JP2016194579A - 採光部材、光制御機能付き窓材、採光部材の設計方法および採光部材の製造方法 - Google Patents

採光部材、光制御機能付き窓材、採光部材の設計方法および採光部材の製造方法 Download PDF

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健太郎 秋山
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Abstract

【課題】採光性に優れ、安定的に製造可能な採光部材を提供する。
【解決手段】採光部材において、基材1と、基材1の一方の表面上に形成された光制御層2と、を有し、光制御層2は、一方の表面に複数本の溝部を有する樹脂製光透過部11および溝部内に形成された光制御部13を有し、樹脂製光透過部11は、光制御部13より屈折率が高く、樹脂製光透過部11の架橋間分子量が1500g/mol〜3000g/molの範囲内である。
【選択図】図3

Description

本発明は、採光性に優れ、安定的に製造可能な採光部材に関するものである。
近年、地球温暖化等の環境問題の深刻化に伴い、省エネルギーやCOの削減を目的として、光制御層を有する採光部材を利用した住宅、自動車等の空間温度調整が進められている。
採光部材とは、太陽光等の外光の入射角度に応じて選択的に光の吸収、偏光、反射、透過等を行うことにより、室内への熱線および可視光線の入射量を調整する機能性シートである。
採光部材としては、特許文献1に示すように、光制御層として溝部を有する樹脂製光透過部と樹脂製光透過部の溝部内に形成された低屈折率の光制御部とを有するものが知られている。
樹脂製光透過部の形成方法としては、溝部に対応する凸部を有する賦型原版と基材との間に電離放射線硬化性樹脂を含む光透過部形成用組成物を流し込みながら電離放射線を照射して硬化させた後、樹脂製光透過部を賦型原版から取り出する方法が知られている。
特開2014−126708号公報
特許文献1に記載の採光部材をより採光性を向上する方法としては、樹脂製光透過部と光制御部との屈折率差を大きくする方法が考えられる。屈折率差を大きくする方法としては、具体的には、高屈折率の電離放射線硬化性樹脂を用いて樹脂製光透過部を形成する方法が挙げられる。
しかしながら、高屈折率の電離放射線硬化性樹脂を用いて樹脂製光透過部を形成した場合、賦型原版から取り出す際に樹脂製光透過部に加わる応力により、樹脂製光透過部が割れる不具合、変形する不具合、基材との密着性が低下する結果、賦型原版から基材と共に樹脂製光透過部を容易に剥離することが困難となる不具合等が生じ、所望の形状の樹脂製光透過部を得ることができない場合があるといった問題がある。
また、賦型原版から取り出す際の樹脂製光透過部に加わる応力等の抑制方法としては、例えば電離放射線硬化性樹脂を含む光透過部形成用組成物への離型剤の添加量を多くし、賦型原版からの離型性を向上させる方法も考えられるが、樹脂製光透過部と基材との密着性が低下するといった問題がある。また、その結果、賦型原版から樹脂製光透過部を剥離する際に、樹脂製光透過部から基材が剥離し、賦型原版から樹脂製光透過部を安定的に剥離できない場合があるといった問題がある。さらに、長期間使用時に樹脂製光透過部および基材の密着性が低くなる等、長期信頼性が低下する問題がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、採光性に優れ、安定的に製造可能な採光部材を提供することを主目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく研究を重ねた結果、樹脂製光透過部の架橋間分子量を調整することにより、賦型原版から取り出す際の樹脂製光透過部の割れ等の不具合を抑制できることを見出し、本発明を完成させるに至ったのである。
すなわち、本発明は、基材と、上記基材の一方の表面上に形成された光制御層と、を有し、上記光制御層は、一方の表面に複数本の溝部を有する樹脂製光透過部および上記溝部内に形成された光制御部を有し、上記樹脂製光透過部は、上記光制御部より屈折率が高く、上記樹脂製光透過部の架橋間分子量が1500g/mol〜3000g/molの範囲内であることを特徴とする採光部材を提供する。
本発明によれば、上記樹脂製光透過部の架橋間分子量が1500g/mol〜3000g/molの範囲内であることにより、採光性向上を目的として高屈折率の構成材料を含む光透過部形成用組成物に賦型原版の凹凸形状を転写することにより樹脂製光透過部を形成した場合でも、光透過部形成用組成物に多量の離型剤を添加することなく、樹脂製光透過部を賦型原版から安定的に取り出すことができる。
したがって、採光部材を、採光性に優れ、安定的に製造可能なものとすることができる。
本発明においては、上記樹脂製光透過部の屈折率が1.58以上であることが好ましい。上記樹脂製光透過部の屈折率が1.58以上であることにより、採光部材を、採光性により優れたものとすることができるからである。
本発明は、一対の窓材と、上記一対の窓材の間に接着層を介して配置された採光部材と、を有する光制御機能付き窓材であって、上記採光部材は、基材と、上記基材の一方の表面上に形成された光制御層と、を有し、上記光制御層は、一方の表面に複数本の溝部を有する樹脂製光透過部および上記溝部内に形成された光制御部を有し、上記樹脂製光透過部は、上記光制御部より屈折率が高く、上記樹脂製光透過部の架橋間分子量が1500g/mol〜3000g/molの範囲内であることを特徴とする光制御機能付き窓材を提供する。
本発明によれば、上述の採光部材を用いるものであることにより、光制御機能付き窓材を、採光性に優れ、低コストなものとすることができる。
本発明は、基材と、上記基材の一方の表面上に形成された光制御層と、を有し、上記光制御層は、一方の表面に複数本の溝部を有する樹脂製光透過部および上記溝部内に形成された光制御部を有し、上記樹脂製光透過部は、上記光制御部より屈折率が高い採光部材の設計方法であって、上記樹脂製光透過部の架橋間分子量が1500g/mol〜3000g/molの範囲内となるように、上記樹脂製光透過部の構成材料を選択する材料選択工程を有することを特徴とする採光部材の設計方法を提供する。
本発明によれば、上記材料選択工程が上記樹脂製光透過部の架橋間分子量が1500g/mol〜3000g/molの範囲内とするように上記樹脂製光透過部の構成材料を選択するものであることにより、高屈折率の構成材料を含む光透過部形成用組成物に賦型原版の凹凸形状を転写することにより樹脂製光透過部を形成した場合でも、光透過部形成用組成物に多量の離型剤を添加することなく、樹脂製光透過部を賦型原版から安定的に取り出すことができる。
したがって、採光性に優れ、安定的に製造可能な採光部材を、容易に設計することができる。
本発明は、基材と、上記基材の一方の表面上に形成された光制御層と、を有し、上記光制御層は、一方の表面に複数本の溝部を有する樹脂製光透過部および上記溝部内に形成された光制御部を有し、上記樹脂製光透過部は、上記光制御部より屈折率が高い採光部材の製造方法であって、上記樹脂製光透過部の架橋間分子量が1500g/mol〜3000g/molの範囲内となるように、上記樹脂製光透過部の構成材料を選択する材料選択工程と、上記材料選択工程により選択された上記構成材料を用いて上記樹脂製光透過部を形成する光透過部形成工程と、を有することを特徴とする採光部材の製造方法を提供する。
本発明によれば、上記材料選択工程が上記樹脂製光透過部の架橋間分子量が1500g/mol〜3000g/molの範囲内とするように上記樹脂製光透過部の構成材料を選択するものであることにより、上記光透過部形成工程において、高屈折率の構成材料を含む光透過部形成用組成物に賦型原版の凹凸形状を転写することにより樹脂製光透過部を形成した場合でも、光透過部形成用組成物に多量の離型剤を添加することなく、樹脂製光透過部を賦型原版から安定的に取り出すことができる。
したがって、採光性に優れた採光部材を、安定的に製造可能なものとすることができる。
本発明は、採光性に優れ、安定的に製造可能な採光部材を提供できるという効果を奏する。
本発明の採光部材の一例を示す概略断面図である。 本発明の採光部材に用いられる光制御層の一例を示す概略斜視図および断面図である。 本発明の採光部材内における光の透過経路を説明するための説明図である。 本発明における溝部の縦断面形状の一例を示す概略断面図である。 本発明の光制御機能付き窓材の一例を示す概略断面図である。 本発明の光制御機能付き窓材の他の例を示す概略断面図である。 本発明の建物の一例を示す概略斜視図である。 本発明の採光部材の製造方法の一例を示す工程図である。
本発明は、採光部材、それを用いた光制御機能付き窓材、その設計方法およびその製造方法に関するものである。
以下、本発明の採光部材、光制御機能付き窓材、採光部材の設計方法および採光部材の製造方法について詳細に説明する。
A.採光部材
本発明の採光部材は、基材と、上記基材の一方の表面上に形成された光制御層と、を有し、上記光制御層は、一方の表面に複数本の溝部を有する樹脂製光透過部および上記溝部内に形成された光制御部を有し、上記樹脂製光透過部は、上記光制御部より屈折率が高く、上記樹脂製光透過部の架橋間分子量が1500g/mol〜3000g/molの範囲内であることを特徴とするものである。
このような本発明の採光部材について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の採光部材の一例を示す概略断面図である。図2(a)は本発明に用いられる光制御部の一例を示す概略斜視図であり、図2(b)は、図2(a)のX−X線断面図である。
図1および図2に示すように、本発明の採光部材10は、基材1と、上記基材1の一方の表面上に形成された光制御層2と、を有し、上記光制御層2は、一方の表面に複数本の溝部12を有する樹脂製光透過部11および上記溝部12内に形成された光制御部13を有し、上記樹脂製光透過部11は、上記光制御部13より屈折率が高く、上記樹脂製光透過部11の架橋間分子量が1500g/mol〜3000g/molの範囲内であるものである。
なお、図1は、上記採光部材10は、上記光制御層2の上記基材1とは反対側の表面上に粘着層3を有する例を示すものである。
本発明によれば、上記樹脂製光透過部の架橋間分子量が1500g/mol〜3000g/molの範囲内であることにより、採光性向上を目的として高屈折率の構成材料を含む光透過部形成用組成物に賦型原版の凹凸形状を転写することにより樹脂製光透過部を形成した場合でも、光透過部形成用組成物に多量の離型剤を添加することなく、樹脂製光透過部を賦型原版から安定的に取りだすことができる。
したがって、採光部材を、採光性に優れ、安定的に製造可能なものとすることができる。
また、安定的に製造できることで、採光部材を低コストなものとすることができる。
さらに、多量の離型剤の添加を不要とすることで、樹脂製光透過部と基材との密着性に優れたものとすることができ、上記採光部材を、長期間使用した場合でも樹脂製光透過部および基材の剥離の少ない長期信頼性に優れたものとすることができる。
ここで、上記樹脂製光透過部の架橋間分子量が1500g/mol〜3000g/molの範囲内であることにより、樹脂製光透過部を賦型原版から安定的に取り出すことができる理由については、以下のように推察される。
