JP6530580B2 - 採光シート、採光装置、及び建物 - Google Patents

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本発明は、建物等の内部に日光等の外光を採り入れるための採光シート、採光装置、及びこれを用いた建物に関する。
いわゆる窓ガラスにより、建物の内部に日光等の外光を採り入れて明るく快適な室内空間を形成することはよく知られている。しかし一方で当該窓ガラスに入射した外光をそのまま室内に採り入れると、まぶしさを感じる等の不具合を生じることもある。これに対して、直射日光を制御してより快適な態様で室内側に採り入れる技術がいくつか提案されている。
特許文献1には、太陽光を建物内に取り入れる部位に配置される太陽光取り入れ制御用の光制御シートが開示されている。これは太陽光を透過する光透過性部と、太陽光を吸収する遮光部群とからなり、遮光部群はシート内の一方向に所定ピッチで、遮光部を複数配列させているものである。
また特許文献2には、太陽光を採り入れるよう建物の開口部に設けられる板状の採光用光学素子が開示されている。これは、同一平面上に詰めて設けられた多数のプリズム部から成り、各プリズム部の斜面は、太陽の仰角が臨界仰角より小さい場合には太陽光を透過させ臨界仰角以上の場合には全反射させる角度となっており、太陽の仰角が臨界仰角以上の場合の全体の採光量は、臨界仰角より小さい場合の全体の採光量に比べて少なくなる形態を備えている。
特開2010−259406号公報 特開2003−157707号公報
しかしながら、特許文献1に開示されているような構成の光制御シートでは、外光(太陽光)の一部を遮光部群が吸収してしまうため、該光制御シートを建物等の窓に適用した場合、外光を吸収してしまい外光を効果的に室内に採り入れることが難しかった。
また、特許文献2に開示されている技術では、外側から入射する光について制御することができるが、室内側から外を見たときに像が屈折するため、外の景色を見るための鮮明さに不足があった。さらに、特許文献2に開示されている採光用光学素子は、プリズム状の凹凸が室内側に露出しているため、設置場所によっては損傷を受けやすく、耐久性に問題があった。
そこで本発明は上記した問題点に鑑み、太陽光の直射(直達光)を抑制するとともに効率良く採光でき、室内側から室外側を見ることが可能な採光シートを提供することを課題とする。また、これを用いた採光装置及び建物を提供する。
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、これにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
請求項に記載の発明は、シート面が鉛直となるように建物開口部に配置されるシート状である採光シート(20)であって、透光性を有するシート状の基材層(22)と、基材層の一方の面に形成され、光を散乱する光散乱層(23)と、を備え、光散乱層は、基材層の一方の面に沿って複数並べて配置され、屈折率がNである材料により形成された光を透過する光透過部(24)と、複数の光透過部間に配置され、光を散乱する顔料又は粒子が充填され、基材層が配置された側とは反対側に凹部が形成された光散乱部(25)と、を有し、採光シートが建物開口部に配置された姿勢で、隣接する2つの光散乱部の厚さ方向断面における向かい合う辺について、下方に配置される光散乱部の辺の室内側端部と、隣接して上方に配置される光散乱部の辺の室外側端部とを結ぶ見込み線が水平面となす角を見込み角θ、空気中の屈折率をNとしたとき、下記式が成立する、採光シートである。
Figure 0006530580
請求項に記載の発明は、透光性を有する板状のパネル(13)と、パネルの一方の面に貼付される請求項1記載の採光シート(20)と、少なくともパネルの周囲を囲むように配置される枠(11)と、を備える採光装置(10)である。
請求項に記載の発明は、南側の壁に形成された開口部に請求項に記載の採光装置(10)が設置された建物(1)である。
本発明によれば、太陽光の直射(直達光)を抑制するとともに効率良く採光でき、室内側から室外側を見ることが可能となる。
第一実施形態を説明する図で、建物1の外観斜視図である。 採光装置10を正面視した図である。 採光パネル12の層構成を説明する図である。 光散乱層23の形態を説明する図である。 図5(a)は光散乱部の脚部が凸状である例、図5(b)は光散乱部の脚部が凹状である例、図5(c)は光散乱部の脚部が折れ線状である例、図5(d)は光散乱部の下底が凹状である例、図5(e)は光散乱部が三角形断面である例である。 採光シート20の効果を説明する1つの図である。 採光シート20の効果を説明する他の図である。 見込み角θを決める1つの態様を説明する図である。 見込み角θを決める他の態様を説明する図である。 採光シートの変形例である採光パネル12’の層構成を説明する図である。 第二実施形態を説明する図で、採光パネル112の層構成を説明する図である。 光散乱層123の形状を説明する図である。 実施例1の採光パネルの構成を説明する図である。 実施例2の採光パネルの構成を説明する図である。 実施例3の採光パネルの構成を説明する図である。 実施例4の採光パネルの構成を説明する図である。 比較例1の採光パネルの構成を説明する図である。
本発明の上記した作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。ただし本発明は当該実施形態に限定されるものではない。なお、以下に示す各図では、分かりやすさのためその構造を誇張して記載することがある。また、各図では見易さのため、繰り返しとなる符号は一部を省略することがある。
図1は第一実施形態を説明する図であり、採光シート20(図3参照)が備えられた建物1の外観斜視図である。建物1はいわゆるオフィスビルであり、南側に面する外壁には室内外を連通する複数の開口部が設けられ、ここに採光シート20を具備する採光装置10が配置されている。
図2には1つの採光装置10を室外側から正面視した図を表した。このように採光装置10は、枠11と該枠11の枠組み内に配置された採光パネル12とを備えており、いわゆる窓として構成されている。そして当該採光装置10が上記のように建物1の開口部に配置される。
