JPH10279833A - 活性エネルギー線硬化性被覆組成物 - Google Patents
活性エネルギー線硬化性被覆組成物Info
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Abstract
照射することにより硬化し、帯電防止性、透明性、耐摩
耗性に優れた皮膜を形成する活性エネルギー線硬化性被
覆組成物を提供する。 【解決手段】 オルガノポリシロキサン単位および4級
アンモニウム塩単位を有する重合体(A)と、分子内に
3個以上のアクリロイル基を有する多官能アクリレート
(B)を含有する活性エネルギー線硬化性被覆組成物。
Description
を照射することにより硬化し、耐摩耗性、帯電防止性、
および透明性に優れた皮膜を形成する活性エネルギー線
硬化性被覆組成物に関するものである。
ネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリブチレンテレフタレート、塩化ビニル
樹脂、ABS樹脂、酢酸セルロース等は、その軽量性、
易加工性、耐衝撃性などが優れているので容器、インス
トルメントパネル、包装材、ハウジング等種々の用途に
使用されている。
表面硬度が低いため傷がつき易く、ポリカーボネートの
ような透明な樹脂においては、その樹脂が持つ本来の透
明性あるいは外観が著しく損なわれるという欠点があ
り、耐摩耗性を必要とする分野でのプラスチック製品の
使用を困難なものとしている。このため、これらプラス
チック製品の表面に耐摩耗性を付与する活性エネルギー
線硬化性ハードコート材料(被覆材)が求められてい
る。しかしながら、市販の活性エネルギー線硬化性ハー
ドコート材料の硬化層は表面固有抵抗値が高く静電気が
発生しやすいという大きな欠点を有しており、この静電
気の発生は埃の製品への付着を促進し、製品の美観、透
明性を損なう原因となっている。このような欠点を回避
するため、プラスチック製品の表面に耐摩耗性および帯
電防止性を付与する皮膜を与える活性エネルギー線硬化
性被覆材が求められている。
した皮膜を与える活性エネルギー線硬化性樹脂被覆材と
しては、例えば、四級アンモニウム塩を有する共重合体
と多官能(メタ)アクリル酸エステルを含有する被覆組
成物(特開平6−73305号公報、特開平6−180
859号公報)が既に提案されている。これら公報に記
載される被覆材より得られる皮膜の帯電防止性(表面固
有抵抗)は1010〜1012/Ωのレベルであり、自動車
のインストルメントパネル、包装材の用途では十分であ
るが、現在、コンピュータや通信機器のハウジング、I
C、LED等の精密部材の搬送容器等の用途においては
108 〜109 Ωのレベルのより高度な帯電防止性能が
要求されてきている。上述の公報記載の被覆材では、皮
膜の帯電防止性のレベルを上げようとすれば、被覆組成
物中の四級アンモニウム塩を有する共重合体の相対的な
量を増やしていく必要があり、その場合は得られる皮膜
の耐摩耗性が低下するという問題があった。
富み、帯電防止性能に優れた皮膜を与える被覆組成物の
提供を目的とする。
シロキサン単位および4級アンモニウム塩単位を有する
重合体(A)と、分子内に3個以上のアクリロイル基を
有する多官能アクリレート(B)を含有する、活性エネ
ルギー線硬化性被覆組成物を提供するものである。
子中のオルガノポリシロキサン骨格により皮膜表面に引
き上げられるため、従来と同じ配合量であっても十分な
帯電防止性を有する皮膜が得られ、耐摩耗性を低下させ
ることがない。また、この重合体にオルガノポリシロキ
サン骨格が導入されることにより重合体の親水性が低減
され、(B)成分の多官能アクリレートとの相溶性が向
上し、得られる皮膜の透明性が向上する。
する。 (A)オルガノポリシロキサン単位および4級アンモニ
ウム塩単位を有する重合体:(A)成分の重合体は、皮
膜に帯電防止性能を与えるもので、オルガノポリシロキ
サン単位および4級アンモニウム塩単位を有する重合体
で、必要によりこの重合体は、側鎖に(メタ)アクリロ
イル基を有するものであってもよい。
個のラジカル重合性基または1分子中に2個のメルカプ
ト基を有するオルガノポリシロキサン化合物(a1)
と、1分子中に1個のラジカル重合性基を有する3級ア
ミン化合物(a2)とを重合して得た3級アミン重合体
化合物を、4級化剤で4級アンモニウム塩とすることに
より得られる。オルガノポリシロキサン化合物(a1)
と1分子中に1個のラジカル重合性基を有する3級アミ
ン化合物(a2)を共重合する際、これらの単量体に加
えて他の(メタ)アクリル酸エステル(a3)を共重合
させることもできる。
中に1個のラジカル重合性基または1分子中に2個のメ
ルカプト基を有するオルガノポリシロキサン化合物(a
1)と、1分子中に1個のラジカル重合性基を有する4
級アンモニウム塩(a4)とを重合することにより得ら
れる。オルガノポリシロキサン化合物(a1)と1分子
中に1個のラジカル重合性基を有する4級アンモニウム
塩(a4)を共重合する際、これらの単量体に加えて他
の(メタ)アクリル酸エステル(a3)を共重合するこ
ともできる。
るオルガノポリシロキサン化合物(a1)は、アクリ
