JP6367518B2 - 採光シート、採光装置、建物、及び採光シートの製造方法 - Google Patents

採光シート、採光装置、建物、及び採光シートの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、建物等の内部に日光等の外光を採り入れるための採光シート、採光装置、及びこれを用いた建物に関する。
いわゆる窓ガラスにより、建物の内部に日光等の外光を採り入れて明るく快適な室内空間を形成することはよく知られている。しかし一方で当該窓ガラスに入射した外光をそのまま室内に採り入れると、まぶしさを感じる等の不具合を生じることもある。これに対して、直射日光を制御してより快適な態様で室内側に採り入れる技術がいくつか提案されている。
特許文献1には、太陽光を建物内に取り入れる部位に配置される太陽光取り入れ制御用の光制御シート(採光シート)が開示されている。これは太陽光を透過する光透過性部と、太陽光を吸収する遮光部群とからなり、遮光部群はシート内の一方向に所定ピッチで、遮光部を複数配列させているものである。
また特許文献2には、太陽光を採り入れるよう建物の開口部に設けられる板状の採光用光学素子(採光シート)が開示されている。これは、同一平面上に詰めて設けられた多数のプリズム部から成り、各プリズム部の斜面は、太陽の仰角が臨界仰角より小さい場合には太陽光を透過させ臨界仰角以上の場合には全反射させる角度となっており、太陽の仰角が臨界仰角以上の場合の全体の採光量は、臨界仰角より小さい場合の全体の採光量に比べて少なくなる形態を備えている。
特開2010−259406号公報 特開2003−157707号公報
しかしながら、特許文献1や特許文献2に開示されているような従来の採光シートシートは、一旦窓ガラスに貼り付けると、綺麗に剥がすことが容易ではなかった。例えば、従来の採光シートは窓ガラスに一旦貼合すると、窓ガラスから剥がす際に採光シートの一部が破損したりして、採光シートの一部(粘着層など)が窓ガラスに付着したままになることがあった。通常は窓ガラスよりも採光シートの方が早く劣化すると考えられる。採光シートのみを新規なものに取り換えたい場合、従来の採光シートでは上記のように窓ガラスから綺麗に剥がすことが難しいという問題があった。
そこで本発明は上記した問題点に鑑み、窓ガラスなどの被着体に一旦貼合した後に剥がすことが容易な採光シートを提供することを課題とする。また、これを用いた採光装置及び建物と当該採光シートの製造方法とを提供する。
以下、本発明について説明する。
請求項1に記載の発明は、建物の開口部に備えられた透光性を有する板状のパネルと、該パネルに貼合され、光を透過する採光シートと、を備え、採光シートは、シート状のシート本体と、該シート本体の一方の側に配置されパネルと採光シートとを粘着する粘着剤を含有する粘着層と、を備え、シート本体は、透光性を有する基材層と、該基材層の一方の面に形成され、光を散乱する光散乱層と、を備えており、光散乱層は、基材層の一方の面に沿って並列された、光を透過する複数の光透過部と、隣り合う光透過部間に配置され、光を散乱する顔料又は粒子が全体に亘って分散して充填された光散乱部と、を有し、粘着層によって採光シートをパネルに貼合させたとき、粘着層とシート本体との間の粘着力が、粘着層とパネルとの間の粘着力より強く、粘着層は、パネルとの貼合面において、気温60℃かつ相対湿度90%の雰囲気、または、気温80℃かつ常湿の雰囲気で、1000時間加熱した後の粘着力が1N/25mm以上20N/25mm以下である、採光パネルである。
本発明において「粘着力」とは、JIS Z0237に準拠した測定方法によるものを意味する。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の採光パネルにおいて、光散乱層は、表面のうち光散乱部が形成された部分に厚さ方向に1μm以上6μm以下の凹部を有している。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の採光パネルにおいて、光散乱部が透明な樹脂と、該樹脂に分散された顔料又は粒子と、を含む組成物によって構成され、光透過部が透明な樹脂によって構成されており、光散乱部に含まれる樹脂と光透過部を構成する樹脂とが異なる組成の樹脂である。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の採光パネルにおいて、基材層がシート本体の一方の最表面にあり、基材層の光散乱層が形成された側とは反対側の面に粘着層が配置されている。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の採光パネルにおいて、透光性を有する保護層がシート本体の一方の最表面にあり、該保護層の一方の面側に粘着層が配置され、該保護層の他方の面側に他の粘着層を介して光散乱層が貼合されている。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至のいずれかに記載の採光パネルにおいて、パネルに貼合される側とは反対側の最表面にハードコート層を有する。
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の採光パネルと、少なくともパネルの周囲を囲むように配置された枠と、を備える採光装置である。
請求項8に記載の発明は、開口部に請求項7に記載の採光装置が設置された建物である。
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の採光パネルの製造方法であって、シート本体の最外層となる層の表面に粘着剤を含む組成物を直接塗工して粘着層を形成する粘着層形成工程を備える、採光シートの製造方法である。
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の採光パネルの製造方法であって、粘着層形成工程の後に、最外層となる層のうち粘着層が形成された側とは反対の面側に、シート本体に含まれる他の層を形成する。