図3には図2にIII−IIIで示した線に沿った採光装置10の鉛直方向断面のうち、採光パネル12の層構成を模式的に表した。図3では採光パネル12のパネル面が鉛直になるように建物1に取り付けられた姿勢で表されており、図3の紙面左が室外側、紙面右が室内側、紙面上方が天側、紙面下方が地側となる。
採光パネル12は、図3からわかるように、パネル13、及び該パネル13に貼合された採光シート20を備えている。また、採光シート20は、室内側からハードコート層21、基材層22、光散乱層23、及び接着層26を備えている。以下、これらの各層について説明する。
パネル13は、ガラスパネルや樹脂パネル等、通常の建物や乗り物の窓等に用いられる透光性を有する板状の透光パネルである。従って、パネル13を構成する部材としては公知の板ガラスや樹脂板を用いることができる。上記した枠11は少なくとも当該パネル13の周囲に配置されることにより、採光パネル12が枠11の枠組み内に取り付けられる。
ハードコート層21は、表面保護を目的として、採光シート20のうちパネル13とは反対側の最表面に設けられる層である。ハードコート層21は透明な樹脂層として形成することができ、擦り傷、表面汚染に対する耐性の観点から、硬化性樹脂が硬化してなる樹脂硬化層として形成することが好ましい。
具体的には電離放射線硬化性樹脂、その他公知の硬化性樹脂等を要求性能に応じて適宜採用すればよい。電離放射線硬化性樹脂としては、アクリレート系、オキセタン系、シリコーン系等が挙げられる。例えば、アクリレート系の電離放射線硬化性樹脂は、単官能(メタ)アクリレートモノマー、2官能(メタ)アクリレートモノマー、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーなどの(メタ)アクリル酸エステルモノマー、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルオリゴマー乃至は(メタ)アクリル酸エステルプレポリマーなどからなる。さらに3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを例示すれば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等がある。
また、ハードコート層21には、耐汚染性向上の機能を追加してもよい。これは例えばシリコーン系化合物、フッ素系化合物などを添加することにより可能となる。さらにその他の機能として帯電防止性向上、撥水性向上の機能を有するものとしてもよい。
帯電防止性向上のために用いることができる材料としては、電子伝導タイプではPEDOT−PSS(PEDOT(Poly(3,4−ethylenedioxythiophene);3,4−エチレンジオキシチオフェンポリマー)とPSS(poly(styrenesulfonate);スチレンスルホン酸ポリマー)とを共存)などが挙げられ、イオン導電タイプではリチウム塩系材料等が挙げられる。
また、撥水性向上のために用いることができる材料としては、フッ素系化合物等が挙げられる。
基材層22は、光散乱層23を形成するための基材となる層である。
従って基材層22は、透光性を有するとともに光散乱層23の変形を防止できるように支持する。かかる観点から、基材層22を構成する材料の具体例として例えば、アクリル、スチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル等のうちの1つ以上を主成分とする透明樹脂や、エポキシアクリレートやウレタンアクリレート系の反応性樹脂(電離放射線硬化型樹脂等)を挙げることができる。
基材層22の厚さは特に限定されないが、25μm以上300μm以下であることが好ましい。基材層22の厚さがこの範囲を外れると、加工性に問題を生じる虞がある。例えば、基材層22が薄過ぎればしわが生じやすくなる。また、基材層22が厚過ぎれば、採光シート20を製造する工程のうち中間工程において巻き取りが困難になる。
光散乱層23は光透過部24及び光散乱部25を有している。光透過部23は、図3に示した断面を有して基材層22の面に沿った一方向(建物1に配置された姿勢で水平方向)に延びるように配置されるとともに、該一方向とは異なる方向の基材層22の面に沿って(建物1に配置された姿勢で鉛直方向)複数の光透過部24が所定の間隔で配列されている。本実施形態では隣り合う光透過部24は基材層22側の端部で連結され、一体化されている。
一方、光散乱部25は隣り合う光透過部24の間に配置されている。
図4には光散乱層23の一部を拡大した図を示した。
光透過部24は、光を透過する部位であり、光散乱層23のうち光透過部24が配置された部位における基材層22側の面とその反対側面(接着層26側の面)とは平行に形成されている。これによって、後に説明するように採光シート20を通して室外側の景色がさらに見やすくなる。好ましくは光透過部24は光を散乱させることなく透過する。これにより背面側の景色の見易さが向上する。ここに「光を散乱させることなく透過する」とは、意図的に散乱させる材料等を添加することなく形成された部位であることを意味し、材料中を光が透過するときに不可避的に散乱が生じることは許容される。
本実施形態では光透過部24は図3、図4に表れる断面で2つの光散乱部25間において略台形の断面を有しており、室外側が短い上底、室内側が長い下底であり光散乱部25との界面を構成する辺が脚部となっている。
光透過部24を構成する材料としては、例えば、アクリル、スチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル等の1つ以上を主成分とする透明樹脂や、エポキシアクリレートやウレタンアクリレート系の反応性樹脂(電離放射線硬化型樹脂等)を挙げることができる。
ここで光透過部24を構成する材料の屈折率は、基材層22の屈折率と同じであってもよいし、異なっていてもよい。ただし両者間で屈折率差があるとその界面で光が偏向されてしまう可能性が高まるので、同じ材料であること、又は異なる材料であっても屈折率差が小さい、あるいは屈折率差がないことが好ましい。
光散乱部25は、隣り合う2つの光透過部24間に形成される部位である。すなわち、上記したように光透過部24はシート面に沿った方向に所定の間隔で並列され、光透過部24間には、略台形断面を有する凹部が形成されている。本実施形態における凹部は、室外側(パネル13側)に長い下底、室内側(基材層22側)に短い上底を有する断面の溝であり、ここに光散乱部25を構成する材料が充填されることにより光散乱部25が形成されている。従って光散乱部25は凹部に基づいた断面を具備している。
