JP6111646B2 - 採光装置、建物 - Google Patents

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Description

本発明は、建物等の内部に日光等の外光を採り入れるための採光装置及びこれを備える建物に関する。
いわゆる窓ガラスにより、建物の内部に日光等の外光を採り入れて明るく快適な室内空間を形成することはよく知られている。しかし一方で当該窓ガラスに入射した外光をそのまま室内に採り入れると、まぶしさを感じる等の不具合を生じることもある。これに対して、直射日光を制御してより快適な態様で光を室内側に採り入れる技術がいくつか提案されている。
特許文献1には、太陽光を建物内に取り入れる部位に配置される太陽光取り入れ制御用の光制御シートが開示されている。これは太陽光を透過する光透過性部と、太陽光を吸収する遮光部群とからなり、遮光部群はシート内の一方向に所定ピッチで、遮光部を複数配列させているものである。
特許文献2には、太陽光を採り入れるよう建物の開口部に設けられる板状の採光用光学素子が開示されている。これは、同一平面上に詰めて設けられた多数のプリズム部から成り、各プリズム部の斜面は、太陽の仰角が臨界仰角より小さい場合には太陽光を透過させ臨界仰角以上の場合には全反射させる角度となっており、太陽の仰角が臨界仰角以上の場合の全体の採光量は、臨界仰角より小さい場合の全体の採光量に比べて少なくなる形態を備えている。
また、特許文献3には直接光を検知する制御手段により制御される開閉機構を有し、この開閉機構を作動させることにより調光型遮光体を開閉して採光を調整する技術が開示されている。
特開2010−259406号公報 特開2003−157707号公報 特開平11−193677号公報
しかしながら、特許文献1に開示されているような構成の光制御シートでは、外光(太陽光)の一部を遮光部群が吸収してしまうため、該光制御シートを建物等の窓に適用した場合、外光を吸収してしまい外光を効果的に室内に採り入れることが難しかった。
また、特許文献2に開示されている技術では、外側から入射する光について制御することができるが、室内側から外を見たときに像が屈折するため、外の景色を見るための鮮明さに不足があった。さらに、特許文献2に開示されている採光用光学素子は、プリズム状の凹凸が室内側に露出しているため、設置場所によっては損傷を受けやすく、耐久性に問題があった。
また、特許文献3に開示されている装置も、直接光の状況に応じて採光する光を調整することは可能であるが、遮光を基本としており、例えばブラインドを全て閉鎖したときには光が遮断され、全く採光することができない。従ってブラインドを全て閉鎖したときには室内に光を取り入れることができず、室外を観察することもできない。
そこで本発明は上記した問題点に鑑み、太陽光の直射(直達光)を抑制するとともに効率良く採光でき、直達光を減らすように調整をすることが可能な採光装置を提供することを課題とする。また、この採光装置を備える建物を提供する。
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、これにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
請求項1に記載の発明は、並べて配置される複数の採光シート(21)と、採光シートを該採光シートの並べられた方向に直交する方向の軸を中心に回転させる回動機構と、を備え、採光シートは、透光性を有するシート状の基材層(22)と、基材層の一方の面に形成され、光を偏向する光偏向層(23)と、を備え、光偏向層は、基材層の一方の面に沿って所定の断面を有して一方向に延び、該延びる方向とは直交する方向に配列される光を透過する光透過部(24)と、複数の光透過部間に配置され、該光透過部よりも低い屈折率の材料が充填された複数の光偏向部(25)と、を有し、光偏向部は、四角形断面とされており、該断面において光透過部との界面を形成する辺の一方と他方とが非対象となるようにシート面法線に対して傾斜しているとともに、基材層側とは反対側となる辺が凹みを具備している、採光装置(10)である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の採光装置(10)において、採光シート(21)の回転軸の方向が光透過部(24)が延びる方向と同じである。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の採光装置(10)において、光偏向部(25)には光を散乱させる材料が含有されている。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の採光装置(10)の光透過部(24)が延びる方向が水平となるように建物開口部に設置された、建物である。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の採光装置(10)の光透過部(24)が延びる方向が鉛直となるように建物開口部に設置された、建物である。
本発明によれば、太陽光の直射(直達光)を抑制するとともに効率良く採光でき、室内側から室外側を見ることが可能となる。また太陽の仰角に応じて眩しい光が入射することを回避するために適切に偏向がおこなわれるように調整をすることができる。
採光装置10を正面視した図である。 採光装置10の鉛直方向断面図である。 採光パネル20の外観斜視図である。 採光シート21の層構成を説明する図である。 光偏向層23の形態を説明する図である。 図6(a)は光偏向部の脚部が凸状に湾曲している例、図6(b)は光偏向部の脚部が凹状に湾曲している例、図6(c)は光偏向部の脚部が折れ線状である例、図6(d)は光偏向部の下底が凹状に湾曲している例、図6(e)は光偏向部が三角形断面である例である。 採光パネル20が取りえる姿勢の例を説明する図であり、図7(a)はシート面が鉛直である姿勢、図7(b)は上端が室外側上方に向かう姿勢とした例、図7(c)は上端が室内側上方に向かう姿勢とした例である。 採光装置10の作用を説明する1つの図である。 採光装置10の作用を説明する他の図である。 採光装置10の作用を説明する他の図である。 採光シート121の層構成を説明する図である。 実施例に用いた採光シートの構成を説明する図である。
