JP6530580B2 - 採光シート、採光装置、及び建物 - Google Patents
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また、特許文献2に開示されている技術では、外側から入射する光について制御することができるが、室内側から外を見たときに像が屈折するため、外の景色を見るための鮮明さに不足があった。さらに、特許文献2に開示されている採光用光学素子は、プリズム状の凹凸が室内側に露出しているため、設置場所によっては損傷を受けやすく、耐久性に問題があった。
図2には1つの採光装置10を室外側から正面視した図を表した。このように採光装置10は、枠11と該枠11の枠組み内に配置された採光パネル12とを備えており、いわゆる窓として構成されている。そして当該採光装置10が上記のように建物1の開口部に配置される。
具体的には電離放射線硬化性樹脂、その他公知の硬化性樹脂等を要求性能に応じて適宜採用すればよい。電離放射線硬化性樹脂としては、アクリレート系、オキセタン系、シリコーン系等が挙げられる。例えば、アクリレート系の電離放射線硬化性樹脂は、単官能(メタ)アクリレートモノマー、2官能(メタ)アクリレートモノマー、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーなどの(メタ)アクリル酸エステルモノマー、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルオリゴマー乃至は(メタ)アクリル酸エステルプレポリマーなどからなる。さらに3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを例示すれば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等がある。
帯電防止性向上のために用いることができる材料としては、電子伝導タイプではPEDOT−PSS(PEDOT(Poly(3,4−ethylenedioxythiophene);3,4−エチレンジオキシチオフェンポリマー)とPSS(poly(styrenesulfonate);スチレンスルホン酸ポリマー)とを共存)などが挙げられ、イオン導電タイプではリチウム塩系材料等が挙げられる。
また、撥水性向上のために用いることができる材料としては、フッ素系化合物等が挙げられる。
従って基材層22は、透光性を有するとともに光散乱層23の変形を防止できるように支持する。かかる観点から、基材層22を構成する材料の具体例として例えば、アクリル、スチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル等のうちの1つ以上を主成分とする透明樹脂や、エポキシアクリレートやウレタンアクリレート系の反応性樹脂(電離放射線硬化型樹脂等)を挙げることができる。
一方、光散乱部25は隣り合う光透過部24の間に配置されている。
光透過部24は、光を透過する部位であり、光散乱層23のうち光透過部24が配置された部位における基材層22側の面とその反対側面(接着層26側の面)とは平行に形成されている。これによって、後に説明するように採光シート20を通して室外側の景色がさらに見やすくなる。好ましくは光透過部24は光を散乱させることなく透過する。これにより背面側の景色の見易さが向上する。ここに「光を散乱させることなく透過する」とは、意図的に散乱させる材料等を添加することなく形成された部位であることを意味し、材料中を光が透過するときに不可避的に散乱が生じることは許容される。
ここで光透過部24を構成する材料の屈折率は、基材層22の屈折率と同じであってもよいし、異なっていてもよい。ただし両者間で屈折率差があるとその界面で光が偏向されてしまう可能性が高まるので、同じ材料であること、又は異なる材料であっても屈折率差が小さい、あるいは屈折率差がないことが好ましい。