ル、メタクリル、スチリル、ケイ皮酸エステル、ビニ
ル、アリル等のラジカル重合性基を1分子中に1個有す
るものである限り特に制限されないが、これ(a1)と
ラジカル重合性基を有する3級アミン化合物(a2)ま
たはラジカル重合性基を有する4級アンモニウム塩(a
4)との共重合の容易さを考慮すると、アクリル、メタ
クリル、スチリルのラジカル重合性基を有するオルガノ
ポリシロキサン化合物であることが好ましい。
ン化合物(a2)またはラジカル重合性基を有する4級
アンモニウム塩(a4)が重合する際連鎖移動によりス
ルフィド結合を介して重合体中に導入される1分子中に
2個のメルカプト基を有するオルガノポリシロキサン化
合物(a1)も好適に用いることができる。これらオル
ガノポリシロキサン化合物(a1)に含まれるオルガノ
ポリシロキサン単位は下記一般式(I)で表される。
てもよく、メチル基もしくはフェニル基であり、nは5
以上の整数を表す。) (a1)のオルガノポリシロキサンの数平均分子量は4
00〜60,000、好ましくは1,000〜30,0
00が好ましい。(a2)成分の1分子中に1個のラジ
カル重合性基を有する3級アミン化合物は、下式(II)
で表される。
R5 はHまたは置換基を含んでいてもよい炭素数が1〜
9のアルキル基を、kは1〜6の整数を表す。) かかる(a2)成分としては、例えばN,N−ジメチル
アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチル
アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチル
アミノプロピルメタクリレート、N,N−ジメチルアミ
ノブチルメタクリレート、N,N−ジヒドロキシエチル
アミノエチルメタクリレート、N,N−ジプロピルアミ
ノエチルメタクリレート、N,N−ジブチルアミノエチ
ルメタクリレート等が挙げられる。
ジカル重合性基を有する4級アンモニウム塩としては、
上記式(II)で表される3級アミン化合物を、例えばメ
チルクロライド、ブチルクロライド等のアルキルクロラ
イド、メチルブロマイド、メチルベンジルクロライド、
ベンジルクロライド等のハロゲン化物、ジメチル硫酸、
ジエチル硫酸、ジプロピル硫酸等のアルキル硫酸類、p
−トルエンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸メチ
ル等のスルホン酸エステル類等の4級化剤により4級化
したものが挙げられる。
1分子中に1個のラジカル重合性基を有する3級アミン
化合物(a2)または4級アンモニウム塩(a4)とを
共重合する際、これら単量体に加えて(メタ)アクリル
酸エステル(a3)を用いることができる。かかる(a
3)成分の(メタ)アクリル酸エステルとしては、1分
子中に1個のラジカル重合性基を有する、例えば、メチ
ル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレー
ト、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソ−ブチル
(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)ア
クリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘ
キシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)ア
クリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレー
ト、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレ
ート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、エチルカ
ルビトール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メ
タ)アクリレート、シアノエチル(メタ)アクリレー
ト、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ
エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレート等が挙げられる。
1分子中に1個のラジカル重合性基を有する3級アミン
化合物(a2)または4級アンモニウム塩(a4)とを
共重合する際、オルガノポリシロキサン化合物(a1)
の使用量は、共重合性単量体100重量%中、1〜40
重量%、好ましくは5〜30重量%である。1重量%未
満ではビニル重合体を皮膜表面に引き出す(グリードア
ウト)能力に欠け、皮膜に十分な帯電防止性が得られな
い。また、40重量%を超えると1分子中に1個のラジ
カル重合性基を有する3級アミン化合物(a2)または
4級アンモニウム塩(a4)の使用割合が低下し、十分
な帯電防止性が得られない。
基を有する3級アミン化合物(a2)または4級アンモ
ニウム塩(a4)の使用量は、共重合性単量体100重
量%中、60〜99重量%、好ましくは60〜95重量