すなわち、上記樹脂製光透過部の架橋間分子量が小さく、上記樹脂製光透過部に含まれる樹脂材料の架橋点が多いと、上記樹脂製光透過部の硬く欠けやすいものとなる。また、上記樹脂製光透過部の形成に用いられる光透過部形成用組成物中の多官能の電離放射線硬化性樹脂等の含有量が多くなる結果、上記光透過部形成用組成物を硬化させる際の硬化収縮量が大きくなり、基材との密着性が低下する。さらに、基材との密着性が低下することにより、賦型原版から基材と共に樹脂製光透過部を容易に剥離することが困難となる。
一方、上記樹脂製光透過部の架橋間分子量が大きく、上記樹脂製光透過部に含まれる樹脂材料の架橋点が少ないと上記樹脂製光透過部の強度が低くなる。
これに対して、上記樹脂製光透過部の架橋間分子量が上述の範囲内であることにより、上記樹脂製光透過部の硬度および強度のバランスに優れ、上記基材との密着性に優れたものとすることができる。また、多量の離型剤の添加を不要とすることで、樹脂製光透過部と基材との密着性の低下を抑制でき、賦型原版から基材と共に樹脂製光透過部を容易に剥離することが可能となる。
このようなことから、樹脂製光透過部を賦型原版から安定的に取り出すことができる。
図3は、本発明の採光部材内における光の透過経路を説明するための説明図である。図3中の符号については図1および図2で説明したものと同様とする。また、図3では、上記溝部の形状が一方の側面の斜辺が基材1とは反対側の表面から第1の直線12aおよび第2の直線12bの2本の直線により構成され、他方の側面が第3の直線12cの1本の直線により構成されるテーパー形状である例を示すものである。
図3に例示するように、太陽高度が低い場合では、窓ガラス100に対する太陽光(L1)の入射角度θが小さくなり、太陽光L1は、樹脂製光透過部11と光制御部13との境界面のうち、上記第2の直線12bの形成面に多く入射される。このとき、可視光は、樹脂製光透過部11と光制御部13との境界面で屈折または全反射し、室内に取り込まれる。
一方、太陽高度が高い場合には、窓ガラス100に対する太陽光L2の入射角度θは大きくなるため、太陽光L2は樹脂製光透過部11と光制御部13との境界面のうち、上記第1の直線12aの形成面に多く入射される。このとき、可視光は、樹脂製光透過部11と光制御部13との境界面で屈折または全反射し、さらに必要に応じて、上記第2の直線12bの形成面でも屈折または全反射して、室内に取り込まれる。
また、上記形状以外の溝部についても、樹脂製光透過部11と光制御部13との境界面で、太陽光を屈折または全反射することにより、可視光を室内に取り込むことができる。
このように、上記採光部材は、太陽高度の低い場合から高い場合まで幅広く太陽光を室内に取り込むことができる。
本発明の採光部材は、基材および光制御層を有するものである。
以下、本発明の採光部材における各構成について説明する。
1.光制御層
本発明における光制御層は、上記基材の一方の表面上に形成されるものである。
また、上記光制御層は、樹脂製光透過部および光制御部を有するものである。
(1)樹脂製光透過部
本発明における樹脂製光透過部は、一方の表面に複数本の溝部を有するものである。
上記樹脂製光透過部は、上記光制御部より屈折率が高いものである。
上記樹脂製光透過部は、架橋間分子量が1500g/mol〜3000g/molの範囲内である。
(a)架橋間分子量
本発明における樹脂製光透過部の架橋間分子量は、1500g/mol〜3000g/molの範囲内であれば特に限定されるものではないが、1500g/mol〜2500g/molの範囲内であることが好ましい。上記架橋間分子量が上述の範囲内であることにより、より安定的に製造可能なものとすることができるからである。
ここで、上記架橋間分子量は、上記樹脂製光透過部に含まれる樹脂材料の架橋点と架橋点との間の分子量の大きさの指標であり、下記式(a)により求められるものである。
上記式(a)中の貯蔵弾性率(Pa)は、上記樹脂製光透過部のガラス転移点以上でのゴム状領域における貯蔵弾性率であり、動的粘弾性測定を行うことにより求めることができる。動的粘弾性の測定装置としては、例えば、UBM製 Rheogel E4000を用いることができる。
測定サンプルは、精度良く動的粘弾性測定を行うことができるものであれば特に限定されるものではないが、測定対象の樹脂製光透過部のうち溝部が形成されていない箇所を用いることができる。
測定サンプルとして用いられる樹脂製光透過部は、採光部材から採取されたものを用いても良いが、同一の組成および硬化度の測定用樹脂製光透過部を作成して用いても良い。
Figure 2016194579
(式(a)中、密度は上記樹脂製光透過部の25℃における比重計での測定値(kg・m−3)であり、気体定数は8.314mkg・s−2・K−1・mol−1であり、絶対温度は上記貯蔵弾性率を与える温度である。)
上記樹脂製光透過部の構成材料の選択方法としては、上記樹脂製光透過部を上述の架橋間分子量とすることができる構成材料を選択できる方法であれば特に限定されるものではなく、上記構成材料の主成分として含有される樹脂材料および可塑剤等を適宜選択する方法を挙げることができる。
ここで、架橋間分子量は、樹脂材料の架橋点と架橋点との間の分子量の大きさの指標として用いられるものである。このため、樹脂材料を構成材料の主成分として含有する樹脂製光透過部の架橋間分子量は、樹脂材料による影響が大きい。
このような観点から、上記樹脂製光透過部の構成材料の選択方法としては、上記樹脂材料を選択する方法を用いることが好ましい。
また、上記樹脂材料の選択方法としては、上記架橋間分子量を所望の範囲内に調整可能な選択方法であれば良く、より具体的には、上記樹脂材料が電離放射線硬化性樹脂の硬化物を含む場合、架橋間分子量を小さくする、すなわち、架橋点を多くするとの観点からは、重合性基を2以上含む多官能の上記電離放射線硬化性樹脂を選択し、架橋間分子量を大きくする、すなわち、架橋点を少なくするとの観点からは、重合性基を1つ含む単官能の上記電離放射線硬化性樹脂や、重合性基を2以上含む多官能の上記電離放射線硬化性樹脂として、アクリル当量(分子量/重合性基数)が1000以上のようなアクリル当量の大きいオリゴマー、ポリマー等を選択する方法を用いることができる。
また、架橋間分子量を小さくする観点から選択される多官能の上記電離線硬化性樹脂としては、架橋間分子量の調整容易の観点から、2官能の上記電離線硬化性樹脂を好ましく用いることができる。
(b)樹脂製光透過部の構成材料
上記樹脂製光透過部の構成材料は、樹脂材料を主成分として含むものである。
上記樹脂材料としては、上記架橋間分子量を有し、上記光制御部より屈折率が高い樹脂製光透過部を形成可能なものであれば特に限定されるものではないが、電離放射線硬化性樹脂の硬化物を含むことが好ましい。上記樹脂材料が電離放射線硬化性樹脂の硬化物を含むことにより、例えば、溝部に対応する凸部を有する賦型原版と基材との間に上記電離放射線硬化性樹脂を塗布して、上記電離放射線硬化性樹脂に賦型原版の凹凸形状を転写しつつ硬化させることにより、所望の形状の樹脂製光透過部を容易に形成できるからである。
なお、ここでの電離放射線とは、すべての紫外線(UV−A、UV−B、UV−C)、可視光線、γ線、X線、電子線、および活性エネルギー線等を指す。
上記電離放射線硬化性樹脂としては、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、可視光線硬化性樹脂、近赤外線硬化性樹脂等が挙げられる。上記電離放射線硬化性樹脂としては、中でも、紫外線硬化性樹脂および電子線硬化性樹脂を用いることが好ましい。
上記紫外線硬化性樹脂および電子線硬化性樹脂としては、従来から慣用されている重合性モノマー、重合性オリゴマーおよび重合性プレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。
本発明においては、上記紫外線硬化性樹脂および電子線硬化性樹脂が、重合性モノマー、重合性オリゴマーおよび重合性プレポリマーのいずれか1種類を用いるものであっても良く、2種類以上を組み合わせて用いるものであっても良い。
例えば、上記紫外線硬化性樹脂および電子線硬化性樹脂は、上記重合性モノマーのみを含むものとすることができる。
上記重合性モノマーとしては、重合性基を1つ含む単官能モノマー、重合性基を2以上含む多官能モノマーを用いることができる。重合性基としては、紫外線または電子線により重合することができるものであれば特に限定されるものではなく、エチレン性不飽和二重結合等のラジカル重合性不飽和基を挙げることができる。
上記重合性モノマーは、上記単官能モノマーおよび多官能モノマーの少なくとも一方を含むものとすることができるが、上記架橋間分子量の調整の観点から上記単官能モノマーおよび多官能モノマーの両者を含むことが好ましい。
上記単官能モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、ビニルピロリドン、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、β−ヒドロキシ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、m−フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノールエチレンオキサイド(EO)変性アクリレート、パラクミルフェノールEO変性アクリレート、ラウリルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート等の単官能(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
上記多官能モノマーとしては、例えば、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
上記重合性モノマーは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、(メタ)アクリレートとは、アクリレートまたはメタクリレートを指すものである。
上記重合性オリゴマーおよびプレポリマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマーやプレポリマー、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系、ポリエーテル系のウレタン(メタ)アクリレート、カプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系のオリゴマーやプレポリマー、エチレンオキシド(EO)変性、プロピレンオキシド(PO)変性、プロポキシ化エトキシ化等の変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
本発明においては、上記樹脂製光透過部および上記光制御部の屈折率の差を大きなものとする観点から、上記紫外線硬化性樹脂および電子線硬化性樹脂が、芳香族を含む紫外線硬化性樹脂および電子線硬化性樹脂を含むことが好ましい。上記樹脂製光透過部の屈折率を高いものとすることができるからである。