光散乱部25は、ここに照射された光を散乱反射することができるように構成された層である。そのため、光散乱部25には光を散乱反射するための材料が充填されている。光を散乱させるための材料は特に限定されることはないが、例としては、白色顔料や銀色顔料等の光散乱剤を混ぜた硬化性樹脂が挙げられる。白色顔料は、例えば、酸化チタン、二酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛などの金属酸化物が挙げられる。銀色顔料としては、例えば、アルミニウム、クロムなどの金属が挙げられる。これにより効率よく光を散乱反射させることができる。また、硬化性樹脂は光透過部24を構成する材料と同様のものを用いることができる。
また、光散乱部25を透明なバインダー樹脂と該バインダー樹脂とは屈折率が異なる透明な散乱剤とを混合させた材料で構成してもよい。透明なバインダー樹脂としては光透過部24と同様なものを用いることができる。一方、当該透明な散乱剤としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル及びスチレンを中心としたモノマーを重合して得られた架橋粒子が挙げられる。当該架橋粒子の具体例としては、ガンツ化成株式会社製のガンツパール(登録商標)が挙げられる。上記架橋粒子は、アクリル酸エステル及びスチレンとの混合比を変えることによって、屈折率を制御することができる。例えば、アクリル比を高くすることで屈折率を1.49程度にすることができ、スチレン比を高くすることで屈折率を1.59程度にすることができる。また、散乱剤にはウレタン架橋粒子を用いることも可能である。当該ウレタン架橋粒子の具体例としては、根上工業株式会社製のアートパール(登録商標)が挙げられる。また、散乱剤は中空粒子にすることも可能である。
光散乱部25の屈折率は特に限定されることはないが、光透過部24の屈折率よりも低い屈折率であることが好ましい。これにより、後述するように光透過部24と光散乱部25との界面で、該界面に全反射臨界角より大きい角度で入射した光を全反射して偏向することが可能となる。偏向された光は、その向きが変わり、例えば天井に照射されるなどしてまぶしさを与える直達光でなくなることができる。光散乱部25のうち光透過部との界面を形成する材料(上記した硬化性樹脂やバインダー)の屈折率は原材料の汎用性から1.49以上1.56の範囲が好ましく、1.49以上1.50以下であることがより好ましい。
また、そのときにおける光透過部24と光散乱部25との屈折率差は、0.03以上0.07以下、より好ましくは0.05以上0.06以下である。屈折率差が0より大きく0.03より小さい範囲では、全反射時の波長分散(波長により全反射角度が異なることによる分散。)が生じた際に長波長の成分が全反射せず、短波長の成分のみが全反射することがあり、色彩の変化が生じる虞がある。一方、屈折率差が0.06より大きいと、短波長の成分の屈折率が長波長の屈折率の成分の屈折率に対して大きくなる傾向にあり、虹状のムラが顕著に表れる虞がある。
ただし、これに限らず光散乱部25と光透過部24との屈折率を同じ大きさとしてもよい。
さらに、本実施形態では光散乱部25は次のような形状を構成を備えている。図4を参照しつつ説明する。
2つの光散乱部25の間には上記のように光透過部24が配置される。従って、図4にIVaで示したように光透過部24の対角線に相当する線を定義することができる。より詳しくは、隣り合う光散乱部25の向かい合う辺について、下方に配置される光散乱部25の辺の室内側端部と、隣接して上方に配置される光散乱部25の辺の室外側端部とを結ぶ線IVaを見込み線とし、該見込み線IVaが水平面となす角のうち90°以下の方の角を見込み角θとする。本実施形態では当該θが所定の値をとることが好ましい。θの具体的な説明は太陽光の光路に関係するので、後で光路例とともに説明する。
また、光散乱部25の台形断面における脚部は、図4からわかるように、上方側となる脚部は水平面(採光シート20のシート面の法線)に対してθを有して傾斜し、下方側となる脚部は同様にθを有して傾斜している。
θは後述するように、この斜辺で全反射した光をできるだけ上方に偏向する観点から決められることが好ましい。そのため、θを0°とすることができる。また、θは製造の観点から0°以上30°以下とすることが好ましい。
光散乱部25が並列されるピッチは、上記θが所定の値を満たす範囲であれば特に限定されないが、10μm以上200μm以下であることが好ましい。光散乱部25のピッチが狭すぎると微細形状になるので製造の際に加工が困難になる。一方、光散乱部25のピッチが広すぎると、金型で成形する際に材料の離型性が低下する傾向にある。
また、光散乱部25の断面のうち、室外側(基材層22と反対側で光透過部間の凹部の開口側)の大きさは特に限定されないが、5μm以上150μm以下であることが好ましい。この幅が狭すぎると微細形状になるので加工が困難になる。一方、この幅が広すぎると金型で成形する際に材料の離型性が低下する傾向にある。
光散乱部25の厚さ方向の大きさ(図4の紙面左右方向)は、上記θが所定の値を満たす範囲であれば特に限定されないが、10μm以上200μm以下であることが好ましい。これが小さすぎると、光散乱部25の加工自体が困難になる虞がある。一方、これが大きすぎると光散乱部25を形成するための金型の製造、及び金型からの材料の離型性が低下し、生産性が悪くなる虞がある。
本実施形態では光散乱部25の断面がθ=θである等脚台形の例を説明したが、必ずしもこれに限らず、2つの脚部が異なるようにθとθとを変えてもよい。
また、脚部は曲線状、折れ線状であってもよい。図5に各例の光散乱部の断面形状を表した。図5(a)が脚部が凸状の曲線の光散乱部25aの例、図5(b)が脚部が凹状の曲線の光散乱部25bの例、及び図5(c)が脚部が折れ線状の光散乱部25cの例である。
図5(d)には、光散乱部の断面うち下底側(光透過部間に形成される溝の開口側)が凹状に形成されている例の光散乱部25dを表した。この場合、当該凹状の内側には隣接する接着層26の接着剤が充填される。
