<硬化性組成物>
本発明の硬化性組成物(樹脂組成物)は、多官能性(メタ)アクリレートおよび特定の単官能性(メタ)アクリレートを含む(メタ)アクリレートモノマーで構成された硬化性成分(硬化性樹脂、硬化性樹脂成分)と、カルボジイミド化合物とを少なくとも含む。
[多官能性(メタ)アクリレート]
多官能性(メタ)アクリレート(又はポリ(メタ)アクリレート)は、2以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物である。多官能性(メタ)アクリレートにおいて、(メタ)アクリロイルオキシ基の数は、2以上であれば限定されないが、例えば、2〜10、好ましくは2〜6、さらに好ましくは2〜4であってもよい。
具体的な多官能性(メタ)アクリレートとしては、例えば、二官能性(メタ)アクリレート{例えば、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート[エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどのC2−10アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートなど]、(ポリ)オキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート[例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(ポリ)オキシC2−6アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートなど]、ビスフェノールA(又はそのC2−3アルキレンオキシド付加体)のジ(メタ)アクリレート、橋架け環式(メタ)アクリレート(例えば、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートなど)、アルカントリ乃至ヘキサオールジ(メタ)アクリレート[例えば、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレートなどのC3−10アルカントリ乃至ヘキサオールジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレートなど]など}、三官能以上の(メタ)アクリレート{例えば、多価アルコール(又はそのC2−3アルキレンオキシド付加体)の(メタ)アクリレート、例えば、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどのポリオールトリ乃至ヘキサ(メタ)アクリレート}、(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレート、(ポリ)エステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレートなどが含まれる。
多官能性(メタ)アクリレートは、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
好ましい多官能性(メタ)アクリレートには、フルオレン骨格を有する多官能性(メタ)アクリレートが含まれる。このようなフルオレン骨格を有する(メタ)アクリレートは、優れた光学的特性(高屈折率など)、高耐熱性などの優れた特性を有しており、このような特性を反映した硬化物を得るのに極めて有用であるが、とりわけ、耐湿密着性が十分でない。しかし、本発明では、カルボジイミド化合物と組み合わせることにより、このようなフルオレン骨格を有する多官能性(メタ)アクリレートで硬化性成分を構成しても、耐湿密着性を高いレベルで改善又は向上できる。
そのため、本発明では、多官能性(メタ)アクリレートを、フルオレン骨格を有する多官能性(メタ)アクリレートで好適に構成してもよい。
フルオレン骨格を有する多官能性(メタ)アクリレート[又は2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するフルオレン化合物]は、(メタ)アクリロイル基(又は(メタ)アクリロイルオキシ基)とともに、フルオレン骨格を有している。
このようなフルオレン骨格としては、フルオレン(9位に置換基がないフルオレン骨格)、9−置換フルオレン(例えば、9−アルキルフルオレン、9−モノアリールフルオレン、9,9−ビスアリールフルオレンなどの9位に炭化水素基を有するフルオレンなど)などが挙げられる。代表的なフルオレン骨格は、9,9−ビスアリールフルオレン骨格である。なお、フルオレン骨格は、フルオレンやフルオレンの9位に置換する置換基に、置換基を有していてもよい。
(メタ)アクリロイル基(又は(メタ)アクリロイル基を含む基)の置換位置(結合位置)は、特に限定されず、フルオレン骨格そのものであってもよく、フルオレンの9位に位置する置換基に結合していてもよい。
フルオレン骨格を有する多官能性(メタ)アクリレートは、2以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する限り特に限定されず、(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレート、(ポリ)エステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートなどであってもよいが、代表的には、2以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する9,9−ビスアリールフルオレン類、例えば、下記式(1)で表される化合物などが含まれる。
(式中、環Zは芳香族炭化水素環、R1は置換基を示し、R2はアルキレン基を示し、R3は水素原子又はメチル基を示し、R4は置換基を示し、kは0〜4の整数、mは0以上の整数、nは0以上の整数、pは1以上の整数である。)
上記式(1)において、環Zで表される芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、縮合多環式アレーン(又は縮合多環式芳香族炭化水素)環などが挙げられる。縮合多環式アレーン(又は縮合多環式芳香族炭化水素)環としては、例えば、縮合二環式アレーン環(例えば、インデン環、ナフタレン環などのC8−20縮合二環式アレーン環)、縮合三環式アレーン環(例えば、アントラセン環など)などの縮合二乃至四環式アレーン環などが挙げられる。なお、2つの環Zは、同一の又は異なる環であってもよく、通常、同一の環であってもよい。
代表的な環Zは、ベンゼン環、ナフタレン環である。
前記式(1)において、基R1としては、例えば、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)、炭化水素基[例えば、アルキル基、アリール基(フェニル基などのC6−10アリール基)など]などの非反応性置換基が挙げられ、特に、アルキル基などである場合が多い。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基などのC1−12アルキル基(例えば、C1−8アルキル基、特にメチル基などのC1−4アルキル基)などが例示できる。なお、kが複数(2以上)である場合、基R1は互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、フルオレンを構成する2つのベンゼン環に置換する基R1は、同一であってもよく、異なっていてもよい。また、フルオレンを構成するベンゼン環に対する基R1の結合位置(置換位置)は、特に限定されない。好ましい置換数kは、0〜1、特に0である。なお、フルオレンを構成する2つのベンゼン環において、置換数kは、互いに同一又は異なっていてもよい。
前記式(1)において、基R2で表されるアルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、1,2−ブタンジイル基、テトラメチレン基などのC2−6アルキレン基、好ましくはC2−4アルキレン基、さらに好ましくはC2−3アルキレン基が挙げられる。なお、mが2以上であるとき、アルキレン基は異なるアルキレン基で構成されていてもよく、通常、同一のアルキレン基で構成されていてもよい。また、2つの環Zにおいて、基R2は同一であっても、異なっていてもよく、通常同一であってもよい。
オキシアルキレン基(OR2)の数(付加モル数)mは、用途や所望の性能に応じて、例えば、0〜25(例えば、0〜20)程度の範囲から選択でき、通常、0〜18(例えば、0〜15)、好ましくは0〜12(例えば、0〜10)、さらに好ましくは0〜8(例えば、0〜7)、特に1以上(例えば、1〜10、好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜4)であってもよい。なお、2つのmは、同一又は異なっていてもよい。
また、式(1)において、2つのmの合計は、例えば、0〜30(例えば、0〜25)、好ましくは0〜20(例えば、0〜18)、さらに好ましくは0〜16(例えば、0〜14)であってもよく、特に2以上であってもよい。
なお、式(1)において、2つのmの合計により、種々の特性(硬化物における硬さや粘度、屈折率など)が変化する。そのため、所望の特性に応じて、2つのmの合計を調整してもよい。例えば、式(1)において、2つのmの合計を8以下程度に比較的小さく(例えば、2〜6、好ましくは2〜5、さらに好ましくは2〜4、特に2〜3程度に)してもよい。このように2つのmの合計を小さくすると、高屈折率、高耐熱性で硬質の硬化物を得やすい。なお、mの合計が小さくなるほど、耐湿密着性が低下しやすくなる場合があるが、本発明では、このようなフルオレン骨格を有する多官能性(メタ)アクリレートであっても、耐湿密着性を向上又は改善できる。
一方、式(1)において、2つのmの合計を比較的大きく[例えば、6以上(例えば、6.5〜20)、好ましくは7〜18(例えば、7〜16)、さらに好ましくは8〜14(例えば、8.5〜12)、特に9〜12(例えば、9.5〜11.5)程度に]してもよい。このように2つのmの合計を大きくすると、比較的高い屈折率や耐熱性を有しつつ、軟質の又は柔軟性を有する硬化物を得やすい。
なお、式(1)で表される化合物は、mの値が同一の化合物の集合体であってもよく、mの値が異なる化合物の集合体であってもよい。後者の場合、mの値および2つのmの合計は、平均値(相加平均又は算術平均)である。
前記式(1)において、基R2を含む基((メタ)アクリロイルオキシ基含有基などということがある)の置換数pは、1以上(例えば、1〜6)であればよく、例えば、1〜4、好ましくは1〜3、さらに好ましくは1〜2、特に1であってもよい。なお、置換数pは、それぞれの環Zにおいて、同一又は異なっていてもよく、通常、同一である場合が多い。なお、(メタ)アクリロイル基含有基の置換位置は、特に限定されず、環Zの適当な置換位置に置換していればよい。例えば、(メタ)アクリロイルオキシ基含有基は、環Zがベンゼン環であるとき、ベンゼン環の2〜6位の適当な位置(特に、少なくとも4位)に置換していてもよく、環Zが縮合多環式炭化水素環であるとき、フルオレンの9位に結合した炭化水素環とは別の炭化水素環(例えば、ナフタレン環の5位、6位など)に少なくとも置換していてもよい。