本発明によれば、窓ガラスなどの被着体に一旦貼合した後に剥がすことが容易な採光シートを提供することができる。
第一実施形態を説明する図で、建物1の外観斜視図である。 採光装置10を正面視した図である。 採光パネル12の層構成を説明する図である。 光散乱層26の形態を説明する図である。 図5(a)は光散乱部の台形断面の脚部が凸状である例、図5(b)は光散乱部の台形断面の脚部が凹状である例、図5(c)は光散乱部の台形断面の脚部が折れ線状である例、図5(d)は光散乱部の台形断面の下底が凹状である例、図5(e)は光散乱部が三角形断面である例である。 第二実施形態を説明する図で、採光パネル112の層構成を説明する図である。 比較例1の採光パネルの構成を説明する図である。
本発明の上記した作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。ただし本発明は当該実施形態に限定されるものではない。なお、以下に示す各図では、分かりやすさのため寸法や形状を誇張して記載することがある。また、各図では見易さのため、繰り返しとなる符号は一部を省略することがある。
図1は第一実施形態を説明する図であり、採光シート20(図3参照)が備えられた建物1の外観斜視図である。建物1はいわゆるオフィスビルであり、南側などに面する外壁には室内外を連通する複数の開口部が設けられている。採光シート20を具備する採光装置10は当該開口部に配置されている。
図2には1つの採光装置10を室外側から正面視した図を表した。このように採光装置10は、枠11と該枠11の枠組み内に配置された採光パネル12とを備えており、いわゆる窓として構成されている。そして当該採光装置10が上記のように建物1の開口部に配置される。
図3には図2にIII−IIIで示した線に沿った採光装置10の鉛直方向断面のうち、採光パネル12の層構成を模式的に表した。図3では採光パネル12のパネル面が鉛直になるように建物1に取り付けられた姿勢で表されている。図3の紙面左が室外側、紙面右が室内側、紙面上方が天側、紙面下方が地側である。
採光パネル12は、図3からわかるように、パネル13、及び該パネル13の室内側面に貼合された採光シート20を備えている。また、採光シート20は、シート本体21と粘着層22とを備えており、シート本体21は室内側からハードコート層23、保護層24、粘着層25、光散乱層26、及び基材層27を備えている。以下、これらの各層について説明する。
パネル13は、ガラスパネルや樹脂パネル等、通常の建物や乗り物の窓等に用いられる透光性を有する板状の透光パネルである。従って、パネル13を構成する部材としては公知の板ガラスや樹脂板を用いることができる。上記した枠11は少なくとも当該パネル13の周囲に配置されることにより、採光パネル12が枠11の枠組み内に取り付けられる。
基材層27は、光散乱層26を形成するための基材となる層である。従って基材層27は、透光性を有するとともに光散乱層26の変形を防止できるように支持する。かかる観点から、基材層27を構成する材料の具体例として例えば、アクリル、スチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル等のうちの1つ以上を主成分とする透明樹脂や、エポキシアクリレートやウレタンアクリレート系の反応性樹脂(電離放射線硬化型樹脂等)を挙げることができる。
基材層27の厚さは特に限定されないが、25μm以上300μm以下であることが好ましい。基材層27の厚さを25μm以上とすることによって、採光シート20に製造過程において基材層27に皺が生じ難くなる。また、基材層27の厚さを300μm以下とすることによって、採光シート20の製造過程において基材層27を含むシートが巻き取り難くなることを防止できる。
光散乱層26は光透過部28及び光散乱部29を有している。光透過部28は、図3に示した断面を有して基材層27の面に沿った一方向(建物1に配置された姿勢で水平方向)に延びるように配置されるとともに、基材層27の面に沿った該一方向とは異なる方向(建物1に配置された姿勢で鉛直方向)に所定の間隔で複数配列されている。本実施形態では隣り合う光透過部28は基材層27側の端部で連結され、一体化されている。
一方、光散乱部29は隣り合う光透過部28の間に配置されている。
図4には光散乱層26の一部を拡大した図を示した。
光透過部28は、光を透過する部位であり、光散乱層26のうち光透過部28が配置された部位における基材層27側の面とその反対側面(粘着層25側の面)とは平行且つ平滑に形成されている。これによって、採光シート20を通して室外側の景色がさらに見やすくなる。好ましくは、光透過部28は光を散乱させることなく透過する。これにより背面側の景色の見易さが向上する。ここに「光を散乱させることなく透過する」とは、意図的に散乱させる材料等を添加することなく形成された部位であることを意味し、材料中を光が透過するときに不可避的に散乱が生じることは許容される。
本実施形態では光透過部28は図3、図4に表れる断面で2つの光散乱部29間において略台形の断面を有しており、室外側(基材層27側)が長い下底、室内側(粘着層25側)が短い上底であり、光散乱部29との界面を構成する辺が脚部となっている。
光透過部28を構成する材料としては、例えば、アクリル、スチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル等の1つ以上を主成分とする透明樹脂や、エポキシアクリレートやウレタンアクリレート系の反応性樹脂(電離放射線硬化型樹脂等)を挙げることができる。
ここで光透過部28を構成する材料の屈折率は、基材層27の屈折率と同じであってもよいし、異なっていてもよい。ただし両者間で屈折率差があるとその界面で光が偏向されてしまう可能性が高まるので、同じ材料であること、又は異なる材料であっても屈折率差が小さい、あるいは屈折率差がないことが好ましい。