図5(e)には、光散乱部の断面形状が三角形である例の光散乱部25eを表した。このように光散乱部は三角形断面を有するものであってもよい。
また、散乱反射をさせ易くするという観点から光散乱部25と光透過部24との界面を微小な凹凸が無数に形成された面であるマット面としてもよい。
図3に戻って他の構成についても説明を続ける。
接着層26は、パネル13に採光シート20を接着するための層である。接着層26を構成する材料としては、パネル13に採光シート20を接着できるものであれば特に限定されず、公知の粘着剤、接着剤、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂等を用いることができる。より具体的な例としては、接着層26として、例えばアクリル系の粘着剤を用いることができ、さらに具体的にはアクリル系共重合体とイソシアネート化合物とを組み合わせた粘着剤を挙げることができる。ただし、接着層26を構成する材料は、採光シート20の性質上、透光性、耐候性に優れた材料によることが好ましい。
接着層26の厚さは特に限定されないが、10μm以上100μm以下であることが好ましい。接着層26が薄過ぎるとパネル13と採光シート20との密着性が低下する虞がある。また、接着層26が厚過ぎると該接着層26の厚さを均一にすることが困難になる。
以上説明した採光シート20を具備する採光パネル12により採光装置10を形成し、これを図1に示したように建物1の開口部に配置する。次に、このように採光シート20が配置された場面における作用、及び上記説明した見込み角θの好ましい値について、主要な光路に基づいて説明する。説明に必要な光路例を以下に示す図面に適宜表した。なお各図面に表した光路例は概念的なものであり、屈折、反射の程度等を厳密に表したものではない。
図6に1つの光路例である太陽Sからの光LS1を示した。図6からわかるようにLS1はそのときの太陽高度に基づいて仰角(水平面からなす角)θS1で採光パネル12に照射される。採光パネル12に入射した光LS1は採光パネル12を透過するうちに光散乱層23の光透過部24内を進む。光透過部24内では、該光透過部の屈折率をN、室外の屈折率をNとすれば、光LS1は、式(1)で表される太陽光進行角θP1で進む。
Figure 0006530580
太陽光進行角θP1で進行した太陽光が光透過部24と光散乱層25との界面に達したとき、光透過部24と光散乱部25との屈折率差、及び太陽光進行角θP1の関係が全反射臨界角以上であれば図6のように界面で全反射する。これにより太陽光が偏向されて、まぶしさの原因となる直達光を抑制することが可能となる。
ここで、偏向される向きは界面に入射する角度である太陽光進行角θP1、及び光散乱部の傾斜角であるθに依存する。従って、ここで全反射した光が水平より上向きとなるようにθが決められることが好ましい。その中でも、全反射光の全てが上向きとなるように偏向することができることから、θ=0°にすることができる。
図7には他の光路例である太陽Sからの光LS2を示した。図7からわかるようにLS2はそのときの太陽高度に基づいて仰角(水平面からなす角)θS2で採光パネル12に照射される。採光パネル12に入射した光LS2は採光パネル12を透過するうちに光散乱層23の光透過部24内を進む。光透過部24内では、該光透過部の屈折率をN、室外の屈折率をNとすれば、光LS2は、式(2)で表される太陽光進行角θP2で進む。
Figure 0006530580
太陽光進行角θP2で進行した太陽光が光透過部24と光散乱層25との界面に達したとき、光透過部24と光散乱部25との屈折率差、及び太陽光進行角θP2の関係が全反射臨界角より小さければ図7のように光LS2は光散乱部25内に侵入し、ここで散乱反射されて室内側に出射される。また、光透過部24と光散乱部25との間に屈折率差が無ければ全ての光は光散乱部25内に入射して同様に散乱反射して室内側に出射される。
以上からわかるように、採光シート20によれば、見込み角θによらず光LS1、LS2のように太陽光の少なくとも一部を全反射で偏向させ、及び/又は散乱反射させて室内側に提供することができ、太陽光の室内への入射量を大きく減じることなく、かつ、少なくとも一部の直達光(いわゆる直射日光)をなくすことが可能となる。これにより明るく、快適な室内空間を形成することができる。
さらに、採光シート20には上記したように光透過部24が備えられており、光透過部24が配置される部位の光散乱層23の表裏面は平行、平滑に形成されている。これにより、図6に示したように室外側の景色を伴う光LK1は室内にほとんど歪みなく入射することができ、これは室内側から室外側の景色を視認することができることを意味する。従って、採光シート20は、さらに室外側の景色を視認し易い構造を具備している。
上記のように採光シート20によれば、見込み角θによらず、効率よく室内に太陽光を取り入れつつも直達光の少なくとも一部をなくすことができる。ただし、より効果的に太陽光を光散乱部25に照射させ、太陽光を散乱させて室内側に出射させる観点から見込み角θを所定の角度範囲に規定することが好ましい。以下に詳しく説明する。
図8に説明図を示した。ここでは、一年のうち最も南中高度が高いときの仰角θSHを考える。すなわち、少なくとも一年のうちで最も南中高度が高いときの仰角θSHで太陽光が採光パネル12に入射したときに、太陽光からの直接光を全て光散乱部25に到達させる観点からθを規定することができる。図8からわかるように、仰角θSHで入射した光LSHが必ず光散乱部25に達するための限度は、光透過部24内を光LSHが見込み線に沿って進む状況である。すなわち、光透過部24内における太陽光進行角θPHが見込み角θと同じとなっていればよい。従って、これは、空気の屈折率をN、光透過部の屈折率をNとしたとき、屈折率、及び入射角の関係式により下記式(3)で表される。
Figure 0006530580
式(2)から、見込み角θを下記式(4)を満たすように構成することにより、少なくとも一年のうちで最も南中高度が高いときの仰角θSHで太陽光が採光パネル12に入射したときに、太陽光からの直接光を全て光散乱部25に到達させることができる。
Figure 0006530580