また、光散乱部25を透明なバインダー樹脂と該バインダー樹脂とは屈折率が異なる透明な散乱剤とを混合させた材料で構成してもよい。透明なバインダー樹脂としては光透過部24と同様なものを用いることができる。一方、当該透明な散乱剤としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル及びスチレンを中心としたモノマーを重合して得られた架橋粒子が挙げられる。当該架橋粒子の具体例としては、ガンツ化成株式会社製のガンツパール(登録商標)が挙げられる。上記架橋粒子は、アクリル酸エステル及びスチレンとの混合比を変えることによって、屈折率を制御することができる。例えば、アクリル比を高くすることで屈折率を1.49程度にすることができ、スチレン比を高くすることで屈折率を1.59程度にすることができる。また、散乱剤にはウレタン架橋粒子を用いることも可能である。当該ウレタン架橋粒子の具体例としては、根上工業株式会社製のアートパール(登録商標)が挙げられる。また、散乱剤は中空粒子にすることも可能である。
また、そのときにおける光透過部24と光散乱部25との屈折率差は、0.03以上0.07以下、より好ましくは0.05以上0.06以下である。屈折率差が0より大きく0.03より小さい範囲では、全反射時の波長分散(波長により全反射角度が異なることによる分散。)が生じた際に長波長の成分が全反射せず、短波長の成分のみが全反射することがあり、色彩の変化が生じる虞がある。一方、屈折率差が0.06より大きいと、短波長の成分の屈折率が長波長の屈折率の成分の屈折率に対して大きくなる傾向にあり、虹状のムラが顕著に表れる虞がある。
ただし、これに限らず光散乱部25と光透過部24との屈折率を同じ大きさとしてもよい。
2つの光散乱部25の間には上記のように光透過部24が配置される。従って、図4にIVaで示したように光透過部24の対角線に相当する線を定義することができる。より詳しくは、隣り合う光散乱部25の向かい合う辺について、下方に配置される光散乱部25の辺の室内側端部と、隣接して上方に配置される光散乱部25の辺の室外側端部とを結ぶ線IVaを見込み線とし、該見込み線IVaが水平面となす角のうち90°以下の方の角を見込み角θ1とする。本実施形態では当該θ1が所定の値をとることが好ましい。θ1の具体的な説明は太陽光の光路に関係するので、後で光路例とともに説明する。
θUは後述するように、この斜辺で全反射した光をできるだけ上方に偏向する観点から決められることが好ましい。そのため、θUを0°とすることができる。また、θDは製造の観点から0°以上30°以下とすることが好ましい。
また、光散乱部25の断面のうち、室外側(基材層22と反対側で光透過部間の凹部の開口側)の大きさは特に限定されないが、5μm以上150μm以下であることが好ましい。この幅が狭すぎると微細形状になるので加工が困難になる。一方、この幅が広すぎると金型で成形する際に材料の離型性が低下する傾向にある。
また、脚部は曲線状、折れ線状であってもよい。図5に各例の光散乱部の断面形状を表した。図5(a)が脚部が凸状の曲線の光散乱部25aの例、図5(b)が脚部が凹状の曲線の光散乱部25bの例、及び図5(c)が脚部が折れ線状の光散乱部25cの例である。
図5(d)には、光散乱部の断面うち下底側(光透過部間に形成される溝の開口側)が凹状に形成されている例の光散乱部25dを表した。この場合、当該凹状の内側には隣接する接着層26の接着剤が充填される。
図5(e)には、光散乱部の断面形状が三角形である例の光散乱部25eを表した。このように光散乱部は三角形断面を有するものであってもよい。
接着層26は、パネル13に採光シート20を接着するための層である。接着層26を構成する材料としては、パネル13に採光シート20を接着できるものであれば特に限定されず、公知の粘着剤、接着剤、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂等を用いることができる。より具体的な例としては、接着層26として、例えばアクリル系の粘着剤を用いることができ、さらに具体的にはアクリル系共重合体とイソシアネート化合物とを組み合わせた粘着剤を挙げることができる。ただし、接着層26を構成する材料は、採光シート20の性質上、透光性、耐候性に優れた材料によることが好ましい。
基本的な考え方は式(3)、式(4)の算出と同様であるから、図9からわかるように、仰角θSLによる太陽光LSLが見込み線に沿うように進むことを考えればよいので、式(6)を得ることができる。
光散乱部25’の形態を含め、他の部位の形態については採光シート20と同様に考えることができる。
採光パネル112は、パネル13と、該パネル13の室内側に配置された採光シート120と、を具備している。パネル13への採光シート120の取り付けは採光パネル12と同様に接着層26により行われている。
一方、光散乱部125は光透過部124の間に配置されている。
