚83μmとなるように、アプリケーターを用いて第2接着層形成用塗布液Eを塗布し、80℃2分間にて乾燥し、乾燥後膜厚25μmの第2接着層を作製した。第2接着層の接着力は25N/25mmであった。
(第2接着層形成用塗布液Eの組成)
・アクリル共重合体B … 100質量部
・イソシアネートHDI系硬化剤(製品名:Y−75、綜研化学社製) … 0.5質量部(固形分比)
(バリア層の形成)
第2接着層上に、バリア層としてPETフィルム(製品名:ルミラーT60、膜厚16μm、東レ製)をラミネートした。
(第1接着層の形成)
下記組成の第1接着層形成用塗布液Fを用いたこと以外は、実施例1と同様にして第1接着層を形成し、ウィンドウフィルムを得た。なお、第1接着層形成用塗布液Fは、以下の組成材料を10分間撹拌して調整した。バリア層上に、第1接着層の接着力は15N/25mmであった。
(第1接着層形成用塗布液Fの組成)
・アクリル共重合体B … 100質量部
・イソシアネートHDI系硬化剤(製品名:Y−75、綜研化学社製) … 0.5質量部(固形分比)
・ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤C … 4質量部(固形分量で1.18質量部)
・ヒンダードアミン系光安定剤A(製品名:チヌビン152 N−ORタイプ、BASF社製) … 2.5質量部
[実施例10]
以下の組成からなる第1接着層形成用塗布液Gを用いたこと以外は、実施例9と同様にしてウィンドウフィルムを得た。第1接着層の接着力は15N/25mmであった。
(第1接着層形成用塗布液Gの組成)
・アクリル共重合体B … 100質量部
・イソシアネートHDI系硬化剤(製品名:Y−75、綜研化学社製) … 0.5質量部
・ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤B … 4質量部
・ヒンダードアミン系光安定剤A … 2.5質量部
[実施例11]
以下の組成からなる第1接着層形成用塗布液Hを用いたこと以外は、実施例9と同様にしてウィンドウフィルムを得た。第1接着層の接着力は15N/25mmであった。
(第1接着層形成用塗布液Hの組成)
・アクリル共重合体B … 100質量部
・イソシアネートXDI系硬化剤(製品名:TD−75、綜研化学社製) … 0.5質量部
・ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤C … 4質量部
・ヒンダードアミン系光安定剤A … 2.5質量部
[実施例12]
以下の組成からなる第1接着層形成用塗布液Iを用いたこと以外は、実施例9と同様にしてウィンドウフィルムを得た。第1接着層の接着力は15N/25mmであった。
(第1接着層形成用塗布液Iの組成)
・アクリル共重合体B … 100質量部
・イソシアネートTDI系硬化剤(製品名:L−45E、綜研化学社製) … 0.5質量部
・ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤C … 4質量部
・ヒンダードアミン系光安定剤A … 2.5質量部
[実施例13]
以下の組成からなる第1接着層形成用塗布液Jを用いたこと以外は、実施例9と同様にしてウィンドウフィルムを得た。第1接着層の接着力は15N/25mmであった。
(第1接着層形成用塗布液Jの組成)
・アクリル共重合体B … 100質量部
・イソシアネートHDI系硬化剤(製品名:Y−75、綜研化学社製) … 0.5質量部
・ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤C … 4質量部
・ヒンダードアミン系光安定剤B(製品名:チヌビン292 N−CHタイプ、BASF社製) … 2.5質量部
[実施例14]
以下の組成からなる第1接着層形成用塗布液Kを用いたこと以外は、実施例9と同様にしてウィンドウフィルムを得た。第1接着層の接着力は15N/25mmであった。
(第1接着層形成用塗布液Kの組成)
・アクリル共重合体B … 100質量部
・イソシアネートHDI系硬化剤(製品名:Y−75、綜研化学社製) … 0.5質量部
・ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤C … 4質量部
・ヒンダードアミン系光安定剤C(製品名:チヌビン123 N−ORタイプ、BASF社製) … 2.5質量部
[実施例15]
以下の組成からなる第1接着層形成用塗布液Lを用いたこと以外は、実施例9と同様にしてウィンドウフィルムを得た。第1接着層の接着力は15N/25mmであった。
(第1接着層形成用塗布液Lの組成)
・アクリル共重合体B … 100質量部