環Zに置換する置換基R4としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのC1−12アルキル基、好ましくはC1−8アルキル基など)、シクロアルキル基(シクロへキシル基などのC5−8シクロアルキル基など)、アリール基(例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などのC6−10アリール基など)、アラルキル基(ベンジル基、フェネチル基などのC6−10アリール−C1−4アルキル基など)などの炭化水素基;アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基などのC1−8アルコキシ基など)、シクロアルコキシ基(シクロへキシルオキシ基などのC5−10シクロアルキルオキシ基など)、アリールオキシ基(フェノキシ基などのC6−10アリールオキシ基)、アラルキルオキシ基(ベンジルオキシ基などのC6−10アリール−C1−4アルキルオキシ基)などの基−OR[式中、Rは炭化水素基(前記例示の炭化水素基など)を示す。];アルキルチオ基(メチルチオ基などのC1−8アルキルチオ基など)などの基−SR(式中、Rは前記に同じ。);アシル基(アセチル基などのC1−6アシル基など);アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基などのC1−4アルコキシ−カルボニル基など);ヒドロキシル基;メルカプト基;ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など);ニトロ基;シアノ基;置換アミノ基(例えば、ジメチルアミノ基などのジアルキルアミノ基など)などが挙げられる。
好ましい基R4としては、例えば、炭化水素基[例えば、アルキル基(例えば、C1−6アルキル基)、シクロアルキル基(例えば、C5−8シクロアルキル基)、アリール基(例えば、C6−10アリール基)、アラルキル基(例えば、C6−8アリール−C1−2アルキル基)など]、アルコキシ基(C1−4アルコキシ基など)などが挙げられる。特に、R4は、アルキル基[C1−4アルキル基(特にメチル基)など]、アリール基[例えば、C6−10アリール基(特にフェニル基)など]などであるのが好ましい。
なお、同一の環Zにおいて、nが複数(2以上)である場合、基R4は互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、2つの環Zにおいて、基R4は同一であってもよく、異なっていてもよい。また、好ましい置換数nは、環Zの種類に応じて選択でき、例えば、0〜8、好ましくは0〜4(例えば、0〜3)、さらに好ましくは0〜2であってもよい。なお、異なる環Zにおいて、置換数nは、互いに同一又は異なっていてもよく、通常同一であってもよい。
代表的なフルオレン骨格を有する多官能性(メタ)アクリレート(又は前記式(1)で表される化合物)には、9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシアリール)フルオレン類、9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシ(ポリ)アルコキシアリール)フルオレン類が含まれる。
9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシアリール)フルオレン類としては、例えば、9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)フルオレンなど]、9,9−ビス(アルキル−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)フルオレン[9,9−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC1−4アルキル−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)フルオレンなど]、9,9−ビス(アリール(メタ)アクリロイルオキシフェニル)フルオレン[9,9−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシ−3−フェニルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC6−8アリール−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)フルオレンなど]、9,9−ビス(ポリ(メタ)アクリロイルオキシフェニル)フルオレン{例えば、9,9−ビス[2,4−ジ((メタ)アクリロイルオキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[3,4−ジ((メタ)アクリロイルオキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[3,4,5−トリ((メタ)アクリロイルオキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(ジ又はトリ(メタ)アクリロイルオキシフェニル)フルオレン}などの9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシフェニル)フルオレン類(前記式(1)において環Zがベンゼン環、mが0である化合物);9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシナフチル)フルオレン[例えば、9,9−ビス[6−(2−(メタ)アクリロイルオキシナフチル)]フルオレン、9,9−ビス[1−(5−(メタ)アクリロイルオキシナフチル)]フルオレンなど]などの9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシナフチル)フルオレン類(前記式(1)において環Zがナフタレン環、mが0である化合物)などが挙げられる。
9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシ(ポリ)アルコキシアリール)フルオレン類としては、前記9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシアリール)フルオレン類に対応し、式(1)においてmが1以上である化合物、例えば、9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシアルコキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル)フルオレンなどの9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシC2−4アルコキシフェニル)フルオレンなど]、9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシジアルコキシフェニル)フルオレン(例えば、9,9−ビス{4−[2−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)エトキシ]フェニル}フルオレンなど]などの9,9−ビス{[2−(2−(メタ)アクリロイルオキシC2−4アルコキシ)C2−4アルコキシ]フェニル}フルオレン)、9,9−ビス(アルキル−(メタ)アクリロイルオキシアルコキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC1−4アルキル(メタ)アクリロイルオキシC2−4アルコキシフェニル)フルオレンなど]、9,9−ビス(アリール−(メタ)アクリロイルオキシアルコキシフェニル)フルオレン[9,9−ビス(4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC6−8アリール(メタ)アクリロイルオキシC2−4アルコキシフェニル)フルオレンなど]、9,9−ビス[ジ又はトリ((メタ)アクリロイルオキシアルコキシ)フェニル]フルオレン[例えば、9,9−ビス[2,4−ジ(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[3,4−ジ(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[3,4,5−トリ(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[ジ又はトリ((メタ)アクリロイルオキシC2−4アルコキシ)フェニル]フルオレン]などの9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシ(ポリ)アルコキシフェニル)フルオレン類(前記式(A1)において環Zがベンゼン環、mが1以上(例えば、1〜10、好ましくは1〜8、さらに好ましくは1〜6)である化合物);9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシアルコキシナフチル)フルオレン[例えば、9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシC2−4アルコキシナフチル)フルオレンなど]などの9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシ(ポリ)アルコキシナフチル)フルオレン類(前記式(A1)において環Zがナフタレン環、mが1以上(例えば、1〜10、好ましくは1〜8、さらに好ましくは1〜6)である化合物)などが挙げられる。
フルオレン骨格を有する多官能性(メタ)アクリレートは、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
なお、フルオレン骨格を有する多官能性(メタ)アクリレートは、市販品を利用してもよく、慣用の方法により合成したものを用いてもよい。
多官能性(メタ)アクリレートは、フルオレン骨格を有する多官能性(メタ)アクリレートのみで構成してもよく、他の多官能性(メタ)アクリレート(フルオレン骨格を有しない多官能性(メタ)アクリレート、フルオレン骨格を有する多官能性(メタ)アクリレート以外の多官能性(メタ)アクリレート)と組み合わせて構成してもよい。組み合わせる場合、フルオレン骨格を有する多官能性(メタ)アクリレートと他の多官能性(メタ)アクリレートとの割合は、前者/後者(モル比)=99.9/0.1〜1/99、好ましくは99.5/0.5〜10/90(例えば、99/1〜30/70)、さらに好ましくは99/1〜40/60(例えば、98/2〜50/50)、特に95/5〜60/40(例えば、90/10〜70/30)程度であってもよい。
なお、フルオレン骨格を有する多官能性(メタ)アクリレートで構成する場合、多官能性(メタ)アクリレート全体に対するフルオレン骨格を有する多官能性(メタ)アクリレートの割合は、1モル%以上(例えば、5モル%以上)の範囲から選択でき、例えば、10モル%以上(例えば、20モル%以上)、好ましくは30モル%以上(例えば、40モル%以上)、さらに好ましくは50モル%以上(例えば、60モル%以上)、特に70モル%以上であってもよい。
多官能性(メタ)アクリレートの形態は、特に限定されず、例えば、常温で固体、液体のいずれであってもよい。なお、フルオレン骨格を有する多官能性(メタ)アクリレートは、前記式(1)におけるmの数などに応じて、固体又は液体となる場合が多く、例えば、mが小さいほど、高粘性の液体又は固体状となりやすい。
[単官能性(メタ)アクリレート]
単官能性(メタ)アクリレート(モノ(メタ)アクリレート)は、フェノキシベンジル基を有する単官能性(メタ)アクリレートを少なくとも含む。
なお、フェノキシベンジル基を有する単官能性(メタ)アクリレートは、前記のように、ハンドリング性や硬化性、高屈折率の付与などの目的で使用されるが、多官能性(メタ)アクリレートとの組み合わせにおいて、依然として耐湿密着性が十分でない。特に、フルオレン骨格を有する多官能性(メタ)アクリレートとの組み合わせにおいては、顕著に耐湿密着性が十分でない場合が多い。このような理由は定かではないが、単官能性(メタ)アクリレートと、剛直な骨格であるフルオレン骨格を有する多官能性(メタ)アクリレートとの反応性(重合反応性)や親和性が、他の多官能性(メタ)アクリレートの場合に比べて何らかの差異があることもその要因の1つと考えられる。
しかし、本発明では、このようなフルオレン骨格を有する多官能性(メタ)アクリレートとフェノキシベンジル基を有する単官能性(メタ)アクリレートとを組み合わせる場合においても、硬化物に十分な耐湿密着性を付与することができる。