本発明の上記した作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。ただし本発明は当該実施形態に限定されるものではない。なお、以下に示す各図では、分かりやすさのためその構造を誇張して記載することがある。また、各図では見易さのため、繰り返しとなる符号は一部を省略することがある。
図1は第一の形態にかかる採光装置10を室内側から正面視した図を表した。図1では採光装置10の各採光パネル20はパネル面が鉛直であり傾けていない姿勢を表している。図2は、図1にII−IIで示した線(鉛直方向)に沿った採光装置10の断面を概略的に表す図である。このような採光装置10は、例えばブラインドと同じように建物の窓等、建物の開口部装置の室内側の建物開口部に配置され、入射される太陽光を制御して室内側に採り入れる。
本形態の採光装置10は、枠体11と、該枠体11の枠組み内に配置された複数の採光パネル20と、不図示の回動機構と、を備えている。以下に各構成について説明する。
枠体11は、上下のそれぞれに水平に配置される長尺部材である横枠12、13、及び当該横枠12、13の端部を渡して設けられる長尺部材である縦枠14、15を備えており、これらが矩形枠状に枠組みされている。
これら横枠、及び縦枠の形状は特に限定されることなく、例えば図2に表れているように断面が略コ字状である枠材を挙げることができる。
採光パネル20は、図1、図2からわかるように、横枠12、13が延在する方向に長い帯状の部材で、このような採光パネル20が縦枠14、15が延びる方向に沿って複数配列されている。図3に採光パネル20の外観斜視図を示した。図1乃至図3からわかるように採光パネル20は、採光シート21と、保持部材30とを有して構成されている。
採光シート21は、照射される光を制御して室内側に採り入れる機能を有するシートであり、次のように構成されている。図4には図3にIV−IVで示した線に沿った採光シート21の鉛直方向断面を示し、採光シート21の層構成を模式的に表した。図4では採光パネル20のパネル面が鉛直になる姿勢が表されており、図4の紙面左が室外側、紙面右が室内側、紙面上方が天側、紙面下方が地側となる。
採光シート21は、図4からわかるように、基材層22、光偏向層23、接着層26及び透光層27を備えている。
基材層22は、光偏向層23を形成するための基材となる層である。
従って基材層22は、透光性を有するとともに光偏向層23の変形を防止できるように支持する。かかる観点から、基材層22を構成する材料の具体例として例えば、アクリル、スチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル等のうちの1つ以上を主成分とする透明樹脂や、エポキシアクリレートやウレタンアクリレート系の反応性樹脂(電離放射線硬化型樹脂等)を挙げることができる。
基材層22の厚さは特に限定されないが、25μm以上300μm以下であることが好ましい。基材層22の厚さがこの範囲を外れると、加工性に問題を生じる虞がある。例えば、基材層22が薄過ぎればしわが生じやすくなる。また、基材層22が厚過ぎれば、採光シート20を製造する工程のうち中間工程において巻き取りが困難になる。
光偏向層23は光透過部24及び光偏向部25を有している。光透過部24は、図4に示した断面を有して基材層22の面に沿った一方向(本形態では建物に設置された姿勢で水平方向)に延びるように配置されるとともに、該一方向とは異なる方向(本形態では建物に設置された姿勢で鉛直方向)の基材層22の面に沿って複数の光透過部24が所定の間隔で配列されている。本実施形態では隣り合う光透過部24は基材層22側の端部で連結され、一体化されている。
一方、光偏向部25は隣り合う光透過部24の間に配置されている。
図5には光偏向層23の一部を拡大した図を示した。
光透過部24は、光を透過する部位であり、光偏向層23のうち光透過部24が配置された部位における基材層22側の面とその反対側面(接着層26側の面)とは平行に形成されていることが好ましい。これによって、後に説明するように採光シート21を通して室外側の景色がさらに見やすくなる。さらに好ましくは光透過部24は光を散乱させることなく透過する。これにより背面側の景色の見易さが向上する。ここに「光を散乱させることなく透過する」とは、意図的に散乱させる材料等を添加することなく形成された部位であることを意味し、材料中を光が透過するときに不可避的に散乱が生じることは許容される。
本形態では光透過部24は図4、図5に表れる断面で隣り合う光偏向部25の間において略台形の断面を有しており、室外側が短い上底、室内側が長い下底であり光偏向部25との界面を構成する辺が脚部となっている。ただし、脚部は後述するように光偏向部25の形状に沿った形状となるので、必ずしも一直線状ではない。
光透過部24を構成する材料としては、例えば、アクリル、スチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル等の1つ以上を主成分とする透明樹脂や、エポキシアクリレートやウレタンアクリレート系の反応性樹脂(電離放射線硬化型樹脂等)を挙げることができる。
ここで光透過部24を構成する材料の屈折率は、基材層22の屈折率と同じであってもよいし、異なっていてもよい。ただし両者間で屈折率差があるとその界面で光が偏向されてしまう可能性が高まるので、同じ材料であること、又は異なる材料であっても屈折率差が小さい、あるいは屈折率差がないことが好ましい。ここで光透過部24を形成する材料の屈折率は原材料の汎用性から1.49以上1.56以下の範囲が好ましく、1.49以上1.50以下であることがより好ましい。
