JP3890022B2 - パーフルオロ基含有(メタ)アクリル酸エステル - Google Patents

パーフルオロ基含有(メタ)アクリル酸エステル

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学材料であるパーフルオロ基含有(メタ)アクリル酸エステル、このエステルを含む架橋重合硬化物用組成物、この組成物を重合させて光学部品や反射防止膜を形成する架橋重合硬化物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
眼鏡やカメラのレンズ、プリズム、携帯電話や各種平面ディスプレイのような光学部品に、プラスチックの光学材料が用いられている。プラスチックの光学材料は夫々の材質に固有の屈折率を持っており、光学部品の設計にあたっては、適切な屈折率を持つ材質を選択することになる。しかしプラスチックの光学材料の種類は限られており、屈折率の選択範囲もさほど広いものとはいえない。
【0003】
反射防止膜に用いられる比較的低屈折率の光学材料として、フッ素系化合物やシリコン系化合物がある。
【0004】
フッ素系化合物は他の物品との接触によって傷が付き易い。また、フッ素系化合物を光学部品に用いた場合、耐熱性が低く、加熱によって変形し易いという問題がある。例えば、下記の特許文献1には、パーフルオロ基含有重合性化合物が開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−264883
【0006】
他方、シリコン系化合物は酸やアルカリのような薬品により侵され易い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記の課題を解決するためなされたもので、屈折率を適宜選択し得る光学材料を形成するための成分、それを含む組成物、およびこの組成物を重合させて光学材料になる耐擦傷性と耐熱性と耐薬品性とに優れた低屈折率の架橋重合硬化物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するためになされた本発明のパーフルオロ基含有(メタ)アクリル酸エステルは、下記化学式(I)
(CF-O-)-A-(-O-CO-CR=CH) ・・・(I)
(式(I)中、C F - は下記式( II
【化2】
Figure 0003890022
で示されるパーフルオロ基、r+sが3〜20でrは1〜18、sは2〜19の整数、-A-は多価アルコールの脱水酸基残基、Rは水素原子またはメチル基を示す)
で表されるものである。
【0009】
前記多価アルコール(HO-)-A-(-OH)は、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ジトリメチロールエタンのいずれかのアルコール類、これらアルコール類のエチレンオキサイド付加物、これらアルコール類のプロピレンオキサイド付加物、これらアルコール類のブチレンオキサイド付加物、またはこれらアルコール類のε−カプロラクトン変性物であることが好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0010】
化学式(I)中、パーフルオロ基CF-は、飽和であっても不飽和であってもよく、直鎖状または分岐状であってもよく、脂環または芳香環を有する環状であってもよい。pが6〜12かつqが11〜25であると一層好ましい。
【0011】
その中でも、CF-が前記式(II)で示されるパーフルオロ基であるとなお一層好ましい。
【0012】
パーフルオロ基含有(メタ)アクリル酸エステルは具体的には、ペンタエリスリトール トリアクリレートであるライトアクリレートPE−3A(共栄社化学(株)製の商品名)をパーフルオロ基で置換したトリアクリロイル−ヘプタデカフルオロノネニル−ペンタエリスリトールが挙げられる。
【0013】
パーフルオロ基含有(メタ)アクリル酸エステルは、例えば以下のようにして調製される。
【0014】
多価アルコールがペンタエリスリトールであり、パーフルオロ基CF-が前記式(II)のヘプタデカフルオロノネニル基である場合を例に説明する。ペンタエリスリトール トリアクリレート(1)に、パーフルオロノネン(2)の1当量を反応させると、化学反応式(III)に示すように、パーフルオロノネン(2)がフッ化水素を副生しながら残存する水酸基に反応し、パーフルオロ基含有(メタ)アクリル酸エステル(3)が得られる。
【0015】
【化3】
Figure 0003890022
【0016】
