JP2001080290A - 筆記ボード表面被膜及び筆記ボード表面被膜用硬化性組成物 - Google Patents

筆記ボード表面被膜及び筆記ボード表面被膜用硬化性組成物

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JP2001080290A
JP2001080290A JP26160599A JP26160599A JP2001080290A JP 2001080290 A JP2001080290 A JP 2001080290A JP 26160599 A JP26160599 A JP 26160599A JP 26160599 A JP26160599 A JP 26160599A JP 2001080290 A JP2001080290 A JP 2001080290A
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meth
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JP26160599A
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Makoto Terauchi
真 寺内
Noritaka Hosokawa
範孝 細川
Kazuhide Hayama
和秀 葉山
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Mitsubishi Chemical Corp
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い耐摩耗性、耐久性、及び透明性を維持し
つつ、専用マーカーペン以外のマーカーペンで誤って書
き込んだ場合は筆記不良となるとともに、乾拭き性も良
好で、更に専用マーカーペンでの筆記性と消去性にも優
れた筆記ボード用の表面被膜、及びこのような被膜を形
成しうる硬化性組成物の提供。 【解決手段】 水に対する接触角が90度以上で、かつ
エタノールに対する接触角が10度以下である筆記ボー
ド表面被膜、及びこれを形成するのに好適な、4級アン
モニウム塩基、アクリロイル基又はメタクリロイル基の
少なくとも一方、及び窒素原子を介して主鎖に結合する
オルガノポリシロキサン単位を有する重合体(成分A)
及び分子内にアクリロイル基とメタクリロイル基を合計
で3個以上有する多官能(メタ)アクリレート(成分
B)とを含有し、かつ成分Aと成分Bとの合計量を10
0重量部としたときに、成分Aの含有量が1〜40重量
部、成分Bの含有量が40〜99重量部である硬化性組
成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マーカーペンによ
る書き込みが可能で、筆記性と消去性に優れたホワイト
ボード等の筆記ボード表面被膜、これを形成するのに好
適な活性エネルギー線により硬化可能な筆記ボード表面
被膜用硬化性組成物、及びその硬化被膜の形成方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】マーカーペンによる書き込みが可能な各
種の筆記ボード(ホワイトボード、電子白板、電子黒板
などの総称)が、現在、企業、学校、公共施設、家庭内
などの広い範囲で、チョークを用いる黒板に代えて使用
されるようになっている。しかしながら、これらの筆記
ボードの材質はホーロー、塗装板、樹脂板等多種多様で
あるため、マーカーペンを用いて書き込んだ場合に、消
去性に劣る場合がある。そこで、こうした筆記ボード用
マーカーペンの多くは、剥離剤(場合によっては濡れ剤
も併用)を添加したインキを用いて筆記性と消去性のバ
ランスを維持している(例えば特公昭62−4149号
公報、特公平6−4805号公報、特開平11−124
529号公報等)。ところが、筆記ボードによっては、
専用マーカーペンで書き込んだ場合にも、剥離性を重視
するあまり、インキの付着性が悪く、はじきを生じた
り、あるいは逆に筆記性を重視するあまり、インキがボ
ード面に浸透して、色残りを生じたりするという問題が
あった。こうした問題点を解決するために、筆記面表面
の極性を制御したり(水に対する接触角を50〜80度
に制御:特開平10−287091号公報)、表面にハ
ードコート層を設けたり(特開平10−203084号
公報、特開平11−129688号公報等)することが
提案されている。
【0003】しかし、上記のような問題に加えて、専用
マーカーペン以外で誤って書き込んだ場合の消去不良
(拭き取り不可やしみ込み)の問題が重視されるように
なり、少なくとも有機溶剤で拭き取れば全く線の跡やし
み込んだ跡が残らないような筆記ボード用の被膜やこれ
を用いた筆記ボードが開発されている。しかしながら、
現状は、乾式イレーザやテイッシュなどによる乾拭きで
はインキが拭き取れなかったり、あるいはインキのしみ
込みによる色残りを生じることがあるため、一層の改良
が求められていた。また、このような筆記用ボードに専
用マーカーペン以外のペンで誤って書き込んだ場合で
も、筆記性がそれほど低下しないため、誤りにすぐには
気づかないという問題もあった。そこで、誤って専用マ
ーカーペン以外のペンで書き込もうとしても、はじき等
の筆記不良を起こしたり、あるいは書いてしまった場合
でも乾拭きで容易に拭き取れるような表面被膜を有する
筆記ボードの開発が望まれている。
【0004】しかしながら、アクリル/シリコーン系ハ
ードコート剤を塗布したり、表面処理したポリプロピレ
ンフィルムやポリエチレンフィルムをラミネート加工し
たり、あるいはメラミン樹脂で表面塗装された筆記ボー
ドに更に表面処理を施したりする等の従来技術の延長線
上の手法では、目的を達することが困難であった。一
方、マーカーインキのはじき性と拭き取り性に優れてい
るとして各種のシリコーン系防汚塗料やフッ素系防汚塗
料が提案されているが、これらの塗料を用いた場合は、
専用マーカーペンを使っても書き込みが困難になってし
まい、十分に目的を達することはできていない状態であ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述の従来技
術の問題点を解決し、高い耐摩耗性・耐久性(高硬
度)、透明性(優れた外観)を維持しつつ、専用マーカ
ーペン以外のマーカーペンで誤って書き込んだ場合の筆
記不良(はじき)と、良好な乾拭き性を実現し、更に専
用マーカーペンの筆記性と消去性にも優れた筆記ボード
用の表面被膜の提供及びこのような被膜を形成しうる硬
化性組成物の提供を課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の問題
を解決するために鋭意検討を行った結果、筆記ボードの
表面が特定範囲の接触角を有する場合、それも水に対す
るものだけでなく、エタノールに対するものをも考慮し
た場合にはじめて、上記の問題点を解決できること、及
びこのような表面被膜は特定の重合体を含む、特定組成
の組成物によって得られることを見出し、本発明を完成
した。即ち、本発明の要旨は、水に対する接触角が90
度以上で、かつエタノールに対する接触角が10度以下
である筆記ボード表面被膜及びフィルムにより形成され
てなる当該筆記ボード表面被膜に存している。
【0007】本発明の他の要旨は、4級アンモニウム塩
基、アクリロイル基又はメタクリロイル基(以下、まと
めて「(メタ)アクリロイル基」と記す)の少なくとも
一方、及び窒素原子を介して主鎖に結合するオルガノポ
リシロキサン単位を有する重合体(以下「成分A」と記
す)と分子内に(メタ)アクリロイル基を3個以上有す
る多官能(メタ)アクリレート(以下「成分B」と記
す)とを含有し、かつ成分Aと成分Bとの合計量を10
0重量部としたときに、成分Aの含有量が1〜40重量
部、成分Bの含有量が60〜99重量部である上記の筆
記ボード表面被膜を形成可能な硬化性組成物、成分A
が、アミノ基を有するオルガノポリシロキサン化合物が
(メタ)アクリロイル基に付加した構造を有する重合体
である上記の筆記ボード表面被膜用硬化性組成物、及び