光透過部124は、光を透過する部位であり、光散乱層123のうち光透過部124が配置された部位における基材層22側の面とその反対側面(接着層122側の面)とは平行に形成されている。これによって、採光シート20と同様に背面側の景色がさらに見やすくなる。好ましくは光透過部124は光を散乱させることなく透過する。これにより背面側の景色の見易さが向上する。
当該見込み角θ1が取るべき範囲の考え方については、これまで説明する通りである。また、その他形状についても同様の考え方により形成することができる。
また、各実施例及び比較例で用いる光透過部の屈折率はNpは1.550である。従って、仰角θSHのとき、光透過部内を進む太陽光の進行角(太陽光進行角)θpは39.1°、仰角θSLのとき、光透過部内を進む太陽光の進行角(太陽光進行角)θPは19.4°である。
(1)光透過部構成組成物の調整
ビスフェノールAエチレンオキシド/キシリレンジイソシアネート/フェノキシエチルアクリレート/2−ヒドロキシエチルアクリレート/ビスマストリ(2−エチルヘキサノエート)=30:15:50:5:0.02で混合し、80℃で10時間反応させ、光硬化性プレポリマー(P1)を得た。
一方、ビスフェノールAエチレンオキシド/イソホロンジイソシアネート/フェノキシエチルアクリレート/ビスマストリ(2−エチルヘキサノエート)=30:20:50:0.02で混合し、80℃で10時間反応させ、光硬化性プレポリマー(P2)を得た。
次に、光硬化性プレポリマー(P1)を30質量部、光硬化性プレポリマー(P2)を30質量部、反応性希釈モノマー(M1)としてのフェノキシエチルアクリレートを10質量部、反応性希釈モノマー(M2)としてのビスフェノールAエチレンオキシドを30質量部、金型離型剤(S1)としてのテトラデカノールエチレンオキシド10モル付加物のリン酸エステルを0.03質量部、金型離型剤(S2)としてのステアリルアミンエチレンオキシド15モル付加物を0.03質量部、及び光重合開始剤(I1)としての1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名:イルガキュア184、メーカー名:BASF)を3質量部混合し、均一化して、光透過部構成組成物を得た。
なお、この光透過部構成組成物を厚さ100μmで塗工し、高圧水銀灯により800mJ/cm2の紫外線を照射して光透過部構成組成物を硬化させ、多波長アッベ屈折率計(株式会社アタゴ製)を用いて、589nmの屈折率を測定したところ、1.550であった。
基材としてはPETフィルム、商品名:A4300、東洋紡績社製、厚さ100μmを用いた。
光散乱層の作製に供される金型ロールを次のように作製した。すなわち、金型ロールは円柱状であり、銅メッキが施され、当該銅メッキ部分をバイトにより切削して光透過部に対応する溝を形成した。バイトとしてはダイヤモンドバイトを用いた。ロール軸方向の所定ピッチで金型ロールの銅メッキ層の外周を切削して溝を形成し、クロムメッキをした。
上記(3)で作製した金型ロールとニップロールとの間に、上記(2)で説明した基材を搬送した。この基材の搬送に合わせ、上記(1)で得られた光透過部構成組成物を基材の基材層上に供給装置から供給し、金型ロールおよびニップロール間の押圧力により、基材層と金型ロールとの間に光透過部構成組成物を充填した。その後、基材側から高圧水銀灯により800mJ/cm2の紫外線を照射して光透過部構成組成物を硬化させて、光透過部を形成した。その後、剥離ロールにより、金型ロールから光透過部を離型し、光透過部を含むシート(中間部材)を作製した。
この光透過部について、圧縮式微小硬度計(FISCHER HM2000)を用いて微小圧子材料に負荷をかけ、これを除荷することによって弾性率を測定した。このとき、負荷力は100mN、負荷速度は4μm/10秒、保持時間は60秒とした。その結果、光透過部の弾性率は800MPaであった。
光硬化性プレポリマー(P3)としてウレタンアクリレートを42質量部、光硬化性プレポリマー(P4)としてエポキシアクリレートを18質量部、反応性希釈モノマー(M3)としてのトリプロピレングリコールジアクリレートを35質量部、反応性希釈モノマー(M4)としてのメトキシトリエチレングリコールアクリレートを5質量部、光散乱剤(D1)としての酸化チタンを5質量部、光重合開始剤(I1)としての1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名:イルガキュア184、メーカー名:BASF)を7質量部混合し、均一化して、光散乱部を構成する組成物を得た。