なお、ペンタエリスリトールと(メタ)アクリル酸とのエステル化反応により、モノ−、ジ−、トリ−、およびテトラ−(メタ)アクリル酸エステルの混合物を得、これにパーフルオロノネンを反応させ、パーフルオロ基を含有するモノ−乃至テトラ−(メタ)アクリル酸エステルの混合物としてもよい。このような混合物である場合には、1分子に1つのパーフルオロ基を含有する(メタ)アクリル酸エステルが、混合物中に40%以上含まれていることが好ましい。
【0017】
本発明の架橋重合硬化物用組成物は、前記式(I)で示すパーフルオロ基含有(メタ)アクリル酸エステルを含むものである。この組成物中、パーフルオロ基含有(メタ)アクリル酸エステルが1〜100重量%含まれていることが好ましい。
【0018】
架橋重合硬化物用組成物は、別な(メタ)アクリル酸エステルを含んでいてもよい。別な(メタ)アクリル酸エステルは、1,2−ビス[(メタ)アクリロイルオキシ]−4,4,4−トリフルオロブタン、1,2−ビス[(メタ)アクリロイルオキシ]−4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンタン、1,2−ビス[(メタ)アクリロイルオキシ]−4,4,5,5,6,6,6−へプタフルオロへキサン、1,2−ビス[(メタ)アクリロイルオキシ]−4,4,5,5,6,6,7,7,7−ノナフルオロヘプタン、1,2−ビス[(メタ)アクリロイルオキシ]−4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ウンデカフルオロオクタン、1,2−ビス[(メタ)アクリロイルオキシ]−4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−トリデカフルオロノナン、1,2−ビス[(メタ)アクリロイルオキシ]−4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ペンタデカフルオロデカン、1,2−ビス[(メタ)アクリロイルオキシ]−4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11−へプタデカフルオロウンデカン、1,2−ビス[(メタ)アクリロイルオキシ]−4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ノナデカフルオロドデカン、1,2−ビス[(メタ)アクリロイルオキシ]−5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11−ペンタデカフルオロウンデカン、1,2−ビス[(メタ)アクリロイルオキシ]−4−トリフルオロメチル−5,5,5−トリフルオロペンタン、1,2−ビス[(メタ)アクリロイルオキシ]−5−トリフルオロメチル−6,6,6−トリフルオロヘキサン、1,2−ビス[(メタ)アクリロイルオキシ]−3−メチル−4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンタン、1,2−ビス[(メタ)アクリロイルオキシ]−3−メチル−4,4,5,5,6,6,6−ヘプタフルオロヘキサン、1,2−ビス[(メタ)アクリロイルオキシ]−4−(パーフルオロシクロへキシル)ブタン、1,4−ビス[(メタ)アクリロイルオキシ]−2,2,3,3−テトラフルオロブタン、1,5−ビス[(メタ)アクリロイルオキシ]−2,2、3,3,4,4−ヘキサフルオロペンタン、1,6−ビス[(メタ)アクリロイルオキシ]−2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロへキサン、1,7−ビス[(メタ)アクリロイルオキシ]−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−デカフルオロへプタン、1,8−ビス[(メタ)アクリロイルオキシ]−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロオクタン、1,9−ビス[(メタ)アクリロイルオキシ]−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−テトラデカフルオロノナン、1,10−ビス[(メタ)アクリロイルオキシ]−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−へキサデカフルオロデカン、1,11−ビス[(メタ)アクリロイルオキシ]−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10−オクタデカフルオロウンデカン、1,12−ビス[(メタ)アクリロイルオキシ]−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