θSHは、所定の場所における南中高度が最も高い位置における仰角であるから、当該所定の場所ではこれ以上角度の大きい仰角は存在しない。従って、これより低い所定の仰角の太陽光までをも同様に光散乱部25に全て到達させるためには、式(3)、式(4)を満たしつつ、さらに式(3)、式(4)のθSHのかわりに当該所定の仰角を考慮すれば同様にθのとるべき値を得ることができる。
例えば、一年のうち南中高度が最も高い時の仰角θSHと、一年のうち南中高度が最も低い時の仰角θSLとの間の仰角θSM以上の仰角からの直接の太陽光を光散乱部に到達させたいときには、式(4)を満たしつつ式(5)を満たすように見込み角θを形成すればよい。
Figure 0006530580
このように見込み角θを所定の角度にするための手段は、光散乱部のピッチ、光散乱部の脚部の角度(図4のθ、θ)、光散乱部の厚さ方向(図4の紙面左右方向)の大きさ、光透過部の屈折率を変更することを挙げることができる。これらを単独、又は複数組み合わせてθを所定の角度に調整することが可能である。
このようにθを小さくすることにより、季節による南中高度の違いだけでなく、一日のうちにおける太陽の高さの移動に伴う仰角の変化に対しても対応することができ、より多くの太陽光を光散乱部に到達させて全反射や散乱反射し、室内側に提供することが可能となる。
一方で、θを小さくすることにより光散乱層23が厚くなったり、光透過部が小さくなったりすることもある。これらにより、室外側の視認性が低下する虞もある。かかる観点から、θの下限は特に限定されるものではないが、例えば図9に示したように一年のうち最も南中高度が低いときの仰角θSLからの直接の太陽光を全て光散乱部25に到達させる観点からθの下限を決めてもよい。図9に説明のための図を示した。
基本的な考え方は式(3)、式(4)の算出と同様であるから、図9からわかるように、仰角θSLによる太陽光LSLが見込み線に沿うように進むことを考えればよいので、式(6)を得ることができる。
Figure 0006530580
ここで、θPLは、仰角θSLのときの光透過部の太陽光進行角である。従って、式(4)及び式(6)を求めた趣旨から式(7)を得ることができる。
Figure 0006530580
ここでより具体的な例を挙げる。日本国内を考えたとき、札幌、東京、沖縄における一年のうち南中高度が最も高い時の仰角(θSH)、一年のうち南中高度が最も低いときの仰角(θSL)をそれぞれ表1に示した。
Figure 0006530580
表1に基づいて、日本国内におけるθの範囲を式(8)又は式(9)のように構成してもよい。
Figure 0006530580
Figure 0006530580
式(8)によれば、日本国内の概ね全域において少なくとも夏至における南中高度からの太陽光の全ての直射光を光散乱部に到達させることができる。また、式(9)によれば、さらに高い視認性を有しつつ、多くの太陽光を光散乱部に到達させることが可能である。
採光シート20には上記した各層のいずれかに、他の機能を付加させるための構成を備えてもよい。これには例えば、紫外線吸収剤、熱線吸収剤、又は近赤外線吸収剤を添加し、近赤外線吸収機能(熱線吸収機能)、紫外線吸収機能を備えさせることが考えられる。
近赤外線吸収機能(熱線吸収機能)は、近赤外線吸収剤(近赤外線吸収色素)を上記した各層の1つ又は複数に添加したり、塗布したりすることにより向上させることができる。近赤外線吸収色素としては、800nm以上1100nm以下の波長領域を吸収するものを用いることが好ましい。該波長領域の近赤外線の透過率が20%以下であることが好ましく、10%以下であることがさらに好ましい。一方で、近赤外線吸収色素は可視光領域、即ち、380nm以上780nm以下の波長領域で、十分な透過率を有することが好ましい。又は、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)またはスズドープ酸化インジウム(ITO)、フタロシアニン化合物などの金属酸化物超微粒子などを上記した各層の1つ又は複数に添加したり、塗布したりすることにより向上させることができる。
紫外線吸収機能は、以下に例示する紫外線吸収剤を上記した各層の1つ又は複数に添加したり、塗布したりすることにより向上させることができる。紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(TINUVIN P、TINUVIN P FL、TINUVIN 234、TINUVIN 326、TINUVIN 326 FL、TINUVIN 328、TINUVIN 329、TINUVIN 329 FL、全てBASFジャパン株式会社製)や、トリアジン系紫外線吸収剤(TINUVIN 1577 ED、BASFジャパン株式会社製)、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(CHIMASSORB 81、CHIMASSORB 81 FL、全てBASFジャパン株式会社製)、ベンゾエート系紫外線吸収剤(TINUVIN 120、BASFジャパン株式会社製)などが挙げられる。
以上説明した採光パネル12は例えば次のように製造することができる。すなわち、採光パネル12は、パネル13に採光シート20を貼合することによって製造することができる。ここで採光シート20は、例えば次のように作製することができる。
採光シート20のうち光散乱層23は金型ロールを用いる方法により形成することができる。すなわち、円筒状であるロールの外周面に光散乱層23の光透過部24を転写可能な凹凸が設けられた金型ロールを準備する。そして金型ロールとこれに対向するように配置されたニップロールとの間に、基材層22となる基材を挿入する。そして、基材のうち一方の面と金型ロールとの間に光透過部24を構成する組成物を供給しながら金型ロール及びニップロールを回転させる。これにより金型ロールの表面に形成された凹凸の凹部内に光透過部24を構成する組成物が充填され、該組成物が金型ロールの凹凸の表面形状に沿ったものとなる。
ここで、光透過部24を構成する組成物としては、上記したものが好ましいが、さらに具体的には次の通りである。すなわち、光硬化型プレポリマー(P1)に、反応性希釈モノマー(M1)及び光重合開始剤(I1)を配合した光硬化型樹脂組成物を用いることができる。
上記光硬化型プレポリマー(P1)としては、例えば、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、ポリチオール系等のプレポリマーを挙げることができる。