光偏向部25は、隣り合う2つの光透過部24間に形成される部位である。すなわち、上記したように光透過部24はシート面に沿った方向に所定の間隔で並列され、光透過部24間には、所定の形状を有する凹部が形成されている。本形態における凹部は光偏向部25の断面形状に応じた断面形状を有する溝であり、ここに光偏向部25を構成する材料が充填されることにより光偏向部25が形成されている。従って光偏向部25は当該凹部に基づいた断面形状を具備している。
光偏向部25は、ここに照射された光を全反射して偏向可能に構成された層である。そのため、光偏向部25は光透過部24よりも屈折率が低い材料が充填されている。これによれば、光偏向部25と光透過部24との屈折率差、及びその界面に入射する光の角度の関係により、該入射した光が全反射条件を満たせばここでその光を全反射して偏向することができる。後で詳しく説明するが、偏向された光は、その向きが変わり、例えば天井に照射される等して直達光でなくなることができる。光偏向部25を形成する材料の屈折率は原材料の汎用性から1.49以上1.56以下の範囲が好ましく、1.49以上1.50以下であることがより好ましい。
また、そのときにおける光透過部24と光偏向部25との屈折率差は、0.03以上0.07以下、より好ましくは0.05以上0.06以下である。屈折率差が0より大きく0.03より小さい範囲では、全反射時の波長分散(波長により全反射角度が異なることによる波長ごとの分散。)が生じた際に長波長の成分が全反射せず、短波長の成分のみが全反射することがあり、色彩の変化が生じる虞がある。一方、屈折率差が0.06より大きいと、短波長の成分の屈折率が長波長の屈折率の成分の屈折率に対して大きくなる傾向にあり、虹状のムラが顕著に表れる虞がある。
さらに、本形態では光偏向部25は次のような形状を構成を備えている。図5を参照しつつ説明する。
光偏向部25は図5に表れる断面において、台形を有している。長い下底が室外側(光透過部24の上底側)、短い上底が室内側(光透過部24の下底側)となり、上下が脚部となる台形である。
脚部のうち、上側となる辺25aは、図5に表された姿勢とされたとき、その傾斜角が採光シート21のシート面の法線に対して角度θで室外側(太陽側)上方に向けて傾斜している。
一方、辺25aとは反対側となる下部の脚部となる側の辺25bは、その傾斜角が採光シート21のシート面の法線に対して所定の角度で室外側下方に向けて傾斜している。
25aの傾斜角θ、及び25bの傾斜角は特に限定されることはないが、製造の観点から0°以上30°以下とすることが好ましい。また、25aの傾斜角と25bの傾斜角とは必ずしも同じである必要はない。
光偏向部25が並列されるピッチは特に限定されないが、10μm以上200μm以下であることが好ましい。当該ピッチが狭すぎると微細形状になるので製造の際に加工が困難になる。一方、ピッチが広すぎると、金型で成形する際に材料の離型性が低下する傾向にある。
また、光偏向部25の断面のうち、室外側(基材層22と反対側で光透過部24間の凹部の開口側)の大きさは特に限定されないが、5μm以上150μm以下であることが好ましい。この幅が狭すぎると微細形状になるので加工が困難になる。一方、この幅が広すぎると金型で成形する際に材料の離型性が低下する傾向にある。
光偏向部25の厚さ方向の大きさ(図5の紙面左右方向)は特に限定されないが、10μm以上200μm以下であることが好ましい。これが小さすぎると、光偏向部25の加工自体が困難になる虞がある。一方、これが大きすぎると光偏向部25を形成するための金型の製造、及び金型からの材料の離型性が低下し、生産性が悪くなる虞がある。
また、図5に示したように、上下に隣り合う光偏向部25の向かい合う脚部において、下方となる光偏向部25の室内側角部と上方となる光偏向部25の室外側角部とを結ぶ線が、水平面と成す角のうち90°より小さい方の角度を見込み角θと定義する。
図6には、変形例に係る光偏向部の断面形状を表した。
図6(a)は、脚部が凸状に湾曲している光偏向部251の例である。図6(b)は、脚部が凹状に湾曲している光偏向部252の例である。図6(c)は脚部が2つの折れ線状に形成されている光偏向部253の例である。図6(d)は下底側が凹状に湾曲している光偏向部254の例である。また図6(e)は上底の大きさが概ねゼロであることにより三角形断面とされている光偏向部255の例である。
これら図6(a)乃至図6(e)に記載のような光偏向部によっても図4で示した形状の光偏向部と同様の効果を奏するものとなる。
また、全反射した光を散乱させる観点から光偏向部25と光透過部24との界面を微小な凹凸が無数に形成された面であるマット面としてもよい。
図4に戻って他の構成についても説明を続ける。
接着層26は、透光層27に光偏向層23を接着するための層である。接着層26を構成する材料は特に限定されず、公知の粘着剤、接着剤、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂等を用いることができる。より具体的な例としては、接着層26として、例えばアクリル系の粘着剤を用いることができ、さらに具体的にはアクリル系共重合体とイソシアネート化合物とを組み合わせた粘着剤を挙げることができる。ただし、接着層26を構成する材料は、採光シート21の性質上、透光性、耐候性に優れた材料によることが好ましい。
接着層26の厚さは特に限定されないが、10μm以上100μm以下であることが好ましい。接着層26が薄過ぎると透光層27と光偏向層23との密着性が低下する虞がある。また、接着層26が厚過ぎると該接着層26の厚さを均一にすることが困難になる。
透光層27は、上記基材層22との間に光偏向層23を挟むことにより光偏向層23を保護する機能を有する。従って透光層27は基材層22と同様に構成することができる。
以上のような採光シート21は、図1乃至図3に表れているように水平方向に延びる帯状に形成され、その延在方向の両端部が保持部材30に保持されている。
保持部材30は図3に表れているように採光シート21の端部を挟むように溝が形成されており、溝内に採光シート21の端部を固定することにより採光シート21を保持する。また、保持部材30には採光シート21の帯状の長手方向(光透過部24及び光偏向部25が延びる方向)と同じ方向に突出する回動軸31を具備している。