フェノキシベンジル基を有する単官能性(メタ)アクリレートは、フェノキシベンジル基を有している限り、特に限定されないが、例えば、下記式で表される化合物などが挙げられる。
(式中、aは0以上の整数を示し、R2およびR3は前記に同じ。)
上記式において、aは0以上の整数であればよく、例えば、0〜10(例えば、0〜8)、好ましくは0〜6(例えば、0〜4)、さらに好ましくは0〜2(例えば、0〜1)、特に0であってもよい。
なお、上記式において、R2およびR3は前記に同じ(すなわち、R2はアルキレン基、R3は水素原子又はメチル基)である。好ましいR2としては、エチレン基、プロピレン基などのC2−4アルキレン基(特にエチレン基)などが挙げられる。なお、aが2以上である場合、複数のR2は同一の又は異なるアルキレン基であってもよい。
代表的なフェノキシベンジル基を有する単官能性(メタ)アクリレートには、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート(o−フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、m−フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、p−フェノキシベンジル(メタ)アクリレートから選択された少なくとも1種)などが含まれる。
フェノキシベンジル基を有する単官能性(メタ)アクリレートは、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
(他の単官能性(メタ)アクリレート)
単官能性(メタ)アクリレートは、フェノキシベンジル基を有する(メタ)アクリレートで少なくとも構成すればよく、フェノキシベンジル基を有する(メタ)アクリレートのみで構成してもよく、硬化性や硬さ、粘度の調整などのため、必要に応じて、他の単官能性(メタ)アクリレート[フェノキシベンジル基を有する(メタ)アクリレートではない単官能性(メタ)アクリレート]を含んでいてもよい。本発明では、このような他の単官能性(メタ)アクリレートを含んでいても、耐湿密着性を損なうことがない。
他の単官能性(メタ)アクリレートとしては、脂肪族(メタ)アクリレート(脂肪族骨格を有する(メタ)アクリレート)、芳香族(メタ)アクリレート(芳香族骨格を有する(メタ)アクリレート)、硫黄含有(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
単官能性の脂肪族(メタ)アクリレートとしては、アルキル(メタ)アクリレート[例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどのC1−20アルキル(メタ)アクリレートなど]、脂環式(メタ)アクリレート{例えば、シクロアルキル(メタ)アクリレート[例えば、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどの(メタ)アクリル酸C5−8シクロアルキル;ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸多環式シクロアルキル]、橋架け環式(メタ)アクリレート[例えば、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレートなど]など}、ハロアルキル(メタ)アクリレート(例えば、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレートなどのハロC1−10アルキル(メタ)アクリレート)、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシC2−10アルキル(メタ)アクリレート)、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート(例えば、メトキシエチル(メタ)アクリレートなどのC1−10アルコキシC1−10アルキル(メタ)アクリレート)、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート[例えば、ジ乃至テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどの(ポリ)オキシC2−6アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートなど]、脂肪族エポキシ(メタ)アクリレート{例えば、2−ヒドロキシ−3−アルコキシプロピル(メタ)アクリレート[例えば、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−ペンタデシルオキシプロピル(メタ)アクリレートなどの2−ヒドロキシ−3−C2−20アルコキシプロピル(メタ)アクリレート]など}、1分子中に3個以上のヒドロキシル基を有する脂肪族ポリオールのモノ(メタ)アクリレート{例えば、脂肪族トリオールモノ(メタ)アクリレート[例えば、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレートなどのアルカントリオールモノ(メタ)アクリレート(例えば、C3−10アルカントリオールモノ(メタ)アクリレート)など]など}、アミノアルキル(メタ)アクリレート[例えば、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレートなどのN−置換アミノアルキル(メタ)アクリレートなど]、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
単官能性の芳香族(メタ)アクリレートとしては、例えば、アリール(メタ)アクリレート(例えば、フェニル(メタ)アクリレートなどのC6−10アリール(メタ)アクリレート)、アラルキル(メタ)アクリレート(例えば、ベンジル(メタ)アクリレートなどのC6−10アリールC1−4アルキル(メタ)アクリレート)、アリールオキシアルキル(メタ)アクリレート(例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレートなどのC6−10アリールオキシC1−10アルキル(メタ)アクリレート)、アリールアリールオキシアルキル(メタ)アクリレート(例えば、2−(o−フェニルフェノキシ)エチル(メタ)アクリレートなどのC6−10アリールC6−10アリールオキシC1−10アルキル(メタ)アクリレート)、アリールオキシ(ポリ)アルコキシアルキル(メタ)アクリレート[例えば、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレートなどのC6−10アリールオキシ(ポリ)C2−4アルコキシC2−4アルキル(メタ)アクリレート]、アルキルアリールオキシ(ポリ)アルコキシアルキル(メタ)アクリレート[例えば、ノニルフェノキシ(ポリ)エトキシエチル(メタ)アクリレートなどのC4−20アルキルC6−10アリールオキシ(ポリ)C2−4アルコキシC2−4アルキル(メタ)アクリレート]、アリールアリールオキシ(ポリ)アルコキシアルキル(メタ)アクリレート[例えば、フェニルフェノキシ(ポリ)エトキシエチル(メタ)アクリレートなどのC6−10アリールC6−10アリールオキシ(ポリ)C2−4アルコキシC2−4アルキル(メタ)アクリレート]、ビスフェノール類又はそのアルキレンオキサイド付加物(例えば、エチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物などのC2−4アルキレンオキサイド付加物(例えば、2〜10個程度のアルキレンオキサイドが付加した付加物)、以下同じ)のモノ(メタ)アクリレート、芳香族エポキシ(メタ)アクリレート{例えば、2−ヒドロキシ−3−アリールオキシプロピル(メタ)アクリレート[例えば、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートなどの2−ヒドロキシ−3−C6−10アリールオキシプロピル(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシ−3−(2−フェニルフェノキシ)プロピル(メタ)アクリレートなどの2−ヒドロキシ−3−(C6−10アリールC6−10アリール)オキシプロピル(メタ)アクリレート]など}、フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート{例えば、9−(メタ)アクリロイルオキシフルオレン、9−(メタ)アクリロイルオキシ−9−アルキルフルオレン、9−(メタ)アクリロイルオキシ−9−アリールフルオレンなどの9−(メタ)アクリロイルオキシフルオレン類;9−(メタ)アクリロイルオキシメチルフルオレンなどの9−(メタ)アクリロイルオキシメチルフルオレン類;9−(メタ)アクリロイルオキシフェニル−9−フェニルフルオレン[例えば、9−(4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)−9−フェニルフルオレンなど]、9−(アルキル−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)−9−フェニルフルオレン[例えば、9−(4−(メタ)アクリロイルオキシ−3−メチルフェニル)−9−フェニルフルオレン、9−(4−(メタ)アクリロイルオキシ−3,5−ジメチルフェニル)−9−フェニルフルオレンなどの9−(モノ又はジC1−4アルキル−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)−9−フェニルフルオレン]、9−(アリール−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)−9−フェニルフルオレン[例えば、9−(4−(メタ)アクリロイルオキシ−3−フェニルフェニル)−9−フェニルフルオレンなどの9−(モノ又はジC6−10アリール−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)−9−フェニルフルオレン]などの9−(メタ)アクリロイルオキシフェニル−9−フェニルフルオレン類;9−(メタ)アクリロイルオキシ(ポリ)アルコキシフェニル−9−フェニルフルオレン[例えば、9−(4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル)−9−フェニルフルオレンなどの9−(メタ)アクリロイルオキシ(ポリ)C2−4アルコキシフェニル−9−フェニルフルオレンなど]などの9−(メタ)アクリロイルオキシ(ポリ)アルコキシフェニル−9−フェニルフルオレン類}、後述のアリールチオ(メタ)アクリレート、アラルキルチオ(メタ)アクリレート、アリールチオアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
硫黄含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、アルキルチオ(メタ)アクリレート(例えば、メチルチオ(メタ)アクリレートなどのC1−10アルキルチオ(メタ)アクリレート)、アリールチオ(メタ)アクリレート(例えば、フェニルチオ(メタ)アクリレート、トリルチオ(メタ)アクリレート、2−ナフチルチオ(メタ)アクリレート、クロロフェニルチオ(メタ)アクリレートなどのC6−10アリールチオ(メタ)アクリレートなど)、アラルキルチオ(メタ)アクリレート(例えば、ベンジルチオ(メタ)アクリレートなどのC6−10アリールC1−4アルキルチオ(メタ)アクリレートなど)、アリールチオアルキル(メタ)アクリレート(例えば、フェニルチオエチル(メタ)アクリレートなどのC6−10アリールチオC2−10アルキル(メタ)アクリレートなど)などが挙げられる。なお、アリールチオ(メタ)アクリレート、アラルキルチオ(メタ)アクリレート、アリールチオアルキル(メタ)アクリレートは、芳香族(メタ)アクリレートにも分類できる。