成分Aが窒素原子を介さずに主鎖に結合するオルガノポ
リシロキサン単位を有する重合体である上記の筆記ボー
ド表面被膜用硬化性組成物に存している。
【0008】本発明の別の要旨は、成分Aの80重量%
以下が、4級アンモニウム塩基及び(メタ)アクリロイ
ル基を有する重合体に置き換えられてなる上記の筆記ボ
ード表面被膜用硬化性組成物、成分A及び成分Bに加え
て、他の重合性単量体を成分Aと成分Bとの合計量10
0重量部あたり35重量部以下含有する上述の筆記ボー
ド表面被膜用硬化性組成物、成分A及び成分Bに加え
て、アクリル系重合体又はメタクリル系重合体を成分A
と成分Bとの合計量100重量部あたり30重量部以下
含有する上述の筆記ボード表面被膜用硬化性組成物、光
重合開始剤を含有する上述の筆記ボード表面被膜用硬化
性組成物、にも存している。本発明のもう一つの要旨
は、上記の筆記ボード表面被膜用硬化性組成物を適用
し、活性エネルギー線を照射することにより該組成物を
硬化させることを特徴とする筆記ボード表面被膜の製造
方法及び上記の筆記ボード表面被膜用硬化性組成物をフ
ィルム基材上に塗布し、次いで活性エネルギー線を照射
することにより該組成物を硬化させることを特徴とする
筆記ボード表面被膜用フィルムの製造方法、に存してい
る。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。まず、本発明の表面被膜の接触角に
ついて説明し、その後このような被膜を形成可能な硬化
性組成物を構成する成分と組成比及び被膜の形成と用途
等について説明する。
【0010】(1)接触角 本発明の筆記ボード用表面被膜の水に対する接触角は9
0度以上で、かつエタノールに対する接触角は10度以
下であることが必要である。エタノールに対する接触角
が10度を超えると、ホワイトボード等の筆記ボード用
の専用マーカーペンを用いた場合に、はじきを生じた
り、筆記線の乱れを生じたりする等の筆記性の低下が起
こる。また、水に対する接触角が90度未満の場合、専
用マーカーペンによる書き込みであっても、その拭き取
り性が低下したり、誤ってホワイトボード用専用マーカ
ーペン以外の、一般の油性又は水性マーカーペン等で書
き込んだ場合でも筆記可能となったり、ホワイトボード
用の乾式イレーザーやテイッシュペーパーなどの乾拭き
による拭き取り性が悪化する等、耐汚染性の低下が見ら
れる。なお、このような特定の接触角を有する表面被膜
は、後述する特定の成分を有する組成物からなる塗膜に
活性エネルギー線を照射すること等によって形成される
被膜から得ることができる。この被膜を形成するための
組成物の成分は、得られる被膜の表面に、4級アンモニ
ウム塩基に基づく親水性とポリシロキサンに基づく撥水
性との双方がバランス良く存在するように選択すること
が重要である。この効果の発現のためには、成分Aの重
合体を構成する単量体が有する置換基の親水性・疎水性
を含めて考慮することが必要であり、これは成分A中の
各単量体の構造と含有量、及び成分Bの多官能(メタ)
アクリレートをはじめとする他の構成成分を含めた組成
物全体としての親水性・撥水性バランスを考えて、試行
錯誤的に検討することにより選定可能である。
【0011】(2)筆記ボード表面被覆用組成物 本発明の特定の接触角を有する筆記ボード表面被膜を硬
化により形成することができる組成物は、4級アンモニ
ウム塩基、(メタ)アクリロイル基、及び窒素原子を介
して主鎖に結合するオルガノポリシロキサン単位を有す
る重合体(成分A)及び分子内に(メタ)アクリロイル
基を3個以上有する多官能(メタ)アクリレート(成分
B)を必須成分とし、必要に応じて、成分Aの一部を4
級アンモニウム塩基および(メタ)アクリロイル基を有
する重合体に置き換えたり、他の重合性単量体や、アク
リル系重合体又はメタクリル系重合体、更に光重合開始
剤等を含有するものである。
【0012】以下、これらの各成分について説明する。
4級アンモニウム塩基、(メタ)アクリロイル基、及び
窒素原子を介して主鎖に結合するオルガノポリシロキサ
ン単位を有する重合体(成分A)本発明の筆記ボード表
面被膜用組成物を構成する重合体(成分A)は、形成さ
れる被膜に、主として耐汚染性及び必要に応じて帯電防
止性を付与するもので、4級アンモニウム塩基、(メ
タ)アクリロイル基、及び窒素原子を介して主鎖に結合
するオルガノポリシロキサン単位を有している。この成
分Aの重合体は、上記の各官能基及び構成単位を有して
いれば、その構造、官能基及び構成単位の数および結合
位置、分子量、粘度などは制限されない。
【0013】なお、本明細書において「窒素原子を介し
て主鎖に結合する」とは、オルガノポリシロキサン単位
と重合体主鎖を結ぶ分子鎖の中に少なくとも1個の窒素
原子が存在することを意味する。また、本明細書におい
ては、アクリロイルとメタクリロイルとをまとめて
「(メタ)アクリロイル」と記す他、アクリレートとメ
タクリレートとをまとめて「(メタ)アクリレート」
と、及びアクリル酸とメタクリル酸とをまとめて「(メ
タ)アクリル酸」と、それぞれ略記する。この成分Aの
重合体は主鎖に結合するオルガノポリシロキサン単位を
有していてもよく、またアミノ基を有するオルガノポリ
シロキサン化合物が(メタ)アクリロイル基に付加した
構造を有していてもよい。本発明に用いる成分Aの重合
体の製造方法は特に限定されるものではないが、下記の
(工程1)〜(工程3)に従って製造するのが好まし
い。
【0014】(工程1)1分子中に1個のラジカル重合
性基と水酸基とを有する化合物(a1)と、1分子中に
1個のラジカル重合性基を有する3級アミン化合物(a
2)と、必要に応じてこれと共重合可能な他の(メタ)
アクリル酸エステル単量体(a3)とを重合して水酸基
を有する重合体を合成する。 (工程2)工程1で生成した重合体に、(メタ)アクリ
ロイル基とイソシアネート基を有する化合物(a4)を
付加して、3級アミンと(メタ)アクリロイル基を有す
る重合体(a5)を合成する。
【0015】(工程3)工程2で得た重合体に、4級化
剤を反応させて4級アンモニウム塩を形成した後、重合
体中の(メタ)アクリロイル基にアミノ基を有するオル
ガノポリシロキサン化合物(a6)を付加させる。な
お、本工程において4級化はオルガノポリシロキサン化
合物(a6)を付加させた後に行ってもよい。また、窒
素原子を介さずに主鎖に結合するオルガノポリシロキサ
ン単位を導入する場合は、(工程1)において、1分子
中に1個のラジカル重合性基または1分子中に2個のメ
ルカプト基を有するオルガノポリシロキサン化合物を共
重合させ、その後(工程2)と(工程3)を行えばよ
い。
【0016】(工程1)で使用する化合物(a1)とし
ては、1分子中に1個のラジカル重合性基と水酸基を有
する化合物であれば特にその構造は制限されず、例えば
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒド
ロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシ
ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フ
ェノキシプロピル(メタ)アクリレート、カプロラクト
ン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2
−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシ
エチルフタル酸、等を挙げることができる。(工程1)
で使用する3級アミン化合物(a2)は、1分子中に1
個のラジカル重合性基を有するものであれば特にその構
造は制限されない。好ましいのは、以下の一般式(I)
で表される構造を有する化合物である。
【0017】
【化1】
【0018】(式中、R1 はHまたはCH3 を、R2
3 はHまたは置換基を有していてもよい炭素原子数1
〜9のアルキル基を、kは1〜6の整数を表す)
【0019】上記の一般式で表される化合物(a2)と
して、例えばN,N−ジメチルアミノエチル(メタ)ア
クリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)ア
クリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)
アクリレート、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)
アクリレート、N,N−ジプロピルアミノエチル(メ
タ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノエチル(メ
タ)アクリレート等を挙げることができる。
【0020】上記の化合物(a1)と化合物(a2)と
の共重合の際に、これらの単量体に加えて、上記の(a
1)、(a2)には該当しない(メタ)アクリル酸エス
テル単量体(a3)を用いて多元共重合体としておくこ
とが好ましい。成分(a3)として用いられる(メタ)
アクリル酸エステルの具体例としては、メチル(メタ)
アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチ
ル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレ
ート、t−ブチル(メタ)アクリレート、フェニル(メ
タ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリ
レート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシ
ル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリ
レート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジ
シクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、
エトキシエチル(メタ)アクリレート、エチルカルビト
ール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)ア
クリレート、シアノエチル(メタ)アクリレート、グリ
シジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリ
レート、ステアリル(メタ)アクリレート、等の(メ
タ)アクリル酸アルキル又はアリールエステル、トリメ
トキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリエト
キシシリルプロピル(メタ)アクリレート、メチルジメ
トキシシリル(メタ)アクリレート等の重合性シラン化
合物、トリフルオルエチル(メタ)アクリレート、ペン
タフルオルプロピル(メタ)アクリレート、2−(パー
フルオルヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−
(パーフルオルオクチル)エチル(メタ)アクリレート
等の重合性フルオルアルキルエステル等を挙げることが
できる。
【0021】(工程1)において、1分子中に1個のラ
ジカル重合性基と水酸基を有する化合物(a1)の使用
量は重合性単量体全量を100重量%としたとき、その
1〜60重量%、好ましくは5〜55重量%とするのが
好ましい。この量が1重量%未満では、その後の工程で
導入される(メタ)アクリロイル基やポリシロキサン単
位の量が少なくなり、耐汚染性が低下する傾向となる。
一方、この量が60重量%を超えると、帯電防止性が不
十分となりやすく、また化合物(a2)の量が不足す
る。3級アミン化合物(a2)の使用量は共重合性単量
体100重量%に対して好ましくは40〜99重量%、
より好ましくは45〜95重量%である。40重量%未
満ではエタノールに対する接触角を本発明で規定する範
囲まで低くすることが困難となる。
【0022】(工程1)の重合は、一般に溶剤中で、ラ
ジカル重合開始剤を用いて行われる。溶剤としては、ト
ルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル、
酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、
メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロ
ヘキサノン等のケトン類、エチレングリコールジメチル
エーテル、エチレングリコールジエチルエーテル等のエ
ーテル類、及び2−メトキシエチルアセテート、2−エ
トキシエチルアセテート、2−ブトキシエチルアセテー
ト等のエーテルエステル類を用いることができ、またこ
れらを混合して使用することもできる。重合反応に使用
するラジカル重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキ
サイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、クメン
ハイドロパーオキサイドなどの有機過酸化物や2,2’
−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−
(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾ
ビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)等のアゾ化合物が好適に用いられる。重合反応液中
の単量体濃度は通常10〜60重量%である。また、重
合開始剤は単量体混合物に対し通常0.1〜10重量
%、好ましくは0.3〜2重量%の量を使用する。
【0023】次に(工程2)では、(工程1)で合成し
た重合体に、(メタ)アクリロイル基とイソシアネート
基を有する化合物(a4)を付加して、(メタ)アクリ
ロイル基を有する重合体(a5)を合成する。 (工程2)で使用する化合物(a4)は(メタ)アクリ
ロイル基とイソシアネート基を有するものであればその
構造は特に制限されない。例えば、2−ヒドロキシエチ
ル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アク
リレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル
(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性2−ヒドロ
キシエチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリ
ロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、
ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペ
ンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の水
酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルと、トリレン
ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシ
リレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネ
ート等のイソシアネート化合物との等モル反応による付
加体を挙げることができる。なお、化合物(a4)とし
てはアクリロイル基を有するものの方が、反応性が高
く、硬化が速いので好ましい。
【0024】(工程1)で合成した重合体と化合物(a
4)とは、OH基/NCO基≧1の割合、好ましくは1
〜10の割合で使用する。反応は60〜110℃で1〜
20時間攪拌することにより行うのが好ましい。(工程
2)の反応では、(メタ)アクリロイル基の重合を防止
するため、例えばハイドロキノン、ハイドロキノンモノ
メチルエーテル、カテコール、p−tert−ブチルカ
テコール、フェノチアジンなどの重合禁止剤を使用する
のが好ましい。重合禁止剤の使用量は反応混合物に対し
て0.01〜1重量%、好ましくは0.05〜0.5重