光散乱部29は、隣り合う2つの光透過部28間に形成される部位である。すなわち、上記したように光透過部28はシート面に沿った方向に所定の間隔で並列され、光透過部28間には、略台形断面を有する凹部が形成されている。本実施形態における凹部は、室外側(基材層27側)に短い上底、室内側(粘着層25側)に長い下底を有する断面の溝であり、ここに光散乱部29を構成する材料が充填されることにより光散乱部29が形成されている。従って光散乱部29は上記凹部に基づいた断面を具備している。
光散乱部29は、ここに照射された光を散乱反射することができるように構成された層である。そのため、光散乱部29には光を散乱反射するための材料が充填されている。光を散乱させるための材料は特に限定されることはないが、例としては、樹脂(硬化性樹脂)に白色顔料や銀色顔料等の光を散乱させる散乱剤を混ぜた組成物が挙げられる。白色顔料としては、例えば、酸化チタン、二酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛などの金属酸化物が挙げられる。銀色顔料としては、例えば、アルミニウム、クロムなどの金属が挙げられる。これにより効率よく光を散乱反射させることができる。また、上記硬化性樹脂としては、光透過部28を構成する樹脂と同様のものを用いることもできる。
また、光散乱部29を透明な樹脂(硬化性樹脂)と該樹脂とは屈折率が異なる透明な散乱剤とを混合させた材料で構成してもよい。透明な硬化性樹脂としては光透過部28と同様のものを用いることができる。一方、当該透明な散乱剤としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル及びスチレンを中心としたモノマーを重合して得られた架橋粒子が挙げられる。当該架橋粒子の具体例としては、アイカ工業株式会社製のガンツパール(登録商標)が挙げられる。上記架橋粒子は、アクリル酸エステル及びスチレンとの混合比を変えることによって、屈折率を制御することができる。例えば、アクリル比を高くすることで屈折率を1.49程度にすることができ、スチレン比を高くすることで屈折率を1.59程度にすることができる。また、散乱剤にはウレタン架橋粒子を用いることも可能である。当該ウレタン架橋粒子の具体例としては、根上工業株式会社製のアートパール(登録商標)が挙げられる。また、散乱剤は中空粒子にすることも可能である。
なお、上記のように透明な硬化性樹脂と該硬化性樹脂とは屈折率が異なる透明な散乱剤とを混合させた組成物で光散乱部29を構成した場合は、光散乱部29に到達した光を透過散乱して出射することもできる。光散乱部29に到達した光を散乱させつつ透過して出射することにより、例えば室外側から入射した太陽光などを室内側に出射しつつ直達光を減らすことが可能となる。
光散乱部29に用いる硬化性樹脂の屈折率は特に限定されることはないが、汎用性から1.56から1.49の範囲が好ましい。また、光透過部28と光散乱部29との界面に全反射臨界角より大きい角度で入射した外光を全反射して偏向させる観点からは、光散乱部29に用いる硬化性樹脂の屈折率は光透過部28を構成する樹脂の屈折率より低いことが望ましく、1.50から1.49であることがより好ましい。上記のように偏向された光は、その向きが変わり、例えば天井に照射されるなどしてまぶしさを与える直達光でなくすことができる。
ただし、これに限らず光散乱部29に用いる硬化性樹脂の屈折率と光透過部28を構成する樹脂の屈折率とを同じ、又は近い大きさとしてもよい。
光散乱部29が並列されるピッチは特に限定されないが、10μm以上200μm以下であることが好ましい。光散乱部29のピッチを10μm以上とすることによって、光散乱部29が微細形状になり過ぎることを防止でき、光散乱層26の作製が容易になる。一方、光散乱部29のピッチを200μm以下とすることによって、後述するようにして金型を用いて光透過部28を成形する際に、該金型から光透過部28を離型しやすくなる。
また、光散乱部29の鉛直断面のうち、室内側(基材層27と反対側で光透過部28間の凹部の開口側)の大きさ(幅)は特に限定されないが、5μm以上150μm以下であることが好ましい。当該幅を5μm以上とすることによって、光散乱部29が微細形状になり過ぎることを防止でき、光散乱層26の作製が容易になる。一方、当該幅を150μm以下とすることによって、後述するようにして金型を用いて光透過部28を成形する際に、該金型から光透過部28を離型しやすくなる。
光散乱部29の厚さ方向の大きさ(図4の紙面左右方向)は特に限定されないが、10μm以上200μm以下であることが好ましい。この大きさを10μm以上とすることによって、光散乱部29の形成が容易になる。一方、この大きさを200μm以下とすることによって、光透過部28を成形する際に用いる金型の製造が容易になる。また、後述するようにして金型を用いて光透過部28を成形する際に、該金型から光透過部28を離型しやすくなる。
本実施形態では光散乱部29の断面が等脚台形の例を説明したが、必ずしもこれに限らず、光散乱部の台形断面の2つの脚部のシート面に対する角度が異なっていてもよい。また、光散乱部の台形断面の脚部は曲線状や折れ線状であってもよい。図5に各例の光散乱部の断面形状を表した。
図5(a)は台形断面の脚部が凸状の曲線の光散乱部29aの例、図5(b)は台形断面の脚部が凹状の曲線の光散乱部29bの例、及び図5(c)は台形断面の脚部が折れ線状の光散乱部29cの例である。
図5(d)には、光散乱部の台形断面のうち下底側(光透過部間に形成される溝の開口側)が凹状に形成されている例の光散乱部29dを表した。この場合、当該凹状の内側には隣接する粘着層25を構成する材料が充填される。
図5(e)には、光散乱部の断面形状が三角形である例の光散乱部29eを表した。このように光散乱部は三角形断面を有するものであってもよい。
また、光散乱部29と光透過部28との界面で光を散乱反射をさせ易くするという観点からは、光散乱部29と光透過部28との界面を微小な凹凸が無数に形成された面であるマット面としてもよい。
図3に戻って他の構成についても説明を続ける。
