JP2020007405A - 汚れ除去性塗膜形成用塗料、及びこれを用いた化粧シート - Google Patents
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本発明の塗料は、(A)(メタ)アクリレート;及び、(B)スルホン酸基、カルボキシル基、及びリン酸基からなる群から選択される少なくとも1種のアニオン性親水基を有する化合物;を含む。なお本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートの意味である。本発明の別の実施形態の塗料は、(A)(メタ)アクリレート;(B)スルホン酸基、カルボキシル基、及びリン酸基からなる群から選択される少なくとも1種のアニオン性親水基を有する化合物;及び、(C)平均粒子径1〜100μmの樹脂粒子;を含む。本発明の塗料は、好ましい実施形態の1つにおいて、メタノール、及びエタノールからなる群から選択される1種以上を含む。上記成分(A)は、(A1)多官能(メタ)アクリレートと(A2)3‐フェノキシベンジル(メタ)アクリレート又は3‐フェノキシベンジル(メタ)アクリレート誘導体を含む。上記成分(A)は、好ましくは(A1)多官能(メタ)アクリレートと(A2)3‐フェノキシベンジル(メタ)アクリレート又は3‐フェノキシベンジル(メタ)アクリレート誘導体とからなる。本発明の塗料は、無機粒子を含まない。以下、各成分について説明する。
上記成分(A)(メタ)アクリレートは、1分子中に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物である。上記成分(A)は、紫外線や電子線等の活性エネルギー線や熱により重合・硬化して、塗膜を形成する働きをする。上記成分(A)は、(A1)多官能(メタ)アクリレートと(A2)3‐フェノキシベンジル(メタ)アクリレート又は3‐フェノキシベンジル(メタ)アクリレート誘導体を含む。上記成分(A)は、好ましくは(A1)多官能(メタ)アクリレートと(A2)3‐フェノキシベンジル(メタ)アクリレート又は3‐フェノキシベンジル(メタ)アクリレート誘導体とからなる。
上記成分(A1)は、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートである。上記成分(A1)は、塗料の硬化性を向上させ、耐溶剤性、及び耐傷付性を良好にする働きをする。
上記成分(A2)は、3‐フェノキシベンジル(メタ)アクリレート又は3‐フェノキシベンジル(メタ)アクリレート誘導体である。上記成分(A2)は耐折曲性を良好にする働きをする。上記3‐フェノキシベンジル(メタ)アクリレートは、下記一般式(1‐1)で表される化合物である。
上記成分(B)アニオン性親水基を有する化合物は、スルホン酸基、カルボキシル基、及びリン酸基からなる群から選択される少なくとも1種のアニオン性親水基を有する化合物である。上記成分(B)は汚れ除去性を良好にする働きをする。上記成分(B)は、典型的には、国際公開WO2007/064003号に化合物(I)として記載されている化合物である。上記化合物(I)については国際公開WO2007/064003号に詳細に説明されており、そのまま引用により本明細書に取り込まれる。上記化合物(I)は下記一般式(2)で表される化合物である。
[X]s[M1]L[M2]m ・・・ (2)
本発明の別の実施形態の塗料は、上記成分(C)平均粒子径1〜100μmの樹脂粒子を含む。上記成分(C)は塗膜を艶消し意匠にする働きをする。
本発明の化粧シートは、本発明の塗料を用いて形成された塗膜を有する化粧シートである。本発明の塗料を用いて形成される塗膜は、通常は、本発明の化粧シートの正面(実使用状態において通常視認される側の面)の表面保護層として形成される。ここで実使用状態とは、化粧シートが各種物品の表面の化粧・加飾に用いられた状態をいう。
(イ)塗膜の平滑性:
化粧シートの塗膜面を、蛍光灯の光の入射角をいろいろと変えて当てながら目視観察し、以下の基準で評価した。
◎:うねりや凹凸ムラがなく良好であった。
○:僅かなうねりや凹凸ムラのある部分があった。
△:うねりや凹凸ムラのある部分があった。
×:全体的にうねりや凹凸ムラがあった。
JIS Z8741:1997に準拠し、コニカミノルタ株式会社のマルチアングル光沢計「GM−268(商品名)」を使用し、化粧シートの塗膜面について60度光沢値を測定した。