なお、この光散乱部を構成する組成物の光散乱剤を除いた成分を厚さ100μmで塗工し、高圧水銀灯により800mJ/cm2の紫外線を照射して組成物を硬化させ、多波長アッベ屈折率計(株式会社アタゴ製)を用いて、589nmの屈折率を測定したところ、1.490であった。
上記(5)で得られた光散乱部を構成する組成物を、上記(4)で作製した中間部材上に供給装置から供給した。また、中間部材の進行方向と略垂直に配置されたドクターブレードを用いて、中間部材上に供給した光拡散部を構成する組成物を中間部材に形成された略V字形状の溝(光透過部間の溝)内に充填するとともに、余剰分の光散乱部を構成する組成物を掻き落とした。その後、高圧水銀灯により800mJ/cm2の紫外線を照射して光拡散部構成組成物を硬化させ、硬化した光散乱部を構成する組成物によって光拡散部を形成した(これを1回目の充填と記載することがある。)。この状態では、光拡散部の表面には、深さ6μmの窪みが発生していた。上記工程を更に1回行ったところ、光散乱部の表面には、深さ3μmの窪みが発生していた。
アクリル系樹脂の粘着剤(商品名:SKダイン2094、綜研化学株式会社、固形分25.0%、溶剤は酢酸エチルとメチルエチルケトン)を100質量部と、架橋剤(E−5XM、L−45、綜研化学株式会社、固形分5.0%)を0.28質量%と、1,2,3−ベンゾトリアゾールを0.25質量部と、希釈溶剤(トルエン/メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=27.69g/27.69g/4.61g)を32.0質量部と、を混合して粘着剤組成物を得た。
この組成物を離型フィルム(商品名:E7007、東洋紡績社製、厚さ38μm)に塗布して乾燥させ、上記光散乱層の面と貼り合わせた。
なお、この粘着剤層について、多波長アッベ屈折計DR−M4(株式会社アタゴ製)を用いて589nmの屈折率を測定したところ、1.490であった。また、この粘着剤層の貯蔵弾性率は0.22MPaであった。
光源(メタルハライドファイバー光源、IMH−250、シグマ光機株式会社)により白色光を所定の角度θSH、θSLで採光パネルに投射した。このとき、照度計(T−1H、コニカミノルタオプティクス株式会社)を参照しつつ、光源が500lxになるように調整した。
輝度計(LS−110、コニカミノルタオプティクス株式会社)を採光シートの入光側、及びその反対側(出光側)に設置して、それぞれの輝度を測定し、輝度比から採光効率を算出した。
一方、直達光の評価は、まぶしさを主観評価し、十分まぶしくないと感じるレベルを◎、まぶしくないと感じるレベルを○、直視できないと感じるレベルを×とした。
10 採光装置
11 枠
12 採光パネル
13 パネル
20 採光シート
21 ハードコート層
22 基材層
23 光散乱層
24 光透過部
25 光散乱部
26 接着層
112 採光パネル
120 採光シート
121 ハードコート層
122 接着層
123 光散乱層
124 光透過部
125 光散乱部
Claims (3)
- シート面が鉛直となるように建物開口部に配置されるシート状である採光シートであって、
透光性を有するシート状の基材層と、
前記基材層の一方の面に形成され、光を散乱する光散乱層と、を備え、
前記光散乱層は、
前記基材層の一方の面に沿って複数並べて配置され、屈折率がNPである材料により形成された光を透過する光透過部と、
複数の前記光透過部間に配置され、光を散乱する顔料又は粒子が充填され、前記基材層が配置された側とは反対側に凹部が形成された光散乱部と、を有し、
前記採光シートが前記建物開口部に配置された姿勢で、隣接する2つの前記光散乱部の厚さ方向断面における向かい合う辺について、下方に配置される前記光散乱部の辺の室内側端部と、隣接して上方に配置される前記光散乱部の辺の室外側端部とを結ぶ見込み線が水平面となす角を見込み角θ1、空気中の屈折率をN0としたとき、下記式が成立する、採光シート。
- 透光性を有する板状のパネルと、
前記パネルの一方の面に貼付される請求項1に記載の採光シートと、
少なくとも前記パネルの周囲を囲むように配置される枠と、を備える採光装置。 - 壁に形成された開口部に請求項2に記載の採光装置が設置された建物。
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