粘着層25は、保護層24と光散乱層26とを接着して積層するための層である。粘着層25を構成する材料としては、保護層24と光散乱層26とを接着できるものであれば特に限定されない。粘着層25を構成する材料としては、例えば、公知の粘着剤、接着剤、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂等を用いることができる。粘着層25を構成する材料のより具体的な例としては、アクリル系の粘着剤を挙げることができる。さらに具体的には、アクリル系共重合体とイソシアネート化合物とを組み合わせた粘着剤を挙げることができる。ただし、粘着層25を構成する材料は、採光シート20の性質上、透光性、耐候性に優れた材料であることが好ましい。
粘着層25の厚さは特に限定されないが、10μm以上100μm以下であることが好ましい。粘着層25の厚さを10μm以上とすることによって、保護層24と光散乱層26との密着性を向上させやすくなる。また、粘着層25の厚さを100μm以下とすることによって、粘着層25の厚さを均一にしやすくなる。
保護層24は基材層27と対になり、保護層24と基材層27との間に光散乱層26を挟むように配置される層である。これにより、基材層27と併せて光散乱層26を保護する機能を有する。また、本実施形態では、保護層24はハードコート層23の形成するための基材となる層である。保護層24はこのような機能を有するものであれば、その構成材料は特に限定されることはない。保護層24は、例えば上記した基材層27と同様の材料により構成することができる。
ハードコート層23は、採光シート20の表面保護を目的として、採光シート20のうちパネル13に貼合される側とは反対側の最表面に設けられる層である。ハードコート層23は透明な樹脂層として形成することができる。採光シート20の表面の擦り傷、表面汚染に対する耐性の観点から、ハードコート層23は硬化性樹脂が硬化してなる樹脂硬化層として形成することが好ましい。
ハードコート層23を構成する材料としては、例えば電離放射線硬化性樹脂、その他公知の硬化性樹脂等を要求性能に応じて適宜採用すればよい。電離放射線硬化性樹脂としては、アクリレート系、オキセタン系、シリコーン系等が挙げられる。例えば、アクリレート系の電離放射線硬化性樹脂は、単官能(メタ)アクリレートモノマー、2官能(メタ)アクリレートモノマー、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーなどの(メタ)アクリル酸エステルモノマー、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルオリゴマー乃至は(メタ)アクリル酸エステルプレポリマーなどからなる。さらに3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを例示すれば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等がある。
また、ハードコート層23には、耐汚染性向上の機能を追加してもよい。これは例えばシリコーン系化合物、フッ素系化合物などを添加することにより可能となる。さらにその他の機能として帯電防止性向上、撥水性向上の機能を有するものとしてもよい。
帯電防止性向上のために用いることができる材料としては、電子伝導タイプではPEDOT−PSS(PEDOT(Poly(3,4−ethylenedioxythiophene);3,4−エチレンジオキシチオフェンポリマー)とPSS(poly(styrenesulfonate);スチレンスルホン酸ポリマー)とを共存)などが挙げられ、イオン導電タイプではリチウム塩系材料等が挙げられる。
また、撥水性向上のために用いることができる材料としては、フッ素系化合物等が挙げられる。
粘着層22は、パネル13に採光シート20を貼り付けるための層である。粘着層22は、粘着層22によって採光シート20をパネル13に貼合させたとき、粘着層22とシート本体21との間の粘着力が、粘着層22とパネル13との間の粘着力より強くなるように構成されている。このように粘着層22を構成することによって、採光シート20をパネル13から剥がす際に、粘着層22をパネル13側に残すことなく綺麗に剥がすことができる。
粘着層22を構成する材料としては、パネル13に採光シート20を貼り付けられるものであり、上記粘着力の条件を満たすものであれば特に限定されず、公知の粘着剤、接着剤、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂等を用いることができる。粘着層22を構成する材料のより具体的な例としては、アクリル系の粘着剤を挙げることができる。さらに具体的には、アクリル系共重合体とイソシアネート化合物とを組み合わせた粘着剤を挙げることができる。ただし、粘着層22を構成する材料は、採光シート20の性質上、透光性、耐候性に優れた材料であることが好ましい。
粘着層22の厚さは特に限定されないが、10μm以上100μm以下であることが好ましい。粘着層22の厚さを10μm以上とすることによって、パネル13と採光シート20との密着性を向上させやすくなる。また、粘着層22の厚さを100μm以下とすることによって、粘着層22の厚さを均一にしやすくなる。
粘着層22は、ガラス板などからなるパネル13と貼合して24時間以上経過後の粘着力が1N/25mm以上10N/25mm以下となる組成物で構成されていることが好ましい。パネル13と貼合して常温常湿で24時間以上経過後の粘着層22の粘着力の上限は、好ましくは7N/25mm以下であり、より好ましくは5N/25mm以下である。このように粘着層22の粘着力を適当に調整することにより、採光シート20をパネル13から容易に剥がすことができるようになる。なお、粘着力の下限を1N/25mmとしたのは、粘着力が弱すぎると自然に剥離する虞があるからである。