具体的には、上記芳香族を含む紫外線硬化性樹脂および電子線硬化性樹脂としては、芳香族を含む重合性モノマー、オリゴマーおよびプレポリマー等を挙げることができる。
上記芳香族を含む重合性モノマーとしては、具体的には、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、m−フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノールエチレンオキサイド(EO)変性アクリレート、パラクミルフェノールEO変性アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香族を含む重合性モノマー等を挙げることができる。
上記芳香族を含む紫外線硬化性樹脂および電子線硬化性樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記樹脂材料は、上記樹脂製光透過部の構成材料の主成分として含有されるものである。
ここで、上記樹脂製光透過部の構成材料の主成分として含有されるとは、上記樹脂材料の上記樹脂製光透過部中の含有量が、70質量%以上であることをいうものである。
本発明においては、上記含有量が、90質量%以上であることが好ましく、なかでも、95質量%以上であることが好ましい。上記含有量が上述の範囲内であることにより、上記架橋間分子量の調整が容易だからである。
なお、上記含有量は大きいほど好ましいため特に限定されるものではないが、上記樹脂製光透過部の形成容易性、その他の機能の付与の要求等の観点から、通常99質量%以下である。
上記樹脂材料が上記電離放射線硬化性樹脂の硬化物を含む場合、上記電離放射線硬化性樹脂の硬化物の上記樹脂材料中の含有量としては、上記架橋間分子量を満たすことができるものであれば特に限定されるものではないが、50質量%以上であることが好ましく、なかでも、80質量%以上であることが好ましく、特に100質量%、すなわち、上記樹脂製光制御部に含まれる樹脂材料の全てが、上記樹脂製光透過部の形成に用いられる光透過部形成用組成物に含まれる電離放射線硬化性樹脂の硬化物であることが好ましい。上記含有量が上述の範囲内であることにより、上記架橋間分子量の調整が容易だからである。
上記樹脂製光透過部の構成材料として紫外線硬化性樹脂の硬化物を含有する場合には、光重合開始剤を併用することが好ましい。上記光重合開始剤の種類としては、従来慣用されているものを用いることができる。上記樹脂製光透過部における光重合開始剤の含有率としては、紫外線硬化性樹脂100質量部に対して、0.1質量部〜5質量部程度の範囲内であることが好ましい。
上記樹脂材料は、上記電離放射線硬化性樹脂の硬化物以外にも、例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等の熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂の硬化物を含むことができる。すなわち、上記光透過部形成用組成物は、硬化前の上記熱硬化性樹脂等を含むことができる。
上記樹脂製光透過部は、上述した材料の他に、任意の添加剤を含有していてもよい。任意の添加剤としては、例えば離型剤、重合禁止剤、架橋剤、酸化防止剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
上記離型剤としては、賦型原版から樹脂製光透過部を安定的に剥離可能とすることができるものであれば特に限定されるものではないが、シリコーン系、フッ素系、リン酸エステル系が挙げられる。なかでもリン酸エステル系が好ましい。リン酸エステル化合物としては、市販されている、STEPAN社製のZelecUN、城北化学工業社製のJPシリーズ、東邦化学工業社製のフォスファノールシリーズ、大八化学工業社製のAP、DPシリーズ等挙げることができる。
上記離型剤の含有量としては、賦型原版から樹脂製光透過部を安定的に剥離可能とすることができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、上記樹脂製光透過部中に0.01質量%〜5質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも、0.1質量%〜1質量%の範囲内であることが好ましい。上記離型剤の含有量が上述の範囲内であることにより、上記樹脂製光透過部を基材との密着性に優れたものとすることができるからである。
上記任意の添加剤は、上記樹脂製光透過部の屈折率を光制御部より大きくする等の目的で、高屈折率微粒子を含有するものであっても良い。
上記高屈折率微粒子としては、上記光制御部より屈折率の高い微粒子であればよく、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化錫、アンチモン錫酸化物、インジウム錫酸化物、燐錫化合物、五酸化アンチモン、アルミニウム亜鉛酸化物、ガリウム亜鉛酸化物およびアンチモン酸亜鉛等の高屈折率無機微粒子等を挙げることができる。
上高屈折率微粒子の平均一次粒径は5nm〜100nmの範囲内とすることができる。
なお、上記平均一次粒径は、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で求めることができる。具体的には、透過型電子顕微鏡写真(TEM)(例えば、日立ハイテク製 H−7650)にて粒子像を測定し、ランダムに選択した100個の一次粒子の最長部の長さの平均値を平均一次粒径とすることができる。なお、電子顕微鏡は透過型(TEM)または走査型(SEM)のいずれを用いても同じ結果を得ることができる。
上記高屈折率微粒子の含有量は、安定的に製造可能なものとすることができるとの本発明の効果をより効果的に発揮する観点から、少ないほど好ましく、上記樹脂製光透過部中に0質量%であることが好ましい。上記含有量が上述の範囲であることにより上記賦型原版の摩耗が少なく、上記光透過部形成用組成物の安定性に優れたものとすることができるからである。また、上記樹脂製光透過部を透明性に優れたものとすることができるからである。
(c)溝部
上記溝部の縦断面形状としては、所望の採光性を得られるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、三角形、正方形、長方形、台形状、少なくとも一方の側面の斜辺が2本以上の直線または曲線にて構成されるテーパー形状、四辺が曲線である形状等が挙げられる。また、溝部の角部が曲率を有していてもよく、さらに上記縦断面形状を成す側面の辺は直線であってもよく曲線であってもよい。なお、図4は溝部の縦断面形状の一例を示す概略断面図であり、図4(a)は台形状、図4(b)は両側面の斜辺が2本の直線にて構成されるテーパー形状、図4(c)は角に曲率を有する三角形の形状から成る溝部の例をそれぞれ示すものであり、図4(d)は一方の側面の斜辺が基材1とは反対側の表面から第1の直線12aおよび第2の直線12bの2本の直線により構成され、他方の側面が第3の直線12cの1本の直線により構成されるテーパー形状である例を示すものである。
なお、溝部の形状が上述の図4(d)のテーパー形状である採光部材に対して、既に説明した図3のように太陽光(L1またはL2)が光制御層2の基材1とは反対側の表面から入射される場合、上記採光部材10は、通常、溝部12の上記第3の直線12c側が地表側となるように配置して用いられるものである。
上記溝部の平面視上における形状としては、所望の採光性を得られるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、直線状であってもよく、曲線等の形状であってもよい。さらに、平面視上における溝部の配置は、並列配置であってもよく、平行に並んで配置されていてもよく、他方向にランダムに配置されていてもよい。中でも図2(a)で示すように、溝部が平面視上において直線状に平行に配置されることが好ましい。
溝部の高さとしては、所望の採光性を得られるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、10μm〜300μmの範囲内であることが好ましく、中でも25μm〜250μmの範囲内であることが好ましく、特に50μm〜200μmの範囲内であることが好ましい。また、溝部の高さは樹脂製光透過部の厚さの30%〜100%未満の範囲内、中でも40%〜97.5%の範囲内、特に50%〜95%の範囲内であることが好ましい。溝部の高さが上記範囲内にないと、本発明の採光部材の厚さが相対的に増し、屈曲性が劣る場合がある。なお、溝部の高さとは、図2(b)においてT2で示される部分である。
上記溝部の幅としては、所望の採光性を得られるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、5μm〜50μmの範囲内、中でも7μm〜45μmの範囲内、特に10μm〜40μmの範囲内であることが好ましい。上記溝部の幅が上述の範囲内であることにより、採光部材全体として可視光線が透過性に優れたものとすることができ、採光性に優れたものとすることができるからである。
なお、上記溝部の幅とは、溝部の縦断面形状において最も広幅の部分をいい、例えば図2(b)においてWで示される部分である。
上記溝部の幅に対する高さの比(T2/W)としては、所望の採光性を得られるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、1〜10の範囲内であることが好ましく、なかでも、2〜8の範囲内であることが好ましく、特に3〜7の範囲内であることが好ましい。上記比が上述の範囲内であることにより、採光性に優れたものとすることができるからである。
上記溝部のピッチ幅としては、所望の採光性を得られるものであれば特に限定されるものではないが、15μm〜200μmの範囲内、中でも20μm〜150μmの範囲内、特に25μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。ピッチ幅が上記範囲よりも大きいと、入射角度の大きい外光が光制御部に入射しにくくなり、光制御部による機能が十分に果たされない場合があり、一方、上記範囲よりも小さいと、樹脂製光透過部において可視光線が透過しにくくなる場合があるからである。
なお、光制御部のピッチ幅とは、隣り合う光制御部の中心間距離をいい、例えば図2(b)においてPで示される部分である。
上記溝部が、一方の側面の斜辺が基材とは反対側の表面から第1の直線および第2の直線の2本の直線により構成され、他方の側面が第3の直線の1本の直線により構成されるテーパー形状である場合、上記第1の直線、上記第2の直線および上記第3の直線の上記樹脂製光透過部の上記基材とは反対側の表面となす角度は、所望の採光性を得られるものであれば特に限定されるものではない。
上記第1の直線と上記樹脂製光透過部の上記基材とは反対側の表面とがなす角度(以下、第1の角度と称する場合がある。)は、例えば、10°〜90°の範囲内であることが好ましく、なかでも30°〜90°の範囲内であることが好ましく、特に、45°〜85°の範囲内であることが好ましい。上記角度が上述の範囲内であることにより、上記採光部材を、採光性に優れたものとすることができるからである。