また、上記反応性希釈モノマー(M1)としては、例えば、ビニルピロリドン、2−エチルヘキシルアクリレート、β−ヒドロキシアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等を挙げることができる。
また、上記光重合開始剤(I1)としては、例えば、ヒドロキシベンゾイル化合物(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインアルキルエーテル等)、ベンゾイルホルメート化合物(メチルベンゾイルホルメート等)、チオキサントン化合物(イソプロピルチオキサントン等)、ベンゾフェノン(ベンゾフェノン等)、リン酸エステル化合物(1,3,5−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等)、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。これらの中から、光硬化型樹脂組成物を硬化させるための照射装置及び光硬化型樹脂組成物の硬化性から任意に選択することができる。なお、光透過部16の着色防止の観点から好ましいのは、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及びビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイドである。
これらの光硬化型プレポリマー(P1)、反応性希釈モノマー(M1)及び光重合開始剤(I1)は、それぞれ、1種類で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
金型ロールと基材との間に挟まれ、ここに充填された光透過部24を構成する組成物に対し、基材側から光照射装置により光を照射する。これにより、光透過部24を構成する組成物を硬化させ、その形状を固定させることができる。そして、離型ロールにより金型ロールから基材層22及び成形された光透過部24を離型する。
次に、光透過部24の凹部に光散乱部25を構成する組成物を充填して硬化させることによって、光散乱部を形成することができる。このようにして、基材層22上に光散乱層23を形成することが可能である。
このようにして形成された光散乱層23上に接着剤を積層して接着層26とし、基材層22にハードコート層21を接着剤等により貼り付ける。これにより採光シート20となる。
図10は変形例にかかる採光シート20’を備える採光パネル12’を説明する図であり、図6に相当する図である。採光シート20’は、光散乱部25’がここに到達した光を透過散乱して室内側に出射する材料により構成されている。光散乱部25’以外は採光シート20と同じなので、当該同じ構成については説明を省略する。
光散乱部25’は、透明なバインダー樹脂と該バインダー樹脂とは屈折率が異なる透明な散乱剤とを混合させた材料で構成することができる。透明なバインダー樹脂としては光透過部24と同様なものを用いることができる。一方、当該透明な散乱剤としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル及びスチレンを中心としたモノマーを重合して得られた架橋粒子が挙げられる。当該架橋粒子の具体例としては、ガンツ化成株式会社製のガンツパール(登録商標)が挙げられる。上記架橋粒子は、アクリル酸エステル及びスチレンとの混合比を変えることによって、屈折率を制御することができる。例えば、アクリル比を高くすることで屈折率を1.49程度にすることができ、スチレン比を高くすることで屈折率を1.59程度にすることができる。また、散乱剤にはウレタン架橋粒子を用いることも可能である。当該ウレタン架橋粒子の具体例としては、根上工業株式会社製のアートパール(登録商標)が挙げられる。また、散乱剤は中空粒子にすることも可能である。
光散乱層25’を備える採光シート20’によれば、図10からわかるように、光散乱部25’に到達した光を散乱させつつ透過して室内側に出射することができる。これにより採光シート20と同様に室内側に太陽光を出射しつつ直達光を減らすことが可能となる。
光散乱部25’の形態を含め、他の部位の形態については採光シート20と同様に考えることができる。
図11は第二実施形態を説明する図であり、採光パネル112の層構成を表す断面図で、図3に相当する。採光パネル112は、上記説明した採光パネル12と一部異なる構成を具備し、他の一部は採光パネル12と同様である。当該同様の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
採光パネル112は、パネル13と、該パネル13の室内側に配置された採光シート120と、を具備している。パネル13への採光シート120の取り付けは採光パネル12と同様に接着層26により行われている。
採光シート120は、室内側からハードコート層21、保護層121、接着層122、光散乱層123、基材層22、接着層26を備えている。以下、保護層121、接着層122、光散乱層123について説明する。
本実施形態で保護層121は、ハードコート層21の室外側面に積層され、基材層22と対になり、保護層121と基材層22との間に光散乱層123を挟むように配置される層である。これにより、基材層22と併せて光散乱層123を保護する機能を有する。保護層121はこのような機能を有するものであれば、その材料は特に限定されることはないが、例えば上記した基材層22と同様の材料により構成することができる。
接着層122は、保護層121と光散乱層123とを接着して積層するための層であり、接着層26と同様の構成を適用することができる。
光散乱層123は光透過部124及び光散乱部125を有している。本実施形態における光散乱層123も、光透過部123が図11に示した断面を有して基材層22の面に沿った一方向(建物1に配置された姿勢で水平方向)に延びるように配置されるとともに、該一方向とは異なる方向の基材層22の面に沿って(建物1に配置された姿勢で鉛直方向)複数の光透過部124が配列されている。本実施形態では隣り合う光透過部124が基材層側の端部で連結され、一体化されている。
一方、光散乱部125は光透過部124の間に配置されている。
図12には光散乱層123の一部を拡大した図を示した。