%である。60重量%未満では皮膜に十分な帯電防止性
が得られない。また、99重量%を超えるとオルガノポ
リシロキサン化合物(a1)の使用割合が低下し皮膜に
十分な帯電防止性が得られない。
3)および(a4)の共重合は、溶剤中で、通常のラジ
カル重合開始剤を用いて行われる。溶剤としては、トル
エン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル、酢
酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルアルコ
ール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i
so−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール等の
アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチル
イソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、2
−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−
ブトキシエタノール、エチレングリコールジメチルエー
テル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレ
ングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、2−メ
トキシエチルアセタート、2−エトキシエチルアセター
ト、2−ブトキシエチルアセタート等のエーテルエステ
ル類および水が挙げられ、またこれらを混合使用するこ
ともできる。
しては、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパ
ーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の有機
過酸化物、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、
2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジ
メチルバレロニトリル)等のアゾ化合物が好適に用いら
れる。重合液中の単量体濃度は通常10〜60重量%で
あり、重合開始剤は通常単量体混合物に対し、0.1〜
10重量%、好ましくは0.3〜2重量%の量使用され
る。
1分子中に1個のラジカル重合性基を有する3級アミン
化合物(a2)、および必要に応じ(メタ)アクリル酸
エステル(a3)を共重合した場合は、共重合して得た
3級アミン重合体化合物を4級化剤を用いて4級アンモ
ニウム塩(A)とする。4級化剤としては、例えばメチ
ルクロライド、ブチルクロライド等のアルキルクロライ
ド、メチルブロマイド、メチルベンジルクロライド、ベ
ンジルクロライド等のハロゲン化物、ジメチル硫酸、ジ
エチル硫酸、ジプロピル硫酸等のアルキル硫酸類、p−
トルエンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸メチル
等のスルホン酸エステル類等が挙げられる。
キサン単位および4級アンモニウム塩単位を有する重合
体(A)の中でも、1分子中に1個のラジカル重合性基
または1分子中に2個のメルカプト基を有するオルガノ
ポリシロキサン化合物(a1)と、1分子中に1個のラ
ジカル重合性基を有する3級アミン化合物(a2)、お
よび必要に応じ(メタ)アクリル酸エステル(a3)を
共重合して得た、3級アミン重合体化合物をアルキルク
ロライドで4級アンモニウム塩とすることにより得られ
る重合体が、分子内に3個以上のアクリロイル基を有す
る多官能アクリレートとの相溶性に優れ、透明性の良い
皮膜が得られる点から特に望ましい。
ンモニウム塩単位を有する重合体(A)として、側鎖に
(メタ)アクリロイル基を有するオルガノポリシロキサ
ン単位および4級アンモニウム塩単位を有する重合体を
用いると、活性エネルギー線照射時にこの重合体(A)
と多官能アクリレート(B)との間に結合が形成され、
帯電防止性能の耐久性の向上をはかることができる。
ンモニウム塩単位を有する重合体の側鎖に(メタ)アク
リロイル基を有する重合体(A)は、例えば、オルガノ
ポリシロキサン化合物(a1)と1分子中に1個のラジ
カル重合性基を有する3級アミン化合物(a2)または
4級アンモニウム塩(a4)を共重合する際、これら単
量体に加えてグリシジル(メタ)アクリレートを共重合
した後、(メタ)アクリル酸を付加(3級アミン化合物
(a2)を用いた場合は、さらに得られた3級アミン重
合体化合物を4級化剤で4級アンモニウム塩にする)す
ることにより得られる。
1)と1分子中に1個のラジカル重合性基を有する3級
アミン化合物(a2)または4級アンモニウム塩(a
4)を共重合する際、これら単量体に加えてヒドロキシ
エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレ
ート,ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等の