採光シート21の両端に保持部材30を取り付けることにより形成された採光パネル20が、図1、図2のように枠体11の枠内に配置される。すなわち、図1、図2からわかるように、採光パネル20の長手方向が水平方向とされ、複数の採光パネル20が鉛直方向に並ぶように配列される。このとき、採光パネル20の両端に具備された保持部材30のそれぞれが、回動軸31により縦枠14、15に軸着される。これにより、採光パネル20は、複数の採光パネル20が並べられた方向に直交する方向である水平方向を軸として回動することができるように枠体10の枠内に保持される。
さらに、採光装置10には、採光パネル20の回動を手動又は電動により制御する回動機構を備えている。これにより利用者が入射光の態様に併せて採光パネル20の姿勢(傾き)を調整することができる。
採光パネルの回動を操作する回動機構は公知の方法を採用することができる。例えば複数の帯状の板ガラスが鉛直方向に並べて配置され、それぞれが回動可能とされることにより建物開口部の開放及び閉鎖を可能とするルーバー窓に用いられる機構を挙げることができる。その他、ブラインドに備えられる複数の羽根を同時に回動させる機構を適用してもよい。
以上のような採光装置10によれば、回動機構を操作することにより採光パネル20を回動させることができる。図7に説明のための図を示した。図7(a)は各採光パネル20のパネル面が鉛直とされたときの採光パネル20の姿勢を示した図である。図7(b)は、各採光パネル20の上部が室外側上方に向くように、採光パネル20を回動させた姿勢を示した図である。図7(c)は各採光パネル20の上部が室内側上方に向くように、採光パネル20を回動させた姿勢を示した図である。
このように採光装置10では回動機構を操作して採光パネル20を回動させて所望の回転位置の姿勢とすることができる。
次にこのように採光パネル20を回動させることによる効果を含め、採光装置10の作用について主要な光路に基づいて説明する。説明に必要な光路例を以下に示す図面に適宜表した。なお各図面に表した光路例は概念的なものであり、屈折、反射の程度等を厳密に表したものではない。
図8は、図7(a)に示した例を説明する図であり、すなわち、採光パネル20のパネル面が鉛直とされたときの採光パネル20の姿勢のときを説明する図である。
図8に1つの光路例である太陽からの光LSMを示した。図8からわかるように光LSMはそのときの太陽高度に基づいて仰角(水平面からなす角)θSMで採光シート21に照射される。採光シート21に入射した光LSMは採光シート21を透過するうちに光偏向層23の光透過部24内を進む。光透過部24内では、該光透過部の屈折率をN、室外の屈折率をNとすれば、光LSMは、式(1)で表される太陽光進行角θPMで進む。
Figure 0006111646
太陽光進行角θPMで進行した太陽光が光透過部24と光偏向部25との界面の上面(断面における辺25a)に達したとき、辺25aが水平面と成す角θαが、光透過部24と光偏向部25との屈折率差、及び太陽光進行角θPMの関係で全反射臨界角以上であれば図8のように界面で全反射する。これにより太陽光が偏向されて、まぶしさの原因となる直達光を抑制することが可能となる。この例では、採光シート21のシート面が鉛直とされているので、θα=θである。
このように、図8の姿勢では、光LSMを天井方向等に偏向して眩しくない光とすることができる。しかしながら、図8にAで示したように太陽からの光の仰角が低い場合(朝夕や冬場)には見込み角θt1が大きいため光偏向部25に達しないことがある。また、図8にBで示したように太陽からの光の仰角が高い場合(南中時や夏場)にはθαが小さいため光を全反射させることができないことがある。これらときには場合によっては太陽光を眩しい光として室内に入射してしまうことがある。
図9は、図7(b)に示した例を説明する図であり、すなわち、採光パネル20の上端が室外側上方に向くように回転されたときの採光パネル20の姿勢の時を説明する図である。より具体的には図9に表したようにθK1の角度で採光パネル20を回転させた。
図9に1つの光路例である太陽からの光LSLを示した。光LSLは、図8に示した光LSMより小さい仰角θSLで採光シート21に照射される。すなわち、図8にAで示した光に相当する入射光である。
採光シート21に入射した光LSLは採光シート21を透過するうちに光偏向層23の光透過部24内を進む。光透過部24内では、該光透過部の屈折率をN、室外の屈折率をNとすれば、光LSLは、式(2)で表される太陽光進行角θPLで進む。
Figure 0006111646
太陽光進行角θPLで進行した太陽光が光透過部24と光偏向部25との界面の上面(断面における辺25a)に達したとき、辺25aが水平面と成す角θαが、光透過部24と光偏向部25との屈折率差、及び太陽光進行角θPLの関係で全反射臨界角以上であれば図9のように界面で全反射する。これにより太陽光が偏向されて、まぶしさの原因となる直達光を抑制することが可能となる。この例では、採光パネル20はθK1の角度で回転されているので、θα=θ−θK1とされている。
ここで、採光パネル20を図9のように回転した姿勢とすることにより、見込み角θt2をθt1−θK1として、θt1より小さくすることができる。従って、図8にAで示した光や図9にLSLで示した光のように仰角が小さい入射光を全反射させて偏向することができる。
図10は、図7(c)に示した例を説明する図であり、すなわち、採光パネル20の上端が室内側上方に向くように回転されたときの採光パネル20の姿勢の時を説明する図である。より具体的には図10に表したようにθK2の角度で採光パネル20を回転させた。
図10に1つの光路例である太陽からの光LSHを示した。光LSHは、図8に示した光LSMより大きい仰角θSHで採光シート21に照射される。すなわち、図8にBで示した光に相当する入射光である。