化粧シートの塗膜面が表面になるように、摩擦端子の往復方向と化粧シートのマシン方向が平行となるように、JIS L 0849:2013の学振形試験機に置き、該学振形試験機の摩擦端子に、#0000のスチールウールを取り付けた後、500g荷重を載せ、移動距離60mm、速度1往復/秒の条件で試験片の表面を往復10回擦った。当該摩擦個所を目視観察し以下の基準で判定した。
◎:傷は認められなかった。
○:1〜3本の傷があった。
△:4〜10本の傷があった。
×:11本以上の傷があった。
化粧シートの塗膜面について、KRUSS社の自動接触角計「DSA20(商品名)」を使用し、水滴の幅と高さとから算出する方法(JIS R 3257:1999を参照。)で測定した。
和光純薬工業株式会社のオレイン酸(試薬1級)と、オリオン・エンジニアドカーボンズ株式会社のカーボンブラック「FW−200(商品名)」を質量比10/1で配合し、良く混合攪拌して汚染物を作成した。次に、化粧シートの塗膜面に、上記で得た汚染物1mgを直径20mmの円形に塗布した後、水道水で洗い流した。水洗は、1リットル/10秒の流量の流水を、水道蛇口から10cm下の位置において、上記の塗布された汚染物に直接当てるのみの方法で20秒間行った。このとき汚れ除去性が良好であれば、汚染物が塗膜から浮き剥がれ落ちるのを観察することができる。汚染物の塗布箇所を目視観察し、以下の基準で評価した。
◎:汚染物は完全に除去され、塗布跡が全く残らなかった。
○:汚染物は除去されたが、塗布跡が僅かに残っていた。
△:汚染物の一部が除去されず、塗布箇所に残存していた。
×:汚染物の多くが除去されず、塗布箇所に塗布されたときのまま残存していた。
パイロット株式会社の赤色の水性顔料マーカー「ジュースペイント(商品名)」を使用し、化粧シートの塗膜面に、直径20mmの円を描き、円内を塗りつぶした(以下、マーカーで描かれたものを「汚染物」という。)。温度25℃、相対湿度50%の環境下で24時間の状態調節をした後、上記汚染物を水道水で洗い流した。水洗は、1リットル/10秒の流量の流水を、水道蛇口から10cm下の位置において、上記汚染物に直接当てるのみの方法で20秒間行った。このとき汚れ除去性が良好であれば、上記汚染物が塗膜から浮き、剥がれ落ちるのを観察することができる。上記汚染物の描かれた箇所を目視観察し、以下の基準で評価した。
◎:汚染物は完全に除去され、描かれた跡が全く残らなかった。
○:汚染物は除去されたが、描かれた跡が僅かに残っていた。
△:汚染物の一部が除去されず、描かれた箇所に残存していた。
×:汚染物の多くが除去されず、描かれた箇所に描かれたときのまま残存していた。
化粧シートの塗膜面が表面になるように、摩擦端子の往復方向と化粧シートのマシン方向とが平行となるように、JIS L0849:2013の学振形試験機(摩擦試験機2形)に置いた。続いて、該学振形試験機の摩擦端子に、4枚重ねのガーゼ(川本産業株式会社の医療用タイプ1ガーゼ)で覆ったステンレス板(縦10mm、横10mm、厚み1mm)を取付け、該ステンレス板の縦横面が試験片と接触するようにセットし、500g荷重を載せ、上記ガーゼにメチルエチルケトンを十分(ひたひたになる程度)に含ませた後、移動距離60mm、速度1往復/秒の条件で試験片の表面を往復20回擦った。当該摩擦個所を目視観察し、以下の基準で判定した。
◎:塗膜に変化は認められなかった。摩擦個所の光沢と摩擦していない箇所の光沢とで差は生じていなかった。
○:摩擦個所の光沢が、摩擦していない箇所の光沢よりも、僅かに低下していた。しかし、塗膜の平滑性(上記試験(イ)の方法により評価。以下、同じ。)に変化は認められなかった。
△:摩擦個所の光沢が、摩擦していない箇所の光沢よりも、明らかに低下していた。しかし、塗膜の平滑性に変化は認められなかった。
×:摩擦個所の光沢が、摩擦していない箇所の光沢よりも、著しく低下していた。更に、摩擦箇所の塗膜の平滑性が低下していた。
パール金属株式会社のアルミニウム製やかん(適合容量2リットル)「ニューセレット アルミケトルH−2508(商品名)」に水道水を1.5リットル入れ、沸騰直後に化粧シートの塗膜面の上に直置きした。5分経過後にやかんを取り去り、化粧シートのやかん直置き箇所を目視観察し、以下の基準で評価した。
◎:やかんを直置きした跡が全く残らなかった。
○:やかんを直置きした跡が僅かに残っていた。
△:やかんを直置きした跡が明確に残っていた。
×:化粧シートが著しく熱変形していた。
JIS K5600−5−1:1999に準拠し、化粧シートから化粧シートのマシン方向100mm×横方向50mmとなるように採取したサンプルを用い、円筒形マンドレル法による耐屈曲性試験を行った。割れの起こらなかったマンドレルのうち直径が最小のマンドレルの直径を求めた。