上記第2の直線と上記樹脂製光透過部の上記基材とは反対側の表面とがなす角度(以下、第2の角度と称する場合がある。)は、例えば、10°〜90°の範囲内であることが好ましく、なかでも30°〜90°の範囲内であることが好ましく、特に、45°〜90°の範囲内であることが好ましい。上記角度が上述の範囲内であることにより、上記採光部材を、採光性に優れたものとすることができるからである。
上記第3の直線と上記樹脂製光透過部の上記基材とは反対側の表面とがなす角度(以下、第3の角度と称する場合がある。)は、例えば、90°〜175°の範囲内であることが好ましく、なかでも90°〜150°の範囲内であることが好ましく、特に、90°〜135°の範囲内であることが好ましい。上記角度が上述の範囲内であることにより、上記採光部材を、採光性に優れたものとすることができるからである。
また、上記第1の角度と上記第2の角度とは、上記第2の角度が上記第1の角度より大きいことが好ましい。上記採光部材を、採光性に優れたものとすることができるからである。
なお、上記第1の直線、上記第2の直線および上記第3の直線は、具体的には、図4(d)中の12a、12bおよび12cで示されるものであり、上記第1の角度、上記第2の角度および上記第3の角度は、具体的には、図4(d)中のθ1、θ2およびθ3で示されるものである。
上記溝部の長さとしては、所望の採光部材の大きさに応じて適宜選択されるものである。なお、光制御部の長さとは、平面視上において長尺方向の長さをいう。
(d)樹脂製光透過部
上記樹脂製光透過部の厚さは、溝部の高さに応じて適宜選択されるものであるが、例えば10μm〜300μmの範囲内であることが好ましく、中でも25μm〜250μmの範囲内であることが好ましく、特に50μm〜200μmの範囲内であることが好ましい。樹脂製光透過部の厚さが上記範囲よりも大きいと、樹脂製光透過部において入射光が吸収されることにより室内側への出射光量が減少し、本発明の採光部材の視認性が低下する場合があり、一方、上記範囲よりも小さいと、溝部を所望の形状とすることが困難になる場合がある。
なお、上記樹脂製光透過部の厚さは、図2(b)においてT1で示される部分である。
上記樹脂製光透過部の屈折率としては、光制御部より大きいものであれば特に限定されるものではないが、例えば1.50〜1.80の範囲内であることが好ましく、なかでも、1.55〜1.70の範囲内であることが好ましく、特に1.58以上であることが好ましく、なかでも特に、1.58〜1.65の範囲内であることが好ましい。
なお、樹脂製光透過部の屈折率は、JIS K 7142に規定された屈折率の測定方法に従い、アッベ屈折計((株)アタゴ社製)を用いて、温度20℃の条件下で、測定波長589nmのナトリウム光源を用いて測定された値である。以下の説明における屈折率の測定方法については、この方法により測定されるものとする。
上記樹脂製光透過部は、上記光制御部より屈折率が高いものである。
上記樹脂製光透過部および上記光制御部の屈折率の差は、0より大きく、所望の採光性を得られるものであれば特に限定されるものではない。
上記屈折率の差は、0.01〜0.3の範囲内であることが好ましく、なかでも、0.05〜0.2の範囲内であることが好ましい。上記屈折率の差が上述の範囲内であることにより、採光性により優れたものとすることができるからである。
また、樹脂製光透過部の可視光線透過率は70%以上であることが好ましく、中でも80%以上であることが好ましく、特に85%以上であることが好ましい。樹脂製光透過部が上記の可視光線透過率を有することにより、樹脂製光透過部における入射光の吸収による室内側への出射光量の減少が抑制され、本発明の採光部材の視認性を向上させることができる。
なお、上記可視光線透過率は、赤外可視紫外分光光度計を使用し、JIS A5759−2008に従い380nm〜780nmの波長域における分光透過率測定し、同規格に規定される算出式により算出することにより得ることができる。
上記赤外可視紫外分光光度計としては、例えば、株式会社島津製作所製UV3100PC等を用いることができる。
(2)光制御部
本発明における光制御部は、上記溝部内に形成されるものである。すなわち光制御部と溝部とは、通常、同形状となる。また、光制御部は、構成材料に応じてその機能を選択することができる。
光制御部の材料としては、樹脂製光透過部よりも屈折率の低い透明樹脂であればよく、上述の「(1)樹脂製光透過部」の項で説明した紫外線硬化性樹脂および電子線硬化性樹脂を用いることができる。
本発明においては、なかでも、上記光制御部の屈折率を低いものとし、上記樹脂製光透過部を上記光制御部との屈折率の差を大きなものとする観点から、上記光制御部の材料として用いられる上記紫外線硬化性樹脂および電子線硬化性樹脂が、芳香族を含まない紫外線硬化性樹脂および電子線硬化性樹脂を含むことが好ましい。
また、光制御部の材料として紫外線硬化性樹脂を用いる場合には、光重合開始剤を併用することが好ましい。上記光重合開始剤の種類としては、従来慣用されているものを用いることができる。光重合開始剤の含有率としては、紫外線硬化性樹脂100質量部に対して、0.1質量部〜10質量部程度の範囲内であることが好ましい。
また、上記光制御部は、他の任意の材料を含んでいても良い。
光制御部の屈折率としては、樹脂製光透過部の屈折率よりも低ければよく、例えば1.40〜1.55の範囲内であることが好ましい。
光制御部は所望の可視光線透過率を有することが好ましい。具体的には、上記光制御部の可視光線透過率は、上述した樹脂製光透過部の可視光線透過率と同様であるため、ここでの記載は省略する。
(3)光制御層
上記光制御層の光制御部を含む表面は、平坦であってもよく凹凸を有してもよく、光制御層の機能に応じて適宜選択することができる。例えば、高い視認性が求められる採光部材の場合は、当該表面が平坦であることが好ましく、平均表面粗さ(Ra)として0.1nm〜100nmの範囲内、中でも0.1nm〜20nmの範囲内、特に0.1nm〜10nmの範囲内であることが好ましい。
当該表面が凹凸を有する場合、外光の入射面または出射面が平坦である領域と凹部状または凸部状である領域とで、それぞれの入射面または出射面における光の拡散に偏りが生じる。このため、出射光の量に偏りが生じて光の回折現象および干渉現象が誘発されることにより、採光部材上に多重像が発現し、視認性が低下する場合がある。
なお、上記平均表面粗さ(Ra)は、JIS B0601 2001の規定に従い23℃の測定環境下で測定し、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけを抜き取り、抜き取り部分の平均線の方向にX軸を、縦倍率の方向にY軸を取り、粗さ曲線をy=f(x)で表したときに、以下の式(1)によって算出される値とすることができる。
Figure 2016194579
上記光制御層の形成方法としては、表面に所望の形状の溝部を複数本有する樹脂製光透過部を形成し、上記溝部に光制御部を形成することができる方法であれば、特に限定されない。
このような光制御層の形成方法としては、後述する「E.採光部材の製造方法」の項に記載の方法を用いることができる。
2.基材
本発明における基材は、上記光制御層を支持するものである。
上記基材は、光制御層の表面のうち、溝部が設けられた面と反対側の面に形成されるものである。
上記基材としては、光透過性を有し、視認性に悪影響を与えないものであれば特に限定されず、例えば透明性を有する樹脂からなるシート、フィルム等を用いることができ、中でもフィルムが好ましい。
基材に用いられる樹脂としては、透明性を有し、光制御層等を支持可能な強度を有するものであればよい。上記樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、塩化ビニル、フッ素樹脂、ゴム等を用いることができる。中でも透明性および強度の点から、上記樹脂は、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートが好ましい。また、基材は酸化防止剤、紫外線吸収剤等を含んでいてもよい。
基材は、必要に応じて片面または両面に表面処理等を行っていてもよい。表面処理としては、コロナ放電処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン紫外線照射処理等の酸化法による表面処理、サンドブラスト法、溶剤処理法等の凹凸化法による表面処理、化学的表面処理等が挙げられる。
基材の膜厚としては、用途に応じて適宜設定が可能であるが、通常5μm〜200μmの範囲内、中でも10μm〜150μmの範囲内であることが好ましい。基材の膜厚が上記範囲よりも小さいと、カール、シワ等が入りやすく、採光部材の強度が得られない場合がある。
3.その他の構成
本発明の採光部材は、上述した基材および光制御層を少なくとも有するものであるが、その他の部位を有していてもよい。その他の部位としては、例えば保護層、粘着層等を挙げることができる。
以下、それぞれの部位について説明する。
(1)保護層
本発明の採光部材は、耐候性や耐傷性などの観点から保護層を有していることが好ましい。上記保護層の種類としては、耐候層、ハードコート層、耐候ハードコート層、自浄性層等を挙げることができる。
また、上記保護層は、ヘイズ層として用いるものであっても良い。上記ヘイズ層としては、表面凹凸によりヘイズが付与される外部ヘイズ層、内部のフィラーによりヘイズが付与される内部ヘイズ層等とすることができる。
上記ヘイズ層のヘイズ値としては30%〜80%の範囲内であることが好ましい。上記ヘイズ値が上述の範囲内であることにより、防眩性および採光性の両者に優れたものとすることができるからである。
なお、上記ヘイズ値は、ヘイズメーターを用いてJIS K7136に準拠した方法により測定することができる。ヘイズメーターとしては、例えば、村上色彩技術研究所製、製品番号HM−150等を用いることができる。
上記保護層の材料としては、電離放射線硬化性樹脂を用いることが好ましい。上記電離放射線硬化性樹脂としては、重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができ、中でも、多官能の重合性オリゴマーないしはプレポリマーを用いることが好ましい。上記重合性オリゴマーないしはプレポリマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマーやプレポリマー、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系やポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートやカプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系のオリゴマーやプレポリマーなどが挙げられ、特に、多官能性のウレタン(メタ)アクリレート系が、耐候性とハードコート性を両立させる点で好ましく、重量平均分子量としては、1000〜5000程度のものが好ましい。
なお、ここでの(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを指す。