採光シート21に入射した光LSHは採光シート21を透過するうちに光偏向層23の光透過部24内を進む。光透過部24内では、該光透過部の屈折率をN、室外の屈折率をNとすれば、光LSHは、式(3)で表される太陽光進行角θPHで進む。
Figure 0006111646
太陽光進行角θPHで進行した太陽光が光透過部24と光偏向部25との界面の上面(断面における辺25a)に達したとき、辺25aが水平面と成す角θαが、光透過部24と光偏向部25との屈折率差、及び太陽光進行角θPHの関係で全反射臨界角以上であれば図10のように界面で全反射する。これにより太陽光が偏向されて、まぶしさの原因となる直達光を抑制することが可能となる。この例では、採光パネル20はθK2の角度で回転されているので、θα=θ+θK1とされている。従って、θよりも大きい傾斜角を有しており、大きな仰角で入射する光も全反射することができる。従って、図8にBで示した光や図10にLSHで示した光のように仰角が大きい入射光を全反射させて偏向することができる。
一方、採光シート21には上記したように光透過部24が備えられており、図8乃至図10に光LG1、LG2、LG3で示したように、光透過部24を通じて室外側の景色を伴う光を室内に入射しすることができ、室内側から室外側の景色を視認することができることを意味する。従って、採光装置10は、さらに室外側の景色を視認し易い構造を具備している。
以上のように、採光装置10によれば、太陽の仰角に応じて眩しい光が入射することを回避するために適切に偏向がおこなわれるように調整をすることができる。また、採光装置10では光を吸収や遮断する部位を有していないので効率よく光を取り込むことが可能である。また、光透過部を備えており、これにより背面側の景色も視認することができる。
採光装置10の採光シート21には上記した各層のいずれかに、他の機能を付加させるための構成を備えてもよい。これには例えば、紫外線吸収剤、熱線吸収剤、又は近赤外線吸収剤を添加し、紫外線吸収機能、熱線吸収機能、近赤外線吸収機能層を備えさせることが考えられる。また、採光シート21の保護の観点からハードコート層を備えることもできる。
近赤外線吸収機能は、近赤外線吸収剤(近赤外線吸収色素)を上記した各層の1つ又は複数に添加したり、塗布したりすることにより向上させることができる。近赤外線吸収色素としては、800nm以上1100nm以下の波長領域を吸収するものを用いることが好ましい。該波長領域の近赤外線の透過率が20%以下であることが好ましく、10%以下であることがさらに好ましい。一方で、近赤外線吸収色素は可視光領域、即ち、380nm以上780nm以下の波長領域で、十分な透過率を有することが好ましい。
紫外線吸収機能は、以下に例示する紫外線吸収剤を上記した各層の1つ又は複数に添加したり、塗布したりすることにより向上させることができる。紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(TINUVIN P、TINUVIN P FL、TINUVIN 234、TINUVIN 326、TINUVIN 326 FL、TINUVIN 328、TINUVIN 329、TINUVIN 329 FL、全てBASFジャパン株式会社製)や、トリアジン系紫外線吸収剤(TINUVIN 1577 ED、BASFジャパン株式会社製)、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(CHIMASSORB 81、CHIMASSORB 81 FL、全てBASFジャパン株式会社製)、ベンゾエート系紫外線吸収剤(TINUVIN 120、BASFジャパン株式会社製)などが挙げられる。
熱線吸収機能は、以下に例示する熱線吸収剤を上記した各層の1つ又は複数に添加したり、塗布したりすることにより向上させることができる。熱線吸収剤としては、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)またはスズドープ酸化インジウム(ITO)、フタロシアニン化合物などの金属酸化物超微粒子などが挙げられる。
ハードコート層は表面保護を目的として採光シート最表面に設けることができる。ハードコート層は透明な樹脂層として形成することができ、擦り傷、表面汚染に対する耐性の観点から、硬化性樹脂が硬化してなる樹脂硬化層として形成することが好ましい。
具体的には電離放射線硬化性樹脂、その他公知の硬化性樹脂等を要求性能に応じて適宜採用すればよい。電離放射線硬化性樹脂としては、アクリレート系、オキセタン系、シリコーン系等が挙げられる。例えば、アクリレート系の電離放射線硬化性樹脂は、単官能(メタ)アクリレートモノマー、2官能(メタ)アクリレートモノマー、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーなどの(メタ)アクリル酸エステルモノマー、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルオリゴマー乃至は(メタ)アクリル酸エステルプレポリマーなどからなる。さらに3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを例示すれば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等がある。
また、ハードコート層には、耐汚染性向上の機能を追加してもよい。これは例えばシリコーン系化合物、フッ素系化合物などを添加することにより可能となる。さらにその他の機能として帯電防止性向上、撥水性向上の機能を有するものとしてもよい。
帯電防止性向上のために用いることができる材料としては、電子伝導タイプではPEDOT−PSS(PEDOT(Poly(3,4−ethylenedioxythiophene);3,4−エチレンジオキシチオフェンポリマー)とPSS(poly(styrenesulfonate);スチレンスルホン酸ポリマー)とを共存)などが挙げられ、イオン導電タイプではリチウム塩系材料等が挙げられる。
また、撥水性向上のために用いることができる材料としては、フッ素系化合物等が挙げられる。