量%である。また、反応を促進するために、例えば、ジ
ブチル錫ジラウレートや、1,4−ジアザビシクロ
[2.2.2]オクタンのような触媒を用いてもよい。
【0025】(工程3)では、上記(工程2)で得た重
合体(a5)に4級化剤を反応させて4級アンモニウム
塩を形成した後、アミノ基を有するオルガノポリシロキ
サン化合物(a6)を(メタ)アクリロイル基に付加さ
せるか、又は先に(工程2)で合成した重合体(a5)
の(メタ)アクリロイル基にアミノ基を有するオルガノ
ポリシロキサン化合物(a6)を付加させた上で、4級
化剤を反応させて4級アンモニウム塩を形成してもよ
い。(工程3)で使用する4級化剤としては、例えばア
ルキルクロリド(メチルクロリド、ブチルクロリドな
ど)、メチルブロミド、ブチルブロミド、ベンジルクロ
リド、クロル酢酸メチルなどのハロゲン化物、ジメチル
硫酸、ジエチル硫酸、ジプロピル硫酸などのアルキル硫
酸エステル類、p−トルエンスルホン酸メチル、ベンゼ
ンスルホン酸メチル、メタンスルホン酸メチルなどのス
ルホン酸エステル類等を挙げることができる。
【0026】重合体(a5)の3級アミン部分を4級化
剤で4級アンモニウム塩にする反応は、3級アミンと4
級化剤を等モル混合し、20〜80℃で1〜20時間攪
拌することにより行うのが好ましい。4級化反応を行う
にあたっては、溶剤の親水性を上げるため、メタノー
ル、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノー
ル、n−ブタノール、イソブタノールなどのアルコール
類、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノー
ル、2−ブトキシエタノールなどのエーテル類、水、ま
たはこれらの混合物を添加しておくことが好ましい。
【0027】(工程3)で使用するアミノ基を有するオ
ルガノポリシロキサン化合物としては、少なくとも1個
のオルガノポリシロキサン単位と少なくとも1個のアミ
ノ基を有する化合物であればその構造は特に制限されな
い。アミノ基は、オルガノポリシロキサン構造の末端に
結合していても側鎖に結合していていもよい。化合物中
に含まれるオルガノポリシロキサン単位は、下記一般式
(II)で表される構造を有するものが好ましい。
【0028】
【化2】
【0029】式中、R4 とR5 はメチル基又はフェニル
基で、相互に同一でも異なっていてもよく、nは5以上
の整数(好ましくは5〜50の整数)を表す。オルガノ
ポリシロキサン化合物としては、アミン当量が500〜
20000のポリアルキル(炭素原子数1〜6)アミノ
ジアルキルシロキサンが好ましく用いられる。
【0030】重合体(a5)の(メタ)アクリロイル基
にアミノ基を有するオルガノポリシロキサン化合物をマ
イケル付加する反応では、(メタ)アクリロイル基/ア
ミノ基の比が1以上となるように使用量を調節する。よ
り好ましい両者の比は10〜1000の割合である。こ
の反応は60〜100℃で1〜20時間攪拌して行うの
が好ましい。この反応によって、重合体(a5)の(メ
タ)アクリロイル基の一部にアミノ基を有するオルガノ
ポリシロキサン化合物が付加した構造が形成される。
【0031】本発明の筆記ボード表面被膜用硬化性組成
物の成分Aとして使用する重合体は、窒素原子を介して
主鎖に結合するオルガノポリシロキサンが主に耐汚染性
発現に寄与しているが、さらに四級アンモニウム塩基構
造、(メタ)アクリロイル基構造、必要に応じてアルキ
ル基やアリール基、アラルキル基や含フッ素アルキル基
構造などを導入することで、表面のオルガノポリシロキ
サン単位の濃度が制御され、本発明の要件である、水及
びアルコールに対する特定の接触角を有する表面被膜を
形成することが可能となる。
【0032】更に、窒素原子を介さずに主鎖に結合する
オルガノポリシロキサン単位を含有することにより、表
面のオルガノポリシロキサン単位の濃度がより精密に制
御できるので、より好ましい撥水・親アルコール性を有
する被膜の形成が可能になる場合がある。このような窒
素原子を介さずに主鎖に結合するオルガノポリシロキサ
ン単位も有する重合体は、(工程1)において、1分子
中に1個のラジカル重合性基と水酸基を有する化合物
(a1)と、1分子中に1個のラジカル重合性基を有す
る3級アミン化合物(a2)に加えて、1分子中に1個
のラジカル重合性基または1分子中に2個のメルカプト
基を有するオルガノポリシロキサン化合物、及び必要に
応じ、他の(メタ)アクリル酸エステルを共重合するこ
とにより得られる重合体に、(工程2)と(工程3)を
行えば目的とする重合体を合成することができる。
【0033】4級アンモニウム塩基およびアクリロイル
基又はメタクリロイル基の少なくとも一方を有する重合
上述の成分Aの重合体の80重量%以下は4級アンモニ
ウム塩基およびアクリロイル基又はメタクリロイル基の
少なくとも一方を有する重合体で置き換えてもよい。こ
の重合体は、形成される被膜の表面の極性を制御し、耐
汚染性を維持しつつ、より優れた筆記性を実現するため
に、必要に応じ配合される。この重合体は、(メタ)ア
クリロイル基と4級アンモニウム塩基を有する限り、特
にその構造、各官能基の数や結合位置、分子量、あるい
は粘度などは制限されないが、例えば上述の成分Aを製
造するための(工程1)、(工程2)で得られた重合体
(a5)について、(工程3)の一部のみを行う、即ち
4級化剤により4級化してアンモニウム塩を形成させ
る、ことにより得ることができる。ここで用いることが
できる4級化剤及び4級化反応の条件は、前述の成分A
の重合体の製造のための(工程3)において述べたもの
がそのまま適用できる。成分Aの重合体をこの重合体で
置換する場合の比率は、成分Aの全量の80重量%以下
である。成分Aの含有量が20重量%未満では、十分な
耐汚染性が発現されなくなる。また、この重合体は、成
分Aの重合体と同じ主鎖骨格を有するものを用いるのが
相溶性の点で好ましい。
【0034】多官能(メタ)アクリレート化合物(成分
B)本発明の筆記ボード表面被膜用硬化性組成物に用い
られる多官能(メタ)アクリレート(成分B)は、分子
内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有するもので
ある限り、特にその構造等は制限されない。この多官能
(メタ)アクリレートはアクリロイル基かメタクリロイ
ル基のいずれか一方のみを有するものであってもよい
し、両方を有するものであってもよい。アクリロイル基
を有するものが、反応性に富んでいるので、より好まし
い。分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有す
る多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリ
メチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレ
ンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)ア
クリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプ
ロパントリ(メタ)アクリレート、トリス((メタ)ア
クリロキシエチル)イソシアヌレート、カプロラクトン
変性トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌ
レート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレー
ト、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレー
ト、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレー
ト、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレー
ト、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレー
ト、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メ
タ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトー
ルペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジ
ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ポ
リイソシアネートと分子内に水酸基および3個以上の
(メタ)アクリロイル基を有する水酸基含有多官能(メ
タ)アクリレートを反応して得られるウレタン(メタ)
アクリレート、テトラカルボン酸二無水物と分子内に水
酸基および3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する
水酸基含有多官能アクリレートを反応して得られるカル
ボキシル基含有多官能(メタ)アクリレートが挙げられ
る。これらの多官能(メタ)アクリレートは2種以上を
混合して用いてもよい。テトラカルボン酸二無水物の具
体例としては、ピロメリット酸二無水物、3、3’、
4、4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、
3、3’、4、4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無
水物、3、3’、4、4’−ジフェニルエーテルテトラ
カルボン酸二無水物、3、3’、4、4’−ジフェニル
スルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−(ヘキ
サフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、1,
2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水
物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水
物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3
−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸
無水物、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−
3−イル)−テトラリン−1,2−ジカルボン酸無水
物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無
水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,
3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、などを挙げる
ことができる。
【0035】また、分子内に水酸基および3個以上の
(メタ)アクリロイル基を有する水酸基含有多官能(メ
タ)アクリレートの具体例としては、ペンタエリスリト
ールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトー
ルテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトー
ルペンタ(メタ)アクリレート、およびこれらの混合物
などが挙げられる。これらの分子内に3個以上の(メ
タ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレー
トの中では、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)ア
クリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)ア
クリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリ
レート、テトラカルボン酸二無水物と分子内に水酸基お
よび3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する水酸基
含有多官能アクリレートを反応して得られるカルボキシ
ル基含有多官能(メタ)アクリレートなどが、被膜の耐
摩耗性を向上する効果を有しており、特に好ましい。
【0036】他の重合性単量体 本発明の筆記ボード表面被膜用硬化性組成物には上記の
各成分に加えて、他の重合性単量体を、本発明の組成物
から形成される被膜の性能を損なわない範囲で、用いる
ことができる。このような他の重合性単量体としては、
例えば1分子内に1個または2個の(メタ)アクリロイ
ル基を有する(メタ)アクリレート、具体的には、(メ
タ)アクリロイル基を2個有するウレタン(メタ)アク
リレートやジ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)
アクリレートなどや、(メタ)アクリロイル基を1個有
する水酸基含有(メタ)アクリレート類などが挙げられ
る。このような他の重合性単量体の使用量としては、上
記の成分Aと成分Bとの合計量を100重量部とした
時、35重量部以下とすることが好ましい。
【0037】他のアクリル系重合体又はメタクリル系重
合体 本発明の筆記ボード表面被膜用硬化性組成物は、上述し
た各成分に加えて、本発明の組成物から形成される被膜
の性能を損なわない範囲で、他のアクリル系重合体又は
メタクリル系重合体を添加することができる。このよう
な重合体の例としては、ポリメチルメタクリレート、ま
たは(メタ)アクリル酸アルキルエステルと水酸基を含
む(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体、(メタ)
アクリル酸アルキルエステルとラジカル重合性基を含む
シランカップリング剤との共重合体、側鎖に(メタ)ア
クリロイル基を有する(メタ)アクリル酸エステル共重
合体などを挙げることができるが、これらに限定される
わけではない。このようなアクリル系重合体又はメタク
リル系重合体の使用量としては、上記の成分Aと成分B
との合計量を100重量部とした時、30重量部以下と
することが好ましい。
【0038】光重合開始剤 本発明の筆記ボード表面被膜用硬化性組成物の硬化に際
して、活性エネルギー線として紫外線を用いる場合、光
重合開始剤が併用される。このような光重合開始剤とし
ては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエ
ーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン
イソブチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、ベン
ジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチルプ
ロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニ
ルケトン、ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベ
ンゾインジフェニルホスフィンオキシド、2−メチル−
[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−
1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−
1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オ
ン、ミヒラーズケトン、N,N−ジメチルアミノ安息香
酸イソアミル、2−クロロチオキサントン、2,4−ジ
エチルチオキサントン等が例示できる。またこれらの光
重合開始剤は2種以上を併用してもよい。これらのう
ち、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1
−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、などの水