・イソシアネートHDI系硬化剤(製品名:Y−75、綜研化学社製) … 0.5質量部
・ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤C … 4質量部
・ヒンダードアミン系光安定剤D(製品名:チヌビン144 N−CHタイプ、BASF社製) … 2.5質量部
[実施例16]
バリア層として、PETフィルム(製品名:ルミラーT60、膜厚25μm、東レ製)を用いたこと以外は、実施例9と同様にしてウィンドウフィルムを得た。
[実施例17]
バリア層として、PETフィルム(製品名:ルミラーT60、膜厚50μm、東レ製)を用いたこと以外は、実施例9と同様にしてウィンドウフィルムを得た。
[実施例18]
バリア層として、PETフィルム(製品名:コスモシャイン A4300、膜厚50μm、東洋紡社製)を用いたこと以外は、実施例9と同様にしてウィンドウフィルムを得た。
[実施例19]
以下の組成からなる第1接着層形成用塗布液Mを用いたこと以外は、実施例9と同様にしてウィンドウフィルムを得た。第1接着層の接着力は10N/25mmであった。
(第1接着層形成用塗布液Mの組成)
・アクリル共重合体B … 100質量部
・イソシアネートHDI系硬化剤(製品名:Y−75、綜研化学社製) … 0.5質量部
・ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤C … 4質量部
・ヒンダードアミン系光安定剤D … 2.5質量部
・酸化防止剤A(製品名:IRGANOX 1035、チバスペシャリティケミカルズ社製) … 3質量部
[実施例20]
以下の組成からなる第1接着層形成用塗布液Nを用いたこと以外は、実施例9と同様にしてウィンドウフィルムを得た。第1接着層の接着力は15N/25mmであった。
(第1接着層形成用塗布液Nの組成)
・アクリル共重合体B … 100質量部
・イソシアネートHDI系硬化剤(製品名:Y−75、綜研化学社製) … 0.5質量部
・ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤C … 4質量部
[比較例3]
第1接着層形成用塗布液Nを用いて、光制御層上に第2接着層を形成し、バリア層および第1接着層を設けなかったこと以外は、実施例9と同様にしてウィンドウフィルムを得た。第2接着層の接着力は15N/25mmであった。
[比較例4]
以下の組成からなる第2接着層形成用塗布液Fを用いて、光制御層上に第2接着層を形成し、バリア層および第1接着層を設けなかったこと以外は、実施例9と同様にしてウィンドウフィルムを得た。第2接着層の接着力は25N/25mmであった。
(第2接着層形成用塗布液Fの組成)
・アクリル共重合体B … 100質量部
・イソシアネートHDI系硬化剤(製品名:Y−75、綜研化学社製) … 0.5質量部
2.低屈折率部を有するウィンドウフィルム
以下の方法により、光制御部として低屈折率部を有するウィンドウフィルムを得た。
[実施例21]
(光制御層の形成)
連続帯状の透明2軸延伸PETフィルム(厚さ100μm)の一方の表面に、下記の組成から成る液状の光透過部形成用組成物Bを硬化後の膜厚が200μmとなるように塗布した。
<光透過部形成用組成物B>
・EO変性ビスフェノールAジアクリレート(製品名:FA−324A、日立化成株式会社製) … 80質量部
・フェノキシポリエチレングリコールアクリレート(製品名:AMP−20GY、新中村化学社製) … 6質量部
・カルドポリマーエポキシアクリレート(製品名:OGSOL EA−0300、大阪ガスケミカル社製) … 10質量部
・ベンゾフェノン系光重合開始剤(製品名:イルガキュア184、チバスペシャリティケミカルズ社製) … 4質量部
実施例9で用いたロール金型を用い、上記ロール金型とPETフィルムとの間に光透過部形成用組成物Bの塗布層が挟まれた状態で、水銀灯を用いて紫外線照射を行い、光透過部形成用組成物Bを架橋硬化させた後、ロール金型を剥離して溝部を表面に有する光透過部をPETフィルムの片面上に形成した。溝部の形状は、上述のロール金型の凸状群の反転形状に相当する形状であった。
(2)光制御部の形成
次に、溝部内に光制御部としての低屈折率部を形成した。まず、下記組成からなる液状の低屈折率部形成用組成物を調製し、これを上記光透過部の溝部を含む表面に塗布後、鉄製ドクターブレードでスキージして溝部内にのみ充填させた後、水銀灯を用いて紫外線照射を行い、低屈折率部形成用組成物を架橋硬化させて低屈折率部を形成し、ルーバー型の光制御層を得た。
<低屈折率部形成用組成物>
・透明アクリル系紫外線硬化性プレポリマー … 100質量部