以上説明した採光装置10のうち、採光シート21は例えば次のように製造する。
採光シート21のうち光偏向層23は金型ロールを用いる方法により形成することができる。すなわち、円筒状であるロールの外周面に光偏向層23の光透過部24を転写可能な凹凸が設けられた金型ロールを準備する。そして金型ロールとこれに対向するように配置されたニップロールとの間に、基材層22となる基材を挿入する。そして、基材のうち一方の面と金型ロールとの間に光透過部24を構成する組成物を供給しながら金型ロール及びニップロールを回転させる。これにより金型ロールの表面に形成された凹凸の凹部内に光透過部24を構成する組成物が充填され、該組成物が金型ロールの凹凸の表面形状に沿ったものとなる。
ここで、光透過部24を構成する組成物としては、上記したものが好ましいが、さらに具体的な例は次の通りである。すなわち、光硬化型プレポリマー(P1)に、反応性希釈モノマー(M1)及び光重合開始剤(I1)を配合した光硬化型樹脂組成物を用いることができる。
上記光硬化型プレポリマー(P1)としては、例えば、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、ポリチオール系等のプレポリマーを挙げることができる。
また、上記反応性希釈モノマー(M1)としては、例えば、ビニルピロリドン、2−エチルヘキシルアクリレート、β−ヒドロキシアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等を挙げることができる。
また、上記光重合開始剤(I1)としては、例えば、ヒドロキシベンゾイル化合物(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインアルキルエーテル等)、ベンゾイルホルメート化合物(メチルベンゾイルホルメート等)、チオキサントン化合物(イソプロピルチオキサントン等)、ベンゾフェノン(ベンゾフェノン等)、リン酸エステル化合物(1,3,5−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等)、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。これらの中から、光硬化型樹脂組成物を硬化させるための照射装置及び光硬化型樹脂組成物の硬化性から任意に選択することができる。なお、光透過部16の着色防止の観点から好ましいのは、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及びビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイドである。
これらの光硬化型プレポリマー(P1)、反応性希釈モノマー(M1)及び光重合開始剤(I1)は、それぞれ、1種類で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
金型ロールと基材との間に挟まれ、ここに充填された光透過部24を構成する組成物に対し、基材側から光照射装置により光を照射する。これにより、光透過部24を構成する組成物を硬化させ、その形状を固定させることができる。そして、離型ロールにより金型ロールから基材層22及び成形された光透過部24を離型する。
次に、光透過部24の凹部に第一及び第二の光偏向部25、26を構成する組成物を充填して硬化させることによって、光偏向部を形成することができる。このようにして、基材層22上に光偏向層23を形成することが可能である。
このようにして形成された光偏向23上に接着剤を積層して接着層26とし、透光層27に接着することにより採光シート21となる。
図11は第二の形態を説明する図であり、図8に相当する図である。第二の形態では、光偏向部25の代わりに光偏向部125が適用された光偏向層123を有する採光シート121が備えられている。そして、光偏向部125が透光層27に貼付されて採光シート121となる。従って、採光シート121は、光偏向部25の代わりに光偏向部125が適用され、他の構成は採光装置10と同じなので、ここでは光偏向部125について説明し、他の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
光偏向部125は、上記した光偏向部25の形態に加え、光を散乱して反射又は散乱して透過するための材料が充填されている。光を散乱させるための材料は特に限定されることはないが、例としては、散乱反射については、白色顔料や銀色顔料等の光散乱剤を混ぜた硬化性樹脂が挙げられる。白色顔料は、例えば、酸化チタン、二酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛などの金属酸化物が挙げられる。銀色顔料としては、例えば、アルミニウム、クロムなどの金属が挙げられる。これにより効率よく光を散乱反射させることができる。また、硬化性樹脂は光透過部24を構成する材料と同様のものを用いることができる。
一方、散乱反射、散乱透過のための構成については、光偏向部125を透明なバインダー樹脂と該バインダー樹脂とは屈折率が異なる透明な散乱剤とを混合させた材料で構成することができる。透明なバインダー樹脂としては光透過部24と同様なものを用いることができる。一方、当該透明な散乱剤としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル及びスチレンを中心としたモノマーを重合して得られた架橋粒子が挙げられる。当該架橋粒子の具体例としては、ガンツ化成株式会社製のガンツパール(登録商標)が挙げられる。上記架橋粒子は、アクリル酸エステル及びスチレンとの混合比を変えることによって、屈折率を制御することができる。例えば、アクリル比を高くすることで屈折率を1.49程度にすることができ、スチレン比を高くすることで屈折率を1.59程度にすることができる。また、散乱剤にはウレタン架橋粒子を用いることも可能である。当該ウレタン架橋粒子の具体例としては、根上工業株式会社製のアートパール(登録商標)が挙げられる。また、散乱剤は中空粒子にすることも可能である。