他の単官能性(メタ)アクリレートは、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
これらの他の単官能性(メタ)アクリレートは、用途に応じて使い分けてもよい。例えば、他の単官能性(メタ)アクリレートのうち、ハンドリング性向上などの観点からは、脂肪族(メタ)アクリレート[特に、分岐アルキル(メタ)アクリレート(特に、イソアミル(メタ)アクリレートなどの分岐C3−10アルキル(メタ)アクリレート、好ましくは分岐C3−6アルキル(メタ)アクリレート)、脂環式(メタ)アクリレートなど]などを好適に使用できる。
また、高屈折率などの光学的特性と優れたハンドリング性とをバランスよく両立させるという観点からは、芳香族(メタ)アクリレートや硫黄含有(メタ)アクリレートなどを好適に用いることができる。
なお、他の単官能性(メタ)アクリレートの中でも、特に、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基)を有する単官能性(メタ)アクリレート、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基)を有する単官能性(メタ)アクリレートなどは、上記のように、屈折率などの観点からは好適に用いることができるものの、理由は定かではないが、多官能性(メタ)アクリレート[特に、フルオレン骨格を有する多官能性(メタ)アクリレート]と組み合わせると、本発明のカルボジイミド化合物を含まない系においては、特に、耐湿密着性に乏しい場合が多い。
そのため、本発明では、アリールオキシ基を有する単官能性(メタ)アクリレート[例えば、アリールオキシアルキル(メタ)アクリレート(例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート)、アリールアリールオキシアルキル(メタ)アクリレート(例えば、2−(o−フェニルフェノキシ)エチル(メタ)アクリレート)、アリールオキシ(ポリ)アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、アルキルアリールオキシ(ポリ)アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、アリールアリールオキシ(ポリ)アルコキシアルキル(メタ)アクリレート2−ヒドロキシ−3−アリールオキシプロピル(メタ)アクリレートなど]、アリールチオ基を有する単官能性(メタ)アクリレート[例えば、アリールチオ(メタ)アクリレート、アリールチオアルキル(メタ)アクリレートなど]を好適に用いてもよい。
他の単官能性(メタ)アクリレートの粘度は、特に限定されず、25℃において、300mPa・s以下(例えば、200mPa・s以下)程度の範囲から選択してもよく、例えば、100mPa・s以下(例えば、0.01〜100mPa・s)、好ましくは50mPa・s以下(例えば、0.1〜50mPa・s)、さらに好ましくは30mPa・s以下(例えば、0.3〜30mPa・s)であってもよく、特に20mPa・s以下[例えば、0.01〜20mPa・s、好ましくは0.05〜10mPa・s、さらに好ましくは0.1〜5mPa・s(例えば、0.5〜3mPa・s)]であってもよい。
なお、他の単官能性(メタ)アクリレートの中でも、アリールオキシ基を有する単官能性(メタ)アクリレートなどの粘度は、25℃において、10〜300mPa・s、好ましくは30〜250mPa・s、さらに好ましくは50〜200mPa・s、特に70〜180mPa・s程度であってもよい。
また、他の単官能性(メタ)アクリレートの屈折率は、25℃、589nmにおいて、例えば、1.4以上であってもよく、例えば、1.4〜1.65、好ましくは1.41〜1.62、さらに好ましくは1.42〜1.6程度であってもよい。特に、単官能性(メタ)アクリレートの屈折率は、1.5以上であってもよく、例えば、1.5〜1.65、好ましくは1.51〜1.62、さらに好ましくは1.515〜1.6程度であってもよく、特に1.53以上(例えば、1.54〜1.6、好ましくは1.55〜1.59程度)であってもよい。
なお、他の単官能性(メタ)アクリレートの中でも、アリールオキシ基を有する単官能性(メタ)アクリレートなどの屈折率は、25℃、589nmにおいて、例えば、1.57〜1.67、好ましくは1.571〜1.64、さらに好ましくは1.573〜1.62、特に1.575〜1.61程度であってもよい。
他の単官能性(メタ)アクリレートを併用する場合、フェノキシベンジル基を有する単官能性(メタ)アクリレートと、他の単官能性(メタ)アクリレートとの割合は、前者/後者(重量比)=99.9/0.1〜5/95(例えば、99.5/0.5〜10/90)程度の範囲から選択でき、例えば、99/1〜15/85(例えば、97/3〜20/80)、好ましくは95/5〜25/75(例えば、93/7〜30/70)、さらに好ましくは90/10〜35/65(例えば、88/12〜40/60)、特に85/15〜45/55程度であってもよい。
多官能性(メタ)アクリレートと単官能性(メタ)アクリレートとの割合は、前者/後者(重量比)=99.9/0.1〜1/99(例えば、99.5/0.5〜5/95)程度の範囲から選択でき、例えば、99/1〜10/90(例えば、97/3〜12/88)、好ましくは95/5〜15/85(例えば、93/7〜17/83)、さらに好ましくは90/10〜20/80(例えば、88/12〜25/75)、特に85/15〜30/70(例えば、83/17〜33/67)、特に好ましくは80/20〜35/65(例えば、75/25〜38/62)程度であってもよく、通常99/1〜20/80(例えば、95/5〜25/75、好ましくは90/10〜35/65)程度であってもよい。
また、多官能性(メタ)アクリレートと単官能性(メタ)アクリレートとの割合は、前者/後者(モル比)=99/1〜0.5/99.5(例えば、97/3〜1/99)程度の範囲から選択でき、例えば、95/5〜3/97(例えば、90/10〜5/95)、好ましくは85/15〜7/93(例えば、80/20〜8/92)、さらに好ましくは75/25〜10/90(例えば、70/30〜12/88)、特に65/35〜15/85(例えば、60/40〜18/82)、特に好ましくは55/45〜20/80(例えば、50/50〜25/75)程度であってもよい。
[他の硬化性成分]
硬化性成分(ラジカル重合性成分、ラジカル重合性モノマー)は、(メタ)アクリレートモノマーで構成すればよく、本発明の効果を害しない範囲であれば、他の硬化性成分((メタ)アクリレートモノマーでない硬化性成分、(メタ)アクリレートモノマーの範疇に属しない硬化性成分)を含んでいてもよい。
他の硬化性成分(非(メタ)アクリレートモノマー)としては、多官能性モノマー(例えば、ジビニルベンゼンなどの2以上のラジカル重合性基を有するモノマー)、単官能性モノマー{例えば、(メタ)アクリル系モノマー[例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド(N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなどのN,N−ジC1−4アルキル(メタ)アクリルアミドなど)など]、スチレン系モノマー(例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなど)、ビニルエステル系モノマー(例えば、酢酸ビニルなど)、N−ビニルピロリドンなど]などが挙げられる。他の硬化性成分は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
他の硬化性成分を使用する場合、硬化性成分全体に対する他の硬化性成分の割合は、例えば、50重量%以下(例えば、0.01〜40重量%)、好ましくは30重量%以下(例えば、0.05〜25重量%)、さらに好ましくは20重量%以下(例えば、0.1〜15重量%)、特に10重量%以下(例えば、0.2〜5重量%)であってもよい。
なお、硬化性成分全体に対する多官能性(メタ)アクリレートの割合は、1重量%以上(例えば、5重量%以上)の範囲から選択でき、例えば、10重量%以上(例えば、15重量%以上)、好ましくは20重量%以上(例えば、25重量%以上)、さらに好ましくは30重量%以上(例えば、35重量%以上)、特に40重量%以上であってもよい。
[カルボジイミド化合物]
カルボジイミド化合物は、分子中にカルボジイミド骨格又はカルボジイミド基(−N=C=N−)を有する化合物である。このようなカルボジイミド化合物は、カルボジイミド基の数を少なくとも1つ有していればよく、2以上のカルボジイミド基を有していてもよい。また、カルボジイミド化合物において、カルボジイミド基は、特に限定されないが、通常、炭化水素基(又は炭化水素骨格)に結合していてもよい。
代表的なカルボジイミド化合物は、モノカルボジイミド化合物(1つのカルボジイミド基を有する化合物)と、ポリカルボジイミド化合物(2以上のカルボジイミド基を有する化合物)に大別できる。
モノカルボジイミド化合物としては、例えば、下記式(2A)で表される化合物などが挙げられる。
R5−N=C=N−R6 (2A)
(式中、R5およびR6は、置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。)
上記式(2A)において、炭化水素基R5およびR6としては、例えば、脂肪族炭化水素基[例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ドデシル基などのC1−30アルキル基、好ましくはC1−20アルキル基、さらに好ましくはC1−12アルキル基など)などの飽和脂肪族炭化水素基]、脂環族炭化水素基[例えば、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのC5−10シクロアルキル基、好ましくはC5−8シクロアルキル基など)などの飽和脂環族炭化水素基など]、芳香族炭化水素基[例えば、アリール基(例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基などのC6−15アリール基、好ましくはC6−10アリール基)]、芳香脂肪族炭化水素基[例えば、アラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基などのC6−10アリール−C1−4アルキル基など)など]などが例示できる。
炭化水素基R5およびR6は、置換基を有していてもよい。置換基としては、前記式(1)の置換基R4の項で例示した基、例えば、炭化水素基(アルキル基、シクロアルキル基、アリール基など)、アルコキシ基、アルキルチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、置換アミノ基などが挙げられる。
なお、基R5およびR6は、同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。