酸基を有する開始剤を用いると、特にエタノールに対す
る接触角を更に低下させることができ、筆記性が向上す
るので好ましい。
【0039】その他の成分 本発明の筆記ボード表面被膜用硬化性組成物には、被膜
物性を改良する等の目的で紫外線吸収剤(例えばベンゾ
トリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸系、シ
アノアクリレート系紫外線吸収剤)、酸化防止剤(例え
ばヒンダードフェノール系、硫黄系、リン系酸化防止
剤)、光安定剤(例えばヒンダードアミン系光安定
剤)、ブロッキング防止剤、スリップ剤、レベリング剤
などの添加剤をその目的に応じて、組成物中にそれぞれ
0.01〜2重量%程度配合することができる。また、
この組成物の粘度を調整するため、溶剤を添加してもよ
い。この溶剤としては、重合体の製造の際に用いた溶剤
と同じ溶剤が好ましい。
【0040】(3)組成物中の各成分の含有量 本発明の筆記ボード表面被膜用硬化性組成物は、上述の
通り、4級アンモニウム塩基、アクリロイル基又はメタ
クリロイル基の少なくとも一方、及び窒素原子を介して
主鎖に結合するオルガノポリシロキサン単位を有する重
合体(成分A)及び分子内に(メタ)アクリロイル基を
3個以上有する多官能(メタ)アクリレート(成分B)
を必須成分とし、必要に応じて、成分Aの一部を4級ア
ンモニウム塩基および(メタ)アクリロイル基を有する
重合体に置き換えたり、他の重合性単量体や、アクリル
系重合体又はメタクリル系重合体、更に光重合開始剤等
を含有するものである。この組成物中の、成分Aの重合
体の含有量は、成分Aと成分Bとの合計量を100重量
部としたとき、1〜40重量部、好ましくは5〜25重
量部である。この成分Aの含有量が1重量部未満では、
被膜の耐汚染性が不十分となり、一方、40重量部を超
えると、被膜の耐摩耗性が低下する傾向となる。成分B
の、1分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有
する多官能(メタ)アクリレート(B)の含有量は、成
分Aと成分Bとの合計量を100重量部とした場合60
〜99重量部、好ましくは60〜95重量部である。6
0重量部未満では、被膜の耐摩耗性が低下し、99重量
部を超えると耐汚染性が不十分となりやすい。成分A、
成分B以外の他の重合性単量体や他のアクリル系又はメ
タクリル系重合体は、組成物の粘度や極性を調整し、得
られる被膜の水及びエタノールに対する接触角や、可と
う性、透明性、密着性等を調整するために用いられるこ
とがある。これらの添加量は、成分Aと成分Bとの合計
量を100重量部とした場合、合わせて35重量部以
下、好ましくは3〜20重量部とするのがよい。なお、
光重合開始剤を用いる場合は、重合性成分である成分
A、成分B、及びその他の重合性単量体の合計量の10
重量%以下、好ましくは1〜5重量%の量を、上記の各
成分の量に加えて使用する。
【0041】(4)本発明の被膜の形成と応用 本発明の被膜は、上述の各成分を含む硬化性組成物を、
例えば、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレー
ト、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、塩化ビ
ニル樹脂、スチレン系樹脂、ABS樹脂等のプラスチッ
ク基材又はこれらからなるフィルムに塗布し、活性エネ
ルギー線を照射することにより硬化させて形成できる。
このような被膜を表面に持つ基材をそのまま筆記ボード
としてもよく、またこの被膜がフィルム表面に形成され
ている場合は、このフィルムを任意の基材の表面に貼り
つけて筆記ボードとすることもできる。基材表面に被膜
を直接形成する場合は、上記のプラスチック基材の他
に、メラミン樹脂塗装板、鋼板、ホーロー板なども用い
ることができる。この組成物を基材に塗布する方法とし
ては、デイッピング法、フローコート法、スプレーコー
ト法、バーコート法、あるいはグラビアコーター、ロー
ルコーター、ナイフコーター及びエアーナイフコーター
等の塗工機器による方法が例示できる。塗工厚さは、溶
剤の乾燥除去及び活性エネルギー線照射後の塗膜の厚さ
が1〜50μm、好ましくは1〜20μmとなるように
するのがよい。塗布した組成物を架橋硬化させるために
は、キセノンランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧
水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯、タ
ングステンランプ等の光源から発せられる紫外線や、通
常20〜2000kVの粒子加速器から取り出される電
子線、α線、β線、γ線等の活性エネルギー線を照射す
る方法が一般的である。
【0042】
【実施例】以下に合成例および実施例を用いて、本発明
をより具体的に説明する、以下の合成例および実施例に
記載される成分、割合、手順などは、本発明の趣旨から
逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本
発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって
限定されるものではない。なお合成例および実施例に記
載される部および%は、特記したもの以外は、重量部お
よび重量%をそれぞれ意味する。
【0043】(1)合成例及び比較合成例 以下の合成例により、4級アンモニウム塩基、アクリロ
イル基又はメタクリロイル基の少なくとも一方、及び窒
素原子を介して主鎖に結合するオルガノポリシロキサン
単位を有する成分Aの重合体(「A」を付して表示)及
び、必要に応じて成分Aの一部を置き換えるために用い
られる4級アンモニウム塩基およびアクリロイル基又は
メタクリロイル基の少なくとも一方を有する重合体(成
分Aの製造過程中の4級化反応を行ったところで採取。
「X」を付して表示)の製造方法を例示する。
【0044】(合成例1)2−ヒドロキシエチルメタク
リレート10部、2−エチルヘキシルメタクリレート3
0部、及びN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレー
ト60部の単量体混合物とメチルエチルケトン200部
を混合した溶液を加熱して、65℃に昇温した時、およ
び65℃に達してから2時間後に、それぞれ2,2’−
アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を0.6
部ずつ添加し、更に65℃で5時間反応後、80℃に昇
温して2時間反応して固形分33%の共重合体を得た
(P−1)。これに、イソホロンジイソシアネート2
2.2部とペンタエリスリトールトリアクリレートとペ
ンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(大阪
有機化学工業(株)製「ビスコート300」、水酸基価
131mgKOH/g)57.1部とを、25℃で3時
間反応後、80℃まで断続的に昇温しながら5時間反応
させて得られた付加物79.3部を添加し、80℃で5
時間反応し(赤外吸収スペクトルで2250cm-1のイ
ソシアネート基の吸収の消滅を確認)、アクリロイル基
を有する固形分45%の共重合体溶液(P−2)を得
た。次に、得られた共重合体溶液をイソプロピルアルコ
ールで固形分20%になるように希釈した後、塩化メチ
ルを導入し、50℃で6時間反応して4級アンモニウム
塩基とアクリロイル基を有する重合体(X−1)(固形
分25%)を得た。更にアミノ基を有するオルガノポリ
シロキサン化合物(東芝シリコン(株)製「TSF47
00」、アミン当量3000)を固形分100部に対し
て10部添加し、80℃で1.5時間反応し、4級アン
モニウム塩基、アクリロイル基および窒素原子を介して
主鎖に結合するオルガノポリシロキサン単位を有する重
合体を有する重合体(A−1)(固形分27%)を得
た。
【0045】(合成例2)合成例1において、2−エチ
ルヘキシルメタクリレートの使用量を30部から20部