上記電離放射線硬化性樹脂には、上記の多官能性の重合性オリゴマーの他に、カプロラクトン系ポリオールと有機イソシアネートとヒドロキシアクリレートとの反応により得られるカプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレートや、ポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレートなどのような高分子ウレタン(メタ)アクリレートを併用することができる。併用することにより、保護層の耐候性を向上することができるからである。上記電離放射線硬化性樹脂は、中でも、上記の多官能性の重合性オリゴマーの他に、カプロラクトン系の材料を併用することが好ましい。
また、上記保護層の材料として多官能性のウレタン(メタ)アクリレートを用いる場合、その粘度を調整する等の目的で、メチル(メタ)アクリレートなどの単官能性(メタ)アクリレートのような希釈剤を併用することができる。上記単官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、低分子量の多官能性(メタ)アクリレートを併用してもよい。また、希釈剤としては、上記のモノマーを用いて、塗布性を確保することもできる。
なお、上記保護層の材料に、紫外線吸収剤や光安定剤、耐傷フィラー等を含有させることができる。
上記保護層の厚さとしては、0.1μm〜20μmの範囲内であることが好ましく、中でも0.5μm〜10μmの範囲内であることが好ましく、特に1μm〜8μmの範囲内であることが好ましい。
上記保護層が配置される位置は、本発明の採光部材の貼り付け態様に応じて適宜選択されるものであり、本発明の採光部材を窓ガラス等の被着体に貼付する際に、上記被着体に対して上記採光部材の最外層となるように配置されるものである。
(2)粘着層
本発明の採光部材は、窓ガラス等の被着体に貼付するために、光耐候性を有する粘着層を有していることが好ましい。
上記粘着層に用いられる粘着剤の材料としては、光耐候性を有するものであればよく、例えば、アクリル系、ウレタン系、シリコン系、ゴム系等の粘着剤を用いることができる。上記材料は、中でも、光耐候性を有する材料として、アクリル酸エステルやメタクリル酸エステル等のアクリル系モノマーの重合体や共重合体を主成分とするアクリル系粘着剤を用いることが好ましく、特に、n−ブチルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート等を用いることが好ましい。
また、上記粘着層は紫外線吸収剤を含有していることが好ましい。紫外線吸収剤を含有させることにより、粘着層の光耐候性を向上させることができるからである。上記紫外線吸収剤としては、無機系、有機系のいずれでもよく、分子内に反応性基を有する紫外線吸収剤を用いることもできる。無機系紫外線吸収剤としては、平均粒径が5〜120nm程度の酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛等を好ましく用いることができる。また、有機系紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系、サリチレート系、アクリロニトリル系等が好ましく挙げることができる。上記有機系紫外線吸収剤としては、中でも、紫外線の吸収能が高く、紫外線等の高エネルギーに対して劣化しにくいトリアジン系がより好ましい。
上記粘着層における紫外線吸収剤の含有量としては、粘着剤100質量部に対して、0.1質量部〜25質量部の範囲内であることが好ましく、中でも1質量部〜25質量部の範囲内であることが好ましく、特に、3質量部〜20質量部の範囲内であることが好ましい。
また、上記粘着層は光安定剤等を含有していてもよい。粘着層の耐候性を向上させることができるからである。上記光安定剤としては、ヒンダードアミン系の光安定剤等が好ましく、また、分子内に反応性基を有するものであってもよい。光安定剤としては、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、2,4−ビス[N−ブチル−N−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ]−6−(2−ヒドロキシエチルアミン)−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
上記粘着層における光安定剤の含有量としては、粘着剤100質量部に対して、0.05質量〜7質量部の範囲内であることが好ましく、中でも0.5質量部〜5質量部の範囲内であることがより好ましく、特に1質量部〜5質量部の範囲内であることが好ましい。
上記粘着層の形成される位置は、本発明の採光部材の使用態様に応じて適宜選択することができる。例えば上記採光部材を内貼り用として用いる場合は、光制御部の表面を含む樹脂製光透過部の表面上に形成されることが好ましい。一方、上記採光部材を外貼り用として用いる場合は、基材上に形成されることが好ましい。上記粘着層の厚さとしては、5μm〜100μmの範囲内が好ましく、中でも10μm〜75μmの範囲内が好ましい。
上記粘着層は、例えば上述した粘着層の材料を、酢酸エチル、トルエン等の溶剤で希釈し固形分20質量%〜60質量%の塗布液を調製し、上記塗布液を剥離シート等に塗布したものを、樹脂製光透過部を有する表面に貼付することにより形成することができる。
上述の形成方法において、上記粘着層の塗布液を塗布する方法としては、例えば、ナイフコーター、コンマコーター、グラビアコーター、ロールコーター等を用いることができる。また上記塗布方法を用いる場合、上記粘着層の材料の塗布量は、乾燥重量で10g/m〜30g/mの範囲が好ましい。上記範囲内とすることにより、被着体に対して十分な接着力が得られ、また、加工時に粘着層のはみ出し等を生じないからである。
(3)その他
上述した部位の他、例えば光制御部および樹脂製光透過部の表面上に平坦化層、散乱層等を有していてもよい。当該採光部材の表面における光の回折現象や光の干渉現象の発生を抑制し、多重像の発現による視認性の低下を防止することが可能となるからである。
4.採光部材
本発明の採光部材の可視光線透過率としては、外光の入射角度が0°のときの可視光線透過率が65%以上であることが好ましく、中でも70%以上、より好ましくは85%以上が好ましい。外光の入射角度が0°のとき可視光線透過率を上記範囲内とすることにより、外観等を明瞭に観察することができる。また、室内等に取り込まれる可視光線の量も増えるため、外光を利用して室内の照度を確保することもできる。ここでいう外光の入射角度とは、図3中で示す角度θをいう。
なお、上記可視光線透過率の測定方法は、上記「1.光制御層」の項に記載の測定方法と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
本発明の採光部材の使用態様としては、光制御層の溝部が形成された側が外光の光源側に配置されることが好ましい。本発明の効果がより発揮されるからである。
B.光制御機能付き窓材
次に、本発明の光制御機能付き窓材について説明する。
本発明の光制御機能付き窓材は、採光部材と、上記採光部材の少なくとも一方の表面に配置された窓材と、を有する光制御機能付き窓材であって、上記採光部材は、基材と、上記基材の一方の表面上に形成された光制御層と、を有し、上記光制御層は、一方の表面に複数本の溝部を有する樹脂製光透過部および上記溝部内に形成された光制御部を有し、上記樹脂製光透過部は、上記光制御部より屈折率が高く、上記樹脂製光透過部の架橋間分子量が1500g/mol〜3000g/molの範囲内であることを特徴とするものである。
このような本発明の光制御機能付き窓材について図面を参照して説明する。
図5は、本発明の光制御機能付き窓材の一例を示す概略断面図である。
また、図6は、本発明の光制御機能付き窓材の他の例を示す概略断面図である。
図5および図6に示すように、本発明の光制御機能付き窓材20は、窓材21と、上記窓材21の少なくとも一方の表面に配置された採光部材10と、を有するものであって、上記採光部材10は、基材1と、上記基材1上に形成された光制御層2と、を有し、上記光制御層2は、一方の表面に複数本の溝部を有する樹脂製光透過部および上記溝部内に形成された光制御部を有し、上記樹脂製光透過部は、上記光制御部より屈折率が高く、上記樹脂製光透過部の架橋間分子量が1500g/mol〜3000g/molの範囲内であるものである。
なお、この例において、採光部材10は、接着層22を介して窓材21に貼合されている。また、図5は、採光部材10の片面のみに接着層22を介して窓材21が貼合され、上記採光部材10の一方の表面のみに配置された窓材を有する例を示すものであり、図6は、一対の窓材21と、上記一対の窓材21の間に接着層22を介して配置された採光部材10と、を有し、上記採光部材10の両面に配置された窓材21を有する例を示すものである。
また、図5および図6中の符号については、図1のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
本発明によれば、上述の採光部材を用いるものであることにより、光制御機能付き窓材を、採光性および信頼性に優れたものとすることができる。
本発明の光制御機能付き窓材は、採光部材の片面のみに接着層を介して配置された窓材を有する態様(第1実施態様)と、一対の窓材と、上記一対の窓材の間に接着層を介して配置された採光部材と、を有する態様(第2実施態様)と、の2つの態様に分けることができる。
以下、各態様に分けて説明する。
1.第1実施態様
まず、本発明の光制御機能付き窓材の第1実施態様について説明する。
本態様の光制御機能付き窓材は、上述の光制御機能付き窓材であって、採光部材の片面のみに接着層を介して配置された窓材を有するものである。
このような本態様の光制御機能付き窓材としては、既に説明した図5に示すものとすることができる。
本態様の光制御機能付き窓材は、窓材、採光部材および接着層を有するものである。
以下、本態様の光制御機能付き窓材の各構成について詳細に説明する。
(1)採光部材
本態様における採光部材は、基材と、上記基材の一方の表面上に形成された光制御層と、を有し、上記光制御層は、一方の表面に複数本の溝部を有する樹脂製光透過部および上記溝部内に形成された光制御部を有し、上記樹脂製光透過部は、上記光制御部より屈折率が高く、上記樹脂製光透過部の架橋間分子量が1500g/mol〜3000g/molの範囲内のものである。
このような採光部材については、上述の「A.採光部材」の項に記載の内容と同様の内容であるので、ここでの説明は省略する。
(2)窓材
本態様における窓材としては、一般的に用いられるものであれば特に限定されるものではなく、無色であってもよく、着色されたものであってもよい。中でも本態様においては、上記窓材が、光透過性を有し、無色であることが好ましい。このような窓材としては、例えば、アクリル板、ポリカーボネート板、ガラス板等が挙げられる。
上記窓材の厚みは、本態様の光制御機能付き窓材の大きさや用途等に応じて適宜調整されるものであるが、例えば、1μm〜15mmの範囲内であることが好ましく、中でも3μm〜12mmの範囲内であることが好ましい。窓材の厚みが上記範囲内ですることにより、所望の透明度や機械的強度を有する光制御機能付き窓材とすることができるからである。
上記窓材は、すりガラス、曇りガラスのように表面に凹凸を有していても良く、網入りガラスのように内部にワイヤーが含まれていても良い。