具体的なモノカルボジイミド化合物としては、例えば、脂肪族モノカルボジイミド化合物{例えば、ジアルキルカルボジイミド化合物[例えば、1,3−ジメチルカルボジイミド、1,3−ジイソプロピルカルボジイミド、1−イソプロピル−3−t−ブチルカルボジイミド、1,3−ジヘキシルカルボジイミド、1,3−ジオクチルカルボジイミド、1−イソプロピル−3−ドデシルカルボジイミド、1,3−ジオクチルデシルカルボジイミド、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドなどの置換基を有していてもよいジC1−30アルキルカルボジイミド、好ましくはジC1−20アルキルカルボジイミド、さらに好ましくはジC1−12アルキルカルボジイミドなど]、アルキルアラルキルカルボジイミド化合物[例えば、ベンジルイソプロピルカルボジイミドなどのC1−10アルキル−C6−10アリールC1−4アルキルカルボジイミドなど]など}、脂環族モノカルボジイミド化合物{例えば、ジシクロアルキルカルボジイミド化合物[例えば、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミドなどの置換基を有していてもよいジC5−10シクロアルキルカルボジイミドなど]など}、芳香族モノカルボジイミド化合物{例えば、ジアリールカルボジイミド化合物[例えば、N,N’−ジフェニルカルボジイミド、N,N’−ジo−トリルカルボジイミド、N,N’−ビス(2,6−ジメチルフェニル)カルボジイミド、N,N’−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)カルボジイミド、N,N’−ビス(2,6−ジエチルフェニル)カルボジイミド、N,N’−ビス(2−エチル−6−イソプロピルフェニル)カルボジイミド、N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド、N,N’−ビス(2,4,6−トリイソプロピルフェニル)カルボジイミド、N,N’−ビス(2−イソブチル−6−イソプロピルフェニル)カルボジイミド、N,N’−ビス(2,6−ジt−ブチルフェニル)カルボジイミド、N−フェニル−N’−トリルカルボジイミド、N,N’−ジ−β−ナフチルカルボジイミド、N,N’−ジ(p−ニトロフェニル)カルボジイミド、N,N’−ジ(p−アミノフェニル)カルボジイミド、N,N’−ジ(p−ヒドロキシフェニル)カルボジイミドなどの置換基を有していてもよいジC6−20アリールカルボジイミド、好ましくはジC6−10アリールカルボジイミド]、アリールシクロアルキルカルボジイミド化合物(例えば、N−トリル−N’−シクロヘキシルカルボジイミドなどの置換基を有していてもよいC6−10アリール−C5−8シクロアルキルカルボジイミド)など}などが挙げられる。
モノカルボジイミド化合物は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
ポリカルボジイミド化合物は、2以上のカルボジイミド基を有していれば特に限定されないが、例えば、下記式(2B)で表される骨格(構成単位、繰り返し単位)を有する化合物(オリゴマー又はポリマー型カルボジイミド化合物)などが挙げられる。
−(N=C=N−R7)q− (2B)
(式中、R7は、置換基を有していてもよい二価の炭化水素基、qは2以上の整数を示す。)
上記式(2B)において、炭化水素基R7としては、前記R5又はR6に対応する二価の炭化水素基、例えば、例えば、脂肪族炭化水素基[例えば、アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基などのC1−30アルキレン基、好ましくはC1−20アルキレン基、さらに好ましくはC1−12アルキレン基など)など]、脂環族炭化水素基{例えば、シクロアルキレン基(例えば、シクロヘキシレン基などのC5−10シクロアルキレン基)、アルキレン−シクロアルキレン基(例えば、メチレン−シクロヘキシレン基などのC1−10アルキレン−C5−10シクロアルキレン基など)、ジシクロアルキルアルカンジイル基(例えば、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイル基などのジC5−10シクロアルキル−C1−6アルカン−ジイル基など)など}、芳香族炭化水素基{例えば、アリーレン基[例えば、フェニレン基(1,4−フェニレン基など)、トリレン基、ナフチレン基などのC6−20アリーレン基、好ましくはC6−10アリーレン基など]、ジアリールアルカンジイル基(例えば、ジフェニルメタン−4,4’−ジイル基などのジC6−10アリール−C1−6アルカンジイル基など)、ジアルキルアレーンジイル基(例えば、α,α’−キシリレン基などのジC1−6アルキル−C6−10アレーン−ジイル基など)など}などが挙げられる。
炭化水素基R7は、置換基を有していてもよい。置換基としては、前記R5又はR6の項で例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。
なお、基R7は、繰り返し単位において、同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。
前記式(2B)において、繰り返し単位数(平均繰り返し単位数)qは、2以上(例えば、2〜100程度)であればよく、例えば、2〜50(例えば、2〜40)、好ましくは2〜30(例えば、2〜25)、さらに好ましくは2.5〜20(例えば、3〜18)程度であってもよい。
また、ポリカルボジイミド化合物の分子量(数平均分子量)は、200以上(例えば、250〜50000)の範囲から選択でき、例えば、300〜30000(例えば、400〜20000)、好ましくは500〜15000(例えば、600〜12000)、さらに好ましくは700〜10000(例えば、800〜8000)程度であってもよく、透明性に優れた硬化物を形成できる点から、例えば、200〜3500、好ましくは300〜3000、さらに好ましくは500〜2500(特に800〜2000)程度である。
具体的なポリカルボジイミド化合物としては、例えば、脂肪族ポリカルボジイミド化合物{例えば、ポリアルキレンカルボジイミド[例えば、ポリヘキサメチレンカルボジイミドなどのポリ(C2−20アルキレンカルボジイミド)、好ましくはポリ(C2−10アルキレンカルボジイミド)など]など}、脂環族ポリカルボジイミド化合物{例えば、ポリジシクロアルキルアルカンカルボジイミド[例えば、ポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)などのポリ(ジC5−10シクロアルキル−C1−10アルカンカルボジイミド)など]など}、芳香族ポリカルボジイミド化合物{例えば、ポリアリーレンカルボジイミド[例えば、ポリm−フェニレンカルボジイミド、ポリp−フェニレンカルボジイミド、ポリトリレンカルボジイミド、ポリ(ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(メチルジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)などのポリ(C6−20アリーレンカルボジイミド)、好ましくはポリ(C6−10アリーレンカルボジイミド)など]、ポリジアリールアルカンカルボジイミド[例えば、ポリ(4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミド)などのポリ(ジC6−10アリール−C1−10アルカンカルボジイミド)など]などが挙げられる。
ポリカルボジイミド化合物は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
なお、ポリカルボジイミド化合物(式(2B)で表される化合物)の末端基は、特に限定されず、例えば、イソシアネート基などの原料由来の基であってもよく、末端の一部又は全部が封鎖又は保護された基[例えば、末端イソシアネート基が、封鎖剤(例えば、アミン、アルコール、モノイソシアネートなど)で封鎖された基]であってもよい。なお、ポリカルボジイミド化合物は、通常、イソシアネート化合物(例えば、ジイソシアネート化合物)を反応(重合)させることで得られるため、末端基がイソシアネート基を形成する場合がある。
ポリカルボジイミド化合物が、末端イソシアネート基を有する場合、ポリカルボジイミド化合物全体に対するイソシアネート基の割合は、例えば、0.1〜30重量%、好ましくは0.2〜20重量%、さらに好ましくは0.3〜15重量%程度であってもよい。特に、本発明では、末端イソシアネート基の割合が比較的大きい[例えば、1重量%以上(例えば、1.5〜30重量%)、好ましくは2重量%以上(例えば、2.5〜20重量%)、さらに好ましくは3重量%以上(例えば、4〜15重量%)、特に5重量%以上(例えば、6〜12重量%)、通常3〜15重量%(例えば、5〜10重量%)程度の]ポリカルボジイミド化合物を好適に用いてもよい。
これらのカルボジイミド化合物のうち、ポリカルボジイミド化合物が好ましい。そのため、カルボジイミド化合物は、少なくともポリカルボジイミド化合物で構成してもよい。
なお、カルボジイミド化合物を、ポリカルボジイミド化合物で少なくとも構成する場合、カルボジイミド化合物全体に対するポリカルボジイミド化合物の割合は、1重量%以上(例えば、5重量%以上)の範囲から選択でき、例えば、10重量%以上(例えば、15重量%以上)、好ましくは20重量%以上(例えば、25重量%以上)、さらに好ましくは30重量%以上(例えば、35重量%以上)、特に40重量%以上であってもよく、50重量%以上(例えば、60重量%以上、好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上)であってもよい。
カルボジイミド化合物は、常温(例えば、25℃)で、固体、液体などのいずれの形態であってもよい。特に、無溶剤で均一な硬化性組成物(又は硬化物)を形成するためには、液体状のカルボジイミド化合物を好適に使用することもできる。
特に、液体状のポリカルボジイミド化合物の粘度は、例えば、25℃において、500000mPa・s以下(例えば、500〜300000mPa・s)、好ましくは200000mPa・s以下(例えば、3000〜100000mPa・s)、さらに好ましくは70000mPa・s以下(例えば、5000〜60000mPa・s)、透明性に優れた硬化物を形成できる点から、特に50000mPa・s以下(例えば、8000〜40000mPa・s、好ましくは10000〜35000mPa・s、さらに好ましくは15000〜30000mPa)程度であってもよい。
カルボジイミド化合物の割合は、例えば、(メタ)アクリレートモノマー(又は硬化性成分)100重量部に対して、0.001〜50重量部(例えば、0.003〜40重量部)の範囲から選択でき、例えば、0.005〜30重量部(例えば、0.007〜25重量部)、好ましくは0.01〜20重量部(例えば、0.02〜15重量部)、さらに好ましくは0.03〜10重量部(例えば、0.04〜7重量部)、特に0.05〜5重量部(例えば、0.07〜3重量部)程度であってもよく、通常0.1〜10重量部(例えば、0.2〜7重量部、好ましくは0.3〜5重量部)程度であってもよい。特に、本発明では、(メタ)アクリレートモノマー[又は硬化性成分]100重量部に対して、例えば、5重量部以下(例えば、0.001〜4重量部)、好ましくは3重量部以下(例えば、0.005〜2重量部)、さらに好ましくは1重量部以下(例えば、0.01〜0.7重量部)、通常0.01〜3重量部(例えば、0.2〜3重量部、好ましくは0.3〜2重量部)というごく微量のカルボジイミド化合物であっても、耐湿密着性を改善できる。そのため、硬化性成分由来の優れた特性を高いレベルで維持しつつ、硬化物の耐湿密着性を改善できる。
また、カルボジイミド化合物の割合は、多官能性(メタ)アクリレート100重量部に対して、例えば、0.0005〜30重量部(例えば、0.001〜25重量部)の範囲から選択でき、例えば、0.003〜20重量部(例えば、0.005〜15重量部)、好ましくは0.007〜10重量部(例えば、0.01〜8重量部)、さらに好ましくは0.02〜5重量部(例えば、0.03〜4重量部)程度であってもよく、3重量部以下[例えば、0.0005〜2.5重量部)、好ましくは2重量部以下(例えば、0.001〜1.5重量部)、さらに好ましくは0.7重量部以下(例えば、0.005〜0.6重量部)、特に0.5重量部以下(例えば、0.007〜0.3重量部)]とすることもできる。