11−エイコサフルオロドデカン、1,8−ビス[(メタ)アクリロイルオキシ]−2,7−ジヒドロキシ−4,4,5,5−テトラフルオロオクタン、1,9−ビス[(メタ)アクリロイルオキシ]−2,8−ジヒドロキシ−4,4,5,5,6,6−ヘキサフルオロノナン、1,10−ビス[(メタ)アクリロイルオキシ]−2,9−ジヒドロキシ−4,4,5,5,6,6,7,7−オクタフルオロデカン、1,11−ビス[(メタ)アクリロイルオキシ]−2,10−ジヒドロキシ−4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−デカフルオロウンデカン、1,12−ビス[(メタ)アクリロイルオキシ]−2,11−ジヒドロキシ−4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−ドテカフルオロドデカン、2,2−ビス[(メタ)アクリロイルオキシメチル]プロピオン酸−2−ヒドロキシ−4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11−へプタデカフルオロウンデシルのような含フッ素(メタ)アクリル酸エステル;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールへキサアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートへキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートトリレンジイソシアネートウレタンプレポリマーのようなフッ素非含有の(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸エステルは、本発明の特性を阻害しない範囲で使用することができる。架橋重合硬化物用組成物中、これらの(メタ)アクリル酸エステルが0〜99重量%含まれていることが好ましい。
【0019】
架橋重合硬化物用組成物に、重合開始剤が含まれていてもよい。重合開始剤として、紫外線照射により重合が開始されるものが挙げられる。具体的には、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンのようなアセトフェノン系開始剤;ベンゾイン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンのようなベンゾイン系開始剤;ベンゾフェノン、[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンのようなベンゾフェノン系開始剤;2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントンのようなチオキサントン系開始剤が挙げられる。
【0020】
架橋重合硬化物用組成物に、反応促進剤例えば、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステルのような3級アミンを添加してもよい。
【0021】
重合開始剤や反応促進剤は、架橋重合硬化物用組成物中、0.01〜20重量%含まれていることが好ましい。
【0022】
本発明の架橋重合硬化物は、前記の架橋重合硬化物用組成物が活性エネルギー線で重合したものである。活性エネルギー線は、例えば、紫外線、電子線が挙げられる。この組成物に活性エネルギー線を照射すると、(メタ)アクリル酸エステル分子間で、(メタ)アクリロイル基同士が速やかに架橋し、順次繰り返されて3次元的な網目状に架橋して重合した架橋重合硬化物を形成する。この硬化物は、網目状に架橋しているため強固であり、耐擦傷性と耐熱性とに優れ、その表面に化学的に安定なパーフルオロ基が露出し表面エネルギーを低下させているので、耐薬品性に優れているうえ、塵埃を吸着せず防汚性にも優れている。
【0023】
架橋重合硬化物中のフッ素の含有量が多いほど、硬化物の屈折率は低下する。フッ素の含有量は、パーフルオロ基(CF-O-)-の適切な置換数のパーフルオロ基含有(メタ)アクリル酸エステルを用いたり、別な(メタ)アクリル酸エステルを適切な配合比率で配合したりした組成物を、硬化重合させることによって調整できる。これにより所望の屈折率、フッ素含有量の架橋重合硬化物が得られる。
【0024】
架橋重合硬化物は、耐擦傷性と耐熱性と耐薬品性とに優れており、光学材料として有用である。
【0025】