(3)接着層
本態様においては、採光部材の片面のみに接着層を介して窓材が配置されるものである。
このような接着層としては、採光部材および窓材を安定的に接着可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、上記「A.採光部材」の項に記載の粘着層と同様とすることができる。つまり、本態様の光制御機能付き窓材は、粘着層を有する採光部材を窓材に貼り付けたものとすることができる。
また、上記接着層に用いられる接着剤としては、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、ポリビニルブチラール樹脂(PVB)等の熱可塑性樹脂やそれに架橋材を加えた熱硬化樹脂等も用いることができる。
上記接着層は、上記粘着剤および接着剤の1種、もしくは2種以上を積層して用いることができる。具体的には、2種類の上記接着剤を積層して用いた場合には、本態様の光制御機能付き窓材の層構成は、採光部材/第1接着層(PVB)/第2接着層(EVA)/窓材の構成等とすることができる。
また、上記接着層は、必要に応じて、紫外線吸収剤、光安定剤等を含むことができる。
なお、上記紫外線吸収剤および光安定剤ならびにそれらの含有量については、上記「A.採光部材」の「3.その他の構成」の「(2)粘着層」の項に記載の内容と同様とすることができる。
(4)光制御機能付き窓材
本態様の光制御機能付き窓材は、上記窓材、上記採光部材および上記接着層を有するものであるが、必要に応じてその他の構成を有するものであっても良い。
本態様の光制御機能付き窓材は、所定の光透過性を有することが好ましい。
具体的には、上記光制御機能付き窓材の全光線透過率が50%以上であることが好ましく、中でも60%以上であることが好ましく、特に70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。上記光制御機能付き窓材が上述した光透過性を有することにより、本態様の光制御機能付窓材の透明性が向上し、意匠性を良好に保つことが可能となり極めて実用性が高くなる。
なお、全光線透過率については、JIS K 7375の規定に従い測定することができる。
本態様の光制御機能付き窓材の製造方法は、上述した各部材を用いて所望の光制御機能付き窓材を得ることができる方法であれば特に限定されるものではない。
上記製造方法は、上記採光部材、上記接着層および上記窓材をこの順で配置した後、熱圧着する方法等を挙げることができる。
2.第2実施態様
次に、本発明の光制御機能付き窓材の第2実施態様について説明する。
本態様の光制御機能付き窓材は、上述の光制御機能付き窓材であって、一対の窓材と、上記一対の窓材の間に接着層を介して配置された採光部材と、を有するものである。
このような本態様の光制御機能付き窓材としては、既に説明した図6に示すものとすることができる。
本態様の光制御機能付き窓材は、窓材、採光部材および接着層を有するものである。
以下、本態様の光制御機能付き窓材の各構成について詳細に説明する。
なお、本態様に用いられる採光部材については、通常、粘着層を含まない以外は、上記「A.採光部材」の項に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
(1)窓材
本態様における窓材としては、一般的に用いられるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、上記「(1)第1実施態様」の項に記載の内容と同様とすることができる。
本態様においては、対向する一対の窓材が、それぞれ同じ材質や厚みであっても良く、異なっていても良い。
(2)接着層
本態様においては、上記一対の窓材の間に接着層を介して採光部材が配置されるものである。
このような接着層は、採光部材および窓材を安定的に接着することができるものであれば特に限定されるものではない。
上記接着層は、具体的には、一般的な採光部材に接着剤として用いられるものを用いることができる。上記接着剤としては、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、ポリビニルブチラール樹脂(PVB)等の熱可塑性樹脂等、それに架橋材を加えた熱硬化樹脂等を用いることができ、中でも、EVAやPVBが好適に用いられる。
上記接着層は、上記接着剤の1種、もしくは2種以上を積層して用いることができる。具体的には、2種類の上記接着剤を積層して用いる場合には、本態様の光制御機能付き窓材の層構成は、例えば、窓材/第2接着層(EVA)/第1接着層(PVB)/採光部材/第1接着層(PVB)/第2接着層(EVA)/窓材の構成等とすることができる。
また、上記接着層は、必要に応じて、紫外線吸収剤、光安定剤等を含むことができる。
なお、上記紫外線吸収剤および光安定剤ならびにそれらの含有量については、上記「A.採光部材」の「3.その他の構成」の「(2)粘着層」の項に記載の内容と同様とすることができる。
上記接着層の厚みとしては、例えば100μm〜2000μmの範囲内であることが好ましく、中でも、300μm〜1600μmの範囲内であることが好ましい。接着層の厚みが上記範囲に満たないと、異物等が混入した際にそれが核となり気泡を生じる場合があり、接着層の厚みが上記範囲を越えると、光制御機能付き窓材全体としての厚みや重量の増加、強度不足等の不具合をもたらすおそれがあるからである。
なお、上記接着層の厚みは、上記採光部材の両方の表面に形成された接着層の合計の厚みではなく、上記採光部材のいずれか一方の表面に形成された接着層のみの厚みをいうものである。
上記接着層は、所定の光透過性を有することが好ましい。
具体的には、接着層の可視光線透過率が所定の光透過性を有することが好ましい。具体的には、接着層の可視光線透過率が70%以上であることが好ましく、中でも80%以上であることが好ましく、特に85%以上であることが好ましい。接着層が上述した光透過性を有することにより、本態様の光制御機能付き窓材を部屋の窓に用いた際に、室外から入射する光が接着層に吸収されるのを抑制することができる。これにより、視認性を高めることができ、また室内に多くの光を取り入れることが可能となる。
なお、可視光線透過率については、上記「A.採光部材」の項に記載した可視光線透過率と同様の方法により測定することができるため、ここでの記載は省略する。
(3)光制御機能付き窓材
本態様の光制御機能付き窓材は、窓材、採光部材および接着層を有するものであるが、必要に応じてその他の構成を有するものであっても良い。
本態様の光制御機能付き窓材は、所定の光透過性を有することが好ましい。
上記光制御機能付き窓材の全光線透過率については、上記「(1)第1実施態様」の項に記載の内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
本態様の光制御機能付き窓材の製造方法は、上述した各部材を用いて所望の光制御機能付き窓材を得ることができる方法であれば特に限定されるものではなく、一般的な中間膜を有する合わせガラスと同様の方法を用いることができる。
上記製造方法は、具体的には、所定の方法により得られた採光部材を、接着層を介して一対の窓材の間に配置し、その後、熱圧着することにより光制御機能付き窓材を得ることができる。
C.建物
次に、本発明の建物について説明する。
本発明の建物は、採光部を有する建物であって、上記採光部には、光制御機能付き窓材が設置され、上記光制御機能付き窓材は、採光部材と、上記採光部材の少なくとも一方の表面に配置された窓材と、を有し、上記採光部材は、基材と、上記基材の一方の表面上に形成された光制御層と、を有し、上記光制御層は、一方の表面に複数本の溝部を有する樹脂製光透過部および上記溝部内に形成された光制御部を有し、上記樹脂製光透過部は、上記光制御部より屈折率が高く、上記樹脂製光透過部の架橋間分子量が1500g/mol〜3000g/molの範囲内であることを特徴とするものである。
このような本発明の建物について図面を参照して説明する。
図7は、本発明の建物の一例を示す概略斜視図である。
図7に示すように、本発明の建物30は、採光部31を有する建物30であって、上記採光部31には、光制御機能付き窓材20が設置され、上記光制御機能付き窓材20は、採光部材と、上記採光部材の少なくとも一方の表面に配置された窓材と、を有し、上記採光部材は、基材と、上記基材の一方の表面上に形成された光制御層と、を有し、上記光制御層は、一方の表面に複数本の溝部を有する樹脂製光透過部および上記溝部内に形成された光制御部を有し、上記樹脂製光透過部は、上記光制御部より屈折率が高く、上記樹脂製光透過部の架橋間分子量が1500g/mol〜3000g/molの範囲内であるものである。
本発明によれば、上述の採光部材を含む光制御機能付き窓材を用いるものであることにより、建物を、採光性および信頼性に優れたものとすることができる。
本発明の建物は、採光部および光制御機能付き窓材を有するものである。
以下、本発明の建物の各構成について詳細に説明する。
1.光制御機能付き窓材
本発明における光制御機能付き窓材は、採光部材と、上記採光部材の少なくとも一方の表面に配置された窓材と、を有し、上記採光部材は、基材と、上記基材の一方の表面上に形成された光制御層と、を有し、上記光制御層は、一方の表面に複数本の溝部を有する樹脂製光透過部および上記溝部内に形成された光制御部を有し、上記樹脂製光透過部は、上記光制御部より屈折率が高く、上記樹脂製光透過部の架橋間分子量が1500g/mol〜3000g/molの範囲内のものである。
このような光制御機能付き窓材については、上述の「B.光制御機能付き窓材」の項に記載の内容と同様の内容であるので、ここでの説明は省略する。
2.採光部
本発明における採光部は、建物に一般的に用いられるものであれば特に限定されるものではなく、建物の外壁に室内外を連通するように設けられたものを挙げることができる。
上記採光部の形成数は、上記建物のサイズ等に応じて適宜設定されるものである。
また、上記採光部の形成箇所としては、少なくとも太陽光の散乱光が入射していればよく、上記建物の南側等以外に、直接太陽光が入射しない北側や隣棟が近くにある向き側等を含むことができる。
3.建物
本発明の建物は、上記採光部と、上記採光部に設置された上記光制御機能付き窓材と、を有するものである。
上記建物としては、採光部を有するものであれば良く、オフィスビル等の様々な建物を挙げることができる。
D.採光部材の設計方法
次に本発明の採光部材の設計方法について説明する。
本発明の採光部材の設計方法は、基材と、上記基材の一方の表面上に形成された光制御層と、を有し、上記光制御層は、一方の表面に複数本の溝部を有する樹脂製光透過部および上記溝部内に形成された光制御部を有し、上記樹脂製光透過部は、上記光制御部より屈折率が高い採光部材の設計方法であって、上記樹脂製光透過部の架橋間分子量が1500g/mol〜3000g/molの範囲内となるように、上記樹脂製光透過部の構成材料を選択する材料選択工程を有することを特徴とするものである。
本発明によれば、上記材料選択工程が上記樹脂製光透過部の架橋間分子量が1500g/mol〜3000g/molの範囲内とするように上記樹脂製光透過部の構成材料を選択するものであることにより、高屈折率の構成材料を含む光透過部形成用組成物に賦型原版の凹凸形状を転写することにより樹脂製光透過部を形成した場合でも、光透過部形成用組成物に多量の離型剤を添加することなく、樹脂製光透過部を賦型原版から安定的に取り出すことができる。