さらに、カルボジイミド化合物の割合は、単官能性(メタ)アクリレート100重量部に対して、例えば、0.0005〜30重量部(例えば、0.001〜25重量部)の範囲から選択でき、例えば、0.003〜20重量部(例えば、0.005〜15重量部)、好ましくは0.007〜10重量部(例えば、0.01〜8重量部)、さらに好ましくは0.02〜5重量部(例えば、0.03〜4重量部)程度であってもよく、3重量部以下[例えば、0.0005〜2.5重量部)、好ましくは2重量部以下(例えば、0.001〜1.5重量部)、さらに好ましくは0.7重量部以下(例えば、0.005〜0.6重量部)、特に0.5重量部以下(例えば、0.007〜0.3重量部)]とすることもできる。
なお、カルボジイミド化合物の割合は、(メタ)アクリレートモノマー中の(メタ)アクリロイルオキシ基100モルに対して、カルボジイミド化合物中のカルボジイミド基(−N=C=N−)0.0001〜100モル(例えば、0.0005〜50モル)程度の範囲から選択でき、例えば、0.001〜30モル(例えば、0.005〜20モル)、好ましくは0.01〜10モル(例えば、0.02〜8モル)、さらに好ましくは0.03〜5モル(例えば、0.04〜3モル)、特に0.05〜1モル(例えば、0.05〜0.5モル)程度であってもよい。
(重合開始剤)
硬化性組成物は、さらに、必要に応じて、重合開始剤(ラジカル重合開始剤)を含んでいてもよい。このような重合開始剤は熱重合開始剤(熱ラジカル発生剤)であってもよく光重合開始剤(光ラジカル発生剤)であってもよい。好ましい重合開始剤は光重合開始剤である。
光重合開始剤又は光ラジカル発生剤としては、例えば、ベンゾイン類(ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどのベンゾインアルキルエーテル類など);アセトフェノン類(アセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−フェニル−2−ヒドロキシ−アセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなど);プロピオフェノン類(p−ジメチルアミノプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンなど);ブチリルフェノン類[1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロパン−1−オンなど];アミノアセトフェノン類[2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ジエチルアミノ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルホリノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−(4−メチルフェニル)プロパン−1−オン、1−(4−ブチルフェニル)−2−ジメチルアミノ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−1−(4−メトキシフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−ジメチルアミノフェニル)−ブタン−1−オンなど];ケタール類(アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなど);チオキサンテン類(チオキサンテン、2−クロロチオキサンテン、2,4−ジエチルチオキサンテンなど);アントラキノン類(2−エチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノンなど);(チオ)キサントン類(チオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンなど);アクリジン類(1,3−ビス−(9−アクリジニル)プロパン、1,7−ビス−(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス−(9−アクリジニル)ペンタンなど);トリアジン類(2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジンなど);スルフィド類(ベンジルジフェニルサルファイドなど);アシルホスフィンオキサイド類(2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドなど);チタノセン系光重合開始剤;オキシムエステル類などが例示できる。これらの光重合開始剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
なお、光重合開始剤は、市販品、例えば、商品名「イルガキュア」「ダロキュア」(チバ・ジャパン(株)製)、商品名「サイラキュア」(ユニオンカーバイド社製)などとして入手できる。
熱重合開始剤としては、ジアルキルパーオキサイド類(ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイドなど)、ジアシルパーオキサイド類[ジアルカノイルパーオキサイド(ラウロイルパーオキサイドなど)、ジアロイルパーオキサイド(ベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルトルイルパーオキサイド、トルイルパーオキサイドなど)など]、過酸エステル類[過酢酸t−ブチル、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエートなどの過カルボン酸アルキルエステルなど]、ケトンパーオキサイド類、パーオキシカーボネート類、パーオキシケタール類などの有機過酸化物;アゾニトリル化合物[2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)など]、アゾアミド化合物{2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}など}、アゾアミジン化合物{2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩など}、アゾアルカン化合物[2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)など]、オキシム骨格を有するアゾ化合物[2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドオキシム)など]などのアゾ化合物などが含まれる。熱重合開始剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
重合開始剤(特に光重合性開始剤)の割合は、硬化性成分[又は(メタ)アクリレートモノマー]100重量部に対して、例えば、0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜15重量部、さらに好ましくは0.7〜10重量部(例えば、1〜7重量部)程度であってもよい。
なお、光重合開始剤は、光増感剤と組み合わせてもよい。光増感剤としては、慣用の成分、例えば、第3級アミン類[例えば、トリアルキルアミン、トリアルカノールアミン(トリエタノールアミンなど)、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸アミルなどのジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル、4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(ミヒラーズケトン)、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノンなどのビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノンなど]、トリフェニルホスフィンなどのフォスフィン類、N,N−ジメチルトルイジンなどのトルイジン類、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセンなどのアントラセン類などが挙げられる。光増感剤は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
光増感剤の使用量は、前記光重合開始剤100重量部に対して、例えば、0.1〜150重量部、好ましくは1〜100重量部、さらに好ましくは5〜75重量部(特に10〜50重量部)程度であってもよい。
(他の成分)
本発明の硬化性組成物は、さらに、慣用の添加剤[例えば、顔料、着色剤、増粘剤、増感剤、消泡剤、レベリング剤、塗布性改良剤、滑剤、安定剤(酸化防止剤、熱安定剤、耐光安定剤、光安定剤など)、紫外線吸収剤、可塑剤、界面活性剤、充填剤、帯電防止剤など]などの他の成分を含んでいてもよい。これらの他の成分は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
なお、本発明の硬化性組成物は、耐湿性や耐水性を改善する成分、基材との密着性を改善するための成分(表面処理剤など)などとして公知の添加剤を含んでいてもよい。本発明における(メタ)アクリレートモノマーは、このような公知の添加剤では、通常、耐湿密着性を十分に改善又は向上できないが、カルボジイミド化合物を含んでいる限り、このような添加剤を含んでいても、耐湿密着性を損なうことがない。
このような本発明の硬化性組成物は、各成分を混合することにより調製できる。
[硬化物]
本発明の硬化性組成物(樹脂組成物)は、活性エネルギー(活性エネルギー線)を付与することにより容易に硬化する。そのため、本発明の硬化性組成物は、活性エネルギーとして、熱エネルギー及び/又は光エネルギー(特に、光エネルギー)を利用して硬化物を形成するのに有用である。本発明の硬化性組成物は、光硬化性に優れている場合が多く、少なくとも光エネルギーを付与(光照射)することにより硬化させてもよい。
硬化物は三次元構造を有していてもよく、特に、硬化膜であってもよい。また、硬化膜は膜パターン(特に薄膜パターン)であってもよい。硬化物は、硬化性組成物(樹脂組成物)を基材上(又は基板上)に塗布し、必要により乾燥した後、加熱又は活性光線を露光することにより形成でき、パターン(膜パターン)は、基材又は基板に形成した塗膜を活性光線で選択的に露光し、生成した潜像パターンを現像することにより形成できる。
基材又は基板の材質は、用途に応じて選択でき、無機材料[例えば、金属(アルミニウム、銅など)、セラミック(酸化ジルコニウム、酸化チタンなど)、透明無機材料(ガラス、石英、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウムなど)など]、有機材料{例えば、樹脂[例えば、環状オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂(ポリメタクリル酸メチルなど)、アクリロニトリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルロースエステル(トリアセチルセルロースなど)など]、木材など}などであってもよい。
また、本発明の硬化性組成物は、高屈折率で透明性も高いため、光学用途に適しており、これらの基材のうち、透明基材又は透明フィルムの上にコーティングすることにより、透明基材又は透明フィルム{例えば、透明無機基材(例えば、ガラス基材又はガラス基板など)、透明有機基材[例えば、環状オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂(ポリメタクリル酸メチルなど)、アクリロニトリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルロースエステル(トリアセチルセルロースなど)などで形成された基材又はフィルムなど]など}との積層体として利用してもよい。
基材の厚みは、用途に応じて選択でき、特に限定されないが、フィルム状又は板状の基材の厚みは、例えば、1μm〜10mm(例えば、5〜7000μm)、好ましくは10〜5000μm、さらに好ましくは30〜3000μm(例えば、50〜1000μm)程度であってもよく、1〜1000μm(例えば、10〜500μm、好ましくは30〜300μm)程度であってもよい。