水酸基を有する(メタ)アクリレートを共重合した後、
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプ
ロピル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メ
タ)アクリレートとトリレンジイソシアネート、イソホ
ロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト等のイソシアネート化合物のモル比1対1の付加体
や、メタクリロイルイソシアネート、2−メタクリロイ
ルオキシエチルイソシアネート等を付加(3級アミン化
合物(a2)を用いた場合は、さらに、得られた3級ア
ミン重合体化合物を4級化剤で4級アンモニウム塩にす
る)することにより得られる。
キサン単位および4級アンモニウム塩単位を有する側鎖
に(メタ)アクリロイル基を有する重合体(A)の中で
も、1分子中に1個のラジカル重合性基または1分子中
に2個のメルカプト基を有するオルガノポリシロキサン
化合物(a1)と、1分子中に1個のラジカル重合性基
を有する3級アミン化合物(a2)、および官能基を有
する(メタ)アクリル酸エステルを共重合し、次いでこ
の重合体に(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付
加した後、3級アミン化合物をアルキルクロライドで4
級アンモニウム塩とすることにより得られる重合体
(A)が、分子内に3個以上のアクリロイル基を有する
多官能アクリレート(B)との相溶性に優れ、透明性の
良い塗膜が得られる点から特に望ましい。
る多官能アクリレートとしては、例えば、トリメチロー
ルプロパントリアクリレート、エチレンオキシド変性ト
リメチロールプロパントリアクリレート、プロピレンオ
キシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、
トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、カプ
ロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシア
ヌレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペ
ンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリ
スリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトー
ルペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ
アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールト
リアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトール
テトラアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリト
ールペンタアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタ
エリスリトールヘキサアクリレート、テトラカルボン酸
二無水物と分子内に水酸基及び3個以上のアクリロイル
基を有する水酸基含有多官能アクリレートを反応して得
られるカルボキシル基含有多官能アクリレート、および
これら2種以上の混合物が挙げられる。
は、ピロメリト酸二無水物、3,3′,4,4′−ベン
ゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4′−ビフ
タル酸無水物、4,4′−オキソジフタル酸無水物、
4,4′−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタ
ル酸無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカ
ルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒド
ロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2
−ジカルボン酸無水物、4−(2,5−ジオキソテトラ
ヒドロフラン−3−イル)−テトラリン−1,2−ジカ
ルボン酸無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカ
ルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7
−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等
が挙げられる。
リロイル基を有する水酸基含有多官能アクリレートの具
体例としては、ペンタエリスリトールトリアクリレー
ト、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペ
ンタエリスリトールペンタアクリレート、およびこれら