したがって、採光性に優れ、安定的に製造可能な採光部材を、容易に設計することができる。
本発明の採光部材の設計方法は、材料選択工程を有するものである。
以下、本発明の採光部材の設計方法の各工程について詳細に説明する。
1.材料選択工程
本発明における材料選択工程は、上記樹脂製光透過部の架橋間分子量が1500g/mol〜3000g/molの範囲内となるように、上記樹脂製光透過部の構成材料を選択する工程である。
本工程において、上記樹脂製光透過部の架橋間分子量が1500g/mol〜3000g/molの範囲内となるように、上記樹脂製光透過部の構成材料を選択する方法としては、上記樹脂製光透過部の架橋間分子量が1500g/mol〜3000g/molの範囲内となる構成材料を選択できる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、上記「A.採光部材」の項に記載の内容と同様とすることができる。
本工程により選択される構成材料としては、上記樹脂製光透過部の架橋間分子量が1500g/mol〜3000g/molの範囲内とすることができるものであれば特に限定されるものではなく、上記「A.採光部材」の項に記載の内容と同様とすることができる。
2.採光部材の設計方法
本発明の採光部材の設計方法は、上記材料選択工程を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、上記光制御部の構成材料を選択する光制御部材料選択工程等のその他の工程を有するものとすることができる。
本発明の採光部材の設計方法により設計される採光部材としては、上記樹脂製光透過部の架橋間分子量が1500g/mol〜3000g/molの範囲内のものであれば特に限定されるものではなく、上述の「A.採光部材」の項に記載の内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
E.採光部材の製造方法
次に、本発明の採光部材の製造方法について説明する。
本発明の採光部材の製造方法は、基材と、上記基材の一方の表面上に形成された光制御層と、を有し、上記光制御層は、一方の表面に複数本の溝部を有する樹脂製光透過部および上記溝部内に形成された光制御部を有し、上記樹脂製光透過部は、上記光制御部より屈折率が高い採光部材の製造方法であって、上記樹脂製光透過部の架橋間分子量が1500g/mol〜3000g/molの範囲内となるように、上記樹脂製光透過部の構成材料を選択する材料選択工程と、上記材料選択工程により選択された上記構成材料を用いて上記樹脂製光透過部を形成する光透過部形成工程と、を有することを特徴とするものである。
このような本発明の採光部材の製造方法を図を参照して説明する。図8は、本発明の採光部材の製造方法の一例を示す工程図である。図8に例示するように、本発明の採光部材の製造方法は、上記樹脂製光透過部の架橋間分子量が1500g/mol〜3000g/molの範囲内となるように、上記樹脂製光透過部の構成材料を選択し(図示せず)、選択された上記構成材料を用いて上記樹脂製光透過部を形成し(図8(a)〜(c))、次いで、上記樹脂製透過部の溝部12内に、光制御部13を形成することにより、採光部材10を得るものである(図8(d))。
なお、図8(a)〜(c)は、上記光透過部形成工程であり、図8(d)は、光制御部形成工程である。
また、この例においては、上記材料選択工程は上記構成材料として電離放射線硬化性樹脂の硬化物を含むものを選択し(図示せず)、上記樹脂性光透過部形成工程は、上記基材1の一方の表面上に、上記電離放射線硬化性樹脂を含む光透過部形成用組成物2aを塗布し(図8(a))、凸部を有する賦型原版Mを押圧した状態で架橋硬化させ(図8(b))、賦型原版Mを剥離することにより、一方の表面に複数本の溝部12を有する樹脂製光透過部11を形成するものである(図8(c))。また、上記賦型原版は、表面上に複数本の凸部を有するものであり、上記凸部の反転形状およびその寸法等が上記溝部の形状および寸法等に相当するものである。
本発明によれば、上記材料選択工程が上記樹脂製光透過部の架橋間分子量が1500g/mol〜3000g/molの範囲内とするように上記樹脂製光透過部の構成材料を選択するものであることにより、上記光透過部形成工程において、高屈折率の構成材料を含む光透過部形成用組成物に賦型原版の凹凸形状を転写することにより樹脂製光透過部を形成した場合でも、光透過部形成用組成物に多量の離型剤を添加することなく、樹脂製光透過部を賦型原版から安定的に取り出すことができる。
したがって、採光性に優れ、基材および樹脂製光透過部の密着性が良好な採光部材を、安定的に製造可能なものとすることができる。
本発明の採光部材の製造方法は、上記材料選択工程および上記光透過部形成工程を有するものである。
以下、本発明の採光部材の製造方法の各工程について詳細に説明する。
1.材料選択工程
本発明における材料選択工程は、上記樹脂製光透過部の架橋間分子量が1500g/mol〜3000g/molの範囲内となるように、上記樹脂製光透過部の構成材料を選択する工程である。
このような材料選択工程としては、上記樹脂製光透過部の架橋間分子量が1500g/mol〜3000g/molの範囲内となるように、上記樹脂製光透過部の構成材料を選択できる工程であれば特に限定されるものではなく、上記「D.採光部材の設計方法」の項に記載の材料選択工程と同様とすることができる。
本工程により選択される構成材料としては、上記樹脂製光透過部の架橋間分子量が1500g/mol〜3000g/molの範囲内とすることができるものであれば特に限定されるものではなく、上記「A.採光部材」の「(b)樹脂製光透過部の構成材料」の項に記載の内容と同様とすることができる。
2.光透過部形成工程
本発明における樹脂性光透過部形成工程は、上記材料選択工程により選択された上記構成材料を用いて上記樹脂製光透過部を形成する工程である。
本工程における上記樹脂製光透過部を形成する方法としては、上記材料選択工程により選択された上記構成材料を用いて形成する方法であればよく、上記構成材料の種類等に応じて異なるものであるが、上記構成材料を含む光透過部形成用組成物を塗布し、凸部を有する賦型原版を押圧した状態で上記光透過部形成用組成物を硬化させ、次いで、賦型原版を剥離する方法を挙げることができる。
また、上記構成材料として上記電離放射線硬化性樹脂の硬化物を含む場合には、上記光透過部形成用組成物として、上記電離放射線硬化性樹脂を含むものを用いることができる。
上記賦型原版は、表面上に複数本の凸部を有するものであり、上記凸部の反転形状およびその寸法等が上記溝部の形状および寸法等に相当するものを用いることができる。
上記賦型原版は板状のものであっても良く、ロール状のものであっても良い。
上記賦型原版の構成材料としては、上記光透過部形成用組成物に対して上記溝部を安定的に賦型できるものであればよく、金属材料等を用いることができる。
上記賦型原版の上記樹脂製光透過部との接触面は、クロムメッキ等のメッキ層を有するものであっても良い。
上記光透過部形成用組成物の塗布方法としては、均一の膜厚で塗布することが可能な方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、スピンコート法、ダイコート法、ディップコート法、バーコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などを用いることができる。
上記光透過部形成用組成物の硬化方法としては、選択される上記構成材料の種類等に応じて異なるものであるが、上記構成材料が、電離放射線硬化性樹脂の硬化物を含む場合には、電離放射線の照射による硬化が好ましく、中でも実用的である点から紫外線、電子線を用いることが好ましい。硬化条件等については、上記電離放射線硬化性樹脂の材料に応じて適宜設定することができる。
3.採光部材の製造方法
本発明の採光部材の製造方法は、上記材料選択工程および上記光透過部形成工程を有するものであるが、必要に応じてその他の工程を有するものであっても良い。
上記その他の工程としては、上記光制御部を形成する光制御部形成工程、上記粘着層を形成する粘着層形成工程等を挙げることができる。
上記光制御部形成工程における上記光制御部の形成方法としては、特に限定されるものではなく、例えば光制御部の材料を含む光制御部形成用組成物を塗布し、樹脂製光透過部の溝部に充填して硬化させる方法を用いることができる。
上記粘着層形成工程における上記粘着層の形成方法としては、上記「A.採光部材」の上記「3.その他の構成」の「(2)粘着層」の項に記載の内容と同様とすることができる。
本発明の採光部材の製造方法により製造される採光部材としては、上記「A.採光部材」の項に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
[実施例1]
1.金型ロールの準備
円柱状のロール表面に銅メッキを形成し、当該メッキ部分をバイトにより切削して樹脂性光透過部の溝部に対応する凸部を形成した。バイトはダイヤモンドバイトを用いた。ロール軸方向(ロールの幅方向)に所定のピッチで金型ロールの銅メッキ層の外周を切削して、ロールの幅方向に所定のピッチで形成された凸部を形成した。この切削したロールにクロムメッキを施し、既に説明した図4(d)に示す縦断面形状であり、ロールの幅方向に所定のピッチで複数が互いに平行に配列した凸状群が形成された金型ロールを準備した。
凸状群を賦型することにより形成される樹脂製光透過部の溝部のサイズの設計値については下記に示すサイズとした。
なお、θ1〜θ3は、それぞれ上記第1の直線、上記第2の直線および上記第3の直線の上記樹脂製光透過部の上記基材とは反対側の表面となす角度をいうものである。先端幅は、賦型原版から遠い側の幅をいうものであり、上記第2の直線および上記第3の直線の間の幅のうち最も短い幅をいうものである。
(凸状群の形状)
・θ1 … 80°
・θ2 … 90°
・θ3 … 92°
・幅(W) … 30μm
・高さ(T2) … 200μm
・ピッチ(P) … 60μm
・先端幅 … 8μm
2.樹脂製光透過部の形成
金型ロールとニップロールとの間に基材(厚さ100μm、東洋紡社製PETフィルムA4300)を搬送した。
この基材の搬送に合わせ下記光透過部形成用組成物Aを基材上に供給装置から供給し、金型ロールおよびニップロール間の押圧力により、基材と金型ロールとの間に上記光透過部形成用組成物Aを充填した。このとき、押圧力の調整により、ベース厚みを調整した。圧力が高いほどベース厚みは薄くなり、低いほどベース厚みは厚くなる。その後、基材側から紫外線照射装置(ヘレウス株式会社ノーブルライト・フュージョン事業部製 光源Dバルブ)にて紫外線を1000mJ/cm照射し、上記光透過部形成用組成物Aを硬化させることで樹脂製光透過部を形成した。その後、剥離ロールを用いて金型ロールから上記光透過部形成用組成物Aの硬化物である樹脂製光透過部を離型することで、基材上に形成された樹脂製光透過部を得た。