また、粘着層22は、パネル13に貼合して気温60℃かつ相対湿度90%の雰囲気または気温80℃かつ常湿の雰囲気で、1000時間加熱した後の粘着力が1N/25mm以上20N/25mm以下となる材料で構成されていることが好ましい。当該条件での粘着層22の粘着力の上限は、好ましくは7N/25mm以下であり、より好ましくは5N/25mm以下である。採光シート20は建物の日が当たる開口部に用いられるため、長期間にわたって高温状況下に晒されることが想定される。上記のような厳しい条件でも適当な粘着力を維持できるようにすることによって、長期間使用した後でも採光シート20をパネル13から剥がすことができるようになる。
さらに、パネル13と粘着層22との間での粘着力は、採光シート20を構成する複数の層のいずれの層同士の粘着力よりも弱いことが好ましい。かかる形態とすることによって、採光シート20を構成する層を分離させることなく、採光シート20をパネル13から剥がすことが容易になる。
上記のように粘着層22の粘着力を調整することによって、採光シート20をパネル13から剥がす際に、粘着層22をパネル13側に残すことなく綺麗に剥がすことができる。ただし、粘着層22の剥がし易さは粘着層22の粘着力だけでなく、以下に説明するように、粘着層22が接する層の表面性状にも依存する。
例えば、光散乱層26は、表面のうち光散乱部29が形成された部分に厚さ方向に1μm以上6μm以下程度の凹部が形成されることがある(図5(d)参照)。当該凹部は、主に、後述するようにして光散乱部29を形成する過程において光散乱部を構成する組成物の余剰分を掻き落とす際や、光散乱部を構成する組成物を硬化させた際に生じる。仮にこのように凹凸が生じた光散乱層26の表面に粘着層22を形成して該粘着層22をパネル13に貼合したとすると、粘着層22と光散乱層26との間、または粘着層22とパネル13との間の粘着力が各層の表面全体において一定になり難い。そのため、パネル13から光散乱層26を含む採光シートを剥がす際に、一定の強さで一定の角度に力を採光シートに加えようとしても、光散乱層26の表面の凹凸が原因となって粘着層22と光散乱層26やパネル13との間で働く力の強さや角度が一定となり難い。その結果、光散乱層26の一部が破損したりして、採光シートの一部(光散乱層26や粘着層22など)がパネル13に付着したままになることがある。
また、例えば、光散乱部29に用いられる上記樹脂と、光透過部28に用いられる上記樹脂との組成が異なる場合、光散乱部29と光透過部28とが現れている光散乱層26の表面に粘着層22を形成して該粘着層22をパネル13に貼合したとすると、粘着層22と光散乱部29との間の粘着力と、粘着層22と光透過部28との間の粘着力とで強さが異なりやすい。すなわち、光散乱層26と粘着層22との間の粘着力が層面全体において一定になり難い。そのため、パネル13から光散乱層26を含む採光シートを剥がす際に、一定の強さで一定の角度に力を採光シートに加えようとしても、光散乱層26と粘着層22との間の部分的な粘着力の差が原因となって、粘着層22と光散乱層26やパネル13との間で働く力の強さや角度が一定となり難い。その結果、光散乱層26の一部が破損したりして、採光シートの一部(光散乱層26や粘着層22など)がパネル13に付着したままになることがある。
一方、本実施形態によれば、粘着層22はパネル13と基材層27との間に形成されており、パネル13および基材層27は通常、それぞれ表面が平滑で且つ表面に異なる材料で構成された部分が現れていない。そのため、例え、光散乱層26の表面に微細な凹凸が形成されていたり、光散乱部29に用いられる上記樹脂の組成と光透過部28に用いられる上記樹脂の組成とが異なっていたりしても、上述したような粘着層22が接する層の表面性状による問題は生じ難い。
本実施形態では、基材層27の光散乱層26が形成されていない面側に粘着層22が備えられる。このような採光シート20の製造方法としては、まず、シート本体の最表面となる層(本実施形態では基材層27)の表面に粘着層22を構成する材料を直接塗工し、該材料にセパレーター(剥離フィルム)をラミネートしてエージングし、粘着層22を形成する。または、粘着層22を構成する材料をセパレーターに直接塗工し、該材料にシート本体の最表面となる層(本実施形態では基材層27)をラミネートしてエージングし、粘着層22を形成する。その後、基材層27の粘着剤層22とは反対側の面に光散乱層26を形成する。かかる方法によって採光シート20を製造することによって、基材層27と粘着層22との間の密着力が強固になり、粘着層22をガラス板等で構成されたパネル13に貼合した後に、粘着層22がパネル13に残らないようにしてパネル13から採光シート20を剥がすことが容易になる。
一方、粘着層22を形成する際、粘着層22を構成する材料をセパレーターで挟持してエージングした後に一方のセパレーターを粘着層22から剥がし、粘着層22のセパレーターが剥がされた面を他の層(例えば基材層27)に貼合したとすると、粘着層22と当該他の層との間に微細な気泡などを含ませやすくなるため、粘着層22と当該他の層との間の密着性が低下する虞がある。
また、上記のようにして粘着層22を形成することによって、粘着層22を単独で作製する場合に比べて製造工程が簡略化されるため好ましい。すなわち、粘着層22を単独で作製する場合は、粘着層22の両面にセパレーターをラミネートし、一方のセパレーターを剥がして基材層27に粘着層22を貼合する等して採光シート20を作製した後、他方のセパレーターを剥がして採光シート20をパネル13に貼合しなければならないが、上記のようにして粘着層22を形成することによって、セパレーターをラミネートする工程を1回減らすことができる。また、粘着層22の一方の面に貼合するセパレーターと他方の面に貼合するセパレーターとで剥がし易さに差をつける必要がなくなる。
以上説明した採光シート20を具備する採光パネル12により採光装置10を形成し、これを図1に示したように建物1の開口部に配置する。
採光シート20には上記したように光透過部28が備えられており、光透過部28が配置される部位の光散乱層26の表裏面は平行、平滑に形成されている。これにより、室外側の景色を伴う光は歪が抑制されて室内に入射することができ、これは室内側から室外側の景色を視認することができることを意味する。従って、採光シート20は室外側の景色を視認し易い構造を具備している。