また、架橋重合硬化物は、その屈折率が1.32〜1.45と低いため、光学部品表面に形成する反射防止膜としても有用である。この膜は、汎用されているポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロース、メチルメタクリレート、ポリカーボネートのようなプラスチック製のレンズ、フィルム等の基材上、またはガラスのレンズの基材上に形成される。必要に応じて、基材と架橋重合硬化物との間に、別な層を設けてもよい。この別な層は、単層であっても複層であってもよい。架橋重合硬化物が活性放射線照射により得られるものであれば、その硬化方法は限定されるものではない。公知の方法で、膜、フィルム、シートの形状にすることができる。
【0026】
【実施例】
本発明の実施例を詳細に説明する。
【0027】
以下、本発明を適用するパーフルオロ基含有(メタ)アクリル酸エステルを用い、架橋重合硬化物用組成物を調製した例を実施例1〜4に、本発明を適用外の架橋重合硬化物用組成物を調製した例を比較例1〜3に示す。
【0028】
(実施例1)
パーフルオロ基含有(メタ)アクリル酸エステルとして、ライトアクリレートPE−3A(共栄社化学(株)製の商品名)をパーフルオロノネンで置換したものであるトリアクリロイル−ヘプタデカフルオロノネニル−ペンタエリスリトール(以下、PE−3ARfという)10重量部と、含フッ素(メタ)アクリル酸としてフルオライトFA−16(共栄社化学(株)製の商品名)90重量部と、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンであるイルガキュア184(チバ・スペシャリティケミカルス社製の商品名)5重量部とを混合して、液状の架橋重合硬化物用組成物を調製した。
【0029】
(実施例2)
PE−3ARfを20重量部用いたこと、およびフルオライトFA−16を80重量部用いたこと以外は、実施例1と同様にして架橋重合硬化物用組成物を調製した。
【0030】
(実施例3)
PE−3ARfを20重量部用いたことと、フルオライトFA−16を77重量部用いたことと、さらに(メタ)アクリル酸のフッ素非含有エステルであるライトアクリレートDPE−6A(共栄社化学(株)製の商品名)を3重量部混合したこと以外は実施例1と同様にして架橋重合硬化物用組成物を調製した。
【0031】
(実施例4)
PE−3ARfを50重量部用いたこと、およびフルオライトFA−16を50重量部用いたこと以外は、実施例1と同様にして架橋重合硬化物用組成物を調製した。
【0032】
(比較例1)
PE−3ARfとフルオライトFA−16とを用いなかったこと、およびそれに代えてライトアクリレートDPE−6Aの100重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして架橋重合硬化物用組成物を調製した。
【0033】
(比較例2)
PE−3ARfを用いなかったこと、およびフルオライトFA−16を100重量部用いたこと以外は、実施例1と同様にして架橋重合硬化物用組成物を調製した。
【0034】
(比較例3)
PE−3ARfに代えてライトアクリレートDPE−6Aを10重量部用いたこと以外は、実施例1と同様にして架橋重合硬化物用組成物を調製した。
【0035】
実施例1〜4および比較例1〜3で得られた架橋重合硬化物用組成物について、外観の観察、および屈折率の測定を行った。さらに夫々の組成物を架橋重合させて形成した膜状の架橋重合硬化物について、硬化性の観察、屈折率の測定、ガラス転移温度の測定、耐擦傷性試験、耐薬品性試験、および反射防止性評価試験を行った。
【0036】
(架橋重合硬化物用組成物の外観観察)
組成物の外観について、目視により透明、白濁のいずれであるかを観察した。
【0037】
(架橋重合硬化物用組成物の屈折率測定試験)
アッベ屈折計(アタゴ(株)製)により25℃での架橋重合硬化物用組成物の屈折率を測定した。
【0038】
(架橋重合硬化物の硬化性試験)
次に夫々の組成物を、ガラス板上に膜厚10μmとなるように塗工した。これに、紫外線照射装置(日本電池(株)製)で80W高圧水銀灯を用いて約700mJ/cmの紫外線を照射し、組成物の重合した架橋重合硬化物を得た。硬化膜を指で触ったとき、硬く充分に重合していたものを良好、軟らかく液状の組成物が残存し重合が不十分であったものを不良とする2段階で評価した。
【0039】
(架橋重合硬化物の屈折率測定試験)
夫々の組成物を、ガラス板上に膜厚100μmとなるように塗工し、同様に紫外線照射装置で重合させて、架橋重合硬化物とした。この硬化物をガラス板から剥離し、アッベ屈折計により25℃での屈折率を測定した。
【0040】
(架橋重合硬化物のガラス転移温度測定試験)