塗布方法は特に制限されず、例えば、フローコーティング法、スピンコーティング法、スプレーコーティング法、スクリーン印刷法、キャスト法、バーコーティング法、カーテンコーティング法、ロールコーティング法、グラビアコーティング法、ディッピング法、スリット法などであってもよい。
硬化性組成物は、塗布した後、乾燥(例えば、40〜150℃程度で乾燥)してもよい。塗膜の厚みは、用途によって異なるが、0.01〜1000μm程度の範囲から選択でき、例えば、1〜500μm、好ましくは5〜400μm、さらに好ましくは10〜300μm程度であってもよい。
なお、硬化性組成物は、通常、常温で液状又は固体状(又は高粘性の液状)であるが、固体状の硬化性組成物は、加熱により溶融させたり、溶媒に溶解させることにより、塗膜を形成することができる。本発明の硬化性組成物は、常温で固体であっても、比較的に低温の加熱により容易に溶融して塗布可能となる場合が多く、また、(メタ)アクリレートモノマーとカルボジイミド化合物との相溶性も比較的高い場合が多いため、溶媒を用いることなく(無溶剤系で)、塗膜を形成してもよい。なお、溶剤系に比べて無溶剤系で塗膜を形成する場合には、基材に対して硬化性組成物が浸透しにくく、基材に対する密着性が低下しやすくなる場合があり、そのため、耐湿密着性もより一層低下しやすくなる場合があるが、本発明では、このような無溶剤系で形成した塗膜又は硬化膜であっても、耐湿密着性を改善できる。
加熱により塗膜を硬化させる場合、加熱温度は、例えば、60〜200℃(例えば、80〜180℃)、好ましくは100〜150℃程度であってもよい。なお、加熱することなく、活性光線の照射によって硬化物を得ることもできる。
露光工程での露光は用途に応じて全面露光してもよく、フォトマスクなどを利用して選択的に露光してパターン状の潜像を形成してもよい。露光には、放射線(ガンマー線、X線など)、紫外線、可視光線などが利用でき、通常、紫外線である場合が多い。光源としては、例えば、紫外線の場合は、ディープ(Deep)UVランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、レーザー光源(ヘリウム−カドミウムレーザー、エキシマレーザーなどの光源)などを用いることができる。照射光量(照射エネルギー)は、塗膜の厚みにより異なるが、例えば、50〜10000mJ/cm2程度の範囲から選択でき、75〜5000mJ/cm2、さらに好ましくは100〜3000mJ/cm2(例えば、100〜2000mJ/cm2)程度であってもよい。
なお、必要により露光前、露光とともに又は露光後に加熱処理(アフターキュア又はポストベークなど)してもよい。加熱温度は、例えば、60〜200℃、好ましくは65〜150℃、さらに好ましくは70〜120℃程度であってもよい。
パターン状の潜像を形成した場合、潜像パターンを現像することにより、顕像化された塗膜パターンを形成できる。現像剤としては、水、アルカリ水溶液(例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液など)、酸性水溶液、親水性溶媒(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、セロソルブ類、セロソルブアセテート類など)や、これらの混合液などが使用できる。現像は、浸漬、洗い流し、噴射又はスプレー現像などを利用して行うことができる。
上記のようにして、硬化物(硬化膜など)が得られる。このような硬化物は、種々の特性において優れている。特に、本発明では、硬化性成分をフルオレン骨格を有する多官能性(メタ)アクリレートで構成することなどにより、優れた光学的特性(高屈折率、高透明性など)、高耐熱性などを有する硬化物を効率よく得ることができる。例えば、本発明の硬化物の屈折率は、25℃、589nmにおいて、1.50以上(例えば、1.51〜1.75)程度の範囲から選択でき、1.52以上(例えば、1.525〜1.7)、好ましくは1.53以上(例えば、1.535〜1.68)、さらに好ましくは1.54以上(例えば、1.545〜1.65)、特に1.55以上(例えば、1.56〜1.64)程度あってもよい。特に、本発明では、フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレートを使用することなどにより、硬化物の25℃、589nmにおける屈折率を、例えば、1.56以上(例えば、1.575〜1.75)、好ましくは1.58以上(例えば、1.59〜1.7)、さらに好ましくは1.6以上(例えば、1.61〜1.68)、特に1.61以上(例えば、1.615〜1.67)程度とすることもできる。
上記のように、本発明の硬化物では、(メタ)アクリレートモノマーとカルボジイミド化合物とを組み合わせることにより、優れた特性を維持又は付与しつつ、基材に対する耐湿密着性を向上又は改善できる。換言すれば、カルボジイミド化合物は、前記硬化性成分を含む硬化物の基材に対する耐湿密着性を向上又は改善する添加剤として作用又は機能するということができる。そのため、本発明には、このような添加剤およびこの添加剤を用いて、基材に対する耐湿密着性を向上又は改善する方法も含むものとする。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、実施例において、用いた各種成分(およびその略称)は、以下の通りである。
[多官能性(メタ)アクリレート]
BPEFA:9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(後述の合成例で合成したもの)
BPEF−9EO−A:9,9−(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(BPF)1モルに対して9.0モル(式(1)においてmの合計が9.0モル)のエチレンオキサイド(EO)が付加した化合物(特開2013−53310号公報の参考例1と同様にして合成したもの)。
[単官能性(メタ)アクリレート]
POBA:m−フェノキシベンジルアクリレート[共栄社化学(株)製、「POBA」、粘度(25℃)20mPa・s、屈折率(25℃、589nm)1.566]
OPP:o−フェニルフェノールモノエトキシアクリレート[又は2−(o−フェニルフェノキシ)エチルアクリレート、日本化薬(株)製、粘度(25℃)163mPa・s、屈折率(25℃、589nm)1.577]
[添加剤]
V−05:ポリカルボジイミド、日清紡ケミカル(株)製「カルボジライトV−05」、NCO含量8.2%、常温で液状、25℃での粘度23000mPa・s[E型粘度計(東機産業株式会社製 TVE−22L)を用い、ローター3°×R7.7 回転数1rpmの条件で測定]、平均重合度約3、分子量約1000〜1500
HMV−15CA:ポリカルボジイミド、日清紡ケミカル(株)製「カルボジライトHMV−15CA」、常温で固体、平均重合度約15、末端NCO基なし、分子量約4000〜5000
LA−1:ポリカルボジイミド、日清紡ケミカル(株)製「カルボジライトLA−1」、常温で固体、平均重合度約15、末端NCO基あり、分子量約4000〜5000
BYK−307:ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ビックケミージャパン(株)製「BYK−307」
BYK−333:ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ビックケミージャパン(株)製「BYK−333」
MTMO:3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、EVONIC INDUSTRIES製、「Dynasylan MTMO」
KBM5103:3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業(株)製、「KBM5103」
RS−75:UV反応性基を有するフッ素系表面改質剤、DIC(株)製、「メガファックRS−75」
(合成例)
BPEFAは以下のようにして合成した。
9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(大阪ガスケミカル(株)製、BPEF)100g、アクリル酸258g、p−トルエンスルホン酸30g、トルエン1500g、ハイドロキノンモノメチルエーテル1gを仕込み、100℃〜115℃で還流しながら理論脱水量を得るまで脱水エステル化反応を行った。その後、反応液をアルカリ中和し、10%食塩水で洗浄を行った。洗浄後トルエンを除去し、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(BPEFA)を得た。
(比較例1)
BPEFA57.00重量部、POBA43.00重量部[BPEFA/POBA(モル比)=38/62]、光重合開始剤(BASF・ジャパン(株)製、「IRGACURE184」)3重量部を、60℃に加温した振騰機において十分に混合し、樹脂組成物(硬化性組成物)を調製した。
得られた樹脂組成物を、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡(株)製、商品名「コスモシャインA−4300」、厚み188μm)の片面に塗布し、高圧水銀灯で積算光量500mJ/cm2の紫外線を照射し、硬化物(厚み20μm)を得た。なお、塗膜および硬化膜は、均一で透明であった。
硬化膜の屈折率(25℃、589nm)は1.622であった。なお、屈折率は、多波長アッベ屈折計(アタゴ製、DR−M2<循環式恒温水槽60−C3使用>)を用い、温度25℃を保持し、589nmでの屈折率を測定した(以下同じ)。
そして、得られた硬化膜の耐湿熱密着性を以下のように評価した。
まず、硬化膜を、温度65℃、湿度95%の条件下で24時間湿熱処理した。湿熱処理後の硬化膜に切り込みを入れて100マスの格子パターンを形成し、JISK5600−5−6に準拠してクロスカット試験を行ったところ、格子パターンのうち76マスが残存した(すなわち、24マス剥離した)。なお、クロスカット試験は同じ硬化膜の3箇所で行い、3箇所で残存マス目数に差異がある場合には、その3箇所の平均値を残存マス目数が大きいものとした。
(比較例2)
比較例1において、BPEFAを57.00重量部に代えて48.00重量部、POBAを43.00重量部に代えて52.00重量部(BPEFA/POBA(モル比)=30/70)を用いたこと以外は、比較例1と同様にして硬化物(厚み20μm)を得た。なお、塗膜および硬化膜は、均一で透明であった。
比較例1と同様に硬化膜の屈折率を測定したところ、1.620であった。
また、比較例1と同様にクロスカット試験を行ったところ、格子パターンのうち21マスが残存した(すなわち、79マス剥離した)。
(実施例1)
比較例1において、さらに、ポリカルボジイミド(V−05)を1.00重量部混合したこと以外は、比較例1と同様にして硬化膜を得た。なお、ポリカルボジイミドを混合しても、塗膜および硬化膜は、均一で透明であった。
なお、硬化膜の屈折率は1.619であり、V−05を添加してもほとんど変化がなく、高い屈折率を維持できた。
そして、得られた硬化膜において、比較例1と同様にクロスカット試験を行ったところ、100マス残存しており(すなわち、剥離が一切なく)、BPEFAとPOBAの割合が同じである比較例1に比べて、湿熱処理後の密着性(耐湿熱密着性)が向上していることがわかった。
(実施例2)
比較例1において、さらに、ポリカルボジイミド(V−05)を0.30重量部混合したこと以外は、比較例1と同様にして硬化膜を得た。なお、ポリカルボジイミドを混合しても、塗膜および硬化膜は、均一で透明であった。
なお、硬化膜の屈折率は1.620であり、V−05を添加してもほとんど変化がなく、高い屈折率を維持できた。