採光シート20には上記した各層のいずれかに、他の機能を付加させるための構成を備えてもよい。これには例えば、紫外線吸収剤、熱線吸収剤、又は近赤外線吸収剤を添加し、紫外線吸収機能、熱線吸収機能、又は近赤外線吸収機能を備えさせることが考えられる。
近赤外線吸収機能は、近赤外線吸収剤(近赤外線吸収色素)を上記した各層の1つ又は複数に添加したり、塗布したりすることにより向上させることができる。近赤外線吸収色素としては、800nm以上1100nm以下の波長領域を吸収するものを用いることが好ましい。該波長領域の近赤外線の透過率が20%以下であることが好ましく、10%以下であることがさらに好ましい。一方で、近赤外線吸収色素は可視光領域、即ち、380nm以上780nm以下の波長領域で、十分な透過率を有することが好ましい。
紫外線吸収機能は、以下に例示する紫外線吸収剤を上記した各層の1つ又は複数に添加したり、塗布したりすることにより向上させることができる。紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(TINUVIN P、TINUVIN P FL、TINUVIN 234、TINUVIN 326、TINUVIN 326 FL、TINUVIN 328、TINUVIN 329、TINUVIN 329 FL、全てBASFジャパン株式会社製)や、トリアジン系紫外線吸収剤(TINUVIN 1577 ED、BASFジャパン株式会社製)、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(CHIMASSORB 81、CHIMASSORB 81 FL、全てBASFジャパン株式会社製)、ベンゾエート系紫外線吸収剤(TINUVIN 120、BASFジャパン株式会社製)などが挙げられる。
熱線吸収機能は、以下に例示する熱線吸収剤を上記した各層の1つ又は複数に添加したり、塗布したりすることにより向上させることができる。熱線吸収剤としては、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)またはスズドープ酸化インジウム(ITO)、フタロシアニン化合物などの金属酸化物超微粒子などが挙げられる。
以上説明した採光パネル12は例えば次のように製造することができる。すなわち、採光パネル12は、パネル13に採光シート20を貼合することによって製造することができる。ここで採光シート20は、例えば次のように作製することができる。
採光シート20のうち光散乱層26は金型ロールを用いる方法により形成することができる。すなわち、円筒状であるロールの外周面に光散乱層26の光透過部28を転写可能な凹凸が設けられた金型ロールを準備する。そして金型ロールとこれに対向するように配置されたニップロールとの間に、基材層27となる基材を挿入する。このとき、基材のうち光散乱層26が形成される側とは反対側の面には上述したようにして粘着層22を形成しておくことが好ましい。そして、基材と金型ロールとの間に光透過部28を構成する組成物を供給しながら金型ロール及びニップロールを回転させる。これにより金型ロールの表面に形成された凹凸の凹部内に光透過部28を構成する組成物が充填され、該組成物が金型ロールの凹凸の表面形状に沿ったものとなる。
ここで、光透過部28を構成する組成物としては、上記したものが好ましいが、さらに具体的には次の通りである。すなわち、光硬化型プレポリマー(P1)に、反応性希釈モノマー(M1)及び光重合開始剤(I1)を配合した光硬化型樹脂組成物を用いることができる。
上記光硬化型プレポリマー(P1)としては、例えば、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、ポリチオール系等のプレポリマーを挙げることができる。
また、上記反応性希釈モノマー(M1)としては、例えば、ビニルピロリドン、2−エチルヘキシルアクリレート、β−ヒドロキシアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等を挙げることができる。
また、上記光重合開始剤(I1)としては、例えば、ヒドロキシベンゾイル化合物(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインアルキルエーテル等)、ベンゾイルホルメート化合物(メチルベンゾイルホルメート等)、チオキサントン化合物(イソプロピルチオキサントン等)、ベンゾフェノン(ベンゾフェノン等)、リン酸エステル化合物(1,3,5−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等)、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。これらの中から、光硬化型樹脂組成物を硬化させるための照射装置及び光硬化型樹脂組成物の硬化性から任意に選択することができる。なお、光透過部28の着色防止の観点から好ましいのは、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及びビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイドである。
これらの光硬化型プレポリマー(P1)、反応性希釈モノマー(M1)及び光重合開始剤(I1)は、それぞれ、1種類で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
金型ロールと基材との間に挟まれ、ここに充填された光透過部28を構成する組成物に対し、基材側から光照射装置により光を照射する。これにより、光透過部28を構成する組成物を硬化させ、その形状を固定させることができる。そして、離型ロールにより金型ロールから基材層27及び成形された光透過部28を離型する。
次に、光透過部28間の凹部に光散乱部29を構成する組成物を充填して硬化させることによって、光散乱部を形成することができる。このようにして、基材層27上に光散乱層26を形成することが可能である。