光透過部124は、光を透過する部位であり、光散乱層123のうち光透過部124が配置された部位における基材層22側の面とその反対側面(接着層122側の面)とは平行に形成されている。これによって、採光シート20と同様に背面側の景色がさらに見やすくなる。好ましくは光透過部124は光を散乱させることなく透過する。これにより背面側の景色の見易さが向上する。
本実施形態では光透過部124は図11、図12に表れる断面で光散乱部125間において略台形の断面を有しており、室内側が短い上底、室外側が長い下底であり光散乱部125との界面を構成する辺が脚部となっている。すなわち採光シート20の光散乱層23とは室内外が逆となる構成とされている。光透過部124を構成する材料は、上記した光透過部24と同様のものを適用することができる。
光散乱部125は、隣り合う2つの光透過部124間に形成される部位である。すなわち、上記したように光透過部124はシート面に沿った方向に所定の間隔で並列され、光透過部124間には、略台形断面を有する凹部が形成されている。本実施形態における凹部は、室内側(保護層121側)に長い下底、室外側(基材層22側)に短い上底を有する断面の溝であり、ここに光散乱部125を構成する材料が充填されることにより光散乱部125が形成されている。従って光散乱部125は凹部に基づいた断面を具備している。光散乱部124を構成する材料は上記した光散乱部25と同様のものを適用することができる。
また、光散乱層123においても同様に見込み角θを定義することができる。従って、図12にXIaで示したように隣り合う光散乱部125の向かい合う辺について、下方に配置される光散乱部125の辺の室内側端部と、隣接して上方に配置される光散乱部125の辺の室外側端部とを結ぶ線XIaを見込み線とし、該見込み線XIaが水平面となす角のうち90°以下の方の角を見込み角θとする。
当該見込み角θが取るべき範囲の考え方については、これまで説明する通りである。また、その他形状についても同様の考え方により形成することができる。
以下に示す各実施例及び比較例では、東京における南中高度を考慮した例を説明する。東京では、一年のうち最も高い南中高度における仰角θSHは78°、一年のうち最も低い南中高度における仰角θSLは31°である(表1も参照)。
また、各実施例及び比較例で用いる光透過部の屈折率はNは1.550である。従って、仰角θSHのとき、光透過部内を進む太陽光の進行角(太陽光進行角)θは39.1°、仰角θSLのとき、光透過部内を進む太陽光の進行角(太陽光進行角)θは19.4°である。
実施例1では採光シート20を備える採光パネル12の例による採光パネルを作製した。図13、表2に実施例1における光散乱層の形状を表した。これらからわかるように、実施例1では、見込み角θを19.4°とし、仰角θSLのときの太陽光進行角θと同じとした。
ここで、光散乱層等を次のように形成した。
(1)光透過部構成組成物の調整
ビスフェノールAエチレンオキシド/キシリレンジイソシアネート/フェノキシエチルアクリレート/2−ヒドロキシエチルアクリレート/ビスマストリ(2−エチルヘキサノエート)=30:15:50:5:0.02で混合し、80℃で10時間反応させ、光硬化性プレポリマー(P1)を得た。
一方、ビスフェノールAエチレンオキシド/イソホロンジイソシアネート/フェノキシエチルアクリレート/ビスマストリ(2−エチルヘキサノエート)=30:20:50:0.02で混合し、80℃で10時間反応させ、光硬化性プレポリマー(P2)を得た。
次に、光硬化性プレポリマー(P1)を30質量部、光硬化性プレポリマー(P2)を30質量部、反応性希釈モノマー(M1)としてのフェノキシエチルアクリレートを10質量部、反応性希釈モノマー(M2)としてのビスフェノールAエチレンオキシドを30質量部、金型離型剤(S1)としてのテトラデカノールエチレンオキシド10モル付加物のリン酸エステルを0.03質量部、金型離型剤(S2)としてのステアリルアミンエチレンオキシド15モル付加物を0.03質量部、及び光重合開始剤(I1)としての1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名:イルガキュア184、メーカー名:BASF)を3質量部混合し、均一化して、光透過部構成組成物を得た。
なお、この光透過部構成組成物を厚さ100μmで塗工し、高圧水銀灯により800mJ/cmの紫外線を照射して光透過部構成組成物を硬化させ、多波長アッベ屈折率計(株式会社アタゴ製)を用いて、589nmの屈折率を測定したところ、1.550であった。
(2)基材
基材としてはPETフィルム、商品名:A4300、東洋紡績社製、厚さ100μmを用いた。
(3)金型ロールの作製
光散乱層の作製に供される金型ロールを次のように作製した。すなわち、金型ロールは円柱状であり、銅メッキが施され、当該銅メッキ部分をバイトにより切削して光透過部に対応する溝を形成した。バイトとしてはダイヤモンドバイトを用いた。ロール軸方向の所定ピッチで金型ロールの銅メッキ層の外周を切削して溝を形成し、クロムメッキをした。
(4)光透過部の形成
上記(3)で作製した金型ロールとニップロールとの間に、上記(2)で説明した基材を搬送した。この基材の搬送に合わせ、上記(1)で得られた光透過部構成組成物を基材の基材層上に供給装置から供給し、金型ロールおよびニップロール間の押圧力により、基材層と金型ロールとの間に光透過部構成組成物を充填した。その後、基材側から高圧水銀灯により800mJ/cmの紫外線を照射して光透過部構成組成物を硬化させて、光透過部を形成した。その後、剥離ロールにより、金型ロールから光透過部を離型し、光透過部を含むシート(中間部材)を作製した。
この光透過部について、圧縮式微小硬度計(FISCHER HM2000)を用いて微小圧子材料に負荷をかけ、これを除荷することによって弾性率を測定した。このとき、負荷力は100mN、負荷速度は4μm/10秒、保持時間は60秒とした。その結果、光透過部の弾性率は800MPaであった。
(5)光散乱部構成組成物の調整
光硬化性プレポリマー(P3)としてウレタンアクリレートを42質量部、光硬化性プレポリマー(P4)としてエポキシアクリレートを18質量部、反応性希釈モノマー(M3)としてのトリプロピレングリコールジアクリレートを35質量部、反応性希釈モノマー(M4)としてのメトキシトリエチレングリコールアクリレートを5質量部、光散乱剤(D1)としての酸化チタンを5質量部、光重合開始剤(I1)としての1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名:イルガキュア184、メーカー名:BASF)を7質量部混合し、均一化して、光散乱部を構成する組成物を得た。