(A1)多官能(メタ)アクリレート:
(A1−1)日本化薬株式会社のジペンタエリスリトールヘキサアクリレート。
(A1−2)根上工業株式会社の多官能ウレタン(メタ)アクリレート「アートレジンUN−1255(商品名)」。(メタ)アクリロイル基の数2個。
(A2−1)共栄社化学株式会社の3‐フェノキシベンジルアクリレート「ライトアクリレートPOB‐A(商品名)」。
(A’−1)共栄社化学株式会社の2‐ヒドロキシ‐3‐フェノキシプロピルアクリレート「エポキシエステルM−600A(商品名)」。
(A’−2)共栄社化学株式会社のフェノキシエチルアクリレート「ライトアクリレートPO−A(商品名)」。
(B−1)3−スルホニルプロピル−アクリレート・カリウム塩(下記式3‐1の化合物)。
(C−1)ビックケミー・ジャパン株式会社の樹脂粒子「CERAFLOUR 1000(商品名)」。平均粒子径5μm。
(C−2)根上工業株式会社のアクリル系樹脂粒子「アートパールSE−010T(商品名)」。平均粒子径10μm。
(D−1)ライトケミカル工業株式会社の1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物「RV2(商品名)」。
(D−2))BASF社のアセトフェノン系光重合開始剤(2‐ヒロドキシ‐1‐{4‐[4‐(2‐ヒドロキシ‐2‐メチル‐プロピオニル)‐ベンジル]フェニル}‐2‐メチル‐プロパン‐1‐オン)「IRGACURE127(商品名)」。
(D−3)メタノール。
(D−4)1−メトキシ−2−プロパノール。
(D−5)エタノール。
(P−1)東洋紡株式会社の非晶性ポリエステル樹脂「バイロン103(商品名)」100質量部、BASF社のヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤「TINUVIN479(商品名)」10質量部、上記成分(D−1)3.3質量部、メチルエチルケトン120質量部、及び酢酸エチル240質量部を混合撹拌して得た塗料。
1.塗料の調製:
上記成分(A1−1)86質量部、上記成分(A2−1)14質量部、上記成分(B−1)37質量部、上記成分(C−2)16質量部、上記成分(D−1)8質量部、上記成分(D−2)6質量部、上記成分(D−3)68質量部、及び上記成分(D−4)14質量部を混合撹拌し、塗料を得た。
(2−1)リケンテクノス株式会社の厚み250μm、白色の着色ポリブチレンテレフタレート系樹脂フィルム「HR(WHT)(商品名)」の片面の上に、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体をメジウムとするインクを用いて厚み1μmの木目柄の印刷層を形成した。
塗料の配合を表1又は2に示すものに変更したこと以外は例1と同様に行った。結果を表1又は2に示す。
2:印刷層
3:着色熱可塑性樹脂フィルムの層
4:粘着剤層
Claims (6)
- (A)(メタ)アクリレート 100質量部;及び、
(B)スルホン酸基、カルボキシル基、及びリン酸基からなる群から選択される少なくとも1種のアニオン性親水基を有する化合物 5〜100質量部;
を含み、
ここで上記成分(A)(メタ)アクリレートは、
(A1)多官能(メタ)アクリレート 40〜99質量%と
(A2)3‐フェノキシベンジル(メタ)アクリレート又は3‐フェノキシベンジル(メタ)アクリレート誘導体 60〜1質量%からなり;
上記成分(A1)多官能(メタ)アクリレートと上記成分(A2)3‐フェノキシベンジル(メタ)アクリレート又は3‐フェノキシベンジル(メタ)アクリレート誘導体との和は100質量%であり;
無機粒子を含まない;
塗料。
- 上記成分(A)(メタ)アクリレート 100質量部に対して、更に(C)平均粒子径1〜100μmの樹脂粒子 1
〜200質量部;を含む請求項1に記載の塗料。
- 上記成分(A2)が3‐フェノキシベンジル(メタ)アクリレートを含む請求項1又は2に記載の塗料。
- 更に、メタノール、及びエタノールからなる群から選択される1種以上を含む、請求項1〜3の何れか1項に記載の塗料。
- 請求項1〜4の何れか1項に記載の塗料から形成された塗膜を含む化粧シート。
- 実使用状態において通常視認される側の面から順に、請求項1〜4の何れか1項に記載の塗料から形成された塗膜、及び熱可塑性樹脂フィルムの層を有し;
上記塗膜の表面の水接触角が25度以下であり;
マンドレル試験の値が10mm以下である;
化粧シート。
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