そして、得られた硬化膜において、比較例1と同様にクロスカット試験を行ったところ、100マス残存しており(すなわち、剥離が一切なく)、BPEFAとPOBAの割合が同じである比較例1に比べて、湿熱処理後の密着性(耐湿熱密着性)が向上していることがわかった。
(実施例3)
比較例2において、さらに、ポリカルボジイミド(V−05)を1.00重量部混合したこと以外は、比較例2と同様にして硬化膜を得た。なお、ポリカルボジイミドを混合しても、塗膜および硬化膜は、均一で透明であった。
なお、硬化膜の屈折率は1.618であり、V−05を添加してもほとんど変化がなく、高い屈折率を維持できた。
そして、得られた硬化膜において、比較例1と同様にクロスカット試験を行ったところ、100マス残存しており(すなわち、剥離が一切なく)、BPEFAとPOBAの割合が同じである比較例2に比べて、湿熱処理後の密着性(耐湿熱密着性)が向上していることがわかった。
(実施例4)
比較例2において、さらに、ポリカルボジイミド(V−05)を0.50重量部混合したこと以外は、比較例2と同様にして硬化膜を得た。なお、ポリカルボジイミドを混合しても、塗膜および硬化膜は、均一で透明であった。
なお、硬化膜の屈折率は1.618であり、V−05を添加してもほとんど変化がなく、高い屈折率を維持できた。
そして、得られた硬化膜において、比較例1と同様にクロスカット試験を行ったところ、100マス残存しており(すなわち、剥離が一切なく)、BPEFAとPOBAの割合が同じである比較例2に比べて、湿熱処理後の密着性(耐湿熱密着性)が向上していることがわかった。
(実施例5)
比較例2において、さらに、ポリカルボジイミド(V−05)を0.05重量部混合したこと以外は、比較例2と同様にして硬化膜を得た。なお、ポリカルボジイミドを混合しても、塗膜および硬化膜は、均一で透明であった。
そして、得られた硬化膜において、比較例1と同様にクロスカット試験を行ったところ、100マス残存しており(すなわち、剥離が一切なく)、ポリカルボジイミドの量が0.05重量部とごく微量であるにもかかわらず、BPEFAとPOBAの割合が同じである比較例2に比べて、湿熱処理後の密着性(耐湿熱密着性)が向上していることがわかった。
(参考例1)
比較例1において、さらに、ポリカルボジイミド(HMV−15CA)を0.30重量部混合したが、白濁し、均一で透明な樹脂組成物を得ることができなかった。
(参考例2)
比較例1において、さらに、ポリカルボジイミド(LA−1)を0.30重量部混合したが、白濁し、均一で透明な樹脂組成物を得ることができなかった。
(参考例3)
比較例2において、さらに、ポリカルボジイミド(HMV−15CA)を0.30重量部混合したが、白濁し、均一で透明な樹脂組成物を得ることができなかった。
(参考例4)
比較例2において、さらに、ポリカルボジイミド(LA−1)を0.30重量部混合したが、白濁し、均一で透明な樹脂組成物を得ることができなかった。
(参考例5)
撥水性の向上による基材に対する耐湿熱密着性の向上効果を期待し、比較例1において、さらに、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(BYK−307)を0.10重量部混合したこと以外は、比較例1と同様にして硬化膜を得た。なお、BYK−307を混合しても、塗膜および硬化膜は、均一で透明であった。
そして、得られた硬化膜において、比較例1と同様にクロスカット試験を行ったところ、60マス残存しており(すなわち、40マス剥離しており)、比較例1に比べ、湿熱処理後の密着性(耐湿熱密着性)が全く改善せず、むしろ低下した。
(参考例6)
撥水性の向上による基材に対する耐湿熱密着性の向上効果を期待し、比較例1において、さらに、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(BYK−333)を0.10重量部混合したこと以外は、比較例1と同様にして硬化膜を得た。なお、BYK−333を混合しても、塗膜および硬化膜は、均一で透明であった。
そして、得られた硬化膜において、比較例1と同様にクロスカット試験を行ったところ、52マス残存しており(すなわち、48マス剥離しており)、比較例1に比べ、湿熱処理後の密着性(耐湿熱密着性)が全く改善せず、むしろ低下した。
(参考例7)
基材に対する密着性向上効果を期待し、比較例1において、さらに、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MTMO)を1.00重量部混合したこと以外は、比較例1と同様にして硬化膜を得た。なお、MTMOを混合しても、塗膜および硬化膜は、均一で透明であった。
そして、得られた硬化膜において、比較例1と同様にクロスカット試験を行ったところ、31マス残存しており(すなわち、69マス剥離しており)、比較例1に比べ、湿熱処理後の密着性(耐湿熱密着性)が全く改善せず、むしろ低下した。
(参考例8)
基材に対する密着性向上効果を期待し、比較例1において、さらに、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM5103)を1.00重量部混合したこと以外は、比較例1と同様にして硬化膜を得た。なお、KBM5103を混合しても、塗膜および硬化膜は、均一で透明であった。
そして、得られた硬化膜において、比較例1と同様にクロスカット試験を行ったところ、43マス残存しており(すなわち、57マス剥離しており)、比較例1に比べ、湿熱処理後の密着性(耐湿熱密着性)が全く改善せず、むしろ低下した。
(参考例9)
比較例1において、撥水作用および表面改質による耐湿熱密着性の改善効果を期待し、さらに、UV反応性基を有するフッ素系表面改質剤(RS−75)を0.30重量部混合したが、白濁し(相溶せず)、均一で透明な樹脂組成物を得ることができなかった。
(実施例6)
比較例1において、さらに、ポリカルボジイミド(V−05)0.50重量部および3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM5103)0.50重量部を混合したこと以外は、比較例1と同様にして硬化膜を得た。なお、V−05およびKBM5103を混合しても、塗膜および硬化膜は、均一で透明であった。
なお、硬化膜の屈折率は1.620であり、V−05およびKBM5103を添加してもほとんど変化がなく、高い屈折率を維持できた。
そして、得られた硬化膜において、比較例1と同様にクロスカット試験を行ったところ、100マス残存しており(すなわち、剥離が一切なく)、BPEFAとPOBAの割合が同じである比較例1に比べて、湿熱処理後の密着性(耐湿熱密着性)が向上していることがわかった。この結果より、カルボジイミド化合物に加えて、他の添加剤を加えても、耐湿熱密着性を損なわないことがわかった。
(参考例10)
比較例1において、BPEFAを57.00重量部に代えて55.28重量部用いるとともに、POBA43.00重量部に代えてOPP44.72重量部(BPEFA/OPP(モル比)=38/62)を用いたこと以外は、比較例1と同様にして硬化物(厚み20μm)を得た。なお、塗膜および硬化膜は、均一で透明であった。
そして、得られた硬化膜について、比較例1と同様にクロスカット試験を行ったところ、格子パターンがすべて剥離した(すなわち、残存マス目数0であった)。
この結果より、BPEFAとPOBAとで形成された硬化膜は、BPEFAと同様の芳香族骨格を有する単官能性(メタ)アクリレートであるOPPとで形成された硬化膜と比べるとやや耐湿熱密着性を備えているようであり、BPEFAと単官能性(メタ)アクリレートとで形成された硬化膜の中でも、特異であることがわかった。
これらの結果をまとめたものを以下の表に示す。
上記実施例では、残存マス目数が100(すなわち、マス目の剥離が0個)であったため、以下のように、さらに、湿熱処理時間を120時間に延長した過酷な湿熱処理後の耐湿熱密着性を評価した。
(比較例3)
比較例1において、湿熱処理時間を24時間から120時間に変えたこと以外は、比較例1と同様にして、クロスカット試験を行ったところ、格子パターンがすべて剥離し(すなわち、残存マス目数0であり)、処理時間の延長に耐えきれなかった。
(比較例4)
比較例2において、湿熱処理時間を24時間から120時間に変えたこと以外は、比較例2と同様にして、クロスカット試験を行ったところ、格子パターンがすべて剥離し(すなわち、残存マス目数0であり)、処理時間の延長に耐えきれなかった。
(実施例7)
実施例1において、湿熱処理時間を24時間から120時間に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、クロスカット試験を行ったところ、100マス残存しており(すなわち、剥離が一切なく)、湿熱処理時間を5倍もの長時間とした過酷な湿熱条件下でも、耐湿熱密着性の低下が見られず、高いレベルで耐湿熱密着性を維持していることがわかった。
(実施例8)
実施例2において、湿熱処理時間を24時間から120時間に代えたこと以外は、実施例2と同様にして、クロスカット試験を行ったところ、100マス残存しており(すなわち、剥離が一切なく)、湿熱処理時間を5倍もの長時間とした過酷な湿熱条件下でも、耐湿熱密着性の低下が見られず、高いレベルで耐湿熱密着性を維持していることがわかった。
(実施例9)
実施例3において、湿熱処理時間を24時間から120時間に代えたこと以外は、実施例3と同様にして、クロスカット試験を行ったところ、100マス残存しており(すなわち、剥離が一切なく)、湿熱処理時間を5倍もの長時間とした過酷な湿熱条件下でも、耐湿熱密着性の低下が見られず、高いレベルで耐湿熱密着性を維持していることがわかった。
(実施例10)
実施例3において、湿熱処理時間を24時間から120時間に代えたこと以外は、実施例3と同様にして、クロスカット試験を行ったところ、100マス残存しており(すなわち、剥離が一切なく)、湿熱処理時間を5倍もの長時間とした過酷な湿熱条件下でも、耐湿熱密着性の低下が見られず、高いレベルで耐湿熱密着性を維持していることがわかった。
(参考例11)
参考例7において、湿熱処理時間を24時間から120時間に代えたこと以外は、参考例7と同様にして、クロスカット試験を行ったところ、格子パターンがすべて剥離し(すなわち、残存マス目数0であり)、処理時間の延長に耐えきれなかった。
(参考例12)
参考例8において、湿熱処理時間を24時間から120時間に代えたこと以外は、参考例8と同様にして、クロスカット試験を行ったところ、格子パターンがすべて剥離し(すなわち、残存マス目数0であり)、処理時間の延長に耐えきれなかった。
(実施例11)
実施例6において、湿熱処理時間を24時間から120時間に代えたこと以外は、実施例6と同様にして、クロスカット試験を行ったところ、100マス残存しており(すなわち、剥離が一切なく)、湿熱処理時間を5倍もの長時間とした過酷な湿熱条件下でも、耐湿熱密着性の低下が見られず、高いレベルで耐湿熱密着性を維持していることがわかった。
(比較例5)
比較例1において、BPEFAを57.00重量部に代えてBPEF−9EOAを61.40重量部用いるとともに、POBA43.00重量部に代えてPOBA38.60重量部(BPEF−9EOA/POBA(モル比)=30/70)を用いたこと以外は、比較例1と同様にして硬化物(厚み20μm)を得た。なお、塗膜および硬化膜は、均一で透明であった。
そして、得られた硬化膜について、比較例1と同様にクロスカット試験を行ったところ、残存マス目数98であった。
(実施例12)
比較例5において、さらに、ポリカルボジイミド(V−05)を0.30重量部混合したこと以外は、比較例5と同様にして硬化膜を得た。なお、ポリカルボジイミドを混合しても、塗膜および硬化膜は、均一で透明であった。
そして、得られた硬化膜において、比較例1と同様にクロスカット試験を行ったところ、100マス残存しており(すなわち、剥離が一切なく)、湿熱処理後の密着性(耐湿熱密着性)が向上していることがわかった。
これらの結果をまとめたものを以下の表に示す。