なお、この光散乱部を構成する組成物の光散乱剤を除いた成分を厚さ100μmで塗工し、高圧水銀灯により800mJ/cmの紫外線を照射して組成物を硬化させ、多波長アッベ屈折率計(株式会社アタゴ製)を用いて、589nmの屈折率を測定したところ、1.490であった。
(6)光散乱部(光散乱層)の形成
上記(5)で得られた光散乱部を構成する組成物を、上記(4)で作製した中間部材上に供給装置から供給した。また、中間部材の進行方向と略垂直に配置されたドクターブレードを用いて、中間部材上に供給した光拡散部を構成する組成物を中間部材に形成された略V字形状の溝(光透過部間の溝)内に充填するとともに、余剰分の光散乱部を構成する組成物を掻き落とした。その後、高圧水銀灯により800mJ/cmの紫外線を照射して光拡散部構成組成物を硬化させ、硬化した光散乱部を構成する組成物によって光拡散部を形成した(これを1回目の充填と記載することがある。)。この状態では、光拡散部の表面には、深さ6μmの窪みが発生していた。上記工程を更に1回行ったところ、光散乱部の表面には、深さ3μmの窪みが発生していた。
(7)粘着剤層の形成
アクリル系樹脂の粘着剤(商品名:SKダイン2094、綜研化学株式会社、固形分25.0%、溶剤は酢酸エチルとメチルエチルケトン)を100質量部と、架橋剤(E−5XM、L−45、綜研化学株式会社、固形分5.0%)を0.28質量%と、1,2,3−ベンゾトリアゾールを0.25質量部と、希釈溶剤(トルエン/メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=27.69g/27.69g/4.61g)を32.0質量部と、を混合して粘着剤組成物を得た。
この組成物を離型フィルム(商品名:E7007、東洋紡績社製、厚さ38μm)に塗布して乾燥させ、上記光散乱層の面と貼り合わせた。
なお、この粘着剤層について、多波長アッベ屈折計DR−M4(株式会社アタゴ製)を用いて589nmの屈折率を測定したところ、1.490であった。また、この粘着剤層の貯蔵弾性率は0.22MPaであった。
図14、図15、及び表2に実施例2、3における光散乱層の形状をそれぞれ表した。これら各実施例についても具体的な各所の寸法は異なるが、見込み角θを19.4°とし、仰角θSLのときの太陽光進行角θと同じとした。
図16、及び表2に実施例4における光散乱層の形状をそれぞれ表した。実施例4では見込み角θを34.4°とし、θSLのときの太陽光進行角θよりも大きく、θSHのときの太陽光進行角θよりも小さくなるようにθを形成した。
図17、及び表2に比較例1における光散乱層の形状を表した。比較例1では見込み角θをθSHのときの太陽光進行角θよりも大きくなるように形成した。
Figure 0006530580
以上示した各例の採光パネルについて、次のように直達光及び採光効率を測定して評価した。
光源(メタルハライドファイバー光源、IMH−250、シグマ光機株式会社)により白色光を所定の角度θSH、θSLで採光パネルに投射した。このとき、照度計(T−1H、コニカミノルタオプティクス株式会社)を参照しつつ、光源が500lxになるように調整した。
輝度計(LS−110、コニカミノルタオプティクス株式会社)を採光シートの入光側、及びその反対側(出光側)に設置して、それぞれの輝度を測定し、輝度比から採光効率を算出した。
一方、直達光の評価は、まぶしさを主観評価し、十分まぶしくないと感じるレベルを◎、まぶしくないと感じるレベルを○、直視できないと感じるレベルを×とした。
参考例としてパネルのみの例についても同様に測定及び評価した。表3に結果を表した。
Figure 0006530580
表3の結果からわかるように、見込み角θが式(2)を満たすことにより、効率よく直達光を減らし、高い採光効率を得ることが可能である。
従来の技術は、太陽光が拡散せずに、室内に直接達する光(直達光)が多い場合があり、室内の人がまぶしさを感じてしまう不具合があった。結果として、室内が明るくなったとしても、まぶしさ防止のため、カーテンやブラインドをしてしまい、室内が暗くなってしまう不具合があった。本発明によればこれを抑制することができ、室内を従来のように暗くすることなく、まぶしさをも防止することができる。
1 建物
10 採光装置
11 枠
12 採光パネル
13 パネル
20 採光シート
21 ハードコート層
22 基材層
23 光散乱層
24 光透過部
25 光散乱部
26 接着層
112 採光パネル
120 採光シート
121 ハードコート層
122 接着層
123 光散乱層
124 光透過部
125 光散乱部

Claims (3)

  1. シート面が鉛直となるように建物開口部に配置されるシート状である採光シートであって、
    透光性を有するシート状の基材層と、
    前記基材層の一方の面に形成され、光を散乱する光散乱層と、を備え、
    前記光散乱層は、
    前記基材層の一方の面に沿って複数並べて配置され、屈折率がNである材料により形成された光を透過する光透過部と、
    複数の前記光透過部間に配置され、光を散乱する顔料又は粒子が充填され、前記基材層が配置された側とは反対側に凹部が形成された光散乱部と、を有し、
    前記採光シートが前記建物開口部に配置された姿勢で、隣接する2つの前記光散乱部の厚さ方向断面における向かい合う辺について、下方に配置される前記光散乱部の辺の室内側端部と、隣接して上方に配置される前記光散乱部の辺の室外側端部とを結ぶ見込み線が水平面となす角を見込み角θ、空気中の屈折率をNとしたとき、下記式が成立する、採光シート。
    Figure 0006530580
  2. 透光性を有する板状のパネルと、
    前記パネルの一方の面に貼付される請求項1記載の採光シートと、
    少なくとも前記パネルの周囲を囲むように配置される枠と、を備える採光装置。
  3. 壁に形成された開口部に請求項に記載の採光装置が設置された建物。
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