なお、下記A−BPEFは、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレンであり、ライトアクリレートPOB-Aはm−フェノキシベンジルアクリレート、ライトアクリレートPO−Aは、フェノキシエチルアクリレートである。
(光透過部形成用組成物A)
・A-BPEF(新中村化学工業社製 2官能アクリレート) ・・・ 50質量部
・ライトアクリレートPOB-A(共栄社化学社製 単官能アクリレート) ・・・ 30質量部
・ライトアクリレートPO−A(共栄社化学社製 単官能アクリレート) ・・・ 20質量部
・Irgacure184(BASF社製光重合開始剤) ・・・ 3質量部
・テトラデカノールエチレンオキシド10モル付加物のリン酸エステル(金型離型剤) ・・・ 0.03質量部
3.光制御部の形成
下記組成からなる液状の光制御部形成用組成物を調製し、光制御部形成用組成物を、金型ロールから離型された樹脂製光透過部上に供給し、光制御部の進行方向と略垂直に設置されたドクターブレードを用いて樹脂製光透過部に形成された溝に充填するとともに余剰分の光制御部形成用組を掻き落した。
その後、紫外線照射装置(ヘレウス株式会社ノーブルライト・フュージョン事業部製 光源Dバルブ)にて基材と反対側から紫外線を1000mJ/cm照射し、硬化させることで光制御部を形成し、基材と、樹脂製光透過部および光制御部を含む光制御層と、を有する採光部材を得た。
(光制御部形成用組成物)
・EBECRYL230(ダイセルオルネクス社製ウレタンアクリレート) ・・・ 40質量部
・SR508(サートマー社製 2官能アクリレート) ・・・ 60質量部
・Irgacure184(BASF社製光重合開始剤) ・・・ 3質量部
[実施例2]
光透過部形成用組成物Aの代わりに下記光透過部形成用組成物Bを用いた以外は、実施例1と同様にして、採光部材を得た。
(光透過部形成用組成物B)
・A-BPEF(新中村化学工業社製 2官能アクリレート) ・・・ 40質量部
・ライトアクリレートPOB-A(共栄社化学社製 単官能アクリレート) … 60質量部
・Irgacure184(BASF社製光重合開始剤) ・・・ 3質量部
・テトラデカノールエチレンオキシド10モル付加物のリン酸エステル(金型離型剤) ・・・ 0.03質量部
[実施例3]
光透過部形成用組成物Aの代わりに下記光透過部形成用組成物Cを用いた以外は、実施例1と同様にして、採光部材を得た。
(光透過部形成用組成物C)
・A-BPEF(新中村化学工業社製 2官能アクリレート) ・・・ 40質量部
・ライトアクリレートPOB-A(共栄社化学社製 単官能アクリレート) ・・・ 40質量部
・ライトアクリレートPO−A(共栄社化学社製 単官能アクリレート) ・・・ 20質量部
・Irgacure184(BASF社製光重合開始剤) ・・・ 3質量部
・テトラデカノールエチレンオキシド10モル付加物のリン酸エステル(金型離型剤) ・・・ 0.03質量部
[実施例4]
光透過部形成用組成物Aの代わりに下記光透過部形成用組成物Cを用いた以外は、実施例1と同様にして、採光部材を得た。
(光透過部形成用組成物D)
・A-BPEF(新中村化学工業社製 2官能アクリレート) ・・・ 30質量部
・ライトアクリレートPOB-A(共栄社化学社製 単官能アクリレート) ・・・ 70質量部
・Irgacure184(BASF社製光重合開始剤) ・・・ 3質量部
・テトラデカノールエチレンオキシド10モル付加物のリン酸エステル(金型離型剤) ・・・ 0.03質量部
[比較例1]
光透過部形成用組成物Aの代わりに下記光透過部形成用組成物Dを用いた以外は、実施例1と同様にして、採光部材を得た。
(光透過部形成用組成物E)
・A-BPEF(新中村化学工業社製 2官能アクリレート) ・・・ 25質量部
・ライトアクリレートPOB-A(共栄社化学社製 単官能アクリレート) ・・・ 75質量部
・Irgacure184(BASF社製光重合開始剤) ・・・ 3質量部
・テトラデカノールエチレンオキシド10モル付加物のリン酸エステル(金型離型剤) ・・・ 0.03質量部
[評価]
1.架橋間分子量の測定
実施例1〜4および比較例1で作製した樹脂製光透過部の架橋間分子量を、それぞれ測定用樹脂製光透過部を形成して測定した。
測定用樹脂製光透過部は、実施例1〜4および比較例1で用いた光透過部形成用組成物A〜Eを用いて、ガラス板とガラス板との間に挟み、片面よりフュージョンDバルブにて紫外線を1000mJ/cm照射することにより作製した。
次いで、ガラス板より剥がし単独の平滑な測定用樹脂製光透過部を得た。測定用樹脂製光透過部の形状は幅5mm、長さ50mm、厚み100μmとした。
次いで、上記測定用樹脂製光透過部の貯蔵弾性率をUBM社製Rheogel E4000を用いて、チャック間距離20mmでサンプルをセットし、引張り試験モードで測定した。測定温度範囲−30℃〜130℃、昇温速度5℃/分、周波数10Hzとして、荷重制御によりサンプルに緩みのないように測定した。
次いで、上記測定用樹脂製光透過部の密度を測定し、架橋間分子量を計算した。結果を下記表1に示す。また、貯蔵弾性率はいずれの測定用樹脂製光透過部でもゴム状領域となる100℃での貯蔵弾性率の測定値を用いた。
2.屈折率の測定
樹脂製光透過部および光制御部の屈折率を、それぞれ測定用樹脂製光透過部および測定用光制御部を形成して測定した。
ここで、測定用樹脂製光透過部および測定用光制御部は、上記「1.架橋間分子量の測定」の項に記載の方法により形成した。
また、屈折率は、得られた測定用樹脂製光透過部および測定用光制御部について、アッべ屈折計にて589nm、20℃での屈折率を測定した。
実施例1〜4および比較例1(光透過部形成用組成物A〜E)の測定用樹脂製光透過部の屈折率測定結果を下記表1に示す。また、測定用光制御部の屈折率測定結果は、1.475であった。
3.剥離性評価
採光部材の剥離性評価は、金型ロールからの樹脂製光透過部の剥離状態を目視にて確認することにより行った。評価基準は下記のとおりとした。結果を下記表1に示す。
○:金型ロールから樹脂製光透過部を剥離した際に、きれいに剥離できた。
×:金型ロールから樹脂製光透過部を剥離した際に、金型ロール側に樹脂が残ったり、基材が破れた。
4.成形性評価
採光部材の成形性評価を、得られた採光部材を用いて採光性を評価することにより行った。
まず、地面に対し垂直となるように配置した窓材の一方の表面に、実施例1〜4および比較例1で得られた採光部材を、光制御層の基材とは反対側の面を窓材との貼合面として、粘着層(日東電工社製LUCIACS(登録商標)CS9621T)を介して貼合せて、評価用の光制御機能付き窓材を作製した。
次いで、光制御機能付き窓材から3m離れた机上の照度を、照度計(コニカミノルタ株式会社製 T−10MA)を用いて測定し、採光具の配置の有無による照度比から採光性を評価した。評価基準は下記のとおりとした。結果を下記表1に示す。
○:照度比が0.9以上
×:照度比が0.9未満
5.柔軟性評価
採光部材の柔軟性評価を、JIS−K5600−5−1に記載されているマンドレル試験(金属製円柱にサンプルを巻きつける試験)に準じて行った。
評価は、直径14mmの金属性円柱を準備し、円柱に実施例1〜4および比較例1で得られた採光部材をそれぞれ、光制御層を外側にし、基材を円柱に接触させるようにして、採光部材の長さ方向(上記円柱の軸方向と上記溝部のピッチ方向とが並行となり、上記円柱の円周方向と上記溝部の長さ方向が並行となる方向)で巻きつけ、クラックの発生の有無により評価した。評価基準は下記のとおりとした。結果を下記表1に示す。
○:直径14mmの円柱でクラックが発生しなかった。
×:直径14mmの円柱でクラックが発生した。
Figure 2016194579
表1より、実施例1〜4の採光部材は、架橋間分子量が1500g/mol〜3000g/molの範囲内の樹脂製光透過部を有し、金型ロールから凝集破壊等を生じることなく剥離でき、さらに、所望の形状の樹脂製光透過部を得ることができ、安定的に製造可能であることが確認できた。
また、実施例1〜4の採光部材は、成形性評価がいずれも○であることから採光性に優れ、剥離性評価がいずれも○であり金型ロールから剥離する際に樹脂製光透過部から基材が破れること等がないことから、基材および樹脂製光透過部の密着性が良好であることが確認できた。
一方、比較例1の採光部材は、金型ロールから剥離した際に、凝集破壊を生じ、樹脂製光透過部の一部が金型ロールに残存した。架橋間分子量が大きく、上記樹脂製光透過部の強度が低いために凝集破壊が生じたと推察される。
1 … 基材
2 … 光制御層
3 … 粘着層
10 … 採光部材
11 … 樹脂性光透過部
12 … 溝部
13 … 光制御部
20 … 光制御機能付き窓材
21 … 窓材
30 … 建物
31 … 採光部

Claims (5)

  1. 基材と、
    前記基材の一方の表面上に形成された光制御層と、
    を有し、
    前記光制御層は、一方の表面に複数本の溝部を有する樹脂製光透過部および前記溝部内に形成された光制御部を有し、
    前記樹脂製光透過部は、前記光制御部より屈折率が高く、
    前記樹脂製光透過部の架橋間分子量が1500g/mol〜3000g/molの範囲内であることを特徴とする採光部材。
  2. 前記樹脂製光透過部の屈折率が1.58以上であることを特徴とする請求項1に記載の採光部材。
  3. 一対の窓材と、前記一対の窓材の間に接着層を介して配置された採光部材と、を有する光制御機能付き窓材であって、
    前記採光部材は、
    基材と、
    前記基材の一方の表面上に形成された光制御層と、
    を有し、
    前記光制御層は、一方の表面に複数本の溝部を有する樹脂製光透過部および前記溝部内に形成された光制御部を有し、
    前記樹脂製光透過部は、前記光制御部より屈折率が高く、
    前記樹脂製光透過部の架橋間分子量が1500g/mol〜3000g/molの範囲内であることを特徴とする光制御機能付き窓材。
  4. 基材と、
    前記基材の一方の表面上に形成された光制御層と、
    を有し、
    前記光制御層は、一方の表面に複数本の溝部を有する樹脂製光透過部および前記溝部内に形成された光制御部を有し、
    前記樹脂製光透過部は、前記光制御部より屈折率が高い採光部材の設計方法であって、
    前記樹脂製光透過部の架橋間分子量が1500g/mol〜3000g/molの範囲内となるように、前記樹脂製光透過部の構成材料を選択する材料選択工程を有することを特徴とする採光部材の設計方法。
  5. 基材と、
    前記基材の一方の表面上に形成された光制御層と、
    を有し、
    前記光制御層は、一方の表面に複数本の溝部を有する樹脂製光透過部および前記溝部内に形成された光制御部を有し、
    前記樹脂製光透過部は、前記光制御部より屈折率が高い採光部材の製造方法であって、
    前記樹脂製光透過部の架橋間分子量が1500g/mol〜3000g/molの範囲内となるように、前記樹脂製光透過部の構成材料を選択する材料選択工程と、
    前記材料選択工程により選択された前記構成材料を用いて前記樹脂製光透過部を形成する光透過部形成工程と、
    を有することを特徴とする採光部材の製造方法。
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