このような光偏向部125を有する採光シート121では、上記したLSM、LSL、LSHのような光路の加え、太陽光LSUのように光を導くことができる。図11にLSUの光路を示した。
図11からわかるようにLSUはそのときの太陽高度に基づいて仰角(水平面からなす角)θSUで採光パネル121に照射される。採光パネル121に入射した光LSUは採光パネル121を透過するうちに光偏向層123の光透過部24内を進む。光透過部24内では、該光透過部の屈折率をN、室外の屈折率をNとすれば、光LSUは、式(4)で表される太陽光進行角θPUで進む。
Figure 0006111646
太陽光進行角θPUで進行した太陽光が光透過部24と光偏向部125との界面のうち辺25aに達したとき、光透過部24と光偏向部125との屈折率差、及び太陽光進行角θPUの関係が全反射臨界角以下であれば図11のように界面を超えて光偏向部125内に進行する。ここで、光偏向部126は光を散乱させて室内側に出射することができるので、太陽光を散乱してまぶしさの原因となる直達光を抑制することが可能となる。
このように、採光シート121を備える採光装置では、入射光の条件により全反射することなく光偏向部内に入った光も散乱して直達光でなくしてから室内側に出射することができる。
従来の技術は、太陽光が拡散せずに、室内に直接達する光(直達光)が多い場合があり、室内の人がまぶしさを感じてしまう不具合があった。結果として、室内が明るくなったとしても、まぶしさ防止のため、カーテンやブラインドをしてしまい、室内が暗くなってしまう不具合があった。本発明によればこれを抑制することができ、室内を従来のように暗くすることなく、まぶしさをも防止することができる。
上記説明した形態では、帯状である採光パネルが水平方向に延び、鉛直方向に複数配列されている例であった。この他にも、帯状である採光パネルが鉛直方向に延び、水平方向に複数配列されるように建物開口部に配置されてもよい。その際には採光パネルの回動の軸、光透過部、光偏向部が延在する方向も鉛直となる。これは上記説明した採光装置10を90度回転させた形態とすればよい。
以下に示す実施例及び比較例では、東京における南中高度及び西日を考慮した例を説明する。東京では、一年のうち最も高い南中高度における仰角θSH1は78°、一年のうち最も低い南中高度における仰角θSL1は31°である。
また、実施例及び比較例で用いる光透過部の屈折率はNは1.550、光偏向部の屈折率は1.490である。従って、仰角θSH1のとき、光透過部内を進む太陽光の進行角(太陽光進行角)θPH1は39.1°、仰角θSL1のとき、光透過部内を進む太陽光の進行角(太陽光進行角)θPL1は19.4°である。
実施例1では、図1の例により採光シート21を備える採光パネル20を複数作製し、これを枠体内に回動可能に設置した。図12、表1に実施例1における光偏向層の形状を表した。
本例では光偏向層を次のように作製した。
(1)光透過部構成組成物の調整
まずビスフェノールAエチレンオキシド/キシリレンジイソシアネート/フェノキシエチルアクリレート/2−ヒドロキシエチルアクリレート/ビスマストリ(2−エチルヘキサノエート)を30:15:50:5:0.02で混合し、80℃で10時間反応させ、光硬化性プレポリマー(P1)を得た。
一方、ビスフェノールAエチレンオキシド/イソホロンジイソシアネート/フェノキシエチルアクリレート/ビスマストリ(2−エチルヘキサノエート)を30:20:50:0.02で混合し、80℃で10時間反応させ、光硬化性プレポリマー(P2)を得た。
次に、光硬化性プレポリマー(P1)を30質量部、光硬化性プレポリマー(P2)を30質量部、反応性希釈モノマー(M1)としてのフェノキシエチルアクリレートを10質量部、反応性希釈モノマー(M2)としてのビスフェノールAエチレンオキシドを30質量部、金型離型剤(S1)としてのテトラデカノールエチレンオキシド10モル付加物のリン酸エステルを0.03質量部、金型離型剤(S2)としてのステアリルアミンエチレンオキシド15モル付加物を0.03質量部、光重合開始剤(I1)としての1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名:イルガキュア184、メーカー名:BASF)を3質量部混合し、均一化して、光透過部構成組成物を得た。
なお、この光透過部構成組成物を厚さ100μmで塗工し、高圧水銀灯により800mJ/cmの紫外線を照射して光透過部構成組成物を硬化させ、多波長アッベ屈折率計(株式会社アタゴ製)を用いて、589nmの屈折率を測定したところ、1.550であった。
(2)基材
基材としてはPETフィルム、商品名:A4300、東洋紡績社製、厚さ188μmを用いた。
(3)金型ロールの作製
光偏向層の作製に供される金型ロールを作製した。金型ロールは円柱状であり、銅メッキが施され、当該銅メッキ部分をバイトにより切削して光透過部に対応する溝を形成した。バイトとしてはダイヤモンドバイトを用いた。ロール軸方向の所定ピッチで金型ロールの銅メッキ層の外周を切削して溝を形成した。この切削したロールにクロムメッキをした。
(4)光透過部の形成
上記(3)で作製した金型ロールとニップロールとの間に、上記(2)の基材を搬送した。この基材の搬送に合わせ、上記(1)で得られた光透過部構成組成物を基材の基材層上に供給装置から供給し、金型ロールおよびニップロール間の押圧力により、基材層と金型ロールとの間に光透過部構成組成物を充填した。その後、基材側から高圧水銀灯により800mJ/cmの紫外線を照射して光透過部構成組成物を硬化させて、光透過部を形成した。その後、剥離ロールにより、金型ロールから光透過部を離型し、光透過部を含むシート(中間部材)を作製した。
圧縮式微小硬度計(FISCHER HM2000)を用いて微小圧子材料に負荷をかけ、これを除荷することによってこの光透過部の弾性率を測定した。このとき、負荷力は100mN、負荷速度は4μm/10秒、保持時間は60秒とした。その結果、光透過部の弾性率は800MPaであった。