に変更し、パーフルオルオクチルエチルメタクリレート
を10部加えたこと以外は、合成例1と同様に重合反応
を行い、固形分33%の共重合体を得た(P−3)。こ
の共重合体についても、合成例1と同様にイソシアネー
ト基を有する付加物との反応を行い、アクリロイル基を
有する固形分45%の共重合体溶液(P−4)を調製し
た。引き続き、やはり合成例1と同様に塩化メチルによ
る4級化反応を行って、4級アンモニウム塩基とアクリ
ロイル基を有する重合体(X−2)(固形分25%)を
得、続いてアミノ基を有するオルガノポリシロキサン化
合物と反応させて、4級アンモニウム塩基、アクリロイ
ル基および窒素原子を介して主鎖に結合するオルガノポ
リシロキサン単位を有する重合体を有する重合体(A−
2)(固形分27%)を得た。
【0046】(合成例3)合成例1において、N,N−
ジメチルアミノエチルメタクリレートの使用量を60部
から58部に変更し、片末端にメタクリロイル基を有す
るオルガノポリシロキサン(チッソ(株)製、「FM0
725」)を2部加えたこと以外は、合成例1と同様に
重合反応を行い、固形分33%の共重合体を得た(P−
5)。この共重合体についても、合成例1と同様にイソ
シアネート基を有する付加物との反応を行い、アクリロ
イル基を有する固形分45%の共重合体溶液(P−6)
を調製した。引き続き、やはり合成例1と同様に塩化メ
チルによる4級化反応を行って、4級アンモニウム塩基
とアクリロイル基を有する重合体(X−3)(固形分2
5%)を得、続いてアミノ基を有するオルガノポリシロ
キサン化合物と反応させて、4級アンモニウム塩基、ア
クリロイル基および窒素原子を介して主鎖に結合するオ
ルガノポリシロキサン単位を有する重合体を有する重合
体(A−3)(固形分27%)を得た。
【0047】(合成例4)合成例1において、2−エチ
ルヘキシルメタクリレートに代えて、t−ブチルメタク
リレートを用いたこと以外は合成例1と同様にして、固
形分33%の共重合体(P−7)、及びこれをイソシア
ネート基含有付加物と反応させたアクリロイル基を有す
る固形分45%の共重合体溶液(P−8)を調製し、更
に同様にして4級化した重合体(X−4)(固形分25
%)及び4級アンモニウム塩基、アクリロイル基および
窒素原子を介して主鎖に結合するオルガノポリシロキサ
ン単位を有する重合体を有する重合体(A−4)(固形
分27%)を得た。
【0048】(合成例5)合成例1において、2−エチ
ルヘキシルメタクリレートに代えて、パーフルオルオク
チルエチルメタクリレートを用いたこと以外は合成例1
と同様にして、固形分33%の共重合体(P−9)、及
びこれをイソシアネート基含有付加物と反応させたアク
リロイル基を有する固形分45%の共重合体溶液(P−
10)を調製し、更に同様にして4級化した重合体(X
−5)(固形分25%)及び4級アンモニウム塩基、ア
クリロイル基および窒素原子を介して主鎖に結合するオ
ルガノポリシロキサン単位を有する重合体を有する重合
体(A−5)(固形分28%)を得た。
【0049】(合成例6)合成例1において、2−エチ
ルヘキシルメタクリレートに代えて、ラウリルメタクリ
レートを用いたこと以外は合成例1と同様にして、固形
分33%の共重合体(P−11)、及びこれをイソシア
ネート基含有付加物と反応させたアクリロイル基を有す
る固形分45%の共重合体溶液(P−12)を調製し、
更に同様にして4級化した重合体(X−6)(固形分2
5%)及び4級アンモニウム塩基、アクリロイル基およ
び窒素原子を介して主鎖に結合するオルガノポリシロキ
サン単位を有する重合体を有する重合体(A−6)(固
形分28%)を得た。
【0050】(比較合成例)メチルメタクリレート60
部、トリメトキシシリルプロピルメタクリレート10
部、及び片末端にメタクリロイル基を有するオルガノポ
リシロキサン(チッソ(株)製、「FM0725」)3
0部の混合物とメチルエチルケトン200部を混合した
溶液を加熱して、65℃に昇温した時、および65℃に
達してから2時間後に、それぞれ2,2’−アゾビス
(2,4−ジメチルバレロニトリル)を0.6部ずつ添
加し、更に65℃で5時間反応後、80℃に昇温して2
時間反応して固形分33%の共重合体を得た。
【0051】(2)実施例及び比較例 各成分を表1に示す割合で均一に配合して、筆記ボード
表面被膜用硬化性組成物を調製した。この筆記ボード表
面被膜用硬化性組成物を、透明(ヘイズ値1.5%)な
100μm厚の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフ
ィルム(三菱化学ポリエステルフィルム社製)にバーコ
ーターを用いて厚さ3〜5μmになるように塗布し、8
0℃で2分間加熱乾燥した上で、出力密度115W/c
mの高圧水銀灯を用い、光源下10cmの位置で700
mJ/cm2 の紫外線照射を行い、その塗膜について、
透明性、耐摩耗性、接触角、耐インキ汚染性、耐指紋
性、及び帯電防止性を評価した。評価結果を表2に示
す。
【0052】(3)評価方法 実施例及び比較例において作成した被膜の評価は下記の
方法によって行った。 透明性(ヘイズ値(%)) JIS K7105に基づいて測定した。耐摩耗性 Calibrase社製CS−10Fの摩耗輪を用い、
荷重500g重で100回転条件でテーバー摩耗試験を
行い、摩耗試験前後のヘイズ値の差(△H%)によって
評価した。接触角 協和科学(株)製のP型接触角測定器を用い、23℃、
相対湿度65%の恒温室中で24時間以上保存して状態
調整したサンプルを用い、水、エタノールまたはスクア
レンを0.002ml測定する被膜表面に滴下し、23
℃にて測定した(単位:度)。
【0053】ホワイトボード用マーカーに対する筆記性 ホワイトボード用マーカーに対する筆記性は、はじき
性、拭き取り性及び反復消去性にて評価した。いずれの
評価でも、23℃、相対湿度65%の恒温室中に24時
間以上静置して状態調整したサンプルを使用し、書き込
みはホワイトボード用のマーカーペン(「コクヨ・ホワ
イトボードマーカーPM−B102」(商品名)、コク
ヨ(株)製、黒・赤・青)で線を引くことにより行っ
た。なお、この線の拭き取りは、線を引いた試料を23
℃で相対湿度65%の条件の恒温室中で24時間以上静
置した後に行った。はじき性は、線引き−拭き取りを反
復したときに、1回目から全くはじかないものを
「○」、2〜5回目の線引き時以降はじかなくなるもの
を「△」、6回目の線引き時以降も、はじくものを
「×」とした。拭き取り性は線を引いた試料をホワイト
ボード用のイレーザ(「RA−12N」(商品名)、コ
クヨ(株)製)を用い、人手によって3回拭き取りを行
うことにより試験した。線の痕跡を全く残さず拭き取れ
るものを「○」、痕跡をかすかに残すが、拭き取れるも
のを「△」、痕跡が明確に残るものを「×」とした。反
復消去性は、上の拭き取り性の操作を繰り返し、「○」
の状態が維持される回数で評価した。但し、この場合
は、線を引いてから10分後に拭き取り操作を行うよう
に変更した。
【0054】耐インキ汚染性 耐インキ汚染性ははじき性、拭き取り性と反復消去性に
より評価した。いずれの評価でも、23℃、相対湿度6
5%の恒温室中に24時間以上静置して状態調整したサ
ンプルを使用し、書き込みは油性のマーカーペン(「マ
ジックインキ」(商品名)、寺西化学工業(株)製、黒
・赤)および水性のマーカーペン(黒)で線を引くこと
により行った。なお、この線の拭き取りは、線を引いた
試料を23℃で相対湿度65%の条件の恒温室中で24
時間以上静置した後に行った。はじき性は、線引き−拭
き取りを2回繰り返し、3回目の線引き時、線が不連続
になるほどはじくものを「○」、線の太さが不均一にな
ったり、一部インキ抜けの生じるものを「△」、問題な
く一定の幅で線が引けるものを「×」とした。拭き取り
性はこの試料を拭き取り用のシボ付け紙(JKワイパー
150−S、十条製紙(株)製)を用い、人手によって
3回拭き取りを行うことにより試験した。評価は3段階
で行い、3回の拭き取りで完全に拭き取れたものを
「○」、僅かに線の痕跡が残るものを「△」、一部また
は全部のインクが付着したままのものを「×」とした。