の混合物等が挙げられる。これら分子内に3個以上のア
クリロイル基を有する多官能アクリレートの中でも、ジ
ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエ
リスリトールペンタアクリレート、テトラカルボン酸二
無水物と分子内に水酸基及び3個以上のアクリロイル基
を有する水酸基含有多官能アクリレートを反応して得ら
れるカルボキシル基含有多官能アクリレート、およびこ
れらの混合物が耐摩耗性の優れた皮膜を与える点から特
に望ましい。
シロキサン単位および4級アンモニウム塩単位を有する
重合体および(B)成分の分子内に3個以上のアクリロ
イル基を有する多官能アクリレートの他に、他の重合性
単量体(C)、例えば分子内に1個または2個のアクリ
ロイル基を有するアクリレートを用いることをさまたげ
るものではない。具体的には、アクリロイル基を2個有
するウレタンアクリレートやエポキシアクリレートを、
耐摩耗性および帯電防止性の低下しない範囲(皮膜成分
中の20重量%以下)で用いることができる。
として紫外線を用いる場合、上記オルガノポリシロキサ
ン単位および4級アンモニウム塩単位を有する重合体
と、分子内に3個以上のアクリロイル基を有する多官能
アクリレートに加えて光重合開始剤が用いられる。光重
合開始剤としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾ
インエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテ
ル、ベンゾインブチルエーテル、ジエトキシアセトフェ
ノン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2
−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキ
シルフェニルケトン、ベンゾフェノン、2,4,6−ト
リメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキサイド、
2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モ
ルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメ
チルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタ
ン−1−オン、ミヒラーズケトン、N,N−ジメチルア
ミノ安息香酸イソアミル、2−クロロチオキサントン、
2,4−ジエチルチオキサントン等が挙げられ、これら
の光重合開始剤は2種以上を適宜に併用することもでき
る。
物には、皮膜物性を改良する目的で紫外線吸収剤(例え
ば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチ
ル酸系、シアノアクリレート系紫外線吸収剤)、紫外線
安定剤(例えば、ヒンダードアミン系紫外線安定剤)、
酸化防止剤(例えば、フェノール系、硫黄系、リン系酸
化防止剤)、ブロッキング防止剤、スリップ剤、レベリ
ング剤等のこの種の組成物に配合される種々の添加剤を
皮膜を形成する組成中に各々、0.01〜2重量%配合
することができる。更に、被覆組成物の粘度調整や重合
体の製造の際に用いた溶剤と同一のものを使用すること
ができる。
ロキサン単位および4級アンモニウム塩単位を有する重
合体の使用量は、溶剤を除いた皮膜形成の固形成分10
0重量%中、1〜40重量%、好ましくは5〜25重量
%である。1重量%未満では十分な帯電防止性を有する
皮膜が得られない。また、40重量%を超えると皮膜の
耐摩耗性が低下する。また、(B)成分の分子内に3個
以上のアクリロイル基を有する多官能アクリレートの使
用量は、溶剤を除いた皮膜形成の固形成分100重量%
中、60〜99重量%、好ましくは75〜95重量%で
ある。60重量%未満では十分な耐摩耗性を有する皮膜
が得られない。また99重量%を超えると、十分な帯電
防止性を有する皮膜が得られない。
体(C)は、組成物の粘度調整、得られる皮膜に可撓性
を付与する目的で皮膜形成の固形成分中の20重量%以
下、好ましくは、3〜10重量%用いられる。光重合開
始剤は、(A)、(B)および(C)の重合性成分の和
の10重量%以下、好ましくは1〜5重量%用いられ
る。
ボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリアミド、塩化ビニル樹脂及びABS
樹脂等のプラスチック基材に、ディッピング法、フロー
コート法、スプレー法、バーコート法、及びグラビアコ
ート、ロールコート、ブレードコート及びエアーナイフ
コート等の塗工器具による塗工方法で、溶剤乾燥、活性
エネルギー線照射後、プラスチック基材表面に1〜50
μm、好ましくは1〜20μmの肉厚の皮膜が得られよ
う塗工する。
せしめるため、キセノンランプ、低圧水銀灯、高圧水銀
灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンア
ーク灯、タングステンランプ等の光源から発せられる紫