(5)光偏向部構成組成物の調整
光硬化性プレポリマー(P3)としてウレタンアクリレートを42質量部、光硬化性プレポリマー(P4)としてエポキシアクリレートを18質量部、反応性希釈モノマー(M3)としてのトリプロピレングリコールジアクリレートを35質量部、反応性希釈モノマー(M4)としてのメトキシトリエチレングリコールアクリレートを5質量部、光散乱剤(D1)としての酸化チタンを5質量部、光重合開始剤(I1)としての1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名:イルガキュア184、メーカー名:BASF)を7質量部混合し、均一化して、光偏向部構成組成物を得た。
なお、この光偏向部構成組成物の光散乱剤を除いた成分を厚さ100μmで塗工し、高圧水銀灯により800mJ/cmの紫外線を照射して硬化させ、多波長アッベ屈折率計(株式会社アタゴ製)を用いて、589nmの屈折率を測定したところ、1.490であった。
(6)光偏向部の形成
上記(5)で得られた光偏向部構成組成物を、上記(4)で作製した中間部材上に供給装置から供給した。また、中間部材の進行方向と略垂直に配置されたドクターブレードを用いて、中間部材上に供給した光偏向部構成組成物を中間部材に形成された溝(光透過部間の溝)内に充填するとともに、余剰分の光偏向部構成組成物を掻き落とした。その後、高圧水銀灯により800mJ/cmの紫外線を照射して光偏向部構成組成物を硬化させ、光偏向部を形成した。この状態では、光偏向部の表面には、深さ6μmの窪みが発生していた。上記工程を更に1回行ったところ、光偏向部の表面には、深さ3μmの窪みが発生していた。
(7)接着層の形成
アクリル系樹脂の粘着剤(商品名:SKダイン2094、綜研化学株式会社、固形分25.0%、溶剤は酢酸エチルとメチルエチルケトン)を100質量部と、架橋剤(E−5XM、L−45、綜研化学株式会社、固形分5.0%)を0.28質量%と、1,2,3−ベンゾトリアゾールを0.25質量部と、希釈溶剤(トルエン/メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=27.69g/27.69g/4.61g)を32.0質量部と、を混合して接着層組成物を得た。
この組成物を離型フィルム(商品名:E7007、東洋紡績社製、厚さ38μm)に塗布して乾燥させ、上記光学機能層の面と貼り合わせた。
なお、この接着層について、多波長アッベ屈折計DR−M4(株式会社アタゴ製)を用いて589nmの屈折率を測定したところ、1.490であった。また、この接着層の貯蔵弾性率は0.22MPaであった。
比較例1では上記と同じ採光シートを作成したが、回動できないようにパネル面が鉛直となるように固定した。
参考例1は、採光シートを用いることなく透光層のみとした。
Figure 0006111646
以上示した各例の採光パネルについて、直達光及び採光効率を測定して評価した。詳しくは次の通りである。
光源(メタルハライドファイバー光源、IMH−250、シグマ光機株式会社)により白色光を所定の角度θSH1、θSL1、及び西日を想定した仰角(18°)で投射した。光源の照度を照度計(T−1H、コニカミノルタオプティクス株式会社)を用いて500lxに調整した。
輝度計(LS−110、コニカミノルタオプティクス株式会社)を採光シートへの光の入射前、光の入射後に設置して、それぞれの輝度を測定し、輝度比から採光効率を算出した。実施例1の採光効率を○とし、これと同等であれば同様に○、これより低ければ×とした。
一方、直達光の評価は、まぶしさを主観評価し、まぶしくないと感じるレベルを○、直視できないと感じるレベルを×とした。
表2に結果を表した。
Figure 0006111646
表2の結果からわかるように、実施例1では採光パネルの角度を変えることによりいずれの場合にもまぶしさを回避することができるとともに、採光効率も良好であった。一方、比較例1では採光パネルを回転させることができないので所定の条件(θSL1)のときは良好であったが、これ以外では実施例1に比べて良好とはいえなかった。
10 採光装置
11 枠体
20 採光パネル
21 採光シート
22 基材層
23 光偏向層
24 光透過部
25 光偏向部
30 保持部材

Claims (5)

  1. 並べて配置される複数の採光シートと、
    前記採光シートを該採光シートの並べられた方向に直交する方向の軸を中心に回転させる回動機構と、を備え、
    前記採光シートは、
    透光性を有するシート状の基材層と、
    前記基材層の一方の面に形成され、光を偏向する光偏向層と、を備え、
    前記光偏向層は、
    前記基材層の一方の面に沿って所定の断面を有して一方向に延び、該延びる方向とは直交する方向に配列される光を透過する光透過部と、
    複数の前記光透過部間に配置され、該光透過部よりも低い屈折率の材料が充填された複数の光偏向部と、を有し、
    前記光偏向部は、四角形断面とされており、該断面において前記光透過部との界面を形成する辺の一方と他方とが非対象となるようにシート面法線に対して傾斜しているとともに、前記基材層側とは反対側となる辺が凹みを具備している、採光装置。
  2. 前記採光シートの回転軸の方向が前記光透過部が延びる方向と同じである請求項1に記載の採光装置。
  3. 前記光偏向部には光を散乱させる材料が含有されている請求項1又は2に記載の採光装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の採光装置の前記光透過部が延びる方向が水平となるように建物開口部に設置された、建物。
  5. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の採光シートの前記光透過部が延びる方向が鉛直となるように建物開口部に設置された、建物。
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