このようにして形成された光散乱層26上に接着剤を積層して粘着層25とし、一方の面側にハードコート層23を形成したシート(保護層24)の他方の面側を粘着層25に貼合する。このようにして、採光シート20を作製することができる。
図6は第二実施形態を説明する図であり、採光パネル112の層構成を表す断面図で、図3に相当する。採光パネル112は、パネル13と、該パネル13の室内側に配置された採光シート120と、を具備している。採光シート120はシート状のシート本体121と粘着層22とを備えており、パネル13への採光シート120の取り付けは採光パネル12と同様に粘着層22により行われている。
シート本体121は、上記説明した採光パネル12のシート本体21と比較して、光散乱層26の表裏が反対であり、構成する層の配列順が異なっている。すなわち、シート本体121は、室内側からハードコート層23、基材層27、光散乱層26、粘着層25、及び保護層24を備えている。このような構成のシート本体121を有する採光シート120も上記した採光シート20と同様に、パネル13に貼合した後に剥がしやすい。
(実施例1)
実施例1では採光シート20を備える採光パネル12の例による採光パネルを作製した。実施例1にかかる採光パネルの詳細は下記の通りである。
(1)粘着層の形成
アクリル系樹脂の粘着剤(商品名:SKダイン2094、綜研化学株式会社、固形分25.0%、溶剤は酢酸エチルとメチルエチルケトン)を100質量部と、架橋剤(E−5XM、L−45、綜研化学株式会社、固形分5.0%)を0.28質量部と、1,2,3−ベンゾトリアゾールを0.25質量部と、希釈溶剤(トルエン/メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=27.69g/27.69g/4.61g)を32.0質量部と、を混合して粘着剤組成物を得た。この粘着剤組成物をシート本体の最外側層となる層(本例では基材層(ポリエチレンテレフタレートフィルム、商品名:A4300、東洋紡績社製、厚さ100μm))の表面に直接塗工し、該粘着剤組成物に離型フィルム(商品名:E7007、東洋紡績社製、厚さ38μm)をラミネートしてエージングし、粘着層を形成した。なお、この粘着層について、多波長アッベ屈折計DR−M4(株式会社アタゴ製)を用いて589nmの屈折率を測定したところ、1.49であった。また、この粘着層の貯蔵弾性率は0.22MPaであった。
(2)光透過部構成組成物の調整
ビスフェノールAエチレンオキシド/キシリレンジイソシアネート/フェノキシエチルアクリレート/2−ヒドロキシエチルアクリレート/ビスマストリ(2−エチルヘキサノエート)=30:15:50:5:0.02で混合し、80℃で10時間反応させ、光硬化性プレポリマー(P1)を得た。
ビスフェノールAエチレンオキシド/イソホロンジイソシアネート/フェノキシエチルアクリレート/ビスマストリ(2−エチルヘキサノエート)=30:20:50:0.02で混合し、80℃で10時間反応させ、光硬化性プレポリマー(P2)を得た。
次に、光硬化性プレポリマー(P1)を30質量部、光硬化性プレポリマー(P2)を30質量部、反応性希釈モノマー(M1)としてフェノキシエチルアクリレート10質量部、反応性希釈モノマー(M2)としてビスフェノールAエチレンオキシド30質量部、金型離型剤(S1)として、テトラデカノールエチレンオキシド10モル付加物のリン酸エステル0.03質量部、金型離型剤(S2)として、ステアリルアミンエチレンオキシド15モル付加物0.03質量部、光重合開始剤(I1)として、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名:イルガキュア184、メーカー名:BASF)を3質量部混合し、均一化して、光透過部構成組成物を得た。
なお、この光透過部構成組成物を厚さ100μmで塗工し、高圧水銀灯により800mJ/cmの紫外線を照射して光透過部構成組成物を硬化させ、多波長アッベ屈折率計(株式会社アタゴ製)を用いて、589nmの屈折率を測定したところ、1.55であった。
(3)金型ロールの作製
光散乱層の作製に供される金型ロールを作製した。金型ロールは円柱状であり、銅メッキが施され、当該銅メッキ部分をバイトにより切削して光透過部に対応する溝を形成した。バイトとしてはダイヤモンドバイトを用いた。ロール軸方向の所定ピッチで金型ロールの銅メッキ層の外周を切削して溝を形成した。この切削したロールの表面にクロムメッキを施した。
(4)光透過部の形成
上記(3)で作製した金型ロールとニップロールとの間に、上記(1)で作製した粘着層が一方の面に形成された基材を搬送した。この基材の搬送に合わせ、基材のうち粘着層が形成された面とは反対側の面上に上記(2)で得られた光透過部構成組成物を供給装置から供給し、金型ロールおよびニップロール間の押圧力により、基材層と金型ロールとの間に光透過部構成組成物を充填した。その後、高圧水銀灯により800mJ/cmの紫外線を照射して光透過部構成組成物を硬化させて、光透過部を形成した。その後、剥離ロールにより、金型ロールから光透過部を離型し、基材層上に光透過部が形成されたシート(中間部材)を作製した。
この光透過部の弾性率を、圧縮式微小硬度計(FISCHER HM2000)を用いて微小圧子材料に負荷をかけ、これを除荷することによって測定した。このとき、負荷力は100mN、負荷速度は4μm/10秒、保持時間は60秒とした。その結果、光透過部の弾性率は800MPaであった。
(5)光散乱部構成組成物の調整
光硬化性プレポリマー(P3)としてウレタンアクリレートを42質量部、光硬化性プレポリマー(P4)としてエポキシアクリレートを18質量部、反応性希釈モノマー(M3)としてトリプロピレングリコールジアクリレート35質量部、反応性希釈モノマー(M4)としてメトキシトリエチレングリコールアクリレート5質量部、光散乱剤(D1)として酸化チタンを5質量部、光重合開始剤(I1)として、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名:イルガキュア184、メーカー名:BASF)を7質量部混合し、均一化して、光散乱部構成組成物を得た。