・1−ヒドロキシ−シクロへキシル−フェニルケトン(光重合開始剤、商品名:イルガキュア184、BASF社製) … 1質量部
(第2接着層およびバリア層の形成)
実施例9と同様にして第2接着層およびバリア層を形成した。
(第1接着層の形成)
第1接着層形成用塗布液Nを用いて第1接着層を形成した。
第1接着層上に、シリコン転写性の小さい軽剥離セパレーターフィルム(膜厚38μm)をラミネートし、40℃で3日間エージングを行い、ウィンドウフィルムを得た。
[実施例22]
第1接着層形成用塗布液Fを用いたこと以外は、実施例21と同様にしてウィンドウフィルムを得た。第1接着層の接着力は15N/25mmであった。
[実施例23]
第1接着層形成用塗布液Mを用いたこと以外は、実施例21と同様にしてウィンドウフィルムを得た。第1接着層の接着力は10N/25mmであった。
[比較例5]
第1接着層形成用塗布液Nを用いて、光制御層上に第2接着層を形成し、バリア層および第1接着層を設けなかったこと以外は、実施例21と同様にしてウィンドウフィルムを得た。第2接着層の接着力は15N/25mmであった。
[比較例4]
第2接着層形成用塗布液Fを用いて、光制御層上に第2接着層を形成し、バリア層および第1接着層を設けなかったこと以外は、実施例21と同様にしてウィンドウフィルムを得た。第2接着層の接着力は25N/25mmであった。
[評価2]
(耐候性試験)
実施例9〜23および比較例3〜6の各ウィンドウフィルムについて耐紫外線劣化性試験を行い、劣化後の外観評価および保持力評価を行った。
耐紫外線劣化性試験は、評価1と同様の方法で行い、(A)、(B)、(C)を1サイクルとして、500時間、1000時間(42サイクル)、1500時間に相当する回数のサイクルを実施し、各時間後での試験片の外観評価を行った。また、1000時間後の試験片について保持力を測定した。外観評価および保持力の評価方法は、評価1と同様の方法で行った。
耐紫外線劣化性試験1000時間後の試験片の外観評価および保持力評価が共に○だったものを総合評価で○とし、外観評価および保持力評価の一方でも×だったものを総合評価で×とした。さらに、耐紫外線劣化性試験1500時間後の試験片の外観評価が○だったものを総合評価で◎とした。
実施例9〜20および比較例3〜4についての評価結果を表2に、実施例21〜23および比較例5〜6についての評価結果を表3に示す。
表2および表3の結果から、光制御層における光制御部の種類を問わず、第1接着層に耐候剤を含み、第1接着層および第2接着層間にバリア層を有する実施例9〜23のウィンドウフィルムでは、耐紫外線劣化性試験を1000時間行っても、外観および保持力が良好であり、高い耐候性を示した。一方、バリア層を有さない比較例3〜6のウィンドウフィルムでは、接着層に耐候剤を含んでいても、同試験を行うことで黄変や保持力の低下が確認された。
また、実施例9〜19および実施例22〜23と、実施例20〜21とを比較すると、第1接着層に含有される耐候剤として、紫外線吸収剤と光酸化防止剤とを併用した実施例9〜19および実施例22〜23のウィンドウフィルムは、耐紫外線劣化性試験1500時間後であっても、外観が良好であることが確認された。このことから、耐候剤として紫外線吸収剤と光酸化防止剤とを併用することにより、ウィンドウフィルムの耐候性を更に向上させることが可能であることが示唆された。
1 … 第1接着層
2 … バリア層
3 … 第2接着層
4 … 光制御層
10 … ウィンドウフィルム

Claims (5)

  1. 耐候剤を含む第1接着層と、樹脂層と、第2接着層と、光制御層とが少なくともこの順で積層され、
    前記光制御層が、プリズム型光制御層であることを特徴とするウィンドウフィルム。
  2. 耐候剤を含む第1接着層と、透明無機化合物層と、第2接着層と、光制御層とが少なくともこの順で積層され、
    前記光制御層が、プリズム型光制御層であることを特徴とするウィンドウフィルム。
  3. 前記耐候剤が紫外線吸収剤を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のウィンドウフィルム。
  4. 前記耐候剤が、前記紫外線吸収剤に加えて光酸化防止剤を含むことを特徴とする請求項3に記載のウィンドウフィルム。
  5. 前記第1接着層の接着力が、前記第2接着層の接着力と同等または前記第2接着層の接着力よりも小さいことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載のウィンドウフィルム。
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