反復消去性はレンズコーテイング硬度試験器具(MIL
−C−675法、荷重0.4kg重)を用い、5回以内
で拭き取れた場合は同じサンプルを用いて状態調整及び
線引きを行ってこの試験を繰り返し、拭き取れなくなる
までの試験の回数を反復消去性の値とした。
【0055】上記の評価において、はじき性と拭き取り
性がすべてのインキについて「○」、かつ反復消去性が
油性インキに対して10回以上、水性インキに対して5
回以上である場合、耐汚染性が優れていると言える。耐水性 被膜を有するサンプルを30分間常温の水に浸漬した
後、接触角と耐マーカーインキ汚染性を評価し、浸漬前
のサンプルと比較した。差がほとんどないものを
「○」、性能が低下したものを「×」とした。耐指紋性 耐指紋性は指紋付着性と指紋拭き取り性で評価した。指
紋付着性は直前に紙で拭き取った(JKワイパー150
−Sのようなふき取り用のシボ付け紙を用いるのが好ま
しい)親指を試料表面に垂直に3秒間押しつけ、その際
の付着性を目視で相対評価した。
【0056】なお、標準試料としては、比較合成例で作
成したポリマーの0.3%メチルエチルケトン溶液を用
い、0.03μm厚でポリエチレンテレタレートフィル
ム(フィルムは上述の厚さ100μmのフィルム)に塗
布して、80℃で2時間硬化後、23℃、相対湿度65
%の恒温室中で24時間以上静置したものを使用した。
評価は、この標準資料と比較して同じ程度のものを
「△」、これより優れるものを「○」、劣るものを
「×」、指紋が全く付着しないものを「◎」と評価し
た。指紋の拭き取り性は、上の指紋付着性を評価した試
料を1時間放置した後、拭き取り用のシボ付け紙(JK
ワイパー150−S、十条製紙(株)製)を用いて、人
手により拭いたときの指紋が消えるまでの拭き取り回数
を求めた。評価は3段階で行い、3回以内で拭き取れた
場合を「○」、4〜5回で拭き取れる場合は「△」、6
回の拭き取りで消去できなかった場合は「×」とした。
【0057】帯電防止性 23℃、相対湿度65%の恒温室中で24時間以上静置
した試料を使用し、表面抵抗計(タケダリケン(株)
製、TR−8601型)を用いて、印加電圧100V、
1分値として測定した。
【0058】
【表1】
【0059】注:成分Aの配合量は固形分換算値。(最
終固形分濃度は35%に調整) DPHA=ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 184(イルガキュア184)=1−ヒドロキシシクロ
ヘキシルフェニルケトン IPA=イソプロピルアルコール
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】(4)結果の評価 接触角が本発明の範囲内の被膜(実施例1〜実施例7)
においては、ホワイトボード用マーカーでの筆記性に優
れ、かつ他の汎用マーカーインキによる汚染に対する耐
性(はじき性、拭き取り性、反復消去性)、耐水性、及
び帯電防止性等も優れている。一方、本発明の範囲か
ら、エタノールに対する接触角が高く外れた被膜(比較
例1〜比較例4)では、本発明の範囲内の被膜と比べ
て、ホワイトボード用マーカーでの筆記性が大幅に劣
る。また本発明の範囲から、水に対する接触角が低く外
れた被膜(比較例5〜10)は、エタノールに対する接
触角は低いものの、他の汎用マーカーインキ汚染に対す
る耐性が劣っている。
【0063】
【発明の効果】本発明の筆記ボード被膜は、高い耐摩耗
性(高硬度)、透明性(優れた外観)を維持しつつ、筆
記ボード用マーカーペンでの筆記性に優れ、かつ幅広い
種類の汚れに対する良好な耐汚染性(付着防止性、除去
性)を有し、かつ耐久性にも優れており、特に、専用マ
ーカーペンでの筆記性とふき取り性、他の汎用マーカー
ペンインキのはじき性と拭き取り性に特に優れている。
フロントページの続き (72)発明者 葉山 和秀 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社四日市事業所内 Fターム(参考) 2C071 CA01 CA02 CD01 4J038 CG142 FA151 FA212 GA01 GA08 KA03 NA05 PA17 PB02 PC02 PC08

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水に対する接触角が90度以上で、かつ
    エタノールに対する接触角が10度以下である筆記ボー
    ド表面被膜。
  2. 【請求項2】 フィルムにより形成されてなる請求項1
    に記載の筆記ボード表面被膜。
  3. 【請求項3】 4級アンモニウム塩基、アクリロイル基
    又はメタクリロイル基(以下、まとめて「(メタ)アク
    リロイル基」と記す)の少なくとも一方、及び窒素原子
    を介して主鎖に結合するオルガノポリシロキサン単位を
    有する重合体(以下「成分A」と記す)と分子内に(メ
    タ)アクリロイル基を3個以上有する多官能(メタ)ア
    クリレート(以下「成分B」と記す)とを含有し、かつ
    成分Aと成分Bとの合計量を100重量部としたとき
    に、成分Aの含有量が1〜40重量部、成分Bの含有量
    が60〜99重量部である請求項1又は2に記載の筆記
    ボード表面被膜用硬化性組成物。
  4. 【請求項4】 成分Aが、アミノ基を有するオルガノポ
    リシロキサン化合物が(メタ)アクリロイル基に付加し
    た構造を有する重合体である請求項3に記載の筆記ボー
    ド表面被膜用硬化性組成物。
  5. 【請求項5】 成分Aが窒素原子を介さずに主鎖に結合
    するオルガノポリシロキサン単位を有する重合体である
    請求項3又は4に記載の筆記ボード表面被膜用硬化性組
    成物。
  6. 【請求項6】 成分Aの80重量%以下が、4級アンモ
    ニウム塩基及び(メタ)アクリロイル基を有する重合体
    に置き換えられてなる請求項3〜5のいずれか1項に記
    載の筆記ボード表面被膜用硬化性組成物。
  7. 【請求項7】 成分A及び成分Bに加えて、他の重合性
    単量体を成分Aと成分Bとの合計量100重量部あたり
    35重量部以下含有する請求項3〜6のいずれか1項に
    記載の筆記ボード表面被膜用硬化性組成物。
  8. 【請求項8】 成分A及び成分Bに加えて、アクリル系
    重合体又はメタクリル系重合体を成分Aと成分Bとの合
    計量100重量部あたり30重量部以下含有する請求項
    3〜7のいずれか1項に記載の筆記ボード表面被膜用硬
    化性組成物。
  9. 【請求項9】 光重合開始剤を含有する請求項3〜8の
    いずれか1項に記載の筆記ボード表面被膜用硬化性組成
    物。
  10. 【請求項10】 請求項3〜9のいずれか1項に記載の
    筆記ボード表面被膜用硬化性組成物を適用し、活性エネ
    ルギー線を照射することにより該組成物を硬化させるこ
    とを特徴とする筆記ボード表面被膜の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項3〜9のいずれか1項に記載の
    筆記ボード表面被膜用硬化性組成物をフィルム基材上に
    塗布し、次いで活性エネルギー線を照射することにより
    該組成物を硬化させることを特徴とする筆記ボード表面
    被膜用フィルムの製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010158892A (ja) * 2009-01-09 2010-07-22 Ideapaint Inc 書込み可能−消去可能表面のための常温硬化型水性コーティング
JP2011140166A (ja) * 2010-01-07 2011-07-21 Kaneka Corp 微細凹凸構造を有する筆記シート
CN106318202A (zh) * 2016-08-23 2017-01-11 谢立华 无尘书写板专用涂料的制作方法

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