なお、この光散乱部構成組成物の散乱剤を除いた成分を厚さ100μmで塗工し、高圧水銀灯により800mJ/cmの紫外線を照射して硬化させ、多波長アッベ屈折率計(株式会社アタゴ製)を用いて589nmの屈折率を測定したところ、1.49であった。
(6)光散乱部の形成
上記(5)で得られた光散乱部構成組成物を、上記(4)で作製した中間部材の光透過部が形成された側に供給装置から供給した。また、中間部材の進行方向と略垂直に配置されたドクターブレードを用いて、中間部材上に供給した光散乱部構成組成物を光透過部間に形成された略V字形状の溝内に充填するとともに、余剰分の光散乱部構成組成物を掻き落とした。その後、高圧水銀灯により800mJ/cmの紫外線を照射して光散乱部構成組成物を硬化させ、硬化した光散乱部構成組成物によって光散乱部を形成した。この状態では、光散乱部の表面には深さ6μmの凹部(窪み)が発生していた。上記工程を更に1回行ったところ、光散乱部の表面には深さ3μmの凹部(窪み)が発生していた。
このようにして、基材層と光透過部および光散乱部を有する光散乱層とを備えた採光シートを作製した。
(7)採光パネルの作製
上記(1)でラミネートした離型フィルムを剥がし、粘着層によって採光シートを透光性を有する板状のパネルに貼合し、採光パネルを作製した。
(実施例2)
実施例2では採光シート120を備える採光パネル112の例による採光パネルを作製した。各層の形成方法は実施例1と同様であり、詳細は省略する。
(比較例1)
また、比較例1として、図7に示した採光シート220を備える採光パネル212の例による採光パネルを作製した。図7は、採光パネル212の層構成を表す断面図で、図3および図6に相当する。図7において、図3および図6に示したものと同様の構成ものには同じ符号を付している。図7に示したように、比較例1にかかる採光シート220は、粘着層22とシート本体221とを有しており、シート本体221は室内側からハードコート層23、基材層27及び光散乱層26を有している。したがって、光散乱層26とパネル13との間に粘着層22が形成されている。
(評価)
上記実施例1、実施例2および比較例1にかかる採光パネルについて、それぞれパネル13から採光シートを剥がした。その結果、実施例1および実施例2にかかる採光シートはパネル13から綺麗に剥がせたが、比較例1にかかる採光シートは粘着層22の一部がパネル13に付着し、綺麗に剥がすことができなかった。
1 建物
10 採光装置
11 枠
12 採光パネル
13 パネル
20 採光シート
21 シート本体
22 粘着層
23 ハードコート層
24 保護層
25 粘着層
26 光散乱層
27 基材層
28 光透過部
29 光散乱部
112 採光パネル
120 採光シート
121 シート本体

Claims (10)

  1. 建物の開口部に備えられた透光性を有する板状のパネルと、該パネルに貼合され、光を透過する採光シートと、を備え、
    前記採光シートは、
    シート状のシート本体と、
    該シート本体の一方の側に配置され、前記パネルと前記採光シートとを粘着する粘着剤を含有する粘着層と、を備え、
    前記シート本体は、透光性を有する基材層と、該基材層の一方の面に形成され、光を散乱する光散乱層と、を備えており、
    前記光散乱層は、
    前記基材層の一方の面に沿って並列された、光を透過する複数の光透過部と、
    隣り合う前記光透過部間に配置され、光を散乱する顔料又は粒子が全体に亘って分散して充填された光散乱部と、を有し、
    前記粘着層によって前記採光シートを前記パネルに貼合させたとき、前記粘着層と前記シート本体との間の粘着力が、前記粘着層と前記パネルとの間の粘着力より強く、
    前記粘着層は、前記パネルとの貼合面において、気温60℃かつ相対湿度90%の雰囲気、または、気温80℃かつ常湿の雰囲気で、1000時間加熱した後の粘着力が1N/25mm以上20N/25mm以下である、採光パネル。
  2. 前記光散乱層は、表面のうち前記光散乱部が形成された部分に厚さ方向に1μm以上6μm以下の凹部を有している、請求項1に記載の採光パネル。
  3. 前記光散乱部が透明な樹脂と、該樹脂に分散された前記顔料又は前記粒子と、を含む組成物によって構成され、
    前記光透過部が透明な樹脂によって構成されており、
    前記光散乱部に含まれる前記樹脂と前記光透過部を構成する前記樹脂とが異なる組成の樹脂である、請求項1または2に記載の採光パネル。
  4. 前記基材層が前記シート本体の一方の最表面にあり、前記基材層の前記光散乱層が形成された側とは反対側の面に前記粘着層が配置されている、請求項1乃至3のいずれかに記載の採光パネル。
  5. 透光性を有する保護層が前記シート本体の一方の最表面にあり、該保護層の一方の面側に前記粘着層が配置され、該保護層の他方の面側に他の粘着層を介して前記光散乱層が貼合されている、請求項1乃至3のいずれかに記載の採光パネル。
  6. 前記パネルに貼合される側とは反対側の最表面にハードコート層を有する、請求項1乃至3のいずれかに記載の採光パネル。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載の採光パネルと、
    少なくとも前記パネルの周囲を囲むように配置された枠と、を備える採光装置。
  8. 開口部に請求項7に記載の採光装置が設置された建物。
  9. 請求項1乃至6のいずれかに記載の採光パネルの製造方法であって、
    前記シート本体の最外層となる層の表面に前記粘着剤を含む組成物を直接塗工して前記粘着層を形成する粘着層形成工程を備える、
    採光パネルの製造方法。
  10. 前記粘着層形成工程の後に、前記最外層となる層のうち前記粘着層が形成された側とは反対の面側に、前記シート本体に含まれる他の層を形成する、
    請求項9に記載の採光パネルの製造方法。
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