夫々の組成物を、離型処理の施されたポリエチレンテレフタレートフィルム上に膜厚100μmとなるように塗工し、同様に紫外線照射装置で重合させて、架橋重合硬化物とした。この硬化物をフィルムから剥離し、動的粘弾性測定器(TAインスツルメンツ社製)により、ガラス転移温度(Tg)を測定した。
【0041】
(架橋重合硬化物の耐擦傷性試験)
夫々の組成物を、ガラス板上に膜厚10μmとなるように塗工し、同様に紫外線照射装置で重合させて、架橋重合硬化物とした。100g/cmの荷重をかけた規格0000のスチールウールでこの硬化物を10往復擦り、硬化物表面の傷の発生の程度を目視により観察した。
【0042】
(架橋重合硬化物の耐薬品性試験)
夫々の組成物を、ガラス板上に膜厚10μmとなるように塗工し、同様に紫外線照射装置で重合させて、架橋重合硬化物とした。得られた硬化物に、3%塩酸水溶液、3%水酸化ナトリウム水溶液を夫々1滴ずつ落とし、室温下で30分間放置後、拭き取り、重合硬化物の外観変化を目視により観察した。
【0043】
(架橋重合硬化物の反射防止性評価試験)
実施例1〜4の架橋重合硬化物用組成物を、メチルエチルケトンで固形分5%となるまで希釈した。それを、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムへ乾燥膜厚100nmとなるように塗工し、100℃で2分間乾燥後、同様に紫外線照射装置で重合させて、架橋重合硬化物を得た。このフィルムにつき、紫外可視分光光度計Ubest V−550(日本分光(株)製の商品名)を用いて、400〜800nmの間で測定し、その5°正反射率の最小値を求めた。なお、測定の際にはフィルムの裏面をサンドペーパーで粗面化した後、黒色インキで塗りつぶし、裏面反射の影響を抑えた。
【0044】
実施例1〜4の組成物と、その架橋重合硬化物とについての試験結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
Figure 0003890022
【0046】
表1から明らかなように、実施例1〜4の架橋重合硬化物用組成物は、外観が透明である。それを架橋重合させた膜状の硬化物は、硬化性、耐擦傷性、耐薬品性に優れ、Tgが高く、屈折率が1.40〜1.42と低かった。また、最小反射率は、いずれも0.7〜0.9%であって、PETフィルム単独の場合の値(6%)よりも低く、優れた反射防止機能を有していた。
【0047】
比較例1〜3の組成物と、その架橋重合硬化物とについての試験結果を表2に示す。
【0048】
【表2】
Figure 0003890022
【0049】
表2から明らかなように、実施例1〜4に比べ、比較例1の組成物は屈折率が高く、比較例3の組成物は透明でなかった。比較例2の組成物由来の膜状の架橋重合硬化物は耐擦傷性が低かった。そのため、いずれの組成物を架橋重合した硬化物も、光学部品や反射防止膜に向かない。
【0050】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように本発明のパーフルオロ基含有(メタ)アクリル酸エステルは、光学材料の硬化成分として使用される。この(メタ)アクリル酸エステルを含む架橋重合硬化物用組成物を重合させた硬化物は、低屈折率であり、耐擦傷性と耐熱性と耐薬品性とに優れている。そのため、光の反射を忌避すべき眼鏡やカメラのレンズのような光学部品の光学材料として、また、携帯電話や各種平面ディスプレイ等の反射防止膜として、この硬化物が用いられる。
【0051】
この硬化物で形成された反射防止膜は、長期間、傷が付かず薬品に安定である。この硬化物で形成された光学部品は、長期間熱に対して安定である。そのため、光学部品の交換や反射防止膜の再塗布の必要がない。

Claims (5)

  1. 下記化学式(I)
    (CF-O-)-A-(-O-CO-CR=CH) ・・・(I)
    (式(I)中、C F - は下記式( II
    Figure 0003890022
    で示されるパーフルオロ基、r+sが3〜20でrは1〜18、sは2〜19の整数、-A-は多価アルコールの脱水酸基残基、Rは水素原子またはメチル基を示す)
    で表されるパーフルオロ基含有(メタ)アクリル酸エステル。
  2. 請求項に記載のパーフルオロ基含有(メタ)アクリル酸エステルを含む架橋重合硬化物用組成物。
  3. 請求項に記載の架橋重合硬化物用組成物に別な(メタ)アクリル酸エステルを含むことを特徴とする架橋重合硬化物用組成物。
  4. 請求項またはに記載の架橋重合硬化物用組成物が活性エネルギー線により重合した架橋重合硬化物。
  5. 請求項に記載の架橋重合硬化物を用いて形成した反射防止膜。
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