外線あるいは、通常20〜2000kVの電子線加速器
から取り出される電子線、α線、β線、γ線等の活性エ
ネルギー線を照射し、硬化させて皮膜を形成させる。こ
の皮膜の表面固有抵抗値は108 〜109 Ωのレベルで
あり、透明性、耐摩耗性に富む。
明する。なお、例中の部および%は、重量部および重量
%をそれぞれ意味する。
アンモニウム塩単位を有する重合体の合成例): (合成例1)片末端にスチレン基を有する数平均分子量
が11,300のオルガノポリシロキサン化合物[信越
化学工業(株)製商品名:X−22−2440]30
部、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート70
部、およびイソプロピルアルコール150部の混合物を
加熱して80℃に昇温した時、及び同昇温時より2時間
後に、それぞれアゾビスイソブチロニトリルを0.3部
ずつ添加し、80℃で8時間反応して、固形分40%の
共重合体溶液を得た。次に、得られた共重合体溶液に、
イソプロピルアルコール83.3部を添加した後、塩化
メチルを反応系に導入し、50℃で6時間反応し、オル
ガノポリシロキサン単位および4級アンモニウム塩単位
を有する重合体[I]溶液(固形分34%)を得た。
る数平均分子量が3,340のオルガノポリシロキサン
化合物[信越化学工業(株)製商品名:X−22−16
7B]10部、N,N−ジメチルアミノエチルメタアク
リレート80部、メチルメタクリレート10部、および
イソプロピルアルコール150部の混合物を加熱して8
0℃に昇温した時、及び同昇温時より2時間後に、それ
ぞれアゾビスイソブチロニトリルを0.3部ずつ添加
し、80℃で8時間反応して、固形分40%の共重合体
溶液を得た。次に、得られた共重合体溶液に、イソプロ
ピルアルコール83.3部を添加した後、塩化メチルを
反応系に導入し、50℃で6時間反応し、オルガノポリ
シロキサン単位および4級アンモニウム塩単位を有する
重合体[II]溶液(固形分35%)を得た。
有する数平均分子量が約10,000のオルガノポリシ
ロキサン化合物[チッソ(株)製商品名:FM072
5]15部、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレ
ート75部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10
部及びメチルエチルケトン150部の混合物を加熱して
80℃に昇温した時、及び同昇温時より2時間後に、そ
れぞれアゾビスイソブチロニトリルを0.3部ずつ添加
し、80℃で8時間反応して、固形分40%の共重合体
溶液を得た。このものに、メタクリロイルイソシアネー
ト8部を添加し、80℃で6時間反応(赤外吸収スペク
トルで2250cm-1のイソシアネート基の吸収の消滅
を確認)し、側鎖にメタアクリロイル基を有する固形分
42%の共重合体溶液を得た。次に、得られた共重合体
溶液に、イソプロピルアルコール300部を添加した
後、塩化メチルを反応系に導入し、50℃で6時間反応
し、オルガノポリシロキサン単位および4級アンモニウ
ム塩単位を有し、側鎖にメタアクリロイル基を有する重
合体[III ]溶液(固形分22%)を得た。
オルガノポリシロキサン化合物[信越化学工業(株)製
商品名:X−22−2440]10部、N,N−ジメチ
ルアミノエチルメタクリレート80部、2−ヒドロキシ
エチルメタクリレート10部及びメチルエチルケトン1
50部の混合物を加熱して80℃に昇温した時、及び同
昇温時より2時間後に、それぞれアゾビスイソブチロニ
トリルを0.3部ずつ添加し、80℃で8時間反応し
て、固形分40%の共重合体溶液を得た。このものに、
イソホロンジイソシアネート28部と2−ヒドロキシエ
チルアクリレート22部を反応して得られる化合物50
部を添加し80℃で6時間反応(赤外吸収スペクトルで
2250cm-1のイソシアネート基の吸収の消滅を確
認)し、固形分50%の側鎖にアクリロイル基を有する
共重合体溶液を得た。次に、得られた側鎖にアクリロイ
ル基を有する共重合体溶液に、イソプロピルアルコール
300部を添加した後、塩化メチルを反応系に導入し、
50℃で6時間反応し、オルガノポリシロキサン単位お
よび4級アンモニウム塩単位を有し、側鎖にアクリロイ
ル基を有する重合体[IV]溶液(固形分28%)を得
た。
ルガノポリシロキサン単位を有しない重合体の合成
例): (合成例5)N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレ
ート80部、メチルメタクリレート20部およびイソプ
ロピルアルコール150部の混合物を加熱して80℃に
昇温した時、及び同昇温時より2時間後に、それぞれア
ゾビスイソブチロニトリルを0.3部ずつ添加し、80
℃で8時間反応して、固形分40%の共重合体溶液を得
た。次に、得られた共重合体溶液に、イソプロピルアル
コール83.3部を添加した後、塩化メチルを反応系に
導入し、50℃で6時間反応し、4級アンモニウム塩単
位を有する重合体[V]溶液(固形分34%)を得た。
が、4級アンモニウム塩単位を有しない重合体の合成
例): (合成例6)片末端にスチレン基を有するオルガノポリ
シロキサン化合物[信越化学工業(株)製商品名:X−
22−2440]30部、メチルメタクリレート70
部、およびイソプロピルアルコール150部の混合物を
加熱して80℃に昇温した時、及び同昇温時より2時間
後に、それぞれアゾビスイソブチロニトリルを0.3部
ずつ添加し、80℃で8時間反応して、オルガノポリシ
ロキサン単位を有する重合体[VI]溶液(固形分40
%)を得た。
の合成例): (合成例7)ジペンタエリスリトールペンタアクリレー
トを67モル%含有するジペンタエリスリトールヘキサ
アクリレートおよびジペンタエリスリトールペンタアク
リレートの混合物(日本化薬社製商品名:カヤラッドD
PHA、水酸基価69mgKOH/g)163部とピロ
メリト酸二無水物21.8部、メチルエチルケトン10
0部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1部およ
びN,N−ジメチルベンジルアミン1部を加え、80℃
で8時間反応し、カルボキシル基含有多官能アクリレー
ト[VII ]溶液(固形分65%)を得た。
ギー線硬化性被覆組成物を調製した。各活性エネルギー
線硬化性被覆組成物を、透明(ヘイズ値3.0%)な1
00μm厚の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィ
ルム(ダイアホイルヘキスト(株)製:T100E)
に、バーコーターを用いて乾燥後の塗膜厚が6μmとな
るように塗布し、80℃で2分間加熱乾燥した。このも
のを、出力密度120w/cmの高圧水銀灯を用い、光
源下10cmの位置で1000mJ/cm2 の紫外線照
射を行い塗膜を形成し、その塗膜について帯電防止性
能、透明性、耐摩耗性を試験した。得られた塗膜の評価
結果を表2に示した。なお、各評価は下記によった。
相対湿度60%の恒温室に24時間放置した後、TR−
8601型(タケダリケン製)を用い、印加電圧100
V、1分値で測定。透明性: ヘイズ値(H%)で評価。(JIS K−7105) 耐摩耗性:Calibrase社製CS−10Fの摩耗
輪を用い、荷重500gで100回転テーバー摩耗試験
を行い、テーバー摩耗試験後のヘイズ値とテーバー摩耗
試験前のヘイズ値との差ΔH%で評価。なお、基材の二
軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの表面固有
抵抗値は1016Ωを越え、耐摩耗性は、28.5%であ
った。
性エネルギー線硬化性被覆組成物を、実施例1と同様に
試験、評価し、その評価結果を表2に示した。
0時間) 下段:耐水性試験後(50℃の流水に30分間浸漬)
成物は、帯電防止性、透明性、耐摩耗性に優れ、耐湿熱
性、耐水性等の耐久性も良好な皮膜を与える。中でも特
に、(A)成分として側鎖に(メタ)アクリロイル基を
有する重合体を用いた場合、耐水性の優れた皮膜が得ら
れる。
Claims (5)
- 【請求項1】 オルガノポリシロキサン単位および4級
アンモニウム塩単位を有する重合体(A)と、分子内に
3個以上のアクリロイル基を有する多官能アクリレート
(B)を含有する、活性エネルギー線硬化性被覆組成
物。 - 【請求項2】 (A)成分のオルガノポリシロキサン単
位および4級アンモニウム塩単位を有する重合体が、1
分子中に1個のラジカル重合性基または1分子中に2個
のメルカプト基を有するオルガノポリシロキサン化合物
と、1分子中に1個のラジカル重合性基を有する3級ア
ミン化合物、および必要に応じ(メタ)アクリル酸エス
テルとを共重合して得た3級アミン重合体化合物をアル
キルクロライドで4級アンモニウム塩とすることにより
得られるものである、請求項1記載の活性エネルギー線
硬化性被覆組成物。 - 【請求項3】 (A)成分の重合体が、オルガノポリシ
ロキサン単位および4級アンモニウム塩単位を有する側
鎖に(メタ)アクリロイル基を有する重合体である、請
求項1記載の活性エネルギー線硬化性被覆組成物。 - 【請求項4】 (A)成分のオルガノポリシロキサン単
位および4級アンモニウム塩単位を有する側鎖に(メ
タ)アクリロイル基を有する重合体が、1分子中に1個
のラジカル重合性基または1分子中に2個のメルカプト
基を有するオルガノポリシロキサン化合物と、1分子中
に1個のラジカル重合性基を有する3級アミン化合物、
および官能基を有する(メタ)アクリル酸エステルとを
共重合して得られた共重合体に(メタ)アクリロイル基
を有する化合物を付加して得た3級アミン重合体化合物
をアルキルクロライドで4級アンモニウム塩とすること
により得られた側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する
重合体である、請求項3記載の活性エネルギー線硬化性
被覆組成物。 - 【請求項5】 (A)成分の重合体1〜40重量%、
(B)成分の三官能以上のアクリレート60〜99重量
%、(C)他の重合性単量体0〜20重量%、(D)光
重合開始剤を含有する請求項1または3に記載の活性エ
ネルギー線硬化性被覆組成物。
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